【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの問題を解消し、驚くべき素晴らしい特徴を提供するために、同一平面に設けられた幾つかのドアハンドルが、乗物に格納可能に設けられている。これは、ハンドルが2つの状態−ハンドルがドア表面に面一になってしまい込まれた状態又は格納状態と、ハンドルが容易に握られるように周囲の車体から真っ直ぐに堂々と立ち上がった展開又は伸出状態−の間を動くことができることを意味する。格納状態と展開状態との間のハンドルの移動は、自動化された機構によって行われる。
【0008】
展開状態で、ハンドルを引いてドアを開けることができる。この場合、典型的には、ばね力に抗して展開ハンドルをピボット回転させることで、ハンドルを第3の動作位置に移動してドアを開ける。展開状態から動作状態に移動する際、例えばドアのラッチに作用しているボーデンケーブルを引くことで、または、例えばドアのラッチに作用しているソレノイドを切り替えることで、ハンドルがドアを機械的に開ける。
【0009】
上述のこの種の格納可能なドアハンドルの問題は、ドアハンドルを展開状態から格納状態にしまい込むとために自動化された機構を使用する場合に起こる。この場合、ユーザがハンドルを収める際にそれを保持していると、ユーザの指がハンドルと周囲のドア面との間に挟まるという危険がある。
【0010】
また、上述の種類の格納可能なドアハンドルは、ユーザが雑に扱うと壊れ易い。そのような故障は、ユーザが無理に展開状態から格納状態にドアハンドルを動かそうとして機構に損傷を与える程の力を加えたときに起こる。
【0011】
さらに、格納可能なハンドル構造に係る別の問題は、直感的で且つ使用が容易な方法でドアをロック及びアンロックするための手段等の機能性をユーザに提供することである。
【0012】
本発明は、改善された格納可能なハンドル構造を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の複数の形態は、特許請求の範囲に記載されているように、ハンドル構造、本体コンポーネント、方法、乗物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの形態では、格納可能なハンドル構造が提供されており、このハンドル構造は、
パネル内に面一に設けられるように構成されて配置されるとともに、収納状態と展開状態との間を移動可能なハンドルと、
モータと、
前記モータが第1の方向に駆動されたときに、前記ハンドルを前記収納状態から展開状態に動作するために前記モータを前記ハンドルに連結するように構成されたトランスミッション装置とを有し、
前記ハンドルを展開する少なくとも初期段階で、前記ハンドル構造が、前記ハンドルを展開するために、予め決められた力よりも大きな力を与えるように構成されている。
【0015】
格納可能なドアハンドルについて、ユーザがハンドルを握ってドアを開ける前に該ハンドルが展開状態になっていなければならないという課題があることを、出願人は認識している。湿潤な凍結状況では、ドアのハンドル構造に氷結することがある。自動化された機構によってハンドルが展開される装置では、氷によってハンドルの展開が妨げられ、ドアのハンドルに付いた氷を取り除くまでドアを開くことができず、それは不便で時間を要することである。したがって、出願人は、ハンドルが動くためには、少なくとも初期展開段階に必要な力は予め決められたレベルよりも大きく、すなわち、ハンドルと周辺部品との間に貯まった氷を砕くために必要なレベル以上である、ことがドアハンドル構造にとって必要であると認識している。
【0016】
本発明の他の形態では、別の格納可能なハンドル構造が提供されており、それは、パネル内に面一に設けられるように構成されて配置されるとともに、収納状態と展開状態との間を移動可能なハンドルと、
モータと、
前記モータが第1の方向に駆動されたときに、前記ハンドルを前記収納状態から展開状態に動作するために前記モータを前記ハンドルに連結するとともに、前記ハンドルが前記収納状態から前記展開状態に移動する際に、前記ハンドルに作用する力と前記ハンドルが展開される速度の少なくともいずれか一方を変調するように構成されたトランスミッション手段とを有する。
【0017】
したがって、本発明は、前記ハンドルに作用する力の制御と前記ハンドルが展開される速度が前記トランスミッション装置の構成によって制御され、モータの可変制御を必要としない、格納可能なハンドル構造を提供する。
【0018】
1つの実施例では、第1展開段階ではそれに続く第2展開段階よりも大きな力が作用するように前記トランスミッション手段が構成されている。
【0019】
そのために、前記ハンドルに作用する初期の力は、前記ハンドルに付いた氷を砕くために十分な程度に選択され、前記ハンドルが前記収納状態から移動されると前記力が減少する。
【0020】
有利には、前記トランスミッション装置は、ハンドルの移動速度が、第2展開段階では第1展開段階よりも大きくなるように構成される。したがって、ハンドルの展開時間は、ハンドルが展開状態に達するまでに長時間ユーザが待機する必要がないように、最適化できる。
【0021】
トランスミッション手段は、第3展開段階に、前記ハンドルが展開状態で徐々に停止するように構成される。そのため、前記ハンドルは、洗練されてエレガントに見えるように徐々に停止できる。
【0022】
1つの実施例では、使用時、前記ハンドルが前記収納状態から前記展開状態に移動する間、前記モータが一定速度で駆動される。
【0023】
1つの実施例では、前記ハンドルは操作部材を有し、
前記トランスミッション手段は、
前記モータの出力軸に設けられたウォームギヤと、
1つの軸の周りを回転可能な前記ウォームギヤにかみ合うように配置されたギヤホイールと、
前記ギヤホイールと同軸に設けられた偏心カムと、
前記カムに当接して摩擦係合する第1端部と前記操作部材に当接して摩擦係合する第2端部とを備えており、前記第1端部と前記第2端部との間に配置された軸の周りを回転するロッカーアームとを備えている。
前記カムは、偏心カムであってもよい。
【0024】
他の実施例では、前記ハンドルは操作部材を有し、
前記トランスミッション手段は、
前記ギヤホイールと同軸に設けられたカムと、
前記カムに当接して摩擦係合する第1端部と前記操作部材に当接して摩擦係合する第2端部とを備えており、前記第1端部と前記第2端部との間に配置された軸の周りを回転するロッカーアームとを備えている。前記カムは、偏心カムであってもよい。
【0025】
幾つかの実施例では、前記カムの形状又は外形若しくはそれらの両方は、前記ハンドルが所定のサイクルで展開される力又は速度若しくはそれらの両方を特徴づけるように構成又は配置若しくは構成配置されている。前記カムは、偏心カムであってもよい。
【0026】
随意に、前記ハンドルを展開する力と速度がそれぞれ独立して調整又は制御される。
【0027】
随意に、前記ハンドルは操作部材を有し、
前記トランスミッション手段が、
前記モータの出力シャフトに設けられたギヤと、
軸の周りを回転可能な前記ウォームギヤにかみ合うように配置されたギヤホイールとを有する。随意に、前記ギヤはウォームギヤである。
【0028】
1つの実施例では、前記ハンドルは軸の周りを回転可能であり、前記ハンドルが前記収納状態から前記展開状態に移動する際に前記ハンドルは前記軸の周りを回転する。
【0029】
1つの実施例では、前記格納可能なハンドル構造は、前記ハンドルを前記収納状態に付勢するように配置された伸縮ばねを有する。
【0030】
本発明の他の形態によれば、格納可能なハンドル構造の前記ハンドルを収容する開口を備えた外面を有するパネルを備えた、乗物用本体コンポーネントであって、前記開口が前記ハンドルをぴったりと収容し、前記ハンドルの外面は前記ハンドルが収納状態にあるとき前記外側パネルに一致して該外側パネルに面一になるように形作られている、乗物用本体コンポーネントが提供される。
【0031】
幾つかの実施例では、前記ハンドルが回転する中心の前記軸は、前記ハンドルの第1の部分が前記パネルの内側に回転し前記ハンドルの前記第2の部分が前記パネルの外側に回転するように構成されている。
【0032】
随意に、前記ハンドルは、前記第2の部分にアクセスするように、前記第1の部分に係合することにより手動で操作可能である。
【0033】
前記ハンドルと前記開口の間に柔軟なシール部材を設けてもよい。
【0034】
本発明の別の形態によれば、モータをハンドルに連結するように構成されたトランスミッション手段を介して収納状態と展開状態との間で移動可能なハンドルを有し、前記モータが第1の方向に駆動されたとき、前記ハンドルを前記収納状態から前記展開状態に移動する、モータ駆動の格納可能なハンドル構造を展開する方法であって、第1展開段階ではそれに続く第2展開段階よりも大きな力を前記ハンドルに加える方法が提供される。
【0035】
有利に、前記方法では、第3展開段階中、前記ハンドルを展開状態で次第に停止させる。
【0036】
本発明の他の形態によれば、パネル内部に面一に設けられるように構成されて配置され、収納状態と展開状態との間を移動可能で、展開位置に維持することができるように構成されたハンドルを有し、
前記ハンドルは、前記ハンドルを引くために背後にユーザが指を掛けることができる細長い部材を有し、
前記ハンドルはまた、前記細長い部材の上部から延びるトップカバー部を有し、
前記カバー部は、前記ハンドルが前記展開状態にあるとき、前記ハンドルと前記パネルとの間の隙間を閉じるように配置されており、
前記ハンドルはさらに、展開状態で、前記パネルから展開された使用中の前記細長い部材の端部の少なくとも一部を覆うように構成されたエンドカバー部を有する、格納可能なハンドル構造が提供される。
【0037】
好ましくは、前記カバー部は、トップカバー部で、実質的に前記細長い部材の上部から延びている。
【0038】
前記ハンドルが展開状態に置かれている場合、上述のように、有利に、前記カバーが、物(例えば、衣服、鞄のストラップ)がハンドルに引っ掛からないようにする。また、ユーザが下手でハンドルを握ったとき、エンドカバー部はユーザの指がハンドルの端から滑って外れるのを防止する。前記トップカバー部とエンドカバー部は連続してカバー部を形成してもよい。エンド部は、前記細長い部材の全長に亘って延びていてもよい。前記細無い部材の端部は曲がっていてもよい。
【0039】
本件出願の範囲内で、以上に、特許請求の範囲に、及び/又は以下の説明、及び図面に記載された種々の形態、実施例、例示、及び変形、またそれらの特徴は、それぞれが独立していてもよいし、その他のものと任意に組み合わせてもよい。例えば、1つの実施例について説明した特徴は、その特徴が互換性が無い場合を除いて、他の実施例にも適用可能である。