【実施例】
【0093】
実施例1:PEP 1(配列番号1)の合成及び抗炎活性測定
実験例1:PEP 1(配列番号1)の合成
ヒトテロメラーゼから選別された下記配列SEQ ID:1(PEP 1)を有する下記化学構造1を有する16個のアミノ酸から構成されたペプチドを合成した。
【0094】
【化1】
【0095】
配列番号1のペプチドPEP 1は、従来公知の固相ペプチド合成法によって製造することができた。具体的には、ペプチドは、ASP48S(Peptron、Inc.,大韓民国大田所在)を利用して、Fmoc固相合成法(SPPS:solid phase peptide synthesis)を介して、C−末端からアミノ酸を一つずつカップリングすることによって合成した。次のように、ペプチドのC−末端の最初のアミノ酸が樹脂に付着したものを使用した。例えば、次の通りである:
【0096】
NH
2−Lys(Boc)−2−chloro−Trityl Resin
NH
2−Ala−2−chloro−Trityl Resin
NH
2−Arg(Pbf)−2−chloro−Trityl Resin
【0097】
ペプチド合成に使用した全てのアミノ酸原料は、N−termがFmocによって保護され、残基は、いずれも酸で除去されるTrt、Boc、t−Bu(t−butylester)、Pbf(2,2,4,6,7−pentamethyl dihydro−benzofuran−5−sulfonyl)などによって保護されたものを使用した。例えば、次の通りである:
【0098】
Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Glu(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Ile−OH、Fmoc−Phe−OH、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Gln(Trt)−OH、Fmoc−Trp(Boc)−OH、Fmoc−Met−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OH、Fmoc−Ahx−OH、Trt−Mercaptoaceticacid
【0099】
カップリング試薬(coupling reagent)としては、HBTU[2−(1H−Benzotriazole−1−yl)−1,1,3,3−tetamethylaminium hexafluorophosphate]/HOBt[N−Hydroxxybenzotriazole]/NMM[4−Methylmorpholine]を使用した。Fmoc除去は、20%のDMF中のピペリジン(piperidine in DMF)を利用した。合成されたペプチドをResinから分離し、残基の保護基を除去するためには、切断カクテル(cleavage cocktail)[TFA(trifluoroacetic acid)/TIS(triisopropylsilane)/EDT(ethanedithiol)/H
2O=92.5/2.5/2.5/2.5]を使用した。
【0100】
アミノ酸保護基が結合された出発アミノ酸が固相支持体に結合されている状態を利用して、ここに当該アミノ酸をそれぞれ反応させ、溶媒で洗浄した後、脱保護する過程を反復することにより、各ペプチドを合成した。合成されたペプチドを樹脂から切り取った後、HPLで精製し、合成をMSで確認して、その後凍結乾燥した。
【0101】
PEP 1の具体的な合成過程について説明すれば、次の通りである。
1)カップリング
NH
2−Lys(Boc)−2−chloro−Trityl Resinに保護されたアミノ酸(8当量)と、カップリング試薬HBTU(8当量)/HOBt(8当量)/NMM(16当量)とをDMFに溶解させて添加した後、常温で2時間反応させ、DMF、MeOH、DMFの順に洗浄した。
2)Fmoc脱保護
20%のDMF中のピペリジン(piperidine in DMF)を加え、常温で5分間2回反応させ、DMF、MeOH、DMFの順に洗浄した。
3)1及び2の反応を反復して行い、ペプチド基本骨格NH
2−E(OtBu)−A−R(Pbf)−P−A−L−L−T(tBu)−S(tBu)−R(Pbf)L−R(Pbf)−F−I−P−K(Boc)−2−chloro−Trityl Resin)を作った。
4)切断(cleavage):合成が完了したペプチドResinに、切断カクテル(cleavage cocktail)を加え、ペプチドをレジンから分離した。
5)得られた混合物(mixture)に、cooling diethyl etherを加えた後、遠心分離して得られたペプチドを沈澱させる。
6)Prep−HPLCで精製した後、LC/MSで分子量を確認して凍結させ、パウダーに製造した。
【0102】
実験例2:PEP 1の抗炎症活性測定
細胞株培養
韓国細胞株銀行から分譲されたRaw 264.7macrophage cell(KCBL、40071)は、10%feta lbovine serum(FBS;Gibco Laboratories)と、100unit/mLのstreptomycin及びpenicillin(Gibco Laboratories)が添加されたDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM;PAA,Austria)培地を使用して、1×10
6細胞/mlに調節した後、96ウェルプレートに接種し、37゜C、5% CO
2の条件で前培養した。
【0103】
翌日、培地を除去し、新たな培地に代替し、実験例1を介して得られたペプチド試料を5μg/mL細胞に加えた。30分間CO
2インキュベータで培養した後、50μlのLPS(最終濃度1μg/ml)を含んだ培地を処理し、インキュベータ(5%CO
2、37℃)で24時間培養した。炎症反応モデルは、各ウェル当たり1μg/mLリポ多糖(LPS:lipopolysaccharide;Sigma,USA)を処理し、対照群は、フォスフェリン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.2)処理を行った。LPS処理モデル及び対照群から得たそれぞれの細胞培養液は、追加分析のために、エペンドルフチューブ(eppendorf tube)に入れて保管した。
【0104】
実験例2−1.酸化窒素(NO)分析
酸化窒素の定量は、Raw 264.7細胞(1×10
6細胞/ml)を利用して、グリース反応液システム(Griess reagent system;Promega,USA)を使用して測定する方法を使用した。96−ウェルプレートに培養液50μlを入れ、グリース反応液I(ナフチルエチレンジアミド(NED)溶液)及びグリース反応液II(スルファニルアミド溶液)を同量で混合して入れ、10分間の反応後、30分以内に、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices,USA)を利用して、光学密度540nmで測定した。酸化窒素(NO)の濃度は、亜硝酸ナトリウムの標準曲線(0〜100μM)を利用して計算した
下記表3に示されているように、LPSは、NOの生成を増加させたが、LPSとペプチドPEP 1とを同時に処理した場合、NO生成量が減少するということを確認することができた。特に、PEP 1を処理した場合には、炎症の誘発時に生成されるNOの生成量が65%減少したと推し量るとき、炎症誘発が抑制されたということが分かった。
【0105】
【表2】
【0106】
実験例2−2.サイトカイン生成抑制効果の分析
PEP 1の炎症性サイトカイン生成抑制効果を調査するために、RAW 264.7cellを、ヒトテロメラーゼ由来PEP 15μg/mL濃度でまず処理した後、LPS 1μg/mL濃度で処理し、24時間さらに培養した。細胞培養液(culture medium)を含む上澄み液サンプルを採集し、ELISAキット(eBioscience,San Diego)を使用して、サイトカインレベルを分析した。
【0107】
96−ウェルプレートは、100μlのキャプチャ抗体(capture antibodies;製造社のプロトコルによる推薦濃度によってなるコーティングバッファに溶解されたもの)でコーティングされ、4℃で一晩反応させた。そして、プレートを5回洗浄した後、200μlのアッセイ希釈液(diluents)を各ウェルに添加し、ブロッキングの間、室温で1時間反応させた。各ウェルをウォッシュバッファで5回洗浄した後、細胞培養液サンプル、または各サイトカイン標準タンパク質サンプルは希釈され、100μlずつ各ウェルに添加された。サンプルを含んだプレートは、4℃で一晩反応させた。その後、プレートをウォッシュバッファで5回洗浄した後、100μlの二次抗体と、アビジン(avidin)の接合体(conjugate)とを添加し、室温で1時間反応させた。
【0108】
二次抗体と共に反応させた後、プレートを5回洗浄し、100μlのアビジン−HRP(BD Bioscience)と共に、30分間室温で反応させた。プレートを7回洗浄した後、100μlのTMB溶液(Pierce)を添加し、15分間室温で反応させた。反応は、各ウェルに、50μlの2N硫酸(H
2SO
4)を添加することによって終了した。450nmで、光学密度が、マイクロプレートリーダー(reader)を使用して測定された。統計学的分析は、SPSSプログラムのANOVAプロシージャを使用して、変量分析で実施され、分析間の有意点は、Duncan’s multiple range testを使用して検証された。
【0109】
実験例2−3:IL−6分泌測定
下記表4に示されているように、LPSは、サイトカインIL−6(interleukin−6)の分泌を増加させたが、LPS及びPEP 1を同時に処理した場合、炎症関連サイトカインIL−6の分泌量が減少するということを確認するということができた。特に、PEP 1を処理した場合には、炎症誘発関連サイトカインの分泌量を70%以上減少させ、すぐれた抗炎活性を示した。
【0110】
【表3】
【0111】
実験例2−4:HMGB1、TNF−α、COX−2の発現抑制能測定
タンパク質発現の分析は、ウェスタンブロット分析(Western blot analysis)によって行ったが、ヒトテロメラーゼ由来ペプチドが処理された培地で育った細胞をPBSで洗浄し、0.05%トリプシン−EDTAを処理した後、遠心分離を行って細胞を集めた。そのように集められた細胞に、適量のリシスバッファで溶解させた後、細胞内残渣物を分離させ、同量のタンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離した。分離されたタンパク質を、ニトロセルロース膜(nitrocellulose membrane;Schleicherand Schuell,Keene,NH,USA)に転移させた後、特定タンパク質に対する抗体と、それに対する二次抗体との反応を実施した後、ECL(enhanced chemiluminoesence)溶液(Amersham Life Science Corp.,Arlington Heights,IL,USA)を適用させた後、X線フィルムに感光させ、タンパク質の発現程度を分析した。
【0112】
NO生成抑制メカニズムであるTNF−αと、COX−2タンパク質との関連性を確認するために、ウェスタンブロットを介して、発現量を測定した結果、下記表5に示されているように、LPSは、サイトカインHMGB1、TNF−α、COXの発現を増加させたが、LPS及びPEP 1を同時に処理した場合、炎症関連タンパク質の発現量が減少するということを確認することができた。特に、本発明のPEP 1を処理した場合には、炎症誘発関連サイトカインタンパク質の発現量を70%以上減少させ、すぐれた抗炎活性を示した。
【0113】
【表4】
【0114】
実験例3:PEP 1の肝臓癌細胞株でのTNFα阻害活性検証
実験例3−1:細胞株培養
健常者から血液を採血(50ml)した後、Ficoll−Paque
TM PLUS(GE Healthcare Life Sciences,Piscataway,NJ,USA)を使用して、PBMC(peripheral blood mononuclear cell)層を回収した。回収されたPBMCは、ヒト血清(20%)が添加されたRPMI 1640培地(Invitrogen/Life Technologies,Carlsbad,CA,USA)で富化させ、30分ほどヒト血清をコーティングした100−mmポリスチレン細胞培養プレートに移し、2時間37℃、5%CO
2インキュベータで培養した。その後、細胞培養プレートの底に付着したモノサイトを、冷たいPBS(Phosphate Buffered Saline)(Gibco/Life Technologies,Carlsbad,CA,USA)で引き離した後、96ウェルプレートに、ウェル当たり1×10
5セルになるように、RPMI 1640培地(supplemented with penicillin-streptomycin;100mg/ml、human serum;20%)で実験前日に培養した。
【0115】
また、TLR 2(toll-like receptor 2)が安定して発現されるHEK293(human embryonic kidney 293)細胞株(HEK293/TLR 2)と、一般的なHEK293(HEK293/null)細胞株とをソウル大学校歯科大学院から分譲してもらい、ルシフェラーゼ(luciferase)分析に使用した。HEK293/nullとHEK293/TLR 2細胞株は、ルシフェラーゼ分析実験前日に、12ウェルプレートに、ウェル当たり2.5×10
5セルになるように、DMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)培地(supplemented with blasticidin;10μg/ml、fetal bovine serum;10%)(Invitrogen/Life Technologies,Carlsbad,CA,USA)で富化させて実験前日培養した。
【0116】
実験例3−2:サイトカインアッセイ(Cytokine assay)
PEP 1がTNF−αのタンパク質発現程度に、いかなる影響を及ぼすかということを調べるために、ELISA(enzyme linked immunosorbent assay)実験を行った。PBMCに由来したモノサイトを、96ウェルプレートに、ウェル当たり1×10
5セルになるように実験前日に培養させた。その後、LPS(lipopolysaccharide;10ng/ml、Sigma)を2時間処理し、PBSで3回洗浄した。OPTI−MEM培地(Invitrogen/Life Technologies,Carlsbad,CA,USA)を入れ、1時間飢餓状態処理(starvation)した後、FITC(Fluorescein Isothiocyanate)、FITC−TAT、PEP 1−FITC及びFITC−PEP 1の4μMで処理し、TNF−αレベル測定前に2時間培養した。培養が終了した後、細胞培養液を集め、ELISA(R&D,Minneapolis,MN,USA)キットマニュアルによってTNF−αを定量した。具体的な定量方法は、次の通りである。
【0117】
TNF測定は、サンドイッチ(sandwich)ELISA法を利用する。あらかじめコーティングされている96ウェルプレートに、TNFα一次抗体(primary antibody)を100μlずつ入れ、4℃で前日に培養する。翌日、0.5%tween 20ウォッシュ溶液で、5分ずつ3回洗浄した後、測定するサンプルと標準溶液とを100μlずつ入れ、2時間常温で反応させる。前述のようにプレート洗浄した後、HRP結合された検出用二次抗体を、各100μlずつ入れ、2時間常温で反応させる。その後、さらにプレート洗浄し、avidin/biotinを添加して発色させ、吸光度を測定する。標準溶液の吸光度を利用して標準曲線を求め、それを利用して、各サンプルのTNF−αを定量する。
【0118】
PBMC由来モノサイトを、エンドトキシン(endotoxin)であるLPS(10ng/ml)で2時間刺激させ、1時間OPTI−MEMで飢餓状態処理(starvation)した後、FITC、FITC−TAT、PEP 1−FITC及びFITC−PEP 1で、4μMの濃度で2時間処理した。反応後、細胞培養液のTNF−αレベルを、ELISAで測定した結果、FITC及びFITC−TATの場合、LPSによって、TNF−αレベルが高く測定されたが(6.2及び6.7ng/ml)、PEP 1−FITC及びFITC−PEP 1の場合、TNF−αレベルが大きく低下した傾向を示し(0.17及び0.25ng/ml)、その差は、統計学的に有意な結果であると確認された(P<0.01)(
図1)。
【0119】
実験例3−3:ルシフェラーゼ分析(Luciferase Assay)
炎症反応(inflammatory response)でのPEP 1の役割を調査するため、ルシフェラーゼ分析(Luciferase assay)を介して、NF−kB発現パターン(expression patterns)を評価した。第一に、12ウェルプレートに、ウェル当たり2.5x10
5セルになるように、HEK293/nullと、HEK293/TLR 2(Graduate School of Dentistry,Seoul National University)を24時間培養した。プレートをPBSで3回洗浄した後、培地は、OPTI−MEM(Invitrogen/Life Technologies,Carlsbad,CA,USA)に交換して4時間培養した後、3μl lipofectamine(Invitrogen/Life Technologies)、1μl NF−kB ルシフェラーゼ、10ng renilla luciferase(Promega,Madison,WI,USA)混合物を各ウェルに加えた後、4時間さらに培養した。陰性対照群を除外した全てのウェルに、Lipoprotein pam3cys(10ng/ml、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA)を加え、PBSで3回洗浄する前に、18時間FITC(4μM)とFITC−PEP 1(4μM)とで処理した。dual-luciferase reporter assayシステム(Promega)によって提供されることにより、それぞれのウェルに、50μl passive溶解緩衝剤(lysis buffer)を加えて細胞を溶解させた後、TD−20/20 luminometer(Turner designs,Sunnyvale,CA,USA)を介して、NF−kB活性化を確認した。Pcmv−renilla luciferase(Promega)のコトランスフェクションで、トレンスフェクション効能を確認し、ルシフェラーゼ値をcalibrateして結果を分析した。
【0120】
NF−kBルシフェラーゼを、HEK293/nullとHEK293/TLR 2細胞株とにトランスフェクションした後、合成リポプロテイン、FITC(4μM)、陰性対照群を共に処理し、pam3cysは、18時間培養するために、FITC−PEP 1(4μM)でさらに処理した。Passive溶解緩衝剤を加えた細胞溶解を介して、ルシフェラーゼ強度を利用したNF−kB発現パターン測定は、dual-luciferase reporter assayシステムによって提供され、リポプロテイン及びFITC−PEP 1処理、またはHEK293/null非処理に差を示していない。しかし、TLR 2の亢進剤であるリポプロテインを、HEK293/TLR 2細胞株で処理した場合(P<0.01)、処理していない場合よりNF−kB発現が増大し、それを介して、抗炎反応を確認することができた。また、NF−kB発現は、FITC−PEP 1で共に処理した場合、処理していない場合より増大し、リポプロテインとFITCとが共に処理された陰性対照群の場合(P<0.01)より低下した(
図2)。結局、TLR 2によって発生する抗炎反応は、PEP 1が共に処理されたときに低減するということを確認することができた。
【0121】
実験例3−4:THP1細胞株でのサイトカインレベルに影響を及ぼすペプチド再分析
ヒト急性単核球性白血病(Human acute monocytic leukemia)細胞株であるTHP−1細胞(ATSS:American Type Culture Collection,Manassas,VA,USA)を使用して、PEP 1の効能を再確認した。細胞は、密度0.5−0.7x10
5cells/mLのRPMI 1640において、このときRPMI 1640は、10% FBS、0.05mM 2−メルカプトエタノール、100U/mlペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンを含み、37℃の5%CO
2で維持された。THP−1細胞は、PMA(phorbol myristate acetate)100ng/mLを24時間37℃で処理し、大食細胞に分化させた。
【0122】
全ての試験薬及び培養液は、Gibco BRL.から購入した。PMA及びLPS、2−メルカプトエタノールは、Sigma(St.Louis,MO,USA)から購入した。ペプチドRIAは、ペプトロン(大田、大韓民国)で合成された。逆転写PCRキットは、Promega(Madison,WI,USA)から購入した。RT
2 SYBR(登録商標) Green qPCRマスターミックス試験薬及びQIAzoldは、QIAGEN(Valencia,CA,USA)から購入した。
【0123】
大食細胞への分化後、THP−1細胞は、RPMI 1640(洗浄1回当たり5分)を使用して、2回洗浄された。その後、細胞は、4時間10ng/mlのLPS及び/または4μMのペプチドRIAで、FBSがないRPMI 1640で処理された。
【0124】
トータルRNAサンプルは、ペプチド処理されたTHP−1細胞からTrizol(QIAzol)試験薬を使用して分離され、cDNAは、Promegaの逆転写PCRキットを、製造社プロトコルによって利用した逆転写PCRから合成された。
【0125】
そして、リアルタイム(RT:real-time)qPCRは、CFX96(Bio−Rad)装置を、SYBR Greenシステムと共に使用して行われた。実験に使用されたプライマーは、表5に示した。PCRサイクル条件は、95℃、10分間のHotStart DNA Taq polymeraseの活動時間に設定され、95℃で10秒、55℃で30秒、及び72℃で30秒からなるサイクルの45回が続けて遂行された。全てのサンプルは、3回反復して測定され、遺伝子発現の差は、2サイクル限界点(threshold)方式を使用して計算された。全てのデータは、β−アクチン(ハウスキーピング遺伝子)に対して正規化され、3回の独立した実験を、+/−標準エラー(S.E.:standard error)の手段として使用した。
【0126】
【表5】
【0127】
図3を介して確認することができるように、炎症反応に関与するサイトカインは、LPSによって、PEP 1の処理によって目立って減少した。
【0128】
実験例4:ベータアミロイドによって誘導された炎症反応の分析
HMGB1タンパク質は、外部刺激によって、核内に存在するHMGB1タンパク質がアセチル化されて細胞質に移動していて、その後、細胞外部に分泌されることにより、炎症誘発サイトカインの役割を行うと知られている。このように、炎症がある場合、HMGB1タンパク質が細胞外部に分泌されるので、炎症性疾患であるチャーグ・ストラウス症侯群、リューマチ関節炎及びシェーグレン症候群の患者の血清は、正常人よりはるかに多量のHMGB1タンパク質を有する。従って、炎症が誘発されるいかなる刺激が与えられても、細胞核内のHMGB1タンパク質量が多ければ、それは、HMGB1タンパク質が細胞外部に分泌していないということを意味するので、炎症が抑制されていると見られる。
【0129】
実験例4−1:PEP 1の抗炎症効果による神経幹細胞の生存効果及び増殖効果の分析
まず、PEP 1を、実施例1に記載されたペプチドの製造方法によって準備した。
【0130】
実験例4−2:神経幹細胞の培養及びベータアミロイド毒性評価
妊娠13日目のネズミ(rat)胚芽の頭から大脳皮質を分離した後、次のような培養条件で1週間、bFGF(Basic Fibroblast Growth Factor)で処理し、神経幹細胞を確保した。ベータアミロイドタンパク質が、前記培養された神経幹細胞に及ぼす影響を分析するために、あらかじめオリゴマー化させたベータアミロイドタンパク質を、0μMで、40μM濃度で神経幹細胞を48時間処理した後、CCK−8アッセイ、BrdU及びTUNELアッセイ利用して、細胞毒性評価を実施した。20μMのベータアミロイドタンパク質の処理後、60%ほどに細胞生存率が低下するということを確認し、前述のところと同一の濃度(0μM〜40μM)を、その後の実験に利用した(
図47及び
図48参照)。
【0131】
実験例4−3:PEP 1の処理による細胞毒性評価
PEP 1が、前記培養された神経幹細胞に及ぼす影響を分析するために、既存に周知の方法によって、あらかじめ0,1,10,50,100,200μMまで多様な濃度で処理した後、MTTアッセイ、BrdU及びTUNELアッセイを利用して、細胞生存率と細胞増殖程度との評価を実施した。PEP 1の0ないし200μMの濃度では、細胞の生存及び増殖を阻害しないということが分かり、神経細胞系で安定しているということが確認された(
図49及び
図50参照)。
【0132】
実験例4−4:ベータアミロイドタンパク質及びテロメラーゼペプチド(GV1001)の同時処理後の細胞毒性評価
PEP 1がベータアミロイドタンパク質の神経毒性を抑制する効果があるか否かということを確認するために、20μMベータアミロイドタンパク質と、多様な濃度のPEP 1とで48時間処理後、細胞生存率及び死滅程度を、MTTアッセイ、CCK−8アッセイ、LDHアッセイ及びTUNELアッセイを利用して評価し、BrdUアッセイを利用して、神経幹細胞の増殖程度を分析した。
【0133】
MTTアッセイ、CCK−8アッセイの分析結果、10μM PEP 1が、ベータアミロイドタンパク質による神経毒性から神経幹細胞を保護し始め、100μMで、最良の保護効果が確認された(
図8参照)。他の方法として、細胞の死滅程度を評価するLDHアッセイを実施し、ベータアミロイドタンパク質によって増大した細胞死滅が、PEP 1によって効果的に低減するということを確認することができ、この場合には、1μM濃度から効果を見せ始めた(
図9参照)。
【0134】
BrdUアッセイを介しては、ベータアミロイドタンパク質によって低下した細胞の増殖(proliferation)が、PEP 1を処理した場合、増殖が回復するということを確認した(
図10参照)。
【0135】
神経幹細胞の特性上、細胞移動性は、非常に重要な部分である。細胞移動性に係わる実験結果、ベータアミロイドタンパク質によって低下した細胞移動が、PEP 1処理によって回復し、10μM濃度の場合、対照群対比で、さらに増大しているということを確認し、その後、臨床実験で幹細胞移植前に前処理される場合、さらに効果的な結果が出てくるであろうということを示している(
図11参照)。
【0136】
神経幹細胞損傷程度を直接的に確認するために、TUNELアッセイを実施した。20μMベータアミロイドタンパク質処理群において、神経幹細胞死滅が著しく増加することを観察し、1から100μM PEP 1処理によって、神経幹細胞死滅が低減するということを確認した(
図12参照)。
【0137】
ベータアミロイドタンパク質による細胞死滅において、PEP 1保護効果の作用メカニズムを調べる。まず、ベータアミロイドタンパク質による酸化性損傷を、PEP 1が低減させるか否かということを調べる。DCF−DA染色試料(Molecular Probes,Eugene,OR)を利用して、ベータアミロイドタンパク質及びPEP 1の処理後、活性酸素の発生変化を観察した。20μMのベータアミロイドタンパク質によって、活性酸素が増加し、PEP 1と共に処理した群(1μM、10μM、50μM)では、増えた活性酸素が減少するということを確認した(
図13参照)。
【0138】
実験例4−5:PEP 1を処理した群と、処理していない比較群とのタンパク質発現量比較分析
PEP 1処理された群と、処理されていない群とのタンパク質発現量を、2D−電気泳動技法(2−D gel electrophoresis)及び抗体マイクロアレイ(antibody microarray)技法で分析して定量した。前記実施例3の実験例1−1で培養された神経幹細胞から、プロテオームを抽出して200μgを準備し、PEP 1が処理されていない群を比較群として使用して、同一条件で比較分析した。
【0139】
2D電気泳動技法は、8.5x7サイズの12%アクリルアミドゲルを使用して、PI 4〜10Nで、一次電気泳動を実施した。電気泳動後、クマシーブルー(Colloidal Coomassie Blue)染色試薬で発色させ、PDQuestソフトウェアを利用して、それぞれのスポットを分析して発現量を比較した。
【0140】
発現量の差が1.5倍以上であるものは、MALDI−TOF MS(Matrix Desoprtion/lionization Time of Flight Mass Spectromestry)を利用して、タンパク質を同定した。そのうち、i−NOS及びHMGB−1のような炎症関連信号伝逹と相関関係があると知られたタンパク質を同定した(表6参照)。ベータアミロイドタンパク質によって、発現量の変化が1.5倍以上増減したが、PEP 1を加えたとき、発現量が陰性対照群の発現量に近く調節されているということを確認した(
図14参照)。
【0141】
抗体マイクロアレイ技法は、細胞信号伝逹キット(CSAA1、Panorama
TM Ab Microarray Cell Signaling kit)を利用して実施し、GenePix Personal 4100Aスキャナを使用して、アレイスライドをスキャンし、GenePix Pro 5.0(Molecular Devices)を利用してデータを分析した。
【0142】
下記表6は、2D電気泳動技法を介して獲得された炎症関連タンパク質の発現分析結果である。対照群は、ベータアミロイドタンパク質またはPEP 1を処理していない正常細胞から抽出したタンパク質の発現量を示し、対照群の発現量を基準に増減した発現量の倍数を整理して示したものである。
【0143】
下記表6に提示されている分析結果を介して、PEP 1によって、炎症関連タンパク質の過剰発現(over-expression)及び過小発現(under-expression)が統制され、対照群のタンパク質発現量が陰性対照群に近い発現量を示すということを確認した。
【0144】
【表6】
【0145】
PI3K(phosphatidylinositol−3−kinase)/AKT信号伝達経路は、神経幹細胞の成長及び生存において決定的な役割を行う。PI3K経路は、多様な成長因子及び調節因子によって活性化され、神経幹細胞の成長及び生存の正常調節に関与する。AKT信号伝達経路は、多くのプロ細胞死滅因子(pro-apoptotic factor)を非活性化させ、すでに公知の代表的細胞死滅信号であるGSK3βを抑制させる。
【0146】
PEP 1の抗炎症効果について、さらに詳細に確認するために、タンパク質分析で明らかな変化を示したHMGB1に対するウェスタンブロットを行った。その結果、PEP 1の処理は、細胞生存信号であるKi67,pAKT,PI3K,HSTF−1及びBcl−2タンパク質の発現量を増加させ、細胞死滅信号であるBax,GSK3β,Cytochrom−c、caspase−3タンパク質の発現量を減少させた(
図58参照)。
【0147】
非ヒストン(non-histone)構造を有し、DNAに結合するタンパク質であるHMGB1は、ヌクレオソーム(nucleosome)構造を安定化させて遺伝子発現調節を行うというような、細胞内で多様な役割を行う。炎症反応の後期段階で排出される炎症誘発物質のうち一つでもって、炎症反応が生ずるたびに刺激が加えられれば、初期に、大食細胞とモノサイドとによって排出されるが、神経細胞が著しく損傷されて懐死が生じれば、細胞外に排出され、非常に強烈な炎症反応を誘発させる。神経細胞の細胞質内で、ベータアミロイドタンパク質の処理後に減少したHMGB1が、テロメラーゼペプチド(GV1001)が、神経細胞死滅によるHMGB1の細胞外排出を阻害し、細胞内での重要な役割を増大させるということを反映することにより、GV1001が強力な抗炎症効果があり得ることを示す(
図15参照)。
【0148】
ベータアミロイド凝集に対するPEP 1が、いかなる効果を示すかということを確認した。ベータアミロイドタンパク質の凝集誘導過程で、PEP 1で共に処理するとき、タンパク質凝集が阻害され(
図16(A)参照)、すでに凝集が誘導されたベータアミロイドタンパク質にPEP 1処理を行うとき、タンパク質が分解されるということが確認された(
図16(B)参照)。
【0149】
PEP 1の作用メカニズムにおいて、PI3K経路の細胞生存信号増加や細胞死滅信号減少などを確認したが、そのような現象が直接的なものであるか、あるいは間接的なものであるかということを確認するために、PI3K抑制剤であるLY294002(Promega)を前処理した結果、テロメラーゼペプチド(GV1001)の処理後に上昇した細胞生存率が、LY294002の前処理によって低下したものと見られ、GV1001の神経保護効果において、PI3K経路に対する直接的な影響が関与するものであると確認された(
図17参照)。
【0150】
PEP 1は、ベータアミロイドタンパク質による神経幹細胞の死滅を抑制する効果は、神経幹細胞でさらに明らかに確認された。また、神経幹細胞の移動能向上にも寄与するということを確認し、臨床適用時に多様な可能性を提示した。PEP 1の作用メカニズムにより、抗炎症効果、神経幹細胞生存因子増加及び死滅因子減少、特に、PI3K信号伝達体系の活性化や抗酸化の効果などが確認され、非常に多様な作用メカニズムを介して、ベータアミロイドタンパク質による神経毒性抑制を確認した。
【0151】
実験例5:qPCRアレイ
実験方法
THP−1細胞培養
ヒト急性単核球性白血病(Human acute monocytic leukemia)細胞株であるTHP−1細胞(ATCC:American Type Culture Collection(ATCC),Manassas,VA,USA)を使用して実験を進めた。THP−1を96ウェルプレートに、ウェル当たり1×10
5セルになるように、RPMI 1640培地で富化させ、24時間培養させた。懸濁液で正常に成長するTHP−1細胞は、付着大食細胞類似表現型(adherent macrophage-lik ephenotype)に分化され、それは、分化培地で24時間行われた(100ng/mLのphorbol 12−myristate 13−actate(PMA;Sigma−Aldrich)を含む完全成長培地条件)。分化の間、THP−1細胞(3x10
6cells/plate、〜95%コンフルエンシー(増殖尺度))は、10/cmの組織培養プレートにシードされ、分化培地で培養された。
【0152】
抗炎症ペプチドPEP−1のTHP−1細胞に対する処理
分化後に、大食細胞類似THP−1細胞は、完全成長培地で2回洗浄された。その後、細胞は、10ng/mLのリポ多糖(Sigma−Aldrich)及び/または4μMのPEP−1で4時間37℃で処理された。
【0153】
THP−1細胞でのRNAの分離及びcDNAの合成
トータルRNAは、RNeasyminikit(Qiagen,Valencia,CA,USAから購入)を使用して抽出及び精製され、製造社のプロトコルに従った。cDNAは、逆転写を介して合成され、Reverse Transcription System(Madison,WI,USAで購入)を使用して、製造社のプロトコルに従った。
【0154】
PCRアレイ
その後、THP−1細胞から得たcDNAサンプルは、リアルタイム定量PCR(qPCR:real−time quantitative PCR)分析のテンプレートとして使用された。qPCR分析のために、RT2 Profilier PCRアレイキットを、SABiosciences/Qiagen(Valencia,CA,USA)から購入した。分離された信号伝達を分析する4個の異なるPCRアレイキットが実験に使用され、詳細な内容は、次の通りである:ヒト信号変換メカニズムファインダ、ヒト炎症サイトカイン及び受容体、ヒト転写因子、ヒトNF−κB信号メカニズム。PCRは、Bio−Rad(Mercules,CA,USA)のCFX 96リアルタイムPCR機器を使用して、SYBR Green感知システム(Qiagen)を介して行われた。
【0155】
熱的サイクリング条件は、次の通りである:95℃で10秒間、55℃で30秒間、95℃で10分間、95℃で10秒間、55℃で30秒間、そして72℃で30秒間を50回増幅サイクルにした。データは、3個の独立した実験で得た平均値を示し、%低下は、対象遺伝子発現を、LPS処理されたサンプルと、LPS+PEP−1処理されたサンプルとを比較して決定された。336個の遺伝子が分析される間、下記のものにおいてのみ、統計的に有意(p<0.05、student’s t-test)の%低下が示され、下記表7に示した。
【0156】
【表7】
【0157】
表7に表示されたPEP−1によって転写が抑制された遺伝子が%阻害度でもって示され、それは、LPS処理されたものと、LPS+PEP−1処理されたサンプル(THP−1細胞)との転写レベルの変化率と計算された。336個の遺伝子を分析する間、表7に示された13個の遺伝子のみがPEP−1処理後、統計的に有意の低下を示した。それら遺伝子は、それぞれ異なる機能カテゴリー別にグループ化され、前記機能は、ケモカイン(chemokyne)及びサイトカイン、TNFα受容体信号伝逹(signaling)、脂質代謝、細胞自殺及びNF−κB信号伝逹を含む。さらに重要な点は、ケモカイン及びサイトカインのカテゴリーの遺伝子がNF−κBの対象遺伝子として知られており、NF−κB一致DNA結合サイトを、それらのプローモーター領域に有するということである。それと共に、PCRアレイで得たデータは、PEP−1の抗炎効果が、NF−κBによる炎症に対する主要調節子(regulator)操作を利用して遂行されるということも裏付け、それにより、PEP−1が広い範囲の炎症疾患において、抗炎症治療剤として使用されるということも裏付ける。