(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293783
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】自動車のクレードルのための連結装置
(51)【国際特許分類】
B62D 21/00 20060101AFI20180305BHJP
B60G 21/055 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
B62D21/00 A
B60G21/055
【請求項の数】7
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-548300(P2015-548300)
(86)(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公表番号】特表2016-504234(P2016-504234A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2013071982
(87)【国際公開番号】WO2014095124
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年10月11日
(31)【優先権主張番号】1262392
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブルロン, フランク
(72)【発明者】
【氏名】デュブルイユ, ベルトラン
【審査官】
梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−258763(JP,A)
【文献】
特開2007−131290(JP,A)
【文献】
特開2003−327152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/00
B60G 21/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のクレードル(1)と、当該自動車の車体の構造要素との間の連結装置であって、前記クレードル(1)との接続のための基部(10)、並びに、前記車体の構造要素との接続のための上部を有する一体成形の取っ手(4)を備え、当該取っ手(4)が、アンチロールバー(26)をガイドするためのガイド軸受(22)を収容する側部(16)であって、前記基部(10)から離間するとともに、曲がったU字形状を有する側部(16)を有することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記取っ手(4)が前記クレードルに取り付けられる際に、前記側部(16)は、前記自動車の後部を向くように位置付けられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記側部(16)の前記曲がったU字形状を画定する壁が、厚み(28)の局所的減少を有することを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記側部(16)は、前記ガイド軸受(22)向けの支圧板(24)を取り付けるために、前記曲がったU字形状の両末端部に2つの平らな表面(19a,19b)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記取っ手(4)はアルミニウムで鋳造によって製造され、かつ、前記クレードルは鋼鉄で製造されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
クレードルを支持する車体を含む自動車であって、前記クレードルが、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置によって、前記車体の構造要素に連結されることを特徴とする、自動車。
【請求項7】
前記クレードルは、前記自動車の前部に位置付けられることを特徴とする、請求項6に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のクレードルの技術分野に関し、具体的には、かかるクレードルを車両の車体構造に連結するための、構成要素のコンパクトな配設を提案する。本発明は、また、かかる配設を備える自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
取っ手という手段によって、長軸方向の部材に接続されたクレードルは、取っ手が中間構成要素によって、長軸方向の部材の屈曲部に取り付けられる、文書FR2 966 418におけるもののように、この技術分野では既に良く知られている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、付属部品の数を制限することによって、かかる構造物を軽量化しつつ、組立品の特質を保持することを提案する。
【0004】
本発明は、自動車のクレードルと当該自動車の車体の構造要素との間の連結装置の支援を受けて実現し、当該装置は、クレードルとの接続のための基部、並びに、車体の構造要素との接続のための上部を有する、一体成形の取っ手を備え、取っ手が、アンチロールバーをガイドするための軸受を収容する、曲がったU字形状を備える側部を有することを、特徴とする。
【0005】
その他の補完的かつ特徴的な特性として、
取っ手がクレードルに取り付けられる際に、取っ手の側部は車両の後部を向くように位置付けられ、
側部の曲がった形状を画定する壁は、厚みの局所的減少を有し、
側部は、ガイド軸受向けの支圧板を取り付けるために、U字形状の両末端部に2つの平らな表面を含み、
取っ手はアルミニウムで鋳造によって製造され、かつ、クレードルは鋼鉄で作られる。
【0006】
本発明はまた、クレードルを支持する車体を含む自動車に関し、クレードルが、前述の特徴的な特性のうちの1つからなる装置によって、車体の構造要素に連結されることを特徴とする。
【0007】
好適には、クレードルは車両の前部に位置付けられる。
【0008】
本発明は、添付の図面を参照しつつ、以下の説明の支援を受けることで、より容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による、装着されたクレードルの斜視図である。
【
図2】クレードルを車体構造に連結するための構成要素の斜視図である。
【
図3】いくつかの補完的要素が図示されている、
図2に類似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によれば、
図1を参照すると、好ましくは鋼鉄から作られる車枠を形成し、自動車の側部長軸方向の部材間の、当該自動車の前部に位置付けられることが意図されるクレードル1は、後部取付手段2、並びに前部取付手段を含む。前部取付手段は、取っ手4の形状で存在し、正規化された鉛直軸z方向の伸長を可能にする。
【0011】
実際には、車両の前部で、長軸方向の部材が、それらの前方部分において、動力伝達系との接続のために上昇する。
【0012】
クレードルの前部は衝撃吸収要素、より一般的には「クラッシュボックス」と称されるものとの接続のための、実質的に垂直な表面6を含む。クレードルのヨーク構造は、車輪支持アーム及びサスペンション要素(ただしこの図には図示せず)のための取付点8を有する。
【0013】
本発明により、クレードルの前部を、車体の構造要素である長軸方向の部材に取り付けるための取っ手4は、好ましくは鋳物として、好適には、アルミニウム鋳物として製造され、それによって重量の低減が可能になる一体成形の形状をとる。
【0014】
図2及び
図3を参照すると、これらの取っ手4は、当該取っ手をクレードルの上部に取り付けるための、鉛直軸zを有する2つの孔12を有する、正規化されたx−y平面上の平面基部10を示す。
【0015】
取っ手を、長軸方向の部材又はそれと同等な車体の構造要素に取り付けるために、取っ手4は、それらの上部に、実質的に鉛直な中空シリンダ14と、螺合式の機械組立により、正規化されたx−y平面における長軸方向の部材との連結を可能にする開口15とを含む。取っ手をクレードルに、及び/又は、取っ手を長軸方向の部材に取り付けるために、溶接その他の組立方法が想起される。
【0016】
基部10とシリンダ14との間で、取っ手は、x−z平面においてU字形状に曲がり、好ましくは、取っ手がクレードルに取り付けられる際に、車両の後部に対面する、凸状側部16を有す。U字を形成するセグメント18a、18bは、y軸方向に、軸受22を収容するのに十分な幅l(エル)を示す。
【0017】
また更に、セグメント18a、18bは、y軸方向に、セグメントの長さに従って可変的でありうる厚みeを示すが、厚みeは、それによってもたらされるx−y平面における平らな表面19a、19bが、めくらネジ穴20による板24の取付を可能にするように、セグメントの自由端部で十分に厚くなっている。
【0018】
図3に示すように、凸状部分16の曲がったU字形状は、従って、この図に部分的に図示されているアンチロールバー26をガイドするための、好ましくはゴムで作られた軸受22の収容を可能にする。板24は、軸受向けの支圧板である。
【0019】
好適には、軸受を収容するための、曲がった形状の実施形態は、取っ手の非中空部分によって形成された、すなわち、取っ手のy−z基本平面内に位置する、セグメント18bと、取っ手がクレードル上に位置付けられる際に、長軸方向で後部に向いた取っ手の伸長部分を、曲がり部と共に形成するセグメント18aとを示す。
【0020】
本発明の好ましい実施形態により、セグメント18aは、凹状部分28の形状をとる、厚みの局所的な減少を有する。この窪んだ区域により、アンチロールバーとその支持体が、正面衝突した場合に、取っ手4及び長軸方向の部材に対する高応力の生成、及び/又は構造的改変なくして、エネルギーの一部を吸収することが可能になるように、アンチロールバー26向けの支持体の、衝撃時に変形又は破損するよう決められた区域を提供するための、機械強度の局所的な減少が可能になる。
【0021】
ゆえに、好ましくはアルミニウムによる、アンチロールバーをガイドするための軸受向けのハウジングを含む、一体成形の取っ手の実現は、正面衝突の場合に、前記バーが「外れる」ことを可能にすることが意図された、衝撃吸収帯を示す一方で、説明されている機能を全て実装するために必要とされる、構成要素部品及び付属部品の数を、大幅に低減する。