(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293883
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】改善された障害回復力を提供するデータ伝送システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/711 20130101AFI20180305BHJP
【FI】
H04L12/711
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-526819(P2016-526819)
(86)(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公表番号】特表2016-535498(P2016-535498A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2014070350
(87)【国際公開番号】WO2015062788
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】13290258.6
(32)【優先日】2013年10月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モデナ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ルッジ,フラビオ
【審査官】
大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−141753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/711
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを伝送するための伝送システム(100)であって、イーサネットネットワーク部分(110)と、トランスポートネットワーク部分(120)と、前記イーサネットネットワーク部分(110)を前記トランスポートネットワーク部分(120)と結合するスイッチングコンポーネント(130)とを含み、
イーサネットネットワーク部分(110)が、少なくとも2つのイーサネットラインカード(111、112)を含み、それぞれのイーサネットラインカードが、イーサネットネットワーク部分(110)内の冗長な通信リンクを提供するための少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)を有しており、
イーサネットラインカード(111、112)が、自分の少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報をスイッチングコンポーネント(130)へ伝送するように構成されており、
スイッチングコンポーネント(130)が、イーサネットラインカード(111、112)のイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報を受信および分析して、前記受信された情報に基づいてデータをトランスポートネットワーク部分(120)へルーティングするように構成されており、
それぞれのイーサネットラインカード(111、112)が、受信されたイーサネットペイロードデータを同期データユニットへとマップするように構成されているマッパコンポーネント(230)を含む、伝送システム(100)。
【請求項2】
データを伝送するための伝送システム(100)であって、イーサネットネットワーク部分(110)と、トランスポートネットワーク部分(120)と、前記イーサネットネットワーク部分(110)を前記トランスポートネットワーク部分(120)と結合するスイッチングコンポーネント(130)とを含み、
イーサネットネットワーク部分(110)が、少なくとも2つのイーサネットラインカード(111、112)を含み、それぞれのイーサネットラインカードが、イーサネットネットワーク部分(110)内の冗長な通信リンクを提供するための少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)を有しており、
イーサネットラインカード(111、112)が、自分の少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報をスイッチングコンポーネント(130)へ伝送するように構成されており、
スイッチングコンポーネント(130)が、イーサネットラインカード(111、112)のイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報を受信および分析して、前記受信された情報に基づいてデータをトランスポートネットワーク部分(120)へルーティングするように構成されており、
トランスポートネットワーク部分(120)が、少なくとも2つの冗長な伝送パス(120a、120b)を含み、トランスポートネットワーク部分(120)が、伝送パス(120a、120b)のステータスに関する情報を提供するパス保護メカニズムを提供するパス保護コンポーネントを含む、伝送システム(100)。
【請求項3】
イーサネットラインカード(111、112)がそれぞれ、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータスをモニタするように構成されているリンクモニタリングコンポーネント(220)を含む、請求項1または2に記載の伝送システム。
【請求項4】
リンクモニタリングコンポーネント(220)が、少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報を少なくとも1つのさらなるイーサネットラインカードとの間で交換するように構成されている、請求項2に記載の伝送システム。
【請求項5】
マッパコンポーネント(230)が、少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報をリンクモニタリングコンポーネント(220)から受信して、前記情報を、伝送されることになるデータユニットのオーバーヘッドセクションへと埋め込むように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の伝送システム。
【請求項6】
スイッチングコンポーネント(230)が、少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報をデータユニットのオーバーヘッドセクションから抽出して、前記抽出された情報に基づいてデータユニットをトランスポートネットワーク部分(120)へルーティングするように構成されている、請求項5に記載の伝送システム。
【請求項7】
トランスポートネットワーク部分(120)のパス保護メカニズムが、データをルーティングするための適切な伝送パス(120a、120b)を選択するために伝送パス(120a、120b)のステータスに関する情報をスイッチングコンポーネント(130)に提供するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の伝送システム。
【請求項8】
スイッチングコンポーネント(130)が、伝送パス(120a、120b)のステータスに関する情報と、少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報とに基づいてスイッチングマトリックスの切り替え状態を選択するように構成されている、請求項7に記載の伝送システム。
【請求項9】
データをルーティングするための適切な伝送パス(120a、120b)の選択に影響を与えるために、イーサネットネットワーク部分(110)のイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報が、トランスポートネットワーク部分(120)のパス保護コンポーネントに提供される、請求項1から8のいずれか一項に記載の伝送システム。
【請求項10】
イーサネットネットワーク部分(110)と、トランスポートネットワーク部分(120)と、前記イーサネットネットワーク部分(110)を前記トランスポートネットワーク部分(120)と結合するスイッチングコンポーネント(130)とを含む伝送システム(100)を使用してデータを伝送するための方法であって、イーサネットネットワーク部分(110)が、少なくとも2つのイーサネットラインカード(111、112)を含み、それぞれのイーサネットラインカードが、イーサネットネットワーク部分(110)内の冗長な通信リンクを提供するための少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)を有しており、方法が、
少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報をイーサネットラインカード(111、112)からスイッチングコンポーネント(130)へ伝送するステップと、
スイッチングコンポーネント(130)によって少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報を受信および分析して、前記受信された情報に基づいてデータをトランスポートネットワーク部分(120)へルーティングするステップと、
イーサネットラインカード(111、112)によって少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報を同期データユニットのオーバーヘッドセクションへと埋め込むステップと、
スイッチングコンポーネント(130)によって少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報を同期データユニットのオーバーヘッドセクションから抽出するステップと、
前記抽出された情報に基づいてデータユニットをトランスポートネットワーク部分(120)のトランスポートネットワークインターフェース(121b、122b)へルーティングするステップと
を含む、方法。
【請求項11】
イーサネットネットワーク部分(110)と、トランスポートネットワーク部分(120)と、前記イーサネットネットワーク部分(110)を前記トランスポートネットワーク部分(120)と結合するスイッチングコンポーネント(130)とを含む伝送システム(100)を使用してデータを伝送するための方法であって、イーサネットネットワーク部分(110)が、少なくとも2つのイーサネットラインカード(111、112)を含み、それぞれのイーサネットラインカードが、イーサネットネットワーク部分(110)内の冗長な通信リンクを提供するための少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)を有しており、トランスポートネットワーク部分(120)が、冗長な伝送パス(120a、120b)を提供するための少なくとも2つの冗長なトランスポートネットワークインターフェース(121b、122b)を含み、方法が、
少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報をイーサネットラインカード(111、112)からスイッチングコンポーネント(130)へ伝送するステップと、
スイッチングコンポーネント(130)によって少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報を受信および分析して、前記受信された情報に基づいてデータをトランスポートネットワーク部分(120)へルーティングするステップと、
トランスポートネットワークインターフェース(121b、122b)のステータスに関する情報を決定するステップと、
トランスポートネットワークインターフェース(121b、122b)のステータスに関する情報に基づいてスイッチングコンポーネント(130)によってデータをルーティングするための伝送パス(120a、120b)を選択するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
スイッチングコンポーネント(130)が、適切な切り替え状態を選択するために、トランスポートネットワークインターフェース(121b、122b)のステータスに関する情報と、少なくとも1つのイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報とを評価する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
イーサネットネットワーク部分(110)のイーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報をトランスポートネットワーク部分(120)のパス保護コンポーネントへ転送することと、イーサネットインターフェース(111a、112a)のリンクステータスに関する情報に基づいて適切な伝送パス(120a、120b)を選択することとを含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、データ伝送システムに関する。詳細には、本文書は、改善された障害回復力を提供するデータ伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、データ伝送システムは、複数のエンドユーザの間においてデータを伝送するために使用される。たとえば、データ伝送システムは、複数のイーサネット(登録商標)サービスに関連するデータを複数のエンドユーザの間において伝送するように構成されることが可能である。発生している障害状況に起因するデータの損失を回避するために、データ伝送システムは、データを再ルーティングするための保護メカニズムを提供する。たとえば、データ伝送システムは、アクティブな伝送パスが破損しているケースにおけるデータ伝送のために使用されることが可能である少なくとも1つのスタンバイ伝送パスを含むことができる。現在利用可能な保護メカニズムは、特定の障害状況を処理するように構成されているが、データ伝送システム内のさらに複雑な故障を解決することはできない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】IEEE802.1ax
【非特許文献2】IEEE802.3ad
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、データの損失を回避するために、改善された障害回復力を備えた改善された伝送システムを提供する必要がある。同様に、改善された障害回復力を備えた伝送システムを通じてデータを伝送するための方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、データを伝送するための伝送システムが記載されている。この伝送システムは、イーサネットネットワーク部分と、トランスポートネットワーク部分と、前記イーサネットネットワーク部分を前記トランスポートネットワーク部分と結合するスイッチングコンポーネントとを含む。イーサネットネットワーク部分は、少なくとも2つのイーサネットラインカードを含み、それぞれのイーサネットラインカードは、少なくとも1つのイーサネットインターフェースを有しており、それによってイーサネットネットワーク部分内の冗長な通信リンクを提供する。イーサネットラインカードは、外部機器、たとえば、ルータ、スイッチ、または基地局との間でイーサネットデータパケットを交換するように構成されることが可能である。リンクアグリゲーション構成においては、冗長性およびフェイルオーバーを提供するために、少なくとも2つのイーサネットインターフェースが、同じ外部機器に接続される。典型的には、前記イーサネットデータパケットは、非同期データパケットとして伝送される。イーサネットラインカードを用いて、イーサネットデータパケットは、たとえばGFP(generic framing procedure)を使用して、より高いレベルのフレーム構造において構成されているデータユニットの同期ストリームにおいて変換されることが可能である。スイッチングコンポーネントは、インターフェースモジュールを形成し、そのインターフェースモジュールは、複数のポートを含み、ポートの第1のセットは、イーサネットネットワーク部分に接続されており、ポートの第2のグループは、トランスポートネットワーク部分に接続されている。スイッチングコンポーネントは、イーサネットネットワーク部分からトランスポートネットワーク部分への、およびその逆の、すなわちトランスポートネットワーク部分からイーサネットネットワーク部分へのデータの所望のルーティングを提供するために第1のセットの特定のポートと第2のセットの特定のポートとの間における接続をアレンジするように構成されている。
【0006】
イーサネットラインカードは、自分の少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報をスイッチングコンポーネントへ伝送するように構成されている。イーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報は、前記イーサネットインターフェースの現在の物理的なリンクステータス、たとえば、アクティブ、スタンバイ、または破損/障害について示すことができる。スイッチングコンポーネントは、イーサネットラインカードのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する前記情報を受信および分析して、前記受信された情報に基づいてデータをトランスポートネットワーク部分へルーティングするように構成されている。言い換えれば、スイッチングコンポーネントは、イーサネットラインカードのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する受信された情報に従って、イーサネットネットワーク部分に接続されているポートの第1のセットと、トランスポートネットワーク部分に接続されているポートの第2のセットとの間における切り替え状態を設定するように構成されている。
【0007】
複数の実施形態によれば、イーサネットラインカードは、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータス、たとえば、イーサネットインターフェースに接続されているイーサネットリンクの物理的なステータスをモニタするように構成されているリンクモニタリングコンポーネントを含むことができる。リンクモニタリングコンポーネントは、イーサネットインターフェースステータスを決定するように構成されること、ならびに必要な場合にはイーサネットインターフェースがどのステータスへと移されるべきかを決定するように構成されることが可能である。リンクモニタリングコンポーネントは、イーサネットインターフェースの適切な状態を選択する目的で、その他のエンティティー、たとえば、その他のイーサネットラインカードまたは外部機器、たとえば、ルータ、スイッチ、または基地局などとの間で少なくとも1つのイーサネットインターフェースのステータスを連携させるために、(IEEE802.1axまたは前のIEEE802.3ad(両方とも、引用により組み込まれている)において定義されているイーサネットに関するリンクアグリゲーション制御プロトコル(LACP:Link Aggregation Control Protocol)に従って)たとえばリンクアグリゲーショングループ(LAG:link aggregation group)プロトコルメッセージを処理するように構成されることが可能である。したがって、リンクモニタリングコンポーネントは、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報を少なくとも1つのさらなるイーサネットラインカードとの間で交換するように構成されることが可能である。典型的には、第1のイーサネットラインカードのリンクモニタリングコンポーネントは、イーサネットインターフェースのリンクステータス情報を交換するために第2のイーサネットラインカードのリンクモニタリングコンポーネントとの間で情報を交換することができる。加えて、イーサネットラインカードのリンクモニタリングコンポーネントは、別々のイーサネットラインカードの間においてイーサネットインターフェースのステータスを連携させるために(たとえば、上述のLACPを使用して)イーサネットインターフェースのリンクステータスについて別のイーサネットラインカードのリンクモニタリングコンポーネントとの間でネゴシエーションを行うように構成されることが可能である。
【0008】
さらなる実施形態によれば、イーサネットラインカードは、イーサネットデータを同期データユニットへとマップするように構成されているマッパコンポーネントを含むことができる。好ましくは、イーサネットデータは、非同期データストリームを形成する。(イーサネットネットワーク部分からトランスポートネットワーク部分への)アップストリーム方向においては、前記非同期データストリームは、マッパコンポーネントによってカプセル化されること、およびより高いレベルのフレーミング構造、たとえば、SDH/SONETトランスポートネットワークのケースにおいては仮想コンテナ(VCn)、またはWDMトランスポートネットワークのケースにおいては光チャネルデータユニット(ODU)へとマップされることが可能である。前記生成された同期データユニットは、トランスポートネットワーク部分のポートへ切り替えるために、およびさらなる伝送のためにスイッチングコンポーネントに提供されることが可能である。(トランスポートネットワーク部分からイーサネットネットワーク部分への)ダウンストリーム方向においては、マッパは、より高いレベルのフレーム構造、たとえば、仮想コンテナ(VCn)または光チャネルデータユニット(ODU)において受信された同期データユニットを、適切なマッピングおよびカプセル除去によってイーサネットパケットへと変換するように構成されることが可能である。
【0009】
さらなる実施形態によれば、マッパコンポーネントは、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報をリンクモニタリングコンポーネントから受信するように構成されることが可能であり、前記情報を、スイッチングコンポーネントへ伝送されることになるデータユニットのオーバーヘッドセクションへと埋め込むことができる。言い換えれば、リンクステータス情報は、インバンド通信を使用してスイッチングコンポーネントに提供される。あるいは、その他の通信メカニズムがリンクステータス情報をスイッチングコンポーネントに提供できることも可能である。スイッチングコンポーネントは、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのステータスに関する前記情報をデータユニットのオーバーヘッドから抽出して、前記抽出された情報に基づいてデータユニットをトランスポートネットワーク部分へルーティングするように構成されることが可能である。具体的には、スイッチングコンポーネントは、前記抽出された情報に基づいて、トランスポートネットワークの伝送パスと結合されるポートを選択することができる。
【0010】
さらなる実施形態によれば、トランスポートネットワーク部分は、少なくとも2つの冗長な伝送パスを含むことができる。トランスポートネットワーク部分は、伝送パスのステータスに関する情報を提供するパス保護メカニズムを含むことができる。トランスポートネットワーク部分は、ラインカード、具体的には同期デジタルハイアラーキ(SDH:synchronous digital hierarchy)/光伝送ハイアラーキ(OTH:optical transport hierarchy)ラインカードを含むことができる。前記ラインカードは、サブネットワーク接続保護(SNCP:sub−network connection protection)のようなSDH/OTHパス保護メカニズムをサポートするように構成されることが可能である。前記パス保護メカニズムは、トランスポートネットワークの側での障害状況のケースにおいては冗長な伝送パスを通じてデータをルーティングするように構成されることが可能である。再ルーティングのために、伝送パスのステータスに相関付けられているステータス情報が生成される。
【0011】
さらなる実施形態によれば、トランスポートネットワーク部分のパス保護メカニズムは、データをルーティングするための適切な伝送パスを選択するために伝送パスのステータスに関する情報をスイッチングコンポーネントに提供するように構成されることが可能である。ステータス情報は、インバンド通信、すなわち、トランスポートネットワーク部分とスイッチングコンポーネントとの間において伝送されるペイロードデータにデータオーバーヘッドとしてステータス情報を加えることを使用してスイッチングコンポーネントへ伝送されることが可能である。それによって、スイッチングコンポーネントは、伝送パスのステータスについて知らされる。イーサネットネットワーク部分からトランスポートネットワーク部分へのデータの切り替えは、前記受信されたステータス情報に基づいて実行されることが可能である。
【0012】
さらなる実施形態によれば、スイッチングコンポーネントは、スイッチングコンポーネントの適切な切り替え状態を選択するために、たとえば、スイッチングマトリックスに関する状態を選択するために、伝送パスのステータスに関する情報および/または少なくとも1つのイーサネットインターフェースのステータスに関する情報を評価するように構成されることが可能である。言い換えれば、スイッチングコンポーネントは、伝送パスのステータスに関する情報と、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報とに基づいてスイッチングマトリックスの切り替え状態を選択することができる。したがって、イーサネットインターフェースに関するリンクステータス情報と、伝送パスに関するステータス情報とがスイッチングコンポーネントへ伝送された後に、前記スイッチングコンポーネントは、イーサネットインターフェースのステータス、それぞれ、伝送パスのステータスに関する知識を有する。前記情報を使用して、スイッチングコンポーネントは、正しく機能している(アクティブな)イーサネットインターフェース、それぞれ、伝送パス上で、イーサネットネットワーク部分とトランスポートネットワーク部分との間においてデータをルーティングし、それによって、複数の障害シナリオにおいてさえ障害回復力を高めることができる。言い換えれば、イーサネットネットワーク部分と接続されているポートと、伝送ネットワーク部分と接続されているポートとの結合を定義するスイッチングコンポーネントの切り替え状態は、イーサネットインターフェースのリンクステータスと、伝送パスのステータスとに基づいて定義される。
【0013】
さらなる実施形態によれば、データをルーティングするための適切な伝送パスの選択に影響を与えるために、イーサネットネットワーク部分のイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報が、トランスポートネットワーク部分のパス保護コンポーネントに提供されることが可能である。そのパス保護コンポーネントは、トランスポートネットワーク部分内のパス保護メカニズムを実行するように構成されることが可能である。イーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報をトランスポートネットワーク部分に提供することによって、トランスポートネットワーク部分のパス保護メカニズムは、トランスポートネットワーク部分を通る適切なルーティングを決定する間にイーサネットインターフェースステータスを考慮に入れることができる。前記ステータス情報は、インバンド通信、すなわち、イーサネットネットワーク部分とトランスポートネットワーク部分との間において伝送されるペイロードデータにデータオーバーヘッドとして前記ステータス情報を加えることを使用してパス保護コンポーネントへ転送されることが可能である。あるいは、ステータス情報の独立した個別の伝送も可能である。たとえば、イーサネットインターフェースのリンクステータス情報に基づいて、データの損失を回避する目的で特定の伝送パスを使用するためにトランスポートネットワーク部分のパス保護メカニズムがトリガーされることが可能である。言い換えれば、パス保護メカニズムは、改善された障害回復力を保証するためにイーサネットネットワーク部分のリンク保護メカニズムと結合されることが可能である。
【0014】
同様に、イーサネットラインカードの切り替えステータスに影響を与えるために、トランスポートネットワーク部分の伝送パスのステータスに関する情報が、イーサネットラインカードのリンク保護コンポーネントに提供されることが可能である。伝送パスのステータスに関する情報をトランスポートネットワーク部分に提供することによって、イーサネットネットワーク部分のリンク保護コンポーネント、それぞれ、リンク保護メカニズムは、イーサネットネットワーク部分を通る適切なルーティングを決定する間に伝送パスのステータスを考慮に入れることができる。前記ステータス情報は、インバンド通信、すなわち、トランスポートネットワーク部分とイーサネットネットワーク部分との間において伝送されるペイロードデータにデータオーバーヘッドとして前記ステータス情報を加えることを使用してリンク保護コンポーネントへ転送されることが可能である。あるいは、ステータス情報の独立した個別の伝送も可能である。たとえば、伝送パスのステータス情報に基づいて、データの損失を回避する目的で特定のイーサネットインターフェースを使用するためにイーサネットネットワーク部分のリンク保護メカニズムがトリガーされることが可能である。言い換えれば、イーサネットネットワーク部分のリンク保護メカニズムは、改善された障害回復力を保証するためにトランスポートネットワーク部分のパス保護メカニズムと結合されることが可能である。好ましくは、イーサネットネットワーク部分のリンク保護メカニズムと、トランスポートネットワーク部分のパス保護メカニズムとの間における双方向の結合が実行される。
【0015】
さらなる一態様によれば、伝送システムを使用してデータを伝送するための方法が記載されている。この伝送システムは、イーサネットネットワーク部分と、トランスポートネットワーク部分と、前記イーサネットネットワーク部分を前記トランスポートネットワーク部分と結合するスイッチングコンポーネントとを含む。イーサネットネットワーク部分は、少なくとも2つのイーサネットラインカードを含み、それぞれのイーサネットラインカードは、イーサネットネットワーク部分内の冗長な通信パスを提供するための少なくとも1つのイーサネットインターフェースを有する。ある方法ステップによれば、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報(たとえば、リンクおよび対応するインターフェースがアクティブであるか、スタンバイ状態にあるか、または障害を抱えているかを示す)が、イーサネットラインカードからスイッチングコンポーネントへ伝送される。その後、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報は、スイッチングコンポーネントによって受信および分析され、前記受信された情報に基づいて、ペイロードデータがスイッチングコンポーネントによってトランスポートネットワーク部分へルーティングされる。
【0016】
さらなる実施形態によれば、イーサネットラインカードは、たとえばリンクモニタリングコンポーネントを使用して、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのステータスをモニタすることができ、少なくとも2つのイーサネットラインカードは、自分の少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報を交換することができる。リンクモニタリングコンポーネントは、イーサネットインターフェースステータスを決定すること、ならびにイーサネットインターフェースがどのステータスへと移されるべきかを決定することが可能である。リンクモニタリングコンポーネントは、イーサネットインターフェースの適切な状態を選択する目的で、その他のエンティティー、たとえば、その他のイーサネットラインカードまたは外部機器、たとえば、ルータ、スイッチ、または基地局などとの間で少なくとも1つのイーサネットインターフェースのステータスを連携させるためにリンクアグリゲーション制御プロトコル(LACP:Link Aggregation Control Protocol)メッセージを処理することができる。
【0017】
さらなる実施形態によれば、イーサネットラインカードが、イーサネットデータを同期データユニットへとマップするためのマッパコンポーネントを含むことができ、そのマッパコンポーネントは、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのステータスに関する情報をリンクモニタリングコンポーネントから受信して、前記受信された情報をデータユニットのオーバーヘッドへと埋め込む。マッパを用いて、非同期データストリームを形成するイーサネットデータが、マッパコンポーネントによってアップストリーム方向においてカプセル化されること、およびより高いレベルのフレーミング構造、たとえば、仮想コンテナ(VCn)または光チャネルデータユニット(ODU)へとマップされることが可能である。ダウンストリーム方向においては、マッパは、より高いレベルのフレーム構造において受信された同期データユニットを、適切なマッピングおよびカプセル除去によってイーサネットパケットへと変換することができる。イーサネットインターフェースのステータス情報は、インバンド通信を使用してスイッチングコンポーネントに提供されることが可能である。
【0018】
さらなる実施形態によれば、スイッチングコンポーネントは、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのステータスに関する受信された情報をデータユニットのオーバーヘッドから抽出し、前記抽出された情報に基づいてそれらのデータユニットをトランスポートネットワーク部分へルーティングする。たとえば、スイッチングコンポーネントは、前記受信された情報に基づいて、アクティブなイーサネットインターフェースと相関付けられているスイッチングコンポーネントのポートにおいて受信されたデータを、それらのデータが伝送ネットワーク部分を通じて伝送されるべきである伝送パスと相関付けられているスイッチングコンポーネントのそれぞれのポートへ切り替えることを実行する。
【0019】
トランスポートネットワーク部分は、冗長な伝送パスを提供するための少なくとも2つの冗長なトランスポートネットワークインターフェースを含む。この方法は、トランスポートネットワークインターフェースのステータスに関する情報を決定することと、トランスポートネットワークインターフェースのステータスに関する情報に基づいてスイッチングコンポーネントによってデータをルーティングするための伝送パスを選択することとをさらに含むことができる。
【0020】
さらに、スイッチングコンポーネントは、適切な切り替え状態を選択するために、トランスポートネットワークインターフェースのステータスに関する情報と、少なくとも1つのイーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報とを評価することができる。
【0021】
この方法は、イーサネットネットワーク部分のイーサネットインターフェースのうちの少なくとも1つのリンクステータスに関する情報をトランスポートネットワーク部分のパス保護コンポーネントへ転送することと、イーサネットインターフェースのリンクステータスに関する情報に基づいて適切な伝送パスを選択することとをさらに含むことができる。
【0022】
本特許出願において概説されている方法およびシステム(その好ましい実施形態を含む)は、単独で、または本文書において開示されているその他の方法およびシステムと組み合わせて使用されることが可能であるということに留意されたい。さらに、本特許出願において概説されている方法およびシステムのすべての態様は、任意に組み合わせられることが可能である。とりわけ、特許請求の範囲の特徴どうしは、任意の様式で互いに組み合わせられることが可能である。さらに、別段の明示がなければ、本発明の実施形態どうしは、互いに自由に組み合わせられることが可能である。
【0023】
本発明は、以降で添付の図面を参照しながら例示的な様式で説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】データ伝送システムを示す例示的な概略図である。
【
図2】イーサネットラインカードを示す例示的な概略図である。
【
図3】例示的な伝送システムのイーサネットネットワーク部分およびスイッチングコンポーネントを示す例示的な概略図である。
【
図4】伝送システムのスイッチングコンポーネントおよびトランスポートネットワーク部分を示す例示的な概略図である。
【
図5】データ伝送システムにおけるステータス情報の交換を示す例示的な概略図である。
【
図6】
図1に記載のデータ伝送システムのさらなる実施形態を示す図である。
【
図7】データ伝送システムに含まれているスイッチング手段を示す概略図である。
【
図8】データ伝送システムを含むネットワークシナリオを示す例示的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、アドドロップマルチプレクス(ADM:Add Drop Multiplex)の概念が進化したものであるマルチサービススイッチングプラットフォーム(MSSP:Multi Service Switching Platform)機器にとって特に有用である。MSSPは、ATM、ファイバチャネル、DVB、およびイーサネットなど、さまざまなタイプのレイヤ2クライアントのトランスポートを可能にするためのSDH/SonetまたはOTHへのアップグレードと考えられる。典型的には、レイヤ2(L2)およびSDH/OTH機能は、疎結合されているにすぎない。従来の実施態様は、イーサネットインターフェースを備えたブレード(ラインカード)にいくつかのL2機能(パフォーマンスモニタリング、フィルタリング、アグリゲーション、ブリッジングプロトコル...)を提供している。しかしながら、これらの機能は、その他の類似のブレードと共有されておらず、SDH/OTHデータプレーンおよび管理と統合されていない。L2トラフィックは、帯域幅の最適化のためのさまざまな技術(たとえば仮想連結)、およびフレーム識別(frame delineation)のためのさまざまな技術(たとえばGFP)を用いてSDH/OTHコンテナ内にカプセル化されている。イーサネットインターフェースによって結合されているトラフィックは、従来のSDH/OTHブレードによって使用されている同じ方法を用いてMSSPマトリックスに接続されている。L2スイッチに関しては、リンクアグリゲーショングループ(LAG:link aggregation group)が、帯域幅を増加させること、および故障するサービスインターフェースを処理することを可能にする最も一般的なプロトコルである。SDH/OTHにおいては、インターフェースおよびパスを保護するためにSNCPのようなメカニズムが存在する。しかしながら、これらのメカニズムは完全に別々であり、接続されていない。
【0026】
幅広い態様によれば、ハードウェア障害を含む、複数の障害回復力を達成するために、イーサネットライン保護(LAG1+1など)が、トランスポートネットワークパス保護と組み合わされる。これは、最終顧客に接続するための外部のルータまたはスイッチまたは基地局またはその他の機器への物理的な接続(ADSL、FTH...)、レイヤ2機能、GFPマッピング、および仮想連結(VC:Virtually Concatenated)グループ上のトラフィックのマッピング、またはODUn(n=フレックス、0、1、2)上のマッピングを典型的に実装するイーサネットラインカード(n×FE、n×GBE、10GBE)を一般に含むMSSP機器にとって特に有用である。VC/ODUn上にマップされると、トラフィックは、マトリックススイッチへ転送されて、OTH/SDHラインカードへさらにルーティングされる。イーサネット接続の保護、および機器の故障に対する保護の両方を行うために、2つのイーサネットラインカード上で実装されるLAG1+1と、OTH/SDHパス保護メカニズム、たとえばSNCPとの組合せが提案されている。それらの2つのイーサネットラインカードは、イーサネットフレームを、たとえば、それらの2つのラインカードにわたって1対1で保護されているメンバーを有するVCグループ上にマップする。OTHのケースにおいては、ODUnパスは、OTHラインカードにわたっても1対1で保護されている。
【0027】
複数の実施形態においては、LAG1+1メカニズムは、任意の所与の時点におけるトラフィックに関して1つのインターフェースのみがアクティブであることを可能にすることができる。対応するVCグループは、自分のメンバーをすべて「アクティブ」状態にし、その一方で他方の冗長なグループは、メンバーをすべて「スタンバイ」状態にする。アクティブなイーサネットインターフェースに障害が生じた場合には、LAGメカニズムは、アクティブなトラフィックを他方のインターフェース上に切り替え、VCグループメンバー/ODUnの保護状態も切り替えられる。アクティブなラインカードに障害が生じたケースにおいては、同じメカニズムが適用され、LAGおよびVCグループ/ODUnは、機能しているイーサネットラインカードをマトリックスに接続するように切り替えられる。このメカニズムは、別々のラインカードの対応するインターフェース上でLAG1+1を(または、2+2もしくはn+nも)実装することによって、いくつかのイーサネットインターフェースを実装しているラインカードにとって非常に効率的であり、その他のライブトラフィックに影響を与えることなく接続を保護することが可能である。接続のために使用されるインターフェースのうちのすべてに影響を与えるわけではない複数の障害のケースにおいては、トラフィックを回復することは常に可能である。
【0028】
図1は、データ伝送システム100の概略的な構造を示している。伝送システム100は、イーサネットネットワーク部分110、トランスポートネットワーク部分120、およびスイッチングコンポーネント130を含む。スイッチングコンポーネント130は、イーサネットネットワーク部分110と結合するための第1のインターフェース、およびトランスポートネットワーク部分120と結合するための第2のインターフェースを提供する。スイッチングコンポーネント130は、イーサネットネットワーク部分110と、トランスポートネットワーク部分120との間における接続を確立するように構成されている。前記スイッチングコンポーネント130は、複数のサービスを切り替えるように構成されているスイッチングマトリックス、具体的にはマルチサービススイッチングプラットフォーム(MSSP:Multi Service Switching Platform)であることが可能である。
【0029】
イーサネットネットワーク部分110は、少なくとも2つのイーサネットラインカード111、112を含み、それぞれのイーサネットラインカード111、112は、少なくとも1つのイーサネットリンクを処理するように構成されている。それぞれのイーサネットラインカード111、112は、特定のイーサネットリンクに相関付けられている少なくとも1つの第1のインターフェース111a、112aを含む。前記第1のインターフェース111a、112aを用いて、最終顧客への接続を実現する外部機器、たとえば、外部ルータ、外部スイッチ、または基地局への物理的な接続が確立される。前記第1のインターフェース111a、112aを介してトランスポートされるデータが、イーサネットデータ、すなわち非同期イーサネットパケットである。それぞれのイーサネットラインカード111、112は、スイッチングコンポーネント130と結合するための少なくとも1つの第2のインターフェース111b、112bをさらに含む。
【0030】
トランスポートネットワーク部分120は、冗長性を提供するために少なくとも2つの伝送パス120a、120bを含む。それぞれの伝送パスは、トランスポートネットワークと、データをトランスポートする媒体(電気リンクまたは光リンク)とに応じて、ラインカード121、122、たとえば、STMnラインカード(STM:同期転送モード:synchronous transport mode)またはOTHラインカード(OTH:光伝送ハイアラーキ:optical transport hierarchy)を含むことができる。それぞれのラインカード121、122は、第1および第2のインターフェース121a、121b、122a、122bを含む。それらのラインカードは、第1のインターフェース121a、122aを用いて、スイッチングコンポーネント130のポートと結合される。ラインカード121、122は、スイッチングコンポーネント130からデータユニットを受信して、それらの受信されたデータユニットを、トランスポートネットワークを通じたさらなる伝送に適したフォーマットへと変換することができる。
【0031】
図1のシステムは、冗長なイーサネットインターフェース111a、112aを介してクライアントデータを受信して、そのクライアントデータを、冗長なトランスポートネットワークインターフェース121b、122bを介してトランスポートネットワークへ転送し、またその逆を行い、それによってフェイルセーフな伝送システムを提供することができる。イーサネットインターフェース111a、112aのステータスに関する情報と、トランスポートネットワークインターフェース121b、122bのステータスに関する情報とを組み合わせることによって、スイッチングコンポーネント130は、機器およびリンクの障害に対応するためにトラフィックをインテリジェントにルーティングすることができる。
【0032】
一般には、良好な/アクティブなSDH/OTHパスがスイッチングマトリックスによって選択され、それぞれの情報がイーサネットポートへ送信される。好ましくは、イーサネットポートのステータスは、イーサネットリンクのステータスおよびイーサネットラインカードのステータスによって影響される。
【0033】
図2は、例示的なイーサネットラインカード200の概略図を示している。イーサネットネットワーク部分110内に含まれているすべてのイーサネットラインカードは、以降で記載されている同じ基本的な構造を含むことができる。イーサネットラインカード200は、イーサネットインターフェース、すなわち、エンドユーザへの結合を実現する外部機器への物理的な接続として第1のインターフェース200aを提供する物理レイヤコンポーネント210を含むことができる。前記外部機器は、ルータ、スイッチ、基地局など...によって形成されることが可能である。言い換えれば、物理レイヤコンポーネントは、データ、具体的にはイーサネットパケットデータをアップストリーム方向においてエンドユーザから受信すること、およびイーサネットパケットデータをダウンストリーム方向においてエンドユーザへ伝送することが可能である。
【0034】
イーサネットラインカード200は、リンクモニタリングコンポーネント220をさらに含む。リンクモニタリングコンポーネント220は、データの双方向の交換のために物理レイヤコンポーネント210と結合されている。リンクモニタリングコンポーネント220は、イーサネットラインカード200によって提供された少なくとも1つのイーサネットインターフェースと、イーサネットラインカード200を用いて確立されたイーサネットリンクとをそれぞれモニタするように構成されている。リンクモニタリングコンポーネント220は、イーサネットインターフェースと、イーサネットラインカード200によって提供されたイーサネットリンクとのそれぞれのリンクステータスを決定するように、たとえば、そのステータスがアクティブか、スタンバイか、または障害かを決定するように構成されることが可能である。リンクモニタリングコンポーネント220は、イーサネットラインカード200を通じてトランスポートされたデータを分析することによって得られた情報に応じて、またはイーサネットラインカード200によって受信された外部の情報に応じて前記インターフェースステータスを切り替えるための手段を提供することもできる。
【0035】
リンクモニタリングコンポーネント220は、リンクアグリゲーショングループ(LAG:link aggregation group)メカニズムを実装することができる。LAGメカニズムは、以降で
図3に関連して記載されているように、イーサネットインターフェースのステータスの特定、ならびにさまざまなイーサネットラインカード200およびピアLAGレイヤコンポーネントの間におけるステータス情報の交換を可能にする。一般には、N個の物理的なインターフェースがLAGグループに関して接続されることが可能であり、そのうちのM≦Nが所与の時点においてアクティブであることが可能である。リンクモニタリングコンポーネント220は、IEEE 802.1axまたはIEEE 802.3adにおいて定義されているリンクアグリゲーション制御プロトコル(LACP:Link Aggregation Control Protocol)に準拠することができる。
【0036】
組み合わされた保護メカニズムをインバウンド方向において(イーサネットからテレコムトランスポートネットワークへ)実装するために、イーサネットラインカードにおけるマッピング機能が、LAGレイヤによってイーサネットインターフェースステータスを知らされる。インターフェースステータスがスタンバイまたはダウンである(たとえば、ラインが非アクティブである)ケースにおいては、マッピング機能は、トランスポートネットワークへ送信されることになる信号の選択をトリガーするためにローカルに使用されるVC−AISのようなプロプライエタリなインバンド表示を用いてコンテナ構造(たとえばVCG)をマークすることになる。アウトバウンド方向においては、障害によって影響されていないトランスポートチャネルが両方のイーサネットインターフェースへ転送される。
【0037】
LAG1+1を用いる2つのイーサネットラインカードの例(2つの接続されているライン、一方がアクティブ、一方がスタンバイ)においては、スタンバイインターフェースの表示が、VCG/ODUコントロールレイヤ内に埋め込まれている。スイッチングマトリックスは、トランスポートネットワークを介して伝送を行うためのアクティブなインターフェースを選択する。この例においては、トランスポートネットワークからのトラフィックは、両方のイーサネットラインカードを介してバイキャストされる。より複雑なネットワークシナリオにおいては、マトリックスは、LAG状態マシンを駆動する上でトラフィックが有効か(OK)または無効か(KO)をシグナリングすることができる。
【0038】
より詳細には、イーサネットラインカードは、リンクモニタリングコンポーネント220と結合されているマッパコンポーネント230を含むことができる。マッパコンポーネント230は、アップストリーム方向において伝送されるデータをカプセル化して、前記カプセル化されたデータをフレーム構造へと、具体的には、より高いレベルのフレーム構造、たとえば、仮想コンテナ(VC)、仮想連結グループ(VCG)、または、光トランスポートネットワーク(OTN)の光チャネルデータユニット(ODU)へとマップするように構成されることが可能である。それによって、非同期イーサネットデータは、同期データストリームを形成するデータユニットへと変換される。ダウンストリーム方向においては、より高いレベルのフレーム構造において受信されたデータユニットは、マッパコンポーネント230によってイーサネットパケットデータへと変換されることが可能である。加えて、マッパコンポーネント230は、(破線の矢印によって示されているように)イーサネットラインカード200によって提供された少なくとも1つのインターフェースのステータスに関する情報を受信して、前記受信された情報を、第2のインターフェース200bにおいて出力されることになるデータストリーム内に加えることができる。受信された情報は、マッパコンポーネント230によって生成されたデータユニットのオーバーヘッド部分に含まれることが可能である。既に上述されているように、アップストリーム方向における出力データストリームは、同期データユニット、たとえば、VCGまたはODUフレーム構造によるデータユニットを含むデータストリームであることが可能である。イーサネットインターフェースのリンクステータスに関する受信された情報を用いて、マッパコンポーネントは、それぞれのイーサネットインターフェースのデータを含むフレーム構造を、前記ステータスに従って、たとえば、VCGまたはODUフレーム構造につけ加えられるインバンドインジケータを使用してマークして、インターフェースステータスについてスイッチングコンポーネント130に知らせ、それによって、スイッチングコンポーネント130が、前記リンクステータス情報に基づいてトランスポートネットワーク部分120へ転送されることになるデータの選択をトリガーすることを可能にすることができる。
【0039】
図3は、スイッチングコンポーネント330に結合されている2つのイーサネットラインカード311、312を伴う例示的なイーサネットネットワーク部分310の概略図を示している。上で
図2に関連して記載されているように、それぞれのイーサネットラインカード311、312は、物理レイヤコンポーネント340、リンクモニタリングコンポーネント350、およびマッパコンポーネント360を含む。リンクモニタリングコンポーネント350は、イーサネットインターフェースの物理的なステータスをモニタするためにリンクアグリゲーショングループ(LAG:link aggregation group)メカニズムをサポートまたは実装することができる。イーサネットラインカード311、312は、それぞれのイーサネットラインカード311、312によって提供されているイーサネットインターフェースのステータスに関する情報を交換するために結合されることが可能である。加えて、リンク保護コンポーネント350は、(冗長な利用可能な)イーサネットインターフェースのステータスを定義するために、互いに、および外部のコンポーネント、たとえば、ルータ、スイッチ、または基地局と相互作用することができる。前記相互作用は、LACPを使用することによって実行されることが可能である。すべてのイーサネットインターフェースが正しく機能しているケースにおいては、リンク保護コンポーネント350は、どのインターフェースがスタンバイモードに入っているか、およびどのインターフェースがアクティブであるかを決定する。イーサネットラインカード311、312のインターフェースに障害が生じているケース、またはイーサネットラインカード311、312のうちの一方に破損/障害が生じているケースにおいては、リンク保護コンポーネント350は、更新されたイーサネットインターフェース構成を使用して代替の(1つまたは複数の)イーサネットインターフェースを通じてデータをルーティングすることができる。
【0040】
図4は、スイッチングコンポーネント430に結合されている2つのトランスポートネットワークラインカード411、412を伴う例示的なトランスポートネットワーク部分410の概略図を示している。それぞれのラインカード411、412は、トランスポートネットワーク部分410を通る独立した伝送パス410a、410bを提供するために使用されることが可能であり、トランスポートネットワークのそれぞれのリンクに接続されている。前記複数の伝送パス410a、410bは、障害状況のケースにおいて代替の伝送パス410a、410bを確保するための冗長性を提供することができる。障害状況に起因する故障に対してトランスポートネットワーク部分410を保護するために、ラインカード411、412(SDHまたはOTHラインカードであることが可能である)は、保護メカニズム、たとえば、サブネットワーク接続保護(SNCP:subnetwork connection protection)メカニズムを提供することができる。前記保護メカニズムは、1+1の保護スキームを提供することができ、すなわち、1つの機能している伝送パス410aが、スタンバイモードで駆動されているさらなる伝送パス410bによって保護される。言い換えれば、トランスポートネットワーク部分410の保護メカニズムは、エンドツーエンドの保護としてパス保護を提供することができる。
【0041】
トランスポートネットワーク部分410の保護メカニズムは、伝送パス410a、410bの現在のステータス(たとえば、アクティブ、スタンバイ、破損/障害)に関する情報を提供するように構成されることが可能である。前記ステータス情報は、ラインカード411、412からスイッチングコンポーネント430へ伝送されることが可能である。それによって、スイッチングコンポーネント430は、それぞれの伝送パス410a、410bのステータス(アクティブ、スタンバイ、破損)に関する情報を受信し、それらの情報は、障害状況のケースにおいて、イーサネットネットワーク部分から受信されたトラフィックを、正しく機能している伝送パス410a、410bへ適切に切り替えるために使用されることが可能である。
【0042】
図5は、2つのイーサネットラインカード511、512を伴うイーサネットネットワーク部分510と、2つのトランスポートネットワークラインカード521、522を伴うトランスポートネットワーク部分520と、スイッチングコンポーネント530とを含む例示的なデータトランスポートシステム500の概略図を示している。
【0043】
イーサネットラインカード511、512は、(破線によって示されているように)自分のイーサネットインターフェースまたはイーサネットリンクのステータス情報をスイッチングコンポーネント530に報告するように構成されている。既に上述されているように、ステータス情報は、インバンド通信、すなわち、イーサネットネットワーク部分からスイッチングコンポーネント530へ伝送されるデータのデータオーバーヘッド内に前記ステータス情報を埋め込むことを使用してスイッチングコンポーネント530に提供されることが可能である。加えて、トランスポートネットワーク部分520のトランスポートネットワークラインカード521、522は、(破線によって示されているように)それぞれのラインカード521、522によって提供されている伝送パスのステータスに関する情報をスイッチングコンポーネント530に提供することもできる。
【0044】
スイッチングコンポーネント530は、イーサネットインターフェースのステータスおよび伝送パスのステータスに従って、イーサネットネットワーク部分510から受信されたデータをトランスポートネットワーク部分520へ、およびその逆へ、すなわち、トランスポートネットワーク部分520から受信されたデータをイーサネットネットワーク部分510へルーティングするためのコントロールメカニズムを含むことができる。スイッチングコンポーネント530は、イーサネットインターフェースのステータス情報および伝送パスのステータス情報を分析するように構成されることが可能である。前記ステータス情報に基づいて、スイッチングコンポーネント530は、スイッチングコマンドを得ることができる。前記スイッチングコマンドは、イーサネットネットワーク部分のアクティブな、それぞれ、正しく機能しているイーサネットリンク、または正しく機能しているトランスポートネットワーク伝送パスへ接続されているそれぞれのポートへのトラフィックのルーティングを実行するスイッチングコンポーネント530のスイッチングユニットへ提供されることが可能である。イーサネットインターフェースのステータス情報と、伝送パスのステータスとを連携させることによって、複数の障害のケースにおいてさえ、データの適切な切り替えが可能であり、すなわち、伝送システムの回復力が高まる。
【0045】
代替として、または追加として、イーサネットネットワーク部分510のイーサネットインターフェースのステータスに関してトランスポートネットワーク部分520のパス保護メカニズムに知らせるために、イーサネットネットワーク部分510とトランスポートネットワーク部分520との間においてステータス情報を交換することができることも可能である。イーサネットネットワーク部分510のリンク保護メカニズムのコントロール情報と、トランスポートネットワーク部分520のパス保護メカニズムのコントロール情報とを結合すること、または連携させることによって、トランスポートネットワーク部分520のポートに関する切り替えの決定を行う際にイーサネットネットワーク部分510のイーサネットインターフェースのステータスを考慮することが可能である。たとえば、イーサネットインターフェースのステータスに基づいてトランスポートネットワーク部分520の特定の伝送パスを横断してトラフィックを切り替えることが可能である。
【0046】
図6は、データ伝送システム600のさらなる実施形態の概略図を示している。上述の
図5による実施形態と同様に、伝送システム600は、イーサネットネットワーク部分610、トランスポートネットワーク部分620、および、前記イーサネットネットワーク部分610と前記トランスポートネットワーク部分620とを結合するスイッチングコンポーネント630を含む。イーサネットネットワーク部分610は、冗長性を提供するために、並列接続でスイッチングコンポーネント630に接続されている2つのイーサネットラインカード611、612を含む。上述の実施形態とは対照的に、それぞれのイーサネットラインカード611、612は、複数のイーサネットインターフェースを含む。たとえば、それぞれのイーサネットラインカードは、それぞれのイーサネットラインカードによって同時に処理されることが可能である別々のクライアントまたはサービスに接続されている2つのイーサネットインターフェースを提供する。もちろん、それぞれのイーサネットラインカード611、612は、2つよりも多くのイーサネットインターフェース、一般にはn個のイーサネットインターフェースを提供することもでき、その場合には、n∈Nである。イーサネットラインカード611、612のセットは、複数のイーサネットサービスを受信することができる。イーサネットラインカードおよび伝送パスのステータスに応じて、それらの複数のイーサネットサービスは、イーサネットラインカード611、612によって提供される複数のイーサネットインターフェースにわたって分散されることが可能である。たとえば、2つのイーサネットサービスが、イーサネットラインカード611、612のペアによって提供される4つのイーサネットインターフェースの間において分散されることが可能である。一実施形態によれば、それぞれのイーサネットラインカード611、612は、アクティブなイーサネットインターフェースおよびスタンバイのイーサネットインターフェースを提供することができ、すなわち、2つのイーサネットサービスが、別々のイーサネットラインカード611、612を介して伝送される。インターフェース障害のケースにおいては、サービスは、同じイーサネットラインカード611、612のスタンバイのイーサネットインターフェースへ切り替えられることが可能である。
図6において示されているさらなる実施形態によれば、リンク保護メカニズムは、イーサネットラインカード611、612上で実装される2つのリンクアグリゲーショングループLAG−AおよびLAG−Bを使用し、それによってLAG1+1メカニズムを実装する。アクティブなイーサネットインターフェース(A、B)が、アクティブな仮想連結グループ(VCG−A、VCG−B)または光チャネルデータユニット(ODU−A、ODU−B)を提供する単一のイーサネットラインカード611によって実装されることが可能であり、その一方で、さらなるイーサネットラインカード612が、スタンバイのイーサネットインターフェース(A’、B’)およびスタンバイの仮想連結グループ(VCG−A’、VCG−B’)または光チャネルデータユニット(ODU−A’、ODU−B’)を提供する。したがって、たとえ1つのイーサネットラインカード611、612のすべてに破損および障害が生じたとしても、両方のイーサネットサービスは、他方のイーサネットラインカード611、612によって処理されることが可能である。
【0047】
イーサネットネットワーク部分610のリンク保護メカニズム、およびトランスポートネットワーク部分620のパス保護メカニズム、ならびに前記リンク保護メカニズムと前記パス保護メカニズムとを連携させるメカニズムは、ソフトウェアにおいて実装されることが可能である。あるいは、前記メカニズムは、障害の発生の後にサービスを切り替える反応時間を向上させるためにハードウェアにおいて実装されることも可能である。
【0048】
図7は、伝送システム700によって実行されることになるルーティングまたは切り替えを概略的に示している。既に上述されているように、イーサネットネットワーク部分710およびトランスポートネットワーク部分720は、データの適切なルーティングを実行するためにスイッチングコンポーネントとの間で情報を、具体的にはイーサネットインターフェースのステータス情報、それぞれ、伝送パスのステータス情報を交換するように構成されている。ルーティングは、セレクタ手段S1−S4によって実行されることが可能である。イーサネットリンクA(ETH)およびA’(ETH)のステータス情報(アクティブ;スタンバイ)、それぞれ、トランスポートネットワーク伝送パスA(TP)およびA’(TP)のステータス情報(正しく機能している:ok;障害が生じている:ko)に応じて、セレクタ手段S1−S4は、下記の例示的な切り替え/ルーティングのアクションを実行する:
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0049】
スイッチングコンポーネントにおける組み合わされたステータス情報の提案される使用法は、複数の障害を考慮に入れるフェイルセーフオペレーションを提供する。たとえば、上述の例においてイーサネットインターフェースA(ETH)およびトランスポートネットワークインターフェースA’(TP)に障害が生じた場合には、スイッチングコンポーネントは、それでもなおイーサネットインターフェースA’(ETH)とトランスポートネットワークインターフェースA(TP)との間においてトラフィックをルーティングし、それによってデータ伝送システムの安全なオペレーションを保証することができる。
【0050】
図8は、
図1または
図5に記載のデータ伝送システムをネットワークシナリオへと埋め込むことを示している。第1の外部機器800A、たとえば、ルータ、スイッチ、または基地局は、第2の外部機器800Bと結合されることが可能であり、前記外部機器は、たとえば、ルータ、スイッチ、または基地局によって構成されている。イーサネットネットワーク部分810A、トランスポートネットワーク部分820A、およびスイッチングコンポーネント830Aは、第1の外部機器800A(ひいては、外部機器800Aに接続されているクライアント)をトランスポートネットワーク850に結合することを提供する。同様に、イーサネットネットワーク部分810B、トランスポートネットワーク部分820B、およびスイッチングコンポーネント830Bは、第2の外部機器800B(ひいては、第2の外部機器800Bに接続されているクライアント)をトランスポートネットワーク850に結合することを提供する。イーサネットネットワーク部分810A、トランスポートネットワーク部分820A、およびスイッチングコンポーネント830A、それぞれ、イーサネットネットワーク部分810B、トランスポートネットワーク部分820B、およびスイッチングコンポーネント830Bは、高められた障害回復力、具体的には、イーサネットネットワーク部分およびトランスポートネットワーク部分、それぞれトランスポートネットワーク850における障害(たとえば、ラインの切断またはファイバの切断)に対する複数の障害回復力を提供するために、上述のように相互作用している。
【0051】
まとめると、データ伝送システムの障害回復力を改善するためのシステムおよび方法が提示されてきたわけであり、このシステムおよび方法は、保護メカニズムどうしを統合して障害カバレッジを広げ、その一方でコストを実質的に増大させることはない。保護メカニズムどうしを連携させることによって、イーサネット側での二重のインターフェース障害に、ならびにトランスポートネットワーク障害に対応することが可能である。簡略化された形態においては、連携メカニズムの本質は、アクティブなトラフィックを正しいインターフェース上に切り替えるためにトランスポートネットワーク部分におけるパス保護メカニズムのステータスをイーサネットネットワーク部分におけるLAG状態マシンに「知らせること」、およびその逆に、LAGのステータスに従って正しいパスの使用を可能にするためにLAGのステータスをパス保護メカニズムに知らせることにある。このプロトコルは、既存の機器内のソフトウェアにおいてリアルタイムではない保護スピードで、または適切なハードウェア強化を伴ってはるかに速い反応時間で実施されることが可能である。
【0052】
この説明および図面は、提案されている方法およびシステムの原理を例示しているにすぎないということに留意されたい。したがって、本明細書において明示的に説明または図示されていないが、本発明の原理を具体化し、本発明の趣旨および範囲内に含まれるさまざまな構成を当業者なら考案できるであろうということがわかるであろう。さらに、本明細書において列挙されているすべての例は、主として、提案されている方法およびシステムの原理、および、当技術分野を進展させることに対して本発明者らによって寄与されたコンセプトを読者が理解する際に役立つための教示上の目的のものにすぎないということが明示的に意図されており、また、そのような具体的に列挙された例および状況に限定されるものではないと解釈されるべきである。その上、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの特定の例を列挙する本明細書におけるすべての記述は、それらの均等物を包含することを意図されている。
【0053】
最後に、本明細書におけるあらゆるブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的な回路の概念的な図を表しているということに留意されたい。同様に、あらゆるフローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体において実質的に表されることが可能な、したがってコンピュータまたはプロセッサによって実行されることが可能な(そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず)さまざまなプロセスを表しているということがわかるであろう。
【0054】
図において示されているさまざまな要素の機能は、専用のハードウェア、ならびに、適切なソフトウェアとともにソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供されることが可能である。それらの機能は、プロセッサによって提供される場合には、単一の専用のプロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または複数の個別のプロセッサ(そのうちのいくつかは、共有されることが可能である)によって提供されることが可能である。その上、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアだけを指すと解釈されるべきではなく、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを暗に含むことができるが、それらには限定されない。その他のハードウェアが、通常のものであれ、および/またはカスタムのものであれ、含まれることも可能である。