(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293913
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】電気部品を接触させるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20180305BHJP
H01G 2/08 20060101ALI20180305BHJP
H01G 9/28 20060101ALI20180305BHJP
H01R 4/58 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
H01G1/14 J
H01G1/08 A
H01G9/00 531
H01R4/58 C
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-549345(P2016-549345)
(86)(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公表番号】特表2017-506823(P2017-506823A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】EP2014077985
(87)【国際公開番号】WO2015113695
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2016年8月9日
(31)【優先権主張番号】102014201631.2
(32)【優先日】2014年1月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー,マルティン
【審査官】
田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−112530(JP,A)
【文献】
特開2013−009501(JP,A)
【文献】
特開2001−307948(JP,A)
【文献】
特開2009−044891(JP,A)
【文献】
特開2011−233795(JP,A)
【文献】
特開2002−044964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/228
H01G 2/08
H01G 9/28
H01R 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に離間された一対の平坦な第1接続端子(3a,3b)を備える第1電気部品(1)と;
相互に離間された一対の平坦な第2接続端子(4a,4b)を備える第2電気部品(2)と;
導電性プレート(6)と
を備える装置(10)であって、
第1および第2接続端子(3a,3b;4a,4b)がそれぞれ対として導電接続されており、
前記導電性プレート(6)が、前記第1および第2の接続端子(3a,3b;4a,4b)から電気絶縁されており、第1および第2接続端子(3a,3b;4a,4b)の表面領域で第1および第2の接続端子(3a,3b;4a,4b)の下方に配置されている装置(10)において、
前記導電性プレート(6)が冷却プレートとして形成されており、該冷却プレートが、前記第1電気部品(1)の一側面に沿って面が平行になるように配置されており、前記第1電気部品(1)の作動時に生じる排熱を前記第1電気部品(1)から排出するように構成されている装置(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(10)において、
前記第1および第2接続端子(3a,3b;4a,4b)と前記導電性プレート(6)との間に配置された絶縁層(7)をさらに備える装置(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の装置(10)において、
前記絶縁層(7)が第2接続端子(4a,4b)に接着されており、前記導電性プレート(6)が絶縁層(7)に接着されている装置(10)。
【請求項4】
請求項1または2のいずれか一項に記載の装置(10)において、
絶縁層(7)が、前記第2接続端子(4a,4b)の間に低インダクタンスの容量経路を形成する高誘電率の誘電性薄膜を形成している装置(10)。
【請求項5】
請求項1に記載の装置(10)において、
少なくともいずれか1つの前記第1および第2の接続端子(3a,3b;4a,4b)の下方領域で、導電性プレート(6)に配置された多数の導電性の突起(8)をさらに備える装置(10)。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置(10)において、
前記第1電気部品(1)が薄膜コンデンサであり、前記第2電気部品(2)が電気バスバーである装置(10)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置(10)において、
平坦な第1接続端子(3a,3b)と平坦な第2接続端子(4a,4b)とが対として重ね合わされており、重ね合わされた対の接続端子がそれぞれ相互に最小間隔を有する装置(10)。
【請求項8】
電気部品(1;2)を接触させる方法(20)において、
第1電気部品(1)の平坦な第1接続端子(3a,3b)と第2電気部品(2)の平坦な第2接続端子(4a,4b)とを対として重ね合わせるステップ(21)と;
対の第1および第2接続端子(3a,3b;4a,4b)を導電接続するステップ(22)と;
対の第1接続端子および第2接続端子(3a,3b;4a,4b)の下方に導電性プレート(6)を配置するステップ(24)と、
を含み、
第1接続端子および第2接続端子(3a,3b;4a,4b)から導電性プレート(6)を電気絶縁する、
電気部品(1;2)を接触させる方法(20)において、
前記導電性プレート(6)が冷却プレートとして形成されており、該冷却プレートが、前記第1電気部品(1)の一側面に沿って面が平行になるように配置されており、前記第1電気部品(1)の作動時に生じる排熱を前記第1電気部品(1)から排出するように構成されている、
電気部品(1;2)を接触させる方法(20)。
【請求項9】
請求項8に記載の電気部品(1;2)を接触させる方法(20)において、
第1および第2接続端子(3a,3b;4a,4b)と導電性プレート(6)との間に絶縁層(7)を配置するステップ(23)をさらに含む電気部品(1;2)を接触させる方法(20)。
【請求項10】
請求項8または9に記載の電気部品(1;2)を接触させる方法(20)において、
前記第1電気部品(1)が薄膜コンデンサであり、前記第2電気部品(2)が電気バスバーである電気部品(1;2)を接触させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品、特に直流電圧中間回路と給電線とを接触させるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気エネルギー貯蔵セルから直流電流が取り出され、又は直流電流が電気エネルギー貯蔵セルに供給される。したがって、これまでの既知のエネルギー貯蔵セルの構造は、エネルギー貯蔵セルのオーム内部抵抗および特定のエネルギー密度もしくは電力密度を最適化するように設計されている。
【0003】
電気エネルギー貯蔵セルの多くの用途において、例えば総電圧、電圧範囲、エネルギー含量または電力密度などの所望の出力パラメータを設定するために、貯蔵セルは互いに直列または並列に配置され、バッテリモジュールとして接続されている。このようなエネルギー貯蔵セルから交流成分の増大した電流が取り出された場合、分配されたエネルギー貯蔵セルのインダクタンスの影響が周波数に応じて増大する。エネルギー貯蔵セルの誘導損失は、電極、極接続、およびケーシング内における電極の配置の個々の損失への寄与率から構成される。さらに、kHz範囲の作動周波数では表皮効果によって、電流伝送範囲における損失、および導電性の平面、例えばケーシングにおける渦電流が生じる場合がある。
【0004】
電気エネルギー貯蔵セルを制御するために使用される適宜なインバータおよびコンバータにおいても、誘導損失は、それぞれに使用される半導体スイッチング素子における過電圧をもたらす場合があり、このような過電圧により、半導体スイッチング素子の不可避的な破壊に至るまで構成部品に負荷が加えられる場合もある。上述のように、インバータおよびコンバータに関連して、構成部品にさらに負荷を加え、電磁耐性に関する問題を引き起こす渦電流や不都合な共振回路における振動が生じる場合もある。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009046914号明細書は、バスバーシステムのための結合装置を開示している。このバスバーシステムでは、インダクタンスが低減されており、第1のバスバー装置が単一の固定部材に結合されている。この結合装置は2つのブリッジ電極を含み、これらのブリッジ電極は、実質的に重ね合され、導電性であり、電気絶縁されている。この場合、それぞれの電極は、第1バスバー装置の正または負の電極と、同じ極性の電力モジュール入力接触部とを電気的に結合するように構成されている。それぞれのブリッジ電極は結合ラグを備え、結合ラグは、第1装置の重なり合う2つの接続端子のいずれか一方と電気的に結合するように構成されている。結合ラグおよび接続端子は全て単一の交差箇所で重なり、単一の固定部材によって固定される。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102012008750号明細書は、バスバーを備える中間回路を電気接続するためのアダプタを開示しており、アダプタは、結合ラグが段状に配置された導体レールからなる層状の構造を備える。
【0007】
しかしながら、高周波数の交流電流の取出しに関して、少ない誘導損失で電気部品間を電気接続するための解決策が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009046914号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102012008750号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一態様によれば、相互に離間された一対の平坦な第1接続端子を備える第1電気部品と、相互に離間された一対の平坦な第2接続端子を備える第2電気部品と、導電性プレートとを備える装置であって、第1および第2接続端子はそれぞれ対として導電接続されており、導電性プレートは、第1および第2の接続端子から電気絶縁されており、第1および第2接続端子の表面領域で第1および第2の接続端子の下方に配置されている装置を提供する。
【0010】
別の一態様によれば、本発明は電気部品を接触させる方法を提供し、方法は、第1電気部品の平坦な第1接続端子と第2電気部品の平坦な第2接続端子とを対として重ね合わせるステップと、対の第1および第2接続端子を導電接続するステップと、対の第1接続端子および第2接続端子の下方に導電性プレートを配置するステップとを含み、第1接続端子および第2接続端子から導電性プレートを電気絶縁する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の思想は、高頻度のスイッチングプロセスで電気接続が同時に行われることによって引き起こされる場合のある誘導損失を、電気部品の電気接続端子における渦電流を低減することによって抑制することである。このために、接続端子の下方または上方に導電性プレートが配置され、高周波の交流電流により導電性プレート内に、接続端子によって包囲された有効面積内に交流電流によって生成された磁界とは反対方向の磁界を生成する渦電流が生成される。これにより、電気部品の間の接触部の実効インダクタンスが低減され、誘導損失が低下する。
【0012】
特筆すべきは、この種の装置では、例えばスタックされた、または互いに重ね合された接続端子によって空間距離および/または沿面距離に関する要求を満たすことがもはや保証できない場合には、このように互いに重ね合された接続端子を使用しなくてもよいことである。さらに接続端子を相互に隣接させた配置により、接続端子を重ね合わせた端子幾何学形状に比べて容易に実施でき、コストに関して得られる利点も多大である。接続端子を重ね合わせた従来の構成部品の場合にもこのような電気接続は好ましい。なぜなら、他の構成部品との低インダクタンス結合による利点を失うことなしに、複雑な接続技術をなしで済ますことができるからである。
【0013】
本発明による装置では、特に、接続されたエネルギー貯蔵モジュールから高周波数の交流電流を取り出す場合の損失エネルギーを著しく低減できることが大きな利点である。
【0014】
特に、バッテリモジュールを流れる電流の迅速なスイッチングを行い、電圧を変化させる一体型インバータ、いわゆる「バッテリダイレクトインバータ(BDI:Battery Direct Inverter)」を備えるバッテリシステムでは、このように損失エネルギーが低減されることは大きな利点である。別の利点は、電気部品、例えば薄膜コンデンサのエネルギー出力又は負荷放電の遅延が、負荷変動の後に最小化されることにより、このようなエネルギー貯蔵モジュールの短期的ダイナミクスが改善されることである。これにより有利に、例えばバッファコンデンサのような、他の可能な形態で平滑化を行う構成要素を省略することができ、このような装置の所要構成スペースおよび製造コストを低減することができる。
【0015】
さらに、誘導損失部分を回避することによって電磁両立性(EMV)が改善される。なぜなら、放出される電磁場が低減され、隣接する電気部品に対する妨害作用を減じることができるからである。さらに、例えば表皮効果に起因するオーム損失が大幅に低減され、好ましくは効率の向上と、熱発生の低減が得られる。
【0016】
さらに電気部品の側面に設けられた冷却プレートが、同時にインダクタンスを低減するプレートとして使用された場合、同じ構成スペースと実施コストで最適な放熱をもたらし、誘導損失部分の低減を実現することができる。
【0017】
一実施形態によれば、さらに本発明による装置は、第1および第2接続端子と導電性プレートとの間に配置された絶縁層を備える。
【0018】
この場合、本発明による装置では、絶縁層を第2接続端子に接着し、導電性プレートを絶縁層に接着してもよい。
【0019】
本発明による装置の別の実施形態によれば、絶縁層は、第2接続端子の間に低インダクタンスの容量経路を形成する高誘電率の誘電層であってもよい。この場合、電気部品の間の接続端子の誘導性リアクタンスをさらに低減することが可能となる。
【0020】
代替的に、本発明による装置は多数の導電性の突起を含んでいてもよい。これらの突起は、少なくともいずれか1つの第1および第2の接続端子の下方領域で、導電性プレートに配置されている。
【0021】
本発明による装置の別の実施形態によれば、導電性プレートは冷却プレートとして形成されており、この冷却プレートは、第1電気部品の一側面に沿って面が平行になるように配置されており、第1電気部品の作動時に生じる排熱を第1電気部品から排出するように構成されている。このような冷却プレートは、電気部品の金属導体の放熱を確保するためにコンデンサなどの電気部品にもともと既に設けられている場合もある。インダクタンスを低減するという第2の機能を備えるこのような冷却プレートを使用することは特に有利である。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、第1電気部品は薄膜コンデンサであってもよく、第2電気部品は電気バスバーであってもよい。まさにこれら2つの部品の間では、バスバーに接続された半導体スイッチの切換プロセスにおいて生じる寄生インダクタンスの大幅な低減を達成することが望ましい。本発明による装置により、重なり合う往路‐および帰路導体を必要とすることなしにこのことを確保できる。
【0023】
本発明の実施形態のさらなる特徴および利点が添付の図面を参照した以下の説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態にしたがって、接続端子を備える電気部品の装置を示す概略的な等角投影図である。
【
図2】本発明の別の実施形態にしたがって、
図1に示した装置の接続端子の幾何学形状を示す概略断面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態にしたがって、
図1に示した装置の接続端子の幾何学形状を示す概略断面図である。
【
図4】本発明の別の実施形態にしたがって、電気部品を接触させる方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に使用する方向を示す用語、すなわち、「左側」、「右側」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「〜の上方に」、「〜の後方に」などの概念は、図面をより良く理解するためにのみ使用されるものであり、一般性を制限するものではない。同じ符号は、一般に同様の構成要素、または同じ作用を有する構成要素を示す。
【0026】
本発明の範囲では、接続端子は平坦な材料片であり、これらを用いて、例えば、ボルトとナット、ピン、またはリベットなどの結合手段を介して2つの構成部品を結合することができる。この場合、接続端子は、付属の構成部材の側面から外側に突出していてもよい。本発明の範囲では、接続端子は、付属の電気構成要素と外部との電気接触をもたらすことができるように、種々異なる導電性の材料、例えば金属材料から形成されていてもよい。本発明の範囲では、接続端子は、積層されていてもよいし、3次元的に充填されていてもよいし、および/またはアクティブな大きい表面によって形成されていてもよい。この場合、平坦な接続端子は様々な寸法を有していてもよい。接続端子の平坦な形状は、正方形、長方形、円形、楕円形、またはその他の任意の形状に形成されていてもよい。
【0027】
図1は、電気部品の装置10および接続端子を介したこれらの電気部品の電気接触を概略図で示す。装置10は、第1電気部品1、例えば薄膜コンデンサまたは電解コンデンサ、および第2電気部品2、例えば電気バスバーを含む。第1電気部品1は、側方に相互に離間された一対の平坦な第1接続端子3aおよび3bを備える。第2電気部品2は、側方に相互に離間された一対の平坦な第2接続端子4aおよび4bを備える。接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bはそれぞれの電気部品1もしくは電気部品2に堅固に結合され、導電接触している。例えば、接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bはそれぞれの電気部品1もしくは電気部品2と一体的に形成されていてもよい。接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bを別個の接続片としてそれぞれの電気部品1もしくは2に結合することも可能である。
【0028】
図1の実施例では、接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bは長方形のプレートとして示されているが、例えば、正方形、台形、円形または楕円形など他の端子形状も同様に可能である。接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bは、それぞれ対として相互に電気接触させられており、
図1に例示的に示すように、例えばボルト5などの結合手段を介して相互に結合されている。
【0029】
接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bは、それぞれの対がそれぞれ異なる電流方向の電流を備えていてもよいし、極性の異なる電圧を印加されてもよい。対の第1接続端子3aおよび3bならびに第2接続端子4aおよび4bが相互に最小間隔をおいて互いに隣接して配置されている場合には、第1電気部品1、第2電気部品2、および対として接続された両方の接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bによって包囲される面積Aが生じる。面積Aの周囲に円電流が流れる場合には、面積Aを通る磁場が生じる。面積Aが大きい程、接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bによって形成される端子幾何学形状の誘導性リアクタンスはより大きくなる。
【0030】
両極性を備える導電性要素の間の間隔をできるだけ小さく保持し、これらの要素によって包囲されるアクティブな貫流面を最小限にする、すなわち、導電性要素の誘導性インピーダンスを最小限にする方が一般に有利である。さらに、電流密度をできるだけ均一に分配するために、導電性要素をできるだけ大きい面積を備えるように構成した方が有利である。しかしながら、接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bの間の理想的な面接触は、例えば安全面の要求または技術的必然性などの所定の限界条件下にのみ可能である。したがって対の接続端子3aおよび3bもしくは4aおよび4bの間にはそれぞれ最小間隔が保持されるべきであり、この最小間隔により、端子幾何学形状の最小インダクタンスが得られる。特に、交流電流モードでは、表皮効果に基づいてオーム損失が生じ、その結果、接続端子3aおよび3bもしくは接続端子4aおよび4bの領域で電気部品1および電気部品2の不都合な加熱が生じる。
【0031】
したがって装置10には導電性プレート6が設けられており、この導電性プレート6は、第1および第2の接続端子3a,3b,4a,4bから電気絶縁されており、第1および第2の接続端子3a,3b,4a,4bの表面領域で第1および第2の接続端子3a,3b,4a,4bの下方に配置されている。接続端子3a,3b,4a,4bによって形成された第1電気部品1および第2電気部品2の端子のインダクタンスは直流電流モードでは変化しないか、または変化は本質的ではない。これに対して、交流電流モードでは、接続端子3a,3b,4a,4b内の電流によって生成された磁界とは反対方向に面積Aを通過する磁界を生成する渦電流が導電性プレート6内で誘導される。これにより、接続端子3a,3b,4a,4bの有効な誘導性リアクタンスが減じられる。
【0032】
これにより、一方では交流電流モードにおける装置10の誘導損失を低減することができ、他方では導電性プレート6が設けられていることにより、接続端子3a,3b,4a,4bではより好ましい電流密度分配がもたらされ、これにより、接続端子3a,3b,4a,4bではより少ないオーム損失およびより少ない熱発生が記録される。
【0033】
図2および
図3に概略的に断面図で示すように、導電性プレート6の配置のためには様々な可能性がある。見やすくするために、面積Aの寸法だけ間隔をおいて互いに横方向に向かい合って形成された下側の接続端子4aおよび4bのみが示されている。
【0034】
図2に示すように、接続端子4aおよび4bと導電性プレート6との間のガルバニック絶縁を確保するために、導電性プレート6は絶縁層7を介して接続端子4aおよび4bに結合されていてもよい。絶縁層7は、接続端子4aおよび4bの間に低インダクタンスの容量経路を形成する高誘電率の誘電体薄膜として構成されていてもよい。絶縁層7は、接続端子4aおよび4bもしくは導電性プレート6に接着してもよい。
【0035】
これに対して代替的には、
図3に示すように、エアギャップを介して接続端子4aおよび4bとの電気絶縁が確保されるように、接続端子4aおよび4bに対してより大きい間隔をおいて導電性プレート6を配置することも可能である。面積Aの下方、すなわち、第1および第2接続端子3aおよび3bもしくは4aおよび4bの少なくともいずれかの下方領域で、導電性プレート6に1つ以上の導電性の突起8またはドーム部を取り付けてもよい。両方の接続端子3aおよび3bもしくは4aおよび4bの下方に突起8を取り付けることも可能である。突起8は、適切な外形、例えば、平行六面体、ドーム状、半球状、またはピラミッド状の形状を有していてもよい。この場合、突起8の数は可変であり、個々の突起8の大きさおよび接続端子3aおよび3bもしくは4aおよび4bの面積に適合されている。
【0036】
さらに装置10では、第1電気部品1または第2電気部品2の側面に取り付けられた冷却プレートを導電性プレート6として利用することも有利である。この場合、冷却プレートは、第1電気部品1または第2電気部品2の側面に沿って面が平行になるように配置されていてもよい。例えば、冷却プレートは、第1電気部品1または第2電気部品2の作動時に生じる排熱を周辺に排出するように構成された熱伝導率の高い材料からなる金属層を含んでいてもよい。
【0037】
冷却プレートは、第1電気部品1または第2電気部品2の側面から突出し、接続端子4aおよび4bの下方を案内されていてもよい。これにより、冷却プレートは、一方では接続端子4aおよび4bの下方で渦電流を誘導するために利用し、他方では、第1および第2電気部品1および2の接続部の放熱を行うことができる。
【0038】
図示の装置10は、例えば、高周波の交流電流がエネルギー貯蔵セルから取り出されるシステム、例えば制御周波数が約100Hzを超えるバッテリ直流コンバータで使用することもできる。これらのシステムでは、高い交流電流周波数に起因する誘導損失を最小限にすることができる。同時に、エネルギー貯蔵セルの応答特性が改善され、システムの動特性および信頼性が著しく改善される。
【0039】
図4は、電気部品を接触させる方法20の概略図を示す。方法20は、特に
図1〜
図3に関連して説明した装置10を製造するために使用することができる。第1ステップ21では、第1電気部品1、例えば薄膜コンデンサの第1の平坦な接続端子3a,3bと第2電気部品2、例えば電気バスバーの第2の平坦な接続端子4a,4bとが対として重ね合わされる。第2ステップ22では、対の第1接続端子3a,3bおよび第2接続端子4a,4bの導電接続が行われる。随意に、ステップ23で、絶縁層7が第1接続端子3a,3bまたは第2接続端子4a,4bと導電性プレート6との間に配置される。最後にステップ24で、導電性プレート6が対の第1接続端子3a,3bまたは第2接続端子4a,4bの下方に配置され、導電性プレート6は、第1接続端子3a,3bまたは第2接続端子4a,4bから電気絶縁される。