特許第6294188号(P6294188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北海道旅客鉄道株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社新陽社の特許一覧

<>
  • 特許6294188-鉄道用トンネル照明システム 図000002
  • 特許6294188-鉄道用トンネル照明システム 図000003
  • 特許6294188-鉄道用トンネル照明システム 図000004
  • 特許6294188-鉄道用トンネル照明システム 図000005
  • 特許6294188-鉄道用トンネル照明システム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294188
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】鉄道用トンネル照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
   H05B37/02 E
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-169010(P2014-169010)
(22)【出願日】2014年8月22日
(65)【公開番号】特開2016-46069(P2016-46069A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】590003825
【氏名又は名称】北海道旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390025737
【氏名又は名称】株式会社新陽社
(74)【代理人】
【識別番号】100120640
【弁理士】
【氏名又は名称】森 幸一
(72)【発明者】
【氏名】高井 渉
(72)【発明者】
【氏名】千葉 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 祥一
(72)【発明者】
【氏名】根本 忠
(72)【発明者】
【氏名】大城 一晃
(72)【発明者】
【氏名】森 俊二
(72)【発明者】
【氏名】前川 弘
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−087787(JP,U)
【文献】 実開昭50−122476(JP,U)
【文献】 特開2014−125205(JP,A)
【文献】 特開2002−205645(JP,A)
【文献】 特開昭57−143291(JP,A)
【文献】 特開2010−238548(JP,A)
【文献】 特開昭59−165304(JP,A)
【文献】 特開2014−060127(JP,A)
【文献】 特開2013−028232(JP,A)
【文献】 特開2010−178399(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/047074(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用のトンネル内に設置され、トンネル照明回線に接続された少なくとも一つの照明器具と、
上記トンネル照明回線に接続され、上記トンネル照明回線への電源の供給を制御する電磁開閉器と、
上記トンネルへの列車の接近を検知し、スピーカーから列車接近警報を鳴動させる列車接近警報装置と、
上記列車接近警報装置の上記スピーカーの端子間の電圧を検知し、その電圧を検知している間、接点を閉じるように構成された第1制御回路と、
上記第1制御回路と接続され、上記列車接近警報装置の上記スピーカーが上記列車接近警報を鳴動している間、上記電磁開閉器の接点を閉じるように構成された第2制御回路とを有することを特徴とする鉄道用トンネル照明システム。
【請求項2】
上記第2制御回路は、上記列車接近警報装置の上記スピーカーが上記列車接近警報を停止した時、上記電磁開閉器の接点を開くことを特徴とする請求項1記載の鉄道用トンネル照明システム。
【請求項3】
上記トンネル照明回線が複数に分かれており、これらのトンネル照明回線にそれぞれ電磁開閉器が接続され、それぞれの上記電磁開閉器にそれぞれ電磁開閉器操作回線が接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の鉄道用トンネル照明システム。
【請求項4】
一つの上記トンネル照明回線と他の一つの上記トンネル照明回線とが中継回路を介して互いに接続されているとともに、一つの上記電磁開閉器操作回線と他の一つの上記電磁開閉器操作回線とが上記中継回路を介して互いに接続されていることを特徴とする請求項3記載の鉄道用トンネル照明システム。
【請求項5】
上記中継回路は上記トンネル照明回線の電源状態を監視し、その電源状態に応じて上記電磁開閉器操作回線に上記電磁開閉器の接点を閉じる信号または開く信号を送出することを特徴とする請求項4記載の鉄道用トンネル照明システム。
【請求項6】
上記電磁開閉器操作回線に上記トンネルに設置されたトンネル照明スイッチが接続されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項記載の鉄道用トンネル照明システム。
【請求項7】
上記列車接近警報装置は軌道回路またはセンサーにより列車の接近を検知することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の鉄道用トンネル照明システム。
【請求項8】
上記複数に分かれた上記トンネル照明回線と接続された全ての上記電磁開閉器の接点を一斉に閉じて上記トンネル照明回線に接続された上記照明器具を一斉に点灯させる一斉点灯装置をさらに有し、上記第2制御回路により上記一斉点灯装置の動作を制御することを特徴とする請求項3記載の鉄道用トンネル照明システム。
【請求項9】
上記第2制御回路は、上記列車接近警報装置の上記スピーカーが上記列車接近警報を鳴動している間、上記一斉点灯装置に全ての上記電磁開閉器の接点を閉じる信号を送出することを特徴とする請求項8記載の鉄道用トンネル照明システム。
【請求項10】
互いに分離して設置された複数の鉄道用のトンネル内にそれぞれ設置されたトンネル照明回線に接続された少なくとも一つの照明器具と、
それぞれの上記トンネル照明回線に接続され、上記トンネル照明回線への電源の供給を制御する電磁開閉器と、
上記複数のトンネルの外部から上記複数のトンネルのうちの一端のトンネルまたは他端のトンネルへの列車の接近を検知し、それぞれのスピーカーから列車接近警報を同時に鳴動させる、上記トンネルに少なくとも一つ設置された列車接近警報装置と、
一つの上記列車接近警報装置の上記スピーカーの端子間の電圧を検知し、その電圧を検知している間、接点を閉じるように構成された第1制御回路と、
上記第1制御回路と接続され、上記列車接近警報装置の上記スピーカーが上記列車接近警報を鳴動している間、上記電磁開閉器の接点を閉じるように構成された第2制御回路とを有し、
互いに隣接する二つの上記トンネルの上記トンネル照明回線同士が中継回路を介して互いに接続され、
それぞれの上記電磁開閉器にそれぞれ電磁開閉器操作回線が接続され、一つの上記電磁開閉器操作回線と他の一つの上記電磁開閉器操作回線とが上記中継回路を介して互いに接続されていることを特徴とする鉄道用トンネル照明システム。
【請求項11】
互いに分離して設置された複数の鉄道用のトンネル内にそれぞれ設置されたトンネル照明回線に接続された少なくとも一つの照明器具と、
それぞれの上記トンネル照明回線に接続され、上記トンネル照明回線への電源の供給を制御する電磁開閉器と、
上記複数のトンネルのうちの一端のトンネルへの列車の接近を検知し、スピーカーから列車接近警報を鳴動させる、上記一端のトンネルに少なくとも一つ設置された列車接近警報装置と、
上記複数のトンネルのうちの他端のトンネルへの列車の接近を検知し、スピーカーから列車接近警報を鳴動させる、上記他端のトンネルに少なくとも一つ設置された列車接近警報装置と、
上記一端のトンネルおよび上記他端のトンネルのそれぞれの一つの上記列車接近警報装置の上記スピーカーの端子間の電圧を検知し、その電圧を検知している間、接点を閉じるように構成された第1制御回路と、
上記第1制御回路と接続され、上記列車接近警報装置の上記スピーカーが上記列車接近警報を鳴動している間、上記電磁開閉器の接点を閉じるように構成された第2制御回路とを有し、
互いに隣接する二つの上記トンネルの上記トンネル照明回線同士が中継回路を介して互いに接続され、
それぞれの上記電磁開閉器にそれぞれ電磁開閉器操作回線が接続され、一つの上記電磁開閉器操作回線と他の一つの上記電磁開閉器操作回線とが上記中継回路を介して互いに接続されていることを特徴とする鉄道用トンネル照明システム。
【請求項12】
上記第1制御回路および上記第2制御回路は、上記一端のトンネルの上記列車接近警報装置および上記他端のトンネルの上記列車接近警報装置に対してそれぞれ設けられ、
上記第2制御回路は、上記照明器具が消灯している状態で上記列車接近警報装置の上記スピーカーが上記列車接近警報を鳴動した時、上記電磁開閉器の接点を閉じるが、上記列車接近警報が停止しても上記電磁開閉器の接点を開かず、上記照明器具が点灯している状態で上記列車接近警報を鳴動した後に上記列車接近警報が停止した時、上記電磁開閉器の接点を開くことを特徴とする請求項11記載の鉄道用トンネル照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道用トンネル照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道用のトンネルでは、照明光が運転士の視覚に与える悪影響の防止や省エネルギー化などを図るため、通常は照明器具を消灯していることが多い。このようなトンネルでは、線路などの保守点検を行う際や、トンネル内で何らかの事故が発生して列車を停止させた際などに、作業員や乗務員などがトンネル壁面などに設置されたトンネル照明スイッチを入れることで照明器具を点灯させている。
【0003】
なお、自動車用のトンネルの照明に関するものであるが、照明灯によってトンネル内を照明する照明設備において、照明灯を点灯−消灯させる点灯スイッチと、この点灯スイッチの動作を制御する制御装置と、通行対象物のトンネル内への進入を検知する進入検知手段とを有し、制御装置が、進入検知手段から、通行対象物のトンネル内への進入を検知した旨の信号を得ると、点灯スイッチに点灯信号を発して、照明灯を点灯するよう制御することが提案されている(特許文献1参照。)。また、同じく自動車用のトンネルの照明に関するものであるが、トンネル内の照明状態をトンネル内に設置された照明機器により制御するトンネル照明制御装置において、トンネル内に設置された車両検知装置で検知された車両信号により照明機器を点灯し、トンネル内に車両がいない時は照明機器を消灯することが提案されている(特許文献2参照。)。また、同じく自動車用のトンネルの照明に関するものであるが、筐体内に配設される無電極放電灯と、無電極放電灯を装着するためのソケットと、ソケットに補助光源であるLEDユニットから熱を伝導するための伝熱板と、伝熱板に装着されたLEDユニットと、電力供給のための点灯回路と、点滅制御のための制御ユニットとを備えたトンネル照明器具が提案されている(特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−217873号公報
【特許文献2】特開2005−50611号公報
【特許文献3】特開2010−129199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トンネル内で列車の火災事故などが発生した場合に乗客や乗務員が避難する際には、列車を停止させた後、運転士などの乗務員が列車を降りて暗がりの中でトンネル照明スイッチを探して入れる必要があるため、照明器具を点灯させるのに手間取るおそれがあり、乗客や乗務員の安全が脅かされるおそれがあった。
【0006】
また、特許文献1〜3に提案された上述の従来のトンネル照明装置は、鉄道用のトンネル照明装置として用いるためには多くの新規の設備の設置が必要であり、多数のトンネルに適用すると多額の費用が発生してしまうことから、現実には適用が困難である。
【0007】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、列車がトンネルに接近した時にトンネル内の全ての照明器具を自動的に点灯させることができ、トンネル内に列車が在線する間は点灯を継続することができ、しかも既設のトンネル照明設備を利用することができることにより大幅な低コスト化を図ることができる鉄道用トンネル照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は、
鉄道用のトンネル内に設置され、トンネル照明回線に接続された少なくとも一つの照明器具と、
上記トンネル照明回線に接続され、上記トンネル照明回線への電源の供給を制御する電磁開閉器と、
上記トンネルへの列車の接近を検知し、スピーカーから列車接近警報を鳴動させる列車接近警報装置と、
上記列車接近警報装置の上記スピーカーの端子間の電圧を検知し、その電圧を検知している間、接点を閉じるように構成された第1制御回路と、
上記第1制御回路と接続され、上記列車接近警報装置の上記スピーカーが上記列車接近警報を鳴動している間、上記電磁開閉器の接点を閉じるように構成された第2制御回路とを有することを特徴とする鉄道用トンネル照明システムである。
【0009】
この鉄道用トンネル照明システムにおいては、列車接近警報装置は、典型的には、軌道回路またはセンサーにより列車の接近を検知する。センサーは、列車の接近を検知することができる限り、基本的にはどのようなものであってもよく、必要に応じて選ばれるが、例えば超音波センサーである。一つのトンネル内には、トンネル照明回線が一つだけ存在し、照明器具の電源系統が一つだけの場合と、トンネル照明回線が複数に分かれており、照明器具の電源系統が複数に分かれている場合とがある。典型的には、電磁開閉器には、トンネル照明回線に加えて電磁開閉器操作回線が接続され、この電磁開閉器操作回線にトンネルに設置されたトンネル照明スイッチが接続される。そして、このトンネル照明スイッチを入れることにより、必要な時にいつでも、照明器具を点灯させることができるようになっている。トンネル照明回線が複数に分かれている場合には、これらのトンネル照明回線にそれぞれ電磁開閉器が接続され、一つのトンネル照明回線と他の一つのトンネル照明回線とが中継回路を介して互いに接続される。また、一つの電磁開閉器操作回線と他の一つの電磁開閉器操作回線とがこの中継回路を介して互いに接続される。中継回路は、典型的には、トンネル照明回線の電源状態を監視し、その電源状態に応じて電磁開閉器操作回線に電磁開閉器の接点を閉じる信号または開く信号を送出する。第2制御回路は、典型的には、列車接近警報装置のスピーカーが列車接近警報を停止した時、電磁開閉器の接点を開き、それによってこの電磁開閉器に接続されたトンネル照明回線への電源の供給が停止し、このトンネル照明回線に接続された照明器具が消灯する。鉄道用トンネル照明システムは、複数に分かれたトンネル照明回線と接続された全ての電磁開閉器の接点を一斉に閉じてトンネル照明回線に接続された照明器具を一斉に点灯させる一斉点灯装置をさらに有することもあり、この場合には第2制御回路によりこの一斉点灯装置の動作を制御する。具体的には、例えば、第2制御回路は、列車接近警報装置のスピーカーが列車接近警報を鳴動している間、一斉点灯装置に全ての電磁開閉器の接点を閉じる信号を送出する。
【0010】
また、この発明は、
互いに分離して設置された複数の鉄道用のトンネル内にそれぞれ設置されたトンネル照明回線に接続された少なくとも一つの照明器具と、
それぞれの上記トンネル照明回線に接続され、上記トンネル照明回線への電源の供給を制御する電磁開閉器と、
上記複数のトンネルの外部から上記複数のトンネルのうちの一端のトンネルまたは他端のトンネルへの列車の接近を検知し、それぞれのスピーカーから列車接近警報を同時に鳴動させる、上記トンネルに少なくとも一つ設置された列車接近警報装置と、
一つの上記列車接近警報装置の上記スピーカーの端子間の電圧を検知し、その電圧を検知している間、接点を閉じるように構成された第1制御回路と、
上記第1制御回路と接続され、上記列車接近警報装置の上記スピーカーが上記列車接近警報を鳴動している間、上記電磁開閉器の接点を閉じるように構成された第2制御回路とを有し、
互いに隣接する二つの上記トンネルの上記トンネル照明回線同士が中継回路を介して互いに接続され、
それぞれの上記電磁開閉器にそれぞれ電磁開閉器操作回線が接続され、一つの上記電磁開閉器操作回線と他の一つの上記電磁開閉器操作回線とが上記中継回路を介して互いに接続されていることを特徴とする鉄道用トンネル照明システムである。
この鉄道用トンネル照明システムにおいては、その性質に反しない限り、最初に述べた鉄道用トンネル照明システムの発明に関連して説明したことが成立する。
【0011】
また、この発明は、
互いに分離して設置された複数の鉄道用のトンネル内にそれぞれ設置されたトンネル照明回線に接続された少なくとも一つの照明器具と、
それぞれの上記トンネル照明回線に接続され、上記トンネル照明回線への電源の供給を制御する電磁開閉器と、
上記複数のトンネルのうちの一端のトンネルへの列車の接近を検知し、スピーカーから列車接近警報を鳴動させる、上記一端のトンネルに少なくとも一つ設置された列車接近警報装置と、
上記複数のトンネルのうちの他端のトンネルへの列車の接近を検知し、スピーカーから列車接近警報を鳴動させる、上記他端のトンネルに少なくとも一つ設置された列車接近警報装置と、
上記一端のトンネルおよび上記他端のトンネルのそれぞれの一つの上記列車接近警報装置の上記スピーカーの端子間の電圧を検知し、その電圧を検知している間、接点を閉じるように構成された第1制御回路と、
上記第1制御回路と接続され、上記列車接近警報装置の上記スピーカーが上記列車接近警報を鳴動している間、上記電磁開閉器の接点を閉じるように構成された第2制御回路とを有し、
互いに隣接する二つの上記トンネルの上記トンネル照明回線同士が中継回路を介して互いに接続され、
それぞれの上記電磁開閉器にそれぞれ電磁開閉器操作回線が接続され、一つの上記電磁開閉器操作回線と他の一つの上記電磁開閉器操作回線とが上記中継回路を介して互いに接続されていることを特徴とする鉄道用トンネル照明システムである。
この鉄道用トンネル照明システムの一つの例では、第1制御回路および第2制御回路は、一端のトンネルの列車接近警報装置および他端のトンネルの列車接近警報装置に対してそれぞれ設けられる。また、第2制御回路は、照明器具が消灯している状態で列車接近警報装置のスピーカーが列車接近警報を鳴動した時、電磁開閉器の接点を閉じるが、列車接近警報が停止しても電磁開閉器の接点を開かず、照明器具が点灯している状態で列車接近警報を鳴動した後に列車接近警報が停止した時、電磁開閉器の接点を開く。この鉄道用トンネル照明システムにおいては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、最初に述べた鉄道用トンネル照明システムの発明に関連して説明したことが成立する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、列車がトンネルに接近した時にトンネル内の全ての照明器具を自動的に点灯させることができ、トンネル内に列車が在線する間は点灯を継続することができ、しかも既設のトンネル照明設備を利用することができることにより大幅な低コスト化を図ることができる鉄道用トンネル照明システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の第1の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムを示す略線図である。
図2】この発明の第2の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムを示す略線図である。
図3】この発明の第3の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムを示す略線図である。
図4】この発明の第4の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムを示す略線図である。
図5】この発明の第5の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムを示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という。)について説明する。
〈1.第1の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
図1は第1の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムを示す。
【0015】
図1に示すように、鉄道線路が通っているトンネル11の壁面などに複数の照明器具12が線路方向に所定間隔で設置されている。一例を挙げると、照明器具12は、トンネル11の側壁にレール面から2.3mの高さに15m間隔で設置される。この場合、トンネル11内の全ての照明器具12の電源系統は一つである。各照明器具12は二本の配線からなる電源供給用のトンネル照明回線13に接続されている。このトンネル照明回線13は電磁開閉器14と接続されている。電磁開閉器14としては、多頻度の開閉の耐久性がある多頻度型のものを用いることが望ましい。電磁開閉器14は二本の配線からなる電源線15と接続されている。電磁開閉器14の接点が閉じている時に、電源線15がトンネル照明回線13に接続されることによりこのトンネル照明回線13に電流が流れ、このトンネル照明回線13に接続されている全ての照明器具12が点灯する。電磁開閉器14の接点が開いている時には、電源線15とトンネル照明回線13とが切り離されているため、このトンネル照明回線13に電流が流れず、全ての照明器具12が消灯する。電磁開閉器14には電磁開閉器操作回線16が接続されている。電磁開閉器操作回線16は押しボタンなどからなるトンネル照明スイッチ17a、17bに接続されている。トンネル照明スイッチ17a、17bは、例えば、トンネル11の両端の出入り口付近に設置されるが、設置個数および設置場所はこれに限定されるものではない。トンネル照明スイッチ17a、17bのいずれかを入れることにより電磁開閉器操作回線16を介して電磁開閉器14の接点を閉じることができ、全ての照明器具12を点灯させることができる。
【0016】
トンネル11の両端の出入り口付近には、軌道回路を利用した列車接近警報装置18、19がそれぞれ設置されている。列車接近警報装置18、19はそれぞれスピーカー18a、19aを有する。列車接近警報装置18、19は、トンネル11内のレールを含む、あらかじめ決められた閉塞区間内において、左右レール間に接続されているリレー回路に電流が流れているかどうかでトンネル11への列車の接近を検知し、列車の接近を検知した時にはスピーカー18a、19aの両端子間に電圧を印加して列車接近警報を鳴動させることができるようになっている。図1において、スピーカー18a、19aの間を結んでいる一点鎖線は、これらのスピーカー18a、19aの端子同士が互いに接続されており、列車の接近を検知した時にこれらのスピーカー18a、19aの両端子間に同時に電圧を印加して列車接近警報を同時に鳴動することができるようになっていることを示す。
【0017】
列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子は第1制御回路に相当する列車接近条件盤20に接続されている。列車接近条件盤20は、スピーカー18aの両端子間の電圧を検知し、電圧を検知している間、接点を閉じ、その電圧を出力することができるように構成されている。言い換えると、軌道回路により列車の接近を検知し、スピーカー18aの両端子間に電圧を印加し、列車接近警報を鳴動させている間、接点を閉じ、その電圧を出力することができるように構成されている。スピーカー18aの両端子間の電圧はACであってもDCであってもよい。列車接近条件盤20は第2制御回路に相当する電磁開閉器制御盤21に接続されている。電磁開閉器制御盤21は電磁開閉器14の制御端子に接続されている。電磁開閉器制御盤21は、列車接近条件盤20の接点が閉じている時、電磁開閉器14の接点を閉じる。
【0018】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
トンネル11の照明器具12は消灯しているとする。列車がレール上を走行して図1中左側からトンネル11に接近し、所定の閉塞区間に進入した時、列車接近警報装置18、19のスピーカー18a、19aから列車接近警報が同時に鳴動する。この時、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されて列車接近条件盤20の接点が閉じる。列車接近条件盤20の接点が閉じることにより、電磁開閉器制御盤21が作動して電磁開閉器14の接点を閉じる。この結果、トンネル照明回線13が電源線15と接続されて電源が供給され、全ての照明器具12が点灯する。全ての列車接近警報装置18、19のスピーカー18a、19aから列車接近警報が鳴動している間、言い換えると、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されている間、トンネル照明回線13に電源が供給され、照明器具12が点灯する。列車がトンネル11を通り抜け、閉塞区間を出た時点で列車接近警報装置18、19のスピーカー18a、19aからの列車接近警報の鳴動が終了する。これによって、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されなくなって列車接近条件盤20の接点が開き、それによって電磁開閉器制御盤21が作動して電磁開閉器14の接点を開く。この結果、トンネル照明回線13が電源線15と切り離されることで電源が供給されなくなり、照明器具12が消灯する。以上のことは、列車が図1中右側からトンネル11に接近する場合も同様である。
【0019】
レールの保守点検を行う際などの必要な時にはいつでも、作業員などがトンネル照明スイッチ17a、17bのいずれかを入れることにより電磁開閉器14の接点を閉じて照明器具12を点灯させることができる。また、トンネル照明スイッチ17a、17bのいずれかを切ることにより電磁開閉器14の接点を開いて照明器具12を消灯させることができる。
【0020】
以上のように、この第1の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムによれば、トンネル11に列車が接近した時に、トンネル11内の全ての照明器具12を自動的に点灯させることができ、トンネル11内に列車が在線している間は全ての照明器具12の点灯を継続することができる。このため、トンネル11内で列車の火災などの事故が起きて列車を停止させた場合においても、トンネル11内では必ず照明器具12が点灯していて明るいので、乗客や乗務員などがトンネル11外に迅速にしかも安全に避難することができる。また、この鉄道用トンネル照明システムは、トンネル11に照明器具12、トンネル照明回線13、電磁開閉器14、電源線15および列車接近警報装置18、19が元々設置されている場合には、これらの既存の設備に列車接近条件盤20および電磁開閉器制御盤21を設置するだけで容易に構成することができるため、極めて低コストでしかも簡単に構成することができる。
【0021】
〈2.第2の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
図2は第2の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムを示す。
【0022】
図2に示すように、トンネル11の壁面などに複数の照明器具12が線路方向に所定間隔で設置されている。この場合、トンネル11内の照明器具12の電源系統は複数に分かれているが、ここでは、一例として、トンネル11の図2中左側の照明器具12の電源系統とトンネル11の図2中右側の照明器具12の電源系統との二つに分かれている場合を考える。トンネル11内の照明器具12の電源系統が二つに分かれていることに応じて、トンネル照明回線も図2中左側のトンネル照明回線13aと図2中右側のトンネル照明回線13bとの二つに分かれている。図2中左側の照明器具12はトンネル照明回線13aに接続され、図2中右側の照明器具12はトンネル照明回線13bに接続されている。トンネル照明回線13a、13bはそれぞれ電磁開閉器14a、14bと接続されている。電磁開閉器14a、14bはそれぞれ電源線15と接続されている。左側の電磁開閉器14aの接点が閉じている時に、電源線15がトンネル照明回線13aに接続されることによりこのトンネル照明回線13aに電流が流れ、このトンネル照明回線13aに接続されている全ての照明器具12が点灯する。左側の電磁開閉器14aの接点が開いている時には、電源線15とトンネル照明回線13aとが切り離されているため、このトンネル照明回線13aに電流が流れず、このトンネル照明回線13aに接続されている全ての照明器具12が消灯する。同様に、右側の電磁開閉器14bの接点が閉じている時に、電源線15がトンネル照明回線13bに接続されることによりこのトンネル照明回線13bに電流が流れ、このトンネル照明回線13bに接続されている全ての照明器具12が点灯する。右側の電磁開閉器14bの接点が開いている時には、電源線15とトンネル照明回線13bとが切り離されているため、このトンネル照明回線13bに電流が流れず、このトンネル照明回線13bに接続されている全ての照明器具12が消灯する。左側の電磁開閉器14aには電磁開閉器操作回線16aが接続され、右側の電磁開閉器14bには電磁開閉器操作回線16bが接続されている。電磁開閉器操作回線16aはトンネル照明スイッチ17a、17bに接続され、電磁開閉器操作回線16bはトンネル照明スイッチ17c、17dに接続されている。トンネル照明スイッチ17a、17dは、例えば、トンネル11の出入り口付近に設置されている。また、トンネル照明スイッチ17b、17cは、例えば、トンネル11の中央部に設置されている。電磁開閉器操作回線16aに接続されたトンネル照明スイッチ17a、17bのいずれかを入れることによりこの電磁開閉器操作回線16aを介して左側の電磁開閉器14aの接点を閉じることができ、トンネル照明回線13aに接続された全ての照明器具12を点灯させることができる。また、電磁開閉器操作回線16bに接続されたトンネル照明スイッチ17c、17dのいずれかを入れることによりこの電磁開閉器操作回線16bを介して右側の電磁開閉器14bの接点を閉じることができ、トンネル照明回線13bに接続された全ての照明器具12を点灯させることができる。
【0023】
トンネル11の両端の出入り口付近には、それぞれ列車接近警報装置18、19が設置されている。列車接近警報装置18、19はそれぞれスピーカー18a、19aを有する。
【0024】
列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子は列車接近条件盤20に接続されている。列車接近条件盤20は電磁開閉器制御盤21に接続されている。電磁開閉器制御盤21は電磁開閉器14aの制御端子に接続されている。トンネル照明回線13a、13bおよび電磁開閉器操作回線16a、16bは条件中継盤22に接続されている。条件中継盤22は、左右のトンネル照明回線13a、13bの電源状態を確認し、電磁開閉器操作回線16a、16bに電磁開閉器14a、14bの接点を閉じる信号(入指令)または開く信号(切指令)をパルスとして送出することができるようになっている。例えば、左右のトンネル照明回線13a、13bの電圧が、「無−無」→「有−無」に変化した場合、「無」側の電磁開閉器操作回線16bにパルス(入指令)を1回出し、この電磁開閉器操作回線16bに接続された電磁開閉器14bの接点を閉じる。あるいは、左右のトンネル照明回線13a、13bの電圧が、「有−有」→「有−無」に変化した場合、「有」側の電磁開閉器操作回線16aにパルス(切指令)を1回出し、この電磁開閉器操作回線16aに接続された電磁開閉器14aの接点を開く。
【0025】
この鉄道用トンネル照明システムの上記以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0026】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
トンネル11の照明器具12は消灯しているとする。列車がレール上を走行して図2中左側からトンネル11に接近し、所定の閉塞区間に進入した時、列車接近警報装置18、19のスピーカー18a、19aから列車接近警報が同時に鳴動する。この時、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されて列車接近条件盤20の接点が閉じる。列車接近条件盤20の接点が閉じることにより、電磁開閉器制御盤21が作動して電磁開閉器14aの接点を閉じる。この結果、左側のトンネル照明回線13aが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13aに接続された左側の全ての照明器具12が点灯する。また、この時、条件中継盤22から右側の電磁開閉器操作回線16bにパルス(入指令)が出され、その結果、右側の電磁開閉器14bの接点が閉じる。これによって、右側のトンネル照明回線13bが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13bに接続された右側の全ての照明器具12が点灯する。こうして、トンネル11内の全ての照明器具12が点灯する。列車接近警報装置18、19のスピーカー18a、19aから列車接近警報が鳴動している間、言い換えると、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されている間、左右のトンネル照明回線13a、13bに電源が供給され、全ての照明器具12が点灯する。列車がトンネル11を通り抜け、閉塞区間を出た時点で列車接近警報装置18、19のスピーカー18a、19aから列車接近警報の鳴動が終了する。これによって、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されなくなって列車接近条件盤20の接点が開き、それによって電磁開閉器制御盤21が作動して電磁開閉器14aの接点を開く。この結果、左側のトンネル照明回線13aが電源線15と切り離されることで電源が供給されなくなり、このトンネル照明回線13aに接続された左側の全ての照明器具12が消灯する。また、この時、条件中継盤22から右側の電磁開閉器操作回線16bにパルス(切指令)が出され、その結果、右側の電磁開閉器14bの接点が開く。これによって、右側のトンネル照明回線13bが電源線15と切り離されて電源が供給されなくなり、このトンネル照明回線13bに接続された右側の全ての照明器具12が消灯する。こうして、トンネル11内の全ての照明器具12が消灯する。以上のことは、列車が図2中右側からトンネル11に接近する場合も同様である。
【0027】
電磁開閉器操作回線16a、16bと接続されたトンネル照明スイッチ17a〜17dのいずれかを入れることによりトンネル11内の全ての照明器具12を点灯させることができる。例えば、電磁開閉器操作回線16aに接続されたトンネル照明スイッチ17a、17bのいずれかを入れると、この電磁開閉器操作回線16aに接続された電磁開閉器14aの接点が閉じてトンネル照明回線13aに接続された左側の全ての照明器具12が点灯する。また、この時、条件中継盤22から右側の電磁開閉器操作回線16bにパルス(入指令)が出され、その結果、右側の電磁開閉器14bの接点が閉じる。これによって、右側のトンネル照明回線13bが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13bに接続された右側の全ての照明器具12が点灯する。こうして、トンネル11内の全ての照明器具12が点灯する。同様にして、電磁開閉器操作回線16a、16bと接続されたトンネル照明スイッチ17a〜17dのいずれかを切ることによりトンネル11内の全ての照明器具12を消灯させることができる。
【0028】
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、トンネル11に列車が接近した時に、トンネル11内の全ての照明器具12を自動的に点灯させることができ、トンネル11内に列車が在線している間は全ての照明器具12の点灯を継続することができる。また、この鉄道用トンネル照明システムは、トンネル11に照明器具12、トンネル照明回線13a、13b、電磁開閉器14a、14b、電源線15および列車接近警報装置18、19が元々設置されている場合には、これらの既存の設備に列車接近条件盤20、電磁開閉器制御盤21および条件中継盤22を設置するだけで容易に構成することができるため、極めて低コストでしかも簡単に構成することができる。
【0029】
〈3.第3の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
図3は第3の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムを示す。
【0030】
図3に示すように、トンネル11の壁面などに複数の照明器具12が線路方向に所定間隔で設置されている。この場合、トンネル11内のトンネル照明回線は複数に分かれているが、ここでは、一例として、トンネル11の図2中左側から右側に向かって五つのトンネル照明回線13a〜13eに分かれている場合を考える。トンネル照明回線13a〜13eのそれぞれに照明器具12が接続されている。トンネル照明回線13aは図3中左側の電磁開閉器14aに接続され、トンネル照明回線13b、13cは図3中中央の電磁開閉器14bに接続され、トンネル照明回線13d、13eは図3中右側の電磁開閉器14cに接続されている。電磁開閉器14a〜14cは共通の電源線15と接続されている。例えば、図3中左側の電磁開閉器14aの接点が閉じている時には、電源線15がトンネル照明回線13aに接続されることによりこのトンネル照明回線13aに電流が流れ、このトンネル照明回線13aに接続されている全ての照明灯具12が点灯する。電磁開閉器14aの接点が開いている時には、電源線15とトンネル照明回線13aとが切り離されているため、このトンネル照明回線13aに電流が流れず、このトンネル照明回線13aに接続されている全ての照明灯具12が消灯する。トンネル照明回線13a〜13eに対応して電磁開閉器操作回線16a〜16eが設けられている。電磁開閉器操作回線16aは左側の電磁開閉器14aに接続され、電磁開閉器操作回線16b、16cは中央の電磁開閉器14bに接続され、電磁開閉器操作回線16d、16eは右側の電磁開閉器14cに接続されている。電磁開閉器操作回線16aはトンネル照明スイッチ17a、17bに接続されている。電磁開閉器操作回線16bはトンネル照明スイッチ17c、17dに接続されている。電磁開閉器操作回線16cはトンネル照明スイッチ17e、17fに接続されている。電磁開閉器操作回線16dはトンネル照明スイッチ17g、17hに接続されている。電磁開閉器操作回線16eはトンネル照明スイッチ17i、17jに接続されている。トンネル照明スイッチ17a、17jは、例えば、トンネル11の両端の出入り口付近に設置され、トンネル照明スイッチ17b〜17iはトンネル11の内部に設置されている。トンネル照明スイッチ17a、17bのいずれかを入れることにより電磁開閉器操作回線16aを介して電磁開閉器14aの接点を閉じることができ、電磁開閉器14aに接続されたトンネル照明回線13aに接続された照明器具12を点灯させることができる。また、トンネル照明スイッチ17c、17dのいずれかを入れることにより電磁開閉器操作回線16bを介して電磁開閉器14bの接点を閉じることができ、電磁開閉器14bに接続されたトンネル照明回線13bに接続された照明器具12を点灯させることができる。また、トンネル照明スイッチ17e、17fのいずれかを入れることにより電磁開閉器操作回線16cを介して電磁開閉器14bの接点を閉じることができ、電磁開閉器14bに接続されたトンネル照明回線13cに接続された照明器具12を点灯させることができる。また、トンネル照明スイッチ17g、17hのいずれかを入れることにより電磁開閉器操作回線16dを介して電磁開閉器14cの接点を閉じることができ、電磁開閉器14cに接続されたトンネル照明回線13dに接続された照明器具12を点灯させることができる。また、トンネル照明スイッチ17i、17jのいずれかを入れることにより電磁開閉器操作回線16eを介して電磁開閉器14cの接点を閉じることができ、電磁開閉器14cに接続されたトンネル照明回線13eに接続された照明器具12を点灯させることができる。
【0031】
トンネル11の一方の出入り口付近には、列車接近警報装置18が設置されている。列車接近警報装置18はスピーカー18aを有する。
【0032】
列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子は列車接近条件盤20に接続されている。列車接近条件盤20は一斉点灯装置制御盤23に接続されている。一斉点灯装置制御盤23は一斉点灯装置24に接続されている。一斉点灯装置24は配線25により電磁開閉器14a〜14cの制御端子に接続されている。一斉点灯装置制御盤23は、列車接近条件盤20の接点が閉じている時、一斉点灯装置24に全ての電磁開閉器14a〜14cの接点を閉じる信号(入指令)を送出し、全ての電磁開閉器14a〜14cの接点を閉じることができるようになっている。また、トンネル11内には、トンネル照明スイッチ17a〜17jに加えて、押しボタンなどからなる一斉点灯スイッチ26a〜26eが設置されている。一斉点灯スイッチ26a〜26eは配線25と接続されている。一斉点灯スイッチ26a〜26eのいずれかを入れることにより一斉点灯装置24を作動させることができ、それによって全ての電磁開閉器14a〜14cの接点を閉じることができ、各電磁開閉器14a〜14cに接続されたトンネル照明回線13a〜13eのそれぞれに接続された照明器具12を点灯させることができるようになっている。
【0033】
この鉄道用トンネル照明システムの上記以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0034】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
トンネル11の照明器具12は消灯しているとする。列車がレール上を走行して図3中左側からトンネル11に接近し、所定の閉塞区間に進入した時、列車接近警報装置18のスピーカー18aから列車接近警報が鳴動する。この時、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されて列車接近条件盤20の接点が閉じる。列車接近条件盤20の接点が閉じることにより、一斉点灯装置制御盤23が作動して一斉点灯装置24を作動させ、全ての電磁開閉器14a〜14cの接点を閉じる。この結果、全てのトンネル照明回線13a〜13eが電源線15と接続されて電源が供給され、トンネル照明回線13a〜13eに接続された全ての照明器具12が点灯する。こうして、トンネル11内の全ての照明器具12が点灯する。列車接近警報装置18のスピーカー18aから列車接近警報が鳴動している間、言い換えると、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されている間、トンネル照明回線13a〜13eに電源が供給され、全ての照明器具12が点灯する。列車がトンネル11を通り抜け、閉塞区間を出た時点で列車接近警報装置18のスピーカー18aから列車接近警報の鳴動が終了する。これによって、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されなくなって列車接近条件盤20の接点が開き、それによって一斉点灯装置制御盤23が作動して電磁開閉器14a〜14cの接点を開く。この結果、トンネル照明回線13a〜13eが電源線15と切り離されることで電源が供給されなくなり、照明器具12が消灯する。以上のことは、列車が図3中右側からトンネル11に接近する場合も同様である。
【0035】
電磁開閉器操作回線16a〜16eと接続されたトンネル照明スイッチ17a〜17jのいずれかを入れることにより、電磁開閉器14a〜14cに接続されたトンネル照明回線13a〜13eのそれぞれに接続された照明器具12を点灯させることができる。また、一斉点灯スイッチ26a〜26eのいずれかを入れることにより一斉点灯装置24を作動させることができ、それによって全ての電磁開閉器14a〜14cの接点を閉じることができ、電磁開閉器14a〜14cに接続されたトンネル照明回線13a〜13eのそれぞれに接続された照明器具12を点灯させることができる。
【0036】
この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、トンネル11に列車が接近した時に、トンネル11内の全ての照明器具12を自動的に点灯させることができ、トンネル11内に列車が在線している間は全ての照明器具12の点灯を継続することができる。また、この鉄道用トンネル照明システムは、トンネル11に照明器具12、トンネル照明回線13a〜13e、電磁開閉器14a〜14c、電源線15、列車接近警報装置18および一斉点灯装置24が設置されている場合には、これらの既存の設備に列車接近条件盤20および一斉点灯装置制御盤23を設置するだけで容易に構成することができるため、極めて低コストでしかも簡単に構成することができる。
【0037】
〈4.第4の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
第4の実施の形態においては、複数のトンネルが連続して続く準長大トンネルの鉄道用トンネル照明システムについて説明する。図4はこの鉄道用トンネル照明システムを示す。
【0038】
図4に示すように、ここでは、準長大トンネルが三つのトンネル11a〜11cからなるとする。トンネル11a〜11cのそれぞれの壁面などに複数の照明器具12が線路方向に所定間隔で設置されている。トンネル11a〜11cにおいて、各照明器具12はそれぞれトンネル照明回線13a〜13cに接続されている。これらのトンネル照明回線13a〜13cはそれぞれ電磁開閉器14a〜14cと接続されている。電磁開閉器14a〜14cは電源線15と接続されている。電磁開閉器14a〜14cの接点が閉じている時に、電源線15がそれぞれトンネル照明回線13a〜13cに接続されることでトンネル照明回線13a〜13cに電流が流れ、これらのトンネル照明回線13a〜13cに接続されている全ての照明器具12が点灯する。電磁開閉器14a〜14cの接点が開いている時には、電源線15とトンネル照明回線13a〜13cとが切り離されているため、トンネル照明回線13a〜13cに電流が流れず、全てのトンネル照明器具12が消灯する。電磁開閉器14a〜14cにはそれぞれ電磁開閉器操作回線16a〜16cが接続されている。電磁開閉器操作回線16aはトンネル照明スイッチ17a、17bに接続されている。トンネル照明スイッチ17a、17bは、トンネル11aの両端の出入り口付近にそれぞれ設置されている。トンネル照明スイッチ17a、17bのいずれかを入れることにより電磁開閉器操作回線16aを介して電磁開閉器14aの接点を閉じることができ、トンネル11a内の全ての照明器具12を点灯させることができるようになっている。電磁開閉器操作回線16bはトンネル照明スイッチ17c、17dに接続されている。トンネル照明スイッチ17c、17dは、トンネル11bの両端の出入り口付近にそれぞれ設置されている。トンネル照明スイッチ17c、17dのいずれかを入れることにより電磁開閉器操作回線16bを介して電磁開閉器14bの接点を閉じることができ、トンネル11b内の全ての照明器具12を点灯させることができるようになっている。電磁開閉器操作回線16cはトンネル照明スイッチ17eに接続されている。トンネル照明スイッチ17eは、トンネル11cの一端の出入り口付近に設置されている。トンネル照明スイッチ17eを入れることにより電磁開閉器操作回線16cを介して電磁開閉器14cの接点を閉じることができ、トンネル11c内の全ての照明器具12を点灯させることができるようになっている。
【0039】
準長大トンネルの一端のトンネル11aの両端の出入り口付近には、それぞれ列車接近警報装置18、19が設置されている。準長大トンネルの中央のトンネル11bの一端の出入り口付近には、列車接近警報装置27が設置されている。また、準長大トンネルの他端のトンネル11cの両端の出入り口付近には、列車接近警報装置28、29が設置されている。列車接近警報装置18、19、27、28、29はそれぞれスピーカー18a、19a、27a、28a、29aを有する。図4において、スピーカー18a、19a、27a、28a、29aの間を結んでいる一点鎖線は、これらのスピーカー18a、19a、27a、28a、29aの端子同士が互いに接続されており、列車の接近を検知した時にこれらのスピーカー18a、19a、27a、28a、29aの両端子間に同時に電圧を印加して列車接近警報を同時に鳴動することができるようになっていることを示す。
【0040】
準長大トンネルの一端のトンネル11aにおいて、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子は列車接近条件盤20に接続されている。列車接近条件盤20は電磁開閉器制御盤21に接続されている。電磁開閉器制御盤21は電磁開閉器14aの制御端子に接続されている。電磁開閉器制御盤21は、列車接近条件盤20の接点が閉じている時、電磁開閉器14aの接点を閉じる。互いに隣接するトンネル11a、11bのトンネル照明回線13a、13bおよび各電磁開閉器操作回線16a、16bは条件中継盤22aに接続されている。同様に、互いに隣接するトンネル11b、11cのトンネル照明回線13b、13cおよび電磁開閉器操作回線16b、16cは条件中継盤22bに接続されている。条件中継盤22aは、その左右のトンネル照明回線13a、13bの電源状態を確認し、電磁開閉器操作回線16a、16bに電磁開閉器14a、14bの接点を閉じる信号または開く信号(入切指令)をパルスとして送出することができるようになっている。例えば、左右の電圧が、「無−無」→「有−無」に変化した場合、「無」側の電磁開閉器操作回線16bにパルスを1回(入指令)出す。あるいは、左右の電圧が、「有−有」→「有−無」に変化した場合、「有」側の電磁開閉器操作回線16aにパルスを1回(入指令)出す。同様に、条件中継盤22bは、その左右のトンネル照明回線13b、13cの電源状態を確認し、電磁開閉器操作回線16b、16cに電磁開閉器14b、14cの接点を閉じる信号または開く信号(入切指令)をパルスとして送出することができるようになっている。
【0041】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
トンネル11a〜11cの全ての照明器具12が消灯しているとする。列車がレール上を走行して図4中左側からトンネル11aに接近し、所定の閉塞区間に進入した時、全ての列車接近警報装置18、19、27、28、29のスピーカー18a、19a、27a、28a、29aから列車接近警報が同時に鳴動する。この時、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されて列車接近条件盤20の接点が閉じる。列車接近条件盤20の接点が閉じることにより、電磁開閉器制御盤21が作動して電磁開閉器14aの接点を閉じる。この結果、トンネル11aのトンネル照明回線13aが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13aに接続された全ての照明器具12が点灯する。この時、条件中継盤22aからトンネル11b内の電磁開閉器操作回線16bにパルス(入指令)が出され、その結果、電磁開閉器14bの接点が閉じる。これによって、トンネル11b内のトンネル照明回線13bが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13bに接続された全ての照明器具12が点灯する。さらに、条件中継盤22bからトンネル11c内の電磁開閉器操作回線16cにパルス(入指令)が出され、その結果、電磁開閉器14cの接点が閉じる。これによって、トンネル11c内のトンネル照明回線13cが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13cに接続された全ての照明器具12が点灯する。こうして、トンネル11a〜11c内の全ての照明器具12が点灯する。列車接近警報装置18、19、27、28、29のスピーカー18a、19a、27a、28a、29aから列車接近警報が鳴動している間、言い換えると、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されている間、全てのトンネル照明回線13a〜13cに電源が供給され、全ての照明器具12が点灯する。列車がトンネル11cを通り抜け、閉塞区間を出た時点で列車接近警報装置18、19、27、28、29のスピーカー18a、19a、27a、28a、29aから列車接近警報の鳴動が終了する。これによって、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されなくなって列車接近条件盤20の接点が開き、それによって電磁開閉器制御盤21が作動して電磁開閉器14aの接点を開く。この結果、トンネル11aのトンネル照明回線13aが電源線15と遮断されることで電源が供給されなくなり、照明器具12が消灯する。この時、条件中継盤22aからトンネル11b内の電磁開閉器操作回線16bにパルス(切指令)が出され、その結果、電磁開閉器14bの接点が開く。これによって、トンネル11b内のトンネル照明回線13bが電源線15と切り離されて電源の供給が停止し、このトンネル照明回線13bに接続された全ての照明器具12が消灯する。さらに、条件中継盤22bからトンネル11c内の電磁開閉器操作回線16cにパルス(切指令)が出され、その結果、電磁開閉器14cの接点が開く。これによって、トンネル11c内のトンネル照明回線13cが電源線15から切り離されて電源の供給が停止し、このトンネル照明回線13cに接続された全ての照明器具12が消灯する。こうして、トンネル11a〜11c内の全ての照明器具12が消灯する。以上のことは、列車が図4中右側からトンネル11cに接近する場合も同様である。
【0042】
トンネル11a〜11cにおいて、電磁開閉器操作回線16a〜16cと接続されたトンネル照明スイッチ17a〜17eのいずれかを入れることによりトンネル11a〜11c内の全ての照明器具12を点灯させることができる。例えば、トンネル11aのトンネル照明スイッチ17a、17bのいずれかを入れると、電磁開閉器操作回線16aに接続された電磁開閉器14aの接点が閉じてトンネル11a内のトンネル照明回線13aに接続された全ての照明器具12が点灯する。この時、条件中継盤22aから電磁開閉器操作回線16bにパルス(入指令)が出され、その結果、電磁開閉器14bの接点が閉じる。これによって、トンネル11b内のトンネル照明回線13bが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13bに接続された全ての照明器具12が点灯する。さらに、条件中継盤22bからトンネル11c内の電磁開閉器操作回線16cにパルス(入指令)が出され、その結果、電磁開閉器14cの接点が閉じる。これによって、トンネル11c内のトンネル照明回線13cが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13cに接続された全ての照明器具12が点灯する。こうして、トンネル11a〜11c内の全ての照明器具12が点灯する。
【0043】
この第4の実施の形態によれば、トンネル11aに列車が接近した時に、トンネル11a内の全ての照明器具12を自動的に点灯させることができ、続くトンネル11b、11c内の全ての照明器具12も自動的に点灯させることができ、トンネル11a〜11cのいずれかに列車が在線している間は全てのトンネル11a〜11cの照明器具12の点灯を継続することができる。このため、トンネル11a〜11cのいずれかで列車の火災などの事故が起きて列車を停止させた場合においても、トンネル11a〜11c内では必ず照明器具12が点灯していて明るいので、乗客や乗務員などがトンネル11a〜11c外に迅速にしかも安全に避難することができる。また、この鉄道用トンネル照明システムは、トンネル11a〜11cに照明器具12、トンネル照明回線13a〜13c、電磁開閉器14a〜14c、電源線15および列車接近警報装置18、19、27〜29が元々設置されている場合には、これらの既存の設備に列車接近条件盤20、電磁開閉器制御盤21および中継盤22a、22bを設置するだけで容易に構成することができるため、極めて低コストでしかも簡単に構成することができる。
【0044】
〈5.第5の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
第5の実施の形態においては、第4の実施の形態と同様に、複数のトンネルが連続して続く準長大トンネルの鉄道用トンネル照明システムについて説明する。図5はこの鉄道用トンネル照明システムを示す。
【0045】
図5に示すように、この鉄道用トンネル照明システムにおいては、第4の実施の形態と同様に、準長大トンネルが三つのトンネル11a、11b、11cからなり、照明器具12、トンネル照明回線13a〜13c、電磁開閉器14a〜14c、電源線15、電磁開閉器操作回線16a〜16c、トンネル照明スイッチ17a〜17d、列車接近警報装置18、19、27、28、29および条件中継盤22a、22bが設置されている。この場合、トンネル11a内の列車接近警報装置18、19のスピーカー18a、19aとトンネル11c内の列車接近警報装置28、29のスピーカー28a、29aとは互いに独立に鳴動するようになっている。より詳細には、列車がレール上を走行して図5中左側からトンネル11aに接近し、所定の閉塞区間に進入した時には、列車接近警報装置18、19のスピーカー18a、19aから列車接近警報が鳴動し、この時、トンネル11c内の列車接近警報装置28、29のスピーカー28a、29aは列車接近警報を鳴動しない。列車がレール上をさらに走行してトンネル11cに接近し、所定の閉塞区間に進入した時、列車接近警報装置28、29のスピーカー28a、29aから列車接近警報が鳴動する。トンネル11b内の列車接近警報装置27のスピーカー27aについては、列車接近警報装置18、19のスピーカー18a、19aと同時に列車接近警報を鳴動するようにしてもよいし、列車接近警報装置28、29のスピーカー28a、29aと同時に列車接近警報を鳴動するようにしてもよいが、ここでは前者の場合を考える。図5において、スピーカー18a、19a、27aの間を結んでいる一点鎖線は、これらのスピーカー18a、19a、27aの端子同士が互いに接続されており、列車の接近を検知した時にこれらのスピーカー18a、19a、27aの両端子間に同時に電圧を印加して列車接近警報を同時に鳴動することができるようになっていることを示し、スピーカー28a、29aの間を結んでいる一点鎖線は、これらのスピーカー28a、29aの端子同士が互いに接続されており、列車の接近を検知した時にこれらのスピーカー28a、29aの両端子間に同時に電圧を印加して列車接近警報を同時に鳴動することができるようになっていることを示す。トンネル11cにおいては、電磁開閉器操作回線16cにトンネル照明スイッチ17e、17fが接続されている。トンネル11aにおいて、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子は列車接近条件盤20aに接続されている。列車接近条件盤20aは電磁開閉器制御盤30aに接続されている。電磁開閉器制御盤30aは電磁開閉器14aの制御端子に接続されている。電磁開閉器制御盤30aは、トンネル11a内において照明器具12が消灯状態で列車接近警報が鳴動すると、入指令を出し、列車接近警報が停止しても切指令は出さず、照明器具12が点灯状態で列車接近警報が鳴動した後に列車接近警報が停止すると切指令を出すように、言い換えると、入指令を出した場合は自ら切指令は出さないように構成されている。トンネル11cにおいても同様に、列車接近警報装置29のスピーカー29aの両端子は列車接近条件盤20bに接続され、列車接近条件盤20bは電磁開閉器制御盤30bに接続され、電磁開閉器制御盤30bは電磁開閉器14cの制御端子に接続されている。
【0046】
この鉄道用トンネル照明システムの上記以外の構成は第1および第4の実施の形態と同様である。
【0047】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
トンネル11a〜11cの全ての照明器具12が消灯しているとする。列車がレール上を走行して図5中左側からトンネル11aに接近し、所定の閉塞区間に進入した時、列車接近警報装置18、19、27のスピーカー18a、19a、27aから列車接近警報が鳴動する。この時、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されて列車接近条件盤20aの接点が閉じる。列車接近条件盤20aの接点が閉じることにより、電磁開閉器制御盤30aが作動して電磁開閉器14aの接点を閉じる。この結果、トンネル11aのトンネル照明回線13aが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13aに接続された全ての照明器具12が点灯する。この時、条件中継盤22aからトンネル11b内の電磁開閉器操作回線16bにパルス(入指令)が出され、その結果、電磁開閉器14bの接点が閉じる。これによって、トンネル11b内のトンネル照明回線13bが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13bに接続された全ての照明器具12が点灯する。さらに、条件中継盤22bからトンネル11c内の電磁開閉器操作回線16cにパルス(入指令)が出され、その結果、電磁開閉器14cの接点が閉じる。これによって、トンネル11c内のトンネル照明回線13cが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13cに接続された全ての照明器具12が点灯する。こうして、トンネル11a〜11c内の全ての照明器具12が点灯する。列車接近警報装置18、19、27のスピーカー18a、19a、27aから列車接近警報が鳴動している間、言い換えると、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されている間、全てのトンネル照明回線13a〜13cに電源が供給され、全ての照明器具12が点灯する。列車がトンネル11aを通り抜け、閉塞区間を出た時点で列車接近警報装置18、19、27のスピーカー18a、19a、27aから列車接近警報の鳴動が終了する。これによって、列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧が検知されなくなって列車接近条件盤20aの接点が開くが、この時、電磁開閉器制御盤30aは作動せず、電磁開閉器14aの接点は閉じたままの状態を保つ。この結果、トンネル11aの照明器具12は点灯状態を維持し、トンネル11b、11cの照明器具12も同様に点灯状態を維持する。列車がレール上をさらに走行してトンネル11cに接近し、所定の閉塞区間に進入した時、列車接近警報装置28、29のスピーカー28a、29aから列車接近警報が鳴動する。列車がトンネル11cを通り抜け、閉塞区間を出た時点で列車接近警報装置28、29のスピーカー28a、29aから列車接近警報の鳴動が終了する。これによって、列車接近警報装置29のスピーカー29aの両端子間の電圧が検知されなくなって列車接近条件盤20bの接点が開くが、この時、電磁開閉器制御盤30bは作動せず、電磁開閉器14cの接点は閉じたままの状態を保つ。この結果、トンネル11cの照明器具12は点灯状態を維持し、条件中継盤22b、22aを介してトンネル11b、11aの照明器具12も同様に点灯状態を維持する。次に、トンネル11a〜11cの全ての照明器具12が点灯している状態で、再び列車がレール上を走行してトンネル11aに接近し、所定の閉塞区間に進入した時、列車接近警報装置18、19、27のスピーカー18a、19a、27aから列車接近警報が鳴動する。この時、トンネル11a〜11cの照明器具12は点灯状態を維持している。列車がトンネル11cを通り抜け、閉塞区間を出た時点で列車接近警報装置28、29のスピーカー28a、29aから列車接近警報の鳴動が終了する。これによって、列車接近警報装置29のスピーカー29aの両端子間の電圧が検知されなくなって列車接近条件盤20bの接点が開き、この時、電磁開閉器制御盤30bが作動して電磁開閉器14cの接点を開く。この結果、トンネル11cの照明器具12は消灯し、条件中継盤22b、22aを介してトンネル11b、11aの照明器具12も同様に消灯する。こうして、トンネル11a〜11c内の全ての照明器具12が消灯する。以上のことは、列車が図5中右側からトンネル11cに接近する場合も基本的には同様であるが、列車がレール上を走行し、トンネル11bを通過してからトンネル11aに接近し、所定の閉塞区間に進入した時、列車接近警報装置18、19、27のスピーカー18a、19a、27aから同時に列車接近警報が鳴動する点が異なる。
【0048】
トンネル11a〜11cのいずれかにおいて、電磁開閉器操作回線16a〜16cと接続されたトンネル照明スイッチ17a〜17fのいずれかを入れることによりトンネル11a〜11c内の全ての照明器具12を点灯させることができる。例えば、トンネル11aのトンネル照明スイッチ17a、17bのいずれかを入れると、電磁開閉器操作回線16aに接続された電磁開閉器14aの接点が閉じてトンネル11a内のトンネル照明回線13aに接続された全ての照明器具12が点灯する。この時、条件中継盤22aから電磁開閉器操作回線16bにパルス(入指令)が出され、その結果、電磁開閉器14bの接点が閉じる。これによって、トンネル11b内のトンネル照明回線13bが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13bに接続された全ての照明器具12が点灯する。さらに、条件中継盤22bからトンネル11c内の電磁開閉器操作回線16cにパルス(入指令)が出され、その結果、電磁開閉器14cの接点が閉じる。これによって、トンネル11c内のトンネル照明回線13cが電源線15と接続されて電源が供給され、このトンネル照明回線13cに接続された全ての照明器具12が点灯する。こうして、トンネル11a〜11c内の全ての照明器具12が点灯する。
【0049】
この第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0050】
〈6.第6の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
【0051】
この鉄道用トンネル照明システムは、軌道回路を利用した列車接近警報装置18、19の代わりに超音波センサー式列車接近警報装置が設置されていることを除いて、第1の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムと同様な構成を有する。超音波センサー式列車接近警報装置はスピーカーを有する。超音波センサー式列車接近警報装置は、トンネル11に接近する列車に超音波センサーから発射される超音波を照射し、その反射波を検出することでトンネルに接近する列車を検出し、列車の接近を検出した時にスピーカーの両端子間に電圧を印加して列車接近警報を鳴動させることができるようになっている。
【0052】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
この鉄道用トンネル照明システムの動作方法は、列車がレール上を走行してトンネル11に接近した時、超音波センサーにより列車の接近を検知し、超音波センサー式列車接近警報装置のスピーカーから列車接近警報が鳴動することを除いて、第1の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムの動作方法と同様である。
【0053】
この第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0054】
〈7.第7の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
【0055】
この鉄道用トンネル照明システムは、軌道回路を利用した列車接近警報装置18、19の代わりに超音波センサー式列車接近警報装置が設置されていることを除いて、第2の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムと同様な構成を有する。超音波センサー式列車接近警報装置については第6の実施の形態と同様である。
【0056】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
この鉄道用トンネル照明システムの動作方法は、列車がレール上を走行してトンネル11に接近した時、超音波センサーにより列車の接近を検知し、超音波センサー式列車接近警報装置のスピーカーから列車接近警報が鳴動することを除いて、第2の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムの動作方法と同様である。
【0057】
この第7の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0058】
〈8.第8の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
この鉄道用トンネル照明システムは、軌道回路を利用した列車接近警報装置18の代わりに超音波センサー式列車接近警報装置が設置されていることを除いて、第3の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムと同様な構成を有する。超音波センサー式列車接近警報装置については第6の実施の形態と同様である。
【0059】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
この鉄道用トンネル照明システムの動作方法は、列車がレール上を走行してトンネル11に接近した時、超音波センサーにより列車の接近を検知し、超音波センサー式列車接近警報装置のスピーカーから列車接近警報が鳴動することを除いて、第3の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムの動作方法と同様である。
【0060】
この第8の実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0061】
〈9.第9の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
この鉄道用トンネル照明システムは、軌道回路を利用した列車接近警報装置118、19、27〜29の代わりに超音波センサー式列車接近警報装置が設置されていることを除いて、第4の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムと同様な構成を有する。超音波センサー式列車接近警報装置については第6の実施の形態と同様である。
【0062】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
この鉄道用トンネル照明システムの動作方法は、列車がレール上を走行してトンネル11aに接近した時、超音波センサーにより列車の接近を検知し、超音波センサー式列車接近警報装置のスピーカーから列車接近警報が鳴動することを除いて、第4の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムの動作方法と同様である。
【0063】
この第9の実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0064】
〈10.第10の実施の形態〉
[鉄道用トンネル照明システム]
【0065】
この鉄道用トンネル照明システムは、軌道回路を利用した列車接近警報装置18、19、27〜29の代わりに超音波センサー式列車接近警報装置が設置されていることを除いて、第5の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムと同様な構成を有する。超音波センサー式列車接近警報装置については第5の実施の形態と同様である。
【0066】
[鉄道用トンネル照明システムの動作方法]
この鉄道用トンネル照明システムの動作方法は、列車がレール上を走行してトンネル11aに接近したとき、超音波センサーにより列車の接近を検知し、超音波センサー式列車接近警報装置のスピーカーから列車接近警報が鳴動することを除いて、第5の実施の形態による鉄道用トンネル照明システムの動作方法と同様である。
【0067】
この第10の実施の形態によれば、第5の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0068】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、構造、構成、機能などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、機能などを用いてもよい。
また、上述の第4の実施の形態においては、全ての列車接近警報装置18、19、27、28、29のスピーカー18a、19a、27a、28a、29aの端子同士が互いに接続され、列車の接近を検知した時にこれらのスピーカー18a、19a、27a、28a、29aから列車接近警報を同時に鳴動することができるようになっているが、全てのスピーカー18a、19a、27a、28a、29aの端子同士を互いに接続しないでも、列車の接近を検知した時にこれらのスピーカー18a、19a、27a、28a、29aから列車接近警報を同時に鳴動することができるようにすることもできる。具体的には、例えば、スピーカー18a、19a、27aの端子同士を互いに接続するとともに、スピーカー28a、29aの端子同士を互いに接続し、スピーカー18a、19a、27aの端子とスピーカー28a、29aの端子とは互いに接続しない。その代わりに、例えば、列車接近条件盤20から電磁開閉器制御盤21に供給される電圧の信号と列車接近警報装置28のスピーカー28aの両端子間の電圧の信号とをOR回路に入力し、その出力信号を列車接近警報装置28のスピーカー28aの両端子間に印加する。そうすると、列車の接近を検知して列車接近警報装置18のスピーカー18aの両端子間の電圧がハイレベルとなった場合に、列車接近警報装置28のスピーカー28aの両端子間にハイレベルの電圧が印加されてスピーカー28aから列車接近警報が鳴動するようにすることができる。スピーカー18a、19aの端子同士を互いに接続するとともに、スピーカー27a、28a、29aの端子同士を互いに接続し、スピーカー18a、19aの端子とスピーカー28a、29a、27aの端子とは互いに接続しない場合も同様である。
【符号の説明】
【0069】
11、11a〜11c…トンネル、12…照明器具、13、13a〜13e…トンネル照明回線、14、14a〜14c…電磁開閉器、15…電源線、16a〜16e…電磁開閉器操作回線、17、17a〜17j…トンネル照明スイッチ、18、19、27〜29…列車接近警報装置、18a、19a、27a〜29a…スピーカ、20…列車接近条件盤、21…電磁開閉器制御盤、22、22a、22b…条件中継盤、23…一斉点灯装置制御盤、24…一斉点灯装置、25…配線、26a〜26e…一斉点灯スイッチ、30a、30b…電磁開閉器制御盤
図1
図2
図3
図4
図5