特許第6293742号(P6293742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6293742デザイナーモノヌクレオソーム(designermononucleosome)のDNAバーコード化ならびにクロマチンリーダー、ライター、イレーサーおよびそのモジュレーターをプロファイリングするためのクロマチンアレイライブラリー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293742
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】デザイナーモノヌクレオソーム(designermononucleosome)のDNAバーコード化ならびにクロマチンリーダー、ライター、イレーサーおよびそのモジュレーターをプロファイリングするためのクロマチンアレイライブラリー
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20180305BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20180305BHJP
   C40B 40/10 20060101ALI20180305BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20180305BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20180305BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C40B40/06
   C40B40/10
   C12Q1/68 A
   !C07K14/47
【請求項の数】27
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2015-516214(P2015-516214)
(86)(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公表番号】特表2015-521462(P2015-521462A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】US2013044537
(87)【国際公開番号】WO2013184930
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】61/656,233
(32)【優先日】2012年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/712,148
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003552
【氏名又は名称】ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】マイアー、トム・ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ンガイエン、ウェン・ティー.・ティー.
(72)【発明者】
【氏名】メラー、マヌエル・エム.
【審査官】 宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/050963(WO,A1)
【文献】 米国特許第05972608(US,A)
【文献】 国際公開第2013/030579(WO,A1)
【文献】 DAI J. et al.,Cell,134(2008),p.1066-1078
【文献】 Ruthenburg A.J. et al.,Cell,145(2011),p.692-706
【文献】 NAKANISHI S. et al.,Nat. Struct. Mol. Biol.,15(8)(2008),p.881-888
【文献】 KATO M. et al.,J. Mol. Biol.,350(2005),p.215-227
【文献】 DORIGO B. et al.,J. Mol. Biol.,327(2003),p.85-96
【文献】 BARTKE T. et al.,Cell,143(2010),p.470-484
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/09
C12Q 1/68
C40B 40/06−40/10
C07K 14/47
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)PubMed
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成モノヌクレオソームであって、
(a)ヒストンH2A、H2B、H3およびH4各々2コピー含有するタンパク質八量体であって、前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されていない、および/または前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されてヒストン修飾のパターンを形成している、タンパク質八量体と、
(b)ヌクレオソーム性DNA分子であって、
(i)ヌクレオソーム位置決定配列(NPS)であって、1つ以上の前記ヒストンと結合して安定な蛋白質を形成する塩基配列と、
(ii)前記ヌクレオソーム性DNA中の定義された位置に位置する1つ以上のDNAバーコードと、
(iii)前記NPSの5’および/もしくは3’末端でのならびに/または前記NPS内での1つ以上のDNA延長部と
を含み、前記DNAが修飾されていない、および/または前記DNA中の少なくとも1つのヌクレオチドが修飾されてDNA修飾のパターンを形成している、ヌクレオソーム性DNA分子
複合体を含み、
さらに(i)ヒストン修飾のパターンおよび/またはDNA修飾のパターンを有し、それによってヌクレオソーム修飾のパターンを形成し、(ii)前記ヌクレオソーム性DNA中の配列および位置が前記モノヌクレオソーム中のヌクレオソーム修飾の前記パターンを示す1つ以上の固有のバーコードを含む、合成モノヌクレオソーム。
【請求項2】
DNA分子によって互いに結合している2つ以上の合成モノヌクレオソームを含む合成ポリヌクレオソームであって、前記モノヌクレオソームが接続性を有し、前記2つ以上の合成モノヌクレオソームの各々が、
(a)ヒストンH2A、H2B、H3およびH4各々2コピー含有するタンパク質八量体であって、前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されていない、および/または前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されてモノヌクレオソーム性ヒストン修飾のパターンを形成している、タンパク質八量体と;
(b)モノヌクレオソーム性DNA分子であって、
(i)ヌクレオソーム位置決定配列(NPS)と、
(ii)前記NPSの5’および/もしくは3’末端でのならびに/または前記NPS内でのDNA延長部とを含み、
前記DNAが修飾されていない、および/または前記DNA中の少なくとも1つのヌクレオチドが修飾されてモノヌクレオソーム性DNA修飾のパターンを形成している、モノヌクレオソーム性DNA分子
複合体を含み、
モノヌクレオソーム性ヒストン修飾の前記パターンおよび/または前記ポリヌクレオソーム中のモノヌクレオソーム性DNA修飾の前記パターンが、均一であってもよく、または異なっていて、ポリヌクレオソーム性修飾のパターンを得られてもよく;
前記ポリヌクレオソームが、前記ポリヌクレオソーム性DNA中の配列および位置がポリヌクレオソーム性修飾の前記のパターンを示す前記ポリヌクレオソーム性DNA中の定義された位置に位置する1つ以上のバーコードを含む、合成ポリヌクレオソーム。
【請求項3】
リンカーヒストンを更に含む、請求項1に記載の合成モノヌクレオソーム。
【請求項4】
リンカーヒストンを更に含む、請求項2記載の合成ポリヌクレオソーム。
【請求項5】
前記複合体が1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質を更に含む、請求項1または請求項3に記載の合成モノヌクレオソーム。
【請求項6】
前記複合体が1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質を更に含む、請求項2または請求項4に記載の合成ポリヌクレオソーム。
【請求項7】
請求項2、請求項4、または請求項6に記載の合成ポリヌクレオソームを2つ以上含む合成ポリヌクレオソームのライブラリーであって、
前記ライブラリーの各メンバーが、ポリヌクレオソーム性修飾のパターンを示す1つ以上の固有のバーコードを有する、ライブラリー。
【請求項8】
前記ヒストンの前記修飾が、ヒストンアイソフォーム、翻訳後修飾(PTM)および/もしくは非天然のアミノ酸を含む、請求項1、請求項3、または請求項5に記載の合成モノヌクレオソーム。
【請求項9】
(a)前記ヒストンアイソフォームが、タンパク質配列内の1つ以上のアミノ酸置換もしくはアミノ酸挿入またはタンパク質配列の末端の延長部および/またはタンパク質配列内の短縮を含み;および/または
(b)前記PTMが、ヌクレオソーム当たり1つの部位の修飾または2つ以上の部位の修飾を有する、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、SUMO化、ADP−リボシル化、グリコシル化、アルキル化、アシル化、プロリルシス/トランス異性化、ニトロシル化、および酸化を含めた、任意の天然に存在するヒストン修飾から選択され、および/または
(c)前記非天然のアミノ酸が、化学的および生化学的に不活性な、光架橋剤、蛍光標識または同位体標識であり得る翻訳後修飾(PTM)の合成類似体から選択される、請求項に記載の合成モノヌクレオソーム。
【請求項10】
前記DNAの修飾が、天然に存在する修飾を有するDNA塩基もしくは人工的な修飾を有する塩基を1つ以上含む、請求項1、請求項3、請求項5、請求項8、または請求項9に記載の合成モノヌクレオソーム。
【請求項11】
1つ以上の請求項1、請求項3、請求項5、請求項8、請求項9、または請求項10に記載の合成モノヌクレオソームおよび/または1つ以上の請求項2、請求項4、請求項6、または請求項7に記載の合成ポリヌクレオソームを含むキットであって、モノヌクレオソームおよび/またはポリヌクレオソームが、1つ以上の容器に含まれている、キット。
【請求項12】
各固有のバーコードとモノヌクレオソームおよび/またはポリヌクレオソーム修飾のパターンの間の相関を示す一覧をさらに含む、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記容器が、試験管、マルチウエルプレートのウェルまたは微小流体装置の反応チャンバーである、請求項11に記載のキット。
【請求項14】
組換えに由来する、および/もしくは有核細胞抽出物から抽出された1つ以上のクロマチンリーダーの認識パターンならびに親和性の特異性を決定する、または組換えに由来する、および/もしくは1つ以上の細胞系の有核細胞抽出物から抽出された1つ以上のクロマチン修飾物質の特異性ならびにクロマチン修飾クロストークを決定する方法であって、
(i)1つ以上の請求項1、請求項3、請求項5、請求項8、請求項9、または請求項10に記載の合成モノヌクレオソームおよび/または1つ以上の請求項2、請求項4、請求項6、または請求項7に記載の合成ポリヌクレオソームを、1つ以上の前記クロマチンリーダーまたは1つ以上の前記クロマチン修飾物質と接触させることと、
(ii)結合したおよび/または修飾された合成モノヌクレオソームおよび/またはポリヌクレオソームを単離することと、
(iii)前記結合したまたは修飾された合成モノヌクレオソームおよび/またはポリヌクレオソームおよび任意の付加されたマークまたは除去されたマークを同定および/または定量化することと
を含む方法。
【請求項15】
2つ以上の請求項1、請求項3、請求項5、請求項8、請求項9、または請求項10に記載の合成モノヌクレオソームを含むライブラリーであって、前記ライブラリーの各メンバーが、モノヌクレオソーム修飾のパターンを示す1つ以上の固有のバーコードを有する、ライブラリー。
【請求項16】
1つ以上のクロマチン相互作用物質または修飾物質に関連する1つ以上の修飾を同定する方法であって、
請求項15に記載のライブラリーを1つ以上のサブライブラリに分けることと;
前記の1つ以上のクロマチン相互作用物質および/または修飾物質を前記の1つ以上のサブライブラリと共にインキュベートすることと;
1つ以上のクロマチン相互作用物質または修飾物質と結合している1つ以上の修飾モノヌクレオソームまたはポリヌクレオソームから1つ以上のDNAバーコードを単離することと;
前記の単離されたDNAバーコードを、各単離されたDNA配列に、ポリメラーゼ連鎖反応を介して、前記の1つ以上のクロマチン相互作用物質または修飾物質に対応する追加のバーコード配列を備えることにより多重化すること;および
前記の1つ以上のクロマチン相互作用物質または修飾物質の各々に関連する前記の1つ以上の修飾をポリメラーゼ連鎖反応またはDNA配列決定を介したバーコード検出により同定すること
とを含む方法。
【請求項17】
エピジェネティック薬物の特異性を同定し、プロファイリングする方法であって、
候補分子を1つ以上の請求項1、請求項3、請求項5、請求項8、請求項9、請求項10、または請求項15に記載のモノヌクレオソームおよび/または1つ以上の請求項2、請求項4、または請求項6、または請求項7に記載のポリヌクレオソームと組み合わせることと、
ヌクレオソーム修飾のモジュレーションおよび/またはその結合を検出することとを含み、
それによって、ヌクレオソーム修飾をモジュレートするおよび/またはそれに結合する候補エピジェネティック薬物を同定する、方法。
【請求項18】
DNAバーコードおよび関連するヌクレオソーム修飾ならびにバーコード化した各ヌクレオソームの組成の一覧を更に含む、請求項7または請求項15に記載のライブラリー。
【請求項19】
前記ヌクレオソーム性DNAの前記5’および/もしくは3’末端にまたはその中にDNAバーコードを更に含む、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項15に記載の合成モノヌクレオソームまたはポリヌクレオソーム。
【請求項20】
1つ以上の修飾されたヒストンタンパク質、補完的な非修飾ヒストン、および1つ以上のバーコード化したヌクレオソーム性DNAと親和性タグ付けした緩衝DNAとを既定の比で組み合わせることを含む、請求項1、請求項3、請求項5、請求項8、請求項9、請求項10、請求項15、または請求項19に記載のモノヌクレオソームを会合させる方法。
【請求項21】
前記ライブラリーが安定するように前記NPSが十分に強力であり、4℃で少なくとも1カ月間貯蔵した後でも、モノヌクレオソームライブラリーメンバーの間で有意なDNAスクランブリングが発生しない、請求項15に記載のライブラリー。
【請求項22】
前記モノヌクレオソームライブラリーメンバーの比が、等モル(各ライブラリーメンバーについて1:1)であるかまたは等モルでなく、固定された既定の比でライブラリーメンバーの1つまたはサブセットに対して1〜1000の範囲である、請求項15または請求項21に記載のライブラリー。
【請求項23】
前記ヒストンの修飾が、ヒストンアイソフォーム、翻訳後修飾(PTM)および/もしくは非天然アミノ酸である;ならびに/または、前記DNA分子の前記修飾が、1つ以上のDNA塩基の天然に存在する修飾もしくは人工的な修飾を含む、請求項7、請求項15、請求項18、請求項21、または請求項22に記載のライブラリー。
【請求項24】
前記リンカーヒストンがH1である請求項3、請求項5、請求項8、請求項9、請求項10、請求項15、請求項21、または請求項22に記載の合成モノヌクレオソーム。
【請求項25】
前記リンカーヒストンがH1である請求項4、請求項6、または請求項7に記載の合成ポリヌクレオソーム。
【請求項26】
前記の結合したまたは修飾された合成モノヌクレオソームおよび/またはポリヌクレオソームの同定および/または定量が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応または次世代配列決定の使用を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記緩衝DNAがMMTVである請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本出願は、2012年6月6日に出願の米国特許仮出願第61/656,233号、および2012年10月10日に出願の米国特許仮出願第61/712,148号の出願日の利益を主張し、その両方を参照によりその全体をここで組み込む。
【0002】
配列表
即時出願は、EFS−Web経由で、ASCII形態で提出された配列表を含有し、参照によりその全体をここで組み込む。2013年6月5日に作成された前記ASCIIコピーは、32108−348453_SL.txtと命名され、サイズは14,653バイトである。
【背景情報】
【0003】
真核生物細胞において、DNAは、クロマチンと呼ばれる核タンパク質複合体中でヒストンタンパク質と一緒にパッケージングされている。クロマチンの最小反復単位はヌクレオソームであり、それによりクロマチンの繊維および高次構造への折りたたみが可能になる。クロマチンレベルでの遺伝子調節(「エピジェネティクス」)は、DNAとヒストン両方の動的化学修飾(「マーク」)による性質によって達成され、特殊な「クロマチンライター」および「クロマチンイレーサー」酵素によって媒介される(まとめて「クロマチン修飾物質」と呼ばれる)。「ヒストン修飾物質」とは、それぞれ、1つ以上のマークをヒストンタンパク質にまたはそこから、付着させる(「ヒストンライター」)または除去する(「ヒストンイレーサー」)タンパク質である。「DNA修飾物質」とは、それぞれ、1つ以上のマークをDNAにまたはそこから、付着させる(「DNAライター」)または除去する(「DNAイレーサー」)タンパク質である。例としては、薬理学的に重要なヒストンデアセチラーゼ(HDAC)およびヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)がある。これらの修飾を組み合わせて、(クロマチン繊維内、単一ヌクレオソーム内、および/または単一ヒストン内に)局所的パターンを形成し、そのパターンは固有のマークを認識する特殊なモジュール(「クロマチンリーダー」または「クロマチン相互作用物質」)を有するタンパク質因子の動員プラットフォームとして機能すると考えられる。「ヒストンリーダー」または「ヒストン相互作用物質」はそれぞれ、ヒストンタンパク質上にある1つ以上のマークを認識するまたはそれに結合するタンパク質である。「DNAリーダー」または「DNA相互作用物質」はそれぞれ、DNA上にある1つ以上のマークを認識するまたはそれに結合するタンパク質である。DNAおよびヒストンマークは、細胞の発達および分化に重要であり、したがって異常な修飾および組合せが損なわれた読み出しは、ヒト疾患、特に癌に関係する。結果として、クロマチン生物学およびエピジェネティクスは、学究的世界および製薬業界において多くの研究構想の焦点になった。さらに、トップダウンエピゲノムおよびプロテオーム手法によって生成される情報量と、それに関連するクロマチン生化学の分子詳細に系統的に情報を与える能力との間のミスマッチが急速に拡大する。ヒストン配列、変形、ならびに天然の修飾の型および存在量、ならびに修飾に関与するいくつかの酵素に関するゲノム情報およびプロテオーム情報が膨張しているにもかかわらず、非常に複雑なエピジェネティック機構についての知識は断片的なままであり、有効な生化学ツールが無い。
【0004】
ヒストンタンパク質における異常な翻訳後修飾パターンおよびDNA塩基に見出されるそれらは、疾患中にしばしば見出される。次世代のエピジェネティック薬物の合理的なデザインの必要条件として、発症機序を理解し、アッセイし、操作するニーズがある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】典型的な、DNAコード化MNライブラリー。この特定の変形において、各MNライブラリーメンバーは、ヌクレオソーム性DNAの5’末端でバーコード化されており、その後のDNA配列決定読み出し用としてフォワード(FW)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および配列決定プライミング部位を含有する。MNバーコードは、それぞれのMNに組み込まれたヒストンバリアントおよび/もしくはDNAバリアントならびに/または他のヒストンおよび非ヒストンタンパク質をコードしている。一般に、DNA内のどこにでも、5’もしくは3’末端に、またはその近傍に、1つまたはいくつかのバーコードを組み込むことができる。白:ヒストン八量体;灰色:ヌクレオソーム性DNA;黒い突出:N末端ヒストンテール。フラグは、異なる修飾を表す(ここでは、ヒストンに対する修飾を示す;またはその代わりとして、修飾はDNA配列内に組み込むこともできる)。異なるバーコードは、それぞれのMNバリアントをコードしている異なるDNA配列を表す。H:ヒストン。MN:モノヌクレオソーム。FW:フォワード配列決定プライミング部位。
図2】トリMNからなる典型的な、DNAコード化CAライブラリー。この特定の変形において、各MNライブラリーメンバーは、アレイDNAの5’末端でバーコード化されており、その後のDNA配列決定読み出し用としてPCRおよび配列決定プライミング部位を含有する。CAバーコードは、それぞれのCAに組み込まれた、ヒストンバリアントおよび/もしくはDNAバリアント、DNA延長部、リンカーヒストン、ならびに/または他の非ヒストンタンパク質をコードしている。一般に、DNA内のどこにでも、5’もしくは3’末端に、またはその近傍に、1つまたはいくつかのバーコードを組み込むことができる。白:ヒストン八量体;灰色:アレイDNA;黒い突出:N末端ヒストンテール。図1のように、フラグは異なる修飾(ヒストンまたはDNA)修飾を表す。異なるバーコードは、それぞれのCAバリアントをコードしている異なるDNA配列を表す。H:ヒストン。MN:モノヌクレオソーム。CA:クロマチンアレイ。FW:フォワード配列決定プライミング部位。
図3】クロマチン相互作用物質/修飾物質をプロファイリングするためのDNAバーコード化したMNライブラリーの使用例。I.この特定の変形例では、各MNライブラリーメンバーは、ヌクレオソーム性DNAの5’末端でバーコード化されている。MNバーコードは、ヒストンバリアントおよび/またはDNAバリアントをコードしている。II.クロマチン相互作用物質または修飾物質とライブラリー(組換えまたは有核細胞抽出物から得られる)とのインキュベーション。III.たとえば抗体プルダウンによる、結合しているまたは修飾されたMN基質の単離。IV.タンパク質消化およびDNA精製を使用する、バーコード化したDNA配列の単離。V.データ分析:入力標準化後のDNAの識別および定量化。バーコード解読は、DNAマイクロアレイハイブリダイゼーション、またはたとえばPCRもしくはT4 DNAライゲーションによるFWおよびRV配列決定プライミング部位の付加後のDNA配列決定のいずれかによって達成することができる(注:任意に、FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。白:ヒストン八量体;灰色:ヌクレオソーム性DNA;黒い突出:N末端ヒストンテール。フラグは、ヒストン上だけでなく潜在的にDNA上にも見られる異なる修飾を表す。異なるバーコードは、それぞれのMNバリアントをコードしている異なるDNA配列を表す。MN:モノヌクレオソーム。FW:フォワード配列決定プライミング部位。RV:リバース配列決定プライミング部位。
図4】MNライブラリーに対して実行された操作工程をバーコード化する例。I.この特定の変形例では、各MNライブラリーメンバーは、ヌクレオソーム性DNAの5’末端でバーコード化されている。MNバーコードは、ヒストンバリアントおよび/またはDNAバリアントをコードしている。II.ライブラリーを分割し、様々な生化学的または生物物理学的操作、ここでは典型的な操作1.1および1.2に供する。III.たとえば抗体プルダウンによる、成功裏に操作されたMNの単離。IVa.DNA配列決定用DNAライブラリーの調製:タンパク質消化およびDNA精製を使用する、バーコード化したDNAの単離と、それに続く、PCRによる実験(多重化)バーコード(ここでは:MP1.1およびMP1.2)ならびにFWおよびRV配列決定プライミング部位の付加(任意に、FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。IVb.実験バーコード(ここでは:MP1およびMP2)の、たとえばDNAの5’−ヌクレオソーム性末端への付加。二重バーコード化したMNのプーリング。ライブラリーを分割し、必要なだけ工程II〜IVbを反復する(ここで、2つの各々異なる操作で3回の操作を示す)。DNA単離。FWおよびRV配列決定プライミング部位の付加(注:FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。V.データ分析:DNAの識別および定量化。白:ヒストン八量体;灰色:ヌクレオソーム性DNA;黒い突出:N末端ヒストンテール。前図のように、フラグは異なる修飾を表す。異なるバーコードは、それぞれのMNバリアントをコードしている異なるDNA配列を表す。MN:モノヌクレオソーム。MP:多重化(実験)バーコード。FW:フォワード配列決定プライミング部位。RV:リバース配列決定プライミング部位。
図5】クロマチン相互作用物質をプロファイリングするためのバーコード化した多重化MNライブラリーの使用例。I.この特定の変形例では、各MNライブラリーメンバーは、ヌクレオソーム性DNAの5’末端でバーコード化されている。MNバーコードは、ヒストンバリアントおよび/またはDNAバリアントをコードしている。II.ライブラリーを分割し、様々なクロマチンリーダー、たとえば1つのリーダーモジュール(a)または1つのポリペプチド鎖の中(b)もしくは異なるポリペプチド鎖の上(c)に複数のリーダーモジュール(b、c)を有するリーダー(組換えまたは有核細胞抽出物から得られる)、とインキュベートする。III.たとえば抗体プルダウンによる、結合しているMNの単離。IV.DNA配列決定用DNAライブラリーの調製:IVa.タンパク質消化およびDNA精製を使用する、バーコード化したDNAの単離。IVb.PCRによる実験(多重化)バーコードならびにFWおよびRV配列決定プライミング部位の付加(注:FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。IVc.二重バーコード化したDNA配列のプーリング。V.MNおよび多重化バーコードを解読するためのDNA配列決定。VI.DNAの識別および定量化のためのデータ分析。白:ヒストン八量体;灰色:ヌクレオソーム性DNA;黒い突出:N末端ヒストンテール。前図のように、フラグは異なる修飾を表す。異なるバーコードは、それぞれのMNバリアントをコードしている異なるDNA配列を表す。MN:モノヌクレオソーム。MP:多重化(実験)バーコード。FW:フォワード配列決定プライミング部位。RV:リバース配列決定プライミング部位。
図6】クロマチン修飾物質をプロファイリングするためのバーコード化した多重化MNライブラリーの使用例。I.この特定の変形例では、各MNライブラリーメンバーは、ヌクレオソーム性DNAの5’末端でバーコード化されている。MNバーコードは、ヒストンバリアントおよび/またはDNAバリアントをコードしている。II.ライブラリーを分割し、たとえば触媒ドメイン(a)、全長酵素(b)または大きなマルチサブユニット複合体に埋め込まれた酵素(c)(組換えまたは有核細胞抽出物から得られる)を含有する様々なクロマチン修飾物質とインキュベートする。III.たとえば(a)付着したマークまたは(b)除去されたマークに対する抗体プルダウンによる、修飾されたMNの単離(この場合、プルダウンは、非基質を取り除くために実行される)。さらなる工程は全て、図5に記載される手順と同等である。白:ヒストン八量体;灰色:ヌクレオソーム性DNA;黒い突出:N末端ヒストンテール。フラグは、ヒストン上だけでなく潜在的にDNA上にも見られる異なる修飾を表す。異なるバーコードは、それぞれのMNバリアントをコードしている異なるDNA配列を表す。H:ヒストン。MN:モノヌクレオソーム。MP:多重化(実験)バーコード。
図7】MN安定性をプロファイリングするためのバーコード化した多重化MNライブラリーの使用例。I.この特定の変形例では、各MNライブラリーメンバーは、ヌクレオソーム性DNAの5’末端でバーコード化されている。MNバーコードは、ヒストンバリアントおよび/またはDNAバリアントをコードしている。II.ライブラリーを分割し、MNを不安定化する様々な実験条件、たとえば高塩濃度またはクロマチン再形成複合体を含有する有核細胞抽出物への暴露、に暴露する。III.たとえばアガロースゲル精製による、遊離したバーコード化したヌクレオソーム性DNAの単離。さらなる工程は全て、図5に記載される手順と同等である。白:ヒストン八量体;灰色:アレイDNA;黒い突出:N末端ヒストンテール。前図のように、フラグは異なる修飾を表す。異なるバーコードは、それぞれのMNバリアントをコードしている異なるDNA配列を表す。H:ヒストン。MN:モノヌクレオソーム。MP:多重化(実験)バーコード。FW:フォワード配列決定プライミング部位。RV:リバース配列決定プライミング部位。
図8】クロマチン相互作用物質および修飾物質の活性または機能をモジュレートする分子をプロファイリングするためのバーコード化したMNライブラリーの使用例。I.この特定の変形例において、1つのMNバリアントだけが示され、それはヌクレオソーム性DNAの5’末端でバーコード化されている。MNバーコードは、ヒストンバリアントおよび/またはDNAバリアントをコードしている。II.ライブラリーを分割し、クロマチン相互作用物質もしくは修飾物質(組換えまたは有核細胞抽出物から得られる)の機能または活性をモジュレートする様々な分子に暴露する。III.たとえばリーダー、付着したマーク(ライター)または除去されたマーク(イレーサー)に対するプルダウンによる、ヒットの単離。IV.阻害剤バーコードの付加(たとえばDNAライゲーションによる)。V.DNAライブラリーの生成:FWおよびRVプライマーの付加(DNAライゲーションおよび/またはPCRによる)。さらなる工程は全て、図5に記載される手順と同等である。白:ヒストン八量体;灰色:ヌクレオソーム性DNA;黒い突出:N末端ヒストンテール。前図のように、フラグは異なる修飾を表す。異なるバーコードは、それぞれのMNバリアントをコードしている異なるDNA配列を表す。H:ヒストン。MN:モノヌクレオソーム。IBC:阻害剤バーコード。FW:フォワード配列決定プライミング部位。RV:リバース配列決定プライミング部位。
図9A】ヒストン半合成およびヌクレオソーム会合の概要。(A)修飾ヒストンを調製するための半合成戦略の略図、この特定の場合では、N末端修飾ヒストン。
図9B】(B)組換えwtまたは半合成の修飾ヒストンを等モル比で組み合わせ、変性剤から高塩へと透析する(「透析1」)。それ以上精製することなく、BC−601(ヒストン八量体に対して0.6eq)とビオチン化MMTV緩衝DNA(ヒストン八量体に対して0.4当量;「BIO−MMTV」)の混合物を添加する(「透析2」、高から低塩へ)。ストレプトアビジンプルダウン(SAP)して、非生産的に形成されたDNAヒストン複合体を除去することによって、望ましいヌクレオソームの精製を達成する。MN:モノヌクレオソーム;NT:N末端;BIO:ビオチン;SAP:ストレプトアビジン親和性精製;PTM:翻訳後修飾。図の下部のBIO−MMTVの配列は、配列番号13である。
図10A】次世代配列決定用の多重化した二重バーコード化したDNA配列の生成。(A)PCRによるMN形成のための典型的なバーコード化したヌクレオソーム性601 DNA分子(この例においては、長さ:190bp)の生成。
図10B】(B)適切な非パリンドローム突出を使用するT4 DNAライゲーション戦略により、バーコード化したヌクレオソーム性601 DNA配列の柔軟な調製が可能になる。ionTorrentフォワードプライミング部位のnt10〜30にわたる相補的一本鎖DNA(「FW−iT10〜30」)とそれぞれの6bp MNバーコードとをアニールし、BsaI−DraIII消化したヌクレオソーム性601配列と組み合わせ、T4 DNAポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)を使用してin situでリン酸化し、T4 DNAリガーゼを使用してライゲーションした。「BC−601」DNA鋳型の平滑末端セルフライゲーションを防止するために、下側の鎖の3’末端にAA突出を付着させた。
図10C】(C)DNA実験の多重化。4つの異なるMNバリアントおよび2つの実験(EXP1およびEXP2)に由来するバーコード化したDNA鋳型の例を示す。MNの実験的由来をコードするためのPCR多重化は、適切なリバースプライマー(共通の601アニーリング部位「601RV」、多重化実験バーコード「BC−EXP1」または「BC−EXP2」およびionTorrent(登録商標)リバースアダプター「RV−iT」を含有する)を使用して達成される。二重バーコード化したDNA分子をプールし、ionTorrent(登録商標)次世代配列決定装置を使用して分析する。解読および標準化については(D)を参照のこと。
図10D】(D)ionTorrent(登録商標)配列決定後のデータ分析の概要。この例において、ライブラリー入力の配列決定であるEXP2と一緒に、4種類の異なるMNを3つの実験(EXP1〜3)に供した。生配列決定リードを、その実験的バーコードに従って最初に仕分けし、それに続けてMNバーコードに従って仕分けする。仕分けしたリードを、配列決定した入力に対して続けて標準化して、個々のMNの初期量の差異を修正する(中央)。最終的な標準化データを、%入力として示す。eq:当量;FW:フォワード;RV:リバース;iT:ionTorrent(登録商標);MN:モノヌクレオソーム;BC:バーコード;EXP:実験;IP:入力;ss:一本鎖;ds:二本鎖。図の下の配列は、上から下へと、それぞれ配列番号14、10、15、11および16〜18の表示である。
図11A】コードされているヌクレオソームライブラリーにより、短時間で数百個ものヌクレオソーム−クロマチン調節因子相互作用を高速かつ詳細に調査できる。(a)複数の別々の実験において、ヌクレオソーム性601 DNA(「BC−601」)に追加された6bpバーコード(「BC−MN」)にコードされる異なるPTMパターンを含有するヌクレオソームライブラリーを、有核細胞抽出物の形態のヒストンライター、イレーサーおよび/もしくはリーダーまたはその組合せに供する(ここでは、EXP1およびEXP2を示す)。プルダウン実験を使用して、最良の結合体のバーコード化したヌクレオソーム性DNAを単離し、多重化実験バーコードBC−EXP1およびBC−EXP2でさらにコードし、プールし、ionTorrent(登録商標)次世代配列決定装置を使用して解読し、入力に対して標準化する。DNA設計および調製の詳細については、図10A〜Cを参照のこと。
図11B】(B)能率的なワークフローにより、利用可能なヒストンから開始して、数千に相当する実験(39種類のサイズのライブラリーを120種類のライブラリー実験に供する)が、1週間で可能になる。
図12A】(A)MNバリアント1〜39の線図。
図12B】(B)MNバリアント1〜39のヒストン組成およびそれに対応するヌクレオソーム性DNAバーコードの一覧。全てのwtヒストンは、大腸菌において組換え的に調製した。半合成ヒストンタンパク質は、NCLによって調製した(図9a)。半合成H4タンパク質は、追加的なN末端アセチル基を含有した(表には表示していない)。
図12C】(C)臭化エチジウム染色した無変性ポリアクリルアミドゲルによるDNAライゲーション産物の評価。ub:ユビキチン;ac:アセチル;me:メチル;wt:野生型;MN:モノヌクレオソーム;ID:識別;H3Kac5:K9/14/18/23/27ac;H4Kac5:K5/8/12/16/20ac。図12B中の配列は、上から下へと、それぞれ配列番号19〜57の表示である。
図13】無変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)およびそれに続くDNA臭化エチジウム染色による、バーコード化した個々のヌクレオソームライブラリーメンバーの定性分析。全てのヌクレオソームは単一のバンド(純度90%超)を形成し、会合したヒストンタンパク質に導入した修飾に応じて、他と異なるゲル移動挙動を示した。プールした39マーMNライブラリーの無変性臭化エチジウム染色ポリアクリルアミドゲルを、右に示す。ub:ユビキチン;ac:アセチル;me:メチル;wt:野生型;MN:モノヌクレオソーム。
図14A】修飾特異的抗体およびヒストンリーダー「ブロモドメイン植物ホメオドメイン(PHD)フィンガー転写因子BPTF」を使用するMNライブラリーのプロファイリング。(A)α−H3K4me3抗体(ab8580)を使用するライブラリーの免疫沈降によって、バーコード化したMNライブラリーの安定性を試験した。4℃での貯蔵を延長した後(白)でも、DNAスクランブリング(DNA scrambling)は観察されなかった(網掛け)。
図14B】(B)この研究において利用した、N末端にGSTタグ付けした組換え型BPTF構築物。N末端にGSTタグ付けした構築物を大腸菌で組換え的に発現させ、グルタチオン親和性、イオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。SDS−PAGE後のCBB染色によって、タンパク質の純度を評価した。
図14C】(C、D)BPTF構築物を使用するバーコード化したヌクレオソームライブラリーのGSTプルダウン。樹脂に結合したBPTF−PHD(C)、BPTF−PHD−BD(D、左)およびBPTF−PHD(D、右)を、39種類のヌクレオソームバリアントに対してプローブした。図10C、Dで示すようにデータの処理を実行し、入力標準化配列決定リードを、H3K4me3バリアント(1に設定し、*印で表示した;(平均±SD)%入力値を差し込み図に示す)に対してさらに標準化した。IP:入力;GST:グルタチオン−S−トランスフェラーゼ;PHD:植物ホメオドメイン;BD:ブロモドメイン;CBB:クマシーブリリアントブルー。
図14D】(続き)
図15A】ヒストンリーダーおよびライターp300を使用するMNライブラリーのプロファイリング。(A)ライブラリー結合実験において利用したN末端にGSTタグ付けした組換え型p300構築物。N末端にGSTタグ付けした構築物を大腸菌で組換え的に発現させ、グルタチオン親和性、イオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。SDS−PAGE後のCBB染色によって、タンパク質の純度を評価した。
図15B】(B、C、D)GSTタグ付けしたp300構築物を使用するバーコード化したヌクレオソームライブラリーのGSTプルダウン。樹脂に結合したGST−p300−BD−PHD(B、左)、GST−p300−BD(B、右)およびGST−p300−PHD(C)を、39種類のヌクレオソームバリアントに対してプローブした。図10C、Dに記載の通り、この後に、DNA単離、精製、リバース実験多重化バーコードを使用する多重化、ionTorrent(登録商標)技術を使用する配列決定、解読および入力標準化を続けた。入力標準化配列決定リードを、H4Kac5バリアント(1に設定し、*印で表示した;(平均±SD)%入力値を差し込み図に示す)に対してさらに標準化した。IP:入力;GST:グルタチオン−S−トランスフェラーゼ;PHD:植物ホメオドメイン;BD:ブロモドメイン;CBB:クマシーブリリアントブルー。
図15C】(続き)
図15D】(続き)
図16A】バーコード化したMNライブラリーを使用する、p300および有核細胞抽出物のヒストンライティング活性のプロファイリング。(A、B)バーコード化した39マーライブラリーを、アセチル補酵素Aの非存在下(網掛け)または存在下(白)でp300アセチル化に供した(A)。図10C、Dに記載の通り、H3K18ac(A)またはH4K5ac(B)に対する抗体を使用する反応産物の免疫沈降、それに続くDNA単離、精製、リバース実験多重化バーコードを使用する多重化、ionTorrent(登録商標)技術を使用する配列決定、解読および入力標準化によって、部位特異的アセチル化の程度を評価した。特定部位でのアセチル化の程度を表すプルダウン効率は、%入力で表示される。
図16B】(続き)
図16C】(C)ヒト293T細胞から得られる有核細胞溶解物のヒストンライティング活性の検出。20μM AcCoA、10μM S−アデノシンメチオニン(SAM)および10μM アデノシン三リン酸(ATP)の存在下で、バーコード化したライブラリーを有核細胞抽出物とインキュベートし、反応産物をH3K14acマークに特異的な抗体を使用して単離した。図10C、Dに記載の通り、この後に、DNA単離、精製、リバース実験多重化バーコードを使用する多重化、ionTorrent(登録商標)技術を使用する配列決定、解読および入力標準化を続けた。
図17図17は、1つ以上の態様に従ってコンピュータを実行するための典型的なアーキテクチャについて記載する。
【説明】
【0006】
この発明は、たとえば、デザイナーモノヌクレオソームのDNAバーコード化ならびにクロマチンリーダー、ライター、イレーサーおよびそのモジュレーターをプロファイリングするためのクロマチンアレイライブラリーに関する。化学的に定義されたヌクレオソームのバーコード化したライブラリー、および化学的に定義されたバーコード化したポリヌクレオソームライブラリー(時にはここでデザイナークロマチンアレイライブラリーまたは「CA」と呼ばれる)を含めた、高度に並列化された定量的クロマチン生化学的構成要素および方法を提供する。
【0007】
この開示は、高スループットクロマチン生化学および生物物理学のための強力なプラットフォームのニーズを満たしている。具体的には、組換えおよび合成ヒストン(特異的な翻訳後修飾;PTMを有する)とバーコード化したDNA配列(特異的なエピジェネティック修飾、たとえばメチル化およびヒドロキシメチル化ならびに/または他の非天然の修飾を有する)ならびに/または追加的なリンカーヒストンおよび/もしくは非ヒストンタンパク質とを、デザイナーモノヌクレオソーム(MN)およびクロマチンアレイ(CA)ライブラリーへと会合させる。ヒストンおよび/またはDNA修飾は、ヌクレオソーム性修飾もしくはヌクレオソーム修飾と一般に呼ばれてもよい。時にはここで、用語クロマチン修飾が使用される。これは、天然に存在する(たとえば対象の細胞中にある)クロマチン状態を表すin vitroモデルである。適切な単離技術、たとえばプルダウン実験を使用すれば、これらのライブラリーを使用して、とりわけ(a)その認識パターンを調査するための一価または多価クロマチンリーダー;(b)潜在的ヒストンPTMおよびDNA修飾クロストークを調査するためのクロマチンライターおよびイレーサー;(c)クロマチンと相互作用するタンパク質因子または酵素の活性をモジュレートするDNAおよびヒストン修飾;ならびに(d)クロマチンと相互作用するおよび/またはクロマチンを修飾するタンパク質因子もしくは酵素の活性をモジュレートする分子、をプロファイリングすることができる。本発明の方法および組成物および装置は、高度な並列化に適している。デザイナークロマチンライブラリーの特定の生化学的操作をコードしている追加的なバーコードをDNA分子に付着させてもよい。これらの多重化DNA配列(その配列は(a)特異的なヌクレオソーム修飾、DNAの性質および型ならびにライブラリーメンバーのヒストン組成と(b)特定の実験との両方をコードする)を次世代配列決定技術および他のDNA解読技術によって同時に処理する。配列決定データの分析により、基質特異性および潜在的クロストーク(ライターおよびイレーサー)ならびに相対的な結合親和性(リーダー)を明らかにすることができる。加えて、これらの実験により機構研究が可能になり、in vivoで見られる大きなクロマチン関連複合体の活性に対する診断ツールとして機能することができ、その複合体は、たとえば健康なおよび癌患者の有核細胞抽出物から得られる、クロマチンリーダー、ライターおよびイレーサーがしばしば一体化している。これらの方法および組成物は、次世代のエピジェネティック薬物の合理的な設計およびプロファイリングを実現する。
【0008】
本発明の一側面は、合成された(ライブラリーに導入する前に、単離されている、合成的に作製された、細胞中でモノヌクレオソームに結合している天然に見出される構成要素を含まない、精製されている)モノヌクレオソームのライブラリーであり、ライブラリーは、2個以上(たとえば、少なくとも10、50、100、200、500、1000、2000、3000、4000、5000、約10,000個まで、またはそれ以上)の型のモノヌクレオソーム(モノヌクレオソームの組のメンバー)を含む。ライブラリーメンバーの最小数は、2である。ライブラリーサイズの上限は、ヒストンバリアント(数百〜数千個)、DNAバリアント(数百〜数千個)および非ヒストンクロマチン関連タンパク質(数百〜数千個)の組み合わせ理論によって定義される。一例は、以下の修飾の各々のうち1つ:ヒストン翻訳後修飾(およそ数100個)(ENCODE Project Consortium et.al.、2012)、ヒストンアイソフォーム(およそ数100個)、DNA修飾(およそ数100個)、およびクロマチン関連タンパク質(およそ数100個)を含有するライブラリーであり、数百〜数千個のヌクレオソームのライブラリーを得られる。別の例において、ライブラリーは、生物学的に重要な全てのクロマチン状態(クロマチン状態とは、定義されている、ヒストン翻訳後修飾、ヒストンアイソフォーム、DNA修飾およびクロマチン関連タンパク質の天然に存在する組合せを含むクロマチン分子である)を含有し、数百、潜在的には数千個のヌクレオソームのライブラリーを得られる。別の例において、ライブラリーは特定の実験に適合させることができる。たとえば、ヌクレオソーム結合/認識におけるトリメチルリジンの役割は、天然に存在するヌクレオソームバリアント、すなわち公知のトリメチルリジン含有ヒストンバリアントの全てを含有するサブセットの画分だけを使用して解決することができ、数十〜数百個のヌクレオソームのライブラリーを得られる。別の例は、上述のライブラリー型3つ全てに由来するライブラリーメンバーを含む。
【0009】
各モノヌクレオソームは、
(a)ヒストンH2A、H2B、H3およびH4、任意にリンカーヒストンH1を各々2コピー含有するタンパク質八量体であってヒストンのうち少なくとも1つが修飾されていない、および/またはヒストンのうち少なくとも1つが修飾されてヒストン修飾(ヒストン修飾は、ヒストンアイソフォーム、PTMおよび/または非天然のアミノ酸であり得る)のパターンを形成している、タンパク質八量体と、
(b)ヌクレオソーム性DNA分子(モノヌクレオソームの一部分であるDNA分子、たとえばヒストンタンパク質の八量体の周りに巻き付いている。モノヌクレオソームに存在するヌクレオソーム性DNAは、時にはここで「モノヌクレオソーム性またはモノヌクレオソームDNA」と呼ばれる。ヌクレオソーム性DNAは、ヌクレオソームと結合している。)と
の複合体を含む。ヌクレオソーム性DNA(本明細書において、文脈に別段の明確な指図がない限り、用語「a」および「the」は、1または1以上を指す)は、
(i)強力なヌクレオソーム位置決定配列(NPS)(たとえば、その配列は、合成モノヌクレオソームのスクランブリングを防止するために十分強く結合することができ、たとえば、その配列は、およそ50倍、70倍、80倍、90倍、100倍、125倍、150倍、200倍、250倍またはそれ以上、バルクDNAより強くヒストン八量体に結合する)と、
(ii)ヌクレオソーム性DNA中の定義された位置に位置する(たとえば、ヌクレオソーム性DNAの中、またはその一方の末端もしくはその近傍、たとえばNPSから特定の距離またはDNA中の他の定点に位置する)1つ以上のDNAバーコードと、任意に
(iii)NPSの5’および/もしくは3’末端でのならびに/またはNPS内でのDNAリンカーを含めたDNA延長部と
を含む。これらは、共有結合したDNA配列および人工的な非DNA分子を含む。
【0010】
ヌクレオソーム性DNA分子は修飾されていなくてもよくおよび/またはDNA中のヌクレオチドのうち少なくとも1つが修飾されてDNA修飾の固有のパターンを形成していてもよい。
【0011】
任意に、モノヌクレオソームは、
(c)1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質
を含んでもよい。
【0012】
本発明の合成モノヌクレオソームライブラリーにおいて、ライブラリーの各モノヌクレオソームは、ヒストン修飾の固有のパターンおよび/またはDNA修飾の固有のパターンを有し、それによって、ヌクレオソーム修飾の固有のパターンを形成してもよい。DNA分子は、ヌクレオソーム性DNA中の配列および位置がヌクレオソーム修飾の固有のパターンを示す(と相関する、関連付けられる、既定の関係がある)1つまたはいくつかの固有のバーコードを含んでもよい。
【0013】
本発明の別の側面は、合成ポリヌクレオソーム(本明細書では合成クロマチンまたは合成クロマチンアレイ(CA)とも呼ばれる)であり、定義されたDNA分子(たとえば、定義されたDNA分子の各々は、同じかまたは異なる配列を有することができる)によって互いに結合している(互いに連結されている)2つ以上の合成モノヌクレオソーム(たとえば、少なくとも3、5、7、9、12、15または20個)を含み、モノヌクレオソームは定義された結合性(互いの空間的配向)を有する。
【0014】
これらモノヌクレオソームの各々は、
(a)ヒストンH2A、H2B、H3およびH4、任意にリンカーヒストンH1を各々2コピー含有するタンパク質八量体であって、ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されていない、および/またはヒストンのうち少なくとも1つが修飾されてモノヌクレオソーム性ヒストン修飾のパターンを形成している、タンパク質八量体と;
(b)ヌクレオソーム性DNA分子と;任意に
(c)1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質と
の複合体を含む。
【0015】
本発明の合成ポリヌクレオソームにおいて、ポリヌクレオソーム中のモノヌクレオソームのモノヌクレオソーム性ヌクレオソーム修飾のパターンは、均一であってもよく、または異なっていて(固有であって)、ポリヌクレオソーム性ヌクレオソーム修飾の固有のパターンを得られてもよい。ポリヌクレオソームは、ポリヌクレオソーム性DNA中の定義された位置に位置する(たとえば、ポリヌクレオソーム性DNAの中に、またはポリヌクレオソーム性DNAの5’もしくは3末端にまたはその近傍に内部的に位置する)(1つ以上の)バーコードを含んでもよい。ポリヌクレオソームに存在するヌクレオソーム性DNAは、時にはここで「ポリヌクレオソーム性DNA」と呼ばれる。バーコードの定義された位置は、たとえば、ヌクレオソーム位置決定配列(NPS)から特定の距離またはポリヌクレオソーム性DNA中の他の定点にあってもよい。バーコードの配列とポリヌクレオソーム性DNA中の位置との組合せは、ポリヌクレオソーム性ヌクレオソーム修飾の固有のパターンを示す。
【0016】
本発明の他の側面は、合成ポリヌクレオソームのライブラリー(時にはここで合成クロマチンまたは合成クロマチンアレイ(CA)と呼ばれる)であり、上記の通り2つ以上の合成ポリヌクレオソームを含む。そのようなライブラリーの各メンバーは、1つ以上の固有のバーコードを有し、ポリヌクレオソーム性DNA中の配列および位置は、ポリヌクレオソーム性修飾の固有のパターンを示す。
【0017】
本発明のライブラリー(モノヌクレオソームライブラリーまたはポリヌクレオソームライブラリー)において、ヒストンは様々な方法のいずれかで修飾されてもよい。これらの修飾は、たとえば、ヒストンアイソフォーム、PTMおよび/または非天然のアミノ酸を含んでもよい。
【0018】
ヒストンアイソフォームまたはバリアントは、天然に存在してもまたは人工でもよい。それらは、タンパク質配列内のアミノ酸置換(たとえば最も一般的なヒストンH3バリアントは、H3.1、H3.2、H3.3である)もしくはアミノ酸挿入またはタンパク質配列の末端での延長(たとえばマクロH2A)によって特徴づけられる。ヒトにおけるヒストンアイソフォームの部分的な一覧としては、
(a)ヒストンH2A:
H2AF、H2AFB1、H2AFB2、H2AFB3、H2AFJ、H2AFV、H2AFX、H2AFY、H2AFY2、H2AFZ、H2A1、HIST1H2AA、HIST1H2AB、HIST1H2AC、HIST1H2AD、マクロ−H2A、HIST1H2AE、HIST1H2AG、HIST1H2AI、HIST1H2AJ、HIST1H2AK、HIST1H2AL、HIST1H2AM、H2A2 HIST2H2AA3、HIST2H2AC
(b)ヒストンH2B:
H2BF、H2BFM、H2BFS、H2BFWT、H2B1、HIST1H2BA、HIST1H2BB、HIST1H2BC、HIST1H2BD、HIST1H2BE、HIST1H2BF、HIST1H2BG、HIST1H2BH、HIST1H2BI、HIST1H2BJ、HIST1H2BK、HIST1H2BL、HIST1H2BM、HIST1H2BN、HIST1H2BO、H2B2、HIST2H2BE
(c)ヒストンH3:
H3A1、HIST1H3A、HIST1H3B、HIST1H3C、HIST1H3D、HIST1H3E、HIST1H3F、HIST1H3G、HIST1H3H、HIST1H3I、HIST1H3J、H3A2、HIST2H3C、H3A、HIST3H3、CENP−A
(d)ヒストンH4:
H41、HIST1H4A、HIST1H4B、HIST1H4C、HIST1H4D、HIST1H4E、HIST1H4F、HIST1H4G、HIST1H4H、HIST1H4I、HIST1H4J、HIST1H4K、HIST1H4L、H44、HIST4H4
(e)リンカーヒストンH1:
H1F、H1F0、H1FNT、H1FOO、H1FX、H1H1、HIST1H1A、HIST1H1B、HIST1H1C、HIST1H1D、HIST1H1E、HIST1H1T
がある。
【0019】
他のヒストンアイソフォームは、当業者に明らかである。
【0020】
加えて、ヒストンにおける変異が癌で観察され(たとえば、H3.3のテール中のLys27Metは、小児の脳幹部腫瘍において頻繁に発生する)、そのような変異体もまた、本発明のライブラリーに含めることができる。
【0021】
ヒストンの様々なPTMが、当業者に明らかである。PTMには、任意の天然に存在するヒストン修飾、たとえば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADP−リボシル化、SUMO化、グリコシル化、アルキル化、アシル化、プロリルシス/トランス異性化、ニトロシル化および酸化がある。まだ発見されていないまたは特徴づけられていないPTMも、本発明に含まれる。
【0022】
非天然のアミノ酸にはPTMの合成類似体があり、その類似体は、当業者に明らかになる化学的および/または生化学的に不活性な、光架橋剤、蛍光標識、同位体標識その他であり得る。
【0023】
修飾は、ヌクレオソーム中の1つの部位、または2つ以上の部位で発生し得る。
【0024】
ここでは、「バーコード」とは、DNA分子中のその位置と併せて使用して、たとえばヌクレオソームのライブラリーの中で、そのDNA分子を明確に同定することができる核酸配列である。バーコードの数は、使用されるライブラリーの複雑さによって決定され、ヒストンバリアント(ここで示す例において、これらのヒストンは、ヒストンPTM状態が異なっている)、DNA配列、固有のヌクレオソームを形成するのに使用される追加のクロマチン関連タンパク質、またはクロマチンアレイバリアントの数および組合せによって決まる。たとえば、1ヌクレオチド(nt)のバーコードは、4個のライブラリーメンバー、2ntバーコードは16個のバリアント、3ntバーコードは64個のバリアント、4ntは256個のバリアント、5ntは1,024個のバリアントなどをコードすることができる。DNAバーコードの長さは、ライブラリーのサイズによって決定される。ライブラリーサイズに応じて、DNAバーコードは、ライブラリーの各メンバーを一意的にコードするために十分な数の変形を生成するのに十分ないくつかの塩基を有する。バーコードは、(ここで例に示すように)一本鎖(ss)DNAもしくは二本鎖(ds)DNAまたはその組合せであり得る。
【0025】
本明細書に記載した例では、6ヌクレオチドバーコードが使用され、そのバーコードは、4,096個の異なるヌクレオソームまたはクロマチンアレイバリアントを原理的にはコードする。一般に、長さ4〜12ヌクレオチドのバーコードは、現実的なサイズのライブラリーを有するほとんどの用途を包含するが、より大きな組合せ冪数が必要な場合には、バーコードをより長くすることができる。
【0026】
「ヌクレオソーム位置決定配列(NPS)」は、ヒストンおよびヒストン複合体、特にはヒストン八量体(2コピーのヒストンH2A、H2B、H3およびH4からなる)と強く相互作用する少なくとも146塩基対の天然または合成の二本鎖DNA配列である。NPSは、DNAに対して特異的な位置および配向のヒストン八量体を有するヌクレオソームを形成する。ヒストン−DNA複合体は、長期間の貯蔵(4℃で数か月)の間、および標準的な生化学的操作の間(一般的な緩衝液中の低い数十ナノモル(nM)の濃度で、30℃で数時間)は安定でなければならない。ここで例に使用されるNPSは、601と呼ばれる人工配列であり、バルクDNAよりおよそ100倍強くヒストン八量体に結合する(Lowary & Widom、1998)。上述の基準を満たす任意の代替の人工的なまたは天然のDNA配列、その多くは当業者に明らかになる、を使用することができる。たとえば、NPSは、およそ10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、125倍、150倍、200倍、250倍、またはそれ以上、バルクDNAより強くヒストン八量体に結合することができる。
【0027】
本発明のモノヌクレオソームまたはポリヌクレオソームDNAのDNA延長部は、任意の様々な形態をとることができる。たとえば、それらはDNAバーコード、(たとえば下流の配列決定読み出し用またはPCR増幅用の)DNAプライミング部位、(次節において概説するような)DNAリンカー、代替の位置決定配列、(追加的なヒストンまたは非ヒストンタンパク質用の)タンパク質結合部位、酵素DNA基質、塩基を修飾したDNA、または他の人工的な非DNA分子、たとえば親和性ハンドル(affinity handle)(たとえばビオチン)もしくは蛍光プローブであり得る。
【0028】
本発明のモノヌクレオソームまたはポリヌクレオソームDNA中のDNAリンカーは、様々な長さおよび組成のものであり得る。実際には、ヌクレオソームは、通常約10〜90bpのリンカーDNAによって分離されている。これらのリンカーは、異なる組織、種の間でまたは単一細胞のゲノム内でも、および塩基組成中で異なる。人工的なリンカーは、ヒストン八量体を包み込まないことによって特徴づけられる。実質的には、より長い配列はDNA鎖上におけるヒストンの位置決定を混乱させる可能性があるので、DNA付加物の上限は100〜1000bpの範囲である。
【0029】
本発明のモノヌクレオソームもしくはポリヌクレオソームDNAは、1つ以上の、修飾されていないDNA塩基、天然に存在する修飾、たとえばメチル化、アルキル化もしくは酸化を有する塩基、または人工的な修飾を有する塩基を含むことができる。様々な適切な修飾が当業者には明らかである。
【0030】
様々な非ヒストンクロマチン関連タンパク質が当業者に明らかであり、転写因子、ヒストン相互作用物質および修飾物質、ならびにクロマチン再形成タンパク質がある。
【0031】
本発明の別の側面は、たとえばここで記載される方法のうち1つを実施するための、キットである。キットは、ヌクレオソーム(モノヌクレオソームまたはポリヌクレオソーム)または本発明のモノヌクレオソームもしくはポリヌクレオソームライブラリーを含んでもよい。キットは、各固有のバーコードとヌクレオソーム修飾の固有のパターンとの間の相関(関係、関連、既定の関係)を示す一覧(解説、アルゴリズム、要約、コンピュータ読み込み可能な媒体など)を含んでもよい。この型の典型的な一覧を、図12Bに示す。本発明の態様において、ヌクレオソームまたはライブラリーは、試験管、マルチウエルプレートのウェルもしくは微小流体装置の反応チャンバー内にある。本発明のキットの他の任意の要素は、適切な緩衝液、媒体構成要素、基質、補因子、阻害剤など;アッセイ結果を記憶および/または評価するためのコンピュータもしくはコンピュータ読み込み可能な媒体;または包装材料を含む。
【0032】
本発明の別の側面は、クロマチンリーダー認識パターンおよび親和性の特異性、クロマチンライターおよびイレーサーの特異性およびクロストークを決定する方法であって、本発明のライブラリーを1つまたはいくつかの組換えに由来するクロマチン相互作用物質および/また修飾物質とインキュベートする(接触させる)ことと、または本発明のライブラリーを調査しようとする細胞系(たとえば、ヒト癌患者から得られる細胞を含める)の有核細胞抽出物から得られるクロマチン相互作用物質および/もしくは修飾物質とインキュベートすることと、結合したおよび/または修飾されたライブラリーメンバーを単離することと、結合したまたは修飾されたライブラリーメンバーおよび任意の付加されたマークまたは除去されたマークを同定および/または定量することとを含む。本方法は、大きなクロマチン再形成複合体を分析することを含んでもよい。本方法は、ヒト癌患者から得られる細胞を含めた、細胞系を分析することを含んでもよい。
【0033】
本発明の別の側面は、相互作用物質または修飾物質に関連する修飾を同定する方法であり、本発明のライブラリーを用いて1を超える数のクロマチン相互作用物質および/または修飾物質を多重化することと、修飾に従ってライブラリーを同数のサブライブラリーに分けることと、各相互作用物質または修飾物質に関連する修飾を同定することとを含む。
【0034】
本発明の別の側面は、エピジェネティック薬物の特異性を同定し、プロファイリングする方法であって、候補分子を本発明のライブラリーと組み合わせることと、ヌクレオソーム修飾のモジュレーション(たとえば、クロマチンと相互作用しているタンパク質因子または酵素を阻害するまたは作動させる)を検出することとを含み、それによって、ヌクレオソーム修飾をモジュレートする候補エピジェネティック薬物を同定する、方法である。
【0035】
本発明の別の側面は、DNAバーコードおよび関連するヌクレオソーム修飾ならびにバーコード化した各ヌクレオソームの組成の一覧と組み合わせたヌクレオソームのライブラリーである。
【0036】
本発明の別の側面は、DNA分子の5’および/もしくは3’末端にまたはその中のどこかにDNAバーコードを含む、合成モノヌクレオソームまたはポリヌクレオソームである。
【0037】
本発明の別の側面は、
(a)ヒストンH2A、H2B、H3およびH4、任意にリンカーヒストンH1を各々2コピー含有するタンパク質八量体であって、ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されていない、および/またはヒストンのうち少なくとも1つが修飾されてヒストン修飾(たとえば、ヒストンアイソフォーム、PTMおよび/または非天然のアミノ酸)のパターンを形成している、タンパク質八量体と、
(b)ヌクレオソーム性DNA分子であって、
(i)強力なヌクレオソーム位置決定配列(NPS)と、
(ii)ヌクレオソーム性DNA中の定義された位置に位置する(たとえば、ヌクレオソーム性DNAの中、その一方の末端もしくはその近傍、たとえばNPSから特定の距離またはDNA中の他の定点に位置する)1つ以上のDNAバーコードと、
(iii)NPSの5’および/もしくは3’末端でのならびに/またはNPS内でのDNAリンカーを含めたDNA延長部(たとえば、共有結合したDNA配列および人工的な非DNA分子)と
を含むヌクレオソーム性DNA分子と、任意に
(c)1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質と
の複合体を含み、ヌクレオソーム性DNA中のバーコードの配列および位置が、モノヌクレオソーム中のヌクレオソーム修飾のパターンを示す、合成モノヌクレオソームである。
【0038】
本発明の別の側面は、ヒストンタンパク質とバーコード化したヌクレオソームDNAとを組み合わせることを含む、本発明のモノヌクレオソームを会合させる方法である。本方法は、たとえば、ヒストンタンパク質およびバーコード化したヌクレオソーム性DNAとビオチンタグ付けしたMMTV緩衝DNAとを既定の比で組み合わせることを含んでもよい。任意の、MMTV以外の様々な配列およびビオチン以外の親和性タグを使用することができる。適切な配列および親和性タグは、当業者に明らかである。
【0039】
本発明のライブラリーにおいて、モノヌクレオソームまたはポリヌクレオソーム中のNPSは一般に十分に強力であり、それにより、ライブラリーは安定し、貯蔵を延長した後でも、たとえば4℃で少なくとも1カ月間、モノヌクレオソームとポリヌクレオソームライブラリーメンバーの間で有意なDNAスクランブリングが発生しない。本発明の側面において、ヒストンおよび/またはDNA修飾は、生物学的に重要なクロマチン状態の代表的なセットを含む。本発明の側面において、モノヌクレオソームとポリヌクレオソームライブラリーメンバーの比は、等モル(各ライブラリーメンバーについて1:1)であるかまたは等モルでなく、固定された既定の比でライブラリーメンバーの1つまたはサブセット(たとえば、1〜1000の範囲、たとえば1、10、50、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900または1000)に対して1〜1000(たとえば、1:10、1:50、1:100、1:150、1:200、1:300、1:400、1:500、1:600、1:700、1:800、1:900)の範囲である。
【0040】
本発明の態様は、以下を含む。
【0041】
(A)各MNまたはCAライブラリーメンバーの合成履歴をバーコード化しているDNA
この態様は、デザイナーモノヌクレオソーム(MN)およびデザイナークロマチンアレイ(CA)ライブラリーの製造に関し、各ライブラリーメンバーは、各MNまたはCAバリアントに特異的な合成履歴をコードするDNAバーコードを保有する。
【0042】
MNは、
(1)標準的なヒストンH2A、H2B、H3およびH4(またはその修飾された変形)、ならびに場合によってはリンカーヒストンH1を2コピー含有するタンパク質八量体と、
(2)ヌクレオソーム性DNA分子であって、
(i)強力なヌクレオソーム位置決定配列(NPS)と、
(ii)ヌクレオソーム性DNA中の定義された位置に位置する(たとえば、ヌクレオソーム性DNAの中、その一方の末端もしくはその近傍、たとえばNPSから特定の距離またはDNA中の他の定点に位置する)1つ以上のDNAバーコードと、
(iii)NPSの5’および/もしくは3’末端でのならびに/またはNPS内でのDNAリンカーを含めたDNA延長部(たとえば、共有結合したDNA配列および人工的な非DNA分子)と
を含むヌクレオソーム性DNA分子と、任意に
(c)1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質と
からなる複合体である。
【0043】
具体的に、MNライブラリーの各メンバーは、
(a)ヒストンアイソフォーム、ヒストンPTMパターン、非天然のアミノ酸を有するヒストンを含めたヒストンバリアントの固有の組合せ、ならびに
(b)NPS、DNAバーコードおよび/またはDNA延長部を含有する固有のヌクレオソーム性DNAバリアント
を保有する。DNAは、標準的なDNA塩基、天然に存在する修飾(たとえばメチル化または酸化)を有する塩基、または人工的な修飾を有する塩基のいずれか、および任意に
(c)1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質を含有することができる。
【0044】
異なるヒストンPTMおよび/もしくはDNA修飾パターンならびに/または他のヒストンおよび非ヒストンタンパク質を有する各固有のMN組成は、ヌクレオソーム性DNA内のどこか、末端、たとえば5’末端、またはその近傍のDNA配列(ここではMNバーコードと呼ばれる)中にコードされている(図1)。ライブラリーサイズの上限は、ヒストンとDNAバリアントとの組み合わせ理論によって定義される。実用的な理由により、ライブラリーのサイズは下流の実験によって定義され、通常は数十〜数百〜数千個のライブラリーメンバーの範囲である。たとえば、サイズは、約10、20、30、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1250、1500、2000、2500、3000、3500、4000個またはそれ以上のライブラリーメンバーであってもよく、またはより小さくてもより大きくてもよい。
【0045】
CAは、MN単位(上のMN定義を参照のこと)からなる複合体であり、(a)均一に修飾する、または(b)一意的に修飾することができる。アレイの長さは可変であり、通常は2〜12MNの範囲、たとえば二量体、三量体、五量体などである。MNは、定義された配列で互いに接続されている。合成モノヌクレオソームとは対照的に、合成クロマチンアレイは、ポリヌクレオソームとここで呼ばれてもよい。
【0046】
その数は、8、10、12、14、15、16、18または20までの任意の数であってよい。
【0047】
CAライブラリーの各メンバーは、定義された接続度で別々に修飾されたMNからなり、
(a)
(i)ヒストンアイソフォーム、ヒストンPTMパターン、非天然のアミノ酸を有するヒストンを含めたヒストンバリアントの固有の組合せ、
(ii)1つまたはいくつかの異なるNPS、DNAバーコードおよび/またはDNAリンカーを含有する固有のヌクレオソーム性DNAバリアントを有するMNを保有する。DNAは、標準的なDNA塩基、天然に存在する修飾(たとえばメチル化または酸化)を有する塩基、もしくは人工的な修飾を有する塩基のいずれか、ならびに/または
(c)リンカーヒストンおよび/もしくは他の非ヒストンタンパク質を含有することができる。
【0048】
タンパク質PTMおよび/もしくはDNA修飾パターン、MN接続性、DNAの長さおよび同一性、リンカーヒストンの存在および修飾パターン、ならびに/または非ヒストンタンパク質は、アレイDNA内のどこか、末端、たとえば5’末端、またはその近傍のDNA配列(ここではCAバーコードと呼ばれる)中にコードされている(図2)。ライブラリーサイズの上限は、個々のPTMおよび/もしくはDNA修飾、MN接続度、DNAバリアント、リンカーヒストンならびに/または非ヒストンタンパク質の組み合わせ理論によって定義される。実用的な理由により、ライブラリーのサイズは下流の実験によって定義され、通常は数百〜数千個のライブラリーメンバーの範囲である。
【0049】
MNまたはCAバーコードは、ライブラリー内のMNもしくはCAの化学組成に一意的かつ明確なタグを付ける。これらのバーコード化したライブラリーは、様々な生化学的および生物物理学的な仮説を試験することと生成することの両方、たとえば(DNAコード化化学ライブラリーに基づく既存の手順(Buller、Mannocci & Scheuermann、2010;Clark、2010)と類似する)バーコード解読の過程によってクロマチン相互作用物質または修飾物質の基質特異性をプロファイリングすること、に使用することができる(図3)。適切な方法としては、
(1)制限消化
(2)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
(3)DNAマイクロアレイハイブリダイゼーション
(4)DNA配列決定、たとえば次世代配列決定(Mardis、2008)技術IonTorrent(Rothberg et al.、2011)またはIllumina
がある。
【0050】
DNA配列決定の場合に、必要とするフォワード(FW)およびリバース(RV)配列決定プライミング部位は、たとえば分子クローニング、PCRまたはDNAライゲーションによって、過程の任意の段階でヌクレオソーム性またはアレイDNAに付加することができる。
【0051】
特に、読み出しに次世代配列決定技術(Mardis、2008)を使用する場合、望ましい生化学的または生物物理学的特性を有するMNもしくはCAの識別に加えて、単離したライブラリーメンバーの定量化が実行可能である。下に概説するように、たとえば定量的PCR(qPCR)によるDNA絶対定量工程と組み合わせて、配列決定前にMNまたはCA基質の相対的結合親和性を一回の多重化実験で得ることができる。
【0052】
たとえば、組換え起源のもしくは有核細胞抽出物から得られる、クロマチンと相互作用する(たとえばクロマチンリーダー)またはクロマチンを修飾する(たとえばクロマチンライターまたはイレーサー)タンパク質を、バーコード化したMNもしくはCAライブラリーとインキュベートする(図3)。この例に記載される特定の場合において、それは、MN形成の前に、ヌクレオソーム性Widom601 DNA、ヒストン八量体が高い親和性で結合する二本鎖(ds)DNAの人工的な領域147bp、の5’末端で付着しているdsバーコードを有するMNライブラリーである(Lowary & Widom、1998)。ライブラリーのサイズおよび組成は、モジュール方式で下流の実験に適合させることができる。以下の工程において、望ましい生化学的または生物物理学的な特性を有するMNまたはCA基質が、
(1)プルダウン(親和性または免疫沈降)実験
(2)MNもしくはCAの結合または修飾に応じた異なる物理的または化学的特性による分離、たとえば電気泳動移動度(電気泳動移動度シフトアッセイ)、疎水性、電荷(イオン交換クロマトグラフィー)、またはサイズ(サイズ排除クロマトグラフィー、SEC)
(3)
(1)相互作用物質(クロマチンリーダー)のタギングと
(2)直接単離(たとえば蛍光ベース分子選別を使用する)またはさらなる生化学的もしくは化学的官能化のための相互作用物質(クロマチンリーダー)に対する標識(親和性、化学的ハンドル、蛍光プローブ)と
(3)相互作用物質(クロマチンリーダー)を認識する二次タンパク質と
(4)付着したまたは除去されたマーク(クロマチン修飾物質)に対する抗体と
(5)付着したまたは除去されたマーク(クロマチン修飾物質)を認識する二次タンパク質(リーダー)と
(6)直接単離(たとえば蛍光ベース分子選別技術を使用する)またはさらなる生化学的もしくは化学的官能化のための人工的な標識(親和性、化学的ハンドル、蛍光プローブ)を有する修飾された酵素基質(クロマチン修飾物質)と
を使用する蛍光活性分子細胞選別(FAMS)
を含めた適切な方法によって単離される。
【0053】
たとえば、タンパク質または付着したもしくは除去された修飾に対する抗体を使用して、(a)最も強くMNもしくはCA結合体と複合体化したクロマチン相互作用物質、たとえばリーダーをプルダウンする、または(b)クロマチン修飾物質、たとえばライターまたはイレーサーの好ましいMNもしくはCA基質を単離する。DNA単離の後に、たとえばDNAマイクロアレイハイブリダイゼーションまたはDNA配列決定(Mardis、2008)、たとえばIonTorrent(Rothberg et al.2011)もしくはIlluminaといった方法論を使用してMNもしくはCAバーコードを解読することにより、クロマチン相互作用物質または基質を同定し、定量化する。
【0054】
(B)各MNまたはCAライブラリーメンバーの実験履歴のDNAバーコード化
この態様は、生化学的または生物物理学的な過程による操作、たとえばクロマチン相互作用タンパク質およびクロマチン修飾酵素の阻害剤ならびに/または活性化因子を含めた、その過程をモジュレートする追加的な分子の存在下における生化学的なまたは生物物理学的な操作を含む。DNAバーコード化は、小分子ライブラリー(Buller et al.2010;Clark、2010;Kleiner、Dumelin & Liu、2011)および抗体(Agasti、Liong、Peterson、Lee & Weissleder、2012;Krutzik & Nolan、2006)を標識する異なる状況で公知である。
【0055】
たとえば、バーコード化したMNもしくはCAライブラリーは、様々な生化学的または生物物理学的な過程によって操作される(図4)。この例に記載される特定の場合において、それは、MN形成の前に、ヌクレオソーム性601 DNAの5’末端で付着しているバーコードを有するMNライブラリーである。操作工程は、別々のバーコード(ここでは実験バーコードと呼ばれる)にその後コードされる。
【0056】
バリアントA:実験が1つの実験操作工程にしか供されない場合、実験(多重化)バーコードは、基質およびDNAの単離後にPCRによって付着させることができる。このPCR工程において、MNまたはCAバリアントの同一性は、MNまたはCAバーコードと実験(多重化)バーコードの両方を含有するDNA配列の生成によって特定の実験と結びつけられる。その後の配列決定用としてFWおよびRVプライミング部位も含む、二重バーコード化したDNA配列の長さは、選んだDNA塩基配列決定法による信頼できる読み出し長に制限される。
【0057】
バリアントB:複数の実験操作が実行される場合、各ライブラリーメンバーのヌクレオソーム性またはアレイDNAの5’もしくは3’末端に実験バーコードを付着させることができる。
【0058】
上で概説したように、特定の生化学的または生物物理学的過程による操作を受けたサブライブラリーが、適切な方法によって単離され、実行した特定の操作をコードしているバーコードが、全てのサブライブラリーメンバーにライゲーションされる。他と異なるようにバーコード化したライブラリーをプールし、生化学的または生物物理学的な第2の過程によるその後の操作のために再び分割し、最初の工程について記載したように、第2の実験のバーコードをDNAの5’または3’末端に付着させることによって扱う。これは、必要なだけ繰り返すことができる。最後のバーコード化工程において、たとえばDNAライゲーションによって、FW配列決定プライミング部位を同様に付着させる。DNA単離の後に、PCRによってDNA配列決定用のRVプライミング部位が付加される。それぞれのMNまたはCAは、DNA配列決定を使用して操作バーコードおよびMNもしくはCAバーコードを解読することによって同定され、定量化される。この方法は、クロマチン相互作用物質および/もしくは修飾物質、たとえばクロマチンリーダー、ライターもしくはイレーサーまたは組換え起源の活性または機能をモジュレートする、または有核細胞抽出物から得られる分子(たとえば小分子またはより大きな生体分子、たとえばペプチドもしくはタンパク質)の存在下で実験に適合させることができる。
【0059】
実験バーコードは、MNまたはCAバリアントが実験を通じて受けた各生化学的または生物物理学的な過程を明確にコードしている。モノヌクレオソームおよび合成クロマチンアレイライブラリーは、以前に様々な方法で自然界から単離されたヌクレオソームおよびクロマチンアレイと異なり、たとえば合成されており、化学的に純粋であり、制御されたパターンで所定のヒストンおよびDNA修飾を含有し、所与のモノヌクレオソームまたはポリヌクレオソームバリアントを指定する1つ以上の固有のバーコードを有する。ここでの他の場所で述べたように、強力で定義されたNPS配列も含み、天然の基質を含む生物から得られるクロマチンは未知の修飾を有し、バーコード化されていないので、本発明のライブラリーには、または本発明の合成モノヌクレオソームおよびアレイを使用して達成されるような操作もしくはタギングには不適である。
【0060】
DNAをバーコード化する記載した組成物および方法を利用して、(1)MNおよびCAと相互作用するならびに/またはそれを修飾する分子をスクリーニングおよび/またはプロファイリングすること;(2)クロマチン相互作用物質および/または修飾物質ならびにMNもしくはCAバリアントに関して好ましいMNもしくはCA基質特異性を発見および/またはプロファイリングすること;(3)クロマチン相互作用物質および/または修飾物質をモジュレートする分子を発見し、プロファイリングすること;(4)その生化学的および生物物理学的特性に関してMNおよびCAバリアントをプロファイリングすることができる。本発明による方法は、
(1)クロマチン相互作用物質、たとえばヒストンリーダー、ならびに特定のPTMおよび/またはDNA修飾パターンに対するそれらの好ましい結合をプロファイリングすることを含む。
【0061】
たとえば(a)1つもしくは(b、c)複数のリーダーモジュール((b)1つのポリペプチド鎖内または(c)より大きなタンパク質複合体内にある異なるポリペプチド鎖上に存在する(図5))のいずれかを含有するクロマチンリーダーまたはその変形を、バーコード化したライブラリー(この例では、ヌクレオソーム性またはアレイDNAの5’末端に1つだけバーコードを含有する)と溶液中でインキュベートする。別の手法として、研究しようとする生物の有核細胞溶解物を調製し、バーコード化したライブラリーとインキュベートすることができる。これに続けて、たとえばクロマチンリーダーまたはリーダーに付着している親和性タグの抗体プルダウンによって、MNもしくはCA結合体を単離する。DNA単離後に、第2のバーコード、または特定の(プルダウン)実験をコードする多重化(「MP」)、ならびにDNA配列決定用のFWおよびRVプライミング部位が、PCRによって付加される。(注:任意に、FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。DNA配列決定を使用してMNまたはCAおよび多重化バーコードを解読することにより、好ましい結合体を同定する。多重化PCR工程により、たとえば様々なタンパク質/MN濃度、様々なリーダー、その切断または変異体を使用する複数の実験を並列に実行して、単一の配列決定工程で読み出すことができる。
【0062】
(2)クロマチン修飾物質、たとえばヒストンライターまたはイレーサー、およびその好ましい基質修飾認識パターンのプロファイリング
任意の必要とされる基質、たとえばSアデノシルメチオニン(SAM)、アセチル補酵素A(AcCoA)およびアデノシン三リン酸(ATP)の存在下で、クロマチンライターもしくはイレーサーまたはその変形、たとえば(a)触媒ドメイン(b)全長酵素または(c)大きなマルチサブユニット複合体(図6)をライブラリー(この特定の場合において、ヌクレオソーム性またはアレイDNAの5’末端に1つだけバーコードを含有する)とインキュベートする。別の手法として、研究しようとする生物の有核細胞溶解物を調製し、任意の必要とされる基質、たとえばSAM、AcCoAおよびATPの存在下で、バーコード化したライブラリーとインキュベートすることができる。この工程に続けて、たとえば付着したまたは除去されたマークの抗体プルダウンにより、クロマチンライターもしくはイレーサーによって成功裏に修飾されたMNまたはCA基質を単離する。クロマチンライターの場合、付着しているマークに対する抗体を使用してクロマチンライターによって修飾されたMN/CAをプルダウンする。クロマチンイレーサーの場合、除去されたマークに対する抗体を使用してクロマチンイレーサーに標的されなかったMN/CAを取り去り、後にヒストンイレーサーの好ましい基質を残す。DNA単離後に、第2のバーコード、または特定の実験をコードする多重化、ならびにDNA配列決定用のFWおよびRVプライミング部位が、PCRによって付加される(注:任意に、FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。DNA配列決定を使用してMNまたはCAおよび多重化バーコードを解読することにより、基質を同定する。多重化PCR工程により、たとえば様々なタンパク質/MN濃度、様々な酵素、その切断または変異体を使用する複数の実験を並列に実行して、単一の配列決定工程で読み出すことができる。
【0063】
(3)細胞系のエピジェネティックシグネチャーのプロファイリング
上で概説した戦略を使用して、核抽出物中で、ヒストン修飾物質活性を同様に便利にアッセイすることができる。この構成により、クロマチン修飾活性および特異的クロストークの識別が可能になり、その幾つかは所与の細胞型の特性である。特には、癌細胞は固有のクロマチン修飾傾向を有する。たとえば、EZH2は悪性乳癌のマーカーであり(Kleer et al.2003)、組織サンプルからの存在量より酵素活性を測定する能力は、診断価値が高い(Spacil et al.2013)。バーコード化したヌクレオソームライブラリーを組織生検由来核抽出物とインキュベートして、固有の細胞型および病状に対するクロマチン修飾(たとえばヒストンおよび/またはDNA修飾)のシグネチャーをカタログ化し、それによって核生化学の機能不全の診断が可能になる。
【0064】
(4)MN安定性のプロファイリング
バーコード化したMNライブラリー(この特定の場合において、ヌクレオソーム性DNAの5’末端に1つだけバーコードを含有する)を、MNを不安定化する様々な実験条件、たとえば高塩濃度、に暴露する(図7)。別の手法として、研究しようとする生物の有核細胞溶解物を調製し、バーコード化したライブラリーとインキュベートすることができる。各塩増加後のヌクレオソーム性DNAの遊離を使用して、それぞれのMNの安定性を観察した。DNA単離後に、第2のバーコード、または特定の実験、たとえば使用した塩濃度をコードする多重化、ならびにDNA配列決定用のFWおよびRVプライミング部位が、PCRによって付加される。(注:任意に、FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。DNA配列決定を使用してMNおよび多重化バーコードを解読することにより、他と異なる安定なMNを同定する。これらの安定性テストを、MN安定性をモジュレートするタンパク質、たとえばヒストンシャペロンまたはクロマチン再形成因子の存在下における実験に拡張し、並列に実行して、多重化PCR工程により単一の配列決定工程で読み出すことができる。
【0065】
(5)CA安定性のプロファイリング
CAライブラリー(この特定の場合において、アレイDNAの5’末端に1つだけバーコードを含有する)を、クロマチンアレイを不安定化する実験条件、たとえば高塩濃度、に暴露する(図7と類似する)。別の手法として、研究しようとする生物の有核細胞溶解物を調製し、バーコード化したライブラリーとインキュベートすることができる。各塩増加後のクロマチンDNAの遊離を使用して、それぞれのCAの安定性を観察した。DNA単離後に、第2のバーコード、または特定の実験、たとえば使用した塩濃度をコードする多重化、ならびにDNA配列決定用のFWおよびRVプライミング部位が、PCRによって付加される。(注:任意に、FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。DNA配列決定を使用してCAおよび多重化バーコードを解読することにより、他と異なる安定なCAを同定する。これらの安定性テストを、アレイ安定性をモジュレートするタンパク質、たとえばヒストンシャペロンまたはクロマチン再形成因子の存在下における実験に拡張することができ、並列に実行して、多重化PCR工程により単一の配列決定工程で読み出すことができる。
【0066】
(6)CA接触性のプロファイリング
CAライブラリーを、MNおよび/またはCAの折りたたみをモジュレートする実験条件、たとえば高い塩濃度、に暴露する。別の手法として、研究しようとする生物の有核細胞溶解物を調製し、バーコード化したライブラリーとインキュベートすることができる。CAライブラリーメンバーの接触性は、様々な方法によって、たとえばCA内に固定されているPTMパターンの認識(たとえばヒストンリーダーによる)によって、またはたとえばCA DNA内に埋め込まれている転写因子に対するDNA結合部位の認識によって調査することができる。DNA単離後に、第2のバーコード、または特定の実験をコードする多重化、ならびにDNA配列決定用のFWおよびRVプライミング部位が、PCRによって付加される(注:任意に、FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。DNA配列決定を使用してCAおよび多重化バーコードを解読することにより、それぞれのCAを同定する。これらの接触性テストを、クロマチンアレイの圧縮/圧密緩和をモジュレートするタンパク質の存在下における実験に拡張することができ、実験を並列に実行して、多重化PCR工程により単一の配列決定工程で読み出すことができる。
【0067】
(7)クロマチン相互作用物質および修飾物質、たとえばヒストンリーダー/ライター/イレーサーの活性をモジュレートする分子のスクリーニング
推定される阻害剤を含有する分子ライブラリーメンバー(たとえば小分子、ペプチド、核酸、ペプチド−核酸、フォルダマー)の存在下で、1つまたはいくつかのバーコード化したMNもしくはCAを対象のクロマチンリーダー、ライターまたはイレーサーとインキュベートする(図8)。MNまたはCA基質の選択は、特定の実験においてどのリーダー、ライターまたはイレーサーが使用されるかによって決定される。別の手法として、研究しようとする生物の有核細胞溶解物を調製し、分子ライブラリーの存在下でバーコード化したライブラリーとインキュベートすることができる。各インキュベーション工程の後に、使用したそれぞれの候補分子をコードしているバーコード(ここでは阻害剤バーコードと呼ばれる)およびFWプライミング部位を、ヌクレオソーム性またはクロマチンDNAの5’末端に付加する。MN/CAをプールし、たとえば((a)付着したもしくは(b)除去されたマークまたは(c)リーダーに対する)プルダウンによって、使用した特異的分子によりクロマチン相互作用または修飾が損なわれたサブライブラリーの単離を実行する。DNA単離の後に、PCRによってDNA配列決定用のRVプライミング部位が付加される(注:任意に、FWおよび/またはRVプライミング部位は、MN形成の前にヌクレオソーム性DNAに含めることもできる)。DNA配列決定を使用して阻害剤バーコードを解読することにより、ヒットを同定する。
【0068】
以下は、ヒストン修飾、ヒストン修飾物質(ヒストンライターおよびイレーサーを含む)、ヒストンリーダー、DNA修飾およびDNA修飾物質およびDNAリーダー、ならびに本発明に従って使用されてもよい細胞型の例である。
【0069】
ヒストンリーダー、以下のドメインを含有するタンパク質を含む:
ブロモドメイン(BD)
植物ホメオドメイン(PHD)
タンデム型PHD
クロモドメイン
WD40
Tudor
ダブル/タンデム型Tudor
MBT
アンキリンリピート
zf−CF
PWWPドメイン(配列番号1として開示されている「PWWP」)
14−3−3
BRCT
UBA
ヒストンライター、以下を含む:
ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)
ヒストンアシル基転移酵素、
ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)
キナーゼ
ユビキチナーゼ(UB)
ADP−リボシルトランスフェラーゼ
グリコシルトランスフェラーゼ
プロリンイソメラーゼ
ヒストン再形成複合体
ヒストンイレーサー、以下を含む:
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)
ヒストン脱メチル化酵素(HDM)
デユビキチナーゼ(DUB)
ホスファターゼ
アルギニンデイミナーゼ
DNA修飾物質、以下を含む:
DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)
メチルシトシンヒドロキシラーゼ/オキシダーゼ(TETファミリー酵素)
DNA修飾リーダー、以下を含む:
メチルCpG結合ドメイン(MBD)
SETおよびリングフィンガー結合ドメイン(SRA)
DNA修飾、以下を含む:
[シトシン]メチル化/メチルシトシン
[シトシン]ヒドロキシメチル化/ヒドロキシメチルシトシン
[シトシン]ホルミル化/ホルミルシトシン
[シトシン]カルボキシル化/カルボキシシトシン
[アデノシン]メチル化/メチルアデノシン
[グアニジン]酸化/オキソグアニジン
チミジン二量体化
脱塩基部位
一本鎖ニック
有核細胞溶解物、以下に由来するものを含む:
ヒト細胞(たとえば293T細胞、COR−L23、HEK293、HeLa、Jurkat、NIH−3T3)ヒト癌細胞(たとえば721、U937、BCP1、A2780、A−549、A431、CMLT1、DU145、H1299、KYO1、MCF−7、Raji、THP1)
ならびに健康なまたは疾患起源の他の任意の生物に由来する細胞
クロマチンと相互作用するおよび/または修飾するタンパク質を調査するために他の研究者によって使用された手法を以下に記載する。
【0070】
(1)クロマチンの消化によるMNまたは小さいCAのライブラリー、通常はミクロコッカスヌクレアーゼ(MNase)処理を使用する
この手法は、クロマチン免疫沈降(ChIP)(Schones & Zhao、2008)と呼ばれる免疫沈降実験技術の変形であり;
(a)細胞中のタンパク質とDNAとの相互作用
(b)特定のゲノム領域でのヒストンを含めた、タンパク質の存在量および局在性
(c)特定のヒストンPTMの存在量および局在性
を調査するために使用され、
−通常は、内在性クロマチンとその結合タンパク質とを細胞溶解物中で架橋し
−MNaseによってクロマチンを消化してCAおよび/またはMNのライブラリーを得て
−対象のタンパク質またはPTMマークを選択的に免疫沈降し、結合しているDNA断片を精製し、その配列を決定する。
【0071】
この型のサンプルは、大きくて生物学的に重要なライブラリーを表しており、そのゲノム遺伝子座に関して有益な情報を提供するが、クロマチン相互作用物質および修飾物質をプロファイリングする際に使用するには欠点、たとえば:
(a)サンプル内(内在性クロマチン相互作用タンパク質による汚染)と異なる実験間(実験毎に再現するのが困難なライブラリー組成、一部にはin vitroスクランブリングによる)両方での、サンプルの不純物/不均一性、
(b)合成履歴がコードされていないので、プルダウン後のMNまたはCA組成の読み出し、がある。読み出しは、いずれかの抗体(特定のマークまたはタンパク質に対する)によって、時には質量分析法(MS)と組み合わせて(Britton、Gonzales−Cope、Zee & Garcia、2011)決める。特には、MSは、ライブラリーのどんなタグ付けも必要としない極めて感度が高い不偏の方法である。しかし、MSは、1つのポリペプチド鎖内のヒストンリーダー/ライター/イレーサーの認識パターン、すなわち1つのヒストン内のPTMパターン、しかプロファイリングできず、完全なヌクレオソーム性構成中の異なるヒストンに存在するPTMに一緒に使用することができない。さらに、感度は高いが、MSには一定の修飾に対して検出限界があり、たとえばリン酸化には特に問題がある。MSは、一定の修飾間、たとえば不斉に対する対称ジメチルアルギニン、を判別することができない。最後に、MSにおいて検出されるイオン信号は、(DNAに基づく情報と異なり)どんな種類の増幅もできないので、感度に対して実際の実用上の制限がさらに加えられる。
【0072】
(2)特定のPTMマークを含む化学的に定義されたN末端ヒストンペプチドライブラリー
修飾されたN末端ヒストンテールペプチドの大きなライブラリー(数千までのメンバーを含有する)を、固相化学を使用して合成し(Garske et al.2010)、それを使用して、PTMパターンの結合に対するいくつかの公知のヒストンリーダードメインをプロファイリングした。完全なMNまたはCAと比較して、ペプチドライブラリーの構築はより簡単で、より速く(自動化できる)、モジュール式(たとえば分割−およびプール技術を使用する)である。さらに、たとえば固体支持体上での物理的な分離により、全てのライブラリーメンバーをコードすることができる。たとえばMSにより、異なって修飾されたペプチドの同一性を決定することができる。1本のポリペプチド鎖内のヒストンテールに存在するヒストンPTMとのタンパク質相互作用をスクリーニングすることができるが、(i)ヒストンの球状ドメイン内、異なるヒストン上、もしくは生理的モノヌクレオソームおよびポリヌクレオソーム性環境中の異なるヌクレオソーム上にあるPTMパターン;および(ii)DNA修飾パターン、または(iii)その組合せとの相互作用、たとえばヌクレオソーム性構成中の特定のPTMパターンに対するクロマチンリーダーの多価結合は、調査することができない。
【0073】
(3)特定のPTMパターンを含有する化学的に定義された単一のMN
−特定のPTMパターンを有する完全な化学的に定義されたMN基質を従来の単一プルダウン実験に使用して、ヒストンリーダー、ブロモドメインPHDフィンガー転写因子(BPTF)の多価性の概念を調査した(Ruthenburg et al.2011)。この研究により、ヒストンPTMパターンを読み出す際の天然のヌクレオソーム性構成の重要性が示されたが、非常に低いスループットおよび仮説型実験計画の必要性に悩まされた。記載の発明において提唱されるように、合成履歴がコードされていないため好ましい結合体の識別および定量化ができなかったので、各プルダウン実験により単一のヒストンリーダー−MN対の結合事象が調査されたが、同時に複数のMNバリアントを用いて実行することはできなかった。Kingstonおよび共同研究者によって(クロマチン再形成因子に供するために)、NPSの5’末端に2つの異なる発蛍光団、Cy3およびCy5を付着させることにより、2つのヌクレオソームのモノヌクレオソームライブラリーが構築された(Goldman、Garlick & Kingston、2010)。記載された発明と比較して、この手法の短所としては、
(1)極めて小さいヌクレオソームライブラリーサイズ、そのサイズは、直交する蛍光分子の利用可能性および適合性によって制限される(記載されている刊行物においてライブラリーサイズは2であるが、およそ4まで拡大できる)
(2)読み出し感度の低さ(蛍光対DNAベース読み出し)、したがって材料およびコスト効率が悪い
(3)蛍光ベース読み出しのため実験を多重化できないこと
(4)データの標準化の困難さ
がある。
【0074】
現在まで、定量的高スループットクロマチン生化学用として成功裏に開発された方法は全くなく、それは、不偏の様式で適切な読み出しを含むクロマチン相互作用/修飾タンパク質をプロファイリングするために、大きくて多様性があるが化学的に定義されているモノヌクレオソームまたはクロマチンアレイライブラリーの構築を必要とする(Allis & Muir、2011;Fierz & Muir、2012)。
【0075】
本発明による組成物および方法は、上で概説した3つの手法の短所を克服し、そのようなデザイナークロマチンライブラリーの生成、望ましい特性を備える相互作用分子の単離、識別および定量化の解決策を提供する。以下の特徴が含まれてもよい:
−修飾されたモノヌクレオソームおよびポリヌクレオソームの形態でin vivoに存在する天然のクロマチン状態の再現
−化学的に定義され、さらに天然のモノヌクレオソームおよびポリヌクレオソーム性基質を得られる均質な調製
−人工的なNPSを使用することによる、ヌクレオソーム調製、処理、およびその後の生化学アッセイ中のDNAスクランブリングの安定性
−バーコード化戦略((a)MNまたはCAバリアントと(b)実験の両方を明確にコードしている)によりモノヌクレオソームおよびポリヌクレオソーム性ライブラリーに実行される生化学アッセイの高スループット性
−PCR工程および次世代配列決定による高感度で(すなわち増幅性)定量的な読み出し。
【0076】
固有のDNAバーコードを使用して、各MNもしくはCAライブラリーメンバーの固有の生化学的および/または生物物理学的特性をコードすることが有利である。これらのバーコードは、それぞれのポリヌクレオソーム性DNA配列に付着しているかまたはその中に含まれる。
【0077】
従来から、DNAバーコード化はゲノムレベルで実行されており、合成ヒストンH3およびH4変異体を用いるヌクレオソームプロービングの例に示すように、対象の遺伝子が固有の分子バーコードでタグ付けされて、バーコード増幅、標識およびマイクロアレイハイブリダイゼーションによってそれぞれのタンパク質プールの識別が容易になる(Dai、Hyland、Yuan、Huang & Bader、2008)。
【0078】
ゲノムレベル以外の識別用バーコードの使用については、DNAバーコード化した化学的ライブラリーに関して記載されており(Buller et al.2010;Clark、2010;Kleiner et al.2011)、DNA領域が人工的なハンドルとして導入されて、各小分子ライブラリーメンバーおよびDNAコード化抗体ライブラリーが一意的にタグ付けされる(Agasti et al.2012;Krutzik & Nolan、2006)。
【0079】
本発明によるバーコード化したヌクレオソームまたはクロマチンアレイの使用により、いくつかの明白な利点が得られる。たとえば、バーコードは、ライブラリー中の個々のMNもしくはCAバリアントを明確にコードしており、マイクロアレイハイブリダイゼーションまたはDNA配列決定によって解読して、好ましい結合体または基質について定量的な情報を得ることができる。加えて、このバーコード化戦略を利用して、所与のライブラリーに対して実行される全ての生化学的または生物物理学的操作をモジュール方式でコードすることができる。
【0080】
モノヌクレオソームライブラリーおよびクロマチンアレイライブラリーを調製する方法は、以下のものを含む:
(1)ヒストン合成
(a)翻訳後修飾された野生型(wt)および天然のヒストンならびに記載された手順を使用するその変形。
【0081】
−組換えタンパク質合成、固相ペプチド合成またはその組合せ(たとえばネイティブケミカルライゲーション(NCL)(Dawson & Kent、2000)、発現タンパク質ライゲーション(Muir、2003)(EPL)またはアンバー変異抑制法(Wang、Xie & Schultz、2006)技術を使用する)を使用して、MNまたはCAにその後組み込まれる、野生型の、翻訳後修飾されている、人工的にタグ付けされている、または短縮されているヒストンを含めたヒストンバリアントを合成する(図9a)。
【0082】
(b)記載された手順を使用する、メチル化リシン(Kme)またはアセチル化リシン(Kac)類似体を保有する翻訳後修飾ヒストン
−Shokatおよび共同研究者ならびにNordenskioeldおよび共同研究者によって記載される戦略をそれぞれ使用して、システイン変異体をアルキル化して、メチルアミノエチルシステイン(Kme類似体)を得る(Simon et al.2007)か、またはチオール−エン反応に供して、アセトアミドエチルシステイン(Kac類似体)を得る(Cao、Korolev & Nordenskioeld、2011)。
【0083】
1つの翻訳後修飾されたヒストンの合成には時間がかかるが、自動化および並列化、たとえばモジュール式NCLジャンクションおよび手順の開発によって、ならびに修飾されたアミノ酸類似体を含有するヒストンを包含することによって、促進することができる。
【0084】
(2)八量体形成
wtおよび/または修飾ヒストンの等比での添加、6M GdmHClから2M NaClへの透析、それに続くSEC精製によって、ヒストンを会合させる(Dyer et al.2004;Luger、Rechsteiner & Richmond、1999)。別法として、八量体形成は、わずか1nmol規模のヒストン(ヒストンバリアントに応じて、およそ50μgの合計ヒストン)で実行することができる。しかし、より多くの材料が必要な場合には規模を増やすことができ、適切な透析装置が使用される限り、使用する体積に適合するように減らすことができる。280nmでの紫外線分光測定および300nmでのバックグラウンド除去によって濃度を測定することができ、算出された消衰係数は、一般的なウェブサイト、たとえばワールドワイドウェブサイトexpasy.org/protparamを使用することによって得られてもよい。ヒストンを、氷上で、展開緩衝液(6M塩化グアニジウム、20mM トリス−HCl、4℃でpH7.5、1mM Na−EDTA、1mM DTT)およそ55μLに等モル比で混合して、4℃で約1mg/mLの合計タンパク質濃度を得る。混合物を小型透析ボタン(カットオフ3,500Da)の中に置き、再折りたたみ緩衝液(2M NaCl、10mMトリス−HCl、4℃でpH7.5、1mM Na−EDTA、1mM DTT)3x600mLに対して、各4℃で少なくとも4時間、1回の透析工程は終夜で透析する。翌日、混合物をエッペンドルフチューブへ移し、17,000gで、4℃で少なくとも5分間遠沈して、沈殿物を除去する。上清を、新たなチューブに移す。50%(v/v)グリセリンを添加し、紫外線吸収を使用して八量体濃度を測定し、通常は2〜5μMであった。八量体を、MN会合に直接処理する、および/または−20℃で貯蔵することができる。
【0085】
(3)バーコード化した、修飾されていないならびに修飾されているヌクレオソーム性およびアレイDNAの調製
(a)ヌクレオソームおよびアレイ骨格:
修飾されていないDNAは、公知の方法、たとえば分子クローニング、PCRもしくはその断片のDNAライゲーション、または化学的合成によって得ることができる。任意のDNA配列がヌクレオソーム性位置決めを指示できる場合には、その配列、たとえば提示された例において使用されるWidom 601配列(Lowary & Widom、1998)、を使用することができる。必要な用途に応じて、様々な長さおよび型のNPSならびにDNAリンカーを利用することができる。一般に、数十nM(たとえば、5、10、20、30、40、50またはそれ以上)の濃度におけるライブラリーメンバー相互間のDNAスクランブリングを避けるには、良好なライブラリーメンバーのバーコード化および識別に十分に強力なNPSが必要とされる。修飾されているDNAは、導入された修飾に応じて、酵素的または化学的方法を含めた適切な方法を使用して合成される必要がある。
【0086】
(b)バーコード
ヌクレオソーム性もしくはアレイDNA内のどこにでも、またはその5’もしくは3’末端に、またはその近傍、あるいはリンカー領域内に、1つまたはいくつかのバーコードを組み込む。バーコードの選択および長さは、特定の実験および全体のライブラリーをコードするのに必要とされる組合せ冪数の程度に適合させることができる。バーコードは、ライブラリーメンバーの任意の生化学的または生物物理学的特性、たとえばヒストンバリアント、DNAバリアント、MN接続性、リンカーDNA、リンカーヒストン、非ヒストンタンパク質および/または操作の型、をコードする。たとえば、9節に記載される原理証明実験に示すように、6bpのヌクレオチド領域をヌクレオソーム性またはアレイDNAの5’末端に付着させ、最大で4096個のMNもしくはCAバリアントをコードさせることができる。これらのバーコードは、
(i)プラスミドDNAへの分子クローニング、それに続くヌクレオソーム性またはアレイDNAを遊離させるための酵素的制限
(ii)PCR
(iii)MNもしくはCA形成前の、ヌクレオソーム性またはアレイDNAの5’もしくは3’末端に対する酵素的DNAライゲーション
(iv)MNもしくはCA形成後の、ヌクレオソーム性またはアレイDNAの5’もしくは3’末端に対する酵素的DNAライゲーション
(v)その組合せ
などの方法によって導入することができる。
【0087】
(c)FWおよびRV配列決定プライミング部位。
【0088】
DNA配列決定が読み出しに使用される場合、FWおよびRV配列決定プライミング部位は、MNもしくはCA形成の前後に、または実験を実行した後に、またはそれらを組合せて、たとえば分子クローニング、PCRもしくはDNAライゲーションの技術を用いて、導入することができる。
【0089】
バーコード化したMNライブラリーの1つの変形においては(図10a)、後のionTorren(登録商標)配列決定装置(Rothberg et al.2011)を使用する次世代配列決定読み出しに適合する30bp FWプライミング部位、MNバリアントをコードする6bpバーコード、4bpリンカー、147bpのヌクレオソーム性601 DNA(Lowary & Widom、1998)および3’末端に短い3bpの付加物を含有する190bpの二本鎖(ds)DNA領域が、ヌクレオソーム性601配列を鋳型に使用してPCRによって調製される。
【0090】
バーコード化したMNライブラリーの別の変形において、Widom 601ヌクレオソーム性DNA(Lowary & Widom、1998)を含有し、下側の鎖の5’末端に5’−AA−3’突出および上側の鎖の3’末端に5’−CAC−3’突出(「BC−601」;図10b)を有する177bpのds DNA領域を、(1)12マーリピートとして環状プラスミドにクローニングされたまたはPCRによって作製されたかいずれかのヌクレオソーム性601配列をBsaIおよびDraIIIを使用して遊離させることと;(2)ionTorrentフォワードプライミング部位のnt 10〜30にわたる相補的一本鎖DNA(「FW−iT10〜30」)(Rothberg et al.2011)とそれぞれの6bp MNバーコード(「BC−MN」;下の鎖は、3’末端に5’−AA−3’突出および5’末端に5’−CATC−3’突出を含有する)とをアニーリングすることと;(3)これらのハイブリダイズしたDNA配列をヌクレオソーム性601 DNAと組み合わせることと;(4)T4 DNAポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)を使用するin situリン酸化と;(5)T4 DNAリガーゼを使用して「BC−601」を得るライゲーションと;(6)最終DNA産物の精製、とによって調製する(図10b)。最終DNA産物の濃度は、340nmでのバックグラウンド除去を伴う260nmでのds DNAの紫外線吸収によって決定され、算出された消衰係数は、一般的なウェブサイト、たとえばワールドワイドウェブサイトbiophysics.idtdna.com/UVSpectrum.htmlを使用することによって得ることができる。
【0091】
(4)MN形成
モノヌクレオソームは、それぞれのSEC精製した八量体バリアントに、バーコード化したヌクレオソーム性DNAを添加し、その次に記載された方法を使用して、高から低塩緩衝液へと透析することによって会合させることができる(Dyer et al.2004;Luger et al.1999)。精製工程、たとえば分取ゲル電気泳動またはイオン交換クロマトグラフィーをその後に続けてもよい。
【0092】
良好なMNまたはCA会合のための適切なDNA対八量体比は、実験的に決定することができる(Dyer et al.2004;Luger et al.1999)。比が予め決められている大規模生産の場合、その方法は自動化によって促進できる。
【0093】
別法として、MN会合は、緩衝DNA、たとえばMMTV(Flaus & Richmond、1998)DNA配列、の使用に基づく新たな手順を用いて、わずか3日間で、高スループット様式で実行することができる。PCRによって、ビオチン親和性ハンドルがMMTV DNAの5’末端に取り付けられ(図9b)、このハンドルによって、誤って会合したヒストン−MMTV複合体および潜在的に含まれないMMTV DNAの除去が容易になり、したがって、以下の時間−および材料−制限工程が省かれる:(1)たとえばSECによって、ヌクレオソーム会合の前にヒストン八量体を精製する必要性;および(2)経験的なDNA対八量体比試験。この新たな手順は、数十、数百および潜在的に数千ものヌクレオソームバリアントを高度に並列化した様式において、極めて少量のヒストン八量体およびヌクレオソーム会合規模(各ヒストン1nmolだが、必要に応じてさらに増減できる)での材料調製を可能にする。通常、ヌクレオソーム会合は、数十pmol規模(たとえば、49pmol)で実行されるが、必要な用途に応じてこの規模を拡大縮小することができる。通常、再折りたたみ緩衝液(10mM トリス−HCl、4℃でpH 7.5、2M NaCl、1mM EDTA、1mM DTT)中に約0.7μMの八量体の濃度(たとえば、約70μM pmolの合計体積)で、それぞれの八量体(たとえば39マー八量体ライブラリー由来)1当量(eq)(たとえば、49pmol)を、バーコード化したDNA(「BC−601」)0.6eq(ヌクレオソーム性601 DNAの八量体に対して)(たとえば、29pmol)およびBIO−MMTV DNA 0.4eq(八量体に対する)(たとえば、20pmol)と、4℃で別々に組み合わせる。記載の通り、MN会合は、(1)希釈、(2)段階的透析、または(3)連続透析法を使用して実行することができる(Dyer et al.2004;Luger et al.1999)。この特定の場合には、蠕動ポンプを使用する連続透析を利用した。たとえば、MN会合混合物を小型透析ボタン中に置き、MN開始緩衝液(1.4M KCl、10mM トリス−HCl、pH7.8、0.1mM EDTA、1mM DTT)200mLに対して、攪拌下に4℃で1時間透析することができる。およそ6時間過ぎたら、MN終了緩衝液(10mM KCl、10mM トリス−HCl、pH7.8、0.1mM EDTA、1mM DTT)320mLを攪拌下に1.0mL/分の速度で添加し、混合物を、得られた緩衝液に対して攪拌下に4℃でさらに数時間透析する。続いて、混合物を、MN終了緩衝液2x200mLに対して透析する(1工程1時間、その他は攪拌下に4℃で少なくとも4時間)。混合物をエッペンドルフチューブへ移し、17,000gで、4℃で少なくとも5分間遠沈して沈殿物を除去し、上清を新たなチューブに移し、プロテアーゼ阻害剤、たとえば0.5mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)を補充する。溶液を十分な量のストレプトアビジンコーティングしたビーズとエンドツーエンド撹拌装置上で、室温(RT)で1時間インキュベートすることにより、会合したMNをMMTV DNA(遊離型および/またはヒストンに結合している)から取り出す。ビーズから溶液を取りだし、17,000gで、4℃で少なくとも5分間遠沈して、沈殿物を除去する。上清を新たなチューブに移す。340nmでのバックグラウンド除去を伴う260nmでのdsヌクレオソーム性DNAの吸光度を使用して、最終MNの定量化を実行する。算出された消衰係数は、一般的なウェブサイト、たとえばワールドワイドウェブサイトbiophysics.idtdna.com/UVSpectrum.htmlを使用することによって得ることができる。得られたMNの品質を分析するために、通常は、0.5pmolの得られたMNを約15(v/v)%スクロースで補充し、無変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびEtBrによる染色によって分析する。可視化は、ImageQuant LAS4000(GE Healthcare)を使用して実行される。貯蔵する場合、20(v/v)%グリセリンを添加し、MNを、3pmolアリコートに分割し、急速冷凍し、別々に−80℃で貯蔵するかまたは等モル比で組み合わせ、タンパク質濃縮装置(Vivaspin 500、カットオフ10,000Da)を使用しておよそ1.0μM(合計ヌクレオソーム濃度)に濃縮し、3pmolアリコートに分割し、急速冷凍し、−80℃で貯蔵するかいずれかである。全体として、組換えおよび/または合成ヒストンから開始して、高度に並列化した様式で、利用可能なロボット工学を用いて記載された期間内に数十、数百および潜在的に数千ものバリアントの規模で、ヌクレオソームをわずか3日間で調製することができる。
【0094】
(5)CA形成
1つのMNサブユニット型(または、バリアント)だけの均一のアレイを、上の(4)と同様に会合させることができる。不均一なアレイにおいては、2つ以上のMNサブユニット型が存在し、MNは別々に会合され、固有のDNA突出を用いるDNAライゲーションを使用して定義された配列に互いにライゲーションされる(Blacketer、Feely & Shogren−Knaak、2010)。いくつかのアレイにおいて、各MNはその修飾において固有であってもよい。
【0095】
(6)MNまたはCAライブラリー形成:望ましい修飾されたMNの望ましい濃度でのプーリング
ライブラリーは、一意的にDNAバーコード化したMN/CAを添加して、望ましい組成のライブラリーを得ることによって形成することができる。ライブラリーメンバーの比は、等モルかまたは非等モルのいずれかであり、たとえば異なる分布のMN/CA型、すなわちクロマチン状態、をin vivoで再現することができる。
【0096】
必要に応じて、精製工程、たとえば分取ゲル電気泳動、イオン交換またはゲル濾過による、を使用してライブラリーメンバーを精製することができる(Bao、Chakravarthy、Muthurajan & Luger、2003)。MNおよびCAはバーコード化されているので、得られたプールされたライブラリーは1工程で精製されてもよい。
【0097】
ライブラリーは、各MNまたはCAメンバーに対して別々の容器を含んでもよく、または単一の容器に複数のMNまたはCAメンバーを含んでもよく、または単一の容器にライブラリーまたはサブライブラリーの全てのメンバーを含んでもよい。ライブラリーは、MNとCAの両方を含んでもよい。
【0098】
(7)望ましい生化学的または生物物理学的特性を有するライブラリーメンバーの単離、識別および定量化
(a)コードされているMN/CAライブラリーに対する生化学的または生物物理学的アッセイ。以下の生化学的または生物物理学的アッセイ法は、MNライブラリーについて記載するが、同じくCAライブラリーに適用することができる。
【0099】
(i)クロマチンリーダーの結合プロファイリング
たとえば親和性タグまたは免疫沈降によって、クロマチンリーダー(組換えまたは有核細胞抽出物から得られる)を固体支持体に固定し、標準的なタンパク質緩衝液中でヌクレオソームライブラリーとインキュベートする。これらは、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(トリス)緩衝液、リン酸緩衝液、および4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(Hepes)緩衝液を中性近くのpH(たとえば6.5〜8)で含み、(a)ヌクレオソーム安定性および完全性(たとえば還元試薬、プロテアーゼ阻害剤)、クロマチンリーダーの安定性(たとえばグリセリン、塩)、ならびに(c)結合事象の特異性(たとえば塩または界面活性剤)に必要とされる全ての試薬および追加的な補因子を含有するべきである。インキュベーションは、低数百μL体積に数十nMの合計ヌクレオソーム濃度で通常実行されるが、両方の数は増減することができる。インキュベーション温度は通常4℃であるが、4℃からヌクレオソームおよびクロマチンリーダーによってなお許容される温度の範囲、たとえば37℃であり得る。実験を4℃で実行する場合、インキュベーション時間は通常4時間であるが、特定の実験に適合させることができる。別法として、クロマチンリーダーとヌクレオソームの間の結合事象は、最初に溶液中で実行することができ、クロマチンリーダー−ヌクレオソーム複合体の固定化をその後に実行することができる。
【0100】
(ii)クロマチンライターおよびイレーサーの酵素的修飾パターン
クロマチンライター(組換えまたは有核細胞抽出物から得られる)を、標準的なタンパク質緩衝液中でヌクレオソームライブラリーとインキュベートする。これらは、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(トリス)緩衝液、リン酸緩衝液、および4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(Hepes)緩衝液を中性近くのpH(たとえば6.5〜8)で含み、(a)ヌクレオソーム安定性および完全性(たとえば還元試薬、プロテアーゼ阻害剤)、(b)酵素反応(たとえば基質、たとえばATP、SAMおよび/またはAcCoA)、(c)酵素の安定性(たとえば塩またはグリセリン)、(d)反応産物の安定性(たとえば、リバーサル反応の阻害剤、たとえばヒストンアセチルトランスフェラーゼ反応の後の場合、HDAC阻害剤)、ならびに(e)下流の免疫沈降工程の特異性(たとえば塩、グリセリンまたは界面活性剤)に必要とされる全ての試薬および追加的な補因子を含有するべきである。反応は、低数十μLの体積に数十nMの合計ヌクレオソーム濃度で、適切な酵素濃度で通常実行されるが、必要なだけ増減することができる。インキュベーション温度は通常25〜37℃であるが、4℃からヌクレオソームおよびクロマチンライターによってなお許容される温度の範囲であり得る。実験を30℃で実行する場合、インキュベーション時間は通常10〜60分間であるが、特定の実験に適合させることができる。続いて、ヒストン配列内にある酵素的に修飾されたアミノ酸を結合している抗体を、通常は低数十μg/mLの濃度で、RTで1時間添加した。続いて、通常はRTで1.5時間インキュベーションすることにより、タンパク質GまたはAビーズで抗体−ヌクレオソーム複合体を捕捉する。別法として、抗体と酵素的に修飾されたヌクレオソームとの結合工程は溶液中で実行することができ、抗体−ヌクレオソーム複合体の固定化は、その後に実行することができる。したがってイレーサーの場合、修飾されていないヌクレオソーム基質は、除去されたマークに対する抗体を用いる免疫沈降によって減らされる。
【0101】
(b)DNA単離
結合タンパク質からのヌクレオソーム性またはアレイDNAの分離は、標準的な方法、たとえばタンパク質消化、たとえばプロテイナーゼK処理によって、それに続くDNA精製(たとえばQiagen PCR精製キット)によって実行することができる。絶対的DNA量は、たとえば紫外線分光測定、または蛍光プローブのハイブリダイゼーション、たとえばQubit、またはqPCRによるDNA定量化技術を使用して決定することができる。
【0102】
(c)マイクロアレイハイブリダイゼーションを使用するバーコード解読
解読は、標準的な手順(Heller、2002)を使用して固定化したDNA配列を有するマイクロアレイチップを用いて達成することができる。
【0103】
(d)DNA配列決定を使用する多重化およびバーコード解読
フォワード(FW)およびリバース(RV)配列決定プライミング部位は、ヌクレオソーム性またはアレイDNA調製の間に、たとえばPCR、分子クローニングまたはDNAライゲーションといった方法論を使用して含めることができる。別法として、プライミング部位は、MNまたはCA形成の後に付加されてもよく、PCRもしくはDNAライゲーションを使用する結合または酵素実験により、特定の実験をコードしている多重化バーコードの同時挿入が可能になる。プライミング部位の実験前および後の付着の組み合せが、実行可能である。得られたDNAライブラリー、したがって所与の生化学的または生物物理学的特性を有するヌクレオソームのバーコードを含有する、をプールし、次世代配列決定装置に供することができ、配列決定リードの解読(示した具体例においてionTorrent(登録商標)配列決定によって例示される通り)は、最初に実験多重化バーコードの一覧に従ってデータを仕分けすることと、続いてヌクレオソームバーコードの一覧に従って仕分けすることと、たとえばバーコード除去ツールであるFastx Toolkit、ウェブサイトhannonlab.cshl.edu/fastxtoolkit/ind3ex.htmlによるライブラリー入力に対する標準化とにより、達成できる(図10d)。
【0104】
図10aおよび10bに示す態様において、FWプライミング部位(ionTorrent(登録商標)(Rothberg et al.2011)によるその後の次世代配列決定工程に適合している)は、30bp FWプライミング部位を有するバーコード化したヌクレオソーム性601 DNAを生成するためのPCR工程の間に含められる(図10a)、またはT4 DNAライゲーションによってヌクレオソームバーコードと一緒に601ヌクレオソーム性601構成単位(「BC−601」、図10b)にライゲーションされる。適切な生化学的実験後のDNA単離の後に、その後のionTorrent(登録商標)次世代配列決定装置(Rothberg et al.2011)と適合する23bp RVアダプタープライミング部位および6bp多重化(実験)バーコードならびにionTorrent(登録商標)のFWプライミング部位の最初の10bpが、次のPCR工程によって付加される(図10c)。
【0105】
読み出しにDNA配列決定を使用する場合、最小限の材料しか必要としない。しかし、ヒストン八量体およびMNを作製するには、ならびにたとえばビーズを使用するプルダウン実験、および高スループットの結果を得るのに使用できる他の技術には、一定量を必要とする。これらは、マイクロ流体工学装置(Weibel & Whitesides、2006;Whitesides、2006)を実行して、八量体およびMNの形成を並列化ならびに小型化することと、また、プロファイリングおよびスクリーニング試験にライブラリーを使用して高スループット動作を提供することとを含む。
【0106】
本発明の態様は、クロマチン相互作用物質および/または修飾物質をプロファイリングし、その活性をモジュレートする分子をスクリーニングするために作製され、流通され、使用することができる定義されたMNもしくはCAライブラリーを含有するキットを含む。本発明のキット、組成物ならびに方法は、既存のまたは新たなクロマチン相互作用物質および/もしくは修飾物質を発見し、プロファイリングするために;ヒト癌患者から得られるものを含めて、所与の細胞系のエピジェネティックシグネチャーの分析用診断ツールとして;ならびに既存のまたは新たなエピジェネティック薬物を発見し、プロファイリングするために使用できる。
【0107】
ヒストンおよび非ヒストンタンパク質、ヌクレオソーム性もしくはアレイDNA、またはその組合せかどうかにかかわらず、ここで記載される技術を使用して、型および数において任意の望ましい修飾を有するモノヌクレオソームおよびクロマチンアレイが調製されてもよい。ヒストンタンパク質単独で約100個までの修飾が有り得る場合、組み合わせ理論は非常に高くなる。しかし、限られた数の修飾および組合せしか生物学的に重要でない。したがって、選択されたライブラリーは、通常真核生物に見出される生物学的に重要な修飾の限られた組に対応する数100種類の組合せのヒストン修飾しかなくてもよい。すなわち、効率性および生物学的妥当性のためには、ライブラリーは、モノヌクレオソーム中の非天然の翻訳後ヒストン修飾およびDNAの非天然の修飾を除外してもよい。たとえば、修飾は、ヒトおよび/または酵母に見出されるものに基づいていてもよい。
【0108】
モノヌクレオソームおよびクロマチンアレイは、ヌクレオソームもしくはアレイの合成および修飾と関連する合成バーコード、強力な合成NPS、DNA認識部位ならびに/または他の合成DNA配列の使用を含めた、様々な方法で天然のクロマチンと異なっていてもよい。それらは非常に高い安定性および均一性を有するので、交絡変数、たとえば各ヌクレオソームにおいて異なるDNA配列、またはタンパク質からのDNAの分離および合成モノヌクレオソームの「スクランブリング」無しに制御された実験が可能になる。クロマチンアレイは、厳密な設定数Nのヌクレオソーム単位を有してもよく、Nは2〜96である。これら特徴の全てが、高スループット分析に重要である。
【0109】
本発明の他の側面は、いくつかの高スループット分析、たとえば多数のDNA配列の結果の分析、に必要とされる可能性がある大量のデータを分析するためのコンピュータの使用を含む。
【0110】
たとえば、本発明の一側面は、コンピュータによって実行される場合に、コンピュータに
a)特定の実験(多重化、または実験バーコード)をコードしている対象のバーコードの存在および位置を同定させ、
b)特定の実験についてインデックスを付けられたバーコードのデータベースとa)において得られたバーコードとを比較させ、
c)対象のヒストン相互作用物質または修飾物質と相互作用した合成ヌクレオソーム由来ヌクレオソームDNA中の対象のバーコード(たとえば、ヌクレオソームDNA中の一定の出発点からDNA配列決定することによって得られるDNA配列中にある)の存在および位置を同定させ、
d)ヌクレオソーム中のヌクレオソーム修飾の特定のパターンについてインデックスを付けられたバーコードのデータベースとc)において得られたバーコードとを比較させ、
e)バーコードに関連するヌクレオソーム修飾のパターンを同定させる
命令を含み、それによって、相互作用物質または修飾物質に関連する修飾を決定する、非一時的コンピュータ読み込み可能な媒体である。
【0111】
当業者は、コンピュータを実行するための追加的な工程、または本発明の他の方法を実施するための他の一連の工程を認識しよう。
【0112】
本発明の別の側面は、対象の相互作用物質または修飾物質と関連するヌクレオソーム修飾を確定する方法であって、
a)特定の実験(多重化または実験バーコード)をコードしている対象のバーコードの存在および位置をコンピュータによって(上で)同定することと、
b)特定の実験についてインデックスを付けられたバーコードのデータベースとa)において得られたバーコードとを比較することと、
c)対象のヒストン相互作用物質または修飾物質と相互作用した合成ヌクレオソーム由来ヌクレオソームDNA中の対象のバーコード(たとえば、ヌクレオソームDNA中の一定の出発点からDNA配列決定することによって得られるDNA配列中にある)の存在および位置を同定すること、
d)ヌクレオソーム中のヌクレオソーム修飾の特定のパターンについてインデックスを付けられたバーコードのデータベースとc)において得られたバーコードとを比較することと、
e)バーコードに関連するヌクレオソーム修飾のパターンを同定することを含み、それによって、相互作用物質または修飾物質に関連する修飾を決定する方法である。
【0113】
本発明の別の側面は、対象の相互作用物質または修飾物質と関連するヌクレオソーム修飾を確定するシステムであって、
メモリと、
a)特定の実験(多重化、または実験バーコード)をコードしている対象のバーコードの存在および位置を同定し、
b)特定の実験についてインデックスを付けられたバーコードのデータベースとa)において得られたバーコードとを比較し、
c)対象のヒストン相互作用物質または修飾物質と相互作用した合成ヌクレオソーム由来ヌクレオソームDNA中の対象のバーコード(たとえば、ヌクレオソームDNA中の一定の出発点からDNA配列決定することによって得られるDNA配列中にある)の存在および位置を同定し、
d)ヌクレオソーム中のヌクレオソーム修飾の特定のパターンについてインデックスを付けられたバーコード(たとえば、特定の実験についての、たとえば多重化または実験バーコード)のデータベースとc)において得られたバーコードとを比較し、
e)バーコードに関連するヌクレオソーム修飾のパターンを同定し、それによって、相互作用物質または修飾物質に関連する修飾を決定する
ように構成されているプロセッサとを含むシステムである。
【0114】
図17は、1つ以上の態様に従ってコンピュータ1700を実行するための典型的なアーキテクチャについて記載しており、それを使用して、任意の装置、または任意の他のコンピュータシステムもしくはそのコンピュータ構成要素を実行してもよい。コンピュータ1700と共に使用することができる他の装置、たとえばクライアントまたはサーバが同様に構成されてもよいことはいうまでもない。図17に例示するように、コンピュータ1700は、バス1710、プロセッサ1720、メモリ1730、読出し専用メモリ(ROM)1740、記憶装置1750、入力装置1760、出力装置1770および通信インタフェース1780を含んでもよい。
【0115】
バス1710は、コンピュータ1700の構成要素の間の通信を可能にする1つ以上の相互接続を含んでもよい。プロセッサ1720は、命令を翻訳し、実行できる任意の型のプロセッサ、マイクロプロセッサまたは処理論理(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))を含んでもよい。プロセッサ1720は、単一の装置(たとえば、シングルコア)および/または装置のグループ(たとえば、マルチコア)を含んでもよい。メモリ1730は、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはプロセッサ1720による実行のための情報および命令を記憶できる別の型の動的記憶装置を含んでもよい。また、プロセッサ1720による命令を実行中の一時変数または他の中間情報を記憶するためにメモリ1730を使用してもよい。
【0116】
ROM1740は、ROM装置ならびに/またはプロセッサ1720のための静的情報および命令を記憶することができる別の型の静的記憶装置を含んでもよい。記憶装置1750は、情報および/または命令を記憶するための磁気ディスクおよび/または光学ディスクならびに対応する駆動装置を含んでもよい。記憶装置1750は、単一の記憶装置または複数の記憶装置を含んでもよく、たとえば複数の記憶装置は並列で動作する。さらに、記憶装置1750は、コンピュータ1700上に局所的に存在してもよく、ならびに/またはサーバから離れており、ネットワークおよび/もしくは別の型の接続、たとえば専用のリンクもしくはチャネルを介してそれと接続されていてもよい。
【0117】
入力装置1760は、操作者がコンピュータ1700に情報を入力することができる任意の機構または機構の組合せ、たとえばキーボード、マウス、タッチセンシティブディスプレイ装置、マイクロホン、ペン型ポインティングデバイスならびに/または生物測定入力装置、たとえば音声認識装置および/もしくは指紋スキャニング装置を含んでもよい。出力装置1770は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカーなどを含めた、操作者に情報を出力する任意の機構または機構の組合せを含んでもよい。
【0118】
通信インタフェース1780は、コンピュータ1700が他の装置および/またはシステム、たとえばクライアント、サーバ、ライセンスマネージャ、ベンダーなどと通信可能にする任意の送受信装置−様の機構を含んでもよい。たとえば、通信インタフェース1780は、1つ以上のインタフェース、たとえばネットワークに接続している第1のインタフェースおよび/またはライセンスマネージャに接続している第2のインタフェースを含んでもよい。別法として、通信インタフェース1780は、ネットワークを経由して通信するための他の機構(たとえば、無線インターフェース)、たとえば無線ネットワークを含んでもよい。一実装において、通信インタフェース1780は、送信先装置、たとえば汎用ハードウェア(たとえば、パーソナルコンピュータフォームファクター)、専用のハードウェア(たとえば、モデルまたはモデルの一部のコンパイルされたバージョンを実行するように適合されているデジタル信号処理(DSP)装置)などを含むことができる標的装置、にコードを送信するための論理を含んでもよい。
【0119】
コンピュータ1700は、コンピュータ読み込み可能な媒体、たとえばメモリ1730に含有されるソフトウェア命令を実行しているプロセッサ1720に応答する一定の機能を実行してもよい。別の態様において、物理的に組み込まれた回路をソフトウェア命令の代わりにまたは組み合わせて使用して、本開示の原理と一致する特徴を実行してもよい。したがって、本開示の原理と一致する実装は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の特定の組合せに限定されない。
【0120】
典型的な態様は、ソフトウェア構成要素として多くの異なる方法に包含されてもよい。たとえば、それは独立型ソフトウェアパッケージ、ソフトウェアパッケージの組合せでもよく、またはより大きなソフトウェア製品の中の「ツール」として組み込まれているソフトウェアパッケージでもよい。それは、独立型製品としてまたは既存のソフトウェアアプリケーションに組み込むためのアドインパッケージとして、ネットワーク、たとえばウェブサイトからダウンロード可能であってもよい。また、それはクライアントサーバソフトウェアアプリケーションとして、またはウェブ対応ソフトウェアアプリケーションとして利用可能であってもよい。またそれは、ハードウェア装置にインストールされているソフトウェアパッケージとして包含されてもよい。
【0121】
態様の完全な理解を提供するために、数多くの特定の詳細を説明した。しかし、本態様がこれら特定の詳細なしに実行されてもよいことは理解されよう。他の実例において、周知の動作、構成要素および回線は、態様をあいまいにしないために詳細に記載しなかった。特定の構造的および機能的詳細は代表例であり、本態様の範囲を制限するとは限らないと認識できる。
【0122】
いくつかの態様は、様々な動作を実行する典型的で機能的な構成要素またはモジュールを含むように例示され、記載されてもよいが、そのような構成要素またはモジュールが、1つ以上のハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素および/もしくはその組合せによって実行されてもよいことを認識できる。機能的構成要素および/またはモジュールは、たとえば論理装置(たとえば、プロセッサ)によって実行されるべき論理(たとえば、命令、データおよび/またはコード)によって実行されてもよい。そのような論理は、1種類以上のコンピュータ読み込み可能な記憶媒体の論理装置に内部的にまたは外部的に記憶されてもよい。
【0123】
いくつかの態様は、製品を含んでもよい。製品は、論理を記憶するための記憶媒体を含んでもよい。記憶媒体の例としては、揮発性メモリまたは不揮発性メモリ、取り外し式のまたは固定式のメモリ、消去可能なまたは消去不能なメモリ、書き込み可能なまたは再書き込み可能なメモリ等を含めた、電子データを記憶することができる1種類以上のコンピュータ読み込み可能な記憶媒体を含んでもよい。記憶媒体の例としては、ハードディスク、ディスク駆動装置、ソリッドステートドライブおよび他の任意の有形の記憶媒体がある。
【0124】
記載された態様は、典型的な実装を例示しており、機能的構成要素および/またはモジュールが、記載された態様と一致する様々な他の方法で実行されてもよいことも認識されるべきである。さらに、そのような構成要素もしくはモジュールによって実行される動作は、所与の実装と組み合わされてもおよび/または分離されてもよく、より多数のまたはより少数の構成要素またはモジュールによって実行されてもよい。
【0125】
図のいくつかは、フロー図を含んでもよい。そのような図は特定の論理フローを含んでもよいが、論理フローは、一般的な機能性の典型的な実装を単に提供するだけであることを認識できる。さらに、特に明記しない限り、論理フローは提示された順で実行されなければならないとは限らない。加えて、論理フローは、ハードウェアエレメント、プロセッサによって実行されるソフトウェアエレメントまたはその任意の組合せによって実行されてもよい。
【0126】
[実施例]
以下の実験は、ヒストンリーダー、ヒストンライターのヌクレオソーム性構成における好ましいPTMパターン、ならびにヒト293T細胞から得られる有核細胞溶解物の一体化したヒストンリーディング、ライティングおよびイレーシング活性を識別するMNバリアントの組成をコードするためのバーコード化戦略の実現可能性について実証しており、それは、利用可能な組換えおよび/または合成ヒストンから開始して、1週間以内に達成することができる(11aおよびb)。
【0127】
wtヒストンならびに/または修飾ヒストンH2A、H2B、H3およびH4(図12a)の組合せを含有する別々にバーコード化したMNバリアントの39種類のメンバーのライブラリーを生成した。
【0128】
wtヒトヒストンを大腸菌で発現させ、記載されている方法論を使用して精製した(Dyer et al.2004;Luger et al.1999)。修飾されているヒトH2A、H2B、H3およびH4ヒストンを、固相ペプチド合成によって作製したN末端ペプチドと、以下のPTMを有するN末端システインを含む組換えN末端短縮ヒストンとのNCLを使用して調製した(図9a)(Dawson & Kent、2000;Fierz et al.2011;Fierz、Kilic、Hieb、Luger & Muir、2012):H2AおよびH2Bについては、それぞれK119およびK120におけるリシンユビキチン化(ub)、H3については、K4、K9、K27におけるリシントリメチル化(me3)ならびにリシンペンタアセチル化(acPoly、K9/14/18/23/27ac)、H4については、K5、K8、K12、K16、K20におけるリシンモノアセチル化(ac)ならびにリシンペンタアセチル化(H4Kac5、K5/8/12/16/20ac)。C18逆相HPLCによって、ESI−MSによって判断して純度95%超にまでタンンパク質を精製した。ヒストンを組み合わせて、異なるPTMの組合せを有する39種類のヌクレオソームを形成した(完全な一覧については、図12bを参照のこと)。
【0129】
T4 DNAライゲーションを使用して、ヌクレオソーム性601 DNA配列の5’末端にionTorrent(登録商標)配列決定装置(Rothberg et al.2011)に適合するFWプライミング部位のヌクレオチド10〜30と一緒にMNバーコードを付着させ、それによって各固有のMNバリアントをコードさせ、その結果20bp FWプライミング部位(下側のDNA鎖の3’末端に一本鎖(ss)5’−AA−3’突出を有する)、6bpバーコード(それぞれのMNバリアントのいずれかをコードしている)、4bpリンカー(非パリンドローム性のBsaI DNAライゲーション部位に由来する)、147bp 601ヌクレオソーム性DNA配列、および上側のDNA鎖の3’末端に601ヌクレオソーム性DNAのDraIII制限消化の結果得られる3ntの5’−CAC−3’付加物を含有しているDNA分子が得られる(図10b)。特には、5’−BsaIおよび3’−DraIII突出を含有する147bp 601構成単位を、(a)601 DNA鋳型を使用するPhusion PCRによって作製されるDNA断片(Lowary & Widom、1998)(HPLC精製プライマー;FWプライマー:5’−ACCCTAGGTCTCTGATGCTGGAGAATCCCGGTGCCGAGG−3’(配列番号2)、RVプライマー:5’−CTACCACATCGTGGGATGTATATATCTGACACGTGCCTGG−3’)(配列番号3)、または(b)12コピーの望ましい配列を含有するプラスミド(いずれかの部位にEcoRV部位が隣接する;1つの反復単位の完全な配列:5’−GATATCACCCTAGGTCTCTGATGCTGGAGAATCCCGGTGCCGAGGCCGCTCAATTGGTCGTAGACAGCTCTAGCACCGCTTAAACGCACGTACGCGCTGTCCCCCGCGTTTTAACCGCCAAGGGGATTACTCCCTAGTCTCCAGGCACGTGTCAGATATATACATCCTGTCACGCGGTGAACAGCGATATC−3’)(配列番号4)の消化によって調製した。PCR産物を500mg規模で作製し、Qiagen PCR精製キットを使用して精製した。PCR産物を、BsaIおよびDraIIIを用いて20℃で20時間消化して(各制限酵素100U/mLを含有する合計体積0.5mL中にDNA0.5mg)147bp 601配列を遊離させ、Qiagen PCR精製キットを使用して精製し、エタノール(70体積%)沈殿し、溶離緩衝液(10mM トリス−HCl、pH8.5、EB)に再溶解し、340nmでのバックグラウンド除去を伴う260nmでの紫外線分光法によって定量化し(ε=2407002L*mol-1*cm-1)、−80℃で、アリコートで貯蔵した。プラスミドをDH5αコンピテント細胞において1L規模で作製し、Qiagen Qiafilter Plasmid Gigaキットを使用して精製した。プラスミドを、BsaIおよびDraIIIを用いて20℃で20時間消化して(各制限酵素100U/mLを含有する合計体積5mL中にDNA5mg)147bp 601配列を遊離させた。消化反応物をアクリルアミド電気泳動によって精製し、70体積%のエタノールを使用して精製した産物を沈殿させた。ペレットをEBに再溶解し、340nmでのバックグラウンド除去を伴う260nmでの紫外線分光学によって定量化し(ε=2407002L*mol-1*cm-1)、−80℃で、アリコートで貯蔵した。等量の5’−CCTGCGTGTCTCCGACTCAGHXXXXH−3’(配列番号5)(上側の鎖)と5’−CATCDXXXXDCTGAGTCGGAGACACGCAGGAA−3’(配列番号6)(下側の鎖)とを95℃で5分間インキュベーションし、RTで1時間ゆっくりと冷却することによってハイブリダイズさせて、ds FW−iT10〜30−BC−MN DNAを作製した(図10b)。典型的なライゲーション反応において、1.25μM 601構成単位を1.1eq ds FW−iT10〜30と組み合わせ、T4リガーゼ緩衝液800μLの体積中で、0.1U/μLポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)と37℃で1時間インキュベートした。続いて、10U/μL T4 DNAリガーゼを添加し、RTで1時間インキュベートした(図10b)。ライゲーション反応を、無変性ゲル電気泳動、それに続く臭化エチジウムDNA染色によって観察した(5%アクリルアミドゲル、200V、40分間;図12c)。終末産物をQiagen PCR精製キットを使用して精製し、EB 50μLで溶出し、340nmでのバックグラウンド除去を伴う260nmでの紫外線分光学によって定量化した(ε=2886629L*mol-1*cm-1)。BIO−MMTV DNAを、以下のプライマーと共にMMTV DNA鋳型を使用するPhusion PCR(Flaus & Richmond、1998)によって調製した:5’−ビオチン−TATCACTTGCAACAGTCCTAACATTCACCTC−3’(配列番号7)(FWプライマー)および5’−ATCCAAAAAACTGTGCCGCAGTCGG−3’(配列番号8)(RVプライマー)。PCR産物を、QIAGEN PCR精製キットを使用して精製し、続いて70体積%のエタノールを使用して沈殿させ、EBにペレットを再溶解し、340nmでのバックグラウンド除去を伴う260nmでの紫外線分光学によって定量化し(ε=2414925L*mol-1*cm-1)、−80℃で、アリコートで貯蔵した。
【0130】
それ以上精製することなく、化学量論量の、GdmHCl由来の個々のヒストンを1nmol規模で再折りたたみすることによって、それぞれのヒストンバリアントを含む八量体を会合させた(ヒストンバリアントに応じて、各ヒストンバリアントに対して、合計ヒストンおよそ50μg)(図9b)。280nmでの紫外線分光測定および300nmでのバックグラウンド除去によって濃度を測定した(消衰係数:εH2A=4470L*mol-1*cm-1;εH2B=7450L*mol-1*cm-1;εH3=4470L*mol-1*cm-1;εH4=5960L*mol-1*cm-1)。ヒストンを、氷上で、展開緩衝液(6M塩化グアニジウム、20mM トリス−HCl、4℃でpH7.5、1mM Na−EDTA、1mM DTT)およそ55μL中に等モル比で混合して、約1mg/mLの合計タンパク質濃度を得た。混合物を小型透析ボタン(カットオフ3,500Da)の中に置き、再折りたたみ緩衝液(2M NaCl、10mMトリス−HCl、4℃でpH7.5、1mM Na−EDTA、1mM DTT)3x600mLに対して、各4℃で少なくとも4時間、1回の透析工程は終夜で透析した。翌日、混合物をエッペンドルフチューブへ移し、17,000gで、4℃で少なくとも5分間遠沈して、沈殿物を除去した。上清を、新たなチューブに移した。50%(v/v)グリセリンを添加し、紫外線吸収を使用して八量体濃度を測定し(εoctamer=35760L*mol-1*cm-1)、通常は2〜5μMの範囲であった。八量体の画分を、MN会合に直接処理し、残りを−20℃で貯蔵した。典型的な収率は60〜80%であり、約300〜400pmolのヒストン八量体が得られた。
【0131】
この特定の場合において、利用可能なヒストン八量体の画分だけを、さらなるヌクレオソーム会合に使用した。再構成緩衝液70μL中に約1.0μMの濃度の適切なヒストン八量体を、0.6μMバーコード化「BC−601」DNA(図9b)および0.4μM BIO−MMTV緩衝DNAと4℃で混合した。混合物をSlide−A−Lyzer MINI透析ユニットに移し、1.4M KCl 200mLを含有する再構成緩衝液に対して4℃で1時間透析した。その後、10mM KClを含有する緩衝液330mLを1mL/分の速度で添加し、続いて10mM KClを含有する再構成緩衝液に対して最終の透析工程を2回した(1時間および終夜)。非生産的に会合したヒストン複合体および潜在的に含まないBIO−MMTVの精製を、MyOne Dynabeads(Invitrogen)50uLをRTで1時間使用するストレプトアビジン親和性精製によって達成し、続いて20体積%グリセリンおよび0.5mM PMSFを添加した。0.5xトリス/ボレート/EDTA(TBE)緩衝液中で流す5%アクリルアミドゲルでの分離(200V、40分間)、それに続く臭化エチジウムを用いるDNA染色により、ヌクレオソームの品質を評価した(図13、左)。MNを、340nmでのバックグラウンド除去を伴う260nmでの紫外線分光学によって定量化した(ε=2886629L*mol-1*cm-1)。バーコード化したヌクレオソームを、等モル比で組み合わせてライブラリーを形成し、Vivaspin500遠心フィルタユニット(カットオフ分子量10,000Da)を使用して濃縮した。ヌクレオソームライブラリーを、およそ1μMの濃度で、アリコートでショックフリーズし、−80℃で貯蔵した。典型的な収率は60%近くであり、個々のヒストンから開始して約40%の全収率を得られた。たとえば、1nmolの各ヒストンは、最終的なヌクレオソームを約200pmol産生することになり、これは、およそ1000回のヒストンリーダー結合実験(例1Aおよび1Bを参照のこと)、または10,000回超の酵素的ヒストンライター実験(例2および3を参照のこと)に十分な量である。
【0132】
4℃で1カ月間以上に貯蔵を延長した後に、プールしたMNライブラリーの完全性を無変性PAGE、それに続く臭化エチジウムDNA染色によって評価した(図13、右)。加えて、個々のヌクレオソームを、溶液中でのその安定性、特にはDNAスクランブリングについて調べた。したがって、予め組み込まれているマークに対する特異的抗体α−H3K4me3(abcam、ab8580)を用いてライブラリーを免疫沈降した。緩衝液(50mM トリス、pH8.0、0.1mM EDTA、1mM PMSF、100mM Na−酪酸、10%グリセリン、1mM DTT)中の30nM(合計)ライブラリーヌクレオソーム混合物(すなわち、抗体プルダウン当たり各MNバリアント12fmol)15μLを、抗体(AB)緩衝液(20mM トリス−HCl、pH7.5、50mM NaCl、5mM EDTA)合計体積100μL中のα−H3K4me3抗体で補充して、最終抗体濃度15μg/mLを得て、エンドツーエンド回転装置上で、RTで1時間インキュベートした。その後、AB緩衝液100μLおよびタンパク質Gビーズスラリー(Invitrogen)10μLを添加し、混合物をエンドツーエンド回転装置上で、RTで1時間インキュベートした。ビーズをAB緩衝液200μLで4回洗浄し、DNAを、DNA溶離緩衝液(100mM トリス、pH7.8、10mM EDTA、1% SDS、10mM β−メルカプトエタノール(βME)、200μg/mLプロテイナーゼK、NEB)100μLを使用して50℃で1.5時間溶出し、Qiagen PCR精製キットを使用して精製した。得られたプルダウンDNAを、EB緩衝液50μLで溶出し、Qubit高感度DNA定量化キット(Invitrogen)によって定量化した。DNAを、H2Oで2pg/μLの最終濃度に希釈した(それぞれの実験の希釈係数は、配列決定データ分析の間に後から考慮した、以下を参照のこと)。入力サンプル(実験に応じて初期ライブラリー入力の10〜50%)を同じく処理した。多重化PCR工程の内部標準混合物を、601鋳型および以下のプライマーを使用してPhusion PCRによって作製した:FW:5’−PCR工程を、601鋳型および以下のプライマーを使用するPhusion PCRによって作製した:FW:5’−CCTGCGTGTCTCCGACTCAGXXXXXXGATGCTGGAGAATCCCGGTGCCGAGG−3’(配列番号9)(標準A:CTCAGT、標準B:CATGCT、標準C:TGAGTC、標準D:ACTGCA);RV:5’−GTGACAGGATGTATATATCTGACACGTGCCTGG−3’(配列番号10)。PCR産物を、Qiagen精製キットを使用して精製し、DNA EB緩衝液で溶出し、Qubit高感度DNA定量化キット(Invitrogen)を使用して定量化し、EB中で合計DNA濃度2pg/μLになるように以下の配分で混合した:1,000eq標準A、100eq標準B、10eq標準Cおよび1eq標準D。
【0133】
典型的な多重化PCR反応において、0.01U/μL Phusion、0.2mM dNTP、各々0.5μMのFWプライマー(FW−iT:5’−CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAG−3’)(配列番号11)およびそれぞれのバーコード化したRVプライマー(RV−601ーBC−EXP−RV−iT:5’−CCTCTCTATGGGCAGTCGGTGATBXXXXDGGTGCTAGAGCTGTCTACGACCAATTGAGC−3’(配列番号12);PCRサイクルプログラム:最初の変性、30秒/98℃;変性、10秒/98℃;アニーリング、15秒/62℃;伸長、5秒/72℃;合計15サイクル;最終の伸長、7分間/72℃;図10c)の存在下で、各プルダウンDNA 9pgを1pgの内部標準混合物と組み合わせた。PCR産物をQiagen PCR精製キットを使用して精製し、EB 50μLで溶出した。多重化DNA配列を等体積でプールし、製造業者の指示に従ってIon Torrent Personal Genome Machineを使用して配列決定した(Merriman、R D Team & Rothberg、2012;Rothberg et al.2011)。データ分析については、生配列決定リードを、3’実験的バーコードに従って最初に仕分けした。その後、リードを5’MNバーコードに従って仕分けした(図10d)。各MNバリアントの個々のリードに、それぞれのプルダウン実験のDNAサンプルのDNA希釈係数を乗算した。最後に、これらの修正されたリードを、ライブラリー入力の個々のMNのリードに対して標準化した(少なくとも2つの入力サンプルから平均された)。得られた値は、それぞれの実験における%入力として表示される個々のMNのプルダウン効率を表した。ある場合には、プルダウン効率を、1つのバリアントのプルダウン効率に対してさらに標準化した。
【0134】
α−H3K4me3抗体をプルダウンに使用した場合、H3K4me3バーコードを保有するヌクレオソームだけが単離され(入力と比較して50〜60%のプルダウン効率);異なるPTMを備えているヌクレオソームは、バックグラウンドレベル(入力と比較して0.5%未満のプルダウン効率)でしか結合しないということは、ライブラリーを凍結融解サイクルに暴露したまたは4℃で数か月間に貯蔵を延長した場合でさえ、ライブラリーメンバーの間でDNA交換が観察されなかったことを示唆している(図14a)。
【0135】
例1A: 組換え的に発現させたブロモドメイン植物ホメオドメイン(PHD)フィンガー転写因子BPTFの隣接する2つのヒストンリーダーモジュールのプロファイリング:
所有している、多様に修飾され安定なヌクレオソームライブラリーについて、BPTFの結合特性をプロファイリングしようと試みた。MNの集合は、BPTFの構成(Ruthenburg et al.2011)において以前に調査されていなかったバリアント、たとえばH3もしくはH4上のKac5、H3の9位および27位のKme3またはH2AおよびH2B上のKubを保有するバリアント、を包含する(図12aおよびb)(Ruthenburg et al.2011)ので、ライブラリーにより、より大きな基質サンプリングサイズで組織的にBPTFの多価ヌクレオソーム性結合挙動を調べることが可能になった。加えて、全てのヌクレオソームを、1回の単一実験でBPTF結合に対して同時にプローブした場合、実験変動を最小限に抑えられたことは、バーコード化したヌクレオソームの固有の重要な利点である。
【0136】
PHD−BD結合モジュールまたはそれぞれの単一ドメイン(およそ200pmol、図13b)のいずれかを含有する、N末端で融合されたグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)BPTF構築物の過剰量を、グルタチオン樹脂スラリー3μLに固定し(1時間、RT)、GDP300緩衝液(20mM HEPES、pH7.9、30mM KCl、20%w/vグリセリン、0.2mM EDTA、1mM DTT、0.01% NP−40;最終ヌクレオソーム濃度:24nM)の体積200μL中でコードされたヌクレオソームライブラリー(各MNバリアント0.125pmol)とエンドツーエンド撹拌装置上で、4℃で4時間インキュベートした。ビーズを、GDP300緩衝液200μLで4回洗浄した。DNA単離、精製、多重化、解読および標準化を、上記の通り実行した。試験した条件下でGSTタグ付けしたBPTF−BDが、アセチル化ヌクレオソームと相互作用しなかったことは、過去の研究結果と一致する(図14c)。対照的に、同じヌクレオソーム中に他のマークが存在するかどうかとは無関係に、GSTタグ付けしたBPTF−PHDは、H3K4上でトリメチル化されているヌクレオソームを認識した。Kme3がH3テール内の他の位置に組み込まれたか、または嵩高いKubマークがH2AもしくはH2Bに付着したかいずれかの場合には、結合は観察されなかった(図13d、赤、右)。PHD−BDダブルドメインをベイトとして使用した場合、H3K4me3マークを有する全てのヌクレオソームが単離されたが、アセチル化リシンしか保有しないものは単離されなかった(図13d、赤、左)。しかし、同じヌクレオソーム内にH3K4me3とH4Kacが共存すると、H3K4me3単独(K5、K8、K12、K16またはK20での単一のマーク)と比較して、1.5〜3.5倍まで結合効率が増大した(図13d、赤)。ヌクレオソーム性結合において2〜3倍の増加が、H3K4me3−H4K16acで修飾されているヌクレオソームで以前に観察されているが、多価性に対するKacの寄与は、H4テールの隣接する部位ではあまり顕著でなかった(Ruthenburg et al.2011)。この場合に、以前に特徴づけられていないバリアント、H4Kac5含有ヌクレオソームでは約7倍の強力な増大が見られるが、この位置依存性は平坦化される(図13d、赤)。BPTFのBDのKac結合ポケットは、1つのアセチル化リシンしか収容できないので、親和性の増大は、H4テールにある複数のアセチル化リシンに起因する結合親和力の結果である可能性がある。従来の単離されたプルダウン実験を使用してこれらの発見を確認し、類似の結合挙動を見いだした。
【0137】
例1B:組換え的に発現させたヒストンアセチルトランスフェラーゼp300の隣接する2つの(潜在的)ヒストンリーダーモジュールのプロファイリング:
速やかにBPTFの多価結合挙動を精査する技術の能力が実証されたので、転写活性化補助因子p300まで調査を広げることにした。組換えGSTタグ付けしたp300−BD−PHD(図15a)を、例1Bに記載の通りヌクレオソームライブラリーとインキュベートした。ヌクレオソーム結合体単離、DNA単離、精製、多重化、解読および標準化を、上記の通り実行した。使用した条件下で、ヌクレオソーム結合は、BPTFに対してより弱かったが、GSTタグ付けしたp300 BD−PHDモジュールとH4Kac5含有ヌクレオソームとの強力な会合が検出された(図15b、赤)。追加的なKme3マークは、会合の強度を強めも弱めもしなかったので、この新たな発見は、PHDフィンガーがトリメチル化したまたは修飾されていないH3K4のいずれにも結合しないことを提唱している。アセチル化ヌクレオソームとの結合に対するBDおよびPHDフィンガーの個々の寄与を分析するために、各ドメインだけを含む実験を繰り返した。PHDフィンガーはどのヌクレオソームバリアントに対しても検出可能な相互作用を示さなかった(図15c)が、BDはBD−PHDモジュールと類似の結合挙動を表した(図14d)ことは、PHDフィンガーがこの結合に重要でないことを示唆している。より初期の報告と合わせると、ライブラリープルダウンデータから、p300がそれ自身のマークに結合することによってか、および/または潜在的にそのBDによるKac媒介アロステリック制御によってかいずれかの正のフィードバックループを介して動作してもよいという仮説が得られた。開発した技術は、同じヌクレオソームライブラリーを使用して結合と酵素アッセイとを組み合わせるそのモジュラリティーおよび能力のため、そのような原理を直接試験するのにとても適している。
【0138】
例2: 組換え的に発現させたヒストンライター、ヒストンアセチルトランスフェラーゼp300のプロファイリング:
コードされているヌクレオソーム(30nMの濃度)を、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)緩衝液(50mM トリス、pH8.0、0.1mM EDTA、1mM PMSF、10mM Na−酪酸、10%グリセリン、1mM DTT)中で、10μM AcCoAの無しまたは有りで、Sf9昆虫細胞で調製した3nM組換え全長ヒトp300と30℃で1時間インキュベートした。反応産物またはそのサブセットを、H4K5acおよびH3K18ac特異的抗体を使用して免疫沈降によって単離した(図16aおよびb)。要約すると、15μLの反応を、それぞれの抗体、この場合α−H3K18acまたはα−H4K5ac抗体で補充し(すなわち反応および抗体プルダウン当たり各MNバリアント12fmol)、AB緩衝液で合計体積100μLに調節し、最終抗体濃度15μg/mLを得て、エンドツーエンド回転装置上で、RTで1時間インキュベートした。その後、AB緩衝液100μLおよびタンパク質Gビーズスラリー10μLを添加し、エンドツーエンド回転装置上で、RTで1.5時間インキュベートした。ビーズをAB緩衝液200μLで4回洗浄した。抗体プルダウン、DNA単離、精製、多重化、解読および標準化を上記の通り実行した。ライブラリーをAcCoAで処理し、α−H3K18acで免疫沈降した場合、wtヌクレオソームで0.3%から約4%入力へのプルダウンの増加が観察され、それは、p300によって生じたその部位でのリシンアセチル化の増加を反映していた(図16a)。アセチル化の程度は、Kme3またはKubマークの存在に影響されなかった。しかし、H4テールにおいてポリアセチル化されたヌクレオソームに著しく強力なH3アセチル化(図16a、wtと比較して13倍)が見いだされ、それは、ライブラリー結合データと一致している(図15a)。興味深いことに、より低い効率であるが、H4上のわずか1個のKacマークが、このH4KacとH3Kacとのクロストークを再現する可能性がある。この効果は、テール内にあるマークの厳密な位置によって決まり、H4K12acに対して最も顕著であった(図16a)。このクロストークが逆方向に存在するかどうか試験するために、α−H4K5ac抗体を用いて反応混合物を免疫沈降させた(図16b)。AcCoA(0.5〜0.9%入力)の存在下で、wtヌクレオソームでアセチル化のわずかな増加が観察されたが、KubまたはKme3修飾に影響されなかった(図16b、右)。対照的に、H3Kac5ヌクレオソームがより容易に修飾された(図16b、wtと比較して6倍の増加)ことは、同様にH3KacからH4Kacへのテール間クロストークを示唆している。加えて、既存のK12acマークを含むヌクレオソームが、プルダウン効率の上昇をもたらした(4.4%入力、図16b、右)ことは、H4テール内における追加的なテール内クロストークを提唱している。しかし、この増加は、モノアセチル化ヌクレオソームと比較して、ポリアセチル化に対するより高い抗体親和性の結果である可能性もある。実験は、位置依存的な、Kac媒介テール間および潜在的なテール内クロストークによる正のフィードバック機構を介してp300が動作することを示している。したがって、抗体非依存的方法、たとえば放射性ゲルベースの酵素アッセイおよび質量分析法により、H3またはH4テール内に予め組み込まれたKacマークを含有する従来通りの単一の修飾されたヌクレオソームを含むこれらの新たな発見を精査し、ライブラリースクリーニングの結果を確認した。
【0139】
例3:ヒト293T細胞から得られた有核細胞抽出物のヒストンリーダー、ライターおよびイレーサーのプロファイリング:
所与の細胞系のエピジェネティックシグネチャーを調査するために、前に記載した通りに調製したヒト293T細胞から得られる核抽出物を用いて、バーコード化したヌクレオソームライブラリーをプロファイリングした(Dignam、Lebovitz & Roeder、1983)。20μM AcCoA、10μM SAMおよび10μM ATPの存在下で、コードされているヌクレオソームライブラリー(濃度30nM、すなわち反応および抗体プルダウン当たり各MNバリアント12fmol)15μLを核抽出物7.5μLとHAT緩衝液中で、30℃で1時間インキュベートした。核抽出物中にある内在性HATのアセチルトランスフェラーゼ活性によりH3K14でアセチル化されたヌクレオソームを、α−H3K14ac抗体を使用して単離した。抗体プルダウン、DNA単離、精製、多重化、解読および標準化を上記の通り実行した。未だ特徴づけされていないHAT、潜在的にp300、のH3K14アセチル化の増加をwtヌクレオソームで観察した。アセチル化の程度が、予め組み込まれているH3K4me3および/またはH4テール内にある複数のKacマークのうちの1つだけを保有するMNバリアントに対して著しく高まった(図16c)ことは、ヒストンライター、イレーサーおよび/またはリーダー間の酵素的クロストークを示唆している。これらの結果は、迅速かつ効率的な診断ツールとしてこの実験的手順を利用して、ヒト癌患者から得られるものを含む所与の細胞系のエピジェネティックシグネチャーを調査できることを実証しているので興味深い。
【0140】
前述の説明から、当業者はこの発明の重要な特徴を容易に確認することができ、その精神および範囲を逸脱しない範囲で、本発明の変更および修正を作製して、様々な使用法および条件にそれを適合させることならびに本発明をその最も完全な範囲に利用することができる。前述の好ましい特定の態様は、単なる例示であり、どんな任意の方法も本発明の範囲を制限するものではないと解釈されるべきである。2012年6月6日出願の米国特許仮出願第61/656,233号、および2012年10月10日に出願の米国特許仮出願第61/712,148号を含めた、前述した全ての出願、特許および刊行物の開示全体を、特に本出願において引用される開示に関して、参照によりその全体をここで組み込む。
以下に、本願の出願当初の請求項を実施の態様として付記する。
[1] 2種類以上のモノヌクレオソームを含む合成モノヌクレオソームのライブラリーであって、各モノヌクレオソームが、
(a)ヒストンH2A、H2B、H3およびH4、任意にリンカーヒストンH1を各々2コピー含有するタンパク質八量体であって、前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されていない、および/または前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されてヒストン修飾のパターンを形成している、タンパク質八量体と、
(b)ヌクレオソーム性DNA分子であって、
(i)強力なヌクレオソーム位置決定配列(NPS)と、
(ii)前記ヌクレオソーム性DNA中の定義された位置に位置する1つ以上のDNAバーコードと、任意に
(iii)前記NPSの5’および/もしくは3’末端でのならびに/または前記NPS内でのDNA延長部とを含み、前記DNAが修飾されていない、および/または前記DNA中の前記ヌクレオチドのうち少なくとも1つが修飾されてDNA修飾の固有のパターンを形成している、ヌクレオソーム性DNA分子と、任意に
(c)1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質との複合体を含み、
前記ライブラリー中の各モノヌクレオソームが、(i)ヒストン修飾の固有のパターンおよび/またはDNA修飾の固有のパターンを有し、それによって、ヌクレオソーム修飾の固有のパターンを形成し、(ii)前記ヌクレオソーム性DNA中の配列および位置が前記モノヌクレオソーム中のヌクレオソーム修飾の前記固有のパターンを示す1つ以上の固有のバーコードを有する、ライブラリー。
[2] 定義されたDNA分子によって互いに結合している2つ以上の合成モノヌクレオソームを含む合成ポリヌクレオソームであって、前記モノヌクレオソームが定義された接続性を有し、各モノヌクレオソームが、
(a)ヒストンH2A、H2B、H3およびH4、任意にリンカーヒストンH1を各々2コピー含有するタンパク質八量体であって、前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されていない、および/または前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されてモノヌクレオソーム性ヒストン修飾のパターンを形成している、タンパク質八量体と;
(b)ヌクレオソーム性DNA分子であって、
(i)強力なヌクレオソーム位置決定配列(NPS)と、任意に
(ii)前記NPSの5’および/もしくは3’末端でのならびに/または前記NPS内でのDNA延長部とを含み、前記DNAが修飾されていない、および/または前記DNA中の前記ヌクレオチドのうち少なくとも1つが修飾されてモノヌクレオソーム性DNA修飾の固有のパターンを形成している、モノヌクレオソーム性DNA分子と、任意に
(c)1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質との複合体を含み、
モノヌクレオソーム性ヒストン修飾の前記パターンおよび/または前記ポリヌクレオソーム中のモノヌクレオソーム性DNA修飾の前記パターンが、均一であってもよく、または異なっていて、ポリヌクレオソーム性修飾の固有のパターンを得られてもよく;
前記ポリヌクレオソームが、前記ポリヌクレオソーム性DNA中の配列および位置がポリヌクレオソーム性修飾の前記固有のパターンを示す前記ポリヌクレオソーム性DNA中の定義された位置に位置する1つ以上のバーコードを含む、合成ポリヌクレオソーム。
[3] [2]に記載の合成ポリヌクレオソームを2つ以上含む合成ポリヌクレオソームのライブラリーであって、
前記ライブラリーの各メンバーが、ポリヌクレオソーム性修飾の固有のパターンを示す1つ以上の固有のバーコードを有する、ライブラリー。
[4] 前記ヒストンの前記修飾が、ヒストンアイソフォーム、翻訳後修飾(PTM)および/もしくは非天然のアミノ酸を含む、[1]または[3]に記載のライブラリー。
[5] (a)前記ヒストンアイソフォームが、タンパク質配列内の1つ以上のアミノ酸置換もしくはアミノ酸挿入またはタンパク質配列の末端の延長部を含み;および/または
(b)前記PTMが、ヌクレオソーム当たり1つの部位の修飾または2つ以上の部位の修飾を有する、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、SUMO化、ADP−リボシル化、グリコシル化、アルキル化、アシル化、プロリルシス/トランス異性化、ニトロシル化、および酸化を含めた、任意の天然に存在するヒストン修飾から選択され、および/または
(c)前記非天然のアミノ酸が、化学的および生化学的に不活性な、光架橋剤、蛍光標識または同位体標識であり得るPTMの合成類似体から選択される、[4]に記載のライブラリー。
[6] 前記DNA分子の前記修飾が、天然に存在する修飾を有するDNA塩基もしくは人工的な修飾を有する塩基を1つ以上含む、[1]または[3]に記載のライブラリー。
[7] [1]または[3]に記載のライブラリーを含むキットであって、モノヌクレオソームまたはポリヌクレオソームが、任意に1つ以上の容器の中にある、キット。
[8] ヒストン修飾の各固有のバーコードと固有のパターンの間の相関を示す一覧をさらに含む、[7]に記載のキット。
[9] 前記容器が、試験管、マルチウエルプレートのウェルまたは微小流体装置の反応チャンバーである、[7]に記載のキット。
[10] 組換えに由来する、および/もしくは有核細胞抽出物から抽出された1つ以上のクロマチンリーダーの認識パターンならびに親和性の特異性を決定する、または組換えに由来する、および/もしくは1つ以上の細胞系の有核細胞抽出物から抽出されたクロマチン修飾物質の特異性ならびにクロマチン修飾クロストークを決定する方法であって、
(i)[1]または[3]に記載のライブラリーを前記クロマチンリーダーまたは前記クロマチン修飾物質と接触させる(たとえば、インキュベートする)ことと、
(ii)結合したおよび/または修飾されたライブラリーメンバーを単離することと、
(iii)前記結合したまたは修飾されたライブラリーメンバーおよび任意の付加されたマークまたは除去されたマークを同定および/または定量化することとを含む方法。
[11] 相互作用物質または修飾物質に関連する修飾を同定する方法であって、
[1]または[3]に記載のモノヌクレオソームまたはポリヌクレオソームのライブラリーを用いて1を超える数のクロマチン相互作用物質および/または修飾物質を多重化することと、前記修飾に従って前記ライブラリーを同数のサブライブラリーに分けることと、各相互作用物質または修飾物質に関連する前記修飾を同定することとを含む方法。
[12] エピジェネティック薬物の特異性を同定し、プロファイリングする方法であって、
候補分子を[1]または[3]に記載のライブラリーと組み合わせることと、
ヌクレオソーム修飾のモジュレーションを検出することとを含み、それによって、ヌクレオソーム修飾をモジュレートする候補エピジェネティック薬物を同定する、方法。
[13] DNAバーコードおよび関連するヌクレオソーム修飾ならびにバーコード化した各ヌクレオソームの組成の一覧と組み合わせたヌクレオソームのライブラリー。
[14] 前記DNA分子の前記5’および/もしくは3’末端にまたはその中にDNAバーコードを含む、合成モノヌクレオソームまたはポリヌクレオソーム。
[15] (a)ヒストンH2A、H2B、H3およびH4、任意にリンカーヒストンH1を各々2コピー含有するタンパク質八量体であって、前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されていない、および/または前記ヒストンのうち少なくとも1つが修飾されてヒストン修飾のパターンを形成している、タンパク質八量体と、
(b)ヌクレオソーム性DNA分子であって、
(i)強力なヌクレオソーム位置決定配列(NPS)と、
(ii)前記ヌクレオソーム性DNA中の定義された位置に位置する1つ以上のDNAバーコードと、任意に
(iii)前記NPSの前記5’および/もしくは3’末端でのならびに/または前記NPS内でのDNA延長部とを含み、前記DNAが修飾されていない、および/または前記DNA中の前記ヌクレオチドのうち少なくとも1つが修飾されてDNA修飾の固有のパターンを形成している、ヌクレオソーム性DNA分子と、任意に
(c)1つ以上の非ヒストンクロマチン関連タンパク質との複合体を含み、
前記モノヌクレオソームが、ヒストン修飾の固有のパターンおよび/またはDNA修飾の固有のパターンを有し、それによって、ヌクレオソーム修飾の固有のパターンを形成し、
前記ヌクレオソーム性DNA中の前記バーコードの前記配列および位置が、前記モノヌクレオソーム中のヌクレオソーム修飾の前記固有のパターンを示す、合成モノヌクレオソーム。
[16] ヒストンタンパク質およびバーコード化したヌクレオソーム性DNAとビオチンタグ付けしたMMTV緩衝DNAとを既定の比で組み合わせることを含む、[15]に記載のモノヌクレオソームを会合させる方法。
[17] 前記ライブラリーが安定するように前記NPSが十分に強力であり、4℃で少なくとも1カ月間貯蔵した後でも、モノヌクレオソームとポリヌクレオソームライブラリーメンバーの間で有意なDNAスクランブリングが発生しない、[1]または[3]に記載のライブラリー。
[18] 前記ヒストンおよび/またはDNA修飾が、生物学的に重要なクロマチン状態の代表的なセットを含む、[1]または[3]に記載のライブラリー。
[19] 前記モノヌクレオソームとポリヌクレオソームライブラリーメンバーの比が、等モル(各ライブラリーメンバーについて1:1)であるかまたは等モルでなく、固定された既定の比でライブラリーメンバーの1つまたはサブセットに対して1〜1000の範囲である、[1]または[3]に記載のライブラリー。
【0141】
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