特許第6294089号(P6294089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6294089チェーンテンショナおよびチェーンテンショナのねじりコイルばねの取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294089
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】チェーンテンショナおよびチェーンテンショナのねじりコイルばねの取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/08 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
   F16H7/08 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-16912(P2014-16912)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143542(P2015-143542A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】中島 卓彦
【審査官】 岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−036996(JP,A)
【文献】 特開2008−208642(JP,A)
【文献】 特開2011−185301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンに対して摺動されるシュー面を有し、被取付部材に対して揺動可能に取付らけれる本体部材と、
前記本体部材と前記被取付部材との間に介在され、前記シュー面がチェーンに対して圧接される方向に前記本体部材を揺動付勢するねじりコイルばねと、
を備えたチェーンテンショナにおいて、
前記本体部材は、外周縁部において前記シュー面を構成するシュー壁面が立設された基体と、前記基体から立設されて前記ねじりコイルばねの渦巻き部が嵌合されると共に前記被取付部材への揺動可能な取付部位となる筒状部と、
を有し、
前記基体には、前記筒状部に嵌合されたねじりコイルばねの一方の延長部を保持する保持部が、前記一方の延長部の長手方向に間隔をあけて複数形成され、
前記保持部として、前記一方の延長部の先端部を保持する第1保持部と、前記第1保持部よりも前記筒状部に近い部分において前記一方の延長部を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部は、前記基体との間に隙間を形成するようにされて、前記一方の延長部が前記基体から離間する方向への変位を規制する壁部を備えており、
前記第2保持部は、突起体を左右一対有して、前記一対の突起体によって前記一方の延長部を左右から挟む構成とされている、
ことを特徴とするチェーンテンショナ。
【請求項2】
請求項1において、
前記一対の突起体が、前記ねじりコイルばねを前記本体部材に装着する際に前記一方の延長部が乗り越え可能な傾斜面と、前記一方の延長部が前記傾斜面を乗り越えた後にその逆戻りを規制する規制壁部と、を有している、ことを特徴とするチェーンテンショナ。
【請求項3】
チェーンに対して摺動されるシュー面を有し、被取付部材に対して揺動可能に取付らけれる本体部材と、
前記本体部材と前記被取付部材との間に介在され、前記シュー面がチェーンに対して圧接される方向に前記本体部材を揺動付勢するねじりコイルばねと、
を備えたチェーンテンショナにおいて、
前記本体部材は、外周縁部において前記シュー面を構成するシュー壁面が立設された基体と、前記基体から立設されて前記ねじりコイルばねの渦巻き部が嵌合されると共に前記被取付部材への揺動可能な取付部位となる筒状部と、
を有し、
前記基体には、前記筒状部に嵌合されたねじりコイルばねの一方の延長部を保持する保持部が、前記一方の延長部の長手方向に間隔をあけて複数形成され、
前記保持部として、前記一方の延長部の先端部を保持する第1保持部と、前記第1保持部よりも前記筒状部に近い部分において前記一方の延長部を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部は、前記基体との間に隙間を形成するようにされて、前記一方の延長部が前記基体から離間する方向への変位を規制する壁部を備えており、
前記第2保持部が、1つの突起体と別の突起体とを有して、前記1つの突起体と前記別の突起体とで前記一方の延長部を左右から挟む構成とされている、
ことを特徴とするチェーンテンショナ。
【請求項4】
請求項3において、
前記1つの突起体が、前記ねじりコイルばねを前記本体部材に装着する際に前記一方の延長部が乗り越え可能な傾斜面と、前記一方の延長部が前記傾斜面を乗り越えた後にその逆戻りを規制する規制壁部と、を有している、ことを特徴とするチェーンテンショナ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記第1保持部は、前記基体から立設されて、一方の側方が開放された略L字状または両側方が閉塞されたアーチ状に形成され、
前記一方の延長部は、前記第1保持部に保持された状態で、前記筒状部と同方向に伸びる先端屈曲部を有し、
前記壁部と前記基体との間の隙間が、前記先端屈曲部の長さよりも小さくされている、
ことを特徴とするチェーンテンショナ。
【請求項6】
チェーンに対して摺動されるシュー面を有して被取付部材に対して揺動可能に取付らけれる本体部材に対して、前記シュー面がチェーンに対して圧接される方向に前記本体部材を揺動付勢するねじりコイルばねを保持させるようにしたチェーンテンショナのねじりコイルばね取付構造であって、
前記本体部材は、外周縁部において前記シュー面を構成するシュー壁面が立設された基体と、前記基体から立設されて前記ねじりコイルばねの渦巻き部が嵌合されると共に前記被取付部材への揺動可能な取付部位となる筒状部と、を有し、
前記基体には、前記筒状部に嵌合されたねじりコイルばねの一方の延長部を保持する保持部が、前記一方の延長部の長手方向に間隔をあけて複数形成されており、
前記保持部として、前記一方の延長部の先端部を保持する第1保持部と、前記第1保持部よりも前記筒状部に近い部分において前記一方の延長部を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部は、前記基体から立設されて、一方の側方が開放された略L字状または両側方が閉塞されたアーチ状に形成されることにより前記基体との間に隙間を形成する壁部を有しており、
前記一方の延長部は、前記第1保持部に保持された状態で、前記筒状部と同じ方向に伸びる先端屈曲部を有し、
前記第1保持部における前記壁部と前記基体との間の隙間が、前記先端屈曲部の長さよりも小さくされ、
前記第2保持部は、前記基体から立設されて、前記ねじりコイルばねを前記本体部材に装着する際に前記一方の延長部が乗り越え可能な傾斜面と、前記一方の延長部が前記傾斜面を乗り越えた後にその逆戻りを規制する規制壁部と、を有する突起体として形成され、
前記ねじりコイルばねの前記本体部材への装着が、前記一方の延長部の先端屈曲部を前記第1保持部における前記壁部の下方を通過させた後、前記第2保持部における前記傾斜面を乗り越えるようにさせつつ前記渦巻き部を前記筒状部に嵌合させることにより行われ、
前記第2保持部は、前記突起体を左右一対有して、前記一対の突起体によって前記一方の延長部を左右から挟む構成とされている、
ことを特徴とするチェーンテンショナのねじりコイルばね取付構造。
【請求項7】
チェーンに対して摺動されるシュー面を有して被取付部材に対して揺動可能に取付らけれる本体部材に対して、前記シュー面がチェーンに対して圧接される方向に前記本体部材を揺動付勢するねじりコイルばねを保持させるようにしたチェーンテンショナのねじりコイルばね取付構造であって、
前記本体部材は、外周縁部において前記シュー面を構成するシュー壁面が立設された基体と、前記基体から立設されて前記ねじりコイルばねの渦巻き部が嵌合されると共に前記被取付部材への揺動可能な取付部位となる筒状部と、を有し、
前記基体には、前記筒状部に嵌合されたねじりコイルばねの一方の延長部を保持する保持部が、前記一方の延長部の長手方向に間隔をあけて複数形成されており、
前記保持部として、前記一方の延長部の先端部を保持する第1保持部と、前記第1保持部よりも前記筒状部に近い部分において前記一方の延長部を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部は、前記基体から立設されて、一方の側方が開放された略L字状または両側方が閉塞されたアーチ状に形成されることにより前記基体との間に隙間を形成する壁部を有しており、
前記一方の延長部は、前記第1保持部に保持された状態で、前記筒状部と同じ方向に伸びる先端屈曲部を有し、
前記第1保持部における前記壁部と前記基体との間の隙間が、前記先端屈曲部の長さよりも小さくされ、
前記第2保持部は、前記基体から立設されて、前記ねじりコイルばねを前記本体部材に装着する際に前記一方の延長部が乗り越え可能な傾斜面と、前記一方の延長部が前記傾斜面を乗り越えた後にその逆戻りを規制する規制壁部と、を有する1つの突起体を含み、
前記ねじりコイルばねの前記本体部材への装着が、前記一方の延長部の先端屈曲部を前記第1保持部における前記壁部の下方を通過させた後、前記第2保持部における前記傾斜面を乗り越えるようにさせつつ前記渦巻き部を前記筒状部に嵌合させることにより行われ、
前記第2保持部は、前記1つの突起体の他に別の突起体を有して、前記1つの突起体と前記別の突起体とで前記一方の延長部を左右から挟む構成とされている、
ことを特徴とするチェーンテンショナのねじりコイルばね取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンテンショナおよびチェーンテンショナのねじりコイルばねの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動力伝達用として種々の分野においてチェーンが利用されており、例えば、エンジンにおいては、クランク軸によって、カムシャフトやオイルポンプ等の補器類が、チェーンを介して駆動される。そして、チェーンのたるみ防止のために、チェーンテンショナを設けることも一般的に行われている。
【0003】
特許文献1には、チェーンテンショナとして、チェーンに対して摺動されるシュー壁面(シュー面)を有すると共に被取付部材に対して揺動可能に保持された本体部材と、前記本体部材と被取付部材との間に介在されて、上記シュー壁面がチェーンに対して圧接される方向へと本体部材を揺動付勢するねじりコイルばねを設けたものが開示されている。
【0004】
上記ねじりコイルばねは、本体部材に形成されてその揺動中心となる筒状部の外周に嵌合される渦巻き部と、渦巻き部の一端部側から伸びる第1延長部と、渦巻き部の他端部側から伸びる第2延長部とを有している。そして、本体部材に形成された保持部によって、一方の延長部の先端部が保持される一方、他方の延長部が被取付部材に係止される。特許文献1に記載の上記保持部は、断面略L字状とされて、その側方にある開口部を通して上記一方の延長部が挿入、保持されて、保持状態では渦巻き部が筒状部から抜け出る方向への移動を規制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−36996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のものでは、ねじりコイルばねの前記一方の延長部は、断面略L字状とされた1つの保持部でのみ保持されていることから、この保持部の側方開口側を通して保持作用が解除されやすいものとなっていた。つまり、ねじりコイルばねを本体部材に組み付けた状態において、本体部材を例えばねじりコイルばねが下向きとなる逆さの姿勢状態としたとき等において、ねじりコイルばねが本体部材から不用意に脱落してしまう事態を生じやすいものとなっていた。特に、ねじりコイルばねを保持した本体部材を、被取付部材に接近させたり、被取付部材に揺動可能に取付ける過程において、本体部材をねじりコイルばねが脱落しやすい姿勢状態とせざるを得ない場合もあり、ねじりコイルばねの不用意な脱落をいかに防止するか、ということが問題となる。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、本体部材に対するねじりコイルばねの取付状態を確実に維持できるようにしたチェーンテンショナおよびチェーンテンショナのねじりコイルばねの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明におけるチェーンテンショナにあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
チェーンに対して摺動されるシュー面を有し、被取付部材に対して揺動可能に取付らけれる本体部材と、
前記本体部材と前記被取付部材との間に介在され、前記シュー面がチェーンに対して圧接される方向に前記本体部材を揺動付勢するねじりコイルばねと、
を備えたチェーンテンショナにおいて、
前記本体部材は、外周縁部において前記シュー面を構成するシュー壁面が立設された基体と、前記基体から立設されて前記ねじりコイルばねの渦巻き部が嵌合されると共に前記被取付部材への揺動可能な取付部位となる筒状部と、
を有し、
前記基体には、前記筒状部に嵌合されたねじりコイルばねの一方の延長部を保持する保持部が、前記一方の延長部の長手方向に間隔をあけて複数形成され、
前記保持部として、前記一方の延長部の先端部を保持する第1保持部と、前記第1保持部よりも前記筒状部に近い部分において前記一方の延長部を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部は、前記基体との間に隙間を形成するようにされて、前記一方の延長部が前記基体から離間する方向への変位を規制する壁部を備えており、
前記第2保持部は、突起体を左右一対有して、前記一対の突起体によって前記一方の延長部を左右から挟む構成とされている、
ようにしてある。
【0009】
上記第1の解決手法によれば、ねじりコイルばねは、その一方の延長部の長手方向に間隔をあけて基体に設けられた複数の保持部によって保持されているので、基体つまり本体部へのねじりコイルばねの保持作用が飛躍的に高まり、ねじりコイルばねが本体部材から不用意に脱落してしまう事態を防止することができる。
また、保持部の数を極力少なくしつつ、一方の延長部を安定して確実に保持する上で好ましいものとなる。特に、第1保持部は、一方の延長部が基体から離間する方向へ移動するのを規制する壁部を有しているので、ねじりコイルばねの本体部材からの脱落をより確実に防止する上で好ましいものとなる。さらに、左右一対の突起体によってねじりコイルばねの一方の延長部を左右から挟む構成として、ねじりコイルばねの本体部材からの脱落をより一層確実に防止することができる。
【0010】
上記第1の解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2に記載のとおりである。すなわち、
前記一対の突起体が、前記ねじりコイルばねを前記本体部材に装着する際に前記一方の延長部が乗り越え可能な傾斜面と、前記一方の延長部が前記傾斜面を乗り越えた後にその逆戻りを規制する規制壁部と、を有している、ようにすることができる。この場合、傾斜面と規制壁部とを有する突起体を左右一対設けることにより、ねじりコイルばねの本体部材からの脱落をより一層確実に防止することができる。特に、左右の規制壁部によって、一方の延長部が基体から離間してしまうことが防止されるので、ねじりコイルばねの基体からの脱落防止機能を極めて高いものとすることができる。
【0011】
前記目的を達成するため、本発明におけるチェーンテンショナにあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項3に記載のように、
チェーンに対して摺動されるシュー面を有し、被取付部材に対して揺動可能に取付らけれる本体部材と、
前記本体部材と前記被取付部材との間に介在され、前記シュー面がチェーンに対して圧接される方向に前記本体部材を揺動付勢するねじりコイルばねと、
を備えたチェーンテンショナにおいて、
前記本体部材は、外周縁部において前記シュー面を構成するシュー壁面が立設された基体と、前記基体から立設されて前記ねじりコイルばねの渦巻き部が嵌合されると共に前記被取付部材への揺動可能な取付部位となる筒状部と、
を有し、
前記基体には、前記筒状部に嵌合されたねじりコイルばねの一方の延長部を保持する保持部が、前記一方の延長部の長手方向に間隔をあけて複数形成され、
前記保持部として、前記一方の延長部の先端部を保持する第1保持部と、前記第1保持部よりも前記筒状部に近い部分において前記一方の延長部を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部は、前記基体との間に隙間を形成するようにされて、前記一方の延長部が前記基体から離間する方向への変位を規制する壁部を備えており、
前記第2保持部が、1つの突起体と別の突起体とを有して、前記1つの突起体と前記別の突起体とで前記一方の延長部を左右から挟む構成とされている、
ようにしてある。上記第2の解決手法によれば、第1の解決手法とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0012】
上記第2の解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項4に記載のとおりである。すなわち、
前記1つの突起体が、前記ねじりコイルばねを前記本体部材に装着する際に前記一方の延長部が乗り越え可能な傾斜面と、前記一方の延長部が前記傾斜面を乗り越えた後にその逆戻りを規制する規制壁部と、を有している、ようにすることができる。この場合、傾斜面と規制壁部とを有する突起体に加えて、別の突起体をも利用して一方の延長部を左右から挟むことにより、第2保持部での保持作用を高めて、ねじりコイルばねの基体からの脱落防止機能を極めて高いものとすることができる。
【0013】
前記第1の解決手法および第2の解決手法を前提とした好ましい態様は、次のとおりである。すなわち、
前記第1保持部は、前記基体から立設されて、一方の側方が開放された略L字状または両側方が閉塞されたアーチ状に形成され、
前記一方の延長部は、前記第1保持部に保持された状態で、前記筒状部と同方向に伸びる先端屈曲部を有し、 前記壁部と前記基体との間の隙間が、前記先端屈曲部の長さよりも小さくされている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、一方の延長部は、その先端屈曲部が第1保持部を通過させた状態で基体に保持されるが、この保持状態では、第1保持部における壁部と基体との間の隙間よりも、一方の延長部に形成された先端屈曲部の方が長いので、先端屈曲部が不用意に第1保持部から抜け出てしまう事態も防止されて、ねじりコイルばねを本体部材により確実に保持させておくことができる。
【0014】
前記目的を達成するため、本発明におけるチェーンテンショナのねじりコイルばねの取付構造にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項6に記載のように、
チェーンに対して摺動されるシュー面を有して被取付部材に対して揺動可能に取付らけれる本体部材に対して、前記シュー面がチェーンに対して圧接される方向に前記本体部材を揺動付勢するねじりコイルばねを保持させるようにしたチェーンテンショナのねじりコイルばね取付構造であって、
前記本体部材は、外周縁部において前記シュー面を構成するシュー壁面が立設された基体と、前記基体から立設されて前記ねじりコイルばねの渦巻き部が嵌合されると共に前記被取付部材への揺動可能な取付部位となる筒状部と、を有し、
前記基体には、前記筒状部に嵌合されたねじりコイルばねの一方の延長部を保持する保持部が、前記一方の延長部の長手方向に間隔をあけて複数形成されており、
前記保持部として、前記一方の延長部の先端部を保持する第1保持部と、前記第1保持部よりも前記筒状部に近い部分において前記一方の延長部を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部は、前記基体から立設されて、一方の側方が開放された略L字状または両側方が閉塞されたアーチ状に形成されることにより前記基体との間に隙間を形成する壁部を有しており、
前記一方の延長部は、前記第1保持部に保持された状態で、前記筒状部と同じ方向に伸びる先端屈曲部を有し、
前記第1保持部における前記壁部と前記基体との間の隙間が、前記先端屈曲部の長さよりも小さくされ、
前記第2保持部は、前記基体から立設されて、前記ねじりコイルばねを前記本体部材に装着する際に前記一方の延長部が乗り越え可能な傾斜面と、前記一方の延長部が前記傾斜面を乗り越えた後にその逆戻りを規制する規制壁部と、を有する突起体として形成され、
前記ねじりコイルばねの前記本体部材への装着が、前記一方の延長部の先端屈曲部を前記第1保持部における前記壁部の下方を通過させた後、前記第2保持部における前記傾斜面を乗り越えるようにさせつつ前記渦巻き部を前記筒状部に嵌合させることにより行われ、
前記第2保持部は、前記突起体を左右一対有して、前記一対の突起体によって前記一方の延長部を左右から挟む構成とされている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、請求項1に対応した効果とほぼ同様の効果を得ることができると共に、ねじりコイルばねにおける一方の延長部を本体部材に保持させる作業も容易となる。さらに、一方の延長部を第2保持部に保持させる際に、その傾斜面を利用して一方の延長部を確実に基体に接近する方向へと移動させつつ、傾斜面を超えた後は、規制壁部によって一方の延長部が基体から離間してしまうのを防止して、ねじりコイルばねの本体部材からの脱落をより一層確実に防止することができる。
【0015】
前記目的を達成するため、本発明におけるチェーンテンショナのねじりコイルばねの取付構造にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項7に記載のように、
チェーンに対して摺動されるシュー面を有して被取付部材に対して揺動可能に取付らけれる本体部材に対して、前記シュー面がチェーンに対して圧接される方向に前記本体部材を揺動付勢するねじりコイルばねを保持させるようにしたチェーンテンショナのねじりコイルばね取付構造であって、
前記本体部材は、外周縁部において前記シュー面を構成するシュー壁面が立設された基体と、前記基体から立設されて前記ねじりコイルばねの渦巻き部が嵌合されると共に前記被取付部材への揺動可能な取付部位となる筒状部と、を有し、
前記基体には、前記筒状部に嵌合されたねじりコイルばねの一方の延長部を保持する保持部が、前記一方の延長部の長手方向に間隔をあけて複数形成されており、
前記保持部として、前記一方の延長部の先端部を保持する第1保持部と、前記第1保持部よりも前記筒状部に近い部分において前記一方の延長部を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部は、前記基体から立設されて、一方の側方が開放された略L字状または両側方が閉塞されたアーチ状に形成されることにより前記基体との間に隙間を形成する壁部を有しており、
前記一方の延長部は、前記第1保持部に保持された状態で、前記筒状部と同じ方向に伸びる先端屈曲部を有し、
前記第1保持部における前記壁部と前記基体との間の隙間が、前記先端屈曲部の長さよりも小さくされ、
前記第2保持部は、前記基体から立設されて、前記ねじりコイルばねを前記本体部材に装着する際に前記一方の延長部が乗り越え可能な傾斜面と、前記一方の延長部が前記傾斜面を乗り越えた後にその逆戻りを規制する規制壁部と、を有する1つの突起体を含み、
前記ねじりコイルばねの前記本体部材への装着が、前記一方の延長部の先端屈曲部を前記第1保持部における前記壁部の下方を通過させた後、前記第2保持部における前記傾斜面を乗り越えるようにさせつつ前記渦巻き部を前記筒状部に嵌合させることにより行われ、
前記第2保持部は、前記1つの突起体の他に別の突起体を有して、前記1つの突起体と前記別の突起体とで前記一方の延長部を左右から挟む構成とされている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、請求項6に対応した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本体部材に対するねじりコイルばねの取付状態を確実に維持することができ、ねじりコイルばねの不用意な脱落を防止する上で好ましいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のチェーンテンショナを、エンジンのウオータポンプ駆動用チェーンに対して適用した場合の一例を示す正面図。
図2】本発明によるチェーンテンショナをねじりコイルばねの取付側の面から見た平面図。
図3図2の右側面図。
図4図2の上面図。
図5図2のX5−X5線相当端面図。
図6】チェーンテンショナの本体部分を示す平面図。
図7図6の底面図。
図8図7の下面図。
図9図7の右側面図。
図10図7のX10−X10線相当端面図。
図11図6のX11−X11線相当端面図。
図12図6のX12−X12線相当端面図。
図13図6のX13−X13線相当端面図。
図14図7のX14−X14線相当端面図。
図15図6のX15−X15線相当端面図。
図16】ねじりコイルばねを本体部材に取付ける過程を示すもので、第1延長部の先端屈曲部を第1保持部に挿通させた直後の状態を示す要部斜視図。
図17】ねじりコイルばねの本体部材への取付完了状態を示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、1は自動車用のエンジン本体で、そのクランク軸が符号2で示される。エンジン本体1には補器類としてのウオータポンプ3が固定されている。クランク軸2に固定したスプロケット4とウオータポンプ3(の駆動軸)に固定したスプロケット5との間に、チェーン6が巻回されている。これにより、クランク軸2が回転することにより、ウオータポンプ3が回転駆動される。
【0019】
エンジン本体1には、さらに、チェーンテンショナCTが設けられている。チェーンテンショナCTは、本体部材10とねじりコイルばね20とを有する。本体部材10は、エンジン本体1に設けた取付軸7を中心に揺動可能としてエンジン本体1に取付けられている。本体部材11は、チェーン6に摺動可能に圧接されるシュー面10aを有する。
【0020】
ねじりコイルばね20は、本体部材10と共に後に詳細に説明するが、本体部材10に嵌合、保持される渦巻き部21と、渦巻き部21の一端部から線状に延長された一方の延長部(カンチレバー部)となる第1延長部22と、渦巻き部21の他端部から線状に延長された第2延長部23と、を有する。第1延長部22は、本体部材10に後述のように保持されている。第2延長部23は、エンジン本体1から突設された係止ピン8に係止されている。
【0021】
チェーンテンショナCTをエンジン本体1に取付けた図1の取付完了状態では、ねじりコイルばね12にねじり力が蓄力されていて、このねじり力の反力によって、本体部材10が、取付軸7を中心として図1時計方向(シュー面10aがチェーン6に圧接される方向)に揺動付勢されている。これにより、チェーン6のたるみが防止される。
【0022】
次に、図2以下を参照しつつ、本体部材10に対してねじりコイルばね20を保持させておく保持部分に着目して、その詳細について説明する。まず、図2図5図6等に示すように、本体部材10は、板状の基体11を有している。そして、基体11の板面には、その一端部側において、円筒状とされた筒状部12が突設(立設)されている。この筒状部12の外周に、ねじりコイルばね20の渦巻き部21が嵌合、保持される(図2図5参照)。
【0023】
基体11からは、その外周縁部において、緩やかに湾曲するシュー壁面13が立設されている。このシュー壁面13の外側面が、前述したチェーン6に圧接されるシュー面10aとされる。
【0024】
ねじりコイルばね20の第1延長部22には、その先端部に、略90度屈曲(折曲)された先端屈曲部22aが形成されている(図2図16図17参照)。同様に、第2延長部23には、その先端部に、略90度屈曲(折曲)された先端屈曲部23aが形成されている(図2図3図4図16参照)。
【0025】
ねじりコイルばね20は、基体1に形成された第1保持部14と第2保持部15とによって、基体11(つまり本体部材10)から離間しないように保持されている。第1保持部14は、第1延長部22の先端部付近を保持する。第2保持部15は、第1延長部22の基端部付近(筒状部12に近い部分)を保持する。
【0026】
第1保持部14は、実施形態では、基体11から離間して基体11と略平行に伸びる壁部14aと、壁部14aの左右端部を基体11と連結する左右の連結部14bとを有する。つまり、第1保持部14は、基体11の板面と略平行な閉じられた挿通孔14cを構成するものとなっている。この挿通孔14cを、第1延長部22の先端屈曲部22aが挿通可能となっている。そして、先端屈曲部22aの長さが、挿通孔14cの高さ(壁部14aの基体11からの高さ)よりも大きくなるように設定されている。
【0027】
第2保持部15は、第1突起体16と第2突起体17との2つの突起体によって構成されている。各突起体16、17は、筒状部12と同一方向に突設されている。
【0028】
第1突起体16は、図13図16に示すように、傾斜面16aと、傾斜面16aの下方に形成された規制壁部16bと、を有する。傾斜面16aは、下方に向かうにつれて、図2に示すねじりコイルばね20の取付完了状態にある第1延長部22に対して徐々に接近するように傾斜されている。規制壁部16bは、傾斜面16aの下方に、取付完了状態にある第1延長部22の少なくとも一部が挿入可能な係止凹部16cの上面を構成するように、係止段部の形態として構成されている。
【0029】
第2突起体17は、ねじりコイルばね20の取付完了状態において、第1延長部22を第1突起体16と協働して左右から挟む位置に設定されている。そして、第1突起体16と第2突起体17とは、取付完了状態にある第1延長部22の長手方向に間隔を有するように位置設定され、実施形態では、第2突起体17が、第1突起体16よりも第1保持部14に近い位置となるように位置設定されている。この第2突起体17には、図12に示すように、下方に向かうにつれて、取付完了状態にある第1延長部22に対して徐々に接近する傾斜面17aが形成されている。両突起体16と17との最小間隔は、第1延長部22の外径よりもわずかに小さくなるように設定されているが、第1延長部22の外径と同一あるいはそれよりも若干大きく設定してもよい。
【0030】
第2延長部23は、ねじりコイルばね20の本体部材10への取付完了状態において、本体部材10の外方へ突出している。なお、先端屈曲部23aの長さは、先端屈曲部22aの長さよりも長くされている。
【0031】
ここで、本体部材10は、全体的に合成樹脂によって一体成形されている。そして、基体1には、各保持部14、15に対応した位置に小孔30、31が形成されている(図6図16図17を参照)。小孔30、31の形成により、本体部材10の成形後の分割型の型抜きが容易化されると共に、成形後のひけ防止が図られる。
【0032】
以上のような構成において、ねじりコイルばね20の本体部材10への取付けは、次のようにして行われる。すなわち、まず、図16に示すように、ねじりコイルばね20の渦巻き部21を、筒状部12の上方位置でその軸線に対して傾斜させた状態とし、かつ第1延長部22が各保持部14と15とを結ぶ方向となる姿勢状態とする。この姿勢状態から、第1延長部22の先端屈曲部22aを、第1保持部14(の挿通孔14c)に挿通させた状態とし、この挿通直後の状態が図16に示される。
【0033】
図16の状態から、渦巻き部21を筒状部12に嵌合させつつ、第1延長部22を下方(基体11へ接近させる方向)へ押圧する。このとき、第1延長部22は、第1突起体16の傾斜面16aに沿って下方へ案内(移動)されて、やがて傾斜面16aを乗り越える。第1延長部22が傾斜面16aを乗り越えた後は、第1延長部22の少なくとも一部が傾斜面16aの下方にある係止凹部16c内に位置されて、規制壁部16bによって基体11から離間することが規制される。また、第1延長部22を基体11に向けて移動させる際に、第2突起体17の傾斜面17aによっても基体11へ向けての第1延長部22の移動が滑らかに案内される。
【0034】
上述のように、ねじりコイルばね20の本体部材10への取付けは、第1延長部22の先端屈曲部22aを第1保持部14に挿通させ、その状態からねじりコイルばね20を基体11へ向けて押圧するだけでよく、極めて簡単に行うことができる。
【0035】
なお、実施形態では、2つの突起体16と17との最小間隔を第1延長部22の外径よりも小さく設定してあるが、図16の状態から第1延長部22を下方へ移動(押圧)したときに2つの突起体16、17が弾性変形されて、その最小間隔が拡大される。
【0036】
取付完了状態では、第1延長部22は、第1保持部によって、基体11からの離間が防止される。また、第1突起体16の係止作用により、第1延長部22が基体11から離間することが規制される。第1突起体16と第2突起体17とで、第1延長部22を左右から挟むので、第1突起体16(の係止凹部16c)から第1延長部22が係合解除されてしまう事態が防止される。
【0037】
以上のようにして、ねじりコイルばね20の本体部材10への取付状態が安定して維持されて、ねじりコイルばね20が組み付けられた状態で本体部材10をエンジン本体1に組み付ける作業を行う過程において、ねじりコイルばね20が不用意に脱落してしまう事態が防止される。特に、ねじりコイルばね20を保持した本体部材10を、種々の姿勢状態に変更しても、ねじりコイルばね20の脱落が防止される。
【0038】
上述のようにしてねじりコイルばね20が組付けられた(保持された)本体部材10は、その筒状部12をエンジン本体1の取付軸7に回動可能に取付けられる。そして、ねじりコイルばね20を、その先端屈曲部25aを把持して、渦巻き部21にねじり力が蓄力されるようにして、第2延長部23が前述した係止ピン8に係止される(第2延長部23が、筒状部12を中心にして図2反時計方向に揺動されて蓄力される)。
【0039】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。第1延長部22の保持部を、第1延長部22の長手方向に間隔をあけて3以上設けてもよい。第2突起体17を、第1突起体16と同様に、傾斜面16a、規制壁部16b、係止凹部16cを有する構造としてもよい(傾斜面16a部分が対向する位置関係とされる)。また、第1突起体16と第2突起体17とを、第1延長部22の長手方向同一位置に位置設定するようにしてもよい。第2保持部15として、第2突起体17を有しないものであってもよい。本発明によるチェーンテンショナCTが摺動されるチェーンとしては、ウオータポンプ3駆動用に限らず、カムシャフト駆動用やオイルポンプ駆動用等、適宜の用途のチェーンとすることができ、またエンジン以外に用いられるチェーンであってもよい。チェーンテンショナCTが取付られる被取付部材としては、エンジン本体1に限らず、エンジン本体1に固定されるウオータポンプ3を選択する等、チェーン6付近にある適宜の固定部材(不動部材)を選択することができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものであり、例えば、ねじりコイルばねの本体部材への組付方法として把握することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、例えばエンジンの補器類駆動用チェーンのたるみ防止として適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
CT:チェーンテンショナ
1:エンジン本体1:(被取付部材)
2:クランク軸
3:ウオータポンプ
4:スプロケット
5:スプロケット
6:チェーン
7:取付軸
8:係止ピン
10:本体部材
10a:シュー面
11:基体
12:筒状部
13:シュー壁面
14:第1保持部
14a:壁部
14b:連結部
14c:挿通孔
15:第2保持部
16:第1突起体
16a:傾斜面
16b:規制壁部
16c:係止凹部
17:第2突起体(別の突起体)
17a:傾斜面
20:ねじりコイルばね
21:渦巻き部
22:第1延長部(一方の延長部)
22a:先端屈曲部
23:第2延長部
23a:先端屈曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17