特許第6293708号(P6293708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6293708ドア又は同様のもののための格納可能なハンドル構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293708
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】ドア又は同様のもののための格納可能なハンドル構造
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20180305BHJP
   E05B 5/00 20060101ALI20180305BHJP
   E05B 5/02 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   E05B85/16 D
   E05B5/00 Z
   E05B5/02 Z
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-142261(P2015-142261)
(22)【出願日】2015年7月16日
(62)【分割の表示】特願2014-516360(P2014-516360)の分割
【原出願日】2012年6月21日
(65)【公開番号】特開2015-206259(P2015-206259A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2015年8月13日
(31)【優先権主張番号】1110487.4
(32)【優先日】2011年6月21日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・スマート
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−138189(JP,A)
【文献】 実公昭41−015997(JP,Y1)
【文献】 特表2014−522926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 85/16
E05B 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納可能なハンドル構造であって、
パネル内に面一に設けられるように構成され、収納状態と展開状態との間を移動可能であり、アンロックボタンを有するハンドルと、
モータと、
前記モータが第1の方向に駆動されたときに、前記ハンドルを収納状態から展開状態に移動させるために前記モータを前記ハンドルに連結するように構成されたトランスミッション装置とを有し、
前記ハンドルは、回転軸の回りに回転可能で、第1および第2の端部を含む細長い部材を有し、前記ハンドルを収納状態から展開状態に移動させるとき、前記ハンドルがピボット前記回転軸の周りを回転するように構成され、
前記ハンドルは、前記ハンドルの内側面から突出する作動部材を有し、
前記ハンドル構造は、ユーザが前記アンロックボタンを押したことに呼応して、前記モータが駆動され、前記作動部材に力を加えて前記ハンドルを前記回転軸の回りに回転させて、前記ハンドルを収納状態から展開状態に移動させるために前記モータが駆動されるように構成されている、ハンドル構造。
【請求項2】
前記回転軸は、前記ハンドルの前記第1の端部に隣接して配置されている、請求項1に記載の格納可能なハンドル構造。
【請求項3】
前記作動部材は、前記ハンドルの長手方向沿って、前記第1の端部から前記回転軸を規定する回転手段と同じ距離の位置に配置されている、請求項2に記載の格納可能なハンドル構造。
【請求項4】
前記アンロックボタンは、少なくとも1つの感圧式ボタンおよびマイクロスイッチとを有する、請求項1に記載の格納可能なハンドル構造。
【請求項5】
前記ハンドルを収納状態に付勢するように構成された伸縮ばねを有する、請求項に記載の格納可能なハンドル構造。
【請求項6】
前記アンロックボタンは、前記回転軸と前記ハンドルの前記第1の端部との間
に配置されている、請求項4または5に記載の格納可能なハンドル構造。
【請求項7】
前記ハンドルは、前記アンロックボタン手動で押圧することにより展開状態に移動させることができる、請求項6に記載の格納可能なハンドル構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1に記載の格納可能なハンドル構造の前記ハンドルを収容する開口を含む外面を有するパネルを備えた、乗物用の本体コンポーネントであって、
前記開口が前記ハンドルをぴったりと収容し、前記ハンドルの前記外面は前記ハンドルが収納状態にあるとき前記外側パネルの形状に合致して該外側パネルに面一になるように形作られている、本体コンポーネント。
【請求項9】
前記ハンドルの前記回転軸は、前記ハンドルの前記回転軸と前記第1の端部との間の第1の部分が前記パネルの内側に回転し、前記ハンドルの前記回転軸と前記第2の端部との間の第2の部分が前記パネルの外側に回転するように構成されている、請求項〜7のいずれか1に従属する請求項8に記載の本体コンポーネント。
【請求項10】
前記ハンドルは、前記第2の部分を握ることができるようにするために、前記第1の部分を押すことにより手動で操作可能である、請求項9に記載の本体コンポーネント。
【請求項11】
前記ハンドルと前記開口の間に柔軟なシール部材が設けられている、請求項9または10に記載の本体コンポーネント。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1に記載の格納可能なハンドル構造をそれぞれ有する複数のドアまたはその他の閉鎖部を備えた車両であって、
前記車両に搭載されたすべての前記ハンドル構造に連結された制御モジュールを備えた、車両。
【請求項13】
制御モジュールは、前記ハンドル構造のうちの1つの前記アンロックボタンをユーザが押したことに呼応して、関連する前記ドアをアンロックし、関連する前記ハンドルを収納状態から展開状態に移動するように前記ハンドル構造の前記モータを制御する、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
前記制御モジュールは、関連する前記ドアがロックされたこと、又は車両が閾値速度を超えた速度で走行していることを判断したとき、関連する前記ハンドルを展開状態から収納状態に移動させるように前記ハンドル構造の前記モータを制御する、請求項13に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア又はその他の閉鎖部のための格納式ハンドル構造に関する。また、本発明は、格納可能なドアハンドル構造を展開する方法に関する。本発明の態様は、ハンドル構造、本体構造、方法、車両に関する。
【0002】
本発明は、車両のドアに関連して説明するが、車両の他の閉鎖部(例えば、後部ドア)又はその他の乗物(例えば、航空機)にも利用できる。確かに、広い意味では、本発明の格納可能なハンドル構造は、乗物以外のものにも利用できる。
【0003】
美学上、空気力学上、及び騒音制御上の要求から、ドアハンドルは乗物の外装ドア面と同一平面(面一)に配置されることが一般に望ましい。この理由から、フラップ式ドアハンドルが使用されている。そのようなハンドルは、典型的には、上部の旋回軸を中心に旋回するフラップを有する。ドアを開ける場合、フラップは、ばね力に対抗して引かれ、周囲のドア表面に対して外側に向けて旋回される。指を入れる窪みは、ハンドルフラップの近く、通常はハンドルフラップの背後に設けられる。この窪みがあることで、指をハンドルの背後に入れて、ハンドルを引いてドアをアンロックし(ロック(施錠)を解除し)開けることができる。
【0004】
フラップ式ハンドルは、どちらかと言えば扱い難く、その他のハンドルのように、心地よく握ることができず、満足できるものででなかった。おそらく、最も便利はハンドルのタイプは、ユーザが手で掴むことができる突出した棒状取手又はハンドグリップを有し、例としては、握りがループの一部であるストラップ式ハンドルである。
【0005】
ストラップ式ハンドルは、人間工学的に又力を伝えるという点で、フラップ式ハンドルに比べて特に便利である。例えば、フラップ式ハンドルを使用する場合、ユーザは上手掴み又は下手掴みのいずれを使用するか選択することができない。また、ユーザ姿勢の観点から、フラップ式ハンドルは乗物に設けるハンドルの場所に種々の制約を課す。しかし、残念ながら、ストラップ式ハンドルの握りが突出するために、乗物の表面に同一平面に設けることができない。
【0006】
指を入れる窪みのあるフラップ式ハンドルもまた、美的観点から制約がある。したがって、従来、指が入る窪みにヒンジ式カバープレートを設けた複数の提案がなされている。この場合、カバープレートは、ドアの表面及び隣接するフラップ式ハンドルと同一平面に設けられ、内側に回転してユーザが指を入れてハンドルを操作することができるようになっている。しかし、このカバープレートは、フラップ式ハンドルの本質的問題を解決するものでなく、それどころかハンドルを使い難くするものである。また、カバープレートは、指を入れる窪みを覆わずに放っておくことよりも、決して見栄えの良いものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの問題を解消し、驚くべき素晴らしい特徴を提供するために、同一平面に設けられた幾つかのドアハンドルが、乗物に格納可能に設けられている。これは、ハンドルが2つの状態−ハンドルがドア表面に面一になってしまい込まれた状態又は格納状態と、ハンドルが容易に握られるように周囲の車体から真っ直ぐに堂々と立ち上がった展開又は伸出状態−の間を動くことができることを意味する。格納状態と展開状態との間のハンドルの移動は、自動化された機構によって行われる。
【0008】
展開状態で、ハンドルを引いてドアを開けることができる。この場合、典型的には、ばね力に抗して展開ハンドルをピボット回転させることで、ハンドルを第3の動作位置に移動してドアを開ける。展開状態から動作状態に移動する際、例えばドアのラッチに作用しているボーデンケーブルを引くことで、または、例えばドアのラッチに作用しているソレノイドを切り替えることで、ハンドルがドアを機械的に開ける。
【0009】
上述のこの種の格納可能なドアハンドルの問題は、ドアハンドルを展開状態から格納状態にしまい込むとために自動化された機構を使用する場合に起こる。この場合、ユーザがハンドルを収める際にそれを保持していると、ユーザの指がハンドルと周囲のドア面との間に挟まるという危険がある。
【0010】
また、上述の種類の格納可能なドアハンドルは、ユーザが雑に扱うと壊れ易い。そのような故障は、ユーザが無理に展開状態から格納状態にドアハンドルを動かそうとして機構に損傷を与える程の力を加えたときに起こる。
【0011】
さらに、格納可能なハンドル構造に係る別の問題は、直感的で且つ使用が容易な方法でドアをロック及びアンロックするための手段等の機能性をユーザに提供することである。
【0012】
本発明は、改善された格納可能なハンドル構造を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の複数の形態は、特許請求の範囲に記載されているように、ハンドル構造、本体コンポーネント、方法、乗物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの形態では、格納可能なハンドル構造が提供されており、このハンドル構造は、
パネル内に面一に設けられるように構成されて配置されるとともに、収納状態と展開状態との間を移動可能なハンドルと、
モータと、
前記モータが第1の方向に駆動されたときに、前記ハンドルを前記収納状態から展開状態に動作するために前記モータを前記ハンドルに連結するように構成されたトランスミッション装置とを有し、
前記ハンドルを展開する少なくとも初期段階で、前記ハンドル構造が、前記ハンドルを展開するために、予め決められた力よりも大きな力を与えるように構成されている。
【0015】
格納可能なドアハンドルについて、ユーザがハンドルを握ってドアを開ける前に該ハンドルが展開状態になっていなければならないという課題があることを、出願人は認識している。湿潤な凍結状況では、ドアのハンドル構造に氷結することがある。自動化された機構によってハンドルが展開される装置では、氷によってハンドルの展開が妨げられ、ドアのハンドルに付いた氷を取り除くまでドアを開くことができず、それは不便で時間を要することである。したがって、出願人は、ハンドルが動くためには、少なくとも初期展開段階に必要な力は予め決められたレベルよりも大きく、すなわち、ハンドルと周辺部品との間に貯まった氷を砕くために必要なレベル以上である、ことがドアハンドル構造にとって必要であると認識している。
【0016】
本発明の他の形態では、別の格納可能なハンドル構造が提供されており、それは、パネル内に面一に設けられるように構成されて配置されるとともに、収納状態と展開状態との間を移動可能なハンドルと、
モータと、
前記モータが第1の方向に駆動されたときに、前記ハンドルを前記収納状態から展開状態に動作するために前記モータを前記ハンドルに連結するとともに、前記ハンドルが前記収納状態から前記展開状態に移動する際に、前記ハンドルに作用する力と前記ハンドルが展開される速度の少なくともいずれか一方を変調するように構成されたトランスミッション手段とを有する。
【0017】
したがって、本発明は、前記ハンドルに作用する力の制御と前記ハンドルが展開される速度が前記トランスミッション装置の構成によって制御され、モータの可変制御を必要としない、格納可能なハンドル構造を提供する。
【0018】
1つの実施例では、第1展開段階ではそれに続く第2展開段階よりも大きな力が作用するように前記トランスミッション手段が構成されている。
【0019】
そのために、前記ハンドルに作用する初期の力は、前記ハンドルに付いた氷を砕くために十分な程度に選択され、前記ハンドルが前記収納状態から移動されると前記力が減少する。
【0020】
有利には、前記トランスミッション装置は、ハンドルの移動速度が、第2展開段階では第1展開段階よりも大きくなるように構成される。したがって、ハンドルの展開時間は、ハンドルが展開状態に達するまでに長時間ユーザが待機する必要がないように、最適化できる。
【0021】
トランスミッション手段は、第3展開段階に、前記ハンドルが展開状態で徐々に停止するように構成される。そのため、前記ハンドルは、洗練されてエレガントに見えるように徐々に停止できる。
【0022】
1つの実施例では、使用時、前記ハンドルが前記収納状態から前記展開状態に移動する間、前記モータが一定速度で駆動される。
【0023】
1つの実施例では、前記ハンドルは操作部材を有し、
前記トランスミッション手段は、
前記モータの出力軸に設けられたウォームギヤと、
1つの軸の周りを回転可能な前記ウォームギヤにかみ合うように配置されたギヤホイールと、
前記ギヤホイールと同軸に設けられた偏心カムと、
前記カムに当接して摩擦係合する第1端部と前記操作部材に当接して摩擦係合する第2端部とを備えており、前記第1端部と前記第2端部との間に配置された軸の周りを回転するロッカーアームとを備えている。
前記カムは、偏心カムであってもよい。
【0024】
他の実施例では、前記ハンドルは操作部材を有し、
前記トランスミッション手段は、
前記ギヤホイールと同軸に設けられたカムと、
前記カムに当接して摩擦係合する第1端部と前記操作部材に当接して摩擦係合する第2端部とを備えており、前記第1端部と前記第2端部との間に配置された軸の周りを回転するロッカーアームとを備えている。前記カムは、偏心カムであってもよい。
【0025】
幾つかの実施例では、前記カムの形状又は外形若しくはそれらの両方は、前記ハンドルが所定のサイクルで展開される力又は速度若しくはそれらの両方を特徴づけるように構成又は配置若しくは構成配置されている。前記カムは、偏心カムであってもよい。
【0026】
随意に、前記ハンドルを展開する力と速度がそれぞれ独立して調整又は制御される。
【0027】
随意に、前記ハンドルは操作部材を有し、
前記トランスミッション手段が、
前記モータの出力シャフトに設けられたギヤと、
軸の周りを回転可能な前記ウォームギヤにかみ合うように配置されたギヤホイールとを有する。随意に、前記ギヤはウォームギヤである。
【0028】
1つの実施例では、前記ハンドルは軸の周りを回転可能であり、前記ハンドルが前記収納状態から前記展開状態に移動する際に前記ハンドルは前記軸の周りを回転する。
【0029】
1つの実施例では、前記格納可能なハンドル構造は、前記ハンドルを前記収納状態に付勢するように配置された伸縮ばねを有する。
【0030】
本発明の他の形態によれば、格納可能なハンドル構造の前記ハンドルを収容する開口を備えた外面を有するパネルを備えた、乗物用本体コンポーネントであって、前記開口が前記ハンドルをぴったりと収容し、前記ハンドルの外面は前記ハンドルが収納状態にあるとき前記外側パネルに一致して該外側パネルに面一になるように形作られている、乗物用本体コンポーネントが提供される。
【0031】
幾つかの実施例では、前記ハンドルが回転する中心の前記軸は、前記ハンドルの第1の部分が前記パネルの内側に回転し前記ハンドルの前記第2の部分が前記パネルの外側に回転するように構成されている。
【0032】
随意に、前記ハンドルは、前記第2の部分にアクセスするように、前記第1の部分に係合することにより手動で操作可能である。
【0033】
前記ハンドルと前記開口の間に柔軟なシール部材を設けてもよい。
【0034】
本発明の別の形態によれば、モータをハンドルに連結するように構成されたトランスミッション手段を介して収納状態と展開状態との間で移動可能なハンドルを有し、前記モータが第1の方向に駆動されたとき、前記ハンドルを前記収納状態から前記展開状態に移動する、モータ駆動の格納可能なハンドル構造を展開する方法であって、第1展開段階ではそれに続く第2展開段階よりも大きな力を前記ハンドルに加える方法が提供される。
【0035】
有利に、前記方法では、第3展開段階中、前記ハンドルを展開状態で次第に停止させる。
【0036】
本発明の他の形態によれば、パネル内部に面一に設けられるように構成されて配置され、収納状態と展開状態との間を移動可能で、展開位置に維持することができるように構成されたハンドルを有し、
前記ハンドルは、前記ハンドルを引くために背後にユーザが指を掛けることができる細長い部材を有し、
前記ハンドルはまた、前記細長い部材の上部から延びるトップカバー部を有し、
前記カバー部は、前記ハンドルが前記展開状態にあるとき、前記ハンドルと前記パネルとの間の隙間を閉じるように配置されており、
前記ハンドルはさらに、展開状態で、前記パネルから展開された使用中の前記細長い部材の端部の少なくとも一部を覆うように構成されたエンドカバー部を有する、格納可能なハンドル構造が提供される。
【0037】
好ましくは、前記カバー部は、トップカバー部で、実質的に前記細長い部材の上部から延びている。
【0038】
前記ハンドルが展開状態に置かれている場合、上述のように、有利に、前記カバーが、物(例えば、衣服、鞄のストラップ)がハンドルに引っ掛からないようにする。また、ユーザが下手でハンドルを握ったとき、エンドカバー部はユーザの指がハンドルの端から滑って外れるのを防止する。前記トップカバー部とエンドカバー部は連続してカバー部を形成してもよい。エンド部は、前記細長い部材の全長に亘って延びていてもよい。前記細無い部材の端部は曲がっていてもよい。
【0039】
本件出願の範囲内で、以上に、特許請求の範囲に、及び/又は以下の説明、及び図面に記載された種々の形態、実施例、例示、及び変形、またそれらの特徴は、それぞれが独立していてもよいし、その他のものと任意に組み合わせてもよい。例えば、1つの実施例について説明した特徴は、その特徴が互換性が無い場合を除いて、他の実施例にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明の実施例を、添付図面を参照して、例によって説明する。
【0041】
図1図1は、本発明の実施例に係るドアハンドル構造を有する乗物ドアの外側の斜視図で、ドアハンドルは収納状態で示されている。
【0042】
図2A図2Aは、図1のドアハンドル構造の機構の両側を示す斜視図で、ドアハンドルは収納状態にある。
【0043】
図2B図2Bは、図1のドアハンドル構造の機構の両側を示す斜視図で、ドアハンドルは収納状態にある。
【0044】
図3A図3Aは、図1のドアハンドル構造の機構の両側を示す斜視図で、ドアハンドルは展開状態にある。
【0045】
図3B図3Bは、図1のドアハンドル構造の機構の両側を示す斜視図で、ドアハンドルは展開状態にある。
【0046】
図4A図4Aは、図1のドアハンドル構造の機構の側面図で、ドアハンドルは収納状態にある。
【0047】
図4B図4Bは、図1のドアハンドル構造の機構の正面図で、ドアハンドルは収納状態にある。
【0048】
図4C図4Cは、図1のドアハンドル構造の機構の平面図で、ドアハンドルは収納状態にある。
【0049】
図5A図5Aは、図1のドアハンドル構造の機構の側面図で、ドアハンドルは展開状態にある。
【0050】
図5B図5Bは、図1のドアハンドル構造の機構の正面図で、ドアハンドルは展開状態にある。
【0051】
図5C図5Cは、図1のドアハンドル構造の機構の平面図で、ドアハンドルは展開状態にある。
【0052】
図6図6は、図1の格納可能なハンドル構造のハンドルに設けたアンロックボタンとロックボタンの位置を示す。
【0053】
図7図7は、図1の格納可能なハンドル構造の動作を制御するシステムの実施例を示す。
【0054】
図8A図8Aは、本発明の格納可能なハンドル構造に使用するハンドルの他の実施例の斜視図である。
【0055】
図8B図8Bは、本発明の格納可能なハンドル構造に使用するハンドルの他の実施例の斜視図である。
【0056】
図8C図8Cは、本発明の格納可能なハンドル構造に使用するハンドルの他の実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明のハンドル装置、方法、及び乗物の具体的な実施例を詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の複数の態様を実施する単なる例示で、本発明が具体化されるすべて態様を示すものではない。確かに、以下に説明するハンドル構造、方法、及び乗物は、種々改変して具体化することができる。図面は、必ずしも実際の大きさを表すものでなく、特定の構成要素の詳細を示すために、幾つかの構成は誇張され又は縮小されている。発明の開示内容が目立たなくなるのを避けるために、公知の構成要素、材料、又は方法は必ずしも詳細に説明しない。開示された特定の構造及び機能の詳細は限定的なものでなく、単に、特許請求の範囲の基礎、また、本発明を採用する当業者を教示するための代表的な基礎となるものである。
【0058】
図1を参照すると、本発明のドアハンドル構造において、面一に設けられたドアハンドル10は、乗物のドアに対して引き込まれている。ここでは、塗装されたドア表面12がドアを示している。
【0059】
ドア表面12は、水平方向に延びるスロット(溝)14が貫通しており、このスロットにぴったりと嵌まった状態でハンドル10が収容されている。ハンドル10の外面16は、スロット14に合致する形状としてあり、ハンドル10が図1に示すように引き込まれている状態で、周囲のドア表面12と同一平面にある。スロット14の形状とハンドル10の外面16の形状は、美的観点から決められており、機能の点ではほとんど重要でない。
【0060】
明瞭化のために図面では明暗差をもって示されているが、ハンドル10の少なくとも外面16(できればハンドル10の全体)が、車体と同じ色で塗装される。当然、美的理由から別の仕上げを選択してもよい。
【0061】
図2A図2Bを参照すると、格納可能なハンドル構造1は、後述するように、ハンドル10を格納状態と展開状態との間で移動させるように動作可能な機構18を有する。
【0062】
ハンドル10は、第1の端部20と第2の端部22を有する細長い部材である。第1の端部20の近くにピボット手段24が配置されている。ピボット手段24は軸を有する。格納状態と展開状態の間をハンドル10が移動する際に該ハンドルがその軸を中心に回転できる。ハンドル10を引込位置に向けて付勢するように、伸縮ばね26がピボット手段24に設けてある。作動部材28は、ハンドル10の外側面16の反対側にあるハンドル10の内側面17から垂直に突出している。作動部材28は、ハンドル10の長手方向に沿って、第1の端部20からピボット手段24とほぼ同じ距離の位置に、配置されている。
【0063】
機構18はモータ30を有する。モータ30はトランスミッション手段32に連結されている。トランスミッション手段32は、ウォームギヤ34、ギヤホィール34、カム38、及びロッカーアーム40を有する。更に詳細に説明すると、ウォームギヤ34はモータ30の出力シャフト31に設けてあり、これと同軸になっている。ギヤホイール36は、ウォームギヤ34の近くに配置されており、該ウォームギヤ34とかみ合っている。
【0064】
ギヤホイール36は、ウォームギヤ34の回転軸に垂直な軸の周りを回転可能に設けられている。カム38は、ギヤホイール36の近くに配置されており、ギヤホイール36が回転するときに軸42の周りを回転するように設けられている。
【0065】
ロッカーアーム40は、第1と第2の端部44,46を有し、ロッカー軸48の周りをピボット回転するように設けられている。ロッカー軸48は、ギヤホイール36とカム38の軸42に平行である。ロッカー軸48は、ロッカーアーム40の第2の端部46に向けて配置されている。ロッカーアーム40の第1の端部44は、カム38の表面に当たっている。ロッカーアーム40の第2の端部46は、ハンドル10の作動部材28に当たっている。
【0066】
図1に示す格納状態で、ハンドル10の外側表面16は、周囲のドア表面12と同一平面上にある。ハンドル10は、種々の事象に応じて、格納状態から展開状態に駆動される。例えば、この動作は、乗物をアンロックする権限が与えられたキーからの、又は乗物の極近傍で権限が与えられたキーの存在を検出する有無センサ、からのアンロック信号に応答する。逆に、ハンドル10は、乗物をロックする権限が与えられたキーからの、又は、乗物の極近傍に権限が与えられたキーが残されていると判断する有無センサからの、ロック信号に応答して、展開状態から格納状態に駆動される。ハンドル10もまた、ユーザからの行為〔例えば、乗物のドアに設けたスイッチ(図1に示されていない。)を押す行為〕に応答して、格納状態と展開状態との間で切り替わる。
【0067】
図3A図3Bを参照すると、展開状態で、ハンドル10は、伸縮ばね26の付勢力に抗して、ピボット手段24の周りを回転される。その結果、ハンドルの第2の端部22が十分な量だけスロット14から突出する(図3A図3Bに示されていない。)。これにより、ユーザは、その指をハンドル10の周りに掛けることができる。図3A図3Bに示す本発明の実施例では、ハンドル10は、棒状のハンドルで、下手又は上手のいずれでも掴むことができる。そのような棒状ハンドルの場合、ハンドルを展開状態から動作状態に引くとき、通常、ユーザの親指がハンドル10の第1の端部20に向けて配置される。上述のように、ハンドルが動作状態にあるとき、これによりドアが開けられる。添付図面には示していないが、本実施例では、その動作状態が、ハンドル10が展開状態を超えてピボット手段24の周りを回転される位置に対応する。
【0068】
以下、格納可能なハンドル構造1の動作を詳細に説明する。
【0069】
図4A図4B、及び図4Cを参照すると、格納状態のハンドル10では、ロッカーアーム40がほぼ垂直に配置されている。伸縮ばね26は、ハンドル10を格納状態に向けて付勢するように機能する。したがって、ハンドル10の作動部材28はロッカーアーム40の第2の端部を押す。その結果、ロッカーアーム40の第1の端部44がカム38の表面を押し、これにより、ロッカーアーム40とカム38が摩擦接触する。ハンドル10を展開するためには、モータ30が駆動されてウォームギヤ34を回転する。その結果、ギヤホイール36とカム38が、図4Aの矢印A方向に回転される。
【0070】
図5A図5B、及び図5Cを参照すると、カム38は、それが矢印A方向に回転すると、カム38とロッカーアーム40の第1の端部44との接点Pにおいて、回転軸とカム38の表面との間の径方向の距離が増加するように、その形状が決められている。そのために、カム38が回転することにより、ロッカーアーム40がロッカー軸48の周りをピボット回転される。ロッカーアーム40の第1端部44は、図5Aの矢印B方向に移動する。これに対応して、ロッカーアーム40の第2の端部が図5Cの矢印C方向に移動する。ロッカーアーム40の第2の端部46は、ハンドル10の作動部材28を押す。その結果、ハンドル10が、ピボット手段24の周りを、図5Cの矢印D方向に回転してその展開位置に達し、そこでモータ30が停止する。
【0071】
カム38が、ハンドル10が格納状態にある初期位置から回転すると、カム38の表面とロッカーアーム40との接点Pがロッカー軸42に向けて移動する。したがって、ロッカーアーム40の第2の端部46によってハンドル10の作動部材28に加えられた力が変化する。さらに具体的に説明すると、初期展開段階では、ロッカーアーム40が第1の端部44の近く(すなわち、ロッカー軸48から離れた場所)でカム38に接触する。その結果、初期段階で、作動部材28にはより大きな力が作用し、ハンドル10により大きなトルクが加わる。カム38の形状は、この初期段階における径方向の距離の変化率は比較的小さいように決められている。したがって、ハンドル10は比較的ゆっくりと移動する。
【0072】
第2の展開段階中、カム38は回転し続ける。その際、接点Pは、ロッカー軸48に接近し、作動部材28に加わる力が減少する。これは、径方向の距離が急速に増加することと符号しており、結果として、ハンドル10が高速で移動される。
【0073】
したがって、上述の構成によれば、初期段階ではハンドルに大きな力が作用し、ハンドル10が濡れて凍り付いた状態では、その力は氷を砕くのに十分な程に選択される(必要な力は約200Nである。)。ハンドル10が格納状態から移動すると、それに作用する力が減少し、展開速度が増加する。したがって、ユーザは、ハンドル10が展開するまで長時間に亘って待機する必要はない。ハンドル10の展開中、モータ30は一定の回転速度で駆動される。トランスミッション手段32の構造によって、ハンドル10に加わる力と、ハンドル10が展開する速度が調節される。
【0074】
展開状態から格納状態にハンドル10をしまい込むために、モータ30は逆方向に駆動される。モータの逆回転により、ギヤホイール36とカム38が図4A図5Aの矢印Aと反対の方向に回転する。伸縮ばね26の付勢力により、ハンドル10は格納状態に向けて移動する。ハンドル10がしまい込まれる間、作動部材28はロッカーアーム40を図4A図4B、及び図4Cに示す初期位置に戻すように回転する。したがって、ハンドル10がしまい込まれる間、モータ30は駆動されているが、機構18はハンドル10に閉鎖力を加えることがない。都合の良いことに、ハンドル10がしまい込まれる間、ユーザがハンドル10を持っている場合、ユーザの手に作用する力は伸縮ばね26の力だけである。
【0075】
上述した格納可能なハンドル構造1の別の利点は、ハンドル10が機構18によって引き込まれる前の展開状態で内側に押されることがあってもそのような誤用による損傷からトランスミッション手段32が保護される、ということである。さらに具体的に説明すると、ハンドル10が展開状態で内側に押された場合、作動部材28がカム38の表面を押しても、ギヤホイール36又はウォームギヤ34に力がかかることはない。したがって、機構は逆動作することがないし、ギヤホイール36の歯は損傷から保護される。
【0076】
本発明の他の実施例では、カム38は、ハンドル10の第3の展開段階が存在するように、形作られる。更に詳細に説明すると、カム38は、径方向の距離rの変化率が第2展開段階後に減少するように、形作られる。したがって、ハンドル10が第2段階中は素早く移動された後、展開状態で停止するまで第3段階中徐々に減少する。これにより、好適な美的効果が得られる。
【0077】
以上、第1展開段階、第2展開段階、第3展開段階について説明したが、カム38は連続面を有し、したがって、各展開段階の間の移行は連続している。
【0078】
さらに、本発明のハンドル構造1の利点は、展開速度及びその力は、所望の表面形状のカム38を設けるだけで、種々の適用に応じて容易に調節できる、ということである。
【0079】
図6を参照すると、ハンドル10はまた、その外側表面に配置されたアンロックボタン50とロックボタン52を有する。これらのボタン50,52は、感圧式ボタン(すなわち、容量センサ)、又はマイクロスイッチであってもよい。ボタン50,52の全機能を詳細に説明する。しかし、ハンドル10上のボタン50,52の位置は、ユーザにとって共に直感的で、ハンドル構造1の誤用を無くすように選択される。
【0080】
アンロックボタン50は、ハンドル10の第1の端部20の近くに設けられる。上述のように、ユーザがハンドルを操作する際、一般にユーザの親指は第1の端部20に置かれる。したがって、ユーザがその親指でアンロックボタン50を押すと、それによって関連するドアがアンロックされるとともに、ハンドル10が展開状態に移動する。この場合、ユーザの手は、容易に且つ都合良く、展開したハンドル10を握り、そしてそれを動作位置に引くことでドアを開放するような位置に自然と置かれる。
【0081】
さらに、アンロックボタン50は、例えば、モータ30を駆動する電力が無い状況ではユーザがハンドル10を手動で展開しなければならないことを考慮して配置される。この場合、ユーザがアンロックボタン50に力を加えると、対応するドアが上述のようにアンロックされる。その後、ユーザが大きな力をアンロックボタン50に加えると、伸縮ばね26の付勢力に抗してハンドル10がピボット手段24の周りを回転する。ハンドルの第2の端部22がスロット14から突出すると、ユーザはハンドル10を握りそれを動作状態に引いてドアを開けることができる。したがって、ハンドル10は、高度の器用さを必要とする複雑な行為を必要とすることなく、ユーザがアンロックボタン50に力を加えるだけで、手動で展開できる。
【0082】
ロックボタン52は、ハンドル10のピボット手段24の近くに配置されている。後に詳細に説明するように、ハンドル10は、対応するドアがアンロックされている場合、通常展開状態に置かれており、ロックボタン52を押せばドアがロックされてハンドルが格納状態にしまい込まれる。上述のように、ハンドル10が展開されている状態で該ハンドル10が格納状態に押すことはユーザにとって好ましいことではない。その理由は、ギヤホイール36に損傷を与えないように、ロッカーアーム40に圧力を加えるとこれが曲がるからである。したがって、ロックボタン52をハンドル10のピボット手段24の近くに配置ことが好都合である。その理由は、ロックボタン52に加えられた力によってハンドル10がピボット手段24の周りを回転することはない、からである。
【0083】
さらに、上述の構成によれば、ロックボタン50とアンロックボタン52の機能は、ハンドル構造1の動作に馴染みのあるユーザにとっては直感的なものである。特に、ハンドル10の第1の端部20にあるアンロックボタン50の位置は、ユーザの頭の中で、ドアを開けることに結び付けられている。その理由は、その場所でハンドル10に力を加えれば、格納状態から展開状態にハンドルが移動するからである。続いて、ユーザはハンドル10の2つのボタンの存在をロック機能及びアンロック機能に自然と結び付けることから、他方のロックボタン52はロックに結び付けられる。
【0084】
上述の構成により、ユーザが押し易い場所で且つ強い力で押されたときでもハンドル構造1の機構18に損傷を与えることのない場所にロックボタン52を配置できるという効果が得られる。
【0085】
図7を参照すると、上述の型式の格納可能なハンドル構造1を制御するシステムは、乗物に設けた各引き込み可能なハンドル構造1の機構18を制御するための制御モジュールを有する。図7は1つのハンドル構造のみを示しているが、乗物の各ドアに1つの制御モジュールを設けてもよい。
【0086】
制御モジュール54もまた、無線通信モジュール56、乗物速度センサ58、乗物警報システム60、乗物居室62内のドアアンロック及びロック制御部、ハンドルライト64、及びドアアジャースイッチ66(ドアの開閉を検知するスイッチ)に連結されている。無線通信モジュール56は、乗物キーフォブ68からの信号を受けるように動作可能である。キーフォブ68には、ドアのロックボタン及びアンロックボタンと、それらのボタンをユーザが押すとロック信号及びアンロック信号を無線通信モジュール56に送信する手段が設けてある。無線通信モジュール56もまた、パッシブ・エントリが実現できるように、乗物からの目標距離(通常は1〜2m)内にスマートキー70が有るか否か検出するように動作可能である。また、乗物のドライバ用ドアは、ドライバのドアハンドルの下に配置されたキーバレルを介して乗物の外側から機械的にロック又はアンロックできる。したがって、キーバレルは、ハンドルが動作状態に動かされたときに露出される。
【0087】
各格納可能なハンドル構造1は、明るさの少ない状況でドアを簡単に開けることができるように、ハンドル10及びその周辺を照らすLED等のライト64を設けてもよい。各格納可能なハンドル構造1はまた、ハンドル10が格納状態又は展開状態のいずれかにあるときに検出するための一対のリミットスイッチを有する。
【0088】
制御モジュール54の動作を詳細に説明する。
【0089】
乗物が駐車している状態で、各ハンドル10が格納状態(すなわち、ドアの表面に一致した状態)にあって、関連するドアはロックされている。そして、関連するドアがアンロックされると、各ハンドル10が展開状態になる。ハンドルの展開は、アンロックにより、また、ロックの取消により、始動される。
【0090】
ロックとアンロックは、キーフォブ68のロックボタン又はアンロックボタン、ハンドル10に設けたパッシブエントリ用ロックボタン及びアンロックボタン50,52のいずれかを用いて行われる。更に具体的に説明すると、パッシブエントリを通じて行う場合、ユーザはスマートキー70を携帯して持ち運ぶ。スマートキー70が特定のドアハンドル10の射程距離(通常は1〜2m)内にある状況でドアアンロックボタン50が操作された場合、無線通信モジュール56を介して受信した信号によってスマートキーの存在を確認し、すべてのアンロックされたドアのハンドル10が展開されていることを確認するように動作できる。続いて、ユーザは、関連するハンドル10をその作動位置に引いてドア掛け金を機械的に解除することで、アンロックされたドアを開けることができる。各ハンドル10は、その関連するドアがロックされると、格納状態に戻る。これは、ユーザがハンドル10のロックボタン52を押すことで又は乗物内のキャビンロックボタン62若しくはキーフォブ68のロックボタンによって、行われる。
【0091】
したがって、各ハンドル10の展開位置は、個々のドアに対するロック状態インジケータとして機能する。これに対する1つの例外は乗物が動いているときで、その場合、すべてのドアのハンドル10は、ロック又はアンロックされているかに拘わらず、格納状態にある。アンロックされたドアのハンドル10は、乗物が所定閾値速度(5マイル/時間)を超えたときに格納状態に引き込まれる。この閾値速度は、乗物の速度センサによって求められる。その後、アンロックされたドアのハンドル10は、乗物の運転中、格納状態を維持する。そして、ハンドル10は、乗物が停止したと判断された場合、再展開され、スマートキー70が存在しない場合でも、例えば乗員を拾い上げるときに、アンロックされているドアのハンドルアンロックボタン50が人によって操作されたとき、若しくはキャビンのアンロックボタン62が押された場合、複数のドアの1つが内側から開かれる(これは、各ドアに設けられたドアアジャースイッチ66によって判断される)。
【0092】
ハンドルロックボタン52を一度押せば、乗物がロックされ、該当する場合、乗物警報システム60を動作可能にする。ロックボタン52が予め決められた時間内の第2の時間(例えば、3秒)押された場合、デッドロックが作動する。ハンドル10は、ロックボタン52の最初の押し動作に応答して、格納状態に引き込まれる。ロックボタンを押して保持することで「全閉」が起こる。すなわち、これにより、自動的に、開いた窓が閉じ、該当する場合には格納式天井等が展開される。
【0093】
ハンドルライト64は、乗物がアンロックされたときにオンされ、乗物がロックされたときにオフされる。乗物が予め決められた時間(例えば、20秒)以上アンロック状態に置かれた場合、ライト64はオフされる。また、ライト64は、イグニッションがオンされたときに作動されることがない。
【0094】
ユーザは、ハンドル10を作動状態に引くために十分に展開される間にハンドル10を把持できれば、ドアを開ける前にハンドルアンロックボタン50を押した後はハンドル10が完全に展開されるまで待機する必要がない。
【0095】
図8A図8B図8Cを参照すると、上述の格納可能なハンドル構造1に使用されるハンドル100の他の実施例は、ハンドル10の長さ方向及び第2の端部の一部に沿って、内側表面17にほぼ垂直に延びるトップカバー部72を有する。ハンドルは、細長い部材を有する。
【0096】
トップカバー部72が存在する場合、ドアを開けるために、ユーザは下手握りでハンドル100を握る必要がある。上述した棒形式のハンドルに対する該ハンドル形状の利点は、トップカバー部72によって物(例えば、衣服、鞄のストラップ)が展開状態のハンドル100に引っ掛かるということが無くなる、ということである。したがって、そのようなハンドルによれば安全性が更に増す。
【0097】
本実施例では、トップカバー部はハンドルの端部まで延びているが、物がハンドルに引っ掛かるのを防止することができる構成であれば、トップカバー部と別のエンドカバー部を設けてもよい。
【0098】
カムの形状又はカムの外形は、所望の特性が得られるように、例えば、ハンドルの展開段階及び/又は収納段階にハンドルを移動又は回転する力又はトルクがカムの形状によって制御又は調整されるように、また、ハンドルの展開段階及び/又は収納段階にハンドルが動く移動速度・回転速度・加速度がカムの形状によって制御又は調整されるように、変更してもよい。前記力又はトルクは、前記カムがロッカーアームに接触する点と前記ロッカーアームの軸又は支点との間の距離を求める及び/又は制御することによって調整される。前記ハンドル移動量、すなわち、前記ハンドルが回転する角度は、カムがロッカーアームから移動する最大半径距離rを選択することによって制御できる。前記ハンドルの速度及び/又は加速度は、径方向の距離rの変化率によって制御される。
カム形状は、展開段階又は収納段階の間中、一定の速度又は一定の力が維持されるように選択される。カムの形状は、展開段階と収納段階で特性が異なるように非対称であってもよい。その場合、カム形状の第1部分を展開段階の制御に利用し、第2部分を収納段階に使用するように、モータは一定の回転速度で駆動される。
【0099】
前記ロッカーアームの形状又は外形も変更することができる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C