【文献】
Meekel, Arthur A. P, et al.,Synthesis of pyridinium amphiphiles used for transfection and some characteristics of amphiphile/DNA complex formation,European Journal of Organic Chemistry,2000年,(4),665-673
【文献】
Hopkins, Timothy E.; Wagener, Kenneth B.,Amino Acid and Dipeptide Functionalized Polyolefins,Macromolecules,2003年,36(7),2206-2214
【文献】
Hopkins, Timothy E.; Wagener, Kenneth B.,ADMET Synthesis of Polyolefins Targeted for Biological Applications,Macromolecules,2004年,37(4),1180-1189
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非ヒト対象または非ヒト対象由来の細胞における標的核酸の発現を変調する方法であって、前記対象または前記細胞の前記標的遺伝子の発現を低減させるのに十分な量で、請求項1に記載の化合物を前記対象または前記細胞に投与することを含み、
前記標的遺伝子は、随意に、ABL1、AR、β−カテニン、BCL1、BCL2、BCL6、CBFA2、CBL、CSF1R、ERBA1、ERBA2、ERBB1、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ETS1、ETS2、ETV6、FGR、FOS、FYN、HCR、HRAS、JUN、KRAS、LCK、LYN、MET、MDM2、MLL1、MLL2、MLL3、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、NRAS、PIM1、PML、RET、SRC、TAL1、TAL2、TCL3、TCL5、YES、BRCA1、BRCA2、MADH4、MCC、NF1、NF2、RB1、TP53、WT1、ApoB100、CSN5、CDK6、ITGB1、TGFβ1、サイクリンD1、PLK1、およびKIF1−結合タンパク質から成る群より選択され、
前記標的遺伝子の発現は、前記対象において低減される、前記方法。
非ヒト対象または非ヒト対象由来の細胞における標的核酸の発現を変調する方法であって、前記対象または前記細胞の前記標的遺伝子の発現を低減させるのに十分な量で、請求項1に記載の化合物を前記対象または前記細胞に投与することを含み、
前記標的遺伝子は、随意に、ABL1、AR、β−カテニン、BCL1、BCL2、BCL6、CBFA2、CBL、CSF1R、ERBA1、ERBA2、ERBB1、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ETS1、ETS2、ETV6、FGR、FOS、FYN、HCR、HRAS、JUN、KRAS、LCK、LYN、MET、MDM2、MLL1、MLL2、MLL3、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、NRAS、PIM1、PML、RET、SRC、TAL1、TAL2、TCL3、TCL5、YES、BRCA1、BRCA2、MADH4、MCC、NF1、NF2、RB1、TP53、WT1、ApoB100、CSN5、CDK6、ITGB1、TGFβ1、サイクリンD1、PLK1、およびKIF1−結合タンパク質から成る群より選択され、
前記標的遺伝子の発現は、前記対象において低減される、前記方法。
請求項13に記載の製剤であって、20モル%から25モル%の請求項1に記載の化合物、20モル%から30モル%のカチオン性脂質、2モル%から8モル%のPEG−脂質複合体、10モル%から20モル%の中性脂質および約25モル%から35モル%のステロール誘導体を含む、製剤。
請求項13に記載の製剤であって、22モル%の請求項1に記載の化合物、26モル%のカチオン性脂質、5モル%から9モル%のPEG−脂質複合体、14モル%の中性脂質および29モル%から33モル%のステロール誘導体を含む、製剤。
請求項13に記載の製剤であって、前記dsRNAは、10モル%から40モル%の1つ以上のカチオン性脂質および0.5モル%から10モル%の1つ以上のPEG−脂質を含む、製剤。
請求項20に記載の製剤であって、前記トランスフェクション脂質は、5モル%から20モル%の中性脂質、0.5モル%から10モル%のPEG−脂質複合体および20モル%から40モル%のステロール誘導体を含む、製剤。
請求項3に記載の製剤であって、前記dsRNAは、10から40個のヌクレオチド、16から30個のヌクレオチド、19から29個のヌクレオチド、25から35個のヌクレオチドおよび8から50個のヌクレオチドからなる群より選択される長さを有する、製剤。
請求項3に記載の製剤であって、前記製剤は、前記製剤に存在する総脂質に対して、1:10(重量/重量)から1:100(重量/重量)比の前記dsRNAを含む、製剤。
請求項1に記載の化合物を含む製剤であって、前記製剤は、カチオン性脂質、中性脂質、ステロール誘導体、PEG−脂質複合体、1つ以上のRNA結合剤を含む脂質粒子、トランスフェクション脂質、dsRNA、リポソーム、リポプレックスおよびミセルからなる群より選択される1つ以上の成分をさらに含む、製剤。
【発明の概要】
【0005】
我々は、1つ以上の治療薬を送達するための、アミノアミンおよびアミノアミド陽イオン性脂質を含む、新規のアミン系脂質化合物、ならびにその製剤を開発した。具体的には、ポリアニオン系ペイロードまたはアンチセンスペイロード(例えば、核酸分子またはRNAi剤)を細胞に送達し、標的遺伝子を抑制するために、本発明の化合物(例えば、式(I)またはII(a)−II(k)の化合物)を使用することができる。
【0006】
1つの態様では、本発明は、以下の式
【化1】
またはその薬学的に容認可能な塩を有する、化合物を特色とし、
各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、R
1およびR
2は、>CHNR
3R
4に隣接する炭素上のオキソと置換されず、
R
3は、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルであり、
R
4は、−NR
4aR
4bと置換される非置換C
1−6アルキル、−NR
4aR
4bとさらに置換される置換C
1−6アルキル、または随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリルであり、各R
4aおよびR
4bは、独立して、H、C(=NH)NH
2、または随意に置換されたC
1−6アルキルであり、またはR
4aおよびR
4bは、随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリルを形成するようにともに合体し、R
3およびR
4は、随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリルを形成するようにともに合体することができ、
R
3およびR
4は、随意に置換されたイミダゾリル、または随意に置換されたベンズイミダゾリル、または随意に置換されたスクシンイミジルを形成するようにともに合体せず、1つ、および1つだけの1級アミンが、R
3またはR
4のいずれか一方の上に存在することができ、またはいかなる1級アミンも、R
3またはR
4のいずれか一方の上に存在せず、R
3もR
4も、随意に置換されたアミドではなく、
R
1またはR
2が、飽和C
11アルキルまたは飽和C
15アルキルであるとき、R
3は、Hではなく、R
1またはR
2が、飽和C
16アルキルまたは飽和C
17アルキルであるとき、R
1およびR
2は、ヒドロキシと置換されず、R
1またはR
2が、飽和C
17アルキルであるとき、R
3またはR
4は、ヒドロキシと置換されず、R
1またはR
2が、飽和C
18アルキルであるとき、R
4は、随意に置換されたイミダゾリルと置換されない。
【0007】
いくつかの実施形態では、R
3は、−NR
3aR
3bと置換されたC
1−6アルキルであり、各R
3aおよびR
3bは、独立して、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルである。特定の実施形態では、各R
3aおよびR
3bは、独立して、HまたはC
1−6アルキルである。
【0008】
いくつかの実施形態では、R
4は、−NR
4aR
4bと置換される非置換C
1−6アルキルである。特定の実施形態では、R
4は、置換C
1−6アルキル(例えば、置換C
1−3アルキル、置換C
1−2アルキル、置換C
1アルキル、置換C
2アルキル、または置換C
3アルキル)、または−NR
4aR
4bとさらに置換される置換C
1−6アミノアルキルである。いくつかの実施形態では、R
4は、オキソと置換されたC
1−6アルキルであり、−NR
4aR
4bとさらに置換される。いくつかの実施形態では、R
4aおよびR
4bは、随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリル(例えば、随意に置換されたピロリジニル、随意に置換されたイミダゾリジニル、随意に置換されたピラゾリジニル、随意に置換されたピペリジニル、随意に置換されたピペラジニル、随意に置換されたアゼパニル、随意に置換されたピロリル、随意に置換されたイミダゾリル、または随意に置換されたピラゾリル)を形成するようにともに合体する。いくつかの実施形態では、各R
4aおよびR
4bは、独立して、随意に置換されたC
1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、R
4は、随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリルと置換される非置換C
1−6アルキルである(例えば、本明細書で説明されるいずれか)。いくつかの実施形態では、R
4は、(例えば、オキソを伴う)置換C
1−6アルキル、または随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリル(例えば、随意に置換されたピロリジニル、随意に置換されたイミダゾリジニル、随意に置換されたピラゾリジニル、随意に置換されたピペリジニル、随意に置換されたピペラジニル、随意に置換されたアゼパニル、随意に置換されたピロリル、随意に置換されたイミダゾリル、随意に置換されたピラゾリル、随意に置換されたピリジニル、随意に置換されたピラジニル、随意に置換されたピリミジニル、または随意に置換されたピリダジニル)とさらに置換されるC
1−6アミノアルキルである。
【0009】
いくつかの実施形態では、R
3およびR
4は、随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリル(例えば、随意に置換されたピロリジニル、随意に置換されたイミダゾリジニル、随意に置換されたピラゾリジニル、随意に置換されたピペリジニル、随意に置換されたピペラジニル、随意に置換されたアゼパニル、随意に置換されたピロリル、随意に置換されたイミダゾリル、随意に置換されたピラゾリル、随意に置換されたピリジニル、随意に置換されたピラジニル、随意に置換されたピリミジニル、または随意に置換されたピリダジニル)を形成するようにともに合体する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の式
【化2】
またはその薬学的に容認可能な塩を有し、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、各n1およびn2は、独立して、0から2の整数であり(例えば、n1およびn2は、両方とも1であり、またはn1は、1であり、n2は、2であり)、R
5は、H、随意に置換されたC
1−6アルキル、および随意に置換されたヘテロシクリル(例えば、非置換C
1−6アルキル、または随意に置換されたピロリル、随意に置換されたイミダゾリル、随意に置換されたピラゾリル、随意に置換されたピリジニル、随意に置換されたピラジニル、随意に置換されたピリミジニル、あるいは随意に置換されたピリダジニルと置換されたC
1−6アルキル)から成る群より選択される。いくつかの実施形態では、本化合物は、L−2、L−5、L−6、L−22、L−23、L−24、L−25、L−26、L−28、L−29、L−45、およびL−48、またはその薬学的に容認可能な塩から成る群より選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の式
【化3】
またはその薬学的に容認可能な塩を有し、各R
1およびR
2は、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、各n1およびn2は、独立して、0から2の整数であり(例えば、n1およびn2は、両方とも1であり、またはn1は、1であり、n2は、2であり)、R
5は、H、随意に置換されたC
1−6アルキル、および随意に置換されたヘテロシクリル(例えば、非置換C
1−6アルキル、または随意に置換されたピロリル、随意に置換されたイミダゾリル、随意に置換されたピラゾリル、随意に置換されたピリジニル、随意に置換されたピラジニル、随意に置換されたピリミジニル、または随意に置換されたピリダジニルと置換されたC
1−6アルキル)から成る群より選択される。いくつかの実施形態では、本化合物は、L−27およびL−47、またはその薬学的に容認可能な塩から成る群より選択される。
【0012】
本明細書で説明される任意の式(例えば、式(I)、(IIa)、および(IIb))に対するいくつかの実施形態では、R
5は、NR
5aR
5bと置換されたC
1−6アルキルであり、各R
5aおよびR
5bは、独立して、H、随意に置換されたC
1−6アルキル(例えば、随意に置換されたC
1−6アルキル)であり、R
5aおよびR
5bは、随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリルを形成するようにともに合体することができる。いくつかの実施形態では、R
5は、随意に置換されたヘテロシクリル(例えば、随意に置換されたピロリジニル、随意に置換されたイミダゾリジニル、随意に置換されたピラゾリジニル、随意に置換されたピペリジニル、随意に置換されたピペラジニル、随意に置換されたアゼパニル、随意に置換されたピロリル、随意に置換されたイミダゾリル、随意に置換されたピラゾリル、随意に置換されたピリジニル、随意に置換されたピラジニル、随意に置換されたピリミジニル、または随意に置換されたピリダジニル)である。
【0013】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の式
【化4】
またはその薬学的に容認可能な塩を有し、各R
1およびR
2は、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、各n1およびn2は、独立して、0から2の整数である(例えば、n1およびn2は、両方とも1であり、またはn1は、1であり、n2は、2である)。いくつかの実施形態では、本化合物は、L−46またはその薬学的に容認可能な塩である。
【0014】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の式
【化5】
またはその薬学的に容認可能な塩を有し、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、R
3は、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルであり、L
1は、随意に置換されたC
1−6アルキレンであり、各R
5およびR
6は、独立して、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルであり、またはR
5およびR
6は、随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリルを形成するようにともに合体する。
【0015】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の式
【化6】
またはその薬学的に容認可能な塩を有し、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、R
3は、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルであり、L
1は、随意に置換されたC
1−6アルキレンであり、各R
5およびR
6は、独立して、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルであり、またはR
5およびR
6は、随意に置換されたC
3−7ヘテロシクリルを形成するようにともに合体する。
【0016】
式(IId)または(IIe)のいくつかの実施形態では、R
5およびR
6は、随意に置換されたピロリジニル、随意に置換されたイミダゾリジニル、随意に置換されたピラゾリジニル、随意に置換されたピペリジニル、随意に置換されたピペラジニル、または随意に置換されたアゼパニルを形成するように合体する。
【0017】
いくつかの実施形態では、本化合物は、L−1、L−3、L−4、L−7、L−9、L−10、L−11、L−12、L−15、L−16、L−17、L−18、L−19、L−30、L−31、L−32、L−33、L−34、L−42、L−43、およびL−49、または薬学的に容認可能な塩から成る群より選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の式
【化7】
あるいはその薬学的に容認可能な塩を有し、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、R
3は、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルであり、L
1は、随意に置換されたC
1−6アルキレンであり、各n3およびn4は、独立して、0から2の整数であり、R
5は、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルである。
【0019】
いくつかの実施形態では、本化合物は、L−14、L−21、およびL−36、またはその薬学的に容認可能な塩から成る群より選択される。
【0020】
本明細書で説明される任意の式(例えば、式(IId)−(IIj)、例えば、式(IId)−(IIg))のいくつかの実施形態では、R
3は、−NR
3aR
3bと置換されたC
1−6アルキルであり、各R
3aおよびR
3bは、独立して、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、R
3は、非置換C
1−6アルキルである。
【0021】
本明細書で説明される任意の式(例えば、式(IId)−(IIj)、例えば、式(IId)−(IIg))のいくつかの実施形態では、L
1は、メチル、エチル、プロピル、または−NR
LaR
Lbと置換されたC
1−6アルキレンであり、各R
LaおよびR
Lbは、独立して、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルである。
【0022】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の式
【化8】
またはその薬学的に容認可能な塩を有し、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、R
3は、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルであり、L
1は、随意に置換されたC
1−6アルキレンであり、R
5は、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルである。
【0023】
いくつかの実施形態では、L
1は、第4位においてイミダゾリル基に結合される。
【0024】
いくつかの実施形態では、本化合物は、L−8、L−13、L−20、L−35、およびL−44、またはその薬学的に容認可能な塩から成る群より選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の式
【化9】
あるいはその薬学的に容認可能な塩を有し、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、R
3は、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルであり、L
1は、随意に置換されたC
1−6アルキレンであり、各R
5およびR
6は、独立して、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルである。
【0026】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の式
【化10】
またはその薬学的に容認可能な塩を有し、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルであり、R
3は、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルであり、
各R
5およびR
6は、独立して、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルである。
【0027】
本明細書で説明される任意の式(例えば、式(IId)−(IIk)、例えば、式(IIi)−(IIk))のいくつかの実施形態では、各R
5およびR
6は、独立して、−NR
5aR
5bと置換されたC
1−6アルキルであり、各R
5aおよびR
5bは、独立して、Hまたは随意に置換されたC
1−6アルキルである。
【0028】
いくつかの実施形態では、本化合物は、L−37、L−38、L−39、L−40、およびL−41、またはその薬学的に容認可能な塩から成る群より選択される。
【0029】
本明細書で説明される任意の式(例えば、式(IId)−(IIk))のいくつかの実施形態では、L
1は、随意に置換されたC
1−6アルキレンである。
【0030】
本明細書で説明される任意の式(例えば、式(I)または(IIa)−(IIk))のいくつかの実施形態では、R
3は、随意に置換されたC
1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、各R
1およびR
2は、独立して、直線および分岐形態を含む、非置換C
11−24アルケニルまたは非置換C
11−24ヘテロアルケニルである(例えば、各R
1およびR
2は、独立して、1つ以上の二重結合を含有する、非置換C
11−24アルケニルまたは非置換C
11−24ヘテロアルケニルである)。いくつかの実施形態では、R
1またはR
2のうちの1つは、飽和C
11−24アルキルではない。いくつかの実施形態では、R
1およびR
2の両方は、飽和C
11−24アルキルではない。いくつかの実施形態では、各R
1およびR
2は、独立して、リノレニル(C18:3)、リノレニルオキシ(C18:3)、リノレノイル(C18:3)、リノレイル(C18:2)、リノレイルオキシ(C18:2)、リノレオイル(C18:2)、オレイル(C18:1)、オレイルオキシ(18:1)、オレイルオキシメチレン(18:1)、オレオイル(C18:1)、オレオイルメチレン(C18:1)、ステアリル(C18:0)、ステアリルオキシ(C18:0)、ステアロイル(C18:0)、パルミチル(C16:0)、パルミチルオキシ(C16:0)、パルミトイル(C16:0)、パルミトイルメチレン(C16:0)、ミリスチル(C14:0)、ミリスチルオキシ(C14:0)、ミリストイル(C14:0)、ラウリル(C12:0)、ラウリルオキシ(C12:0)、およびラウロイル(C12:0)から成る群より選択され、例えば、リノレイル(C18:2)またはオレイル(C18:1)である。いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、同一であるか、または異なる。
【0031】
本明細書で説明される任意の式(例えば、式(I)または(IIa)−(IIk))のいくつかの実施形態では、R
3およびR
4の両方ではないが、R
3またはR
4は、1級アミンと置換される。いくつかの実施形態では、R
3およびR
4の両方は、1級アミンと置換されない。
【0032】
本明細書で説明される任意の式(例えば、式(I)または(IIa)−(IIk))のいくつかの実施形態では、R
3およびR
4は、それらが付着しているNとともに、表2および3からのH−1からH−52のうちの1つの頭部基を含む。いくつかの実施形態では、各R
1およびR
2は、独立して、リノレニル(C18:3)、リノレニルオキシ(C18:3)、リノレノイル(C18:3)、リノレイル(C18:2)、リノレイルオキシ(C18:2)、リノレオイル(C18:2)、オレイル(C18:1)、オレイルオキシ(18:1)、オレイルオキシメチレン(18:1)、オレオイル(C18:1)、オレオイルメチレン(C18:1)、ステアリル(C18:0)、ステアリルオキシ(C18:0)、ステアロイル(C18:0)、パルミチル(C16:0)、パルミチルオキシ(C16:0)、パルミトイル(C16:0)、パルミトイルメチレン(C16:0)、ミリスチル(C14:0)、ミリスチルオキシ(C14:0)、ミリストイル(C14:0)、ラウリル(C12:0)、ラウリルオキシ(C12:0)、およびラウロイル(C12:0)から成る群より選択され、例えば、各R
1およびR
2は、独立して、リノレイル(C18:2)またはオレイル(C18:1)である。
【0033】
別の態様では、本発明の化合物は、R
1R
2−CH−Aを含み、R
1およびR
2は、尾部基(例えば、本明細書、例えば、表4で説明されるいずれか)であり、Aは、頭部基(例えば、本明細書、例えば、表2および3で説明されるいずれか)である。いくつかの実施形態では、頭部基は、H−1からH−52のうちの1つ、例えば、H−2、H−5、H−6、H−19、H−26、またはH−43、例えば、H−5またはH−43)である。
【0034】
別の態様では、本発明の化合物は、表1で提供される任意の化合物、またはその薬学的に容認可能な塩である。
【0035】
1つの態様では、本発明は、本明細書で説明される任意の化合物(例えば、表1で提供される1つ以上の化合物)、またはその薬学的に容認可能な塩を含む、製剤を特色とする。
【0036】
いくつかの実施形態では、本製剤は、本化合物のうちの2つ以上、例えば、本化合物のうちの2つ、3つ、4つ、5つ、5つ、6つ、7つ以上を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本製剤は、約10%から約80%の本化合物、例えば、約10%から約15%、約10%から約20%、約10%から約25%、約10%から約30%、約10%から約35%、約15%から約20%、約15%から約25%、約15%から約30%、約15%から約35%、約15%から約40%、約20%から約25%、約20%から約30%、約20%から約35%、約20%から約40%、約25%から約30%、約25%から約35%、約25%から約40%、約30%から約35%、約30%から約40%、または約35%から約40%の本発明の1つ以上の化合物を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、本製剤はさらに、陽イオン性脂質(例えば、DODMA、DOTMA、DPePC、DODAP、またはDOTAPと、中性脂質(例えば、DSPC、POPC、DOPE、またはSM)と、随意に、ステロール誘導体(例えば、コレステロール、コレスタノン、コレステノン、コプロスタノール、3β−[−(N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(DC−コレステロール)、ビス−グアニジウム−トレン−コレステロール(BGTC)、(2S,3S)−2−(((3S,10R,13R,17R)−10,13−ジメチル17−((R)−6−メチルヘプタン−2−イル)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシ)カルボニルアミノ)エチル2,3,4,4−テトラヒドロキシブタノエート(DPC−1)、(2S,3S)−((3S,10R,13R,17R)−10,13−ジメチル−17−((R)−6−メチルヘプタン−2−イル)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル)2,3,4,4−テトラヒドロキシブタノエート(DPC−2)、ビス((3S,10R,13R,17R)−10,13−ジメチル17−((R)−6−メチルヘプタン−2−イル)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル)2,3,4−トリヒドロキシペンタンジオエート(DPC−3)、または6−(((3S,10R,13R,17R)−10,13−ジメチル17−((R)−6−メチルヘプタン−2−イル)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシ)オキシドホスホリルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロキシヘキサノエート(DPC−4)]とを含む。いくつかの実施形態では、本製剤はさらに、PEG−脂質複合体(例えば、PEG−DMG、PEG−DMPE、PEG−DSPE、PEG−DPPE、PEG−DPG、PEG−DOPE、およびPEG−DOG)を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、本製剤は、約10モル%から約40モル%の本発明の1つ以上の化合物(例えば、本明細書、例えば、表1で説明される任意の化合物のうちの1つ以上)、約10モル%から約40モル%の1つ以上の陽イオン性脂質または本発明の1つ以上の化合物(例えば、本明細書、例えば、表1で説明される任意の化合物のうちの1つ以上)、約1モル%から約20モル%の1つ以上のPEG−脂質複合体、約5モル%から約20モル%の1つ以上の中性脂質、および約20モル%から約40モル%の1つ以上のステロール誘導体を含む。
【0040】
特定の実施形態では、本製剤は、約10モル%から約80モル%(例えば、約48モル%等の約40モル%から約55モル%)の1つ以上の陽イオン性脂質(例えば、本発明の化合物および/または本明細書で説明されるような他の陽イオン性脂質)、約1モル%から約20モル%の1つ以上のPEG−脂質複合体、約5モル%から約20モル%の1つ以上の中性脂質、および約20モル%から約40モル%の1つ以上のステロール誘導体を含む。いくつかの実施形態では、本製剤は、約10モル%から約30モル%(例えば、約22モル%)の本発明の1つ以上の化合物(例えば、L−6、L−30、および/または本明細書で説明されるいずれか)、約15モル%から約35モル%(例えば、約26モル%)の1つ以上の陽イオン性脂質(例えば、DODMAまたは本明細書で説明されるいずれか)、約3モル%から約9モル%(例えば、約6モル%)の1つ以上のPEG−脂質複合体(例えば、PEG−DSPE、PEG−DMPE、および/または本明細書で説明されるいずれか)、約10モル%から約20モル%(例えば、約14モル%)の1つ以上の中性脂質(例えば、DSPCまたは本明細書で説明されるいずれか)、および約20モル%から約40モル%(例えば、約33モル%等の約29モル%から約33モル%)の1つ以上のステロール誘導体(例えば、コレステロール、その誘導体、または本明細書で説明されるいずれか)を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明の1つ以上の化合物は、約10モル%から約40モル%、例えば、約10モル%から約15モル%、約10モル%から約20モル%、約10モル%から約25モル%、約10モル%から約30モル%、約10モル%から約35モル%、約15モル%から約20モル%、約15モル%から約25モル%、約15モル%から約30モル%、約15モル%から約35モル%、約15モル%から約40モル%、約20モル%から約25モル%、約20モル%から約30モル%、約20モル%から約35モル%、約20モル%から約40モル%、約25モル%から約30モル%、約25モル%から約35モル%、約25モル%から約40モル%、約30モル%から約35モル%、約30モル%から約40モル%、または約35モル%から約40モル%(例えば、約21.0モル%、21.2モル%、21.4モル%、21.6モル%、21.8モル%、22モル%、25モル%、26モル%、26モル%、30モル%、35モル%、または40モル%)の本発明の1つ以上の化合物の量で存在する。いくつかの実施形態では、本発明の1つ以上の化合物は、約10モル%から約80モル%、例えば、約10モル%から約15モル%、約10モル%から約20モル%、約10モル%から約25モル%、約10モル%から約30モル%、約10モル%から約35モル%、約10モル%から約40モル%、約10モル%から約45モル%、約10モル%から約50モル%、約10モル%から約55モル%、約10モル%から約60モル%、約10モル%から約65モル%、約10モル%から約70モル%、約10モル%から約75モル%、約15モル%から約20モル%、約15モル%から約25モル%、約15モル%から約30モル%、約15モル%から約35モル%、約15モル%から約40モル%、約15モル%から約45モル%、約15モル%から約50モル%、約15モル%から約55モル%、約15モル%から約60モル%、約15モル%から約65モル%、約15モル%から約70モル%、約15モル%から約75モル%、約15モル%から約80モル%、約20モル%から約25モル%、約20モル%から約30モル%、約20モル%から約35モル%、約20モル%から約40モル%、約20モル%から約45モル%、約20モル%から約50モル%、約20モル%から約55モル%、約20モル%から約60モル%、約20モル%から約65モル%、約20モル%から約70モル%、約20モル%から約75モル%、約20モル%から約80モル%、約25モル%から約30モル%、約25モル%から約35モル%、約25モル%から約40モル%、約25モル%から約45モル%、約25モル%から約50モル%、約25モル%から約55モル%、約25モル%から約60モル%、約25モル%から約65モル%、約25モル%から約70モル%、約25モル%から約75モル%、約25モル%から約80モル%、約30モル%から約35モル%、約30モル%から約40モル%、約30モル%から約45モル%、約30モル%から約50モル%、約30モル%から約55モル%、約30モル%から約60モル%、約30モル%から約65モル%、約30モル%から約70モル%、約30モル%から約75モル%、約30モル%から約80モル%、約35モル%から約40モル%、約35モル%から約45モル%、約35モル%から約50モル%、約35モル%から約55モル%、約35モル%から約60モル%、約35モル%から約65モル%、約35モル%から約70モル%、約35モル%から約75モル%、または約35モル%から約80モル%、約40モル%から約45モル%、約40モル%から約50モル%、約40モル%から約55モル%、約40モル%から約60モル%、約40モル%から約65モル%、約40モル%から約70モル%、約40モル%から約75モル%、約40モル%から約80モル%、約45モル%から約50モル%、約45モル%から約55モル%、約45モル%から約60モル%、約45モル%から約65モル%、約45モル%から約70モル%、約45モル%から約75モル%、または約45モル%から約80モル%、約50モル%から約55モル%、約50モル%から約60モル%、約50モル%から約65モル%、約50モル%から約70モル%、約50モル%から約75モル%、または約50モル%から約80モル%(例えば、約21.0モル%、21.2モル%、21.4モル%、21.6モル%、21.8モル%、22モル%、25モル%、26モル%、26モル%、30モル%、35モル%、40モル%、45モル%、48モル%、49モル%、50モル%、55モル%、60モル%、65モル%、70モル%、または75モル%)の本発明の1つ以上の化合物の量で存在する。
【0042】
いくつかの実施形態では、1つ以上の陽イオン性脂質は、約10モル%から約40モル%、例えば、約10モル%から約15モル%、約10モル%から約20モル%、約10モル%から約25モル%、約10モル%から約30モル%、約10モル%から約35モル%、約15モル%から約20モル%、約15モル%から約25モル%、約15モル%から約30モル%、約15モル%から約35モル%、約15モル%から約40モル%、約20モル%から約25モル%、約20モル%から約30モル%、約20モル%から約35モル%、約20モル%から約40モル%、約25モル%から約30モル%、約25モル%から約35モル%、約25モル%から約40モル%、約30モル%から約35モル%、約30モル%から約40モル%、または約35モル%から約40モル%(例えば、約25.1モル%、25.2モル%、25.3モル%、25.4モル%、25.5モル%、25.6モル%、25.7モル%、25.8モル%、25.9モル%、26.0モル%、26.2モル%、26.4モル%、26.6モル%、26.8モル%、または27モル%)の1つ以上の陽イオン性脂質(例えば、DODMAまたは表1等の本明細書で説明されるいずれか)の量で存在する。
【0043】
いくつかの実施形態では、1つ以上のPEG−脂質複合体は、約1モル%から約20モル%、例えば、約1モル%から約5モル%、約1モル%から約10モル%、約1モル%から約15モル%、約2モル%から約5モル%、約2モル%から約10モル%、約2モル%から約15モル%、約2モル%から約20モル%、約5モル%から約10モル%、約5モル%から約15モル%、約5モル%から約20モル%、約10モル%から約15モル%、約10モル%から約20モル%、約15モル%から約20モル%(例えば、約2.5モル%、2.6モル%、2.7モル%、2.8モル%、2.9モル%、3モル%、3.5モル%、4モル%、4.3モル%、4.5モル%、4.7モル%、5モル%、5.3モル%、5.5モル%、5.7モル%、6モル%、6.5モル%、6.7モル%、7モル%、7.5モル%、8モル%、8.5モル%、または9モル%)の1つ以上のPEG−脂質複合体(例えば、PEG−DSPE、PEG−DMPE、および/または本明細書で説明されるいずれか)の量で存在する。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つ以上の中性脂質は、約5モル%から約20モル%、例えば、約5モル%から約10モル%、約5モル%から約15モル%、約5モル%から約20モル%、約7モル%から約10モル%、約7モル%から約15モル%、約7モル%から約20モル%、約10モル%から約15モル%、約10モル%から約20モル%、約15モル%から約20モル%(例えば、約13.0モル%、13.2モル%、13.4モル%、13.6モル%、13.8モル%、14モル%、14.1モル%、14.3モル%、14.5モル%、14.7モル%、または14.9モル%)の1つ以上の中性脂質(例えば、DSPCまたは本明細書で説明されるいずれか)の量で存在する。
【0045】
いくつかの実施形態では、1つ以上のステロール誘導体は、約20モル%から約40モル%、例えば、約20モル%から約25モル%、約20モル%から約30モル%、約20モル%から約35モル%、約25モル%から約30モル%、約25モル%から約35モル%、約25モル%から約40モル%、約30モル%から約35モル%、約30モル%から約40モル%、または約35モル%から約40モル%(例えば、約28.4モル%、28.6モル%、28.8モル%、29.0モル%、30モル%、31モル%、32モル%、33モル%、33.2モル%、33.4モル%、33.6モル%、33.8モル%、34モル%、34.4モル%、34.7モル%、または34.9モル%)の1つ以上のステロール誘導体(例えば、コレステロールまたは本明細書で説明されるいずれか)の量で存在する。
【0046】
いくつかの実施形態では、本製剤は、1つ以上のRNA結合剤と、1つ以上のトランスフェクション脂質とを含む、1つ以上の脂質粒子を含み、1つ以上のRNA結合剤は、約10モル%から約40モル%の1つ以上の陽イオン性脂質または本発明の1つ以上の化合物、および約0.5モル%から約10モル%の1つ以上のPEG−脂質を含み、1つ以上のトランスフェクション脂質は、約10モル%から約40モル%の本発明の1つ以上の化合物、約5モル%から約20モル%の1つ以上の中性脂質、約0.5モル%から約10モル%の1つ以上のPEG−脂質複合体、および約20モル%から約40モル%の1つ以上のステロール誘導体を含む。付加的な製剤および割合は、本明細書で説明される通りである。
【0047】
いくつかの実施形態では、本製剤はさらに、ポリアニオン系ペイロードまたはアンチセンスペイロードを含む。いくつかの実施形態では、ポリアニオン系ペイロードは、RNAi剤(例えば、dsRNA、siRNA、miRNA、shRNA、ptgsRNA、またはDsiRNA、例えば、DsiRNA)である。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、RNAi剤は、10から40個のヌクレオチドの長さ、例えば、10から15個のヌクレオチド、10から20個のヌクレオチド、10から25個のヌクレオチド、10から30個のヌクレオチド、10から35個のヌクレオチド、15から20個のヌクレオチド、15から25個のヌクレオチド、15から30個のヌクレオチド、15から35個のヌクレオチド、15から40個のヌクレオチド、16から20個のヌクレオチド、16から25個のヌクレオチド、16から30個のヌクレオチド、16から35個のヌクレオチド、16から40個のヌクレオチド、20から25個のヌクレオチド、18から20個のヌクレオチド、18から25個のヌクレオチド、18から30個のヌクレオチド、18から35個のヌクレオチド、18から40個のヌクレオチド、19から20個のヌクレオチド、19から25個のヌクレオチド、19から30個のヌクレオチド、19から35個のヌクレオチド、19から40個のヌクレオチド、20から30個のヌクレオチド、20から35個のヌクレオチド、20から40個のヌクレオチド、25から30個のヌクレオチド、25から35個のヌクレオチド、25から40個のヌクレオチド、30から35個のヌクレオチド、30から40個のヌクレオチド、または35から40個のヌクレオチドの長さ、例えば、25から35個のヌクレオチドの長さ、例えば、16から30個のヌクレオチドの長さ、例えば、19から29個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、アンチセンスペイロードは、8から50個のヌクレオチドの長さ(例えば、8から10個のヌクレオチド、8から15個のヌクレオチド、8から15個のヌクレオチド、8から20個のヌクレオチド、8から25個のヌクレオチド、8から30個のヌクレオチド、8から35個のヌクレオチド、8から40個のヌクレオチド、または8から45個のヌクレオチドの長さ)例えば、14から35個のヌクレオチドの長さ(例えば、14から15個のヌクレオチド、14から20個のヌクレオチド、14から25個のヌクレオチド、または14から30個のヌクレオチドの長さ)、例えば、17から24個のヌクレオチド、例えば、17から20個のヌクレオチドの長さを有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、本製剤は、製剤に存在する総脂質に対して、約1:10(重量/重量)から約1:100(重量/重量)比のポリアニオン系ペイロード、例えば、製剤に存在する総脂質に対して、約1:10(重量/重量)から約1:15(重量/重量)比、約1:10(重量/重量)から約1:20(重量/重量)比、約1:10(重量/重量)から約1:40(重量/重量)比、約1:10(重量/重量)から約1:50(重量/重量)比、約1:10(重量/重量)から約1:60(重量/重量)比、約1:10(重量/重量)から約1:70(重量/重量)比、約1:10(重量/重量)から約1:80(重量/重量)比、約1:10(重量/重量)から約1:90(重量/重量)比、約1:10(重量/重量)から約1:95(重量/重量)比、約1:20(重量/重量)から約1:40(重量/重量)比、約1:20(重量/重量)から約1:50(重量/重量)比、約1:20(重量/重量)から約1:60(重量/重量)比、約1:20(重量/重量)から約1:70(重量/重量)比、約1:20(重量/重量)から約1:80(重量/重量)比、約1:20(重量/重量)から約1:90(重量/重量)比、約1:20(重量/重量)から約1:95(重量/重量)比、約1:20(重量/重量)から約1:100(重量/重量)比、約1:40(重量/重量)から約1:50(重量/重量)比、約1:40(重量/重量)から約1:60(重量/重量)比、約1:40(重量/重量)から約1:70(重量/重量)比、約1:40(重量/重量)から約1:80(重量/重量)比、約1:40(重量/重量)から約1:90(重量/重量)比、約1:40(重量/重量)から約1:95(重量/重量)比、約1:40(重量/重量)から約1:100(重量/重量)比、約1:50(重量/重量)から約1:60(重量/重量)比、約1:50(重量/重量)から約1:70(重量/重量)比、約1:50(重量/重量)から約1:80(重量/重量)比、約1:50(重量/重量)から約1:90(重量/重量)比、約1:50(重量/重量)から約1:95(重量/重量)比、約1:50(重量/重量)から約1:100(重量/重量)比、約1:60(重量/重量)から約1:70(重量/重量)比、約1:60(重量/重量)から約1:80(重量/重量)比、約1:60(重量/重量)から約1:90(重量/重量)比、約1:60(重量/重量)から約1:95(w/w)(重量/重量)比、約1:60(重量/重量)から約1:100(重量/重量)比、約1:80(重量/重量)から約1:90(重量/重量)比、約1:80(重量/重量)から約1:95(重量/重量)比、または約1:80(重量/重量)から約1:100(重量/重量)比のポリアニオン系ペイロードを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、本製剤は、リポソーム(例えば、脂質ナノ粒子)、リポプレックス、またはミセルを含む。
【0050】
1つの態様では、本発明は、本明細書で説明されるいずれかの化合物(例えば、表1で提供される1つ以上の化合物)、またはその薬学的に容認可能な塩、あるいは本明細書で説明される製剤と、薬学的に容認可能な賦形剤とを含む、医薬組成物を特色とする。
【0051】
別の態様では、本発明は、対象の疾患を治療する、または予防的に治療する方法であって、疾患(例えば、肝臓癌(例えば、肝細胞癌、肝芽腫、胆管癌、脈管肉腫、または血管肉腫)、肺癌(例えば、小細胞肺癌、または非小細胞肺癌)、前立腺癌、または神経芽細胞腫)を治療するのに十分な量で、本明細書で説明される任意の化合物(例えば、表1で提供される1つ以上の化合物)、またはその薬学的に容認可能な塩、本明細書で説明される任意の製剤、あるいは本明細書で説明される任意の組成物を対象に投与することを含む、方法を特色とする。本発明はさらに、限定されないが、癌(例えば、肺、乳房、膵臓、結腸、肝細胞、腎臓、女性生殖管、前立腺、扁平上皮細胞、上皮内癌)、リンパ腫(例えば、組織球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、MEN2症候群、神経線維腫症(シュワン細胞新生物を含む)、骨髄異形成症候群、白血病、腫瘍血管新生、甲状腺、肝臓、骨、皮膚、脳、中枢神経系、膵臓、肺(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌)、乳房、結腸、膀胱、前立腺、消化管、子宮内膜、卵管、精巣、および卵巣の癌、消化管間質腫瘍(GIST)、前立腺腫瘍、肥満細胞腫瘍(イヌ肥満細胞腫瘍を含む)、急性骨髄線維症、白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、黒色腫、肥満細胞症、神経膠腫、膠芽細胞腫、星状細胞腫、神経芽細胞腫、肉腫(例えば、神経外胚葉起源の肉腫、または平滑筋肉腫)、他の組織への腫瘍の転移、および化学療法誘導性低酸素症を含む、腫瘍性疾患または関連合併症を治療する、または予防的に治療する方法を特色とする。
【0052】
別の態様では、本発明は、対象の標的核酸の発現を変調する方法であって、対象の標的遺伝子(例えば、本明細書で説明されるいずれか、例えば、ABL1、AR、β−カテニン(CTNNB1)、BCL1、BCL2、BCL6、CBFA2、CBL、CSF1R、ERBA1、ERBA2、ERBB1、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ETS1、ETS2、ETV6、FGR、FOS、FYN、HCR、HRAS、JUN、KRAS、LCK、LYN、MET、MDM2、MLL1、MLL2、MLL3、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、NRAS、PIM1、PML、RET、SRC、TAL1、TAL2、TCL3、TCL5、YES、BRCA1、BRCA2、MADH4、MCC、NF1、NF2、RB1、TP53、WT1、ApoB100、CSN5、CDK6、ITGB1、TGFβ1、サイクリンD1、ヘプシジン、PCSK9、TTR、PLK1、およびKIF1−結合タンパク質から成る群より選択される1つ以上の標的遺伝子)の発現を低減させるのに十分な量で、本明細書で説明される任意の化合物(例えば、表1で提供される1つ以上の化合物)、またはその薬学的に容認可能な塩、本明細書で説明される任意の製剤、あるいは説明される任意の組成物を投与することを含む、方法を特色とする(例えば、本方法は、対象の標的遺伝子の発現を低減する方法を含む)。
【0053】
別の実施形態では、本発明は、1日に1回以上(例えば、1日に1、2、3、または4回)、週に1回以上(例えば、週に2、3、4、5、6、または7回)、または月に1回以上(例えば、月に2、3、4、5、6、7、または10回)の対象への本発明のポリアニオン系ペイロードまたはアンチセンスペイロードの投与量の投与を特色とする。対象は、任意の用量用法で(例えば、1日に1回以上(例えば、1日に1、2、3、または4回)、週に1回以上(例えば、週に2、3、4、5、6、または7回)、または月に1回以上(例えば、月に2、3、4、5、6、7、または10回))、約0.0001から約10mg/kg、例えば、約0.0001から約1mg/kg、約0.0001から約5mg/kg、約0.001から約1mg/kg、約0.001から約5mg/kg、約0.001から約10mg/kg、約0.01から約1mg/kg、約0.01から約5mg/kg、約0.01から約10mg/kg、約1から約5mg/kg、または約1から約10mg/kgの範囲内のポリアニオン系ペイロードまたはアンチセンスペイロードの投与量を受容してもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、1日に1回以上(例えば、1日に1、2、3、または4回)、週に1回以上(例えば、週に2、3、4、5、6、または7回)、または月に1回以上(例えば、月に2、3、4、5、6、7、または10回)の対象への本発明の製剤の投与を特色とする。対象は、任意の用量用法で(例えば、1日に1回以上(例えば、1日に1、2、3、または4回)、週に1回以上(例えば、週に2、3、4、5、6、または7回)、または月に1回以上(例えば、月に2、3、4、5、6、7、または10回))、約0.001から約200mg/kg、例えば、約0.001から約1mg/kg、約0.001から約10mg/kg、約0.001から約20mg/kg、約0.001から約50mg/kg、約0.001から約100mg/kg、約0.01から約1mg/kg、約0.01から約10mg/kg、約0.01から約20mg/kg、約0.01から約50mg/kg、約0.01から約100mg/kg、約0.01から約200mg/kg、約0.1から約1mg/kg、約0.1から約10mg/kg、約0.1から約20mg/kg、約0.1から約50mg/kg、約0.1から約100mg/kg、約0.1から約200mg/kg、約1から約10mg/kg、約1から約20mg/kg、約1から約50mg/kg、約1から約100mg/kg、約1から約200mg/kg、約10から約20mg/kg、約10から約50mg/kg、約10から約100mg/kg、約10から約200mg/kg、約20から約50mg/kg、約20から約100mg/kg、または約20から約200mg/kgの範囲内の製剤の投与量を受容してもよい。
【0055】
別の態様では、本発明は、ポリアニオン系ペイロードまたはアンチセンスペイロードを特定の種類の組織に送達する方法を特色とする。ペイロードが送達され得る特定の種類の組織の実施例は、肝臓、膵臓、肺、前立腺、腎臓、骨髄、脾臓、胸腺、リンパ節、脳、脊髄、心臓、骨格筋、皮膚、口腔粘膜、食道、胃、回腸、小腸、結腸、膀胱、子宮頸部、卵巣、精巣、乳腺、副腎、脂肪組織(白色および/または褐色)、血液(例えば、ヒト造血前駆細胞、ヒト造血幹細胞、CD34+細胞、CD4+細胞等の造血細胞)、リンパ球、および他の血液系統細胞を含むが、それらに限定されない。
【0056】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、2つの不飽和脂質尾部基を含む(例えば、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルケニル、随意に置換されたC
11−24アルキニル、随意に置換されたC
11−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
11−24ヘテロアルキニルである)。
【0057】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、脂質尾部基を含み、これらの基は、−CHR
3R
4に隣接する酸素を含まない(例えば、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
11−24アルキル、随意に置換されたC
11−24アルケニル、または随意に置換されたC
11−24アルキニルである)。
【0058】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、脂質尾部基を含み、これらの基は、1つ以上の生分解性基(例えば、1つ以上のエステル基)を含まない。
【0059】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、11、12、13、14、15、16、または18個よりも多くの炭素を有する、2つの脂質尾部基を含む(例えば、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
17−24アルケニル、随意に置換されたC
15−24アルキニル、随意に置換されたC
15−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
15−24ヘテロアルキニルであり、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
16−24アルケニル、随意に置換されたC
16−24アルキニル、随意に置換されたC
16−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
16−24ヘテロアルキニルであり、各R
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
17−24アルケニル、随意に置換されたC
17−24アルキニル、随意に置換されたC
17−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
17−24ヘテロアルキニルであり、あるいはR
1およびR
2は、独立して、随意に置換されたC
18−24アルケニル、随意に置換されたC
18−24アルキニル、随意に置換されたC
18−24ヘテロアルケニル、または随意に置換されたC
18−24ヘテロアルキニルである)。
【0060】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、尿素基を含有しない(例えば、R
3もR
4も、随意に置換されたアミドではない)。いくつかの実施形態では、本化合物は、カルバミル基を含有しない。いくつかの実施形態では、化合物は、1つよりも多くの1級アミン基を含有しない(例えば、2つの1級アミン基を含有しない、またはR
1−R
6のうちの1つ以上、例えば、R
3またはR
4のいずれか一方に、いなかる1級アミン基も含有しない)。特定の実施形態では、本化合物は、1つだけの1級アミンを含むか、またはいかなる1級アミンも含まない(例えば、R
1−R
6のうちの1つ以上、例えば、R
3またはR
4のいずれか一方に、1つだけの1級アミンが存在するか、またはいかなる1級アミンも存在しない)。
【0061】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、ヒドロキシ基を含有しない(例えば、R
1もR
2も、1つ、2つ、または3つのヒドロキシ基と置換されない、あるいはR
3もR
4も、1つ、2つ、または3つのヒドロキシ基と置換されない)。いくつかの実施形態では、R
1またはR
2が飽和C
11−24アルキル基(例えば、飽和C
15アルキル、飽和C
16アルキル、飽和C
17アルキル、または飽和C
18アルキル)であるとき、R
1および/またはR
2は、1つ、2つ、または3つのヒドロキシ基と置換されない。いくつかの実施形態では、R
1またはR
2が飽和C
11−24アルキル基(例えば、飽和C
15アルキル、飽和C
16アルキル、飽和C
17アルキル、または飽和C
18アルキル)であるとき、R
3および/またはR
4は、1つ、2つ、または3つのヒドロキシ基と置換されない。
【0062】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、わずか2つのアミド基(例えば、化合物の頭部基にわずか2つまたは1つのアミド基)を含む。他の実施形態では、本化合物は、R
1−R
6のうちの1つ以上にゼロ、1つ、または2つのアミド基(例えば、R
3またはR
4にゼロ、1つ、または2つのアミド基)を含む。さらに別の実施形態では、本化合物は、1つ、および1つだけのアミド基を含むことができる(例えば、R
3またはR
4に1つ、および1つだけのアミド基を含むことができる)。さらなる実施形態では、本化合物は、1つ、および1つだけのアミド基を含むか、またはいかなるアミド基も含まない(例えば、R
3またはR
4に1つ、および1つだけのアミド基を含むか、またはいかなるアミド基も含まない)。
【0063】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、N−(4−N′,N′−ジメチルアミノ)ブタノール−(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−アミン、またはN−(3−N′,N′−ジメチルアミノ)プロパノール−(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−アミン、あるいはそれらの塩を除外する。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、N−メチル−N−(4−N′,N′−ジメチルアミノ)ブタノール−(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−アミン、またはN−メチル−N−(3−N′,N′−ジメチルアミノ)プロパノール−(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−アミン、あるいはそれらの塩を除外する。
【0064】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、N−(4−N′,N′−ジメチルアミノ)ブタノール−(6Z,9Z,28Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28−トリエン−19−アミン、N−メチル−N−(4−N′,N′−ジメチルアミノ)ブタノール−(6Z,9Z,28Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28−トリエン−19−アミン、N−(4−N′,N′−ジメチルアミノ)ブタノール−(6Z,9Z,28Z,31Z,34Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31,34−ペンタエン−19−アミン、N−メチル−N−(4−N′,N′−ジメチルアミノ)ブタノール−(6Z,9Z,28Z,31Z,34Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31,34−ペンタエン−19−アミン、N−(3−N′,N′−ジメチルアミノ)プロパノール−(6Z,9Z,28Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28−トリエン−19−アミン、N−メチル−N−(3−N′,N′−ジメチルアミノ)プロパノール−(6Z,9Z,28Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28−トリエン−19−アミン、N−(3−N′,N′−ジメチルアミノ)プロパノール−(6Z,9Z,28Z,31Z,34Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31,34−ペンタエン−19−アミン、N−メチル−N−(3−N′,N′−ジメチルアミノ)プロパノール−(6Z,9Z,28Z,31Z,34Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31,34−ペンタエン−19−アミン、またはそれらの塩を除外する。
【0065】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、ジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−((3−(ジメチルアミノ)プロパノール)アミノ)ヘプタデカンジオエート、ジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノール)アミノ)ヘプタデカンジオエート、ジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−((5−(ジメチルアミノ)ペンタノイル)アミノ)ヘプタデカンジオエート、またはそれらの塩を除外する。
【0066】
上記の態様のうちのいずれかでは、本発明の化合物は、6.2未満および6.5以上のpKa値(例えば、4.0から5.2、4.0から5.6、または4.0から5.8等の4.0から6.2、あるいは6.5から8.5、例えば、6.5から7.0、6.5から7.5、または6.5から8.0のpKa値)を有する。特定の実施形態では、pKa値は、約5.0から約6.0(例えば、5.0から5.5、5.0から5.6、5.0から5.7、5.0から5.8、5.0から5.9、5.0から6.0、5.2から5.5、5.2から5.6、5.2から5.7、5.2から5.8、5.2から5.9、5.2から6.0、5.4から5.5、5.4から5.6、5.4から5.7、5.4から5.8、5.4から5.9、5.4から6.0、5.6から5.7、5.6から5.8、5.6から5.9、または5.6から6.0)である。pKa値は、任意の有用な方法、例えば、2−(p−トルイジン)−6−ナフタレンスルホン酸(TNS)の蛍光を測定すること、ゼータ電位測定等によって判定することができる。特定の実施形態では、pKa値は、(例えば、pKaが半最大蛍光強度でのpHとして定義される、原位置TNS蛍光滴定によって測定されるような)荷電陽イオン性脂質の濃度および非荷電脂質の比である。
【0067】
定義
本明細書で使用されるように、「約」という用語は、記載された値の±10%を意味する。
【0068】
「アルケニル」とは、特に指定がない限り、1つ以上の炭素炭素二重結合を含有する、2から24個の炭素の一価直鎖基または分岐鎖基を意味する。アルケニル基は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、オレイル、リノレイル、リノレニル、および同等物によって例示される。「C
x−yアルケニル」という用語は、xからy個の炭素を有するアルケニル基を表す。xの例示的な値は、2、3、4、5、および11であり、yについては、3、4、5、6、および24であり、xからyについては、2から10、2から9、2から8、2から7、2から6、2から5、2から4、10から24、11から24、12から24、14から24、16から24、18から24、10から22、11から22、12から22、14から22、16から22、18から22、10から20、11から20、12から20、14から20、16から20、または18から20である。いくつかの実施形態では、アルケニルは、アルキル基について本明細書で定義されるように、1、2、3、または4個の置換基とさらに置換することができる。
【0069】
「アルキル」とは、特に指定がない限り、1から24個の炭素原子の一価直鎖または分岐鎖飽和基を意味する。アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、および同等物によって例示され、(1)アルコキシ、(2)本明細書で定義されるようなアミノ、(3)F、Cl、Br、またはI等のハロ、(4)(ヘテロシクリル)オキシ、(5)ヘテロシクリル、(6)アルキル、(7)アルケニル、(9)アルキニル、(10)シクロアルキル、(11)ヒドロキシ、(12)ニトロ、または(13)オキソ(例えば、カルボキシアルデヒドまたはアシル)から成る群より独立して選択される、1つ、2つ、3つの置換基、または2つ以上の炭素のアルキル基の場合は4つの置換基と随意に置換されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの基のそれぞれは、本明細書で説明されるようにさらに置換することができる。「C
x−yアルキル」という用語は、xからy個の炭素を有するアルキル基を表す。xの例示的な値は、1、2、3、4、5、および11であり、yについては、2、3、4、5、6、および24であり、xからyについては、1から10、1から9、1から8、1から7、1から6、1から5、1から4、10から24、11から24、12から24、14から24、16から24、18から24、10から22、11から22、12から22、14から22、16から22、18から22、10から20、11から20、12から20、14から20、16から20、または18から20である。
【0070】
本明細書で使用されるような「アルキレン」という用語、および「アルキ−」という接頭語は、2つの水素原子の除去によって直鎖または分岐鎖炭化水素から導出される、多価(例えば、二価)炭化水素基を表す。アルキレン基は、メチレン、エチレン、イソプロピレン、および同等物によって例示される。「C
x−yアルキレン」という用語は、xからy個の炭素を有するアルキレン基を表す。xの例示的な値は、1、2、3、4、および5であり、yの例示的な値は、2、3、4、5、および6である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、アルキル基について本明細書で定義されるように、1、2、3、または4個の置換基とさらに置換することができる。
【0071】
「アルキニル」とは、特に指定がない限り、1つ以上の炭素炭素三重結合を含有する、2から24個の炭素の一価直または分岐鎖基を意味する。アルキニル基は、エチニル、1−プロピニル、および同等物によって例示される。「C
x−yアルキニル」という用語は、xからy個の炭素を有するアルキレン基を表す。xの例示的な値は、2、3、4、5、および11であり、yについては、3、4、5、6、および24であり、xからyについては、2から10、2から9、2から8、2から7、2から6、2から5、2から4、10から24、11から24、12から24、14から24、16から24、18から24、10から22、11から22、12から22、14から22、16から22、18から22、10から20、11から20、12から20、14から20、16から20、または18から20である。いくつかの実施形態では、アルキニルは、アルキル基について本明細書で定義されるように、1、2、3、または4個の置換基とさらに置換することができる。
【0072】
「アミド」とは、カルボニル基を通して親分子基に付着した、本明細書で定義されるようなアミン基を意味する。
【0073】
本明細書で使用されるような「アミノ」とは、−N(R
N1)
2を意味し、各R
N1は、独立して、H、OH、NO
2、N(R
N2)
2、SO
2OR
N2、SO
2R
N2、SOR
N2、N−保護基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アルカリル、シクロアルキル、アルクシクロアルキル、ヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)、アルクヘテロシクリル(例えば、アルクヘテロアリール)であり、または2つのR
N1は、ヘテロシクリルまたはN−保護基を形成するように合体し、各R
N2は、独立して、H、アルキル、またはアリールである。好ましい実施形態では、アミノは、−NH
2または−NHR
N1であり、R
N1は、独立して、OH、NO
2、NH
2、NR
N22、SO
2OR
N2、SO
2R
N2、SOR
N2、アルキル、またはアリールであり、各R
N2は、H、アルキル、またはアリールであり得る。「1級アミン」とは、構造−NH
2を有する基を意味する。
【0074】
本明細書で使用されるような「アミノアルキル」とは、本明細書で定義されるようなアミノ基によって置換された、本明細書で定義されるようなアルキル基を表す。アルキルおよびアミノはそれぞれ、それぞれの基について本明細書で説明されるように、1、2、3、または4個の置換基とさらに置換することができる。
【0075】
本明細書で使用されるように、「カルバミル」という用語は、構造−NR
N1C(=O)ORまたは−OC(=O)N(R
N1)
2を有する、カルバミン酸塩基を指し、各R
N1の意味は、本明細書で提供される「アミノ」の定義で見出され、Rは、本明細書で定義されるように、アルキル、シクロアルキル、アルクシクロアルキル、アリール、アルカリル、ヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)、またはアルクヘテロシクリル(例えば、アルクヘテロアリール)である。
【0076】
本明細書で使用されるような「カルボニル」という用語は、C=Oとして表すこともできる、C(O)基を表す。
【0077】
「シクロアルキル」とは、一価で飽和または部分に不飽和の3から10員単環式または多環式(例えば、二環式または三環式)炭化水素環系を意味する。実施例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルを含む。
【0078】
本明細書で使用されるような「ハロ」という用語は、臭素、塩素、要素、またはフッ素から選択されるハロゲンを表す。
【0079】
「ヘテロアルケニル」とは、構成炭素原子のうちの1つ以上が、それぞれO、N、またはSで置き換えられている、本明細書で定義されるようなアルケニル基を意味する。例示的なヘテロアルケニル基は、オキソ基と置換され、および/または酸素原子を通して親分子基に付着した、本明細書で定義されるようなアルケニル基を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基は、アルキル基について本明細書で説明されるように、1、2、3、または4個の置換基とさらに置換することができる。
【0080】
「ヘテロアルキル」とは、構成炭素原子のうちの1つ以上が、それぞれO、N、またはSで置き換えられている、本明細書で定義されるようなアルキル基を意味する。例示的なヘテロアルキル基は、オキソ基と置換され、および/または酸素原子を通して親分子基に付着した、本明細書で定義されるようなアルキル基を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基は、アルキル基について本明細書で説明されるように、1、2、3、または4個の置換基とさらに置換することができる。
【0081】
本明細書で使用されるような「ヘテロアルキレン」という用語は、構成炭素原子のうちの1つまたは2つが、それぞれO、N、またはSで置き換えられている、本明細書で定義されるようなアルキレン基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキレン基は、アルキレン基について本明細書で説明されるように、1、2、3、または4個の置換基とさらに置換することができる。「C
x−yヘテロアルキレン」という用語は、xからy個の炭素を有するヘテロアルキレン基を表す。xの例示的な値は、1、2、3、4、5、および11であり、yについては、2、3、4、5、6、および24であり、xからyについては、1から10、1から9、1から8、1から7、1から6、1から5、1から4、10から24、11から24、12から24、14から24、16から24、18から24、10から22、11から22、12から22、14から22、16から22、18から22、10から20、11から20、12から20、14から20、16から20、または18から20である。
【0082】
「ヘテロアルキニル」とは、構成炭素原子のうちの1つ以上が、それぞれO、N、またはSで置き換えられている、本明細書で定義されるようなアルキニル基を意味する。例示的なヘテロアルキニル基は、オキソ基と置換され、および/または酸素原子を通して親分子基に付着した、本明細書で定義されるようなアルキニル基を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基は、アルキル基について本明細書で説明されるように、1、2、3、または4個の置換基とさらに置換することができる。
【0083】
本明細書で使用されるような「ヘテロアリール」という用語は、芳香族である、本明細書で定義されるようなヘテロシクリルの一部を表し、すなわち、それらは、単または多環式環系内に4n+2pi電子を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ヘテロシクリル基について定義されるように、1、2、3、または4個の置換基と置換される。
【0084】
本明細書で使用されるような「ヘテロシクリル」という用語は、特に指定がない限り、窒素、酸素、および硫黄から成る群より独立して選択される、1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を含有する、3、4、5、6、7、または8員環を表す。ヘテロシクリルは、飽和または不飽和であり、0から3個の不飽和結合を含有し得る。例えば、5員環は、ゼロから2つの二重結合を有し、6および7員環は、ゼロから3つの二重結合を有する。あるヘテロシクリル基は、2から9個の炭素原子、例えば、3から7個の炭素原子を含む。他のそのような基は、最大で12個の炭素原子を含み得る。「ヘテロシクリル」という用語はまた、1つ以上の炭素および/またはヘテロ原子が、単環式環、例えば、キヌクリジニル基の2つの非隣接要素を架橋する、架橋多環式構造を有する、複素環式化合物も表す。複素環基の実施例は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリニル、ピロリル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ピラジニル、ピペラジニル、ジアゼパニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、および同等物を含む。
【0085】
本明細書で使用されるような「(ヘテロシクリル)オキシ」という用語は、酸素原子を通して親分子基に付着した、本明細書で定義されるようなヘテロシクリル基を表す。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、本明細書で定義されるように、1、2、3、または4個の置換基と置換することができる。
【0086】
本明細書で使用されるような「(ヘテロシクリル)オイル」という用語は、カルボニル基を通して親分子基に付着した、本明細書で定義されるようなヘテロシクリル基を表す。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、本明細書で定義されるように、1、2、3、または4個の置換基と置換することができる。
【0087】
本明細書で使用されるような「ヒドロキシ」という用語は、−OH基を表す。
【0088】
「リンカー」とは、1つ以上の原子を含有する、随意に置換された多価(例えば、二価)基を意味する。リンカーの実施例は、本明細書で説明されるような随意に置換されたアルキレンおよびヘテロアルキレン基を含む。
【0089】
本明細書で使用されるような「N−保護基」という用語は、合成手順中の望ましくない反応からアミノ基を保護することを目的としている基を表す。一般的に使用されているN−保護基は、参照することにより本明細書に組み込まれる、Greeneの“Protective Groups in Organic Synthesis,” 3
rd Edition(John Wiley & Sons,New York,1999)で開示されている。N−保護基は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイル、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン等の保護または非保護D、L、またはD、L−アミノ酸等のキラル補助基、および同等物等のアシル、アリーロイル、またはカルバミル基と、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、および同等物等のスルホニル含有基と、ベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2,−トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニル、および同等物等のカルバミン酸塩形成基と、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチル、および同等物等のアルカリル基と、トリメチルシリルおよび同等物等のシリル基とを含む。好ましいN−保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0090】
本明細書で使用されるような「オキソ」という用語は、=Oを表す。
【0091】
「尿素」という用語は、構造NR
N1C(=O)NR
N1を有する基を指し、各R
N1の意味は、本明細書で提供される「アミノ」の定義で見出される。
【0092】
作用物質の「十分な量」とは、臨床結果等の有益または望ましい結果を達成するのに十分な薬剤の量を意味し、そのようなものとして、十分な量は、それが適用される状況に依存する。例えば、標的遺伝子の発現レベルを低減させる製剤を投与する状況で、製剤の十分な量は、製剤の投与を伴わずに得られる応答と比較して、標的遺伝子の発現レベルの低減を達成するのに十分な量である。
【0093】
「陰イオン性脂質」とは、生理学的pHで正味の負電荷を有する、任意の脂質分子を意味する。
【0094】
本明細書で使用されるように、「アンチセンス化合物」または「アンチセンスペイロード」という用語は、とりわけ、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(DNA、DNA様、RNA、RNA様)、またはアンチセンス配向オリゴヌクレオチド、アンチセンスPNA、リボザイム、および外部ガイド配列(例えば、Guerrier−Takada et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:8468,1997で説明されているように、リボヌクレアーゼPを採用する配列)を含む、ある二本鎖または自己交雑構築物を包含する。アンチセンス化合物は、種々の手段によって、それらの効果を示すことができる。1つのそのような手段は、真核生物におけるリボヌクレアーゼHまたは原核生物におけるリボヌクレアーゼP等の内因性ヌクレアーゼのアンチセンス媒介指図である(Chiang et al.,J.Biol.Chem.1266:18162,1991、Forster et al.,Science,249:783,1990)。
【0095】
「陽イオン性脂質」とは、生理学的pHで正味の正電荷を有する、任意の脂質分子を意味する。例示的な陽イオン性脂質は、例えば、表1において、本明細書で説明されるいずれかを含む。
【0096】
「Dicer−基質RNA」または「DsiRNA」とは、遺伝子サイレンシングが可能である25〜35個(例えば、27個等の25〜27個)のヌクレオチド二本鎖分子の類を意味する。他のRNAi剤と比較して、そのさらに長い長さにより、DsiRNAは、Dicerの有望な基質である。
【0097】
「二本鎖分子」とは、RNA干渉を通して遺伝子産物を抑制するために使用することができる、二本鎖RNA:RNAまたはRNA:DNA分子を意味する。
【0098】
「発現」とは、当技術分野で公知である方法による、遺伝子またはポリペプチドの検出を意味する。例えば、DNA発現はしばしば、サザンブロット法またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって検出され、RNA発現はしばしば、ノーザンブロット法、RT−PCR、遺伝子アレイ技術、またはリボヌクレアーゼ保護アッセイによって検出される。タンパク質発現レベルを測定する方法は、概して、ウェスタンブロット法、免疫ブロット法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、免疫沈降、免疫蛍光、表面プラズモン共鳴、化学発光、蛍光偏光、リン光、免疫組織化学分析、マトリクス支援レーザ脱離/イオン化飛行時間(MALDI−TOF)質量分析法、マイクロサイトメトリ、顕微鏡法、蛍光活性化細胞分類(FACS)、およびフローサイトメトリ、ならびに限定されないが、酵素活性または他のタンパク質パートナーとの相互作用を含む、タンパク質の性質に基づくアッセイを含むが、それらに限定されない。
【0099】
「交雑させる」とは、種々の厳密性の条件下で、本明細書で定義されるように、十分に相補的なポリヌクレオチド、またはその複数分の間で二本鎖分子を形成するように対合することを意味する(例えば、Wahl et al.,Methods Enzymol.152:399(1987)、Kimmel,Methods Enzymol.152:507(1987)を参照)。例えば、高い厳密性の塩濃度は、通常、約750mM NaClおよび75mMクエン酸三ナトリウム未満、約500mM NaClおよび50mMクエン酸三ナトリウム未満、または約250mM NaClおよび25mMクエン酸三ナトリウム未満となるであろう。有機溶媒、例えば、ホルムアミドがない場合に、低い厳密性の交雑を得ることができる一方で、少なくとも約35%のホルムアミドまたは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で、高い厳密性の交雑を得ることができる。高い厳密性の温度条件は、通常は、少なくとも約30℃、少なくとも37℃、または42℃の温度を含むであろう。交雑時間、洗剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、およびキャリアDNAの包含または除外等の様々な付加的パラメータが、当業者に周知である。必要に応じて、これらの種々の条件を組み合わせることによって、種々のレベルの厳密性が達成される。一実施形態では、交雑は、750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム、および1%SDS中で30℃において起こるであろう。代替実施形態では、交雑は、その後に洗浄が続く、12〜16時間にわたる交雑後に、pH6.4の400mM NaCl、40mM PIPES、および1mM EDTA中で50℃または70℃において起こるであろう。付加的な好ましい交雑条件は、その後に0.3xSSC中で70℃での洗浄が続く、1xSSC中で70℃または1xSSC、50%ホルムアミド中で50℃における交雑、あるいはその後に1xSSC中で67℃での洗浄が続く、4xSSC中で70℃または4xSSC、50%ホルムアミド中で50℃における交雑を含む。これらの条件での有用な変形例が、当業者に容易に明白となるであろう。そのような1つの例示的な変形例は、生理学的細胞内条件を模倣するように設計されている条件下での交雑の評価を含み、陽イオンおよび陰イオンは、陽イオンについては10:160:2:26でのナトリウム:カリウム:カルシウム:マグネシウム、陰イオンについては3:10:100:20:65での塩化物:重炭酸塩:リン酸塩:硫酸塩:グルコン酸塩といった割合で類別される。
【0100】
「脂質ベクター」とは、リポソーム、リポプレックス、ミセル、脂質ナノ粒子、核系粒子、トランスフェクション脂質(複数可)と組み合わせられるRNA結合剤−RNA凝集体を含む粒子、または本発明の1つ以上の化合物を含む小胞系粒子を意味する。
【0101】
「マイクロRNA」(miRNA)とは、RNA干渉を通して遺伝子産物を抑制するために使用することができる、一本鎖RNA分子を意味する。
【0102】
「変調する」とは、発現、レベル、または活性が、変調因子がない場合に観察されるよりも大きい、または小さいように、遺伝子の発現、またはRNA分子、あるいは1つ以上のタンパク質またはタンパク質サブユニットをコードする同等のRNA分子のレベル、あるいは1つ以上のタンパク質またはタンパク質サブユニットの活性が、上方調節または下方調節されることを意味する。例えば、変調するという用語は、阻害または遺伝子サイレンシングを含むことができ、遺伝子の発現のレベル、あるいはRNA分子またはその同等物のレベルは、対照と比較して、少なくとも10%(例えば、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%)だけ低減させられる。
【0103】
「中性脂質」とは、生理学的pHで非荷電または中性両性イオン形態のいずれかで存在する、任意の脂質分子を意味する。
【0104】
「ポリアニオン系ペイロード」とは、製剤に組み込まれ得る、複数の負に帯電した原子を含む化学部分を意味する。ポリアニオン系ペイロードの実施例は、核酸、RNAi剤、siRNA、dsRNA、miRNA、shRNA、DsiRNA、およびアンチセンスペイロードを含む。
【0105】
「RNA結合剤」とは、核酸、例えば、治療製剤の核酸ペイロードを結合または交雑することが可能な任意の作用物質または作用物質の組み合わせを意味する。RNA結合剤は、本明細書で説明される任意の脂質(例えば、本明細書または表1で説明されるもの等の1つ以上の陽イオン性脂質、または1つ以上の陽イオン性脂質の組み合わせ、ならびに1つ以上の陽イオン性脂質および中性脂質またはPEG−脂質複合体等の他の脂質の組み合わせ)を含む。RNA結合剤は、内部凝集体等の製剤内の任意の有用な構造を形成することができる。
【0106】
「RNAi剤」とは、標的核酸を交雑することによって遺伝子サイレンシング効果を示す、任意の作用物質または化合物を意味する。RNAi剤は、配列特異的RNAi(例えば、厳密な条件下で)、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉核酸、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)、およびDicer−基質RNA(DsiRNA)を媒介することが可能である、任意の核酸分子を含む。
【0107】
「短ヘアピンRNA」または「hRNA」とは、急峻なヘアピンカーブを生じ、遺伝子サイレンシングが可能であるRNAの配列を意味する。
【0108】
「センス領域」とは、別の核酸のアンチセンス領域への十分な相補性を有する、本発明の核酸のヌクレオチド配列を意味する。加えて、本発明の核酸のセンス領域は、標的遺伝子ヌクレオチド配列との相同性を有する、ヌクレオチド配列を含むことができる。「アンチセンス領域」とは、標的遺伝子ヌクレオチド配列への十分な相補性を有する、本発明の核酸のヌクレオチド配列を意味する。
【0109】
「サイレンシング」または「遺伝子サイレンシング」とは、遺伝子の発現、または1つ以上のタンパク質をコードするRNA分子のレベルが、対照条件下で(例えば、RNAi剤がない場合に、あるいはスクランブル配列を伴う、または不整合を伴うRNAi分子等の不活性または減衰分子の存在下で)観察されるものを下回って、RNAi剤の存在下で低減されることを意味する。遺伝子サイレンシングは、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%(すなわち、完全阻害)だけ遺伝子産物発現を減少させ得る。
【0110】
「低分子阻害RNA」、「低分子干渉RNA」、または「siRNA」とは、遺伝子サイレンシングが可能である10〜40個(例えば、21個等の15〜25個)のヌクレオチド二本鎖分子の類を意味する。最も顕著には、siRNAは、典型的には、siRNAが特定の遺伝子産物の産物に干渉する、RNA干渉(RNAi)経路に関与する。
【0111】
「実質的同一性」または「実質的に同一」とは、それぞれ、参照配列と同一のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を有するか、または2つの配列が最適に整合させられたときに、参照配列内の対応する場所で同一である、それぞれ、特定割合のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を意味する。例えば、参照配列と「実質的に同一」であるアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有する。ポリペプチドについては、比較配列の長さは、概して、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の連続アミノ酸、より好ましくは、少なくとも25、50、75、90、100、150、200、250、300、または350個の連続アミノ酸、最も好ましくは、全長アミノ酸配列となるであろう。核酸については、比較配列の長さは、概して、少なくとも5個の連続ヌクレオチド、好ましくは、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の連続ヌクレオチド、最も好ましくは、全長ヌクレオチド配列となるであろう。デフォルト設定で配列分析ソフトウェア(例えば、Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,WI 53705のSequence Analysis Software Package)を使用して、配列同一性が測定されてもよい。そのようなソフトウェアは、種々の置換、欠失、および他の修飾に相同性を割り当てることによって、類似配列を合致させてもよい。
【0112】
「十分に相補的」とは、標的核酸として正確な相補的ポリヌクレオチド配列を有するか、または2つの配列が最適に整合させられたときに標的核酸内の対応する場所で正確な相補体である特定割合のヌクレオチドを有する、ポリヌクレオチド配列を意味する。例えば、標的核酸配列に「実質的に相補的」であるポリヌクレオチド配列は、標的核酸配列と少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補性を有する。10から40個のヌクレオチドの長さを有するRNAi剤については、十分に相補的な配列は、1、2、3、4、または5個の非相補的ヌクレオチドを有するものを含む。実際に、例えば、DsiRNA剤を含む、ある実施形態では、活性二本鎖RNAi剤が、標的核酸に十分に相補的であるガイド鎖のわずか15から19個連続ヌクレオチドを保有することができる一方で、(ある実施形態では、残りのガイド鎖が、標的にされる核酸(例えば、mRNA)と部分的または完全に相補的であり得るが)残りのガイド鎖が標的核酸との任意の程度の相補性を保有する必要はない。
【0113】
「標的核酸」とは、発現または活性が変調される、任意の核酸配列を意味する。標的核酸は、DNAまたはRNAであり得る。ある実施形態では、標的核酸は、標的mRNAである。
【0114】
「トランスフェクション脂質」とは、核酸、例えば、核酸ペイロードを送達することが可能な任意の脂質または脂質の組み合わせを意味する(随意に、核酸ペイロードは、RNA結合剤、例えば、1つ以上の陽イオン性脂質と関連している)。トランスフェクション脂質は、本明細書で説明される任意の脂質(例えば、本明細書または表1で説明されるもの等の1つ以上の陽イオン性脂質、1つ以上の陽イオン性脂質の組み合わせ、ならびに1つ以上の陽イオン性脂質および中性脂質、陰イオン性脂質、PEG−脂質複合体、またはステロール誘導体等の任意の他の脂質または作用物質の組み合わせ)を含む。トランスフェクション脂質またはそのようなトランスフェクション脂質を含む組み合わせは、外部凝集表面等の製剤内の任意の有用な構造を形成することができる。
【0115】
「医薬組成物」とは、薬学的に容認可能な賦形剤を用いて製剤化され、哺乳類の疾患の治療のための治療計画の一部として政府規制機関の承認によって製造または販売される、本明細書で説明される化合物を含有する組成物を意味する。医薬組成物は、例えば、単位投薬形態(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ジェルキャップ、またはシロップ)での経口投与のため、(例えば、クリーム、ゲル、ローション、または軟膏としての)局所投与のため、(例えば、粒子塞栓物質を含まない滅菌溶液として、および静脈内使用に好適な溶媒系で)静脈内投与のため、または本明細書で説明される任意の他の製剤で製剤化することができる。
【0116】
「薬学的に容認可能な賦形剤」とは、患者において非毒性かつ非炎症性であるという性質を有する、本明細書で説明される化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解させることが可能な媒介物)を意味する。賦形剤は、例えば、付着防止剤、酸化防止剤、結合剤、被覆、圧縮酸、崩壊剤、染料(顔料)、軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、膜形成剤または被覆、香味料、香料、流動促進剤(流動増進剤)、潤滑剤、防腐剤、印刷インク、吸着剤、懸濁または分散剤、甘味料、および水和水を含んでもよい。例示的な賦形剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファデンプン、プロピルパラベン、レチニルパルミテート、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、蔗糖、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、およびキシリトールを含むが、それらに限定されない。
【0117】
「薬学的に容認可能な塩」とは、適切な医学的判断の範囲内で、必要以上の毒性、刺激、アレルギー反応、および同等物を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するために好適であり、妥当な便益/リスク比に相応する、塩を意味する。薬学的に容認可能な塩は、当技術分野で周知である。例えば、薬学的に容認可能な塩は、Berge et al.,J.Pharm.Sci.66(1):1,1977、およびPharmaceutical Salts: Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Wiley−VCH,2008で説明されている。塩は、遊離塩基を好適な有機酸と反応させることによって、本発明の化合物の最終単離および精製中に、または別個に、原位置で調製することができる。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、へプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、および同等物を含む。代表的なアルカリまたはアルカリ性土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、および同等物、ならびに限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、および同等物を含む、非毒性アンモニウム、4級アンモニウム、およびアミン陽イオンを含む。
【0118】
「対象」とは、ヒトまたはヒト以外の動物(例えば、哺乳類)のいずれか一方を意味する。
【0119】
本明細書で使用され、また当技術分野で良く理解されるように、「治療」とは、臨床結果等の有益または所望の結果を得るためのアプローチである。有益または所望の結果は、検出可能または検出不可能かにかかわらず、1つ以上の兆候または症状の軽減または改善、疾患、障害、または症状の程度の減少、疾患、障害、または症状の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患、障害、または症状の蔓延の予防、疾患、障害、または症状の進行の遅延または減速、疾患、障害、または症状の改善または緩和、および(部分的または完全)寛解を含むことができるが、それらに限定されない。疾患、障害、または症状を「緩和すること」とは、治療がない場合の程度または時間経過と比較して、疾患、障害、または症状の程度および/または望ましくない臨床兆候が減少させられ、および/または進行の時間経過が減速または延長させられることを意味する。「癌を治療すること」、「癌を予防すること」、または「癌を阻害すること」とは、腫瘍のサイズまたは癌細胞の数の低減を引き起こすこと、腫瘍のサイズまたは癌細胞増殖の増加を減速または阻害すること、腫瘍または他の癌の消滅とその再発との間の無病生存期間を増加させること、腫瘍または他の癌の初期または後続の発生の可能性を防止または低減すること、あるいは腫瘍または他の癌と関連付けられる有害兆候を低減することを意味する。所望の実施形態では、治療を乗り切る腫瘍または癌細胞の割合は、任意の標準アッセイを使用して測定されるように、初期数の腫瘍または癌細胞より少なくとも20、40、60、80、または100%低い。望ましくは、本発明の化合物の投与によって誘導される腫瘍または癌細胞の数の減少は、非腫瘍または非癌細胞の数の減少より少なくとも2、5、10、20、または50倍大きい。望ましくは、本発明の方法は、標準方法を使用して判定されるように、腫瘍のサイズまたは癌細胞の数の20、40、60、80、または100%の減少をもたらす。望ましくは、治療された対象の少なくとも20、40、60、80、90、または95%は、腫瘍または癌の全ての兆候が消滅する、完全寛解を有する。望ましくは、腫瘍または癌は、再発しないか、または5、10、15、あるいは20年以上後に再発する。対象の疾患または症状(例えば、癌)を「予防的に治療すること」とは、病徴の出現前に、疾患または症状の発現(すなわち、発病)のリスクを低減させること、あるいは疾患または症状の重症度を低減させることを意味する。予防的治療は、疾患またはその症状の出現を完全に予防または低減してもよく、および/または疾患あるいは疾患に起因する悪影響に対する部分または完全治癒に関して治療的であり得る。予防的治療は、疾患にかかりやすくあり得るが、それがあるとまだ診断されていない個人において、疾患または症状が起こることを低減または予防すること(例えば、癌を予防すること)を含んでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0121】
我々は、脂質粒子に製剤化され得る、アミノアミンおよびアミノアミド陽イオン性脂質を開発した。本発明の製剤は、(例えば、対象において生体外または生体内で)細胞へのポリアニオン系ペイロード(例えば、核酸分子またはRNAi剤)の送達のために使用されてもよい。ポリアニオン系ペイロードの送達は、細胞内で配列特異的遺伝子サイレンシングを達成してもよい。
【0122】
アミノアミンおよびアミノアミド脂質
本発明の化合物は、式(I)の任意の化合物を含む。特定の実施形態では、化合物は、表1から選択される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0123】
(例えば、表1で提供されるような)本発明の化合物は、当技術分野で確立されたものに類似するプロセスによって、例えば、方式1〜4に示される反応シーケンスによって、調製されてもよい。これらの反応シーケンスによって産生される例示的な脂質、またはその修飾が、
図1〜9および
図17で提供される。
方式1
【化11】
【0124】
式C1の2級アミンは、R
4が本明細書で説明される、1級アミンB1を用いて、本明細書で説明されるように、R
1およびR
2が脂質尾部基である、ケトンA1を処理することによって、還元的アミノ化条件下で調製されてもよい。還元的アミノ化のための条件は、適切な溶媒中でケトンA1および1級アミンB1をシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤と組み合わせることを含む。特定の実施形態では、C1のアミノアミン脂質はさらに、窒素に隣接するR
3の中の炭素上にオキソ基を有する、対応するアミノアミド脂質を形成するように酸化させられる。他の実施形態では、C1のアミノアミン脂質はさらに、R
4の中の窒素において、または任意の炭素上で、アルキル化を受ける。この方式を使用して産生することができる例示的な化合物が、
図1で提供される。
方式2
【化12】
【0125】
式E2の3級アミンは、R
3およびR
4が本明細書で説明される、2級アミンD2を用いて、本明細書で説明されるように、各R
1およびR
2が脂質尾部基である、ケトンA2を処理することによって、還元的アミノ化条件下で調製されてもよい。還元的アミノ化のための条件は、適切な溶媒中でケトンA2および2級アミンD2をシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤と組み合わせることを含む。D2のいくつかの実施形態では、R
3およびR
4は、1つ以上のヘテロ原子を含有する複素環を形成するように接合し、結果として生じた3級アミンE2は、そのようなR
3およびR
4基を含む。特定の実施形態では、E2のアミノアミン脂質はさらに、窒素に隣接するR
3またはR
4の中の炭素上にオキソ基を有する、対応するアミノアミド脂質を形成するように酸化させられる。他の実施形態では、E2のアミノアミン脂質はさらに、R
3および/またはR
4の中の任意の炭素上でアルキル化を受ける。
方式3
【化13】
【0126】
式F3のアミンは、随意に、高い圧力下で、適切な溶媒中でケトンA3、アンモニア、二水素、および触媒を組み合わせることによって調製されてもよい。式H3のアミノアミド脂質は、LGが離脱基であり、R
4が本明細書で説明される、適切な溶媒中でアミンF3を活性化カルボン酸G3と組み合わせることによって調製されてもよい。例示的なLGは、ハロ(例えば、塩化物、臭素、またはヨウ素)、トシラート、およびトリフラートを含む。I3のアミノアミン脂質は、アミドH3を還元剤(例えば、水素化アルミニウムリチウム、ボランテトラヒドロフラン、またはボラン硫化ジメチル)と組み合わせることによって調製されてもよい。特定の実施形態では、H3のアミノアミド脂質はさらに、R
4′の中の窒素において、または任意の炭素上でアルキル化を受ける。他の実施形態では、I3のアミノアミン脂質はさらに、R
4の中の窒素において、または任意の炭素上でアルキル化を受ける。
方式4
【化14】
【0127】
式K4のアミノアミド脂質は、LGが離脱基であり、R
1、R
2、およびR
4が本明細書で説明される、適切な溶媒中でケトンA4およびアミンJ4を組み合わせることによって調製されてもよい。例示的なLGは、ハロ(例えば、塩化物、臭素、またはヨウ素)、トシラート、およびトリフラートを含む。L4のアミノアミン脂質は、アミドK4を還元剤(例えば、水素化アルミニウムリチウム、ボランテトラヒドロフラン、またはボラン硫化ジメチル)と組み合わせることによって調製されてもよい。他の実施形態では、K4のアミノアミド脂質はさらに、R
4′の中の窒素において、または任意の炭素上でアルキル化を受ける。他の実施形態では、L4のアミノアミン脂質はさらに、R
4の中の窒素において、または任意の炭素上でアルキル化を受ける。この方法によって産生される例示的な化合物が、
図7で提供される。
【0128】
上記の方式のうちのいずれかでは、R
4は、本明細書で説明されるように、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換された−L
1−NR
5R6
5、随意に置換された−C(O)−L
1−NR
5R
6、または随意に置換された−L
1−ヘテロシクリルであり得る。
【0129】
上記の方式のうちのいずれかでは、化合物はさらに、N上に随意に置換されたC
1−6アルキルを導入して(すなわち、R
3が随意に置換されたC
1−6アルキルである)3級アミンを形成するように、アルキル化することができる。3級アミンを有する例示的な化合物が、
図3で提供される。
【0130】
例えば、
図1〜9および
図17のように、本明細書で説明される脂質のうちのいずれかは、上記および実施例1〜5で提供される合成方式を適用することによって、必要であれば、当業者に公知である修飾を行うことによって産生することができる。
【0131】
脂質頭部基
本発明の化合物は、概して、脂質頭部基と、ヘッドピースと、1つ以上の脂質尾部基とを含む。ヘッドピース、例えば、>CH−は、頭部基を尾部基(複数可)に接続する。特定の実施形態では、頭部基は、2つ以上の窒素原子を含む。例えば、表2または3において、本明細書で説明される頭部基のうちのいずれかは、1つ以上の置換基(例えば、アルキルについて本明細書で説明される1つ以上の置換基)と随意に置換されてもよい。
【0132】
アミン基を有する頭部基の非限定的なリストが、表2で提供される。本明細書で説明される頭部基のうちのいずれか、例えば、表2の中の頭部基H−1からH−39は、本発明の化合物を形成するように、ヘッドピース>CH−を介して、例えば、表4において、本明細書で説明される尾部基のうちのいずれかと組み合わせることができる。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0133】
アミド基を有する頭部基の非限定的なリストが、表3で提供される。本明細書で説明される頭部基のうちのいずれか、例えば、表3の中の頭部基H−40からH−52は、本発明の化合物を形成するように、ヘッドピース>CH−を介して、例えば、表4において、本明細書で説明される尾部基のうちのいずれかと組み合わせることができる。
【表3】
【0134】
脂質尾部基
本明細書で説明されるように、本発明の化合物は、概して、1つ以上のヘテロ原子を随意に含むことができる、1つ以上の尾部基を含む。各化合物について、尾部基は、同一であり得るか、または異なり得る。例えば、表4において、本明細書で説明される尾部基のいずれかは、1つ以上の置換基(例えば、アルキルについて本明細書で説明される1つ以上の置換基)と随意に置換されてもよい。
【0135】
例示的な尾部基は、リノレニル(C18:3)、リノレニルオキシ(C18:3)、リノレノイル(C18:3)、リノレイル(C18:2)、リノレイルオキシ(C18:2)、およびリノレオイル(C18:2)等の、炭素または1つ以上のヘテロ原子(例えば、O)を有する飽和または不飽和基、ならびにメチレンによってヘッドピースに接続される、本明細書で説明される任意のヘテロ原子尾部基、例えば、リノレニルオキシメチレン(C18:3)、リノレノイルメチレン(C18:3)、およびリノレイルオキシメチレン(C18:2)、またはリノレオイルメチレン(C18:2)の群から選択される尾部基を含む。脂質尾部基の付加的な非限定的リストが、表4で提供される。
【表4-1】
【表4-2】
【0136】
製剤
本発明の化合物は、製剤を産生するように、1つ以上の脂質分子(例えば、陽イオン性、陰イオン性、または中性脂質)と組み合わせられてもよい。本製剤はまた、1つ以上の構成要素(例えば、ステロール誘導体、PEG−脂質複合体、ポリアミド−脂質複合体、ガングリオシド、酸化防止剤、界面活性剤、両親媒性物質、または塩)および/または1つ以上のポリアニオン系ペイロード(例えば、1つ以上の核酸またはRNAi剤)を含むこともできる。核酸ペイロードを組み込むように脂質を製剤化する方法は、例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、Judge et al.,J.Clin.Invest.119(3):661,2009、Noble et al.,Cancer Chemother.Pharmacol.64(4):741,2009、Abrams et al.,Mol.Ther.18(1):171,2009、Yagi et al.,Cancer Res.69(16):6531,2009、Ko et al.,J.Control.Release 133(2):132,2009、Mangala et al.,Methods Mol.Biol.555:29,2009で説明されている。
【0137】
1つよりも多くの脂質分子を伴う製剤
本発明の製剤は、本明細書で説明されるように、ポリペプチド−脂質複合体、および脂質ベクターの形成または安定性に役立つ他の構成要素を含む、脂質分子の任意の有用な組み合わせ(例えば、本発明の化合物、陽イオン性脂質(1つ以上の陽イオン性脂質、例えば、本明細書で説明されるような本発明の1つ以上の陽イオン性脂質を随意に含む、および/または当技術分野で公知である1つ以上の陽イオン性脂質を随意に含む)、中性脂質、陰イオン性脂質、およびPEG−脂質複合体)を含んでもよい。当業者であれば、特定の作用物質のカプセル化、脂質製剤の安定性、大規模反応条件、または任意の他の関連因子に有利に働く組み合わせを最適化する方法が分かるであろう。本発明の製剤は、形成または安定性に役立つ他の構成要素を含んでもよい。
【0138】
製剤中の各構成要素の割合は、RNAi剤をカプセル化し、RNAi剤を細胞の中へ移入することが可能な脂質ベクターを産生するように平衡を保たせることができる。例示的な製剤は、約10モル%から約40モル%の本発明の1つ以上の化合物、約10モル%から約40モル%の1つ以上の陽イオン性脂質、約1モル%から約20モル%の1つ以上のPEG−脂質複合体、約5モル%から約20モル%の1つ以上の中性脂質、および約20モル%から約40モル%の1つ以上のステロール誘導体を含む。特定の実施形態では、本製剤は、約20モル%から約25モル%(例えば、約21.0モル%、21.2モル%、21.4モル%、21.6モル%、21.8モル%、または22モル%)の本発明の1つ以上の化合物、約25モル%から約30モル%(例えば、約25.1モル%、25.2モル%、25.3モル%、25.4モル%、25.5モル%、25.6モル%、25.7モル%、25.8モル%、25.9モル%、26.0モル%、26.2モル%、26.4モル%、26.6モル%、26.8モル%、または27モル%)の1つ以上の陽イオン性脂質(例えば、DODMA)、約10モル%から約15モル%(例えば、約13.0モル%、13.2モル%、13.4モル%、13.6モル%、13.8モル%、14モル%、14.1モル%、14.3モル%、14.5モル%、14.7モル%、または14.9モル%)の1つ以上の中性脂質(例えば、DSPC)、約2.5モル%から約10モル%(例えば、約2.5モル%、2.6モル%、2.7モル%、2.8モル%、2.9モル%、3モル%、3.5モル%、4モル%、4.3モル%、4.5モル%、4.7モル%、5モル%、5.3モル%、5.5モル%、5.7モル%、6モル%、6.5モル%、6.7モル%、7モル%、7.5モル%、8モル%、8.5モル%、または9モル%)の1つ以上のPEG−脂質複合体(例えば、約2.8モル%、2.9モル%、3.0モル%、3.5モル%、3.7モル%、3.9モル%、4モル%、4.1モル%、4.3モル%、4.5モル%、4.7モル%、4.9モル%、5モル%、5.1モル%、5.3モル%、5.5モル%、5.7モル%、5.9モル%、6モル%、6.3モル%、6.5モル%、6.7モル%、または7モル%のPEG2000−DSPEおよび/またはPEG2000−DMPE、および/または3モル%、3.5モル%、3.7モル%、3.9モル%、4モル%、4.1モル%、4.3モル%、4.5モル%、4.7モル%、4.9モル%、5モル%、5.1モル%、5.3モル%、5.5モル%、5.7モル%、5.9モル%、6モル%、6.3モル%、6.5モル%、6.7モル%、または7モル%のPEG2000−DMG)、および約25モル%から約35モル%(例えば、約28.4モル%、28.6モル%、28.8モル%、29.0モル%、30モル%、31モル%、32モル%、33モル%、33.2モル%、33.4モル%、33.6モル%、33.8モル%、34モル%、34.4モル%、34.7モル%、または34.9モル%)のステロール誘導体(例えば、コレステロール)を含む。
【0139】
本製剤は、任意の有用な量の1つ以上の陽イオン性脂質を含むことができる。いくつかの実施形態では、本製剤中の陽イオン性脂質の含有量は、約10モル%から約40モル%(例えば、約10モル%から15モル%、約15モル%から20モル%、約20モル%から25モル%、約25モル%から30モル%、約30モル%から35モル%、および約35モル%から40モル%)である。特定の実施形態では、混合陽イオン性脂質(例えば、10.8モル%のL−1および10.8モル%のL−2)が使用される。
【0140】
いくつかの実施形態では、本製剤は、1つ以上のRNA結合剤および1つ以上のトランスフェクション脂質を有する、脂質粒子を含み、1つ以上のRNA結合剤は、約10モル%から約40モル%の1つ以上の陽イオン性脂質(例えば、DODMA)、および約0.5モル%から約10モル%の1つ以上のPEG−脂質複合体(例えば、PEG2000−DSPE等のPEG−DSPEおよび/またはPEG2000−DMPE等のPEG−DMPE)を含み、1つ以上のトランスフェクション脂質は、約10モル%から約40モル%の本発明の1つ以上の化合物(例えば、L−6、−30、または表1の中のいずれか)、約5モル%から約20モル%の1つ以上の中性脂質(例えば、DSPC)、約0.5モル%から約10モル%の1つ以上のPEG−脂質複合体(例えば、PEG2000−DSPE等のPEG−DSPE、および/またはPEG−DMPE、例えば、PEG2000−DMPE)、および約20モル%から約40モル%の1つ以上のステロール誘導体(例えば、コレステロール)を含む。
【0141】
脂質粒子のRNA結合剤(複数可)は、任意の有用な脂質および複合体の組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、陽イオン性脂質(例えば、DODMA)の含有量は、約10モル%から約40モル%(例えば、約20モル%から40モル%、20モル%から35モル%、20モル%から30モル%、15モル%から40モル%、15モル%から35モル%、15モル%から25モル%、または15モル%から20モル%)である。いくつかの実施形態では、PEG−脂質複合体(例えば、PEG2000−DSPE等のPEG−DSPEおよび/またはPEG2000−DMPE等のPEG−DMPE)は、約0.5モル%から約10モル%(例えば、約0.5モル%から1モル%、0.5モル%から5モル%、0.5モル%から10モル%、1モル%から5モル%、または1モル%から10モル%)である。
【0142】
脂質粒子のトランスフェクション脂質(複数可)は、任意の有用な脂質および複合体の組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、本発明の1つ以上の化合物(例えば、L−6、−30、または表1の中のいずれか)の含有量は、約10モル%から約40モル%(例えば、約10モル%から20モル%、10モル%から30モル%、10モル%から35モル%、15モル%から20モル%、15モル%から25モル%、15モル%から30モル%、15モル%から35モル%、15モル%から40モル%、20モル%から25モル%、20モル%から30モル%、20モル%から35モル%、20モル%から40モル%、25モル%から30モル%、25モル%から35モル%、または25モル%から40モル%)である。いくつかの実施形態では、1つ以上の中性脂質(例えば、DSPC)の含有量は、約5モル%から約20モル%(例えば、約5モル%から10モル%、5モル%から15モル%、7モル%から10モル%、7モル%から15モル%、7モル%から20モル%、10モル%から15モル%、または10モル%から20モル%)である。いくつかの実施形態では、1つ以上のPEG−脂質複合体(例えば、PEG2000−DSPE等のPEG−DSPEおよび/またはPEG2000−DMPE等のPEG−DMPE)の含有量は、約0.5モル%から約10モル%(例えば、約0.5モル%から1モル%、0.5モル%から5モル%、0.5モル%から10モル%、1モル%から5モル%、または1モル%から10モル%)である。いくつかの実施形態では、1つ以上のステロール誘導体(例えば、コレステロール)の含有量は、約20モル%から約40モル%(例えば、約20モル%から25モル%、20モル%から30モル%、20モル%から35モル%、20モル%から40モル%、25モル%から30モル%、25モル%から35モル%、または25モル%から40モル%)である。
【0143】
他の実施形態では、本発明の化合物は、RNA結合剤(複数可)の製剤で使用される(例えば、約25.9モル%のL−6、L−30、L−48、またはL−49)。特定の実施形態では、RNA結合剤(複数可)の製剤で使用される本発明の化合物は、トランスフェクション脂質(複数可)の製剤で使用される本発明の化合物とは異なる(例えば、RNA結合剤としての25.9モル%L−48、およびトランスフェクション脂質としての21.6モル%L−30)。本製剤のいくつかの実施形態では、1つ以上のRNA結合剤は、内部凝集体を形成し、1つ以上のトランスフェクション脂質は、外部凝集表面を形成する。特定の実施形態では、外部凝集表面は、膜、脂質二重層、および/または多重膜層ではない。
【0144】
本製剤はまた、任意の有用な量の1つ以上のPEG−脂質複合体を含むこともできる。いくつかの実施形態では、本製剤中のPEG−脂質複合体の含有量は、約1モル%から約20モル%(例えば、約1モル%から約2モル%、約2モル%から約4モル%、約2モル%から約7モル%、約4モル%から約8モル%、約8モル%から約12モル%、約12モル%から約16モル%、または約16モル%から約20モル%)である。他の実施形態では、PEG−脂質複合体の含有量は、約7モル%、6モル%、3.0モル%、または2.5モル%である。また、PEG−脂質含有量は、DSPCまたはコレステロールのいずれか一方、あるいは両方の含有量の適切な調整によって、約1モル%から約20モル%まで変化させられてもよい。PEG−脂質は、C14:0(表4のような、例えば、PEG−DSPEまたはPEG−DMPE等)、C16(PEG−DPPE、PEG−DPG等)、C18:0(PEG−DSPE、PEG−DSG等)、またはC18:1(PEG−DOPE、PEG−DOG等)を使用することによって、変化させられてもよい。さらに、異なる分子量のPEG部分を使用することができる(PEG2000、PEG3400、PEG5000等)。特定の実施形態では、混合PEG−複合体が、本明細書で説明されるように使用される。特定の実施形態では、PEG2000−DSPEが使用される。特定の実施形態では、PEG2000−DMPEが使用される。
【0145】
RNAi剤を伴う製剤
本発明の製剤は、本明細書で説明される方法のうちのいずれかによって、RNAi剤とともにアミノアミン陽イオン性脂質および/またはアミノアミド脂質を用いて製剤化されてもよい。例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、Judge et al.,J.Clin.Invest.119(3):661,2009、Noble et al.,Cancer Chemother.Pharmacol.64(4):741,2009、Abrams et al.,Mol.Ther.18(1):171,2009、Yagi et al.,Cancer Res.69(16):6531,2009、Ko et al.,J.Control.Release 133(2):132,2009、Mangala et al.,Methods Mol.Biol.555:29,2009を参照されたい。
【0146】
本製剤は、任意の有用な比で、RNAi剤と、脂質分子および/または1つ以上の構成要素とを含むことができる。例示的な比は、RNAi剤:総脂質比の約1:10から約1:100(重量/重量)(例えば、約1:10から約1:50、例えば、約1:20)の(重量/重量)比を含み、総脂質比は、1つ以上の脂質分子(例えば、陽イオン性、陰イオン性、または中性脂質)および1つ以上の構成要素(例えば、ステロール誘導体、PEG−脂質複合体、ポリアミド−脂質複合体、ガングリオシド、酸化防止剤、界面活性剤、両親媒性物質、または塩)の組み合わせの重量である。
【0147】
本製剤は、本明細書で説明される任意のRNAi剤の約1mg/kgから約10mg/kgに及ぶ用量で、RNAi剤を含むことができる。例示的な用量は、製剤中に1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、および10mg/kgのRNAi剤を含む。
【0148】
製剤を調製する方法
本発明の製剤は、任意の有用なプロセスで調製することができる。1つの例示的な手順では、製剤の構成要素(例えば、1つ以上のRNA結合剤、トランスフェクション脂質、または本明細書で説明される任意の脂質)が、溶媒(例えば、水性溶媒、非水性溶媒、またはそれらの溶媒混合物)中で溶解させられる。結果として生じた脂質懸濁液は、随意に、濾過し、混合(例えば、バッチ混合、インライン混合、および/またはボルテックス)し、(例えば、窒素またはアルゴン気流を使用して)蒸発させ、(例えば、水性溶媒、非水性溶媒、またはそれらの溶媒混合物中で)再懸濁させ、凍結融解し、押し出し、および/または超音波分解することができる。さらに、脂質懸濁液は、随意に、最終懸濁液を産生するように、任意の所望の構成要素(例えば、1つ以上のRNAi剤、RNA結合剤、トランスフェクション脂質、および/または本明細書で説明される任意の脂質)を添加することによって処理することができる。1つ以上の所望の構成要素は、懸濁液と同一または異なる溶媒中で提供することができる。例えば、脂質懸濁液は、第1の溶媒または溶媒系(例えば、水、水−HCl、水−エタノール、緩衝剤(例えば、5mM、10mM、50mM、75mM、100mM、または150mM等のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンク平衡塩溶液(HBSS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)、アール平衡塩溶液(EBSS)、炭酸塩、乳酸塩、アスコルビン酸塩、およびクエン酸塩)等の1つ以上の水性または非水性溶媒(複数可)、生理学的浸透圧溶液(290mOsm/kg、例えば、0.9%生理食塩水、5%デキストロース、および10%蔗糖)、生理食塩水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、エーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、またはそれらの組み合わせ)の中で提供することができ、RNAi剤は、第2の溶媒または溶媒系、例えば、水、水−HCl、水−エタノール、緩衝剤(例えば、5mM、10mM、50mM、75mM、100mM、または150mM等のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンク平衡塩溶液(HBSS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)、アール平衡塩溶液(EBSS)、炭酸塩、乳酸塩、アスコルビン酸塩、およびクエン酸塩)等の1つ以上の水性または非水性溶媒(複数可)、生理学的浸透圧溶液(290mOsm/kg、例えば、0.9%生理食塩水、5%デキストロース、および10%蔗糖)、生理食塩水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、エーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフランまたはそれらの組み合わせの中で提供することができる。水性溶媒および/または緩衝剤の例示的な濃度は、約4%から約8%エタノール(例えば、約4%から5%、5%から6%、6%から7%、または7%から8%)、約10mMから約100mMクエン酸塩(例えば、約10mMから30mM、30mMから50mM、50mMから70mM、70mMから90mM、または90mMから100mM)を含む。溶媒または溶媒系のうちのいずれかは、酸化防止剤、塩(例えば、塩化ナトリウム)、クエン酸、アスコルビン酸、グリシン、システイン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、マンニトール、乳糖、トレハロース、マルトース、グリセロール、および/またはグルコース等の1つ以上の安定剤を含むことができる。さらなる実施例では、1つ以上のRNA結合剤が、第1の溶媒または溶媒系を使用して脂質懸濁液に導入され、次いで、第2の溶媒または溶媒系の中の1つ以上のトランスフェクション脂質の添加が続き、第1および第2の溶媒または溶媒系は、同一であるか、または異なる(例えば、第1の溶媒または溶媒系は、本明細書で説明されるいずれかであり、第2の溶媒または溶媒系は、本明細書で説明されるいずれかである)。特定の実施形態では、第2の溶媒または溶媒系は、生理食塩水、緩衝剤(例えば、クエン酸塩またはPBS)、水、およびエタノールから成る群より選択される、1つ以上の水性または非水性溶媒を含む。最終懸濁液は、随意に、(例えば、超遠心分離機によって)分離し、混合(例えば、バッチ混合、インライン混合、および/またはボルテックス)し、再懸濁させ、(例えば、1つ以上の溶媒または緩衝系を用いて)調整し、超音波分解し、凍結融解し、押し出し、および/または精製することができる。
【0149】
陽イオン性脂質
1つ以上の陽イオン性脂質を本製剤に含むことができる。本発明の化合物に加えて、他の陽イオン性脂質は、参照することにより本明細書に組み込まれる、Love et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,107(5):1864−1869(2010)で説明されるように、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAC)、1,2−ジ−O−オクタデセニル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウム(DDAB)、1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(キラル形態R−DOTAPおよびS−DOTAPを含むDOTAP)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−2−(スペルミンカルボキシアミド)エチル)−N,N−ジメチルアンモニウム(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、N,N−ジメチル(2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、N−(1,2−ジミリスチルオキシプロプ−3−イル)−N,N−ジメチルN−ヒドロキシエチルアンモニウム(DMRIE)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−O−エチル−3−ホスホコリン(DPePC)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(DSDMA)、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(例えば、12:0EPC、またはその塩化物)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(例えば、16:0EPC、またはその塩化物)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(例えば、18:0EPC、またはその塩化物)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(例えば、18:1EPC、またはその塩化物)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミドスペルミン(DPPES)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミドL−リシン(DPPEL)、1−[2−ジオレオイルオキシ]エチル]−2−オレイル−3−(2−ヒドロキシエチル)塩化イミダゾリニウム(DOTIM)、(1−メチル−4−(シス−9−ジオレイル)メチル−ピリジニウム−塩化物))(SAINT)、およびC12〜200を含むが、それらに限定されない。
【0150】
陽イオン性脂質は、異なるキラル形態のもの(例えば、本明細書で説明される任意の陽イオン性脂質のRまたはS型)、または任意の塩形態(例えば、本明細書で説明される陽イオン性脂質の塩化物、臭化物、トリフルオロ酢酸塩、またはメタンスルホン酸塩)を含む。
【0151】
加えて、陽イオン性脂質のいくつかの市販調製品が、本製剤に含まれてもよい。そのような市販調製品は、Invitrogen Corp.からのLipofectamine(商標)(DOSPAおよびDOPEの組み合わせ)およびLipofectin(登録商標)(DOTMAおよびDOPEの組み合わせ)、ならびにPromega Corp.からのTransfectam(登録商標)(DOGSを含む組成物)およびTransfast(商標)を含むが、それらに限定されない。
【0152】
陰イオン性脂質
1つ以上の陰イオン性脂質を本製剤に含むことができる。そのような陰イオン性脂質は、ホスファチジルグリセロール(PG)、カルジオリピン(CL)、ジアシルホスファチジルセリン(PS)、ジアシルホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)、N−アシルホスファチジルエタノールアミン(NAPE)、N−スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N−グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、およびパルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ならびに異なるキラル形態(例えば、RまたはS形態)、塩形態(例えば、塩化物、臭化物、トリフルオロ酢酸塩、またはメタンスルホン酸塩)、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。
【0153】
中性脂質
1つ以上の中性脂質を本製剤に含むことができる。そのような中性脂質は、セラミド、スフィンゴミエリン(SM)、ジアシルグリセロール(DAG)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(キラル形態R−DSPCおよびS−DSPCを含むDSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジオレオイル−グリセロ−sn−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(POPE)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2−ジエライドイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DEPE)、1−ステアロイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(SOPE)、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、ならびに異なるキラル形態(例えば、RまたはS形態)、塩形態(例えば、塩化物、臭化物、トリフルオロ酢酸塩、またはメタンスルホン酸塩)、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。他のジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンおよびジアシル−グリセロ−sn−3−ホスホエタノールアミン脂質もまた、本発明の脂質粒子で使用されてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、本製剤に存在する中性脂質構成要素は、1つ以上のリン脂質を含む。さらなる実施形態では、中性脂質構成要素は、1つ以上のリン脂質およびコレステロールの混合物を含む。いくつかの実施形態では、本製剤で使用するための中性脂肪の選択は、薬物動態および/または薬力学的性質、例えば、脂質粒径および血流中の安定性の考慮によって誘導される。
【0155】
ステロール誘導体
1つ以上のステロール誘導体を本製剤に含むことができる。理論によって限定されることを所望するわけではないが、製剤を安定させ、および/またはトランスフェクションを増加させるために、ステロール誘導体を使用することができる。例示的なステロール誘導体は、コレステロール、コレスタノールの誘導体(例えば、コレスタノン、コレステノン、またはコプロスタノール)、3β−[−(N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(DC−コレステロール、例えば、その塩酸塩)、ビス−グアニジウム−トレン−コレステロール(BGTC)、(2S,3S)−2−(((3S,10R,13R,17R)−10,13−ジメチル17−((R)−6−メチルヘプタン−2−イル)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシ)カルボニルアミノ)エチル2,3,4,4−テトラヒドロキシブタノエート(DPC−1)、(2S,3S)−((3S,10R,13R,17R)−10,13−ジメチル17−((R)−6−メチルヘプタン−2−イル)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル)2,3,4,4−テトラヒドロキシブタノエート(DPC−2)、ビス((3S,10R,13R,17R)−10,13−ジメチル17−((R)−6−メチルヘプタン−2−イル)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル)2,3,4−トリヒドロキシペンタンジオエート(DPC−3)、および6−(((3S,10R,13R,17R)−10,13−ジメチル17−((R)−6−メチルヘプタン−2−イル)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシ)オキシドホスホリルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロキシヘキサノエート(DPC−4)を含む。
【0156】
PEG−脂質複合体
1つ以上のPEG−脂質複合体を本製剤に含むことができる。理論によって限定されることを所望するわけではないが、PEG−脂質複合体は、脂質ベクターの凝集を低減させることができる。PEG−脂質複合体は、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,885,613号および米国特許公開第2003/0077829号で説明されている。
【0157】
本製剤に含まれ得るPEG−脂質複合体は、1,2−ジリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(カルボニル−メトキシ−ポリエチレングリコール)(PEG−DMPE)(例えば、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホタノールアミン−N−(カルボニル−メトキシ−ポリエチレングリコール−2000)(PEG−2000−DMPE))、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(カルボニル−メトキシ−ポリエチレングリコール)(PEG−DPPE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(カルボニル−メトキシ−ポリエチレングリコール)(PEG−DSPE)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(カルボニル−メトキシ−ポリエチレングリコール)(PEG−DOPE)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール−3−(メトキシ−ポリエチレングリコール)(PEG−DMG)(例えば、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール−3−(メトキシ−ポリエチレングリコール)(PEG−2000−DMG))、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−3−(メトキシ−ポリエチレングリコール)(PEG−DPG)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロール−3−(メトキシ−ポリエチレングリコール)(PEG−DSG)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロール−3−(メトキシ−ポリエチレングリコール)(PEG−DOG)、3−N−[(ω−メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル]−1,2−ジミリスチルオキシ−プロピルアミン(PEG−C−DMA)、R−3−[(ω−メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル]]−1,2−ジミリスチルオキシルプロピル−3−アミン(PEG−2000−C−DOMG)、およびPEG−セラミド複合体(例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第5,820,873号で説明されている、PEG−CerC14またはPEG−CerC20)を含むが、それらに限定されない。付加的なPEG−脂質複合体は、ホスファチジルエタノールアミンまたはセラミド等の本明細書で説明される任意の脂質に複合したPEG(参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第5,820,873号、第5,534,499号、および第5,885,613号を参照)、および本明細書で説明される任意のPEG−脂質複合体の塩形態(例えば、ナトリウム、アンモニウム、またはトリメチルアンモニウム塩)を含む。
【0158】
PEG−脂質複合体は、本明細書で説明される任意の脂質分子と、または異なる分子量(例えば、300から5,000ダルトン)のPEG分子との置換等の1つ以上の種々の修飾を含むことができる。例示的な置換は、PEG−脂質複合体(例えば、mPEG2000−DMG)を形成するように、ポリエチレングリコール部分(例えば、PEG2000、PEG3400、PEG5000等)と組み合わせた、C14:0(表4のような)、C16(PEG−DPPE、PEG−DPG等)、C18:0(PEG−DSPE、PEG−DSG等)、またはC18:1(PEG−DOPE、PEG−DOG等)のうちの1つ以上の使用を含む。種々の分子量を伴うPEG部分の実施例は、PEG350、PEG550、PEG750、PEG1000、PEG2000、PEG3000、PEG3400、PEG4000、およびPEG5000を含む。
【0159】
他の構成要素
本製剤は、脂質ベクターを安定させ、脂質ベクターの凝集を低減させ、および/または治療薬(例えば、RNAi剤)を送達することに役立つように、任意の他の構成要素を含むことができる。例示的な構成要素は、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第6,320,017号および第6,586,559号で説明されるもの等のω−アミノ(オリゴエチレングリコール)アルカン酸モノマーに基づくポリアミド−脂質複合体(ATTA−脂質)、ガングリオシド(例えば、アシアロガングリオシドGM1またはGM2、ジシアロガングリオシドGD1a、GD1a−NAcGal、GD1−b、GD2、またはGD3、グロボシド、モノシアロガングリオシドGM1、GM2、またはGM3、テトラシアロガングリオシドGQ1b、およびトリシアロガングリオシドGT1aまたはGT1b)、酸化防止剤(例えば、α−トコフェロールまたはβ−ヒドロキシトルイジン)、1つ以上の界面活性剤(例えば、Pluronic(登録商標)、Poloxamer(登録商標)、Span(登録商標)、Tween(登録商標)、Polysorbate(登録商標)、Tyloxapol(登録商標)、Emulphor(登録商標)、またはCremophor(登録商標)(例えば、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルとともにグリセロール−ポリエチレングリコールリシノール酸塩の主要構成要素を有するCremophor(登録商標)EL)等の、モノパルミチン酸ソルビタンまたはモノパルミチン酸ソルビタン、油性蔗糖エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリプロポキシアルキルエーテル、ブロック重合体およびセチルエーテル、ならびにポリオキシエチレンヒマシ油または水素化ヒマシ油誘導体、およびポリグリセリン脂肪酸エステル)、1つ以上の両親媒性物質(例えば、大豆油、ベニバナ油、オリーブ油、ゴマ油、ルリヂサ油、ヒマシ油、および綿実油等の植物油、鉱油、および魚油、そのような供給源からの水素化および/または分画トリグリセリド、中鎖トリグリセリド(MCT油、例えば、Miglyol(登録商標))、国際公開第92/05571号で開示されている定義された非極性脂質等の種々の合成または半合成モノ、ジ、またはトリグリセリド、ならびにアセチル化モノグリセリド、またはミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル等の脂肪酸のアルキルエーテル(EP 0 353 267参照)、あるいはオレイルアルコール、セチルアルコール等の脂肪酸アルコール)、および本明細書で説明される任意の塩等の1つ以上の塩を含む。典型的には、凝集を低減させるように選択される脂質構成要素の濃度は、約1モル%から15モル%である。
【0160】
脂質ベクター
本発明の製剤は、本発明の1つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物または表1から選択される化合物)と、治療薬(例えば、RNAi剤)を輸送することが可能な任意の脂質系組成物とを含むことができる。例示的な脂質系組成物は、1つ以上の脂質分子(例えば、本発明の化合物、陽イオン性脂質、陰イオン性脂質、または中性脂質)および/または1つ以上の構成要素(例えば、ステロール誘導体および/またはPEG−脂質複合体)を含む。
【0161】
脂質ベクターは、脂質ベクター(例えば、リポソーム、リポプレックス、およびミセル)を形成することが可能な任意の生体適合性脂質または脂質の組み合わせを使用して、形成することができる。脂質ベクターの中への治療薬のカプセル化は、損傷または分解から薬剤を保護するか、または細胞の中へのその進入を促進することができる。脂質ベクターは、電荷相互作用(例えば、陽イオン性脂質ベクターおよび陰イオン性細胞膜)の結果として、細胞膜と相互作用して融合し、したがって、細胞質の中へ薬剤を放出する。リポソームは、本発明の化合物、脂質分子、および/または構成要素のうちの1つ以上を含む、二層小胞である。脂質ナノ粒子は、サイズが約1nmから約1,000nmに及ぶリポソームである。リポプレックスは、全体的な正電荷をリポソームに付与するように陽イオン性脂質分子ともに形成されたリポソームである。ミセルは、脂質分子の単層を伴う小胞である。
【0162】
リポソーム
ある実施形態では、脂質ベクターは、リポソームである。典型的には、使用される脂質は、二重層を形成することが可能であり、陽イオン性である。好適な脂質分子の類は、リン脂質(例えば、ホスホチジルコリン)、脂肪酸、糖脂質、セラミド、グリセリド、およびコレステロール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。代替として、または加えて、脂質ベクターは、中性脂質(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE))を含むことができる。脂質ベクターを形成することができる他の脂質が、当技術分野で公知であり、本明細書で説明される。
【0163】
本明細書で使用されるように、疎水性頭部および親水性尾部を伴う分子である、「脂質分子」とは、本発明の化合物、または本明細書で説明される任意の陽イオン性、中性、または陰イオン性脂質を含む、リポソームを形成することが可能であり得る。脂質分子は、随意に、親水性ポリマー基を含むように修飾することができる。そのような脂質分子の実施例は、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](PEG2000−DSPE)、例えば、そのアンモニウム塩)、および1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[カルボキシ(ポリエチレングリコール)−2000](PEG2000−DSPEカルボキシ)を含む。
【0164】
脂質分子の実施例は、カルジオリピン(CL)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルコリン(PC)、リゾホスファチジルコリン(LPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびホスファチジルセリン(PS)等の天然脂質、レシチン等の脂質混合物、スフィンゴシン、セラミド、スフィンゴミエリン、セレブロシド、スルファチド、ガングリオシド、およびフィトスフィンゴシン等のスフィンゴ脂質、1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DODAP)、ジメチルジオクタデシル臭化アンモニウム(DDAB)、3−β−[N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)、N−[1−(2,3,−ジテトラデシルオキシ)プロピル]−N,N−ジメチルN−ヒドロキシエチル臭化アンモニウム(DMRIE)、N−[1−(2,3,−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチル臭化アンモニウム(DORIE)、および1,2−ジ−O−オクタデセニル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)等の陽イオン性脂質、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、および1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロール−3−ホスホコリン(POPC)等のホスファチジルコリン、1,2−ジブチリル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(POPE)、および1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(グルタリル)等のホスホエタノールアミン、リン酸ジセチル(DCP)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−リン酸塩、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−リン酸塩、および1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−リン酸塩等のホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(1′−rac−グリセロール)、および1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(1′−rac−グリセロール)等のホスファチジルグリセロール、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−L−セリン、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−L−セリン、および1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−L−セリン等のホスファチジルセリン、1′,3′−ビス[1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ]−sn−グリセロール等のカルジオリピン、ならびに1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−750]、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000]、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−5000]、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000]、および1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[カルボキシ(ポリエチレングリコール)−2000]等のPEG−脂質複合体を含む。
【0165】
本発明の化合物は、市販の脂質組成物を含む、任意の有用な脂質組成物と組み合わせることができる。そのような組成物の実施例は、Invitrogen Corp.からのLipofectamine(商標)(DOSPAおよびDOPEの組み合わせ)およびLipofectin(登録商標)(DOTMAおよびDOPEの組み合わせ)、Promega Corp.からのTransfectam(登録商標)(DOGSを含む組成物)およびTransfast(商標)、Sigma−Aldrich Co.からのNeuroPORTER(商標)およびEscort(商標)、RocheからのFuGENE(登録商標)6、ならびにStrategeneからのLipoTAX(登録商標)を含む。公知の脂質組成物は、Boado,Pharm.Res.24:1772−1787(2007)で説明されているようなTrojan Horse Lipsome技術を含む。
【0166】
リポソームはまた、リポソームの形成または安定性に役立つ他の構成要素を含むこともできる。構成要素の実施例は、コレステロール、酸化防止剤(例えば、α−トコフェロールまたはβ−ヒドロキシトルイジン)、界面活性剤、および塩を含む。
【0167】
リポソームは、本発明の1つ以上の化合物、およびリポソームの形成または安定性に役立つ他の脂質構成要素を含む、脂質分子を含む任意の有用な組み合わせであり得る。当業者であれば、特定の作用物質のカプセル化、リポソームの安定性、大規模反応条件、または任意の他の関連因子に有利に働く組み合わせを最適化する方法が分かるであろう。例示的な組み合わせは、Boado,Pharm.Res.24:1772−1787(2007)で説明されている。
【0168】
リポソームを産生することは、典型的には、一般的な2ステッププロセスを通して起こる。第1のステップでは、脂質および脂質構成要素が、脂質の均質な混合物を確保するように、揮発性有機溶媒または溶媒の混合物中で混合させられる。溶媒の実施例は、クロロホルム、メタノール、シクロヘキサン、およびt−ブタノールを含む。次いで、溶媒は、膜、粉末、またはペレットで乾燥脂質混合物を形成するように除去される。溶媒はまた、窒素、回転蒸発、噴霧乾燥、凍結乾燥、および真空乾燥を使用することによって等、任意の公知の分析技法を使用することによって除去することもできる。
【0169】
第2のステップでは、乾燥脂質混合物は、リポソームを形成するように水溶液で水和される。作用物質を水溶液に添加することができ、カプセル化作用物質を用いたリポソームの形成をもたらす。代替として、最初に、リポソームを第1の水溶液を用いて形成し、次いで、作用物質を含有する別の水溶液に暴露させる。作用物質のカプセル化は、反復凍結融解、超音波処理、または混合によって等、任意の公知の技法によって推進することができる。このアプローチのさらなる実施例は、Boado,Pharm.Res.24:1772−1787(2007)で説明されている。代替として、作用物質は、脂溶性誘導体を産生するように疎水性部分(例えば、コレステロール)に結合され、脂溶性誘導体は、リポソームを形成するために他の脂質分子とともに使用される。
【0170】
第2のステップ中に、乾燥脂質混合物は、ポリペプチド−脂質複合体を含有する場合もあり、含有しない場合もある。本プロセスは、随意に、特定の温度の範囲が約40℃から約70℃を含む、乾燥脂質混合物に添加する前に、脂質分子の相転移温度を超えて水溶液を過熱することと、特定の時間範囲が約30分から約2時間を含む、乾燥脂質混合物および水溶液の組み合わせをインキュベートすることと、ボルテックス混合、震盪、かき混ぜ、または撹拌等による、インキュベーション中の乾燥脂質混合物および水溶液の混合と、0.9%生理食塩水、5%デキストロース、および10%蔗糖の溶液等の生理学的浸透圧を確保するための水溶液への非電解質の添加と、押出または超音波処理等による、大型多重膜小胞の崩壊と、乾燥脂質混合物が脂質分子を含有しなかった、ポリペプチド−脂質複合体を伴う事前形成されたリポソームの付加的なインキュベーションとを含む、種々の付加的なステップを含むことができる。当業者であれば、リポソームへの誘導体化脂質分子の組み込みを確保するように、または安定したリポソームを得るように、この水和ステップ中の特定の温度およびインキュベーション時間を識別することができるであろう。
【0171】
本発明の化合物(複数可)は、リポソームを形成するプロセスの任意の点で添加することができる。一実施例では、本化合物は、乾燥脂質混合物の形成中に脂質および脂質構成要素に添加される。別の実施例では、本化合物は、脂質および脂質構成要素を含有する乾燥脂質混合物で事前形成されるリポソームに追加される。さらに別の実施例では、ミセルが、化合物と形成され、リポソームが、脂質および脂質構成要素を含有する乾燥脂質混合物で形成され、次いで、ミセルおよびリポソームが、ともにインキュベートされる。水溶液は、緩衝剤、塩、キレート剤、生理食塩水、デキストロース、蔗糖等の作用物質またはリポソームを安定させる付加的な構成要素を含むことができる。
【0172】
この手技の一実施例では、脂質混合物から成る乾燥膜が、作用物質を含有する水溶液で水和される。この混合物は、最初に、50℃で30分間加熱され、次いで、室温まで冷却される。次に、混合物は、ポリペプチド−脂質複合体を含有する乾燥膜上に移される。次いで、混合物は、作用物質を含有するリポソームにポリペプチド−脂質複合体を組み込むように、37℃で2時間インキュベートされる。例えば、Zhang et al.,J.Control.Release 112:229−239(2006)を参照されたい。
【0173】
小胞構造を有する脂質粒子
ある実施形態では、脂質粒子は、陽イオン性脂質(例えば、DODMA、DOTMA、および/またはアミノアミン脂質、アミノアミド脂質、または本発明の他の脂質)およびRNAi剤、ならびに中性または両イオン性脂質、PEG−脂質複合体、および随意にコレステロールを含む。
【0174】
1つ以上のRNA結合剤および1つ以上のトランスフェクション脂質を有する脂質粒子
脂質粒子はまた、1つ以上のRNA結合剤および1つ以上のトランスフェクション脂質を有するものも含む。一実施形態では、1つ以上のRNA結合剤は、内部凝集体を形成し、1つ以上のトランスフェクション脂質は、外部凝集表面を形成する。特定の実施形態では、外部凝集表面は、膜、脂質二重層、および/または多重膜層ではない。ある実施形態では、1つ以上のRNA結合剤(例えば、脂質)は、総脂質の約10〜90%を表す。他の実施形態では、1つ以上のRNA結合剤(例えば、脂質)は、総脂質の約50%を表す。他の実施形態では、1つ以上のRNA結合剤(例えば、脂質)は、総脂質の約30%を表す。ある実施形態では、脂質粒子の1つ以上のRNA結合剤を伴う核酸ペイロードの錯体/凝集体は、陽イオン性脂質(例えば、DODMA、DOTMA、および/または本発明のアミノアミン脂質あるいはアミノアミド)と、RNAi剤とを含み、脂質粒子の1つ以上のトランスフェクション脂質は、中性または両イオン性脂質と、PEG−脂質複合体と、随意にコレステロールとを含む。他の実施形態では、粒子の1つ以上のトランスフェクション脂質は、陽イオン性脂質(例えば、DODMA、DOTMA、アミノアミン脂質、および/またはアミノアミド脂質)と、中性脂質と、PEG−脂質複合体と、随意にコレステロールとを含む。
【0175】
RNAi剤
RNA干渉(RNAi)は、特定のRNA分子の分解を引き起こすこと、または特定の遺伝子の転写を妨害することによって、遺伝子発現を阻害する機構である。本質的に、RNAi標的はしばしば、ウイルスおよびトランスポゾン(先天性免疫応答の形態)からのRNA分子であるが、発達およびゲノム維持を調節することにおける役割も果たす。RNAiの機構の手掛かりは、標的メッセンジャーRNA(mRNA)分子にとって十分に相補的なヌクレオチド配列を有する、低分子干渉RNA鎖(siRNA)である。siRNAは、標的mRNAへのRNAi経路内でタンパク質を方向付け、それらを分解して、もはやタンパク質に変換することができない、より小さい部分に分解する。
【0176】
RNAi経路は、長い二本鎖RNA(dsRNA)分子を、典型的には、長さが約21から約23個のヌクレオチドであり、約19塩基対二本鎖を含有する、siRNA分子に切断する、酵素Dicerによって開始される。次いで、誘導鎖として知られている、各断片の2本の鎖のうちの1本が、RNA誘導サイレンシング錯体(RISC)に組み込まれ、相補的配列と対合する。RISCは、siRNA二本鎖のアンチセンス鎖に相補的である配列を有する、一本鎖RNAの切断に介在する。標的RNAの切断は、siRNA二本鎖のアンチセンス鎖に相補的である領域の中央で起こる。この認識事象の成果は、転写後遺伝子サイレンシングである。これは、誘導鎖がmRNA分子と特異的に対合し、RISC錯体の触媒構成要素であるArgonauteによる分解を引き起こすときに起こる。
【0177】
本発明の化合物は、生体外で、または生体内で(例えば、対象の中で)1つ以上のRNAi剤を細胞に送達するために使用することができる。RNAi剤は、RNA:RNAまたはRNA:DNA鎖のいずれか一方を含む、異なる種類の二本鎖分子を含むことができる。これらの作用物質は、単独で、または別のポリヌクレオチドと組み合わせて二本鎖ポリヌクレオチドを形成することが可能な1つ以上のポリヌクレオチドを発現する、二本鎖(3′−末端上に突出を伴う、または伴わない)、ヘアピンループ、または発現ベクターを含む、種々の構造で細胞に導入することができる。例示的なRNAi剤は、本明細書で説明される、siRNA、shRNA、DsiRNA、およびmiRNA剤を含む。概して、これらの作用物質は、長さが約10から約40個のヌクレオチドであり、好ましい長さが、特定のRNAi剤について以下で説明される。
【0178】
RNAi剤による機能的遺伝子サイレンシングは、標的遺伝子産物の完全阻害を必ずしも含むわけではない。場合によっては、RNAi剤によって引き起こされる遺伝子産物発現の限界減少が、宿主細胞、組織、臓器、または動物における有意な機能または表現型変化に変換し得る。したがって、遺伝子サイレンシングは、機能的同等物であると理解され、サイレンシングを達成する遺伝子産物分解の程度は、遺伝子標的または宿主細胞型の間で異なり得る。
【0179】
siRNA
低分子干渉RNA(siRNA)は、概して、3′−末端上に1つまたは2つのヌクレオチド突出を伴う、またはいかなる突出も伴わない、長さが16から30個のヌクレオチド(例えば、18から25個のヌクレオチド、例えば、21個のヌクレオチド)の二本鎖RNA分子である。熟練の施術者であれば、(例えば、遺伝子サイレンシングの全体的レベルを増加または減少させるように)この配列長を変化させてもよい。ある実施形態では、突出は、3′−末端におけるUUまたはdTdTである。概して、単一塩基対の不一致でさえサイレンシングを低減させることが示されているため、siRNA分子は、標的DNA分子の1本の鎖に完全に相補的である。他の実施形態では、siRNAは、例えば、2′−デオキシ−または2′−O−メチル修飾、あるいは本明細書で説明される任意の修飾等の修飾骨格組成物を有してもよい。
【0180】
siRNAとは、配列特異的に遺伝子発現を阻害または下方調節することが可能な核酸分子を指す。例えば、Zamore et al.,Cell 101:25 33(2000)、Bass,Nature 411:428−429(2001)、Elbashir et al.,Nature 411:494−498(2001)、ならびにPCT公開第WO 00/44895号、第WO 01/36646号、第WO 99/32619号、第WO 00/01846号、第WO 01/29058号、第WO 99/07409号、および第WO 00/44914号を参照されたい。遺伝子サイレンシングで使用するためのsiRNA分子を調製する方法は、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第7,078,196号で説明されている。
【0181】
shRNA
短ヘアピンRNA(shRNA)は、ヘアピンループ構造が存在し、同一鎖内の相補的ヌクレオチドが分子間結合を形成することを可能にする、一本鎖RNA分子である。shRNAは、siRNAと比較してヌクレアーゼ分解に対する低減した感受性を示すことができる。ある実施形態では、shRNAは、長さが19から29個のヌクレオチド(例えば、19から21個のヌクレオチドまたは25から29個のヌクレオチド)の茎長を有する。いくつかの実施形態では、ループサイズは、長さが4から23個のヌクレオチドである。shRNAは、概して、有効性を減少させることなく、1つ以上の不一致、例えば、shRNA茎の2本の鎖の間のG−U不一致を含有することができる。
【0182】
DsiRNA
Dicer−基質RNA(DsiRNA)は、25から35個のヌクレオチドの二本鎖RNA剤である。そのような長さの作用物質が、RNA干渉(RNAi)経路のDicer酵素によって処理されると考えられる一方で、25個のヌクレオチドよりも短い作用物質は、概して、Dicer生成物を模倣し、Dicer処理を免れる。いくつかの実施形態では、DsiRNAは、1から4個のヌクレオチド(例えば、1から2個のヌクレオチド)のアンチセンスまたはセンス鎖の3′−末端において一本鎖ヌクレオチドを有する。
【0183】
DsiRNA剤のある修飾構造が、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2007/0265220号等で以前に説明された。本発明の製剤で使用するために好適である付加的なDsiRNA構造および特定の組成物は、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許出願第12/586,283号、米国特許公開第2005/0244858号、第2005/0277610号、第2007/0265220号、第2011/0021604号、第2010/0173974号、第2010/0184841号、第2010/0249214号、第2010/0331389号、第2011/0003881号、第2011/0059187号、第2011/0111056号、ならびに第PCT公開第WO 2010/080129号、第WO 2010/093788号、第WO 2010/115202号、第WO 2010/115206号、第WO 2010/141718号、第WO 2010/141724号、第WO 2010/141933号、第WO 2011/072292号、第WO 2011/075188号で説明されている。概して、DsiRNA構築物は、19−23mer siRNAについて説明されるような固相オリゴヌクレオチド合成方法を使用して合成される(例えば、米国特許第5,804,683号、第5,831,071号、第5,998,203号、第6,117,657号、第6,353,098号、第6,362,323号、第6,437,117号、第6,469,158号、第6,111,086号、第6,008,400号、および第6,111,086号を参照)。
【0184】
miRNA
マイクロRNA(miRNA)は、長さが17から25個のヌクレオチド(例えば、21から23個のヌクレオチド)の一本鎖RNA分子である。熟練の施術者であれば、遺伝子サイレンシングの全体的レベルを増加または減少させるように、この配列長を変化させてもよい。これらの作用物質は、標的メッセンジャーRNA上の相補的配列を結合することによって標的遺伝子を抑制する。本明細書で使用されるように、「miRNA前駆物質」という用語は、限定ではないが、一次RNA転写産物である、pri−miRNAおよびpre−miRNAを包含するために使用される。本発明の「miRNAペイロード」は、pri−miRNA、pre−miRNA、および/またはmiRNA(あるいは天然miRNA)を含むことができる。ある実施形態では、本発明のsiRNA(例えば、DsiRNA)は、miRNA配列を組み込むか、または該miRNAとして機能するようにmiRNA配列に十分類似している(そのようなsiRNAを「miRNA模倣」にする)、誘導鎖を提示してもよい。
【0185】
アンチセンス化合物
例示的なアンチセンス化合物は、連続ヌクレオシド長範囲を含み、範囲の上限は、50個のヌクレオシドであり、範囲の下限は、8個のヌクレオシドである。ある実施形態では、範囲の上限は、35個のヌクレオシドであり、範囲の下限は、14個のヌクレオシドである。さらなる実施形態では、範囲の上限は、24個のヌクレオシドであり、範囲の下限は、17個のヌクレオシドである。なおもさらなる実施形態では、アンチセンス化合物は、20個の連続ヌクレオシドである。当業者であれば、本明細書で開示されるように、範囲の上限が、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50個の連続ヌクレオシドを含み、範囲の下限が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の連続ヌクレオシドを含むことを容易に認識するであろう。
【0186】
例示的なアンチセンス化合物は、標的配列の転写、変換に干渉し、分解(随意に、ヌクレアーゼ媒介分解)を推進し、および/または別様に機能を妨害する(例えば、別様に機能的な標的配列の機能に干渉する、例えば、アンチセンス化合物媒介機構を介したプロモータ、エンハンサ、または他の機能的核酸標的配列の妨害)ように、標的配列に十分に相補的である、一続きの少なくとも8個、随意に少なくとも12個、随意に少なくとも15個の連続ヌクレオシドを含む。
【0187】
修飾は、アンチセンス化合物に行うことができ、末端、選択された核酸塩基位置、糖位置のうちの1つに、またはヌクレオシド間結合のうちの1つに付着した複合体群を含んでもよい。可能な修飾は、2′−フルオロ(2′−F)、2′−Oメチル(2′−OMe)、2′−O−(2−メトキシエチル)(2′−MOE)高親和性糖修飾、逆脱塩基キャップ、デオキシ核酸塩基、ならびにロックド核酸(LNA)およびエチレン架橋核酸(ENA)等の二環式核酸塩基類似体を含むが、それらに限定されない。
【0188】
RNAi剤を作製する方法
RNAi剤は、標的核酸(例えば、標的遺伝子)に方向付けられる少なくとも1つのアンチセンスヌクレオチド配列を含む。アンチセンスヌクレオチドは、選択された標的配列に相補的であるDNAまたはRNAの一本鎖である。アンチセンスRNAの場合、それに結合することによって、相補的RNA鎖の変換を妨げる。アンチセンスDNAは、特定の相補的(コード化または非コード化)RNAを標的にするために使用することができる。特定の実施形態では、アンチセンスヌクレオチドは、約10から約40個のヌクレオチド、より好ましくは約15から約30個のヌクレオチドを含有する。アンチセンスヌクレオチドは、所望の標的遺伝子に対する最大で80%、85%、90%、95%、99%、またはさらに100%の相補性を有することができる。
【0189】
アンチセンスおよびセンスヌクレオチド、ならびに対応する二本鎖またはヘアピンループを産生する方法が、当技術分野で公知であり、任意の標的核酸配列を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドを産生するように容易に適合することができる。アンチセンスヌクレオチド配列は、標的配列を分析して、二次構造、Tm、結合エネルギー、および相対的安定性を判定すること等によって、標的特異性を最適化するように、および/または、宿主細胞内の標的mRNAへの特異的結合を低減または禁止するであろう、二量体、ヘアピン、または他の二次構造等の二次構造の形成を低減させるように、選択することができる。いくつかの実施形態では、mRNAの極めて好ましい標的領域は、AUG変換開始コドンにおける、またはその付近の領域、およびmRNAの5′ 領域に実質的に相補的である配列を含む。これらの二次構造分析および標的部位選択の考慮は、例えば、OLIGOプライマー分析ソフトウェア(Molecular Biology Insights)のバージョン4、および/またはBLASTN 2.0.5アルゴリズムソフトウェア(Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25(17):3389−3402,1997)を使用して行うことができる。RNAi剤を調製するための非限定的な方法が、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,804,683号、第5,831,071号、第5,998,203号、第6,117,657号、第6,353,098号、第6,362,323号、第6,437,117号、第6,469,158号、第6,111,086号、第6,008,400号、および第6,111,086号で説明されている。
【0190】
RNAi剤は、一本鎖、二本鎖、線形、円形(例えば、プラスミド)、刻み目が付いた円形、コイル状、スーパーコイル状、鎖状、または帯電等の任意の有用な形態を有することができる。加えて、ヌクレオチドは、5′ および3′ センスおよびアンチセンス鎖末端修飾を含有してもよく、鈍的または突出末端ヌクレオチド(例えば、3′−末端におけるUUまたはTT)、あるいはそれらの組み合わせを有することができる。
【0191】
修飾DNAまたはRNA分子を含む修飾核酸が、本明細書で説明されるポリヌクレオチド(例えば、RNAi剤)内の自然発生核酸の代わりに使用されてもよい。修飾核酸は、本明細書で説明されるポリヌクレオチドの半減期、安定性、特異性、送達、可溶性、およびヌクレアーゼ耐性を向上させることができる。例えば、siRNA剤は、上記で説明される有益な質を与えるヌクレオチド類似体から部分的または完全に成ることができる。Elmen et al.(Nucleic Acids Res.33:439−447(2005))で説明されるように、合成RNA様ヌクレオチド類似体(例えば、ロックド核酸(LNA))は、標的遺伝子産物に対するサイレンシング活性を示す、siRNA分子を構築するために使用することができる。
【0192】
ホスホジエステル結合の中の非架橋酵素が硫黄で置き換えられる、ホスホロチオエート(PS)骨格修飾は、ヌクレアーゼ分解に対して核酸を安定させるように展開される、最も初期かつ最も一般的な手段のうちの1つである。一般に、PS修飾は、活性に大きく影響を及ぼすことなく、両方のsiRNA鎖に広く行うことができると考えられる(Kurreck,Eur.J.Biochem.270:1628−44(2003))。特定の実施形態では、PS修飾は、通常、3′ および5′ 末端における1つまたは2つの塩基に制限される。低い毒性を有しながらsiRNA活性を増進させるために、ボラノリン酸リンカーを使用することができる(Hall et al.,Nucleic Acids Res.32:5991−6000(2004))。オリゴヌクレオチド骨格への他の例示的な修飾は、メチルホスホン酸塩、ジチオリン酸塩、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、アルキルホスホン酸塩(例えば、3′−アルキレンホスホン酸塩)、キラルホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、アミド亜リン酸塩(例えば、3′−アミノアミド亜リン酸塩塩)、アミノアルキルアミド亜リン酸、チオノアミド亜リン酸塩、チオノアルキルホスホン酸塩、チオノアルキルホスホトリエステル、およびペプチド結合によって結合された反復N−(2−アミノエチル)−グリシン単位を有するタンパク質ヌクレオチド(PNA)骨格を含み、代表的なPNA化合物は、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号、および第5,719,262号、ならびにNielsen et al.,Science 254:1497−1500(1991)で開示されているものを含むが、それらに限定されない。
【0193】
骨格への他の修飾は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、あるいは1つ以上の短鎖ヘテロ原子または複素環式ヌクレオシド間結合とリン原子を代替するものを含む(例えば、モルホリノ結合、シロキサン骨格、スリフィド、スルホキシド、およびスルホン骨格、ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファミン酸塩骨格、メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格、スルホン酸塩およびスルホンアミド骨格、アミド骨格、ならびに混合N、O、S、およびCH
2構成要素部分を有するその他)を含む。
【0194】
ある修飾核酸塩基が、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびにN−2、N−6、およびO−6置換プリン(例えば、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、5−プロピニルシトシン、および5−メチルシトシン)等の本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増加させるために特に有用である。例示的な修飾核酸塩基は、5−メチルシトシン(5−me−Cまたはm5c)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、およびヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチル、ならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−プロピルならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン、2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシン、およびチミン、5−ウラシル(擬似ウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシ、ならびに他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、具体的には、5−ブロモ、5−トリフルオロメチル、ならびに他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニン、7−メチルアデニン、8−アザグアニン、8−アザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザアデニン、3−デアザグアニン、および3−デアザアデニンを含む。これらの修飾核酸塩基は、特定の実施形態では、本明細書で説明される任意の糖修飾等の他の修飾と組み合わせられてもよい。
【0195】
修飾オリゴヌクレオチドはまた、1つ以上の置換糖部分を含有してもよく、修飾は、リボース環の任意の反応部位(例えば、リボース環の2′−OH)、または1つ以上の普遍的塩基で行うことができる。例示的な修飾は、F、Br、またはCl等の2′−ハロ、2′−OMe等の2′−O−アルキル、2′−S−アルキル、または2′−N−アルキル、nおよびmが1から約10である、2′−O−メトキシエチル(2′−O−MOE)、2′−O[(CH
2)
nO]
mCH
3、2′−O(CH
2)
nOCH
3、2′−O(CH
2)
2ON(CH
3)
2O(CH
2)
nNH
2、O(CH
2)
nCH
3、2′−O(CH
2)
nONH
2、および2′−O(CH
2)
nON[(CH
2)
nCH
3]]
2等の2′−O−(アルキル−O)
n−アルキル、2′−O−アルケニル、2′−S−アルケニル、またはアルキル、アルケニル、およびアルキニルが置換または非置換C
1−10アルキルまたはC
2−10アルケニルおよびアルキニルであり得る、2′−N−アルケニル、2′−O−アルキニル、2′−S−アルキニル、または2′−N−アルキニル、ならびにロックド核酸(LNA)を形成するリボースの第2′位と第4′位の間の架橋修飾を含む。例示的な普遍的塩基は、修飾ヌクレオチドの中のヌクレオチド糖部分の第1′位、または1−β−D−リボフラノシル−5−ニトロインドールおよび1−β−D−リボフラノシル−3−ニトロピロール等のヌクレオチド糖部分の中の同等位置に位置する、複素環式部分を含む。
【0196】
ある実施形態では、説明された形態の修復および/または修飾のパターンを保有する核酸を採用することができる。核酸の例示的な修飾および修飾パターンに関する付加的な詳細は、例えば、少なくとも米国公開第2010/0240734号、国際公開第2010/080129号、国際公開第2010/033225号、米国公開第2011/0021604号、国際公開第2011/075188号、国際公開第2011/072292号、国際公開第2010/141724号、国際公開第2010/141726号、国際公開第2010/141933号、国際公開第2010/115202号、国際公開第2008/136902号、国際公開第2011/109294号、国際公開第2011/075188号、PCT/米国公開第11/42810号、PCT/米国公開第11/42820号、米国公開第61/435,304号、米国公開第61/478,093号、米国公開第61/497,387号、米国公開第61/529,422号、米国特許第7,893,245号、国際公開第2007/051303号、および米国公開第2010/0184209号といった参考文献で見出すことができる。先述の文書のそれぞれは、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0197】
RNAi遺伝子標的
本発明は、RNAi剤と組み合わせた、化合物または製剤を用いた治療による罹患組織または臓器内の標的遺伝子のサイレンシングを特色とする。本発明の治療可能性は、病状(例えば、癌)の確立または維持に関与することが知られている、または考えられる、特定の標的遺伝子のmRNA分子が、RNAi剤によって分解されるときに実現される。
【0198】
本発明とともに使用するためのRNAi標的の実施例は、接着分子、サイクリンキナーゼ阻害剤、Wnt族構成要素、Pax族構成要素、Wingedらせん族構成要素、Hox族構成要素、サイトカイン/リンフォカインおよびそれらの受容体、成長/分化因子およびそれらの受容体、神経伝達物質およびそれらの受容体等の発達タンパク質、癌遺伝子コード化タンパク質(例えば、ABL1(UniProt番号P00519、NCBI遺伝子ID:25)、AR(UniProt番号P10275、NCBI遺伝子ID:3647)、β−カテニン(CTNNB1、UniProt番号P35222、NCBI遺伝子ID:1499)、BCL1(UniProt番号P24385、NCBI遺伝子ID:595)、BCL2(UniProt番号P10415、NCBI遺伝子ID:596)、BCL6(UniProt番号P41182)、CBFA2(UniProt番号Q01196、NCBI遺伝子ID:861)、CBL(UniProt番号P22681、NCBI遺伝子ID:687)、CSF1R(UniProt番号P07333、NCBI遺伝子ID:1436)、ERBA1(UniProt番号P10827、NCBI遺伝子ID:7067)、ERBA2(UniProt番号P10828、NCBI遺伝子ID:7068)、ERBB(UniProt番号P00533、NCBI遺伝子ID:1956)、ERBB2(UniProt番号P04626、NCBI遺伝子ID:2064)、ERBB3(UniProt番号P21860、NCBI遺伝子ID:190151)、ERBB4(UniProt番号Q15303、NCBI遺伝子ID:600543)、ETS1(UniProt番号P14921、NCBI遺伝子ID:2113)、ETS2(UniProt番号P15036、NCBI遺伝子ID:2114)、ETV6(UniProt番号41212、NCBI遺伝子ID:2120)、FGR(UniProt番号P09769、NCBI遺伝子ID:2268)、FOS(UniProt番号P0110、NCBI遺伝子ID:2353)、FYN(UniProt番号P06241、NCBI遺伝子ID:2534)、HCR(UniProt番号Q8TD31、NCBI遺伝子ID:54535)、HRAS(UniProt番号P01112、NCBI遺伝子ID:3265)、JUN(UniProt番号P05412、NCBI遺伝子ID:3725)、KRAS(UniProt番号P01116、NCBI遺伝子ID:3845)、LCK(UniProt番号P06239、NCBI遺伝子ID:3932)、LYN(UniProt番号P07948、NCBI遺伝子ID:4067)、MDM2(UniProt番号Q00987、NCBI遺伝子ID:4193)、MLL1(UniProt番号Q03164、NCBI遺伝子ID:4297)、MLL2(UniProt番号O14686、NCBI遺伝子ID:8085)、MLL3(UniProt番号Q8NEZ4、NCBI遺伝子ID:58508)、MYB(UniProt番号P10242、NCBI遺伝子ID:4602)、MYC(UniProt番号P01106、NCBI遺伝子ID:4609)、MYCL1(UniProt番号P12524、NCBI遺伝子ID:4610)、MYCN(UniProt番号P04198、NCBI遺伝子ID:4613)、NRAS(UniProt番号P01111、NCBI遺伝子ID:4893)、PIM1(UniProt番号P11309、NCBI遺伝子ID:5292)、PML(UniProt番号P29890、NCBI遺伝子ID:5371)、RET(UniProt番号P07949、NCBI遺伝子ID:5979)、SRC(UniProt番号P12931、NCBI遺伝子ID:6714)、TAL1(UniProt番号P17542、NCBI遺伝子ID:6886)、TAL2(UniProt番号Q16559、NCBI遺伝子ID:6887)、TCL3(UniProt番号P31314、NCBI遺伝子ID:3195)、TCL5(UniProt番号P17542、NCBI遺伝子ID:6886)、およびYES(UniProt番号P07947、NCBI遺伝子ID:7525))、腫瘍抑制タンパク質(例えば、BRCA1(UniProt番号P38398、NCBI遺伝子ID:672)、BRCA2(UniProt番号P51587、NCBI遺伝子ID:675)、MADH4(UniProt番号Q13485、NCBI遺伝子ID:4089)、MCC(UniProt番号P23508、NCBI遺伝子ID:4163)、NF1(UniProt番号P21359、NCBI遺伝子ID:4763)、NF2(UniProt番号P35240、NCBI遺伝子ID:4771)、RB1(UniProt番号P06400、NCBI遺伝子ID:5925)、TP53(UniProt番号P04637、NCBI遺伝子ID:7157)、PLK1(UniProt番号P53350、NCBI遺伝子ID:9606)、KIF1結合タンパク質(UniProt番号Q96EK5、NCBI遺伝子ID:9606)、およびWT1(UniProt番号P19544、NCBI遺伝子ID:4790))、リポタンパク質(例えば、アポリポタンパク質B(ApoB100、UniProt番号P04114、NCBI遺伝子ID:338))、酵素(例えば、ACCシンターゼおよびオキシダーゼ、ACPデサチュラーゼおよびヒドロキシラーゼ、ADPグルコースピロホリラーゼ、ATPアーゼ、アルコール脱水素酵素、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、カルコン合成酵素、キチナーゼ、シクロオキシゲナーゼ、デカルボキシラーゼ、デキストリナーゼ、DNAおよびRNAポリメラーゼ、ガラクトシダーゼ、グルカナーゼ、グルコースオキシダーゼ、顆粒結合性デンプン合成酵素、GTPアーゼ、ヘリカーゼ、ヘミセルラーゼ、インテグラーゼ、イヌリラーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、キナーゼ(例えば、PLK1(UniProt番号P53350、NCBI遺伝子ID:9606))、ラクターゼ、リガーゼ(例えば、COP1としても知られている、RingフィンガーおよびWD反復含有タンパク質2(RFWD2))、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、リゾチーム、ノパリン合成酵素、オクトピン合成酵素、ペクチンエステラーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、ホスホリラーゼ、フィターゼ、植物成長調節合成酵素、ポリガラクツロナーゼ、プロテイナーゼおよびペプチダーゼ、プラナーゼ、リコンビナーゼ、逆転写酵素、リブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼオキシゲナーゼ(RuBisCos)、トポイソメラーゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(HPRT1)等の転写酵素、およびキシラナーゼ)を含む。
【0199】
肝臓は、代謝(例えば、種々の高コレステロール血症におけるリポタンパク質代謝)および循環タンパク質(例えば、血友病における凝固因子)の分泌におけるその中心的役割を与えられた、核酸治療のための最も重要な標的組織のうちの1つである。加えて、慢性肝炎および肝硬変等の後天的障害は、一般的であり、また、ポリヌクレオチド系肝臓治療によって潜在的に治療される。肝臓に影響を及ぼすか、または肝臓による影響を受ける、いくつかの疾患または症状は、肝臓における遺伝子発現のノックダウン(阻害)を通して潜在的に治療される。例示的な肝臓疾患および障害は、肝臓癌(肝細胞癌、HCCを含む)、ウイルス感染(肝炎を含む)、代謝性障害(脂質異常症および糖尿病を含む)、線維症、および急性肝臓損傷を含む、リストから選択され得る。肝臓治療薬(例えば、特にHCCに標的化された治療薬を含む)のため、随意に、他の癌を含む、他の標的、疾患、および/または障害に対処する治療薬のための例示的な分子標的は、とりわけ、CSN5(UniProt番号Q92905、NCBI遺伝子ID10987)、CDK6(UniProt番号Q00534、NCBI遺伝子ID:1021)、ITGB1(UniProt番号P05556、NCBI遺伝子ID:3688)、MYC(UniProt番号P01106、NCBI遺伝子ID:4609)、TGFβ1(UniProt番号P01137、NCBI遺伝子ID:7040)、サイクリンD1(UniProt番号Q9H014、NCBI遺伝子ID:595)、ヘプシジン(UniProt番号P81172、NCBI遺伝子ID:57817)、PCSK9(UniProt番号Q8NBP7、NCBI遺伝子ID:255738)、およびトランスサイレチン(TTR、UniProt番号P02766、NCBI遺伝子ID:7276)を含む。
【0200】
本発明の製剤は、随意に、正常な組織(例えば、正常な肝臓組織)に、ならびに種々のモデル(例えば、同所性肝臓モデル、皮下肝臓モデル等)に標的化することができる。
【0201】
本発明の製剤のための1つの例示的な標的は、カイロミクロン、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、および低密度リポタンパク質(LDL)といった、種々の類のリポタンパク質で見出される、アポリポタンパク質B(ApoB)である。ApoBは、ApoB/E受容体によるLDL粒子の細胞結合および内部化のための認識信号として機能する。アポリポタンパク質B含有リポタンパク質の蓄積または過多は、アテローム性動脈硬化等の脂質関連障害につながり得る。ApoBを低減させる処方治療は、脂質関連障害を治療するために有用であり得る。アンチセンス治療の形態の1つの核酸系治療は、生体内でマウスにおけるApoBレベルを低減させることが示されており、後に、治療は、血清コレステロールおよびトリグリセリドレベルを低減させた(米国公開第2003/0215943号)。これらの結果は、ApoBの適度な下方調節、および脂質関連障害を治療する際の標的としてのその使用を実証した。
【0202】
本発明の製剤のための別の例示的な標的は、例えば、血友病の治療のために標的化され得る、タンパク質Cである。
【0203】
治療薬の送達
本発明の製剤は、治療薬(例えば、ポリアニオン系薬剤、核酸、またはRNAi剤)を細胞に送達するために使用されてもよい。本製剤によって送達される薬剤は、(例えば、生体外で、または対象において生体内で)遺伝子サイレンシングのために、あるいは対象の疾患(例えば、癌)を治療するか、または予防的に治療するために使用することができる。
【0204】
治療薬の送達は、任意の有用な方法を使用することによって評価されてもよい。例えば、本発明の化合物を含有する製剤を用いた送達は、同等用量での対照と比較して、1)標的遺伝子のノックダウン、または2)毒性あるいは耐容性によって評価されてもよい。これらの評価は、本発明の化合物(例えば、式(I)または表1の任意の化合物)と組み合わせて、本明細書で説明される任意の陽イオン性脂質(例えば、DOTAP、DODMA、DLinDMA、および/またはDLin−KC2−DMA)等の本製剤中の脂質の任意の有用な組み合わせを用いて判定することができる。特定の実施形態では、本発明の化合物を使用するときに、治療薬の送達の向上が観察され、向上は、対照と比較して25%以上(例えば、送達の2倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍以上の向上)である。
【0205】
RNAi剤の送達
RNAiサイレンシングは、多種多様の細胞で使用することができ、HeLa S3、COS7、293、NIH/3T3、A549、HT−29、CHO−KI、およびMCF−7細胞株は、いくらかのレベルのsiRNAサイレンシングの影響を受けやすい。さらに、哺乳類細胞の抑制は、標的遺伝子に対する特異性を伴うRNAレベルで起こることができ、RNAとタンパク質抑制との間の強い相関が観察されている。加えて、本発明の化合物およびその製剤は、(例えば、生体外で、または生体内で)RNAi剤を1つ以上の細胞に送達するために使用されてもよい。例示的なRNAi剤は、本明細書で説明されるように、siRNA、shRNA、dsRNA、miRNA、およびDsiRNA剤を含む。
【0206】
生体外標的ノックダウン
RNAi剤の送達は、任意の有用な方法によって評価することができる。例えば、治療薬を含む製剤を、細胞培養モデル(例えば、HeLa細胞)に生体外で移入することができ、終点測定は、(i)qPCRを使用したmRNA定量、(ii)ウェスタンブロットを使用したタンパク質定量、(iii)本薬剤および/または本発明のアミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質の標識細胞内部化の1つ以上を含むが、それらに限定されない。取り込みまたは送達が、上記の終点の範囲および持続時間の両方にわたって評価されてもよい。送達前に、本製剤は、細胞培地中で室温にて約30分間希釈されてもよく、最終濃度は、用量反応実験において、0から50nMの治療薬あるいはアミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質に変化させることができる。経時変化実験では、用量実験からの最適濃度が、種々のインキュベーション時間、例えば、30分から7日にわたって研究されてもよい。
【0207】
ポリアニオン系ペイロードおよび脂質製剤の機能性もまた、蛍光タグで脂質化合物および治療薬を特異的に標識し、蛍光共局在化研究を行うことによって検査されてもよい。ポリアニオン系ペイロードおよび/または付着した蛍光標識を送達する本発明の化合物の能力は、細胞の内側の全蛍光を測定することによって、およびエンドソームまたはリソソーム区画と安定して関連付けられていない蛍光を測定することによっての両方で評価されてもよい(機能するために、RNAiをトリガする治療薬は、細胞の内側に到達するだけでなく、細胞の細胞質に到達する必要もある)。蛍光共局在化および細胞輸送研究の実施が、当技術分野で説明されている(Lu,et al.,Mol.Pharm.6(3):763,2009、McNaughton et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.106(15):6111,2009)。
【0208】
特定の標的細胞型および標的組織への送達
本発明の化合物は、治療薬を種々の臓器および組織に送達して種々の疾患を治療するために使用することができる。例示的な標的組織または臓器は、肝臓、膵臓、肺、前立腺、腎臓、骨髄、脾臓、胸腺、リンパ節、脳、脊髄、心臓、骨格筋、皮膚、口腔粘膜、食道、胃、回腸、小腸、結腸、膀胱、子宮頸部、卵巣、精巣、乳腺、副腎、脂肪組織(白色および/または褐色)、血液(例えば、ヒト造血前駆細胞、ヒト造血幹細胞、CD34+細胞、CD4+細胞等の造血細胞)、リンパ球、および他の血液系統細胞を含むが、それらに限定されない。
【0209】
癌治療
本発明の化合物は、癌を有する、または癌を発現するリスク(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の増加リスク)がある対象に1つ以上の治療薬(例えば、RNAi剤)を送達するために使用することができる。例示的な癌は、肝臓癌(例えば、肝細胞癌、肝芽腫、胆管癌、脈管肉腫、または血管肉腫)、または神経芽細胞腫を含む。例示的な腫瘍性疾患および関連合併症は、癌(例えば、肺、乳房、膵臓、結腸、肝細胞、腎臓、女性生殖管、扁平上皮細胞、上皮内癌)、リンパ腫(例えば、組織球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、MEN2症候群、神経線維腫症(シュワン細胞新生物を含む)、骨髄異形成症候群、白血病、腫瘍血管新生、甲状腺、肝臓、骨、皮膚、脳、中枢神経系、膵臓、肺(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC))、乳房、結腸、膀胱、前立腺、消化管、子宮内膜、卵管、精巣、および卵巣の癌、消化管間質腫瘍(GIST)、前立腺腫瘍、肥満細胞腫瘍(イヌ肥満細胞腫瘍を含む)、急性骨髄線維症、白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、黒色腫、肥満細胞症、神経膠腫、膠芽細胞腫、星状細胞腫、神経芽細胞腫、肉腫(例えば、神経外胚葉起源の肉腫、または平滑筋肉腫)、他の組織への腫瘍の転移、および化学療法誘導性低酸素症を含むが、それらに限定されない。
【0210】
投与および投与量
本発明はまた、治療薬(例えば、RNAi剤)を含む製剤等の、化合物を含有する医薬組成物または組成物の治療的有効量にも関する。本組成物は、種々の薬剤送達システムで使用するために製剤化することができる。1つ以上の生理学的に容認可能な賦形剤または担体も、適正な製剤のために本組成物に含むことができる。本発明で使用するための好適な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.,1985で見出される。薬剤送達のための方法の簡潔な論評については、例えば、Langer,Science 249:1527−1533,1990を参照されたい。
【0211】
本医薬組成物は、予防的および治療的処置のために、経皮手段によって等、非経口、鼻腔内、局部、経口、または局所投与に意図されている。本医薬組成物は、非経口で(例えば、血管内、筋肉内、または皮下注射)、または経口摂取によって、または血管あるいは癌症状による影響を受ける領域での局所適用あるいは関節内注射によって、投与することができる。付加的な投与経路は、血管内、動脈内、腫瘍内、腹腔内、心室内、硬膜外、ならびに鼻腔内、眼内、強膜内、眼窩内、直腸、局所、またはエアロゾル吸入投与を含む。持続放出投与もまた、蓄積注射または浸食性インプラントあるいは構成要素等の手段によって、本発明に特異的に含まれる。したがって、本発明は、容認可能な担体、好ましくは、水性担体、例えば、水、緩衝用水、生理食塩水、PBS、および同等物中に溶解または懸濁させられた上記の作用物質を含む、非経口投与のための組成物を提供する。本組成物は、生理学的条件に接近させるように必要に応じて、pH調整および緩衝剤、毒性調整剤、湿潤剤、洗剤、および同等物等の薬学的に容認可能な補助物質を含有してもよい。本発明はまた、錠剤、カプセル、および同等物の製剤用の結合剤または充填剤等の不活性成分を含有し得る、経口送達のための組成物を提供する。さらに、本発明は、クリーム、軟膏、および同等物の製剤用の溶媒または乳化剤等の不活性成分を含有し得る、局所投与のための組成物を提供する。
【0212】
これらの組成物は、従来の滅菌技法によって滅菌されてもよく、または滅菌濾過されてもよい。結果として生じる水溶液は、そのままで使用するために包装され、または凍結乾燥させられてもよく、凍結乾燥調製品は、投与の前に滅菌水性担体と組み合わせられる。調製品のpHは、典型的には、3から11、より好ましくは、5から9または6から8、最も好ましくは7から7.5等の7から8であろう。固体形態での結果として生じる組成物は、錠剤またはカプセルの密閉包装等の中等に固定量の1つまたは複数の上記の作用物質をそれぞれ含有する、複数の単回用量単位で包装されてもよい。固体形態での本組成物はまた、局所的に適用可能なクリームまたは軟膏のために設計された圧搾可能なチューブの中等で、融通が利く分量のためのコンテナで包装することもできる。
【0213】
有効量を含有する本組成物は、予防的または治療的処置のために投与することができる。予防的用途では、腫瘍または癌の発現に対する臨床的に判定された傾向または増加した感受性がある患者に組成物を投与することができる。本発明の組成物は、臨床疾患の発病または腫瘍発生を遅延させ、低減させ、または好ましくは予防するのに十分な量で、患者(例えば、ヒト)に投与することができる。治療的用途では、組成物は、症状およびその合併症の兆候を治癒するか、または少なくとも部分的に止めるのに十分な量で、すでに癌に罹患している患者(例えば、ヒト)に投与される。この目的を達成するために十分な量は、「治療的有効用量」として定義され、疾患または病状と関連付けられる何らかの兆候を実質的に改善するのに十分な化合物の量である。例えば、癌の治療では、疾患または症状の任意の兆候を減少させ、予防し、遅延させ、抑制し、または止める作用物質または化合物が、治療的に有効であろう。作用物質または化合物の治療的有効量は、疾患または症状を治癒する必要はないが、個人において、疾患または症状の発病が遅延させられ、妨害され、または予防され、あるいは疾患または症状の兆候が改善され、あるいは疾患または症状の期間が変化させられる、または例えば、あまり重度ではない、あるいは回復が加速させられるように、疾患または症状に対する治療を提供するであろう。
【0214】
この用途に効果的な量は、疾患または症状の重症度、ならびに患者の体重および前進状態に依存し得るが、概して、患者あたりの用量につき約0.5mgから約3000mgの1つまたは複数の作用物質に及び得る。初期投与および追加投与のための好適な計画は、後続の投与による1つ以上の毎時間、毎日、毎週、または毎月の間隔での反復投与が続く、初期投与によって類型化される。本発明の組成物中に存在する作用物質の全有効量は、ボーラスとして、または比較的短い期間にわたる注入によってのいずれかで、単回用量として哺乳類に投与することができ、あるいは複数の用量がより長期間にわたって投与される(例えば、4〜6、8〜12、14〜16、または18〜24時間ごと、または2〜4日、1〜2週間ごと、月に1回の用量)分画治療プロトコルを使用して投与することができる。代替として、血液中の治療的に有効な濃度を維持するのに十分な連続静脈内注入が考慮される。
【0215】
本発明の組成物内に存在し、哺乳類(例えば、ヒト)に適用される本発明の方法で使用される、1つ以上の作用物質の治療的有効量は、哺乳類の年齢、体重、および状態の個体差を考慮して、当業者によって判定することができる。本発明の作用物質は、治療された対象で望ましい結果(例えば、癌または神経変性障害の減速または寛解)を生じる量である、有効量で対象(例えば、ヒト等の哺乳類)に投与される。そのような治療的有効量は、当業者によって実験的に判定することができる。
【0216】
患者はまた、1週間に1回以上(例えば、1週間に2、3、4、5、6、7回以上)1用量につき約0.1〜3,000mg、1週間に0.1〜2,500(例えば、2,000、1,500、1,000、500、100、10、1、0.5、または0.1)mgの範囲内の作用物質を受容してもよい。患者はまた、2または3週間に1回、1用量につき0.1〜3,000mgの範囲内の本組成物の作用物質を受容してもよい。
【0217】
投与される製剤およびペイロード(例えば、DsiRNA)の量(用量)は、実験的に判定することができる。ある実施形態では、遺伝子発現の効果的なノックダウンは、0.0001〜10mg/kg動物重量の核酸ペイロードおよび0.001〜200mg/kg動物重量の送達製剤を使用して観察される。マウスにおける例示的な量は、0.1〜5mg/kgの核酸ペイロードおよび0.7〜100mg/kgの送達製剤である。随意に、約1〜50mg/kgの送達製剤が投与される。ペイロード(例えば、DsiRNA)の量は、典型的には、より大きい用量で毒性ではないため、容易に増加される。
【0218】
ある実施形態では、用量は、例えば、急性対慢性適応症等に応じて、数日、数週間、またはそれ以上の期間(例えば、1日から28日以上)にわたって毎日、1回だけ、または他の間隔で投与することができる。
【0219】
有効量を含む、本発明の組成物の単回または複数回投与は、治療医によって選択されている用量レベルおよびパターンで実行することができる。用量および投与スケジュールは、臨床医によって一般的に実践されている方法、または本明細書で説明される方法に従って、治療の経過の全体を通して監視され得る、患者の疾患または症状の重症度に基づいて判定および調整することができる。
【0220】
本発明の化合物および製剤は、処置または治療の従来の方法と組み合わせて使用されてもよいか、あるいは処置または治療の従来の方法とは別個に使用されてもよいかのいずれかである。本発明の化合物および製剤は、他の作用物質とともに併用療法で投与されるとき、個人に連続的または同時に投与されてもよい。代替として、本発明による医薬組成物は、本明細書で説明されるような薬学的に容認可能な賦形剤と関連する本発明の化合物または製剤、および当業者に公知である別の治療または予防薬の組み合わせを含む。
【0221】
製剤化された作用物質は、キットとしてともに包装することができる。非限定的実施例は、例えば、2つの丸薬、丸薬および粉末、坐薬およびバイアル中の液体、2つの局所クリーム等を含有する、キットを含む。キットは、粉末形態を再構成するためのバイアル、注射用の注射器、カスタマイズされた静脈内送達システム、吸入器等の、患者への単位用量の投与に役立つ随意的な構成要素を含むことができる。加えて、単位用量キットは、組成物の調製または投与のための説明書を含有することができる。キットは、特定の患者用の1人の患者の複数回使用のための単回使用単位用量として製造されてもよく(一定用量で、または治療が進行するにつれて個々の化合物の有効性が変化し得る)、またはキットは、複数の患者への投与のために好適な複数の用量を含有してもよい(「バルク包装」)。キット構成要素は、カートン、ブリスターパック、ボトル、チューブ、および同等物の中で組み立てられてもよい。
【0222】
組立ナノ粒子中の脂質のpKa値の測定
脂質の異なる生理化学的性質が、異なる環境に存在するときの脂質の挙動を大いに決定する。1つのそのような重要な性質は、脂質のイオン化定数(Ka)である。脂質の固有pKaは、組立ナノ粒子中に存在するときのそれらの挙動の正しい表現ではない場合がある。水性環境中に存在するとき、脂質が、高い誘電率を伴う環境を被る一方で、組立ナノ粒子/小胞中で、それは、低い誘電率を提供する脂質によって包囲される。加えて、周辺脂質、コレステロール、およびPEG化脂質は全て、本製剤の見掛けのpKaに影響を及ぼす。陽イオン性脂質と核酸との間の相互作用の性質が静電気であるため、本製剤の見掛けのpKaが、ナノ粒子の核酸のカプセル化、また、後続の細胞内放出も決定する。
【0223】
TNS蛍光方法が、本製剤中の脂質の見掛けのpKaを判定するために使用されてもよい。TNS(2−(p−トルイジノ)−6−ナフタレンスルホン酸)は、蛍光が水の存在下で急冷させられる、負に帯電した蛍光染料である。TNSは、正に帯電した膜に分かれ、これは、水の除去による蛍光の増加をもたらす。したがって、蛍光の増加は、異なるpH環境に存在するときの陽イオン性脂質のイオン化を推定するために使用することができる。TNSを使用してpKaを判定する方法が、例えば、実施例で説明されるように、当技術分野で公知である。
【実施例】
【0224】
実施例1:ケトンおよび1級アミンからのアミノアミン脂質L−1の合成
【化15】
ケトンa(1当量)およびアミンb(1.1当量)を、全てN
2雰囲気下で乾燥フラスコの中のジクロロエタンに溶解させ、室温(RT)で30分間撹拌した。トリアセトキシボロヒドリド(1.5当量)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を1N NaOHで急冷させた。急冷反応物をDCMで希釈し、水で1回、食塩水で1回抽出し、有機相をNa
2SO
4上で乾燥させた。乾燥溶液をロトエバポレータ上で濾過および濃縮した。化合物L−1を産生するように、残留物をシリカカラム(1%MeOH/DCMから5%MeOH/DCMで始まる段階的勾配、収率は60%から90%まで変化した)によって精製した。H
1 NMR(CDCl
3):δ5.41−5.30(m,8H),3.12(t,2H),2.91(m,1H),2.77(t,6H),2.48(bs,6H),2.20(m,2H),2.05(q,8H),1.80−1.69(m,4H),1.38−1.25(m,40H),0.89(t,3H);質量分析:エレクトロスプレー:[M+1]理論値:613、実測値:613。
【0225】
この実施例の合成ステップを修正することによって、
図2A、2B、および3で提供されるもの等の付加的なアミノアミン脂質を調製した。
【0226】
実施例2:ケトンおよび2級アミンからのアミノアミン脂質L−2の合成
【化16】
ケトンa(1当量)を全てN
2雰囲気下で乾燥フラスコの中の乾燥MeOHに溶解させた。アミンb(1.1当量)を添加し、続いてトリアセトキシボロヒドリド(1.5当量)およびAcOH(1当量)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物をDCMで希釈し、水で1回、食塩水で1回抽出し、有機相をNa
2SO
4上で乾燥させた。乾燥溶液をロトエバポレータ上で濾過および濃縮した。化合物L−2を産生するように、残留物をシリカカラム(1%MeOH/DCMから5%MeOH/DCMで始まる段階的勾配、収率は60%から90%まで変化した)によって精製した。H
1 NMR:(CD
3OD)δ5.39−5.30(m,8H),2.78(t,4H),2.59−2.52(m,10H),2.33(bs,8H),2.07(q,8H),1.25(m,2H),1.40−1.26(m,40H),0.914(t,6H);質量分析:エレクトロスプレーポジティブモード[M+1]理論値:668,実測値:668。
【0227】
この実施例の合成ステップを修正することによって、
図4および5で提供されるL−2およびL−6類似体等の付加的なアミノアミン脂質を調製した。
【0228】
実施例3:ケトンおよびモルホリンからの脂質L−46の合成
【化17】
DCE(12ml)中のケトンa(2.66g、5.05mmol)、モルホリンb(1.34ml、15mmol)、およびAcOH(1.77ml、30mmol)の混合物に、NaBH(AcO)
3(1.6g、7.5mmol)を添加した。反応混合物を室温で72時間撹拌した。TLC検査(シリカゲル、ヘキサン:EtAc−Et
3N 95:5を用いた溶出)は、約45%変換を示した。反応混合物を5%水性K
2CO
3で希釈し、DCMで抽出した。溶媒をK
2CO
3上で乾燥させ、ロトエバポレータ上で蒸発させた。残留物をシリカゲル上でLCによって分離した(ヘキサン:EtAc 90:10を用いた溶出)。所望の生成物L−46は、39%収率(1.18g)で得られ、NMRによって純粋であった。
【0229】
実施例4:ケトンおよびピペリジンからの脂質L−47の合成
【化18】
DCE(24ml)中のジリノレイルケトンa(3.99g、7.58mmol)、ピペリジンb(2.25ml、22mmol)、およびAcOH(1.33ml、23mmol)の混合物に、NaBH(AcO)
3(2.4g、11.3mmol)を添加した。反応混合物を室温で96時間撹拌した。TLC検査(シリカゲル、ヘキサン:EtAc−Et
3N 95:5を用いた溶出)は、約35%変換を示した。反応混合物を5%水性K
2CO
3で希釈し、DCMで抽出した。溶媒をK
2CO
3上で乾燥させ、ロトエバポレータ上で蒸発させた。残留物をシリカゲル上でLCによって分離した(ヘキサン:EtAc 90:10を用いた溶出)。所望の生成物L−47は、29%収率(1.30g)で得られ、NMRによって純粋であった。
【0230】
この実施例ならびに実施例3で提供される方法を使用することによって、
図9で提供されるもの等の種々の頭部基を有する陽イオン性脂質を調製することができる。
【0231】
実施例5:1級アミンおよびカルボン酸からのアミド陽イオン性脂質の合成
以下の一般手順を使用して、以下のジリノレイルアミド誘導体を調製した。DCM(15g/mL)中のジリノレイルアミン(338mg、0.64mmol)、HOBt(65mg、0.5mmol)、アミノ酸(1mmol)、およびDIPEA(1当量)の溶液に、EDC(1.2mmol)の添加を組み合わせた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。TLCは、反応が完了したことを示した。反応混合物を水中の0.5%K
2CO
3で希釈し、DCMで抽出した。ロトエバポレータ上の濃縮後に、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィによって精製した(ヘキサン:Et
3N 95:5からヘキサン:CHCl
3:Et
3N 46:44:5までの勾配)。得られた収率は80〜85%であった。
【0232】
ジオレイル誘導体も、以下で提供される方式に基づいて調製された。
1級アミンおよびカルボン酸からの脂質L−30の合成
【化19】
1級アミンおよびカルボン酸からの脂質L−31の合成
【化20】
1級アミンおよびカルボン酸からの脂質L−32の合成
【化21】
1級アミンおよびカルボン酸からの脂質L−42の合成
【化22】
【0233】
この実施例の合成ステップを修正することによって、
図6〜8で提供されるもの等の付加的なアミドアミン脂質を調製した。
【0234】
実施例6:アミン脂質製剤の調製
脂質L−1およびL−2の有効性を検査するために、以下の構造を有するRNAi剤(HPRT1用に対するDsiRNA)とともに、陽イオン性脂質(DODMA)、中性脂質(DSPC)、PEG−脂質複合体(PEG−DMPEおよびPEG−DMG)、およびコレステロールを用いて製剤を調製した。
【化23】
大文字は、RNAヌクレオチドを示し、下線を引いた大文字は、2′−O−メチル−RNAヌクレオチドを示し、小文字は、DNAヌクレオチドを示す。
【0235】
DsiRNA鎖の調製:オリゴヌクレオチド合成および精製
標準方法(Integrated DNA Technologies,Coralville,Iowa)に従って、個々のRNA鎖を合成してHPLC精製した。例えば、固相ホスホラミダイト化学反応を使用してRNAオリゴヌクレオチドを合成し、脱保護し、標準技法(Damha and Olgivie,Methods Mol.Biol.20:81,1993、Wincott et al.,Nucleic Acids Res.23: 2677,1995)を使用してNAP−5カラム(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,N.J.)上で脱塩した。15分間の段階的線形勾配を使用したAmersham Source 15Qカラム(1.0cm×25cm、Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,N.J.)上でイオン交換高速液体クロマトグラフィ(IE−HPLC)を使用して、オリゴマーを精製した。勾配は、90:10緩衝剤A:Bから52:48緩衝剤A:Bであって、緩衝剤Aは、pH8.5の100mM Trisであり、緩衝剤Bは、pH8.5の100mM Tris、1M NaClである。サンプルを260nmで監視し、全長オリゴヌクレオチド種に対応するピークを収集し、プールし、NAP−5カラム上で脱塩し、凍結乾燥させた。
【0236】
Beckman PACE 5000(Beckman Coulter,Inc.,Fullerton,Calif.)上のキャピラリ電気泳動(CE)によって、各オリゴマーの純度を判定した。CEキャピラリは、100μm内径を有し、ssDNA 100R Gel(Beckman−Coulter)を含有した。典型的には、約0.6nmoleのオリゴヌクレオチドが、キャピラリに注入され、444V/cmの電場で流され、260nmにおけるUV吸光度によって検出された。変性Tris−ホウ酸塩−7M−尿素流動緩衝剤をBeckman−Coulterから購入した。以下で説明される実験で使用するためにCEによって評価されるように、少なくとも90%純粋であるオリゴリボヌクレオチドが得られた。製造業者の推奨プロトコルに従って、Voyager DETM Biospectometry Workstation(Applied Biosystems,Foster City,Calif.)上でのマトリクス支援レーザ脱離/イオン化飛行時間(MALDI−TOF)質量分析法によって、化合物の同一性が検証された。しばしば期待分子量の0.2%以内で、全てのオリゴマーの相対分子量が得られた。
【0237】
DsiRNA二本鎖の調製
例えば、100mM酢酸カリウム、30mM HEPES、pH7.5から成る二重緩衝剤中で100μM濃度において、一本鎖RNA(ssRNA)オリゴマーを再懸濁させた。例えば、50μM二本鎖の最終溶液をもたらすように、相補的センスおよびアンチセンス鎖を等モル量で混合した。サンプルをRNA緩衝剤(IDT)中で100℃にて5分間加熱し、使用前に室温まで冷却させた。二本鎖RNA(dsRNA)オリゴマーを−20℃で貯蔵した。一本鎖RNAオリゴマーを凍結乾燥状態で、または−80℃でヌクレアーゼを含まない水の中で貯蔵した。
【0238】
小胞系脂質製剤の調製
表5で提供されるモル%で脂質粒子を調製した。総脂質対DsiRNAの比は、約1:7であった。
【表5】
【0239】
RNA−結合剤およびトランスフェクション脂質製剤の調製
表6で提供されるモル%で脂質粒子を調製した。総脂質対DsiRNAの比は、約1:20であった。
【表6】
【0240】
表5および6では、PEG−DMPEは、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000]であり、PEG−DMGは、(R)−3−[(ω−メトキシ−PEG2000−カルバモイル)]−1,2−ジ−O−テトラデシル−sn−グリセリドである。
【0241】
実施例7:アミン脂質製剤の生体外性能
種々の脂質製剤の有効性を評価するために、HPRT1を標的にするDsiRNA分子を用いて生体外アッセイを行った。脂質製剤は、実施例6において上記で説明されるように、HPRT1に対するDsiRNAを用いて調製された。
【0242】
細胞培養およびRNAトランスフェクション
HeLa細胞をATCCから得て、5%CO
2下で37℃にて10%ウシ胎仔血清(HyClone)が補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(HyClone)中で維持した。1nM、5nM、または25nMの最終濃度で本発明の製剤を用いたインキュベーションを介して、本発明のdsRNA−陽イオン性脂質製剤をHeLa細胞に移入した。Lipofectamine(商標)RNAiMAX(Invitrogen)dsRNAを、0.1nMまたは1nMで陽性対照として使用した。概略すると、各dsRNAの2.5μLの0.2μMまたは0.02μM原液を47.5μLのOpti−MEM I(Invitrogen)と混合した。Lipofectamine(商標)対照については、各dsRNAの2.5μLの0.2μMまたは0.02μM原液を、46.5μLのOpti−MEM I(Invitrogen)および1μLのLipofectamine(商標)RNAiMAXと混合した。dsRNA:Lipofectamine(商標)RNAiMAX錯体が形成することを可能にするように、結果として生じた50μL混合を12ウェルプレートの個々のウェルの中へ添加し、室温で20分間インキュベートした。
【0243】
その間に、HeLa細胞をトリプシン処理し、約367細胞/μLの最終濃度で培地に再懸濁させた。最終的に、450μLの細胞懸濁液を各ウェルに添加し(最終体積500μL)、プレートをインキュベータの中へ24時間配置した。用量反応研究については、dsRNAの濃度を最初に10pMから100nMまで変化させた。経時変化研究については、約4時間から約72時間のインキュベーション時間を研究した。
【0244】
阻害の評価
標的遺伝子ニックダウン度が、Lipofectamine(商標)RNAiMAX単独(媒介物対照)または未処置を含む、HPRT発現対照治療に正規化された値を用いて、qRT−PCRによって判定された。
【0245】
RNA単離および分析
細胞を2mLのPBSで1回洗浄し、RNeasy Mini Kit(商標)(Qiagen)を使用して総RNAを抽出し、30μLの最終体積で溶出した。製造業者の指示に従ってTranscriptor 1
st Strand cDNAKit(商標)(Roche)およびランダム六量体を使用して、1μgの総RNAを逆転写した。3.33μLのH
2Oおよびヒト遺伝子HPRT−1(受託番号NM_000194)標的配列に特異的なプライマーおよびプローブを含有する1μLの3μM混合とともに、結果として生じたcDNAの30分の1(0.66μL)を、5μLのIQ Multiplex Powermix(Bio−Rad)と混合した。
【0246】
定量的RT−PCR
C1000 Thermal cycler(Bio−Rad)を伴うCFX96 Real−time Systemを増幅反応に使用した。PCR条件は、3分間で95℃、次いで、循環は、95℃、10秒間、および40サイクルに55℃、1分間であった。各サンプルを3通りに検査した。相対的HPRT mRNAレベルを標的mRNAレベルに正規化し、トランスフェクション試薬単独で処置された、または未処置の対照サンプルで得られたmRNAレベルと比較した。Bio−Rad CFX Managerバージョン1.0ソフトウェアを使用して、データを分析した。アミノアミン陽イオン性脂質を伴わないdsRNA製剤と対比したdsRNAのアミノアミン陽イオン性脂質製剤の処置下での発現の比較として、発現データを提示した。
【0247】
結果
図10は、アミノアミン脂質L−1またはL−2を含有する脂質粒子を使用した、生体外ノックダウンの結果を提供する。全体的に、L−1およびL−2の両方が、HeLa細胞に投与されたときに標的mRNAレベルを効果的に阻害した。具体的には、L−1は、1nMの最低濃度で約70%の残りのmRNAレベルを提供した。したがって、アミノアミン脂質は、トランスフェクションを介してHeLa細胞に投与されたときにRNAi剤の効果的な送達を提供した。したがって、本発明の化合物のそれぞれ、例えば、任意の脂質またはその製剤が、ポリアニオン系ペイロード、例えば、RNAi剤またはアンチセンスペイロードの送達に有用となるであろう。
【0248】
実施例8:アミン脂質製剤の生体内性質
脂質の性能をさらに評価するために、HPRT1に対するDsiRNAを有する製剤を用いて、生体内実験を行った。
【0249】
20モル%のL−1、L−2、L−5、L−6、L−7、L−8、L−22、またはL−30のうちの1つ、26モル%のDODMA、3モル%のPEG2000−DMPE、3モル%のPEG2000−DMG、13モル%のDSPC、および33モル%のコレステロールといった近似割合で、製剤を調製した。本製剤はさらに、約1:20(重量/重量)のDsiRNA:総脂質比を含んだ。
【0250】
約4週齢のCD1雌マウスに、尾静脈を介した静脈内投与によって、10μL/1gの体重の投与量で脂質粒子製剤の単回用量(1mg/kgまたは5mg/kgのいずれか一方)を投与した。48時間後(投与後)に、組織をRNALater(Qiagen)に収集した。終点分析において、総RNAをRT−qPCRのためにマウス肝臓から単離した。RNAサンプルを、室温の前にオリゴ(dT)プライマーとともに70℃で5分間加熱した。PCR反応において、mHPRT発現をRPL23(本明細書では対照として使用されたハウスキーピング遺伝子)で正規化した。
図11および12は、n=5動物/群に対して平均±SDを伴う誤差バーとともにデータを示す。
【0251】
第1組の実験では、脂質製剤の投与量は、単回用量で5mg/kgであった(
図11)。この投与量で、化合物L−1およびL−7は、約80%から約90%の残りのmRNAレベルを提供した。L−30の中等の頭部基の中のオキソ基の添加が、約15%の残りのmRNAレベルによって証明されるように、遺伝子サイレンシングの劇的な増加を提供した。加えて、頭部基の中にヘテロシクリルを有する化合物(例えば、L−2、L−5、L−6、L−8、およびL−22)は、約15%から約45%の残りのmRNAレベルを有する化合物を提供した。種々の製剤に対するmRNAノックダウン率が、表7に示されている。表7は、加えて、TNS蛍光方法によって測定されるように、脂質のそれぞれに対するpKa値を示す。
【0252】
本発明の陽イオン性脂質のpKa値を判定するために、製剤(1mMの濃度)を異なるpH値におけるリン酸緩衝剤中でインキュベートし、それにDMSOに溶解させられたTNSを添加した(6μM TNSの結果として生じた濃度)。結果として生じた溶液の蛍光は、325nmの励起波長および435nmの発光波長を伴うSpectraMax(登録商標)M3蛍光プレートリーダ上で測定された。TNSの測定された蛍光は、方程式1に示される3パラメータシグモイド関数で適合された。
【数1】
【0253】
最大蛍光の半分に達したpHが、本製剤の見掛けのpKaとして報告され、aおよびbは、それぞれ、最大観察蛍光およびシグモイド関数の傾斜を反映する無次元パラメータである。
【表7】
【0254】
第2組の実験では、化合物L−2、L−5、L−6、およびL−30が、単回用量において1mg/kgまたは5mg/kgの投与量で評価された(
図12)。具体的には、L−5、L−6、およびL−30は、1mg/kgのより低い用量で効果的な遺伝子サイレンシングを提供した。全体的に、これらのデータは、生体内モデルにおける標的RNAレベルの効果的な阻害剤である、種々の脂質化合物および投与量を提供する。
【0255】
本発明のアミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質およびdsRNAを含有する、脂質製剤の耐容性を評価するために、雌CD−1マウスにL−6およびL−30製剤を注射し[それぞれ、10mg/kgのDsiRNA用量、約200mg/kgの総脂質用量において2用量(qod)で投与し]、第2の用量の48時間後に血清サンプルを収集した。アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)といった酵素の測定を介した肝機能検査(LFT)を含む、臨床化学評価の一団について、血清サンプルを検査した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を媒介物対照群として使用した。ALTおよびAST評価は、製剤L−6およびL−30についてPBS群の<3倍であった。また、L−6およびL−30製剤について観察された体重および肝臓の変化はなかった。したがって、L−6およびL−30製剤は、耐容性良好であった。したがって、本明細書で説明される脂質のうちのいずれか、およびその製剤は、1つ以上の作用物質、例えば、ポリアニオン系またはアンチセンスペイロードの送達に有用であろう。
【0256】
実施例9:皮下動物腫瘍モデルにおいて標的遺伝子の発現を低減させるためのdsRNAを伴う脂質製剤の使用
アミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質およびdsRNAを含有する脂質製剤の送達の効率および後続の機能性を評価するために、皮下(s.c.)モデル(Judge et al.,J.Clin.Invest.119:661,2009)が、ある修飾とともに使用される。Hep3B腫瘍が、左後脇腹への50μL PBS中の3×10
6個の細胞の皮下注射によって雄nu/nuマウスで確立される。マウスは、腫瘍が触診可能になるにつれて、播種の10〜17日後に治療群に無作為化される。dsRNAまたは媒介物対照の脂質製剤が、個々の動物の体重に従って1kgの体重あたりのdsRNAのmgに基づいて計算される、外側尾静脈を介した標準静脈内(i.v.)注射によって投与される。腫瘍は、デジタルキャリパを使用して腫瘍成長を評価するように、2次元(幅×長さ)で測定される。腫瘍体積は、x=最大直径、y=最小直径である、方程式x*y*y/2を使用して計算され、群平均±SDとして表される。腫瘍組織はまた、異なる治療群の動物から除去され、遺伝子ノックダウンが確認される。腫瘍体積、生存、およびRNA発現データは、アミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質を伴わないdsRNA製剤と対比して、dsRNAの脂質製剤の治療間の比較として提示される。
【0257】
実施例10:Hep3B同所性肝臓腫瘍モデルにおいて標的遺伝子の発現を低減させるためのdsRNAを伴う脂質製剤の使用
アミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質およびdsRNAを含有する脂質製剤の標的化の効率および後続の機能性を評価するために、肝内腫瘍モデル(Judge et al.,J.Clin.Invest.119:661,2009)が、ある修飾とともに利用された。Hep3B腫瘍細胞の直接肝内注射によって、肝臓腫瘍がマウスで確立された。雄nu/nuマウスが、Hep3B腫瘍に対する宿主として使用された。2,2,2−トリブロモエタノール(Sigma)を使用して麻酔下でマウスを維持し、正中線を横断する単一の1cm切開を胸骨より下側に加え、左外側肝葉を露出させた。ハミルトンシリンジおよび30ゲージ針を使用して、40μLの50%PBS/50%Matrigel(商標)(BD)に懸濁させられた約2×10
6個のHep3B細胞を浅い角度で肝葉にゆっくりと注射した。次いで、縫合前に任意の出血を停止させるように、綿棒を刺創に適用した。マウスは、滅菌ケージの中で麻酔から回復させられ、従来の住居に戻される前に2〜4時間厳重に監視された。腫瘍移植の約3週間後に、マウスを治療群に無作為化した。マウス(n=7/群)は、外側尾静脈を介した標準静脈内(i.v.)注射によって投与されるような、(1)dsRNAのアミノアミンまたはアミノアミド脂質製剤、(2)アミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質を伴わないdsRNA製剤、あるいは(3)媒介物対照を受容した。用量は、個々の動物の体重に従って1kgの体重あたりのdsRNAのmgに基づいて計算された。
【0258】
図13に示される結果を生成した実験について、動物は、L−6またはL−30製剤化脂質粒子を伴う5mg/kgのDsiRNAを投与された。表8は、本研究で使用されたL−6およびL−30脂質を含む脂質製剤の特定の組成物を提示する。
【表8】
【0259】
全身腫瘍組織量および治療耐容性を発現する指標として、体重が研究の持続時間の全体を通して監視された。有効性研究について、定義された人道的終点が生存の代理として判定された。全身腫瘍組織量による安楽死の日を定義するように、臨床的兆候、体重減少、および腹部膨満の組み合わせに基づいて評価が行われた。腫瘍組織が異なる治療群の動物から除去され、遺伝子ノックダウンが確認された。
【0260】
図13に示されるように、検査されたL−6およびL−30製剤の両方が、肝臓および同所性Hep3B腫瘍組織の両方への製剤化された抗HPRT1 DsiRNAペイロードの送達に著しく効果的であった。具体的には、HPRT1標的mRNAの50%以上のノックダウン(ある場合においては、60〜80%ノックダウン)が、PBS対照と比較して肝臓および同所性Hep3B腫瘍組織の両方で観察された。したがって、脂質のうちのいずれか、またはその製剤が、標的遺伝子(例えば、癌と関連付けられる標的遺伝子)の発現を低減させることにおいて有用であろう。
【0261】
実施例11:HepG2同所性肝臓腫瘍モデルにおいて標的遺伝子の発現を低減させるためのdsRNAを伴う脂質製剤の使用
dsRNAのアミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質製剤の標的化の効率および後続の機能性を評価するために、第2の肝内腫瘍モデルが利用された。HepG2腫瘍細胞の直接肝内注射によって、肝臓腫瘍がマウスで確立された。雌nu/nuマウスが、HepG2腫瘍に対する宿主として使用された。Avertin(Sigma)を使用して麻酔下でマウスを維持し、正中線を横断する単一の1cm切開を胸骨より下側に加え、左外側肝葉を露出させた。ハミルトンシリンジおよび30ゲージ針を使用して、60μLの50%PBS/50%Matrigel(商標)(BD)に懸濁させられた約3×10
6個のHepG2細胞を浅い角度で肝葉にゆっくりと注射した。次いで、縫合前に任意の出血を停止させるように、綿棒を刺創に適用した。マウスは、滅菌ケージの中で麻酔から回復させられ、従来の住居に戻される前に2〜4時間厳重に監視された。腫瘍移植の約3週間後に、マウスを治療群に無作為化した。マウス(n=6〜7/群)は、外側尾静脈を介した標準静脈内(i.v.)注射によって投与されるような、(1)dsRNAのアミノアミンまたはアミノアミド脂質製剤、(2)アミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質を伴わないdsRNA製剤、あるいは(3)媒介物対照を受容した。用量は、個々の動物の体重に従って1kgの体重あたりのdsRNAのmgに基づいて計算された。
図14に示される結果を生成した実験は、L−6またはL−30製剤化脂質粒子を伴う5mg/kgのDsiRNAで投与された。表8は、本研究で採用されたL−6およびL−30脂質を含む脂質製剤の特定の組成物を提示する。全身腫瘍組織量および治療耐容性を発現する指標として、体重が研究の持続時間の全体を通して監視された。有効性研究について、定義された人道的終点が生存の代理として判定された。全身腫瘍組織量による安楽死の日を定義するように、臨床的兆候、体重減少、および腹部膨満の組み合わせに基づいて評価が行われた。腫瘍組織が異なる治療群の動物から除去され、遺伝子ノックダウンが確認された。
【0262】
図14に示されるように、検査されたL−6およびL−30製剤の両方が、肝臓組織への製剤化された抗HPRT1 DsiRNAペイロードの送達に著しく効果的であった。その一方で、20〜50%レベルのHPRT1標的mRNAノックダウンが、同所性HepG2腫瘍組織において両方の製剤について観察された。上記の結果は、正常な肝臓および少なくともある腫瘍組織(例えば、同所性Hep3B腫瘍、およびより少ない程度に同所性HepG2腫瘍)への送達のために効果的なdsRNA送達媒介物として本明細書で調査されたL−6およびL−30製剤を識別した。したがって、脂質のうちのいずれか、またはその製剤が、標的遺伝子(例えば、癌と関連付けられる標的遺伝子)の発現を低減させることにおいて有用であろう。
【0263】
腫瘍細胞取り込みのためのdsRNAの脂質製剤の機能性はまた、蛍光タグで脂質および/またはdsRNAを標識し、生体動物撮像システム(XenogenまたはBioRad)を使用して蛍光生体内分布研究を行うことによって、検査することもできる(Eguchi et al.,Nat.Biotechnol.27:567,2009)。この方法論を使用し、dsRNA製剤単独と比較することによって、dsRNAに対する腫瘍細胞内部化を促進するアミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質の能力が確認される。対照的に、この研究で対照として使用されるdsRNA製剤単独は、同程度に取り込まれ、腫瘍表面に送達されることができない。有効性終点、RNA発現、および生体内分布データが、アミノアミンまたはアミノアミド陽イオン性脂質を伴わないdsRNA製剤と対比したdsRNAの脂質製剤の処置間の比較として提示される。
【0264】
実施例12:脂質製剤を用いた肝細胞癌の抗腫瘍効率
実施例10で説明されるように、Hep3B腫瘍細胞の直接肝内注射によって、肝臓腫瘍がマウスで確立された。腫瘍移植の約2週間後に、マウスを治療群に無作為化した。マウス(n=6/群)は、外側尾静脈を介した標準静脈内(i.v.)注射によって投与されるような、(1)対照dsRNAのアミノアミンまたはアミノアミド脂質製剤、(2)活性dsRNAのアミノアミンまたはアミノアミド脂質製剤、あるいは(3)媒介物対照を受容した。用量は、個々の動物の体重に従って1kgの体重あたりのdsRNAのmgに基づいて計算された。
図15および16に示される結果を生成した実験では、動物は、L−6またはL−30製剤化脂質粒子を伴う5mg/kgのDsiRNAを投与された。表8は、本研究で使用されたL−6およびL−30脂質を含む脂質製剤の特定の組成物を提示する。
【0265】
全身腫瘍組織量および治療耐容性を発現する指標として、体重が研究の持続時間の全体を通して監視された。有効性研究について、定義された人道的終点が生存の代理として判定された。全身腫瘍組織量による安楽死の日を定義するように、臨床的兆候、体重減少、および腹部膨満の組み合わせに基づいて評価が行われた。腫瘍組織が異なる治療群の動物から除去され、異なる治療群の有効性を判定するように腫瘍重量が測定された。血清α−フェトプロテイン(AFP)レベルも、全身腫瘍組織量のバイオマーカーとして測定された。
【0266】
活性ペイロードを伴うL−6およびL−30製剤の両方が、対照ペイロードを伴うL−6およびL−30製剤ならびにPBS対照と比較して、血清AFP(
図15)および腫瘍重量(
図16)を低減させることにおいて著しく効果的であった。
【0267】
実施例13:複数の同所性肝臓癌モデルにおいて種々の標的遺伝子の発現を低減させるためのdsRNAを伴う異なるL−30脂質製剤の使用
肝臓に対する腫瘍におけるHPRT1のノックダウンをL−30の異なる製剤で調節することができるかどうかを評価するために、PEG−脂質含有量を調整した。表9は、本研究で使用されたL−30脂質を含む脂質製剤の特定の組成物を提供する。
図18に示される結果を生成した実験は、L−30[1]製剤化脂質粒子の中の1、3、および10mg/kgのDsiRNA、ならびにL−30[2]製剤化脂質粒子の中の10mg/kgのDsiRNAで投与された。RNA結合剤およびDsiRNAを製剤に導入するために、トランスフェクション脂質に対するものと同一であるか、または異なる溶媒および溶媒系(例えば、水性および/または非水性溶媒(複数可))を含む、任意の有用な溶媒および溶媒系を使用することができる。
【0268】
図18に示されるように、L−30[1]およびL−30[2]製剤の両方が、肝臓組織および同所性Hep3B腫瘍組織への製剤化された抗HPRT1 DsiRNAペイロードの送達に著しく効果的であった。その一方で、肝臓ノックダウンが、10mg/kgのDsiRNAを伴うL−30[1]製剤と比較して、L−30[2]における腫瘍ノックダウンに悪影響を及ぼすことなく、有意に低減させられる。これらの結果は、脂質製剤中のPEG−脂質含有量を増加させることにより、脂質粒子の送達、後に、ある組織への標的遺伝子のノックダウンに影響を及ぼし得ることを示す。
【0269】
dsRNA送達媒介物としてのL−30[1]製剤の有効性が、種々の同所性肝臓癌モデルにおいて異なるdsRNAを用いて検査された。
図19は、L−30[1]が、対照と比較して、全ての検査された癌モデルへの製剤化された抗HPRT1 DsiRNAペイロードの送達に効果的であったことを示す、異なる肝臓癌モデルを使用した実験から生成された結果を示す。
図20は、複数の独立DsiRNAを含有するL−30[1]製剤を使用した実験から生成された結果、および同所性Hep3B HCC腫瘍モデルにおける対応する遺伝子のノックダウンを示す。したがって、表9の中の脂質製剤の特定の組成物においてL−30を置き換えるために、本明細書で説明される脂質のうちのいずれかを使用することができ、標的遺伝子(例えば、癌または本明細書で説明される疾患と関連付けられる標的遺伝子)の発現を低減させるために、任意のdsRNAを使用することができる。
【表9】
【0270】
実施例14:Hep3B HCC腫瘍組織において標的遺伝子の発現を低減させるためのdsRNAを伴う異なるL−30脂質製剤の使用
dsRNAのL−30製剤の標的化の効率および後続の機能性を評価するために、脂質モル百分率が変化するL−30製剤を検査した。表10は、トランスフェクション脂質としてL−30を含む脂質製剤の特定の組成物を提供する。具体的には、L−30[E]およびL−30[G]製剤は、DODMAの代わりにRNA結合剤としてL−48を含有する。L−48は、H−5頭部基およびジオレイル尾部基(
図17)を含む。RNA結合剤およびDsiRNAを製剤に導入するために、トランスフェクション脂質に対するものと同一であるか、または異なる溶媒および溶媒系(例えば、水性および/または非水性溶媒(複数可))を含む、任意の有用な溶媒および溶媒系を使用することができる。
【0271】
Hep3B HCC腫瘍組織におけるhHPRT1ノックダウンの結果が、
図21に示されている。全てのL−30製剤(すなわち、[A]から[G])が、PBS対照と比較して腫瘍組織のhHPRT1発現の減少をもたらした。具体的には、L−30[A]がhHPRT1発現の最大の減少を提供し、その後にL−30[D]、L−30[G]、およびL−30[E]が続いた。
【表10】
【0272】
実施例15:肺および前立腺腫瘍組織において標的遺伝子の発現を低減させるためのdsRNAを伴う異なるL−6およびL−30脂質製剤の使用
異なるL−6およびL−30製剤の標的化の効率および後続の機能性を評価するために、HPRT1 mRNAノックダウンを種々の腫瘍組織において検査した。表9、10、および11は、本研究で使用されたL−6およびL−30脂質を含む脂質製剤の特定の組成物を提供する。RNA結合剤および核酸ペイロード(例えば、DsiRNA)を製剤に導入するために、トランスフェクション脂質に対するものと同一であるか、または異なる溶媒および溶媒系(例えば、水性および/または非水性溶媒(複数可))を含む、任意の有用な溶媒および溶媒系を使用することができる。
【0273】
図22を生成した実験は、L−6[2]およびL−30[2]製剤化脂質粒子の中の10mg/kgのDsiRNAで投与され、かつ実験の第1日目および第3日目に投与された。腫瘍は、第5日目に採取された。hHPRT1 mRNAのノックダウンが、H1975NSCLC肺腫瘍組織において測定された。より大きいレベルのHPRT1標的mRNAノックダウンが、L−6[2]製剤と比較してL−30[2]製剤について観察された。
【0274】
図23を生成した実験は、L−6[2]およびL−30[3]製剤化脂質粒子の中の10mg/kgのDsiRNAで投与され、かつ実験の第1日目および第3日目に投与された。腫瘍は、第5日目に採取された。hHPRT1 mRNAのノックダウンが、22Rv1前立腺癌SC異種移植腫瘍組織において測定された。より大きいレベルのHPRT1標的mRNAノックダウンが、L−6[2]製剤と比較してL−30[3]製剤について観察された。肝臓に埋め込まれた22Rv1前立腺癌におけるhHPRT1ノックダウンの結果が、
図24に示されている。実験が、
図23で行われた実験と同様に設定された。
図24の特定の実験では、より大きいレベルのHPRT1標的mRNAノックダウンが、L−30[A]およびL−30[E]製剤の両方と比較してL−6[1]製剤について観察された。したがって、表9の中の脂質製剤の特定の組成物においてL−6またはL−30を代替するために、本明細書で説明される脂質のうちのいずれかを使用することができ、癌(例えば、本明細書で説明される任意の癌)と関連付けられる標的遺伝子の発現を低減させるために、任意のdsRNAを使用することができる。
【表11】
【0275】
実施例16:dsRNAを伴うL−30を含有する脂質製剤
表12は、トランスフェクション脂質としてL−30を含む脂質製剤の特定の構成要素を提供する。RNA結合剤およびDsiRNAを製剤に導入するために、トランスフェクション脂質に対するものと同一であるか、または異なる溶媒および溶媒系(例えば、水性および/または非水性溶媒(複数可))を含む、任意の有用な溶媒および溶媒系を使用することができる。さらに、表12の中のトランスフェクション脂質(例えば、表1中等において本明細書で説明されるいずれか)としてL−30を置き換えるために、本明細書で説明される脂質のうちのいずれかを使用することができ、標的遺伝子(例えば、癌または本明細書で説明される疾患と関連付けられる標的遺伝子)の発現を低減させるために、任意のdsRNAを使用することができる。
【表12】
【0276】
他の実施形態
本発明は、その具体的実施形態と関連して説明されているが、さらなる修正が可能であり、本願は、一般に本発明の原理に従う、本発明の任意の変形例、用途、または適合を対象とすることを目的としており、本開示からのそのような逸脱を含むことは、本発明が関連する既知または慣例的実践の範囲内であり、以上で記載される不可欠な特徴に適用され得ることを理解されるであろう。
【0277】
全ての出版物、特許、および特許出願は、各個別出版物、特許、または特許出願が、その全体で参照することにより組み込まれるように特異的かつ個別に示された場合と同一の程度に、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる。