(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態に係るヒートポンプの構成を示す回路図である。
図2は、ヒートポンプの一部を示す斜視図である。なお、
図1に示す回路図では、説明を簡略化するために、フィルタなどのヒートポンプの構成要素が省略されている。
【0012】
図1はまた、複数のヒートポンプ、具体的には、外気と熱交換を行う1基の室外機12A、12Bと室内空気と熱交換を行う2基の室内機14A、14Bとをそれぞれ有する、2台のヒートポンプ10A、10Bが示されている。
【0013】
ヒートポンプ10A、10Bそれぞれの室外機12A、12Bは、詳細は後述するが、複数のヒートポンプ10A、10Bの室内機14A、14Bとの間で冷媒をやりとりするように構成されている。
【0014】
また、複数の室外機12A、12Bの構成は実質的に同一であって、また複数の室内機14A、14Bの構成も実質的に同一である。そのため、
図1において、室外機12Bは簡略化されている。
【0015】
ヒートポンプ10A、10Bの室外機12A、12Bは、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機16と、外気と熱交換を行う熱交換器18と、四方弁20とを有する。一方、室内機14A、14Bは、室内空気と熱交換を行う熱交換器22を有する。
【0016】
圧縮機16は、例えばガスエンジンなどの駆動源24によって駆動される。本実施の形態の場合、2基の圧縮機16と1基のガスエンジン24とが室外機12A、12Bに搭載されている。
図2に示すように、圧縮機16それぞれは、クラッチ26とベルト28とを介して、ガスエンジン24の出力軸に取り付けられたフライホイール30に連結されている。クラッチ26を介することにより、1つのガスエンジン24によって圧縮機16の少なくとも一方を選択的に駆動することができる。
【0017】
圧縮機16の吐出ポート16aから吐出された高温・高圧のガス状冷媒は、四方弁20によって室外機12A、12Bの熱交換器18または室内機14A、14Bの熱交換器22に向けられる。暖房運転の場合、圧縮機16から吐出されたガス状冷媒は、室内機14A、14Bの熱交換器22に送られる。一方、冷房運転の場合、ガス状冷媒は室外機12A、12Bの熱交換器18に送られる。
【0018】
圧縮機16の吐出経路上、すなわち圧縮機16の吐出ポート16aと四方弁20との間の冷媒経路上には、冷媒に含まれる冷凍機油(オイル)を分離するオイルセパレータ32が設けられている。なお、冷媒から分離されてオイルセパレータ32の底部32aに貯まるオイルは、オイル戻し経路(図示せず)を介して圧縮機16内の摺動部に戻される。
【0019】
暖房運転の場合、圧縮機16から吐出されて四方弁20(実線)を通過した高温・高圧のガス状冷媒は、室内機14A、14Bの熱交換器22で室内空気と熱交換を行う。すなわち、熱交換器22を介して、冷媒から室内空気に熱が移動する。その結果、冷媒は、低温・高圧の液状態にされる。
【0020】
レシーバ36が室外機12A、12Bに設けられている。レシーバ36は、室内機14A、14Bの熱交換器22で室内空気と熱交換を行った後の低温・高圧の液状冷媒を一時的に蓄えるバッファタンクである。室内機14A、14Bの熱交換器22から流出した液状冷媒は、逆止弁34を通過してレシーバ36内に流入する。
【0021】
レシーバ36内の低温・高圧の液状冷媒は、室外機12A、12Bの熱交換器18に送られる。レシーバ36の底部36aと熱交換器18との間の経路には、逆止弁38と膨張弁40とが設けられている。レシーバ36の底部36aから流出した低温・高圧の液状冷媒は、膨張弁40によって膨張され、低温・低圧の液状態(霧状態)にされる。
【0022】
膨張弁40を通過した低温・低圧の液状冷媒は、室外機12A、12Bの熱交換器18で外気と熱交換を行う。すなわち、熱交換器18を介して、外気から冷媒に熱が移動する。その結果、冷房は、低温・低圧のガス状態にされる。
【0023】
室外機12A、12Bの熱交換器18で外気と熱交換を行った後の低温・低圧のガス状冷媒を一時的に蓄えるアキュムレータ42が室外機12A、12Bに設けられている。アキュムレータ42は、圧縮機16の吸入経路(圧縮機16の吸入ポート16bと四方弁20との間の経路)に設けられている。
【0024】
アキュムレータ42内の低温・低圧のガス状冷媒は、圧縮機16内に吸入されて圧縮される。その結果、冷媒は、高温・高圧のガス状態にされ、再び室内機14A、14Bの熱交換器22に向かって送られる。
【0025】
なお、低温・低圧ガス状冷媒がアキュムレータ42に一時的に留まる間に、ガス状冷媒に含まれる少量の液状冷媒が分離する。この液状冷媒は、アキュムレータ42内に貯められる。
【0026】
一方、冷房運転の場合、圧縮機16の吐出ポート16aから吐出された高温・高圧のガス状冷媒は、四方弁20(二点鎖線)を介して、室外機12A、12Bの熱交換器18に移動する。その熱交換器18で外気と熱交換することにより、冷媒は、低温・高圧の液状態にされる。熱交換器18から流出した冷媒は、膨張弁40を通過することにより、低温・低圧の液状態(霧状態)にされる。膨張弁40を通過した冷媒は、逆止弁44、レシーバ36、逆止弁46を順に通過して室内機14A、14Bの熱交換器22に到達する。その熱交換器22で室内空気と熱交換することにより、冷媒は低温・低圧のガス状態にされる。そして、熱交換器22を流出した冷媒は、四方弁20、アキュムレータ42を通過して圧縮機16に戻る。
【0027】
また、冷房効率を向上させるために、ヒートポンプ10A、10Bの室外機12A、12Bは、レシーバ36から逆止弁46に向かう冷媒を冷却するための冷却用熱交換器48を有する。
【0028】
冷却用熱交換器48は、レシーバ36から逆止弁46に向かう液状冷媒と霧状冷媒との間で熱交換が行われるように、すなわち液状冷媒を霧状冷媒で冷却するように構成されている。この霧状冷媒は、冷却用熱交換器48から逆止弁46に向かう液状冷媒の一部を膨張弁50によって霧状にしたものである。この膨張弁50は、冷却用熱交換器48による液状冷媒の冷却を選択的に行うために、開度調整可能な弁である。
【0029】
ヒートポンプ10A、10Bの制御装置(図示せず)が膨張弁50を制御することによって該膨張弁50が少なくとも部分的に開くと、冷却用熱交換器48を通過して逆止弁46を通過する前の液状冷媒の一部が膨張弁50を通過して霧状にされる。膨張弁50によって霧状にされた冷媒は、冷却用熱交換器48内に流入し、レシーバ36から流出して逆止弁46を通過する前の液状冷媒から熱を奪い、それによりガス化する。その結果として、室内機14A、14Bの熱交換器22に、膨張弁50が閉じた状態の時に比べて低温な液状冷媒が流入する。
【0030】
一方、レシーバ36から流出して逆止弁46を通過する前の液状冷媒から熱を奪ったガス状冷媒は、冷却用熱交換器48から圧縮機16に直接戻される。また、このガス冷媒は、アキュムレータ42に貯まる液状冷媒を蒸発させるために使用される。すなわち、開閉弁52が開くことにより、アキュムレータ42内の液状冷媒が、冷却用熱交換器48から圧縮機16に戻るガス状冷媒に混合されてガス化し、圧縮機16に戻される。
【0031】
さらに、ヒートポンプ10A、10Bは、四方弁20から圧縮機16に戻るガス状冷媒に含まれる液状冷媒をガス化するための蒸発補助用熱交換器54を有する。
【0032】
圧縮機16に戻るガス状冷媒に液状冷媒が含まれるか否かを判定するために、四方弁20とアキュムレータ42との間の経路には、冷媒の温度と圧力とを検出する温度センサ56と圧力センサ58とが設けられている。温度センサ56と圧力センサ58は、検出結果に対応する検出信号をヒートポンプ10A、10Bの制御装置(図示せず)に出力する。制御装置は、温度センサ56と圧力センサ58とからの検出信号に基づいて、圧縮機16に戻るガス状冷媒に液状冷媒が含まれるか否かを判定する。すなわち、圧力センサ58によって検出された冷媒の圧力が、温度センサ56によって検出された温度に対応する蒸気圧とほぼ同一であれば、圧縮機16に戻るガス状冷媒に液状冷媒がほとんど含まれていない(液状冷媒は実質的にゼロである)と判定する。
【0033】
蒸発補助用熱交換器54は、レシーバ36から流出して逆止弁38を通過する前の低温・高圧の液状冷媒の一部を利用する。そのために、レシーバ36と蒸発補助用熱交換器54との間には、開度が調節可能な膨張弁60が設けられている。
【0034】
ヒートポンプ10A、10Bの制御装置(図示せず)は、圧縮機16に戻るガス状冷媒に液状冷媒が規定量以上含まれていると判定すると、膨張弁60を制御する。それにより、膨張弁60が少なくとも部分的に開く。
【0035】
膨張弁60が少なくとも部分的に開くと、レシーバ36から流出して逆止弁38を通過する前の低温・高圧の液状冷媒の一部が、膨張弁60を流れ、低温・低圧の霧状にされる。
【0036】
膨張弁60を通過した霧状の冷媒は、蒸発補助用熱交換器54で、例えばガスエンジン24の高温な排気ガスや冷却液などによって加熱される。それにより、膨張弁60を通過して蒸発補助用熱交換器54に流入した霧状の冷媒は、高温・低圧のガス状態にされる。この蒸発補助用熱交換器54で加熱された高温のガス状冷媒は、四方弁20とアキュムレータ42との間の経路に投入される。それにより、四方弁20を通過して圧縮機16に戻るガス状冷媒に含まれる液状冷媒が、蒸発補助用熱交換器54からの高温のガス状冷媒によって加熱されて蒸発する(ガス化する)。その結果として、アキュムレータ42に流入する冷媒は、ほぼガス状態にされる。
【0037】
次に、ヒートポンプが複数台で使用されるときに利用されるヒートポンプの構成要素について説明する。
【0038】
まず、
図1に示すように、ヒートポンプ10A、10Bそれぞれの室内機14A、14Bは、共通冷媒配管62、64に接続されている。また、ヒートポンプ10A、10Bそれぞれの室外機12A、12Bも共通冷媒配管62、64に接続されている。それにより、ヒートポンプ10Aの室外機14Aおよびヒートポンプ10Bの室外機14Bの少なくとも一方が、室内機14A、14Bの少なくとも1つと、共通冷媒配管62、64を介して冷媒のやりとりを行うことができる。
【0039】
例えば、室外機12A、12B(その圧縮機16)の両方が稼動し、少なくとも1つの室内機14A、14Bが稼動する場合がある。なお、室内機14A、14Bそれぞれには、開度が調整可能な膨張弁66が設けられている。この膨張弁66が開くことにより、熱交換器22内に冷媒が流れ、室内機14A、14Bが稼動する。また、その膨張弁66の開度が調整されることにより、室内機14A、14Bの出力が調整される。
【0040】
また例えば、室外機12A、12B(その圧縮機16)のいずれか一方のみが稼動し、少なくとも1つの室内機14A、14Bが稼動する場合がある。具体的には、少なくとも1つの室内機14A、14Bのトータルの出力に対して、室外機12A、12Bのいずれか一方の出力で足りる場合がある。そのような場合、室外機12A、12B(その圧縮機16)のいずれか一方が稼動し、他方が停止する。これは、室外機12A、12Bのガスエンジン24の両方を定格出力に比べて低い出力で駆動する場合に比べて、室外機12A、12Bのガスエンジン24の一方のみを定格出力で駆動して他方を停止させる方が、燃費、エネルギ効率、寿命などに関して優れているからである。
【0041】
ただし、室外機12A、12B(その圧縮機16)のいずれか一方のみが稼動する場合、稼動中の室外機において冷媒が不足する場合がある。これは、室内機14A、14Bの熱交換器22から流出した冷媒が、室外機12A、12Bのいずれか一方の稼動中の室外機よりは停止中の室外機に向かって流れる傾向があるからである。
【0042】
また、室外機12A、12Bのいずれか一方の稼動中の室外機において冷媒が不足すると、それとともに稼動中の室外機の圧縮機16を潤滑するオイルが不足する場合がある。これは、稼動中の室外機の圧縮機16から吐出されてオイルを含んでいる冷媒が、室内機14A、14Bの熱交換器22から流出した後、オイルとともに停止中の室外機に流れるからである。
【0043】
この対処として、本実施の形態のヒートポンプの室外機は、複数台で使用されるとき、停止中の室外機から稼動中の室外機に冷媒およびオイルを供給できるように構成されている。
【0044】
室外機12Bが稼動中であって室外機12Aが停止中の場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明は、符号の添え字「A」、「B」を入れ替えれば、室外機12Aが稼動中であって室外機12Bが停止中の場合にも対応することができる。
【0045】
図1に示すように、室外機12B(その圧縮機16)が稼動しているとき、室外機12Bから流出した冷媒(およびその内部に含まれるオイル)は、共通冷媒配管62を介して、少なくとも1つの室内機14A、14Bの熱交換器22に流入する。熱交換器22で室内空気と熱交換をした後の冷媒の大部分は稼動中の室外機12Bの圧縮機16の吸引によって該室外機12B側に向かって流れるが、一部が停止中の室外機12A側に向かって流れる。そして、その一部の冷媒は、停止中の室外機12A内に留まる。したがって、停止中の室外機12Aから稼動中の室外機12Bに対して冷媒の一部を供給する必要がある。
【0046】
停止中の室外機12Aから稼動中の室外機12Bに冷媒を供給するために、稼動中の室外機12Bと接続するための室外機接続管70を停止中の室外機12Aは有する。
【0047】
停止中の室外機12Aの室外機接続管70は、その圧縮機16の吸入経路と稼動中の室外機12Bとを接続する。本実施の形態の場合、停止中の室外機12Aの室外機接続管70の一端は、圧縮機16の吸入経路の一部である、蒸発補助用熱交換器54と膨張弁60との間の経路部分に接続されている(接続部70a)。一方、その他端近傍には、手動で開閉可能な開閉弁72が設けられている。
【0048】
また、
図2に示すように、停止中の室外機12Aの室外機接続管70の他端には、稼動中の室外機12Bと接続するためのコネクタ74が設けられている。具体的には、停止中の室外機12Aにおける室外機接続管70のコネクタ74は、
図1に示す接続配管76を介して、稼動中の室外機12Bにおける室外機接続管70のコネクタ74に接続される。その結果、停止中の室外機12Aにおける室外機接続管70から接続配管76を介して稼動中の室外機12Bにおける室外機接続管70に向かって冷媒は流れることができる。すなわち、稼動中の室外機12Bにおいて、室外機接続管70は、停止中の室外機12Aから供給された冷媒を圧縮機16の吸入経路に充填するための冷媒充填管として機能する。
【0049】
停止中の室外機12Aにおいて、冷媒の大部分はレシーバ36と熱交換器18とに貯まる。停止中の室外機12Aのレシーバ36内の冷媒を稼動中の室外機12Bに供給するために、レシーバ36と室外機接続管70とを直接的に接続する第1の冷媒供給管78が室外機12Aに設けられている。
【0050】
第1の冷媒供給管78は、レシーバ36の側面36bに接続されている。具体的には、底部36aに対して所定の高さに位置するレシーバ36の側面36bの位置に、第1の冷媒供給管78は接続されている。これにより、停止中の室外機12Aのレシーバ36内に貯えられている冷媒を、第1の冷媒供給管78および室外機接続管70を介して、稼動中の室外機12Bに供給することができる。また、停止中の室外機12Aが将来稼動されたときに備え、規定量の冷媒をレシーバ36内に残すことができる。
【0051】
なお、第1の冷媒供給管78には、開閉弁80と逆止弁82とが設けられている。室外機12A(その圧縮機16)が稼動中であるとき、開閉弁80は閉じた状態である。逆止弁82は、室外機12Aが停止しているとき、第1の冷媒供給管78を介するレシーバ36への冷媒の逆流を防止する。
【0052】
停止中の室外機12Aの熱交換器18内の冷媒を稼動中の室外機12Bに供給するために、第2の冷媒供給管84が室外機12Aに設けられている。
【0053】
第2の冷媒供給管84の一端は、四方弁20と熱交換器18との間の経路に接続されている。具体的には、四方弁20と熱交換器18との間の経路には、圧縮機16の停止中、熱交換器18から圧縮機16の吐出経路(吐出ポート16a)に冷媒が逆流しないように閉じる開閉弁86が設けられている。その開閉弁86と熱交換器18との間に、第2の冷媒供給管84の一端が接続されている。
【0054】
一方、第2の冷媒供給管84の他端は、蒸発補助用熱交換器54と膨張弁60との間の経路に接続されている。
【0055】
これにより、停止中の室外機12Aの熱交換器18内に貯えられた冷媒を、第2の冷媒供給管84および室外機接続管70を介して、稼動中の室外機12Bに供給することができる。
【0056】
なお、第2の冷媒供給管84には、開閉弁88と逆止弁90とが設けられている。室外機12A(その圧縮機16)が稼動中であるとき、開閉弁88は閉じた状態である。逆止弁90は、室外機12Aの停止しているとき、第2の冷媒供給管84を介する熱交換器18への冷媒の逆流を防止する。
【0057】
上述したように、停止中の室外機12Aのレシーバ36内の冷媒の一部と熱交換器18内の冷媒とが、第1および第2の冷媒供給管78、84と室外機接続管70とを介して、稼動中の室外機12Bに供給される。ところが、それでも稼動中の室外機12Bにおいて冷媒が不足する場合がある。
【0058】
この場合、停止中の室外機12Aのレシーバ36からさらに冷媒が稼動中の室外機12Bに供給される。
【0059】
具体的には、暖房運転では、停止中の室外機12Aの開閉弁100を開いて稼働中の室外機12Bの吐出冷媒を引き込みレシーバ36に滞留している冷媒を逆止弁46と第1の冷媒供給管78へ押し出す。逆止弁46に押し出された冷媒は、共通冷媒配管64を経て稼働中の室外機12Bへ流れる。第1の冷媒供給管78へ押し出された冷媒は、開閉弁80および逆止弁82を経由して接続配管76から室外機12Bへ流れる。このとき室外機12Bの膨張弁110の開度を制御して接続配管76から流れ込む冷媒量が調整される。
【0060】
一方、冷房運転では、停止中の室外機12Aの開閉弁88を開いて熱交換器18に滞留している冷媒が、逆止弁88、第2の冷媒供給管84、蒸発補助用熱交換器54、四方弁20および共通配管62を経由して稼働中の室外機12Bに吸引される。
【0061】
停止中の室外機12Aの第1および第2の冷媒供給管78、84を介して(場合によっては第3および第4の冷媒供給管92、98も介して)、室外機12Aから稼動中の室外機12Bに冷媒が供給される。これに加えて、停止中の室外機12Aから、稼動中の室外機12Bの圧縮機16を潤滑するためのオイルが供給される。
【0062】
そのために、オイルセパレータの所定位置から延在して室外機接続管70に接続するオイル供給管104が、室外機12Aに設けられている。
【0063】
一方、オイル供給管104の一端は、圧縮機16の吸入経路に接続する接続部70aと手動開閉弁72との間の室外機接続管70の部分に接続されている(接続部70b)。
【0064】
一方、オイル供給管104の他端は、オイルセパレータ32の底部32aに対して所定の高さに位置するオイルセパレータ32の側面32bの所定位置に接続されている。これにより、停止中の室外機12Aのオイルセパレータ32内に貯えられているオイルを、オイル供給管104および室外機接続管70を介して、稼動中の室外機12Bに供給することができる。また、停止中の室外機12A(その圧縮機16)が将来稼動されたときに備え、規定量のオイルをオイルセパレータ32内に残すことができる。
【0065】
なお、停止中の室外機12Aのオイル供給管104には、開閉弁106と逆止弁108とが設けられている。開閉弁106は、その室外機12Aが稼動中のときは閉じている。逆止弁108は、室外機接続管70からオイルセパレータ32内への冷媒の流入を防止する。
【0066】
ここからは、停止中の室外機12Aから冷媒およびオイルが供給された稼動中の室外機12Bについて説明する。なお、室外機12A、12Bの構成は、上述したように実質的に同一である。そのため、室外機12Bの構成を理解するために、
図1に示す室外機12Aの構成を利用することが可能である。
【0067】
停止中の室外機12Aから供給された冷媒は、稼動中の室外機12Bの室外機接続管70(すなわち冷媒充填管)内に流入する。稼動中の室内機12Bにおいて、第1の冷媒供給管78上の開閉弁80、第2の冷媒供給管84上の開閉弁88、第3の冷媒供給管92上の開閉弁94、第4の冷媒供給管98上の開閉弁100、およびオイル供給管104の開閉弁106は閉じている。したがって、稼動中の室外機12Bの室外機接続管70内に流入した冷媒は、蒸発補助用熱交換器54、アキュムレータ42を順に通過して、圧縮機16の吸入ポート16bに入る。
【0068】
稼動中の室外機12Bの室外機接続管70には、開度が調整可能な膨張弁110が設けられている。膨張弁110は、圧縮機16の吸入経路に接続する接続部70aとオイル供給管104と接続する接続部70bとの間の室外機接続管70の部分に設けられている。停止中の室外機12Aと稼動中の室外機12Bとの間で室外機接続管70を介して冷媒をやりとりするとき、膨張弁110は開いている。
【0069】
停止中の室外機12Aから供給されて稼動中の室外機12B内の室外機接続管70内に流入した冷媒は、膨張弁110によって霧状にされる。膨張弁110によって霧状にされた冷媒は、蒸発補助用熱交換器54によって加熱されてガス化する。その結果、停止中の室外機12Aから供給された冷媒は、ガス状態で稼動中の室外機12Bの圧縮機16内に流入することができる。
【0070】
また、停止中の室外機12Aから供給されたオイルは、同様に室外機12Aから供給された冷媒に同伴し、稼動中の室外機12Bの室外機接続管70(すなわち冷媒充填管)内に流入する。したがって、室外機接続管70(すなわち冷媒充填管)は、冷媒のみならず、オイルを供給するためのオイル供給経路として機能する。
【0071】
稼動中の室外機12Bの室外機接続管70内に流入したオイルは、冷媒とともに圧縮機16内に入り、ガス状冷媒とともに圧縮機16から吐出され、オイルセパレータ32によって回収される。オイルセパレータ32に回収されたオイルは、オイル戻し回路(図示せず)を介して圧縮機16の摺動部に供給される。
【0072】
稼動中の室外機12Bの制御装置は、冷媒が十分でなく不足していると判定した場合、停止中の室外機12Aの制御装置に対して冷媒を要求する信号を送信する。一方、冷媒要求信号を受け取った停止中の室外機12Aの制御装置は、第1の冷媒供給管78上の開閉弁80、第2の冷媒供給管84上の開閉弁88、第3の冷媒供給管92上の開閉弁94、第4の冷媒供給管98上の開閉弁100、およびオイル供給管104の開閉弁106の少なくとも1つを開き、稼動中の室外機12Bに冷媒を供給する。
【0073】
加えて、室外機12A、12Bの室外機接続管70には、冷媒を充填するための冷媒充填用ポート112が設けられている。具体的には、冷媒充填用ポート112は、オイル供給管104に接続する接続部70bと膨張弁110との間の室外機接続管70の部分に設けられている。
【0074】
冷媒充填用ポート112は、例えば複数のヒートポンプ10A、10Bを設置した後に、具体的には、複数の室外機12A、12Bと複数の室内機14A、14Bを設置し、これらを接続した後に、それぞれのヒートポンプ10A、10Bの室外機12A、12Bに冷媒を充填するために使用される。
【0075】
室外機12A、12Bそれぞれに冷媒充填用ポート112を介して冷媒を充填するとき、作業者によって室外機接続管70の手動開閉弁72が閉じられる。また、室外機12A、12Bそれぞれの圧縮機16が稼動した状態で、冷媒充填用ポート112を介して冷媒が充填される。すなわち、冷媒充填用ポート112が設けられた室外機接続管70は、冷媒充填用の経路として機能する。
【0076】
なお、室外機接続管70に手動開閉弁72と冷媒充填用ポート112とが設けられているため、
図2に示すように手動開閉弁72と冷媒充填用ポート112とが近い。その結果、作業者は、手動開閉弁72が閉じられた状態を確認した上で、冷媒充填用ポート112を介して冷媒を室外機12A、12Bに充填することができる。
【0077】
冷媒充填用ポート112を介して室外機接続管70内に充填された冷媒は、膨張弁110によって霧状にされ、蒸発補助用熱交換器54によってガス化される。ガス化された冷媒は、圧縮機16内に流入する。そして、冷媒は、圧縮機16に吐出されて経路全体に充填される。
【0078】
以上、本実施の形態によれば、室外機12A、12Bと室内機14A、14Bとを有するヒートポンプ10A、10Bであって、複数台で使用されるときにヒートポンプ10A、10Bそれぞれの室外機12A、12Bが複数のヒートポンプ10A、10Bの室内機14A、14Bとの間で冷媒をやりとりすることができる構成を備えるとともに、冷媒充填用ポート112を備えるヒートポンプ10A、10Bを提供することができる。
【0079】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限らない。
【0080】
例えば、上述の実施の形態では、2台のヒートポンプ10A、10Bを挙げて本発明を説明したが、本発明は2台のヒートポンプに限定されない。例えば、3台以上のヒートポンプであってもよい。
【0081】
また、上述の実施の形態の場合、ヒートポンプ10A、10Bそれぞれは、1基の室外機12A、12Bと2基の室内機14A、14Bとを有するがこれに限定されない。ヒートポンプの室外機1基に対する室内機は3基以上であってもよい。
【0082】
さらに、上述の実施の形態に係るヒートポンプ10A、10Bそれぞれは、単独で使用されることも可能である。この場合、手動開閉弁72、第1の冷媒供給管78上の開閉弁80、第2の冷媒供給管84上の開閉弁88、第3の冷媒供給管92上の開閉弁94、第4の冷媒供給管98上の開閉弁100、およびオイル供給管104の開閉弁106は閉じた状態で維持される。
【0083】
また、本発明に係るヒートポンプは、上述の実施の形態のヒートポンプ10A、10Bに限らない。本発明に係るヒートポンプは、広義には、室外機を有するヒートポンプであって、室外機が、圧縮機と、圧縮機の吐出経路に設けられたオイルセパレータと、圧縮機の吸入経路と他のヒートポンプの室外機とを接続し、他のヒートポンプの室外機に冷媒を供給するための室外機接続管と、オイルセパレータの所定位置から延在して室外機接続管に接続するオイル供給管と、オイル供給管に設けられた開閉弁と、吸入経路に接続する接続部とオイル供給管に接続する接続部との間の室外機接続管の部分に設けられた膨張弁と、オイル供給管に接続する接続部と膨張弁との間の室外機接続管の部分に設けられた冷媒充填用ポートと、を備えるヒートポンプである。
【0084】
また、本発明に係るヒートポンプは、広義には、室外機を有するヒートポンプであって、室外機が、圧縮機と、圧縮機の吐出経路に設けられたオイルセパレータと、圧縮機の吸入経路と他のヒートポンプの室外機とを接続し、他のヒートポンプの室外機から供給された冷媒を圧縮機の吸入経路に充填するための冷媒充填管と、オイルセパレータの所定位置から延在して冷媒充填管に接続するオイル供給管と、オイル供給管に設けられた開閉弁と、吸入経路に接続する接続部とオイル供給管に接続する接続部との間の冷媒充填管の部分に設けられた膨張弁と、オイル供給管に接続する接続部と膨張弁との間の冷媒充填管の部分に設けられた冷媒充填用ポートと、を備えるヒートポンプである。