(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293940
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】非定型ゴング、非定型ゴングを備える時打ち機構を有する時計、及びゴングの製造方法
(51)【国際特許分類】
G04B 21/06 20060101AFI20180305BHJP
G10K 1/06 20060101ALI20180305BHJP
G10K 1/10 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
G04B21/06
G10K1/06
G10K1/10
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-28612(P2017-28612)
(22)【出願日】2017年2月20日
(65)【公開番号】特開2017-151101(P2017-151101A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】16157723.4
(32)【優先日】2016年2月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ユネス・カドミリ
(72)【発明者】
【氏名】トマ・フランニュ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ・サルチ
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
スイス国特許発明第00708036(CH,A5)
【文献】
特公昭50−009441(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 21/06
G10K 1/06
G10K 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計(1)の時打ち機構のためのゴング(3、3’)であって、前記ゴング(3、3’)は、直線部(3a、3a’)及び前記直線部(3a、3a’)に接続した曲線部(3b、3b’)を含むワイヤ又は条片の形態である、ゴング(3、3’)において、
前記ゴングは、既定の形状点において、前記ゴングの長さ部の一部分の上に少なくとも2つの切欠き(5a、5b)又は中空又は溝を含み、1kHzから5kHzの間の可聴範囲内の少なくとも2つの自然振動周波数に適合するようにすること、及び前記2つの周波数の間の比率は、数N+dであり、但し、Nは2よりも大きいかそれに等しい整数であり、d/Nは、−0.01から+0.01の間を含み、振動する前記ゴングが生成する音が調和音であるようにすることを特徴とする、ゴング(3、3’)。
【請求項2】
前記2つの切欠き(5a、5b)又は中空又は溝は、前記直線部(3a、3a’)内に作製することを特徴とする、請求項1に記載のゴング(3、3’)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの切欠き(5a、5b)又は中空又は溝は、前記曲線部(3b、3b’)内に作製することを特徴とする、請求項1に記載のゴング(3、3’)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの切欠き(5a、5b)又は中空又は溝は、前記直線部(3a)内に作製すること、及び前記少なくとも3つの切欠き(5c、5d、5e)又は中空又は溝は、円形形状の前記曲線部(3b)内に作製し、少なくとも2つの自然振動周波数を1kHzから5kHzまでの前記可聴範囲内で調整して所望の音符又は音を得るようにすることを特徴とする、請求項1に記載のゴング(3、3’)。
【請求項5】
前記1つの切欠き(5a’)又は中空又は溝は、前記直線部(3a’)内に作製すること、及び前記2つの切欠き(5b’、5c’)又は中空又は溝は、前記曲線部(3b’)内に作製することを特徴とする、請求項1に記載のゴング(3、3’)。
【請求項6】
前記各切欠き(5a、5b、5c、5d、5e、5a’、5b’、5c’)又は溝は、前記ゴング(3、3’)の幅全体にわたって作製することを特徴とする、請求項1から5のうちいずれか一項に記載のゴング(3、3’)。
【請求項7】
前記ゴングの2つの端部は、前記時打ち機構の単一のゴング支持体(2)への取付けを意図すること、及び前記直線部(3a)及び前記曲線部(3b)を有する前記ゴングは、アルファベット文字の形態を取り、修正部分(3c)は、前記曲線部(3b)の中央部分内に画定することを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか一項に記載のゴング(3、3’)。
【請求項8】
前記各切欠き(5a、5b、5c、5d、5e、5a’、5b’、5c’)は、モード形の唯一の形状の腹のうちの1つと対応して、前記ゴングの長さ部上に置き、前記ゴングの周波数は、1kHzから20kHzの間を含むことを特徴とする、請求項1に記載のゴング(3、3’)。
【請求項9】
前記ゴングの厚さは、前記ゴングの全長にわたって同一であること、及び前記ゴングの全体厚さ部内の各切欠き(5a、5b、5c、5d、5e、5a’、5b’、5c’)又は中空又は溝の深さは、同一であることを特徴とする、請求項1から8のうちいずれか一項に記載のゴング(3、3’)。
【請求項10】
請求項1から9のうちいずれか一項に記載の少なくとも1つのゴング(3、3’)を備える時打ち機構を含む時打ち時計(1)であって、前記時打ち機構は、前記ゴング(3、3’)を接続する少なくとも1つのゴング支持体(2)、及び少なくとも1つのハンマ(4、4’)を含み、前記少なくとも1つのハンマ(4、4’)は、決定した瞬間で、前記ゴングを含む平面に実質的に直交する垂直方向で下から前記ゴングを打つことができ、前記ゴング支持体(2)は、板と一体であるか、又は中板(8)若しくはガラス縁若しくは時計裏蓋の内壁と接触して配設する、時打ち時計(1)。
【請求項11】
前記ゴング支持体(2)は、中板(8)又はガラス縁又は時計裏蓋の内壁と接触して取り付けること、前記ゴング(3、3’)の前記直線部(3a、3a’)の少なくとも一端、又は前記曲線部(3b、3b’)の少なくとも一端は、前記ゴング支持体に取り付けること、及び前記ゴング(3、3’)の少なくとも上側面は、前記時計(1)のガラスを通じて見え、前記切欠き(5a、5b、5c、5d、5e、5a’、5b’、5c’)又は中空又は溝は、前記ゴングの下面に作製することを特徴とする、請求項10に記載の時打ち時計。
【請求項12】
前記時打ち機構は、第1のハンマ(4)が下から打つことができる第1のゴング(3)、及び第2のハンマ(4’)が下から打つことができる第2のゴング(3’)を含むこと、前記第1のゴング(3)は、少なくとも1つのゴング支持体(2)に取り付けた2つの端部を有すること、前記第2のゴング(3’)は、同じ前記ゴング支持体(2)又は第2のゴング支持体(2’)に取り付けた前記直線部(3a’)の一端又は前記曲線部(3b’)の一端を有し、前記ゴング支持体(2)又は前記第2のゴング支持体(2’)は、前記中板(8)の内壁と接触して配設することを特徴とする、請求項10に記載の時打ち時計(1)。
【請求項13】
前記第1のゴング(3)及び前記第2のゴング(3’)は、前記ゴング支持体(2)との一体部品を形成すること、前記第1のゴング(3)の前記直線部(3a)は、前記第2のゴング(3’)の前記直線部(3a’)に平行に配設し、前記第2のゴング(3’)の端部は、前記ゴング支持体(2)に取り付けること、並びに前記2つのゴング(3、3’)は、前記各ゴングの下面に作製した前記切欠き(5a、5b、5c、5d、5e、5a’、5b’、5c’)又は中空又は溝と同じ平面に配設することを特徴とする、請求項12に記載の時打ち時計(1)。
【請求項14】
前記第1のゴング(3)は、少なくとも2つの前記切欠き(5a、5b)又は溝を前記直線部(3a)内に含み、少なくとも3つの前記切欠き(5c、5d、5e)を前記曲線部(3b)内に含むこと、及び前記第2のゴング(3’)は、少なくとも1つの前記切欠き(5a’)又は溝を前記直線部(3a’)内に含み、少なくとも2つの前記切欠き(5b’、5c’)を前記曲線部(3b’)内に含むことを特徴とする、請求項13に記載の時打ち時計(1)。
【請求項15】
時計(1)の時打ち機構のための、請求項1から9のうちいずれか一項に記載の少なくとも1つのゴング(3、3’)を製造する方法であって、前記方法は、
−前記ゴングが振動する際に選択標的値に近い自然周波数を生成するため、各部品を他方から個別に寸法決定することによって、前記ゴング(3、3’)の前記直線部(3a、3a’)の有効長さ及び前記曲線部(3b、3b’)の有効長さを決定するステップ、
−前記振動するゴングから調和音を生成するために、既定の形状点で、前記ゴングの長さ部の上に前記ゴング(3、3’)の下面に切欠き(5a、5b、5c、5d、5e、5a’、5b’、5c’)又は中空又は溝を形成することによって、前記ゴング(3、3’)の前記自然周波数を厳密にするステップ
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記切欠き(5a、5b、5c、5d、5e、5a’、5b’、5c’)又は中空又は溝は、フライス加工によって、前記ゴングの幅全体にわたり、前記ゴングの全体厚さ部内に作製することを特徴とする、請求項15に記載の少なくとも1つのゴング(3、3’)を製造する方法。
【請求項17】
前記方法は、文字形状の構造を画定するように、前記ゴングの前記曲線部(3b)の形状を中央部分の上で修正することにある、別のステップを含むことを特徴とする、請求項15に記載の少なくとも1つのゴング(3、3’)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計時打ち機構のための非定型形状ゴングに関する。
【0002】
本発明は、少なくとも1つの非定型形状ゴングを備える時打ち機構を有する時計にも関する。
【0003】
本発明は、時計時打ち機構のための非定型形状ゴングを作製する方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
時計製造の分野では、ミニッツ・リピーター等の時打ち機構を備えるムーブメントを作製するために、従来の構造を使用している。そのような実施形態では、使用する1つ又は複数のゴングはそれぞれ、金属ワイヤによって形成し、この金属ワイヤは、通常、円形形状であり、時計文字盤と平行な平面に置かれる。各ゴングの金属ワイヤは、一般に、ムーブメントの周囲で、時計フレーム内部の、ムーブメントの様々な部品を組み付ける板の上に配置する。各ゴングの1つ又は複数の端部は、例えばはんだ付けによって、板と一体であるゴング支持体に固定し、このゴング支持体は、例えば全てのゴングに共通であってもよい。各ゴングのもう一方の端部は、一般に、自由であってもよい。
【0005】
時計時打ち機構は、所定の時間で作動する少なくとも1つのハンマも含む。ゴングの振動は、対応するハンマの衝撃によって、ゴングの上で、ゴング支持体の近傍で生成される。各ハンマは、一般に、ゴング(複数可)の平面において部分回転を行い、対応するゴングを打ち、ゴングをその平面、即ち時計の裏蓋又は文字盤に平行なX−Y平面内で振動させるようにする。ゴングの振動の一部は、ゴング支持体によって板にも伝達される。
【0006】
時計ムーブメントの周囲にある円弧形状のゴングの従来の構成では、ハンマを打った後、音をより純粋又はより調和させることは容易ではなく、このことは、欠点とみなされることが多い。
【0007】
ミニッツ・リピーター時計では、振動・音響の広がりを改善するため、第1に、機構からのノイズを、調節要素を介して制限すること、第2に、異なる外部要素を介して音量を増大させるといったことが想定可能である。しかし、外部時計部品によって広げられる振動を生成するゴングを最適化することは、想定されていないことが多い。
【0008】
上記のように、ゴングは、一般に、円弧形状を取り、時計ムーブメントの周り、又は上記時計ムーブメントの上に配設する。振動周波数は、ゴングの寸法、即ち、ゴングの長さ及び断面、並びにゴングを構成する材料に従って適合させる。
【0009】
しかし、各振動ゴングの固有の周波数は、振動するゴングが作る調和音が互いに調整状態にないため、適切に制御されていない。したがって、対応するハンマが打つと、時打ち機構の1つ又は複数のゴングは、何らかの不協和音、したがって不調和音を伴った音を生成し、このことは、欠点とみなされる。
【0010】
チタン又はチタン合金製の少なくとも1つのゴングを有する計時器時打ちデバイスを開示しているスイス国特許出願第708036A2号をこの点について引用することができる。2つの振動するゴングを設けることができ、これらのゴングは、対応するハンマによってそれぞれ打たれる。ゴングのうち1つは、規定の位置で、ゴングの長さ部にわたっていくつかの貫通孔又は非貫通中空を含み、所望の音楽の高さ及び音の継続時間を得るようにする。ゴングは、円形部分として構成する。しかし、ゴングの寸法に従って可聴範囲内で調和音及び十分な数の部分音を得るための、各ゴングのいくつかの主な振動周波数の調整については記載されておらず、このことは、欠点とみなされる。
【0011】
米国特許第3,013,460号は、いくつかの数の条片を有する音楽コームを開示しており、条片は、全てかかと部分で一体に接続されている。コームは、かかと部分の上部にあるカバー板内の開口を貫通し、かかと部分の開口を貫通するねじによって、板の上に固定することができる。ある厚さをもつ条片は、回転輪によって調節され、この回転輪は、かかと部分から、各条片の一部分を越えて移動し、音楽コームのメロディを調節することができる。板のカバーは、各条片の機械加工部分を隠すように働く。しかし、調和音を得るための各条片のいくつかの主な振動周波数の調整については、記載されておらず、このことは、欠点とみなされる。
【0012】
米国特許第7,746,732B2号は、時打ちデバイスのためのゴングを開示している。このゴングは、ゴング支持体へのゴング取付け部と、ゴングの自由移動端部との間で、ゴングの全長に沿って増大する断面を有する又は断面が連続的に変化するように構成し、ゴングを打ったときに発せられる音の豊かさ及び質を高めるようにすることができる。上述の文献と同様に、調和音を得るために、どのようにゴングのいくつかの主な振動周波数を調整するかについては、記載されておらず、このことは、欠点とみなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】スイス国特許出願第708036A2号
【特許文献2】米国特許第3,013,460号
【特許文献3】米国特許第7,746,732B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、調和音を伴うが不協和音を伴わずに可聴振動をより容易に生成するために、時計時打ち機構のための非定型形状ゴングを提供することによって、従来技術の欠点を克服することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的で、本発明は、上記した時計時打ち機構のための非定型形状ゴングに関し、非定型形状ゴングは、独立請求項1で定義する特徴を含む。
【0016】
ゴングの特定の実施形態は、従属請求項2から9で定義する。
【0017】
本発明による時打ち機構のための非定型又は独特のゴングの1つの利点は、このゴングを協和・調和メロディの間隔を保証するように構成することにある。ゴングは、好ましくはゴングに沿って配置した切欠きである形状調整点を含む。ゴングは、規定の場所でその長さ部の上に作製した少なくとも2つの切欠きを含むことができる。好ましくは、ゴングを時計ケースの内部に組み付けた後、これらの切欠きは、時計ケースの外側からは見えない部分に作製される。
【0018】
有利には、2つ以上の切欠きは、外側からは見えないゴングの一部の上に作製することができ、いくつかの周波数の微調節を可能にする。したがって、少なくとも2つの周波数、更には3又は4又はそれ以上の周波数を切欠きの数に応じて調節することができる。良好に規定した場所で、ゴングの長さ部の上に作製、配置した切欠きを用いると、通常のゴングよりも短い場合でさえ、振動するゴングの部分音の数を0から5kHzまでの可聴範囲内で増大させることが可能である。5kHzを上回る周波数は、強度、豊かさ及び明るさを音に加える。周波数は、手で、又は機械加工ロボットを用いて自動的に、これらの切欠きを作製することにより微調節が可能である。
【0019】
有利には、主な振動周波数が互いに十分に調整した状態にあることを保証する上記ゴングを構成することが可能である。これらの周波数の調整は、西洋又は東洋又はアフリカの音楽コードに従って規定することができる。
【0020】
有利には、ゴングは、少なくとも1つの直線部及び1つの曲線部を備えることができる。ゴングの少なくとも一端は、ゴング支持体に取り付けることを意図するが、ゴングの両端を同じゴング支持体に取り付けることが想定可能である。少なくとも1つの切欠きは、直線部の上に作製し、別の切欠きは、曲線部の上に作製する。更に、曲線部は、Bの文字を美しく表すように修正した一部分を有することができる。この美的外観は、ゴングが時計ガラスを通して時計ケースの外側から見える状況では、必要である場合がある。
【0021】
この目的で、本発明は、独立請求項10で定義する特徴を含む、時打ち機構を有する時計にも関する。
【0022】
時計の特定の実施形態は、従属請求項11から14で定義する。
【0023】
有利には、時計ケース内部に組み付けた、時打ち機構の非定型形状ゴングの構成の場合、時計の音量を可聴範囲内で改善することも可能である。したがって、外部部品に対する自然周波数のために、1つ又は複数のゴングの部分音を調整することが可能である。更に、切欠きをゴング内にもたらすことにより、製造する時計の全ての間でメロディ調整の均一性を保証する。
【0024】
有利には、時打ち機構は、2つのゴングを備え、2つのゴングはそれぞれ、ゴング支持体に取り付けられ、互いから別々に調整され、それぞれが、時又は分を表示する特定の音を生成するようにする。各ゴングは、調和音を生成するように、その長さ部にわたって少なくとも2つの切欠きを有することができる。ゴングは、文字盤と平行に、時計ガラスの下に組み付けられ、時計ガラスを通して見えるようにする。したがって、ゴングの切欠きは、時計の外側からは見えない表面に作製する。
【0025】
本発明は、時計時打ち機構のための少なくとも1つの非定型形状ゴングを製造する方法にも関し、方法は、独立請求項15の特徴を含む。
【0026】
ゴングの製造方法の特定のステップは、従属請求項16及び17で定義する。
【0027】
時計時打ち機構のための非定型形状ゴングの目的、利点及び特徴、並びに時打ち機構を有する時計の目的、利点及び特徴は、具体的に図面を参照する以下の説明においてより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による、振動周波数を適合させた時打ち機構の非定型形状ゴングの一実施形態の上面図である。
【
図2】
図1に表した本発明によるゴングの一実施形態の上面図であり、ゴングは、美的観点から修正した部分を有する。
【
図3】
図2のゴング横断図であり、特に直線部分は、本発明による調和音を生成するいくつかの周波数のために微調整した切欠きを示す。
【
図4】本発明による時打ち機構の一部を形成するゴングの一実施形態の底面図である。
【
図5】時打ち機構を有する時計の3次元図であり、時打ち機構は、
図2に示す本発明による少なくとも1つのゴングを含む。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明では、ハンマによって打つことを意図する少なくとも1つのゴングを含む時打ち機構を有する時計の、当技術分野で周知である全ての要素は、手短に説明するにすぎない。
【0030】
図1は、通常、時計時打ち機構(図示せず)の一部を形成する非定型形状ゴング3の一実施形態を示す。ゴング3は、一定の長さ、幅及び厚さをもつワイヤ又は条片の形態を取る。ゴング3は、ゴング3を時打ち機構のハンマが打つ際に不協和音を伴わずに調和音を生成できるように構成し、そのように作製する。ゴング3は、例えば時計のガラスを通して見ることができるように、上面図で示す。ゴング3は、その端部の一方を時打ち機構のゴング支持体2に取り付けても、図示のように、両端をゴング支持体2に取り付けてもよい。ゴング3は、直線部3aを備え、直線部3aは、部分的に円形形状であり得る曲線部3bに接続する。図の破線は、直線部3aと曲線部3bとの間の接続境界を示す。直線部3a及び曲線部3bは、好ましくは、組み付けた後に時計の文字盤と平行であり得る同じ平面内にある。
【0031】
ゴング3は、成形又はワイヤ圧延若しくはワイヤ切断作業、又は機械加工デバイスによる金属材料板の打抜きによって得ることができる。ゴング3は、ゴング支持体2と一体に作製することができるが、溶接又ははんだ付けによって上記ゴング支持体2に固着させることもできる。好ましくは、ゴングは、長方形断面を有するが、円形であってもよい。好ましくは、この断面は、振動周波数の調節前、ゴングの長さ部全体を通じて同一である。ゴングは、非晶質金属又は金属ガラスから作製しても、金若しくは白金、更には真鍮、チタン、アルミニウム、又は同様の密度、ヤング率及び弾性限度を有する別の材料若しくは金属合金から作製してもよい。金属ガラスは、例えば、ジルコニウム、金、白金の基体、又は金パラジウム、白金及び銀、又は非晶質形態で固化し得る別の金属から作製することができる。
【0032】
図2に示すように、ゴング3は、曲線部3b上に作製した修正部分3cも備えることができる。この修正部分3cは、例えば、上から見るとBの文字を表すように曲線部3bの中央部分上に作製する。このB字形状ゴングは、時計ケース内部に組み付けた後、時計のガラスを通して見ることができ、時計のブランドのシンボルを画定する。
【0033】
直線部3a、曲線部3b、及び可能性としては曲線部3b上の修正部分3cを有する、この種類のゴング3の寸法決定は、3つの主な製造ステップで行われる。
【0034】
第1のステップは、部品が、所望の調律のために選択した標的値に近い自然な周波数を生成できるように、互いに個別に、ゴングの有効長さを決定することにある。このことを達成するために、直線部3aを単体で寸法決定し、曲線部3bも単体で寸法決定する。一緒に接合した2つの部品3a及び3bは、おおまかに寸法決定したゴング3をもたらす。2つの部品3a及び3bは、同じゴング支持体2に接続することができるが、直線部3aのみをゴング支持体2に接続する、又は曲線部3bのみをゴング支持体2に接続することも可能である。
【0035】
第2のステップは、所望の美的外観を有する特定の構造を画定するように、ゴングの形状をわずかに修正することにある。この特定の構造は、時計ブランドのシンボルを表すBの字等の文字の形状とすることができる。この点について、前述のように、修正部分3cは、曲線部3b上、例えば上記曲線部3bの中央部分の上に作製する。
【0036】
最後に、第3のステップは、
図3に示す切欠き5a、5b、又は中空若しくは溝を作製することによって、ゴング3の自然周波数を厳密にすることにある。
図3に示す切欠き5a及び5bは、直線部3a内に作製しているが、他の切欠き又は中空又は溝を曲線部3b上に作製することもできる。これらの切欠き5a及び5bは、ゴングを時計ケース内部に組み付けた後、時計のガラスを通して直接見えないように、ゴング3の下面に作製する。
【0037】
各切欠き5a、5bは、特にフライス加工によって、ゴングの厚さ部内に、ゴングの幅全体に対して一定の深さをもつ中空を画定するようにプログラムした機械加工ロボットにより機械加工する。第1の切欠き5a又は溝は、ゴングの直線部3aの長さ部d1にわたり、ゴングの全体厚さ部における既定の深さまで機械加工することができる。第2の切欠き5bは、ゴングの直線部3aの長さ部d2にわたり、ゴングの全体厚さ部における既定の深さまで機械加工することができる。2つの切欠きの深さは、好ましくは同じとすることができるが、2つの切欠きを、ゴングの全体厚さ部において異なる深さで作製するという想定が可能である。2つの切欠き5a、5bは、ゴング3の幅全体にわたって機械加工することができる。
【0038】
切欠き5a、5b又は中空又は溝は、ゴング3の局所剛性を低減することに留意されたい。また、ハンマが打った後のゴング3の振動期間を増大し、これによって外部からの衝撃に対する抵抗を減らすことはなく、有利である。図示のように、直線部3a内の第1の切欠き5aは、ゴング支持体2の近くに作製する一方で、第2の切欠き5bは、直線部3aと曲線部3bとの接続部の近くに作製する。切欠き5a、5b又は中空又は溝は、ゴングの周波数を微細に調整し、形状点において、ゴングの一定の自然周波数の節及び/又は腹である所望の周波数を得ることを可能にする。
【0039】
このことは、可聴範囲内で振動するゴングの部分音の数を著しく増大することを可能にし、これによってゴングのサイズ、即ちゴングの長さを修正することはない。その上、ゴングの振動が生成し時計の外部部品が広げる音を、メロディの点で純粋で豊かなものにすることができる。
【0040】
ゴングを寸法決定するための従来の単純な従来技術の形状では、ゴングが生成する周波数の選択的な調整をすることができない。形状を修正すると、生成される周波数の全て、又はそのような周波数のほとんどに対し例えば100Hzを越える著しい全体的なドリフトを生じさせる。
【0041】
そのようなゴングの寸法決定及び調整の非限定的な例として、ゴングを例えばFシャープと同様の音符を生成するように構成する。この調性を複数周波数音内で生成するために、ゴング3は、以下の表に示すように、Fシャープ5の音に対応する少なくとも1480Hz、及びFシャープ6の音に対応する2960Hzに等しい自然周波数を有さなければならない。
【0042】
当然、他の音符は、ゴング3の長さ、幅及び厚さ、音符を作るゴング3の形状及び材料に従って選択することができる。ゴング3の主な振動周波数は、西洋の音楽コード、即ちCマイナー、Cメジャー、Dメジャー、Gメジャー等、又は東洋若しくはアフリカ音楽で互いに同調状態にあることを保証可能である。
【0043】
図示しないが、ゴング3について、ゴングの直線部3aの自然周波数及び曲線部3bの自然周波数のうちの1つのモード形及び周波数を規定することが可能である。このことは、2つの部品3a、3bの自由端において、モード形の連続性、即ち、一端に存在する節があるように、単純な支持境界条件で規定する。これら2つの部品3a、3bの形状は、これらの周波数が所望の周波数に近いように別々に最適化する。両方ともゴング支持体2に接続した直線部3a及び曲線部3bによって形成したゴング3の場合、直線部3aのモード形は、2つの腹を有し得る一方で、曲線部3bのモード形は、3つの腹を有し得る。これらの条件では、切欠きは、ゴング3の各部品のモード形の各腹上に設けることができる。
【0044】
上記した手順は、所望の周波数2960Hzに近い別の自然周波数を得るために再現される。例として、以下の表は、
図1による、修正部分及び切欠きを伴わないゴングの可聴範囲内の自然周波数、
図2による、修正部分3cを伴うが切欠きを伴わないゴングの可聴範囲内の自然周波数、並びに
図2及び
図3による、修正部分3c及び切欠き5a、5bを伴うゴングの可聴範囲内の自然周波数を設定している。
【0046】
前述のように、切欠き又は中空又は溝は、ゴングの周波数を微調整し、所望の周波数を得ることを可能にする。所望の周波数は、上記の表では太字で記した周波数である。表の3番目の列で示すように、可聴範囲内、特に0から5kHzの間でゴングの部分音の数を著しく増加させることも得られる。というのは、音の調性は、この可聴範囲内の周波数成分によって決定されるためである。5kHzを超える周波数では、音の調性は、強度、豊かさ、及び明るさを音に加える。このことは、調和したメロディ音で、不協和音を伴わずにゴングを振動させることを可能にする。
【0047】
図4は、時計の時打ち機構の一部を形成する2つのゴング3、3’の構成の一実施形態を示す。2つのゴング3、3’のみを下面図で表しており、それぞれのゴング支持体2、2’に取り付けるか、又は同じゴング支持体2に取り付ける。第1のゴング3は、上記の
図1から
図3を参照しながら説明したものであり、アワー・ゴングである。第2のゴング3’も、直線部3a’及び曲線部3b’を含み、ミニッツ・ゴングである。第1のゴング3は、例えば、第2のゴング3’よりも長く作製する。
【0048】
時打ち機構の2つのゴング3、3’の2つの直線部3a、3a’は、好ましくは、互いに平行に配置する。しかし、2つの直線部3a、3a’は、互いに対して特定の角度で配設してもよい。第1のゴング3の曲線部3bは、直線部3aの自由端から第2のゴング3’の曲線部3b’に反対方向で延在し、曲線部3b’は、その直線部3a’の自由端から延在する。直線部3a、3a’及び曲線部3b、3b’は、好ましくは、以下で示すように、時計の文字盤と平行である同じ平面内に配設する。
【0049】
第1のゴング3は、好ましくは両端をゴング支持体2に取り付ける一方で、第2のゴング3’は、直線部3a’の一端のみをゴング支持体2’に取り付ける。曲線部3b’の一端である第2のゴング3’のもう一方の端部は、自由である。しかし、第2のゴング3’をその曲線部3b’でゴング支持体2’に取り付け、直線部3a’の一端を自由にしておくという想定も可能である。
【0050】
時計時打ち機構の2つのゴング3、3’のそのような構成の非限定的な例示的実施形態として、これらのゴング3、3’を貴金属、例えばグレー・ゴールドで作製することが可能である。ゴング3、3’は、好ましくは、長方形断面を有する条片の形態で作製する。ゴング3、3’は、ゴング支持体2と共に一体に形成することができる。
【0051】
第1のゴング3は、25mmから35mmの間、例えば約30.1mmを含む長さの直線又は線状部3a、及び15mmから20mmの間、例えば約17.3mmを含む半径円弧形状の曲線部3bを有することができる。単に美的観点から修正した部分3cは、曲線部3bの中央部分内に2つの半径7mm及び3.7mmで作製する。ゴング3の幅は、0.5mmから1mmの間、好ましくは0.6mmを含むことができ、好ましくは、第1のゴング3の一端からもう一方の端部までと同一である。ゴング3の全体厚さは、その全長に対して同一であってもよく、第1のゴング3では0.2mmから0.4mmの間、例えば0.25mmを含む。
【0052】
第1のゴング3について、2つの切欠き5a及び5bを直線部3aに作製し、3つの切欠き5c、5d及び5eを曲線部3b内に作製する。切欠き5aから5e又は溝は、第1のゴング3の幅全体にわたって作製し、全て、それぞれ1から2mmの間、好ましくは1.2mmを含む長さを有する。各切欠きは、0.25mmの厚さを有する第1のゴングの場合、0.1mmから0.2mmの間、好ましくは0.15mmの同じ深さで作製することができる。
【0053】
直線部3a内に作製した第1の切欠き5aは、直線部3aのゴング支持体2への取付け部から3mmから5mmの間、好ましくは3.9mm離して配設する一方で、第2の切欠き5bは、22mmから26mmの間、好ましくは24.1mm離して配設する。曲線部3b内に作製した第3の切欠き5cは、直線部3aからの垂直視によれば、直線部3aのゴング支持体2の取付け部から22mmから26mmの間、好ましくは24.7mm離して配設する。第4の切欠き5dは、曲線部3bの修正部分3c上に作製し、直線部3aからの垂直視によれば、直線部3aのゴング支持体2への取付け部から14mmから17mmの間、好ましくは15.4mm離して配設する。最後に、第5の切欠き5eは、直線部3aからの垂直視によれば、直線部3aのゴング支持体2への取付け部から8mmから12mmの間、好ましくは9.9mm離して配設する。
【0054】
切欠き5aから5eの目的は、第1のゴング3内での切欠きの位置に応じて、ゴングの周波数が所望の音符の周波数、例えばFシャープの周波数に近いようにゴングを調整することである。このことは、周波数の数を部分音と共に増加させることを可能にし、振動するゴングによって生成する音を豊かにする。切欠きの位置は、ゴングの2つの連続する周波数の間の周波数偏差が、音のうなり及び/又は不協和音の生成といったあらゆる危険性を防止するのに十分であるように最適化する。
【0055】
第1のゴング3のこの形状の結果、1.5kHzから5kHzの間を含む2つの周波数は最適化され、上記の表示で述べたようにF#5及びF#6に近づいた。これらの周波数は、時計装着者の耳が音色を区別できるように1kHzから5kHzの間で選択する。したがって、少なくとも2つの自然振動周波数は、1kHzから5kHzの間の可聴範囲内で適合される。更に、2つの周波数の間の比率は、数N+dであり、但し、Nは2よりも大きいかそれに等しい整数であり、d/Nは、振動するゴングが生成する音が調和音であるように、−0.01から+0.01の間に含まれる。
【0056】
第2のゴング3’について、1つの切欠き5a’は直線部3a’内に作製し、2つの切欠き5b’及び5c’は曲線部3b’内に作製する。切欠き5a’から5c’又は溝は、第2のゴング3’の幅全体にわたって作製する。各切欠きは、0.3mmの厚さを有する第2のゴング3’の場合、0.05mmから0.2mmの間、好ましくは0.1mmの同じ深さで作製することができる。第2のゴング3’の直線部3a’は、8mmから12mmの間、例えば約10.3mmを含む長さ、及び10mmから13mmの間、例えば約11.7mmを含む少なくとも1つの半径円弧形状の曲線部3b’を有することができる。好ましくは、曲線部は、いくつかの半径で作製するが、完全な円形ではない。
【0057】
直線又は線状部3a’内に作製した第1の切欠き5a’は、直線部3a’のゴング支持体2’に取り付けた後、直接配設する。この第1の切欠き5a’は、1mmから2mmの間、好ましくは1.6mmの長さを有することができる。曲線部3b’内に作製した第2の切欠き5b’は、直線部に対して、曲線部3b’と直線部3a’との接続部から6mmから8mmの間、離して配設する。この第2の切欠き5b’の長さは、1mmから2mmの間であり、好ましくは1.25mmである。最後に、第3の切欠き5c’は、曲線部3b’の自由端に作製し、0.2mmから1mmの間、例えば0.5mmを含む長さを有する。
【0058】
第2のゴング3’のこれらの切欠き5a’から5c’の長さ、深さ及び位置は、ゴングの適切な調整及び良好な振動応答を保証するように関連するパラメータである。第2のゴング3’のこの構成では、B5及びB6に対応する周波数に近づくように、1.5kHzから5kHzの間を含む周波数帯域内で最適化される2つの自然周波数がある。
【0059】
したがって、第1のアワー・ゴング3と第2のミニッツ・ゴング3’との間で得たメロディ調整は、第4度音程に正確に対応することにも留意されたい。
【0060】
図5は、時打ち機構を有する時計1の3次元上面図である。時計は、周知の腕時計又は置き時計のムーブメント(図示せず)を含み、ムーブメントは、時計文字盤6の真下に配設する。時間を表示する針7は、上記時計文字盤6の上を回転する。時計は、時計ムーブメントの一部を形成し得る時打ち機構も含む。この時打ち機構は、ゴング支持体2に取り付けた少なくとも1つの第1のゴング3を含み、ゴング支持体2は、通常、時計ムーブメントの地板上に固定されるか、時計ケース1の中板8又はガラス縁又は裏板の内壁と接触させて配置する。ゴングは、一般に、金属若しくは金属ガラスのワイヤ又は条片である。ゴング3は、時計ムーブメントの上に延在するか、又は時計文字盤6に平行に延在する。機構は、下から垂直方向Z、即ち時計板上のゴング又は時計ムーブメントによって画定する平面に直交する方向でゴング3を打つ少なくとも1つの第1のハンマ4も含む。
【0061】
好ましくは、2つのゴング3、3’は、同じゴング支持体2に取り付けて設けるか、又はそれぞれ2つのゴング支持体2、2’に取り付けて設けることができる。これらの第1のゴング3及び第2のゴング3’はそれぞれ、それぞれのハンマ4、4’によって打つことを意図する。第1のハンマ4は、第1のゴング3を下から垂直方向に、好ましくはゴングの直線部3a上のゴング支持体2の近くで打つことを意図する。第1のハンマ4に平行である第2のハンマ4’は、第2のゴング3’を下から垂直方向に、好ましくは、やはりゴングの直線部3a’上のゴング支持体2’の近くで打つことを意図する。
【0062】
時計1の時打ち機構の
図5に詳細に示すように、2つのハンマ4、4’は、時計文字盤6に平行な同じ回転軸周りに回転するように構成することができる。これらのハンマ4、4’は、時打ち機構内のハンマの作動に応じて、異なる又は同一の瞬間で各ゴング3、3’を打つことができる。
【0063】
したがって、2つのゴング3、3’は、2つの直線部3a、3a’を有することができ、2つの直線部3a、3a’は、直径方向に延在するか、又は時計の中心、ゴング支持体若しくはゴング支持体2、2’からわずかにずれた方向に延在する。これらのゴング支持体2、2’は、中板8若しくはガラス縁若しくは時計裏蓋の内壁の近く、又はこれらと直接接触して配設する。これらのゴング支持体2、2’は、好ましくは、互いに結合させる。各ゴング3、3’は、曲線部3b、3b’を含み、曲線部3b、3b’は、各直線部3a、3a’の自由端で始まり、他のゴングの直線部3a、3a’まで反対方向に延在する。
【0064】
図5には示さないが、当然、切欠き又は中空又は溝は、各ゴング3、3’の下面に作製して、所望の周波数を調整し、調和音を生成するようにする。これらの切欠き又は中空又は溝は、有利には、見えるゴング3、3’の良好な美的外観を維持するために、時計1のガラス(図示せず)を通して見えない。
【0065】
当業者は、たった今示した説明から、特許請求の範囲によって定義する本発明の範囲から逸脱することなく、独特又は非定型のゴング、及びそうしたゴングを含有する時打ち時計のいくつかの変形形態を考案することができる。第1のゴング支持体に取り付ける第1のゴング、及び第1のゴング支持体から離れた第2のゴング支持体に取り付ける第2のゴングがあってもよく、両方のゴングは、同じ平面にあっても、異なる平面にあってもよい。切欠き又は中空又は溝は、ゴングの下面又はゴングの側部に作製することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 時計
2 ゴング支持体
3 ゴング
3a 直線部
3b 曲線部
4 ハンマ
5a〜e 切欠き
5a’〜c’ 切欠き
8 中板