【実施例】
【0075】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0076】
<実施例1>
o−トリジン(TOL)35.62g(168mmol)、及びp−フェニレンジアミン(PPD)18.14g(168mmol)を、N−メチル−2−ピロリドン720gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)49.36g(168mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)76.9g(168mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、18.6質量%であった。
【0077】
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を厚み40μmの銅箔上にスピンコート法によって塗布した後、120℃で30分間加熱乾燥して厚み20μmのポリイミド前駆体樹脂膜を形成した。次いで、ポジ型フォトレジスト(OFPR−800:東京応化工業株式会社)をスピンコート法によりポリイミド前駆体樹脂膜上に塗工し、120℃で15分間加熱乾燥して厚さ4〜8μmのレジスト皮膜を形成した。
テストパターンを介して露光量1000mJ/cm
2で紫外光を照射してレジストに50μm幅のラインアンドスペース(50μm L/S)をパターン形成した後、30℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38質量%のアルカリ性水溶液で現像処理を行い、露光部のレジストを除去するとともに下層のポリイミド前駆体膜のパターニングを同時に行った。現像後のサンプルを蒸留水で十分洗浄した後、窒素気流で強制風乾燥した。
その後、30℃の酢酸ブチルで残ったレジストを除去してパターニングしたポリイミド前駆体樹脂膜を得た。得られたポリイミド前駆体樹脂膜は、窒素雰囲気下、120℃で30分間、220℃で30分間、350℃で60分間の熱処理を行ってポリイミド前駆体のイミド化を行ってポリイミド樹脂膜とした。
【0078】
<実施例2>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)35.62g(168mmol)、及びp−フェニレンジアミン(PPD)18.14g(168mmol)をN−メチル−2−ピロリドン720gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)49.36g(168mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)76.9g(168mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、18.5質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0079】
<実施例3>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)23.95g(113mmol)、p−フェニレンジアミン(PPD)16.94g(157mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)6.27g(31mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)3.11g(13mmol)をN−メチル−2−ピロリドン737gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)55.31g(188mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)57.44g(125mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、17.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0080】
<実施例4>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)55.02g(259mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)6.03g(30mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)3.00g(12mmol)をN−メチル−2−ピロリドン737gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70.92g(241mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)27.62g(60mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、16.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0081】
<実施例5>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)48.74g(230mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)12.10g(60mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)3.00g(12mmol)をN−メチル−2−ピロリドン737gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)71.09g(242mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)27.69g(60mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、16.9質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0082】
<実施例6>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)50.38g(237mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)12.51g(62mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)3.10g(12mmol)をN−メチル−2−ピロリドン737gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)82.68g(281mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)14.31g(31mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、16.9質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0083】
<実施例7>
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(TFMB)34.52g(108mmol)、p−フェニレンジアミン(PPD)16.19g(150mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)6.0g(30mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)2.98g(12mmol)をN−メチル−2−ピロリドン737gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)61.67g(210mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)41.17g(90mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、17.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0084】
<実施例8>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)45.16g(213mmol)をN−メチル−2−ピロリドン757gに溶解させた後、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)97.50g(213mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、14.9質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0085】
<実施例9>
o−トリジン(TOL)45.16g(213mmol)をN−メチル−2−ピロリドン757gに溶解させた後、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)97.50g(213mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、15.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0086】
<実施例10>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)70.33g(331mmol)をN−メチル−2−ピロリドン720gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)73.06g(248mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)37.94g(83mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、19.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0087】
<実施例11>
o−トリジン(TOL)69.62g(328mmol)をN−メチル−2−ピロリドン720gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)72.36g(246mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)37.58g(82mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、18.8質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0088】
<実施例12>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)60.45g(285mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)7.13g(36mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)8.84g(36mmol)をN−メチル−2−ピロリドン807.19gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)83.77g(285mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)32.63g(71mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、18.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0089】
<実施例13>
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(TFMB)72.84g(227mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)11.99g(60mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)2.98g(12mmol)をN−メチル−2−ピロリドン819.22gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)79.25g(269mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)13.72g(30mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、17.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0090】
<実施例14>
o−トリジン(TOL)44.34g(209mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)14.72g(74mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)2.92g(12mmol)をN−メチル−2−ピロリドン839.41gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)64.9g(221mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)33.7g(74mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、15.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0091】
<実施例15>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)49.33g(232mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)20.53g(103mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)1.70g(7mmol)をN−メチル−2−ピロリドン816.70gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)80.42g(273mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)31.32g(68mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、17.1質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0092】
<実施例16>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)60.23g(284mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)3.34g(17mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)8.29g(33mmol)をN−メチル−2−ピロリドン818.98gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)78.56g(267mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)30.59g(67mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、16.9質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0093】
<比較例1>
4,4’−オキシジアニリン(ODA)58.97g(294mmol)をN−メチル−2−ピロリドン740gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)86.64g(294mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、15.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0094】
<比較例2>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)22.16g(104mmol)、p−フェニレンジアミン(PPD)10.15g(94mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)27.87g(139mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)1.73g(7mmol)をN−メチル−2−ピロリドン736gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)102.36g(348mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、17.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0095】
<比較例3>
o−トリジン(TOL)22.16g(104mmol)、p−フェニレンジアミン(PPD)10.15g(94mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)27.87g(139mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)1.73g(7mmol)をN−メチル−2−ピロリドン736gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)102.36g(348mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、17.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0096】
<比較例4>
p−フェニレンジアミン(PPD)15.17g(140mmol)、及び4,4’−オキシジアニリン(ODA)45.85g(229mmol)をN−メチル−2−ピロリドン725gに溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)49.95g(229mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)64.33g(140mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、18.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0097】
<比較例5>
p−フェニレンジアミン(PPD)17.01g(157mmol)、及び4,4’−オキシジアニリン(ODA)34.13g(170mmol)をN−メチル−2−ピロリドン725gに溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)25.02g(115mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)97.64g(213mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、18.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0098】
<比較例6>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)51.25g(241mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)12.72g(64mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)3.16g(13mmol)をN−メチル−2−ピロリドン818.56gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)56.07g(191mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)58.23g(127mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、17.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0099】
<比較例7>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)58.42g(275mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)14.50g(72mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)3.60g(14mmol)をN−メチル−2−ピロリドン816.97gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)106.52g(362mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、17.1質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0100】
<比較例8>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)63.74g(300mmol)、及び4,4’−オキシジアニリン(ODA)15.03g(75mmol)をN−メチル−2−ピロリドン798.49gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)88.33g(300mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)34.40g(75mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、18.8質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0101】
<比較例9>
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)47.63g(224mmol)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)14.97g(75mmol)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)18.58g(75mmol)をN−メチル−2−ピロリドン796.54gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)88.00g(299mmol)、及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)34.27g(75mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。
その後、60℃で20時間撹拌し、共重合ワニス(ポリイミド前駆体樹脂組成物)を得た。この共重合ワニスの固形分は、19.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体樹脂膜をパターニングした後にイミド化することでポリイミド樹脂膜を作成した。
【0102】
[評価]
実施例1〜16及び比較例1〜9で作成したポリイミド樹脂膜(厚さ約10μm)について、湿度膨張係数(CHE)熱膨張係数(CTE)、伸び、ガラス転移温度(Tg)、エッチングによるパターニング性、及びエッチング時の皮膜浮きを下記方法に従い評価した。実施例1〜8の評価結果については表1に、実施例9〜16の評価結果については表2に、比較例1〜9の評価結果については表3にそれぞれ示す。なお、表1〜表3において、「−」は、該当成分を配合していないか、評価を行っていないことを意味する。
【0103】
<湿度膨張係数(CHE)>
湿度膨張係数は、湿度30%RHで3時間安定させたサンプルの長さL1を測定し、その後に湿度を80%RHに変えて3時間安定させた後のサンプルの長さL2を測定し、下記数式に基づいて算出した。
CHE(ppm/%RH)=10
6×(L2−L1)/(L1×(80−30))
サンプルの長さの測定は、熱分析装置(EXSTAR TMA/SS6100:SIIナノテクノロジー株式会社(現株式会社日立ハイテクサイエンス)を用い、温度23℃の窒素気流下で行った。
サンプルサイズは、4.0mm×25mmとした。
【0104】
<熱膨張係数(CTE)>
熱膨張係数は、熱応力歪測定装置(「TMA/SS120C」:セイコーインスツルメンツ株式会社)を用いて、引張荷重を作用させて測定した。
熱膨張係数は、50℃から150℃までの昇温過程及び150℃から50℃までの降温過程のそれぞれについて熱膨張係数を測定し、昇温過程での熱膨張係数と降温過程での熱膨張係数との平均値とした。
昇温速度及び降温速度は、10℃/分とした。
サンプルサイズは、4.0mm×25mmとした。
【0105】
<伸び>
伸びは、引張試験機を用いて、チャック間距離20mm、10mm/minで引張試験を行い、破断伸びとして測定した。
【0106】
<ガラス転移温度(Tg)>
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(DMS)を用いて、温度範囲20℃〜500℃、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
【0107】
<パターニング性(50μm L/S)及びエッチング時の皮膜浮き>
エッチングによるパターニング性は、走査型電子顕微鏡(S−9380:日立ハイテクノロジーズ製)を用い、ポリイミド樹脂膜に形成したラインアンドスペース(50μm L/S)を確認することで評価した。この評価と同時に、エッチング時の皮膜(ポリイミド前駆体膜)に浮きが生じているか否かを確認した。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
表1及び表2の結果から明らかなように、実施例1〜16のポリイミド樹脂膜は、いずれも湿度膨張係数(CHE)及び熱膨張係数(CTE)が低く、エッチングによるパターニング性についても良好な結果が得られた。
【0112】
これに対して、表3の結果から明らかなように、比較例1〜3のポリイミド樹脂膜は、エッチングによるパターニング性について良好な結果が得られたが、湿度膨張係数(CHE)及び熱膨張係数(CTE)の少なくともいずれかが高くなった。
【0113】
比較例4,5,9のポリイミド樹脂膜は、湿度膨張係数(CHE)及び熱膨張係数(CTE)が低いが、エッチングによるパターニング性についてはポリイミド前駆体樹脂膜の溶解速度が大きすぎるためか、ポリイミド前駆体樹脂膜の一部が過剰に溶解していた。比較例7のポリイミド前駆体樹脂膜は、湿度膨張係数(CHE)が高いと共に、溶け残りが存在していた。
【0114】
表1〜表3の結果から明らかなように、エッチング時の皮膜浮きを評価したものについては、実施例4〜7及び実施例12〜16のポリイミド前駆体樹脂膜はエッチング時の皮膜浮きが発生せず、酸無水物として3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)のみを使用した比較例7を除き、他のポリイミド前駆体樹脂膜はエッチング時の皮膜浮きが発生した。
【0115】
実施例4〜7及び実施例12〜16のポリイミド前駆体樹脂組成物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)及び3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を併用するものである。これらの実施例のポリイミド前駆体樹脂組成物では、TAHQの含有量が芳香族テトラカルボン酸二無水物の全量に対して10モル%以上30モル%以下であり、BPDAの含有量が芳香族テトラカルボン酸二無水物の全量に対して70モル%以上90モル%以下である。この結果から、アルカリ性水溶液に侵されやすいTAHQの含有量を30モル%以下と小さくすることで、微細なパターンを形成する場合であっても皮膜浮きの発生を抑制することと推察される。