(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後方試行軸受表面及び前記前方表面が、モノリシックポリマー本体を構成し、前記いくつかのドリルガイド穴のそれぞれに挿入された金属スリーブを更に備える、請求項1に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の代表的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての改変物、均等物及び代替物を網羅することを意図するものである点は理解されるべきである。
【0022】
解剖学的参照を表す、前、後、内側、外側、上、下などの用語は、本明細書の全体を通じて、本明細書において述べられる整形外科用インプラント及び外科器具に関して、並びに患者の自然の解剖学的構造に関して使用されうる。これらの用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても、広く理解された意味を有するものである。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的基準を表す用語の使用は、特に断らないかぎりは、それらの広く理解されている意味と一貫性を有するものとする。
【0023】
図1を参照すると、整形外科器具アセンブリ10は、取り外し可能な膝蓋骨締め具12と、膝蓋骨締め具12に固定されるように構成された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14と、を含む。以下で更に詳述されるように、器具アセンブリ10を利用して、人工膝蓋骨コンポーネント18の埋め込みのために、患者の膝蓋骨16を外科的に調製する(
図18及び19参照)。これを行うために、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、膝蓋大腿関節を試行するための試行器具として、及び患者の膝蓋骨16の平坦な切除された後方面の中に係留穴をドリルで開けるためのドリルガイドとして使用され得る。外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を使用して、特定患者の膝蓋骨とともに使用するのに適した膝蓋骨人工装具コンポーネントを寸法決定及び選択してもよい。
【0024】
図1に示されるように、器具アセンブリ10の膝蓋骨締め具12は、枢動ピン24と一緒に枢動される一対のレバー20、22を含む。レバー20の近位端は上部ハンドル26を含み、レバー20の遠位端は保持ソケット28を有する。レバー22の近位端は下部ハンドル30を含み、レバー22の遠位端はコネクタ32を有する(
図10参照)。レバー22は、コネクタ32が下部ハンドル30と一体形成されない設計のモジュールである。コネクタ32の近位端34は、円筒筐体38に形成されたスロット36内に捕捉される。
図9に示されるように、コネクタ32の近位端34は、コネクタ32が、円筒筐体38内で上方及び下方に平行移動するときに、レバー20の遠位端42と実質的に平行な関係で維持されるように、円筒筐体38内で下部ハンドル30の遠位端40に連結される。圧縮バネ44(
図9参照)は、円筒筐体38内に位置決めされ、保持ソケット28から離れた方向にコネクタ32を押し進めるように、コネクタ32の近位端34にバネバイアスを行使する。
【0025】
外科医が2つのハンドル26、30を握るか、ないしは別の方法で互いに向かって押し進めると、レバー20、22は、ピン24を中心に枢動し、それによりコネクタ32及び保持ソケット28を互いに向かって移動させる。外科医が2つのハンドル26、30を解放すると、圧縮バネ44のバネバイアスは、コネクタ32を保持ソケット28から押し離し、それによりレバー20、22をピン24を中心に枢動させて、2つのハンドル26、30を互いから離れて移動させる。
【0026】
図9で見ることができるように、レバー22は、その中に形成されたいくつかのラチェット歯部46を有する。ボタン48は、その上部ハンドル26付近のレバー20に固定される。ボタン48は、ロッキングポール50が、ボタン48を円筒筐体38に向かう方向に摺動させることによって、ラチェット歯部46と係合するように移動され、それを反対方向に摺動させることによって、ラチェット歯部46から離脱するように、ロッキングポール50を係合する。ロッキングポール50がラチェット歯部46を係合すると、膝蓋骨締め具12のレバー20、22はロックされ、したがって互いに対して移動することができない。ロッキングポール50がラチェット歯部46から離脱すると、膝蓋骨締め具12のレバー20、22は、互いに対して自由に移動する。
【0027】
図1で見ることができるように、本明細書に記載される実例となる実施形態において、締め具の保持ソケット28は、そこから外側に延在するいくつかのスパイク60を有するリング58として実現される。器具14が締め具12に固定されるとき、スパイク60は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のいくつかのスパイクに向かって面する。このような配置において、締め具のスパイク60は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のスパイクと協働して、膝蓋骨16をそれらの間に捕捉する。
【0028】
膝蓋骨締め具12は、ステンレス鋼、コバルトクロム又はチタンなどの医療等級の金属から構成され得るが、他の金属又は合金も使用され得る。
【0029】
ここで
図2〜8を参照すると、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、より詳細に示される。上記で示唆されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、人工膝蓋骨コンポーネント18を患者の外科的に調製された膝蓋骨16の中に埋め込む手術手技の間、適合評価に使用される。本質的に、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を使用して、最終的な膝蓋骨コンポーネント18(すなわち、最終的に患者の膝蓋骨16に埋め込まれる膝蓋骨コンポーネント18)の適切な寸法選択を保証する。以下で更に詳述されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14はまた、膝蓋骨コンポーネント18の係留ペグを受容するように、患者の外科的に調製された膝蓋骨16にドリルで係留穴を開けるために使用されるドリルビットをガイドするためのドリルガイドとして機能する(
図30参照)。
【0030】
図2、5、7、及び8に示されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、人工大腿骨コンポーネント154の顆表面と関節接合をなすように構成される、湾曲したピーク表面の形態の後方試行軸受表面52を含む(
図28及び29参照)。特に、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の後方試行軸受表面52は、外側試行関節表面54と、内側試行関節表面56と、を含む。試行関節表面54、56は、大腿骨コンポーネント154の外側顆表面172及び内側顆表面174とそれぞれ関節接合をなすように構成される。大腿骨コンポーネント154は、患者の天然大腿顆の構成を模倣するように構成されており、したがって、外側顆表面172及び内側顆表面174は、天然大腿骨の顆をまねる様式で構成されている(例えば湾曲している)。外側顆表面172及び内側顆表面174は、互いから離れて離間され、それによって、それらの間に滑車溝176を画定する。
【0031】
図3、5、7、及び8で見ることができるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14はまた、そこから離れて前方に延在する、スパイク64などのいくつかの固定部材を有する平坦な前方表面62を含む。スパイク64は、外科的に調製された、患者の天然膝蓋骨の後方表面(図示せず)に挿入されるように構成されている。このように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の後方試行軸受表面52は、大腿骨コンポーネント154に向かって面し、それによって後方試行軸受表面52が、膝蓋大腿試行手技中、患者の膝を屈伸させる間に、大腿顆表面172、174と関節接合をなすことを可能にする。
【0032】
図3、5、7、及び8に示されるように、本明細書に記載される代表的な実施形態において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のスパイク64は、上/下方向の中心にある中心スパイク66を含む。これは
図3に幾何学的に示され、想像線72は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の前方表面62を上/下方向に二等分する。図で見ることができるように、中心スパイク66の中心は想像線72上に位置し、それによって中心スパイク66を上/下方向の中心に置く。膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のスパイク64はまた、一対の周縁スパイク68、70を含む。
図3で見ることができるように、周縁スパイク68の中心は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の前方表面62の上半分に位置し(すなわち、想像線72の上方に位置する)、他の周縁スパイク70は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の前方表面62の下半分に位置する(すなわち、想像線72の下方に位置する)。
【0033】
図3で見ることができるように、本明細書に記載される代表的な実施形態において、スパイク64のそれぞれは、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の前方表面62上の内側に位置する。特に、中心スパイク66及び周縁スパイク68、70のそれぞれの中心はそれぞれ、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の前方表面62の内側半に位置する。これは
図3に幾何学的に示され、想像線74は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の前方表面62を内/外方向に二等分する。中心スパイク66及び一対の周縁スパイク68、70のそれぞれの中心は、想像線74の内側に位置決めされる(すなわち、想像線74と、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の最内側縁との間に位置決めされる)。このようなスパイク64の内側位置決めは、概して膝蓋骨16の内側面に存在する、硬化性の低い(すなわち、より軟性の)骨組織への固定を可能にする。
【0034】
図5、7、及び8で見ることができるように、中心スパイク66は、周縁スパイク68、70の両方より長い。このように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転位置決めは、患者の膝蓋骨16の切除された後方表面上のその最終位置にそれを固定する前に達成され得る。特に、以下で更に詳述されるように、外科医は最初に、患者の膝蓋骨16の切除された後方表面の中に中心スパイク66の先端を挿入し、次いで中心スパイク66により画定されたその中心軸を中心に、患者の膝蓋骨16の切除された後方表面に対してそれを回転させることによって、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転位置を変更してよい。膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が所望の整列位置に回転すると、器具14は、周縁スパイク68、70が、切除された膝蓋骨表面の骨組織を係合し、それによって更なる回転を防止し、患者の膝蓋骨16の切除された後方表面に対してその所望の回転位置に膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を維持するように、患者の膝蓋骨16の切除された後方表面に押し付けられてもよい。
【0035】
膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の本体は、中に形成されたいくつかのドリルガイド穴76を有する。ドリルガイド穴76は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の本体の全体厚さを通して延在する。つまり、ドリルガイド穴76の後方端78は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の後方試行軸受表面52に開口し、ドリルガイド穴76の反対側の前方端80は、器具の前方表面62に開口する。ガイド穴76は、患者の外科的に調製された膝蓋骨16に係留穴180をドリルで開け、膝蓋骨コンポーネント18の係留ペグを受容するために使用されるドリルビット84をガイドするために、ドリルガイドとして機能する(
図30及び31を参照)。このように、ドリルガイド穴76のそれぞれの寸法及び位置は、膝蓋骨コンポーネント18の係留ペグ182の寸法及び位置と一致する(
図19参照)。
【0036】
図2、4、及び8で最良に見ることができるように、本明細書に記載される代表的な実施形態において、ドリルガイド穴76のそれぞれは座ぐりされる。このように、ドリルガイド穴76は、それらの前方端80よりもそれらの後方端78において大きな直径を有し、それによりそれらの間に肩部82を画定する。肩部82は、深さストップとして機能し、患者の膝蓋骨16に係留穴182をドリルで開けるために使用される外科用ドリルビット84が、所望の深さまでドリルすることを保証する。特に、
図30で見ることができるように、患者の膝蓋骨16に係留穴をドリルで開けるために使用される外科用ドリルビット84は、ビットの切断フルート88の上端の上に位置付けられる環状カラー86を含む。使用中、ドリルビット84は、カラー86の下面が底面に達するか、ないしは別の方法で座ぐりガイド穴76の肩部82を係合するまで、ドリルガイド穴76のうちの1つを通じて、患者の膝蓋骨16の骨組織の中に前進させてよい。
【0037】
図1〜3に最良に示されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、中に形成された整列ボア90を有する。ドリルガイド穴76と同様に、整列ボア90は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の本体の全体厚さを通して延在する。つまり、整列ボア90の後方端92は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の後方試行軸受表面52に開口し、整列ボア90の反対側の前方端94は、器具のコネクタのスロット102に開口する。
【0038】
整列ボア90は、目に見える整列ガイドとして機能し、外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の尖部を膝蓋骨16の切除前に患者の天然膝蓋骨16の尖部の前の場所と整列させることを可能にする。特に、後方試行表面52の湾曲したピーク表面の先端96は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の最後方点98を画定する。整列ボアは、後方試行表面52の先端96に形成される(すなわち、開口する)。以下で更に詳述されるように、外科医は、患者の天然膝蓋骨16を切除する前に、その尖部に穴を形成し(例えば、ドリルで開け)てよい。穴は、膝蓋骨切除の間に取り外される骨の厚さより深い深さまでドリルで開けられる。このように、浅い穴又はくぼみは、骨を取り外した後も依然として、平坦な外科的に切除された膝蓋骨表面内で目に見える。外科医は、整列ボア90を膝蓋骨内でこの残りの穴と整列させて、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の尖部を患者の天然膝蓋骨16の尖部の前の位置と整列させてよい。
【0039】
図2〜4及び6で見ることができるように、整列ボア90は、ドリルガイド穴76のそれぞれの直径より小さな直径を有する。このように、外科用ドリルビット84は、不用意に整列ボア90を通過することができない。
【0040】
上記で示唆されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、取り外し可能な膝蓋骨締め具12に選択的に固定されてよい。その点において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、膝蓋骨締め具12のコネクタ32の雄型形状を受容するように構成された雌型コネクタ形状を含む(
図10参照)。具体的に、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の本体は、中に形成された接続スロット102を有する。
図7及び8で見ることができるように、接続スロット102は、後方試行軸受表面52と前方表面62との間に位置決めされる。接続スロット102は、膝蓋骨締め具のコネクタ32の接続舌部104を受容するように成形及び寸法決定される。
図10及び11で見ることができるように、接続舌部104は、コネクタ32の本体の丸い表面から外側に延在する、先端106を含む。
図6で見ることができるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102は、同様の形状を有し、膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106を受容するように寸法決定及び成形される、先端凹部108を含む。
【0041】
図6及び8で見ることができるように、接続スロット102の上部表面を画定する上部側壁110は、中に画定された凹部112を有する。本明細書に記載される代表的な実施形態において、ロック凹部112は、概ね半球の形状である。ロック凹部112は、膝蓋骨締め具のコネクタ32のロック機序を受容して、膝蓋骨締め具12を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定するように寸法決定及び位置決めされる。一実施形態において、ロック機序は、膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106上に位置決めされたバイアスプランジャとして実現される。特定の実施形態において、バイアスされたプランジャは、バネバイアスされたボールプランジャ114として実現されてよい。膝蓋骨締め具コネクタ32が接続スロットに挿入されると、ボールプランジャ114は、ボールプランジャ114がそのバネバイアスによりロック凹部112の中に移動する位置に達するまで、上部側壁110によりそのバネバイアスに対して下方に押される。ボールプランジャ114がロック凹部112に位置決めされるとき、ボールプランジャ114をロック凹部112から下方に押し出すことによって、2つのコンポーネントを引き離すために十分な力が適用され、膝蓋骨締め具12が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14から分離されるまで、膝蓋骨締め具12は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に堅く固定される。
【0042】
図6で見ることができるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の整列ボア90は、接続スロット102の先端凹部108を通過する。上記のように、膝蓋骨締め具12が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定されるとき、膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106は、接続スロット102の先端凹部108に位置決めされる。
図11に示されるように、そのように位置決めされるとき、膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106は、整列ボア90を遮断するか、ないしは別の方法でそこを通る移動を防ぐ。より具体的に、膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106が先端凹部108に位置決めされるとき、ドリルビット又は他の器具は、整列ボア90を通過することを防ぐ。
【0043】
所定の患者の生体構造の必要性に適応させるために、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、いくつかの異なる寸法で提供され得る。例えば、本明細書に記載される実例となる実施形態において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、人工膝蓋骨コンポーネント18の様々な寸法をまねるように、5つの異なる内側/外側の長さで実現され得る(例えば、29mm、32mm、35mm、38mm、及び41mm)。
【0044】
本明細書に記載される代表的な実施形態において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、その膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14と大腿骨コンポーネント154との間の平滑な関節接合を可能にする、生体適合性の金属で構成されたモノリシック金属本体として実現される。このような生体適合性の金属例としては、ステンレス鋼、コバルトクロム、又はチタンが挙げられるが、他の金属又は合金が使用されてよい。膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、モノリシックポリマー試行器具として実現されてもよい。このように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、任意の好適な医療等級ポリマー金属で作製されてよい。このようなポリマー材料の例としては、ポリエチルエチルケトン(PEEK)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、又はアセタールが挙げられる。このような実施形態において、モノリシックポリマー試行は、ドリルガイド穴76に位置決めされた金属挿入物(例えば、スリーブ)を含み得る。
【0045】
図12〜14で見ることができるように、取り外し可能な締め具12は、圧縮ソケット120に固定されてもよい。圧縮ソケット120は、患者の切除された膝蓋骨16上の適所に固結されるとき、膝蓋骨コンポーネント18に締め圧力を適用するために使用され得る。圧縮ソケット120は、リング122の形態の基部を含む。リング122は、そこに固定されたリング形状の圧縮可能なクッション124を有する。圧縮クッション124は、膝蓋骨締め具12の使用により締め力が適用されるときに、膝蓋骨16に向かってそれを押し進めることによって、膝蓋骨コンポーネント18の後方軸受表面188を係合するように、変形可能な材料及び機能で構成される。
【0046】
圧縮ソケット120は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のそれに類似する雌型コネクタ形状を含み、結果として、膝蓋骨締め具12のコネクタ32の雄型形状を受容するように構成される(
図12参照)。具体的に、圧縮ソケット120のリング122は、そこに形成された接続スロット126を有する。
図13及び14で見ることができるように、接続スロット126は、膝蓋骨締め具のコネクタ32の接続舌部104を受容するように成形及び寸法決定される。
図12で見ることができるように、接続舌部104の先端106は、バネバイアスされたボールプランジャ114が、リング122の環状壁128を係合して、クランプ12を圧縮ソケット120に固定するように、圧縮ソケットリング122の内部環状壁128を越えて延在する。特に、膝蓋骨締め具のコネクタ32が圧縮ソケット接続スロット126の中にそこを通じて挿入されると、ボールプランジャ114は、該ボールプランジャ114がそのバネバイアスにより上方に移動した時点で、接続スロット126を出てリングの中心に入るまで、上部側壁130によってそのバネバイアスに対して下方に押される。ボールプランジャ114がそのように位置決めされるとき、ボールプランジャ114を下方に押して接続スロット126の中に戻すことによって、2つのコンポーネントを引き離すために十分な力が適用され、それによって膝蓋骨締め具12が圧縮ソケット120から分離されるまで、膝蓋骨締め具12は、圧縮ソケット120に堅く固定される。
【0047】
圧縮ソケット120のリング122は、ステンレス鋼、コバルトクロム、又はチタン等の生体適合性金属で構成されたモノリシック金属本体として実現され得るが、他の金属又は合金が使用されてよい。リング122は、ポリエチルエチルケトン(PEEK)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、又はアセタール等の任意の好適な医療等級ポリマー材料で構成されたモノリシックポリマー試行器具として実現されてもよい。圧縮クッション124は、シリコーン等の任意の好適な医療等級圧縮可能材料で構成されてよい。
【0048】
図15及び16で見ることができるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、整列ハンドル140に固定されてもよい。整列ハンドル140の使用は、膝蓋大腿関節の試行中に、大腿骨コンポーネント154の滑車溝内で関節接合するときに、外科医が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転整列を評価することを可能にする。整列ハンドル140は、その一端に形成されたコネクタ144を有する、比較的平坦な細長いフランジ142を含む。整列ハンドルのコネクタ144は、膝蓋骨締め具12と同一の様式で膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のコネクタと噛合するように、膝蓋骨締め具のコネクタ32と同一である。このように、整列ハンドルのコネクタ144は、コネクタ144の本体の丸い表面から外側に延在する先端148を含む、接続舌部146を有する。接続舌部146及びその先端148は、膝蓋骨締め具のコネクタ32の類似構造に類似する様式で、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102に受容される。
【0049】
同様に、整列ハンドルのコネクタ144は、整列ハンドル140を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定するロック機序を含む。一実施形態において、ロック機序は、整列ハンドルのコネクタ144の先端148上に位置決めされたバイアスプランジャとして実現される。特定の実施形態において、バイアスされたプランジャは、バネバイアスされたボールプランジャ152として実現されてよい。ボールプランジャ152は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102のロック凹部112に捕捉され、膝蓋骨締め具12の取り付けに関して上述されるのと同一の様式で、整列ハンドル140を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に堅く固定し得る。ボールプランジャ152をロック凹部112から下方に押し出すことによって、2つのコンポーネントを引き離すために十分な力が適用され、整列ハンドル140が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14から分離されるまで、整列ハンドル140は、ボールプランジャ152によって膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定されたままである。
【0050】
ここで
図17を参照すると、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の別の実施形態が示される。特に、
図1〜9の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、修正されたドーム状膝蓋骨コンポーネントをまねる試行器具として実現され、一方で膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、他の種類の膝蓋骨コンポーネントをまねるように実現されてよい。例えば、
図17に示されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、大腿骨の顆表面と一致するように設計された「一致する」又は「解剖学的」膝蓋骨コンポーネントをまねるように実現されてもよい。ドーム状膝蓋骨コンポーネントは、膝人工関節の膝蓋骨コンポーネントと大腿骨コンポーネントとの間の、より大きな運動を可能にし、一方で解剖学的膝蓋骨コンポーネントは、大腿骨コンポーネントに対してより拘束される。
図17に示されるように、このような「解剖学的」膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、「修正されたドーム状」膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に関して上記に類似する機能を有して実現され得る。
【0051】
ここで
図20〜32を参照すると、
図1〜17に関して本明細書に記載される様々な器具を使用して、
図19及び20の人工膝蓋骨コンポーネント18を埋め込むために、患者の膝蓋骨16を外科的に調製する手術手技が示される。この手術手技は手術前計画から始まり、特に、CTスキャン又は他の種類の手術前画像を得て、膝蓋骨コンポーネント18の設置場所及び配向を計画してよい。手術前計画が完成すると、膝へのアクセスを可能にするために、患者の軟組織が切開されて、後退させられる。患者の関節の完全な曝露は、典型的に、膝蓋骨16に加えて、患者の大腿骨150及び脛骨152を暴露するように達成される(
図20及び21参照)。
【0052】
膝蓋骨コンポーネント18の埋め込みに加えて、手術手技はまた、患者の天然遠位大腿骨150を人工大腿骨コンポーネント154と置換し、患者の天然近位脛骨152を脛骨トレー156及び脛骨軸受158と置換する(
図28及び29参照)。しかしながら、大腿骨コンポーネント154、脛骨トレー156、及び脛骨軸受158の外科的埋め込みは、本明細書において詳述されていない。更に、膝蓋骨16は、
図20及び
図21において大腿骨150及び脛骨152に対してその解剖学的位置に示されるが、膝蓋骨16は、説明を明確にするために、残りの図面(
図28及び29を除く)において、その解剖学的位置から分離して示される。
【0053】
図22に示されるように、患者の膝蓋骨16の切除の前に、外科医は最初に、膝蓋骨の後方表面162の尖部160に整列特徴を形成する。特に、外科医は、切除する前に、患者の天然膝蓋骨16の後方表面162の尖部160に穴164をドリル166で開け得る。
図22及び23の比較で見られ得るように、整列穴164は、膝蓋骨切除の間に除去される骨の厚さより深い既定の深さまでドリルで開けられる。このように、穴164(又はドリルの深さに依存するわずかなくぼみ)は、骨除去に続いて平坦な外科的に切除された膝蓋骨表面170において依然として目に見える。
【0054】
整列穴164が患者の天然膝蓋骨16の後方表面162にドリルで開けられると、次いで外科医は、患者の天然膝蓋骨16を切除してよい。具体的に、外科医は、切除ガイド(図示せず)及び骨のこぎり(これも図示せず)を使用して、その上に膝蓋骨コンポーネント18が後次に埋め込まれる、概ね平坦な外科的に切除された膝蓋骨表面170を作出してよい。多数の異なる器具及び方法を使用して患者の天然膝蓋骨16を切除され得るが、これを行うための実例となる器具及び方法は、発明の名称「Patella Orthopaedic Surgical Method」であり、2012年6月26日に提出された、同一所有者の同時係属米国特許出願第13/533,607号に記載されている。
【0055】
上記に示唆され、
図23及び24に示されるように、切除前に外科医によりドリルで開けられた整列穴164は、骨切除に続いて平坦な外科的に切除された膝蓋骨表面170において依然として目に見える。整列穴164を形成するために利用されるドリル手技の深さに応じて、それは、外科的に切除された膝蓋骨表面170においてわずかなくぼみとして出現し得る。
【0056】
患者の天然膝蓋骨16の切除が完了すると、外科医は、外科的に切除された膝蓋骨表面170上に埋め込むために適切な膝蓋骨コンポーネント18の寸法を決定する。これを行うために、外科医は膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を使用する。具体的に、ここで更に詳述されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、寸法決定試行及びドリルガイドの両方として機能するように、患者の外科的に切除された膝蓋骨表面170に固定されてよい。これを行うために、外科医は、該外科医が患者にとって適切な寸法であると推定する、異なる寸法の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の最初の1つを選択する。
図25及び26に示されるように、次いで外科医は、選択された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を外科的に切除された膝蓋骨表面170の上に位置決めし、被覆を評価する。具体的に、外科医は、最初に選択された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の整列ボア90を、その外科医により(切除前に)平坦な外科的に切除された膝蓋骨表面170にドリルで開けられた整列穴164と整列させる。これを行うために、外科医は、器具の整列ボア90を通じて平坦な外科的に切除された膝蓋骨表面170のドリルで開けられた整列穴164を視覚化し、ドリルで開けられた整列穴164及び器具の整列ボア90が互いに整列するように、選択された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の位置を調整する。このような方法で整列されると、次いで外科医は、選択された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の被覆を評価し得る。外科医が、選択された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が適切な寸法でないと決定した場合、初期膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は除去され、異なる寸法を有する膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が選択され、外科的に切除された膝蓋骨表面170の上に整列され、評価される。
【0057】
適切な寸法の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が決定されると、外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を外科的に切除された膝蓋骨表面170に固定する。これを行うために、外科医は、選択された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の整列ボア90を平坦な外科的に切除された膝蓋骨表面170のドリルで開けられた整列穴164と整列させることによって、最終埋め込みに望ましい場所及び配向で膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14(すなわち、膝蓋骨コンポーネント18)を位置決めする。このように位置決めされると、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のスパイク64は、外科的に切除された膝蓋骨表面170に向かって下方に面する。
図26で見ることができるように、外科的に切除された膝蓋骨表面170の上に整列されるとき、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の周縁スパイク68、70は、膝蓋骨16の中心に対して内側に位置決めされる。
【0058】
図26にも見ることができるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が膝蓋骨16に向かって押されると、周縁スパイク68、70の両方より長い中心スパイク66は、最初に外科的に切除された膝蓋骨表面170に接触する。このように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転位置決めは、外科的に切除された膝蓋骨表面170上のその最終位置にそれを固定する前に達成され得る。特に、外科医は最初に、中心スパイク66の先端を患者の膝蓋骨16の外科的に切除された膝蓋骨表面170に挿入してよい。次いで外科医は、中心スパイク66により画定されたその中心軸を中心に、外科的に切除された膝蓋骨表面170に対してそれを回転させることによって、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転位置を調整し得る。
【0059】
図27に示されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が所望の整列位置に回転されると、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、周縁スパイク68、70が、外科的に切除された膝蓋骨表面170の骨組織を係合し、そこに着座するように、外科的に切除された膝蓋骨表面170に押し入れられてもよい。これを行うことにより、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の更なる回転を防ぎ、患者の膝蓋骨16の外科的に切除された膝蓋骨表面170に対してその所望の位置にそれを維持する。
【0060】
当然のことながら、外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を、手による指圧の適用のみにより外科的に切除された膝蓋骨表面170の骨組織に押し入れられ得る。しかしながら、ある場合において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を外科的に切除された膝蓋骨表面170に完全に着座させるために、追加の力を利用することが必要な場合がある。このような場合において、外科医は、取り外し可能な締め具12を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に設置し、締め具12を使用して、器具のスパイク64を外科的に切除された膝蓋骨表面170の骨組織に押し入れる締め力を適用し、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を完全に着座させてよい。
【0061】
膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が外科的に切除された膝蓋骨表面170の上に設置されると、次いで外科医は、膝蓋大腿関節の試行を行って寸法決定及び位置決めを評価し得る。これを行うために、外科医は最初に、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に整列ハンドル140を設置する。整列ハンドル140の使用は、膝蓋大腿関節の試行中に、大腿骨コンポーネント154の滑車溝内で関節接合するときに、外科医が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転整列を評価することを可能にする。整列ハンドル140を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定するために、外科医は、ハンドルのコネクタ144を、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102に挿入する。これを行うために、ハンドルのボールプランジャ152は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102のロック凹部112に捕捉され、整列ハンドル140を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に堅く固定する。
【0062】
整列ハンドル140が設置されると、次いで外科医は、その後方試行軸受表面52が、大腿骨コンポーネント154の大腿顆表面172、176の滑車溝176内で関節接合するように位置決めされるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を位置決めすることができる。次いで外科医は、膝蓋大腿関節の試行関節接合を行うように、患者の脚を操作し得る。これを行う際に、外科医は、それが大腿骨コンポーネント154の滑車溝176において関節接合するときに、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転整列の視覚的表示器として、整列ハンドル140を使用してよい。具体的に、
図28で見ることができるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の内側縁(すなわち、接続スロット102が中に形成される縁)が適切に整列される場合、整列ハンドル140は、大腿骨及び脛骨の長軸に対して概ね垂直な方向に外方向に延在する。つまり、概ね内側/外側方向に外方向に延在する。
【0063】
しかしながら、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転位置が適切に整列されない場合、整列ハンドルは、
図29に示されるように、歪曲された角度で外方向に延在する。つまり、適切に整列されない場合、整列ハンドル140は、大腿骨及び脛骨の長軸に対して概ね垂直ではない方向に外方向に延在する。このように、整列ハンドル140は、概ね内側/外側方向に配列されない。
【0064】
上記に基づいて、外科医は、整列ハンドル140の位置を監視することによって、膝蓋大腿関節の試行関節接合を通して、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転位置及び整列を評価し得る。試行手技の間の任意の時点で、整列ハンドル140が大腿骨及び脛骨の長軸に対して所望の角度を維持しない場合(すなわち、概ね内側/外側方向に延在しない場合)、外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の位置決めに関して正しい手技を行い、その回転位置決めを改善し得る。
【0065】
外科医が膝蓋大腿関節の試行関節接合を完了させ、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の位置に対して任意の必要な調整を行うと、次いで外科医は、外科的に切除された膝蓋骨表面170にいくつかの係留穴180をドリルで開けてよい。係留穴180は、膝蓋骨コンポーネント18の係留ペグ182を受容するように寸法決定及び位置決めされる(
図19参照)。これを行うために、外科医は最初に、締め具のコネクタ32を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102に進めることによって、取り外し可能な締め具12を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定する。これを行うために、ハンドルのボールプランジャ114は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102のロック凹部112に捕捉され、膝蓋骨締め具12を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に堅く固定する。
【0066】
次いで外科医は、締め具のハンドル26、30を互いに向かって握り、それによって膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14及び保持ソケット28を互いに向かって移動させて、膝蓋骨16をそれらの間で締める。膝蓋骨16が締め具12によって固定されると、外科医はここで係留穴180をドリルで開けてよい。これを行うために、外科医は、外科用ドリルのビット84の回転先端184を、それが器具の前方表面62を通じてガイド穴76を出て、外科的に切除された膝蓋骨表面170の骨組織に入るように、ドリルガイド穴76のうちの1つの後方試行軸受表面52に形成された開口の中に、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を通じて前進させる。外科医は、ビットのカラー86の下部表面が底部に達するか、ないしは別の方法で座ぐりガイド穴76の深さストップ(すなわち、肩部82)を係合するまで、ドリルビット84を膝蓋骨16の中に前進させ続ける。次いで外科医は、類似の方法で残りの係留穴180をドリルで開ける。
【0067】
上記のように、ドリルガイド穴76のそれぞれの寸法及び位置は、膝蓋骨コンポーネント18の係留ペグ182の寸法及び位置と一致する(
図19参照)。このように、外科医がドリルの外科用ビット84をガイド穴76のそれぞれを通じて前進させると、外科的に切除された膝蓋骨表面170は、
図31に示されるように、膝蓋骨コンポーネント18を埋め込むために調製される。
【0068】
当然のことながら、このように係留穴180をドリルで開ける間に、ボアの直径はビットの直径より小さいため、外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の整列ボア90を通じてドリルの外科用ビット84を前進させることができない。更に、上記のように、膝蓋骨締め具12が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定されるとき、膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106は、器具の接続スロット102の先端凹部108に位置決めされる。
図11に示されるように、そのように位置決めされるとき、膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106は、整列ボア90を遮断するか、ないしは別の方法でそこを通る移動を防ぐ。このように、係留穴180をドリルで開けるために使用されるドリルビット84は、ボアのより小さな直径に起因して、整列ボア90を通じて前進することができないばかりか、他の器具も同様に、器具の接続スロット102の先端凹部108に位置決めされる膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106の存在によって、整列ボア90を通過して外科的に切除された膝蓋骨表面170に至ることができない。
【0069】
当然のことながら、いくつかの例において、外科医は、膝蓋骨締め具12を使用せずに、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を利用して、係留穴180をドリルで開けることを所望し得る。このような場合において、外科医は、指圧の適用のみで膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を維持してよい。
【0070】
ここで
図32を参照すると、係留穴180が外科的に切除された膝蓋骨表面170にドリルで開けられると、外科医は、適切に寸法決定された膝蓋骨コンポーネント18(すなわち、上述のように試行を通じて選択された寸法(すなわち、内側/外側長さ)を有するコンポーネント18)を患者の膝蓋骨16に埋め込む。外科医は最初に、膝蓋骨コンポーネント18の前方表面190に骨セメントを適用してよい。次いで膝蓋骨コンポーネント16が、コンポーネントの係留ペグ182がそれらそれぞれの係留穴180と整列するように、外科的に切除された膝蓋骨表面170の上に位置決めされる。その後、膝蓋骨コンポーネント12が、係留ペグ182が係留穴180の中に受容され、前方表面190が外科的に切除された膝蓋骨表面170と接触して位置決めされるように前進され得る。
【0071】
次いで取り外し可能な締め具12は、締め具のコネクタ32をソケットの接続スロット126に挿入することによって、圧縮ソケット120に固定されてよい。次いで圧縮ソケット120は、患者の切除された膝蓋骨16上の適所に固結されるとき、膝蓋骨コンポーネント18に締め圧力を適用するために使用され得る。つまり、圧縮ソケット120及び締め具12を使用して、骨セメントが重合するときに、膝蓋骨コンポーネント18上の締め圧力を維持してよい。これを行うために、圧縮ソケット120のリング形状の圧縮可能なクッション124は、膝蓋骨コンポーネント18の後方軸受表面188の上に位置決めされる。次いで外科医は、締め具のハンドル26、30を互いに向かって握り、それによって圧縮ソケット120及び保持ソケット28を互いに向かって移動させる。このような移動の間に、圧縮ソケット120の圧縮可能なクッション120を前進させて、膝蓋骨コンポーネント16の後方軸受表面188と接触させる。膝蓋骨コンポーネント16は、圧縮可能なクッション120の凹状表面192内に着座し、それによって固定され(
図14参照)、重合が完了し、膝蓋骨コンポーネント16がそこに固定されるまで、膝蓋骨コンポーネント16を切除された膝蓋骨16に堅く締め付けられる。外科医は、重合プロセスの間に、膝蓋骨締め具のボタン48を前方に摺動させて、その現在の位置に締め具12をロックしてよい。
【0072】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したものにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更及び改変はすべて保護されることが望ましい点は理解されるであろう。
【0073】
本開示は、本明細書において述べた方法、装置、及びシステムの様々な特徴に基づく多くの利点を有するものである。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的実施形態は、ここで述べた特徴のすべてを含むわけではないが、こうした特徴の利点の少なくとも一部から利益を享受するものであることに留意されよう。当業者であれば、本発明の1つ又は2つ以上の特徴を取り入れた、特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される方法、装置、及びシステムを独自に容易に実施することが可能である。
【0074】
〔実施の態様〕
(1) 膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具であって、
人工大腿骨コンポーネントの顆表面と関節接合をなすように構成された後方試行軸受表面であって、前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の最後方表面を画定する湾曲したピーク表面を備える、後方試行軸受表面と、
前方表面であって、そこから外側に延在するいくつかのスパイクを有する、前方表面と、
前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具を通じて前記後方試行軸受表面から前記前方表面に延在する、いくつかのドリルガイド穴と、
を備える、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(2) 前記後方軸受表面が、
人工大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節接合をなすように構成された内側試行関節接合表面と、
前記人工大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節接合をなすように構成された外側試行関節接合表面と、
を備える、実施態様1に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(3) 想像線が、前記前方表面を前記内側/外側方向に二等分し、
前記いくつかのスパイクのそれぞれの中心が、前記想像線の内側に位置決めされる、実施態様1に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(4) 前記いくつかのスパイクが、中心スパイク、上スパイク、及び下スパイクを含み、
上/下想像線が、前記前方表面を前記上/下方向に二等分し、
前記中心スパイクの中心が、前記上/下想像線上に位置し、
前記上スパイクの中心が、前記上/下想像線の上方に位置決めされ、
前記下スパイクの中心が、前記上/下想像線の下方に位置決めされる、実施態様1に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(5) 前記中心スパイクが、前記上スパイク及び前記下スパイクより長い、実施態様4に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
【0075】
(6) 内側/外側想像線が、前記前方表面を前記内側/外側方向に二等分し、
前記中心スパイク、上スパイク、及び下スパイクのそれぞれの中心が、前記内側/外側想像線の内側に位置決めされる、実施態様5に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(7) 前記いくつかのドリルガイド穴が、座ぐり穴である、実施態様1に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(8) 前記後方試行軸受表面と前記前方表面との間に位置決めされた接続スロットを更に備え、前記接続スロットが、前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具を取り外し可能な締め具に固定するように、前記取り外し可能な締め具の接続舌部を受容するように構成される、実施態様1に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(9) 前記後方試行軸受表面及び前記前方表面が、モノリシック本体を構成する、実施態様1に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(10) 前記後方試行軸受表面及び前記前方表面が、モノリシックポリマー本体を構成し、前記いくつかのドリルガイド穴のそれぞれに挿入された金属スリーブを更に備える、実施態様1に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
【0076】
(11) 膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具であって、
人工大腿骨コンポーネントの顆表面と関節接合をなすように構成される、後方試行軸受表面であって、前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の最後方表面を画定する湾曲したピーク表面を備える、後方試行軸受表面と、
前方表面であって、中心スパイクと、前記前方表面から外側に延在するいくつかの周縁スパイクと、を有し、(i)上/下想像線が、前記前方表面を前記上/下方向に二等分し、(ii)前記中心スパイクの中心が、前記上/下想像線上に位置し、(iii)前記中心スパイクが、前記周縁スパイクより長い、前方表面と、
前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具を通じて前記後方試行軸受表面から前記前方表面に延在する、いくつかのドリルガイド穴と、
を備える、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(12) 前記後方軸受表面が、
人工大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節接合をなすように構成された内側試行関節接合表面と、
前記人工大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節接合をなすように構成された外側試行関節接合表面と、
を備える、実施態様11に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(13) 想像線が、前記前方表面を前記内側/外側方向に二等分し、
前記中心スパイク及び前記いくつかの周縁スパイクのそれぞれの中心が、前記想像線の内側に位置決めされる、実施態様11に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(14) 前記いくつかの周縁スパイクが、上スパイク及び下スパイクを含み、
前記上スパイクの中心が、前記上/下想像線の上方に位置決めされ、
前記下スパイクの中心が、前記上/下想像線の下方に位置決めされる、実施態様11に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(15) 内側/外側想像線が、前記前方表面を前記内側/外側方向に二等分し、
前記中心スパイク、上スパイク、及び下スパイクのいずれの中心も、前記内側/外側想像線の内側に位置決めされる、実施態様11に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
【0077】
(16) 前記いくつかのドリルガイド穴が、座ぐり穴である、実施態様11に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(17) 前記後方試行軸受表面と前記前方表面との間に位置決めされた接続スロットを更に備え、前記接続スロットが、前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具を取り外し可能な締め具に固定するように、前記取り外し可能な締め具の接続舌部を受容するように構成される、実施態様11に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(18) 前記後方試行軸受表面及び前記前方表面が、モノリシック本体を構成する、実施態様11に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。
(19) 前記後方試行軸受表面及び前記前方表面が、モノリシックポリマー本体を構成し、前記いくつかのドリルガイド穴のそれぞれに挿入された金属スリーブを更に備える、実施態様11に記載の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具。