特許第6294299号(P6294299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294299
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】理美容用作業台
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/02 20060101AFI20180305BHJP
   A47B 31/00 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   A45D44/02 B
   A47B31/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-248560(P2015-248560)
(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2017-113060(P2017-113060A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2016年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】305002822
【氏名又は名称】東洋理研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】渋沢 一郎
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭47−012644(JP,U)
【文献】 特開平04−227211(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3128446(JP,U)
【文献】 特開昭61−234808(JP,A)
【文献】 実開昭54−024499(JP,U)
【文献】 特開2004−173920(JP,A)
【文献】 実開平05−044007(JP,U)
【文献】 特開平08−256888(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3120959(JP,U)
【文献】 実開平06−048593(JP,U)
【文献】 実開平05−080379(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/02
A47B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも脚と棚を備え、棚の上に理美容器具を載せることができ、脚の下部に車輪を備えて移動可能な理美容用作業台であり、
棚の幅方向両外側に脚があり、棚の幅方向両外側がその脚に取り付けられており、パイプ又は棒でリング状のハート形に作られたハート形部材が前記両脚又は一方の脚の外側に取り付けられており、ハート形部材はその上部及び上方の外窪み部を脚の上部及び棚よりも上方まで突出させて取り付けられて、その上部を理美容用作業台移動時に手で持つことのできる取っ手とし、前記外窪み部をタオルやスプレーボトル等の理美容用器具を係止することができる係止部とした、
ことを特徴とする理美容用作業台。
【請求項2】
請求項1記載の理美容用作業台において、
ハート形部材の下方の下窪み部をも、理美容用器具を係止することができる係止部とした、
ことを特徴とする理美容用作業台。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の理美容用作業台において、
ハート形部材が、片側の脚の上下方向に二つ取り付けられ、上段のハート形部材の上方の外窪み部が棚よりも上方に突出して取り付けられた、
ことを特徴とする理美容用作業台。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の理美容用作業台において、
ハート形部材が脚又は棚に溶接又は接着により固定されたか、又は連結治具で着脱自在に取り付けられた、
ことを特徴とする理美容用作業台。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の理美容用作業台において、
ハート形部材が着色されている、
ことを特徴とする理美容用作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋏、剃刀、櫛、化粧品等の理美容用器具を載せたり、収容したりするための理美容用作業台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
理容技術者や美容技術者が作業の際必要な用具として、理容用或いは美容用の作業台(理美容用作業台:セットワゴン)がある(特許文献1)。この理美容用作業台は、鋏、剃刀、櫛、化粧品等の理美容用器具を収容可能な或いは載せることのできるトレイや棚を備えたものである。この理美容用作業台はキャスターを備えており、作業者は取っ手(ハンドル)を持って動かすことで、理美容用作業台を移動することができる。取っ手は、スプレーボトルを係止するための係止部としても利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−255399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の理美容用作業台の取っ手は、上面が平坦であるため、理美容用作業台の脇を通るときに当該取っ手に係止されたスプレーボトルやタオル等の理美容用器具に触れたり、或いは急激な移動や移動時の衝撃等によって、スプレーボトルやタオル等の理美容用器具が落下するという不都合があった。また、従来の理美容用作業台は、理美容用器具を収容したり、載せたりしやすく、運搬しやすくすることを主目的とするため、お客様に美を提供するサービス業務に使用する作業台としては、装飾的美観に乏しく、理美容室内に心理的安らぎを提供することはできなかった。
【0005】
本発明の解決課題は、理美容作業台としての機能を備え、更に、美的装飾機能をも備えた理美容用作業台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の理美容用作業台は、少なくとも脚と棚を備え、棚の上に理美容器具を載せることができ、脚の下部に車輪を備えて移動可能な理美容用作業台であり、棚の幅方向両外側に脚があり、棚の幅方向外側が前記脚に取り付けられており、パイプ又は棒でリング状のハート形に作られたハート形部材が前記両脚又は一方の脚の外側に取り付けられており、ハート形部材はその上部及び上方の外窪み部を脚の上部及び棚よりも上方まで突出させて取り付けられて、その上部を理美容用作業台移動時に手で持つことのできる取っ手とし、前記外窪み部をタオルやスプレーボトル等の理美容用器具を係止することができる係止部とした理美容用作業台である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の理美容用作業台は、ハート形部材を備えているため、スプレーボトルやタオル等を係止すると、それらがハート形部材の窪み部に係止して外れにくくなり、落下し難くなる。また、ハート形部材を備えているため、美しさや可愛らしさ等を演出することもできる。このため、美や可愛らしさ等が人気店になる一つの条件として求められる理美容業界において、その要求にマッチしたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の理美容用作業台の一例を示す斜視図。
図2】本発明の理美容用作業台の他例を示す側面図。
図3】本発明の理美容用作業台の他例を示す側面図。
図4】本発明の理美容用作業台の他例を示す側面図。
図5】本発明の理美容用作業台の他例を示す斜視図。
図6】(a)は図1に示す理美容用作業台の正面図及び背面図、(b)は左側面図及び右側面図、(c)は平面図、(d)は(a)の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
本発明の理美容用作業台(以下、単に「ワゴン」という)1はどのような形状、構造のものであってもよいが、図示したものを一例として説明する。図1に示すワゴン1は、四本の脚2と棚3とトレイ4を備えている。四本の脚2は四本の連結材5で連結されてフレームを構成する。それぞれの脚2は、下方が裾広がりであり、上方が外側広がりである。それぞれの脚2にはキャスター6が取り付けられ、ワゴン1を移動しやすくしてある。
【0010】
図1の手前側の左右の二本の脚2の外側広がり部2aの間にハート形部材7が取り付けられている。図1の奥側の左右の二本の脚2の外側広がり部2aの間にもハート形部材7が取り付けられている。ハート形部材7は金属製の丸パイプを曲げ、切断、溶接等してリング状のハート形に成形してある。ハート形部材7は角パイプや楕円パイプ、異形パイプ等の各種パイプ材のほか、丸棒や角棒、楕円棒、異形棒等の各種無垢材で成形することもできる。ハート形部材7は樹脂製、その他の材質製とすることもできる。ハート形部材7は上部外側に外窪み部8aが、下部内側に内窪み部8bが形成されている。
【0011】
ハート形部材7は各種方法で作ることができるが、例えば、ハート形部材7をパイプ材で作る場合には、パイプ材を二本用意し、それぞれの一端側を円弧状に湾曲させて半円程度の湾曲部を形成する。二本のパイプ材の両端は45°程度にカットしておき、それらパイプ材の上端同士及び下端同士を突き合わせて溶接により接続してある。このとき、両パイプ材の下端側は、内窪み部8bの内角が直角又は略直角となるように接続してある。
【0012】
ハート形部材7も脚2も金属製である場合は、ハート形部材7は溶接で脚2に固定するか、連結治具(図示しない)で脚2に取り付けることもできる。樹脂製の場合は、接着剤で取り付けることもできる。
【0013】
ハート形部材7は、その外窪み部8aを棚3の上方に突出させて脚2に取り付けてある。これにより、外窪み部8aにスプレーボトルBを係止することができる。また、内窪み部8bにも、タオルやスプレーボトル等の理美容器具を係止することができる。ハート形部材7は、ワゴン1の移動時に取っ手として使用することもできる。
【0014】
ハート形部材7は図1の手前の二本の脚2と、同図の奥方の二本の脚2のそれぞれに取り付けてある。この二つのハート形部材7は同じ大きさでも、異なる大きさでもよい。また、両ハート形部材7の取り付け位置は、上下位置及び左右位置の双方を同じ位置とすることも、異なる位置とすることもできる。いずれの場合も、外窪み部8aが棚3よりも上側に突出するような位置とするのが好ましい。ハート形部材7の下端は、側面から見たときに上段のトレイ4に被さるようにすることも、上段のトレイ4に被さらないようにすることもできる。ハート形部材7の幅は、棚3の幅よりも広くすることも狭くすることもできる。ハート形部材7は他の部分と異なる色とすることもできる。ハート形部材7は他の部分と異なる材質(例えば、ゴム製)としたり、異なる材質のカバーを被せたりすることもできる。
【0015】
棚3は、鋏、剃刀、櫛、化粧品等の理美容用器具を載せるためのものである。棚3は図1の手前側の脚2と奥方の脚2の間に固定されている。棚3は木製のもの、プラスチック製のもの、金属製のもの等各種材質製のものを用いることができる。棚3は板状のものや周壁を備えた皿状のものでもよい。棚3は汎用のものと同じものでも異なるものでもよい。
【0016】
この実施形態では、棚3の下に二つのトレイ4が上下に間隔をあけて設けられている。トレイ4は、図1の手前側の脚2と奥方の脚2の間に取り付けられたレール(図示しない)に沿って側方に引き出せるようにしてある。トレイ4にも、鋏、剃刀、櫛、化粧品等の理美容用器具を載せることができる。この実施形態の棚3及びトレイ4は、周囲に縁を備えた薄箱であるが、棚3やトレイ4の形状はこれ以外であってもよい。トレイ4も木製のものやプラスチック製のもの、金属製のもの等各種材質製のものを用いることができる。
【0017】
美容院を訪れる女性の中には、美容師の髪型、洋服、靴、ネイル、メイクをはじめ、美容室の内装や鏡の装飾、照明など、様々な点に興味を持つお客さんも少なくない。本発明のワゴン1は、一般的に女性が興味を抱きやすいハート形部材7を取り付けてあるため、前記装飾等に興味を持つお客さんが明るい気分になる効果が期待できる。ハート形部材7を設けることによって、店内の雰囲気が明るくなったり、来店したお客さんの気分が明るくなったりする等の効果も期待できる。
【0018】
また、窪み部8をハート形部材7の外側と内側の二カ所に設けることで、二人の作業者で一つのワゴン1を共用することもできる。また、空のスプレーボトルBを内窪み部8bに係止するというルールを設ければ、内窪み部8bにかけてある空のスプレーボトルBに、アシスタントが液体を補充することができ、業務をスムーズに行うこともできる。
【0019】
図1に示すワゴン1は、図6(a)〜(f)に示すような外観を備えている。図6(a)は正面図及び背面図(両者は同一)、図6(b)はその左側面図及び右側面図(両者は同一)、図6(c)は平面図、図6(d)は底面図である。本発明のうち、最も特徴的な部分は、ハート形部材7の部分である。棚3は二つのハート形部材7の間の高さ方向中央付近に配置されており、ハート形部材7の上部が棚3よりも上側に突出する外観を備えている。
【0020】
(その他の実施形態)
本発明のワゴン1の構造は前記した構造以外であってもよく、例えば、図2図5に示すような構造とすることができる。
【0021】
図2に示すワゴン1は脚2の形状が図1の場合と異なるが、ハート形部材7を棚3より上方に突出させて設けること、その他の構成は図1の場合と同じである。
【0022】
図3に示すワゴン1の脚2は、丸パイプや丸棒等の長尺材を下向きコ字状に曲げたものであり、上側の角部にハート形部材7を取り付けたものである。
【0023】
図4に示すワゴン1は手前の脚2に二つのハート形部材7を取り付けたものである。
【0024】
図5に示すワゴン1は、丸パイプや丸棒等の長尺材を折り曲げて下向きL字状とした脚2とその脚2と交差する他の脚2の間にハート形部材7を設けたものである。
【0025】
また、図示は省略しているが、ワゴン1の脚2は、前記実施形態のような構造のほか、折り畳み式のものとか他の構造のものであってもよい。
【0026】
前記実施形態では、トレイ4が二段の場合を一例として説明しているが、トレイ4は一段でも三段以上であってもよい。棚3のみが設けられトレイ4がないものであってもよい。
【0027】
前記実施形態では、図1の手前側と奥側の双方の脚2にハート形部材7を設ける場合を一例としているが、ハート型部材7は、手前側だけに設けることも、奥側だけに設けることもできる。ハート形部材7を、手前側だけ或いは奥側だけに設ける場合、他方側は従来のワゴンと同様、平坦な取っ手とすることができる。
【0028】
前記実施形態では、脚2と棚3の間に隙間は設けていないが、脚2と棚3の間には、スプレーボトルBが収まる程度の隙間を設けておくこともできる。このような隙間を設けることで、ワゴン1を使用しないときに当該隙間にスプレーボトルBを収めることができ、ワゴン1を並べてしまう場合であってもスプレーボトルBが邪魔にならない。
【0029】
ハート形部材7は任意の単一色或いは複数色に着色して、華やかでソフトなイメージにすることもできる。着色には、塗料を刷毛やスプレーで塗布する場合のほか、メッキにより着色したり、着色シールを貼付したりする場合も含まれる。ハート形部材7は脚2と同じ色に着色することもできるが、異なる色に着色することで、目立たせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のワゴン1は、理美容用器具の配置や収容には限られず、医療機器用、調理機器用といった各種分野で利用することもできる。
【符号の説明】
【0031】
1 理美容用作業台(ワゴン)
2 脚
2a 外側広がり部
3 棚
4 トレイ
5 連結材
6 キャスター
7 ハート形部材
8 窪み部
8a 外窪み部
8b 内窪み部
B スプレーボトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6