(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、老人介護の一環として、理美容に関する出張サービスを行う機会が増加している。出張サービスの際は、理美容用ワゴンを自動車に載せて持参する必要がある。従来、固定式、積重ね式、折畳み式の理美容用ワゴンが知られているが、これらはいずれも嵩張るため、サイズの大きな自動車を用いる必要があったが、サイズの大きな自動車を用いる場合、載せ降ろしが面倒であった。トレイを取り外して自動車に載せると、使用時にトレイを挿し込んで理美容用用具をセットし直さなければならないという面倒もあった。
【0005】
また、理美容用ワゴンを理美容院で使用する場合、不使用時や閉店後には店の隅に置いておくのが一般的であるが、置き場所をとるという難点があった。前記特許文献1の理美容用ワゴンは、複数の理美容用ワゴンを重ね置きできるように構成されているため、場所はとらないが、重ね置きするには、その都度トレイを取り外さなければならないという面倒があった。従来は、折畳み式のワゴンもあるが、薄く折り畳むことができず、折り畳んだときに自立できないため、壁や椅子等に立て掛けなければないといった不便もあった。また、折り畳むときにトレイを取り外さなければならず、取り外したトレイは次の使用時に理美容用ワゴンにセットしなければならないといった面倒があった。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、折り畳むと薄く(コンパクトに)なって持ち運びや自動車への載せ降ろしが容易であり、小型車であっても搭載可能であり、トレイをセットしたまま折り畳むことができ、折畳み状態で垂直(略垂直を含む:発明の詳細な説明及び特許請求の範囲において同じ)に自立可能であり、不使用時に場所をとらない理美容用ワゴンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の理美容用ワゴンは、フレームに棚とトレイの双方又は一方を備え、フレームの下に移動車輪(キャスタ)を備えた理美容用ワゴンにおいて、前記フレームは前脚を備えた前杆と、後脚を備えた後杆を備え、前記前杆と後杆は上端側又は中央付近が連結軸で軸支されて、少なくとも前記連結軸よりも下の前脚と後脚が前記連結軸を支軸として開閉可能であり、前脚と後脚とを互いに離れる方向に開くと前杆と後杆で自立可能であり、前記前脚と後脚を互いに近づく方向に閉じて前記前杆と後杆の一方を他方の内側に重ねて折り畳むと、前記前脚下端部と後脚下端部が外側逆方向に開いて設置面に対して垂直に自立可能としたものである。
【0008】
本発明の理美容用ワゴンは、前記理美容用ワゴンにおいて、前杆又は/及び後杆にトレイ支持用の支持レールが設けられ、当該支持レールはその長手方向一端にトレイを出し入れするための出し入れ口が開口され、他端にトレイの抜け落ちを防止する抜け止め材を備え、当該支持レールは折畳み時に前記出し入れ口が上方を向くように前杆又は/及び後杆に設けられ、支持レールにトレイを挿し込んだまま前杆と後杆を折り畳んでもトレイが支持レールから脱落(落下)しないようにしてある。前杆又は/及び後杆の上下方向に支持レールを多段に設けて、夫々の支持レールにトレイをセットできるようにすることもできる。この場合、前記折畳み時に、全ての支持レールの出し入れ口が上方を向くようにして、トレイが支持レールから落下しないようにする。
【0009】
本発明の理美容用ワゴンは、前記いずれかの理美容用ワゴンにおいて、前杆は二本の前脚を備え、後杆は二本の後脚を備え、二本の前脚の間隔と二本の後脚の間隔を、いずれか一方の間隔が他方の間隔よりも広くして、間隔の狭い方の脚が広い方の脚間の内側に収まるようにしてある。
【0010】
本発明の理美容用ワゴンは、前記いずれかの理美容用ワゴンにおいて、前杆と後杆をX字状(略X字状を含む:発明の詳細な説明及び特許請求の範囲おいて同じ)に交差させて配置して、その交差部分を連結軸で開閉可能に軸支してもよく、前杆と後杆の上端部を下向きV字状(略V字状を含む:発明の詳細な説明及び特許請求の範囲おいて同じ)に配置して、前杆の上端部と後杆の上端部を連結軸で開閉可能に軸支してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の理美容用ワゴンは、次のような効果を奏する。
(1)折り畳むことによってコンパクトにすることができるので、持ち運びが容易である。このため、理美容院内のみならず、出張用として持ち出す場合に自動車への載せ降ろしも容易になる。
(2)理美容用ワゴンの折畳み時に、支持レールの出し入れ口が上方を向くようにした場合、支持レールに差し込んだ(セットした)トレイが落下することがないので、支持レールにトレイをセットしたまま折り畳むことができる。
(3)トレイを支持レールに差し込んだままにしておくことができ、ワゴン本体とトレイを別々に保管する必要がないので、トレイの混積や紛失の心配がない。
(4)折り畳んだ状態で垂直に自立できるので、二台以上を前後に重ねても場所をとらず、作業の邪魔にならない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
本発明の理美容用ワゴン(以下、単に「ワゴン」という)の一例を、図面を参照して説明する。一例として
図1に示すワゴン1は、フレーム2に棚3とトレイ4を備えたものであり、
フレーム2は前フレーム2aと後フレーム2bを備える。前フレーム
2aの前杆5と
後フレーム2bの後杆6とが中央付近で軸支されて、側面視略X字状に形成され、
図4(a)のように展開したり、
図4(d)のように折り畳んだりできるように構成されている。
【0014】
前杆5は、丸パイプを背面視下向きコ字状にしてあり、下端側に前脚7a、7bが設けられ、両前脚7a、7b間であって前杆5の上方側にハンドル8が設けられている。前脚7a、7bの部分は、設置面Gに対して垂直又は略垂直になるように折り曲げられている。前脚7a、7bには移動用の前脚キャスタ9a、9bが設けられている。両前脚7a、7bの間には、細長板状の補強材10が架設され、両前脚7a、7bの間隔が不用意に広がったり狭くなったりしないようにしてある。補強材10はトレイ4の底面より数mm程度下側に設けられ、引き出したトレイ4に荷重がかかった場合に、トレイ4の下方を支持してトレイ4の落下を防止する役割も果たす。なお、この実施形態では、前杆5として丸パイプを用いる場合を一例として説明しているが、前杆5は角パイプ等の丸パイプ以外のものを用いることもできる。
【0015】
前記後杆6は丸パイプを正面視上向きU字状にした部材である。後杆6は前杆5の内側に配置され、両者の中間部分(交差部分)が連結軸(連結ピン)11で開閉可能に連結(軸支)されている。前杆5と後杆6とは連結ピン11を回転軸として回転可能としてあり、展開時には
図1や
図4(a)のように側面視X字状となり、折畳み時には
図4(d)のように側面視I字状(略I字状を含む:発明の詳細な説明及び特許請求の範囲おいて同じ)となるようにしてある。なお、この実施形態では、後杆6として丸パイプを用いる場合を一例として説明しているが、後杆6は角パイプ等の丸パイプ以外のものを用いることもできる。
【0016】
後杆6の下端側の横杆6aには、下向きに突出する後脚12a、12bが間隔をあけて設けられている。後脚12a、12bは、前脚7a、7bと同様、設置面Gに対して垂直又は略垂直になるように折り曲げられている。後脚12a、12bには移動用の後脚キャスタ13a、13bが設けられている。この実施形態では、後杆6が上向きU字状の場合を一例に説明しているが、後杆6の形状及び構造はこれ以外であってもよい。具体的には、二本の縦杆(図示しない)と当該両縦杆の間に配設される横杆(図示しない)を、正面視H字状となるように連結し、両縦杆の下端(後脚12a、12bに相当する)に後脚キャスタ13a、13bを設けたものとすることができる。この場合、両縦杆の下端側を、設置面Gに対して垂直又は略垂直になるように折り曲げておく。
【0017】
両後脚12a、12b(二本の縦杆を用いる場合の縦杆を含む。以下同じ。)の間隔W2は、両前脚7a、7bの間隔W1よりも狭くしてあり(後杆6として二本の縦杆を用いる場合は、縦杆の下端側を内側に折り曲げて両前脚7a、7bの間隔W1よりも狭くなるようにしてある。以下同じ。)、ワゴン1の折畳み時に、後杆6の両後脚12a、12bが、前杆5の両前脚7a、7bの間に収まる(通過する)ようにしてある。このようにすると、ワゴン1の折畳み時に、後杆6の両後脚12a、12bが前杆5の両前脚7a、7bの間に収まり、後杆6の両後脚12a、12bと前杆5の両前脚7a、7bが、ワゴン1の展開時とは逆の位置関係となって(
図4(d))自立可能となる。
【0018】
前杆5と後杆6の交差部分より下方には、トレイ4を支持するための支持レール14が設けられている。一例として
図1に示す支持レール14は、二本のコ字型の細長材15がその開口部16が対向して平行に取り付けられたものであり、二本の細長材15の間にトレイ4の上縁17を差し込んで前後にスライド可能としてある。二本の細長材15の後端部間は連結材18で連結されて両細長材15を補強してある。連結材18は、差し込んだトレイ4が後方に突き抜けて落下しないようにする抜け止め材として機能する。また、連結材18を設けることにより、両細長材15の拡がりを防止することができる。連結材18には、角パイプや丸パイプ等のパイプ材のほか、丸棒や角棒等の棒材、平板、コ字型チャンネル等を用いることができる。二本の細長材15の先端側には、トレイ4を出し入れするための出し入れ口19が開口されている。二本の細長材15のうち前端部付近の上面には抜止片20が取り付けられ、トレイ4の上縁17に設けられたストッパー21を係止できるようにしてある。
【0019】
トレイ4を支持レール14にセットするときは、トレイ4の奥側を斜め下向きに傾けて、ストッパー21を抜止片20の下を通過させ、その後にトレイ4を水平に戻せばよい。反対にトレイ4を支持レール14から抜き取るときは、トレイ4を水平のまま引き出し、ストッパー21が抜止片20に到達したところでトレイ4の奥側を斜め下向きに傾けて(トレイ4の引出し方向手前側を上に持ち上げて)、ストッパー21を抜止片20の下を通過させ、そのまま引き抜けばよい。
【0020】
前記支持レール14は、
図2(a)〜(c)に示すように、前杆5に取り付けられたクランク22と、後杆6に設けられた短棒状の後固定材23に支持されている。クランク22は、両細長材15の拡がりを防止できるように、両細長材15の外側に配置してある。一例として
図2(a)に示すクランク22はヘ字状の平板であり、その長手方向一端側に設けられた管状の前支持部22aに、前杆5に設けられた挿入棒34が挿入されて、前杆5に取り付けられている。ヘ字状の平板の他端側には短棒状の後支持部22bが設けられ、その後支持部22bが支持レール14の細長材15の裏面に固定された支持パイプ35に回転自在に軸支されている。前支持部22aと後支持部22bの間には、中支持部22cが後支持部22bと同方向に突設され、その中支持部22cで支持レール14の細長材15を底面側から支持することによって、支持レール14を水平位置で支持できるようにしてある。クランク22は、ヘ字状以外、例えば、前支持部22a、後支持部22b及び中支持部22cが一直線に並ぶような直線状とすることもできる。
【0021】
支持レール14の細長材15は、支持レール14が
図4(b)〜(d)のように立ち上がっても、当該支持レール14にセットされたトレイ4が抜け落ちないように、ワゴン1の折畳み時に出し入れ口19が上方を向くように取り付けられている。
【0022】
後杆6の上端側には、下向きコ字状のフランジ24(
図1)が設けられている。このフランジ24の上面には、理美容用用具を直接置くことも、それらを入れるトレイや篭等を置くこともできる棚3の一端側(前方側)が固定されている。棚3の他端側(後方側)の裏面には、前記フランジ24と同様のフランジ25が設けられている(以下の説明では、便宜上、前記フランジ24を「前方フランジ」と、前記フランジ25を「後方フランジ」という)。一例として
図1に示す棚3は、天板3aと天板3aの上面に立設された防護柵3bを備えたものであるが、棚3はこれ以外の構造とすることもできる。
【0023】
前記前方フランジ24と後方フランジ25の下側には、前記支持レール14と同様の支持レール28が取り付けられている(以下の説明では、便宜上、前記支持レール14を「下段支持レール」と、前記支持レール28を「上段支持レール」という)。上段支持レール28も、二本のコ字型の細長材15がその開口部16が対向して平行に取り付けられたものであり、二本の細長材15の間にトレイ4の上縁17を差し込んで前後にスライド可能としてある。二本の細長材15の後端部間は連結材18で連結されて両細長材15を補強してある。連結材18は抜け止め材として、差込んだトレイ4が後方に突き抜けて落下しないようにしてある。連結材18を設けることで、両細長材15の拡がりが防止される。連結材18には、角パイプや丸パイプ等のパイプ材のほか、丸棒や角棒等の棒材、平板、コ字型チャンネル等を用いることができる。
【0024】
二本の細長材15の先端側は、トレイ4を出し入れするための出し入れ口19が開口されている。二本の細長材15のうち前端部付近上面には抜止片20が取り付けられ、トレイ4の上縁17に設けられたストッパー21(
図1)が係止して、抜け落ちないようにしてある。トレイ4の上段支持レール28へのセットや引出しは、下段支持レール14の場合と同様に行えばよい。
【0025】
図3に示すように、天板3aの裏面の幅方向両側には、L字状の係止棒26が設けられ、前杆5の上端側に内向きに突設された支持材27の上部に係止できるようにしてある。両係止棒26は、その屈折部26aが幅方向外向きに突設する向きで天板3aの裏面に固定してある。両係止棒26は屈折部26aの近傍が細長の連結棒(図示しない)で連結されている。
【0026】
(使用例1)
本発明のワゴン1の使用例について、
図4(a)〜(d)を参照して説明する。この使用例は、展開した状態(
図4(a))のワゴン1を、
図4(d)の状態まで折り畳む場合の例である。
図4(a)〜(d)の例では、支持レール14、28からトレイ4を外した状態を示しているが、本発明のワゴン1は、トレイ4を下段支持レール14と上段支持レール28の双方にセットしたまま折り畳むことができる。このワゴン1は、トレイ4をセットしたままワンタッチで折畳みが可能であり、折畳み後にトレイ4が落下することがない。また、折畳み状態で、壁などがなくても自立可能なものである。
(1)
図4(b)に示すように、下段支持レール14の前方側(図中左側)を持ち上げるとともに、棚3の天板3aの裏面に設けられた係止棒26を支持材27の上部に沿って水平移動させる(棚3を水平方向に移動させる)。
(2)
図4(c)のように、後杆6の両後脚12a、12bを、前杆5の両前脚7a、7bの間を通過させて、下段支持レール14を上方に向けて立ち上げた状態で棚3を同図中矢印方向に倒していく。
(3)
図4(d)のように、棚3を完全に倒伏させ、折畳み作業を完了する。このとき、下段支持レール14の出し入れ口19と上段支持レール28の出し入れ口19は、それら支持レール14、28にセットされたトレイ4が落下しないように、上向きとなるようにしてある。
(4)前記操作により、ワゴン1は、
図4(d)のように、後杆6の両後脚12a、12bと前杆5の両前脚7a、7bが側面視ハ字状に開いた状態となり、垂直状態でも安定した自立が可能となる。
【0027】
(実施形態2)
本発明のワゴン1の他例を、図面を参照して説明する。一例として
図5に示すワゴン1は、フレーム2に棚3とトレイ4を備えたものであり、フレーム2の前杆5と後杆6とが上端側で軸支されて、側面視下向きV字状に形成されており、
図6のように展開したり、
図7のように折り畳んだりできるように構成されている。
【0028】
前記前杆5は、間隔をあけて配置された二本の縦杆5aが細長板状の横杆5bで連結されたものである。二本の縦杆5aの下端側は、ワゴン1を支持する前脚7a、7bであり、その先端には移動用の前脚キャスタ9a、9bが設けられている。両前脚7a、7bは、実施形態1と同様、設置面Gに対して垂直又は略垂直となるように折り曲げられている。前杆5の上端側には円盤状の取付け部材29(
図8(a)(b))が設けられている。この実施形態では、前杆5として丸パイプを用いているが、前杆5は角パイプ等の丸パイプ以外のものを用いることもできる。
【0029】
前記後杆6は、丸パイプを正面視上向きU字状にした部材であり、後杆6の下側の横杆6aには、二本の後脚12a、12bが間隔をあけて下向きに突設されている。両後脚12a、12bの先端には、移動用の後脚キャスタ13a、13bが設けられている。両後脚12a、12bも、設置面Gに対して垂直又は略垂直となるように折り曲げられている。この実施形態では、後杆6が上向きU字状の部材である場合を一例に説明しているが、実施形態1の場合同様、二本の縦杆と当該両縦杆の間に配設される横杆を、正面視H字状となるように連結し、両縦杆の下端(後脚12a、12bに相当する)に後脚キャスタ13a、13bを設けたものとすることもできる。この場合、両縦杆の下端側は、設置面Gに対して垂直又は略垂直になるように折り曲げておく。後杆6の上端側には円盤状の取付け部材30(
図8(a)(b))が設けられている。後杆6は角パイプ等の丸パイプ以外のものを用いることもできる。
【0030】
両後脚12a、12bの間隔W2は、両前脚7a、7bの間隔W1よりも狭くしてあり、ワゴン1の折畳み時に、後杆6の両後脚12a、12bが、前杆5の両前脚7a、7bの間に収まる(通過する)ようにしてある。このようにすると、ワゴン1の折畳み時に、後杆6の両後脚12a、12bが前杆5の両前脚7a、7bの間を通過し、後杆6の両後脚12a、12bと前杆5の両前脚7a、7bが、ワゴン1の展開時とは逆の位置関係となって(
図6)自立可能となる。
【0031】
前記前杆5と後杆6は、棚3の裏面に設けられたL字状のフランジ31の縦材31a(
図8(a)(b))を、前杆5の取付け部材29と後杆6の取付け部材30で挟み込むことによって連結されている。具体的には、
図8(a)に示すように、取付け部材29の内面に設けられた突起29a及び取付け部材30の内面に設けられた突起30aを、フランジ31の縦材31aに設けられた固定孔32に嵌め込み、前杆5の取付け部材29の外側から、取付け部材29の外側に溶接固定されたバカ穴の貫通ワッシャー29c、取付け部材29の貫通孔29b、フランジ31の貫通孔31b、取付け部材30の貫通孔30b、取付け部材30の外側に溶接固定されたナット30cの順に、留め具33の螺子軸33aを挿通し、その螺子軸33aの先端側を取付け部材30の外側に溶接固定されたナット30cに螺合することによって連結されている。後杆6の取付け部材30は、
図8(b)に示すような突起30aのないものとすることもできる。
【0032】
前記棚3は天板3aと天板3aの上面に立設された防護柵3bを備えたものであるが、棚3はこれ以外の構造とすることもできる。
【0033】
棚3(天板3a)の裏面には、前方フランジ24(
図5)と後方フランジ25が、前後に間隔をあけて設けられ、両フランジ24、25に上段支持レール28が取り付けられている。上段支持レール28は、二本のコ字型の細長材15がその開口部16が対向して平行に取り付けられたものであり、二本の細長材15の間にトレイ4の上縁17を差し込んで前後にスライド可能としてある。
【0034】
二本の細長材15の後端部間は連結材18で連結されて両細長材15を補強してある。連結材18は、差込んだトレイ4が後方に突き抜けて落下しないようにする抜け止め材として機能する。連結材18を設けることにより、両細長材15の拡がりを防止することができる。連結材18には、角パイプや丸パイプ等のパイプ材のほか、丸棒や角棒等の棒材、平板、コ字型チャンネル等を用いることができる。二本の細長材15の先端側には、トレイ4を出し入れするための出し入れ口19が開口されている。二本の細長材15のうち前端部付近上面には抜止片20が取り付けられ、トレイ4の上縁17に設けられたストッパー21が係止して、トレイ4が前に抜け落ちないようにしてある。
【0035】
上段支持レール28の細長材15は、上段支持レール28が立ち上がっても、当該上段支持レール28にセットされたトレイ4が抜け落ちないよう、ワゴン1の折畳み時に出し入れ口19が上方を向くように両フランジ24、25に取り付けられている。
【0036】
前杆5と後杆6の高さ方向中央付近には、下段支持レール14が設けられている。下段支持レール14は、前記上段支持レール28と同様、二本のコ字型の細長材15がその開口部16が対向して平行に取り付けられたものであり、二本の細長材15の間にトレイ4の上縁17を差し込んで前後にスライド可能としてある。二本の細長材15の後端部間は連結材18で連結されて両細長材15を補強してある。連結材18は、差込んだトレイ4が後方に突き抜けて落下しないようにする抜け止め材として機能する。また、連結材18を設けることにより、両細長材15の拡がりを防止することができる。連結材18には、角パイプや丸パイプ等のパイプ材のほか、丸棒や角棒等の棒材、平板、コ字型チャンネル等を用いることができる。二本の細長材15の先端側は、トレイ4を出し入れするための出し入れ口19が開口されている。二本の細長材15のうち前端部付近上面には抜止片20が取り付けられ、トレイ4の上縁17に設けられたストッパー21を係止できるようにしてある。
【0037】
下段支持レール14は、前記実施形態1と同様に、前杆5に取り付けられたクランク22と、後杆6に設けられた短棒状の後固定材23に支持されている(
図2参照)。クランク22は、両細長材15の拡がりを防止できるように、両細長材15の外側に配置してある。ここで用いられるクランク22は、前記実施形態1と同様のヘ字状の平板であり、その長手方向一端側に設けられた管状の前支持部22aに、前杆5に設けられた挿入棒34が挿入されて、前杆5に取り付けられている。ヘ字状の平板の他端側には短棒状の後支持部22bが設けられ、その後支持部22bが支持レール14の細長材15の裏面に固定された支持パイプ35に軸支されている。前支持部22aと後支持部22bの間には、中支持部22cが後支持部22bと同方向に突設され、その中支持部22cで支持レール14の細長材15を底面側から支持することによって、支持レール14を水平位置で支持できるようにしてある。クランク22は、ヘ字状以外、例えば、前支持部22a、後支持部22b及び中支持部22cが一直線に並ぶように、直線状とすることもできる。
【0038】
下段支持レール14の細長材15は、下段支持レール14が立ち上がっても、当該下段支持レール14にセットされたトレイ4が抜け落ちないよう、ワゴン1の折畳み時に出し入れ口19が
図7のように上方を向くように取り付けられている。
【0039】
(使用例2)
本発明のワゴン1の使用例について、
図9(a)〜(c)を参照して説明する。この使用例は、展開した状態(
図9(a)や
図6)のワゴン1を
図9(c)や
図7の状態まで折り畳む場合の例である。このワゴン1もトレイ4をセットしたまま折畳み可能であり、折畳み後にトレイ4が落下することがない。また、折畳み状態で、壁などがなくても自立可能なものである。
(1)
図9(a)の状態で留め具33を緩めて、前杆5の取付け部材29(
図8(a)(b))と後杆6の取付け部材30による、フランジ31の縦材31aの挟み込みを解除する。
(2)フランジ31の縦材31aの挟み込みを解除したら、上段支持レール28及び棚3の片側(図中右側)を起こして、
図9(b)のように縦向きにする。上段支持レール28の出し入れ口19は、
図9(b)の状態で上を向いているため、上段支持レール28にセットされているトレイ4が落下することはない。
(3)上段支持レール28と棚3を起こした状態で、下段支持レール14の片側(図中の右側)を持ち上げ、その動きに連動して前杆5及び後杆6を相互に接近する方向に移動させていく(閉じていく)。前杆5及び後杆6を閉じきると、前脚7a、7bと後脚9a、9bとが側面視ハ字状に開いた状態となり、安定した状態で垂直に自立可能となる。
【0040】
(その他の実施形態)
本発明のワゴン1は、棚3を二段以上設けることもできる。また、トレイ4を一段としたり、三段以上としたりすることもできる。