(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
床上に配置されるベースの上に、患者の背部を支持可能な背板と、患者の臀部を支持可能な腰板と、該腰板の前方位置に水平に配置可能な補助台と、該補助台を腰板の前方の使用位置と腰板の下方の収納位置との間で移動する補助台移動機構とを備え、
前記補助台移動機構は、前記腰板の下方で水平方向に沿って移動可能な駆動フレーム及び従動フレームと、これら駆動フレーム及び従動フレームを水平駆動する水平駆動機構とが備えられるとともに、
前記駆動フレームと前記従動フレームとの間に、前記補助台を前記収納位置と該収納位置から水平方向前方に離間した前方位置との間で水平に往復移動する際には前記水平駆動機構の駆動力を前記駆動フレーム及び前記従動フレームに伝達してこれらを一体に移動する一体移動モードと、前記補助台が前記前方位置に配置された状態で前記水平駆動機構の駆動力の前記従動フレームへの伝達を解除して、前記従動フレームに対して前記駆動フレームを相対移動させる相対移動モードとに切り替え可能な切り替え機構と、前記補助台を上下移動自在に支持するとともに、前記相対移動モード時に、前記駆動フレームにおける水平方向前端部と前記従動フレームにおける水平方向前端部とが接近する方向の相対移動を前記補助台の上昇移動に変換し、前記駆動フレームにおける水平方向前端部と前記従動フレームにおける水平方向前端部とが離間する方向の相対移動を前記補助台の下降移動に変換するリンク機構とが設けられており、
前記切り替え機構は、前記従動フレームに基端部が垂直回動自在にピン結合されたレバーと、該レバーの先端部を摺動自在に載置する固定状態の水平レールと、前記駆動フレームに設けられ、前記水平レール上に載置された前記レバーの先端部に後方から当接可能な押圧部材と、前記水平レールの前方に設けられ、前記補助台が前記前方位置に到達したときに前記レバーの先端部を落とし込んで前記水平レール上での摺動をロックするとともに前記押圧部材との当接状態を解除する凹部とが備えられていることを特徴とする医療台。
前記リンク機構は、前記駆動フレームと前記補助台との間に垂直回動自在にピン結合された第1リンクと、該第1リンクの長手方向の中間位置と前記従動フレームにおける前記駆動フレームよりも前方位置との間に垂直回動自在にピン結合された第2リンクとを備えている請求項1又は2に記載の医療台。
【背景技術】
【0002】
従来、産科・婦人科において、分娩、診察、治療等の際に患者の体を支える医療台が用いられている。医療台は、患者の胴体を支持する背板(背もたれ)、臀部を支持する腰板等を備え、これらの角度や位置を必要に応じて変更できる構成により、患者の姿勢を安定して保つことを可能にしている。
【0003】
いわゆる分娩台や検診台と呼ばれる医療台は、分娩や内診等の際に患者を座位や仰臥位に保つことができる。このような医療台は、診療等を行う際の障害にならないように、腰板の前方が大きく開放した状態とされているが、診療等を行った後に医療台の上で患者を長時間安静に保つ必要がある場合などに、患者の下半身を支持するための平坦な広い床面を確保することができるようにしたものがある。
【0004】
例えば特許文献1には、腰板(座板)とは別に第1の支持ユニットと第2の支持ユニットからなるマット状支持ユニット(補助台)が設けられており、診療時等には、これら二つの支持ユニットを腰板の下方に折り畳んだ状態に収納して、患者を安静に保つ際には、腰板の前方に引き出して、腰板を延長するように広い床面を形成することができる。このため、患者は医療台上から移動せずに脚を伸ばして臥位に移行でき、楽な姿勢で安静に保つことができる。平坦な床面を形成することができるようになっている。
また、特許文献2では、腰板(座板)の下方に、二つの補助台が、水平な摺動台の上にパンタグラフ状のリンク機構によって上下移動可能に設けられており、その摺動台を摺動台駆動機構によって水平に駆動し、補助台を補助台駆動機構によって上下移動することにより、補助台を腰板の下方から前方に押し出し、上方に移動して腰板と同じ水平面上に配置することができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような腰板とは別の補助台を腰板の下方と腰板の前方との間で進退可能に設ける場合、より簡単な操作で安全かつ迅速に補助台を移動すること求められるとともに、平坦な床面を形成した際の支持を確実にして、より安定性を向上させることが求められている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、患者の姿勢保持構造を簡単な操作で安全かつ迅速に変更可能で、さらに補助台の安定性を向上させた医療台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の医療台は、床上に配置されるベースの上に、患者の背部を支持可能な背板と、患者の臀部を支持可能な腰板と、該腰板の前方位置に水平に配置可能な補助台と、該補助台を腰板の前方の使用位置と腰板の下方の収納位置との間で移動する補助台移動機構とを備え、前記補助台移動機構は、前記腰板の下方で水平方向に沿って移動可能な駆動フレーム及び従動フレームと、これら駆動フレーム及び従動フレームを水平駆動する水平駆動機構とが備えられるとともに、前記駆動フレームと前記従動フレームとの間に、前記補助台を前記収納位置と該収納位置から水平方向前方に離間した前方位置との間で水平に往復移動する際には前記水平駆動機構の駆動力を前記駆動フレーム及び前記従動フレームに伝達してこれらを一体に移動する一体移動モードと、前記補助台が前記前方位置に配置された状態で前記水平駆動機構の駆動力の前記従動フレームへの伝達を解除して、前記従動フレームに対して前記駆動フレームを相対移動させる相対移動モードとに切り替え可能な切り替え機構と、前記補助台を上下移動自在に支持するとともに、前記相対移動モード時に、前記駆動フレーム
における水平方向前端部と前記従動フレーム
における水平方向前端部とが
接近する方向の相対移動を前記補助台の上昇移動に変換し、前記駆動フレーム
における水平方向前端部と前記従動フレーム
における水平方向前端部とが
離間する方向の相対移動を前記補助台の下降移動に変換するリンク機構とが設けられて
おり、前記切り替え機構は、前記従動フレームに基端部が垂直回動自在にピン結合されたレバーと、該レバーの先端部を摺動自在に載置する固定状態の水平レールと、前記駆動フレームに設けられ、前記水平レール上に載置された前記レバーの先端部に後方から当接可能な押圧部材と、前記水平レールの前方に設けられ、前記補助台が前記前方位置に到達したときに前記レバーの先端部を落とし込んで前記水平レール上での摺動をロックするとともに前記押圧部材との当接状態を解除する凹部とが備えられていることを特徴とする。
【0009】
この医療台は、補助台移動機構には駆動源として水平駆動機構のみが設けられ、この水平駆動機構を作動させるだけで、切り替え機構の作用により、補助台を腰板の下方の収納位置から水平方向に離間した前方位置へ水平移動し、さらに、その前方位置でリンク機構により補助台を上昇させて腰板の前方の使用位置に配置することができる。
すなわち、一体移動モードにおいては、水平駆動機構の駆動力が駆動フレームと従動フレームとの両方に伝達されて、これらを一体に水平移動し、相対移動モードにおいては、駆動フレームのみ水平駆動機構に水平駆動されることにより、この駆動フレーム
における水平方向前端部と停止状態の従動フレーム
における水平方向前端部とが
接近する方向に相対移動し、リンク機構の作用により、補助台が上昇して腰板の前方の使用位置に配置する。
補助台を腰板の下方の収納位置まで退避させる場合は、水平駆動機構を逆方向に駆動すると、まず相対移動モードにより、駆動フレーム
における水平方向前端部が停止状態の従動フレーム
における水平方向前端部に
離間する方向に相対移動することから、リンク機構の作用により補助台が下降し、前方位置まで下降すると、一体移動モードに切り替えられ、駆動フレームと従動フレームとを一体に移動して、補助台を収納位置に配置することができる。
【0011】
また、その切り換え機構においては、水平駆動機構により駆動フレームを水平移動すると、従動フレームにピン結合されたレバーの先端部に駆動フレームの押圧部材が後方から当接することにより、駆動フレームとともに従動フレームが一体に水平移動する。この水平移動中は、レバーの先端部は水平レール上を摺動する。そして、補助台が前方位置に到達すると、レバーの先端部が水平レバーによる支持を失って凹部に落とし込まれることによりロックされるとともに、駆動フレームの押圧部材による後方からの当接状態が解除され、これにより、従動フレームは駆動フレームを介して伝達されていた水平駆動機構からの駆動力の伝達が解除され、以降、水平駆動機構により駆動フレームのみが水平移動する。そして、これら駆動フレームと従動フレームとの相対移動によりリンク機構が補助台を上昇して腰板の水平方向前方の使用位置に配置する。
【0012】
本発明の医療台において、前記押圧部材は、前記レバーの先端部が前記凹部に落とし込まれた状態で該先端部の上端に水平摺動自在に当接する水平面を有しているとよい。
【0013】
補助台が前方位置に配置された後に補助台を上昇させる際に、これを押し下げる方向あるいは従動フレームを押し戻す方向に外力が作用した場合でも、押圧部材の水平面がレバーの先端部の上端に当接しているので、レバーを凹部から引き上げる方向には回動することができず、したがって、従動フレームが押し戻されることが防止され、これにより、上昇中の補助台が不用意に下降してしまうことを防止することができる。
【0014】
本発明の医療台において、前記リンク機構は、前記駆動フレームと前記補助台との間に垂直回動自在にピン結合された第1リンクと、該第1リンクの長手方向の中間位置と前記従動フレームにおける前記駆動フレームよりも前方位置との間に垂直回動自在にピン結合された第2リンクとを備えているとよい。
このようなリンク機構により、駆動フレームと従動フレームとの相対移動を補助台の上下移動に確実に変換することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の医療台によれば、水平駆動機構を作動するだけで、切り替え機構とリンク機構の作用により、補助台を収納位置から腰板の前方の同じ高さ位置まで移動することができ、患者の姿勢保持構造を簡単な操作で安全かつ迅速に変更することができ、補助台の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る医療台の実施形態について図を参照しながら説明する。
[全体構成]
図1に示すように、医療台1は、床上に配置されるベース2と、ベース2に設けた昇降機構(図示略)により上下移動させられる台本体部3とを備えており、台本体部3には、患者の背部を支持して水平姿勢から起立姿勢まで回動可能な背板4と、起立状態の背板4の下方に配置されるように取り付けられ、患者の臀部を支持可能な腰板5と、後述する補助台6とが設けられている。
図1には、背板4及び腰板5を同一水平面上に配置したベッドポジション時の形態を示しているが、背板4が腰板5に対して起立した椅子ポジション等に姿勢を変えることができるようになっている。
ベース2はキャスタ11を備え、診察室などの床上に設置される。キャスタ11を有しない場合もあり、上下方向の調整のみ可能な医療台等であってもよい。
なお、この医療台1において、水平姿勢の腰板5の上面が向く方向を上方向、その反対方向を下方向とし、腰板5から背板4に向かう水平方向を後方、背板4から腰板5に向かう水平方向を前方、この前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0018】
ベッドポジションにおいては、前述したように背板4と腰板5とが同一水平面上に設置され、
図2〜
図5に示すように、台本体部3の上面は、この水平状態の背板4と腰板5とにより形成されており、これら背板4及び腰板5と、側面から下面を形成するハウジング12とにより、台本体部3の内部は空洞が形成されている。そして、この台本体部3の空洞内に、背板4を傾斜させる背板駆動機構(図示略)、腰板5を傾斜させる腰板駆動機構(図示略)とともに、ベッドポジションにおいて腰板5の前方に腰板5と同じ高さで水平に配置可能な補助台6および補助台駆動機構7が収納されている。
【0019】
なお、
図2〜
図5は、説明の便宜のため、医療台1の台本体部3について、背板4や腰板5に設けられるクッション部材、ハウジング12の外装部材を省略したフレーム構造体を示している。以下では、背板、腰板、ハウジング、補助台において、
図1に示すようなクッション部材や外装部材を有するものと、
図2等に示すクッション部材や外装部材を省略したものとのいずれも同じ符号を付して説明する。
【0020】
[補助台及びその駆動機構の細部構成]
補助台6は、
図13〜
図15に示すように、上面が水平面に形成されており、腰板5の前方に配置された使用位置においては、水平に設置した腰板5を延長するように配置され、その使用位置から退避させた収納位置においては、
図1に示すように台本体部3内で腰板5の下方に配置される。なお、
図15では、腰板5のクッション部材が省略されているため、補助台6の上面が腰板5の上面より上方位置に配置された状態に図示されているが、腰板5にクッション部材が設けられた状態で補助台6の上面と腰板5の上面とが同一水平面上に揃えられる。
【0021】
そして、補助台駆動機構7は、補助台6を収納位置と使用位置との間で移動するものであり、台本体3内に設置され、水平移動自在な駆動フレーム20および従動フレーム30、これら駆動フレーム20及び従動フレーム30を水平駆動するための水平駆動機構40を備えており、また、その水平駆動機構40の駆動力を駆動フレーム20及び従動フレーム30に一体に伝達する一体移動モードと、駆動フレーム20のみに伝達して従動フレーム30への伝達を解除する相対移動モードとのいずれかに切り替える切り替え機構50、相対移動モード時に両フレーム20,30の相対移動を補助台6の上下移動に変換するためのリンク機構60等を備えた構成とされている。以下、これらについて詳述する。
【0022】
駆動フレーム20は、両側板21の間を天板22により連結した形状とされ、
図4及び
図5に示すように、一方の側板(図の右側の側板)21の付近が水平駆動機構40に接続され、この水平駆動機構40によって水平駆動させられるようになっている。
水平駆動機構40は、図示例では送りねじ機構が用いられており、水平方向に沿って配置された送りねじ41が駆動フレーム20に一体のめねじ部材42に係合し(
図8参照)、電動機43で送りねじ41を回転することにより駆動フレーム20を送りねじ41に沿う水平方向に駆動する構成である。この場合、電動機43の駆動軸と送りねじ41とは交差して接続され、その交差した軸間で傘歯車等を用いて回転運動を伝達するようになっている。
従動フレーム30は、ハウジング12の下面に設けたガイドレール13に沿って水平移動自在に支持され、その基端部31においては
図5に示すように両側板部材32の間を天板33により連結した形状とされ、その基端部31が駆動フレーム20に被さるように配置されており、先端部34は、
図8に示すように駆動フレーム20よりも前方に突出している。
【0023】
切り替え機構50は、
図6〜
図8等に示すように、従動フレーム30に基端部51aが垂直回動自在にピン結合されたレバー51と、レバー51の先端部51b,51c(直接には51c)を摺動自在に載置し、台本体部3に固定状態の水平レール52と、駆動フレーム20に設けられ、水平レール52上に載置されたレバー51の先端部51bに後方から当接可能な押圧部材53と、水平レール52の前方に設けられ、補助台6が前方位置に到達したときにレバー51の先端部51cを落とし込んで水平レール52上での摺動をロックするとともに押圧部材53との当接状態を解除する凹部54とを備えている。
【0024】
レバー51は、基端部51aに対して先端部51b,51cが二股状に分かれた形状とされており、その基端部51aがピン55により従動フレーム30の一方の側板部材32の内面に回動自在に支持されている。また、この従動フレーム30の側板部材32と対向する駆動フレーム20の側板21には、レバー51のピン55を挿通させる長穴23が水平方向に沿って形成されており、この長穴23を介してレバー51は駆動フレーム20の側板21の内側に配置されている。この場合、ピン55により支持されているレバー51の基端部51aが後方で、二股状に分岐した先端部51b,51cが前方を向くように配置される。
【0025】
また、二股状の先端部51b,51cは、基端部51aに対して直交するように設けられていることにより、レバー51の側面視がT字状に形成されており、一方の端部51bが上方、他方の端部51cが下方に向けられている。その上方に向けられた端部を上側端部51bとし、下方に向けられた端部を下側端部51cとする。これら上側端部51b及び下側端部51cの両方に転動体(ローラ)56が回転自在に支持されている。
そして、その下側端部51cの転動体56が水平レール52の上に載置されて転動するようになっており、この水平レール52への載置状態で、レバー51の基端部51aは水平方向に沿って配置され、この基端部51aに直交する先端部51b,51cが上下方向に沿って配置される。
【0026】
また、
図8に示すように、このレバー51の下側端部51cの転動体56が水平レール52に載置されているときに、レバー51の上側端部51bの転動体56に駆動フレーム20の押圧部材53が後方から当接される。この押圧部材53は、長尺な角棒状に形成され、駆動フレーム20の天板22の下面に駆動フレーム20の移動方向に沿う水平方向に沿って設けられ、その先端面でレバー51の上側端部51bの転動体56を押圧する構成である。この場合、押圧部材53の下面は水平面に形成される。また、この押圧部材53には位置調整機構57が設けられており、駆動フレーム20に対して水平方向の位置(先端面の位置)を調整することができるようになっている。
【0027】
一方、凹部54は、水平レール52の前方に設けられており、レバー51の下側端部51cの転動体56が水平レール52上を転動して、
図10〜
図12に示すように水平レール52の先端を超えると、凹部54に落とし込まれるようになっている。そして、この凹部54にレバー51の下側端部51cの転動体56が落とし込まれると、上側端部51bの転動体56が押圧部材53の先端から下方に移動して、転動体56の上面が押圧部材53の下面と同じ水平レベルに配置される。このため、このレバー51の下側端部51cが凹部54に落とし込まれた状態では、押圧部材53つまり駆動フレーム20は、レバー51の上側端部51bの転動体56に接触しながら水平移動することができる状態となる。
また、この凹部54にレバー51の下側端部51cの転動体56が落とし込まれた状態で、レバー51のピン55は駆動フレーム20の長穴23の前端に配置されるようになっており、この状態で長穴23は、ピン55の後方に延びて形成される。
【0028】
そして、この凹部54にレバー51の下側端部51cの転動体56が落とし込まれた状態では、
図11に示すように、レバー51の上側端部51bの転動体56と駆動フレーム20の押圧部材53との接触が解除されるので、水平駆動機構40の駆動力は、従動フレーム30には伝達されずに駆動フレーム20のみに伝達され、水平駆動機構40によって駆動フレーム20のみが前進する。この駆動フレーム20のみの移動時は、レバー51の上側端部51bの転動体56の上を摺動するように押圧部材53の下面が接触する。また、レバー51のピン55は駆動フレーム20の長穴23内を相対的に後方に移動する(
図12参照)。
【0029】
一方、従動フレーム30の先端部34に補助台6がリンク機構60を介して支持されている。この従動フレーム30の先端部34は、駆動フレーム20が最後方位置にあるときは、腰板5の下方でハウジング12内に収納されている。そして、駆動フレーム20及び従動フレーム30が前進してレバー51の下側端部51cの転動体56が凹部54に落とし込まれた際には、
図9〜
図11に示すように、補助台6の全体が従動フレーム30の先端部34とともに腰板5よりも前方に突出して、腰板5の前方に露出するようになっている。
【0030】
リンク機構60は、駆動フレーム20の先端部と補助台6の下面部との間に垂直回動自在にピン結合された第1リンク61と、第1リンク61の長手方向の中間位置と駆動フレーム20よりも前方位置の従動フレーム30の先端部34との間に垂直回動自在にピン結合された第2リンク62とを備えており、これら第1リンク61と第2リンク62とにより側面視がλ字状の形状をなしている(
図12参照)。また、これら第1リンク61と第2リンク62との組み合わせは補助台6の両側部に、前後方向に間隔をあけて二組ずつ設けられている。符号63は各リンク61,62を結合しているリンクピンを示している。
【0031】
このリンク機構60は、通常時(補助台6の収納時、及び駆動フレーム20と従動フレーム30とが一体で水平移動するとき)は、
図8、
図11等に示すように、両リンク61,62が折り畳まれて補助台6を下降位置に支持している。そして、凹部54にレバー51の下側端部51cの転動体56が落とし込まれた状態では、停止状態の従動フレーム30に対して駆動フレーム20が前後進すると、
図12に示すように、第1リンク61の下端部が駆動フレーム20とともに移動し、この第1リンク61が第2リンク62に結合されていることにより、第2リンク62を回動しながら第1リンク61が折り畳まれた状態と立った状態との間で移動し、補助台6を昇降するようになっている。
また、補助台6を最高位に上昇させたときに、
図13〜
図15に示すように、腰板5の前方を延長するように、補助台6の上面と水平状態の腰板5の上面とが同一水平面上に配置される。
【0032】
[補助台及びその駆動機構の作動]
このように構成した医療台1において、背板4を水平に配置したベッドポジションにおいて、腰板5の下方に収納状態とされている補助台6(
図1〜
図6参照)を腰板5の前方の同じ高さ位置に配置した使用状態(
図13〜
図15参照)に移行する操作について説明する。
補助台6の収納状態から、補助台駆動機構7の水平駆動機構40を作動すると、送りねじ41により駆動フレーム20が前進駆動させられる。このとき、
図7及び
図8に示すように、従動フレーム30に設けられている切り替え機構50のレバー51の下側端部51cの転動体56が水平レール52上に載置されているとともに、その上側端部51bの転動体56が駆動フレーム20の押圧部材53の先端に当接しており、駆動フレーム20の前進とともに押圧部材53によってレバー51が押されることにより、従動フレーム30も一体に前進する。
【0033】
このレバー51の下側端部51cの転動体56が水平レール52の先端まで移動するまでの間は、駆動フレーム20と従動フレーム30とが一体に前進移動する。この切り替え機構50のレバー51の下側端部51cの転動体56が水平レール52上に載置され、駆動フレーム20と従動フレーム30とが一体に駆動するモードを一体移動モードと称す。
【0034】
そして、レバー51の下側端部51bの転動体56が水平レール52の先端を超えると、
図10及び
図11に示すように、転動体56が凹部54内に落とし込まれ、これに伴ってレバー51が垂直回動することにより、上側端部51bの転動体56が駆動フレーム20の押圧部材53の先端から下方に移動し、この押圧部材53による押圧状態から解除される。このとき、
図9に示すように、従動フレーム30の先端部34は、腰板5の前方にまで突出しており、その先端部34に設けられている補助台6が腰板5の前方に露出した状態となる。
【0035】
この状態で水平駆動機構40によって駆動フレーム20を前進すると、レバー51の上側端部51bの転動体56の上面を押圧部材53が摺動するようにして、駆動フレーム20のみが前進駆動され、従動フレーム30は停止した状態となる。このレバー51の下側端部51bの転動体56が凹部54内に落とし込まれ、停止状態の従動フレーム30に対して駆動フレーム20のみ移動するモードを相対移動モードと称す。
【0036】
その水平駆動機構40によりさらに駆動フレーム20を前進駆動すると、停止状態の従動フレーム30に対して、駆動フレーム20が前進することにより、これら両フレーム20,30に相対移動が生じる。両フレーム20,30にはリンク機構60が接続されており、
図12に示すように、第1リンク61の下端部が駆動フレーム20とともに移動し、従動フレーム30に下端部が結合されている第2リンク62を回動しながら、両リンク61,62の下端部どうしが接近して、これらリンク61,62が折り畳まれた状態から立った状態に変位することにより、補助台6を腰板5の前方の使用位置まで上昇する。
この補助台6を上昇させた状態では、
図13〜
図15に示すように、背板4、腰板5、補助台6の上面がほぼ同一水平面上に揃えられ、患者が寝た状態で足を伸ばせる平坦なベッドが構築される。
【0037】
一方、この補助台6を使用状態から収納状態に移動する場合は、水平駆動機構40を逆に駆動する。まず、停止状態の従動フレーム30に対して駆動フレーム20を後退させることにより、リンク機構60の両リンク61,62の下端部を開きながらリンク機構60を折り畳み、補助台6を下降させる。補助台6が下降してリンク機構60が折り畳まれた状態となると、このリンク機構60が作動の終端(下側終端)となることから、それ以上駆動フレーム20と従動フレーム30との相対移動ができずに、従動フレーム30が駆動フレーム20により引き込まれるように駆動フレーム20と一体となって移動しようとする。このとき同時に、駆動フレーム20の押圧部材53がレバー51の上側端部51aの転動体56の上方から外れる、。このため、凹部54に落とし込まれていた転動体56が水平レール52の前端から水平レール52上に乗り上がる。その後は、レバー51の下側端部51cの転動体56が水平レール52上を転動しながら、駆動フレーム20と従動フレーム30とが一体となって後退する。
そして、これら両フレーム20,30が最も後退位置まで移動すると、前方に飛び出していた補助台6が完全にハウジング12内に収納される。
【0038】
以上説明したように、この医療台1によれば、補助台6を移動するための駆動源としては水平駆動機構40のみが設けられ、この水平駆動機構40を作動させるだけで、まず切り替え機構50が一体移動モードに設定され、補助台6を腰板5の下方の収納位置から水平方向に離間した前方位置へ水平移動し、次いで相対移動モードに切り替えられ、その前方位置でリンク機構60により補助台6を上昇させて腰板5の前方の使用位置に配置することができる。
補助台6を腰板5の下方の収納位置まで退避させる場合も、水平駆動機構40を逆方向に駆動すると、まず相対移動モードにより、駆動フレーム20
における水平方向前端部が停止状態の従動フレーム30
における水平方向前端部に
離間する方向に相対移動することから、リンク機構60の作用により補助台6が下降し、前方位置まで下降すると、一体移動モードに切り替えられ、駆動フレーム20と従動フレーム30とを一体に移動して、補助台6を収納位置に配置することができる。
【0039】
また、その切り替え機構50が相対移動モードに切り替えた後は、押圧部材53がレバー51の回動を拘束するので、補助台6を押し下げる方向あるいは従動フレーム30を押し戻す方向に外力が作用した場合でも、押圧部材53の水平面がレバー51の上側端部51bの転動体56の上面に当接しているので、レバー51を凹部54から引き上げる方向には回動することができず、したがって、従動フレーム30が収納方向にスライドすることが防止され、これにより、上昇中の補助台6が不用意に下降してしまうことを防止することができる。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。