特許第6293677号(P6293677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6293677複数の糸の一定の張力及び/又は速度での繊維機械への供給を管理するための簡易化されたシステム及び方法
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  • 特許6293677-複数の糸の一定の張力及び/又は速度での繊維機械への供給を管理するための簡易化されたシステム及び方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293677
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】複数の糸の一定の張力及び/又は速度での繊維機械への供給を管理するための簡易化されたシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   D04B 15/38 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
   D04B15/38
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-555321(P2014-555321)
(86)(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公表番号】特表2015-511999(P2015-511999A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】IB2013000101
(87)【国際公開番号】WO2013114174
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】MI2012A000141
(32)【優先日】2012年2月3日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513122107
【氏名又は名称】ビティエッセエッレ インターナショナル ソチエタ ペル アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100175237
【弁理士】
【氏名又は名称】加納 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(72)【発明者】
【氏名】バレア チツイアノ
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0256983(US,A1)
【文献】 特開2009−173445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 3/00−19/00
D04B 23/00−39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の糸の一定の張力及び/又は速度での丸形ヨコ編み機、織機又は糸繰り機タイプの繊維機械(2)への供給を管理するためのシステムであって、前記複数の糸が、複数の供給装置(1)によって前記繊維機械に供給されるシステムが、前記複数の供給装置(1)に接続され、それらの供給装置の作動を設定するように構成されたインターフェースユニット(3)を備え、前記インターフェースユニット(3)が、前記繊維機械(2)から同期信号を受信し、これらの同期信号に基づいて、製造サイクル又は物品の作業進捗状態又は製造過程の全ての部分を判定し、前記製造サイクルが、物品の異なる部分又は区域に基づいて各段階に分割され、前記インターフェースユニット(3)が、前記段階に基づいて、各供給装置(1)が前記段階の各々に独自の予め定められた張力及び/又は速度でそれぞれの糸を供給及び/又は制御するように、前記個々の供給装置(1)各々に作用し、物品の各部分又は区域の製造に対応する物品製造サイクルの各段階に関し、前記段階が、前記同期信号を用いて前記インターフェースユニット(3)により規定及び判定され、前記インターフェースユニット(3)は、前記供給装置(1)に対して設定されるこれらの値をプログラムするシステムにおいて、供給される糸の特徴各々の値が、製造される製品の個々の部分又は区域各々において、円筒状作動部材の個々の回転各々に関し、及び前記個々の供給装置各々に関し、設定されたデータが、前記供給装置(1)の前記インターフェースユニット(3)により測定された対応する現在の値と、比較されることが予定されるように、前記インターフェースユニット(3)内で表にされていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記インターフェースユニット(3)が、予め設定され前記インターフェースユニット(3)内に記憶されたデータに基づいて、前記複数の供給装置(1)の各々の供給装置(1)の作動を指令及び制御するように構成され、前記指令及び制御が、前記供給装置による糸の供給が前記予め設定され記憶されたデータと一致するように実施されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記インターフェースユニット(3)が、指令及び制御のための、前記全ての個々の供給装置(1)と前記繊維機械との間に介在、前記インターフェースユニットは、プログラム可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記個々の供給装置(1)各々が、以下の方式:
−シリアル通信、
−前記インターフェースユニット(3)により発生されたハードウェア指令を認識するようになっている電気信号、
のうちの一方又は他方により、前記インターフェースユニット(3)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記繊維機械(2)から発生する同期信号が、前記繊維機械の円筒状作動部材が受ける各回転に対応する少なくとも1個の信号を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記繊維機械の円筒状作動部材の各回転に対応する前記信号が、各回転において発生される単一の信号又は個々の回転毎に発生される複数の信号であることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記同期信号が、個々の物品各々に関して製造サイクル終了開始信号も含んでいることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記製造サイクル終了開始信号を発生させるため、
−前記繊維機械の最終製品の排出を制御する製造サイクル終了開始センサー、又は
−前記繊維機械の円筒状作動部材の1回転に対応する信号が発生されない期間の測定、
又は
前記インターフェースユニット(3)による、物品の製造に活動している全ての供給装置(1)による糸の供給の停止の判定、又は
前記繊維機械(2)の円筒状作動部材の各回転に対応する予め定められた数の信号に到達したことの判定、
の選択が可能であることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記インターフェースユニット(3)が、前記複数の供給装置(1)のうちの1個の供給装置の一部を形成していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
複数の糸の一定の張力及び/又は速度での丸形ヨコ編み機、織機又は糸繰り機タイプの繊維機械(2)への供給を管理するための方法であって、前記方法は、請求項1に記載のシステムによって実施され、前記複数の糸が、対応する複数の供給装置(1)によって前記繊維機械に供給される方法において、製造サイクル又は物品の作業進捗状態又は製造過程の個々の段階を判定することであって、前記段階が、前記物品の個々の区域の製造工程に対応する判定と;各供給装置(1)によって供給される糸の少なくとも1つの特徴の特定の設定値を、前記段階の各々と関連付けることであって、特徴が糸の張力及び糸の速度から選択される関連付けと;前記設定値を、前記供給装置が接続されるインターフェースユニット(3)内に記憶させることと;各糸を、記憶させた設定値に従って供給するため、前記インターフェースユニット(3)を、前記供給装置(1)の作動に介入させることを含み、
個々の製造段階が、前記丸形ヨコ編み機(2)の円筒状作動部材の少なくとも各回転を判定することにより判定される方法において、
制御された糸の各特徴の種々の設定値の表化が、前記繊維機械(2)の円筒状部材の各回転に対応する前記繊維機械(2)の個々の作動工程各々に基づいてなされ、前記設定値が、製造される物品の各区域又は部分に関して分類されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記インターフェースユニット(3)が、各供給装置(1)による各糸の繊維機械への供給中に制御される糸の特徴の対応する現実の又は現在の値を測定し、前記現実の又は現在の値が、設定値と比較され、前記現実の又は現在の値と設定値との間に差異が認められた場合には、各供給装置(1)への介入が行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
以下の特徴:
−張力及び/又は供給速度が、プログラムされている、予め決められている又は確認及び許容されたサンプル製品の形成後に定められる;
−完成品の各製造サイクルの終了開始が、判定される;
−前記インターフェースユニット(3)が、指令及び制御タイプのものである、前記全ての供給装置(1)と前記繊維機械との間に介在するインターフェースユニットによって構成され、前記インターフェースユニット(3)は、設定値を、前記個々の供給装置(1)各々との接続を介して前記インターフェースユニットによって得た現実又は現在の値と比較し、前記インターフェースユニット(3)は、設定値と現在の値が互いに異なる時は何時も、前記現在の値を設定値と等しくするよう、前記供給装置(1)各々に介入する;
−制御された糸の特徴が、一連の物品の製造サイクルの少なくとも単一の段階内で変えられ、この変化は、反復的又はランダムに行われる;
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する独立形式の請求項の公知要件事項部に記載した、複数の糸の一定の張力及び/又は速度での繊維機械への供給を管理するための簡易化されたシステム及び方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、非限定的ではあるが、圧縮が累進的なストッキング又は他の物品の製造のための複数の供給装置の一定の張力及び/又は速度での管理に関する。
【背景技術】
【0003】
糸の張力及び/又は速度を基準値としての設定値で一定かつ均一に維持しながら、糸を繊維機械に供給することのできる装置が、当業者に知られている。編み機或いはストッキング又は織物(web)製造機などの繊維機械では、複数の糸が繊維機械に供給され、これらの糸は、これら繊維機械の対応する供給装置によって供給される。
【0004】
多数の物品(例えば、医療用のストッキング、タイツ、テープなど)の製造中、例えば圧縮が累進的なストッキングの場合のように、最終製品において特定の効果を得るために、前記供給装置の(張力及び/又は速度に関する)設定値を変更する必要が、しばしば生じる。
【0005】
そのような物品の製造者は、繊維機械の作動状態に基づいて供給装置の設定値を管理する設備を要することが知られている。特に、ストッキングの各区域、具体的には(上端環状部、脚部、足首、かかと、足部、つま先)又は差異を設けた態様で得られた部分を有する他の物品(例えば、水着、作業服、長さが可変の織物など)に関して、各糸に関する供給の張力及び/又は速度並びに供給装置が、種々の物品の作業区域が変わる際に、ある設定値から他の設定値に移行しなければならないモード(速度)を規定することが要求される。
【0006】
張力が一定の供給装置の場合と速度が一定の供給装置の場合の両方に有効な、この問題に対する2つの実行可能な解決策が、現在知られている。この理由で、以下の例は、張力が一定の供給装置を引き合いに出しているが、速度が一定の供給装置の場合にも当て嵌まる。
【0007】
第1の公知の解決策では、多くの供給装置が、設定張力(小さな直径や中くらいの直径の丸形ヨコ編み機の場合には、「目盛り」の語が用いられる)の変更を管理する1以上のデジタル入力手段を備えている。この場合、オペレーターは、通常は繊維機械内に存在し自由にプログラムすることができる、供給装置の入力手段と接続される1以上のデジタル出力手段を用いる。オペレーターは、機械作動プログラム(小さな直径や中くらいの直径の丸形ヨコ編み機の場合には、マシン「チェーン」の語が用いられる)内の各供給装置の設定値を変更するのに、デジタル信号を用いる。
【0008】
しかしながら、この公知の解決策には、非常に多くの限界がある。特に、「時代遅れの」繊維機械は、必ずしもデジタル出力手段を備えているとは限らないので、機械毎に異なる配線を使用しなくてはならないことを含め、既に市場に出ている繊維機械に関して「レトロフィット(旧型装置への新技術の導入)」の問題を生じさせる。
【0009】
更に、前記公知の解決策は、オペレーターが、各供給装置の設定値を独立にプログラムできるようにするため、繊維機械と連携する各供給装置に関して、繊維機械からの少なくとも1つのデジタル出力手段を使用しており、そのため、この解決策は、多数のプログラム可能な機械の出力手段を要するが、多数のプログラム可能な出力手段は、必ずしも利用可能とは限らない。
【0010】
加えて、この公知の技術は、最終製品に何らかの変更を加えるには、マシン「チェーン」に、したがって機械のプログラムに介入することを、オペレーターに、強いるものである。このことは、この解決策が、供給装置が接続された繊維機械の作動に精通している人の介入を必要とすることを意味している。
【0011】
また、供給装置の指令信号は、正確な介入時間を満たさなければならない。例えば、電磁気による障害が、指令信号として解釈されるのを防止するため、供給装置には、通常「跳ね返り防止(anti−rebound)」システムが備わっている。しかしながら、これは、チェーンプログラムが通常、時間ベースで取り扱われるのではなく、空間的に(即ち、シリンダの回転数及び各回転の角度分割、したがって、回転数/角度に基づいて)取り扱われることと対照をなす。そのため、指令信号の継続時間は、公知の空間−時間関係に従って、指令信号がプログラムされた物理的位置(回転数/角度)だけでなく、その正確な瞬間において繊維機械が作動している速度にもリンクしていることが明らかである。したがって、これはオペレーターにとって、困難であり、繊維機械の製造速度によって影響されないチェーンプログラムを作成するのに、多くの経験を必要とする。この速度は、実際には、オペレーターによって製造要件及び製造段階に基づいて変えられるのが普通であり、例えば、繊維機械が温まっている間は、繊維機械の速度は、より低いのが普通である。
【0012】
もう一つの解決策は、多くの供給装置が、代わりに、通常はマイクロプロセッサー型の繊維機械制御ユニットと連動するシリアル通信手段を有し、この繊維機械制御ユニットにより設定値をプログラムすることができることに基づくものである。この解決策は、先の解決策よりも断然適応性があるのは明らかであるが、この解決策にもなお、以下の限界がある。
【0013】
−繊維機械は、前記供給装置のシリアル管理用に予め準備されていなければはならない。そのため、この解決策は、市場に出ている全ての種類の機械に、特に古い機械に応用する場合に、必ずしも適用できるわけではない。
【0014】
−この解決策は、糸供給装置の製造者に、種々の繊維機械製作者と協働することを強いるものである。各糸供給装置は、その装置の特定の通信プロトコールを有するとともに、繊維機械制御ユニットの必要な通信基準に応じることが明らかだからである。
【0015】
最後に、供給装置に対して、例えばシステムの精度を高めることにより、改善がなされたとしても、供給装置管理ソフトウェアを変更するよう、これらの繊維機械の製作者の介入を依頼することなしには、既に稼働している繊維機械に、この機能を利用することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、複数の糸の一定の張力及び/又は速度での繊維機械への供給を管理するための改良されたシステム及び方法を提供することである。
【0017】
特に、本発明の目的は、プログラミングと繊維機械との連携の両方の点で、各供給装置を容易に管理できるようにする上記のタイプのシステムを提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、種々のリソースの使用、より正確には繊維機械のプログラム可能な出力手段の使用を必要とせずに、適応性のある管理(即ち、各供給装置に関して異なるプログラミング)をすることのできる上記のタイプのシステムを提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、あらゆる繊維機械に関して供給装置を管理することが、たとえ繊維機械がこのために準備されていなくても、できるようにする上記のタイプのシステムと方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、機械作動プログラム、すなわち「プログラムチェーン」を、オペレーターにとって簡単で直感的に分かる態様で、オペレーターが、機械作動プログラム、すなわち「プログラムチェーン」の最終製品に対する効果だけを除いて、機械作動プログラム、すなわち「プログラムチェーン」の供給装置に対する介入の仕方を気にかける必要なしに、生じさせることのできる上記のタイプの方法を提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、供給装置の製造者が、供給装置が使用される繊維機械に影響されない設計を提供できるようにする上記のタイプのシステムを提供することであり、そのため、繊維機械による1個又は2個の同期信号の発生以外に、繊維機械の内部の事前準備が必要でないため、既に稼働しているか否かにかかわらず、繊維機械との適合性の難しさを何ら気にかける必要なしに、供給装置の製造者が、製品又は製品群である供給装置又は供給装置群を開発し改良し続けることができるようにすることである。
【0022】
本発明の更なる目的は、オペレーターにとって簡単な態様で、「ファンシー効果」を有する物品を作れるようにする上記のタイプのシステム及び方法を提供することであり、「ファンシー効果」の語は、(設定値の意味で)作業張力が(緻密な規則に従って、例えば2.0→2.5→1.5→2.5→2.0の順で、又はランダムに)反復的に変化する作業における(反復的な又はランダムな)区域を意味する。
【0023】
本発明の更に別の目的は、あらゆる製造元、型又は製造年のあらゆる繊維機械に使用できるように標準化することのできる上記のタイプのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
これらの目的、及び当業者には明らかになるであろう、その他の目的は、複数の糸の一定の張力及び/又は速度での丸形ヨコ編み機、織機又は糸繰り機タイプの繊維機械への供給を管理するためのシステムであって、前記複数の糸が、複数の供給装置によって前記繊維機械に供給されるシステムが、前記複数の供給装置に接続され、それらの供給装置の作動を設定するように構成されたインターフェースユニットを備え、前記インターフェースユニットが、前記繊維機械から同期信号を受信し、これらの同期信号に基づいて、製造サイクル又は物品の作業進捗状態又は製造過程の全ての部分を判定し、前記製造サイクルが、物品の異なる部分又は区域に基づいて各段階に分割され、前記インターフェースユニットが、前記段階に基づいて、各供給装置が前記段階の各々に独自の予め定められた張力及び/又は速度でそれぞれの糸を供給及び/又は制御するように、前記個々の供給装置の各々に作用し、物品の各部分又は区域の製造に対応する物品製造サイクルの各段階に関し、前記段階が、前記同期信号を用いて前記インターフェースユニットにより規定及び判定され、前記インターフェースユニットは、前記供給装置に対して設定されるこれらの値をプログラムするシステムにおいて、供給される糸の特徴の各々の値が、製造される製品の個々の部分又は区域の各々において、円筒状作動部材の個々の回転の各々に関し、及び前記個々の供給装置の各々に関し、設定されたデータが、前記供給装置の前記インターフェースユニットにより測定された対応する現在の値と、比較されることが予定されるように、前記インターフェースユニット内で表にされていることを特徴とするシステムにより達成される。
上述した目的、及び当業者には明らかになるであろう、その他の目的は、複数の糸の一定の張力及び/又は速度での丸形ヨコ編み機、織機又は糸繰り機タイプの繊維機械への供給を管理するための方法であって、前記方法は、前記システムによって実施され、前記複数の糸が、対応する複数の供給装置によって前記繊維機械に供給される方法において、製造サイクル又は物品の作業進捗状態又は製造過程の個々の段階を判定することであって、前記段階が、前記物品の個々の区域の製造工程に対応する判定と;各供給装置によって供給される糸の少なくとも1つの特徴の特定の設定値を、前記段階の各々と関連付けることであって、特徴が糸の張力及び糸の速度から選択される関連付けと;前記設定値を、前記供給装置が接続されるインターフェースユニット内に記憶させることと;各糸を、記憶させた設定値に従って供給するため、前記インターフェースユニットを、前記供給装置の作動に介入させることを含み、個々の製造段階が、前記丸形ヨコ編み機の円筒状作動部材の少なくとも各回転を判定することにより判定される方法において、制御された糸の各特徴の種々の設定値の表化が、前記繊維機械の円筒状部材の各回転に対応する前記繊維機械の個々の作動工程の各々に基づいてなされ、前記設定値が、製造される物品の各区域又は部分に関して分類されることを特徴とする方法により達成される。
【0025】
本発明は、非限定的な例示として提示された添付の図面から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に従って得られるシステムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
前記の図面を参照すると、この図面は、糸(図示せず)を繊維機械2に供給するための種々の供給装置1を示しており、これらの供給装置は、本発明のシステムがどのようにして異なる糸供給装置1をカバーできるかを示すため、互いに異なるものとして具体的に示されている。
【0028】
糸供給装置1は全て、マイクロプロセッサータイプのものであるのが好ましいインターフェースユニット3に、接続されている。このインターフェースユニットは、ディスプレー及び/又はキーボード5を有することにより、オペレーターが、インターフェースユニット3のための、したがって本発明のシステムのための作動モード(即ち、このシステムのための「作動プログラム」)を挿入又は選択し、ディスプレーを用いて、これらの作動モードに関する及び/又は本発明のシステムの作動に関する情報を利用してもよい。ディスプレー及び/又はキーボード5は、接続線10を介して、インターフェースユニット3に接続されている。改良された実施の形態では、インターフェースユニット3はまた、各供給装置1の作動を指令し、制御する。
【0029】
インターフェースユニット3は、一定の張力及び/又は速度で糸を供給するための供給装置1の設定値を管理・変更するように構成されている。説明したように、これらの供給装置は、同じ種類のものでもよく、互いに異なる種類のものでもよい。前記供給装置の管理及びプログラミングは、インターフェースユニット3に接続するシリアル回線4を介して行われ、したがって、システムの配線を簡単にすることにより、システムの配線コストを低減するのが好ましい。特に、供給装置1の数が非常に多い時(例えば、中くらいの直径及び大きな直径の丸形ヨコ編み機の場合など)に、好ましい。
【0030】
本発明(方法及びシステム)は、ほぼ全ての織物プロセスにおいて、特に小さい直径及び中くらいの直径の丸形ヨコ編み機に関して、製造プロセスは、一連の反復サイクルに分割することができ、1サイクルは、単品(例えば、ストッキング)の製造に相当することに基づいている。このことから、インターフェースユニットは、電気的又はシリアルな接続線7及び8を介して、繊維機械2から、ZPX及びPRXにより特定されるたった2個の同期信号、即ち、それぞれサイクル終了/作業開始信号及びシリンダが一回転したことに関する信号だけを、受信することにより作動し、こうして、これらの同期信号により、絶対的で確実な態様で、常に繊維機械の作業の進捗状態を確認できるようにしている。
【0031】
このようにして作動する繊維機械(例えば、小さい直径及び中くらいの直径の丸形ヨコ編み機)に関する前記ZPX及びPRX信号を得ることは、非常に簡単である。それらの信号は、たとえ、繊維機械が、それらの制作段階中に既に前記信号を発生させるように設定されていなくても、得ることが可能である。実際、PRX信号は、繊維機械のシリンダの又は何らかの他の回転部材の回転数を測定する簡単な近接センサーにより、発生させることができ、ZPX信号は、代わりに、この種の繊維機械に必ず備わっており、完成品又は最終製品の排出を制御するセンサーにより発生させることができ、又はプログラムチェーン(即ち、機械作動プログラム)により発生させることができ、公知の種類の繊維機械(図示せず)のための制御ユニットの2個のプログラム可能な出力手段(やはり図示せず)を用いることにより、インターフェースユニット3に送ることができる。
【0032】
インターフェースユニット3は、更に別のポート及び(電気的又はシリアルな)接続線10を介して、製造品に関連する「作動プログラム」に関するデータ、即ち、前記製造品の個々の部分各々の製造モードに関するデータ、インターフェースユニット内にある記憶装置に保存されるべきデータを受信する。この点で、説明したように、この製造品では、複数個の部分又は区域が、異なる糸又は同じ糸を、異なる張力及び/又は速度で繊維機械に供給して、これらの部分自体に特有で、隣接する製造区域の特徴とは異なる特徴(例えば、強さ又は目の詰み方又は外観)を有する区域となるようにすることができる。
【0033】
前記データ又は作動プログラムをロードすることにより、インターフェースユニット3は、製造している物品、その物品の製造段階及びその物品の製造に使用される糸の関数である特定の属性(modality)となるように、個々の供給装置1各々の作動を取得し、設定することが(場合により、制御することも)できる。このローディングは、例えば、インターフェースユニット3に接続されたパソコンにより、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)キー、SDI(シリアル・デジタル・インターフェース)カード、イーサネット接続、ワイ・ファイ接続又は同様の装置を用いて行われる(図面におけるブロック11により実例として例示されている)。
【0034】
「作動プログラム」は、以下の種類の表を含んでいる。
【0035】
【表1】
【0036】
上掲の表において、「工程」の語は、作業サイクルの進捗状態(例えば、繊維機械2によって受信されるPRXパルスの又はシリンダの回転の累進数)を表し、各工程について、各供給装置(装置番号n)に関する欄が設けられており、この欄においては、特定の供給装置について、特定の製造段階に関する基準張力及び/又は速度SP(x、y)が記憶されている。明らかに、この表は、製造中の物品の異なる製造段階、即ち、(シリンダの各回転に正確にリンクした)製造中の物品の個々の部分各々の製造に対応する製造中の物品に関する工程と同数の行からなっている。
【0037】
この「作動プログラム」は、オペレーターによって設定され、例えば、物品の個々の製造サイクルを、物品の異なる作業区域(例えば、ストッキングに関しては:上端環状部、脚部、足首、かかと、足部、つま先)に細分することと、各作業区域に対して、単に区域の構成工程の数、例えば30、を規定すること、この区分に基づいて、各細区分に対して、初期供給張力及び/又は速度、最終張力及び/又は速度、場合により、変化をさせなければならない工程の数(例えば:2.0グラムに等しい供給装置1の初期張力、3.0グラムに等しい最終張力が、5つの工程で達成されなければならない)を規定することを含んでいる。作業張力も、物品に対するファンシー効果を得るため、作業区域内で又は単一の工程内でさえも、反復的に変化させることができる。この作業区域は、一連の製造される物品において反復的又はランダムでよい。
【0038】
そのため、インターフェースユニット3は、特定の表に従い、各区域に関して各供給装置1に作動データを提供する。
【0039】
ストッキングの上端環状部(区域)の製造に関する例が、以下の表に提示されている。
【0040】
【表2】
【0041】
そのため、本発明により、オペレーターにとって、複数の供給装置のうちの個々の供給装置1各々の管理が、極めて簡単である。実際、管理する供給装置の最大限可能な精度(即ち最小限のプログラム可能な張力)を利用することにより、ある張力及び/又は速度から他の張力及び/又は速度への移行を実行するのは、インターフェースユニット3の「作動プログラム」である。上記説明のように作動するインターフェースユニット3を用いることにより、オペレーターにとって、物品の規定段階中に、最終結果に介入し変更することも非常に簡単になる。
【0042】
その結果、インターフェースユニット3は、個々の物品各々を得るための作動モードを、物品の個々の区域各々のための一連の製造工程に細分することからなる方法に従って作動し、前記製造工程は、シリンダの各回転に対応する信号によって確認される。この細分割により、個々の工程各々及び個々の供給装置1各々に関し、インターフェースユニット3は、この供給装置の作動、この供給装置の糸への介入の仕方(即ち、供給装置の供給張力及び/又は速度の定義)を設定する(好ましくは、管理もする)。インターフェースユニット3は、物品の個々の部分各々において、即ち、物品の個々の区域各々の各部分において、物品の製造を制御することもできる。この場合、インターフェースユニット3は、個々の製品区域各々の個々の部分各々に関して選択された、予め定められた又はプログラムされた又は確認され許容された最初のサンプルの後に定められた(即ち、概括的な語では「設定された」)値に対応する値において制御される糸の特徴(張力及び/又は速度)を維持するため、個々の供給装置1各々に介入する。測定値と設定値が、一致しない場合には、インターフェースユニット3は、個々の供給装置に介入して、それらの値を一致させることができる。
【0043】
以上から、インターフェースユニット3は、各作業区域に関する表になったデータに対応するモードで作動し、受信したPRX及びZPXパルスの分析により繊維機械の作動状態を知ることにより、作業の進捗状態に基づいて、各供給装置の設定値を変更することができることが明らかであり、実際、接続された供給装置1各々に関し、制御ユニット3は、それ自体を、PRXパルスを受信する毎に、その供給装置の設定値を変更することに、単に専念すればよい。
【0044】
「作動プログラム」は、接続された供給装置1の種類及び繊維機械2とは関係なく、インターフェースユニット3において設定されたデータの結果なので、インターフェースユニット3の作動データは、供給装置1の各々の種類に基づき又は場合により接続された供給装置のハードウェア/ソフトウェアのバージョンに基づき、異なって設定することができ、そのため、糸供給装置の製造者が、彼自身の製品である糸供給装置が接続される特定の繊維機械との適合性、又は繊維機械に接続される他の供給装置との適合性を維持する必要性と関係なく、自己の製品を開発し続けることができるようになっていることが、明らかである。
【0045】
本発明の特定の実施の形態を説明してきたが、これまで説明した実施の形態に以下の変更を加えることができる。
【0046】
変更した実施の形態では、シリアル回線4を介するのではなく、ある供給装置における技術水準により提供されているような、制御及びインターフェースユニットからの一連のハードウェア抜け出しコマンド(INC、DEC又は他のコマンド)により、制御及びインターフェースユニット3によって個々の供給装置1を管理することができる。
【0047】
他の変更した実施の形態によれば、ZPX信号は送られず、インターフェースユニット3は、タイムアウトにより、即ち、PRX信号が発生されない時間間隔を測定することにより、サイクル(n)からサイクル(n+1)への移行を認識する。
【0048】
こうする代わりに、インターフェースユニットは、この移行を、供給装置1が供給段階にない時間間隔として、検知する。ZPX信号が存在しない場合には、インターフェースユニット3は、PRX信号のN回パルス毎にサイクル(n)からサイクル(n+1)への移行を認識することもできる。この解決策は、サイクルの長さが、例えば1524PRXに等しく、予め定められている直径の大きい丸形ヨコ編み機又は連続操業機械(例えば、テープ製造織機など)に関して都合よく利用することができる。
【0049】
更に別の変更した実施の形態によれば、PRX信号は、回転毎のパルスとしてではなく、(例えば、インターフェースユニット3を、繊維機械と通常連携するエンコーダーに接続することにより)1回転あたりの幾つかのパルスとして取り出すことができる。この場合、作業張力(及び/又は速度)プログラミングの面での精度は、断然大きい。
【0050】
更に、好ましくは、各工程に関する各供給装置に対応する表は、糸供給張力及び/又は速度だけでなく、破損した糸を認識する機能などの特別な機能の起動も含むことができる。そのため、この場合には、破損した糸の認識機能は、供給装置1の作業区域において、インターフェースユニット3により自動的に有効又は無効にされることにより、糸の不存在又は破損或いは望ましくない区域での糸の使用を認識する。
【0051】
「作動プログラム」は、空き容量(メモリの占有)の面から見て、例えば各供給装置に関する状態の変化のみを表中に示すことにより、最適化することができる。
【0052】
更に代わりの実施の形態では、作業の進捗状態に基づく張力設定を示す表を、各供給装置1のメモリに入れることができ、PRX及びZP同期信号を、供給装置1に、直接又はインターフェースユニット3を経由して達するようにすることができる。



【0053】
別の変更した実施の形態では、ディスプレー及び/又はキーボード5は、制御ユニット3として作動し、供給装置1並びに同期信号ZPX及びPRXと直接連携する。
【0054】
本発明の更に別の変更した実施の形態では、ディスプレー及び/又はキーボード5は、制御ユニット3の外部にあるか又は実際に存在しない。
【0055】
最後に、更に別の変更した実施の形態によれば、複数の供給装置のうちの第1の供給装置が、制御ユニット3を備え、前記複数の供給装置のうちの別の供給装置1が、前記第1の供給装置1の設定を受信する。制御ユニット3が、各供給装置の作動も制御するモードでは、制御ユニット3が前記第1の供給装置1に含まれている場合には、この第1の供給装置1が、繊維機械に搭載された全ての他の供給装置の作動を指令し制御する。
【0056】
これらの変更した実施の形態も、以下の請求項の範囲に含まれると考えられるべきである。
図1