(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アモルファスポリエステル樹脂は、ポリ(アルコキシル化ビスフェノールA−co−フマレート−co−テレフタレート−co−ドデセニルサクシネート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−co−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール−co−フマレート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1又は請求項2に記載のトナー組成物。
【発明を実施するための形態】
【0005】
いくつかの実施形態では、スチレン−アクリレート樹脂は、トナー粒子コア中、コアの合計重量の約5〜約35重量%、または約10〜約35重量%、または約20〜約35重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、スチレン−アクリレートエマルションの粒径は、約100nm〜約160nm、または約100nm〜約140nmである。この範囲のスチレン−アクリレート樹脂をPACとともに使用すると、良好な性能および特性を有し、表面形態が改良された、EAトナーに最適な結果を与えることが発見された。
【0006】
いくつかの実施形態では、樹脂は、ポリエステル樹脂、例えば、アモルファス樹脂、結晶性樹脂、および/またはこれらの組み合わせであってもよく、米国特許第6,593,049号および第6,756,176号に記載される樹脂を含み、それぞれの開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる。適切な樹脂は、米国特許第6,830,860号に記載されるようにアモルファスポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の混合物を含んでいてもよく、これらは、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0007】
いくつかの実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂は、トナー粒子コア中に、コアの合計重量の約1〜約20重量%、または約1〜約15重量%、または約3〜約10重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、コア中で使用される結晶性ポリエステル樹脂は、費用をさらに安くするために、ポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(プロピレン−アジペート)、ポリ(ブチレン−アジペート)、ポリ(ペンチレン−アジペート)、ポリ(ヘキシレン−アジペート)、ポリ(オクチレン−アジペート)、ポリ(エチレン−サクシネート)、ポリ(プロピレン−サクシネート)、ポリ(ブチレン−サクシネート)、ポリ(ペンチレン−サクシネート)、ポリ(ヘキシレン−サクシネート)、ポリ(オクチレン−サクシネート)、ポリ(エチレン−セバケート)、ポリ(プロピレン−セバケート)、ポリ(ブチレン−セバケート)、ポリ(ペンチレン−セバケート)、ポリ(ヘキシレン−セバケート)、ポリ(オクチレン−セバケート)、ポリ(デシレン−セバケート)、ポリ(デシレン−デカノエート)、ポリ(エチレン−デカノエート)、ポリ(エチレンドデカノエート)、ポリ(ノニレン−セバケート)、ポリ(ノニレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−セバケート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−ドデカノエート)からなる群から選択される。好ましい費用が安い結晶性ポリエステルは、ポリ(1,9−ノニレン−1,12−ドデカノエート)、ポリ(1,6−ヘキシレン−1,12−ドデカノエート)およびポリ(1,6−ヘキシレン−1,10−デカノエート)である。
【0008】
いくつかの実施形態では、アモルファスポリエステル樹脂は、トナー粒子コア中、コアの合計重量の約20〜約80重量%、または約20〜約70重量%、または約30〜約65重量%の量で存在する。このようなアモルファスポリエステル樹脂は、ポリ(アルコキシル化ビスフェノールA コ−フマレート−コテレフタレート−コドデセニルサクシネート)およびこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、上述のように、不飽和アモルファスポリエステル樹脂をラテックス樹脂として利用してもよい。いくつかの実施形態では、アモルファスポリエステル樹脂を、Kao CorporationからFXC42およびFXC56として得ることができる。このような樹脂の例としては、米国特許第6,063,827号および第8,466,254号に開示されるものが挙げられ、その開示内容は、全体が本明細書に参考として組み込まれる。例示的な不飽和アモルファスポリエステル樹脂としては、限定されないが、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(1,2−プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(1,2−プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(1,2−プロピレンイタコネート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート−コテレフタレート−コ−ドデセニルサクシネート)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0009】
本発明の実施形態の乳化凝集トナーは、最低融合温度(MFT)が約90〜約150、または約100〜約130、または約100〜約125である。これは、コアまたはシェルにポリエステルを含まない他の乳化凝集トナーよりも約15〜約20低い。本発明の実施形態は、約10〜約40、または約20〜約40、または約20〜約35の許容範囲の誘電損失も有する。以前の研究から、本願発明者らは、シェルの厚みを増やし、融着温度を下げることによって、トナーの誘電損失を高めることができることを発見した。このように、本発明のトナー組成物は、トナー粒子の約28〜約40、または約30〜約38、または約30〜約36%という好ましいシェル被覆率%を有する。これらのトナー組成物の製造において、使用される融着温度は、好ましくは、約70〜約90℃、または約70〜約80℃、または約70〜約77℃である。具体的な実施形態では、これらのトナー組成物を製造するときに使用するラテックスの粒径は、約100nm〜159nmである。本願発明者らは、融着温度を下げ、小さな粒径のラテックスを使用すると、ポリエステル樹脂からのスチレン−アクリレート樹脂の相分離を防ぎ、スチレン−アクリレートが表面に移動するのではなく、コアに留まりやすくなることも発見した。この様式で、良好な電気特性および融合特性が維持される。
【0010】
いくつかの実施形態では、樹脂でコーティングされた担体とトナーとを含む現像剤が開示され、このトナーは、限定されないが、ラテックス樹脂、ワックスおよびポリマーシェルを含む乳化凝集トナーであってもよい。
【0011】
一般的に、ラテックス樹脂は、第1のモノマー組成物および第2のモノマー組成物で構成されていてもよい。任意の適切なモノマーまたはモノマー混合物を選択し、第1のモノマー組成物および第2のモノマー組成物を調製してもよい。第1のモノマー組成物のためのモノマーまたはモノマー混合物の選択は、第2のモノマー組成物のための選択とは独立しており、逆もまた同様である。モノマー混合物を使用する場合、典型的には、ラテックスポリマーは、コポリマーであろう。上述のように、ラテックス樹脂は、少なくともスチレンアクリレート、ポリエステル樹脂および結晶性樹脂で構成される。
【0012】
第1のモノマー組成物および/または第2のモノマー組成物のための例示的なモノマーとしては、限定されないが、ポリエステル、スチレン、アクリル酸アルキル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、イソアクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、2−クロロエチルアクリレート;β−カルボキシエチルアクリレート(β−CEA)、アクリル酸フェニル、メチルアルファクロロアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸ブチル;ブタジエン;イソプレン;メタクリロニトリル;アクリロニトリル;ビニルエーテル、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど;ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルおよび酪酸ビニル;ビニルケトン、例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンおよびメチルイソプロペニルケトン;ハロゲン化ビニリデン、例えば、塩化ビニリデンおよびクロロフッ化ビニリデン;N−ビニルインドール;N−ビニルピロリドン;メタクリレート;アクリル酸;メタクリル酸;アクリルアミド;メタクリルアミド;ビニルピリジン;ビニルピロリドン;ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド;ビニルナフタレン;p−クロロスチレン;塩化ビニル;臭化ビニル;フッ化ビニル;エチレン;プロピレン;ブチレン;イソブチレン;などおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0013】
ある実施形態では、第1のモノマー組成物および第2のモノマー組成物は、互いに独立して、2種類、または3種類、またはそれより多い異なるモノマーを含んでいてもよい。
【0014】
結晶性樹脂は、種々の融点を有していてもよく、例えば、約30℃〜約120℃、いくつかの実施形態では、約50℃〜約90℃であってもよい。結晶性樹脂は、数平均分子量(M
n)が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定する場合、例えば、約1,000〜約50,000、いくつかの実施形態では、約2,000〜約25,000であってもよく、重量平均分子量(M
w)が、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって決定する場合、例えば、約2,000〜約100,000、いくつかの実施形態では、約3,000〜約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(M
w/M
n)は、例えば、約2〜約6、いくつかの実施形態では、約3〜約4であってもよい。
【0015】
本開示のラテックスおよびワックス分散物を調製するために、任意の適切な界面活性剤を使用してもよい。エマルション系によっては、任意の望ましい非イオン系界面活性剤またはイオン系界面活性剤(例えば、アニオン系またはカチオン系の界面活性剤)を包含していてもよい。
【0016】
ラテックスプロセスおよびトナープロセスにおいて、任意の適切な開始剤または開始剤混合物を選択してもよい。いくつかの実施形態では、開始剤は、既知の遊離ラジカル重合開始剤から選択される。遊離ラジカル開始剤は、遊離ラジカル重合プロセスを開始させることが可能な任意の遊離ラジカル重合開始剤、およびこれらの混合物であってもよく、このような遊離ラジカル開始剤は、約30℃より高い温度に加熱すると、遊離ラジカル種を与えることができる。
【0017】
さらに典型的な遊離ラジカル開始剤としては、限定されないが、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、アセチルペルオキシド、クミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、クロロベンゾイルペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、ブロモメチルベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ジイソプロピルペルオキシカーボネートなどが挙げられる。
【0018】
重合するモノマーの合計重量を基準として、開始剤は、約0.1%〜約5%、約0.4%〜約4%、約0.5%〜約3%の量で存在していてもよいが、もっと多い量、またはもっと少ない量で存在していてもよい。
【0019】
場合により、連鎖移動剤を使用し、ラテックスの重合度を調整してもよく、それによって、本開示のラテックスプロセスおよび/またはトナープロセスのラテックス製品の分子量および分子量分布を制御してもよい。理解され得るだろうが、連鎖移動剤は、ラテックスポリマーの一部となってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、連鎖移動剤は、炭素−硫黄共有結合を有する。炭素−硫黄共有結合は、赤外吸収スペクトルでは、500〜800cm
−1の数値範囲の波数に吸収ピークを有する。連鎖移動剤を、ラテックスおよびラテックスから作られるトナーに組み込むと、吸収ピークは、例えば、400〜4,000cm
−1の範囲の波数で変化してもよい。
【0021】
重合するモノマーの合計重量を基準として、連鎖移動剤は、約0.1%〜約7%、約0.5%〜約6%、約1.0%〜約5%の量で存在していてもよいが、もっと多い量、またはもっと少ない量で存在していてもよい。
【0022】
本開示のラテックスプロセスおよびトナープロセスでは、任意の適切なプロセスによって、例えば、高温で混合することによって乳化を行ってもよい。例えば、エマルション混合物を、約200〜約400rpm、温度約40℃〜約80℃に設定したホモジナイザで約1分〜約20分かけて混合してもよい。
【0023】
モノマーの添加が終わった後、冷却前に、例えば、約10〜約300分間、その状態で維持することによってラテックスを安定化させてもよい。場合により、上のプロセスによって作られるラテックスを、例えば、凝固、溶解および沈殿、濾過、洗浄、乾燥などの当該技術分野で既知の標準的な方法によって単離してもよい。
【0024】
既知の方法によってトナー、インクおよび現像剤を作成する乳化−凝集−融着プロセスのために、本開示のラテックスを選択してもよい。本開示のラテックスを溶融ブレンドしてもよく、または他の方法で種々のトナー成分(例えば、ワックス分散物、凝固剤、任意成分のシリカ、任意成分の電荷向上添加剤または電荷制御添加剤、任意成分の界面活性剤、任意成分の乳化剤、任意成分の流動添加剤など)と混合してもよい。場合により、トナー組成物に配合する前に、ラテックス(例えば、固形分がほぼ40%)を、望ましい固形分保持量(例えば、固形分約12〜約15重量%)になるまで希釈してもよい。
【0025】
このようなラテックス樹脂を製造する方法は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる米国特許第7,524,602号の開示に記載されるように行われてもよい。
【0026】
種々の既知の適切な着色剤、例えば、染料、顔料、染料混合物、顔料混合物、染料と顔料の混合物などがトナーに含まれていてもよい。着色剤は、トナー中に、例えば、トナーの約0.1〜約35重量%、トナーの約1〜約15重量%、トナーの約3〜約10重量%の量で含まれていてもよいが、これらの範囲から外れた量を使用してもよい。
【0027】
適切な着色剤の例として、カーボンブラックで作られるものも挙げられるだろう。着色した顔料として、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブラウン、ブルーまたはこれらの混合物から選択することができる。一般的に、シアン、マゼンタまたはイエローの顔料または染料、またはこれらの混合物を使用する。1種類以上の顔料が、水系顔料分散物であってもよい。
【0028】
ポリマー樹脂に加え、本開示のトナーは、さらにワックスを含んでいてもよく、1種類のワックスまたは2種類以上の異なるワックスの混合物を含んでいてもよい。例えば、特定のトナーの特性(例えば、トナー粒子の形状、トナー粒子表面にワックスが存在すること、およびトナー粒子表面のワックスの量、帯電特性および/または融合特性、光沢、ストリッピング、オフセットの特性など)を高めるために、1種類のワックスをトナー配合物に加えてもよい。または、トナー組成物に複数の特性を付与するために、ワックスの組み合わせを加えてもよい。
【0029】
ワックスが含まれる場合、ワックスは、例えば、トナー粒子の約1重量%〜約25重量%、いくつかの実施形態では、トナー粒子の約5重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。
【0030】
選択可能なワックスとしては、例えば、重量平均分子量が約500〜約20,000、いくつかの実施形態では、約1,000〜約10,000のワックスが挙げられる。
【0031】
当該技術分野の技術常識の範囲内にある任意の方法によって、トナー粒子を調製してもよい。トナー粒子の製造に関連する実施形態を、乳化凝集プロセスに関して以下に記載しているが、懸濁およびカプセル化のプロセスのような化学プロセスを含む、トナー粒子を調製する任意の適切な方法を用いてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、乳化凝集プロセス、例えば、任意成分のワックスおよび任意の他の望ましい添加剤または必要な添加剤と、上述の樹脂を含むエマルションとを、場合により上述の界面活性剤で凝集させ、次いで、上述のように、凝集混合物を融着することを含むプロセスによってトナー組成物を調製してもよい。任意成分のワックスまたは他の材料(場合により、界面活性剤を含む分散物であってもよい)をエマルション(樹脂を含む2種類以上のエマルションの混合物であってもよい)に加えることによって、混合物を調製してもよい。得られた混合物のpHを酸(例えば、pH調整剤)、例えば、酢酸、硝酸などによって調整してもよい。いくつかの実施形態では、混合物のpHを約2〜約4.5に調節してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、混合物を均質化してもよい。混合物を均質化する場合、毎分約600〜約4,000回転(rpm)で混合することによってホモジナイゼーションを達成してもよい。任意の適切な手段によって、例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザまたはGaulin 15MRホモジナイザまたはGaulin 15MRホモジナイザを用いてホモジナイゼーションを達成してもよい。
【0033】
上の混合物を調製した後に、一般的に、凝集剤を混合物に加えてもよい。適切な凝集剤としては、例えば、二価のカチオン材料または多価のカチオン材料の水溶液が挙げられる。本発明の実施形態では、ポリハロゲン化アルミニウム(具体的には、ポリ塩化アルミニウム(PAC))を使用する。PACは、二価フロック形成剤である硫酸アルミニウムと比較して、もっと強力な多価フロック形成剤である。PACは、表面のスチレン−アクリレートの量を減らすことによって、表面の形態を予想できないレベルで向上させることが発見された。多価PACは、もっと酸価が大きなスチレン−アクリレートラテックスをトナー粒子のコアに保持するように結合させるのに役立つと考えられる。
【0034】
PACを使用するとき、製造プロセスは、約1時間〜約3時間、または約1.5時間〜約2.5時間まで融着時間を長くする(硫酸アルミニウムのように従来のフロック形成剤を用いて使用される場合と比較して)ように変えられる。融着時間を長くするこの改変は、トナー表面を平滑にし、最適な表面形態を得るのに必要であることがわかった。
【0035】
使用可能な他の凝集剤としては、対応する臭化物、フッ化物またはヨウ化物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、凝集剤は、トナー組成物中、トナー粒子の合計重量の約0.1〜約1.0重量%、または約0.2〜約0.8重量%、または約0.25〜約0.5重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、樹脂のガラス転移温度(T
g)より低い温度で、混合物に凝集剤を加えてもよい。上述のように、使用する低い融着温度は、約70〜約90℃、または約70〜約80℃、または約70〜約77℃である。
【0036】
例えば、トナー粒子の約0.1パーツパーハンドレッド(pph)〜約1pph、いくつかの実施形態では、トナー粒子の約0.25pph〜約0.75pphの量でこの混合物に凝集因子を加え、トナーを作成してもよい。
【0037】
トナーの光沢は、粒子に保持されている金属イオン(例えば、Al
3+)の量によって影響を受けることがある。保持されている金属イオンの量を、さらに、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えることによって調節してもよい。いくつかの実施形態では、本開示のトナー粒子に保持されている金属イオン(例えば、Al
3+)の量は、約0.1pph〜約1pph、いくつかの実施形態では、約0.25pph〜約0.8pphであってもよい。
【0038】
本開示は、さらに、例えば、低い固定温度および/または高いオフセット温度を有し、ビニルの裏移りが最小限であるか、または実質的に起こらないこともある、トナー組成物のための安全な架橋した熱可塑性バインダー樹脂を安い費用で製造する溶融混合プロセスも提供する。このプロセスでは、不飽和塩基性ポリエステル樹脂またはポリマーを溶融混合し、すなわち、高剪断条件で、溶融状態で混合し、実質的に均一に分散したトナー構成成分を生成し、プロセスによって、光沢特性が最適化された樹脂ブレンドおよびトナー製品を与える。「高度に架橋した」とは、関与するポリマーが、実質的に架橋しており、すなわち、ゲル化点以上であることを意味する。本明細書で使用する場合、「ゲル化点」は、ポリマーが溶液中で可溶性ではなくなる点を意味する。
【0039】
粒子の凝集および融着を制御するために、いくつかの実施形態では、長期間にわたり、凝集剤を混合物に秤量して入れてもよい。例えば、凝集剤を、約5〜約240分、いくつかの実施形態では、約30〜約200分かけて混合物に秤量して入れてもよい。凝集剤の添加は、混合物を攪拌状態に維持しつつ、いくつかの実施形態では、約50rpm〜約1,000rpm、いくつかの実施形態では、約100rpm〜約500rpmで、樹脂のT
gより低い温度で、行われてもよい。
【0040】
所定の望ましい粒径が得られるまで、粒子を凝集させてもよい。所定の望ましい粒径とは、作成前に決定されるような、望ましい粒径、および、当該技術分野で既知の成長プロセス中に、このような粒径に達するまでモニタリングされる粒径を指す。成長プロセス中にサンプルを採取し、例えば、平均粒径の場合、Coulter Counterで分析してもよい。いくつかの実施形態では、粒径は、約5.0〜約6.0μm、約6.0〜約6.5μm、約6.5〜約7.0μm、約7.0〜約7.5μmであってもよい。
【0041】
凝集剤を加えた後の粒子の成長および成形は、任意の適切な条件下で行ってもよい。例えば、成長および成形は、凝集と融合とを別個に行う条件で行ってもよい。
【0042】
望ましい粒径まで凝集させ、場合により、上述のようにシェルを作成した後、望ましい最終的な形状になるまで粒子を融着させてもよく、融着は、例えば、可塑化を防ぐために、混合物を約55℃〜約100℃、いくつかの実施形態では、約65℃〜約75℃(結晶性樹脂の融点より低くてもよい)まで加熱することによって達成される。もっと高い温度またはもっと低い温度を使用してもよいが、温度は、使用される樹脂の関数であることが理解される。
【0043】
約0.1〜約9時間、いくつかの実施形態では、約0.5〜約4時間の間、融着を進めてもよい。
【0044】
融着の後、混合物を室温(例えば、約20℃〜約25℃)まで冷却してもよい。所望な場合、すばやく冷却してもよく、またはゆっくりと冷却してもよい。適切な冷却方法は、反応器の周囲にあるジャケットに冷水を導入することを含んでいてもよい。冷却した後、トナー粒子を、場合により水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。任意の適切な方法、例えば、凍結乾燥によって乾燥を行ってもよい。
【0045】
トナーは、極端なRH条件にさらされたとき、望ましい帯電特徴を有しているだろう。低湿度ゾーン(Cゾーン)は、約12℃/15%RHであってもよく、一方、高湿度ゾーン(Aゾーン)は、約28℃/85%RHであってもよい。本開示のトナーは、元のトナーの電荷質量比(Q/Mm)が約−5μC/g〜約−80μC/g、いくつかの実施形態では、約−10μC/g〜約−70μC/gであってもよく、表面添加剤をブレンドした後の最終的なトナーの電荷は、−15μC/g〜−60μC/g、いくつかの実施形態では、約−20μC/g〜約−55μC/gであってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、生成した凝集トナー粒子にシェルを塗布してもよい。コア樹脂として適していると上に述べた任意の樹脂をシェル樹脂として利用してもよい。当業者の常識の範囲内にある任意の方法によって、シェル樹脂を凝集粒子に塗布してもよい。いくつかの実施形態では、シェル樹脂は、本明細書に記載する界面活性剤を含むエマルションの状態であってもよい。上述の凝集粒子を前記エマルションと組み合わせ、樹脂は、生成した凝集物の上にシェルを形成する。いくつかの実施形態では、アモルファスポリエステルを利用し、凝集物の上にシェルを作成し、コア−シェル構造を有するトナー粒子を作成してもよい。
【0047】
トナー粒子は、直径が約4〜約8μm、いくつかの実施形態では、約5〜約7μmであってもよく、最適なシェル成分は、トナー粒子の約26〜約30重量%であってもよい。
【0048】
または、トナー粒子の表面積が大きいことに起因して、望ましい帯電特徴を与えるために、厚いシェルが望ましい場合がある。したがって、シェル樹脂は、トナー粒子の約30%〜約40重量%、いくつかの実施形態では、トナー粒子の約32%〜約38重量%、いくつかの実施形態では、トナー粒子の約34%〜約36重量%の量で存在していてもよい。
【0049】
トナー粒子の望ましい最終粒径に到達したら、塩基(すなわち、pH調整剤)を用いて混合物のpHを約6〜約10、いくつかの実施形態では、約6.2〜約7の値になるまで調節してもよい。pHを調節することによって、トナーの成長を凍結させ(すなわち、止め)てもよい。トナーの成長を止めるために利用される塩基としては、任意の適切な塩基を挙げることができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、これらの組み合わせなどのようなアルカリ金属水酸化物が挙げられる。いくつかの実施形態では、pHを上述の望ましい値に調節しやすくするために、EDTAを加えてもよい。塩基を、混合物の約2〜約25重量%、いくつかの実施形態では、約4〜約10重量%の量で加えてもよい。いくつかの実施形態では、シェルは、凝集トナー粒子よりも高いT
gを有する。
【0050】
本開示の担体および現像剤に、種々の適切な固体コアまたは粒子材料を利用してもよい。特徴的な粒子特性としては、いくつかの実施形態では、トナー粒子および担体コアが、正電荷または負電荷を獲得可能であること、電子写真式画像化装置に存在する現像剤容器において、望ましい流動特性を与える担体コアが挙げられる。他の望ましいコアの特性としては、例えば、磁気ブラシによる現像プロセスで磁気ブラシを作成することができるような適切な磁性特徴;望ましい機械熟成特徴;および担体および適切なトナーを含む任意の現像剤の高い電気伝導性を可能にする望ましい表面形態が挙げられる。
【0051】
利用可能な担体粒子またはコアの例としては、鉄および/または鋼鉄、例えば、Hoeganaes CorporationまたはPomaton S.p.A(イタリア)から入手可能な微粒化した鉄または鋼鉄の粉末;フェライト、例えば、約11%の酸化銅、約19%の酸化亜鉛および約70%の酸化鉄を含むCu/Znフェライト(D.M. Steward CorporationまたはPowdertech Corporationから市販されるものを含む)、Powdertech Corporationから入手可能なNi/Znフェライト、例えば、約14%酸化ストロンチウムおよび約86%の酸化鉄を含み、Powdertech Corporationから市販されるSr(ストロンチウム)−フェライト、Ba−フェライト;例えば、Hoeganaes Corporation(スウェーデン)から市販されているものを含め、マグネタイト;ニッケル;これらの組み合わせなどが挙げられる。他の適切な担体コアは、顆粒状ジルコン、顆粒状ケイ素、ガラス、二酸化ケイ素、これらの組み合わせなどを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、適切な担体コアは、平均粒径が、例えば、直径で約20μm〜約400μm、いくつかの実施形態では、約40μm〜約200μmであってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、金属、例えば、鉄および少なくとも1つのさらなる金属、例えば、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン、マグネシウム、カルシウム、リチウム、ストロンチウム、ジルコニウム、チタン、タンタム、ビスマス、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ストロンチウム、バリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、これらの組み合わせなどを含むフェライトをコアとして利用してもよい。
【0053】
ある実施形態では、担体コーティングは、導電性成分を含んでいてもよい。適切な導電性成分としては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。
【0054】
担体に多くの添加剤を加えてもよい。帯電添加剤成分は、種々の有効な量で、例えば、ポリマー/コポリマー、導電性成分および他の帯電添加剤成分の合計重量を基準として、約0.5wt%〜約20wt%、約1wt%〜約3wt%の量になるように選択されてもよい。導電性成分の添加によって、担体に付与される負の静電電荷がさらに増えるように作用させることができ、したがって、例えば、電子写真式現像サブシステム中のトナーに付与される負の静電電荷をさらに増やすことができる。ロールによる混合、タンブリング、ミルによる混合、振とう、静電粉末雲噴霧、流動床、静電ディスクによる処理および静電カーテンに成分が含まれていてもよく、ロータリーキルンによって、または、加熱した押出成型装置を通すことによって、担体コーティングを担体コアに融合する。
【0055】
他の方法では弱く現像され得る固体領域の良好な現像を可能にする半導体磁気ブラシによる現像では、導電性が重要であろう。場合により、導電性成分、例えば、カーボンブラックとともに本開示のポリマーコーティングを添加すると、相対湿度約20%〜約90%、いくつかの実施形態では、約40%〜約80%での変化で現像剤の静電応力応答が低下した担体が得られ、相対湿度が変化したとき、電荷はもっと一貫性がある。したがって、高い相対湿度で電荷の低下量が小さいと、印刷物上のバックグラウンドトナーが減り、電荷の上昇がなく、その後の低相対密度での現像の失敗が少なくなり、改良された光学密度に起因して、このような改良された画質性能を得る。
【0056】
上述のように、いくつかの実施形態では、ポリマーコーティングを乾燥させてもよく、その後に、コア担体に乾燥粉末として塗布してもよい。粉末コーティングプロセスは、従来の溶液コーティングプロセスとは異なる。溶液コーティングは、組成および分子量特性によって、樹脂がコーティングプロセス中の溶媒に可溶性になるようなコーティングポリマーを必要とする。このことは、粉末コーティングと比較して、比較的M
Wが低い成分を必要とする。粉末コーティングプロセスは、溶媒の溶解性を必要としないが、粒径が約10nm〜約2μm、いくつかの実施形態では、約30nm〜約1μm、いくつかの実施形態では、約50nm〜約500nmの粒状物としてコーティングされる樹脂を必要とする。
【0057】
粉末コーティングを塗布するのに利用可能なプロセスの例としては、例えば、カスケードロールによる混合、タンブリング、ミルによる混合、振とう、静電粉末雲噴霧、流動床、静電ディスクによる処理および静電カーテン、これらの組み合わせなどによる、担体コア材料と樹脂コーティングの組み合わせが挙げられる。樹脂コーティングされた担体粒子を粉末コーティングプロセスによって調製する場合、大部分のコーティング材料を担体表面に融合させてもよく、それによって、担体の上のトナー衝突部位の数が減るだろう。ポリマーコーティングの融合は、機械的な衝突、静電引力、これらの組み合わせなどによって行われてもよい。
【0058】
コアに樹脂を塗布した後に、加熱を開始し、担体コアの表面にコーティング材料を流してもよい。担体コア表面にコーティングポリマーの連続した膜を生成することができるように、またはコーティングされる担体コアの選択した領域でのみ可能であるように、コーティング材料、いくつかの実施形態では、粉末粒子の濃度および加熱のパラメータを選択してもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー粉末コーティングを有する担体を、約170℃〜約280℃、いくつかの実施形態では、約190℃〜約240℃で、例えば、約10分〜約180分、いくつかの実施形態では、約15分〜約60分かけて約190℃〜約240℃の温度まで加熱し、ポリマーコーティングを溶融させ、担体コア粒子を融合させてもよい。粉末を担体表面に組み込んだ後、加熱を開始し、担体コア表面にコーティング材料を流してもよい。いくつかの実施形態では、ロータリーキルンによって、または、加熱した押出成型装置を通すことによって、粉末を担体コアに融合させてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、コーティングでの被覆は、担体コアの約10%〜約100%を包含する。金属担体コアの選択された領域が、コーティングされていないままであるか、または露出している場合、コア材料が金属である場合、担体粒子は、電気伝導性を有していてもよい。
【0060】
コーティングされた担体粒子を、いくつかの実施形態では、室温まで冷却し、現像剤を作成するときに使用するために回収してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示の担体は、粒径が約20μm〜約100μm、いくつかの実施形態では、約30μm〜約75μmであり、約0.5%〜約10重量%、いくつかの実施形態では、約0.7%〜約5重量%の本開示のポリマーコーティング(場合によりカーボンブラックを含む)でコーティングされたコア(いくつかの実施形態では、フェライトコア)を含んでいてもよい。
【0062】
したがって、本開示の担体組成物およびプロセスとともに、多くの異なる組み合わせを利用し、選択された高い摩擦帯電特徴および/または導電性値を有する現像剤を配合してもよい。
【0063】
このようにして作られたトナー粒子を現像剤組成物に配合してもよい。トナー粒子を担体粒子と混合し、2成分系現像剤組成物を得てもよい。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の合計重量の約1%〜約25重量%、いくつかの実施形態では、現像剤の合計重量の約2%〜約15重量%であってもよい。
【0064】
(コントロール)
コントロールトナー実施例1:70℃での22%のスチレン−アクリレートコア(ラテックス粒径162nm)ブラックトナー粒子の調製
2L反応器に、43gのアモルファスポリエステルエマルション(Kao Corporationから入手可能なFXC42)、47gのアモルファスポリエステルエマルション(Kao Corporationから入手可能なFXC56)、81gのスチレン−アクリレートラテックス(23.5%のn−ブチルアクリレート、76.5%のスチレンで構成され、平均分子量は55,000g/モルであり、粒径は162nm)、29gの結晶性ポリエステルエマルション、43gのワックス、9.6gのシアン顔料、57gのブラック顔料(Nipex−35)、0.7gの界面活性剤(Dowfax)および534gの脱イオン(DI)水を合わせた。次いで、2.7gの硫酸アルミニウム(Al
2(SO
4)
3)を33gのDI水と混合し、3000〜4000RPMで均質化しつつ、スラリーに加える。反応器を260RPMに設定し、42°まで加熱し、トナー粒子を凝集させる。粒径が4.8〜5μmに達したら、69gのアモルファスポリエステルエマルション(FXC42)、74gのアモルファスポリエステルエマルション(FXC56)で構成され、1.15gの界面活性剤(Dowfax)を含み、0.3M硝酸を用い、すべてのpHを3.3に調製したシェルコーティングを加える。反応物をさらに50℃まで加熱する。トナー粒子の粒径が5.6〜6ミクロンに達したら、スラリーのpHを4%NaOH溶液で4.5に調整し、凍結を開始する。反応器のRPMを220まで下げた後、5.77グラムのキレート化剤(Versene100)を加え、さらに、pHが7.8になるまでNaOH溶液を加える。反応器の温度を70℃まで上げる。70℃まででスラリーのpHを7.8以上に維持する。融着温度になったら、スラリーのpHを、pH5.7バッファーを用いて6.0まで下げ、Flow Particle Image Analysis(FPIA)装置で測定した場合、粒子の真円度が0.955〜0.960になるまで約1時間融着させる。次いで、スラリーを770gのDI氷で急冷する。最終的な粒径は5.90ミクロン、GSDvは1.21、GSDnは1.22、真円度は0.958であった。次いで、トナーを洗浄し、凍結乾燥させる。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
トナー実施例1:Al2(SO4)3を含むハイブリッドブラックトナー粒子の調製
2L反応器中、43gのアモルファスポリエステルエマルション()、47gのアモルファスポリエステルエマルション(FXC56)、82gのスチレン−アクリレートラテックス(23.5%のn−ブチルアクリレート、76.5%のスチレンで構成され、平均分子量が55,000g/モル、粒径が162nm、粒径が141nm)、29gの結晶性ポリエステルエマルション、43gのワックス、9.6gのシアン顔料、57gのブラック顔料(Nipex−35)、0.7gの界面活性剤(Dowfax)および534gのDI水を合わせた。次いで、2.7gの硫酸アルミニウム(Al
2(SO
4)
3)を33gのDI水と混合し、3000〜4000RPMで均質化しつつ、スラリーに加える。反応器を260RPMに設定し、42℃まで加熱し、トナー粒子を凝集させる。粒径が4.8〜5μmに達したら、69gのアモルファスポリエステルエマルション(FXC42)、74gのアモルファスポリエステルエマルション(FXC56)で構成され、1.15gの界面活性剤(Dowfax)を含み、0.3M硝酸を用いてすべてのpHを3.3に調整したシェルコーティングを加える。反応物をさらに50℃まで加熱する。トナー粒子の粒径が5.6〜6ミクロンに達したら、スラリーのpHを、4%NaOH溶液を用いて4.5に調節し、凍結を開始する。反応器のRPMを220まで下げた後、5.77グラムのキレート化剤(Versene100)を加え、さらに、pHが7.8になるまでNaOH溶液を加える。反応器の温度を70℃まで上げる。70℃になるまでスラリーのpHを7.8以上に維持する。融着温度になったら、スラリーのpHを、pH5.7バッファーを用いて6.0まで下げ、Flow Particle Image Analysis(FPIA)装置で測定した場合、粒子の真円度が0.955〜0.960になるまで約1時間融着させる。次いで、スラリーを770gのDI氷で急冷する。最終的な粒径は6.0ミクロン、GSDvは1.21、GSDnは1.24、真円度は0.955であった。次いで、トナーを洗浄し、凍結乾燥させる。
【0066】
(実施例2)
トナー実施例2:PACを含むハイブリッドブラックトナー粒子の調製
2L反応器中、43gのアモルファスポリエステルエマルション(FXC42)、47gのアモルファスポリエステルエマルション(FXC56)、82gのスチレン−アクリレートラテックス(23.5%のn−ブチルアクリレート、76.5%のスチレンで構成され、平均分子量が55,000g/モル、粒径が141nm、粒径が141nm)、29gの結晶性ポリエステルエマルション、43gのワックス、9.6gのシアン顔料、57gのブラック顔料(Nipex−35)、0.7gの界面活性剤(Dowfax)および534gのDI水を合わせる。次いで、2.7gのポリ塩化アルミニウム(PAC)を24gの0.02M硝酸と混合し、3000〜4000RPMで均質化しつつ、スラリーに加える。反応器を260RPMに設定し、42℃まで加熱し、トナー粒子を凝集させる。粒径が4.8〜5μmに達したら、69gのアモルファスポリエステルエマルション(FXC42)、74gのアモルファスポリエステルエマルション(FXC56)で構成され、1.15gの界面活性剤(Dowfax)を含み、0.3M硝酸を用いてすべてのpHを3.3に調整したシェルコーティングを加える。反応物をさらに50℃まで加熱する。トナー粒子の粒径が5.6〜6ミクロンに達したら、スラリーのpHを、4%NaOH溶液を用いて4.5に調節し、凍結を開始する。反応器のRPMを220まで下げた後、5.77グラムのキレート化剤(Versene100)を加え、さらに、pHが7.8になるまでNaOH溶液を加える。反応器の温度を70℃まで上げる。70℃になるまでスラリーのpHを7.8以上に維持する。融着温度になったら、スラリーのpHを、pH5.7バッファーを用いて6.0まで下げ、Flow Particle Image Analysis(FPIA)装置で測定した場合、粒子の真円度が0.955〜0.960になるまで約2時間融着させる。次いで、スラリーを770gのDI氷で急冷する。最終的な粒径は6.3ミクロン、GSDvは1.23、GSDnは1.25、真円度は0.955であった。次いで、トナーを洗浄し、凍結乾燥させる。
【0067】
(比較例)
(Xerox 700トナー(シアンまたはブラック))
この市販トナーを本発明のトナーの比較として使用した。Xerox 700トナーは、乳化凝集トナーで構成され、コアは、約6〜7重量%の結晶性樹脂、5〜6重量%のシアンまたはブラック顔料、8〜10重量%のワックスおよび約50〜約52重量%のアモルファスポリエステル樹脂で構成され、シェルは、トナーの約28重量%である。
【0068】
(Xerox Docucolor 2240シアントナー)
この市販トナーを本発明のトナーの比較として使用した。Xerox Docucolor 2240トナーは、乳化凝集トナーで構成され、コアは、5〜6重量%のシアンまたはブラック顔料、10〜12重量%のワックスおよび約54〜約56重量%のスチレン−アクリレート樹脂で構成され、シェルは、トナーの約28重量%のスチレン−アクリレート樹脂である。
【0069】
表1は、コントロール、トナー実施例1および実施例2、および乳化凝集ポリエステル系トナー(Xerox 700トナー)の特徴および特性を示す。コントロールおよびトナー実施例1および実施例2は、すべて、少なくとも20%のスチレン−アクリレートラテックスが組み込まれている。トナー実施例2は、フロック形成剤としてPACを含む。
【表1】
【0070】
コントロールおよびトナー実施例1および実施例2について、
図1に示すようにSEM画像を撮った。
図1からわかるように、表面は、ポリスチレン/アクリレートラテックスの粒径が小さくなり(トナー実施例1と比較したコントロール)およびフロック形成剤をPACに変えたとき、さらに大きな改良がみられる(トナー実施例2)。
【0071】
次いで、帯電性能および融合性能について、これらのトナーを分析し、結果は以下である。
【0072】
(現像剤の性能結果)
帯電性能は、標準的なEAポリエステルトナーに匹敵するものであるが、主な関心事は、ブロッキングの開始と熱凝集率%である。これらの2つの特性は、ポリエステルコントロールトナーほど良好ではないが、いくつかの観察の後、トナーの表面形態は、ポリエステルコントロールトナーよりも悪いことに気づいた。トナーのSEM画像からわかるように、トナー表面は、多くのポリスチレン/アクリレートラテックスと、いくつかのワックス粒子を含んでいた。ワックス含有量は典型的であるが、表面にあるポリスチレン/アクリレートは、トナー添加剤がトナー表面を適切に覆うのを妨害し、同様に、トナーの性能に悪影響を与える。驚くべきことに、フロック形成剤をPACに変え、トナーを凝集させると、トナーの表面が向上することがわかるだろう。ポリスチレン/アクリレートラテックスは、トナー表面に突出せず、むしろ、トナーの中央に多くが留まる。
【表2】
【0073】
上の表2からわかるであろうが、トナーの誘電損失は、表面形態が改良された状態で改良されないが、ポリエステルコントロールトナーに匹敵するままである。
以下の表3は、種々のハイブリッド例について、トナーのブロッキング結果を示す。
【表3】
【0074】
トナー実施例2のブロッキングは、ポリエステルコントロールトナー(Xerox 700トナー)の実験誤差の範囲内であり、一方、従来の2つのサンプル(コントロールおよびトナー実施例1)は、特筆すべき欠陥を有している。
【0075】
図2は、本発明の実施形態のトナーの熱凝集率%も、フロック形成剤としてPACを含まないコントロールおよびトナー実施例1と比較してどのように向上するかを示す。
【0076】
(融合結果のまとめ)
実験室の融合固定装置を用い、粒子の光沢、皺、加熱時の裏移りのデータを、Color Xpressions Select(90gsm)に融合させたサンプルを用いて集めた。トナーは、ポリエステルコントロールトナー参照サンプルの実験的な不確実性の範囲内であった。
【0077】
(コントロール)
このハイブリッドトナーの印刷光沢曲線は、Xerox 700トナー、Xerox Docucolor 2240比較参照サンプルの関係であり、低いピーク光沢を有する(57gu対63gu)。50光沢単位に達するのに必要な温度は158℃であり、一方、Xerox Docucolor 2240トナーは166℃が必要であり、ポリエステルコントロールトナーは、146℃が必要であった。
【0078】
このハイブリッドトナーの皺を固定する最低固定温度(MFT)は、Xerox 700トナーより低く(117℃対123℃)、Xerox Docucolor 2240トナーよりかなり低い(117℃対143℃)。実験室スケールおよびベンチスケールの粒子は、製造スケールの粒子より小さな皺固定MFTを有することがある。
【0079】
210℃のフューザーロールに対し、トナーの加熱時の裏移りは存在せず、これにより幅広い融合自由度を与える。
【0080】
(トナー実施例1および実施例2)
このハイブリッドトナーの印刷光沢は、光沢の設計値に近づき、ベンチスケールのポリエステルトナーおよび皺固定MFTは、製造したポリエステルトナーMFTより低い。両方のハイブリッドトナーは、非常に低い皺固定MFTを有し、光沢曲線は、ポリエステルトナー光沢曲線に近づく。低い融着曲線および小さなスチレンアクリレートラテックス粒子は、ハイブリッド設計の融合性能に顕著な影響を与えなかった。
【0081】
融合結果は、以前のハイブリッド粒子と一致していた。