(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<1.第1実施形態>
<1−1.粉粒体搬送装置の構成>
まず、本発明の第1実施形態に係る微粉除去装置3を有する粉粒体搬送装置1の構成について説明する。
図1は、粉粒体搬送装置1の概略図である。
【0026】
図1に示すように、粉粒体搬送装置1は、粉粒体供給部2、微粉除去装置3、および吸引部4を有する。この粉粒体搬送装置1は、例えば、吸引部4により発生した気流により、粉粒体供給部2から供給される粉粒体を、微粉除去装置3にて微粉除去しながら搬送先であるコンテナ8へと搬送する装置である。
【0027】
粉粒体供給部2は、貯留タンク21、輸送管22、および供給バルブ23を有する。貯留タンク21には、粉粒体が貯留される。輸送管22は、貯留タンク21に貯留される粉粒体を微粉除去装置3へ搬送するための搬送経路である。輸送管22は、一端が貯留タンク21に、他端が微粉除去装置3の後述する供給管301に接続されている。
【0028】
供給バルブ23は、貯留タンク21と輸送管22との間に介挿されている。供給バルブ23が開放すると、貯留タンク21に貯留された粉粒体が輸送管22内へと供給される。また、供給バルブ23が閉鎖すると、貯留タンク21から輸送管22内への粉粒体の供給が停止される。
【0029】
微粉除去装置3は、輸送管22から供給された粉粒体に含まれる微粉を除去し、微粉を除去した粉粒体をコンテナ8へと供給する、粉粒体処理装置である。微粉除去装置3は、コンテナ8に代えて、フレコンバッグ、射出成形機などの他の搬送先へ粉粒体を供給してもよい。微粉除去装置3は、フィルタ部311を有する内筒31と、内筒31の外側を覆う外筒32と、供給管301と、排出口302と、排気管303とを有する。
【0030】
供給管301から気体と共に供給された粉粒体は、内筒31内を通過して排出口302からコンテナ8へと排出される。また、内筒31内の粉粒体に含まれる微粉と、気体の一部とは、フィルタ部311を介して内筒31と外筒32との間の空間に分離され、排気管303から微粉除去装置3の外部へと排出される。微粉除去装置3の詳細な構成については、後述する。
【0031】
吸引部4は、吸引用配管41、ブロワ42、および微粉回収部43を有する。吸引部4は、微粉除去装置3内の空間から気体を吸引する。
【0032】
吸引用配管41は、微粉除去装置3の内筒31と外筒32との間の空間から気体を吸引するための配管である。吸引用配管41は、一端が排気管303に、他端がブロワ42に接続されている。
【0033】
ブロワ42は、微粉除去装置3内の空間から気体を吸引するための吸引用送風手段である。ブロワ42は、吸入口から吸入した気体を、吐出口から吹き出す。ブロワ42の吸入口には、吸引用配管41が接続されている。ブロワ42は、吸引用配管41を介して、微粉除去装置3の内筒31と外筒32との間の空間から気体を吸引する。
【0034】
ブロワ42が駆動すると、吸引用配管41内の空気が吸引され、吸引用配管41内の圧力が低下する。これにより、貯留タンク21から輸送管22、微粉除去装置3、および吸引用配管41を通ってブロワ42へと向かう気流が発生する。ブロワ42を駆動させながら供給バルブ23を開放すると、貯留タンク21から供給された粉粒体が気流とともに微粉除去装置3へと搬送される。
【0035】
微粉回収部43は、吸引用配管41に介挿されている。微粉回収部43は、吸引用配管41内の気流に含まれる微粉を回収する。これにより、ブロワ42に微粉が付着するのが抑制される。
【0036】
なお、本実施形態の微粉除去装置3は、ブロワ42が吸引用配管41、微粉除去装置3および輸送管22内の気体を吸引することにより発生した気流を用いて粉粒体を輸送する、いわゆる吸引方式の粉粒体搬送装置に用いられているが、本発明はこれに限られない。微粉除去装置3は、輸送管22の上流に設けられたブロワ等の気流発生装置により輸送管22内の気圧を上昇させることにより発生した気流を用いて粉粒体を輸送する、いわゆる圧送方式の粉粒体搬送装置に用いられてもよい。
【0037】
<1−2.微粉除去装置の構成>
続いて、微粉除去装置3の構成について説明する。
図2は、微粉除去装置3の概略図である。
図3は、内筒31の縦断面図である。
図4は、(a)は上筒部、(b)はフィルタ部、(c)は下筒部における、微粉除去装置3の横断面図である。
【0038】
微粉除去装置3は、
図2に示すように、内筒31、外筒32、蓋部33、およびベース部34を有する。内筒31、外筒32、蓋部33、およびベース部34はそれぞれ、金属板などの板状の部材により形成されている。
【0039】
内筒31は、上下に延びる中心軸310に沿って、上下に延びる。内筒31は、フィルタ部311および第1下筒部312を有する。
【0040】
フィルタ部311は、中心軸310を中心とした円錐形状をしている。また、フィルタ部311は、上方から下方へ向かって縮小する。フィルタ部311の上端部は、蓋部33の後述する接続板333の下面と接触する。粉粒体を含む気流は、内筒31の上側の開口から下側の開口へ向けて、内筒31の内部を通過する。
【0041】
図3に示すように、フィルタ部311の側壁には、複数のフィルタ孔300が設けられている。フィルタ孔300は、微粉除去を行う対象の粉粒体よりも小さい。このため、粉粒体がフィルタ部311を通過することはなく、フィルタ孔300よりも小さい粉塵はフィルタ部311を通過することができる。すなわち、フィルタ孔300は、粉粒体と微粉とを篩い分ける。なお、本実施形態のフィルタ部311は、パンチングメタルにより形成されているが、フィルタ孔を有する板状の部材であれば、他の部材により形成されてもよい。
【0042】
第1下筒部312は、中心軸310を中心とした円筒形状をしている。第1下筒部312は、フィルタ部311の下端部から下方へ延びている。また、第1下筒部312の下端部は、ベース部34の後述する第2下筒部341の内部に挿入されている。
【0043】
外筒32は、中心軸310を中心とした円筒形状をしている。外筒32は、内筒31の径方向外側に配置されており、内筒31の外側を包囲する。したがって、内筒31内を粉粒体が通過すると、粉粒体に含まれる粉塵が、フィルタ部311のフィルタ孔300を通ってフィルタ部311の内部から外部へと篩い分けられ、内筒31と外筒32との間の空間に移動する。
【0044】
また、
図2および
図4(c)に示すように、外筒32の下端部付近の側壁には、排気管303が接続される。これにより、内筒31と外筒32との間の空間と、排気管303とが連通している。
【0045】
蓋部33は、
図2に示すように、内筒31および外筒32の上部の開口を覆う。これにより、内筒31および外筒32の上部の開口付近において、外筒32の内部の空間と、外部との連通が遮断されている。蓋部33は、蓋部33は、上筒部331、上板部332、および接続板333を有する。
【0046】
上筒部331は、内筒31の上部の開口の上方に配置される。上筒部331は、中心軸310を中心とした円筒形状をしている。また、上筒部331の直径は、内筒31の上端部の直径よりも小さい。上板部332は、上筒部331の上部の開口を閉塞する板状の部位である。
【0047】
また、
図4(a)に示すように、供給管301は、上筒部331の側壁を貫通している。これにより、供給管301から供給された粉粒体は、上筒部331を通って内筒31の上部の開口から内筒31の内部へと供給される。
【0048】
供給管301は、上流側の端部が輸送管22と接続されており、下流側の端部が上筒部331の内部に配置されている。また、供給管301の下流側の端部は、上筒部331の側壁に沿って、上筒部331の接線方向に接続されている。このため、粉粒体供給部2から供給管301を介して微粉除去装置3内に気体が流れ込むと、蓋部33および内筒31内に螺旋状の気流が発生する。
【0049】
接続板333は、供給管301の下方において、上筒部331の外周面から径方向外側へ拡がる。接続板333は、略水平に拡がっている。接続板333の下面には、内筒31の上端部が接触する。また、接続板333の下面には、外筒32の上端部が、円環状のガスケット304を介して接触する。これにより、外筒32と蓋部33との接続箇所において外筒32の内部と外部との連通を遮断している。このように、本実施形態では、接続板333が、内筒31と外筒32の上方側において、内筒31と外筒32との間を閉塞する接続部となっている。
【0050】
なお、本実施形態では、外筒32および蓋部33は、いわゆる引掛式キャッチクリップ(図示せず)によって、上下方向に引きつけ合う方向に固定されている。本実施形態では、周方向に略等間隔に配置された3つのキャッチクリップによって、外筒32と蓋部33とが固定されている。
【0051】
ベース部34は、第2下筒部341および底板部342を有する。第2下筒部341は、中心軸310を中心とした円筒形状をしている。第2下筒部341の内径は、第1下筒部312の外径よりも大きい。そして、第2下筒部341には、第1下筒部312の下端部が挿入される。第1下筒部312と第2下筒部341との接続方法、すなわち、内筒31とベース部34の接続方法については、後述する。第2下筒部341の下方の開口は、微粉除去装置3の下方に配置されるコンテナ8へ粉粒体を排出する排出口302となっている。
【0052】
底板部342は、第2下筒部341の下端部から略水平に拡がる。なお、本実施形態では底板部342は第2下筒部341の下端部から拡がっているが、本発明はこの限りではない。底板部342が第2下筒部341の側壁から拡がっており、第2下筒部341が底板部342の下方まで突出していてもよい。
【0053】
底板部342の上面には、外筒32の下端部が円環状のガスケット305を介して接触する。これにより、外筒32とベース部34との接続箇所において内筒31と外筒32との間の空間と、外筒32の外部との連通を遮断している。このように、本実施形態では、ベース部34が、内筒31と外筒32の下方側において、内筒31と外筒32との間を閉塞する接続部となっている。
【0054】
ここで、
図4(c)に示すように、本実施形態では、ベース部34には、ガイド板35が備えられている。ガイド板35は、内筒31と外筒32との間において、排気管303の上流側端部の径方向内側に、配置されている。ガイド板35は、底板部342の上面から上方へ向けて延びる主ガイド板351と、主ガイド板351の上端部から水平方向に延びる上側ガイド板(図示せず)を有する。すなわち、ガイド板35と底板部342の上面とにより構成される排気管303への気流ガイド機構は、コ字状の形状をしている。
【0055】
主ガイド板351は、第2下筒部341の外周面から排気管303の上流側の端部付近まで径方向に延びる。また、主ガイド板351は、排気管303の上流側の端部付近において、主ガイド板351と排気管303の周方向一方側の端部との周方向の位置が略同一となるように配置される。これにより、主ガイド板351の他方側の気体が排気管303へと吸引されるのが促進されると共に、主ガイド板351の一方側の気体が排気管303へと吸引されるのが抑制されている。
【0056】
また、上側ガイド板の下面および底板部342の上面は、外筒32の内壁に沿って流れる気流が、主ガイド板351に他方側から当たった際に、上下に拡散するのを抑制する。これにより、主ガイド板351に他方側から当たった気流が、排気管303へと効率よく吸引される。
【0057】
なお、排気管303の上流側の端部には、ガイド板35が備えられていなくてもよい。例えば、吸引用配管41の上流側の端部が、外筒32の側壁に沿って、外筒32の接線方向に接続されていてもよい。
【0058】
<1−3.微粉除去装置の動作>
次に、微粉除去装置3の動作について説明する。
図2中および
図4中では、粉粒体91を含む気流の流れを実線矢印で、粉粒体91を含まない気流の流れを破線矢印で示す。
【0059】
ブロワ42が駆動し、かつ、供給バルブ23が開放されると、貯留タンク21から輸送管22内へと供給された微粉92を含む粉粒体91が、輸送管22内で上流側から下流側へと運搬される。そして、
図2に示すように、輸送管22から微粉除去装置3の供給管301へ、粉粒体91と微粉92とが吐出される。
【0060】
これにより、供給管301の下流側端部から粉粒体91と微粉92とが吐出されると、粉粒体91を含む気流F1は、
図2および
図4に示すように、上筒部331の側壁に沿って螺旋状に旋回しながら落下する。そして、気流F1は引き続き、フィルタ部311の側壁に沿って螺旋状に旋回しながら落下する。
【0061】
粉粒体91を含む気流F1が、フィルタ部311の側壁に沿って旋回すると、遠心力の作用により、気流F1の気体の一部と、微粉92とが、フィルタ孔300を通って内筒31と外筒32との間の空間へと出て、粉粒体91を含まない気流F2を形成する。気流F2は、
図2および
図4に示すように、外筒32の側壁に沿って螺旋状に落下する。
【0062】
この時、フィルタ部311が下方に縮小する円錐状であるため、側壁に接触した粉粒体91および気流が斜め上方へ向かう抗力を受け、粉粒体91が下方へ落下するのが抑制される。これにより、フィルタ部311内部での粉粒体91の滞留時間が長くなり、微粉除去効率が向上する。
【0063】
また、
図3に示すように、フィルタ部311のフィルタ孔300は、水平方向に延びる長孔である。これにより、フィルタ部311の側壁に沿って螺旋状に旋回する粉粒体91が、フィルタ孔300に接触すると、水平方向にガイドされる。これにより、粉粒体91が下方へ落下するのがより抑制される。これにより、微粉除去効率がより向上する。
【0064】
このように、気流F1がフィルタ部311内に滞留している間に、気流F1から微粉92が除去される。同時に、気流F2には微粉92が含まれる。気流F1はその後、さらに下方へ移動し、第1下筒部312および第2下筒部341の付近で失速する。そして、微粉92が除去された粉粒体91は、排出口302を介して搬送先であるコンテナ8へと供給される。
【0065】
一方、内筒31と外筒32との間の空間から、排気管303および吸引用配管41を介してブロワ42へと気体が吸引される。これにより、内筒31と外筒32との間の空間を旋回する、粉粒体を含まない気流F2が排気管303を介して吸引用配管41へと流入する。気流F2には、粉粒体91から分離した微粉92が含まれている。
【0066】
気流F2は、下方に向かうにつれ、含まれる微粉92の量が多くなっている。排気管303を、内筒31および外筒32の下端部付近に配置することにより、内筒31と外筒32との間の空間において、下方に微粉92が溜まって堆積するのが抑制される。
【0067】
<1−4.内筒およびベース部の接続方法>
続いて、内筒31およびベース部34がどのように接続されているかについて説明する。
【0068】
内筒31は、第1下筒部312の外周面から径方向外側に拡がる第1フランジ313を有する。一方、ベース部34は、第2下筒部341の外周面から径方向外側に拡がる第2フランジ343を有する。第1フランジ313および第2フランジ343は、ともに、略水平に拡がる。すなわち、第1フランジ313および第2フランジ343は、ともに、接続板333、内筒31、およびベース部34の配列方向である上下方向に対して略垂直に拡がる。第1フランジ313の下面と、第2フランジ343の上面とは、互いに上下方向に対向する。本実施形態では、第2フランジ343の上面が、コイルバネ53の下端部に接触する接触面となる。
【0069】
ベース部34は、第2フランジ343の上面から上方に延びる3つのピン51を有する。3つのピン51は、周方向に略等間隔に配置されている。一方、第1フランジ313は、周方向に略等間隔に配置された、3つの貫通孔52を有する。そして、ピン51はそれぞれ、貫通孔52に挿入されている。これにより、内筒31がベース部34に対して周方向に移動するのが抑制される。すなわち、貫通孔52は、ピン51の周方向の位置を決める固定孔である。したがって、内筒31内を旋回する気流F1や、内筒31と外筒32との間の空間を旋回する気流F2によって内筒31が回転するのが抑制される。
【0070】
なお、本実施形態ではピン51および貫通孔52はそれぞれ3つであったが、それぞれ2つ以下または4つ以上であってもよい。また、本実施形態では、第2フランジ343側にピン51が設けられ、かつ、第1フランジ313側に貫通孔52が設けられていたが、本発明はこの限りではない。第1フランジ313側にピンが設けられ、かつ、第2フランジ343側に当該ピンを挿入する貫通孔が設けられてもよい。
【0071】
コイルばね53は、コイル状に形成された金属製の圧縮ばねである。本実施形態では、弾性体として、金属製のコイルばねを用いているため、弾性体から揮発性のガスが発生する虞がない。これにより、本実施形態の微粉除去装置3のように、弾性体であるコイルばね53が配置された内筒31と外筒32との間の空間が、内筒31の内部と連通して気体が行き来している場合に、弾性体から発生したガスにより、内部を通過する粉粒体の性質が変化するのが抑制される。
【0072】
コイルばね53はそれぞれ、ピン51を取り囲むようにピン51に通されている。これにより、コイルばね53の水平方向の位置が決められている。コイルばね53は、上下方向に圧縮された状態で、下端部が第2フランジ343の上面と接触し、上端部が第1フランジ313の下面と接触している。このため、内筒31に対して、コイルばね53から常に上方へ向かう抗力がかかっている。
【0073】
このように、コイルばね53を圧縮した状態で第1フランジ313と第2フランジ343との間に配置することにより、製作上または組立上生じた寸法誤差により、内筒31の上端部と接続板333との相対的な位置関係が設計と異なった場合でも、内筒31の上端部は、接続板333の下面に押しつけられた状態を保つことができる。
【0074】
なお、コイルばね53は、想定しうる誤差の範囲に比べて十分に圧縮されていることが好ましい。また、コイルばね53は、想定しうる誤差の範囲に比べて、さらに圧縮する余地を有していることが好ましい。
【0075】
内筒31の上端部と接続板333の下面とが接触した状態を保つことにより、内筒31の上端部付近において、内筒31の内部から内筒31と外筒32との間の空間に粉粒体91が漏れるのが抑制されている。
【0076】
一方、上述の通り、第1下筒部312の下端部付近は、第2下筒部341の内部に挿入されている。第1下筒部312の外周面と、第2下筒部341の内周面との間の隙間は、粉粒体91が通過することができない程度に十分小さい。このため、内筒31とベース部34との接続箇所において、内筒31の内部から内筒31と外筒32との間の空間に粉粒体91が漏れるのが抑制されている。
【0077】
このように、内筒31と、内筒31および外筒32との間を閉塞するベース部34との間に弾性体であるコイルばね53を介在させることにより、接続板333、内筒31、およびベース部34の配列方向である上下方向に寸法誤差がある場合であっても、内筒31と接続板333との間に隙間が生じるのが抑制される。したがって、部材間の接続箇所において隙間が生じるのが抑制されている。
【0078】
特に、本実施形態のように、内筒31がフィルタ部311を有する微粉除去装置3では、メンテナンスの際にフィルタ部311を洗浄するなど、フィルタ部311のみに処理を施すことが多い。そのため、内筒31が上流側および下流側の配管や外筒32とは別部材になっていることが好ましい。ただし、内筒31を別部材にすると、接続箇所が増えるため、誤差が生じやすい。また、メンテナンスにより内筒31の着脱を繰り返す度に相対位置がずれる虞がある。そのため、本発明が特に有用である。
【0079】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0080】
図5は、一変形例に係る微粉除去装置3Aの概略図である。
図5の例では、微粉除去装置3Aは単独のコイルばね53Aを有する。コイルばね53Aは、第1下筒部312Aおよび第2下筒部341Aの周囲を取り囲むように配置されている。また、コイルばね53Aは、上下方向に圧縮された状態で、内筒31Aの第1フランジ313Aと、ベース部34Aの第2フランジ343Aとの間に介在している。
【0081】
図5の例でも、内筒31Aがコイルばね53Aから受ける抗力によって接続板333Aに押しつけられることにより、内筒31Aと接続板333Aとの間に隙間が生じるのが抑制されている。このように、内筒と接続部との間に介在するコイルばねは、1つであってもよい。
【0082】
図6は、他の変形例に係る微粉除去装置3Bの概略図である。
図6の例では、微粉除去装置3Bは、コイルばねに代えて、エラストマー等の弾性体材料により形成された環状のリング54Bを有する。リング54Bは、第1下筒部312Bおよび第2下筒部341Bの周囲を取り囲むように配置されている。また、リング54Bは、上下方向に圧縮された状態で、内筒31Bの第1フランジ313Bと、ベース部34Bの第2フランジ343Bとの間に介在している。リング54Bは、上下方向に圧縮されているため、リング54Bの上端に接触する第1フランジ313Bは、リング54Bから上向きの抗力を受ける。
【0083】
図6の例では、内筒31Bがリング54Bから受ける抗力によって接続板333Aに押しつけられることにより、内筒31Bと接続板333Bとの間に隙間が生じるのが抑制されている。このように、内筒と接続部との間に介在する弾性体は、ばね以外の弾性体であってもよい。
【0084】
また、
図6の例では、第1フランジ313Bおよび第2フランジ343Bに、内筒31Bがベース部34Bに対して回転するのを抑制するための周り止めのピンおよび貫通孔が設けられていない。この例では、リング54Bと、第1フランジ313Bおよび第2フランジ343Bとの最大静止摩擦力が、内筒31B内を旋回する気流や内筒31Bと外筒32Bとの間の空間を旋回する気流によって内筒31Bが回転しようとする力より十分大きい。そのため、ピンおよび貫通孔を有していなくても、内筒31Bが回転するのが抑制されている。
【0085】
図7は、他の変形例に係る微粉除去装置3Cの概略図である。
図7の例の微粉除去装置3Cでは、内筒31Cの第1フランジ313Cと、ベース部34Cの第2フランジ343Cとの間に、3つのコイルばね53Cおよび重り55Cが介在している。
【0086】
3つのコイルばね53Cはそれぞれ、上記の実施形態と同様に、ピン51Cの周囲を取り囲むように、ピン51Cに通されている。重り55Cは、環状の部材である。
図7の例では、重り55Cは金属により形成されているが、ガラス等の他の材料により形成されていてもよい。重り55Cには、ピン51Cが挿入されるピン通し孔551Cが複数設けられている。
図7の例では、ピン通し孔551Cの最も大きい部分の径は、コイルばね53Cの内径よりも小さい。これにより、コイルばね53Cがピン通し孔551Cの中に入らないため、重り55Cはコイルばね53Cの上に載置される。
【0087】
このようにすると、微粉除去装置3Cのメンテナンス時等の、ベース部34Cから内筒31Cが取り外された場合でも、コイルばね53Cの上に重り55Cが乗った状態となる。すなわち、コイルばね53Cが、重り55Cによって上から押さえられた状態となる。これにより、コイルばね53Cが跳ねてピン51Cから外れるのが抑制される。
【0088】
コイルばね53Cが跳ねるのが抑制されると、微粉除去装置3Cを搬送先と接続したままでメンテナンスを行った場合でも、コイルばね53Cが誤って排出口302Cから搬送先へ入るのが抑制される。そのため、
図7の例のようにコイルばね53Cが第2下筒部341Cの内径と比べて小さい場合に、重り55Cは特に有用である。なお、
図7の例では、コイルばね53Cが3つであったが、本発明はこれに限られない。
【0089】
なお、
図7の例では、重り55Cはコイルばね53Cの上に配置されたが、本発明はこの限りではない。重りがコイルばねのそれぞれの下端部や、上端部と下端部との間に固定されていてもよい。このように、重りが、コイルばねと接触し、かつ、フランジと接触面との間に配置されることにより、コイルばねが跳ねるのが抑制されていればよい。
【0090】
図8は、他の変形例に係る微粉除去装置3Dの概略図である。
図8の例の微粉除去装置3Dでは、内筒31Dの第1フランジ313Dと、ベース部34Dの第2フランジ343Dとの間に、3つのコイルばね53Dおよび保持部材56Dが介在している。
【0091】
保持部材56Dは、環状かつ板状の部材である。
図8の例では、保持部材56Dは金属により形成されているが、他の材料により形成されていてもよい。保持部材56Dには、ピン51Dが挿入されるとともに、コイルばね53Dを保持するための保持孔561Dが設けられている。
【0092】
図9は、
図8の例の微粉除去装置3Dの保持部材56Dの上面図である。
図10は、保持部材56Dにコイルばね53Dを取り付ける様子を表した、保持孔561D付近における保持部材56Dおよびコイルばね53Dの部分上面図である。
図10において、(a)はコイルばね53D取り付け前、(b)はコイルばね53Dの取り付けの途中、(c)はコイルばね53D取り付け後の様子を表している。
【0093】
図10に示すように、保持孔561Dは、ピン通し部61Dと、ばね通し部62Dとを有する貫通孔である。ピン通し部61Dは、ピン51Dよりも径が大きく、かつ、コイルばね53Dの外径よりも小さい略円形の部分である。微粉除去装置3Dの組立時には、ピン通し部61Dにピン51Dが挿入される。ここで、
図10(a)では、ピン51Dの周囲を取り囲むように配置されたコイルばね53Dの位置を破線にて図示している。ばね通し部62Dは、上下方向に見て、コイルばね53Dの周方向の一部の内端から外端までと重なっている。
【0094】
これにより、コイルばね53Dの上方側の端部をばね通し部62Dに通して固定しつつ、ピン通し部61Dにピン51Dを挿入できる。
図10(b)に示すように、コイルばね53Dの上方側の端部をばね通し部62Dの下方から上方へ通しつつ回転させる。そうすると、
図10(c)に示すように、コイルばね53Dの上端付近に保持部材56Dが挟まれて、コイルばね53Dと保持部材56Dとが固定される。
【0095】
コイルばね53Dと保持部材56Dとを予め固定してから、コイルばね53Dおよび保持部材56Dをピン51Dに通すため、微粉除去装置3Dの組立時にコイルばね53Dを紛失しにくい。また、メンテナンス時等の、ベース部34Dから内筒31Dが取り外された場合でも、コイルばね53Dは保持部材56Dに固定されているため、コイルばね53Dがピン51Dから外れるのが抑制される。
【0096】
コイルばね53Dが跳ねるのが抑制されると、微粉除去装置3Dを搬送先と接続したままでメンテナンスを行った場合でも、コイルばね53Dが誤って排出口302Dから搬送先へ入るのが抑制される。そのため、
図8から
図10の例のようにコイルばね53Dが第2下筒部341Dの内径と比べて小さい場合に、保持部材56Dは特に有用である。なお、
図8の例では、コイルばね53Dが3つであったが、本発明はこれに限られない。
【0097】
なお、
図8から
図10の例では、ピン通し部61Dとばね通し部62Dとが繋がって1つの孔を形成していたが、ピン通し部61Dとばね通し部62Dとは、別々の孔であってもよい。また、
図8から
図10の例では、ばね通し部62Dが略矩形状であったが、その他の形状であってもよい。
【0098】
図11は、他の変形例に係る微粉除去装置3Eの概略図である。
図11の例の微粉除去装置3Eでは、内筒31Eの第1フランジ313Eと、ベース部34Eの第2フランジ343Eとの間に、3つのコイルばね53Eと、一対の保持部材である第1保持部材57Eおよび第2保持部材58Eとが介在している。
【0099】
第1保持部材57Eおよび第2保持部材58Eは、環状かつ板状の部材である。
図11の例では、第1保持部材57Eおよび第2保持部材58Eは金属により形成されているが、他の材料により形成されていてもよい。第1保持部材57Eおよび第2保持部材58Eにはそれぞれ、ピン51Eが挿入されるとともに、コイルばね53Eを保持するための第1切り欠き571Eおよび第2切り欠き581Eが設けられている。
【0100】
図12において、(a)は
図11の例の微粉除去装置3Eの第1保持部材57Eの上面図であり、(b)は第2保持部材58Eの上面図である。
【0101】
図12(a)中に拡大して示すように、第1保持部材57Eの第1切り欠き571Eは、ピン通し部71Eと、外側ばね通し部72Eとを有する切り欠きである。ピン通し部71Eは、ピン51Eよりも径が大きく、かつ、コイルばね53Eの外径よりも小さい略円形の部分である。微粉除去装置3Eの組立時には、ピン通し部71Eにピン51Eが挿入される。外側ばね通し部72Eは、ピン通し部71Eから第1保持部材57Eの外縁まで延びる。これにより、コイルばね53Eを第1保持部材57Eの外方から嵌めやすい。
【0102】
一方、
図12(b)中に拡大して示すように、第2保持部材58Eの第2切り欠き581Eは、ピン通し部73Eと、内側バネ通し部74Eとを有する切り欠きである。ピン通し部73Eは、第1保持部材57Eのピン通し部71Eと同様に、ピン51Eよりも径が大きく、かつ、コイルばね53Eの外径よりも小さい略円形の部分である。内側ばね通し部74Eは、ピン通し部73Eから第2保持部材58Eの内縁まで延びる。これにより、コイルばね53Eを第2保持部材58Eの内方から嵌めやすい。
【0103】
このように、保持部材がピンが挿入される切り欠きを有することにより、コイルばねと保持部材との組立時に、コイルばねを保持部材に嵌めやすい。しかしながら、その反面、コイルばねが切り欠きから保持部材から外れやすい。そこで、
図12の例では、ピン通し部71Eから径方向外側に向かう第1切り欠き571Eを有する第1保持部材57Eと、ピン通し部73Eから径方向内側に向かう第2切り欠き581Eを有する第2保持部材58Eとを組み合わせている。
【0104】
コイルばね53Eは、第1保持部材57Eに保持される部分では、径方向内側に外れにくい。また、コイルばね53Eは、第2保持部材58Eに保持される部分では、径方向外側に外れにくい。したがって、コイルばね53Eが第1保持部材57Eおよび第2保持部材58Eの双方に保持されることにより、コイルばね53Eは、径方向外側にも径方向内側にも移動しにくい。これにより、コイルばね53Eが第1保持部材57Eおよび第2保持部材から外れるのが抑制される。このように、コイルばねを保持する保持部材が、切り欠き状の貫通孔を有していてもよい。
【0105】
なお、第1保持部材57Eと第2保持部材58Eとは、なるべく近接して配置するのが好ましい。第1保持部材57Eと第2保持部材58Eとの距離が短い方が、コイルばね53Eが、径方向に移動しにくい。
【0106】
図13は、他の変形例に係る微粉除去装置3Fの概略図である。
図13の例では、コイルばね53Fは、内筒31Fの第1フランジ313Fと、ベース部34Fの底板部342Fとの間に介在している。すなわち、ベース部34Fの上面が、コイルバネ53Fの下端部に接触する接触面となっている。このように、ベース部34Fが、第2フランジを有していなくてもよい。
【0107】
図14は、他の変形例に係る粉粒体処理装置3Gの概略図である。
図14の例の粉粒体処理装置3Gは、内筒31Gの内部を通過する粉粒体を、内筒31Gと外筒32Gとの間の空間に充填される加熱気体により加熱する、粉粒体加熱処理装置である。粉粒体処理装置3Gは、第1フランジ313Gを備える内筒31G、外筒32G、接続板333Gを備える蓋部33G、および、底板部342Gを備えるベース部34Gを有する。内筒31Gおよび外筒32Gは、それぞれ、略水平に延びる円筒形状をしている。
【0108】
接続板333Gおよび底板部342Gは、内筒31Gと外筒32Gの端部において、内筒31Gと外筒32Gとの間を閉塞する接続部である。
図12の例では、外筒32Gとベース部34Gとは一体に形成されている。また、外筒32Gは、その側壁に、加熱気体導入口321Gと、加熱気体排出口322Gとを有する。加熱気体導入口321Gから導入される加熱気体が、内筒31Gと外筒32Gとの間の空間に充填され、循環した後、加熱気体排出口322Gから排出される。これにより、内筒31G内を通過する粉粒体が、内筒31Gを介して加熱気体から伝熱されて加熱される。なお、内筒31Gには、粉粒体が通過しない程度の複数の通風孔が設けられていてもよい。そうすれば、加熱気体が内筒31G内を通過できるため、加熱効率が向上する。
【0109】
図14の例では、内筒31Gおよび外筒32Gは、接続板333G、内筒31G、および、底板部342Gの配列方向である水平方向に延びる。内筒31Gの第1フランジ313Gと、底板部342Gとは、当該配列方向に対して略垂直に拡がる。
【0110】
また、ベース部34Gの底板部342Gから蓋部33G側に方向に延びるピン51Gは当該配列方向に延び、ピン51Gの周囲に配置されたコイルばね53Gは、当該配列方向に圧縮されている。ピン51Gは、第1フランジ313Gに設けられた貫通孔52Gに挿入されている。
【0111】
このように、コイルばね53Gを圧縮した状態で内筒31Gの第1フランジ313Gと底板部342Gとの間に配置することにより、接続板333G、内筒31G、および底板部342Gの配列方向の寸法誤差がある場合でも、内筒31Gの蓋部33G側の端部が接続板333Gに押しつけられた状態を保つことができる。これにより、内筒31Gを取り外し可能とし、かつ、部材間の接続箇所における隙間が生じにくい。したがって、内筒31Gの内部から内筒31Gと外筒32Gとの間の空間へと粉粒体が漏れるのが抑制される。
【0112】
図14の例のように、本発明の粉粒体処理装置は、一方の接続部、内筒、および他方の接続部の配列方向が上下方向でなく、水平方向であってもよい。また、一方の接続部、内筒、および他方の接続部の配列方向は、上下方向や水平方向以外の方向であってもよい。また、本発明の粉粒体処理装置は、微粉除去装置に限られない。
図14の例のように、粉粒体加熱処理装置であってもよいし、その他の粉粒体処理装置であってもよい。
【0113】
また、上記の実施形態では、内筒が接続部である接続板に直接接触していたが、本発明はこの限りではない。内筒と接続板とは、ガスケットを介して接触していてもよい。
【0114】
また、上記の実施形態の微粉除去装置では、内筒のフィルタ部が上方から下方に向かって縮小する円錐形状であったが、本発明はこの限りではない。フィルタ部は、上方から下方までその径が一定な円筒形であってもよい。また、上記の実施形態の微粉除去装置では、外筒が略円筒形状であったが、本発明はこの限りではない。外筒は、全体または一部が、上方から下方に向かって縮小する円錐形状であってもよい。
【0115】
また、上記の実施形態の微粉除去装置では、内筒のフィルタ部が有するフィルタ孔が水平方向に延びる長孔であったが、本発明はこれに限られない。フィルタ孔が水平方向から傾いた方向に延びる長孔であってもよいし、丸孔や角孔であってもよい。
【0116】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。