(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294123
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】樹脂組成物及びそれを用いた洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20180305BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20180305BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20180305BHJP
C11D 3/12 20060101ALI20180305BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20180305BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20180305BHJP
C11D 1/74 20060101ALI20180305BHJP
C11D 1/83 20060101ALI20180305BHJP
B29C 37/00 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
C08L23/00
C08K5/10
C08K3/26
C11D3/12
C11D3/37
C11D1/28
C11D1/74
C11D1/83
B29C37/00
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-68379(P2014-68379)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-189863(P2015-189863A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104364
【氏名又は名称】出光ライオンコンポジット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100118131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 渉
(72)【発明者】
【氏名】塚越 進
(72)【発明者】
【氏名】安田 浩
(72)【発明者】
【氏名】川本 惠英
【審査官】
久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−123858(JP,A)
【文献】
特開平02−308838(JP,A)
【文献】
特開昭58−149998(JP,A)
【文献】
特開平03−021653(JP,A)
【文献】
特開2004−106506(JP,A)
【文献】
特開2008−222919(JP,A)
【文献】
特開平10−095922(JP,A)
【文献】
特開平04−216835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−3/40
C08K 5/00−5/59
C11D 1/00−1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択される1種又は2種以上の界面活性剤、及び(C)メジアン径が0.1〜1.0mmの無機フィラーを含む樹脂組成物であって、
前記(C)無機フィラーが炭酸カルシウムである樹脂組成物。
【請求項2】
前記陰イオン性界面活性剤がα−スルホ脂肪酸エステル塩である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステルである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)界面活性剤の含有量が0.5〜20質量%である、請求項1〜3のいずれか記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記(C)無機フィラーの含有量が5〜70質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
樹脂混練機又は樹脂成形加工機の内部を洗浄するためのパージ材として用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物をパージ材として用いて、樹脂混練機又は樹脂成形加工機の内部を洗浄する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練機及び樹脂成形加工機の内部を洗浄するためのパージ材として用いることができる樹脂組成物、並びにそれを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックの複合化に使用される混練機や、プラスチックの押出成形及び射出成形等に使用される樹脂成形加工機において、樹脂材料を切り替える際に混練機及び樹脂成形加工機の内部に残留している樹脂を除去する必要がある。また、連続使用により樹脂が混練機及び樹脂成形加工機の内部に滞留して付着したヤケ等を除去する必要がある。混練機及び樹脂成形加工機からこの残留樹脂やヤケ等の異物を除去するために、パージ材を用い、残留樹脂を置換及び除去して洗浄すること、さらにシリンダーからスクリューを抜き出して洗浄することが行われている。
例えば、特許文献1では、ポリプロピレンとポリプロピレンに相溶しない熱可塑性樹脂とを別の樹脂により相溶化させ、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を添加した洗浄用熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−140481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パージ材において界面活性剤は、除去する樹脂やヤケ等の界面活性力を低下させ洗浄効果を出すために添加されるが、上記特許文献1に開示されている界面活性剤では十分な効果が得られず、洗浄性及びスクリューの抜けやすさに満足できるものではなかった。また、無機フィラーを添加することができる記載はあるが、単に無機フィラーを含有させただけでは十分な洗浄性を得ることができず、洗浄性及びスクリューの抜けやすさを向上させるためのさらなる改善が望まれている。
【0005】
そこで本発明は、混練機及び樹脂成形加工機における、樹脂材料の切り替えや色替えを行う際の内部に残留している樹脂、及び内部に付着したヤケ等を除去し、またスクリューの抜けやすさを向上させるパージ材として用いることができる樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂、特定の界面活性剤、及び特定の粒子径を有する無機フィラーを含有する樹脂組成物により、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の樹脂組成物に関する。
【0007】
1.(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択される1種又は2種以上の界面活性剤、及び(C)メジアン径が0.1〜1.0mmの無機フィラーを含む樹脂組成物
であって、
前記(C)無機フィラーが炭酸カルシウムである樹脂組成物。
2.前記陰イオン性界面活性剤がα−スルホ脂肪酸エステル塩である、前記1に記載の樹脂組成物。
3.前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステルである、前記1又は2に記載の樹脂組成物。
4.前記(B)界面活性剤の含有量が0.5〜20質量%である、前記1〜
3のいずれかに記載の樹脂組成物。
5.前記(C)無機フィラーの含有量が5〜70質量%である、前記1〜
4のいずれかに記載の樹脂組成物。
6.樹脂混練機又は樹脂成形加工機の内部を洗浄するためのパージ材として用いる、前記1〜
5のいずれかに記載の樹脂組成物。
7.前記1〜
6のいずれかに記載の樹脂組成物をパージ材として用いて、樹脂混練機又は樹脂成形加工機の内部を洗浄する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、混練機及び樹脂成形加工機における、樹脂材料の切り替えや色替えを行う際の内部に残留している樹脂、及び内部に付着したヤケ等を除去し、スクリューを抜けやすくするパージ材として好適に用いることができる樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[(A)ポリオレフィン系樹脂]
(A)ポリオレフィン系樹脂として、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等を用いることができる。なかでも、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
【0010】
上記ポリプロピレン樹脂としては特に限定されるものではなく、ホモポリプロピレン、ポリプロピレンブロック共重合体、及びポリプロピレンランダム共重合体のいずれも使用することができる。
上記共重合体はプロピレンを主成分とするものであればよく、例えば、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。プロピレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂の流動性についても限定されず、パージする材料の流動性等を勘案し流動性を選定することができるが、残留樹脂を効率良く排出する観点及びパージ材自体の器機からの剥離性の観点から、条件230℃、荷重2.16kgでのメルトフローレート(MFR)が0.3〜10.0g/10分であることが好ましい。
【0011】
上記ポリエチレン樹脂としては特に限定されるものではなく、ホモポリエチレン、ポリエチレンブロック共重合体、及びポリエチレンランダム共重合体のいずれも使用することができる。
ホモポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び直鎖型低密度ポリエチレン等が挙げられる。
上記共重合体はエチレンを主成分とするものであればよく、例えば、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。エチレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。
ポリエチレン樹脂の流動性についても限定されず、パージする材料の流動性等を勘案し流動性を選定することができるが、残留樹脂を効率良く排出する観点及びパージ材自体の器機からの剥離性の観点から、条件230℃、荷重2.16kgでのメルトフローレート(MFR)が0.04〜10.0g/10分であることが好ましい。
【0012】
本発明の樹脂組成物において、(A)ポリオレフィン系樹脂の含有割合は、樹脂組成物中好ましくは30〜94.5質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。(A)ポリオレフィン系樹脂の上記含有割合が、30質量%以上であればパージ材の造粒性が良好であり、また、94.5質量%以下であれば界面活性剤及び無機フィラーを効果が得られる量複合化できる。
【0013】
[(B)界面活性剤]
(B)界面活性剤として、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択される1種又は2種以上が用いられる。
上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキル硫酸塩、又はアルケニル硫酸塩(AS);直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテル硫酸塩;直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテル硫酸塩(AES);アルキレンオキサイドが付加された、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルフェニルエーテル硫酸塩;直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルフェニルエーテル硫酸塩;アルキレンオキサイドが付加された、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテルカルボン酸塩、又は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテルカルボン酸塩;アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩;長鎖モノアルキルリン酸塩、長鎖ジアルキルリン酸塩又は長鎖セスキアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンジアルキルリン酸塩、又はポリオキシエチレンセスキアルキルリン酸塩;高級脂肪酸塩(石鹸)等が挙げられ、特に、飽和もしくは不飽和のα−スルホ脂肪酸塩、又はそのエステル塩〔例えば、メチルエステル塩、エチルエステル塩、及びプロピルエステル塩(α−SF)等〕が好適に用いられる。
また、陰イオン性界面活性剤は、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、アミン塩、並びにアンモニウム塩等として用いることができる。なかでも、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0014】
上記非イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アルコールにアルキレンオキサイドが付加された、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが挙げられ、このなかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル等が好適に用いられる。
また、非イオン性界面活性剤として、例えば、長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加された脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、特に、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとが付加されたポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸メチルエステルが好適に用いられ、さらに脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加されたポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステルがより好適に用いられる。
【0015】
なお、(B)界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の少なくとも一方を用いることができるが、陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の両方を用いることが特に好ましい。
【0016】
(含有割合)
本発明の樹脂組成物において、(B)界面活性剤の含有割合は、樹脂組成物中好ましくは0.5〜20質量%であり、より好ましくは1.0〜10.0質量%である。(B)界面活性剤の上記含有割合が、0.5質量%以上であれば洗浄性及びスクリューの抜き易さが良好となり、また、20質量%以下であればポリオレフィン系樹脂への複合化が容易で、パージ材の造粒性が良好である。
【0017】
[(C)無機フィラー]
(C)無機フィラーは、メジアン径が0.1〜1.0mmであるものが用いられる。上記メジアン径が0.1mm未満であると十分なパージ効果を得ることができず、1.0mmを超えると、パージ材の造粒時に解砕し粒子径を保てない、複合化時に混練機が安定しない等、造粒が困難で、混練機や樹脂成形加工機の内部を傷付けるおそれがある。メジアン径は、好ましくは0.2〜0.8mmであり、より好ましくは0.3〜0.6mmである。
(C)無機フィラーのメジアン径は、粉体を乾式粉砕法、湿式粉砕法等により粉砕することにより調整できる。
また、上記メジアン径は、篩分け法やレーザー回折散乱法による体積基準の粒子径分布計で測定したデータから解析することができる。
【0018】
(C)無機フィラーとしては、例えば、タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、ベントナイト、ガラス繊維、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。これらのなかでもガラス繊維及び炭酸カルシウムを用いることが好ましく、炭酸カルシウムを用いることがより好ましい。
【0019】
(含有割合)
本発明の樹脂組成物において、(C)無機フィラーの含有割合は、樹脂組成物中好ましくは5〜70質量%であり、より好ましくは10〜60質量%である。(C)無機フィラーの上記含有割合が、5質量%以上であれば残留樹脂やヤケ等の排出性が良好で、また、70質量%以下であればポリオレフィン系樹脂への複合化が容易で、パージ材として用いる場合の造粒性が良好である。
【0020】
[添加剤成分]
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、さらに各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、核剤、滑剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、気泡防止剤、及び着色剤等が挙げられる。添加剤の含有量は、本樹脂組成物の特性が損なわれない範囲であれば特に制限はない。
【0021】
[パージ材]
本発明の樹脂組成物は、上述の(A)ポリオレフォン系樹脂、(B)界面活性剤、及び(C)無機フィラーと、必要に応じ使用される各種添加剤を、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラー等で予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、及びコニーダ等に配合し、通常130〜250℃程度の範囲で溶融混練することで製造することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、樹脂混練機や樹脂成形加工機の内部を洗浄するためのパージ材として好適である。例えば、上記溶融混練方法により得られた樹脂組成物を、ペレット状に造粒したものをパージ材として用いることができる。
【0022】
混練機や成形加工機を洗浄する場合は、周知の洗浄方法が適用でき、樹脂混練機や樹脂成形加工機に本発明のパージ材を投入し、溶融・攪拌しながら押し出す方法で、内部に残留している樹脂や、内部に付着したヤケ等を除去し、またシリンダーからスクリューを抜き取りやすくすることができる。
また本発明のパージ材は、例えば、ベース樹脂としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル、及びアクリロニトリル−スチレン樹脂等の汎用樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリカーボネート樹脂等のエンジニアリング樹脂等を複合化した際の混練機の洗浄やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル、及びアクリロニトリル−スチレン樹脂等の汎用樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリカーボネート樹脂等のエンジニアリング樹脂等を成形加工した後の樹脂成形加工機の洗浄に用いることができる。
【実施例】
【0023】
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
各例で得られた樹脂組成物の評価は、次のとおり行った。
【0024】
[評価方法]
単軸押出し機(16mmフルフライト)を210℃に加温し、スクリュー回転37rpmで黒色樹脂(ポリプロピレン系樹脂、製品名:E4362K、出光ライオンコンポジット株式会社製)を200g押出した。
黒色樹脂を押出した上記単軸押出し機に、パージ材として後述のペレット150gを投入して押出した後、スクリューを抜出し、スクリューの抜出しやすさ及び黒色樹脂の付着状態を次の基準で目視評価した。
(1)単軸押出し機内部の黒色樹脂の付着状態
5:付着は見られない、4:ごく僅かに付着有、3:わずかに付着有、2:付着有、1:著しく付着有
(2)スクリューからのパージ材の取れやすさ
5:非常に取れやすい、4:かなり取れやすい、3:とれやすい、2:取れにくい、1:非常に取れにくい
(3)スクリューの抜出しやすさ
5:非常に抜けやすい、4:かなり抜けやすい、3:抜けやすい、2:抜けにくい、1:非常に抜けにくい
【0025】
また、各例で用いたパージ材に含まれる各成分は次のとおりである。
(A)ポリオレフィン系樹脂
・ポリプロピレン樹脂〔ホモポリプロピレン、株式会社プライムポリマー製、製品名:プライムポリプロE−105GM、MFR(230℃、2.16kg):0.5g/10分〕
・ポリエチレン樹脂〔高密度ポリエチレン、株式会社プライムポリマー製、製品名:ハイゼックス640UF、MFR(230℃、2.16kg):0.05g/10分〕
(B)界面活性剤
・陰イオン性界面活性剤〔α−スルホ脂肪酸プロピルエステルナトリウム塩〕
・非イオン性界面活性剤〔ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル〕
(C)無機フィラー
・重質炭酸カルシウム〔炭酸カルシウム、株式会社カルファイン製、製品名:KS−500、メジアン径:0.018mm(株式会社島津製作所製、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定)〕
・粉状寒水石〔炭酸カルシウム、株式会社カルファイン製、製品名:KD−1、メジアン径:0.3mm(篩分け法により測定)〕
・粒状寒水石〔炭酸カルシウム、株式会社カルファイン製、製品名:2厘、メジアン径:0.5mm(篩分け法により測定)〕
【0026】
[実施例1〜9及び比較例1〜5]
表1に示す配合量で各成分を配合し、二軸押出成形機(株式会社池貝製、製品名:PCM30)を用い、シリンダー温度220℃にて溶融混練し、ダイスから吐出されたストランドを冷却バスにより冷却し、ペレタイザーにて切断して、ペレット化した樹脂組成物(ペレット)を調製した。
なお、実施例8は、実施例1と実施例2との樹脂組成物を等量混合したものである。
【0027】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の樹脂組成物は、樹脂混練機や樹脂成形加工機における、樹脂材料の切り替えや色替えを行う際の内部に残留している樹脂、及び内部に付着したヤケ等を除去し、スクリューを抜けやすくするパージ材として好適に用いることができる。