特許第6294246号(P6294246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294246
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】エレベーター装置及び主ロープ点検方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20180305BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20180305BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20180305BHJP
   B66B 5/12 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   B66B5/02 C
   B66B11/02 Q
   B66B3/00 R
   B66B5/12 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-9724(P2015-9724)
(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公開番号】特開2016-132556(P2016-132556A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 康人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆行
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−156289(JP,A)
【文献】 特開2001−039641(JP,A)
【文献】 特開2013−035693(JP,A)
【文献】 特開2009−184769(JP,A)
【文献】 実開昭62−132081(JP,U)
【文献】 再公表特許第2003/084853(JP,A1)
【文献】 特開2004−149317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00─ 5/28
B66B 3/00─ 3/02
B66B 11/00─11/08
B66B 7/00─ 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内で両端が支持された主ロープを複数のプーリー及び巻上げ機綱車間に架け渡し、制御装置により前記巻上げ機綱車を駆動することにより前記主ロープに支持された乗りかごを昇降させるエレベーター装置であって、
前記巻上げ機綱車に巻き掛けられた点検対象となる主ロープ部分をかご上から目視で点検可能な乗りかごの停止位置を前記制御装置に予め登録しておき、当該登録しておいた停止位置に乗りかごが停止したとき、前記点検対象となる主ロープを指示する目印を前記かご上に設置したことを特徴とするエレベーター装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーター装置であって、
前記目印が点検するロープを指示するシールであることを特徴とするエレベーター装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベーター装置であって、
前記シールが、
点検すべき主ロープの指示方向を示す矢印と、
乗りかごがどの位置における点検箇所なのかを示す記号と、
を備え、
前記かご上において、前記矢印を点検対象の主ロープに向けて貼り付けられていることを特徴とするエレベーター装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベーター装置において、
前記シールが前記かご上のかご上手摺りに貼り付けられていることを特徴とする点検ロープ指示シール。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項に記載のエレベーター装置において、
前記シールが指し示す主ロープが、釣り合いおもりあるいは巻上げ機の綱車のいずれに巻き掛けられた主ロープかを示す機器配置シールをさらに備えていることを特徴とするエレベーター装置。
【請求項6】
昇降路内で両端が支持された主ロープを複数のプーリー及び巻上げ機綱車間に架け渡し、制御装置により前記巻上げ機綱車を駆動することにより前記主ロープに支持された乗りかごを昇降させるエレベーター装置の主ロープの点検方法であって、
前記乗りかごを任意階に移動させ、前記巻上げ機綱車に巻き掛けられた主ロープの両端部の予め設定された位置にマーキングを施す工程と、
前記乗りかごが昇降路頂部から下方に移動する過程で、前記乗りかごのかご上から前記主ロープを目視し、前記マーキングを発見したら前記乗りかごを停止させ、マーキングを点検可能なかご位置として前記巻上げ機綱車を駆動制御する制御装置に停止位置を登録する工程と、
前記登録する工程で前記乗りかごを停止させた際、点検する主ロープとその点検部分を指示する目印を前記かご上の所定位置に設置する工程と、
を備えたことを特徴とする主ロープ点検方法。
【請求項7】
請求項6に記載の主ロープ点検方法であって、
前記昇降路の頂部から前記登録した停止位置まで下降させる工程と、
停止位置で停止した後、前記目印により点検対象の主ロープと前記点検部分を確認し、当該点検対象の主ロープを所定範囲で点検する工程と、
を備えたことを特徴とする主ロープ点検方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の主ロープ点検方法であって、
前記目印が点検すべき主ロープの指示方向を示す矢印と、乗りかごがどの位置における点検箇所なのかを示す記号と、を備えたシールであることを特徴とする主ロープ点検方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の主ロープ点検方法であって、
前記停止位置を音で知らせることを特徴とする主ロープ点検方法。
【請求項10】
請求項9に記載の主ロープ点検方法であって、
前記停止位置の相違を、前記音の鳴動パターンの相違で知らせることを特徴とする主ロープ点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター装置及びそのエレベーター装置の主ロープの点検方法に係り、さらに詳しくは、昇降路内に複数のプーリーを配置し、主ロープが昇降路内で上下のプーリーに複数回掛け渡された機械室レスエレベーターなどのエレベーター装置、及び当該エレベーター装置の主ロープ点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、エレベーターの主ロープの点検作業や検査作業は、保守員がエレベーターのかごの上に乗って、エレベーターのかごを移動させながら、主ロープを目視することにより行っている。例えば、機械室レスエレベーターの定期検査においては、基準階(利用の多い階床)から加速終了位置、又は減速開始位置から基準階の間にかごがある場合に、主ロープが巻上げ機の綱車に掛かる箇所、傷のある箇所等を目視により確認し、最も摩損の進んだ部分については重点的に目視により確認することとなっている。この確認動作では、予め各々のエレベーターによって最も摩損が進むと考えられるかご位置における主ロープの綱車に掛かる箇所をマーキングしておき、かご上からマーキング位置を中心に主ロープを点検する方法が一般的である。
【0003】
この種の技術として、例えば特開2013−252936号公報(特許文献1)に記載された技術が公知である。この公知技術は、ロープ上における点検重要部分を記憶している重要部記憶部と、予め決められた保守者がいる保守者位置に対するその時点での前記ロープの位置を判断するロープ位置判断部と、前記ロープを動かす駆動状態を制御する駆動制御部とを用意し、前記駆動制御部は、前記重要部記憶部から前記点検重要部分の情報を入手し、かつ、前記ロープ位置判断部から前記ロープの位置に関する情報を入手し、前記駆動制御部は、i) 前記保守者位置に対する前記ロープの位置が、前記点検重要部分の前後所定範囲にわたる減速部分であるときには、かごを点検時基準速度よりも低速で移動するように前記を駆動し、ii) 前記保守者位置に対する前記ロープの位置が、前記点検重要部分であるときには、前記を所定時間だけ停止させるか、あるいは、かごを上記i)の速度よりもさらに低速で移動するように前記を駆動する、エレベーターのロープ点検方法を特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−252936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記公知技術では、点検重要部分であるときは、かごを所定時間停止させることによって保守員が目視によってロープ点検を効率的に行えるようになっている。しかし、昇降路内に複数のプーリーを配置し、主ロープが昇降路内で上下に複数回掛け渡され、複数回折りたたまれるように配置された機械室レスエレベーター等においては、複数回掛け渡されて配置された主ロープのうち、どこに配置された主ロープを点検して良いかをかご上で保守員が特定することは難しかった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、昇降路内で上下に複数回掛け渡されて配置された主ロープのうち、点検対象となる主ロープを容易に特定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、昇降路内で両端が支持された主ロープを複数のプーリー及び巻上げ機綱車間に架け渡し、前記巻上げ機綱車を駆動することにより前記主ロープに支持された乗りかごを昇降させるエレベーター装置において、巻上げ機綱車に巻き掛けられた主ロープの予め設定された部分を指示する目印を前記かご上に備えたことを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、昇降路内で上下に複数回掛け渡されて配置された主ロープのうち、点検対象となる主ロープを容易に特定することができる。なお、前記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベーターの概略構成を示す図である。
図2図1に示したエレベーター装置のかご上の状態を示す概念図である。
図3図2に示した点検ロープ指示シールの一例を示す概念図である。
図4】主ロープ点検箇所配置シールの一例を示す概念図である。
図5】乗りかご移動時における綱車と主ロープのかかり代の中心点の移動状況を示すモデル図である。
図6】マーキングが現れる際に、どのマーキングが現れるかを作業者に報知するブザーの鳴動パターンを示す図である。
図7】主ロープ点検装置を使用した主ロープ点検方法の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
図8】主ロープ点検装置を使用した主ロープ点検方法の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
図9】本発明の一実施形態における点検作業の経過に伴う主ロープの伸びとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るエレベーター装置の概略構成を示す図である。同図において、エレベーター装置Eは、乗りかご9と釣り合いおもり5を備え、昇降路1内に乗りかご9と吊り合いおもり5が主ロープ2によって昇降可能に配置されている。
【0012】
主ロープ2(一般には複数本)には第1ないし第3主ロープ部2a,2b,2cの複数の部分が設定され、釣り合いおもりプーリー6、頂部プーリー4、綱車8及びかご下プーリー18間に架け渡され、両端の支持構造3間に支持されている。釣り合いおもりプーリー6は釣り合いおもり5を主ロープ2で駆動させるためのものである。頂部プーリー4は、昇降路1内の頂部に設置され、綱車8は、昇降路1の下方に設置され、図示しないモーターで駆動される巻上げ機7の駆動力を主ロープ2に伝達する。かご下プーリー18は、乗りかご9の下部に配置され、乗りかご9を支えるとともに、巻上げ機7の駆動により綱車8を介して乗りかご9を上昇させ、あるいは下降させる。
【0013】
主ロープ2には、乗りかご9が任意階にある場合にマーキング10が施される。符号11は綱車8と主ロープ2のかかり代であり、符号12はかかり代11の中心点を示す。
【0014】
乗りかご9の天井板30の上、いわゆるかご上31には、保守員13の昇降路1への落下を防止するためのかご上手摺り14が設けられている。かご上31には、さらに、保守員13に情報を知らせるためのかご上ブザー17が設置されている。また、図において、符号15は、かご上手摺り14からかかり代11の中心点12までの高さを示し、符号16は保守員13がかご上作業時に主ロープ2を点検する主ロープ点検範囲を示す。主ロープ点検範囲16は、例えば中心点12の上下500mm程度、すなわち、中心点12を中心として1m程度の範囲に設定している。
【0015】
昇降路1内には、エレベーターの運転を制御する制御装置としての制御盤23が配置され、最下階乗場にはINDボックス24が設置されている。制御盤23からINDボックス24内には第1の通信ケーブル25が配線され、保守ツール26は第2の通信ケーブル27を介して第1の通信ケーブル25に接続され、制御盤23との通信を行うことができる。かご上31にはさらに器具ボックス28が設置され、第3の通信ケーブル29を介して制御盤23と通信可能になっている。なお、保守ツール26としては、例えば可搬型のパーソナルコンピュータが使用できる。制御盤23は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)若しくはその他の記憶装置を備え、使用し、ROM、HDD(Hard Disc Drive)に格納されたプログラムをRAMあるいはHDDに展開し、これらの記憶デバイスをバッファとして使用しながら前記プログラムで定義された処理を実行し、各部を制御する。なお、CPUに代えてASIC(Applied Specific Integrated Circuit)を使用することもできる。
【0016】
保守員13はかご上作業時に、器具ボックス28に第2の通信ケーブル27を介して、保守ツール26を接続することで、第3の通信ケーブル29を介して制御盤23と通信することが可能である。これにより、かご上作業時に予めマーキングしたマークが主ロープ2に現れた場合に保守ツール26を用いて制御盤23内の図示しない記憶部にかご上31からマーキングを点検可能なかご位置を登録することができる。
【0017】
図において、昇降路の右側に描かれた乗場(階床)は、最下階乗場19、最下階+1階乗場20、中間階乗場21を示し、符号22は最下階乗場19から乗りかご9が出発した場合の加速距離、及び図示しない他階から最下階乗場19へ乗りかご9が到着した場合の減速距離を示す。
【0018】
図2は、図1に示したエレベーターのかご上31の状態を示す概念図である。乗りかご9の上面にあたるかご天井板30には、かご上手摺り14が設けられている。図において、かご上31には、第1、第2及び第3主ロープ部2a,2b,2cが設定された主ロープ2が張られているのが見える。第1主ロープ部2aはかご下プーリー18に掛かる主ロープ2の部分である。第2主ロープ部2bは釣り合いおもりプーリー6に掛かる主ロープ2の部分である。第3主ロープ部2cは綱車8に掛かる主ロープ2の部分である。
【0019】
図では、第3主ロープ部2cに現れた第1マーキング121、第2主ロープ部2bの右側に現れた第2マーキング122、第2主ロープ部2bの左側に現れた第3マーキング123が図示されている。第3マーキング123は、乗りかご9が1階(基準階)に停止している際に、綱車8に掛かっている第2主ロープ部2bの掛かり代の中心点である。第2マーキング122は、乗りかご9が2階(基準階+1階)に停止している際に、綱車8に掛かっている第2主ロープ部2bの掛かり代の中心点である。第1マーキング121は、乗りかご9が4階(中間階(例として、全7階床))に停止している際に、綱車8に掛かっている第3主ロープ部2cの掛かり代の中心点である。なお、第1ないし第3マーキング121,122,123は図1における中心点12に相当する。
【0020】
本実施形態では、最も主ロープ2の摩損が進むと考えられる部位が、これら第1ないし第3マーキング121,122,123の部位であるとして説明する。これは、1階、2階、4階に乗かご9が停止している際に、綱車8に掛かっている第2及び第3主ロープ部2b,2cの掛かり代の中心点12である第1ないし第3マーキング121,122,123の部位が、乗かご9の加速減速域で最も多く綱車8に掛かっているためである。
【0021】
また、かご上手摺り14の上部の手摺り部分には、第1マーキング121が現れる第3主ロープ部2cを指し示す第1点検ロープ指示シール37が目印として貼られている。同様に、第2マーキング122が現れる第2主ロープ部2bを指し示す第2点検ロープ指示シール38、及び第3マーキング123が現れる第2主ロープ部2bを指し示す第3点検ロープ指示シール39がかご上手摺り14に貼られている。なお、図2では、第1ないし第3マーキング121,122,123が全て示されているが、これは説明を分かりやすくするために図示したもので、第1ないし第3マーキング121,122,123の全てが同じかご位置で現れることはない。
【0022】
図3は点検ロープ指示シールの一例を示す概念図であり、第1点検ロープ指示シール37の外観を拡大して示している。第1点検ロープ指示シール37は、点検すべき第3主ロープ部2cの指示方向を示す点検ロープ指示矢印41と、乗りかご9がどの位置における点検箇所なのかを番号で表記するかご位置表記番号42を備えている。この点検ロープ指示シール37のかご位置表記番号42は、丸付き数字で1と記入されている。この数字は、乗りかご9が3〜4階間の中間位置で、乗かご9から第1マーキング121の部位の第3主ロープ部2cを点検可能であることを意味している。すなわち、数字毎に予め乗りかご9の停止位置と点検すべき主ロープ部2b,2cの関係が規定されている。この表記により、保守員13は、第1点検ロープ指示シール37の数字を確認することで、乗りかご9を3〜4階間の中間位置に走行させれば、乗かご9のかご上31から第1マーキング121の部位の第3主ロープ部2cを点検できることを知ることができる。ここでは、図示していないが、第2及び第3点検ロープ指示シール38,39も同様に構成され、丸付き数字に表記されるかご位置表記番号により、点検するかご位置が分かるようになっている。なお、数字を使用しないで他の記号、例えばa,b,c・・・、対象箇所を示す文字等を使用してもよく、主ロープと停止位置の組み合わせ等、現場作業で分かりやすい表記であれば十分である。
【0023】
図4は主ロープ点検箇所配置シールの一例を示す概念図である。主ロープ点検箇所配置シール43は、第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39が指し示す各主ロープ部2b,2cが、釣り合いおもり5あるいは巻上げ機7の綱車8のいずれかに掛かっている主ロープであるかを示す別途設けられたシールである。この主ロープ点検箇所配置シール43は、第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39がかご上31でどこに配置されているかを示している。主ロープ点検箇所配置シール43には、第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39のかご位置表記番号42がそれぞれ記入されているため、ひと目で全ての点検ロープ指示シール37,38,39のかご上31での貼り付け位置を把握することができる。なお、図4の主ロープ点検箇所配置シール43上に示された符号2a’,2b’,2c’は、第1ないし第3主ロープ部2a,2b,2cの位置をそれぞれ示す。また、符号5’,7’は、前者は釣り合いおもり5の位置を、後者は巻上げ機7の位置をそれぞれ示す。
【0024】
主ロープ点検箇所配置シール43は、かご上作業時に保守員13が踏まない場所、例えば器具ボックス28上に貼られており、万が一、第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39が剥がれて紛失した場合でも、主ロープ点検箇所配置シール43に示された点検ロープ指示方向41とかご位置表記番号42を確認すれば、再度第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39の貼り付けを容易に行うことができる。なお、図3では、点検ロープを指示する手段としてシール37を例示しているが、かご上手摺り14に設置できる態様であれば、シールに限定されず、例えば、点検ロープの指示方向41とかご位置表記番号42が記載されたバンドなどを使用することも可能である。点検ロープを指示する手段としては、かご上手摺り14に固定可能であって、保守員13が表記を確実に視認できるようなものであれば良い。
【0025】
図5は、乗りかご移動時における綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点(第1ないし第3マーキング)121,122,123の移動状況を示したモデル図である。1階から7階の全7階床の機械室レスエレベーターを例に、乗りかご9が1階(基準階)、2階(基準階+1)、4階(中間階)に停止している状態における綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点である第1ないし第3マーキング121,122,123が、乗りかご9の1階から7階まで移動することに応じて、どのように移動するかを示している。
【0026】
前述した通り、第3マーキング123は、乗りかご9が1階(基準階)に停止している状態における綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点である。第2マーキング122は、乗りかご9が2階(基準階+1階)に停止している状態における綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点である。第1マーキング121は乗りかご9が4階(中間階)に停止している状態における綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点である。図では、左側から1ないし3番目の状態がそれぞれ対応する。
【0027】
乗りかご9が1階から7階まで移動すると、かかり代11の中心点である第1ないし第3マーキング121,122,123は綱車8に掛かる第2及び第3主ロープ部2b,2cから、頂部プーリー4及び釣り合いおもりプーリー6に掛かる第2及び第3主ロープ部2b,2c上を移動する。そのため、かご上31に保守員13が乗って乗かご9を運転させながら、第1ないし第3マーキング121,122,123の位置を点検する場合、保守員13は図5の右端に記載した矢印の位置(階床)で主ロープ2の状態を点検することができる。
【0028】
すなわち、第1マーキング121を点検する場合は、乗りかご9を3〜4階間の中間位置に位置させる。第2マーキング122を点検する場合は、乗りかご9を6〜7階間の中間位置に位置させる。第3マーキング123を点検する場合は、乗りかご9を5〜6階間の中間位置に位置させる。これにより、第1ないし第3マーキング121,122,123が付された第2及び第3主ロープ部2b,2cの部分を点検することができる。
【0029】
図6は、第1ないし第3マーキング121,122,123が現れる際に、どのマーキングが現れるかを作業者に報知するブザー17の鳴動パターンを示す図である。本実施形態では、保守員13が、かご上作業時に予めマーキングした第1ないし第3マーキング121,122,123が、図5の右端に記載したどの矢印の位置(階床)で現れることを、制御盤23内の図示しない記憶部に登録してある。そして、次回以降の点検作業時には、その位置で乗かご9が自動停止するようになっている。そして、自動停止時には、かご上ブザー17が、複数の鳴動パターンでどのマーキングが現れるかを保守員13に報知する。
【0030】
例えば、乗りかご9が基準階に停止している状態における綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点である第3マーキング123が現れるかご位置の場合は、かご位置表記番号1のブザー鳴動パターン(単音1回)を一定時間繰り返して鳴動させる。これにより、保守員13は、第1点検ロープ指示シール37の位置で点検可能であるということを知ることができる。また、乗りかご9が基準階+1階に停止している状態における綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点である第2マーキング122が現れるかご位置の場合は、かご位置表記番号2のブザー鳴動パターン(単音2回)を一定時間繰り返して鳴動させる。これにより、保守員13は、第2点検ロープ指示シール38の位置で点検可能であるということを知ることができる。 さらに、乗りかご9が中間階に停止している状態における綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点である第1マーキング121が現れるかご位置の場合は、かご位置表記番号3のブザー鳴動パターン(単音3回)を一定時間繰り返して鳴動させる。これにより、保守員13は、第3点検ロープ指示シール39の位置で点検可能であるということを知ることができる。
【0031】
このように保守員13は、ブザー鳴動パターンを聞き分けることで、乗りかご9がどの位置において登録されたかを認識し、かご上手摺り14に貼り付けられている第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39のかご位置表記番号42の表記番号と合致したシールを探して、点検ロープ指示方向41から点検すべき主ロープ2を判別して点検することができる。
【0032】
図7及び図8は、主ロープ点検装置を使用した主ロープ点検方法の処理手順を示すフローチャート(その1、その2)である。図7及び図8は両図で一連の手順を示す。
【0033】
図7のステップS1からステップS9は、第1ないし第3マーキング121,122,123を初回かご上作業時に登録する初回作業の手順である。図8のステップS10からステップS17は、初回作業が完了した後に2回目以降で定期的に主ロープを点検する場合の手順である。
【0034】
保守員13は、まず、ステップS1で、昇降路1の下部に配置された図示しないピットに入り、低速運転により乗りかご9を任意階(1階[基準階])に移動させる。
【0035】
ステップS2で、巻上げ機7の綱車8に掛かっている主ロープ2の両端にマーキング10を施す。
【0036】
主ロープ2の点検箇所が複数ある場合は、再度、乗りかご9を任意階(2、4階)に移動させ、同様に主ロープ2にマーキング10を施す。なお、マーキングが複数ある場合は、色を変え、あるいは印を変えてそれぞれのマーキング10を区別できるようにする。
【0037】
次いで、ステップS3に進み、全部のマーキング10が完了したかどうかをチェックする。このチェックでマーキングが未完の場合は、ステップS2に戻り、ステップS2及びS3の処理を繰り返す。そして、全部のマーキング10が完了したら、ステップS4に進み、保守ツール26を最下階のINDボックス24に第2の通信ケーブル27を接続し、保守ツール26から制御盤23にかご位置の登録を許可するモードを設定して、登録を可能にしておく。
【0038】
ステップS4の処理が終了すると、ステップS5に移行する。ステップS5では、保守員13が乗りかご9のかご上31に乗って昇降路1の頂部に低速運転で移動する。移動が完了すると、ステップS6で、低速運転で乗りかご9を下方に移動させて、マーキング10が現れたら、乗りかご9を停止させる。このとき、停止位置はマーキング10間の中心点、すなわち、綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点12が点検しやすい位置、例えば、中心点12と保守員13の胸の高さ付近とが合致する位置で停止させる。この位置は、点検作業が容易な位置である。
【0039】
点検作業が容易な位置で停止した後、ステップS7で、マーキング10間の中心点12に第1ないし第3マーキング121,122,123のいずれかを施す。そして、器具ボックス28に第2の通信ケーブル27を介して、保守ツール26を接続する。その後、制御部23の記憶部に、第1ないし第3マーキング121,122,123のいずれかの乗りかご9のかご位置を登録する。この登録時に、ある一定範囲内に複数のマーキングが現れた場合、保守ツール26から制御部23の記憶部に登録しようとしたときは、登録不可となるように設定する。すなわち、登録不可となるよう制御盤23から通信にて保守ツール26に信号を送信する。
【0040】
そして、ステップS8で、第1ないし第3マーキング121,122,123が現れた主ロープ2がどこに配置されているかを示す第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39のいずれかを、かご上手摺り14の所定の位置に貼る。このとき、第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39は、対象とする点検ロープ指示方向41の矢印を対象方向に向け、かつ、登録するマーキングが複数ある場合には、どのマーキングであるかを区別できるよう、かご位置表記番号42を選択して貼り付ける。
【0041】
ステップS9では、第1ないし第3の全てのマーキング121,122,123が登録できたか否かを確認し、登録未完の場合は、ステップS6へ戻って登録が完了するまでステップS6からステップS9を繰り返す。登録が完了した場合はステップS10へ移行する。
【0042】
以上、図7のステップS1からステップS9の処理は、マーキング10を登録する初回作業である。
【0043】
初回作業が終了すると、図8に示すように保守員13は、マーキング位置を登録完了した後のかご上31における主ロープ点検を実行する。
【0044】
すなわち、ステップS10で、保守員13は、通信ケーブル27を介して最下階のINDホックス24に保守ツール26を接続し、制御盤23の記憶部と通信して、図7の初回作業で登録された位置に乗りかご9を停止させるようにエレベーターの走行パターンを制御する点検動作モードを設定する。点検動作モードを設定した場合、低速運転でかつ下方へ運転する場合のみ登録された位置に乗りかご9を停止させるようになっている。
【0045】
また、初回作業で登録されている現在の登録状況を保守ツール26に表示する。これにより、登録したときの乗りかご9の位置、あるいはマーキングしたときの乗りかご9の位置、例えば、基準階か中間階かを知ることができる。なお、マーキングしたときの乗りかご9の位置は変更することもできるが、この場合は初回作業に戻り、再度かご上31にてマーキングを確認して乗りかご9の位置を登録し直す必要がある。
【0046】
ステップS11では、保守員13が乗りかご9のかご上31に乗り、昇降路1の頂部へ低速運転で移動する。このとき、上方への低速運転時は前記点検動作モードが無効となるため、乗りかご9が停止することはない。
【0047】
ステップS12では、保守員13が乗りかご9を低速運転で下方へ運転し、乗りかご9が自動で停止する位置まで図示しない昇降路1内の機器の点検を実施する。
【0048】
ステップ13でかご9が自動で停止しない場合は、ステップ12に戻り、ステップS13のチェックを実行する。ステップS13のチェックで乗りかご9が自動で停止した場合はステップ14に進む。ステップ14で、ブザーが鳴動しない、又は聞き逃した場合は、ステップ15で、低速運転で一定距離上方へ移動し、ステップS12からステップS14の処理を再度実行する。
【0049】
ステップ14でブザーが鳴動した場合はステップ16に進む。ブザー鳴動音は、例えば図6に示したように停止箇所に応じて保守員13が聞き分けられるようブザー音間隔や音色が区分されている。万が一、聞き逃した場合も、ステップ15で一定距離を上方に移動した後、ステップS12で再度下方運転することにより、ブザー音の確認が可能となっている。なお、ブザーはアナウンス等の音声でも代用可能であり、保守ツール26への信号出力による保守ツール26の図示しないマイク鳴動や画面表示を使用して保守員13へ報知しても良い。
【0050】
ステップS16では、乗りかご9のかご上31の所定位置に貼られている第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39を確認し、第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39に基づいて点検ロープ指示方向41とかご位置表記番号42を確認し、点検すべき主ロープ2(第2及び第3主ロープ部2b,2c)を決定する。そして、決定した主ロープ2の第1ないし第3マーキング121,122,123を中心とする前記所定の主ロープ点検範囲16を点検する。次いで、ステップS17で、予め登録された全箇所の点検が終了したか否かを判定し、終了していなければ、ステップS12に戻って以降の処理を繰り返す。そして、予め登録された全箇所の点検が終了した時点で作業を完了する。
【0051】
以上のような手順で点検作業を行うと、エレベーターの乗りかご9は、保守員13が運転して作業しながら予め登録された位置に到着した場合のみ停止するため、本来の塔内作業における保守員13の作業動線を崩すことなく、効率的に主ロープ2の点をすることができる。
【0052】
図9は、本実施形態における点検作業の経過に伴う主ロープの伸びとの関係を示す図である。図5と同様に、1階から7階の全7階床の機械室レスエレベーターを例に、初回作業時と次回作業時における乗りかご9が2階から4階に移動した場合の綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点12(122,122a)の移動を比較したものである。
【0053】
図9において、初回作業時の綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点を符号122で、次回作業時の綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点を符号122aで、それぞれ示す。また、初回作業時から次回作業時までの主ロープ2の伸び量を符号52で、初回作業時と次回作業時における乗りかご9が2階から4階へ移動した場合の移動距離を符号53でそれぞれ示す。
【0054】
図9において(1)は初回の点検箇所、(2)は初回の点検箇所登録位置、(3)は次回の点検箇所、(4)は次回の点検箇所登録位置である。図9から分かるようにかかり代11の中心点122,122aは、初回と次回の点検箇所で(1)及び(3)に示すように変化し、初回作業時から次回作業時までの主ロープ2の伸び量52として表れる。
【0055】
しかし、初回作業時にかご上31で登録した乗りかご9の位置と、次回作業時の綱車8と主ロープ2のかかり代11の中心点122aとの位置関係は、初回作業時における乗りかご9が2階から4階へ移動した場合の移動距離53と、次回作業時における乗りかご9が2階から4階へ移動した場合の移動距離54が等しくなることから不変である。そのため、主ロープ2の伸びが、本実施形態で説明した点検方法に影響を及ぼすことはない。
【0056】
以上のように本実施形態によれば、次のような効果を奏する。なお、以下の効果の説明では、特許請求の範囲における各構成要素に対応する本実施形態の各部をかっこ書きで示し、若しくは参照符号を付し、両者の対応関係を明確にした。
【0057】
(1)本実施形態では、昇降路1内で両端が支持された主ロープ2を複数のプーリー4,6,18及び巻上げ機綱車8間に架け渡し、制御装置(制御盤23)により巻上げ機綱車8を駆動することにより主ロープ2に支持された乗りかご9を昇降させるエレベーター装置Eにおいて、巻上げ機綱車8に巻き掛けられた点検対象となる主ロープ部分(第2及び第3主ロープ部2b,2c)をかご上31から目視で点検可能な乗りかごの停止位置(図5右側に示す位置)を制御装置(制御盤23)に予め登録しておき、当該登録しておいた停止位置に乗りかご9が停止したとき、前記点検対象となる主ロープ部分(第2及び第3主ロープ部2b,2c)を指示する目印(点検ロープ指示シール37,38,39)を前記かご上31に設置した。これにより、保守員13は乗りかご9が停止した位置で目印を見れば、昇降路1内で上下に複数回掛け渡されて配置された主ロープ2のうち、点検対象となる主ロープ(主ロープ部2b、2c)を容易に特定することができる。
【0058】
(2)前記目印が点検する主ロープ(主ロープ部2b,2c)を指示するシール(点検ロープ指示シール37,38,39)であるので、かご上31の所定位置に貼り付けるだけで簡単かつ容易に保守員13に点検対象となる主ロープ部2b,2cを指し示すことができる。
【0059】
(3)前記シール37,38,39が、点検すべき主ロープの方向を指し示す点検ロープ指示矢印41と、乗りかごがどの位置における点検箇所なのかを示す記号42と、を備え、かご上31において、点検ロープ指示矢印41を点検対象の主ロープ2(第2及び第3主ロープ部2b,2c)のに向けて貼り付けられているので、保守員13は視覚により直観的に点検する主ロープ部2a,2b,2cと、点検するときの乗りかご9の位置を把握することができる。
【0060】
(4)前記シール37,38,39が、乗りかご9のかご上31のかご上手摺り14に貼り付けられているので、保守員13はかご上31に上がって保守作業を開始する前に、点検対象の主ロープ部2b,2cと、点検するときの乗りかご9の位置を容易かつ確実に把握することができる。
【0061】
(5)前記シール37,38,39が指し示す主ロープ(主ロープ部2b,2c)が、釣り合いおもり5あるいは巻上げ機綱車8のいずれに巻き掛けられた主ロープかを示す主ロープ点検箇所配置シール43をさらに備えたので、点検ロープ指示シール37,38,39のいずれかが剥がれて保守員13の確認が困難となった場合でも、剥がれた第1ないし第3点検ロープ指示シール37,38,39の再度の貼り付けを容易に行うことができる。
【0062】
(6)また、本実施形態では、昇降路1内で両端が支持された主ロープ2を複数のプーリー4,6,18及び巻上げ機綱車8間に架け渡し、制御装置(制御盤23)により巻上げ機綱車8を駆動することにより主ロープ2に支持された乗りかご9を昇降させるエレベーター装置Eの主ロープの点検方法であって、乗りかご9を任意階に移動させ、綱車8に巻き掛けられた主ロープ2の両端部の予め設定された位置(かかり点の中心12から所定の距離離れた位置)にマーキング10を施す工程(ステップS1,S2)と、乗りかご9を昇降路頂部から下方に移動させる過程で、乗りかご9のかご上31から主ロープ2を監視し、マーキング10を発見したら乗りかご9を停止させ、マーキング10を点検可能なかご位置として巻上げ機7を駆動制御する制御装置(制御盤23)に停止位置(図5右側に示す位置)を登録する工程(ステップS6,S7)と、前記登録する工程で乗りかご9を停止させた際、点検する主ロープ2b,2cとその点検部分を指示する目印(点検ロープ指示シール37,38,39)をかご上31の所定位置(かご上手摺り14)に設置する工程(ステップS8)と、を備えたことを特徴としている。これにより、点検すべき主ロープとその位置を目印により明確に示すことが可能となり、その結果、昇降路1内で上下に複数回掛け渡されて配置された主ロープ2のうち、点検対象となる主ロープ(主ロープ部2b、2c)と点検位置を容易に特定することができる。
【0063】
(7)前記昇降路1の頂部から前記登録した停止位置まで下降させる工程(ステップS12)と、登録した停止位置で停止した後、目印(点検ロープ指示シール37,38,39)により点検対象の主ロープ2と前記点検部分(マーキング121,122,123の部分)を確認し、当該点検対象の主ロープ2b,2cを所定範囲で点検する工程(ステップS16)と、を備えているので、乗りかご9を下降運転しながら点検位置で乗りかご9を自動的に停止させ、点検対象の主ロープ部2b,2cを効率よく点検することができる。
【0064】
(8)前記目印が点検すべき主ロープ2の方向を指し示す点検ロープ指示矢印41と、乗りかご9がどの位置における点検箇所なのかを示す記号42と、を備えたシール(点検ロープ指示シール37,38,39)なので、保守員13は視覚により直観的に点検する主ロープ部2b,2cと、点検するときの乗りかご9の位置を把握することができる。
【0065】
(9)前記停止位置を音で知らせる(ステップS14)ので、保守員13は音により停止位置を認識することができる。
【0066】
(10)前記停止位置の相違を、前記音の鳴動パターンの相違で知らせるので、鳴動パターンによって保守員13に停止位置を知らせることができる。
【0067】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 昇降路
2 主ロープ
2a,2b,2c 主ロープ部
4 頂部プーリー
5 釣り合いおもり
6 釣合いおもりプーリー
7 巻上げ機
8 綱車
9 乗りかご
10 マーキング
12,121,122,123 かかり代の中心点
14 かご上手摺り
23 制御盤(制御装置)
31 かご上
37,38,39 点検ロープ指示シール(目印)
41 点検ロープ指示方向(矢印)
42 かご位置表記番号(記号)
43 主ロープ点検箇所配置シール
E エレベーター装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9