(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293753
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】バイオフラボノイドを含浸させた材料
(51)【国際特許分類】
D06M 13/165 20060101AFI20180305BHJP
D21H 19/10 20060101ALI20180305BHJP
D21H 21/36 20060101ALI20180305BHJP
D06M 101/06 20060101ALN20180305BHJP
【FI】
D06M13/165
D21H19/10 A
D21H21/36
D06M101:06
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-527969(P2015-527969)
(86)(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公表番号】特表2015-532688(P2015-532688A)
(43)【公表日】2015年11月12日
(86)【国際出願番号】GB2013052218
(87)【国際公開番号】WO2014030006
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2016年8月5日
(31)【優先権主張番号】1215171.8
(32)【優先日】2012年8月24日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1218829.8
(32)【優先日】2012年10月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515045606
【氏名又は名称】サイトロックス・バイオサイエンシズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ハワード
【審査官】
斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/017186(WO,A1)
【文献】
特開2006−257612(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/099424(WO,A2)
【文献】
特開平02−193901(JP,A)
【文献】
特開2002−020524(JP,A)
【文献】
特開2009−041169(JP,A)
【文献】
特表2006−523684(JP,A)
【文献】
特開2008−156787(JP,A)
【文献】
特表2009−519055(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0017631(US,A1)
【文献】
特表2009−518559(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0207806(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/139365(WO,A1)
【文献】
特開平06−233986(JP,A)
【文献】
豪国特許出願公開第2007100851(AU,A1)
【文献】
米国特許第06488948(US,B1)
【文献】
特開平02−076809(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/085499(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0100231(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0237807(US,A1)
【文献】
特表2013−504553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00 − 15/715
D21B 1/00 − 1/38
D21C 1/00 − 11/14
D21D 1/00 − 99/00
D21F 1/00 − 13/12
D21G 1/00 − 9/00
D21H 11/00 − 27/42
D21J 1/00 − 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオフラボノイド組成物で含浸させた乾燥したセルロース系繊維材料であって、該組成物のバイオフラボノイド分は、少なくともナリンギンおよびネオヘスペリジンを含む、上記セルロース系繊維材料。
【請求項2】
前記ナリンギンおよびネオヘスペリジンが共に、バイオフラボノイド分の少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、または、75%〜80%を構成する、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記組成物のバイオフラボノイド分が、ネオエリオシトリン、イソナリンギン、ヘスペリジン、ネオジオスミン、ナリンゲニン、ポンシリン、およびロイフォリンの群より選択される1種またはそれより多くの化合物をさらに含む、請求項1または2に記載の材料。
【請求項4】
前記組成物のバイオフラボノイド分が、ネオエリオシトリン、イソナリンギン、ヘスペリジン、ネオジオスミン、ナリンゲニン、ポンシリン、およびロイフォリンを含む、請求項3に記載の材料。
【請求項5】
前記バイオフラボノイド組成物が、前記材料全体にわたり均一である、請求項1〜4のいずれかに記載の材料。
【請求項6】
前記材料が、紙である、請求項1〜5のいずれかに記載の材料。
【請求項7】
前記材料が、タケ繊維である、請求項1〜6のいずれかに記載の材料。
【請求項8】
前記紙またはタケ繊維が、タオル、クロス、食品用パッド、または、呼吸用マスクの形態である、請求項6または7に記載の材料。
【請求項9】
前記タケ繊維が、ソックスまたは病院用ガウンなどの衣類の形態である、請求項7に記載の材料。
【請求項10】
前記材料が、厚紙である、請求項1〜5のいずれかに記載の材料。
【請求項11】
バイオフラボノイド組成物でセルロース系繊維材料を含浸させる方法であって:
a)該材料もしくは該材料の繊維を、請求項1〜4のいずれかに記載のバイオフラボノイド組成物に浸漬するか、または該材料もしくは該材料の繊維に該バイオフラボノイド組成物を噴霧する工程;
b)該材料を機械的に乾燥させる工程
を含む、上記方法。
【請求項12】
表面上の細菌量を低下させる方法であって:
a)請求項6〜8のいずれかに記載の材料を水分で湿潤させる工程;および
b)表面上に該材料を置く工程、および/または該材料を表面全体に塗り付ける工程、
を含む、上記方法。
【請求項13】
前記細菌量が、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、大腸菌(E. coli)、緑膿菌(P. aeruginosa)、枯草菌(B. subtilis)、サルモネラ属、MRSA、クロストリジウム・ディフィシレ(C. diff)、およびヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の群から選択される細菌で構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれかに記載の乾燥したセルロース系繊維材料を含む、包装された製品。
【請求項15】
前記セルロース系繊維材料が、請求項6、7または10のいずれかに記載のものである、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記製品が、タオル、クロス、食品用パッド、呼吸用マスク、または、ソックスなどの衣類の形態である、請求項14または15に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオフラボノイドを含浸させたセルロース系繊維材料、該材料を含浸させる方法、およびそれらの使用に関する。特に、本発明は、バイオフラボノイドを含浸させた、紙、ペーパータオル、タケ繊維、および厚紙などのセルロース系繊維材料、ならびにこのような材料から形成された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
紙などのセルロース系繊維材料は、家庭での使用から例えば病院、学校、調理場、および実験室などの商業的な使用に至る多種多様の用途で、例えばペーパータオルまたはフェイスマスクの形態で使用され、またはタケ繊維製ソックスなどの衣類の形態にも使用される。
【0003】
いくつかの材料は、抗菌特性を有することによって利益を得ると予想される。このような材料としては、例えば、厚紙、紙、清掃用拭き取り繊維、ペーパータオルもしくはフェイスマスクが挙げられ、または衣類も挙げられる。
【0004】
GB2468836は、バイオフラボノイド化合物を含む組成物、ならびにそれらの抗菌活性、抗真菌活性および抗ウイルス活性を開示しているが、これらが繊維および材料を含浸させることに使用できるというという示唆はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】GB2468836
【発明の概要】
【0006】
本発明は、バイオフラボノイド組成物で含浸させたセルロース系材料に関する。
本発明の第一の形態によれば、バイオフラボノイド組成物で含浸させた材料が提供され、ここで該組成物のバイオフラボノイド分は、少なくともナリンギンおよびネオヘスペリジンを含む。
【0007】
特に好ましくは、本組成物のバイオフラボノイド分の主要部分が、ナリンギンおよびネオヘスペリジンを含む場合である。好ましくは、ナリンギンおよびネオヘスペリジンが共に、本組成物のバイオフラボノイド分(他のバイオマスは除く)の少なくとも50%wt/wt、より好ましくは少なくとも70%wt/wt、例えば少なくとも75%wt/wt、例えば75%〜80%wt/wtを構成する。
【0008】
本組成物のバイオフラボノイド分は、1種またはそれより多くの式(I):
【0010】
の化合物をさらに含んでいてもよく、式中、R
1は、ヒドロキシルまたはメトキシルであり、R
2は、水素、ヒドロキシルまたはメトキシルであり、Xは、水素または糖である。
好ましい選択肢は、R
2が水素であり、R
1が3位または4位にある場合である。他の選択肢は、R
1が3−ヒドロキシであり、R
2が4−メトキシルである場合である。好ましくは、Xは、Hである。より好ましくは、Xは、糖である。
【0011】
好ましい実施態様において、Xは、二糖類である。好適な二糖類としては、2種の単糖類の組み合わせが挙げられ、好ましくはグリコシド結合で連結されたピラノース、例えばラムノースおよびグルコース、例えばL−ラムノースおよびD−グルコースが挙げられる。
【0014】
を有していてもよく、式中、R
3およびR
4のうち一方がHであり、他方がOHであるか、または両方がHであるか、または両方がOHである。好ましくは、二糖類がルチノースになるように、R
3がHであり、R
4がOHである。
【0015】
本発明で使用するのに好ましいバイオフラボノイドのアグリコンは、ルチノースとしも知られている二糖類6−O−(アルファ−L−ラムノピラノシル)−ベータ−D−グルコピラノース、および2−O−(アルファ−L−ラムノピラノシル)−ベータ−D−グルコピラノースである。
【0016】
好適な式(I)の化合物としては、ナリンギンおよびネオヘスペリジンに加えて、ネオエリオシトリン(neoeriocitrin)、イソナリンギン(isonaringin)、ヘスペリジン、ネオジオスミン(neodiosmin)、ナリンゲニン、ポンシリン、およびロイフォリン(rhiofolin)が挙げられる。ナリンギンおよびネオヘスペリジンに加えて、これらの化合物のうち1種が存在していてもよいが、これらの化合物のうち2種またはそれより多くの混合物が特に好ましい。
【0017】
このような混合物は、ダイダイ(bitter orange)を抽出することにより得ることができ、その最終産物は、キトルス・アウランティウム・アマラ(citrus aurantium amara)抽出物と呼ばれる。特に好ましくは、粉砕した未熟なダイダイ全体の抽出物から得られたバイオフラボノイドの混合物である。この混合物は、種子、果肉、および油性の果皮が実質的に除去されているかまたはまだ発達していない、「食用に適さない」と分類される未熟な苦い(ブラッド/レッド)オレンジ、例えばサワーオレンジ(Seville orange)の中果皮で構成される出発原料からも得ることができる。
【0018】
好適な混合物は、2、3、4、5、6、7、8、9種またはそれより多くの式(I)の化合物を包含していてもよい。上記で特定されたバイオフラボノイドのうち2、3、4、5、6、7、8、または9種を含む混合物が好ましく、例えば、前記バイオフラボノイドのうち3種を含有する、または4種を含有する、または5種を含有する、または6種を含有する、または7種を含有する、または8種を含有する、または9種を含有する混合物が挙げられる。
【0019】
現在のところ、このようなバイオフラボノイドの混合物は、単一種のバイオフラボノイドの使用よりも利点があると考えられている。個々のバイオフラボノイドを単離する必要なく、ダイダイの抽出物を採用することが特に有利である。ダイダイ由来抽出物中、本組成物のバイオフラボノイド分の重量に基づき最大40〜60%wt/wt、好ましくは約55%wt/wtのバイオマスが共に存在する可能性がある。バイオマスは、ペクチンおよび他の糖由来の材料を含む。バイオマスを回避することが望ましい場合、デキストリン、例えばシクロデキストリンなどの他の可溶化剤を必要に応じて採用してもよい。
【0020】
本明細書で説明される多くの組成物の特定の利点は、これらの組成物は、天然由来化合物を採用できる点である。したがって、例えば、ダイダイ由来の式(I)の化合物を採用することが好ましい。しかしながら、自然源から直接抽出した化合物の代わりに必要に応じて合成的または半合成的に得られた化合物を採用してもよいが、その場合、コスト面であまり有利ではない傾向がある。
【0021】
本組成物は、オレウロペインをさらに含んでいてもよい。好ましくは、オレウロペインは、オリーブ、例えばオリーブ(Olea europaea)の葉から抽出することによって得られる。このような抽出物は、典型的には5%〜80%wt/wt、より適切には10〜70%、例えば20%wt/wtのオレウロペインを含有する。
【0022】
バイオフラボノイドとオレウロペインとのwt/wt比は、5:1〜1:4、好ましくは2:1〜1:2、より好ましくは1:2〜1:1、さらにより好ましくは3:2であってもよい。本組成物のバイオフラボノイド分に加えて、本組成物は、1種またはそれより多くのフルーツ酸、例えばクエン酸、リンゴ酸、およびアスコルビン酸をさらに含んでいてもよい。1種またはそれより多くの酸は、好ましくは好適な塩基で中和され、ここで好適な塩基としては、第四アンモニウム塩基、例えば炭酸コリン、炭酸水素コリンまたは好ましくは水酸化コリンなどのコリン塩基などが挙げられる。クエン酸、リンゴ酸、およびアスコルビン酸のいずれかが組成物の調製に使用されることがより好ましく、これらが完全に中和されて、クエン酸塩、リンゴ酸塩、および/またはアスコルビン酸塩が生成することが特に好ましい。特に好ましくは、アスコルビン酸コリンである。
【0023】
本明細書で説明される組成物は、1種またはそれより多くの有機酸の存在下で特に有効であることが発見された。一実施態様において、本組成物は、1種またはそれより多くの有機酸をさらに含む。
【0024】
驚くほど有効な有機酸は、サリチル酸またはその医薬的に許容される塩であり、これは、場合により追加の有機酸または医薬的に許容される塩と共に用いてもよい。
サリチル酸は、ヤナギ樹皮抽出物から得ることができる。あるいは、サリチル酸の合成方法が当業者公知である。
【0025】
サリチル酸は、その塩よりも酸の形態が好ましいこともある。
同様に、追加の有機酸が存在する場合、その有機酸も同様に、その塩ではなく酸の形態である。好適な追加の有機酸としては、一塩基性(すなわち1つのCO
2H基)、二塩基性または三塩基性酸であり、場合により1、2または3個のヒドロキシル基を含有する最大8個の炭素原子の酸が挙げられる。このような追加の有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸(latic acid)、酒石酸、フマル酸などのうち1種またはそれより多くであってもよい。
【0026】
このような組成物は、およそ中性または酸性のpHをもたらすことができ、使用時には例えば3〜8、より適切には3.5〜7、例えば4〜5のpHをもたらすことができる。
現時点では、本組成物においてサリチル酸およびクエン酸を採用することが好ましい。
【0027】
このような組成物は、可溶化剤、例えばサリチル酸、シクロデキストリンなどのデキストリンを包含していてもよい。
本明細書で説明される組成物は、極めて有利な安全性および環境プロファイルを有する。極めて有効な抗菌活性を示すのと同様に、本組成物または、非毒性、非腐食性、再生可能、および完全に生分解性でもある。WO2012/017186(参照により本明細書に組み入れられる)で開示された組成物は、本発明の好ましい組成物である。
【0028】
本発明のセルロース系繊維材料は、紙もしくは厚紙またはタケ繊維で構成されていてもよい。紙は、木材、布くずまたは草類から誘導され得るセルロースパルプから生産された材料と定義される。紙は、ペーパータオル、ぬれナプキン、クロス、拭き取り繊維またはパッドの形態であってもよい。ペーパータオルは様々な用途があり、例えば、ペーパータオルは、人の手を洗浄後に乾かすのに使用され、これはハンドタオルとしも知られている。ペーパータオルまたは拭き取り繊維はまた、例えば病院、実験室または調理場で表面を拭き取るための清掃目的でも使用され、これらはキッチンロール、キッチンペーパーまたはキッチンワイプとしても知られている。パッドは、セルロース系繊維のスポンジであり、個人衛生や医療キットにおいて用途がある。拭き取り繊維は、空気によって繊維を流して紙の構造を形成するエアレイド紙として生産される。
【0029】
紙を柔軟剤、ローションで処理したり、または紙に香料を添加したりして、望ましい「感触」またはテクスチャーにしてもよい。
タケ材料は、天然のタケから抽出または加工されたセルロース繊維であるタケ繊維で形成されていてもよい。タケは、環境を破壊せずに利用できる農産物であり、完全に植物性セルロースから誘導される天然産物であるため、タケ繊維は土壌中の微生物によって生分解可能であり、さらには日光によっても生分解可能である。本発明のタケ材料は100%タケ繊維で形成されることが好ましいが、他のセルロース繊維との混合物も考慮される。
【0030】
タケは、ペーパータオル、ペーパータオルと同じ用途で用いることができるぬれナプキン、拭き取り繊維またはパッドの形態であってもよい。タケ繊維はまた、場合によりソックスおよび病院用ガウンなどの衣類を製造するための他の公知の繊維と組み合わせて、衣類用のファブリックとしても使用できる。例えば、本明細書で説明されるバイオフラボノイド組成物で含浸させたタケ繊維で作製されたソックスは、足の臭いを低下するのに役立つ可能性がある。バイオフラボノイドを含浸させたタケ繊維は、足からの水分と接触すると活性化される。病院用ガウンの場合、バイオフラボノイド組成物は、ガウンが例えば血液または尿と接触すると活性化される。
【0031】
本明細書で説明されるバイオフラボノイド組成物で含浸させたタケ繊維から作製されたファブリックは、病院または介護ホームの環境において極めて有用である。例えば、タケ製ファブリックは、抗菌特性を有する材料を使用することが望ましい寝具用のシート、外科的ドレープ、カーテンなどに使用できる。
【0032】
本明細書で説明されるタケ繊維製のファブリックの代わりに、紙繊維製のファブリックを使用してもよい。しかしながら、タケ繊維製のファブリックは紙繊維製のファブリックよりも長持ちすることから、タケ繊維製のファブリックが好ましい。
【0033】
ペーパータオル、タケタオルなどは、熱いタオルを提供するために例えばマイクロ波を使用して加熱してもよい。これらの熱いタオルは、使い捨てであってもよいし、および/または再加熱可能であってもよく、レストラン、ホテル、および飛行機で使用できる。
【0034】
本発明のバイオフラボノイドを含浸させた紙および/またはタケ繊維は、呼吸用マスクまたは外科的マスクなどのフェイスマスクの形態で提供してもよく、それにより、使用者が細菌やウイルスを吸い込まないように保護を強化したり、または細菌やウイルスの蔓延を予防もしくは低減したりすることができる。フェイスマスクは、再使用可能であってもよいし、または使い捨てであってもよい。フェイスマスクの製造方法は当業界周知である。
【0035】
バイオフラボノイドを含浸させたタケおよび/または紙繊維は、単層または多層の食品用パッドの形態で使用してもよい。このような食品用パッドは、食品用包装材の底部でみられることが多く、ナプキンまたはブランケットとも称される場合がある。これらの食品用パッドの使用は、例えば肉または果実などの貯蔵寿命が短い食物を含有する食品用包装材において特に望ましい。例えば肉または果実などの食品は、一般的に、包装材内の食品用パッドの上に載せられる。バイオフラボノイドを含浸させた食品用パッドは、肉や新鮮な果実などの食物の腐敗、貯蔵寿命の短縮を引き起こすサルモネラ属、大腸菌、およびカンピロバクター属などの細菌数を劇的に低減させる。バイオフラボノイドを含浸させた食品用パッドは、鳥肉(例えばニワトリまたはシチメンチョウ)、子羊の肉、牛肉、および豚肉などの肉類;サケおよびエビなどの魚類;ならびに柔らかい果物などの果物、例えばクロイチゴ、ラズベリー、ローガンベリー、イチゴなどの包装材において特に好適である。
【0036】
厚紙は、頑丈な紙であり、一枚の紙の厚いシートのものもあるし、または普通の紙よりも長持ちする傾向がある、複数の波形の層と波型ではない層とを含む構造などのより複雑な構造のものもある。本発明の厚紙は、一般的に、約1cm未満の深さを有すると予想される。含浸させた厚紙は、包装材、例えば食品用包装材に使用できる。
【0037】
本発明のセルロース系繊維材料は、乾燥した形態で提供され、本材料が湿潤したときに、すなわち本材料が液体などの水分と接触した状態になったときに活性化される。液体は、例えば、水、体液、例えば汗、血液または尿、果汁、調理中の液体などであり得る。本材料は、清浄化しようとする表面に適用される前に湿潤させてもよく、例えば、表面上で使用する前に本材料に水を適用することによって湿潤させてもよい。あるいは、本材料は、使用中に活性化され、例えば、手を乾かす際に水分が本材料に移るとき、または本材料を使用して湿潤した表面を拭き取ったときに活性化される。
【0038】
本材料は、実質的に乾燥した形態で提供され、好ましくは加熱して一定の質量にすることによって乾燥させる。
好ましくは、本材料に含浸させるバイオフラボノイドコーティングの量は、本材料全体にわたり均一である。
【0039】
本明細書で説明されるバイオフラボノイド組成物は生分解性であり、生分解性の紙、タケ繊維などの生分解性材料に含浸させて環境に優しい製品を提供してもよい。
本明細書で説明されるバイオフラボノイド組成物は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、菌類、ウイルス、原生動物、および寄生虫などの多様な生物に対して活性を示す。本組成物は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA:methicillin resistant Staphylococcus aureus)、クロストリジウム・ディフィシレ(clostridium difficile、C. diff)、ヘリコバクター・ピロリ(helicobacter pyroli、H. pylori)、およびバンコマイシン耐性腸内細菌などの困難な細菌に対して採用される可能性がある。また本組成物は、ノロウイルスや空気との接触によって伝染する他の病原体に対しても使用できる。特に、本明細書で説明される本組成物は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属、枯草菌、および緑膿菌に対して活性を示す。
【0040】
本発明の第二の形態によれば、本明細書で説明される材料に、本明細書で説明されるバイオフラボノイド組成物を含浸させる方法が提供される。含浸とは、材料の一部または全体に染み込んだ状態であるが、全体に染み込んだ状態が好ましい。特に、材料は、薄い材料である。薄い材料は、約1cm未満の深さを有することと定義される。含浸は、薄い材料の製造後になされてもよいし、または含浸は薄い材料の製造中に行われてもよく、例えば、セルロース繊維を、材料に形成される前に含浸させてもよい。
【0041】
予備形成されたセルロース系繊維材料を含浸させる場合、本方法は、バイオフラボノイド組成物に材料を浸漬して、材料に本組成物を完全または部分的に染み込ませることを含む。次いでこの材料を巻き取ったり、締め付けたり、または絞ったりしてあらゆる過量の組成物を除去してもよい。次いで自然に空気乾燥すること、オーブンで乾燥させること、または機械で乾燥させることのいずれかによりこの材料を乾燥させる。機械で乾燥させた材料に使用される器具は当業者公知と予想され、同様に代替の乾燥方法も当業者公知と予想される。本方法により乾燥した材料が得られ、次いでこれを要求に応じて包装してもよいし、後で湿潤させることにより活性化してもよい。あるいは、本材料を生産するのに使用されるセルロース系繊維をまず、バイオフラボノイド組成物に浸漬して、繊維に本組成物を完全または部分的に染み込ませてもよく、次いでこれを、当業界公知の方法で紙または厚紙などの材料に形成する前または形成した後のいずれかに乾燥させる。
【0042】
あるいは、本組成物が本材料の外面領域を含浸して少なくとも部分的な含浸が達成されるように、本材料上にバイオフラボノイド組成物を噴霧することにより本材料を含浸させてもよい。噴霧はまた、繊維が本発明の材料に形成される前に、製造または抽出中に繊維を含浸させるのにも使用できる。
【0043】
実施例3に、ペーパータオルを含浸させる特定の方法を開示する。繊維状のタケ産物も、実施例3で開示されたのと同じ方式で含浸させることができる。
好ましくは、上述した方法により、セルロース系繊維材料全体にわたり均一なバイオフラボノイドの含浸が達成される。0.005〜0.75%、好ましくは0.005〜0.5%、より好ましくは0.025%〜0.5%、さらにより好ましくは0.025〜0.1%の濃度のバイオフラボノイド組成物が使用される。本明細書で説明される組成物は水溶性であり、バイオフラボノイド組成物を望ましい濃度に希釈するのに水が使用できる。
【0044】
本発明の第三の形態によれば、表面上の細菌量を低下させる方法が提供される。表面上の細菌量を低下させる方法は、2つのメカニズムよって提供される。まず第一に、バイオフラボノイド組成物の作用によって殺菌が達成され、次いで第二に、表面上に材料を置いて表面を拭き取ること、すなわち機械的に拭き取ることにより、材料そのものによって汚染物質が機械的に除去される。
【0045】
表面は、あらゆる生物活性を有する表面であってもよく、ヒトの表面またはヒト以外の表面のいずれでもよい。例えば、ヒトの表面としては、手、足または顔の皮膚が挙げられる。ヒト以外の表面としては、汚染物質が存在する可能性がある衛生的に重要なあらゆる表面、例えば、学校、浴室、調理場、工場、例えば食品工場、実験室、病院などで見出される表面が挙げられる。
【0046】
食品との接触に関して、環境保護庁(EPA)は、30秒で攻撃生物の5の対数減少値を達成する活性を求めている。好ましくは、本発明の材料は、30秒で表面上の細菌量の少なくとも5の対数減少値を達成する。
【0047】
本発明の第四の形態によれば、包装された製品が提供され、ここで該製品は、バイオフラボノイド組成物で含浸させた乾燥したセルロース系繊維材料に形成される。製品およびバイオフラボノイド組成物は、本発明の第一の形態で説明されている通りである。
【0048】
セルロース系製品は、個々に包装されていてもよい。あるいは、製品は、マルチパックの一部として包装されていてもよい。例えば従来のフィルム状の物質または段ボール箱などの公知の包装方法および材料を使用して本発明の製品を包装してもよい。
【0049】
(1) バイオフラボノイド組成物で含浸させた乾燥したセルロース系繊維材料であって、該組成物のバイオフラボノイド分は、少なくともナリンギンおよびネオヘスペリジンを含む、上記セルロース系繊維材料。
(2) 前記ナリンギンおよびネオヘスペリジンが共に、バイオフラボノイド分の少なくとも50%を構成する、(1)に記載の材料。
(3) 前記ナリンギンおよびネオヘスペリジンが共に、バイオフラボノイド分の少なくとも70%を構成する、(2)に記載の材料。
(4) 前記ナリンギンおよびネオヘスペリジンが共に、バイオフラボノイド分の少なくとも75%を構成する、(3)に記載の材料。
(5) 前記ナリンギンおよびネオヘスペリジンが共に、バイオフラボノイド分の75%〜80%を構成する、(4)に記載の材料。
(6) 前記組成物のバイオフラボノイド分が、ネオエリオシトリン、イソナリンギン、ヘスペリジン、ネオジオスミン、ナリンゲニン、ポンシリン、およびロイフォリンの群より選択される1種またはそれより多くの化合物をさらに含む、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の材料。
(7) 前記組成物のバイオフラボノイド分が、ネオエリオシトリン、イソナリンギン、ヘスペリジン、ネオジオスミン、ナリンゲニン、ポンシリン、およびロイフォリンを含む、(6)に記載の材料。
(8) 前記バイオフラボノイド組成物が、前記材料全体にわたり均一である、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の材料。
(9) 前記材料が、紙である、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の材料。
(10) 前記材料が、タケ繊維である、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の材料。
(11) 前記紙またはタケが、タオルまたはクロスの形態である、(9)または(10)に記載の材料。
(12) 前記紙またはタケが、食品用パッドの形態である、(9)または(10)に記載の材料。
(13) 前記紙またはタケが、呼吸用マスクの形態である、(9)または(10)に記載の材料。
(14) 前記タケが、ソックスまたは病院用ガウンなどの衣類の形態である、(10)に記載の材料。
(15) 前記材料が、厚紙である、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の材料。
(16) バイオフラボノイド組成物でセルロース系繊維材料を含浸させる方法であって:a)該材料もしくは該材料の繊維を、(1)〜(7)のいずれか一項に記載のバイオフラボノイド組成物に浸漬するか、または該材料もしくは該材料の繊維に該バイオフラボノイド組成物を噴霧する工程;b)該材料を機械的に乾燥させる工程、を含む、上記方法。
(17) 表面上の細菌量を低下させる方法であって:a)(9)、(10)または(11)のいずれか一項に記載の材料を水分で湿潤させる工程;および、b)表面上に該材料をを置く工程、および/または該材料を表面全体に塗り付ける工程、を含む、上記方法。
(18) 前記細菌量が、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、大腸菌(E. coli)、緑膿菌(P. aeruginosa)、枯草菌(B. subtilis)、サルモネラ属、MRSA、クロストリジウム・ディフィシレ(C.diff)、およびヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)の群から選択される細菌で構成される、(17)に記載の方法。
(19) (1)〜(8)のいずれか一項に記載の乾燥したセルロース系繊維材料を含む、包装された製品。
(20) 前記セルロース系繊維材料が、(9)、(10)または(15)のいずれか一項に記載のものである、(19)に記載の製品。
(21) 前記製品が、タオルまたはクロスの形態である、(19)または(20)に記載の製品。
(22) 前記製品が、食品用パッドの形態である、(19)または(20)に記載の製品。
(23) 前記製品が、呼吸用マスクの形態である、(19)または(20)に記載の製品。
(24) 前記製品が、ソックスなどの衣類の形態である、(19)または(20)に記載の製品。
ここで、本発明をより詳細に理解するために、単なる一例として、以下の図を参照しながら本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、バウンティ(Bounty(登録商標))ブランドのペーパータオル上で乾燥させたシトロックスBC(Citrox BC)活性物質の様々な希釈の黄色ブドウ球菌活性に対する作用の結果を示すグラフである。
【
図2】
図2は、バウンティ(登録商標)ブランドのペーパータオル上で乾燥させたシトロックスBC活性物質の様々な希釈の大腸菌活性に対する作用の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
バイオフラボノイド分は、バイオフラボノイド組成物の40〜50%、例えば約45%wt/wtを構成していてもよい。バイオフラボノイド組成物の好適な源は、本明細書では「HPLC45」または「シトロックスBC」と称され、その(HPLC45/シトロックスBC組成物総量の)約45%がバイオフラボノイドで構成される。バイオフラボノイドは、ペクチン、糖、および希少な有機酸などのダイダイ由来抽出物のバイオマス残留物と混合された状態であり、このような残留物が55%を構成する。HPLC45は、エクキム(Exquim)(フェレールグループ(Grupo Ferrer)の会社)よりHPLCで45%のシトラスバイオフラボノイド複合体として入手可能である。
【実施例】
【0053】
代表的なグラム陽性生物として黄色ブドウ球菌を選択した。この生物は哺乳動物の皮膚上に見出されることから、周囲環境に発散される。代表的なグラム陰性腸内細菌として大腸菌を選択した。この生物は、鳥類、哺乳動物、および爬虫類の消化管内に見出される。環境中にそれが存在するということは、糞便汚染の証拠である。代表的な腸以外のグラム陰性細菌として緑膿菌を選択した。この細菌属は、水中に存在しており、その近縁種の代表例は、主要な植物の病原体およびヒトの日和見病原体である。代表的なグラム陽性胞子菌として枯草菌(Bacillus subtilis)を選択した。この細菌は、土壌および水中に見出されるが、環境中至る所にも存在する。この種は、生存メカニズムとして内生胞子を形成する。細菌の内生胞子は、地球上で最も抵抗力のある生命の形態であるため、衛生、消毒、および滅菌方法にとって常に問題となっている。内生胞子は、あらゆる抗菌剤にとって「最重要」課題の一つである。
【0054】
実施例1:最小阻止濃度(MIC)および最小殺菌濃度(MBC)
手法
適切な液体培地中で単一種の微生物の純粋培養物を増殖させた。培養物を標準的な微生物学的技術を使用して標準化して、1ミリリットルあたり100万個の細胞に極めて近い濃度にした。微生物の培養物が基準に近ければ近いほど、テスト結果はの再現性はより高くなる。滅菌希釈剤を使用して抗菌剤を数回1:1希釈した。抗菌剤を希釈した後、各希釈容器に、希釈した抗菌剤の体積に等しい標準化した接種材料の体積を添加して、微生物濃度を1ミリリットルあたりおよそ500,000個の細胞にした。菌が植え付けられた抗菌剤の連続希釈液を、予め決められた期間(通常18時間)、テスト生物にとって適切な温度でインキュベートした。インキュベート後、通常、混濁および/または容器底部への微生物の沈殿によって示される微生物の増殖に関して、一連の希釈容器を観察した。連続希釈において増殖を示さなかった最後のチューブが、抗菌剤の最小阻止濃度(MIC)に相当する。
【0055】
MBCテストは、微生物抑制剤(殺菌されるのではなくただ抑制される)と微生物殺菌剤(殺菌される)とを区別するために行われた。微生物抑制剤が除去または中和されると、それまで抑制されていた細菌が再度増殖し始めた。MICテストで増殖/混濁を示さなかった各ウェルを、殺生剤を含有しない培地で二次培養した。このテストの結果起こる微生物の増殖はいずれも、その濃度において、活性が微生物抑制性であることを示す。継代培養で細菌の再増殖が起こらなかった場合、その濃度において、活性は微生物殺菌性である。テストされたシトロックスBC活性物質の濃度範囲は、0.075〜0.75%であった。
【0056】
結果の考察
MICテストは、液体抗菌剤の生物抑制(および場合によってはさらに殺菌)活性の確立された「選別法」である。これは、さらなる有効性テストに使用するための抗菌活性の適切な濃度を発見するのに使用されることが多い。MICテストとMBCテストの両方を行うことにより、殺菌性または生物抑制性の作用機序を区別することが可能になると予想される。使用される活性物質の濃度と接触時間に応じて、活性物質は、生物抑制性の作用機序と殺菌性の作用機序の両方を有すると実証されることがある。
【0057】
テストされたシトロックスBC活性物質の範囲は0.075%〜0.75%であった。緑膿菌の場合、テストされたシトロックスBC活性物質の全濃度において混濁が示されなかったことから、MIC値は得られなかった(表2)。
【0058】
MCBテストから枯草菌にとっては全濃度が殺菌性であることが示され、MIC値も得られなかったことから、テストされた全濃度において増殖の抑制が起こったことが実証された。枯草菌に関して得られたMBC値は、0.315%のシトロックスBC活性物質であった。これは、0.075%〜0.315%の範囲の濃度は細菌抑制的であり、0.315%より大きいまたはそれに等しいシトロックスBC活性物質濃度はいずれも、殺菌性であることを意味する。
【0059】
これらの結果は、緑膿菌のようなグラム陰性は、シトロックスBC活性物質でグラム陽性の枯草菌よりも容易に殺菌されることを示す。
【0060】
【表2】
【0061】
実施例2:時間殺菌テスト
手法
標準的な生菌数計測手法を使用して、全ての時間殺菌テストを行った。NBX34689を参考にした。
【0062】
全ての殺菌テストにおいて、以下の中和溶液を使用した。
トゥイーン80−3%
サポニン−3%
ヒスチジン−0.1%
システイン−0.1%。
【0063】
理論的説明
時間殺菌テストは、所定の微生物集団を殺菌するのにかかる時間を推定する。シトロックスBC活性物質で多種多様の微生物を殺菌した。抗菌性タオルで使用するためのこの活性物質を特徴付ける際における重要な第一の工程は、殺菌性の要件を検証することであった。有効性の要件は、所定時間枠内で殺菌された細菌の数に基づく。最も厳格な要件は、食品との接触に関してなされる要件であり、これは、活性物質は、30秒で攻撃生物の5の対数減少値を達成しなければならないというものである。
【0064】
結果の考察
実施例2(a):時間殺菌テスト:10分の接触時間
殺菌の速度論は、細菌数、使用される活性物質の濃度、および接触時間の影響を受ける。シトロックスBC活性物質の最も有効な範囲を決定するために、10分の殺菌テストで黄色ブドウ球菌を使用して、シトロックスBC活性物質の様々な濃度の有効性を推定した。テストされたシトロックスBC活性物質の全ての濃度(0.45〜0.65%)で6.56より大きい対数減少値が観察された(表3)。
【0065】
枯草菌を攻撃生物として使用した場合、10分で5より大きい対数減少値を達成するには0.7%のシトロックスBCが必要であった(表4)。以前のテストに基づいて、一般的な使用にとって0.5%の活性物質が最も有効である。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
実施例2(b):時間殺菌テスト:30秒の接触時間
大腸菌、緑膿菌、および黄色ブドウ球菌を使用した時間殺菌研究を、0.5%のシトロックスBC活性物質を使用して30秒の接触時間で行った。全ての生物で6.4より大きい対数減少値が観察された(表5)。これにより、この活性物質は、食品と接触する状況で使用するための基準を満たすと予想されることが確認された。
【0069】
【表5】
【0070】
実施例2(c):時間殺菌テスト:殺胞子性活性
上述したように、あらゆる抗菌活性物質にとって最も重要なテストは、殺胞子能力である。定義によれば、細菌の胞子を殺す化学物質または方法はいずれも、滅菌剤である。シトロックスBC活性物質が殺胞子性かどうかを推定するために、実際の胞子懸濁液で殺菌テストを行った。シトロックスBCを0.5%〜1.5%の範囲にわたり1時間かけてテストした。このテストにはいくつか制限があった。このテストにおける胞子懸濁液(枯草菌、ATCC6633、6.4×10
4CFU/ペレット、マイクロバイオロジー(Microbiologies))はわずか約2×10
4CFU/mlであり、対数減少値の計算が制限された。凍結乾燥ペレットには、シトロックスBC活性物質のバイオフラボノイド成分を中和することが知られている物質である炭が含有されていることが見出された。これらの制限下で、胞子においておよそ2の対数減少値が実証された。これは、シトロックスBC活性物質は、胞子に対して明確な活性を有することを示す。この活性をさらに調査するためには、炭添加剤を含まないより高い力価の胞子懸濁液を使用すべきである。
【0071】
実施例3:シトロックスBC活性物質で含浸したペーパータオルを用いた表面テスト
1)手法:ペーパータオルへのシトロックスBCの添加
バウンティ(登録商標)(「バウンティ」は、プロクター&ギャンブル(Procter & Gamble)の登録商標である)ブランドのペーパータオルを使用して、乾燥した抗菌性タオルを作製した。バウンティ(登録商標)ペーパータオルは、一般的な市販のペーパータオル製品である。シトロックスBC活性物質の濃縮物を望ましい濃度に希釈した。1枚のペーパータオルを希釈した活性物質に完全に浸漬し、手で絞った。タオルを一晩乾燥させた。
【0072】
2)手法:バウンティ(登録商標)ブランドのペーパータオル上で乾燥させたシトロックスBC活性物質の重量
54℃のオーブン中で、バウンティ(登録商標)ブランドのペーパータオルを一定の重量になるまで乾燥させた。シトロックスBC活性物質の様々な希釈液を、上述したようにバウンティ(登録商標)ブランドのペーパータオル上で乾燥させた。タオルを室温で一晩乾燥させた。次いで、処理済みタオルを一定の重量になるまで54℃で乾燥させた。未処理のタオルと処理済みタオルとの重量差をシトロックスBC活性物質の重量と想定した。
【0073】
3)手法:表面に含浸させたペーパータオルを適用することによる影響のテスト
代表的な硬質の非多孔質表面として実験用ベンチトップを使用して、テープで格子状の区切をつくった。攻撃生物の液体培地培養物を染み込ませた綿棒を使用して表面に植菌し、空気乾燥した。シトロックスBC活性物質の希釈液で処理したペーパータオルを湿潤させ、次いで植菌されたベンチトップを清浄化するのに使用した。ベンチトップは見た目で3分湿潤した状態にし(接触時間)、次いでそのまま完全に空気乾燥させた。RODAC(Replicate Organism Detection and Counting)プレートを使用して、清浄化された表面を、生存細菌のためにサンプリングした。攻撃生物に適した温度でプレートを一晩インキュベートした。コロニーを数え、その数値を使用してCFU/cm
2を計算した。3インチ×3インチの「格子で仕切られた正方形」5つからのカウント数の平均を出すことにより結果を計算した。
【0074】
4)手法:RODACサンプリング
RODACプレートを使用して、サンプリングされる表面に接触し、その後プレートを適切な温度でインキュベートした。様々な微生物の増殖を促進する培地中にはが栄養素が含まれる。寒天中にレシチンおよびポリソルベート80が取り入れられており、これらは消毒剤/殺菌剤の中和剤として機能する。寒天培地の表面上のコロニーの外観から、微生物のタイプと数を検出した。消毒剤での清浄および処理の前後に同じ領域からサンプルを収集することにより、衛生手法の評価を行った。
【0075】
結果
水で湿潤させたシトロックスBC活性物質非含有のペーパータオルを、汚染された硬質の表面から細菌を除去する能力に関して推定した。
図1および2において、この対照(すなわち含浸されていないペーパータオル)の結果は「0」と標識されたバーで示される。
図1および2は、黄色ブドウ球菌および大腸菌の両方の結果を示す。シトロックスBC活性物質の1:200より大きい希釈液を含有するペーパータオルは、黄色ブドウ球菌を50CFU/cm
2を超えるレベルから1CFU/cm
2未満のレベルに低下させることができた。シトロックスBC活性物質の1:200より大きい希釈液を含有するペーパータオルは、大腸菌を7CFU/cm
2を超えるレベルから1CFU/cm
2未満のレベルに低下させることができた。
【0076】
これらの結果から、乾燥した抗菌性タオルは、湿潤によって活性化されることが示された。
結果の考察
シトロックスBC活性物質の様々な希釈液を、バウンティ(登録商標)ブランドのペーパータオル上で乾燥させた。これらの処理済みタオルを、細菌が大量に植え付けられた実験用ベンチを浄化するのに使用した。RODACプレートを使用して、実験用ベンチ上での汚染物質の減少に影響を与える処理済みタオルの能力を評価した。
【0077】
シトロックスBC活性物質で含浸させたペーパータオルの、汚染された硬質の表面上の細菌数を低下させる能力を推定する方法を開発した。衛生上重要な表面上に存在する微生物の検出および計数には、RODACプレートが推奨される。RODACプレートは、寒天培地が過剰に充填されてドーム型の表面が形成されており、その表面がその微生物の含量をサンプリングするための表面に押し付けられるような特別な構造になっている。RODACプレートは、清浄技術とスケジュールを確立してモニターするための様々なプログラムで使用される。
【0078】
ペーパータオルと抗菌活性物質とを使用する場合、汚染された表面からの細菌の除去は、2つのメカニズム、すなわち抗菌活性物質の作用によって殺菌が達成される第一のメカニズムと、ペーパータオルそのものによって汚染物質が機械的に除去される第二のメカニズムとで起こることに留意しなければならない。
【0079】
実験室スケールの抗菌タオルを使用して、タオル上で乾燥させたシトロックスBC活性物質の重量を計算した。タオル上に存在する活性物質の重量(表6)は、コスト分析の開始点として使用できる。
【0080】
【表6】