特許第6294087号(P6294087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6294087HFC−245faからHFOtrans−1234zeを生産するための方法
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  • 特許6294087-HFC−245faからHFOtrans−1234zeを生産するための方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294087
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】HFC−245faからHFOtrans−1234zeを生産するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/25 20060101AFI20180305BHJP
   B01J 23/16 20060101ALI20180305BHJP
   B01J 27/125 20060101ALI20180305BHJP
   B01J 27/138 20060101ALI20180305BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20180305BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   C07C17/25
   B01J23/16 Z
   B01J27/125 Z
   B01J27/138 Z
   C07B61/00 300
   C07C21/18
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-13192(P2014-13192)
(22)【出願日】2014年1月28日
(62)【分割の表示】特願2007-218239(P2007-218239)の分割
【原出願日】2007年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-98007(P2014-98007A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2014年2月20日
【審判番号】不服2016-17175(P2016-17175/J1)
【審判請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】60/839,873
(32)【優先日】2006年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/775,318
(32)【優先日】2007年7月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ハイユー・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】スーエー・サン・タン
【合議体】
【審判長】 瀬良 聡機
【審判官】 瀬下 浩一
【審判官】 木村 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−140002(JP,A)
【文献】 特開2000−63300(JP,A)
【文献】 特表2001−509803(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/108332(WO,A1)
【文献】 特開2000−7592(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/012212(WO,A2)
【文献】 国際公開第2005/042451(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C17/25
C07C21/18
C07B61/00
B01J23/74
B01J27/125
B01J27/128
B01J27/132
B01J27/138
REGISTRY/CAplus/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) AlFまたは10%MgF−90%AlFの存在下、350℃の温度で、>99%純度の1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを脱水素フッ素化することによって、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びフッ化水素を含んでなる結果物を生成させ;そして、
(c) trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含んでなる、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの生産方法。
【請求項2】
(a) フッ化Crの存在下、275〜300℃の温度で、>99%純度の1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを脱水素フッ素化することによって、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びフッ化水素を含んでなる結果物を生成させ;そして
(c) trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含んでなる、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年8月24日に出願された同時係属中の米国特許仮出願番号60/839,873の
利益を主張する。該出願は、参照により本明細書に記載されているものとする。
【0002】
発明の背景
本発明は、trans-1,3,3,3,-テトラフルオロプロペン(HFO trans-1234ze)の製造方法
に関する。より具体的には、本発明は、まず1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを脱水素
フッ素化することによって、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、trans-1,3,3,3-テト
ラフルオロプロペン及びフッ化水素の混合物を生成させ、次いで所望により、フッ化水素
を回収し、これに続きtrans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収することによる、HF
O trans-1234zeの製造方法に関する。
【0003】
従来より、クロロフルオロカーボン(CFC)類に類似するトリクロロフルオロメタン
及びジクロロジフルオロメタンは、冷却剤、発泡剤、及びガス滅菌用希釈剤として用いら
れてきた。近年、特定のクロロフルオロカーボン類が地球のオゾン層に害を及ぼすおそれ
があるとの懸念が広がっている。結果として、塩素置換基がより少ないまたは塩素置換基
を含有しないハロカーボン類を使用する努力が、世界的になされている。したがって、ヒ
ドロフルオロカーボン類、または炭素、水素及びフッ素のみを含有する化合物の生産は、
関心の高まっている主題となっており、溶媒、発泡剤、冷却剤、洗浄剤、エアゾール噴射
剤、熱媒体、誘電体、消火用組成物及び発電サイクル作動流体として使用するための、環
境的に望ましい製品が提供されている。この点で、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペ
ン(trans-1234ze)は、オゾン層破壊係数(ODP)がゼロであり地球温暖化係数(GW
P)が低い冷却剤、発泡剤、エアゾール噴射剤、溶媒等として、そしてさらにはフッ素化
モノマーとしても使用しうる化合物である。
【0004】
HFO-1234ze(すなわち、ヒドロフルオロオレフィン-1234ze)の生産については、当該
技術分野において公知である。例えば、米国特許第5,710,352は、1,1,1,3,3-ペンタクロ
ロプロパン(HCC-240fa)をフッ素化するとHCFC-1233zd及び少量のHFO-1234zeが形成され
ることを、教示する。米国特許第5,895,825は、HCFC-1233zdをフッ素化するとHFO-1234ze
が形成されることを、教示する。米国特許第6,472,573もまた、HCFC-1233zdをフッ素化す
るとHFO-1234zeが形成されることを、教示する。米国特許第6,124,510は、酸素含有ガス
の存在下で強塩基またはクロミア系触媒のいずれかを用いて、HFC-245faを脱水素フッ素
化することにより、HFO-1234zeのcis及びtrans異性体が形成されることを、教示する。欧
州特許EP 0939071は、HCFC-1233zdとHFO-1234zeとの共沸混合物である中間反応生成物を
介した、HCC-240faのフッ素化によるHFC-245faの形成を、記載している。
【0005】
これらの公知の方法は、その生成物収率と経済学的に相関しないことが、分かっている
。さらに、これらの公知の方法において、相当量のcis-1234zeがそのtrans異性体ととも
に生じることが、知られている。それゆえに、trans-1234zeを生成混合物から単離可能で
あって、かつcis-1234zeを再利用可能な手段が、必要である。したがって、本発明は、純
粋なtrans-1234zeを先行技術での方法よりも高い収率にて得ることが可能であって、かつ
cis-1234zeを公知の方法とは対照的に再利用可能な、trans-1234zeを生産するための統合
的方法を、提供する。具体的には、trans-1234zeを、酸素含有ガスの非存在下で1,1,1,3,
3-ペンタフルオロプロパンを脱水素フッ素化して、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン
、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びフッ化水素を生産することにより形成して
もよいことが、現在見いだされている。次いで、所望によるが、しかし好ましくは、フッ
化水素を回収し、次いでtrans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する。次いで、ci
s-1234ze及びHFC-245faを、再利用してもよい。
【0006】
図面の簡単な説明
図1は、実施例1における、フッ素化クロミア触媒の性能に及ぼす経過時間の影響を示
すグラフである(反応条件:20cc触媒、12g/h HFC-245a、350℃、1気圧)
【0007】
発明の説明
本発明は、
(a) 1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを脱水素フッ素化することによって、cis-1,
3,3,3-テトラフルオロプロペン、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びフッ化水素
を含んでなる結果物を生成させ;
(b) 所望により、工程(a)の結果物からフッ化水素を回収し;そして、
(c) trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含んでなる、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの生産方法を提供する。
【0008】
本発明はまた、
(a) 1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを、気相反応にて脱水素フッ素化することに
より、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及
びフッ化水素を含んでなる結果物を生成させ;
(b) 工程(a)の結果物からフッ化水素を回収し;そして、
(c) trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含んでなる、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを生産するための連続的で総
合的な製造方法も提供する。
【0009】
当該方法の最初の工程は、HFC-245faを脱水素フッ素化して、cis-1,3,3,3-テトラフル
オロプロペン、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びフッ化水素を含んでなる結果
物を生成させることによる、HFC-245faの触媒的変換を有する。脱水素フッ素化反応は、
当該技術分野において周知である。好ましくは、HFC-245faの脱水素フッ素化を気相中で
行い、そしてより好ましくは、気相中の固定層反応器内で行う。脱水素フッ素化反応を、
任意の適切な反応槽または反応器内で行ってもよいが、しかし好ましくは、それは、ニッ
ケル、ならびにハステロイ、インコネル、インコロイ及びモネルを始めとするその合金な
どのフッ化水素の腐食作用に抵抗性の材料、あるいはフッ素重合体で裏打ちされた槽で構
成されるべきである。これらは、バルク形態もしくは担持されたフッ素化金属酸化物、バ
ルク形態もしくは担持された金属ハロゲン化物、ならびに炭素担持遷移金属、金属酸化物
及びハロゲン化物のうちの1またはそれより多くであってもよい脱水素フッ素化触媒で充
填した、一または複数の管であってもよい。適切な触媒としては、これに限らないが、フ
ッ素化クロミア(フッ素化Cr2O3)、フッ素化アルミナ(フッ素化Al2O3)、金属フッ化物
(例えば、CrF3、AlF3)、及びFe/C、Co/C、Ni/C、Pd/Cなどの炭素担持遷移金属(0酸化
状態)、または遷移金属ハロゲン化物が挙げられる。HFC-245faを、純粋な形態、不純物
を含む形態で、または、窒素、アルゴン等などの至適な不活性ガスとともに、反応器内に
導入する。本発明の好ましい実施態様では、HFC-245faを、反応器に入れる前に、あらか
じめ揮発させておくかまたは加熱しておく。あるいは、HFC-245faを、反応器内部であら
かじめ揮発させておく。有用な反応温度は、約100℃〜約600℃の範囲であってもよ
い。好ましい温度は約150℃〜約450℃の範囲であってもよく、そして、より好まし
い温度は約200℃〜約350℃の範囲であってもよい。反応を、大気圧、超大気圧また
は真空下にて行ってもよい。真空圧は、約5トール〜約760トールであることが可能で
ある。HFC-245faの触媒との接触時間は、約0.5秒〜約120秒の範囲であってもよい
が、しかしながら、これより長時間もしくは短時間を用いることは可能である。
【0010】
好ましい実施態様において、プロセスフローは、触媒床を介して下方向または上方向で
ある。反応器内に入れたまま、長期使用後に触媒を定期的に再生することもまた、好都合
である。触媒の再生を、例えば、約100℃〜約400℃、好ましくは約200℃〜約3
75℃の温度にて、約0.5時間〜約3日間、空気、または窒素で希釈した空気を触媒上
に通すことによるなどの、当該技術分野において公知の任意の手段によって、遂行しても
よい。これに続いて、フッ素化金属酸化物触媒及び金属フッ化物触媒に対しては、約25
℃〜約400℃、好ましくは約200℃〜約350℃の温度にてHF処理、あるいは、炭
素担持遷移金属触媒に対しては、約100℃〜約400℃、好ましくは約200℃〜約3
50℃の温度にてH処理を行う。
【0011】
本発明の別の実施態様において、HFC-245faの脱水素フッ素化を、これを、これに限定
されないがKOH、NaOH、Ca(OH)2及びCaOを始めとする強苛性溶液と高温にて反応させるこ
とにより、遂行することが可能である。この場合、苛性溶液の苛性強度は、約2重量%〜
約100重量%、より好ましくは約5重量%〜約90重量%、そして最も好ましくは約1
0重量%〜約80重量%である。反応を、約20℃〜約100℃、より好ましくは約30
℃〜約90℃、そして最も好ましくは約40℃〜約80℃の温度にて行ってもよい。上記
のように、反応を、大気圧、超大気圧または真空下にて行ってもよい。真空圧は、約5ト
ール〜約760トールであることが可能である。加えて、所望により、溶媒を、苛性溶液
中に有機化合物を溶解させるために用いてもよい。この任意の工程を、前記目的のために
、当該技術分野において周知の溶媒を用いて行ってもよい。
【0012】
所望によるが、しかし好ましくは、次いで、フッ化水素を、脱水素フッ素化反応の結果
物から回収する。フッ化水素の回収を、脱水素フッ素化反応により生じた組成物を硫酸抽
出機に通してフッ化水素を取り出し、続いて、抽出したフッ化水素を硫酸から脱離させ、
次いで脱離したフッ化水素を蒸留することにより、行う。該分離を、硫酸を混合物に加え
ることにより行ってもよいが、ここで混合物は、液体状またはガス状のいずれかである。
硫酸とフッ化水素の通常の重量比は、約0.1:1〜約100:1である。フッ化炭素と
フッ化水素との液体混合物で開始し、次いで硫酸を混合物に加えてもよい。
【0013】
分離に必要な硫酸の量は、系中に存在するHFの量によって決まる。温度曲線に応じた
100%硫酸中でのHF溶解度から、硫酸の実際的な最小量を決定することが可能である
。例えば、30℃では、約34gのHFが、100gの100%硫酸に溶解するであろう
。しかしながら、100℃では、約10gのHFしか100%硫酸に溶解しないであろう
。好ましくは、本発明において用いられる硫酸は、約50%〜100%の純度である。
【0014】
好ましい実施態様において、硫酸とフッ化水素の重量比は、約0.1:1〜約1000
:1の範囲である。より好ましくは、重量比は、約1:1〜約100:1、そして最も好
ましくは約2:1〜約50:1の範囲である。反応を、好ましくは約0℃〜約100℃、
より好ましくは約0℃〜約40℃、そして最も好ましくは約20℃〜約40℃にて行う。
抽出は、通常、標準大気圧にて行われるが、しかしながら、当業者は、これより高圧また
は低圧の条件を用いてもよい。硫酸をフッ化炭素とHFとの混合物に加えると、二つの相
が急速に形成される。フッ化炭素を多く含む上相、及びHF/硫酸を多く含む下相が、形
成される。「多く含む」の語は、相が、その相中に表示した成分の50%より多くを、そ
して好ましくは、その相中に表示した成分の80%より多くを含有することを、意味する
。フッ化炭素の抽出効率は、約90%〜約99%の範囲であることが可能である。
【0015】
相の分離後、フッ化炭素を多く含む上相を、フッ化水素及び硫酸を多く含む下相から取
り出す。これを、デカント、サイホン、蒸留または当該技術分野において周知の他の技術
により行ってもよい。所望により、より多くの硫酸を、取り出した下相に加えることによ
って、フッ化炭素の抽出を繰り返してもよい。硫酸とフッ化水素の重量比約2.25:1
で、一工程において約92%の抽出効率を得ることが可能である。好ましくは、その後、
フッ化水素と硫酸を分離する。硫酸からHFを回収するためには、高温の硫酸中でHFの
溶解度が低いことを利用することが可能である。例えば、140℃では、HFは、4gし
か100%硫酸中に溶解しないであろう。HFを回収するために、HF/硫酸溶液を、2
50℃まで加熱することが可能である。次いで、HF及び硫酸を、再利用してもよい。す
なわち、HFを、HFC-245faを形成するための先行する反応に再利用してもよく、そして
、硫酸を、さらなる抽出工程における使用のために再利用してもよい。
【0016】
本発明の別の実施態様において、フッ化炭素とフッ化水素との混合物からのフッ化水素
の回収を、硫酸の気流をフッ化炭素及びフッ化水素の気流に導入する連続的な方法により
、気相中で行ってもよい。これを、標準的なスクラビング塔内で、硫酸の気流をフッ化炭
素及びフッ化水素の気流に向流させることにより行ってもよい。硫酸抽出は、例えば、米
国特許第5,895,639に記載される。該出願は、参照により本明細書に記載されているもの
とする。別の実施態様においては、脱水素フッ素化の結果物からのフッ化水素の取り出し
を、その結果物を水及び腐食剤を含んでなるスクラバーに通し、続いて硫酸乾燥カラム中
などで乾燥させることにより行う。
【0017】
あるいは、HFを、水もしくは苛性スクラバーを用いることにより、または金属塩と接
触させることにより、回収するかまたは取り出すことが可能である。水抽出機を用いる場
合は、技術は、硫酸のものに類似する。腐食剤を用いる場合は、HFを、水溶液に溶解し
たフッ化塩として、系から取り出すだけである。金属塩(例えば、フッ化カリウムまたは
フッ化ナトリウム)を用いる場合は、これを、そのまま用いるかまたは水と併せて用いる
ことが可能である。金属塩を用いる場合は、HFを回収することが可能である。
【0018】
その後、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロ
ペン及び任意の副生成物及び/または出発材料を始めとする、未反応の出発材料及び副生
成物からなる反応生成混合物から、抽出及び好ましくは蒸留によるなどの当該技術分野に
おいて公知の任意の手段によって、回収してもよい。trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロ
ペン、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、未反応のHFC-245fa及び任意の副生成物の
混合物を、蒸留カラムに通す。例えば、好ましくは、蒸留を、標準的な蒸留カラム中で、
大気圧、超大気圧または真空下にて行ってもよい。好ましくは、圧は、約300psig
未満、好ましくは約150psig未満、そして最も好ましくは100psig未満であ
る。蒸留カラムの圧は、本質的には、蒸留作動温度を決定する。trans-1,3,3,3-テトラフ
ルオロプロペンは、約−19℃の沸点を有し;cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンは、
約9℃の沸点を有し;HFC-245faは、約15℃の沸点を有する。trans-1,3,3,3-テトラフ
ルオロプロペンを、蒸留カラムを約−10℃〜約90℃、好ましくは約0℃〜約80℃に
て作動させることにより、留出物として回収してもよい。一つまたは複数の蒸留カラムを
用いてもよい。留出物部分には、実質的には、すべてのtrans-1,3,3,3-テトラフルオロプ
ロペンが含まれる。蒸留の底流には、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、HFC-245fa
、少量の未回収HF、ならびに任意の他の不純物が含まれる。好ましい実施態様において
、HFC-245faの一部を、次の脱水素フッ素化反応に向けて再利用し、cis-1,3,3,3-テトラ
フルオロプロペン及び/またはcis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンと245faとの混合物
を、工程(a)への再利用のために、HFC-245faへのフッ素化反応にかける。工程(b)
から回収したHF、及び蒸留底部に存在するいかなるHFもまた、次のフッ素化反応に向
けて回収及び再利用してもよい。
【0019】
HFC-245faへのcis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンのフッ素化を、液相または気相中
で行ってもよい。HFC-245faへのcis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの気相でのフッ素
化を、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを、反応槽内にて触媒存在下でHFと反応さ
せることにより、行ってもよい。フッ素化反応を、任意の適切なフッ素化反応槽もしくは
反応器内で行ってもよいが、しかし好ましくは、それは、ニッケル、ならびにハステロイ
、インコネル、インコロイ及びモネルを始めとするその合金などのフッ化水素の腐食作用
に抵抗性の材料、あるいはフッ素重合体で裏打ちされた槽で構成されるべきである。
【0020】
好ましい気相でのフッ素化触媒としては、これに限定されないが、好ましくは活性炭上
またはフッ素化アルミナに担持される、遷移金属ハロゲン化物、IVb群及びVb群金属
ハロゲン化物、ならびにその組み合わせが挙げられる。より具体的には、好ましいフッ素
化触媒として、これに限らないが、SbCl5、SbCl3、TaCl5、SnCl4、NbCl5、TiCl4、MoCl5
、Cr2O3、Cr2O3/Al2O3、Cr2O3/AlF3、Cr2O3/炭素、CoCl2/Cr2O3/Al2O3、NiCl2/Cr2O3/Al2
O3、CoCl2/AlF3、NiCl2/AlF3及びその混合物が挙げられ、ここで、HFでの前処理後また
はHF存在下での反応中に、上記触媒は部分的にフッ素化されるであろうことが理解され
る。炭素上に担持される触媒に関しては、好ましい触媒は、活性炭上に担持されるSbCl3
及びSbCl5ハロゲン化物である。少なくとも90%の純度を有するフッ素化触媒が、好ま
しい。フッ素化触媒は、反応を進めるのに十分な量にて存在する。
【0021】
フッ化水素(HF)中のいかなる水も、フッ素化触媒と反応し、そしてこれを非活性化
するであろう。したがって、実質的に無水のフッ化水素が好ましい。「実質的に無水の」
とは、HFが、約0.05重量%未満の水を含有し、そして好ましくは約0.02重量%
未満の水を含有することを意味する。しかしながら、当業者は、HF中の水の存在を、用
いる触媒量を増やすことにより補うことが可能であることを、理解するであろう。
【0022】
気相でのフッ素化反応を、約50℃〜約400℃、好ましくは約60℃〜約375℃、
そしてより好ましくは約65℃〜350℃の温度にて行ってもよい。フッ素化を、約15
psia〜約215psia、より好ましくは約15psia〜約165psia、そし
て最も好ましくは約30psia〜約100psiaの圧にて行ってもよい。本発明の方
法において、好ましくは、無水のHFを反応器に供給して、反応器を、所望のフッ素化反
応温度にあらかじめ加熱しておく。cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びHFを、本
明細書に記載される所望の温度及び圧にて反応器に加える。本発明の好ましい実施態様に
おいて、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンとHFのいずれかまたは双方を、反応器に
入れる前に、あらかじめ揮発させておくか、またはあらかじめ加熱しておく。あるいは、
cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びHFを、反応器内部で揮発させる。フッ素化反
応中に、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びHFを、気相中でフッ素化触媒と反応
させる。反応気体を、約0.01〜約240秒間、より好ましくは約0.1〜約60秒間
、そして最も好ましくは約0.5〜約20秒間、フッ素化触媒と接触させる。
【0023】
好ましい実施態様において、プロセスフローは、触媒床を介して下方向である。各使用
の前に、触媒を、好ましくは、乾燥させ、あらかじめ加熱し、そして活性化させる。反応
器内に入れた状態で、長期使用後に触媒を定期的に再生することもまた、好都合である可
能性がある。Cr2O3、Cr2O3/Al2O3、Cr2O3/AlF3、Cr2O3/炭素、CoCl2/Cr2O3/Al2O3、NiCl2
/Cr2O3/Al2O3、CoCl2/AlF3、NiCl2/AlF3触媒に関しては、前処理を、窒素または他の不活
性ガスの気流中で、触媒を約150℃〜約430℃に加熱することにより行うことが可能
である。次いで、触媒を、高い触媒活性を得るために、非常に過剰の窒素ガスで希釈した
HFの気流でそれを処理することにより、活性化してもよい。触媒の再生を、例えば、約
100℃〜約400℃、好ましくは約200℃〜約375℃の温度にて、反応器のサイズ
に応じて約1時間〜約3日間、空気、または窒素で希釈した空気を触媒上に通すことによ
るなどの、当該技術分野において公知の任意の手段により、遂行してもよい。活性炭など
の固体担体上に担持されるSbCl5、SbCl3、TaCl5、SnCl4、NbCl5、TiCl4、MoCl5触媒に関
しては、前処理または活性化を、まず、触媒を窒素もしくは他の不活性ガスの気流中で約
30℃〜250℃に加熱することにより行うことが可能である。次いで、これを、高い触
媒活性を得るために、塩素ガスなどの酸化剤の非存在下または存在下にて、HFの気流で
処理する。加えて、所望により、反応中に塩素を反応器に併せて供給することによって、
触媒を活性に保ってもよい。
【0024】
HFC-245faを、米国特許第5,763,706に記載されるものなどの当該技術分野において公知
の任意の手段により、未反応の出発材料及び副生成物からなるフッ素化反応生成混合物か
ら回収してもよい。好ましい実施態様においては、存在するいかなるHFもまた、次のフ
ッ素化反応に向けて回収及び再利用してもよい。
【0025】
あるいは、液相での方法を用いて、cis-1234zeをHFC-245faへフッ素化してもよい。cis
-1234zeを、液相フッ素化触媒の存在下でHFと反応させる。次いで、HFC-245faを回収す
る。出発材料及び副生成物は、再利用することが可能である。液相フッ素化触媒を、反応
器を加熱する前に、フッ素化反応器に入れる。有用なフッ素化触媒としては、これに限ら
ないが、遷移金属ハロゲン化物、IVa群及びVa群金属ハロゲン化物、IVb群金属ハ
ロゲン化物、Vb群金属ハロゲン化物及びVIb群金属ハロゲン化物、ならびにその混合
物が挙げられる。このようなものとしては、これに限らないが、SbCl5、SbCl3、TaCl5、S
nCl4、NbCl5、TiCl4、MoCl5及びその混合物が挙げられる。本発明による反応器は、上述
のものを始めとする任意の適切なフッ素化反応槽であってもよい。
【0026】
cis-1234ze、またはcis-1234zeとHFC-245faとの混合物とHFを、反応器が所望の温度
に達した後に同時に反応器に供給する。反応器を、約60℃〜約140℃;より好ましく
は約70℃〜約120℃、そして最も好ましくは約80℃〜約110℃の範囲の好ましい
温度にて、稼動させる。HFとcis-1234zeのモル比は、好ましくは約4〜約10;より好
ましくは約5〜約9;そして最も好ましくは約5.5〜8の範囲である。反応器の圧を、
好ましくは約0〜約300psig;より好ましくは約50〜約275psig、そして
最も好ましくは約100〜約260psigに維持する。塩素の供給は任意であるが、し
かし、触媒を活性に保つことが好ましい。塩素の供給は、塩化アンチモンを触媒として用
いる場合に、特に好都合である。SbCl5触媒1ポンド毎に、約0.06〜約0.2lbの
塩素を反応器に供給する。塩素を、バッチ式または連続式のいずれかにて投入することが
可能である。
【0027】
所望によるが、しかし好ましくは、上部触媒ストリッパーを、ほとんどの未反応HF及
び触媒を反応器に逆流させるように用いる。触媒ストリッパーは、冷却器を備えた充填さ
れたパイプであり、そして、この工程を、冷却器の温度を約20℃〜約100℃の範囲に
調整することにより行う。HFC-245faを、米国特許第5,763,706に記載されるように回収す
る。
【0028】
以下の非限定的な実施例は、本発明を例証するのに役立つ。
【実施例】
【0029】
実施例1:フッ化Cr2O3触媒上でのHRC-245faの脱水素フッ素化
本実施例において用いた触媒は、20ccのフッ素化クロミア触媒(フッ素化Cr2O3
であった。>99%純度のHFC-245faの供給を、250℃〜350℃の範囲で12g/h
の速度にて、この触媒上に通した。表1に示すように、反応温度を250℃から350℃
へと増加させると、HFC-245faの変換は、65.2から96.0%へと増加したが、trans
-1234zeへの選択性は、84.7%から80.6%へとわずかに減少した。250℃では
、trans/cis-1234zeは、唯一の生成物のようであった。図1に示すように、350℃にて
、約8時間の活性化期間後に、HFC-245faの変換及びtrans-1234zeへの選択性は、試験期
間中同レベルを保ち、これは72時間継続した。これらの結果は、フッ素化Cr2O3触媒が
、245faからcis-1234ze及びtrans-1234zeへの変換に対して非常に活性かつ選択性であり
、かつ触媒が非常に高い安定性を有することを、示す。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例2:金属フッ化物触媒上でのHFC-245faの脱水素フッ素化
本実施例において用いる触媒には、三つの金属フッ化物触媒、すなわちAlF3、FeF3及び
10%MgF2−90%AlF3が含まれる。>99%純度のHFC-245faの供給を、350℃で1
2g/hの速度にて、三つの触媒のそれぞれの上に通した。表2に示すように、AlF3及び
10%MgF2−90%AlF3の双方は、HFC-245の脱水素フッ素化に対して高い活性(>95
%のHFC-245fa変換)を供したが、FeF3はそれよりかなり低い活性(<60%のHFC-245fa
変換)を呈した。AlF3及び10%MgF2−90%AlF3上でのHFO-trans-1234zeへの選択性は
、350℃にて約80%であった。
【0032】
【表2】
【0033】
実施例3:活性炭担持金属触媒上でのHFC-245faの脱水素フッ素化
実施例3において用いる触媒には、三つの活性炭担持金属触媒、すなわち、0.5重量
%のFe/AC、0.5重量%のNi/AC、及び5.0重量%のCo/ACが含まれる。>99%純度
のHFC-245faの供給を、350℃で12g/hの速度にて、三つの触媒のそれぞれの上に
通した。表3に示すように、活性炭担持の貴金属でない金属触媒のうち、鉄が最も高い活
性を呈した。525℃の反応温度にて、0.5重量%のFe/AC触媒は、約91%のcis/tra
ns-1234ze選択性、及び約80%のHFC-245faの変換を供した。
【0034】
【表3】
【0035】
本発明を、好ましい実施態様に関して具体的に示し、かつ記載したが、種々の変更及び修飾を、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行ってもよいことが、当業者により容易に理解されるであろう。特許請求の範囲は、開示された実施態様、上記に論じられているこれらの選択肢、及びそのすべての同等物を網羅すると解釈されることが、意図される。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
(a) 1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを脱水素フッ素化することによって、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びフッ化水素を含んでなる結果物を生成させ;
(b) 所望により、工程(a)の結果物からフッ化水素を回収し;そして、
(c) trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含んでなる、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの生産方法。
[2]
工程(b)が行われる、[1]に記載の方法。
[3]
trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを蒸留により回収する、[1]に記載の方法。
[4]
工程(a)または工程(b)の結果物を蒸留し、そしてtrans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収し、そして所望によりフッ化水素、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンのうちの1またはそれより多くを含んでなる残留物を回収することによって、工程(c)を行う、[1]に記載の方法。
[5]
trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを、留出物として回収する、[4]に記載の方法。
[6]
残留物を回収する、[4]に記載の方法。
[7]
フッ化水素、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを残留物からそれぞれ回収する次の工程をさらに含んでなる、[6]に記載の方法。
[8]
スクラバーを用いてフッ化水素を残留物から取り出す次の工程をさらに含んでなる、[6]に記載の方法。
[9]
スクラバーが、水及び腐食剤を含んでなる、[8]に記載の方法。
[10]
cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンのうちの少なくとも一つを残留物から回収し、回収したcis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンのうちの少なくとも一つを工程(a)に再利用する、次の工程をさらに含んでなる、[4]に記載の方法。
[11]
cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、またはcis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンとの混合物を残留物から回収し、そして、フッ素化によってcis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンに変換
する、次の工程をさらに含んでなる、[4]に記載の方法。
[12]
フッ素化反応が液相反応である、[11]に記載の方法。
[13]
フッ素化反応が気相反応である、[11]に記載の方法。
[14]
生じた1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを、工程(a)に再利用する、[11]に記載の方法。
[15]
脱水素フッ素化を、気相反応として行う、[1]に記載の方法。
[16]
脱水素フッ素化を、固定床反応器内で気相反応として行う、[1]に記載の方法。
[17]
脱水素フッ素化を、フッ素化金属酸化物、金属フッ化物及び炭素担持遷移金属のうちの1またはそれより多くを含んでなる触媒を用いて行う、[1]に記載の方法。
[18]
脱水素フッ素化を、バルク形態のフッ素化金属酸化物、担持されたフッ素化金属酸化物、バルクの金属フッ化物及び担持された金属フッ化物のうちの1またはそれより多くを含んでなる触媒を用いて行う、[17]に記載の方法。
[19]
脱水素フッ素化を、フッ素化Cr2O3、AlF3、FeF3、10%MgF2−90%AlF3、活性炭上のFe、活性炭上のNi、及び活性炭上のCoのうちの1またはそれより多くを含んでなる触媒を用いておこなう、[1]に記載の方法。
[20]
脱水素フッ素化を、気相中で約100℃〜約600℃の温度にて;フッ素化Cr2O3、AlF3、FeF3、10%MgF2−90%AlF3、活性炭上のFe、活性炭上のNi、及び活性炭上のCoのうちの1またはそれより多くを含んでなる触媒を用いて、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと触媒との接触時間約0.5秒〜約120秒にて行う、[1]に記載の方法。
[21]
フッ化水素の回収を、工程(a)の結果物を硫酸抽出機に通し、抽出したフッ化水素を硫酸から所望により脱離させ、次いで脱離したフッ化水素を蒸留することにより行う、[1]に記載の方法。
[22]
(a) 1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを、気相反応にて脱水素フッ素化することにより、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びフッ化水素を含んでなる結果物を生成させ;
(b) 工程(a)の結果物からフッ化水素を回収し;そして、
(c) trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収する;
ことを含んでなる、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを生産するための連続的で総合的な製造方法。
[23]
工程(a)または工程(b)の結果物を蒸留し、そしてtrans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを回収し、そして所望によりフッ化水素、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンのうちの1またはそれより多くを含んでなる残留物を回収することによって、工程(c)を行う、[22]に記載の方法。
[24]
trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを、留出物として回収する、[23]に記載の方法。
[25]
残留物を回収する、[23]に記載の方法。
[26]
フッ化水素、cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを残留物からそれぞれ回収する、次の工程をさらに含んでなる、[25]に記載の方法。
[27]
スクラバーを用いてフッ化水素を残留物から取り出す、次の工程をさらに含んでなる、[25]に記載の方法。
[28]
スクラバーが、水及び腐食剤を含んでなる、[27]に記載の方法。
[29]
cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンのうちの少なくとも一つを残留物から回収し、そして、回収したcis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンのうちの少なくとも一つを工程(a)に再利用する、次の工程をさらに含んでなる、[23]に記載の方法。
[30]
cis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、またはcis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンとの混合物を残留物から回収し、そして、フッ素化によってcis-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンに変換する、次の工程をさらに含んでなる、[23]に記載の方法。
[31]
フッ素化反応が液相反応である、[30]に記載の方法。
[32]
フッ素化反応が気相反応である、[30]に記載の方法。
[33]
生じた1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを、工程(a)に再利用する、[30]に記載の方法。
[34]
脱水素フッ素化を、フッ素化Cr2O3、AlF3、FeF3、10%MgF2−90%AlF3、活性炭上のFe、活性炭上のNi、及び活性炭上のCoのうちの1またはそれより多くを含んでなる触媒を用いておこなう、[22]に記載の方法。
[35]
脱水素フッ素化を、気相中で約100℃〜約600℃の温度にて;フッ素化Cr2O3、AlF3、FeF3、10%MgF2−90%AlF3、活性炭上のFe、活性炭上のNi、及び活性炭上のCoのうちの1またはそれより多くを含んでなる触媒を用いて、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと触媒との接触時間約0.5秒〜約120秒にて行う、[22]に記載の方法。
[36]
フッ化水素の回収を、工程(a)の結果物を硫酸抽出機に通し、抽出したフッ化水素を硫酸から所望により脱離させ、次いで脱離したフッ化水素を蒸留することにより行う、[22]に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、実施例1における、フッ素化クロミア触媒の性能に及ぼす経過時間の影響を示すグラフである(反応条件:20cc触媒、12g/h HFC-245a、350℃、1気圧)。
図1