(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ペンタッド分率が90〜96%であるポリプロピレン樹脂(A)、及び、プロピレン含有量が98〜99.5mol%であるポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む単層原反フィルム、又は、前記ポリプロピレン樹脂(A)及び前記ポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有する積層原反フィルムを得る成膜工程と、
前記成膜工程で得られた前記単層原反フィルム又は前記積層原反フィルム2〜6枚を重ね合せて熱圧着し積層体を得る熱圧着工程と、
前記熱圧着工程で得られた前記積層体1枚又は2〜6枚を重ね合せた状態で熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理工程で得られた熱処理後の前記積層体を90℃〜160℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜5.0倍に延伸する延伸工程と、
前記延伸工程で得られた延伸後の前記積層体の層を剥離して微多孔性フィルムを得る剥離工程と、
をこの順で有する、膜厚が16μm以下である微多孔性フィルムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
〔微多孔性フィルムの製造方法〕
本実施形態の膜厚が16μm以下である微多孔性フィルムの製造方法は、
ペンタッド分率が90〜96%であるポリプロピレン樹脂(A)、及び、プロピレン含有量が98〜99.5mol%であるポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む単層原反フィルム、又は、前記ポリプロピレン樹脂(A)及び前記ポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有する積層原反フィルムを得る成膜工程と、
前記成膜工程で得られた前記単層原反フィルム又は前記積層原反フィルム2〜6枚を重ね合せて熱圧着し積層体を得る熱圧着工程と、
前記熱圧着工程で得られた前記積層体1枚又は2〜6枚を重ね合せた状態で熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理工程で得られた熱処理後の前記積層体を90℃〜160℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜5.0倍に延伸する延伸工程と、
前記延伸工程で得られた延伸後の前記積層体の層を剥離して微多孔性フィルムを得る剥離工程と、
をこの順で有する。
【0014】
〔成膜工程〕
成膜工程は、ペンタッド分率が90〜96%であるポリプロピレン樹脂(A)、及び、プロピレン含有量が98〜99.5mol%であるポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む単層原反フィルム、又は、ポリプロピレン樹脂(A)及びポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有する積層原反フィルムを得る工程である。
【0015】
成膜工程における単層原反フィルム又は積層原反フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、Tダイ押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形、スカイフ法等のシート成形方法が挙げられる。このなかでも、本実施形態の微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、Tダイ押出成形が好ましい。
【0016】
成膜工程における押出し後のドロー比、即ち、フィルムの巻取速度(単位:m/分)を樹脂の押出速度(ダイリップを通過する溶融樹脂の流れ方向の線速度。単位:m/分)で除した値は、好ましくは10〜500であり、より好ましくは50〜300であり、さらに好ましくは100〜250である。また、原反フィルムを巻き取る際のフィルムの巻取速度は、好ましくは約2〜400m/分であり、より好ましくは10〜200m/分であり、さらに好ましくは15〜30m/分である。ドロー比が上記範囲であることにより、得られる微多孔性フィルムの透過性を向上させる観点から好適である。
【0017】
〔ポリプロピレン樹脂(A)〕
ポリプロピレン樹脂(A)は、ペンタッド分率が90〜96%のポリプロピレンである。「ペンタッド分率」とは、分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。
【0018】
ペンダット分率が100%に近づくほど立体規則性が高くなり、結晶性が高いポリプロピレン樹脂となる。特許文献1の実施例に例示されているように、98%を超えるポリプロピレン樹脂を用いることで、透過性の良好な微多孔性フィルムが得られる。
【0019】
これに対し、本実施形態では、敢えて結晶性が若干低いペンタッド分率90〜96%のポリプロピレン樹脂を用いることで、後述する熱圧着工程での圧着性と透過性の両立を可能としている。ペンタッド分率は、90〜96%であり、好ましくは92〜95%であり、より好ましくは94〜95%である。ペンタッド分率が90%以上であることにより延伸時の開孔性が向上し良好な透過性を得ることができる。一方、ペンタッド分率が96%以下であることにより、圧着工程において適度な温度で圧着させることが可能な原反フィルムを得ることができる。ペンタッド分率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0020】
ポリプロピレン樹脂(A)は、ホモポリプロピレンであることが好ましい。ポリプロピレン樹脂(A)がホモポリプロピレンであることにより、微多孔性フィルムの透過性がより向上する傾向にある。
【0021】
〔ポリプロピレン樹脂(B)〕
ポリプロピレン樹脂(B)は、プロピレン含有量が98〜99.5mol%であるプロピレンである。ポリプロピレン樹脂(B)は、エチレン及び/又はα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン系共重合体であることが好ましい。ポリプロピレン樹脂(B)がプロピレン系共重合体であることにより、α−オレフィンがポリプロピレン結晶間をつなぐタイ分子の役割を果たし、結晶間で起こる破壊がより抑制される傾向にある。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられる。
【0022】
従来の微多孔性フィルムの製法では、結晶性を高め、かつ、透過性を向上させるため、特許文献1のようにプロピレンホモポリマーが使用されている。これに対し、本実施形態では、0.5〜2.0mol%のエチレン及び/又はα−オレフィンを共重合させることにより、熱圧着工程での圧着性と透過性の両立を可能としている。プロピレン含有量は、98〜99.5mol%であり、好ましくは98.5〜99.5mol%であり、より好ましくは99〜99.5mol%である。プロピレン含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0023】
また、エチレンやα−オレフィンはポリプロピレン結晶間をつなぐタイ分子の役割を果たし、結晶間で起こる破壊を抑制する傾向にある。この観点から、エチレンやα−オレフィンは、分子鎖中に分散して存在することが好ましく、プロピレン系共重合体は、ランダム共重合体であることが好ましい。
【0024】
ポリプロピレン樹脂(B)のペンタッド分率は、好ましくは95〜99.9%であり、より好ましくは97〜99.9%であり、さらに好ましくは98〜99.9%である。ペンタッド分率が95%以上であることにより、延伸時の開孔性が向上し透過性がより向上する傾向にある。
【0025】
また、ポリプロピレン樹脂(A)及びポリプロピレン樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1〜1.0g/10分であり、より好ましくは0.3〜0.8g/10分であり、さらに好ましくは0.5〜0.7g/10分である。MFRが0.1g/10分以上であることにより、成膜工程での破断が発生し難くなる傾向にある。また、MFRが1.0g/10分以下であることにより、得られる微多孔性フィルムの突刺強度が良好となる傾向にある。MFRは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0026】
〔ポリエチレン樹脂〕
本実施形態において、ポリエチレン樹脂を含んだ層を有する積層微多孔性フィルムを製造する場合には、ポリエチレン樹脂を用いることもできる。ポリエチレン樹脂のMFRは、好ましくは0.01〜10g/10分であり、より好ましくは0.1〜1.0g/10分であり、さらに好ましくは0.1〜0.5g/10分である。MFRが0.01g/10分以上であることにより、フィッシュアイが発生し難くなる傾向にある。また、MFRが10g/10分以下であることにより、透過性がより向上する傾向にある。MFRは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0027】
また、ポリエチレン樹脂の密度は、好ましくは955〜970kg/m
3であり、より好ましくは955〜967kg/m
3であり、さらに好ましくは958〜965kg/m
3である。密度が955kg/m
3以上であることにより、透気性のより良好な微多孔性フィルムが得られる傾向にある。また、970kg/m
3以下であることにより、延伸する際に膜が破断し難くなる傾向にある。密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0028】
本実施形態におけるポリプロピレン樹脂(A)、ポリプロピレン樹脂(B)、必要に応じて用いられるポリエチレン樹脂は、上記の成分の他に、必要に応じて他の付加的成分を含んでもよい。付加的成分としては、特に限定されないが、例えば、オレフィン系エラストマー、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤など)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機又は有機の充填材や強化材(ポリアクリロニトリル繊維、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。これらの付加的成分の総含有量は、ポリプロピレン樹脂(A)、ポリプロピレン樹脂(B)、又は必要に応じて用いられるポリエチレン樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0029】
積層原反フィルムの構成としては、ポリプロピレン樹脂(A)及びポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン樹脂層/ポリプロピレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/ポリエチレン樹脂層/ポリプロピレン樹脂層などが挙げられる。
【0030】
〔熱圧着工程〕
熱圧着工程は、成膜工程で得られた単層原反フィルム又は積層原反フィルム(以下、まとめて「原反フィルム」ともいう)2〜6枚を重ね合せて熱圧着し積層体を得る工程である。具体的には、成膜工程で得られた単層原反フィルム又は積層原反フィルム2〜6枚を巻出し、加熱されたロ−ル間でニップし、圧着することで積層体が得られるが、特に限定されない。
【0031】
加熱されたロ−ルの温度(以下、「熱圧着温度」ともいう)は、単層原反フィルムの場合、好ましくは110〜160℃であり、より好ましくは120〜150℃である。熱圧着温度が110℃以上であることにより、各原反フィルムの接着強度が良好となり、以下に後述する延伸工程での剥がれを防止できる傾向にある。また、熱圧着温度が160℃以下であることにより、透過性が良好な微多孔性フィルムが得られる傾向にある。
【0032】
ポリエチレン樹脂を含んだ層を有しない積層原反フィルムの場合、熱圧着温度は、好ましくは110〜130℃であり、より好ましくは115〜125℃である。熱圧着温度が110℃以上であることにより、各原反フィルムの接着強度が良好となり、以下に後述する延伸工程での剥がれを防止できる傾向にある。また、熱圧着温度が130℃以下であることにより透過性が良好な微多孔性フィルムが得られる傾向にある。
【0033】
ポリエチレン樹脂を含んだ層を有する積層原反フィルムの場合、熱圧着温度は、好ましくは110〜130℃であり、より好ましくは115〜125℃である。熱圧着温度が110℃以上であることにより、各原反フィルムの接着強度が良好となり、以下に後述する延伸工程での剥がれを防止できる傾向にある。また、熱圧着温度が130℃以下であることにより透過性が良好な微多孔性フィルムが得られる傾向にある。
【0034】
また、ロール圧着時の線圧は、好ましくは1.0〜10.0kg/cmであり、より好ましくは5.0〜7.0kg/cmである。ロール圧着時の線圧が上記範囲内であることにより、各原反フィルムの接着強度が良好となり、以下に後述する延伸工程での剥がれを防止できる傾向にある。
【0035】
〔熱処理工程〕
熱処理工程は、熱圧着工程で得られた前記積層体1枚又は2〜6枚を重ね合せた状態で熱処理する工程である。熱処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、積層体を加熱ロール上に接触させる方法、積層体を加熱気相中に曝す方法、及びこれらを組み合わせて行う方法が挙げられる。
【0036】
加熱ロールの温度及び/又は加熱気相中の温度(以下、「熱処理温度」ともいう)は、単層原反フィルムからなる積層体の場合、好ましくは120℃〜160℃であり、より好ましくは130〜150℃であり、さらに好ましくは130〜140℃である。熱処理温度が120℃以上であることにより、透過性がより向上する傾向にある。また、熱処理温度が160℃以下であることにより、突刺強度がより向上する傾向にある。
【0037】
ポリエチレン樹脂を含んだ層を有する積層原反フィルムからなる積層体の場合、熱処理温度は、好ましくは110〜130℃であり、より好ましくは120〜128℃であり、さらに好ましくは125〜128℃である。熱処理温度が110℃以上であることにより、透過性がより向上する傾向にある。また、熱処理温度が130℃以下であることにより、突刺強度がより向上する傾向にある。
【0038】
また、熱処理を施す時間(以下、「熱処理時間」ともいう。)は、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは10〜30分であり、さらに好ましくは10〜20分である。熱処理時間が10秒以上であることにより、透過性がより向上する傾向にある。また、熱処理時間が30分以下であることにより、突刺強度がより向上する傾向にある。
【0039】
積層体は熱処理工程において、熱膨張により膨張する傾向にある。そのため、熱処理工程前又は熱処理工程中において積層体を少なくとも一方向に1.01〜1.05倍の倍率に延伸することが好ましい。延伸倍率が1.01倍以上であることにより、シワが発生することなく積層体を熱処理できる傾向にある。また、延伸倍率が1.05倍以下であることにより、後述する剥離工程で透過性が良好な微多孔性フィルムを得ることができる傾向にある。
【0040】
特許文献2に例示されるように得ようとする微多孔性フィルムの膜厚が20μm以上であれば、熱処理工程でのシワの発生が少なく、透過性も良好な微多孔性フィルムを得ることが可能である。しかしながら、微多孔性フィルムの膜厚が16μm以下の場合、特許文献2のように事前に熱圧着させることなく、2枚以上重ねた状態で熱処理を行うと、シワが発生し易くなり、微多孔性フィルムを得ることが困難になる。このような場合、熱処理工程前又は熱処理工程中の延伸倍率を1.05倍より高めることで、シワは解消されるが、熱圧着工程を経ない場合には最終的に得らえる微多孔性フィルムの透過性が悪化する。
【0041】
〔延伸工程〕
延伸工程は、熱処理工程で得られた熱処理後の積層体を90℃〜160℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜5.0倍に延伸する工程である。この延伸により積層体を構成する層が多孔化される。
【0042】
延伸方法としては、特に限定されないが、例えば、ロール、テンター、オートグラフ等により一軸方向及び/又は二軸方向に延伸する方法が挙げられる。特に、本実施形態の微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、ロールによる2段階以上の一軸延伸が好ましい。
【0043】
延伸工程は、以下の冷延伸工程、熱延伸工程をこの順で含むことが好ましい。冷延伸工程においては、熱処理工程で得られた積層体を、−20℃〜80℃温度で少なくとも一方向に1.03倍〜2.0倍に延伸することが好ましい。
【0044】
冷延伸工程における冷延伸の延伸温度は、好ましくは−20℃以上80℃未満であり、より好ましくは0℃以上50℃以下であり、さらに好ましくは10℃以上30℃以下である。延伸温度が−20℃以上であることにより、微多孔性フィルムが破断し難くなる傾向にある。また、延伸温度が80℃未満であることにより、得られる微多孔性フィルムの透過性が良好となる傾向にある。ここで、冷延伸の延伸温度は冷延伸工程におけるフィルムの表面温度を示す。また、フィルムの表面温度は、非接触系の熱電対を延伸ロール機内に設けることにより測定することができる。
【0045】
冷延伸工程における冷延伸の延伸倍率は、好ましくは1.03倍以上1.5倍以下であり、より好ましくは1.05倍以上1.3倍以下であり、さらに好ましくは1.1倍以上1.3倍以下である。延伸倍率が、1.03倍以上であることにより、透過性が良好となる傾向にある。また、延伸倍率が1.5倍以下であることによりフィルムが破断し難くなる傾向にある。原反フィルムの冷延伸は、少なくとも一方向に行い、二方向に行ってもよいが、好ましくは、フィルムの押出し方向(以下「MD方向」とも言う。)にのみ一軸延伸を行う。
【0046】
熱延伸工程においては、上記のようにして冷延伸を行った後、90℃〜160℃に保持した状態で、少なくとも1.05倍〜5.0倍に熱延伸することが好ましい。
【0047】
単層原反フィルムからなる積層体の場合、熱延伸の延伸温度は、90℃〜160℃であり、好ましくは120℃〜150℃であり、より好ましくは120〜140℃である。90℃以上で熱延伸することにより、フィルムが破断し難くなる。また、160℃以下で熱延伸することにより、得られる微多孔性フィルムの透過性が良好となる。ここで、熱延伸の延伸温度は熱延伸工程におけるフィルムの表面温度を示す。
【0048】
ポリエチレン樹脂を含んだ層を有しない積層原反フィルムからなる積層体の場合、熱延伸の延伸温度は、90℃〜160℃であり、好ましくは90℃〜130℃であり、より好ましくは110℃〜125℃である。90℃以上で熱延伸することにより、フィルムが破断し難くなる。また、130℃以下で熱延伸することにより、得られる微多孔性フィルムの透過性が良好となる傾向にある。
【0049】
一方、ポリエチレン樹脂を含んだ層を有する積層原反フィルムからなる積層体の場合、熱延伸の延伸温度は、90℃〜160℃であり、好ましくは90℃〜130℃であり、より好ましくは110℃〜125℃である。90℃以上で熱延伸することにより、フィルムが破断し難くなる。また、130℃以下で熱延伸することにより、得られる微多孔性フィルムの透過性が良好となる傾向にある。
【0050】
〔熱固定工程〕
本実施形態の微多孔性フィルムの製造方法は、延伸工程を経て得られた積層体に対して、好ましくは熱延伸温度より0℃〜30℃高い温度で熱処理を施す熱固定工程を含むことが好ましい。この熱固定の方法としては、熱固定後の積層体の長さが、熱固定前の微多孔性フィルムの長さに対して3〜50%減少する程度熱収縮させる方法(以下、この方法を「緩和」と言う。)、延伸方向の寸法が変化しないように熱固定する方法等が挙げられる。この熱固定によって寸法安定性のより一層良好な、即ち熱収縮率の小さい微多孔性フィルムとすることができる。
【0051】
単層原反フィルムからなる積層体の場合、熱固定温度は、好ましくは120℃〜160℃であり、より好ましくは140℃〜160℃以下であり、さらに好ましくは145〜155℃である。熱固定温度が上記範囲内であることにより、透過性がより向上する傾向にある。ここで、熱固定温度とは、熱固定工程における微多孔性フィルムの表面温度を示す。
【0052】
ポリエチレン樹脂を含んだ層を有する積層原反フィルムからなる積層体の場合、熱固定温度は、好ましくは120℃〜130℃であり、より好ましくは120℃〜125℃であり、さらに好ましくは122〜125℃である。熱固定温度が上記範囲内であることにより、透過性がより向上する傾向にある。
【0053】
〔剥離工程〕
剥離工程は、延伸工程で得られた延伸後の前記積層体の層を剥離して微多孔性フィルムを得る工程である。具体的には、剥離工程では、延伸工程又は熱固定工程で得られた積層体から各微多孔性フィルムを剥離し、巻き取る。同時に全ての微多孔性フィルムを剥離してそれぞれを巻き取ってもよく、1枚のみを剥離し、剥離した微多孔性フィルムと残りの積層体をそれぞれ巻取ってもよい。1枚のみを剥離する場合は、残りの積層体を再度巻出し、1枚のみの剥離を繰返し所定の枚数の微多孔性フィルムを得ることができる。
【0054】
〔微多孔性フィルム〕
本実施形態の微多孔性フィルムとしては、膜厚が16μm以下であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン樹脂を含む単層微多孔性フィルム又は、ポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有する積層微多孔性フィルムが挙げられる。
【0055】
微多孔性フィルムの膜厚は、16μm以下であり、好ましくは10〜14μmであり、より好ましくは12〜14μmである。微多孔性フィルムの膜厚が16μm以下であることにより、透過性がより向上する傾向にある。また、微多孔性フィルムの膜厚が10μm以上であることにより、突刺強度がより向上する傾向にある。膜厚は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0056】
本実施形態の積層微多孔性フィルムは、ポリプロピレン樹脂を含む層からなる単層積層微多孔性フィルム、ポリプロピレン樹脂を含む層を有する積層積層微多孔性フィルムが挙げられる。このなかでも、最外層にポリプロピレン樹脂を含む層を有する積層積層微多孔性フィルムが好ましい。その態様の具体例としては、中間層にポリエチレン樹脂を含む層を有し、その両側にポリプロピレン樹脂を含む層を有する三層の積層微多孔性フィルムが挙げられる。
【0057】
本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法としては、例えば、上記の方法が挙げられる。具体的には、Tダイやサーキュラーダイを用い、共押出法により各樹脂フィルムを積層した積層フィルムを成形した後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法;各樹脂フィルムを別々に押出成形した後に貼合するラミネート法により各樹脂フィルムを積層した積層フィルムを形成し、その後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法が挙げられる。
【実施例】
【0058】
次に、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
なお、実施例及び比較例において使用した原材料及び各種特性の評価法については以下の通りである。各実施例及び比較例では、表1の「剥離工程で得られる枚数」に示す枚数の微多孔性フィルムが得られる。得られる全ての微多孔性フィルムを評価し、その平均値を評価結果として表1に示した。
【0060】
(1)ポリプロピレン樹脂のMFR
JIS K7210に準拠して、温度210℃、荷重2.16kgの条件で測定した値であり、その単位はg/10分である。
【0061】
(2)ポリエチレン樹脂のMFR
JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した値であり、その単位はg/10分である。
【0062】
(3)ペンタッド分率(%)
ポリプロピレン樹脂のペンタッド分率は、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会編集)の記載に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルから、ピーク高さ法によって算出した。13C−NMRスペクトルの測定は、日本電子(株)製ECS−400を使用して、微多孔性フィルムをo−ジクロロベンゼン−dに溶解させ、測定温度130℃、積算回数10000回の条件で行った。
【0063】
(4)プロピレン含有量(mol%)、エチレン含有量(mol%)
ポリプロピレン樹脂のプロピレン含有量及びエチレン含有量は、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会編集)の記載に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルから、ピーク高さ法によって算出した。13C−NMRスペクトルの測定は、日本電子(株)製ECS−400を使用して、微多孔性フィルムをo−ジクロロベンゼン−dに溶解させ、測定温度130℃、積算回数10000回の条件で行った。
【0064】
(5)密度
JIS K7112に準拠して、25℃の条件で測定した値であり、その単位はkg/m
3である。
【0065】
(6)分子量分布(Mw/Mn)
ポリエチレン樹脂における樹脂の分子量分布は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)から求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnの値である。GPC測定は、東ソー社製のGPS装置(商品名「HLC−8121GPC/HT」)を用いて行った。カラムとして東ソー社製の商品名「TSKgel GMHHR−H(20)」(2本)を用い、移動相o−ジクロロベンゼン(o−DCB)、カラム温度155℃、流量1.0mL/分、試料濃度0.5mg/mL(o−DCB)、注入量500μL、試料溶解温度160℃、試料溶解時間3時間の条件で行った。分子量の校正は、ポリスチレンで行い、ポリスチレン換算分子量でMw及びMnを求め、分子量分布を導出した。
【0066】
(7)膜厚(μm)
微多孔性フィルムの膜厚は、ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製、商品名「PEACOCK No.25」)を用いて測定した。
【0067】
(8)透気度(秒/100cc)
微多孔性フィルムの透気度は、JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計により測定した。
【0068】
(9)気孔率(%)
微多孔性フィルムの気孔率は、微多孔性フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積V(cm
3)及び質量M(g)と、フィルムを構成する樹脂の密度ρ(g/cm
3)とから下記式を用いて算出した。尚、ポリプロピレン樹脂のみから構成される微多孔性フィルムの場合は、ρ=0.91g/cm
3、ポリエチレン樹脂を含む層を有する積層微多孔性フィルムの場合は、ρ=0.93g/cm
3として算出した。
気孔率(%)={(V−M/ρ/V}×100
【0069】
(10)突刺強度(g)
カトーテック製「KES−G5ハンディー圧縮試験器」(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/secの条件で突き刺し試験を行い、最大突き刺し荷重(g)を測定した。
【0070】
尚、使用したポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂は以下の通りである。
ポリプロピレン(A):プロピレンホモポリマー、MFR=3、ペンタッド分率=96%
ポリプロピレン(B):プロピレンホモポリマー、MFR=3、ペンタッド分率=90%
ポリプロピレン(C):プロピレン系共重合体、MFR=3、ペンタッド分率=98%、プロピレン含有量=99.5mol%、エチレン含有量=0.5mol%
ポリプロピレン(D):プロピレン系共重合体、MFR=3、ペンタッド分率=98%、プロピレン含有量=98mol%、エチレン含有量=2mol%
ポリプロピレン(E):プロピレンホモポリマー、MFR=3、ペンタッド分率=98%
ポリエチレン(A) :MFR=0.7、密度=963kg/m
3、Mw/Mn=12
【0071】
〔実施例1〕
ポリプロピレン(A)を口径20mm、L/D=30(L:単軸押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:単軸押出機の内径(m))、シリンダー温度200℃の単軸押出機にフィーダーを介して投入し、ポリエチレン(A)を別の口径20mm、L/D=30、シリンダー温度200℃の単軸押出機にフィーダーを介して投入した。この単軸押出機の先端に設置したリップ厚み3.0mmの2種3層共押出Tダイから、ポリプロピレン(A)を表層とし、ポリエチレン(A)を中間層としたフィルムを押出した。尚、表層と中間層の押出重量の比を2:1、Tダイ温度(「成膜温度」ともいう)を190℃とした。押出した後の溶融樹脂に直ちに25℃の冷風を当て、次いで、95℃に冷却したキャストロールでドロー比200、巻き取り速度15m/分の条件で芯体上に巻き取り、積層原反フィルムを得た(成膜工程)。
【0072】
芯体上に巻き取った状態の積層原反フィルムを3つ用意し、それぞれ巻き出し速度10m/分で巻き出し、3枚を重ね合せた状態で加熱ロ−ルに導き、そこで熱圧着温度125℃、線圧6.0kg/cmで熱圧着し(熱圧着工程)、その後、同速度で25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。
【0073】
得らえた積層体を巻出し、128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、積層体にシワが発生しないように、炉内で積層体をMD方向に1.03倍延伸(「熱処理延伸倍率」ともいう)した。
【0074】
得られた積層体を、25℃の温度でMD方向に1.3倍に一軸延伸し、続いて、110℃の温度でMD方向に2.5倍に一軸延伸し(延伸工程)、更に、125℃の温度で0.9倍に緩和させて熱固定を施し、積層体を形成する3枚の積層微多孔性フィルムを分離し(剥離工程)、3つの芯体上に巻取った。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、透気度、気孔率、突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0075】
〔比較例1〕
実施例1と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、熱処理を試みた。積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で実施例1と同条件で熱処理を行ったところ、炉内で積層原反フィルムにシワが発生し、熱処理された積層原反フィルムを得ることができなかった。
【0076】
〔比較例2〕
実施例1と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、炉内で3枚の積層原反フィルムをMD方向に1.1倍延伸することで、シワが発生することなく熱処理を行うことができた。
【0077】
得られた3枚の積層原反フィルムを重ね合せた状態で、25℃の温度でMD方向に1.3倍に一軸延伸し、続いて、110℃の温度でMD方向に2.5倍に一軸延伸し(延伸工程)、更に、125℃の温度で0.9倍に緩和させて熱固定を施し、3枚の積層微多孔性フィルムをそれぞれ、3つの芯体上に巻取った。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、透気度、気孔率、突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。実施例1と比較し、透気度が極めて高く、透過性に劣る結果となった。
【0078】
〔実施例2〕
実施例1と同様に熱圧着工程までを行い、得られた積層体4つを巻出し、128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、積層体にシワが発生しないように、炉内で積層体をMD方向に1.03倍延伸した。
【0079】
得られた積層体を、25℃の温度でMD方向に1.3倍に一軸延伸し、続いて、110℃の温度でMD方向に2.5倍に一軸延伸し(延伸工程)、更に、125℃の温度で0.9倍に緩和させて熱固定を施し、積層体を形成する12枚の積層微多孔性フィルムを分離し(剥離工程)、12の芯体上に巻取った。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、透気度、気孔率、突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0080】
〔実施例3〕
熱圧着工程の原反フィルムの枚数を6枚、熱処理工程の積層体を6つに変更した以外は、実施例2と同様に積層微多孔性フィルムを得た。
【0081】
〔実施例4〕
成膜工程のリップ厚みを4mmに変更した以外は、実施例1と同様に積層微多孔性フィルムを得た。
【0082】
〔実施例5〕
ポリプロピレン(A)を口径20mm、L/D=30(L:単軸押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:単軸押出機の内径(m))、シリンダー温度200℃の単軸押出機にフィーダーを介して投入した。この単軸押出機の先端に設置した単層Tダイからフィルムを押出した。尚、Tダイ温度を190℃とした。押出した後の溶融樹脂に直ちに25℃の冷風を当て、次いで、95℃に冷却したキャストロールでドロー比200、巻き取り速度15m/分の条件で芯体上に巻き取り、単層原反フィルムを得た(成膜工程)。
【0083】
芯体上に巻き取った状態の原反フィルムを3つ用意し、それぞれ巻き出し速度10m/分で巻き出し、3枚を重ね合せた状態で加熱ロ−ルに導き、そこで熱圧着温度125℃、線圧6.0kg/cmで熱圧着し(熱圧着工程)、その後、同速度で25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。
【0084】
得らえた積層体を巻出し、128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、積層体にシワが発生しないように、炉内で積層体をMD方向に1.03倍延伸(「熱処理延伸倍率」ともいう)した。
【0085】
得られた積層体を、25℃の温度でMD方向に1.3倍に一軸延伸し、続いて、130℃の温度でMD方向に2.5倍に一軸延伸し(延伸工程)、更に、145℃の温度で0.9倍に緩和させて熱固定を施し、積層体を形成する3枚の微多孔性フィルムを分離し(剥離工程)、3つの芯体上に巻取った。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、透気度、気孔率、突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0086】
〔実施例6〜8〕
成膜工程で用いるポリプロピレンを表1に示すポリプロピレンに変更した以外は、実施例1と同様に積層微多孔性フィルムを得た。
【0087】
〔比較例3〕
実施例4と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、熱処理を試みた。積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で実施例1と同条件で熱処理を行ったところ、炉内で積層原反フィルムにシワが発生し、熱処理された積層原反フィルムを得ることができなかった。
【0088】
〔比較例4〕
実施例4と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、炉内で3枚の積層原反フィルムをMD方向に1.07倍延伸することで、シワが発生することなく熱処理を行うことができた。
【0089】
得られた3枚の積層原反フィルムを重ね合せた状態で、25℃の温度でMD方向に1.3倍に一軸延伸し、続いて、110℃の温度でMD方向に2.5倍に一軸延伸し(延伸工程)、更に、125℃の温度で0.9倍に緩和させて熱固定を施し、3枚の積層微多孔性フィルムをそれぞれ、3つの芯体上に巻取った。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、透気度、気孔率、突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。実施例4と比較し、透気度が高く、透過性に劣る結果となった。
【0090】
〔比較例5〕
実施例5と同様に原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、熱処理を試みた。原反フィルム3つをそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で実施例1と同条件で熱処理を行ったところ、炉内で原反フィルムにシワが発生し、熱処理された積層原反フィルムを得ることができなかった。
【0091】
〔比較例6〕
実施例5と同様に原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、炉内で3枚の積層原反フィルムをMD方向に1.1倍延伸することで、シワが発生することなく熱処理を行うことができた。
【0092】
得られた3枚の原反フィルムを重ね合せた状態で、25℃の温度でMD方向に1.3倍に一軸延伸し、続いて、130℃の温度でMD方向に2.5倍に一軸延伸し(延伸工程)、更に、145℃の温度で0.9倍に緩和させて熱固定を施し、3枚の微多孔性フィルムをそれぞれ、3つの芯体上に巻取った。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、透気度、気孔率、突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。実施例5と比較し、透気度が高く、透過性に劣る結果となった。
【0093】
〔比較例7〕
実施例6と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、熱処理を試みた。積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で実施例1と同条件で熱処理を行ったところ、炉内で積層原反フィルムにシワが発生し、熱処理された積層原反フィルムを得ることができなかった。
【0094】
〔比較例8〕
実施例6と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、炉内で3枚の積層原反フィルムをMD方向に1.07倍延伸することで、シワが発生することなく熱処理を行うことができた。
【0095】
得られた3枚の積層原反フィルムを重ね合せた状態で、25℃の温度でMD方向に1.3倍に一軸延伸し、続いて、110℃の温度でMD方向に2.5倍に一軸延伸し(延伸工程)、更に、125℃の温度で0.9倍に緩和させて熱固定を施し、3枚の積層微多孔性フィルムをそれぞれ、3つの芯体上に巻取った。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、透気度、気孔率、突刺強度を測定した。その結果を表1に示す。実施例6と比較し、透気度が極めて高く、透過性に劣る結果となった。
【0096】
〔比較例9〕
成膜工程で用いるポリプロピレン(A)をポリプロピレン(E)に変更した以外は実施例1と同様に積層原反フィルムを得た。実施例1と同様に熱圧着を試みたが、積層微多孔性フィルムを圧着させることができず、積層体を得ることができなかった。
【0097】
【表1】