(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294003
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】リーフシール
(51)【国際特許分類】
F16J 15/22 20060101AFI20180305BHJP
F01D 11/00 20060101ALI20180305BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
F16J15/22
F01D11/00
F02C7/28 B
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-92164(P2013-92164)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-238311(P2013-238311A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2016年4月18日
(31)【優先権主張番号】1207837.4
(32)【優先日】2012年5月4日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591005785
【氏名又は名称】ロールス・ロイス・ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】インゴ・ヘンリー・ヨハネス・ヤーン
(72)【発明者】
【氏名】ガーヴァス・フランチェスチーニ
【審査官】
杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−014316(JP,A)
【文献】
特表2008−509369(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/061324(WO,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01876379(EP,A1)
【文献】
国際公開第2006/016098(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102007050503(DE,A1)
【文献】
米国特許第06343792(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/22
F01D 11/00
F02C 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの同軸で相対的に回転する構成要素をシールするためのリーフシールであって、
環状に積層されたリーフ群(50)を備え、
前記リーフ群は、隣り合う複数のリーフの作用部(52)の間にリーフ間間隙が形成される状態で、前記構成要素の一方に取り付け可能であり、
前記複数のリーフは、前記リーフの作用部の端部に位置する端縁部(53)が他方の前記構成要素に摺動可能に接触するように前記他方の構成要素の方へ延び、
使用中に、前記リーフ群の両側での軸方向の圧力降下が維持され、
前記リーフの各々は、少なくとも前記リーフの各々の端縁部において、
前記リーフ群の低圧側、または、前記リーフ群の低圧側の近傍にある後方セクション(54)と、
前記後方セクションから前記リーフ群の高圧側へ延びる前方セクション(55)と
を備え、
前記複数のリーフの前記後方セクションの前記リーフが積層される方向の厚みは、前記複数のリーフのそれぞれの前記前方セクションの厚みよりも大きく、それによって、前記リーフ群での前記圧力降下の大部分が前記後方セクションで起こるように、前記後方セクションでの前記リーフ間間隙を低減する
リーフシール。
【請求項2】
請求項1に記載のリーフシールであって、
前記後方セクションの各々は、前記リーフ群の低圧側から前方へ、前記リーフの軸方向幅に対して最大で3分の1の距離にわたって延びている
リーフシール。
【請求項3】
請求項2に記載のリーフシールであって、
前記後方セクションの各々は、前記リーフ群の低圧側から前方へ、前記リーフの軸方向幅の少なくとも5%の距離にわたって延びている
リーフシール。
【請求項4】
請求項3に記載のリーフシールであって、
前記リーフ群の両端での前記圧力降下の少なくとも80%は、前記後方セクションで起きる
リーフシール。
【請求項5】
請求項4に記載のリーフシールであって、
前記リーフの各々の前記後方セクションは、前記端縁部からの径方向距離とともに厚さが増加する
リーフシール。
【請求項6】
請求項5に記載のリーフシールであって、
前記リーフの各々において、前記作用部は、前記リーフ群の高圧側に前方縁部(58)を有し、
前記前方縁部は、該前方縁部が前記端縁部と90°より大きな内角で交わるように、前記端縁部の近傍の前記高圧側で切り取られている
リーフシール。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のリーフシールであって、
前記リーフの各々の前記後方セクションは、前記リーフ群の前記高圧側から前記低圧側へ向かって軸方向距離とともに厚さが増加する
リーフシール。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のリーフシールであって、
前記リーフの各々の前記後方セクションは、湾曲した後方縁部(60)を有する
リーフシール。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のリーフシールであって、
前記リーフの各々の前記前方セクションと前記後方セクションとの間の境界は、湾曲している
リーフシール。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のリーフシールであって、
前記リーフの各々において、前記前方セクションは、1つまたは複数の接触領域(59)を有し、
前記接触領域の各々は、使用中に、隣り合うリーフと接触する
リーフシール。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のリーフシールであって、
前記前方セクションの各々は、1つまたは複数の貫通孔(61)を有する
リーフシール。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載のリーフシールであって、
前記リーフシールは、前記リーフ群の前記高圧側に前方カバープレート(57a)をさらに備え、
前記前方カバープレートは、前記リーフ群の径方向の広がりの一部を覆う
リーフシール。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載のリーフシールであって、
前記リーフシールは、前記リーフ群の前記低圧側に後方カバープレート(57b)をさらに備え、
前記後方カバープレートは、前記リーフ群の径方向の広がりの一部を覆う
リーフシール。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載のリーフシールであって、
前記リーフの各々の前記前方セクションおよび前記後方セクションは、前記リーフの前記作用部の実質的に全体を形成する
リーフシール。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載のリーフシールを1つまたは複数備えるガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーフシールに関する。
【背景技術】
【0002】
リーフシールは、相対的に回転する2つの構成要素の間にシールを形成し、そのシールの一方の側で比較的高圧を維持し、他方の側で比較的低圧を維持するために使用することができる。リーフシールは、多くの、一般に長方形のリーフを配列したものであり、これらのリーフは、径方向に対して所定の角度で、シールの周囲を一周するように保持される。リーフを使うことでシールはあまり堅くならない。また、リーフは、シールの総漏洩量が少なくなるようにぎっしりと詰められる。にもかかわらず、リーフ間間隙があるために、シールには多孔性で空力的に作用するセクションができる。このようなシールは、例えば、ガスタービンエンジンで使用することができる。
【0003】
図1は、リーフ32群を備えたリーフシール31の一部の切り取り斜視図を概略的に示す。
図2は、(a)がリーフ群の弧状セグメントを軸方向に見た図で、一部のリーフ32の縁部をよりよく示すものであり、(b)が1つのリーフ32の平面図である。
【0004】
リーフ32は、各々、基部40と、作用部41とを有し、軸方向の幅wと、厚さtとを有する。リーフは、基部40においてスペーサ要素33と交互に並んでおり、また、基部40においてハウジングの支持環34に固定されている。ハウジングは、通常、剛体の前方(高圧側)カバープレート35aと、後方(低圧側)カバープレート35bとをさらに備える。リーフ32の作用部41は、端縁部36を回転構成要素の面37に向ける。回転構成要素は、その全体が矢印38で描いた方向に回転する。リーフ32、特にリーフ32の端縁部36は、アセンブリ31をシールするために面37に作用する。各リーフ32には、面37の回転に合わせるために十分な追従性を有しており、それによって、シール効果が良好である。スペーサ33があるので、柔軟性が確実に得られ、リーフ32を面37に適切に向けることができるが、図示のように、リーフ32と面37との間には一般に傾斜角がある。スペーサ33は、リーフ32の隣接する作用部41の間にリーフ間間隙39を形成するのにも役立つ。これらの間隙39を通る漏洩流は、シールの両側の圧力差によって引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、性能および/または信頼性を改善したリーフシールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、2つの同軸で相対的に回転する構成要素間をシールするためのリーフシールであって、環状に積層されたリーフ群を有し、リーフ群を構成要素の一方に取り付けて、隣り合うリーフの作用部の間にリーフ間間隙を形成し、リーフの作用部の端部にある端縁部が他方の構成要素に摺動可能に接触するようにリーフが他方の構成要素の方へ延び、使用中は、リーフ群の両側での軸方向の圧力降下が維持される状態にできるリーフシールを提供する。このリーフシールでは、少なくとも各リーフの端縁部の近傍において、各リーフが、リーフ群の低圧側、または、リーフ群の低圧側の近傍にある後方セクションと、後方セクションからリーフ群の高圧側へ延びる前方セクションとを有し、リーフ群の両側での圧力降下の大部分が後方セクションで起こるように、リーフの後方セクションをそれぞれの(対応する)前方セクションよりも厚くして、後方セクションでのリーフ間間隙を低減している。
【0007】
図1および
図2に示したような従来のリーフシールでは、リーフ間間隙がシールの軸方向において一定である。このために、通常は、リーフの表面にかかる圧力がリーフ群の高圧側から低圧側へと徐々に下がる。しかし、このように圧力が徐々に降下すると、空力弾性的不安定を起こすことがあり、ひいてはリーフの損傷の原因となることもある。また、圧力が徐々に降下すると、望ましくないリーフのブローダウンの一因となることもある。
【0008】
これに対して、本発明では、リーフの後方セクションでのリーフ間間隔を低減したので、リーフ群の両側での圧力降下の大部分が後方セクションで起こる。圧力降下をこの位置に集中させることで、空力弾性的不安定性を無くすこと、または、低減することができる。リーフのブローダウンもまた無くすこと、または、低減することができる。
【0009】
さらに、リーフの厚さの変化は、動作中にリーフに作用する力に一致する。より具体的には、使用中に、リーフ群の両側での圧力降下に起因して、リーフは、軸方向後方に曲げようとする力を受ける。この力により、リーフには、リーフ群の高圧側で張力がかかる。前方セクションは、後方セクションよりも薄いが、それにもかかわらず、この張力に耐えることができる。仮に、代替的に、前方セクションをより厚くすることで、各リーフの前部で圧力を降下させると、各リーフの後方にある、より薄い後方セクションで圧縮荷重を支持しなければならず、その結果、坐屈が生じる可能性がある。
【0010】
第2の態様では、本発明は、航空用ガスタービンエンジンのようなガスタービンエンジンであって、第1の態様によるリーフシールを1つまたは複数有するガスタービンエンジンを提供する。
【0011】
本発明のオプションとしての特徴を以下に述べる。これらの特徴は、単独で適用することもできるし、本発明の任意の態様と任意に組み合わせて適用することもできる。
【0012】
構成要素は、ローターシャフトおよびそのシャフトのためのケーシングとすることができる。通常、リーフ群または各リーフ群は、径方向外側の構成要素に取り付けられる。
【0013】
各後方セクションは、リーフ群の低圧側から前方へ、リーフの軸方向の幅に対して最大で3分の1または最大で4分の1の距離にわたって延びていてもよい。このことは、圧力降下をさらに集中させるのに役立つ。
【0014】
各後方セクションは、リーフ群の低圧側から前方へ、リーフの軸方向の幅の少なくとも5%または10%の距離にわたって延びていてもよい。このようにすることで、圧力降下が集中し過ぎて、後方セクションでの応力が過剰となる可能性を回避できる。
【0015】
一般に、後方セクションは、リーフ群の低圧側から前方へ、最大で3mmまたは2mmの距離にわたって延びていてもよいが、通常は約1mmである。前方セクションは、後方セクションからリーフ群の高圧側へ最大で3mmから6mmの距離にわたって延びていてもよい。
【0016】
リーフ群の両側での圧力降下の少なくとも80%、90%または実質的に全てが後方セクションで起きてもよい。
【0017】
各リーフの作用部は、リーフ群の高圧側に前方縁部を有する。前方セクションは、前方縁部が端縁部と90°より大きく、好ましくは120°よりも大きな内角で交わるように、端縁部の近傍の高圧側において切り取られてもよい。前方セクションの切り取られた部分は、通常、リーフの軸方向の堅さにあまり寄与しないので、シールの重量をこのようにして低減してもよい。
【0018】
各リーフの後方セクションは、端縁部からの径方向距離に対して実質的に厚さが一様であってもよいし、端縁部からの径方向距離とともに厚さが増加していてもよい。これに加えて、または、これ代えて、各リーフの前方セクションは、端縁部からの径方向距離に対して実質的に厚さが一様であってもよいし、端縁部からの径方向距離とともに厚さが増加していてもよい。
【0019】
各リーフの後方セクションは、軸方向距離に対して厚さが実質的に一様であってもよいし、リーフ群の高圧側から低圧側に向かって軸方向距離とともに厚さが増加していてもよい。これに加えて、または、これに代えて、各リーフの前方セクションは、軸方向距離に対して厚さが実質的に一様であってもよいし、リーフ群の高圧側から低圧側に向かって軸方向距離とともに厚さが増加していてもよい。
【0020】
各リーフの後方セクションは、湾曲した後方縁部を有していてもよい。各リーフの前方セクションは、湾曲した前方縁部を有していてもよい。各リーフの前方セクションと後方セクションとの間の境界は、湾曲していてもよい。いずれの場合にも、湾曲したそれぞれの縁部の凸側をリーフ群の高圧側に向けることができる。
【0021】
前方セクションおよび後方セクションは、各リーフの作用部の全体を占めていてもよい。つまり、その結果、前方セクションと後方セクションとの間の境界が、リーフの端縁部から基部まで径方向に延びていてもよい。もっとも、これに代えて、前方セクションおよび後方セクションは、作用部の一部だけを占めていてもよく、例えば、リーフの端縁部にある一部だけを占めていてもよい。この場合、作用部の残りの部分での漏洩流はあまりないであろう。また、作用部の残りの部分の厚さをリーフの前方縁部から後方縁部まで後方セクションと同じにできる。いずれの代替例でも、前方セクションと後方セクションとの軸方向幅の比は、径方向距離に対して一定であってもよいし、変化していてもよい。
【0022】
各リーフにおいて、前方セクションに1つまたは複数の接触領域を有し、各接触領域が、使用中に、隣り合うリーフと接触してもよい。この接触領域は、リーフ同士の支持および/またはリーフの制動を改善できる。
【0023】
各前方セクションは、1つまたは複数の貫通孔を含んでいてもよい。これらの貫通孔は、前方セクションの両側の圧力の均一化を促進でき、これにより、リーフのブローダウンをさらに抑制できる。
【0024】
リーフシールは、リーフ群の高圧側に前方カバープレートをさらに有し、この前方カバープレートが、リーフ群の径方向の広がりの一部を覆っていてもよい。リーフシールは、リーフ群の低圧側に後方カバープレートをさらに有し、この後方カバープレートが、リーフ群の径方向の広がりの一部を覆っていてもよい。
【0025】
各リーフの前方セクションおよび後方セクションは、リーフの作用部の実質的に全体を形成していてもよい。もっとも、特に、シールの両側での圧力降下が端縁部から離れたところではあまり生じない場合には(これは、例えば、後方カバーがリーフ群の低圧側から軸方向に近接して離れた位置に配置されていると起こる)、各リーフの後方セクションおよび前方セクションが、端縁部の近傍の作用部の一部だけを形成してもよい。この場合、作用部の残りの部分は、例えば、後方セクションと同じ厚さにすることができる。
【0026】
このリーフシールは、例えば、ガスタービン、蒸気タービン、および、ジェットエンジンで使用することができる。もっとも、このリーフシールは、他の用途で使用してもよく、例えば、高圧領域と低圧領域との間をシャフトに沿ってシールすることが必要な用途で使用してもよい。
【0027】
本発明のオプションとしての他の特徴を以下に述べる。
【0028】
本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら例として以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】リーフシールの一部分の概略的な切り取り斜視図である。
【
図2】(a)は、
図1のシールのリーフ群における弧状セグメントを軸方向に見た図であり、(b)は、
図1のシールにおける1つのリーフの平面図である。
【
図3】ガスタービンエンジンの縦断面を概略的に示す図である。
【
図4】
図1および
図2の従来のリーフシールの縦断面を概略的に示す図であり、リーフ間間隙における典型的な等圧線を示す図である。
【
図5】従来のリーフシールの隣接する3つのリーフの一部分の横断面を概略的に示し、リーフの厚さtの両側での圧力の不釣り合いを説明する図である。
【
図6】本発明によるリーフシールのためのリーフの平面図(左)および縁部側の図(右)である。
【
図7】
図6に示した種類のリーフによって形成されたリーフ群の弧状セグメントをシールの高圧側から軸方向に見た図である。
【
図8】リーフの後方セクションにおける断面で見た
図7に対応するシルエットを示す図である。
【
図9】リーフの前方セクションにおける断面で見た
図7に対応するシルエットを示す図である。
【
図10】
図6のリーフを使用して形成されたリーフシールの縦断面を概略的に示し、リーフの後方セクションにおけるリーフ間間隙内についての典型的な等圧線を示す図である。
【
図11】
図10に対応する縦断面であるが、後方セクションが広がる部分のリーフの軸方向幅が小さいものを概略的に示す図である。
【
図12】
図10に対応する縦断面であるが、後方カバープレートをリーフ群の後部により近づけたものを概略的に示す図である。
【
図13】
図10に対応する縦断面であるが、前方カバープレートをリーフ群の前部により近づけたものを概略的に示す図である。
【
図14】従来のリーフの断面を概略的に示す図である。
【
図15】本発明によるリーフの断面を概略的に示す図である。
【
図16】前方角部が取り除かれたリーフの作用部の平面図である。
【
図17】厚くした接触領域が先方角部にあるリーフの作用部の平面図である。
【
図18】(a)〜(f)は、可能性のあるさまざまなリーフ断面を示す図である。
【
図19】前方縁部が湾曲しているリーフの作用部の平面図である。
【
図20】前方縁部および後方縁部が湾曲しているリーフの作用部の平面図である。
【
図21】端縁部に接触領域が2つあるリーフの作用部の平面図である。
【
図22】(a)は、前方セクションおよび後方セクションが作用部の最後の約3分の1に限定されているリーフの作用部の平面図であり、(b)は、このような作用部によって形成されたリーフ群の作用セクションにおける、2つのリーフの弧状セグメントを示す図である。
【
図23】リーフの作用部の平面図であり、後方セクションの幅が作用部に沿って変化することを示す図である。
【
図24】リーフの作用部の平面図であり、前方セクションが1つまたは複数の貫通孔を含むことを示す図である。
【
図25】(a)は、リーフの作用部の平面図であり、後方セクションの厚さが作用部に沿って変化することを示し、(b)は、このような作用部によって形成されたリーフ群の作用セクションにおける、2つのリーフの弧状セグメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図3を参照すると、本発明を組み込んだダクテッドファン・ガスタービンエンジンが、全体が10で示されており、このエンジンは、主回転軸X−Xを有する。このエンジンは、軸方向の流れの順に、空気取り入れ口11と、推進ファン12と、中圧圧縮機13と、高圧圧縮機14と、燃焼器15と、高圧タービン16と、中圧タービン17と、低圧タービン18と、コアエンジン排気ノズル19とを備えている。エンジン室21がエンジン10全体を囲み、取り入れ口11と、バイパスダクト22と、バイパス排気ノズル23とを形成している。
【0031】
作動時には、取り入れ口11に流入する空気がファン12によって加速されて、2つの空気流、すなわち、中圧圧縮機13へ入る第1の空気流Aと、バイパスダクト22を通って推進推力を与える第2の空気流Bと、を生成する。中圧圧縮機13は、中圧圧縮機13へと誘導された空気流Aを圧縮してから、この空気を高圧圧縮機14へ送り、高圧圧縮機14では、さらに圧縮がなされる。
【0032】
高圧圧縮機14から排気された圧縮空気は、燃焼器15へと誘導され、ここで燃料と混合され、混合物は燃焼される。その結果得られた高温燃焼生成物は、次に、高圧タービン16、中圧タービン17および低圧タービン18を通って膨張してこれらを駆動し、その後、ノズル19から排気されて、さらに推進推力をもたらす。高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンは、それぞれ、適当な相互連結シャフトによって、高圧圧縮機14および中圧圧縮機13ならびにファン12を駆動する。
【0033】
エンジンには、1つまたは複数のリーフシールが、例えば、相互連結シャフトと、そのシャフトのケーシングとの間に設置されていてもよい。
【0034】
図4は、
図1および
図2の従来のリーフシールの縦断面を概略的に示すものであり、リーフ間間隙における典型的な等圧線を図示している。
【0035】
これらの等圧線を生成する圧力場は、空力弾性的に不安定になることがある。
【0036】
さらに、リーフの厚さtの両側における圧力の不釣り合いは、ブローダウンの大きな一因となる。(Franceschini,G.,Jones,T.V.,and Gillespie,D.R.H.,Improved Understanding of Blow−Down in Filament Seals,Journal of Turbomachinery 132(2010)041004,TURBO−09−1028、および、Franceschini,G.,Jones,T.V.,and Gillespie,D.R.H.,Improved Understanding of Blow−Down in Filament Seals,in ASME Turbo Expo 2008:Power for Land,Sea and Air,Berlin,Germany,2008,ASME,GT2008−51197参照。)このことは、
図5に示されている。リーフ間間隙39に径方向の圧力勾配があり、リーフの基部で圧力が高く(薄い灰色)、端縁部で圧力が低いと(濃い灰色)、径方向に対してある角度で傾斜しているリーフの厚さtの両側において圧力が不釣り合いになる。この不釣り合いによってブローダウン曲げモーメントが生じ、これがリーフ32の物理的なブローダウンにつながる。
【0037】
図6は、本発明によるリーフシールのためのリーフ50の平面図(左)および縁部の図(右)である。リーフは、基部51と、作用部52と、端縁部53とを有する。作用部の後方セクション54は、リーフシール群の低圧側にあり、作用部の前方セクション55は、後方セクションから高圧側へ延びている。2つのセクション54,55は、一緒に作用部52全体を形成する。基部51および後方セクション54は、厚さが一様であり、前方セクション55よりも厚い。前方セクションの厚さは、例えば、エッチングによって低減することができる。可能性のある他の成形技術は後述する。
【0038】
図7は、軸方向に沿ってシールの高圧側から見た、
図6に示した種類のリーフ50によって形成されたリーフ群の弧状セグメントを示しており、スペーサ56がリーフの基部51と交互に配置されている。後方セクション54がより厚いので、後方セクションでのリーフ間間隙内の流れの抵抗が、前方セクション55での比較的妨げのない流れに比べて大きくなる。このことは、
図8および
図9に示されている。
図8および
図9は、後方セクションおよび前方セクションのそれぞれの断面から見た、
図7に対応するシルエットである。
【0039】
図10は、
図6のリーフを使用して形成されたリーフシールの縦断面を概略的に示している。このシールは、前方カバープレート57aと、後方カバープレート57bとを有する。後方セクション54でのリーフ間間隙における典型的な等圧線が示されている。リーフ群の両端での圧力降下は、このように後方セクション54に集中し、一方、前方セクション55での圧力は、実質的に上流での圧力となっている。したがって、圧力の不釣り合いは、ほとんど、または、全くなく、したがって、前方セクション55にかかる負荷がほとんど、または、全くない。前方セクション55の主な機能は、後方セクション54のために軸方向剛性(または堅さ)を生成することである。
【0040】
図11は、別のリーフシールの縦断面を概略的に示しており、このリーフシールは、後方セクション54が広がる部分のリーフの軸方向幅がはるかに低減されたリーフを使用して形成されている。ここでも、後方セクション54でのリーフ間間隙における等圧線が示されている。大きく形成された前方セクション55での圧力は、依然として、実質的に上流での圧力となっている。よって、圧力降下は、リーフ後部のはるかに短い軸方向間隔で生じる。このように限られたスペースで圧力降下が起こると、リーフに作用する正味の力がさらに小さくなる。
【0041】
後方カバープレート57bをリーフ群の後部により近づけた場合、等圧線は、
図12に示したようになる。後方カバープレートは、リーフの作用部の基部末端をさらに塞ぐようになる。今度は、リーフ群からの流出口が、カバープレートより下の、リーフの後方角部に限定される。よって、圧力降下は、後方セクション54に制限されるだけではなく、端縁部53の近傍の部分に制限される。
【0042】
前方カバープレート57aをリーフ群の前部により近づけた場合、等圧線は
図13に示したようになる。前方カバープレートによって圧力降下が前方カバープレートに生じ、その結果、前方セクション55での圧力が、今度はシールの上流側の高い圧力に比べると低い圧力になる。しかし、リーフ群では、圧力降下が依然として後方セクション54に集中する。
【0043】
軸方向たわみおよび径方向たわみの断面係数を比較すれば、径方向の柔軟性を妥協することなく、リーフの前方セクションを薄くし、かつ、高い軸方向剛性を保つことができることが分かる。従来のリーフシールでは、リーフは、
図14に示すような一般的に長方形の断面からなる。幅wおよび厚さtは、軸方向の剛性を維持しながら径方向に柔軟性を有するように選択される。より具体的には、断面係数I
xx=wt
3/12を小さくし、断面係数I
yy=w
3t/12を大きくして、I
yy/I
xx=w
2/t
2の値を大きくする。
【0044】
本発明によるリーフでは、
図15に示すように、リーフの前方セクションの幅はw
uであり、リーフの前方セクションの厚さがt
uであり、リーフの後方セクションの幅がw
dであり、リーフの後方セクションの厚さがt
dである。I
yy/I
xxの比は以下の通りである。
【0046】
これは、以下のように書き換えることができる。
【0048】
明らかに、t
u=t
d=tである場合、断面係数の比は、従来の長方形のケースでの比に等しく、上記w
2/t
2の乗数は、1に等しくなる。
【0049】
w
u/w=1/2、w
d/w=1/2、t
u/t=1/2およびt
d/t=1である場合、乗数は4/3になり、所与の軸方向剛性に対する径方向の柔軟性が改善される(または、所与の径方向の柔軟性に対する軸方向の剛性が改善される)。w
u/w=3/4、w
d/w=1/4、t
u/t=1/2およびt
d/t=1である場合、乗数は23/11になり、径方向の柔軟性および軸方向の剛性を改善する可能性がさらに大きい。w
u/w=3/4、w
d/w=1/4、t
u/t=1/4およびt
d/t=1である場合、乗数は148/67になり、断面係数の比がさらに改善される。
【0050】
よって、都合のよいことに、リーフの後方セクション54は、圧力降下が集中するところであるが、圧力の不釣り合いによってブローダウンが誘発されることや、空力弾性的不安定を生む力が加わることがほぼなくなる程度に幅を小さくできる。リーフの前方セクション55には、流れを妨げる機能がほとんど、または、全くないが、構造的に軸方向の剛性があり、後方セクションの短いシール幅を支える。この点で、前方セクションの、端縁部53の近傍の前方角部は、軸方向剛性にほとんど寄与しないので、
図16のリーフ作用部に示すように、オプションとして取り除くことができる。
図16のリーフ作用部は、前方縁部58を有し、この前方縁部58は、90°よりも大きな内角で端縁部53と交わっている。もっとも、別のオプションとして、
図17のリーフ作用部に示すように、この領域に1つまたは複数の接触領域59を(例えば、前方セクションを局所的に厚くすることによって)導入し、リーフの間をさらに接触させて、周方向にリーフ同士で支持をさせる、および/または、リーフの制動を改善させる、というものがある。接触領域は、例えば、前方セクションの隆起した前方角部の形態をとることができる。
【0051】
種々のリーフ断面を使用して、定められた圧力降下をリーフの後方セクションで生じさせることができる。
図18(a)〜(f)に、可能なさまざまな例を示す。リーフは、例えば、18(a)および(c)〜(e)に示すように断面対称であってもよいし、例えば
図18(b)、(f)および(g)に示すように非対称であってもよい。断面形状は、多種多様な製造手段によって作ることができ、これにはエッチング、機械加工、圧延、押出加工、研磨、アブレーション、放電加工、パウダーデポジション(powder deposition)、物理蒸着、金属射出成形、打ち抜き加工、圧印加工、または、鍛造が含まれる。後方セクションは、厚さが一様であるリーフの予備成形品の一部をそれ自身に折り重ねることによって厚くできる。後方セクションは、別個の部品をろう付け、溶接または接着を利用して取り付けることによって厚くできる。別のオプションは、前方セクションおよび後方セクションを別々に形成してから、それらを溶接で接合することである。
【0052】
リーフの作用部は、さまざまな方法で構成できる。
図19は、直線状に切り取られた
図16の前方縁部ではなく、湾曲した前方縁部58を備える作用部を示す。前方縁部を湾曲させることで、強度的な利益をさらに得ることができる。
図20は、前方縁部58および後方縁部60が湾曲しており、前方セクション55と後方セクション54との間の境界も湾曲している作用部を示す。
図21は、端縁部53に沿って前方セクション55に2つの接触領域を備える作用部を示す。このような領域は、前方セクション58に沿ったところにあってもよいし、前方セクションの中央にあってもよいし、これらの何らかの組合せであってもよい。領域は、細長い形状でもよいし、アスペクト比がおよそ1の形状(例えば、正方形または円形)でもよい。この領域は、前方セクションでの圧力に影響を与えることなく、リーフ同士を支持させることができる。
図22(a)に示す作用部では、前方セクション55および後方セクション54は、作用部の約3分の1の部分しか形成していない。作用部の残部60を横切る漏洩流は、(例えば、カバープレートがあるために)
図22(b)に示すようにほとんどないであろう。したがって、残部は、後方セクションと厚さが同じであってもよい。
図23は、後方セクション54の幅が端縁部53から基部まで変化する作用部を示す。
図24は、前方セクション55が1つまたは複数の貫通孔61を含む作用部を示す。このような孔は、前方セクションでの圧力の均一化を促進し、それによって、前方セクションの両側での圧力差がより生じにくくなる。
図25(a)および(b)は、後方セクション54の厚さが端縁部53から基部まで増加する作用部を示す。他のオプションとしては、前方セクションの厚さを同じように変えること、または、両セクションの厚さを変えることがある。上述したさまざまな構成は、適当に組み合わせてもよい。
【0053】
本発明を上記の例示的な実施形態とともに説明したが、本開示内容を得た当業者には、多くの均等な修正例や変形例が自明となるであろう。したがって、上記した本発明の例示的な実施形態は、説明のためのものであり、限定のためのものではないと考えられる。記載した実施形態は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまに変更することができる。
【符号の説明】
【0054】
10…エンジン
11…空気取り入れ口
12…推進ファン
13…中圧圧縮機
14…高圧圧縮機
15…燃焼器
16…高圧タービン
17…中圧タービン
18…低圧タービン
19…ノズル
21…エンジン室
22…バイパスダクト
23…バイパス排気ノズル
31…リーフシール
32…リーフ
33…スペーサ要素
34…支持環
35a,35b…カバープレート
36…端縁部
37…面
39…リーフ間間隙
40…基部
41…作用部
50…リーフ
51…基部
52…作用部
53…端縁部
54…後方セクション
55…前方セクション
56…スペーサ
57a…前方カバープレート
57b…後方カバープレート
58…前方縁部
59…接触領域
60…後方縁部(残部)
61…貫通孔
A…第1の空気流
B…第2の空気流
X−X…主回転軸