特許第6293634号(P6293634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293634
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/79 20110101AFI20180305BHJP
   H01R 12/88 20110101ALI20180305BHJP
【FI】
   H01R12/79
   H01R12/88
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-204417(P2014-204417)
(22)【出願日】2014年10月3日
(65)【公開番号】特開2016-76321(P2016-76321A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 恵介
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−190360(JP,A)
【文献】 特開2012−43624(JP,A)
【文献】 特開2006−140013(JP,A)
【文献】 特許第3104600(JP,B2)
【文献】 特公平6−9152(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/79
H01R 12/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向において上面及び下面を有する板状又はシート状の対象物であって前記上面及び前記下面に上側信号線及び下側信号線が夫々形成された対象物と接続可能なコネクタであって、
前記コネクタは、第1端子と、第2端子と、絶縁部材と、ハウジングとを備えており、
前記第1端子は、前記ハウジングに保持されており、
前記第1端子は、上顎部と、前記上下方向において前記上顎部よりも下方に位置する下顎部とを有しており、
前記上顎部には、少なくとも前記上下方向において移動可能となるように上側接点が設けられており、
前記下顎部には、下側受部が設けられており、
前記第2端子は、前記第1端子と別体であり、前記ハウジングに保持されており、
前記第2端子には、下側接点と、前記下側接点の下方に位置する押付部とが設けられており、
前記対象物が前記コネクタに接続されたとき、前記絶縁部材は、前記押付部と前記下側受部とに挟まれ、前記第1端子と前記第2端子とを絶縁しており、
前記対象物が前記コネクタに接続されたとき、前記上顎部は前記上側接点を前記上側信号線に押し付けており、それによって、前記下側信号線が前記下側接点を下方に押圧すると共に前記押付部が前記絶縁部材を前記下側受部に対して押し付ける
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記第2端子は、支持部と、少なくとも前記上下方向において移動可能となるように前記支持部に支持された被支持部とを有しており、
前記下側接点と前記押付部とは、前記被支持部に設けられており、
前記対象物が前記コネクタに接続されたとき、前記被支持部と前記絶縁部材とは、前記対象物と前記下側受部との間に挟まれている
コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタであって、
前記下側受部は、少なくとも前記上下方向において移動可能となるように前記下顎部に設けられている
コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコネクタであって、
前記絶縁部材は、前記ハウジングとは別体である
コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコネクタであって、
前記対象物が前記コネクタに接続されたとき、前記対象物は前記上下方向において前記上側接点と前記下側接点に挟まれている
コネクタ。
【請求項6】
請求項5記載のコネクタであって、
前記上下方向に平行な直線を想定した場合に、前記上側接点、前記下側接点、前記押付部、前記絶縁部材及び前記下側受部は、前記想定された直線上に位置している
コネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のコネクタであって、
前記コネクタは、互いに別体である2以上の前記第1端子と、互いに別体である2以上の前記第2端子とを備えており、
前記第1端子は、前記第2端子と夫々対応しており、
前記ハウジングは、前記2以上の第1端子が前記上下方向と直交するピッチ方向に並び且つ前記2以上の第2端子が前記ピッチ方向に並ぶように、前記第1端子と前記第2端子とを保持しており、
前記第1端子の一つと、当該第1端子に対応する前記第2端子とは、前記ピッチ方向において、同じ位置に位置している
コネクタ。
【請求項8】
請求項7記載のコネクタであって、
前記絶縁部材は、互いに別体である2以上の絶縁部を備えており、
前記絶縁部は、前記第2端子に夫々対応して設けられている
コネクタ。
【請求項9】
請求項7記載のコネクタであって、
前記絶縁部材は、複数の絶縁部を有する単一の部材からなり、
前記絶縁部は、前記第2端子に夫々対応して設けられている
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)のような板状又はシート状の対象物と接続するコネクタに関し、特に、両面に信号線を有するような対象物と接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種のコネクタを開示している。図24を参照すると、特許文献1のコネクタ900は、導電体からなる第1端子910と、導電体からなる第2端子920と、絶縁体からなるハウジング930と、絶縁体からなるアクチュエータ940とを備えている。アクチュエータ940を開いた状態において、対象物950をコネクタ900に挿入する。その後、図24に示されるようにアクチュエータ940を閉じると、第1端子910が変形し、第1端子910と第2端子920が対象物950を挟み込む。これによって、対象物950の両面に形成された信号線と第1端子910及び第2端子920を接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−206987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、両面に信号線を有するような対象物と接続するコネクタであって小型化されたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1のコネクタとして、
上下方向において上面及び下面を有する板状又はシート状の対象物であって前記上面及び前記下面に上側信号線及び下側信号線が夫々形成された対象物と接続可能なコネクタであって、
前記コネクタは、第1端子と、第2端子と、絶縁部材と、ハウジングとを備えており、
前記第1端子は、前記ハウジングに保持されており、
前記第1端子は、上顎部と、前記上下方向において前記上顎部よりも下方に位置する下顎部とを有しており、
前記上顎部には、少なくとも前記上下方向において移動可能となるように上側接点が設けられており、
前記下顎部には、下側受部が設けられており、
前記第2端子は、前記第1端子と別体であり、前記ハウジングに保持されており、
前記第2端子には、下側接点と、前記下側接点の下方に位置する押付部とが設けられており、
前記対象物が前記コネクタに接続されたとき、前記絶縁部材は、前記押付部と前記下側受部とに挟まれ、前記第1端子と前記第2端子とを絶縁しており、
前記対象物が前記コネクタに接続されたとき、前記上顎部は前記上側接点を前記上側信号線に押し付けており、それによって、前記下側信号線が前記下側接点を下方に押圧すると共に前記押付部が前記絶縁部材を前記下側受部に対して押し付ける
コネクタを提供する。
【0006】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記第2端子は、支持部と、少なくとも前記上下方向において移動可能となるように前記支持部に支持された被支持部とを有しており、
前記下側接点と前記押付部とは、前記被支持部に設けられており、
前記対象物が前記コネクタに接続されたとき、前記被支持部と前記絶縁部材とは、前記対象物と前記下側受部との間に挟まれている
コネクタを提供する。
【0007】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記下側受部は、少なくとも前記上下方向において移動可能となるように前記下顎部に設けられている
コネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第1乃至第3のいずれかのコネクタであって、
前記絶縁部材は、前記ハウジングとは別体である
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第1乃至第4のいずれかのコネクタであって、
前記対象物が前記コネクタに接続されたとき、前記対象物は前記上下方向において前記上側接点と前記下側接点に挟まれている
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第5のコネクタであって、
前記上下方向に平行な直線を想定した場合に、前記上側接点、前記下側接点、前記押付部、前記絶縁部材及び前記下側受部は、前記想定された直線上に位置している
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第1乃至第6のいずれかのコネクタであって、
前記コネクタは、互いに別体である2以上の前記第1端子と、互いに別体である2以上の前記第2端子とを備えており、
前記第1端子は、前記第2端子と夫々対応しており、
前記ハウジングは、前記2以上の第1端子が前記上下方向と直交するピッチ方向に並び且つ前記2以上の第2端子が前記ピッチ方向に並ぶように、前記第1端子と前記第2端子とを保持しており、
前記第1端子の一つと、当該第1端子に対応する前記第2端子とは、前記ピッチ方向において、同じ位置に位置している
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第8のコネクタとして、第7のコネクタであって、
前記絶縁部材は、互いに別体である2以上の絶縁部を備えており、
前記絶縁部は、前記第2端子に夫々対応して設けられている
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第9のコネクタとして、第7のコネクタであって、
前記絶縁部材は、複数の絶縁部を有する単一の部材からなり、
前記絶縁部は、前記第2端子に夫々対応して設けられている
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0014】
第1端子の上顎部の上側接点が対象物を下側に押し付ける一方、押された対象物は第2端子の下側接点と絶縁部材とを介して第1端子の下顎部の下側受部に押し付けられる。このようにして、第1端子の上顎部と下顎部との間で力のバランスが図られることから、ハウジングに不要な負荷が加わることがない。従って、ハウジングのサイズを小型化することができ、コネクタ全体のサイズを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。図示されたコネクタに含まれるアクチュエータは開状態にある。
図2図1のコネクタをA−A線に沿って示す断面図である。
図3図1のコネクタを示す斜視図である。アクチュエータは閉状態にある。
図4図3のコネクタをB−B線に沿って示す断面図である。
図5図1のコネクタに含まれる第1端子を示す斜視図である。
図6図1のコネクタに含まれる第2端子を示す斜視図である。
図7図2のコネクタに含まれるハウジングを示す断面図である。
図8図1のコネクタに含まれる絶縁部材を示す斜視図である。
図9図1のコネクタに含まれるアクチュエータを示す斜視図である。
図10図9のアクチュエータをC−C線に沿って示す断面図である。
図11図3のコネクタに接続されている対象物を示す斜視図である。
図12図11の対象物をD−D線に沿って示す断面図である。
図13】本発明の第2の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。図示されたコネクタに含まれるアクチュエータは開状態にある。
図14図13のコネクタをE−E線に沿って示す断面図である。
図15図13のコネクタを示す斜視図である。アクチュエータは閉状態にある。
図16図15のコネクタをF−F線に沿って示す断面図である。
図17図13のコネクタに含まれる絶縁部材を示す斜視図である。
図18】本発明の第3の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。図示されたコネクタに含まれるアクチュエータは開状態にある。
図19図18のコネクタをG−G線に沿って示す断面図である。
図20図18のコネクタを示す斜視図である。アクチュエータは閉状態にある。
図21図20のコネクタをH−H線に沿って示す断面図である。
図22図19のコネクタに含まれるハウジングを示す断面図である。
図23図18のコネクタに含まれる絶縁部材を示す斜視図である。
図24】特許文献1のコネクタを示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
図1乃至図4を参照すると、本発明の第1の実施の形態によるコネクタ10は、回路基板(図示せず)に搭載固定されると共に板状又はシート状の対象物700と接続可能なものである。図11及び図12に示されるように、対象物700は、上下方向(Z方向)において上面710及び下面730を有している。上面710には複数の上側信号線720が形成されており、下面730には複数の下側信号線740が形成されている。複数の上側信号線720は、上面710上において、上下方向と直交するピッチ方向(Y方向)に並べられている。同様に、複数の下側信号線740は、下面730上において、ピッチ方向に並べられている。
【0017】
図1乃至図4から理解されるように、コネクタ10は、複数の導電体からなる第1端子100と、複数の導電体からなる第2端子300と、絶縁部材400と、絶縁体からなるハウジング500と、絶縁体からなるアクチュエータ600とを備えている。複数の第1端子100は、互いに別体である。同様に、複数の第2端子300は、互いに別体である。また、本実施の形態において、第1端子100の数と第2端子300の数は同じであり、第1端子100は第2端子300に夫々対応している。
【0018】
図7に示されるように、ハウジング500には、受容部510と、アクチュエータ収容部520と、複数の端子収容部530と、載置部540が形成されている。ハウジング500は、上下方向及びピッチ方向の双方と直交する前後方向(X方向)において、前端502及び後端504を有している。受容部510は、前端502において開口している。アクチュエータ収容部520は、後端504側に位置しており、後方(+X方向)及び上方(+Z方向)に開いている。端子収容部530は、第1端子100に夫々対応しており、受容部510とアクチュエータ収容部520との間を繋いでいる。載置部540は、受容部510の底面のうちの後側(+X側)の領域であり、端子収容部530の一部を構成する溝が形成されているものの、基本的には、前後方向及びピッチ方向で規定される平面(XY平面)と平行な平面を有している。
【0019】
図5に示されるように、各第1端子100は、第1被保持部110と、第1被固定部120と、第1端子主部200とを有している。図2及び図4に示されるように、第1被保持部110は、ハウジング500に保持される部位である。本実施の形態において、第1被保持部110は、コネクタ10の後端(+X側端部)近傍に位置している。第1被固定部120は、コネクタ10が回路基板(図示せず)に搭載固定されたときに、その回路基板に固定される部位である。本実施の形態の第1被固定部120は、コネクタ10の後端近傍に位置している。
【0020】
図5に示されるように、第1端子100の第1端子主部200は、上顎部210と、下顎部230と、それらを連結する連結部250と、被作動部260とを有している。上顎部210は、連結部250から前方(−X方向)に延びている。上顎部210には、上側接点220が設けられている。上側接点220は、下方(−Z方向)に突出している。上側接点220は、上顎部210や連結部250が弾性変形することにより、少なくとも上下方向において移動可能となっている。下顎部230は、連結部250から前方に延びており、上下方向において上顎部210よりも下方に位置している。下顎部230には、下側受部240が設けられている。本実施の形態の下側受部240は、長方形形状の平面(具体的には、上下方向と直交する平面)を有している。前後方向において、下側受部240は、上側接点220とオーバーラップしている。換言すると、前後方向において、上側接点220の位置は、下側受部240の領域内に含まれている。即ち、第1端子100を単体で見た場合(コネクタ10に組み込む前においては)、上側接点220は、下側受部240と上下方向において対向している。被作動部260は、連結部250と共にC字状の形状を構成している。被作動部260は、後述するように、アクチュエータ600により、作動される部位である。
【0021】
図2及び図4に示されるように、第1被保持部110がハウジング500に保持され、それによって、第1端子100はハウジング500に組み込まれている。詳しくは、図3から理解されるように、複数の第1端子100はピッチ方向に並べられている。また、図2に示されるように、上側接点220が受容部510内に突出した状態で、第1端子100は、端子収容部530に部分的に収容されている。なお、本実施の形態においては、図2及び図4に示されるように、被作動部260は、アクチュエータ収容部520内に部分的に収容されている。
【0022】
図2図5及び図6から明らかなように、第2端子300は、第1端子100とは別体である。図6に示されるように、各第2端子300は、第2被保持部310と、第2被固定部320と、支持部330と、被支持部340とを有している。図1図2図6及び図7から理解されるように、第2被保持部310は、ハウジング500に保持される部位である。本実施の形態において、第2被保持部310は、コネクタ10の前端(−X側端部)近傍に位置している。第2被固定部320は、コネクタ10が回路基板(図示せず)に搭載固定されたときに、その回路基板に固定される部位である。本実施の形態の第2被固定部320は、コネクタ10の前端近傍に位置している。図6に示されるように、支持部330は、被支持部340を支持している。被支持部340は、支持部330の弾性変形により、少なくとも上下方向において移動可能である。被支持部340には、下側接点350と、押付部360とが設けられている。図2及び図6から理解されるように、下側接点350は上方に向いており、押付部360は下方に向いている。被支持部340が上下方向に移動可能なことから理解されるように、本実施の形態の下側接点350及び押付部360は上下方向に移動可能である。
【0023】
図2及び図4に示されるように、第2端子300は、ハウジング500に保持されている。詳しくは、図1に示されるように、複数の第2端子300はピッチ方向に並べられている。図2及び図4から理解されるように、第1端子100とそれに対応する第2端子300とは、ピッチ方向において同じ位置に位置している。更に、図2から理解されるように、下側接点350は受容部510内に突出している。
【0024】
図7乃至図9から理解されるように、本実施の形態の絶縁部材400は、ハウジング500やアクチュエータ600とは別体である。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、後述する動作が可能なのであれば、ハウジング500やアクチュエータ600の一部を絶縁部材としてもよい。
【0025】
図8に示されるように、絶縁部材400は、複数の絶縁部410とそれらを連結する連結部420とを有している。即ち、本実施の形態の絶縁部材400は、複数の絶縁部410を有する単一の部材からなる。図2及び図8から理解されるように、絶縁部410は、第2端子300に夫々対応している。即ち、絶縁部410の数は、第2端子300の数に等しい。絶縁部材400の連結部420は部分的にハウジング500の載置部540に載置され、絶縁部410は第1端子100の下側受部240上に夫々設けられる。この際、絶縁部材400をハウジング500の載置部540や第1端子100の下側受部240に接着固定することとしてもよい。この状態において、第2端子300が取り付けられると、絶縁部材400の絶縁部410は第2端子300の押付部360と第1端子100の下側受部240との間に挟まれることとなり、それによって、第1端子100と第2端子300は絶縁されている。
【0026】
図2に示されるように、本実施の形態において、上下方向に平行な直線を想定した場合に、上側接点220、下側接点350、押付部360、絶縁部410及び下側受部240は、想定された直線上に位置している。換言すると、上側接点220、下側接点350、押付部360、絶縁部410及び下側受部240は、上下方向に沿って一直線上に並んでいる。
【0027】
図9に示されるように、アクチュエータ600には複数の溝部610が形成されている。溝部610は、第1端子100(図2参照)と夫々対応している。図10に示されるように、各溝部610内には、作動カム620が設けられている。図2及び図4に示されるように、アクチュエータ600は、アクチュエータ収容部520内に部分的に収容されると共に、作動カム620が被作動部260間に位置するように、第1端子100に取り付けられている。この取り付けにより、アクチュエータ600は、図2に示される開状態と図4に示される閉状態との間で回転することができる。
【0028】
図2から理解されるように、アクチュエータ600が開状態にあるとき、作動カム620は被作動部260に負荷を与えていない。このとき、上側接点220と下側接点350との上下方向における距離は対象物700(図4参照)の厚みより大きい。従って、アクチュエータ600が開状態にあるとき、対象物700を受容部510に挿入力なしで挿入することができる。
【0029】
一方、図4から理解されるように、アクチュエータ600が閉状態にあるとき、作動カム620は被作動部260間を押し広げており、そのため、上側接点220が下方に移動している。詳しくは、対象物700がコネクタ10に接続されたとき、上顎部210は上側接点220を対象物700の上側信号線720に押し付けている。また、このとき、下側信号線740が下側接点350を下方に押圧すると共に押付部360が絶縁部材400の絶縁部410を下側受部240に対して押し付けている。具体的には、対象物700がコネクタ10に接続されたとき、下側接点350及び押付部360を有する被支持部340と絶縁部材400の絶縁部410とは、対象物700の下面730と下側受部240との間に挟まれている。このように、上顎部210から加えられた力が下顎部230によって受け止められることから、ハウジング500には対象物700の接続に伴う不要な負荷が加わることがない。従って、本実施の形態によれば、ハウジング500を小型化することができ、コネクタ10全体を小型化することができる。
【0030】
特に、本実施の形態においては、対象物700がコネクタ10に接続されたとき、対象物700は上下方向において上側接点220と下側接点350に挟まれている。そのため、対象物700を支持するための手段を設ける必要がない。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば、対象物700を支持する部位又は部材を対象物700の上側又は下側に追加して、その支持部位又は支持部材と上側接点220及び下側接点350とで対象物700を三点支持することとしてもよい。
【0031】
(第2の実施の形態)
図13乃至図17を参照すると、本発明の第2の実施の形態によるコネクタ10Aは、絶縁部材400Aを除き、上述した第1の実施の形態によるコネクタ10(図1参照)と同じ構成を備えている。そのため、図13乃至図17に示される構成要素のうち、第1の実施の形態と同様の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととする。図13乃至図17から理解されるように、本実施の形態のコネクタ10Aは、第1端子100と、第2端子300と、絶縁部材400Aと、ハウジング500と、アクチュエータ600とを備えている。このうち、第1端子100と、第2端子300と、ハウジング500と、アクチュエータ600とは、上述した第1の実施の形態のコネクタ10のものと同じ構造を有するものであるので、これらについては、詳細な説明を省略する。
【0032】
図17に示されるように、本実施の形態の絶縁部材400Aは、複数の絶縁部410Aのみからなる。即ち、本実施の形態の絶縁部410Aは、互いに別体であり、連結されていない。絶縁部410Aは、第2端子300(図14参照)に夫々対応して設けられている。
【0033】
具体的には、図14及び図16に示されるように、絶縁部410A(絶縁部材400A)は、接着剤で下側受部240に仮止めされた上で、上下方向において、第1端子100の下顎部230の下側受部240と第2端子300の被支持部340の押付部360との間に挟まれている。絶縁部410Aの仮止めは、下側受部240ではなく、押付部360になされていてもよい。
【0034】
図16に示されるように、コネクタ10Aのアクチュエータ600を閉状態にすると、上顎部210の上側接点220が対象物700の上面710に押し付けられるが、その力を第2端子300と絶縁部材400Aを介して下顎部230の下側受部240で受け止めていることから、ハウジング500には対象物700の接続に伴う不要な負荷が加わることがない。従って、本実施の形態によれば、ハウジング500を小型化することができ、コネクタ10A全体を小型化することができる。
【0035】
(第3の実施の形態)
図18乃至図23を参照すると、本発明の第3の実施の形態によるコネクタ10Bは、絶縁部材400B及びハウジング500Bを除き、上述した第1の実施の形態によるコネクタ10(図1参照)と同じ構成を備えている。そのため、図18乃至図23に示される構成要素のうち、第1の実施の形態と同様の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととする。図18乃至図23から理解されるように、本実施の形態のコネクタ10Bは、第1端子100と、第2端子300と、絶縁部材400Bと、ハウジング500Bと、アクチュエータ600とを備えている。このうち、第1端子100と、第2端子300と、アクチュエータ600とは、上述した第1の実施の形態のコネクタ10のものと同じ構造を有するものであるので、これらについては、詳細な説明を省略する。
【0036】
図22に示されるように、ハウジング500Bには、受容部510と、アクチュエータ収容部520と、複数の端子収容部530と、載置部540Bが形成されている。このうち、受容部510と、アクチュエータ収容部520と、端子収容部530とは、上述した第1の実施の形態のハウジング500(図7参照)と基本的に同じものである。載置部540Bは、受容部510の底面のうちの前側(−X側)の領域であり、端子収容部530の一部を構成する溝が形成されているものの、基本的には、前後方向及びピッチ方向で規定される平面(XY平面)と平行な平面を有している。特に、図19及び図21から理解されるように、本実施の形態の載置部540Bは、上下方向において、下側受部240とほぼ同じ位置にある。
【0037】
図23に示されるように、本実施の形態の絶縁部材400Bは、一本の細長い板状の形状を有している。この絶縁部材400Bには、複数の絶縁部410Bと、複数の連結部420Bとが含まれている。即ち、絶縁部材400Bは、複数の絶縁部410Bを有する単一の部材からなる。絶縁部410Bは、第2端子300(図21参照)に夫々対応して設けられており、ピッチ方向において互いに離れて位置している。各連結部420Bは、ピッチ方向において隣り合う2つの絶縁部410B間を連結している。
【0038】
図18図19及び図21に示されるように、絶縁部材400Bは載置部540B上に載置されている。この載置により、図19及び図21に示されるように、絶縁部材400Bの絶縁部410Bは、上下方向において、第1端子100の下顎部230の下側受部240と第2端子300の被支持部340の押付部360との間に挟まれている。
【0039】
図21に示されるように、コネクタ10Bのアクチュエータ600を閉状態にすると、上顎部210の上側接点220が対象物700の上面710に押し付けられるが、その力を第2端子300と絶縁部材400Bを介して下顎部230の下側受部240で受け止めていることから、ハウジング500Bには対象物700の接続に伴う不要な負荷が加わることがない。従って、本実施の形態によれば、ハウジング500Bを小型化することができ、コネクタ10B全体を小型化することができる。
【0040】
以上、本発明について、複数の実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、種々の変形が可能である。
【0041】
例えば、上述した実施の形態のコネクタ10,10A,10Bは、いずれもアクチュエータ600を備えていたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、コネクタ10,10A,10Bはアクチュエータ600を有さず、そのため、対象物700をコネクタ10,10A,10Bに挿入する際に挿入力を必要とするようなものであってもよい。
【0042】
また上述した実施の形態において、絶縁部材400,400A,400Bの絶縁部410,410A,410Bは、第2端子300の押付部360と第1端子100の下側受部240との間に介在して、両者を互いから絶縁しているが、本発明はこれに限定されるわけではない。絶縁部材400,400A,400Bの絶縁部410,410A,410Bは、例えば、対象物700がコネクタ10,10A,10Bに接続されたときには、第2端子300の押付部360と第1端子100の下側受部240との間に挟まれていなければならないが、対象物700がコネクタ10,10A,10Bに接続される前は、第2端子300の押付部360と第1端子100の下側受部240の少なくとも一方が絶縁部材400,400A,400Bの絶縁部410,410A,410Bから離れていてもよい。
【0043】
上述した実施の形態の下側受部240の直下にはハウジング500,500Bの一部が位置していたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、下側受部240の直下にスペースが形成されるような形状をハウジング500,500Bが有していてもよく、それによって、下側受部240が、下顎部230や連結部250の弾性変形により、上下方向において移動可能となっていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10,10A,10B コネクタ
100 第1端子
110 第1被保持部
120 第1被固定部
200 第1端子主部
210 上顎部
220 上側接点
230 下顎部
240 下側受部
250 連結部
260 被作動部
300 第2端子
310 第2被保持部
320 第2被固定部
330 支持部
340 被支持部
350 下側接点
360 押付部
400,400A,400B 絶縁部材
410,410A,410B 絶縁部
420,420B 連結部
500,500B ハウジング
502 前端
504 後端
510 受容部
520 アクチュエータ収容部
530 端子収容部
540,540B 載置部
600 アクチュエータ
610 溝部
620 作動カム
700 対象物
710 上面
720 上側信号線
730 下面
740 下側信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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