特許第6294259号(P6294259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6294259-β−アルブチンの製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294259
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】β−アルブチンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/203 20060101AFI20180305BHJP
   A61K 36/8984 20060101ALN20180305BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALN20180305BHJP
   A61K 8/60 20060101ALN20180305BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALN20180305BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALN20180305BHJP
   A61P 13/02 20060101ALN20180305BHJP
   A61K 133/00 20060101ALN20180305BHJP
【FI】
   C07H15/203
   !A61K36/8984
   !A61K8/9794
   !A61K8/60
   !A61K31/7034
   !A61Q19/02
   !A61P13/02
   !A61P13/02 105
   A61K133:00
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-75885(P2015-75885)
(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公開番号】特開2016-196414(P2016-196414A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】502371646
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ティー・エイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 聡一
(72)【発明者】
【氏名】尾田 好美
【審査官】 黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−524211(JP,A)
【文献】 特開平05−070338(JP,A)
【文献】 特開2002−205933(JP,A)
【文献】 特開2002−003336(JP,A)
【文献】 特開2006−282538(JP,A)
【文献】 一丸ファルコス株式会社,オーキッドエキスN,フレグランスジャーナル,2010年 4月15日,38(4),97-98
【文献】 JIANG, Fusheng, et al.,PLOS ONE,2013年,8(2),1-11(e58004)
【文献】 Acta Horticulturae,2010年,878,89-95
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンファレ又はその処理物を親水性溶媒で抽出し、抽出液を濃縮し、濃縮物を親油性溶媒と親水性溶媒で分配抽出して得た親油性溶媒層を濃縮することを特徴とするβ-アルブチンの製造方法。
【請求項2】
デンファレの処理物がデンファレ花部の乾燥物であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
親水性溶媒がメタノールであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
親油性溶媒が酢酸エチルであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
親水性溶媒抽出を70℃〜90℃の親水性溶媒を用いて行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
親油性溶媒層の濃縮物を精製することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
精製手段が順相クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ又は液層クロマトグラフィであることを特徴とする請求項6記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【0002】
【化1】
【0003】
で表されるβ-アルブチンの製造方法に関する。更に詳しくは、植物デンファレ又はその処理物から工業的有利に高純度のβ-アルブチンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
デンファレとは、デンドロビウム・ファレノプシスの略で、この群の基本となる原種の学名から来ている。デンドロビウム・ファレノプシスは、この種および近縁の種を元にした園芸品種の総称として使われ、原種も含めてこう呼ばれる。名称としては、略称であるデンファレ系ないし単にデンファレが使われている。幾つかの原種を元に、多くの交配品種があり、花色や花形は様々だが、その多くは花の様子がコチョウラン属(ファレノプシス)に似ている。洋ランのデンドロビウムの中の重要な一群である。
【0005】
一方、アルブチン (arbutin) はバラ科の梨、ツツジ科のコケモモやウワウルシ等の植物に含まれている天然型フェノール性配糖体である。メラニン合成に関わるチロシナーゼに直接作用し、メラニンの合成を阻害するため、美白効果があるとして、化粧品などに使用されている(特許文献1)。β型とα型が存在するが一般に使用されているのはβ-アルブチンである。また、利尿作用と尿路殺菌作用があり、尿路消毒薬とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−227516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記したように有用なβ-アルブチンの製造方法、更に詳しくは、植物デンファレ又はその処理物から工業的有利に高純度のβ-アルブチンを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、デンファレ又はその処理物を親水性溶媒で抽出し、抽出液を濃縮し、濃縮物を親油性溶媒と親水性溶媒で分配抽出して得た親油性溶媒層を濃縮することにより上記課題が一挙に解決されることを見出した。本発明者らは、そのような新知見を得て更に検討を重ねて本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] デンファレ又はその処理物を親水性溶媒で抽出し、抽出液を濃縮し、濃縮物を親油性溶媒と親水性溶媒で分配抽出して得た親油性溶媒層を濃縮することを特徴とするβ-アルブチンの製造方法。
[2] デンファレの処理物がデンファレ花部の乾燥物であることを特徴とする[1]に記載の製造方法。
[3] 親水性溶媒がメタノールであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 親油性溶媒が酢酸エチルであることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 親水性溶媒抽出を70℃〜90℃の親水性溶媒を用いて行なうことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 親油性溶媒層の濃縮物を精製することを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 精製手段が順相クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ又は液層クロマトグラフィであることを特徴とする[6]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、有用なβ-アルブチンを工業的に有利に製造することができる。即ち本発明方法によって、β-アルブチンは、高純度、高収率で、複雑な処理を必要とせず、特殊な装置を必要とせず、低製造コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】デンファレ (Dendrobium phalaenopsis)からβ-アルブチンを抽出により取得する工程の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
β-アルブチンは、現状、工業的には専ら化学合成によって製造されており、抽出による取得は、量産化には至っていない。
一方、β-アルブチンは、ツツジ科(Ericaceae)、バラ科(Rosaceae)、ユキノシタ科(Saxifragaceae)などに属する植物体に広く存在することが知られ、優れた生理活性を有していることより、近年、注目されており、特に、美白効果があるとして、化粧品等にも使用されている。
【0012】
しかし、このような用途に鑑みれば、上記化学合成による方法は、安全性の観点等から未だ改善の余地を残していると言わざるを得ず、植物体よりβ-アルブチンを直接抽出する製造方法が確立されれば、より高いレベルの安全性を確保することが期待される。
【0013】
一方、従来より、β-アルブチンを含有することが知られている上記植物資源を抽出原料とするには、種々の制約があった。即ち、β-アルブチン含有植物体としては、上記のように、ツツジ科のウワウルシ、コケモモ、あるいはバラ科ナシ属のニホンナシ、セイヨウナシ等が例示できるが、例えば、日本国内での製造を想定した場合、ウワウルシは日本国内に自生しておらず、コケモモは自生しているものの、高山植物であることから採取は禁止されている。バラ科ナシ属植物は果樹として広く栽培されており、抽出原料としてはこれらの中では最も有望と言えるが、上記したウワウルシ、コケモモも含めて木本類であり、β-アルブチンを多く含有するとされる樹皮近傍には、各種ポリフェノール類等の夾雑物が多く存在し、また植物体自体が堅く、裁断等の前処理に多大の労力を要するという問題があった。
【0014】
この度、本発明者らは、上記のように、デンファレ又はその処理物を親水性溶媒で抽出し、抽出液を濃縮し、濃縮物を親油性溶媒と親水性溶媒で分配抽出して得た親油性溶媒層を濃縮することにより、高純度、高収率で、複雑な処理や、特殊な装置を必要とせず、低製造コストでβ-アルブチンを製造できることを見出した。
【0015】
本発明によれば、β-アルブチンは、デンファレ (Dendrobium phalaenopsis)から好適に取得される。抽出用植物は、デンファレに限定されることなく、β-アルブチンを含む植物であればどのような植物であっても製造原料として使用されうるが、鑑賞用の草本類として栽培方法が確立され、広く栽培されているデンファレが入手や抽出処理の容易さの点で特に優れている。
【0016】
β-アルブチンは、上記植物から溶媒抽出され、抽出物からβ-アルブチンを取得し、所望により、精製手段に付して単離する。抽出に用いられるデンファレは、全草であってもよく、その部分若しくは、その処理物であってもよい。被抽出物としては花、実、葉、茎、根等が例示され、当該植物の裁断物であってもよいが、好ましくはその乾燥物である。
溶媒抽出に用いられる溶媒としては、β-アルブチンを溶解する溶媒であればどのようなものでもよく、優れた抽出溶媒としては、例えば、水の他、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール類、例えば、ジオキサン、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒等が例示されるが、中でも、水、アルコール等のプロトン性溶媒が好ましい。また、各種ポリフェノール類等の夾雑物の溶解度が低く、アルブチンを選択的に抽出可能な点では、水よりも、メタノール、エタノール等の低級アルコール類が更に好ましく、抽出能力に優れ、低価格、低沸点で留去が容易なメタノールが特に好ましい。これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよく、目的に応じて適宜に使用できる。
【0017】
抽出操作は、例えば、上記被抽出物と抽出溶媒とを混合し、好ましくは攪拌し、抽出液と抽出残渣を分離する。抽出温度は、一概には言えないが、好ましくは、15℃〜150℃であり、抽出時間は、一概には言えないが、好ましくは、30分〜1週間程度である。抽出液と抽出残渣の分離は、特に限定されるべきものではなく、例えば、濾過、遠心分離等の手段により行なわれるのが好ましい。抽出液から抽出溶媒を除去することにより、デンファレ抽出エキスが得られる。抽出溶媒除去は、常圧下、又は減圧下に行なわれ、減圧下が好ましい。
【0018】
デンファレ抽出エキスはβ-アルブチンを含有する。デンファレ抽出エキスを精製手段に付することにより、精製β-アルブチンを取得することができる。そのような精製手段は、例えば、分配抽出、濃縮、クロマトグラフィ、結晶化、再結晶等から適宜に選択又は組み合わされてよい。このような精製手段は、従来、当該技術分野で充分に発達しており、本発明においてもそれらに従ってよい。分配抽出のための溶媒の組み合わせとしては、酢酸エチルエステルと水との組み合わせ又は、n-ブタノールと水との組み合わせが好ましい。クロマトグラフィとしては、順相シリカゲル, 逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよび逆相HPLCが挙げられるがこれらを適宜組み合わせて繰り返し行なうのがよい。
このようにして、β-アルブチンを取得することができるが、取得の確認は、例えば、旋光度、又は、MSスペクトルによって行なうことができる。
【0019】
β-アルブチンの塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩が例示される。塩の製法は、当業者に自明である。β-アルブチンのエステル類は、β-アルブチンのフェノール性水酸基をカルボン酸、スルホン酸、又はホスホン酸、又はその反応性誘導体でエステル化することにより得られる。エステル化は、自体公知の手段によって行なわれて良く、例えば、β-アルブチンと上記酸の酸クロリドとを反応させることにより行なわれる。当該反応によりエステル残基が水酸基の水素原子と置換され、かかるエステル残基としては、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルフォスフォリル等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のC1〜C4の低級アルキルが好ましい。
【0020】
β-アルブチンのエーテル類は、例えば、β-アルブチン又はその薬理学的に許容される塩とハロゲン化物(例えば、ハロゲン化アルキル)とを反応させることにより得られる。上記エーテル化反応は従来充分確立されているので、本発明においてもそれに従ってよい。この場合におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のC1〜C4の低級アルキルが好ましい。当該反応によって水酸基の水素原子はアルキル基に置換される。
【0021】
上記反応及び反応混合物からの上記エステル類又はエーテル類の取得は、自体公知の手段によって行なわれて良く、例えば、β-アルブチンと上記ハロゲン化物とを反応させ、分配抽出、濃縮、クロマトグラフィ、結晶化、再結晶等から適宜に選択又は組み合わせて目的物質を取得することができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
<抽出、精製操作>
タイ産デンファレ(Dendrobium phalaenopsis)の乾燥花部(2.0kg)をメタノールで熱時(80℃)抽出した。抽出液を濾過し、残渣にメタノールを加え、同様の抽出操作を3回行った。メタノール抽出液を合わせて減圧下溶媒留去し、メタノール抽出エキス(516.4g、収率25.8%)を得た。得られたメタノール抽出エキスのうち200.0gを酢酸エチルと水で分配抽出後、得られた水移行部をn−ブタノールでさらに分配抽出し、各移行部を減圧下溶媒留去して、酢酸エチル移行部(21.9g、収率2.8%)、n−ブタノール移行部(62.6g、収率8.1%)及び水移行部(115.5g、収率14.9%)を得た(図1)。
【0024】
得られた酢酸エチル移行部(20.0g)を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[上記吸着剤を600g使用し、展開溶媒を順次、以下のように変更しつつ実施した。(ヘキサン→[ヘキサン:酢酸エチル=(30:1)]→[ヘキサン:酢酸エチル=(20:1)]→[ヘキサン:酢酸エチル=(7:1)]→[ヘキサン:酢酸エチル=(1:1)]→[ヘキサン:酢酸エチル=(1:2)]→酢酸エチル→[クロロホルム:メタノール=(30:1)]→[クロロホルム:メタノール=(10:1)]→[クロロホルム:メタノール=(5:1)]→メタノール)]にて分画し、フラクション1(586.4mg)、フラクション2(2983.1mg)、フラクション3(5251.8mg)、フラクション4(8815.5mg)及びフラクション5(2363.2mg)を得た。
【0025】
フラクション4(8802.4mg)を逆相ODSカラムクロマトグラフィー[上記吸着剤を270g使用し、展開溶媒を順次、以下のように変更しつつ実施した。([メタノール:水=(40:60)]→[メタノール:水=(50:50)]→[メタノール:水=(60:40)]→[メタノール:水=(70:30)]→[メタノール:水=(80:20)]→[メタノール:水=(85:15)]→([メタノール:水=90:10)]→メタノール→アセトニトリル→2−プロパノ−ル)]にて分画し、フラクション4−1(34.1mg)、フラクション4−2(1543.2mg)、フラクション4−3(644.2mg)、フラクション4−4(1707.5mg)、フラクション4−5(594.6mg)、フラクション4−6(1670.0mg)及びフラクション4−7(2608.8mg)を得た。
【0026】
フラクション4−2(1528.7mg)を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[上記吸着剤を200g使用し、展開溶媒を順次、以下のように変更しつつ実施した。(クロロホルム→[クロロホルム: メタノール=(70:1)]→[クロロホルム: メタノール=(50:1)]→[クロロホルム: メタノール=(20:1)]→[クロロホルム: メタノール=(10:1)]→[クロロホルム: メタノール=(7:1)]→[クロロホルム: メタノール=(5:1)]→[クロロホルム:メタノール=(3:1)]→[クロロホルム:メタノール=(1:1)]→メタノール)]にて分画し、フラクション4−2−1(117.3mg)、フラクション4−2−2(233.6mg)、フラクション4−2−3(119.1mg)、フラクション4−2−4(108.7mg)、フラクション4−2−5(489.6mg)、フラクション4−2−6(56.7mg)、フラクション4−2−7(77.3mg)、フラクション4−2−8(38.6mg)、フラクション4−2−9(74.5mg)及びフラクション4−2−10(213.3mg)を得た。
【0027】
フラクション4−2−7(77.3mg)をHPLC[カラム;COSMOSIL 5C18−PAQ, 移動相;メタノール:水=(5:95)]を用いて分離精製し、β−アルブチン(12.5mg、0.00178%)を単離した。
【0028】
<β-アルブチンの分離及び検出方法>
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)では、ポンプはShimadzu LC-6ADを、示差屈折率検出器はShimadzu RID-6Aを、紫外可視吸光度検出器はShimadzu SPD-20Aを、カラムは5C18-PAQを用いた。
カラムクロマトグラフィーの吸着剤は、順相系はシリカゲルSilica Gel BW-200(富士シリシア、150―350mesh)、逆相系はクロマトレックスODS DM1020T (富士シリシア、100―200mesh)を用いた。
薄層クロマトグラフィー(TLC)には、Silica Gel 60F254 (Merck、順相)、RP-18 60F254(Merck、逆相)、Silica Gel 60F254 HPTLC (Merck、順相)、RP-18 WF254 HPTLC(Merck、逆相)を使用し、スポットの検出はUV(254nm)及び1重量%Ce(SO/10重量%HSO水溶液を噴霧し、加熱時の呈色により行った。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のβ-アルブチンの製造方法は、鑑賞用の草本類として広く栽培されており、入手や抽出処理の容易な植物デンファレ又はその処理物から工業的有利に高純度のβ-アルブチンを製造する方法であるので化粧品や医薬品分野等への産業分野への広範な利用が可能である。
図1