(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、機能性材料(単数または複数)を、好ましくは印刷により、水溶性フィルム上に堆積することによる機能化基材の製造方法を考察する。また本発明は、機能化基材、および本発明の基材を含む洗浄製品を考察する。本方法は、水溶液を使用して、水溶性フィルムの特性を損なわずに、高負荷量の機能性材料(単数または複数)を堆積することが可能である。
【0032】
方法
本発明の機能化基材は、スプレー、ナイフ、ロッド、キス、スロット、ペイント、印刷およびこれらの組み合わせを包含する好適なコーティング手段を使用して、機能性組成物のコーティングを堆積することにより、作製できる。印刷、特にフレキソ印刷は、本明細書に用いるのに好ましい。
【0033】
典型的なフレキソ印刷の順序においては、ロールからプレスへと水溶性フィルムが供給される。フィルムが1以上のステイション、または印刷ユニットを通して引っ張られると、機能性材料が印刷される。各印刷ユニットは、1以上の機能性材料を含む水溶液を印刷できる。フレキソプレスにおける各印刷工程は、一連の4つのローラーまたはシリンダー:ファンテンローラー、メーターまたはアニロックスローラー、フレキソまたは印刷シリンダー、およびインプレッションシリンダーから成る。
【0034】
第一ローラー(ファンテンローラー)は、機能性材料(単数または複数)を含む水溶液を、溶液パンから、第二ローラーであるメーターまたはアニロックスローラーへと移動する。水溶液をこすり落とすことが必要であるならば、ドクターブレードを使用してもよい。アニロックスローラーは、印刷シリンダー上に水溶液を均一な厚さで計量する。その後、基材は、第四ローラーである印刷シリンダーおよびインプレッションシリンダーの間を移動する。あるフレキソグラフィック装置では、ファンテンローラーはなく、アニロックスローラーが、ファンテンローラーおよびメーターローラーの両方として機能する。
【0035】
インプレッションシリンダーは、印刷シリンダーに圧力を加え、その結果、機能性材料(単数または複数)をフィルム上に移動する。次の印刷ユニットへ行く前に、新しく形成された層が乾燥され、残りの大部分の水を除去するように、印刷されたフィルムが、オーバヘッドドライヤーに供給されることも可能である。その後、最終製品は、ロール上へ巻き戻されるか、またはカッターを通じて供給される。
【0036】
本方法は、水溶性材料、水不溶性材料、およびこれらの混合物を堆積するのに好適である。水不溶性材料の場合には、材料(単数または複数)の沈殿を避けるために、水溶液が溶液パン内で攪拌され続けることが好ましい。同様に、不溶性材料の水中への懸濁を促進するために、構造剤または増粘剤を使用することも好ましい。1超過の機能性材料を含む水溶液を使用することにより、または異なる印刷工程において異なる材料を含む水溶液を使用することにより、コーティングは、複数個の機能性材料を含むことができる。
【0037】
水溶液を移動して磨耗(wear)を低減するとき、ファンテンローラーは、アニロックスローラーに接触しない。ファンテンローラーは、シリコーンコーティングされた柔らかいジュロ硬度ゴムで作製されることが好ましい。柔軟性は、ファンテンローラーが可能な限りの最も多くの水溶液を集めることを許容する。ファンテンローラーは、ミッド・アメリカン・ラバー(Mid American Rubber)から市販されている。
【0038】
ドクターブレードは、アニロックスローラーの表面上において水溶液を一定の厚さに測るために用いられることが好ましい。ドクターブレードは、BTG,ノークロス(Norcross)GAにより供給されるもののようなセラミックコーティング金属ブレードであることが好ましい。
【0039】
アニロックスローラーは、互いに隣り合ったパターンで配列し、ローラーの表面全体を被覆する、多数の微視的なセルを包含する。これらのセルは、水溶液を保持する。典型的にセルは、蜂の巣状形状または「トリヘリカル(tri-helical)」パターンのどちらかを有する。セルは、ローラーの長手方向軸線に対し傾斜した向きで走行する列状に配向することができる(そのため、より大きいサイズのセルの列が、ローラー周辺でねじ山を形成するように見える)。典型的な角度は、30度、45度、および60度である。伝統的な印刷では、異なる色のインクが、異なる角度に向いたセルにより、典型的に印刷される。
【0040】
アニロックスローラーの粗さは、どのぐらい多くの溶液がフィルムへ移動するかを決定する。プレート(移動)上の空のセルと比較して、アニロックスセルの容積が向上すると(例えば、60〜100bcm、これはビリオンパーツ・オブ・キューブミクロンを表す)、プレート上に、その後基材上に、移動する水溶液の容量は、向上する。
【0041】
アニロックスローラーは、ステンレス鋼で作製されることが多い。しかし、酸性および腐食性材料(例えば、有機過酸化物特に過酸化ジベンゾイル)の印刷のようなある用途においては、ローラーは、ステンレス鋼ローラーの腐食を防止するために、セラミックコーティングを有するべきである。アニロックスローラーは、ハーパー・コーポレーション・オブ・アメリカ(Harper Corporation of America)およびインターフレックス(Interflex)から市販されている。
【0042】
フレキソグラフィックローラーは、可撓性の模様付きロールである。可撓性プレート材料は、ジュロ硬度50、厚さ0.17cm(0.067インチ)の材料であることができる。
【0043】
フレキソ印刷として使用できる他のプレートとしては、米国特許第5,458,590号の第4欄30〜45行で特定されたものが挙げられる。
【0044】
水溶液の堆積前にまたは水溶液の堆積と関連して、ミクロ(裸眼で見えない)またはマクロ(見える)変形が、所与のパターンに作られるように、水溶性フィルムは、彫り込みまたはエンボス加工され得る。これは、特に、接触する2つの彫り込みまたはエンボス加工フィルムにより作られる空面積のおかげで、機能性材料が2つの積層フィルム間に「サンドイッチされた」とき、より多い容積の機能性材料が堆積することを可能にする。比較的大きい穴は、両方のフィルム上に型押しされ、水溶液が、それらが共に積層される前に両方のフィルム表面に適用され得る。2つのフィルム間に存在する機能性材料(単数または複数)の量はより多くなり、それは2つの穴が共に接合することにより作られる空間による。フレキソグラフィック装置において使用できるエンボス加工プレートは、トリニティ・グラフィック・USA(Trinity Graphic USA)(フロリダ州)から供給される。より多くの機能性材料をフィルム上に保持するための別の方法は、ミクロ細胞のモルホロジー(小さいセル)をフィルム上に形成するプライマーを事前に適用することである。これらのプライマーは、コーティングおよび印刷方法を通じて適用され得るポリウレタン系に基づくミクロ細胞のコーティングであり、クロンプトン社(Crompton Corporation)(コネチカット州)から供給される。マクロ変形は、フィルムを一連の噛み合うリングロールにかけることにより、あるいは、フレキソグラフィックプレートを掘り込むことにより、達成され得る。ミクロ変形は、ミクロパターンでロールを彫り込むことにより、あるいは、突き出た形状(例えば、中空管(hallow tubes))を有する水力形成フィルムを使用することにより、形成され得る。毛管力の結果、突き出た中空形体は、液体またはスラリー形状であるとき、更なる機能性材料(単数または複数)を保持することができる。
【0045】
構造剤の存在が、機能性材料の懸濁を助けるので、特に、機能性材料が水溶液に不溶である場合、構造剤を水溶液に添加することが好ましい。本明細書に用いるのに好ましいのは、ポリアクリレートおよびその誘導体;多糖類およびその誘導体;ポリマーゴム類並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される高分子構造剤である。ポリアクリレート型構造剤は、特にポリアクリレートポリマーおよびアクリレートとメタクリレートのコポリマーを含む。好適なポリアクリレート型構造剤の例は、B・F・グッドリッジ・カンパニー(B.F.Goodridge Company)から入手可能なカーボポール・アクア(Carbopol Aqua)30である。
【0046】
本明細書の構造剤として使用されてよい高分子ガムの例は、海生植物、陸生植物、微生物多糖類および多糖類誘導体として特徴付けることができる。海生植物ガムの例としては、寒天、アルギネート、カラギーナン、およびファーセレランが挙げられる。
【0047】
陸生植物ガムの例としては、グアーガム、アラビアゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、イナゴマメゴム、およびペクチンが挙げられる。微生物多糖類の例としては、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、ウェランガム、およびキサンタンガムが挙げられる。多糖類誘導体の例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、およびヒドロキシプロピルグアーが挙げられる。第二の構造剤は、上記の列挙またはそれらの組み合わせから選択されることが好ましい。好ましい高分子ガムとしては、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガムおよびグアーガムが挙げられる。
【0048】
高分子ガム構造剤が本明細書で利用される場合、この種類の好ましい物質はジェランガムである。
【0049】
ジェランガムは、グルコース、グルクロン酸(glucurronic acid)、グルコースおよびラムロース残基を含有する四糖類繰返し単位であり、シュードモナスロディア(Pseudomonaselodea)ATCC31461の発酵によって調製される。ジェランガムは、CPケルコU.S.社(CP Kelco U.S.,Inc.)によってケルコゲル(KELCOGEL)の商標名で市販されている。
【0050】
水溶液は、好ましくは水溶液の約0.1〜約20重量%、より好ましくは約1〜約10重量%の構造剤を含む。
【0051】
本明細書に用いるのに最も好ましい構造剤は、ポリビニルアルコール(PVA)である。PVAは、水溶液に正しい粘度を与えて高負荷量を達成するだけでなく、結合剤としても機能して、フレークなしの非常に強いコーティングを作製するコーティングの連続層を積層する。水溶液中のPVAの量は、好ましくは水溶液の約0.5〜約20重量%、より好ましくは約1〜約10重量%、特に約2〜約5重量%である。
【0052】
水溶性フィルム
水溶性フィルムは、高分子材料で作製されており、本明細書において後に述べる最大孔径20μmのガラスフィルターを使用する方法により測定して、水溶解度が少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、またはさらに少なくとも95%であるフィルムである。
【0053】
50グラム±0.1グラムのフィルム材料を、あらかじめ秤量した400mLビーカーに添加して、245mL±1mLの蒸留水を添加する。これを、62.8rad/s(600rpm)に設定された磁性攪拌器で30分間激しく攪拌する。その後、混合物を、上記で定義した孔径(最大20ミクロン)の折り重ねた定性的な焼結ガラスフィルターで濾過する。回収した濾液からいずれかの従来法によって水を乾燥させ、残った材料の重量を測定する(これが溶解または分散画分である)。その後、溶解度%または分散度%を計算することができる。
【0054】
好ましい高分子材料は、フィルムまたはシートへと成形されるポリマー材料である。フィルムは、例えば、当該技術分野において公知のように、高分子材料のキャスティング、吹込成形、押出成形、またはインフレーションによって得ることができる。
【0055】
フィルム材料としての使用に適した好ましいポリマー、コポリマーまたはそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアミノ酸またはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプンおよびゼラチンを含む多糖類、キサンタンおよびカラゴムなどの天然ゴム類から選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレートおよび水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。フィルムにおけるポリマーの濃度は、例えば、PVAポリマーでは少なくとも60%であることが好ましい。
【0056】
複数のポリマーの混合物も使用できる。これは、フィルムの適用および必須要件に応じて、フィルムの機械的特性および/または溶解特性の制御において、特に有益である可能性がある。異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、10,000〜40,000、好ましくはおよそ20,000の重量平均分子量のPVAまたはそのコポリマーと、約100,000〜300,000、好ましくはおよそ150,000の重量平均分子量のPVAまたはそのコポリマーとの混合物を使用するのが好ましいことがあり得る。
【0057】
また、材料が水分散性または水溶性でなければならない場合、例えば、典型的には1〜35重量%のポリラクチドとおよそ65〜99重量%のポリビニルアルコールを含むポリラクチドとポリビニルアルコールの混合によって達成される、ポリラクチドとポリビニルアルコールのような加水分解的に分解できる水溶性のポリマーブレンドを含むポリマーブレンド組成物も有用である。フィルムに存在するPVAは、材料の溶解度を改善するために60%から98%、好ましくは80%から90%加水分解されていることが好ましいこともある。
【0058】
典型的に、水溶性フィルムは、約25g/m
2〜約150g/m
2、好ましくは約50g/m
2〜約100g/m
2の坪量、および約0.025mm〜約0.160mm、好ましくは約0.060mm〜約0.130mmのキャリパーを有する。
【0059】
最も好ましい水溶性フィルムは、クリス−クラフト・インダストリアル・プロダクツ(Chris-Craft Industrial Products)(米国インディアナ州ガリー(Gary))によって販売されるような商品名モノゾル(Monosol)M8630として知られるPVAフィルム、および対応する溶解度および変形特性を有するPVAフィルムである。本明細書で使用するのに好適な他のフィルムとしては、アイセロ社(Aicello)により供給される商品照会名PTフィルムまたはK−シリーズとして知られるフィルム、あるいはクラレ社(Kuraray)により供給されるVF−HPフィルムとして知られるフィルムが挙げられる。
【0060】
本明細書の水溶性フィルムは、ポリマーまたはポリマー材料および水以外の、他の添加成分を含んでもよい。例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、およびこれらの混合物などの可塑剤を添加することが有益であり得る。グリセロールは、好ましい可塑剤である。他の有用な添加物としては、崩壊助剤が挙げられる。
【0061】
フィルム不溶化剤
本明細書において用いるのに好ましい不溶化剤は、塩である。塩は、有機または無機電解質を包含してもよい。好適な塩としては、次の群から選択されるカチオンまたはカチオン混合物:アルミニウム、アンモニウム、アンチモン、バリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、セシウム、銅、鉄、リチウム、マグネシウム、ニッケル、カリウム、ルビジウム、銀、ナトリウム、ストロンチウム、亜鉛、およびジルコニウム;並びに次の群から選択されるアニオンまたはアニオン混合物:酢酸塩、硫酸アルミニウム、アジ化物、重炭酸塩、亜硫酸水素塩、ボロヒドリド、ボロオキサラート(borooxalate)、臭素酸塩、臭化物、炭酸塩、塩化物、亜塩素酸塩、クロム酸塩、シアン酸塩、シアン化物、重クロム酸塩、二ケイ酸塩、ジチオン酸塩、フェリシアン化物、フェロシアン酸塩、フェロシアン化物、フッ化物、フルオロアンチモン酸塩、フルオロホウ酸塩、フルオロリン酸塩、フルオロスルホン酸塩、フルオロケイ酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、シアン化水素、リン酸水素塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、水酸化物、ヒドロキソスズ酸塩(hydroxostannate)、次亜塩素酸塩、次亜硝酸塩、次亜リン酸塩、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、マンガン酸塩、メタ−アルミン酸塩、メタホウ酸塩、メタ過ヨウ素酸塩、メタケイ酸塩、混合ハロゲン化物、モリブデン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、オルトリン酸塩、オルト亜リン酸塩、オルトケイ酸塩、シュウ酸塩、オキザラートフェラート、酸化物、過ホウ酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、過酸化物、ペルオキシ二硫酸塩、リン酸塩、ポリ臭化物、ポリ塩化物、ポリフッ化物、ポリヨウ化物、ポリリン酸塩、ポリ硫化物、ピロ硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、セスキ炭酸塩、ケイ酸塩、スズ酸塩、スルファミン酸塩、硫酸塩、硫化物、亜硫酸塩、チオシアン酸塩(thiocyanaate)またはチオ硫酸塩;を包含してもよい。
【0062】
他の好適な塩としては、置換アンモニウムイオン、R4N(R=水素またはC
1〜6アルキル、置換または非置換である)のようなカチオンが挙げられる。アニオンの他の好適な種類としては、カルボン酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩などが挙げられる。好適な塩は、C
1〜9アルキルカルボン酸;高分子カルボン酸塩(ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩);短鎖(C
1〜9)アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩;および短鎖(C
1〜9)アルキル硫酸塩およびアルキルスルホン酸塩を含んでもよい。
【0063】
フィルム不溶化剤は、好ましくは水溶液の約0.5〜約10重量%、より好ましくは約1〜約5重量%の量で使用される。フィルム不溶化剤は、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、およびこれらの混合物から成る群から選択される塩であることが好ましい。
【0064】
洗浄活性物質
本発明の機能化基材および/または洗浄製品において、いずれかの伝統的な洗浄成分を使用することができる。
【0065】
漂白剤
無機および有機漂白剤は、本明細書において用いるのに適した洗浄活性物質である。無機漂白剤は、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、および過ケイ酸塩のような過水和物塩を包含する。無機過水和物塩は通常アルカリ金属塩である。無機過水和物塩は、追加の保護なしで、結晶性固体として包含されてもよい。或いは、塩は、水溶性フィルム上に堆積される前に、コーティングされ得る。
【0066】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本発明の製品へ包含するのに好ましい過水和物である。過炭酸は、製品内安定性を備えるコーティングされた形態で製品に組み込まれることが最も好ましい。製品安定性を備える好適なコーティング材料は、水溶性アルカリ金属硫酸塩および炭酸塩の混合塩を含む。こうしたコーティングは、コーティング方法と共に、英国特許GB−1,466,799号に先立って記載されている。混合塩コーティング材料と過炭酸の重量比は、1:200〜1:4、より好ましくは1:99〜19、最も好ましくは1:49〜1:19の範囲内にある。混合塩は、一般式Na2S04.n.Na2CO3を有する硫酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのものであることが好ましく、nは0.1〜3、好ましくはnは0.3〜1.0、最も好ましくはnは0.2〜0.5である。
【0067】
製品安定性を備える別の好適なコーティング材料は、Si02:Na20比が1.8:1〜3.0:1、好ましくはL8:1〜2.4:1であるケイ酸ナトリウム、および/またはメタケイ酸ナトリウムを含み、好ましくはSi02が無機過水和物塩の2重量%〜10重量%、(通常、3重量%〜5重量%)の量で適用される。またケイ酸マグネシウムは、コーティングに包含されることもできる。ケイ酸塩およびホウ酸塩またはホウ酸あるいは他の無機物を含有するコーティングもまた好適である。
【0068】
ワックス、油、脂肪石鹸を含有する他のコーティングもまた、本発明において有利に使用されることができる。
【0069】
ペルオキシモノ過硫酸カリウムは、本明細書において有用な別の無機過水和物塩である。
【0070】
典型的な有機漂白剤は、ジアシルおよびテトラアシルペルオキシド、特にジペルオキシドデカンジオン酸、ジペルオキシテトラデカンジオン酸、およびジペルオキシヘキサデカンジオン酸を包含する有機ペルオキシ酸である。過酸化ジベンゾイルは、本明細書において好ましい有機ペルオキシ酸である。また、モノ−およびジペルアゼライン酸、モノ−およびジペルブラシル酸、並びにN−フタロイルアミノペルオキシカプロン酸も、本明細書での使用に適している。
【0071】
好ましくは、ジアシルペルオキシド、特にジベンゾイルペルオキシドは、約0.1〜約100μm、好ましくは約0.5〜約30μm、より好ましくは約1〜約10μmの重量平均直径を有する粒子の形態で存在すべきである。好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%の粒子は、10μmより小さい、好ましくは6μmより小さい。また、自動食器洗浄機での使用中に、上記の粒径範囲内のジアシルペルオキシドは、より大きいジアシルペルオキシド粒子よりも、特にプラスチック食器からの、より良好な染み除去を提供する一方で、望ましくない堆積および被膜形成を最小限にすることが見い出された。従って、好ましいジアシルペルオキシドの粒径によって、配合者は低濃度のジアシルペルオキシドと共に良好な染み除去を達成することができ、それによって堆積や被膜形成が軽減される。逆に、ジアシルペルオキシドの粒径が増すにつれて、良好な染み除去には、さらに多くのジアシルペルオキシドが必要となり、食器洗浄工程の間に関わる表面への堆積を増やすことになる。
【0072】
さらなる典型的な有機漂白剤としては、ペルオキシ酸が挙げられ、特定の例は、アルキルペルオキシ酸およびアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)アルキルペルオキシ安息香酸のようなペルオキシ安息香酸およびその環置換誘導体、またペルオキシ−α−ナフトエ酸およびマグネシウムモノペルフタレート(b)ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシへキサン酸(PAP)]、o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミドペルアジピン酸、およびN−ノネニルアミドペルサクシネートのような脂肪族または置換脂肪族ペルオキシ酸、および(c)1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−ジオン酸、N,N−テレフタロイルジ(6−アミノペルカプロン酸)のような脂肪族およびアリール脂肪族(araliphatic)ペルオキシジカルボン酸である。
【0073】
漂白活性化剤
典型的に漂白活性化剤は、60℃以下の温度における洗浄の過程での漂白作用を増強する有機過酸前駆体である。本明細書にて使用するのに適した漂白活性化剤としては、過加水分解条件下において、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸、および/または所望により置換された過安息香酸を与える化合物が挙げられる。好適な物質は、指定される炭素原子の数のO−アシル基および/またはN−アシル基、並びに/若しくは所望により置換ベンゾイル基を持つ。好ましいものとしては、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn−ノナノイル−またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−またはイソ−NOBS)、カルボン酸無水物、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコールおよび2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン、並びにトリエチルアセチルシトレート(TEAC)が挙げられる。
【0074】
漂白触媒
本明細書において用いるのに好ましい漂白触媒としては、トリアザシクロノナンマンガンおよび関連錯体(米国特許第4246612号、米国特許第5227084号);ビスピリジルアミンコバルト、ビスピリジルアミン銅、ビスピリジルアミンマンガン、ビスピリジルアミン鉄、および関連錯体(米国特許第5114611号);並びにペンタミンアセテートコバルト(III)および関連錯体(米国特許第4810410号)が挙げられる。本明細書にて使用するのに適した漂白剤触媒の完全な記載は、PCT国際公開特許WO99/06521、34頁26行〜40頁16行に見ることができる。
【0075】
界面活性剤
本明細書において好適な界面活性剤としては、アルキル、アルケニル、またはアシル部分がC
5〜C
20、好ましくはC
10〜C
18の直鎖または分枝鎖である、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルグリセリルスルホネート、アルキルおよびアルケニルスルホネート、アルキルエトキシカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、N−アシルタウレート、並びにアルキルサクシネートおよびスルホサクシネートのようなアニオン性界面活性剤;クロリンエステル(米国特許第4228042号、米国特許第4239660号、および米国特許第4260529号)、およびモノC
6〜C
16N−アルキルまたはアルケニルアンモニウム界面活性剤であって、残りのN位がメチル基、ヒドロキシエチル基、またはヒドロキシプロピル基で置換されているもののようなカチオン性界面活性剤;非イオン性アルコキシル化界面活性剤(特に、C
6〜C
18の第一級アルコールから誘導されるエトキシレート)、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASFポリ−タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18)、エポキシ末端処理されたポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、BASFポリ−タージェント(登録商標)SLF18B、PCT国際公開特許WO94/22800参照)、エーテル末端処理されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、並びにミシガン州ワイアンドットのBASF−ワイアンドット社(BASF-Wyandotte Corp.,Wyandotte,Michigan)によるプルロニック(Pluronic)(登録商標)、リバースド・プルロニック(Reversed Pluronic)(登録商標)およびテトロニック(Tetronic)(登録商標)などのブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン高分子化合物を包含する、低曇点および高曇点の非イオン性界面活性剤およびこれらの混合物;C
12〜C
20アルキルアミンオキシド(本明細書で使用するのに好ましいアミンオキシドには、C
12ラウリルジメチルアミンオキシド、C
14およびC
16ヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる)、およびミラノール(Miranol)(商標)C2Mなどのアルキル両性カルボン酸界面活性剤などの両性界面活性剤;並びに
ベタインおよびスルタインなどの双極性界面活性剤;並びにこれらの混合物が挙げられる。本明細書において好適な界面活性剤は、例えば、米国特許第3,929,678号、米国特許第4,259,217号、EP−A−0414549、PCT国際公開特許WO93/08876、およびPCT国際公開特許WO93/08874に開示されている。食器洗浄洗浄製品において使用するのに好ましい界面活性剤は、低発泡性であり、低曇点非イオン性界面活性剤、およびより高発泡性界面活性剤と(この場合、泡抑制剤として働く)低曇点非イオン性界面活性剤との混合物を包含する。
【0076】
ビルダー
本明細書の洗浄組成物に用いるのに好適なビルダーとしては、クエン酸塩、炭酸塩およびポリリン酸塩のような水溶性ビルダー、例えば、トリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウム6水和物、トリポリリン酸カリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムとカリウムとの混合塩;並びに結晶性層状ケイ酸塩(EP−A−0164514およびEP−A−0293640)、およびゼオライトA、B、P、X、HSおよびMAPを包含するアルミノケイ酸塩のような部分的水溶性または不溶性ビルダーが挙げられる。
【0077】
長期保存安定性の観点から、非常に好ましいのは、約22%未満、好ましくは約15%未満の全ケイ酸塩(非晶性および結晶性)を含有する組成物であるが、SiO
2対Na
2Oの比が1.8〜3.0、好ましくは1.8〜2.4、最も好ましくは2.0である非晶性ケイ酸ナトリウムもまた、本明細書において使用することができる。
【0078】
酵素
本明細書において好適な酵素としては、ケアザイム(Carezyme)およびセルザイム(Celluzyme)(ノボ・ノルディック(Novo Nordisk)A/S)のような細菌性および菌性のセルラーゼ;ペルオキシダーゼ;アマノ−P(Amano-P)(天野製薬社(Amano Pharmaceutical Co.))、M1リパーゼ(登録商標)およびリポマックス(Lipomax)(登録商標)(ジスト−ブロカード(Gist-Brocades))およびリポラーゼ(Lipolase)(登録商標)およびリポラーゼ・ウルトラ(Lipolase Ultra)(登録商標)(ノボ(Novo))のようなリパーゼ;クチナーゼ;エスペラーゼ(Esperase)(登録商標)、アルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)、デュラジム(Durazym)(登録商標)およびサビナーゼ(Savinase)(登録商標)(ノボ(Novo))およびマキサターゼ(Maxatase)(登録商標)、マキサカール(Maxacal)(登録商標)、プロペラーゼ(Properase)(登録商標)およびマキサペム(Maxapem)(登録商標)(ジスト−ブロカード(Gist-Brocades))のようなプロテアーゼ;ピュラフェクト(Purafect)Ox Am(登録商標)(ジェネンコア(Genencor))およびターマミル(Termamyl)(登録商標)、バン(Ban)(登録商標)、フンガミル(Fungamyl)(登録商標)、デュラミル(Duramyl)(登録商標)、およびナタラーゼ(Natalase)(登録商標)(ノボ(Novo))のようなα−およびβ−アミラーゼ;ペクチナーゼ;並びにこれらの混合物が挙げられる。本明細書において酵素は、典型的に純酵素で洗浄組成物の約0.0001重量%〜約2重量%の範囲の量で、小球(prills)、顆粒(granulates)、または共顆粒(cogranulates)として添加されることが好ましい。
【0079】
低曇点非イオン性界面活性剤および石鹸泡抑制剤
本明細書で用いるのに好適な泡抑制剤としては、低曇点を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用するとき、「曇点」とは、温度が増加するにつれて溶解性が低下する界面活性剤で生じる、非イオン性界面活性剤の周知の特性であり、第二相の出現が観察できる温度を「曇点」と呼ぶ(カーク・オスマー(Kirk Othmer)、360〜362頁参照)。本明細書で使用するとき、「低曇点」非イオン性界面活性剤とは、30℃未満、好ましくは約20℃未満、さらに好ましくは約10℃未満、最も好ましくは約7.5℃未満の曇点を有する非イオン性界面活性剤系成分として定義される。典型的な低曇点非イオン性界面活性剤としては、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に第一級アルコールから誘導されるエトキシレート、およびポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)リバースブロックポリマー(reverse block polymer)が挙げられる。また、このような低曇点の非イオン性界面活性剤としては、例えば、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASFのポリ・タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18)およびエポキシ末端処理されたポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、米国特許第5,576,281号に記載のような非イオン性のBASFポリ・タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18Bシリーズ)も挙げられる。
【0080】
好ましい低曇点界面活性剤は、次式を有するエーテル末端処理されたポリ(オキシアルキル化)泡抑制剤である:
【化1】
[式中、R
1は平均約7〜約12個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素であり、R
2は約1〜約4個の炭素原子の直鎖アルキル炭化水素であり、R
3は約1〜約4個の炭素原子の直鎖アルキル炭化水素であり、xは約1〜約6の整数であり、yは約4〜約15の整数であり、zは約4〜約25の整数である。]
他の低曇点非イオン性界面活性剤は、次式を有するエーテル末端処理されたポリ(オキシアルキル化)である:
R
IO(R
IIO)
nCH(CH
3)OR
III
式中、R
Iは約7〜約12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、置換または非置換、脂肪族または芳香族の炭化水素ラジカルから成る群から選択され;R
IIは同じあっても異なってもよく、およびいずれかの所与の分子において分枝鎖または直鎖C
2〜C
7アルキレンから成る群から独立して選択され、nは1〜約30の数であり;およびR
IIIは次のものから成る群から選択される:
(i)1〜3個のヘテロ原子を含有する4〜8員環の置換または非置換複素環、および
(ii)約1〜約30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、置換または非置換、環式または非環式、脂肪族または芳香族の炭化水素ラジカル;
(b)ただし、R
2が(ii)の場合、(A)R
1の内の少なくとも1つが、C
2〜C
3アルキレン以外のものであるか、または(B)R
2が6〜30個の炭素原子を有することを条件とし、更にR
2が8〜18個の炭素原子を有する場合、RはC
1〜C
5アルキル以外のものであることを条件とする。
【0081】
本明細書において他の好適な構成要素としては、分散、再析出防止、汚れ放出または他の洗浄特性を有する有機ポリマーが挙げられる。本明細書に好ましい再析出防止ポリマーには、アクリル酸含有ポリマー、例えば、ソカラン(Sokalan)PA30、PA20、PA15、PA10、およびソカランCP10(BASF社)、アクゾル(Acusol)45N、480N、460N(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas))、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、例えばソカランCP5、並びにアクリル/メタクリルコポリマーが挙げられる。本明細書に好ましい汚れ放出ポリマーとしては、アルキルおよびヒドロキシアルキルセルロース(米国特許第4,000,093号)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよびこれらのコポリマー、並びにエチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらの混合物のテレフタレートエステルをベースとする、非イオン性およびアニオン性ポリマーが挙げられる。
【0082】
また重金属イオン封鎖剤および結晶形成阻害剤、例えば、塩および遊離酸形態のジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジホスホネート、ヒドロキシエチレン−1,1−ジホスホネート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミノテトラアセテート、エチレンジアミン−N,N’−ジサクシネートもまた、本明細書での使用に適している。
【0083】
本明細書における基材および洗浄組成物は、有機銀コーティング剤(特に、ウィンターシャル(Wintershall)(ドイツ、ザルツブルゲン(Salzbergen))から販売されるウィノグ(Winog)70のようなパラフィン)、窒素含有腐食防止剤化合物(例えばベンゾトリアゾールおよびベンズイミダゾール、英国特許出願GB−A−1137741参照)、並びにMn(II)化合物、特に有機配位子のMn(II)塩のような腐食防止剤を含有することができる。
【0084】
本明細書における他の好適な構成要素としては、カルシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール、および塩素漂白剤スカベンジャーのような酵素安定剤、石灰石鹸分散剤(PCT国際公開特許WO93/08877参照)、泡抑制剤(PCT国際公開特許WO93/08876および欧州特許出願EP−A−0705324参照)、高分子転染阻害剤、蛍光増白剤、香料、充填剤、並びに粘土が挙げられる。
【0085】
本発明の洗浄製品は、粉末、液体、またはゲルの形態、あるいは、錠剤、特にパウチ、カプセルおよびサッシェを包含する1回用量形態であることができる。
【0086】
溶解度変性剤
溶解度変性剤は、例えば、一定の、温度、pH、イオン強度、pKa、酸化還元電位、酵素濃度等を下回ってまたは上回って溶解を促進するか、または妨げることによって、水溶性フィルムの溶解度を変更する。また溶解度変性剤は、機能化基材からの機能性材料の制御放出を得ることも助成する。
【0087】
好適な溶解度変性剤は、選択されたアセチル化度を有するアミノ−アセチル化多糖類、好ましくはキトサンである。キトサンの溶解度は、pH依存であり、この特性を使用することにより、機能化基材の溶解は、確定されたpHに制限され得る。
【0088】
他の好適な溶解度変性剤としては、PCT国際公開特許WO03/68852に記載されたポリマーが挙げられ、これはpH、塩濃度、界面活性剤の濃度、または両者の組み合わせの変化により、水への溶解度が誘発される可能性がある。ポリマーは、固定酸により中和されたプロトン化アミン機能を2〜60モル%含有するコポリマーまたはターポリマーである。またPCT国際公開特許WO02/26928は、特に食器洗浄および洗濯における制御放出の目的のために使用できる好適な複合ポリマーを記載している。
【0089】
所与のpH範囲において可溶性であるさらなる好適な溶解度変性剤は、メタクリル酸コポリマー、スチレンヒドロキシスチレンコポリマー、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコールポリビニルアセテート、ジエチルフタレート、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート(sulfocuccinate)、ポリ−dl−ラクチド−コ−グリコリド(PLG)、ビニルピリジン/スチレンコポリマー、キトサン/乳酸、キトサン/ポリビニルアルコールに基づき、デグサ・ローム・ファーマ(Degussa Rhom Pharma)から商標名オイドラギット(Eudragit)として、イーストマン(Eastman)から商標名イーストアクリル(Eastacryl)として、マクロメディ社(MacroMed Inc.)から商標名SQZゲル(SQZgel)として市販されている。
【0090】
また、特定の化学環境において可溶性の溶解度変性剤も、市販されている。例えば、腐食性可溶性バリア剤は、アルコア(Alcoa)から商標名ヒドラコート5(Hydra-Coat-5)として市販されている。水分散性バリア剤は、グリコール酸ナトリウムデンプン、ポリプラスドン(polyplasdone)に基づき、FMC社(FMC Corporation)から商標名Ac−di−ゾルとして、エドワード・メンデル社(Edward Mendell Corporation)から商標名エクスプロタブ(Explotab)として、ISPから商標名クロスポビドン(Crospovidone)として市販されている。
【0091】
バリア剤
バリア剤は、特に高湿度環境における保存安定性、および/または手触りの感触を改善することを助けることができる。好適なバリア剤としては、ゼオライト、ベントナイト、タルク、雲母、カオリン、シリカ、シリコーン、デンプン、およびシクロデキストリンが挙げられる。ポリマー、特にセルロース性材料も、バリア剤として好適である。
【0092】
他の好適なバリア剤としては、ニス、セラック、ラッカー、ポリオレフィン、パラフィン、ワックス、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、またはこれらの組み合わせが挙げられる。好適な水溶性バリア剤の1つの非限定例は、サンケミカル社(Sun Chemical Corporation)(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte))から市販されているOPV(オーバー・プリント・バーニッシュ(Over Print Varnish))であり、TV96−6963ウォーター・フレキソ・フィルム・バーニッシュ(water flexo film varnish)として販売されている。
【0093】
光により分解する成分を保護するために、UV吸収剤が使用されてもよい。使用してもよいUV吸収剤の好ましい族は、ベンゾフェノン、サリシクレート(salicyclates)、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン、およびアルコキシ(例えば、メトキシ)シンナメート並びにこれらの混合物である。この用途のために特に有用な水溶性UV吸収剤としては、以下のものが挙げられる:フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(ハーマン・アンド・レイマー社(Haarmann and Reimer Corp.)から、ネオ・ヘリオパン(Neo Heliopan)、ヒドロ型(Type Hydro)として販売)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)からシンターゼ(Syntase)230として、BASF社(BASF Corp.)からユビヌル(Uvinul)MS−40として販売)、ナトリウム2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン(BASF社からユビヌル(Uvinul)DS−49として販売)、およびPEG−25パラアミノ安息香酸(BASF社からユビヌルP−25として販売)。使用されてもよい他のUV吸収剤は、(菓子製造出版社(the Manufacturing Confectioner Publishing Company))(1997)より出版された、マッカチャン(McCutcheon)の第2巻、機能性材料、北アメリカ版において定義される。
【0094】
欧州特許EP1,141,207号によれば、蛍光染料は、光保護剤として作用することもできる。使用してもよい蛍光染料の好ましい部類としては、スチルベン;クマリンおよびカルボスチリル化合物;1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン;ナフタルイミド;エチレン、フェニルエチレン、スチルベン、チオフェンのベンザジル置換製品;および組み合わされた複素環式芳香族、並びにこれらの混合物が挙げられる。また、使用されてもよい特に好ましい蛍光染料は、米国特許第2,784,220号および米国特許第2,612,510号に教示されるようなジアミノスチルベン誘導体のスルホン酸塩でもある。同様に米国特許第5,082,578号に教示されるような高分子蛍光増白剤も、本明細書にて使用するのに適している。使用してもよい他の染料は、UV吸収剤に関連して上記されるように、マカッチャン(McCutcheon)の2巻、機能性材料、北アメリカ版において定義される。
【0095】
この用途に特に有用な蛍光染料としては、以下のものが挙げられる:チバ・ガイギー社(Ciba Geigy Corp.)からのチノパール(Tinopal)CBS−Xのようなジスチリルビフェニル型、チバ・ガイギー社からのチノパールAMS、DMS、5BM、およびUNPA、並びにモベイ(Mobay)からのブランクオフォー(Blankophor)DMLのような塩化シアヌル/ジアミノスチルベン型。
【0096】
機能化基材
前述したように、本発明の基材は、多数の用途を有する。食用フィルムは、ビタミン、ミネラル、フレーバー、食用染料等でコーティングされ得る。好ましい手法は、それぞれ異なる色の、異なるフレーバーでコーティングされた複数のフィルムであり、複数のフィルムは、共に封じられ、異なるフィルムの溶解により、フレーバーの範囲での有する経験(experience)をユーザーに与える。他の例は、可溶性インスタントコーヒー1杯分を包装するために便利に用いられる食用可溶性フィルム上に印刷されたフレーバー、コーヒークリーマー、甘味剤、糖である。
【0097】
別の好ましい手法は、機能化基材の切断片を練り歯磨き製品に添加することである。抗菌、息臭制御、漂白等の機能性材料を、組み込むことができ、また必要であれば、気持ちのいい審美性(機能化基材の切断片は、有色、蛍光性、光輝性(sparkle)等であることができる)を提供し、練り歯磨きの使用および溶解に際し、放出することができる。
【0098】
また本発明の基材は、洗浄製品において多数の用途を有する。これらは、ワイパーのような従来の基材に組み込まれ、ワイパーが水と相互作用するやいなや、機能性材料を放出することができる。また、これらは、パーソナルケアにおいて用途を有する。これらは、おむつ内に、顔用および体用ワイパー等を組み込むことができる。パーソナルケア分野において特に好適なのは、機能性材料として湿潤剤を有する基材である。
【0099】
硬質表面の食器洗浄および洗濯製品において、機能化基材は、機能性材料を互いに分離でき、並びに機能性材料の放出を制御できる。機能化基材は、複数個の機能性材料を含む層または複数の層、または異なる機能性材料を含む別個の領域に、1超過の機能性材料を含むことができる。あるいは、複数個の機能性材料を提供するために、2つ以上の機能性基材を共に積み重ねることができる。好ましい手法としては、粒子状漂白剤または漂白剤触媒の場合であり得るとき、機能性材料が、小さい粒径(すなわち、重量平均直径約200μm未満、好ましくは100μm未満、さらにより好ましくは50μm未満を有する粒子)を有する固体である、機能化基材が挙げられる。時には、溶解時間を短縮するおよび/または材料の活性を増進するために、小さい粒径材料の使用が好ましい。小さい大きさの粒子材料は、粉末組成物または取り扱い間に微紛化する(dusting)場合、凝離を引き起こして処理するのが難しいことがあり得る。これらの問題は、例えば印刷により水溶性フィルム上へ小さい粒径の材料を、コーティングすることにより克服される。さらなる水溶性フィルムを添加することによりコーティングを保護し、その結果小さい粒径材料を「サンドウィッチ」構造に有することができる。あるいは、コーティングは、バリア剤を用いて保護され得る。
【0100】
別の好ましい手法としては、フィルムを漂白剤および漂白活性化剤のような同時に機能する2つ以上の材料でコーティングすることが挙げられる。2つの材料は、保存間の相互作用を避けるために、フィルムの分離した別個の領域に置かれることが好ましい。異なる材料の存在をユーザーに示すために、各材料は、染料または顔料にて着色され得る。
【0101】
本発明の機能化基材は、不相溶の材料を分離するために特に好適であり、例えば、フィルムを、漂白剤でコーティングすることができ、酵素でコーティングされた第二フィルムを、第一フィルムに重ねて置くことができ、漂白剤と酵素との間の相互作用を回避する。初めに酵素が水性環境へと放出され得る。さらに、漂白剤を含むコーティングは、漂白剤の放出を遅延するために、溶解度変性剤を含むことができ、その結果、酵素が、最適な条件下、すなわち漂白剤が存在しない条件下において、酵素活性を遂行することができる。他方では、漂白剤は、ある汚れが酵素により放出された基材上で作用するであろうし、漂白剤は、残りの汚れを処理するために使用されるであろう。
【0102】
機能化基材は、それに関連する香気および/またはフレーバーを有して着色される、すなわち、ストロベリー香気/フレーバーを有するピンクフィルム、マンダリン香気/フレーバーを有するオレンジフィルム等であることができる。
【0103】
1回用量形態の洗浄製品
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、1回用量洗浄製品の形態である。それは、単区画または多区画1回用量製品、好ましくは、真空または熱成形多区画水溶性パウチであることができ、区画の1つは、好ましくは固体粉末組成物を含有する。1回用量手法のための好ましい製造方法が、PCT国際公開特許WO02/42408に記載されている。
【0104】
単区画パウチは、最初のフィルム片を型に入れて、真空手段によってフィルムを延伸してポケットを形成し、形成されたポケットにゲスト−ホスト複合体(guest-host complex)を包含する洗剤または漂白剤を充填し、形成されたポケットにもう一方のフィルム片を配置して封じることにより作製できる。
【0105】
粉末および液体組成物を含む多区画パウチは、最初のフィルム片を型に入れて、真空手段によってフィルムを延伸してポケットを形成し、そのフィルムをピンで留め、粉末組成物を投入して詰め、二番目のフィルム片を最初のポケット上に被せて新しいポケットを形成し、この新しいポケットに液体組成物を充填し、一枚のフィルム片をこの液体を充填したポケット上に被せて、3枚のフィルムを合わせて封じて二重区画のパウチを形成することによって作製できる。