(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
疾患または障害が急性および慢性肺炎症、COPD、喘息、肺気腫、胃腸管の炎症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、急性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、酒さ、ざ瘡、好中球性皮膚症、好中球障害、好酸球障害、単球/マクロファージ関連疾患、ジョブズ症候群、チェディアック・東症候群、慢性肉芽腫症、白血球粘着不全症、嚢胞性線維症、腹膜炎、歯周炎、敗血症、肺炎、細菌感染症、ならびに増殖性疾患からなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
炎症性疾患、アレルギー状態、免疫学的疾患、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン介在疾患、アミロイド介在疾患、閉塞性気道疾患、感染症、心血管疾患、および増殖性疾患からなる群から選択される疾患または状態を治療または予防するための薬物の製造のための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物もしくはその互変異性体、回転異性体、医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、もしくはその混合物、または請求項5〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0018】
x=1〜26である同一の指数xを有する各単一基「R
x」は、特定式における各出現について独立して選択され、それゆえそれらは同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0019】
本明細書で用いられている用語「アルキル」は、単独または組み合わせで(すなわち別の基の一部、例えば「アリール−C
1−6−アルキル」として)、飽和直鎖状または分枝状炭化水素ラジカルを指し、任意に置換されていてもよい。用語「C
x−y−アルキル」(xおよびyはそれぞれ整数である)は、x〜y個の炭素原子を含有する前記アルキル基を指す。例えばC
1−6−アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含有する。アルキル基の代表例は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシル等を含むメチル。
【0020】
用語「アルケニル」は、単独または組み合わせで、少なくとも1つの、または鎖長に依存して最大4個のオレフィン性二重結合を含有する直鎖状または分枝状炭化水素ラジカルを指す。そのようなアルケニル部分は任意に置換されており、二重結合についてEまたはZ立体配置として独立して存在することができるが、それらは全て本発明の一部である。用語「C
x−y−アルケニル」(xおよびyはそれぞれ整数である)は、x〜y個の炭素原子を含有する前記アルケニル基を指す。
【0021】
用語「シクロアルキル」は、単独または組み合わせで、3〜10個の炭素原子を有する飽和または部分的不飽和脂環式部分を指し、任意に置換されていてもよい。この部分の例は、限定されるものではないが、シクロヘキシル、ノルボルニル、およびデカリニル等を含む。
【0022】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、単独または組み合わせで、3〜9個の環炭素原子および窒素、酸素または硫黄から選択される1つ以上の環ヘテロ原子を有する飽和または部分的不飽和の単環式または二環式部分を記載する。この用語は、例えば、モルホリノ、ピペラジノ、アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、オクタヒドロ−1H−インドリル、および1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン等を含む。該ヘテロシクロアルキル環は任意に置換されていてもよい。
【0023】
用語「アリール」は、単独または組み合わせで、フェニルまたはナフチル等の1または2個の6員環を含有する芳香族炭素環式炭化水素ラジカルを指し、最大3個のBr、Cl、F、CF
3、OH、OCF
3、OCHF
2、NH
2、N(CH
3)
2、NO
2、CN、C
1−6−アルキル、C
2−6−アルケニル、フェニルまたはフェノキシ等の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0024】
用語「ヘテロアリール」は、単独または組み合わせで、その少なくとも1つがO、SおよびNからなる群から選択される最大3個のヘテロ原子を含有する1または2個の5および/または6員環を含有する芳香族ヘテロ環式ラジカルを指し、そこでヘテロアリールラジカルまたはその互変異性型はいずれかの適切な原子を介して結合していてよい。該ヘテロアリール環は、例えば「アリール」について上述したように任意に置換されていてもよい。
【0025】
本明細書で用いられている用語「アリール−C
x−y−アルキル」は、上記アリール基によって置換されている、上記C
x−y−アルキル基を指す。アリール−C
x−y−アルキル部分の代表例は、限定されるものではないが、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、および2−フェニルプロピル等を含む。
【0026】
本明細書で用いられている用語「ヘテロアリール−C
x−y−アルキル」は、上記ヘテロアリール基によって置換されている、上記C
x−y−アルキル基を指す。ヘテロアリール−C
x−y−アルキル基の例は、ピリジン−3−イルメチル、および(1H−ピロール−2−イル)エチル等を含む。
【0027】
本明細書で用いられている用語「アリール−シクロアルキル」は、上記アリール基によって置換または環付加された、上記シクロアルキル基を指す。アリール−シクロアルキル部分の例は、限定されるものではないが、フェニルシクロペンチル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル、および1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル等を含む。
【0028】
本明細書で用いられている用語「アリール−ヘテロシクロアルキル」は、上記アリール基によって置換または環付加された、上記ヘテロシクロアルキル基を指す。アリール−ヘテロシクロアルキル部分の例は、限定されるものではないが、インドリニル、および1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル等を含む。
【0029】
本明細書で用いられている用語「ヘテロアリール−シクロアルキル」は、上記ヘテロアリール基によって置換または環付加された上記シクロアルキル基を指す。ヘテロアリール−シクロアルキル部分の例は、限定されるものではないが、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニル等を含む。
【0030】
本明細書で用いられている用語「ヘテロアリール−ヘテロシクロアルキル」は、上記ヘテロアリール基によって置換または環付加された、上記ヘテロシクロアルキル基を指す。ヘテロアリール−ヘテロシクロアルキル部分の例は、限定されるものではないが、4−(チアゾール−2−イル)ピペラジニル、および5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジニル等を含む。
【0031】
本明細書で用いられている用語「シクロアルキル−アリール」、「ヘテロシクロアルキル−アリール」、「シクロアルキル−ヘテロアリール」、および「ヘテロシクロアルキル−ヘテロアリール」は、上記用語「アリール−シクロアルキル」、「アリール−ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロアリール−シクロアルキル」および「ヘテロアリール−ヘテロシクロアルキル」と同様に定義されるが、反対方向に結合しており、例えば4−(チアゾール−2−イル)ピペラジニルではなく、該用語は2−(ピペラジン−1−イル)チアゾリル等を指す。
【0032】
用語「ヒドロキシ」、「アルコキシ」および「アリールオキシ」は、単独または組み合わせで、それぞれ−OH、−O−アルキルおよび−O−アリールの基を指す(ここでアルキル基またはアリール基は上記のとおりである)。用語「C
x−y−アルコキシ」(xおよびyはそれぞれ整数である)は、酸素原子に結合しているx〜y個の炭素原子を含有する前記−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の代表例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、およびtert−ブトキシ等を含む。アリールオキシの例は、例えばフェノキシを含む。誤解を避けるために、例えば用語「ヒドロキシ−C
1−8−アルキル」は、とりわけ、例えばヒドロキシメチル、1−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピルまたは3−ヒドロキシ−2,3−ジメチルブチルのような基を表す。
【0033】
用語「任意に置換されて」は、一般に、例えば限定されるものではないが、C
x−y−アルキル、C
x−y−アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、C
x−y−アルコキシおよびアリールオキシ等の基が、アミノ(−NH
2)、ジメチルアミノ、ニトロ(−NO
2)、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、CF
3、シアノ(−CN)、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、アセトキシ、オキソ(=O)、カルボキシ、カルボキサミド、メチル、エチル、フェニル、ベンジル、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、またはホスホン酸塩から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいことを意味することを意図している。
【0034】
本発明の文脈において、用語「天然または非天然α−アミノ酸」は、典型的には、いずれかの天然α−アミノ酸、例えばタンパク新生アミノ酸(以下に例を示す)、それらの天然または半合成誘導体、および純粋に合成起源のα−アミノ酸を含む。この用語は、アミノ酸のα−窒素が任意に置換されているα−アミノ酸も含み、例えば限定されるものではないが、アセチル化またはアルキル化、例えばメチル化、またはベンジル化されているものも含む。
【0035】
用語「脂肪族α−アミノ酸」は、脂肪族側鎖を有するα−アミノ酸、例えば限定されるものではないが、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、およびn−オクチルグリシン等を指す。
【0036】
用語「芳香族α−アミノ酸」は、芳香族またはヘテロ芳香族基を含む側鎖を有するα−アミノ酸、例えば限定されるものではないが、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、O−メチル−チロシン、4−トリフルオロメチル−フェニルアラニン、および3,4−ジクロロ−ホモフェニルアラニン等を指す。
【0037】
用語「架橋結合α−アミノ酸」は、強い相互作用、例えば共有結合または静電気的接触によって第二のα−アミノ酸と架橋することができる官能基を含む側鎖を有するα−アミノ酸、例えば限定されるものではないが、システイン、およびホモシステイン等を指す。
【0038】
用語「アルコール性α−アミノ酸」は、アルコール性またはチオアルコール性の基、すなわちヒドロキシ官能基またはスルフヒドリル官能基を含む側鎖を有するα−アミノ酸、例えば限定されるものではないが、セリン、およびスレオニン等を指す。
【0039】
誤解を避けるために、α−アミノ酸の文脈における用語「単一側鎖」は、アミノ酸のα−炭素がカルボニル(C=O)および窒素(N)の鎖状(in-chain)基、ならびに1つの水素(H)および1つの例えば上記の可変の側鎖と共有結合している構造を指す。「単一側鎖」は、α−アミノ原子を含むヘテロ環式構造、例えば限定されるものではないが、プロリン、またはピペコリン酸等も含んでよい。
【0040】
誤解を避けるために、用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素ではないいずれかの原子を指す。
【0041】
記号LおよびDは、それぞれα−アミノ酸のα−位置での立体化学を指し、IUPACのフィッシャー−ロザノフ規則に従って用いられている。
【0042】
本発明のペプチド模倣薬は、キラル中心の特定の立体化学を具体的に記載していない場合、式(I)の化合物のジアステレオマー(例えばエピマー)であってもよい。これらの立体異性体は、キラル出発物質の適切な異性体(例えばエピマー/エナンチオマー)が用いられる下記製造方法の修正によって製造することができる。上記記載の立体化学が曖昧である場合、各単一エピマーおよびその両方の混合物が本発明の一部である。
【0043】
本発明のさらなる実施態様は、式(I)の化合物と同一であるが、1つ以上の原子が自然界に通常見られる原子質量数または質量と異なる原子質量数または質量を有する原子と交換された化合物、例えば
2H(D)、
3H、
11C、
14C、または
127I等に富む化合物も含んでもよい。これらの同位体的類似体、ならびにそれらの医薬塩および製剤は治療および/または診断に有用な薬剤であると考えられ、例えば限定されるものではないが、インビボ半減期の微調整が最適な投与計画をもたらしうる。
【0044】
本発明のさらなる特定の実施態様は、具体的に
T
1が式
AA1
D;AA3
D;AA4
D;AA5
D;またはAA8
D;
のうちの1つのDα−アミノ酸残基であり、
T
2が式
AA1;AA2;AA3;AA4;AA5;AA6;またはAA8;
のうちの1つのLα−アミノ酸残基であり、かつ
P
7が式
AA1
D;AA4
D;AA5
D;またはAA8
D;
のうちの1つのDα−アミノ酸残基である、一般式(I)の誘導体に関する。
【0045】
本発明の別の特定の実施態様は、具体的に
T
1が式
AA4
D;AA5
D;AA6
D;AA7
D;AA8
D;またはAA9
D;
のうちの1つのDα−アミノ酸残基であり、かつ
T
2が式
AA4;AA5;AA6;AA7;AA8;またはAA9;
のうちの1つのLα−アミノ酸残基である、一般式(I)の誘導体に関する。
【0046】
本発明の他の特定の実施態様では、一般式(I)の要素が以下
P
1、P
3、P
13、およびP
14が独立して
Gly;Gly(tBu);Gly(cHex);Gly(cPr);Ala;Ala(tBu);Ala(cHex);Ala(cPr);Val;Nva;Leu;Ile;Nle;hLeu;OctG;Met;Ala(Ppz);Dab;Dab(Ac);Dab(cPr);Dab(iPr);Dab(MeSO
2);Dap;Dap(Ac);Dap(cPr);Dap(iPr);Dap(MeSO
2);Lys;Lys(Bz);Lys(Me);Lys(Nic);Lys((5R)OH);Lys(4Oxa);hLys;Orn;Orn(Ac);Orn(cPr);Orn(iPr);Arg;hArg;Asn;Asp;Gln;Glu;Cit;Met(O
2);Ser;hSer;Ser(Bn);Ser(Me);Thr;alloThr;Thr(Bn);Thr(Me);Bip;Bbta;2Pal;3Pal;4Pal;h2Pal;h3Pal;h4Pal;Ala(2フリル);Ala(3フリル);Ala(1Im);Ala(2Im);hAla(1Im);hAla(2Im);Ala(ピラジニル);Ala(1ピラゾリル);Ala(3ピラゾリル);Ala(2ピリミジン);Ala(4ピリミジン);Ala(5ピリミジン);Ala(2Quin);Ala(3Quin);Ala(4Quin);Phe;Phe(2Cl);Phe(3Cl);Phe(4Cl);Phe(3,4Cl
2);Phe(2F);Phe(3F);Phe(4F);Phe(3CN);Phe(4CN);Phe(2CF
3);Phe(3CF
3);Phe(4CF
3);Phe(3,4(CF
3)
2);Phe(4COOMe);hPhe;Phg;1Nal;2Nal;Nle(6OBn);Trp;Trp(7Aza);Trp(5Br);Trp(6Br);Trp(6CF
3);Trp(5Cl);Trp(6Cl);Trp(5,6Cl);Trp(5OH);hTrp;His;His(Me);His(Bn);hHis;Thi;Thz;Thz(5,5Me
2);Tic;Tic(7OH);Tyr;Tyr(Bn);Tyr(Me);Tyr(Ph);Tyr(4OHPh);hTyr;またはTzaであり;
P
2、P
5およびP
8が独立して
2Pal;3Pal;4Pal;h2Pal;h3Pal;h4Pal;Ala(2フリル);Ala(3フリル);Ala(1Im);Ala(2Im);hAla(1Im);hAla(2Im);Ala(ピラジニル);Ala(1ピラゾリル);Ala(3ピラゾリル);Ala(2ピリミジン);Ala(4ピリミジン);Ala(5ピリミジン);Ala(2Quin);Ala(3Quin);Ala(4Quin);Phe;Phe(2Cl);Phe(3Cl);Phe(4Cl);Phe(3,4Cl
2);Phe(2F);Phe(3F);Phe(4F);Phe(3CN);Phe(4CN);Phe(2CF
3);Phe(3CF
3);Phe(4CF
3);Phe(3,4(CF
3)
2);Phe(4COOMe);hPhe;Phg;1Nal;2Nal;Nle(6OBn);Trp;Trp(7Aza);Trp(5Br);Trp(6Br);Trp(6CF
3);Trp(5Cl);Trp(6Cl);Trp(5,6Cl);Trp(5OH);hTrp;His;His(Me);His(Bn);hHis;Thi;Thz;Thz(5,5Me
2);Tic;Tic(7OH);Tyr;Tyr(Bn);Tyr(Me);Tyr(Ph);Tyr(4OHPh);hTyr;またはTzaであり;
P
4およびP
11が独立して
Cys;またはhCysであり;
P
6がGlyであり;
P
7が
DAla;
DPro;
DPro((4R)OH);または
DTicであり;
P
9がSer;hSer;Thr;またはalloThrであり;
P
10がGly;Gly(tBu);Gly(cHex);Gly(cPr);Ala;Ala(tBu);Ala(cHex);Ala(cPr);Val;Nva;Leu;Ile;Nle;hLeu;またはOctGであり;かつ
P
12がSer;hSer;Thr;alloThr;2Pal;3Pal;4Pal;h2Pal;h3Pal;h4Pal;Ala(2フリル);Ala(3フリル);Ala(1Im);Ala(2Im);hAla(1Im);hAla(2Im);Ala(ピラジニル);Ala(1ピラゾリル);Ala(3ピラゾリル);Ala(2ピリミジン);Ala(4ピリミジン);Ala(5ピリミジン);Ala(2Quin);Ala(3Quin);Ala(4Quin);Phe;Phe(2Cl);Phe(3Cl);Phe(4Cl);Phe(3,4Cl
2);Phe(2F);Phe(3F);Phe(4F);Phe(3CN);Phe(4CN);Phe(2CF
3);Phe(3CF
3);Phe(4CF
3);Phe(3,4(CF
3)
2);Phe(4COOMe);hPhe;Phg;1Nal;2Nal;Trp;Trp(7Aza);Trp(5Br);Trp(6Br);Trp(6CF
3);Trp(5Cl);Trp(6Cl);Trp(5,6Cl);Trp(5OH);hTrp;His;His(Me);His(Bn);hHis;Thi;Thz;Thz(5,5Me
2);Tic;Tic(7OH);Tyr;Tyr(Bn);Tyr(Me);Tyr(Ph);Tyr(4OHPh);hTyr;またはTzaである;
のように定義される化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0047】
本発明のさらなる特定の実施態様では、一般式(I)の要素が以下
T
1が
DAla;
DLys;
DPro;
DPro((4S)NH
2);
DPro((4S)OH);
DPip;
DThr;または
DTicであり;
T
2がAla;Dab;Lys;Glu;Pro;Pro((4R)NH
2);Pro((4S)NH
2);Pro((4R)OH);Pro((4S)OH);Pip;Tic;Oic;またはTrpであり;
P
1、P
3、P
13、およびP
14が独立して
Gly;Gly(tBu);Gly(cHex);Gly(cPr);Ala;Ala(tBu);Ala(cHex);Ala(cPr);Val;Nva;Leu;Ile;Nle;hLeu;OctG;Met;Ala(Ppz);Dab;Dab(Ac);Dab(cPr);Dab(iPr);Dab(MeSO
2);Dap;Dap(Ac);Dap(cPr);Dap(iPr);Dap(MeSO
2);Lys;Lys(Bz);Lys(Me);Lys(Nic);Lys((5R)OH);Lys(4Oxa);hLys;Orn;Orn(Ac);Orn(cPr);Orn(iPr);Arg;hArg;Asn;Asp;Gln;Glu;Cit;Met(O
2);Ser;hSer;Ser(Bn);Ser(Me);Thr;alloThr;Thr(Bn);Thr(Me);Bip;Bbta;2Pal;3Pal;4Pal;h2Pal;h3Pal;h4Pal;Ala(2フリル);Ala(3フリル);Ala(1Im);Ala(2Im);hAla(1Im);hAla(2Im);Ala(ピラジニル);Ala(1ピラゾリル);Ala(3ピラゾリル);Ala(2ピリミジン);Ala(4ピリミジン);Ala(5ピリミジン);Ala(2Quin);Ala(3Quin);Ala(4Quin);Phe;Phe(2Cl);Phe(3Cl);Phe(4Cl);Phe(3,4Cl
2);Phe(2F);Phe(3F);Phe(4F);Phe(3CN);Phe(4CN);Phe(2CF
3);Phe(3CF
3);Phe(4CF
3);Phe(3,4(CF
3)
2);Phe(4COOMe);hPhe;Phg;1Nal;2Nal;Nle(6OBn);Trp;Trp(7Aza);Trp(5Br);Trp(6Br);Trp(6CF
3);Trp(5Cl);Trp(6Cl);Trp(5,6Cl);Trp(5OH);hTrp;His;His(Me);His(Bn);hHis;Thi;Thz;Thz(5,5Me
2);Tic;Tic(7OH);Tyr;Tyr(Bn);Tyr(Me);Tyr(Ph);Tyr(4OHPh);hTyr;またはTzaであり;
P
2、P
5およびP
8が独立して
2Pal;3Pal;4Pal;h2Pal;h3Pal;h4Pal;Ala(2フリル);Ala(3フリル);Ala(1Im);Ala(2Im);hAla(1Im);hAla(2Im);Ala(ピラジニル);Ala(1ピラゾリル);Ala(3ピラゾリル);Ala(2ピリミジン);Ala(4ピリミジン);Ala(5ピリミジン);Ala(2Quin);Ala(3Quin);Ala(4Quin);Phe;Phe(2Cl);Phe(3Cl);Phe(4Cl);Phe(3,4Cl
2);Phe(2F);Phe(3F);Phe(4F);Phe(3CN);Phe(4CN);Phe(2CF
3);Phe(3CF
3);Phe(4CF
3);Phe(3,4(CF
3)
2);Phe(4COOMe);hPhe;Phg;1Nal;2Nal;Nle(6OBn);Trp;Trp(7Aza);Trp(5Br);Trp(6Br);Trp(6CF
3);Trp(5Cl);Trp(6Cl);Trp(5,6Cl);Trp(5OH);hTrp;His;His(Me);His(Bn);hHis;Thi;Thz;Thz(5,5Me
2);Tic;Tic(7OH);Tyr;Tyr(Bn);Tyr(Me);Tyr(Ph);Tyr(4OHPh);hTyr;またはTzaであり;
P
4およびP
11が独立して
Cys;またはhCysであり;
P
6がGlyであり;
P
7が
DAla;
DPro;
DPro((4R)OH);または
DTicであり;
P
9がSer;hSer;Thr;またはalloThrであり;
P
10がGly;Gly(tBu);Gly(cHex);Gly(cPr);Ala;Ala(tBu);Ala(cHex);Ala(cPr);Val;Nva;Leu;Ile;Nle;hLeu;またはOctGであり;かつ
P
12がSer;hSer;Thr;alloThr;2Pal;3Pal;4Pal;h2Pal;h3Pal;h4Pal;Ala(2フリル);Ala(3フリル);Ala(1Im);Ala(2Im);hAla(1Im);hAla(2Im);Ala(ピラジニル);Ala(1ピラゾリル);Ala(3ピラゾリル);Ala(2ピリミジン);Ala(4ピリミジン);Ala(5ピリミジン);Ala(2Quin);Ala(3Quin);Ala(4Quin);Phe;Phe(2Cl);Phe(3Cl);Phe(4Cl);Phe(3,4Cl
2);Phe(2F);Phe(3F);Phe(4F);Phe(3CN);Phe(4CN);Phe(2CF
3);Phe(3CF
3);Phe(4CF
3);Phe(3,4(CF
3)
2);Phe(4COOMe);hPhe;Phg;1Nal;2Nal;Trp;Trp(7Aza);Trp(5Br);Trp(6Br);Trp(6CF
3);Trp(5Cl);Trp(6Cl);Trp(5,6Cl);Trp(5OH);hTrp;His;His(Me);His(Bn);hHis;Thi;Thz;Thz(5,5Me
2);Tic;Tic(7OH);Tyr;Tyr(Bn);Tyr(Me);Tyr(Ph);Tyr(4OHPh);hTyr;またはTzaである;
のように定義される化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0048】
本発明のさらなる特定の実施態様では、一般式(I)の要素が以下
T
1が
DAla;
DLys;
DPro;
DPro((4S)NH
2);
DPro((4S)OH);
DPip;
DThr;または
DTicであり;
T
2がAla;Dab;Lys;Glu;Pro;Pro((4R)NH
2);Pro((4S)NH
2);Pro((4R)OH);Pro((4S)OH);Pip;Tic;Oic;またはTrpであり;
P
1がGly;Ala;Dab;Lys;Asp;Glu;Thr;His;またはTyrであり;
P
2がHis;またはTyrであり;
P
3がAla;Ile;Dab;Dap;Lys;Orn;Glu;Thr;またはTrpであり;
P
4がCysであり;
P
5がPhe;Phe(4CF
3);Tyr;Trp;Trp(5OH);またはHisであり;
P
6がGlyであり;
P
7が
DAla;
DPro;
DPro((4R)OH);または
DTicであり;
P
8がPhe(4CF
3);またはTrpであり;
P
9がThrであり;
P
10がIle;Leu;またはValであり;
P
11がCysであり;
P
12がThr;またはTyrであり;
P
13がAla;Dab;Asp;Glu;Gln;hSer;Thr;またはTrpであり;かつ
P
14がGly;Ala;Dab;Lys;Glu;Gln;hSer;Thr;His;またはTrpである;
のように定義される化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0049】
以下、本発明の目的に適切で、この文書で言及しているアミノ酸の、またはその残基の、一般的に採用されている常例に対応する略語のリストを示す。
【0050】
この具体的なアミノ酸の決定に関わらず、これらのアミノ酸の誘導体は、類似の構造的および物理化学的性質を有し、類似の生物学的活性を有する機能的類似体をもたらし、それゆえさらに本発明の主旨の一部を形成することは当業者にとって自明であることを留意されたい。
【0051】
Ala L−アラニン
Arg L−アルギニン
Asn L−アスパラギン
Asp L−アスパラギン酸
Cit L−シトルリン
Cys L−システイン
Gln L−グルタミン
Glu L−グルタミン酸
Gly グリシン
His L−ヒスチジン
Ile L−イソロイシン
Leu L−ロイシン
Lys L−リジン
Met L−メチオニン
Orn L−オルニチン
Phe L−フェニルアラニン
Pro L−プロリン
Ser L−セリン
Thr L−スレオニン
Trp L−トリプトファン
Tyr L−チロシン
Val L−バリン
【0052】
Ala(tBu) (S)−2−アミノ−4,4−ジメチルペンタン酸
Ala(cHex) (S)−2−アミノ−3−シクロヘキシルプロパン酸
Ala(cPr) (S)−2−アミノ−3−シクロプロピルプロパン酸
Ala(2フリル) (S)−2−アミノ−3−(フラン−2−イル)プロパン酸
Ala(3フリル) (S)−2−アミノ−3−(フラン−3−イル)プロパン酸
Ala(1Im) (S)−2−アミノ−3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロパン酸
Ala(2Im) (S)−2−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)プロパン酸
Ala(Ppz) (S)−2−アミノ−3−(ピペラジン−1−イル)プロパン酸
Ala(cPr) (S)−2−アミノ−3−シクロプロピルプロパン酸
Ala(ピラジニル) (S)−2−アミノ−3−(ピラジン−2−イル)プロパン酸
Ala(1ピラゾリル) (S)−2−アミノ−3−(1H−ピラゾール−1−イル)プロパン酸
Ala(3ピラゾリル) (S)−2−アミノ−3−(1H−ピラゾール−3−イル)プロパン酸
Ala(2ピリミジン) (S)−2−アミノ−3−(ピリミジン−2−イル)プロパン酸
Ala(4ピリミジン) (S)−2−アミノ−3−(ピリミジン−4−イル)プロパン酸
Ala(5ピリミジン) (S)−2−アミノ−3−(ピリミジン−5−イル)プロパン酸
Ala(2Quin) (S)−2−アミノ−3−(キノリン−2−イル)プロパン酸
Ala(3Quin) (S)−2−アミノ−3−(キノリン−3−イル)プロパン酸
Ala(4Quin) (S)−2−アミノ−3−(キノリン−4−イル)プロパン酸
Bbta (S)−2−アミノ−3−(1−ベンゾチオフェン−3−イル)プロパン酸
Bip (S)−2−アミノ−3−(4−ビフェニリル)プロパン酸
Dab (S)−2,4−ジアミノブタン酸
Dab(Ac) (S)−4−アセトアミド−2−アミノブタン酸
Dab(cPr) (S)−2−アミノ−4−(シクロプロピルアミノ)ブタン酸
Dab(iPr) (S)−2−アミノ−4−(イソプロピルアミノ)ブタン酸
Dab(MeSO
2) (S)−2−アミノ−4−(メチルスルホンアミド)ブタン酸
Dap (S)−2,3−ジアミノプロパン酸
Dap(Ac) (S)−3−アセトアミド−2−アミノプロパン酸
Dap(cPr) (S)−2−アミノ−3−(シクロプロピルアミノ)プロパン酸
Dap(iPr) (S)−2−アミノ−3−(イソプロピルアミノ)プロパン酸
Dap(MeSO
2) (S)−2−アミノ−3−(メチルスルホンアミド)プロパン酸
Gly(tBu) (S)−2−アミノ−3,3−ジメチルブタン酸
Gly(cHex) (S)−2−アミノ−2−シクロヘキシル酢酸
Gly(cPr) (S)−2−アミノ−2−シクロプロピル酢酸
hAla(1Im) (S)−2−アミノ−3−(1H−イミダゾール−1−イル)−ブタン酸
hAla(2Im) (S)−2−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ブタン酸
hArg (S)−2−アミノ−6−グアニジノヘキサン酸
hCha (S)−2−アミノ−4−シクロヘキシルブタン酸
hCys (S)−2−アミノ−4−メルカプトブタン酸
hHis (S)−2−アミノ−4−(1H−イミダゾール−5−イル)ブタン酸
hLeu (S)−2−アミノ−5−メチルヘキサン酸
hLys (S)−2,7−ジアミノヘプタン酸
h2Pal (S)−2−アミノ−4−(ピリジン−2−イル)−ブタン酸
h3Pal (S)−2−アミノ−3−(ピリジン−3−イル)−ブタン酸
h4Pal (S)−2−アミノ−3−(ピリジン−4−イル)−ブタン酸
hPhe (S)−2−アミノ−4−フェニルブタン酸
hSer (S)−2−アミノ−4−ヒドロキシブタン酸
hTrp (S)−2−アミノ−4−(1H−インドール−3−イル)ブタン酸
hTyr (S)−2−アミノ−4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン酸
His(Me) (S)−2−アミノ−3−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパン酸
His(Bn) (S)−2−アミノ−3−(1−ベンジル−1H−イミダゾール−5−イル)プロパン酸
Lys(Bz) (S)−2−アミノ−6−ベンズアミドヘキサン酸
Lys(Me) (S)−2−アミノ−6−(メチルアミノ)ヘキサン酸
Lys(Nic) (S)−2−アミノ−6−(ニコチンアミド)ヘキサン酸
Met(O
2) (S)−2−アミノ−4−(メチルスルホニル)ブタン酸
1Nal (S)−2−アミノ−3−ナフタレン−1−イルプロパン酸
2Nal (S)−2−アミノ−3−ナフタレン−2−イルプロパン酸
Nle (S)−2−アミノ−ヘキサン酸
Nle(6OBn) (S)−2−アミノ−6−(ベンジルオキシ)ヘキサン酸
Nva (S)−2−アミノペンタン酸
OctG (S)−2−アミノデカン酸
Oic (2S,3aS,7aS)−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸
Orn(Ac) (S)−5−アセトアミド−2−アミノペンタン酸
Orn(cPr) (S)−2−アミノ−5−(シクロプロピルアミノ)ペンタン酸
Orn(iPr) (S)−2−アミノ−5−(イソプロピルアミノ)ペンタン酸
2Pal (S)−2−アミノ−3−(ピリジン−2−イル)プロピオン酸
3Pal (S)−2−アミノ−3−(ピリジン−3−イル)プロピオン酸
4Pal (S)−2−アミノ−3−(ピリジン−4−イル)プロピオン酸
Phe(2Cl) (S)−2−アミノ−3−(2−クロロフェニル)プロパン酸
Phe(3Cl) (S)−2−アミノ−3−(3−クロロフェニル)プロパン酸
Phe(4Cl) (S)−2−アミノ−3−(4−クロロフェニル)プロパン酸
Phe(3,4Cl
2) (S)−2−アミノ−3−(3,4−ジクロロフェニル)プロパン酸
Phe(2F) (S)−2−アミノ−3−(2−フルオロフェニル)プロパン酸
Phe(3F) (S)−2−アミノ−3−(3−フルオロフェニル)プロパン酸
Phe(4F) (S)−2−アミノ−3−(4−フルオロフェニル)プロパン酸
Phe(3,4F
2) (S)−2−アミノ−3−(3,4−ジフルオロフェニル)プロパン酸
Phe(3CN) (S)−2−アミノ−3−(3−シアノフェニル)プロパン酸
Phe(4CN) (S)−2−アミノ−3−(4−シアノフェニル)プロパン酸
Phe(2CF
3) (S)−2−アミノ−3−(2−(トリフルオロメチル))プロパン酸
Phe(3CF
3) (S)−2−アミノ−3−(3−(トリフルオロメチル))プロパン酸
Phe(4CF
3) (S)−2−アミノ−3−(4−(トリフルオロメチル))プロパン酸
Phe(3,4(CF
3)
2) (S)−2−アミノ−3−(3,4−ビス(トリフルオロメチル))プロパン酸
Phe(4COOMe) (S)−2−アミノ−3−(4−(メトキシカルボニル)フェニル)プロパン酸
Phg (S)−2−アミノ−2−フェニル酢酸
Pip (S)−ピペリジン−2−カルボン酸
Pro((4R)NH
2) (2S,4R)−4−アミノピロリジン−2−カルボン酸
Pro((4S)NH
2) (2S,4S)−4−アミノピロリジン−2−カルボン酸
Pro((4R)OH) (2S,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボン酸
Pro((4S)OH) (2S,4S)−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボン酸
Ser(Bn) (S)−2−アミノ−3−(ベンジルオキシ)プロパン酸
Ser(Me) (S)−2−アミノ−3−メトキシ−プロパン酸
Thi (S)−2−アミノ−3−(チオフェン−2−イル)プロパン酸
alloThr (2S,3S)−2−アミノ−3−ヒドロキシブタン酸
Thr(Bn) (2S,3R)−2−アミノ−3−(ベンジルオキシ)ブタン酸
Thr(Me) (2S,3R)−2−アミノ−3−(メチルオキシ)ブタン酸
Thz (R)−チアゾリジン−4−カルボン酸
Thz(5,5Me
2) (R)−2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸
Tic (S)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸
Tic(7OH) (S)−7−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸
Trp(7Aza) (S)−2−アミノ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)プロパン酸
Trp(5Br) (S)−2−アミノ−3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)プロパン酸
Trp(6Br) (S)−2−アミノ−3−(6−ブロモ−1H−インドール−3−イル)プロパン酸
Trp(6CF
3) (S)−2−アミノ−3−(6−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−3−イル)プロパン酸
Trp(5Cl) (S)−2−アミノ−3−(5−クロロ−1H−インドール−3−イル)プロパン酸
Trp(6Cl) (S)−2−アミノ−3−(6−クロロ−1H−インドール−3−イル)プロパン酸
Trp(5,6Cl) (S)−2−アミノ−3−(5,6−ジクロロ−1H−インドール−3−イル)プロパン酸
Trp(5OH) (S)−2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)プロパン酸
Tyr(Bn) (S)−2−アミノ−3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)プロパン酸
Tyr(Me) (S)−2−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)プロパン酸
Tyr(Ph) (S)−2−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)プロパン酸
Tyr(4OHPh) (S)−2−アミノ−3−[4−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸
Tza (S)−2−アミノ−3−(チアゾール−4−イル)プロパン酸
【0053】
D−異性体の略語、例えば
DLysは、上記適切なアミノ酸の2位でのエピマーに相当する。
【0054】
本発明の好ましい実施態様では、一般式(I)のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は:
シクロ(−Glu−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Dab−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Glu−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Glu−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DAla−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Glu−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DLys−Glu−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DAla−Glu−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Glu−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Trp−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Ala−);
シクロ(−Tyr−His−Trp−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Trp−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Thr−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ile−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Glu−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Trp−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Trp−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Glu−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Ala−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Glu−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Phe−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Tyr−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Glu−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Thr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−His−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Ala−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Lys−His−Ala−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−His−Tyr−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Thr−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Ala−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Thr−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Thr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DAla−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−His−Gly−
DAla−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DLys−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DThr−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DAla−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DAla−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DAla−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DLys−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DLys−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DTic−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro((4S)OH)−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro((4S)NH
2)−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPip−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Tyr−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Phe(4CF
3)−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Dab−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Trp−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Glu−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−His−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Dab−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Thr−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Gly−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Hse−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Orn−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DTic−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Trp−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Asp−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Gly−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Asp−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Dab−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−His−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Dab−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DAla−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DAla−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Dab−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Hse−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Leu−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Val−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Phe(4CF
3)−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ile−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Dap−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Dab−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Dab−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro((4S)NH
2)−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro− Pro((4R)OH)−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro((4R)NH
2)−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro((4R)OH)−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp(5OH)−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Lys−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Lys−);
シクロ(−Tyr−His−Ala−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Lys−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Dab−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pip−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Tic−);および
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Oic−);
からなる群から選択される化合物、またはその医薬的に許容される塩である。
【0055】
本発明の特に好ましい実施態様では、一般式(I)のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は:
シクロ(−Tyr−His−Ile−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Gln−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro((4S)OH)−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro((4S)NH
2)−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPip−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Tyr−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Hse−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DTic−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Trp−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Asp−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Ile−Cys−His−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp(5OH)−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Pro−);および
シクロ(−Tyr−His−Lys−Cys−Trp−Gly−
DPro−Trp−Thr−Ile−Cys−Tyr−Glu−Lys−
DPro−Lys−);
からなる群から選択される化合物、またはその医薬的に許容される塩である。
【0056】
本発明のさらなる実施態様は、
(a)適切に官能化された固体支持体を、所望の最終生成物において上記T
1もしくはT
2またはP
1〜P
14の位置にあるそのアミノ酸の適切にN保護された誘導体とカップリングさせる工程;(該N保護されたアミノ酸誘導体に存在していてもよいいずれかの官能基は同様に適切に保護されている);
(b)工程(a)にて得られた生成物からN保護基を除去する工程;
(c)このようにして得られた生成物を、−COOHから−NH
2の配向で反時計回りまたは時計回りに一般式(I)の配列にしたがって、所望の最終生成物において隣の要素(TまたはP)の位置にあるそのアミノ酸の適切にN保護された誘導体とカップリングさせる工程;(該N保護されたアミノ酸誘導体に存在していてもよいいずれかの官能基は同様に適切に保護されている);
(d)このようにして得られた生成物からN保護基を除去する工程;
(e)全てのアミノ酸残基が導入されるまで工程(c)および(d)を繰り返す工程;
(f)必要に応じて、分子内に存在する1つまたはいくつかの保護された官能基を選択的に脱保護する工程、およびこのようにして遊離した反応基を化学的に変換する工程;
(g)このようにして得られた生成物を固体支持体から分離する工程;
(h)固体支持体から切断された生成物を環化する工程;
(i)アミノ酸残基の鎖のいずれかのメンバーの官能基上に存在するいずれかの保護基、および必要に応じて、分子内にさらに存在していてもよいいずれかの保護基を除去する工程;
(j)必要に応じて、P
4およびP
11のスルフヒドリル含有残基の間にジスルフィド架橋を形成する工程;
(k)必要に応じて、分子内に存在する1つ以上の反応基のさらなる化学変換を行う工程;ならびに
(l)必要に応じて、このようにして得られた生成物を医薬的に許容される塩に変換する工程、またはこのようにして得られた医薬的に許容される塩もしくは許容されない塩を対応する遊離の式(I)の化合物に変換する工程、もしくは異なる医薬的に許容される塩に変換する工程
を含む製造方法による本願β−ヘアピンペプチド模倣薬の製造に関する。
【0057】
本発明の製造方法は、上記一般式(I)のテンプレート固定β−ヘアピンペプチド模倣薬のライブラリーを得るための平行配列合成として有利に実施することができる。そのような平行合成は、多数の(通常24〜192種、典型的には96種の)一般式(I)の化合物の配列を、高収率かつ規定純度で、二量体および高分子副生成物の形成を最小化しながら得ることを可能にする。官能化された固体支持体(すなわち固体支持体+リンカー分子)、テンプレート、および環化部位の適切な選択は、それによって重要な役割を果たす。
【0058】
官能化された固体支持体は、好ましくは1〜5%のジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン(「PS」);ポリエチレングリコールスペーサーでコーティングされたポリスチレン(Tentagel(登録商標));およびポリアクリルアミド樹脂に都合よく由来する(Obrecht, D.; Villalgordo, J.-M, "Solid-Supported Combinatorial and Parallel Synthesis of Small-Molecular-Weight Compound Libraries", Tetrahedron Organic Chemistry Series, Vol. 17, Pergamon, Elsevier Science, 1998も参照のこと)。
【0059】
固体支持体は、一方の末端に固体支持体への結合のためのアンカー基を含有し、もう一方の末端に、引き続く化学変換および切断操作に用いられる選択的に切断可能な官能基を含有するリンカー、すなわち二機能性スペーサー分子によって官能化されている。本発明の目的のために、2つのタイプのリンカーが用いられる:
【0060】
タイプ1リンカーは、酸性条件下でアミド基を放出するようデザインされている(Rink H, Tetrahedron Lett. 1987, 28, 3783-3790)。この種類のリンカーは、アミノ酸のカルボキシル基のアミドを形成する;そのようなリンカー構造によって官能化された樹脂の例は、4−[(((2,4−ジメトキシフェニル)Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミド)アミノメチル]PS樹脂、4−[(((2,4−ジメトキシフェニル)Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミド)アミノメチル]−4−メチルベンズヒドリルアミンPS樹脂(RinkアミドMBHA PS樹脂)、および4−[(((2,4−ジメトキシフェニル)Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミド)アミノメチル]ベンズヒドリルアミンPS−樹脂(RinkアミドBHA PS樹脂)を含む。好ましくは、支持体は、最も好ましくは1〜5%のジビニルベンゼンで架橋され、4−(((2,4−ジメトキシフェニル)Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミド)リンカーによって官能化されたポリスチレンに由来する。
【0061】
タイプ2リンカーは、最終的に酸性条件下でカルボキシル基を放出するようデザインされている。この種類のリンカーは、アミノ酸のカルボキシル基と酸に不安定なエステル、通常、酸に不安定なベンジル、ベンズヒドリルおよびトリチルエステルを形成する;そのようなリンカー構造の例は、2−メトキシ−4−ヒドロキシメチルフェノキシ(Sasrin(登録商標)リンカー)、4−(2,4−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)−フェノキシ(Rinkリンカー)、4−(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ)ブタン酸(HMPBリンカー)、トリチルおよび2−クロロトリチルを含む。好ましくは、支持体は最も好ましくは1〜5%のジビニルベンゼンで架橋され、2−クロロトリチルリンカーによって官能化されたポリスチレンに由来する。
【0062】
平行配列合成として実施される場合、本発明の製造方法は、本明細書で以下に記載されているように有利に実施されうるが、上記式(I)の1つの単一化合物を合成することが望ましい場合、これらの操作をどの様に修正すべきかは、当業者には直ちに自明であろう。
【0063】
平行方法によって合成される化合物の総数と等しい多数の反応容器(通常24〜192個、典型的には96個)に、好ましくは1〜3%のジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン、またはTentagel樹脂に由来する25〜1000mg、好ましくは100mgの適切な官能化された固体支持体を入れる。
【0064】
用いられる溶媒は、樹脂を膨潤することができるものでなければならず、限定されるものではないが、ジクロロメタン(DCM)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジオキサン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、エタノール(EtOH)、トリフルオロエタノール(TFE)、およびイソプロピルアルコール等を含む。少なくとも1つの成分として極性溶媒(例えば20%TFE/DCM、35%THF/NMP)を含有する溶媒混合物は、高反応性および樹脂に結合したペプチド鎖の溶媒和を確実にするために有利である(Fields, G. B., Fields, C. G., J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 4202-4207)。
【0065】
側鎖内の官能基を保護している酸に不安定な基に影響することなく穏やかな酸性条件下でC−末端カルボン酸基を放出する様々なリンカーの開発と共に、保護されたペプチド断片の合成にかなりの進歩がなされた。2−メトキシ−4−ヒドロキシベンジルアルコール由来リンカー(Sasrin(登録商標)リンカー、Mergler et al., Tetrahedron Lett. 1988, 29 4005-4008)は希釈されたトリフルオロ酢酸(0.5〜1%TFAのDCM溶液)で切断可能であり、ペプチド合成中のFmoc脱保護条件に安定であり、Boc/tBuベースのさらなる保護基がこの保護スキームに適合する。本発明の製造方法に適切な他のリンカーは、以下のものを含む:非常に酸に不安定な4−(2,4−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)−フェノキシリンカー(Rinkリンカー、Rink, H. Tetrahedron Lett. 1987, 28, 3787-3790)、ペプチドの除去が10%酢酸のDCM溶液または0.2%トリフルオロ酢酸のDCM溶液を必要とする;4−(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ)ブタン酸由来リンカー(HMPB−リンカー、Florsheimer & Riniker, Peptides 1991,1990 131)、1%TFA/DCMでも切断され、全ての酸に不安定な側鎖保護基を含有するペプチド断片を生成する;さらに、2−クロロトリチルクロリドリンカー(Barlos et al., Tetrahedron Lett. 1989, 30, 3943-3946)、氷酢酸/トリフルオロエタノール/DCM(1:2:7)の混合物を約30分用いたペプチド脱離を可能にする。
【0066】
アミノ酸の適切な保護基は、それぞれそれらの残基について、例えば以下のものを挙げることができる:
−アミノ基(例えばリジンの側鎖にも存在する)についての保護基
Cbz ベンジルオキシカルボニル
Boc tert.−ブチルオキシカルボニル
Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル
Alloc アリルオキシカルボニル
Teoc トリメチルシリルエトキシカルボニル
Tcc トリクロロエトキシカルボニル
Nps o−ニトロフェニルスルホニル
Trt トリフェニルメチルまたはトリチル
【0067】
−アルコール成分でエステルに変換することによるカルボキシル基(例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸の側鎖にも存在する)についての保護基
tBu tert.−ブチル
Bn ベンジル
Me メチル
Ph フェニル
Pac フェナシル
アリル
Tse トリメチルシリルエチル
Tce トリクロロエチル
【0068】
−グアニジノ基(例えばアルギニンの側鎖に存在する)についての保護基
Pmc 2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル
Ts トシル(すなわちp−トルエンスルホニル)
Cbz ベンジルオキシカルボニル
Pbf 2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル
【0069】
−ヒドロキシ基(例えばスレオニンおよびセリンの側鎖に存在する)についての保護基
tBu tert.−ブチル
Bn ベンジル
Trt トリチル
【0070】
−ならびにメルカプト基(例えばシステインの側鎖に存在する)についての保護基
Acm アセトアミドメチル
tBu tert.−ブチル
Bn ベンジル
Trt トリチル
Mtr 4−メトキシトリチル。
【0071】
9−フルオレニルメトキシカルボニル−(Fmoc)保護されたアミノ酸誘導体は、式(I)のテンプレート固定β−ヘアピンループ模倣薬の構築のための構成要素(building blocks)として好ましく用いられる。脱保護、すなわちFmoc基の切断のために、20%ピペリジンのDMF溶液または2%DBU/2%ピペリジンのDMF溶液を使用することができる。
【0072】
反応物の量、すなわちアミノ酸誘導体の量は、通常、反応管内に最初に秤量された官能化された固体支持体(典型的にはポリスチレン樹脂について0.1〜2.85meq/g)の充填量1グラム当たりのミリ当量(meq/g)に基づいて、1〜20当量である。必要であれば、合理的な時間内に反応が終了するよう、さらなる当量の反応物を使用することができる。反応管は、ホルダーブロックおよびマニフォールドと組み合わせてリザーバーブロックに再挿入され、装置が一緒に固定される。マニフォールドを通るガス流が開始され、制御環境、例えば、窒素、アルゴン、および空気等を提供する。ガス流は、マニフォールドを通る前に、加熱または冷却されてもよい。反応ウェルの加熱または冷却は、反応ブロックを加熱することによって、またはそれぞれ、イソプロパノール/ドライアイス等で外部から冷却することによって達成され、所望の合成反応をもたらす。攪拌は、(反応管内で)振盪または磁気攪拌することによって達成される。好ましいワークステーションは(限定されるものではないが)、Labsource’s Combi−chem stationおよびMultiSyn Tech’s−Syro synthesizerである。
【0073】
アミド結合形成は、アシル化工程のためにα−カルボキシル基の活性化を必要とする。この活性化が通常用いられるカルボジイミド、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC, Sheehan & Hess, J. Am. Chem. Soc. 1955, 77, 1067-1068)またはジイソプロピルカルボジイミド(DIC, Sarantakis et al Biochem. Biophys. Res. Commun.1976, 73, 336-342)によって実施されると、得られたジシクロヘキシルウレアおよびジイソプロピルウレアは、一般的に用いられる溶媒に、それぞれ不溶性および可溶性である。カルボジイミド法のバリエーションでは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、Konig & Geiger, Chem. Ber 1970, 103, 788-798)は、添加剤としてカップリング混合物に含まれる。HOBtは脱水を予防し、活性化アミノ酸のラセミ化を抑制し、不活発なカップリング反応を改善する触媒として作用する。特定のホスホニウム試薬が直接カップリング試薬として用いられ、例えばベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP、Castro et al., Tetrahedron Lett. 1975, 14, 1219-1222; Synthesis, 1976, 751-752)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(Py−BOP、Coste et al., Tetrahedron Lett. 1990, 31, 205-208)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル−)1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)、またはヘキサフルオロホスフェート(HBTU、Knorr et al., Tetrahedron Lett. 1989, 30, 1927-1930);これらのホスホニウムおよびウロニウム試薬は、保護されたアミノ酸誘導体によるHOBtエステルのインサイツの形成にも適切である。より最近になって、ジフェノキシホスホリルアジド(DPPA)、O−(7−アザ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TATU)、またはO−(7−アザ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)/7−アザ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAt、Carpino et al., Tetrahedron Lett. 1994, 35, 2279-2281)もカップリング試薬として用いられている。
【0074】
ほぼ定量的なカップリング反応が必須であるという事実のために、反応終了の実験的証拠があるのが望ましい。ニンヒドリン試験(Kaiser et al., Anal. Biochemistry 1970, 34, 595)は、一定分量の樹脂に結合したペプチドに対する陽性比色反応が一級アミンの存在を定性的に示すものであるが、各カップリング工程の後に容易かつ迅速に行うことができる。Fmoc発色団が塩基で放出される場合、Fmoc化学がその分光光度的検出を可能にする(Meienhofer et al., Int. J. Peptide Protein Res. 1979, 13, 35-42)。
【0075】
各反応管内の樹脂に結合した中間体は、反復的な純粋溶媒への曝露によって過剰な保持試薬、溶媒、および副生成物が洗い落とされる。
【0076】
洗浄操作は、例えばTLC、GC、LC−MSまたは洗浄液の検査などの方法によって試薬、溶媒、および副生成物除去の効率をモニターしながら、最大約30回(好ましくは約5回)繰り返される。
【0077】
反応ウェル内で樹脂に結合した化合物を試薬と反応させ、次いで過剰な試薬、副生成物、および溶媒を除去する上記操作は、最終的な樹脂結合完全保護直鎖状ペプチドが得られるまで各連続的な変換と共に繰り返される。
【0078】
この完全保護直鎖状ペプチドが固体支持体から脱離する前に、必要に応じて、分子内に存在する1つまたはいくつかの保護された官能基を選択的に脱保護すること、およびこのようにして遊離した反応基を適切に置換することが可能である。この効果のために、問題になっている官能基は、残りの存在する保護基に影響することなく選択的に除去することができる保護基によって最初に保護されなければならない。Alloc(アリルオキシカルボニル)はそのようなアミノ保護基の一例であり、分子内に存在する例えばFmoc等の残りの保護基に影響することなく、例えばPdおよびフェニルシランのCH
2Cl
2溶液によって選択的に除去することができる。次いで、このようにして遊離した反応基は、所望の置換基を導入するのに適切な薬剤で処理することができる。それゆえ、例えばアミノ基は、導入されるアシル置換基に対応するアシル化剤によってアシル化することができる。
【0079】
次いで固体支持体からの完全保護直鎖状ペプチドの脱離後、個々の溶液/抽出物を必要に応じて操作して、最終化合物を単離する。典型的な操作は、限定されるものではないが、蒸発、濃縮、液体/液体抽出、酸性化、塩基性化、中和または溶液内でのさらなる反応を含む。
【0080】
固体支持体から切断され、塩基で中和された完全保護直鎖状ペプチド誘導体を含有する溶液を蒸発させる。次いで、溶液中で、例えばDCM、DMF、ジオキサン、およびTHF等の溶媒を用いて環化を行う。アミド結合形成用の活性化因子として先に述べた様々なカップリング試薬を環化に使用することができる。環化の持続時間は約6〜48時間、好ましくは約16時間である。反応の進行は、例えばRP−HPLC(逆相高速液体クロマトグラフィー)によって追跡する。次いで過剰なカップリング試薬を除去するために、溶媒を蒸発除去し、完全保護環状ペプチド誘導体を水と混和しない溶媒、例えばDCMに溶解し、溶液を水または水混和性溶媒の混合液で抽出する。
【0081】
最後に、完全保護ペプチド誘導体を95%TFA、2.5%H
2O、2.5%TIS、もしくは87.5%TFA、2.5%DODT、5%チオアニソール、5%H
2O、または保護基の切断を達成するためのスカベンジャーの別の組み合わせで処理する。切断反応時間は、通常30分〜12時間、好ましくは約2.5時間である。揮発物を蒸発乾固し、粗ペプチドを20%AcOH水溶液に溶解し、イソプロピルエーテルまたは他の適切な溶媒で抽出する。水層を収集し、蒸発乾固し、完全脱保護環状ペプチドを得る。あるいは、脱保護環状ペプチドは冷Et
2Oを用いて沈殿および洗浄することができる。
【0082】
本発明の一般式(I)のいくつかの化合物については、さらなる合成工程が必要となる。これらの変換は、固体支持体に結合しているか、もしくはそこから既に放出されている部分的に脱保護された環状もしくは直鎖状ペプチド、または最終脱保護分子のいずれかに適用することができる。
【0083】
例えば、ジスルフィド架橋の形成は、本明細書で以下に記載されているように、完全に脱保護され、NH
4HCO
3でpH5〜6に緩衝した、酢酸アンモニウムでpH7〜8に緩衝した、または水酸化アンモニウムでpH8に調整した最大15容量%のDMSOを含有する水中で、環化されたペプチドの粗生成物を24時間攪拌することによって実施することができる。あるいは、10当量のヨウ素溶液をDMF中で、またはCH
2Cl
2/MeOHの混合液中で1.5時間適用し、新たなヨウ素溶液でさらに3時間繰り返す。蒸発乾固後、完全に脱保護され、ジスルフィド架橋した式(I)の環状ペプチド誘導体を最終生成物として得る。
【0084】
その純度に依存して、このペプチド誘導体は生物学的アッセイに直接使用することができ、また場合によっては、例えば分取HPLCによるさらなる精製が必要となる。
【0085】
先に述べたように、その後、必要に応じて、このようにして得られた式(I)の完全脱保護生成物を医薬的に許容される塩に変換すること、またはこのようにして得られた医薬的に許容され、もしくは許容されない塩を対応する遊離の式(I)の化合物、もしくは異なる医薬的に許容される塩に変換することが可能である。これらの操作はいずれも、当該技術分野で周知の方法によって実施することができる。
【0086】
一般に、本発明のペプチド模倣薬の構成要素は、当業者に周知の文献記載の方法(下記で例示する)に従って合成することができ、または市販のものを使用することができる。数種のさらなる新規合成が本発明のために実施され、実施例に記載されている。全ての他の対応するアミノ酸は、非保護、またはBocもしくはFmoc保護ラセミ化合物、(D)−または(L)−異性体のいずれかとして記載されている。非保護アミノ酸構成要素は、標準的な保護基操作によって、本発明に必要とされる対応するFmoc保護アミノ酸構成要素に容易に変換することができると理解されるであろう。α−アミノ酸の合成のための一般的方法を記載した総説は、下記を含む:R. Duthaler, Tetrahedron (Report) 1994, 349, 1540-1650; R. M. Williams, "Synthesis of optically active α-amino acids", Tetrahedron Organic Chemistry Series, Vol.7, J. E. Baldwin, P. D. Magnus (Eds.), Pergamon Press., Oxford 1989。本発明に関連がある光学活性α−アミノ酸の合成に特に有用な方法は、加水分解酵素を用いた速度論的分割を含む(M. A. Verhovskaya, I. A. Yamskov, Russian Chem. Rev. 1991, 60, 1163-1179; R. M. Williams, "Synthesis of optically active α-amino acids", Tetrahedron Organic Chemistry Series, Vol.7, J. E. Baldwin, P. D. Magnus (Eds.), Pergamon Press., Oxford 1989, Chapter 7, p.257-279)。加水分解酵素を用いた速度論的分割は、アミノペプチダーゼまたはニトリラーゼによるアミドおよびニトリルの加水分解、アシラーゼによるN−アシル基の切断、およびリパーゼまたはプロテアーゼによるエステル加水分解を含む。特定の酵素は特異的に純粋な(L)−エナンチオマーをもたらすが、他の酵素は対応する(D)−エナンチオマーを産生することが文献によく記載されている(例えば:R. Duthaler, Tetrahedron Report 1994, 349, 1540-1650; R. M. Williams, "Synthesis of optically active α-amino acids", Tetrahedron Organic Chemistry Series, Vol.7, J. E. Baldwin, P. D. Magnus (Eds.), Pergamon Press., Oxford 1989)。
【0087】
本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は、FPR1受容体活性を阻害するために広範に適用することができ、ヒト、またはそれらの類似の病因により、他の哺乳類に所望の治療効果をもたらす。特に、該模倣薬は、炎症性疾患、アレルギー状態、免疫学的疾患、神経炎症、神経障害、閉塞性気道疾患、感染症、虚血性再灌流傷害および癌の疾患分野における疾患または状態を治療および/または予防するために薬剤として使用することができる。上記分野に属する特定の疾患状態は、例えば急性および慢性肺炎症、COPD、喘息、肺気腫、胃腸管の炎症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、急性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、酒さ、ざ瘡、好中球性皮膚症、好中球障害、好酸球障害、単球/マクロファージ関連疾患、ジョブズ症候群、チェディアック・東症候群、慢性肉芽腫症、白血球粘着不全症、嚢胞性線維症、腹膜炎、歯周炎、敗血症、肺炎、細菌感染症、ならびに増殖性疾患、例えば癌である。
【0088】
薬物の有効成分としての使用のために、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は単独で、いくつかの本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬の混合物として、または他の医薬活性薬剤と組み合わせて投与することができる。本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬からなり、または該模倣薬を含有する有効成分は、それ自体が投与されてよく、または医薬製剤、例えば当該技術分野で周知の担体、希釈剤または賦形剤と共に適切な製剤として適用されてよい。
【0089】
本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬を含む医薬組成物は、慣用の混合工程、溶解工程、造粒工程、コーティング錠製造工程、湿式粉砕工程、乳化工程、カプセル化工程、封入工程、または凍結乾燥工程によって製造されてよい。医薬組成物は、活性β−ヘアピンペプチド模倣薬の医薬として使用することができる製剤への加工を促進する1つ以上の生理的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または補助剤を用いて、慣用の方法で製剤化されてよい。適切な製剤は、選択される投与方法に依存する。
【0090】
局所投与のために、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は、当該技術分野で周知の溶剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、または懸濁剤等として製剤化されてよい。
【0091】
全身製剤は、注射投与、例えば皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、くも膜下腔内注射または腹腔内注射用にデザインされているもの、または経皮投与、経粘膜投与、経口投与または経肺投与にデザインされているものを含む。
【0092】
注射のために、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は、適切な溶液中、好ましくは生理適合性緩衝液中、例えばハンクス(Hink’s)液、リンゲル溶液、または生理食塩水緩衝液中で製剤化されてよい。溶液は製剤化剤、例えば懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤を含有してもよい。あるいは、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は、使用前に適切なビヒクル、例えば滅菌発熱性物質除去水などと組み合わせるための粉末形態にあってもよい。
【0093】
経粘膜投与のために、当該技術分野で周知のように、透過されるバリヤーに適切な浸透剤が製剤に用いられる。
【0094】
経口投与のために、本発明の化合物は、活性β−ヘアピンペプチド模倣薬を当該技術分野で周知の医薬的に許容される担体と組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような担体により、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬を、処置される患者が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、または懸濁剤等として製剤化することが可能となる。経口製剤、例えば散剤、カプセル剤および錠剤等のために、適切な賦形剤は、充填剤、例えば糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトール;セルロース製剤、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP);造粒剤;および結合剤を含む。要すれば、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを添加してもよい。要すれば、固体剤形は、標準的技術を用いて、糖コーティングまたは腸溶性コーティングされていてもよい。
【0095】
経口液体製剤、例えば懸濁剤、エリキシル剤および溶剤等のために、適切な担体、賦形剤または希釈剤は、水、グリコール、油、またはアルコール等を含む。さらに、香味剤、防腐剤、および着色剤等が添加されてもよい。
【0096】
頬側投与のために、組成物は通常通り製剤化される錠剤、またはロゼンジ剤等の形態であってもよい。
【0097】
吸入による投与のために、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は、適切な噴霧用ガス、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、二酸化炭素または別の適切なガスを用いて、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾル噴霧剤の形態で都合よく送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は定量を送達するバルブを提供することによって決定されてよい。インヘラーまたは吸入器(insufflator)にて用いる例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬と適切な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンの粉末混合物を含有して製剤化されてよい。
【0098】
化合物は、例えばカカオバターまたは他のグリセリド等の適切な坐剤基剤と共に、例えば浣腸用または坐剤用溶液等の直腸用または膣用組成物に製剤化されてもよい。
【0099】
前記製剤に加えて、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は、デポー製剤として製剤化されてもよい。そのような長時間作用性製剤は、インプラント術(例えば皮下もしくは筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与されてよい。そのようなデポー製剤の製造のために、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は、適切な高分子もしくは疎水性物質(例えば許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共に、または難溶性塩として製剤化されてよい。
【0100】
さらに、他の医薬送達システム、例えば当該技術分野で周知のリポソームおよび乳剤が利用されてもよい。特定の有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドが利用されてもよい。さらに、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は、持続放出システム、例えば治療剤を含有する固体高分子の半透性マトリックスを用いて送達されてもよい。様々な持続放出物質が確立されており、当業者に周知である。持続放出カプセル剤は、それらの化学的性質に依存して、数週間から最大3年にわたって化合物を放出しうる。治療剤の化学的性質および生物学的安定性に依存して、さらなるタンパク質安定化戦略が利用されてもよい。
【0101】
本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬は荷電残基を含有することができるため、それ自体として、または医薬的に許容される塩として上記製剤のいずれかに含まれてよい。医薬的に許容される塩は、対応する遊離塩基形態よりも、水性溶媒および他のプロトン性溶媒に溶解しやすい傾向にある。
【0102】
さらに、本発明の化合物およびそれらの医薬的に許容される塩は、それ自体で、または形態学的に異なる固体形態でいずれかの適切な製剤にて用いられてよく、異なる量の溶媒、例えば結晶化過程から残存する水和物を含んでもよく、または含まなくてもよい。
【0103】
本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬またはその組成物は、一般に、意図する目的を達成するのに有効な量で用いられる。用いられる量は特定の適用に依存すると理解されたい。
【0104】
FPR1および/またはその内因性または外因性リガンド(例えばN−ホルミルメチオニン等)の活性の増加を含み、またはそれと関連する病因を有する疾患または障害の治療または予防に使用するために、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬またはその組成物は、治療的有効量にて投与または適用される。治療的有効量の決定は、特に本明細書で提供されている詳細な開示を考慮すると、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0105】
利用される有効成分の有効投与量は、利用される特定の化合物または医薬製剤、投与様式ならびに処置される状態の重症度およびタイプに依存して変化してよい。それゆえ、投与計画は投与経路およびクリアランス経路、例えば患者の腎機能および肝機能を含む因子に従って選択される。当該技術分野で通常の知識を有する医師、臨床医または獣医師であれば、状態または疾患の進行を予防、改善または停止するのに必要とされる単一有効成分の量を容易に決定および処方することができるであろう。毒性のない有効成分の濃度を最適精度で達成するには、標的部位への有効成分のアベイラビリティーの動態学に基づく投与計画を必要とする。このことは、有効成分の分配、平衡、および排出の考察を含む。
【0106】
局所投与または選択的取り込みの場合、本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬の有効局所濃度は血漿濃度に関連していなくてもよい。当業者であれば、過度の実験を行うことなく、治療に有効な局所投与量を最適化することができるであろう。
【0107】
本発明は以下の実施例にさらに記載されているが、それらは説明を意図しているに過ぎず、決して本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0108】
以下の略語が用いられる:
Ac アセチル;
BSA ウシ血清アルブミン;
Boc tert−ブチルオキシカルボニル;
DCHA ジシクロヘキシルアミン;
DEAD ジエチルアゾジカルボキシレート;
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン;
DMEM ダルベッコ変法イーグル培地;
DODT 3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール;
FCS ウシ胎仔血清;
Fmoc フルオレニルメチルオキシカルボニル;
HATU O−(7−アザ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;
HBSS ハンクス緩衝塩溶液;
HBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;
HCTU O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;
Hepes 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸;
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール;
IMDM イスコフ改変ダルベッコ培地;
PyBop(登録商標) (ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;
TIS トリイソプロピルシラン;
TPP トリフェニルホスフィン;
RPMI ロズウェルパーク記念研究所培地;
rt 室温。
【実施例】
【0109】
1.ペプチド合成
1.1 一般的合成操作
本発明のペプチド模倣薬の合成のための一般的方法が以下に例示される。これは主要な概念を実証するものであって、決して本発明を限定または制限するものではない。当業者であれば、これらの操作を容易に修正することができ、特に、限定されるものではないが、環系内の異なる開始位置を選択し、特許請求の範囲に記載された本発明の化合物の環状ペプチド模倣薬の製造を達成することができるであろう。
【0110】
最初に保護されたアミノ酸残基の樹脂へのカップリング
乾燥フラスコ内で、2−クロロトリチルクロリド樹脂(ポリスチレン、1%架橋;充填量:1.4mmol/g)を乾燥CH
2Cl
2中で30分間膨潤させた(7mL CH
2Cl
2/g樹脂)。0.8当量のFmoc保護アミノ酸および6当量のDIPEAの乾燥CH
2Cl
2/DMF(4/1)溶液(10mL/g樹脂)を加えた。室温で2〜4時間振盪後、樹脂を濾去し、CH
2Cl
2、DMF、CH
2Cl
2、DMFおよびCH
2Cl
2で連続的に洗浄した。次いで、乾燥CH
2Cl
2/MeOH/DIPEA(17:2:1)の溶液を加えた(10mL/g樹脂)。3×30分間振盪後、予め秤量した焼結漏斗で樹脂を濾去し、CH
2Cl
2、DMF、CH
2Cl
2、MeOH、CH
2Cl
2、MeOH、CH
2Cl
2(2×)およびEt
2O(2×)で連続的に洗浄した。樹脂を高真空下で一晩乾燥した。樹脂の最終質量は、質的規制の前に計算した。
【0111】
以下の予め充填した樹脂を製造した:Fmoc−Ala−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−Cys−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−Dab−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−Gly−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−Lys−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−Oic−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−Pip−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−Pro−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−
DPro−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−Tic−2−クロロトリチル樹脂、Fmoc−Trp−2−クロロトリチル樹脂。
【0112】
完全に保護されたペプチド断片の合成
合成は、24〜96個の反応容器を用いてSyroペプチドシンセサイザー(MultiSynTech GmbH)で実施した。各容器内におよそ80mgの上記樹脂(充填前の樹脂の重量)を入れた。以下の反応サイクルをプログラムし、実施した:
工程 試薬 時間
1 CH
2Cl
2、洗浄および膨潤(手動) 1×3分
2 DMF、洗浄および膨潤 2×30分
3 20%ピペリジン/DMF 1×5分および1×15分
4 DMF、洗浄 5×1分
5 3.5当量Fmocアミノ酸/DMF
+3.5当量PyBOP
+7当量DIPEA 1×60分
6 3.5当量Fmocアミノ酸/DMF
+3.5当量HATU、PyBOPまたはHCTU
+7当量DIPEA 1×60分
7 DMF、洗浄 5×1分
8 20%ピペリジン/DMF 1×5分および1×15分
9 DMF、洗浄 5×1分
10 CH
2Cl
2、洗浄(合成の終わりに) 3×1分
工程5〜9を繰り返して各アミノ酸残基を追加する。
【0113】
完全に保護されたペプチド断片の合成が終了した後、本明細書で以下に記載している切断、環化およびワークアップ操作を用いて最終化合物を製造した。
【0114】
切断、骨格環化、脱保護およびジスルフィド架橋形成
直鎖状ペプチドの構築後、樹脂を1mLの1%TFAのCH
2Cl
2溶液(v/v;0.14mmol)に3分間懸濁し、濾過し、濾液を1mLの20%DIPEAのCH
2Cl
2溶液(v/v;1.15mmol)で中和した。この操作を4回繰り返し、切断を完了した。樹脂を1mLのCH
2Cl
2で3回洗浄した。生成物を含有するCH
2Cl
2層を蒸発乾固した。
【0115】
完全に保護された直鎖状ペプチドを8mLの乾燥DMF中で可溶化した。次いで、2当量のHATUおよび2.当量のHOAtの乾燥DMF溶液(1〜2ml)、ならびに4当量のDIPEAの乾燥DMF溶液(1〜2ml)をペプチドに加え、次いで約16時間攪拌した。揮発物を蒸発除去した。粗環状ペプチドを7mLのCH
2Cl
2に溶解し、4.5mLの10%アセトニトリル水溶液(v/v)で3回洗浄した。次いでCH
2Cl
2層を蒸発乾固した。
【0116】
ペプチドを完全に脱保護するために、7mLの切断カクテルTFA/DODT/チオアニソール/H
2O(87.5:2.5:5:5)を加え、反応が終了するまで混合物を2.5〜4時間室温で維持した。反応混合物を乾固寸前まで蒸発し、7mLの冷Et
2Oでペプチドを沈殿させた。沈殿を4mLの冷Et
2Oで3回洗浄した。
【0117】
脱保護された環状ペプチドを最終的に0.5mLのDMSOのH
2O/AcOH(95:5;NH
4HCO
3でpH=6に調整)溶液で24時間室温で処理し、ジスルフィド架橋を形成する。反応混合物を蒸発乾固し、分取逆相LC−MSによって残渣を精製する。
【0118】
精製操作(分取逆相LC−MS)
化合物は、Phenomenex Gemini nX−C18カラム、30×100mm、5μm(カタログ番号00D−4435−U0−AX)またはWaters XBridge C18 OBDカラム、30×100mm、5μm(カタログ番号186002982)を用いた逆相クロマトグラフィーによって精製した。
用いた移動相は以下の通りである:
A:0.1%TFAの水/アセトニトリル 95/5 v/v溶液
B:0.1%TFAのアセトニトリル溶液
【0119】
分取操作におけるグラジエント傾斜は、粗生成物の分析用LC−MS分析に基づいて毎回適合させた。一例として、典型的な操作(実施例11の精製)は、Phenomenexカラムを用いて、流速35ml/分で、グラジエントを0〜1分、0%B;1.1分、25%B〜最終8分、45%B(保持時間:この場合5.96分)として実行した。
検出:MSおよびUV(220nm)
【0120】
Genevac HT4エバポレーターまたはBuchiシステムを用いて、収集した画分を蒸発させた。
【0121】
あるいは、より多い量に対しては、以下のLC−精製システムを用いた:
カラム:Waters XBridge C18 OBDカラム、50×250mm、10μm(カタログ番号186003900)
移動相A:0.1%TFAの水溶液
移動相B:アセトニトリル
流速:150ml/分
検出:UV(220nm)
【0122】
凍結乾燥後、生成物は典型的には白色からオフホワイトの粉末として得られ、下記のHPLC−ESI−MS法によって分析した。分取HPLC精製後の分析データは表1に示している。
【0123】
1.2 分析方法
分析方法A:
分析用HPLC保持時間(RT、分)は、Ascentis Express C18カラム、50×3.0mm、(cod.53811−U−Supelco)を用いて、以下の溶媒A(H
2O+0.1%TFA)およびB(CH
3CN+0.085%TFA)で、グラジエント:0〜0.05分:97%A、3%B;3.4分:33%A、67%B;3.45〜3.65分:3%A、97%B;3.67〜3.7分:97%A、3%Bにより決定した。流速=1.3ml/分、55℃。
【0124】
分析方法B:
分析用HPLC保持時間(RT、分)は、Ascentis Express C18カラム、50×3.0mm、(cod.53811−U−Supelco)を用いて、以下の溶媒A(H
2O+0.1%TFA)およびB(CH
3CN+0.085%TFA)で、グラジエント:0〜0.05分:97%A、3%B;2.95分:3%A、97%B;2.95〜3.15分:3%A、97%B;3.17〜3.2分:97%A、3%Bにより決定した。流速=1.3ml/分、45℃。
【0125】
1.3 ペプチド配列の合成
実施例1〜7は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸L−トリプトファンから開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Trp−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Trp−P
7−P
6−P
5−P
4−P
3−P
2−P
1−T
2−T
1−P
14−P
13−P
12−P
11−P
10−P
9。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0126】
凍結乾燥後、生成物を白色からオフホワイトの粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例1、2、3、4、5、6、7を参照のこと。
【0127】
実施例8は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸L−トリプトファンから開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Trp−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Trp−
DPro−Lys−Gln−Tyr−Cys−Ile−Thr−Trp−
DPro−Gly−His−Cys−Ala−His−Tyr。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0128】
凍結乾燥後、生成物をオフホワイト粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例8を参照のこと。
【0129】
実施例9は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸L−アラニンから開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Ala−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Ala−
DPro−Lys−Gln−Tyr−Cys−Ile−Thr−Trp−
DPro−Gly−Trp−Cys−Ala−His−Tyr。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0130】
凍結乾燥後、生成物をオフホワイト粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例9を参照のこと。
【0131】
実施例10〜80は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸L−プロリンから開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Pro−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Pro−T
1−P
14−P
13−P
12−P
11−P
10−P
9−P
8−P
7−P
6−P
5−P
4−P
3−P
2−P
1。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0132】
凍結乾燥後、生成物を白色からオフホワイトの粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定したが、実施例40についてのみ分析方法Bを用いた。分析データについては、表1の実施例10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80を参照のこと。
【0133】
実施例81〜83は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸D−プロリンから開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−
DPro−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−
DPro−Lys−Glu−Tyr−Cys−Ile−Thr−Trp−
DPro−Gly−His−Cys−Lys−His−Tyr−T
2。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0134】
凍結乾燥後、生成物を白色からオフホワイトの粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例81、82、83を参照のこと。
【0135】
実施例84は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸グリシンから開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Gly−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Gly−His−Cys−Lys−His−Tyr−Pro−
DPro−Lys−Glu−Tyr−Cys−Ile−Thr−Trp−
DPro((4R)OH)。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0136】
凍結乾燥後、生成物を白色粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例84を参照のこと。
【0137】
実施例85は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸L−システインから開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Cys−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Cys−Lys−His−Tyr−Pro−
DPro−Lys−Glu−Tyr−Cys−Ile−Thr−Trp−
DPro−Gly−Trp(5OH)。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0138】
凍結乾燥後、生成物を白色からオフホワイト粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例85を参照のこと。
【0139】
実施例86〜88は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸L−リジンから開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Lys−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Lys−
DPro−Lys−P
13−P
12−P
11−P
10−P
9−P
8−P
7−P
6−P
5−P
4−P
3−P
2−P
1。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0140】
凍結乾燥後、生成物を白色からオフホワイトの粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例86、87、88を参照のこと。
【0141】
実施例89は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸(S)−2,4−ジアミノブタン酸から開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Dab−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Dab−
DPro−Lys−Glu−Tyr−Cys−Ile−Thr−Trp−
DPro−Gly−His−Cys−Lys−His−Tyr。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0142】
凍結乾燥後、生成物を白色からオフホワイト粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例89を参照のこと。
【0143】
実施例90は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸(S)−ピペリジン−2−カルボン酸から開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Pip−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Pip−
DPro−Lys−Glu−Tyr−Cys−Ile−Thr−Trp−
DPro−Gly−His−Cys−Lys−His−Tyr。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0144】
凍結乾燥後、生成物を白色からオフホワイト粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例90を参照のこと。
【0145】
実施例91は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸(3S)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸から開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Tic−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Tic−
DPro−Lys−Glu−Tyr−Cys−Ile−Thr−Trp−
DPro−Gly−His−Cys−Lys−His−Tyr。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0146】
凍結乾燥後、生成物を白色からオフホワイト粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例91を参照のこと。
【0147】
実施例92は表1に示している。
ペプチドは一般的方法に従って合成し、アミノ酸(2S,3aS,7aS)−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸から開始し、樹脂にグラフト化した(Fmoc−Oic−2−クロロトリチル樹脂)。直鎖状ペプチドは、固体支持体上、上記操作に従って、以下の配列に合成した:樹脂−Oic−
DPro−Lys−Glu−Tyr−Cys−Ile−Thr−Trp−
DPro−Gly−His−Cys−Lys−His−Tyr。生成物を樹脂から切断し、環化し、脱保護し、酸化し、ジスルフィド架橋を形成し、最終的に上記のように分取逆相LC−MSによって精製した。
【0148】
凍結乾燥後、生成物を白色からオフホワイト粉末として得、上記分析方法AのHPLC−MSによって特性決定した。分析データについては、表1の実施例92を参照のこと。
【0149】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0150】
2.生物学的方法
2.1 ペプチドサンプルの製造
凍結乾燥ペプチドを微量天秤(Mettler MX5)で秤量し、90%DMSO水溶液に溶解し、別段の記載がない限り終濃度10mMとした。原液を+4℃に保ち、光から保護した。
【0151】
2.2 FPR1 β−アレスチン動員アッセイ
PathHunter CHO−FPR1(DiscoverX)アッセイを製造者のプロトコールに従って行った。手短に述べると、CHO FPR1 β−アレスチン細胞を、ブラック384ウェル培養プレート内の20μlのHam’s F12培地(Invitrogen)に9000細胞/ウェルの密度で播種し、37℃で5%CO
2を含む加湿雰囲気下、一晩インキュベートした。翌日、DMSOにて本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬の段階希釈を製造し、次いで20mM Hepesおよび0.1%BSAを追加したHBSS緩衝液にて希釈した。
【0152】
拮抗アッセイのために、5μlの化合物溶液または緩衝液を、最終DMSO濃度0.5%(v/v)の細胞に加えた。プレートを60分間37℃で5%CO
2と共にインキュベートし、その後10μl/ウェルの参照アゴニストfMLFペプチド(Sigma−Aldrich)をそのEC80濃度で添加した。37℃で5%CO
2の存在下、90分間インキュベーションした後、15μlのbeta−Glo検出試薬(Promega)を加えた。反応を室温で20分間進め、Victor2V(Perkin Elmer)発光リーダーで化学発光を測定した。
【0153】
さらに、本発明の化合物のFPR1拮抗活性は、例えばカルシウム流出アッセイまたは細胞遊走アッセイにて、ヒトFPR1で安定的にトランスフェクトされた細胞、およびアゴニストとしてのfMLFペプチドを用いて評価することができる。当業者が特定の状況に容易に適合させることができる一般的プロトコールは、以下に提供される。
【0154】
2.3 FPR1カルシウム放出拮抗作用アッセイ
カルシウム流出は、ヒトFPR1発現カルシウム最適化(Calcium Optimized)細胞を用いて評価することができる。これらの細胞を、384ウェルブラックプレートに分注し、HBSS+20mM Hepes緩衝液中のカルシウム4試薬(Calcium4 Reagent)(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を入れる。
【0155】
37℃で5%CO
2の存在下、45分間インキュベート後、プレート全体を室温でFLIPR(Molecular devices)内に置く。20秒ベースラインを記録後、HBSS+0.1%BSA+0.5%DMSO(終濃度)にて希釈された本発明のβ−ヘアピンペプチド模倣薬の濃縮溶液を細胞に加える。蛍光を5分間記録し、その後アゴニストfMLFペプチドをそのEC
80濃度で分注する。シグナルをさらに120秒間追跡する。最大シグナルは、阻害剤を含まないコントロールウェルから決定する。次いで、阻害のパーセンテージを化合物濃度の範囲から計算し、次いでIC
50値を計算するために用いる(Softmax Pro、Molecular Devices)。
【0156】
2.4 FPR1細胞遊走アッセイ
fMLFのグラジエントに対するジブチリル−cAMP−分化HL−60細胞の走化性応答は、Corning社製使い捨てTranswell(登録商標)96ウェル走化性アッセイプレート(3μm孔径)を用いて、製造者のプロトコールに従って測定する。手短に述べると、滅菌条件下、37℃で5%CO
2の存在下、15%DMEM、15%Ham’s F12培地(Invitrogen)、30%IMDM、30%RPMI培地、10%FCS、グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン(全ての培地成分はLife Technologies社から入手)およびインスリン−トランスフェリン−セレンサプリメント(1X)(Invitrogen)を含有するフラスコ内で細胞を培養する。使用の2日前、ジブチリル−cAMPを500μM加え、細胞分化を誘導する。アッセイのために、遠心分離により細胞をペレット状にし、RPMI+0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)にて一度洗浄し、再懸濁し、4×10
6細胞/mlのRPMI+0.5%BSA中懸濁液を得る。50μlの細胞懸濁液をアッセイフィルターの上部に適用する。同一のアッセイ培地にて希釈されたβ−ヘアピンペプチド模倣薬を、上部チャンバーおよび下部チャンバーの両方に加える。10nMのfMLFを含有するアッセイプレートの下部チャンバーに、細胞を37℃で2時間遊走させる。遊走した細胞を新たなマイクロタイタープレートに移し、CellTiterGlo試薬(Promega)を加える。室温で10分間インキュベーション後、Victor2V(Perkin Elmer)マルチモードリーダーを用いて発光シグナルを測定する。β−ヘアピンペプチド模倣薬の非存在下で遊走したいずれかの細胞の数、およびfMLFの非存在下でランダムに遊走した細胞の数を用いてデータ正規化を行う[これらの値をそれぞれ100%(阻害活性なし)および0%と見なす]。化合物濃度の範囲から、Prism5(GraphPad software)を用いてIC
50を決定する。
【0157】
2.5 結果
【表2-1】
【表2-2】