(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1信号の一部を選択する手段を作動させるステップは、前記第1信号の、処理から除外される部分を選択する手段を作動させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
前記第1信号の一部を選択する手段を作動させるステップは、前記第1信号の、処理に含める部分を選択する手段を作動させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
前記第1信号のトリガイベントを決定するために前記第1信号の選択された部分にアルゴリズムを適用する手段を作動させるステップは、前記第1信号をウィンドウ上で積算するためのアルゴリズムを適用する手段を作動させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
前記1つ以上の電極において計測された信号に1つ以上のアルゴリズムを適用することで、前記1つ以上の電極において計測された信号に注釈情報を生成する手段を作動させるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
前記患者の心臓の電気解剖学的画像を生成する手段を作動させるステップは、前記同期された信号を処理する手段を作動させることで、前記複数の位置で前記1つ以上の電極において計測された信号に基づいて、心内膜表面の複数の場所の生体情報を決定する手段を作動させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
前記同期された信号を処理する手段を作動させるステップは、前記同期された信号を、これらがあたかも同時に取得されたかのように処理する手段を作動させるステップを備える、請求項12に記載の方法。
前記患者の心臓の電気解剖学的画像を生成する手段を作動させるステップは、ラプラス方程式に少なくとも一部基づいて、前記計測された信号を処理することにより生体情報を決定する手段を作動させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
前記患者の心臓の電気解剖学的画像を生成する手段を作動させるステップは、前記信号に変換関数を適用することで、心内膜表面の複数の場所の生体情報を決定する手段を作動させるステップを備え、前記変換関数は、前記心腔内の少なくともいくつかの異なる位置から計測された信号を、前記心内膜表面の複数の場所の生体情報と関連付ける、請求項1に記載の方法。
前記心内膜表面の前記複数の場所の前記生体情報の決定は、前記心内膜表面の前記複数の場所の生体情報を、前記心腔内にあるカテーテルの前記異なる位置について計測された信号に関連付けるために順方向変換を計算し、次に前記順方向変換を逆転させることで、前記変換関数を決定する手段を作動させるステップをさらに備える、請求項19に記載の方法。
前記電子プロセッサは、前記第1信号の、処理から除外する部分を選択することで、前記第1信号の一部を選択するように構成されている、請求項22に記載のシステム。
前記電子プロセッサは、前記第1信号を処理して瞬間的エネルギーの画像を生成することで、および、瞬間的エネルギーの画像を分析して前記トリガイベントを決定することで、前記第1信号から選択された部分にアルゴリズムを適用してトリガイベントを決定するように構成されている、請求項22に記載のシステム。
前記電子プロセッサは、アルゴリズムを適用して、ジッタを低減した前記第1信号の画像を生成することで、および、ジッタを低減した前記第1信号の画像を分析して前記トリガイベントを決定することで、前記第1信号から選択された部分に前記アルゴリズムを適用してトリガイベントを決定するように構成されている、請求項22に記載のシステム。
前記電子プロセッサは、前記同期した信号を処理することで前記複数の位置で前記1つ以上の電極において計測された信号に基づいて、心内膜表面の複数の場所での生体情報を決定することによって、前記患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成されている、請求項31に記載のシステム。
前記電子プロセッサは、前記計測された信号を、ラプラス方程式に少なくとも一部基づいて処理して生体情報を決定することで、前記患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成されている、請求項32に記載のシステム。
前記電子プロセッサは、心内膜表面の複数の場所において生体情報を決定すること、および、前記信号に変換関数を適用することにより、前記患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成されており、前記変換関数は、前記心腔内の少なくともいくつかの異なる位置から計測された信号を、前記心内膜表面の前記複数の場所における前記生体情報と関連付ける、請求項22に記載のシステム。
前記心内膜表面の前記複数の場所において前記生体情報を決定することは、前記心内膜表面の前記複数の場所における前記生体情報を、前記心腔内におけるカテーテルの異なる位置について計測された前記信号に関連付けるための順方向変換を計算することにより、変換関数を決定することと、前記順方向変換を逆転させることとをさらに備える、請求項35に記載のシステム。
前記電子プロセッサはさらに、前記信号の全てよりも少ない信号のサブセットを選択し、また、前記信号の全てよりも少ない信号の選択されたサブセットに基づいて、前記患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの態様では、患者の心臓に関する情報を提供する方法は、複数の心拍周期にかけて、患者の心腔内の電気活動に応答し、心腔内の複数の場所における1つ以上の電極からの信号を計測することを含む。この方法はさらに、電極において計測された信号と、電極位置に関する情報とに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像の生成することを含む。この方法はまた、コンピュータにより、計測された信号に1つ以上の演算子を適用することで、計測された信号に注釈情報を生成することを含む。この方法はまた、少なくともいくつかの注釈情報をユーザに伝達することを含む。
【0005】
実施形態は次のうち1つ以上を含むことができる。
注釈情報は、活性化時間に関する情報を含み得る。
注釈情報は、二重活性化に関する情報を含み得る。
【0006】
注釈情報は、分画に関する情報を含み得る。
注釈情報は、電圧増幅に関する情報を含み得る。
注釈情報は、スペクトルコンテンツに関する情報を含み得る。
【0007】
注釈の生成は、二重振れを有する心臓領域、複数の振れを有する心臓領域、分画を有する心臓領域、及び活性化を有さない心臓領域のうち少なくとも1つを同定することを含み得る。
【0008】
注釈情報の生成は、二重振れを検出するために、計測された信号にアルゴリズムを適用することを含み、また、少なくともいくつかの注釈情報を伝達することは、二重振れ領域を同定するために、患者の心臓の電気解剖学的画像上にインジケータを表示することを含み得る。
【0009】
注釈情報の生成は、分画を検出するために、計測された信号にアルゴリズムを適用することを含み、また、少なくともいくつかの注釈情報を伝達することは、分画領域を同定するために、患者の心臓の電気解剖学的画像上にインジケータを表示することを含み得る。
【0010】
注釈情報の生成は、活性化欠如を検出するために、計測された信号にアルゴリズムを適用することを含み、また、少なくともいくつかの注釈情報を伝達することは、活性化欠如領域を同定するために、患者の心臓の電気解剖学的画像上にインジケータを表示することを含み得る。
【0011】
この方法はまた、指定の計測された信号について自動生成された注釈情報の変更を操作者から受信するステップと、コンピュータにより、1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を、変更に基づいて修正するステップとを含み得る。
【0012】
注釈情報の修正では、コンピュータによって注釈情報を自動修正することを含み得る。1つ以上の追加の計測された信号について注釈情報を調整することは、指定の計測された信号と空間的に近接している1つ以上の追加の計測された信号について、注釈情報を自動調整することを含み得る。
【0013】
指定の計測された信号と空間的に近接している複数の計測された信号は、設定された指定の計測された信号に対してある距離内の位置にある信号を含み得る。
1つ以上の電極において計測された信号は電位図を含み得る。
【0014】
この方法はまた、操作者から、特定の電位図に自動生成された注釈情報への変更を受信し、さらに、他の電位図への注釈情報を、コンピュータにより、操作者が指定の電位図について行った注釈情報への変更に基づいて、自動調整することを含み得る。
【0015】
この方法はさらに、指定の計測された信号についての活性化時間の変更を操作者から受信し、次に、1つ以上の追加の計測された信号についての活性化時間を、操作者が行った変更に基づいて、コンピュータで自動調整することを含み得る。
【0016】
1つ以上の電極にて計測された少なくともいくつかの信号は、電位図を含み得る。
注釈情報の生成は、指定された電位図および空間的に隣接した電位図に基づいて注釈情報を生成することを含み得る。
【0017】
空間的に隣接した電位図は、所定の距離内にある電位図を含み得る。
注釈情報の生成は、複数の振れを含む電位図の場合、複数の振れのうち1つを、複数の振れについてのタイミング情報と、空間的に隣接した電位図における振れについてのタイミング情報とに基づいて選択すること、そして、選択した振れを、注釈情報を決定するために使用することを含み得る。
【0018】
空間的に隣接し合う複数の電位図は、指定の計測された信号までの設定距離内に複数の電位図を含み得る。
注釈情報の生成は、心内膜の特定の場所に対応した電極の場所にて計測された信号と、この特定の場所に相当する電極の場所と空間的に近接した場所に位置する1つ以上の追加の電極にて計測された信号とに基づいて、心内膜の特定の場所に注釈情報を生成することを含み得る。
【0019】
特定の場所と空間的に近接した場所に位置する1つ以上の追加の電極は、特定の計測された信号に対して設定された距離内に1つ以上の追加の電極を含み得る。
注釈情報の生成は、局所的タイミング情報を求めるために信号の計測が行われた位置についての空間情報を使用することを含み得る。
【0020】
注釈情報の生成は、局所的なタイミング情報を求めるために、複数の異なる電極で計測された信号を使用することを含み得る。
1つ以上の電極は、心臓内カテーテル上に1つ以上の電極を含み得る。
【0021】
少なくともいくつかの注釈情報をユーザに伝達することは、患者の心臓の電気解剖学的画像ならびに少なくともいくつかの注釈情報を表示することを含み得る。
この方法は、1つ以上の電極を備えたカテーテルを心腔内に挿入すること、カテーテルを心腔内の複数の異なる各位置へ移動させることをも含み得る。
【0022】
この方法は、複数の位置で計測された信号を、心拍周期に従って、互いに同期させることを含み得る。
この方法はまた、同期された信号を処理して、複数位置において計測された信号に基づき心内膜表面の複数の場所にて生体情報を決定することで、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成することをも含み得る。
【0023】
同期された信号を処理することは、同期された信号を、あたかもそれらが一度に得られたかのように処理することを含み得る。
この方法はまた、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成することをも含み得る。
【0024】
この方法はまた、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成することを含むことができ、これは、計測された信号を、ラプラス方程式に近い数学演算子に少なくとも一部基づいて処理することで生体情報を決定することをも含み得る。
【0025】
この方法はまた、患者の心臓の電気解剖学的画像の少なくとも一部を表示することをも含み得る。
この方法は、患者の心臓の電気解剖学的画像を、心腔の処置を誘導するために使用することをも含み得る。
【0026】
この処置は、心臓の1つ以上の選択した領域を焼灼することを含み得る。
この処置は、細胞治療、遺伝子治療、または他の生物学的薬剤の適用を含み得る。
患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップは、信号に変換関数を適用することで、心内膜表面の複数の場所の生体情報を決定するステップを含むことができ、変換関数は、心腔内の少なくともいくつかの異なる位置から計測された信号を、心内膜表面の複数の場所の生体情報と関連付ける。
【0027】
心内膜表面の複数の場所の生体情報の決定は、心内膜表面の複数の場所の生体情報を、心腔内にあるカテーテルの異なる位置について計測された信号に関連付けるために順方向変換を計算し、次に順方向変換を逆転させることで、変換関数を決定するステップをさらに含むことができる。
【0028】
この逆転は、規制による未決定の行列反転を再公式化することを含む。
逆転は最小二乗最小化法を含むことができる。
この方法は、全信号よりも少ない信号のサブセットの選択、および、全信号よりも少ない信号のサブセットの選択に基づく、患者の心臓の電気解剖学的画像の生成をも含み得る。
【0029】
患者の心臓の電気解剖学的画像の生成は、電極にて計測された信号と、心内膜表面に対する電極位置についての情報とに基づいた、患者の心臓の電気解剖学的画像の生成を含み得る。
【0030】
いくつかの態様では、患者の心臓に関する情報を提供するシステムは、複数の心拍周期にかけての患者の心腔内の電気活動に応答して、心腔内の複数の位置で信号を計測するための1つ以上の電極を含む。このシステムは、1つ以上の電極に連結された電子プロセッサをさらに含む。電子プロセッサは、電極にて計測された信号と、電極位置の情報とに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように、また、計測された信号に1つ以上の演算子を適用して計測された信号への注釈情報を生成し、少なくともいくつかの注釈情報をユーザに伝達するように構成されている。
【0031】
実施形態は次のうち1つ以上を含んでいてよい。
注釈情報は、活性化時間に関連した情報を含み得る。
注釈情報は、二重活性化に関する情報を含み得る。
【0032】
注釈情報は、分画に関する情報を含み得る。
注釈情報は、電圧振幅に関する情報を含み得る。
注釈情報は、スペクトルコンテンツに関する情報を含み得る。
【0033】
電子プロセッサは、二重振れを有する心臓領域、複数の振れを有する心臓領域、分画を有する心臓領域、活性化を有さない心臓領域のうち少なくとも1つを同定することで、注釈情報を生成するように構成できる。
【0034】
電子プロセッサは、計測された信号に、二重振れを検出するためのアルゴリズムを適用することで、注釈情報を生成するように構成されており、また、電子プロセッサは、患者の心臓の電気解剖学的画像の上に、二重振れの領域を同定するインジケータを表示させることにより、少なくともいくつかの注釈情報を伝達するように構成できる。
【0035】
電子プロセッサは、計測された信号に、分画を検出するためのアルゴリズムを適用することにより、注釈情報を生成するように構成されており、電子プロセッサは、分画領域を同定するために、患者の心臓の電気解剖学的画像上にインジケータを表示することによって、少なくともいくつかの注釈情報を伝達するように構成できる。
【0036】
電子プロセッサは、計測された信号に、活性化なしを検出するためのアルゴリズムを適用することにより、注釈情報を生成するように構成されており、電子プロセッサは、活性化欠如領域を同定するために、患者の心臓の電気解剖学的画像上にインジケータを表示することによって、少なくともいくつかの注釈情報を伝達するように構成できる。
【0037】
電子プロセッサはさらに、指定の計測された信号について自動生成された注釈情報への変更を操作者から受信し、変更に基づいて、1つ以上の追加の計測された信号について注釈情報を修正する、ように構成できる。
【0038】
電子プロセッサは、注釈情報を自動修正することによって、注釈情報を修正するように構成できる。
電子プロセッサは、指定の計測された信号と空間的に近接している1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を自動調整することにより、1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を調整するように構成できる。
【0039】
指定の計測された信号と空間的に近接している計測された信号は、指定の計測された信号までの影響半径内の位置にある信号を含むことができる。
1つ以上の電極において計測される信号は電位図であってよい。
【0040】
電子プロセッサはさらに、指定の電位図についての自動生成された注釈情報への変更を操作者から受信し、操作者による指定の電位図についての注釈情報への変更に基づいて、その他の電位図についての注釈情報を自動調整するように構成できる。
【0041】
電子プロセッサはさらに、指定の計測された信号についての活性化時間の変更を操作者から受信し、操作者による変更に基づいて、1つ以上の追加の計測された信号について活性化時間を自動調整するように構成できる。
【0042】
1つ以上の電極において計測された信号のうち少なくともいくつかは電位図を備えている。
電子プロセッサは、指定の電位図と、空間的に隣接し合った電位図とに基づいた注釈情報を生成することにより、注釈情報を生成するように構成できる。
【0043】
空間的に隣接し合った電位図は、指定の計測された信号までの設定された距離内にある電位図であってよい。
電子プロセッサは、複数の振れを含む電位図を生成し、複数の振れについてのタイミング情報と、空間的に隣接し合った電位図における振れのためのタイミング情報に基づいて複数の振れから1つの振れを選択し、選択した振れを注釈情報の決定に使用するように構成できる。
【0044】
空間的に隣接し合った電位図は、指定の計測された信号までの設定された距離内にある電位図を含むことができる。
電子プロセッサは、心内膜の特定の場所に対応する電極の場所で計測された信号と、特定の場所に対応する電極の場所と空間的に近接した場所における1つ以上の追加の電極にて計測された信号とに基づいて、心内膜の特定の場所についての注釈情報を生成することにより、注釈情報を生成するように構成できる。
【0045】
特定の場所と空間的に近接した場所にある1つ以上の追加の電極は、指定の計測された信号までの設定された距離内に1つ以上の追加の電極を含むことができる。
電子プロセッサは、局所的タイミング情報を決定するために信号の計測が行われた位置についての空間的情報を使用して、注釈情報を生成するように構成できる。
【0046】
電子プロセッサは、局所的タイミング情報を決定するために複数の異なる電極によって計測された信号を使用して、注釈情報を生成するように構成できる。
1つ以上の電極は、心臓内カテーテル上の1つ以上の電極であってよい。
【0047】
電子プロセッサはさらに、複数の位置で計測された信号を、心拍周期に従って互いに同期させるように構成できる。
電子プロセッサは、同期された信号を処理することにより、複数の位置において計測された信号に基づいて、心内膜表面の複数の場所で生体情報を決定することで、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成できる。
【0048】
電子プロセッサは、計測された信号を、ラプラス方程式に近い数学演算子に少なくとも一部基づいて処理して生体情報を決定することで、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成できる。
【0049】
電子プロセッサはさらに、患者の心臓の電気解剖学的画像の少なくとも一部を表示するように構成できる。
電子プロセッサは、信号に変換関数を適用して、心内膜表面の複数の場所の生体情報を決定することで、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成でき、変換関数は、心腔内の少なくともいくつかの異なる位置から計測された信号を、心内膜表面の複数の場所の生体情報と関連付ける。
【0050】
心内膜表面の複数の場所の生理情報の決定は、心内膜表面の複数の場所の生体情報を、心腔内にあるカテーテルの異なる位置について計測された信号に関連付けるために順方向変換を計算し、次に順方向変換を逆転させることで、変換関数を決定するステップを含むことができる。
【0051】
電子プロセッサはさらに、全信号よりも少ないサブセットを選択し、選択した全信号よりも少ないサブセットに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成できる。
【0052】
いくつかの態様では、患者の心臓に関する情報を提供する方法は、患者の心腔内の複数の心拍周期にかかる電気活動に応答して、心腔内の複数の位置にある1つ以上の電極から信号を計測することを含み得る。この方法は、二重振れを有する心臓の領域、複数の振れを有する心臓の領域、分画を有する心臓の領域、二重活性化を有する心臓の領域、及び活性化を有さない心臓の領域のうち少なくとも1つを同定するために、コンピュータにより、1つ以上の演算子を計測された信号に適用することで、計測された信号への注釈情報を生成することをさらに含み得る。この方法は、コンピュータにより、少なくともいくつかの注釈情報を含む患者の心臓の電気解剖学的画像を生成することをさらに含み得る。
【0053】
実施形態は次のうち1つ以上を含んでよい。
注釈情報は、活性化時間に関する情報を含むことができる。
注釈情報は、二重活性化に関する情報を含むことができる。
【0054】
注釈情報は、分画に関する情報を含むことができる。
注釈情報は、電圧振幅に関する情報を含むことができる。
注釈情報は、スペクトルコンテンツに関する情報を含むことができる。
【0055】
注釈情報の生成は、計測された信号に、二重振れを検出するためのアルゴリズムを適用することを含むことができ、電気解剖学的画像の生成は、二重振れの領域の同定を含み得る。
【0056】
注釈情報の生成は、計測された信号に、分画を検出するためのアルゴリズムを適用することを含み、電気解剖学的画像の生成は、分画の領域を同定することを含み得る。
注釈情報の生成は、計測された信号に、活性化を有さないことを検出するためのアルゴリズムを適用することを含み、電気解剖学的画像の生成は、活性化の領域を同定することを含み得る。
【0057】
この方法は、指定された計測された信号についての注釈情報の変更を操作者から受信することと、コンピュータにより、1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を、変更に基づいて修正することとを含み得る。
【0058】
1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を修正することは、指定の計測された信号と空間的に近接している1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を自動調整することを含み得る。
【0059】
注釈情報の生成は、指定の電位図と、空間的または時間的に隣接している電位図に基づいて、注釈情報を生成することを含み得る。
注釈情報の生成は、特定の場所に対応する電極の場所にて計測された信号と、特定の場所に対応した電極の場所と空間的に近接した1つ以上の追加の電極の場所にて計測された信号とに基づいて、心内膜の特定の場所に注釈情報を生成することを含み得る。
【0060】
注釈情報の生成は、同じ電極における1つ以上の過去の拍動にて計測された特定の拍動および信号に対応する電極の場所にて計測された信号に基づいて、心内膜の特定の場所についての注釈情報を生成することを備え得る。
【0061】
1つ以上の電極は、心臓内カテーテル上の1つ以上の電極を含むことができる。
この方法はさらに、1つ以上の電極を備えたカテーテルを心腔内に挿入し、カテーテルを心腔内の複数の異なる場所の各々へ移動させることを含むことができる。
【0062】
この方法はさらに、複数の位置で計測された信号を、ある心拍周期に従って互いに同期させることを含み得る。
この方法はさらに、心腔の処置を誘導するために、患者の心臓の電気解剖学的画像を使用することを含み得る。
【0063】
この処置は、心臓の1つ以上の選択した領域の焼灼を含むことができる。
この処置は、細胞治療、遺伝子治療、またはその他の生物学的薬剤の適用を含むことができる。
【0064】
この方法はさらに、全信号よりも少ない信号のサブセットを選択し、全信号よりも少ない選択された信号のサブセットに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成することを含むことができる。
【0065】
いくつかの態様では、患者の心臓に関する情報を提供する方法は、複数の心拍周期にかけての患者の心腔内の電気活動に応答して、心腔内の複数の位置にある1つ以上の電極からの信号を計測することを含み得る。この方法はさらに、コンピュータによって、指定され計測された信号と、空間的または時間的に隣接する計測された信号とに、1つ以上の演算子を適用することで、計測された信号への注釈情報を生成することを含み得る。この方法はさらに、コンピュータによって、注釈情報を少なくともいくつかを含んだ、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成することを含み得る。
【0066】
実施形態は次のうち1つ以上を含むことができる。
注釈情報は、活性化時間に関する情報を含むことができる。
注釈情報は、二重活性化に関する情報を含むことができる。
【0067】
注釈情報は、分画に関する情報を含むことができる。
注釈情報は、電圧振幅に関する情報を含むことができる。
注釈情報は、スペクトルコンテンツに関する情報を含むことができる。
【0068】
注釈情報の生成は、二重振れを有する心臓の少なくとも1つの領域、複数の振れを有する心臓の領域、分画を有する心臓の領域、二重活性化を有する心臓の領域、そして心臓の活性化を有さない領域を同定するために、計測された信号に1つ以上の演算子を適用することを含み得る。
【0069】
この方法はさらに、操作者から、指定の計測された信号についての注釈情報への変更を受信すること、および、コンピュータによって、1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を、変更に基づいて修正することを含むことができる。
【0070】
注釈情報の修正は、注釈情報をコンピュータにより自動修正することを含むことができる。
1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を修正することは、指定の計測された信号と空間的に近接している1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を自動調整することを含み得る。
【0071】
指定の計測された信号と空間的に近接した計測された信号は、指定の計測された信号までの設定された距離内の位置にある信号であってよい。
1つ以上の電極で計測された信号は電位図であってよい。
【0072】
この方法はさらに、指定の電位図の注釈情報への変更を操作者から受信すること、および、コンピュータによって、その他の電位図のための注釈情報を、指定の電位図のための注釈情報への操作者による変更に基づいて、自動調整することを含むことができる。
【0073】
空間的に隣接している電位図は、事前定義された距離内にある電位図を含むことができる。
注釈情報の生成は、複数の振れを含む電位図について、複数の振れの中の1つの振れを、複数の振れのタイミング情報と、空間的に隣接している電位図中の振れのタイミング情報とに基づいて選択すること、および、注釈情報を決定するために、選択した振れを使用することを含むことができる。
【0074】
注釈情報の生成は、特定の場所に対応する電極の場所にて計測された信号と、特定の場所に対応する電極の場所と空間的に近接している場所にある1つ以上の追加の電極において計測された信号とに基づいて、心内膜の特定の場所についての注釈情報を生成することを含むことができる。
【0075】
特定の場所と空間的に近接している場所での1つ以上の追加の電極は、特定の場所までの所定の距離内に1つ以上の追加の電極を含むことができる。
注釈情報の生成は、特定の拍動に対応した電極の場所で計測された信号と、同じ電極での1つ以上の先行の拍動において計測された信号とに基づいて、心内膜の特定の場所についての注釈情報を生成することを含み得る。
【0076】
注釈情報の生成は、局所的なタイミング情報を求めるために、信号が計測された位置についての空間的情報を使用することを含み得る。
1つ以上の電極は、心臓内カテーテル上の1つ以上の電極であってよい。
【0077】
この方法はさらに、心腔の処置を誘導するために、患者の心臓の電気解剖学的画像を使用するステップを含むことができる。
この方法はさらに、全信号よりも少ない信号のサブセットを選択し、選択した全信号よりも少ない信号のサブセットに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成することを含み得る。
【0078】
いくつかの態様では、患者の心臓に関する情報を提供するシステムは、複数の心拍周期にかけての患者の心腔内の電気活動に応答して、心腔内の複数の位置で信号を計測するための1つ以上の電極を含む。このシステムはさらに、1つ以上の電極に結合された電子プロセッサとを備えており、この電子プロセッサは、二重振れを有する心臓の領域、複数の振れを有する心臓の領域、分画を有する心臓の領域、二重活性化を有する心臓の領域、及び活性化を有さない心臓の領域のうちの少なくとも1つを同定するために、計測された信号に1つ以上の演算子を適用することにより、計測された信号のための注釈情報を生成し、コンピュータによって、少なくともいくつかの注釈情報を含んだ、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成する、ように構成することができる。
【0079】
実施形態は次のうち1つ以上を含むことができる。
電子プロセッサは、計測された信号に、二重振れを検出するためのアルゴリズムを適用することで、注釈情報を生成するように構成され、電子プロセッサは、二重振れの領域を同定することで、電気解剖学的画像を生成するように構成されていてよい。
【0080】
電子プロセッサは、計測された信号に、分画を検出するためのアルゴリズムを適用することにより、注釈情報を生成するように構成されており、電子プロセッサは、分画の領域を同定することによって、電気解剖学的画像を生成するように構成されている。
【0081】
電子プロセッサは、計測された信号に、活性化なしを検出するためのアルゴリズムを適用することにより、注釈情報を生成するように構成されており、電子プロセッサは、活性化のない領域を同定することにより、電気解剖学的画像を生成するように構成されている。
【0082】
電子プロセッサはさらに、指定の計測された信号について自動生成された注釈情報への変更を操作者から受信し、この変更に基づいて、1つ以上の追加の計測された信号について注釈情報を修正するように構成することができる。
【0083】
電子プロセッサは、指定の計測された信号と空間的に近接している1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を自動調整することにより、1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を調整するように構成することができる。
【0084】
指定の計測された信号と空間的に近接している計測された信号は、指定の計測された信号までの設定された距離内の位置に信号であってよい。
電子プロセッサはさらに、指定の計測された信号についての活性化時間の変更を操作者から受信し、操作者による変更に基づいて、1つ以上の追加の計測された信号について活性化時間を自動調整するように構成することができる。
【0085】
1つ以上の電極において計測された信号のうち少なくともいくつかは電位図であってよい。
電子プロセッサは、指定の電位図と、空間的または時間的に隣接し合った電位図とに基づいた注釈情報を生成することにより、注釈情報を生成するように構成することができる。
【0086】
空間的に隣接し合った電位図は、指定の計測された信号までの設定された距離内にある電位図であってよい。
電子プロセッサは、複数の振れを含んでいる電位図について、複数の振れについてのタイミング情報と、空間的に隣接し合った電位図の振れについてのタイミング情報とに基づき、複数の振れの中から1つの振れを選択すること、および、選択した振れを使用して、注釈情報を決定することとによって、注釈情報を生成するように構成できる。
【0087】
空間的に隣接し合った電位図は、指定の計測された信号までの設定された距離内にある電位図を備えている。
電子プロセッサは、心内膜の特定の場所に対応する電極の場所で計測された信号と、特定の場所に対応する電極の場所と空間的に近接した場所における1つ以上の追加の電極にて計測された信号とに基づいて、心内膜の特定の場所についての注釈情報を生成することにより、注釈情報を生成するように構成できる。
【0088】
電子プロセッサは、特定の拍動に対応した電極の場所で計測された信号と、同じ電極において1つ以上の先行の拍動にて計測された信号とに基づいて、心内膜の特定の場所について注釈情報を生成することにより、注釈情報を生成するように構成できる。
【0089】
1つ以上の電極は、心臓内カテーテル上の1つ以上の電極であってよい。
いくつかの態様では、患者の心臓についての情報を提供するシステムは、複数の心拍周期にかけての患者の心腔内の電気活動に応答して、心腔内の複数の位置にて信号を計測するための1つ以上の電極を含むことができる。システムはさらに、1つ以上の電極につないだ電子プロセッサを備え、電子プロセッサは、指定の計測された信号と、空間的または時間的に隣接し合う計測された信号とに、1つ以上の演算子を適用することで、計測された信号について注釈情報を生成し、少なくともいくつかの注釈情報を含んだ、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成する、ように構成されている。
【0090】
実施形態は次のうち1つ以上を含むことができる。
電子プロセッサはさらに、心臓の複数の二重振れを有する領域と、心臓の複数の振れを有する領域と、心臓の分画を有する領域と、心臓の二重活性化を有する領域と、心臓の活性化を有さない領域とのうち少なくとも1つを同定するべく、計測された信号に1つ以上の演算子を適用することにより、注釈情報を生成するように構成できる。
【0091】
電子プロセッサはさらに、指定の計測された信号についての注釈情報への変更を操作者から受信し、この変更に基づいて、1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を修正するように構成されている。
【0092】
電子プロセッサはさらに、指定の計測された信号と空間的に近接している1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を自動調整することにより、1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を調整するように構成できる。
【0093】
指定の計測された信号と空間的に近接している計測された信号は、指定の計測された信号までの設定された距離内の位置にある信号であってよい。
1つ以上の電極にて計測された信号は電位図であってよい。
【0094】
電子プロセッサはさらに、指定の電位図についての注釈情報への変更を操作者から受信し、操作者による指定の電位図についての注釈情報への変更に基づいて、その他の電位図についての注釈情報を自動調整するように構成できる。
【0095】
空間的に隣接し合った電位図は、事前定義された距離内にある電位図であってよい。
電子プロセッサはさらに、複数の振れを含んでいる電位図について、複数の振れについてのタイミング情報と、空間的に隣接し合う電位図の振れについてのタイミング情報とに基づいて、複数の振れの中から1つの振れを選択し、注釈情報を決定するために、選択した振れを使用することにより、注釈情報を生成するように構成できる。
【0096】
電子プロセッサはさらに、内心膜の特定の場所に対応している電極の場所で計測された信号と、特定の場所に対応した電極の場所と空間的に近接する場所にある1つ以上の追加の電極にて計測された信号とに基づいて、心内膜の特定の場所についての注釈情報を生成することにより、注釈情報を生成するように構成できる。
【0097】
特定の場所と空間的に近接した場所における1つ以上の追加の電極は、特定の場所までの事前定義された距離内にある1つ以上の追加の電極であってよい。
電子プロセッサはさらに、特定の心拍に対応した電極の場所にて計測された信号と、1つ以上の先行の心拍にて、同じ電極において計測された信号とに基づいて、心内膜の特定の場所についての注釈情報を生成することにより、注釈情報を生成するように構成できる。
【0098】
電子プロセッサはさらに、局所的なタイミング情報を決定するために信号を計測された位置についての空間的情報を使用して、注釈情報を生成するように構成できる。
1つ以上の電極は、心臓内カテーテル上にある1つ以上の電極であってよい。
【0099】
いくつかの態様において、患者の心臓に関する情報を提供する方法は、複数の心拍周期にかけての患者の心腔内の電気活動に応答して、心腔内の複数の位置にある1つ以上の電極から信号を計測するステップと、コンピュータにより、計測された信号に1つ以上の演算子を適用することで、計測された信号についての注釈情報を生成するステップと、指定の計測された信号についての注釈情報への変化を操作者から受信するステップと、コンピュータにより、変更に基づいて、1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を修正するステップと、コンピュータにより、少なくともいくつかの注釈情報と、少なくともいくつかの修正された注釈情報とを含んだ、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップと、を含むことができる。
【0100】
実施形態は次のうちの1つ以上を含むことができる。
注釈情報を生成するステップは、二重振れを有する心臓の領域と、複数の振れを有する心臓の領域と、分画を有する心臓の領域と、二重活性化を有する心臓の領域と、活性化を有さない心臓の領域とのうち少なくとも1つを同定することを含むことができる。
【0101】
1つ以上の追加の計測された信号について注釈情報を修正するステップは、指定の計測された信号と空間的に近接している1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を自動調整するステップを含むことができる。
【0102】
1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を修正するステップは、指定の計測された信号と時間的に近接している1つ以上の追加の計測された信号についての注釈情報を自動調整するステップを含むことができる。
【0103】
注釈情報を生成するステップは、指定の電位図と、空間的または時間的に隣接し合った電位図とに基づいて、注釈情報を生成するステップを含むことができる。
1つ以上の電極は、心臓内カテーテル上の1つ以上の電極であってよい。
【0104】
前記方法は、心腔の処置を誘導するために、患者の心臓の電気解剖学的画像を使用するステップをさらに含むことができる。
いくつかの態様では、患者の心臓の電気解剖学的画像に関する情報を提供する方法が得られ、この方法は、複数の心拍周期を含むある期間にわたり、患者の心腔内の複数の位置にある1つ以上の電極において信号を計測するステップを含み、信号の少なくともいくつかは患者の心腔内の電気活動に応答している。この方法はさらに、計測された信号の1つ以上の特定の信号に、特定の信号のトリガイベントを決定するためのアルゴリズムを適用するステップを含む。この方法はさらに、コンピュータにより、トリガイベントに基づく心拍周期に従って、1つ以上の電極にて計測された信号を互いに同期させるステップと、コンピュータによって、同期された計測された信号と、カテーテル電極の位置とに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップを含む。
【0105】
実施形態は次の1つ以上を含むことができる。
計測された信号の第2の異なる信号に基づいて、特定の信号の、トリガイベントを決定するために処理されるべき部分を選択することで、トリガイベントを決定するために、アルゴリズムを特定の信号に適用する。
【0106】
特定の信号の、処理から除外する部分を選択することで、特定の信号の各部を選択する。
特定の信号の、処理に含める部分を選択することで、特定の信号の各部を選択する。
【0107】
この方法はさらに、特定の信号内の潜在的に誤ったトリガイベントと時間的に一致するイベントを決定するために、第2信号を処理し、潜在的に誤ったトリガイベントを含んでいる期間を除外される、特定の信号の部分を選択することで、トリガイベントを決定するために処理される特定の信号の部分を選択する。
【0108】
スライディングウィンドウ
積算を使用して特定の信号を処理して基準信号を生成することで、また、基準信号を分析してトリガイベントを決定することで、1つ以上の特定の信号にアルゴリズムを適用してトリガイベントを決定する。
【0109】
特別な信号を処理して瞬間的エネルギーの画像を生成することで、および、瞬間的エネルギーの画像を分析してトリガイベントを決定することで、1つ以上の特定の信号にアルゴリズムを適用してトリガイベントを決定する。
【0110】
アルゴリズムを適用して、ジッタを低減した信号の画像を生成することで、および、ジッタを低減した信号の画像を分析することで、トリガイベントを決定するために、1つ以上の特定の信号にアルゴリズムを適用してトリガイベントを決定する。
【0111】
信号をウィンドウ上
で積算するためにアルゴリズムを適用することで、および、アルゴリズムの結果が正となるように演算子を適用することで、アルゴリズムを1つ以上の特定の信号に適用してトリガイベントを決定する。
【0112】
1つ以上の電極は、心臓内カテーテル上に1つ以上の電極を含むことができる。
この方法はさらに、コンピュータによって、計測された信号に1つ以上のアルゴリズムを適用することで、計測された信号に注釈情報を生成することを含むことができる。
【0113】
この方法はまた、少なくともいくつかの注釈情報をユーザに伝達することを含んでもよい。
この方法はさらに、1つ以上の電極を備えたカテーテルを心腔内に挿入するステップと、心腔内の複数の異なる地点へとカテーテルを移動させるステップとを含むことができる。
【0114】
患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップは、同期させた信号を処理することにより、複数の位置で計測された信号に基づいて、心内膜表面の複数の場所で生体情報を決定するステップを含むことができる。
【0115】
同期させた信号を処理するステップは、同期させた信号を、これらがあたかも同時に取得されたかのように処理するステップを含むことができる。
患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップは、計測された信号を、ラプラス方程式に近い数学演算子に少なくとも一部基づいて処理することで生体情報を決定するステップを含むことができる。
【0116】
前記方法は、患者の心臓の電気解剖学的画像の少なくとも一部を表示するステップをさらに含むことができる。
前記方法は、患者の心臓の電気解剖学的画像を、心腔の処置を誘導するために使用することをさらに含むことができる。
【0117】
処置は、心臓の1つ以上の選択した領域の焼灼を含むことができる。
処置は、細胞治療、遺伝子治療、または他の生物学的薬剤の適用を含むことができる。
患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップは、信号に変換関数を適用することで、心内膜表面の複数の場所で生体情報を決定するステップを含むことができ、変換関数は、心腔内の少なくともいくつかの異なる位置から計測された信号を、心内膜表面の複数の場所での生体情報に関連付けする。
【0118】
心内膜表面の複数の場所において生体情報を決定するステップはさらに、心内膜表面の複数の場所における生体情報を、心腔内におけるカテーテルの異なる位置について計測された信号と関連付けるための順方向変換を計算することにより、変換関数を決定するステップと、順方向変換を逆転させるステップとを含むことができる。
【0119】
この逆転は、規制による未決定の行列反転の再公式化を含む。
この逆転は最小二乗最小化法をさらに含むことができる。
この方法は、全信号よりも少ない信号のサブセットの選択をさらに含むことができる。患者の心臓の電気解剖学的画像の生成は、全信号よりも少ない信号のサブセットの選択に基づく、患者の心臓の電気解剖学的画像の生成をも含み得る。
【0120】
いくつかの態様では、患者の心臓の電気解剖学的画像に関する情報を提供するシステムは、複数の心拍周期を含むある期間にかけて患者の心腔内の複数の位置で信号を計測するための1つ以上の電極であって、信号の少なくともいくつかは患者の心腔内の電気活動に応答している、1つ以上の電極を含む。このシステムはまた、1つ以上の電極につないだ電子プロセッサとを備え、この電子プロセッサは、計測された信号のうち1つ以上の特定の信号に、特定の信号内のトリガイベントを決定するためのアルゴリズムを適用し、トリガイベントに基づき、心拍周期に従って、1つ以上の電極にて計測された信号を互いに同期させ、同期化された計測された信号と、カテーテル電極の位置とに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成されている。
【0121】
電子プロセッサは、計測された信号の第2の異なる信号に基づいて、特定の信号の、トリガイベントを決定するために処理されるべき部分を選択することで、トリガイベントを決定するために、アルゴリズムを特定の信号に適用するよう用に構成できる。
【0122】
電子プロセッサは、特定の信号の、処理から除外する部分を選択することで、特定の信号の各部を選択するように構成することができる。
電子プロセッサは、特定の信号の、処理に含める部分を選択することで、特定の信号の各部を選択するように構成できる。
【0123】
電子プロセッサはさらに、特定の信号内の潜在的に誤ったトリガイベントと時間的に一致するイベントを決定するために、第2信号を処理し、潜在的に誤ったトリガイベントを含んでいる期間を除外される、特定の信号の部分を選択することで、トリガイベントを決定するために処理される特定の信号の部分を選択するように構成できる。
【0124】
電子プロセッサは、スライディングウィンドウ
積算を使用して特定の信号を処理して基準信号を生成することで、また、基準信号を分析してトリガイベントを決定することで、1つ以上の特定の信号にアルゴリズムを適用してトリガイベントを決定するように構成できる。
【0125】
電子プロセッサは、特別な信号を処理して瞬間的エネルギーの画像を生成することで、および、瞬間的エネルギーの画像を分析してトリガイベントを決定することで、1つ以上の特定の信号にアルゴリズムを適用してトリガイベントを決定するように構成できる。
【0126】
電子プロセッサは、アルゴリズムを適用して、ジッタを低減した信号の画像を生成することで、および、ジッタを低減した信号の画像を分析することで、トリガイベントを決定するために、1つ以上の特定の信号にアルゴリズムを適用してトリガイベントを決定するように構成できる。
【0127】
電子プロセッサは、信号をウィンドウ上
で積算するためにアルゴリズムを適用することで、および、アルゴリズムの結果が正となるように演算子を適用することで、アルゴリズムを1つ以上の特定の信号に適用してトリガイベントを決定するように構成できる。
【0128】
1つ以上の電極は心臓内カテーテル上にある1つ以上の電極であってよい。
電子プロセッサはさらに、複数の位置にて計測された信号を、心拍周期に従って互いに同期させるステップを備えるように構成できる。
【0129】
電子プロセッサは、同期信号を処理することで複数の位置で計測された信号に基づいて、心内膜表面の複数の場所での生体情報を決定することによって、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成できる。
【0130】
電子プロセッサは、計測された信号を、ラプラス方程式に近い数学演算子に少なくとも一部基づいて処理して生体情報を決定することで、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成できる。
【0131】
電子プロセッサは、患者の心臓の電気解剖学的画像の少なくとも一部を表示するようにさらに構成できる。
電子プロセッサは、心内膜表面の複数の場所において生体情報を決定すること、および、信号に変換関数を適用することにより、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成でき、変換関数は、心腔内の少なくともいくつかの異なる位置から計測された信号を、心内膜表面の複数の場所における生体情報と関連付ける。
【0132】
心内膜表面の複数の場所において生体情報を決定するステップは、心内膜表面の複数の場所における生体情報を、心腔内におけるカテーテルの異なる位置について計測された信号に関連付けるための順方向変換を計算することとにより、変換関数を決定するステップと、順方向変換を逆転させるステップとをさらに含むことができる。
【0133】
電子プロセッサはさらに、全信号よりも少ない信号のサブセットを選択し、また、選択した全信号よりも少ない信号のサブセットに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成できる。
【0134】
いくつかの態様では、患者の心臓の電気解剖学的画像に関する情報を提供する方法は、複数の心拍周期を含んでいる期間にかけて、患者の心腔内の複数の位置にある少なくとも1つ以上の電極にて信号を計測するステップを含み、信号の少なくともいくつかは患者の心臓の電気活動に応答している。この方法はさらに、複数の心拍周期の各々に指標を決定するために、コンピュータにより、計測された信号を処理するステップを含む。この方法はさらに、コンピュータにより、心拍周期に関連した指標に基づいて、計測された信号のサブセットを選択するステップを含む。この方法はさらに、コンピュータにより、計測された信号の選択したサブセットと、電極の位置とに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップを含む。
【0135】
実施形態は次のうちの1つ以上を含むことができる。
指標は拍動指標であってよい。
1つ以上の電極にて信号を計測するステップは、組織近接度を示す信号を計測するステップを含むことができる。
【0136】
組織近接度を表す信号は力計測値であってよい。
組織近接度を表す信号はインピーダンス計測値であってよい。
指標を決定するために信号を処理するステップは、組織近接度の計測値を決定するために信号を処理するステップを含み、指標に基づいて信号のサブセットを選択するステップは、組織近接度の計測値に基づいて信号のサブセットを選択することを含むことができる。
【0137】
組織近接度の計測値を表す信号のサブセットを選択するステップは、心内膜表面の約3mmの範囲内で信号を選択するステップを含むことができる。
1つ以上の電極にて信号を計測するステップは、カテーテル上の力を計測するステップを含むことができる。
【0138】
信号を計測するステップは、心内膜表面との接触を表す信号を計測するステップを含んでよく、指標を決定するべく信号を処理するステップは、力計測を決定するべく心内膜表面との接触を表す信号を処理するステップを含んでもよく、指標に基づき信号のサブセット選択するステップは、所定範囲内の力計測を有する信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0139】
所定範囲内の力計測値を有する信号のサブセットを選択するステップは、第1閾値よりも高く第2閾値よりも低い力計測値を有する信号を選択するステップを含むことができる。
【0140】
指標は、心内膜表面との接触の印を備えることができる。
指標は信号伝播の印を含むことができ、また、コンピュータにより、指標に基づいて計測された信号のサブセットを選択するステップは、通常の信号伝播に関連した指標を有する信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0141】
信号を計測するステップは、第1の安定した場所に位置する第1電極において第1信号を計測するステップと、第1の安定した場所から離間している第2の安定した場所に位置する第2電極において第2信号を計測するステップを含み、計測された信号を処理するステップは、第1信号と第2信号の活性化間のタイミング差を決定するステップを含み、計測された信号のサブセットを選択するステップは、所定範囲内のタイミング差を有する信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0142】
指標に基づいて、計測された信号のサブセットを選択するステップは、ペーシング信号の捕獲が発生している最中である拍動について、計測された信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0143】
信号を計測するステップは、ペーシング信号を計測し、安定した場所に位置した第2信号を計測するステップを含み、計測された信号を処理するステップは、第2信号中のペーシング信号と活性化との間のタイミング差を決定するステップを備え、タイミング差は、患者の心臓によるペーシング信号の捕獲に関する情報を提供する。
【0144】
指標は、心室活性化の印を含むことができ、また、コンピュータにより、指標に基づいて、計測された信号のサブセットを選択するステップは、心室活性化の欠如に関連した指標を有する信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0145】
拍動指標はファーフィールド信号の印を含むことができ、また、コンピュータにより、指標に基づいて、計測された信号のサブセットを選択するステップは、ファーフィールド信号の欠如に関連した指標を有する信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0146】
指標は、空間的に相関した信号について一貫した電位図の印を備え、この場合、空間的に相関した信号は、心腔内の類似の場所で計測されており、コンピュータにより、指標に基づいて、計測された信号のサブセット選択するステップは、所定範囲において電位図一貫性を有する信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0147】
指標を決定するために信号を処理するステップは、類似の場所で計測された信号を決定するために、信号に関する場所情報を処理するステップと、さらに、類似する場所で計測された信号どうしの間の類似度計測を決定するために、類似の場所で計測された信号を処理するステップとを備え、また、コンピュータにより、計測された信号のサブセットを選択するステップは、類似度計測に基づいて信号のサブセットを選択するステップを備えてもよい。
【0148】
指標は、時間的に関連した信号について電位図一貫性の印を含み、コンピュータにより、指標に基づいて、計測された信号のサブセットを選択するステップは、所定範囲内の電位図一貫性を有する信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0149】
指標を決定するために信号を処理するステップは、少なくとも2つの空間的に相関した信号間の類似度計測を決定するために、信号を処理するステップを含み、信号のサブセットを選択するステップは、少なくとも2つの空間的に相関した信号間の決定された類似度計測に基づいて、信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0150】
指標を決定するために信号を処理するステップは、少なくとも2つの時間的に相関した信号の間で類似度計測を決定するために、信号を処理するステップを含み、さらに、信号のサブセットを選択するステップは、少なくとも2つの時間的に相関した信号間の決定した類似度計測に基づいて、信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0151】
指標は、電位図において急速な変化の印であってよい。
1つ以上の電極において信号を計測するステップは、患者の心腔内の電気活動に応答して、1つ以上の心臓内電極において、信号を計測するステップを含むことができる。
【0152】
この方法は、患者の心臓の電気解剖学的画像を表示するステップをさらに含むことができる。
この方法は、1つ以上の電極を備えたカテーテルを心腔内に挿入するステップと、心腔内の複数の異なる地点へとカテーテルを移動させるステップとを含むことができる。
【0153】
この方法はさらに、複数の位置で計測された信号を、心拍周期に従って互いに同期させるステップを含むことができる。
患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップは、同期させた信号を処理することにより、複数の位置で計測された信号に基づいて、心内膜表面の複数の場所で生体情報を決定するステップを含むことができる。
【0154】
同期させた信号を処理するステップは、同期させた信号を、これらがあたかも同時に取得されたかのように処理するステップを含むことができる。
患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップは、計測された信号を、ラプラス方程式に近い数学演算子に少なくとも一部基づいて処理することで生体情報を決定するステップ含むことができる。
【0155】
この方法は、患者の心臓の電気解剖学的画像の少なくとも一部を表示するステップをさらに含むことができる。
この方法は、患者の心臓の電気解剖学的画像を、心腔の処置を誘導するために使用することをさらに含むことができる。
【0156】
処理は、心臓の1つ以上の選択した領域の焼灼を含むことができる。
処置は、細胞治療、遺伝子治療、または他の生物学的薬剤の適用を含むことができる。
患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップは、信号に変換関数を適用することで、心内膜表面の複数の場所で生体情報を決定するステップを含むことができ、変換関数は、心腔内の少なくともいくつかの異なる位置から計測された信号を、心内膜表面の複数の場所での生体情報に関連付けする。
【0157】
心内膜表面の複数の場所において生体情報を決定するステップは、心内膜表面の複数の場所における生体情報を、心腔内におけるカテーテルの異なる位置について計測された信号に関連付けるための順方向変換を計算することより、変換関数を決定するステップと、順方向変換を逆転させるステップとをさらに含む。
【0158】
この逆転は、規制による未決定の行列反転を再公式化することを含むことができる。
患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するステップは、計測された信号の選択したサブセットと、心内膜表面に対する電極の位置とに基づいて、電気解剖学的画像を生成することを含むことができる。
【0159】
いくつかの態様では、患者の心臓の電気解剖学的画像に関する情報を提供するシステムは、複数の心拍周期を含む期間にかけて、患者の心腔内の複数の位置において信号を計測する1つ以上の電極であり、少なくともいくつかの信号は、患者の心臓内での電気活動に応答している電極を含む。このシステムは1つ以上の電極に結合された電子プロセッサをさらに含む。電子プロセッサは、複数の心拍周期の各々に指標を決定するために、計測された信号を処理し、心拍周期に関連した指標に基づいて、計測された信号のサブセットを選択し、選択された計測された信号のサブセットと、電極の位置とに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成される。
【0160】
実施形態は次の内1つ以上を含むことができる。
指標は拍動指標を備える。
1つ以上の電極のうちの少なくとも1つは、組織近接度を表す信号を計測するように構成されている。
【0161】
組織近接度を表す信号は力計測値であってよい。
組織近接度を示す信号はインピーダンス計測値であってよい。
電子プロセッサは、組織近接度の計測値を決定するべく信号を処理することにより、指標を決定するように信号を処理し、組織近接度の計測値に基づいて信号のサブセットを選択することで、指標に基づいて、計測された信号のサブセットを選択するようにさらに構成されている。
【0162】
電子プロセッサは、心内膜表面の約3mmの範囲内で信号を選択することで、組織近接度の計測値を表す信号のサブセットを選択するようにさらに構成されている。
1つ以上の電極のうち少なくとも1つは、カテーテル上の力を計測するように構成できる。
【0163】
1つ以上の電極のうち少なくとも1つは、心内膜表面との接触を表す信号を計測するように構成でき、また、電子プロセッサはさらに、指標に基づき、所定範囲内の力計測を有する信号のサブセットを選択することで、力計測を決定し、信号のサブセットを選択するために、心内膜表面との接触を表す信号を処理することによって指標を決定するべく、信号を処理するように構成されている。
【0164】
電子プロセッサはさらに、第1閾値よりも高く、第2閾値よりも低い力計測を有する信号を選択することで、所定範囲内の力計測を有する信号のサブセットを選択するように構成できる。
【0165】
指標は心内膜表面との接触の印であってよい。
指標は、信号伝播の印であってよく、電子プロセッサはさらに、所望の信号伝播に関連した指標を有する信号のサブセットを選択することで、指標に基づいて、計測された信号のサブセットを選択するように構成されている。
【0166】
1つ以上の電極は、第1信号を計測するように構成された第1の安定した場所に位置する第1電極と、第1の安定した場所から離間し、第2信号を計測するように構成された第2の安定した場所に位置する第2電極とを含むことができ、電子プロセッサはさらに、計測された信号を、第1信号および第2信号内の活性化間のタイミング差を決定することで処理し、所定範囲内のタイミング差を有する信号のサブセットを選択することで、計測された信号のサブセットを選択するように構成されている。
【0167】
電子プロセッサはさらに、ペーシング信号の捕獲をその最中に有する拍動に計測された信号のサブセットを選択することで、指標に基づいて、計測された信号のサブセットを選択するように構成できる。
【0168】
1つ以上の電極は、安定した場所に位置するペーシング信号および第2信号を計測するように構成された電極を含むことができ、電子プロセッサはさらに、ペーシング信号と第2信号中の活性化との間のタイミング差を決定することにより、計測された信号を処理するように構成されており、タイミング差は、患者の心臓によるペーシング信号の捕獲に関する情報を提供する。
【0169】
指標は心室活性化の印であってよく、電子プロセッサはさらに、指標に基づき、心室活性化の欠如に関連した指標を有する信号のサブセットを選択することで、計測された信号のサブセットを選択するように構成できる。
【0170】
拍動指標は、ファーフィールド信号の印であってよく、電子プロセッサはさらに、指標に基づき、ファーフィールド信号の欠如に関連した指標を有する信号のサブセットを選択することで、計測された信号のサブセットを選択するように構成できる。
【0171】
指標は、空間的に相関した信号について電位図一貫性を表す印であってよく、この場合、空間的に相関した信号は、心腔内の類似した場所で計測中の状態にあり、電子プロセッサはさらに、指標に基づき、所定範囲内の電位図一貫性を有する信号のサブセットを選択することで、計測された信号のサブセットを選択するように構成されている。
【0172】
電子プロセッサはさらに、類似の場所で計測された信号を決定するべく、信号に関連した場所情報を処理することで、また、類似の場所で計測された信号間の類似度計測を決定するために、類似の場所で計測された信号を処理することで、指標を決定するために、信号処理を選択するように構成されており、計測された信号のサブセットの選択は、類似度計測に基づく信号のサブセットの選択を備えている。
【0173】
指標は、時間的に関連した信号についての電位図一貫性の印であってよく、電子プロセッサはさらに、指標に基づいて、所定範囲内の電位図一貫性を有する信号のサブセットを選択することで、計測された信号のサブセットを選択するように構成される。
【0174】
電子プロセッサはさらに、少なくとも2つの空間的に相関した信号の間の類似度計測を決定するべく信号を処理することで指標を決定するために、信号を処理するように構成されており、信号のサブセットの選択は、決定された少なくとも2つの空間的に相関している信号間の類似度計測に基づいて、信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0175】
電子プロセッサはさらに、少なくとも2つの時間的に相関した信号間の類似度計測を決定するべく信号を処理することで指標を決定するために、信号を処理するように構成でき、信号のサブセット選択は、決定された少なくとも2つの時間的に相関した信号間の類似度計側に基づいて、信号のサブセットを選択するステップを含むことができる。
【0176】
指標は、電位図における急速な変化の印であってよい。
1つ以上の電極は、心臓内カテーテル上に1つ以上の電極であってよい。
電子プロセッサはさらに、複数の位置で計測された信号を、心拍周期に従って互いに同期させるステップを備えるように構成されている。
【0177】
電子プロセッサは、同期信号を処理して複数の位置において計測された信号に基づき、心内膜表面の複数の場所において生体情報を決定することで、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成できる。
【0178】
電子プロセッサは、計測された信号を、ラプラス方程式に近い数学演算子に少なくとも一部基づいて処理して生体情報を決定することで、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成できる。
【0179】
電子プロセッサはさらに、患者の心臓の電気解剖学的画像の少なくとも一部を表示するように構成できる。
電子プロセッサは、信号に変換関数を適用して、心内膜表面の複数の場所での生体情報を決定することで、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成でき、変換関数は、心腔内の少なくともいくつかの異なる位置から計測された信号を、心内膜表面の複数の場所における生体情報と関連付ける。
【0180】
心内膜表面の複数の場所において生体情報を決定するステップはさらに、心内膜表面の複数の場所における生体情報を、心腔内におけるカテーテルの異なる位置について計測された信号と関連付けるための順方向変換を計算することにより、変換関数を決定するステップと、順方向変換を逆転させるステップとを含むことができる。
【0181】
電子プロセッサはさらに、全信号よりも少ない信号のサブセットを選択し、選択した、全信号よりも少ないサブセットに基づいて、患者の心臓の電気解剖学的画像を生成するように構成される。
【0182】
ここで述べているシステムおよび方法は、データの同期を維持し、信頼度の高い電気解剖学的マップの生成に使用できるデータのみを選別しながら、複数の心周期にかけて取得したデータを高速かつ自動方式にて集約する方法を提供し得ると考えられる。
【0183】
さらに、ここで述べるシステムおよび方法は、注釈情報を生成し、この注釈情報を電気解剖学的マップと共に表示させるための、高速かつ自動方式の方法を提供し得ると考えられる。
【0184】
さらに本システムの実施形態は、デバイス、ソフトウェア、コンポーネント、および/または、上述したあらゆる特徴を本方法と共に実行するためのシステムを含むことができる。
【0185】
ここで述べている本方法およびシステムの実施形態は、概して、患者身体の臓器(心臓、肺、脳、肝臓など)の内部における任意の物体の位置を決定するために適用できる。
ここで用いている、物体の「位置(position)」とは、3次元座標系における3次元物体の場所および方位を十分に定義する1つ以上の6次の自由度に関する情報を意味する。例えば、物体の位置には次の3つの独立した値がある。デカルト座標系における物体の点の座標、各デカルト軸周囲での物体の方位の角度を表す3つの独立した値、あるいはこのような値の任意のサブセットを表す3つの独立した値。
【0186】
ここで用いている「心腔」とは、心臓およびその周囲組織を意味する。
そのように定義されていない限り、ここで使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般に理解しているものと同じ意味を持つ。本明細書で参照によって援用している文書に係争が生じた場合には、本明細書が制御するものとする。
【0187】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以降の説明にて述べられる。本発明のその他の特徴、目的、利点は、説明および図面、さらに特許請求の範囲から明白となるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0190】
本明細書では、複数の心拍について取った計測値を、信頼できる電気解剖学的マップの生成に使用可能な心拍のみを選択し、維持しながら、1つの心臓マップに自動的に統合する方法を提供するためのシステムおよび方法を開示する。本発明のシステムおよび方法は、注釈情報を自動生成し、これを電気解剖学的マップと共に表示する手法も提供する。
【0191】
本明細書では、電気解剖学的マップの生成処理を自動化するためのシステムおよび方法を開示する。電気解剖学的マップは、不整脈源のピンポイントでの把握を助けるために、解剖学および心臓興奮についての情報を提供することで、心臓不整脈のカテーテルアブレーション処置の誘導として使用できる。既存のマッピング技法は、操作者による多数の手動入力に頼ったものであり、マッピングの速度、再現性、解像度が制限される。
【0192】
所与の心室腔をマッピングするには、十分な精度と解像度を持った数千の電位図計測値が必要である。データ取得ならびにマップ構築の作業を自動化することで、コンピュータが大容量のデータをタイムリーかつ高精度な方式で処理できるようになる。ここでは、コンピュータを使用して、信頼できる電気解剖学的マップの生成を自動化するシステムおよび方法について説明する。
【0193】
一般に、心臓マッピングシステムは、異なるタイプのマップを(例えば、人的介入を制限しながら)自動生成するために使用できる。このようなマップは、電気データ、解剖学的データ、またはこれらの組み合わせを表示することにより、内科医を、不整脈源を決定し、多くはラジオ波焼灼術(RFA)形式での治療処置を誘導するべく補助する。例証的なマッピングシステムが、例えば、2006年6月13日に提出のUS7,515,954号、「NON−CONTACT CARDIAC MAPPING,INCLUDING MOVING CATHETER AND MULTI−BEAT INTEGRATION」において説明されており、その内容はそのまま本明細書中で参照により援用される。
【0194】
いくつかの非自動式(例えば手動式)マッピング技法には、オペレータレビューと、入来データの各セットの入力とを含む。入来データをレビューするための十分な時間を取るために、マッピングデータセットにどのデータを追加するかを決める上での解釈用として提供される情報セットの数を制限する。手動マッピングでは、マップの生成が可能である一方で、マッピング処理にかなり時間がかかり、マップの出来が操作者によって大きく変わってしまう。典型的に、心周期長は0.15〜1.5秒間であり、操作者がマッピング中の全ての入来データを手動でレビューするには短すぎる。その結果、手動マッピングでは、収集されたデータのほとんどが無視されるため、マッピング処理が遅速化し、マップの精度が制限されてしまう。さらに、手動マッピングは、操作者によって操作される「クイックアナリシス(Quick Analysis)」に依存するので、操作者の技術ならびに操作者側のエラーにより非一貫性を招く可能性もある。本明細書では、電気解剖学的マップの生成ならびに発生し得る注釈付けの処理を自動化するシステムおよび方法について説明する。
【0195】
ここで説明するマッピング時間とマップ解像度についての本システムおよび方法の出願の影響力は大きい。例えば、報告された文献で述べられている値に基づけば、手動によるポイントバイポイント式のマッピングシステムでは、ポイント取得速度は1分間に3ポイントである。30分間の典型的なマッピング作業で得られるのは、心表面上のおよそ90データポイントを含んだマップである。本願明細書に例によってそのまま援用される、2007年12月18日に提出の米国特許出願第12/005975号、「CARDIAC
MAPPING CATHETER」で説明されているマルチ電極型マッピングカテーテルを使用した場合、14人のヒト患者において1分間に平均500ポイントを取得し、典型的なマッピング時間である10分間では、心表面上の5,000データポイントを取得した。
【0196】
図1は、例証的な自動電気解剖学的マッピング処理のフローチャートである。まず、複数の信号を含んだデータストリーム(102)をシステムに入力する。このデータストリームは次のような信号を含むことができる。心内電位図、表面心電図(ECG)、様々な技法(磁気、インピーダンス、超音波、リアルタイムMRIなど)から発せられた電極場所情報、組織近似情報、カテーテル力情報(力バネ感知、圧電感知、光学感知など)、カテーテル電気結合情報、呼吸相、および他の生体情報など。特定タイプのマップを生成するには、1つ以上の信号を基準として使用することで、データストリームを誘発し、これを心臓、他の生体リズム、または非同期システムクロックと整列させ、拍動データセットを成す(104)。
【0197】
入来する各鼓動データセットにつき多数の拍動指標を計算する(108)。拍動指標は、同一拍動中の複数の信号にまたがる単一信号からの情報、または複数の拍動にまたがる複数の信号からの情報を使用して計算できる。拍動指標は、特定の拍動データセットの質に関する、またはその拍動データがマップデータセットに含めるのに所望のものであることに関する、複数タイプの情報を提供する。拍動指標が算出されると、拍動承認処理(106)によってクライテリアを集合させ、どの拍動データベースがマップデータセットを構成するかを決定する(108)。
【0198】
次に、表面マップ生成処理(120)を採用して、マップデータセットおよび表面形状データから表面マップデータを生成する。同一のデータ取得処理中に、表面形状構造処理を採用し、同一または異なるトリガ指標および拍動承認指標を使用して、同時に表面形状データを生成することができる(112)。この処理では、データストリーム内の電極場所データやカテーテル形状データなどを使用して、表面形状を構築する。あるいは、先に収集しておいた表面形状を、表面マップデータへの入力として使用できる(116)。このような形状は、同手順中に、異なるマップデータセットを使用して、あるいは異なる様式(CT、MRI、超音波、回転血管造影など)を使用して先に収集し、カテーテル探知システムに登録しておくこともできる。本システムは、表面形状データのソースを選択し(114)、表面形状データ(118)を表面マップ生成処理(120)に提供する。生成処理(120)が表面マップデータ(122)を生成する。表面マップデータ(122)は、心臓電気的興奮、心臓動作、組織近似情報、組織インピーダンス情報、力情報に関する情報、あるいは臨床医にとって望ましい第1収集されたあらゆる他の情報を提供できる。表面マップデータを取得したら、このデータを、元となるデータからの所望の特徴を注釈付けするようにさらに処理することができ、この処理は表面マップ注釈(124)と定義される。所望の注釈には、信号の瞬間電位、活性時間、電圧振幅、優位周波数、および他の性質が含まれる。計算が終わると、注釈が、心腔形状の上にスーパーインポーズされた状態で表示される。表面形状の表示を構成している要素の数よりも注釈の数が少ない場合には、表面マップ補間を採用できる(126)。表示される複数のマップは、計算後に、個別に表示するか、または重ねて表示することができる(128)。
<データストリーム>
再び
図1を参照すると、注釈付きの電気解剖学的マッピング処理の最中に、データストリーム(102)が生理および非生理信号の集合を提供し、この信号がマッピング処理への入力として働く。これらの信号は、マッピングシステムによって直接収集するか、または、アナログあるいはデジタルインターフェースを使用して別システムから取得できる。
【0199】
データストリームは、次のような信号を含んでいてよい。単極または双極型の心内電位図(EGM)、表面心電図(ECG)、様々な技法(磁気、インピーダンス、超音波、蛍光透視、リアルタイムMRIなど)から発せられた電極および/またはカテーテルの場所情報、組織近似情報、様々な技法から得たカテーテル力/または接触情報、カテーテル先端または組織温度、音響情報、カテーテル電気結合情報、呼吸相、血圧、および他の生体情報。これに加え、データセットは、カテーテル形状、電極性質などの追加の情報を含んでいてもよい。
<トリガリング>
再び
図1を参照すると、自動電気解剖学的マッピング処理の最中にトリガ処理(104)が、データストリームからのデータの窓を周辺でサンプリングできる時間インスタンスを定義する。いくつかのケースでは、トリガイベントは、基準信号として指定された生理信号から検出される。他のケースでは、トリガは患者に対して非同期的であり、システムクロックから導出される。例えば、活性化マップを構築する場合、ECGまたはEGM信号を基準として使用することが普通である。しかし、解剖学的シェルを構築する場合には、このような基準は不要であるかもしれず、システムクロックがトリガを提供することができる。
【0200】
複数の心拍からデータを集めて、電気解剖学的マップを作成する場合、データストリーム内の安定した基準を誘発することが有益である。基準により、心周期内の所望の位相に対して拍動が整列する。いくつかの例では、トリガリングに1つの信号源(例えばECGリードII)を選択し、また、トリガの検出には、最小/最大勾配、絶対最大勾配、最大/最小勾配、またはベースラインからの第1偏差のような波形属性が使用される。信号形態属性、カテーテル動作、ノイズ源は、こうした単純なスキームによって信頼性が高く一貫したトリガを得難くする。すると、非精密なトリガリングによって、マップデータセットおよびでき上がりの電気解剖学的マップの崩壊を招く。複数の信号を使用してトリガリングを決定することで、単一信号に基づくトリガリングスキームと比べて、様々な利点が得られる。
<ブランキング>
いくつかの実施形態では、所与の信号上を、その信号の波形のみを使用し、単純なクライテリアを使用して一貫してトリガすることは実用的でない可能性がある。例えば、右心房または左心房内をマッピングする場合は、双極型心拍信号を基準として使用することが望ましいことが多い。タイミングの非精密性を避けるために、この信号が心室活性化ではなく心房活性化をトリガすることが重要である。冠静脈洞(「CS」)内に位置決めされた双極電極対が、この目的で基準として頻繁に使用される。それでも、双極電極対は、患者の特定の解剖学的構造に応じて、同等の振幅を持った心房活性化および心室活性化を計測することができる。そのため、1つの信号源を使用する場合には、所望の心房活性化を一貫してトリガすることが困難になる。この問題に対する既存の解決法は、別の電極組を探すというものであるが、これがない場合には、より良いトリガ部位が見つかるよう願いながら、カテーテルを再度位置決めするしかない。いずれのアプローチも失敗することが頻繁にある。本発明は、追加の信号を、ブランキング基準値としての優勢の心室活性化と共に使用することで問題を克服する手段を提供する。
【0201】
図2はこのアプローチの一例である。波形Bは、基準トリガリングに使用する波形の略図である。この波形は、2つの優勢な活性化130、132を有し、振幅が低い方の活性化132が望ましい基準トリガである。臨床的に、これら2つの活性化130、132は、双極型冠静脈洞電極の対上で計測された心室活性化と心房活性化であってよく、心房活性化132の方が望ましいトリガである。振幅が低い方の心房信号132を確実にトリガするには、追加の波形、つまり波形Aを採用する。この波形では、不所望の活性化が優勢であるため、検出し易い(例えば、活性化134で示す通り)。臨床的にこれは、R波をトリガとした、表面ECG信号のリードIIであってよい。この波形をブランキング基準波形として定義することができる。関心のブランキング基準タイミングを見つけるために、タイミング検出アルゴリズムは、検出クライテリアとして、最大、最小、最大または最小微分係数、あるいはベースラインからの偏差などのいずれかを採用できる。ブランキング基準を検出すると(例えば、活性化134のタイミングを検出すると)、次に波形Bにブランキングウィンドウ136を定義する。ブランキングウィンドウ136には、ブランキング基準に関連したオフセットと持続期間が定義されている。オフセットと持続期間は、不所望の活性化持続期間全体を含むことができる程大きいが、しかし所望の活性化タイミングを含む程には大きくならないように決定される。ECGIIをブランキング基準波形として、また、冠状脈洞を基準トリガとして使用する場合、これらの典型的な値は、オフセットが40m/秒、持続期間が120m/秒である。波形B中のトリガを決定する場合、ブランキングウィンドウの最中の信号は無視される。この方式では、不所望の信号の影響を効率的に無視することができる。
【0202】
このアプローチは他のシナリオおよび信号と併用できる点に留意することが重要である。例えば、マッピング中にはしばしば心臓刺激を採用する。刺激信号ではなく生体信号を誘発することが望ましい可能性がある。上述したものと同じ方式で、大きな刺激信号を持った波形をブランキング基準波形として採用できる。すると、刺激アーチファクトと、生体活性化を表す信号との両方を持つ波形を、基準トリガとして使用できるようになる。
【0203】
さらに、トリガリングを決定するために2つ以上のブランキング基準(例えば2つ、3つ、4つのブランキング信号)を使用する状況もあり得るかもしれない。例えば、望ましいトリガが心房である場合には、1つの信号上に刺激アーチファクトと心室活性化の両方が存在することも可能である。このケースでは、2つのブランキング基準を同時に定義することができる。
【0204】
これに加え、ブランキング基準は、ブランキングウィンドウではなく包括ウィンドウを定義できる。このケースでは、波形B中の基準トリガは、波形A中のブランキング基準の周囲につくられた包括ウィンドウの最中にのみ決定することができる。例えば、これは、心室内のマッピングを行う場合に望ましい。ここでも、波形AはECGリードII、波形Bは冠動脈洞内の双極組の電極であってよい。このケースでは、ブランキング基準周辺の包括ウィンドウを使用して、冠動脈同波形中の包括ウィンドウの最中における心室活性化を見つける。
【0205】
図3は、ヒト患者から収集した信号に適用されたブランキングを示す。波形Aはブランキング基準波形、このケースではECGリードV4である。波形BはCS波形である。CS信号では、R波140の周囲にウィンドウ142が適用されている。この信号上で基準トリガまたは活性化時間を探す際、ブランキングウィンドウ142が存在する期間は無視される。
【0206】
ブランキングはトリガ設定時において便利であるが、さらに注釈にも使用できる。例えば、ファーフィールド効果を防ぐために共通のブランキング波形基準を使用して、各EGMにブランキングを適用することが可能である。さらには電圧振幅およびその他の注釈も、ブランキングの利点によるものである。
<強力なトリガリング>
図4の波形Aは、ヒト患者から取得した双極の冠静脈洞信号の一例である。波形が例証しているように、局所的な活性化中に、双極信号は複数の上向き成分150と、下向き成分152を呈することができる。さらに、信号の形態は、活性化およびカテーテル動作に少し変化があっただけで大きく変化する可能性がある。波形A中に矢印で示すように、極大および極小のタイミングが頻繁に変化することで、マップデータセット中にタイミングジッタが生じる。例えば、活性化154において、第1上向き成分が極大を提供するが、活性化156においては、第2上向き成分が極大を提供している。同様に、活性化154において、第1下向き成分が極小を提供するが、活性化156においては、第2下向き成分が極小を提供する。そのため、信号内で異なる活性化時間が選択されることによって、極大または極小に基づいたタイミングにタイミングジッタが生じる。
【0207】
前出と同様に、この問題への既存の解決法は、異なる電極組があればこれを探すが、これがない場合は、より安定したトリガ部位が見つかるよう願ってカテーテルを再位置決めするしかないというものである。ここで説明しているシステムおよび方法は、瞬間電力のピーク、または同等の計測値を探すための処理を信号に追加することで、この問題を克服することができる。このようなトリガリングを強力なトリガリングと呼ぶ。
【0208】
所与のサンプル値信号S(n)について、次の式1は強力なトリガ演算子を提供する。
【0209】
【数1】
この演算子は、信号を2・N+1サンプルの有限ウィンドウにかけて二乗および加算する。適用後は、単純な極大検出を、
図4の波形Bに示すように強固に適用することができる。このケースでは、最大微分係数検出も適用できる。実際には、70m/秒のウィンドウ持続期間が良好に実行されることがわかっている。
【0210】
この演算は瞬間電力を推定するものであるため、符号不変で、局所的な形態変化の影響を受け難い。この演算子の変形が可能であることが理解されるべきである。これらは絶対値演算子または任意の均一な力を信号に印加することを含む。これに加え、ハニング(Hanning)、カイザー(Kaiser)、ブラックマン(Blackman)などのより精巧な窓関数、または周波数選択窓を採用することができる。
【0211】
この演算子は設定をトリガする上で便利であるが、注釈にも使用できる。例えば、個々のEGMに演算子を適用すると、活性化タイミングが最大になることがわかった。電圧振幅およびその他の注釈も電力信号から導出できる。
<拍動指標および承認>
再び
図1を参照すると、所望の信号のトリガ(104)後に、拍動指標(108)を使用して拍動承認(106)を決定する。各トリガイベントは、イベントが心臓以外の情報からトリガされたものであっても、拍動と呼ばれる。拍動の計測および承認処理では、トリガイベント発生の周辺に拍動ウィンドウが定義される。トリガリングが基準信号中で所望のイベントを同定する間、多くの追加の因数が、任意の所与の拍動中で収集されたデータの品質と関連度に影響を及ぼす。例えば、心周期長さ、カテーテル速度、呼吸相、患者の動作、負傷電流などのような属性が、特定タイプの電気解剖学的マップのマップデータセットに含めるデータの関連度に影響し得る。
【0212】
マップデータセットを作成するために、コンピュータが、拍動承認スキームのいくつかの要素を入来する拍動に自動的に適用する。このスキームは、マップデータセットに特定のクライテリアを満たす拍動のみを追加するために、所定の拍動指標の組を適用する。複数の電極が付いているカテーテルのケースでは、拍動指標は、拍動期間中にカテーテルによって収集した全ての情報の包含または除外に影響を与える。あるいは、拍動指標は、カテーテルが収集した情報のサブセットの包含または除外に適用され、これを決定することができる。手動によるマッピングシステムでは、このアクティビティは操作者によって実行されるため、システムの決定を誘導する情報が制限される。さらに、拍動は0.2〜1.5秒の範囲の速度で到着するが、これでは速過ぎて操作者はレビューすることができない。
【0213】
拍動指標は、マッピング処理を自動化するために、電気解剖学的マッピングシステムによって直接使用されることができる。それでもなお、拍動指標によって提供される情報は、手動のマッピングシステムで、操作者による追加の入力として表示および使用することが可能である。
【0214】
拍動指標は、2進数(YES/NO)承認決定、承認レベルを表す値の両方を提供するように設計できる。異なる拍動指標を1つの拍動承認決定に集める場合、全ての拍動指標に論理ANDを適用することができる。マップデータセットに拍動が追加されるかどうかを決定する場合には、所望であれば、コンピュータによって、より精巧な関数を2進決定のセットまたは値のいずれかに適用してもよい。
【0215】
拍動承認と拍動計測は、データストリームが到着している時にリアルタイムで実行することができる(例えば、コンピュータはデータストリームが承認されるとこれを処理することができる)。これに加えて、スキームはデータ収集の後、逆戻りし、潜在的には異なるパラメータを用いてスキームを再度実行することができる(例えば、コンピュータは収集したデータを再処理することができる)。例えば、マッピング中に、1人の患者が2つの断続的なリズムを持つことが可能である。マッピング処理中に、あるリズムを持つ拍動のみを含んだマップデータセットを収集することができる(その他のリズムは拒絶される)。マッピング処理の後、拍動指標を再計算し、第2リズムを承認するべく承認を適用して、第2マップを製作する。あるいは、異なる所望のリズムを承認・拒否するようにそれぞれ設計されている、拍動承認パイプラインとマッピングパイプラインという2本のパイプラインを設定することにより、2つのリズムを同時にマッピングすることができる。
【0216】
次に、入来する拍動に適用できる、異なる例証的な拍動指標について述べる。その他のタイプの拍動指標の適用も可能であることが理解されるべきである。
<機械ベースの指標>
<呼吸>
患者の呼吸は心臓マッピングシステムに多くの影響を及ぼす。呼吸が胸部内で心臓を動作させることで、カテーテルまたは電極探索システムの精度に影響する可能性がある。また、呼吸は心臓の形状を変形させ、解剖学的形態のある部分は最大で7mmも変形する(“A Study of the Motion and Deformation of the Heart Due to Respiration”, Kate McLeish,IEEE Transactions On Medical Imaging,VOL.21,NO.9,September 2002)。これに加えて、呼吸が診断カテーテルを変位させることで、EGM計測が変化し、さらには心リズムが若干変調することさえある。
【0217】
その結果、呼吸周期の一貫した期間において呼吸相の検出およびデータ収集を行うために使用される、呼吸の拍動指標を形成することが望ましい。拍動指標は、呼吸相データを収集するために多数のスキームを採用できる。
【0218】
患者が人工呼吸器を使って呼吸しているケースでは、呼吸相情報をインターフェース経由で呼吸器に直接提供することができる。さらに呼吸は、モニタベルトや音響感知のような様々な標準的な手段を使用して検出することも可能である。
【0219】
カテーテルアブレーション手順の最中に特に適用できる呼吸相感知スキームには、インピーダンス検出および探索センサを含む。インピーダンス検出では、身体表面上または身体内に電流注入電極を配置して、所望の周波数の電流を注入するように設定することができる。同じ電流注入電極またはあらゆる他の電極を、有意な呼吸効果を有する電位が得られるまで監視するために使用できる。
図5は、胸部上に位置決めした体表面電極上で、冠状脈洞電極と体表面電極の間への電流注入時に計測された波形を示す。図に示すように、信号は周期的である。波形状のある範囲の値は所望の範囲を定義しており、図中の太い点線170、172で示すように閾値として使用できる。拍動指標値は、拍動ウィンドウ中の波形の平均値と、所望の範囲の中心(例えば、信号が点線174と交差する場所で示す)との間の差である。あるいは、拍動指標値は、ウィンドウ中の中央値または基準トリガのタイミング中の瞬間値と、所望の範囲の中心との間の差であってもよい。拍動指標値が所望範囲内にある時、拍動指標がYES決定を受け取る。
【0220】
あるいは、探索センサを胸部上または身体内に配置することもできる。探索センサは、例えば磁気探索技術を使用できる。センサの場所は、上述した類似範囲閾値スキームによって時系列で並べることができる。
図6は、ヒト患者身体内における場所情報を使用した呼吸検出を示す。波形AはECGを、波形Bは、胸部上に配置された探索センサの対応するX、Y、Z座標を示す。X、Y、Z座標に主成分分析を適用し、3つの座標を、閾値として使用する1つの波形に縮小させる。波形Cに第1成分を描出しており、これを閾値として使用する。患者の身体上または身体内の複数の探索センサも類似の方式で使用することができる。
<組織近接度>
電気解剖学的マップの構造における重要な問題は組織近接性の決定である。心臓内でマッピングカテーテルを移動させる際に、カテーテルが心臓組織と接触しているのか、近接位置にあるのかを判断することが難しい。EGMレビュー、超音波、蛍光透視法、触覚を含む多様な方法を採用して、接触を決定することができる。しかし、これらは正確な感度および特殊性に欠け、自動マッピング手順の組み込みが困難な可能性がある。例えば、カテーテルが梗塞した組織と接触していると、EGMの性質および機械的なカテーテルの動作を、非接触時のものと区別できなくなる。組織近接度の知識は、解剖学的および電気マップの構造の両方にとって有用である。
【0221】
組織近接度の決定には、多様な方法を採用することができる。例えば、本明細書で参照によりそのまま援用している、米国特許出願第12/437,794号で説明されているようなインピーダンス情報を使用した組織近接度の評価、または、例えば米国特許出願第12/096,071号で説明されているような結合を、この拍動指標への入力として使用できる。インピーダンス情報を使用するケースでは、マッピングカテーテル上の電流注入電極が電流を注入する。注入電極および/またはその他の電位計測電極によって収集した計測値を使用して、心臓組織、ならびに、心臓組織とカテーテルおよびその電極との近接度に関する情報を決定することができる。次にこの情報を、各電極毎に、または包括的にカテーテル全体にかけて提供する。
【0222】
表面形状構築アルゴリズムは、壁と近接接近した電極の位置を入力として要し得る。このケースでは、組織近接度情報を閾値と共に使用することにより、コンピュータシステムが、組織近接度情報に基づく拍動を承認するか、また、壁までの短い距離を示す組織近接度値を持った拍動および/または電極位置のみを承認するかを決定できるようにしている。例えば、3mmの閾値を使用できる。
【0223】
同様に、電気マッピングでは、拍動、および/または、組織近接度情報が正確な壁距離を示す電極場所のみをマップデータセットに含めることが望ましい。また、拍動指標の生成と、これらの計測値のみをマップに含めるとの決定の生成とを行うために、範囲閾値もコンピュータシステムによって同様に適用することができる。
【0224】
さらに、カテーテルと壁の間の接触力を決定でき、指標として使用できる。力の計測は、以下を含む多数の技術を使用して計測できる。例えば米国特許出願第11/553,965号で説明されている圧電結晶、例えば米国特許出願第11/868733号で説明されているカテーテル先端において弾性の可変形部材で分離された複数のセンサの場所情報、そして、例えば米国特許出願第11/237,053号で説明されている光学感知。
【0225】
力の値は3つの範囲に分割できる。第1範囲は、例えばF<8gといった弱い力であり、壁接触を示さない。第2範囲は、例えば8g<F<40gといった中間量の力であり、正しい壁接触を示す。第3範囲は、例えばF>40gといった強い力であり、心臓の解剖学的形態を引張し、変形させる可能性のある過剰な力を示す。
【0226】
心室腔の解剖学的形態の作成に用いられる表面形状構築アルゴリズムには、カテーテルの、心室腔内部にある位置と、壁と正しく接触している位置との両方を持ったマップデータセットが必要である。このケースでは、力情報を、過剰力閾値未満の拍動のみを承認するように設計された範囲閾値スキームと共に、拍動指標として直接使用することができる。正確に壁接触している位置だけを入力として要する表面形状構築アルゴリズムでは、力情報を、正確な壁接触を示す力の値を持った拍動のみを承認する閾値と共に使用することができる。
【0227】
電気マッピングでは、マップデータセットへの包含に好適なのは、カテーテルの力情報が正確な壁接触を示す拍動のみである。範囲閾値も、拍動指標の生成と、これらの計測値のみをマップに含めるとの決定の生成とを行うために、コンピュータシステムによって同様に適用できる。
<カテーテルの移動>
マッピングカテーテルは臨床医によって異なる部位へ移動され、複数の場所で計測値を収集する。これに加えて、カテーテルは心収縮による動作にも晒される。拍動ウィンドウ中に、マッピングシステムは、平均化、メディアン(中央値)、ゲーティングを基準トリガまたはウィンドウ中心に使用して、複数の電極に1つの場所を割り当てることができる。拍動ウィンドウ中にカテーテルを過剰に動作させると、マップ生成に使用する場所の精度が低下してしまう。
【0228】
拍動指標は、カテーテル速度を入力として使用するように定義することができる。上述の範囲閾値スキームを使用すれば、過剰なカテーテルの動作をマップデータセットから自動的に拒絶することが可能である(例えば、人間と多く相互作用せずとも、コンピュータシステムによって自動拒絶される)。
<患者の動作>
呼吸と同様、患者の動作も心臓の解剖学的形態とカテーテル追跡精度に影響を与える。拍動指標を使用すれば、患者の動作を検出し、患者の動作中および/または動作後のデータを拒絶することができる。
【0229】
外部電界生成器のケースでは、1つまたは複数の探索センサを、身体表面上または身体内の安定した場所に配置して、患者場所基準を提供することができる。次に、患者場所基準のベースライン位置を記録する。マッピングが開始すると、範囲閾値スキームを使用して、ベースライン位置と最新の患者場所基準位置との間の距離が生成される。患者場所基準と閾値は、多くの人的入力を必要としないアルゴリズムに基づいたコンピュータシステムによって自動的に完了し得る。
<電位図/心電図ベースの指標>
マッピング中には、心臓内の電気伝播シーケンスの一貫性が様々な要因によって影響を受ける。少し例を挙げると、断続的な心リズム、ペーシング捕獲の失敗、期外収縮を引き起こすカテーテルの物理的接触がある。したがって、マッピングに望ましいのはマップに拍動を追加する以前の基礎リズムであることを確認することが重要である。これは、コンピュータシステムを使用し、異なる指標を用いることで達成できる。コンピュータシステムはデータ入力を受信し、データを分析し、さらに、収集されたデータを電気解剖学的マップに含めるかどうか、および/または、観察した心臓内の電気伝播シーケンスの一貫性に基づく注釈を提供するべきかどうかについての決定を行う。
<周期長>
基準トリガどうしの間の期間は、周期長として定義される。典型的に、心周期長は0.2〜1.5秒間である。心リズムが不安定な間は、周期長が拍動にわたって変化し易い。反対に、心リズムが安定している間は、周期長は特定の許容範囲内で安定状態を維持すると予想される。
【0230】
周期長は、コンピュータを使用して、入来する拍動毎に計算することができる。コンピュータシステムは(人間の作業員とは反対に)入来信号を分析して周期長を計算するので、データ収集の遅延なくリアルタイムで決定を行うことが可能である。絶対スキームと相対スキームの2つのスキームのうち一方を、範囲閾値スキームにおいてと同様に使用し、そこから拍動指標を導出することができる。絶対スキームでは周期長値が定義され、コンピュータは入来する全ての拍動をこの周期長値と比較する。周期長値は、所望のリズムが続いている間に計測できる。別の例では、コンピュータシステムは、現在の周期長を先行の拍動と、あるいは近傍の拍動の他の加重関数と比較することで、相対スキームを実行することができる。コンピュータシステムは、周期長情報に基づいて、特定の周期からのデータを電気解剖学的マップに含めるかどうかを決定し得る。
<伝播基準>
周期長は心リズムを検出するための強力な指標である一方で、1つの電位図をサンプリングする全体尺度でもある。故に、周期長は、心室腔内の伝播シーケンスを確認せず、異なる基礎リズムを持った拍動を電気解剖学マップに含めることを可能にする。コンピュータシステムは、伝播基準を使用して、第2心拍信号と基準トリガの間の相対タイミングを計測して、所望の伝播シーケンスが実行中であるとの追加の検証を行う。伝播基準は、基準トリガと同じトリガスキームを使用し、またトリガ時には、同じクライテリア(例えば最小/最大)、および拡張(例えばブランキング)を使用することができる。例えば、1つのケースでは、基準トリガはCSからの双極信号であってよく、その一方で、伝播基準は右心房心耳内の双極電極から来ている。両信号のタイミングが検出されたら、その相対タイミングを拍動指標として使用できるようになる。別の例では、ペーシングを使用できる。このケースでは、基準トリガは刺激信号であってよい一方で、伝播基準は生体信号であってよい。先行の例と同様に、CS内でペーシングが実行中であれば、右心房心耳からの双極信号を伝播基準として使用することができる。このケースは、伝播基準を使用してペーシングの捕獲を確認できるので、特に有利である。ペーシング時には、周期長だけが刺激入力に完全に依存することができるので、マッピングに有用な生体情報は提供されない。
【0231】
図7は上述の概略的な例を提供する。波形Aは、先述したブランキングトリガを提供するために使用されるブランキング波形である。波形Bは基準トリガ、波形Cは伝播基準である。波形Bのトリガと波形Cのトリガの間の相対タイミングをベースラインとして使用し、ベースラインからの偏差を拍動指標として使用する。このケースでは、30m/秒の相対タイミングを選択した。コンピュータシステムは、基準トリガと伝播基準の間のタイミング差が閾値を超えていると決定するとその拍動を拒絶し、さらに、この拍動からの拍動信号は、電気解剖学的マップの生成に使用されるデータセットには含められない。例えば、同図を見ると、|TC−TB−30ms|≦5msである場合、拍動が承認される。
【0232】
周期長と同様に、コンピュータシステムは、絶対ベースライン差または相対差のいずれかを指標に使用することができる。絶対差を使用するケースでは、初期のタイミング差をベースラインとして使用する一方で、望ましいリズムを観察することができる。コンピュータシステムは、後続の拍動のタイミング差をこのベースライン値と比較する。次に、範囲閾値スキームを適用し、拍動指標について値および決定を導出する。コンピュータシステムはさらに相対差を算出し、このケースでは、この相対差を、現在の拍動の相対タイミングを先行の1つのものと比較できる形で使用する。
【0233】
伝播シーケンスを確認するために、3つ以上のEGMを比較できることが理解されるべきである。各々がベースライン値を提供する、多数の伝播基準を画定できる。拍動指標は差の平均であってもよい。
【0234】
さらに、EGM間の一貫した関係を確認するために、タイミングだけでない他の波形態様を使用することができる。例えば、コンピュータシステムによって、式1で述べたような数学演算子を伝播基準波形に適用できる。説明したように、この演算子は、波形の歪みを減少させ、局所的な活性化タイミングおよびエネルギーの尺度を提供する。その後、相関または根平均二乗差を指標として適用することができる。
<ファーフィールドオーバーラップ>
電位図記録は、電極付近の組織が発出した電気信号を計測することを目的とする。それでも、特に局所組織における活性化の度合いが遠く離れた信号の活性化よりもかなり小さい場合には、電極は遠く離れた組織からの信号をピックアップしてしまう。電極が遠く離れた組織からピックアップした信号は「ファーフィールド信号」と呼ばれる。電気解剖学的マッピングシステムにおいて電位図記録に注釈を付ける場合、ファーフィールド成分の性質ではなく局所組織の性質を注釈することが重要である。例えば、心房の特定範囲の記録を収集する場合には(特に、三尖弁および僧帽弁輪に近い場合)、付近の心房組織が健康であっても、心室のファーフィールド信号が記録において優勢となる可能性がある。
【0235】
特定のリズム、特に速いリズムでは、いくつかの拍動中にファーフィールド成分が記録に現れることがある(しかし、他の拍動中には現れない)。この例には、房室解離、または心房と心室の間のn:1(n>1)関係が含まれる。これらのケースでは、ファーフィールド信号の存在とオーバーラップする拍動を拒絶し、EGMに誤った注釈を付けてしまうことを防ぐ拍動指標を定義することが可能である。コンピュータシステムは、入来信号を分析して、ファーフィールド成分の存在を決定する。例えば、追加されるデータ信号を計測して、ファーフィールド信号の存在を検出することができる。ファーフィールド信号を検出すると、コンピュータシステムは信号検出のタイミングを使用してブランキングウィンドウを提供することができる。このブランキングウィンドウの最中には、EGMデータからのデータが破棄される。したがって、顕著なファーフィールド成分が検出された場合には、コンピュータシステムがデータを破棄する(しかし、このデータには、例えば、電気解剖学的マップの生成に使用されるデータセット中の拍動からのデータは含まれない)。
【0236】
図8は、2:1房室伝導を伴う心房頻拍の患者からのECG記録およびEGM記録を示す(それぞれ信号A、Bにて示す)。波形AのECG信号から心室活性化を検出した。コンピュータシステムは、ECGから検出したこの信号180を、ブランキング基準、およびファーフィールド拒絶基準の両方として使用する。ブランキング基準は、波形BのCS信号中の心房活性化を強力にトリガするために使用され、先述したように基準トリガとして使用される。この基準トリガの周囲に拍動ウィンドウが定義される(例えば、拍動ウィンドウ184a、184b、184c、184d)。この例では、拍動ウィンドウの継続期間は頻拍周期長全体よりも若干短い(90%)。これに加えて、コンピュータシステムは、ファーフィールド拒絶基準180の周囲にファーフィールド拒絶ウィンドウ182a、182bを定義する(このケースでは、継続期間は110m/秒)。コンピュータシステムが算出した拍動指標値は、拍動ウィンドウ(例えば、拍動ウィンドウ184a、184b、184c、184d)とファーフィールド拒絶ウィンドウ(例えば、ウィンドウ182a、182b)の間のオーバーラップである。例えばオーバーラップが0m/秒を超えると常に指標がNO決定に戻り、コンピュータシステムが、心室活性化を含んだウィンドウを持つ拍動を自動的に拒絶する。この例では、ファーフィールド拒絶ウィンドウ182aが拍動ウィンドウ184aとオーバーラップし、ファーフィールド拒絶ウィンドウ182bが拍動ウィンドウ184sとオーバーラップしている。ファーフィールド拒絶ウィンドウが拍動182a、182cとオーバーラップしているため、コンピュータシステムは拍動182a、182cからのデータを破棄し、電気解剖学的マップの生成に使用しない。
<EGM一貫性>
いくつかのケースでは、マッピングカテーテルが収集した電位図の属性を、拍動指標として使用することが重要である。例えば、負傷電流は、マッピングカテーテルと組織の接触によって起こり得る、活性化の局所的変化である。負傷電流のケースでは、該当するマッピングカテーテルにより記録されたEGMが変更される一方で、その他のカテーテル上のEGMとリズムはそのまま変更されない。したがって、負傷電流を含んだEGMは、マッピングシステムによって誤注釈される可能性がある。そのため、マッピングカテーテルによって計測されたEGMをコンピュータシステムが自動監視するという拍動指標を提供することは、価値があると考えられる。このような拍動指標の1つがEGM一貫性である。
【0237】
EGM一貫性は、計測されたEGMが特定の期間または場所において一貫していることを確認するべく注視する。1タイプのEGM一貫性指標は、現在の拍動と先行の拍動との間のEGM相関であってよい。この指標では、コンピュータシステムが、マッピングカテーテルの各電極内のEGMを、先行の拍動のEGMと相関させる(例えば、時間関係を持つ信号どうしを比較する)。次に、コンピュータシステムが全ての電極にかけての平均相関を決定する。平均相関が特定の値(例えば0.7)を超えると、拍動が承認される。この指標は、例えば上述した負傷電流のような断続的な記録の崩壊を排除できる確率が高い。これに加えて、記録されたEGMがカテーテル移動時に変化する可能性があるため、この指標は、カテーテルを非常に急速に移動させた場合には拍動を拒絶することができる。
【0238】
EGMは、先行の拍動ではなく、先にマップの近隣の箇所に追加されていた拍動と比較される(例えば、互いに空間関係にあり、互いに対して比較される信号どうしが、コンピュータシステムによって相関される)。
【0239】
EGM一貫性の決定にはこれ以外の方法も適用できる点に留意することが重要である。例えば、コンピュータシステムは、近隣する拍動または場所における全てまたはいくつかの電極にかけてのEGMの実効値を計算することができる。これに加えて、一貫性について、EGM自体ではなくEGMの属性どうしを比較することができる。こうした尺度の例に、各EGM上における活性化時間の検出と、計算された近隣の拍動における、複数の電極にかけての活性化時間の変化の計算とがある。
【0240】
この指標は拍動ベースでなく、電極ベースで適用できる点に留意することも重要である。<表面形状構築>
表面形状構築アルゴリズムは、上に電気解剖学的マップが表示される、解剖学的表面を生成する。表明形状は、本明細書中に参照によりそのまま援用される、2008年5月8日出願の米国特許出願第12/437,794号、「Impedance Based Anatomy Generation」に記載されているシステムを使用して構築できる。
【0241】
あるいは、ユーザによってまたは自動的に心腔表面にあると判断された電極の場所に表面を適合させることで、コンピュータシステムにより解剖学的シェルを構築することができる。これに加えて、表面は、心腔内の最外の電極および/またはカテーテルの場所に適合させてもよい。
【0242】
説明したように、表面構築することができるマップデータセットは、電気マップおよび他タイプのマップに使用されるものと同一または異なる拍動承認クライテリアを採用できる。表面形状構築のためのマップデータセットは電気データと同時に、または別々に収集することができる。
【0243】
表面形状は、頂点(点)の集合体と、これらの間の連結性(例えば三角形)とを含むメッシュとして描出できる。あるいは、表面形状は、高次メッシュ、NURBS(非一様有理Bスプライン)、または曲線形状といった、異なる関数による描出が可能である。表面<マップの生成>
マップデータセットと表面形状データの組み合わせによって、表面マップ生成が可能になる。表面マップは、対象の心腔の表面上における値または波形(例えば電位図)の集合体であるが、マップデータセットには心表面上にないデータが含まれていてよい。表面マップデータセットを得るため、マップデータセットならびに表面形状データを処理するための1つのアプローチが、本明細書に参照によりそのまま援用される、2006年6月13日に出願のUS7,515,954号、「NON−CONTACT CARDIAC MAPPING,INCLUDING MOVING CATHETER AND MULTI−BEAT INTEGRATION」に記載されている。
【0244】
あるいは、または上述の方法と組み合わせにおいて、各電極に承認クライテリアを適用するアルゴリズムを採用することができる。例えば、設定された表面形状からの距離(例えば3mm)を超える電極場所を拒絶することができる。別のアルゴリズムは、インピーダンスを使用して、組織近接度情報を表面マップデータに含めるように組み込むことができる。このケースでは、3mm未満(<3mm)の近接値を持った電極場所のみが含まれる。基礎データのさらなる指標も、この目的に使用することができる。例えば、拍動指標と類似するEGM特性を電極毎に評価することができる。このケースでは、ファーフィールドオーバーラップ、EGM一貫性のような指標を使用できる。
【0245】
点をマップデータベースから表面へ突出させる、または適切な点を選択するための、この方法の応用形が可能である点が理解されるべきである。
<マップ注釈>
表面マップデータにデータが収集されると、収集されたデータに関する属性が自動的にユーザに対して表示される。これらの属性は、コンピュータシステムによって自動的に決定されて、データに付与され、また、本明細書においてこれは注釈と呼ばれる。例証的な注釈には、活性化時間、二重活性化または分画の存在、電圧振幅、スペクトルコンテンツなどが含まれる。自動マッピング(例えば、入来データに関して人的入力を最小に抑えた、コンピュータシステムによって完了されるマッピング)では利用できるデータが多量にあるため、操作者が手動でデータをレビューして注釈を付けることは現実的でない。しかし、人的入力はデータにとって有用な追加であるため、ユーザからの入力があると、コンピュータシステムは、ユーザからの入力を一度に2つ以上のデータポイントへ自動的に拡散し、適用する必要がある。
【0246】
コンピュータシステムを使用して、各電位図の活性化時間、電圧、その他の特徴に自動的に注釈を付けることができる。活性化時間の検出には、先述したトリガ検出方法と類似の方法を使用して、同様に、ブランキングおよび強力なトリガリングオペレータの使用の利点を受けることができる。
<空間的一貫性>
精度をさらに向上させるために、いくつかのケースでは、注釈付けの最中に近傍の電位図を考慮することが有効である。近傍の電位図を考慮する1つの形式は空間的一貫性である。コンピュータシステムは、生理学的な真実味を高めるように注釈を自動調整し、注釈の空間的一貫性を向上させることで、マップノイズを低減する。
【0247】
活性化時間のマッピングでは、空間的一貫性から3つのありふれた症状が有利に得られる。
電位図は、伝導ブロックのラインに沿って、2つ以上の明確な振れを頻繁に呈する。電極の位置、向き、動き、活性化強度の自然な変化、電気ノイズが少し変化すると、拍動毎に電位図の振れの強度が変わってくる。これは、同一の公称位置に維持されたカテーテルの場合であっても同様である。複数の振れがある電位図では、これらの振れの強度が類似している場合に、この振れ強度の変化によって、振れ間をランダムに切り替えるための自動タイミング注釈が生じる。これにより、活性化マップがブロックのラインに沿って輪郭がギザギザしてムラのあるものとなり、生理学的に真実味のない、無理なものになる。マップノイズは活性化パターンの理解を妨げる可能性がある。複数の振れの影響を低減するために、コンピュータシステムは、複数の拍動について決定された活性化タイミングを自動的に比較して、時間的に相関する信号の間に差がある場合には、異なる振れを選択するタイミングを修正する。
【0248】
マクロリエントリー回路では、心腔全体の活性化パターンを示すために、拍動ウィンドウは典型的な周期長に近くなくてはならない。正常の周期長の変化によって、いくつかの周期は拍動ウィンドウよりも若干短くなる。いくつかの領域では、これらのより短い周期中に計測された電位図は拍動ウィンドウの開始時と終了時に振れを生じるが、終了時の振れは実際には次の拍動によるものである。開始時と終了時の振れ強度は似ているので、自動タイミング注釈は周期の開始時と終了時の間で切り替えを行う。これにより、活性化マップの、活性化が拍動ウィンドウの終了時から開始時へ移行する領域にムラが生じる。
【0249】
分画の領域では、電位図は、比較的弱いが強度が類似した、長期間の活性化を有する。これは、電極が、多くの場合に電極付近の瘢痕組織を通る、ゆっくりとした回旋状の経路に沿って進行する活性化を計測しているために起こる。これらの領域では、選択した時間が、その場所における公称の活性化時間ではなく、分画された電位図中の任意のピークに関連するので、自動タイミング注釈は完全にランダムに現れる。これにより、これらの領域にかけての伝播方向が不明瞭になる。
【0250】
図9、
図10は、ヒト患者から収集した4つの波形を示す。上から下に見て、第1波形はECGリードV6、第2波形はCS電極9〜10からの双極記録、第3波形はマッピング部位における単極エレクトロラム、第4波形はこの単極記録の時間微分係数である。
図9は、ブロックのライン付近の1つの場所における3つの拍動を示す(第1のありふれた症状)。このケースではタイミング注釈として使用される最小の単極電位図の勾配が、拍動間の初期の振れと後期の振れの間で変化する。この変化は、カテーテル動作が最小で、リズムが安定していても関係なく起こる。
【0251】
図10は、現在の活性化と次の活性化の両方が同じ拍動ウィンドウ内に含まれている拍動を示す(第2のありふれた症状)。自動タイミング注釈は、どちらの振れがたまたま大きいかに応じて、早い方または遅い方のタイミングを取ることができる。
【0252】
活性化時間に手動で注釈を付ける場合、熟練の操作者は、一貫性があり生理学的に妥当なマップを作成するために、注釈付けを行っている電位図と、この周囲の活性化時間との両方を考慮する。以下で説明する方法は、これと似た関数を自動的に実行する。
<空間的一貫性の方法>
空間的一貫性の方法は、コンピュータシステムが注釈における空間的変化を、各電位図と一貫した形で、また調整可能な変化減少の度合いで、自動的に減少させる方法を提供する。
【0253】
この方法は次の3つの段階で構成されている。
(a)電位図毎の分析、
(b)電位図のクラスタ化、
(c)注釈調整。
<電位図毎の分析>
このステップの最中に、コンピュータシステムは、注釈の候補を抽出するために、前述した注釈クライテリアを使用して各電位図の分析を行う。注釈クライテリアは、活性化を決定するために信号のどの態様が使用されるかを定義し、最小の活性化閾値を規定する。注釈候補は、注釈閾値を超える電位図サンプルであり、また、局所的な注釈クライテリア極値である。注釈のない電位図の候補は、活性化を含んでいないと考えられる。
【0254】
コンピュータシステムは、全ての電位図の全ての注釈候補に対して確実な値を割り当てる。電位図特徴から確実な値まで、多くの実行可能なマッピングを利用できる。1つの例証的な方法では、マッピングは次の3つの性質を維持する。
【0255】
(a)振れが強いほど信頼性が高いはずである。
(b)類似強度の振れは、全ての電位図にかけて類似した信頼性を持つはずである。
(c)信頼性の高い値どうしの間の数値の差は、より高い信頼性を持った値が好ましい確率に関連するはずである。
【0256】
このマッピングを実行する1つの方法は、コンピュータシステムが、注釈クライテリア振幅を、検出閾値を超えるサンプルにおける全ての電位図に掛けて観察された注釈クライテリア振幅範囲に基準化するというものである。このマッピングは、上に挙げた性質のうち最初の2つを満たし、第3性質を妥当に示すと考えられる。
【0257】
変化減少度がゼロである場合には、コンピュータシステムは、電位図に注釈を付けるために、最も信頼性の高い値を持った注釈候補を各電位図に選択する。いくつかの変化減少が可能である場合には、コンピュータシステムは、注釈調整中に信頼性の高い値を使用して、空間的変化を減少させる。
<電位図のクラスタ化>
マップに含まれる各電位図について、1組の隣り合う電位図と(例えば、空間的に隣り合った電位図、または互いに所定の距離内にある電位図)、関連する加重とが定義される。コンピュータシステムによってこれらの組を自動的に定義する1つの方法は、突出位置が、マップに含まれた各電位図の突出位置の指定の距離(例えば、包含半径または影響半径)内に収まる電位図全てを含めるというものである。様々な関連する加重関数を使用することができる。1つのオプションは距離の逆転であり、もう1つは最大距離に対する距離の比率の余弦である。これらの方法は両方共、以降で説明する注釈の反復調整に使用される。
<注釈調整>
注釈調整とは、最初に確実性の最も低い注釈を自動的に同定および変更することにより、空間的一貫性を目標の値にまで向上させる、コンピュータによって実施される最適化手順である。この手順の目標は、空間的一貫性を目標の度数まで増大させる際に、複数の弱い振れを含んでいる電位図の注釈を、振れが最大のものから、振れが隣り合った注釈と最も調和しているものへと、移し変えることである。これにより、間違っている可能性が最も高い注釈を変更する一方で、非常にスムーズなマップを生成できる。
【0258】
最適化の問題は、コンピュータシステムによって実施されるために、多数の結合変数が関与し(電位図注釈1つにつき1つの変数を有するが、これは、それぞれの電位図の隣の注釈に応じて異なる)、また全く直線的でない(各注釈は離散した値の集合しか取れず、これらの値はマップ全体にかけて、また隣どうしの間で大きく異なる)。
【0259】
この問題は、扱い易い期間中に、貪欲な反復アルゴリズムを使用して解決することができる。このアルゴリズムは次の4つのステップを含む。
(a)コンピュータシステムは、全ての注釈を最も信頼度の高い候補で初期化するか、または、候補が存在しない場合には「注釈なし」の印を付ける。
【0260】
(b)コンピュータシステムは、各注釈毎に隣り合う注釈を組み合わせて、注釈の評価を生成する。これには、近傍の注釈から現行の注釈までの補間関数が使用される。
(c)コンピュータシステムは、各注釈について、現行の注釈から補間された注釈までの切り替えに関するコストを計算する。
【0261】
(d)コンピュータシステムは、算出したコストに基づいて、最もコストの低い注釈変更を選択し、その注釈を補間された値で置換する。集合コストを、この調整に関連したコストだけ増す。近傍の注釈について、補間された注釈を更新する。集合コストが、目標の空間的一貫性の度数に基づく目標の総コストよりも低い間は、このステップを繰り返す。
【0262】
補間関数については、多数の公式化が可能である。1つの公式化は、最も近い候補へのスナッピングを設けた逆距離加重法である。再入可能なマップでは、補間はベース補間関数を初期点と後期点について2回評価し、この2回評価のうち1回目は全ての点を初期点として処理している間に、2回目は後期点として処理している間に行う。
【0263】
この問題には、候補の信頼性を様々に組み合わせる多くのコスト関数を適用することができる。1つの方法は、信頼度間の算術差を取るものである。
この反復アルゴリズムは、確実性の最も低い注釈を最初に、しかし許容可能な電位図特徴にまでのみ移動することで、注釈を漸増的に「スムーズ化」する。
【0264】
図11は、この方法を活性化マップに適用する一例を示す。矢印は、空間的一貫性演算の適用前にはタイミングが不正確である、二重活性化が生じている多数の電位図部位を示す。この演算の適用後、マップは、生理学的に妥当な明確に定義されたブロックのラインを示している。
<自動類別注釈>
特定の電位図カテゴリは、電気解剖学的マップの構築時に特に臨床的意義の強いものである。操作者は、表面マップデータの各ポイントを手動でレビューすることができないため、コンピュータシステムによってこれらのカテゴリに自動的に注釈付けが行われることが重要である。こうしたカテゴリには、二重振れ、複数の振れ、分画、および/または無活性化のある電位図が含まれる。
【0265】
これらのカテゴリを含んでいる電位図に自動注釈付けを行うことで、ユーザは迅速に対象領域を見つけられるようになる。
電位図をこれらのカテゴリに自動的に分割するためのコンピュータシステム使用法は数多く存在する。これらの方法の全てが、活性化を含むまたは含まない電位図を領域にセグメント化し、これらのセグメントに基づいて類別を行うという全体的な目的を共有している。1つの方法は以下を含む。
【0266】
(a)各々の電位図につき、コンピュータシステムは、注釈クライテリアの活性化閾値を超えている各電位図サンプルにマーク付けする。マーク付け動作は、活性化期間中における電位図のサンプリングが検討されていることを示す。
【0267】
(b)各電位図のマーク付けされた各サンプルについて、コンピュータシステムは、指定されたウィンドウ内(最大の同じ活性化期間)で近接している複数のサンプルにマーク付けする。これは、例えば活性化検出信号が正から負へ遷移する時に生じる小さな隙間を充填する。
【0268】
(c)各電位図について、コンピュータシステムは、第2の指定ウィンドウ(最小の明確な活性化分離)よりも長い、マーク付けされていない連接する複数のサンプルのシーケンスを全て見つける。これらは活性化のない期間である。電位図の開始地点から始まる、または終了地点にて終了する期間は、活性化どうしの間にはないので、全て破棄される。
【0269】
(d)各電位図について、コンピュータシステムは、第3の指定ウィンドウ(最小分画期間)よりも長く、連接しマーク付けされた複数のサンプルのシーケンスを全て見つける。
【0270】
(e)コンピュータシステムは、以下に示す規則に従って電位図を分類する。
サンプルがマーク付けされている場合、電位図は活性化を含んでいない。
最小分画期間よりも長く、連接しマーク付けされたシーケンスが存在する場合、電位図は分画化されている。
【0271】
最小の明確な活性化分離よりも長く、連接しマーク付けされていない1つのシーケンスが、マーク付けされたサンプルどうしの間に存在する場合、電位図は二重振れを含んでいる。
【0272】
最小の明確な活性化分離よりも長く、2つ以上の連接しマーク付けされていないシーケンスが、マーク付けされたサンプルどうしの間に存在する場合、電位図は複数の振れを含んでいる。
【0273】
上記以外の場合、電位図は正常な活性化を含む。
図12は、この処理を、3つの振れを含んだ電位図に実行した様子を示す。「U」は単極電位図、「B」は双極電位図である。上述した方法の第1および第2ステップが、背の高いボックス内にある電位図サンプルにマーク付けする。マーク付けされる理由は、これらの電位図サンプルのいくつかが、活性化閾値を超えているためである。第3ステップは、3つの背の低いボックスをセグメントに分ける。3つのうち最後のものは、周期の最後に位置するため、破棄される。活性化が存在しない2つの十分に長い期間が存在するので、本方法はこの電位図に「複数の振れ」と注釈付けする。
【0274】
この注釈は、手検測の際に特定の部位に注目を集めることを目的とするので、二重振れ、複数の振れ、分画の偽陽性を最小化できるはずである。偽陽性率を減少させる1つの方法は、上述のような注釈についてサンプルにマーク付けする際に、より高い活性化閾値(複数活性化閾値)を使用するというものである。この閾値は、活性化閾値を調整可能な比率でスケーリングすることで決定される。さらに、活性化なし、分画、振れカウント中のための注釈クライテリアは、同一である必要はない。
<ユーザ入力の伝播>
自動化方法では、常にユーザが望む形で電位図が注釈付けされるとは限らない。そのため、コンピュータシステムが自動生成した注釈に加えて、手動注釈付けの形式のユーザ入力を提供することができる。手動注釈付けはコンピュータの自動決定を局所的に無効化するため、手動注釈付けに手動による無効化を指定することも可能である。隣接する電位図には類似した注釈が付けられることが多いので、手動での無効化をコンピュータシステムによって隣接した電位図へ伝播させることで、手動で注釈付けすべき電位図の数を劇的に減少させることができる。
【0275】
コンピュータシステムにより自動的に伝播させることができる2タイプの手動による無効化には、活性化なしとタグ付けするような類別注釈の無効化と、活性化時間を変更するような値注釈の無効化とが含まれる。
<類別注釈の無効化>
このタイプの無効化では、活性化なし、二重振れ、または分画のような類別注釈が、特定の電位図について、元の自動生成された注釈から、ユーザによって変更される。この無効化は、不正確に決定された二重振れのような自動類別を外して、通常の活性化を指定することができる。コンピュータシステムは、類似の特徴を持つ隣接した電位図(例えば、空間的に相関している電位図)に対して同一の類別注釈を適用する。
【0276】
類別無効化の伝播は、次の3つの関数を含む。
(a)電位図のクラスタ化、
(b)電位図注釈付け方法の変更、
(c)競合解決の規則。
<電位図のクラスタ化(集合体化)>
類別を無効化するための電位図のクラスタ化には、空間的一貫性方法について上述したものと同じ方法を使用することができる。それぞれの類別の無効化は手動で決定されているので、各々の無効化に個別の影響半径を指定し得る。例えば、指定された計測された信号までの距離とは別の距離を新たに指定して、無効化を行うことができる。
<電位図注釈付け方法の変更>
自動注釈システムを、無効化された電位図の付近で、手動での無効化へとバイアスするには、近隣の電位図について、自動注釈システムのいくつかの態様を変更する必要がある。この変更には2つの基本的なアプローチがある。活性化閾値のような注釈クライテリアを局所的に変更するものと、空間的一貫性方法を使用して信頼度を局所的に変更するものである。
【0277】
注釈クライテリアを変更するアプローチでは、各タイプの類別無効化毎に、コンピュータシステムが注釈クライテリアを、関連するクラスタ内の電位図に適した方法で調整する。この調整度数は調整が可能であり、この調整の強度は、無効化された電位図からの距離の関数であってよい。1つの実行可能な変更方法のセットには以下を含む。
【0278】
活性化を無効化しない場合、コンピュータシステムが、近隣の電位図について、活性化閾値(さらに、実行されていれば複数の活性化閾値)を、無効化された場所とその近隣との間の距離の関数として減少する調整可能な比率で増大させる。次にコンピュータシステムは、調整された活性化閾値に基づき、隣接する電位図について注釈を再度決定する。
【0279】
二重振れ、複数の振れ、分画の無効化については、コンピュータシステムが、近隣の電位図について、活性化閾値(さらに、実行されていれば複数の活性化閾値)を、距離の関数として減少する調整可能な比率で低下させる。次にコンピュータシステムは、調整された活性化閾値に基づき、隣接する電位図について注釈を再度決定する。
【0280】
正常の活性化の無効化については、コンピュータシステムが、近隣の電位図について、距離の関数として減少する調整可能な比率で、活性化閾値を低下させる(さらに、実行していれば複数の活性化閾値を増加させる)。次に、コンピュータシステムは、調整された活性化閾値に基づき、近隣する電位図について注釈を再決定する。
【0281】
調整量を距離の関数として変更するために、多数の関数を使用できる。この関数の1つは、電位図間の距離とクラスタ内に含まれる最大距離との比率のπ倍(1+余弦)である。
【0282】
これらの調整全てについて、固定の調整の適用を適用する代わりとして、無効化された電位図を選択したカテゴリに分類するために、適切な活性化閾値を見つけ、次に、この閾値の距離が減少したバージョンを近隣の電位図に適用することができる。
【0283】
信頼度を変更するアプローチは、信頼度が次の通り調整されることを除いて、注釈クライテリアを変更するアプローチと同様に作用する。
活性化の無効化がほとんどない電位図については、信頼度が調整可能な閾値以上であれば、コンピュータシステムはその信頼度を変更せず、また電位図は活性化しており、タイミングは正常であると考慮される。信頼度が閾値未満の場合は、コンピュータシステムが信頼度をゼロに設定し、電位図は活性化していないと考慮される。
【0284】
自動化システムが活性化していると判断した活性化の無効化の付近における電位図については、以降の値注釈の無効化で述べる方法によってタイミング注釈を調整できる点を除き、電位図は正常に処理される。
【0285】
自動化システムが活性化していないと判断した活性化無効化の付近の電位図については、電位図は低く均等な信頼度を有すると考慮される。これにより、電位図は、コンピュータシステムで強制的に、活性化を有する近隣の電位図と調和する形でタイミングされるようになる。空間的一貫性が使用可能でない場合は、サンプルが閾値を超えていなくても、電位図に最大の注釈候補が注釈付けされる。
<競合解決規則>
電位図が、2つ以上の一貫していない可能性のある類別の無効化の付近にある場合には、競合の解決が必要である。競合解決規則は、コンピュータシステムが複数の無効化を組み合わせ、その影響する半径内、および/またはその設定距離内にある電位図に影響を与える方法を決定するものである。
【0286】
1つの方法は、各電位図に注釈付けする際に、単純にコンピュータシステムに最も近い無効化を考慮させ、他の無効化は無視させるようにするものである。
第2の方法は、コンピュータシステムにより、活性化閾値または信頼度上での無効化の効果を逆距離加重のような関数に従って組み合わせるものである。
<値注釈の無効化>
このタイプの無効化では、活性化時間のような使用可能な値の範囲を持った注釈を、特定の電位図に手動設定する。同様の特徴を持った近隣の電位図は、無効化された注釈の影響を受けるはずである(例えば、コンピュータシステムは、その近接した電位図に、この無効化に一部基づいて注釈を決定する)。例えば、ある領域には、同様の二重振れを含んだ多数の電位図があってよい。ユーザが、活性化時間をある振れから別の振れへ手動で移動すると、コンピュータシステムは、これを真似させるようにその周囲の電位図を修正しなければならない。
【0287】
この問題は、空間的一貫性の問題と非常に関連している。この問題を解決する1つの方法は、空間的一貫性方法を、手動注釈付けに関連して拡張させたものである。この拡張は、空間的一貫性のための注釈調整方法の第1ステップの前に、次のステップを加えることで得られる。
【0288】
無効化した電位図の各々について、コンピュータシステムが信頼度を、その無効化されたサンプルでの最大可能レベルに設定し、他の全ての信頼度の値を信頼度ゼロに設定する。これにより、無効化された注釈が変更されることを防止する。
【0289】
自動クライテリアに従って活性化していない近隣の電位図について、コンピュータシステムは、信頼度を低く均等な値に設定し、無効化された値で注釈を初期化する。電位図は初期値から自由に変化できるため、これにより、電位図が周囲のポイントと一致してタイミングされるようになる。
【0290】
自動クライテリアに従って活性化している近隣の電位図について、コンピュータシステムは、バイアスされた信頼度を全ての計算に使用して、オプションで、無効化値の周囲の所与のウィンドウ内の最も高い信頼度を持つサンプルで注釈を初期化する。これにより、無効化の近くで注釈付けが開始し、この注釈が無効化の付近に留まる可能性が増すが、しかし、活性化が十分に強い場合には、注釈がバイアスされていない値へ戻ることを許容する。
【0291】
バイアスされた信頼度は、コンピュータシステムによって、近隣の手動での無効化の原因となるように調整された自動信頼度である。多数の関数を使用して、バイアスされた信頼度を計算することができる。このような関数の1つは、ベースライン信頼度にある値を追加するものであり、この値は、調整可能なベース強度から開始し、その強度を、無効化からの距離の関数として、また信頼度に関連したサンプルと無効化値との間の時間差の関数として減衰させる。減衰関数は多くの形式のものであってよく、その1つは、距離または時間差と、最大の距離または時間差との比率の持ち上げ余弦の形式である。
【0292】
この処理の一例を
図13に示す。「U1」、「U2」は近隣し合う単極電位図である。自動選択された早い時間から遅い時間までのU2の手動注釈付け(ステップ#1)は、d(U1)トレース(ステップ#2)のより小さい最小限度に関する信頼度を高め、これにより、U1のタイミングを遅い時間へ調整している(ステップ#3)。
<表面マップの補間>
表面データへの注釈付けが終わると、コンピュータシステムが表面データを操作者に対して表示する。例えば、注釈付けされたデータをカラーで、または表面形状上に任意数の質感を使用して呈示することができる。逆ラプラス作用素(inverse Laplace operator)を使用してマップ表面データを生成するケースでは、得られるデータセットは表面形状上の全てのポイント上に値を有することができるため、さらなる表面補間は不要である。
【0293】
心腔上でポイントを探すケースでは、表面補間スキームが必要となり得る。例えば、表面補間は、表面マップデータ内の全ての注釈値を取り、その補間値を、表面を描出するために使用される各頂点に提供する。表面補間は、Tao Ju,Scott Schaefer,and Joe Warren.2005.“Mean value coordinates for closed triangular meshes”.ACM Trans.Graph.24,3 (July 2005),561−566.で述べられている、3次元クリギング(3D Kriging)、または平均値内挿を含む、多数あるスキームのうちのいずれかに従って実施できる。
<描写システム>
図14は、非接触型システム200の例証的な実施形態の略図を示す。非接触型システム200は、空間分布された複数の電極を装備した可動カテーテル210を含む。非接触型マッピング手順の信号取得段階中に、心腔内に挿入されているカテーテル210を心腔内の複数の場所へ移動させる。
【0294】
いくつかの実施形態では、カテーテル210の末端には、複数の電極が、カテーテル上に均一に拡散した形で取り付けられている。例えば、電極を、カテーテル210上の3次元オリーブ形状を追随して取り付けることができる。電極はデバイスに取り付けられており、このデバイスは、電極が心臓内部にある間、所望の形状において電極を展開させ、さらにカテーテルを心臓から抜去する際には電極を引き込むことができる。
【0295】
心臓内で3次元形状に展開できるようにするには、電極をバルーン上、またはニチノールのような形状記憶材料上に搭載できる。
カテーテル210を移動させる場所の各々において、カテーテルの複数の電極が、心腔内の電気活動からの信号を取得する。その結果、心臓の電気活動に関連した生理データの再構築と、これのユーザ(医師および/または技師)への呈示を、複数の場所で取得した情報に基づいて行うことができ、これにより、心内膜表面の生理的活動をより精密かつ忠実に再構築できるようになる。心腔内における複数のカテーテル場所で信号を取得することにより、カテーテルが「メガカテーテル」として効率的に動作できるようになり、この場合、その電極および電極スパンの有効な数は、信号取得が実行される場所の数と、カテーテルに設けられた電極の数との積に比例する。
【0296】
心内膜表面において再構築された生体情報の品質を拡大するために、いくつかの実施形態では、カテーテル210を心腔内の3か所よりも多い場所(例えば、5か所、10か所、さらには50か所よりも多い場所)へ移動させる。さらに、カテーテルを移動させる空間範囲は、心腔の直径の3分の1(1/3)よりも大きくてよい(例えば、心腔の直径の35%、40%、50%、さらには60%よりも大きくてよい)。さらに、いくつかの実施形態では、再構築された生体情報が、心腔内の1か所あるいは数か所にわたるカテーテル場所で、いくつかの心拍にかけて計測された信号に基づいて計算される。再構築された生体情報が、数個の心拍にかけて計測された複数の計測値に基づいている状況では、計測を心周期のほぼ同じ相において実施できるように、計測値を互いに同期させている。複数の拍動にかけての信号計測値は、表面ECGまたは心内電位図のような生体データから検出した特徴に基づいて同期させることができる。
【0297】
非接触型マッピングシステム200は、心内膜表面における生体情報を求めるために、再構築手順を含む非接触型マッピング手順に関するいくつかの演算を実行する処理ユニット220をさらに含んでいる(例えば、上述の通り)。非接触型マッピングシステム200が実行する計算演算を促進するために、処理ユニット220は、概してカテーテルを心腔内に挿入する以前、および/または、カテーテル電極による信号取得の開始以前に、再構築処理を促進するためにリアルタイムで使用できる変換関数を計算することができる。カテーテル210が心腔内に挿入されて特定の場所へ移動されると、信号取得段階よりも前に事前に計算されていなかった変換成分をリアルタイムで計算することによって、また、全体の変換関数を得るべく、これらの成分を適切な事前処理された変換成分と組み合わせることによって、マッピング手順が迅速に実行され得る。取得した生データにこの全体変換関数を適用することで、逆再構築演算が実行される。
【0298】
処理ユニット220は、カテーテル位置合わせ手順をさらに実行する。従来の感知および追跡システム(図示せず)を使用して、カテーテル210を心腔内に挿入する場所を決定することができ、この感知および追跡システムは、カテーテルおよび/またはその複数の電極の、前記感知および追跡システムによって確立されたカテーテルの座標系に対する3次元空間座標を提供する。しかし、マッピング手順を実行し、心内膜表面上に生体情報を再構築するには、カテーテル210の座標系を心内膜表面の座標系と整列させる必要がある。処理ユニット220(またはシステム200の前出の他の処理モジュール)は、カテーテル場所の3次元空間座標を、心内膜表面の座標系に関連して表される座標に変換する(またはこの逆の変換を行う)座標系変換関数を決定する。
【0299】
処理ユニット220は、情報の有用な特徴を抽出して、システム200の操作者および/または他の人物(例えば医師)に対しこれを表示するために、再構築された生体情報に処理後の演算も実行する。
【0300】
図8にさらに示すように、カテーテル210の複数の電極で取得した信号は、信号処理モジュール240を介して処理ユニット220へ送られる。信号調整モジュール240は、カテーテル210から通信された信号を受信し、処理ユニット220へ転送される前の信号に信号強調演算を実行する。信号調整ハードウェアを使用して、各電極が計測された心臓内電位を増幅、濾過、連続的にサンプリングする。典型的に、心臓内信号は60mVの最大振幅と、数ミリボルトの平均値を有する。いくつかの実施形態では、信号は、周波数範囲(例えば0.5〜500Hz)内で濾過され、アナログ/デジタル変換器でサンプリングされた帯域幅である(例えば、1kHzで15ビットの解像度)。室内の電気機器との干渉を避けるために、信号を濾過して、電源に関連した周波数(例えば60Hz)を除去することができる。その他のタイプの信号処理演算、例えばスペクトルイコライザ、自動利得制御なども、実行される。こうして処理された信号はモジュール240によって、さらなる処理のために処理ユニット220へ転送される。
【0301】
図14にさらに示すように、非接触型マッピングシステム200は、プリンタ250および/またはディスプレイデバイス270のような周辺デバイスをさらに含み、これらの周辺デバイスは両方とも処理ユニット220と相互接続している。これに加えて、マッピングシステム200は、相互接続している様々なモジュールが取得したデータを記憶するために使用する記憶デバイス260を含み、このデータには、容積測定画像、電極が計測された生データ、このデータから計算してでき上がった心内膜画像、マッピング手順を促進するために使用される一部計算された変換、心内膜表面に関する再構築された生体情報が含まれる。
<その他の実施形態>
ここで説明した方法およびシステムは特定のハードウェアまたはソフトウェア構成に限定されず、多くの計算または処理環境への適応性を見つけることができる。本方法およびシステムは、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにて実行でき、および/または、市販のモジュールアプリケーションおよびデバイスから実行することが可能である。ここで説明したシステムおよび方法の実行の少なくとも一部はマイクロプロセッサの使用に基づき、この方法およびシステムは1つ以上のコンピュータプログラムにて実行でき、この場合、コンピュータプログラムは1つ以上のプロセッサでの実行が可能な命令を含むものと理解することができる。コンピュータプログラムは、1つ以上のプログラム可能なプロセッサ上で実行でき、また、プロセッサ(揮発性および不揮発性メモリ、および/または記憶素子を含む)、1つ以上の入力デバイス、および/または1つ以上の出力デバイスによるアクセスが可能な1つ以上の記憶媒体上に記憶することができる。したがって、プロセッサは1つ以上の入力デバイスにアクセスして入力データを取得し、1つ以上の出力デバイスにアクセスして出力データを通信することが可能である。入力および/または出力デバイスは次の内の1つ以上を含むことができる。ランダムアクセスメモリ(RAM)、独立ディスク冗長アレイ(RAID)、フレキシブルディスクドライブ、CD、DVD、磁気ディスク、内蔵ハードディスク、外付けハードディスク、メモリスティック、または、プロセッサが本明細書中で述べた通りにアクセスできるその他の記憶デバイス。前述のこのような例は排他的ではなく、例証のためのものであり、限定ではない。
【0302】
1つ以上のコンピュータプログラムは、コンピュータシステムと通信するために、1つ以上の高レベルの手続き型またはオブジェクト指向プログラミング言語を使用して実行できるが、しかし、所望であれば、プログラムは組み合わせにおいて使用したり、またはマシン言語で実行することができる。言語は遵守または解釈されることができる。プロセッサ(1つ以上)と統合できるデバイス(1つ以上)またはコンピュータシステムには、例えば、パーソナルコンピュータ(1つ以上)、ワークステーション(例えばSun、HP)、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、携帯電話のようなハンドヘルド型デバイス、ノートパソコン、ハンドヘルドPC、または、ここで述べた通りに動作できるプロセッサ(1つ以上)と統合できるその他のデバイスを含むことが可能である。したがって、ここで提供したデバイスは排他的でなく、例証のために提供されたものであり、限定ではない。
【0303】
「a microprocessor」、「a processor」、または、「the microprocessor」「the processor」を参照すると、スタンドアロン環境および/または分散環境において通信できる、したがって、有線または無線通信を介して他のプロセッサと通信するように構成できる、1つ以上のマイクロプロセッサを含むと理解でき、この場合、このような1つ以上のプロセッサは、類似のまたは異なるデバイスであってよい1つ以上のプロセッサ制御型デバイスを動作させるように構成されていてよい。さらに、メモリを参照すると、メモリは、その旨指定されていない限り、1つ以上のプロセッサによる読み出しおよびアクセスが可能なメモリ素子、および/または、プロセッサ制御されるデバイスへの内蔵ならびに外付けが可能で、有線または無線ネットワーク経由で、多様な通信プロトコルを使用してアクセスできるコンポーネントを含むことができ、また、その旨指定されていない限り、外付けおよび内蔵型のメモリデバイスの組み合わせを含むようにアレンジすることが可能であり、この場合、こうしたメモリは、アプリケーションに基づいて連続領域タイプおよび/またはパーティションタイプのものであってよい。したがって、データベースを参照すると、データベースとは1つ以上のメモリアソシエーションを含んだものと理解でき、ここでこのような参照は、市販のデータベース製品(例えば、SQL、Informix、Oracle)、さらにプロプリエタリな(専売的な)データベースを含むことができ、さらに、例えばリンク、キュー、グラフ、ツリーのようなメモリ関連のその他の構造を含んでいてよく、このような構造は限定ではなく例証として提供される。
【0304】
したがって、その他の実施形態は以降の特許請求の範囲に含まれるものである。