(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ウイルス感染を治療するための、抗ウイルスオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む抗ウイルス性医薬製剤であって、前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、少なくとも1種類の二価カチオンによって分子間で接続した2つ以上のオリゴヌクレオチドからなり、前記二価カチオンが、カルシウムおよびマグネシウムの少なくとも1種であり、前記2つ以上のオリゴヌクレオチドが、完全にホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、医薬製剤。
前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、1つの2’位が修飾されたリボースを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬製剤。
前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、それぞれのリボースの2’位がO−メチル化されている少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬製剤。
前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、少なくとも1つの5’メチルシトシンを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬製剤。
前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、各シトシンが5’メチルシトシンである少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬製剤。
前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、完全にホスホロチオエート化され、すべてのリボースが2’位でOメチル修飾され、すべてのシトシンが5’メチルシトシンとして存在する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1〜6及び10〜18から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬製剤。
前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、眼内、経口摂取、腸内、吸入、筋肉注射、腹腔内注射、髄腔内注射、髄腔内注入、気管内、静脈注射および局所投与からなる群から選択される投与のために製剤化される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【発明の概要】
【0006】
本記載によれば、オリゴヌクレオチドをキレート錯体として投与することによって、オリゴヌクレオチドを用いた治療によって影響を受け得る任意の疾患状態を治療する方法が提供される。
【0007】
本記載によれば、オリゴヌクレオチドを用いた治療によって影響を受け得る任意の疾患状態を治療するための、キレート錯体として製剤化されるオリゴヌクレオチドの使用が提供される。
【0008】
本記載によれば、オリゴヌクレオチドを用いた治療によって影響を受け得る任意の疾患状態を治療するための医薬の製造における、キレート錯体として製剤化されるオリゴヌクレオチドの使用が提供される。
【0009】
治療が必要な被検体に抗ウイルスONキレート錯体を投与する工程を含む、ウイルス感染を治療する方法が提供される。
【0010】
ウイルス感染を治療するための抗ウイルスONキレート錯体の使用が提供される。
【0011】
ウイルス感染を治療するための医薬の製造における抗ウイルスONキレート錯体の使用が提供される。
【0012】
一実施形態では、抗ウイルスオリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1〜6または10〜18から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0013】
治療が必要な被検体に、抗コレステロールONキレート錯体を投与する工程を含む、高コレステロール血症を治療する方法が提供される。
【0014】
一実施形態では、抗コレステロールオリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1、2、3、5、6、10、11、12、15、16または17から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0015】
治療が必要な被検体に、抗高トリグリセリドONキレート錯体を投与する工程を含む、高トリグリセリド血症を治療する方法が提供される。
【0016】
一実施形態では、抗コレステロールオリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1、2、3、5、6、10、11、12、15、16または17から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0017】
治療が必要な被検体に、抗アルツハイマーONキレート錯体を投与する工程を含む、アルツハイマー病を治療する方法が提供される。
【0018】
治療が必要な被検体に、抗プリオンONキレート錯体を投与する工程を含む、プリオン病を治療する方法が提供される。
【0019】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の正しくないスプライシングを正しくするように設計されたONキレート錯体を投与する工程を含む、DMDを含め、mRNA成熟中の正しくないスプライシングから生じる疾患を治療する方法が提供される。
【0020】
ウイルス感染を治療するための抗ウイルスONキレート錯体の使用が提供される。
【0021】
ウイルスを治療するための医薬の製造における抗ウイルスONキレート錯体の使用が提供される。一実施形態では、抗ウイルスオリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1〜6または10〜18から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0022】
高コレステロール血症を治療するための抗コレステロールONキレート錯体の使用が提供される。
【0023】
高コレステロール血症を治療するための医薬の製造における抗コレステロールONキレート錯体の使用が提供される。
【0024】
一実施形態では、抗コレステロールオリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1、2、3、5、6、10、11、12、15、16または17から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0025】
高トリグリセリド血症を治療するための抗トリグリセリドONキレート錯体の使用が提供される。
【0026】
高トリグリセリド血症を治療するための医薬の製造における抗トリグリセリドONキレート錯体の使用が提供される。
【0027】
一実施形態では、抗トリグリセリドオリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1、2、3、5、6、10、11、12、15、16または17から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0028】
アルツハイマー病を治療するための抗アルツハイマーONキレート錯体の使用が提供される。
【0029】
アルツハイマー病を治療するための医薬の製造における抗アルツハイマーONキレート錯体の使用が提供される。
【0030】
プリオン病を治療するための抗プリオンONキレート錯体の使用が提供される。
【0031】
プリオン病を治療するための医薬の製造における抗プリオンONキレート錯体の使用が提供される。
【0032】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を含む、mRNA成熟中の正しくないスプライシングから生じる疾患を治療するために、DMDにおいて正しくないスプライシングを正しくするように設計されたONキレート錯体の使用が提供される。
【0033】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を含む、mRNA成熟中の正しくないスプライシングから生じる疾患を治療するための医薬の製造における、DMDにおいて正しくないスプライシングを正しくするように設計されたONキレート錯体の使用が提供される。
【0034】
配列番号20を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の投与を含む、高コレステロール血症を治療するための方法が提供される。
【0035】
高コレステロール血症を治療するための配列番号20を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用が提供される。
【0036】
高コレステロール血症を治療するための医薬の製造における配列番号20を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用が提供される。
【0037】
配列番号19を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の投与を含む、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための方法が提供される。
【0038】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための配列番号19を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用が提供される。
【0039】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための医薬の製造における配列番号19を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用が提供される。
【0040】
配列番号7を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の投与を含む、C型肝炎感染を治療するための方法を提供する。
【0041】
C型肝炎感染を治療するための配列番号7を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用が提供される。
【0042】
C型肝炎感染を治療するための医薬の製造における配列番号7を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用が提供される。
【0043】
ウイルス感染を治療するための抗ウイルスオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤が提供される。
【0044】
高コレステロール血症を治療するための抗コレステロールオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤が提供される。
【0045】
高トリグリセリド血症を治療するための抗トリグリセリドオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤が提供される。
【0046】
アルツハイマー病を治療するための抗アルツハイマーオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤が提供される。
【0047】
プリオン病を治療するための抗プリオンオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤が提供される。
【0048】
高コレステロール血症を治療するための配列番号20を含むキレート錯体を含む医薬製剤が提供される。
【0049】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための配列番号19を含むキレート錯体を含む医薬製剤が提供される。
【0050】
C型肝炎感染を治療するための配列番号7を含むキレート錯体を含む医薬製剤が提供される。
【0051】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、二価の金属カチオンを用いて調製される。
【0052】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、カルシウムを用いて調製される。
【0053】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、マグネシウムを用いて調製される。
【0054】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、鉄(2+)、マンガン、銅および/または亜鉛を用いて調製される。
【0055】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、2種類以上の異なる二価の金属カチオンを含む。
【0056】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、カルシウムおよびマグネシウムを含む。
【0057】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つの二本鎖オリゴヌクレオチドを含む。
【0058】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0059】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つの完全にホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドを含む。
【0060】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、1つの2’位が修飾されたリボースを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0061】
別のさらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、それぞれのリボースの2’位がO−メチル化されている少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0062】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つの5’メチルシトシンを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0063】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、各シトシンが5’メチルシトシンである少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0064】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、完全にホスホロチオエート化され、すべてのリボースが2’位でOメチル修飾され、すべてのシトシンが5’メチルシトシンとして存在する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0065】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1〜6または10〜18から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
【0066】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、皮下投与のために製剤化される。
【0067】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、静脈点滴のために製剤化される。
【0068】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、眼内、経口摂取、腸内、吸入、筋肉注射、腹腔内注射、髄腔内注射、髄腔内注入、気管内、静脈注射および局所投与からなる群から選択される投与のために製剤化される。
【0069】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、エアロゾルによって投与するために製剤化される。
【0070】
別の実施形態では、感染を引き起こすウイルスは、B型肝炎ウイルスである。
【0071】
別の実施形態では、感染を引き起こすウイルスは、ヘパドナウイルスである。
【0072】
さらなる実施形態では、感染を引き起こすウイルスは、デルタ型肝炎ウイルスである。
【0073】
別の実施形態では、感染を引き起こすウイルスは、インフルエンザである。
【0074】
別の実施形態では、感染を引き起こすウイルスは、レトロウイルス科のメンバー、HIV−1、HIV−2、ヘルペスウイルス科のメンバー、HSV−1、HSV−2、サイトメガロウイルス、ポックスウイルス科のメンバー、パラミクソウイルス科のメンバー、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、ブニヤウイルス科のメンバー、ハンタウイルス、フィロウイルス科のメンバー、エボラウイルス、マールブルグウイルス、フラビウイルス科のメンバー、黄熱病ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、C型肝炎ウイルス、オルトミクソウイルス科のメンバー、トガウイルス科のメンバー、コロナウイルス科のメンバー、ラブドウイルス科のメンバーおよびアレナウイルス科のメンバーからなる群から選択される。
【0075】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号2(REP 2055)を含む。
【0076】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号18(REP 2139)を含む。
【0077】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号11(REP 2148)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0080】
その内容が全体的に本明細書に参照により組み込まれる国際出願公開第WO 2012/021985号および米国特許出願公開第2012/0046348号に記載されるように、二価の任意の単純な金属カチオン(例えば、限定されないが、Ca
2+、Mg
2+およびFe
2+)を含む水溶液中のONは、塩として存在せず、ONのキレート化した錯体として存在する。これらの錯体は、ONダイマー、またはONが二価金属イオン架橋を介し、そのホスホジエステル骨格で結合したもっと結合部位が多い分子組織で構成される(
図2Bを参照)。特定のON濃度および金属カチオン濃度では、これらのキレート化された錯体は、水溶液中で安定であり、可溶性であり、ONキレート錯体中の任意の二価カチオンが溶液と相互作用するのを効果的に抑える。このキレート錯体の形成は、3+以上の電荷を有する単純な金属カチオンとの間でも起こりそうである(
図2Bに示されるように)。従って、ONは、多価金属カチオンキレート化剤として機能し、多価金属カチオンと塩を形成しない。
【0081】
ONキレート錯体は、カルシウム、マグネシウム、コバルト、鉄、マンガン、バリウム、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、水銀および鉛を含む多様な多価金属カチオンを含んでいてもよい。さらに、これらの多価金属カチオンのキレート化によって、金属カチオンを介して接続する2つ以上のONで構成されるONキレート錯体が生成し、ホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合のいずれかを有するON存在下、6ヌクレオチド長より長いヌクレオチドのONが生じることが示される。ONは、場合により、それぞれホスホロチオエート酸による結合を有していてもよい。キレート化によって、リボースの2’位に修飾(例えば、2’位のOメチル)を含み、修飾された塩基(例えば、5’メチルシトシンまたは4−チオウラシル)を含むONも生じる。これらの2’位での修飾は、1つ以上またはすべてのリボースに存在していてもよく、修飾された塩基は、1つ以上の塩基に存在していてもよく、またはそれぞれの塩基に広く存在していてもよい(すなわち、すべてのシトシンが5’メチルシトシンとして存在する)。さらに、ONキレート錯体は、複数の修飾を含むONを含んでいてもよく、例えば、それぞれの結合がホスホロチオエート化されており、それぞれのリボースが2’位で修飾されており、それぞれの塩基が修飾されている。ONキレート錯体の作成と適合するONの修飾を、以下にさらに定義する。さらに、金属カチオンのキレート化は、存在するヌクレオチドの配列に依存しないが、その代わりに、すべてのONに共通する物理化学的特徴に依存する(
図2Aを参照)。
【0082】
ONキレート錯体の作成は、任意の二価の金属カチオンを用いて達成することができるが、医薬として使用することを意図したONキレート錯体は、好ましくは、カルシウムおよび/またはマグネシウムのみを含むべきであり、鉄、マンガン、銅または亜鉛も痕跡量含んでいてもよいが、コバルト、バリウム、ニッケル、カドミウム、水銀、鉛またはここに列挙しない任意の他の二価の金属は含むべきではない。
【0083】
重要なことに、ONキレート錯体の作成は、一価カチオン、例えば、Na
+、K
+またはNH
4+を用いて行われず、従って、任意の一価カチオンを用いては行われないであろう。従って、「ON塩」という用語は、もっと正確には、一価カチオンとのON塩、またはONとキレート錯体を形成しないカチオンとのON塩にのみ限定される。
【0084】
血液中のタンパク質成分とONの既知の一時的な相互作用の少なくとも一部は、ONと、金属に結合するタンパク質、例えば、アルブミンおよびカルシウム依存性凝固カスケードのタンパク質との相互作用によって媒介されるであろう。従って、キレート化された錯体としてのONの投与(二価の金属に結合したタンパク質と相互作用する傾向を顕著に減らすか、またはなくす)は、血液中のこれらのタンパク質の相互作用を軽減し、ON投与の副作用を少なくすることができ(例えば、一時的な抗凝固)、キレート化されていないONと比較して、ON投薬量のうち、標的臓器(例えば、肝臓、肺または膵臓)に到達する部分を増やすこともできる。本開示以前には、このようなタンパク質相互作用の軽減が治療活性に及ぼす影響は知られておらず、記載されたこともなかった。
【0085】
蛍光偏光は、分子間相互作用を調べるために一般的に用いられる方法である。この技術では、ベイト(すなわち、任意のON)を蛍光タグ(例えば、FITC)で標識する。溶液中、ベイト分子は、ブラウン運動に起因して溶液中で自由に回転し、ベイトを正しい波長の光で励起させたとき、不十分な偏光した蛍光発光が生じる。十分な分子量(少なくともベイトと同じ大きさ)のリガンドを用いると、ベイトとリガンドとの相互作用によって、溶液中でのこの錯体の回転が実質的に阻害される。このように溶液中で回転が阻害された結果、励起したときの蛍光発光は顕著に偏光するようになる。従って、この技術を用い、結合相手に対する物理的な制約条件なく、溶液中の相互作用を測定することができる。蛍光偏光は、無次元のmPとして報告され、反応中で結合したベイト分子の割合に正比例する。例えば、非常に少量のベイト分子が特定のリガンドに結合している場合、蛍光偏光は非常にわずかであると思われ、その結果、mP値が小さい。そのスペクトルの他端で、多くの割合のベイト分子が特定のリガンドに結合している(または高濃度のリガンドを用いる)場合、かなりの蛍光偏光が存在すると思われ、その結果、mP値が大きい。この様式で、固定した量の蛍光タグ化ベイト存在下、リガンドの濃度を変えることによって、特定のベイト−リガンド相互作用の結合等温線を作成することができる。
【0086】
ここで、多様な蛍光標識したONを使用し、多価金属カチオン存在下、これらの錯体生成を調べる。蛍光偏光による錯体生成の監視は、これらのONを蛍光標識する必要があるが、この標識は、当該ONの窒素系塩基またはホスホジエステル骨格のいずれかと干渉しないように、3’末端でONに接続する。さらに、蛍光タグは、硬い3炭素リンカーによってONから離れた状態で保持され、さらに、溶液中の通常のONの挙動の撹乱を排除する。従って、蛍光標識されたONを用いた蛍光偏光を用いる本明細書で観察される任意のON錯体生成は、標識されていないON(錯体化しているか、していないかによらない)の溶液挙動の正確な代表例である。
【0087】
当該技術分野の技術水準は、ONナトリウム塩を用いた治療が必要な被検体にONを投与する実務を明確に教示する。この教示は、ホミビルセン(ISIS 2922)、ミポメルセン(ISIS 301012)、トレコビルセン(Trecovirsen)(GEM 91)、クスチルセン(OGX−011/ISIS 112989)、ゲナセンス(G3139)、アプリノカルセム(Aprinocarsem)(ISIS 3531/LY 900003)、PRO−51(GSK 2402968)およびALN−RSV01を含む、ナトリウム塩として臨床試験で多くのONを投与することによって例示される(Geary et al.、2002、Clin.Pharmacokinetics、41:255−260;Yu et al.2009、Clin.Pharmacokinetics、48:39−50;Sereni et al.1999、J.Clin.Pharmacol.、39:47−54;Chi et al.2005、J.Nat.Canc.Inst.、97:1287−1296;Marshall et al.2004、Ann.Oncol.、15:1274−1283;Grossman et al.2004、Neuro−Oncol、6:32−40;Goemans et al.2011 NEJM 364:1513−1522)。カルシウムまたはマグネシウムまたは任意の他の二価の金属の使用を伴う親化合物の任意の投与経路についてのオリゴヌクレオチド製剤を教示する現時点で公開されたデータは存在しない。
【0088】
ONナトリウム塩の投与に関連する副作用の多くは、そのキレート化効果に起因するものであろう。ONによる血液の抗凝固性は、少なくとも部分的には、ONによる血清カルシウムのキレート化によって生じ、これにより、カルシウム依存性の凝固カスケードが損なわれる。血清カルシウムのキレート化およびこのキレート化が起こり得る背後にある血清低カルシウム血症は、IV投与によるON投与で観察される副作用とも一致しており、発熱、振戦、衰弱および動脈血圧の低下(後者は、迅速なIV点滴または注射に伴う)が挙げられる。ONの皮下注射で観察される注射部位での反応(硬結、炎症、圧痛および疼痛)は、少なくとも一部には、注射部位でのカルシウムおよび可能な他の二価のカチオン、例えば、マグネシウムまたは多価カチオンのONによる局所的なキレート化に起因する。キレート化した錯体としてのONの投与は、これらの副作用の多くを軽減することが示されている(WO 2012/021985号を参照)。
【0089】
オリゴヌクレオチド(ON)という用語は、リボ核酸(RNA)および/またはデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマーまたはポリマーを指す。この用語は、修飾されたヌクレオ塩基(5’メチルシトシンおよび4’チオウラシルを含む)、糖類およびヌクレオチド間の共有(骨格)結合で構成されるON、および同様の機能を有する天然には存在しない部分を含むONを含む。このような修飾または置換されたONは、例えば、免疫反応性の低下、細胞取り込みの向上、核酸標的に対する親和性の向上、ヌクレアーゼ存在下での安定性の上昇といった望ましい特性のため、天然形態よりも好ましい場合がある。ONは、二本鎖であってもよい。
【0090】
ONは、種々の修飾、例えば、安定化する修飾を含んでいてもよく、従って、ホスホジエステル結合および/または糖および/または塩基に少なくとも1つの修飾を含んでいてもよい。例えば、ONは、限定されないが、1つ以上の修飾を含んでいてもよく、または示した修飾を有するすべての結合または糖類または塩基を含むように完全に修飾されていてもよい。修飾された結合としては、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、および/またはメチルホスホネート結合を挙げることができる。修飾された結合は有用であるが、ONは、ホスホジエステル結合を含んでいてもよい。さらなる有用な修飾としては、限定されないが、2’−O−アルキル修飾を含め、糖の2’位での修飾、例えば、2’−O−メチル修飾、2’O−メトキシエチル(2’MOE)、2’−アミノ修飾、2’−ハロ修飾、例えば、2’−フルオロ;および/または非環状ヌクレオチド類似体が挙げられる。他の2’位での修飾も当該技術分野で知られており、例えば、ロックド核酸を使用することができる。特に、ONは、全体的に修飾された結合を有するか、またはそれぞれの結合が修飾されており、例えば、ホスホロチオエートを含み;3’−および/または5’−キャップを含み;末端3’−5’結合を含み;ONは、リンカーによって接続した2つ以上のON配列からなるコンカテマーであるか、またはこれを含む。塩基修飾は、シトシン塩基の5’メチル化(5’メチルシトシンまたはヌクレオチドの観点で、5’メチルシチジン)および/またはウラシル塩基の4’チオ化(4’チオウラシルまたはヌクレオチドの観点で、4’チオウリジン)を含んでいてもよい。ホスホロチオエート結合、2’リボース修飾(例えば、2’O−メチル化)および修飾された塩基(例えば、5’メチルシトシン)を含むオリゴヌクレオチドのように、合成条件が化学的に適合性であるような異なる化学的に適合性の修飾された結合を組み合わせてもよい。ONは、さらに、これらの異なるすべての修飾で完全に修飾されていてもよい(例えば、それぞれの結合がホスホロチオエート化され、それぞれのリボースが2’位で修飾されており、それぞれの塩基が修飾されている)。
【0091】
本開示では、「抗ウイルスON」という用語は、その特定の生化学的活性(配列依存性または配列非依存性)によって、任意のONが、ある態様のウイルス複製を直接的または間接的に阻害する能力、または免疫学的機構または他の機構による感染を排除する宿主の能力を直接的または間接的に高める能力を有することを指す。
【0092】
本開示では、「抗ウイルスONキレート錯体」という用語は、多価金属カチオンによって分子間で接続した、溶液中の2つ以上の抗ウイルスONの錯体を指す。抗ウイルスONキレート錯体は、異なる配列を有する2つ以上のONを含んでいてもよい。
【0093】
本開示では、「抗コレステロールON」という用語は、その特定の生化学的活性(配列依存性または配列非依存性)によって、任意のONが、被検体における異常に高まった血清総コレステロールまたは低い/非常に低い密度のリポタンパク質血清レベルを直接的または間接的に下げる能力を有することを指す。
【0094】
本開示では、「抗コレステロールONキレート錯体」という用語は、多価金属カチオンによって分子間で接続した、2つ以上の抗コレステロールONの錯体を指す。抗コレステロールONキレート錯体は、異なる配列を有する2つ以上のONを含んでいてもよい。
【0095】
本開示では、「抗トリグリセリドON」という用語は、その特定の生化学的活性(配列依存性または配列非依存性)によって、任意のONが、被検体の異常に高まった血清トリグリセリドレベルを直接的または間接的に下げる能力を有することを指す。
【0096】
本開示では、「抗トリグリセリドONキレート錯体」という用語は、多価金属カチオンによって分子間で接続した2つ以上の抗トリグリセリドONの錯体を指す。抗トリグリセリドONキレート錯体は、異なる配列を有する2つ以上のONを含んでいてもよい。
【0097】
本開示では、「抗アルツハイマーON」という用語は、その特定の生化学的活性(配列依存性または配列非依存性)によって、任意のONが、
A.脳でのアミロイド−βの蓄積または発現を直接的または間接的に止め、遅らせ、または逆行させる能力;
B.脳でのアルツハイマープラーク生成を直接的または間接的に止め、遅らせ、または逆行させる能力;および/または
C.アルツハイマー病の進行に関連する神経障害を直接的または間接的に止め、遅らせ、または逆行させる能力を有することを指す。
【0098】
本記載では、「抗アルツハイマーONキレート錯体」という用語は、多価金属カチオンによって分子間で接続した、溶液中の2つ以上の抗アルツハイマーONの錯体を指す。
【0099】
本記載では、「抗プリオンON」という用語は、その特定の生化学的活性(配列依存性または配列非依存性)によって、任意のONが、
A.脳の周囲または脳内のプリオンタンパク質生成を直接的または間接的に止め、遅らせ、または逆行させる能力;および/または
B.プリオン病に関連する神経障害を直接的または間接的に止め、遅らせ、または逆行させる能力を有することを指す。
【0100】
本記載では、「抗プリオンONキレート錯体」という用語は、多価金属カチオンによって分子間で接続した2つ以上の抗プリオンONの錯体を指す。抗プリオンONキレート錯体は、異なる配列を有する2つ以上のONを含んでいてもよい。
【0101】
本出願では、「縮重ON」という用語は、すべての位置にゆらぎ(N)を有する一本鎖ON、例えば、NNNNNNNNNNを意味することを意図している。それぞれの塩基は、このONが、実際に、同じ長さおよび物理化学的特性を有する異なるランダムに生成した配列の集合として存在するとき、ゆらぎとして合成される。例えば、40塩基長の縮重ONについて、この集合の任意の特定の配列は、理論的には、フラクション全体の1/4
40または8.3×10
−25のみにあらわれるだろう。1モル=6.022×10
23分子であり、1モルの40マーONは、質量が約12〜14kg(存在する配列および修飾に依存する)であるという事実から、特定の配列が効果的に存在する任意のONは、任意の調製において、1個より多く存在しない。従って、このような調製で観察される任意のキレート生成または生物学的活性は、その調製に固有である確定した配列を有する任意の特定のONが、特定のヌクレオチド配列から誘導される任意の意味ある活性の原因となるとは予測することができないため、配列に依存しない(または配列とは独立した)ONの物理化学特性に起因しなければならない。
【0102】
この概念をさらに説明すると、実施例Iは、高速液体クロマトグラフィーおよび質量分析計によって、REP 2006(縮重し、完全にホスホロチオエート化された配列を有する40マーON)の特徴を、確定した配列を有する21マーON(これも完全にホスホロチオエート化されている)と比較し、同様の大きさおよび化学修飾(すなわち、ホスホロチオエート化)を有する任意のONは、存在するヌクレオチド配列によって影響を受けない非常によく似た(同一ではないにしても)物理化学特徴を有することを明確に示す(
図1A〜Cを参照)。
【0103】
本出願では、「核酸ポリマー」またはNAPという用語は、配列特異的な機能を含まない任意の一本鎖ONを特定することを意図している。NAPの生化学的活性は、ONのToll様受容体認識、標的核酸のハイブリダイゼーション、または存在する特定の順序のヌクレオチドから誘導される特定の二次元三次元のON構造を必要とするアプタマー相互作用に依存しない。NAPは、上述のような塩基および/または結合および/または糖修飾を含んでいてもよい。
【0104】
ONは、配列依存性または配列に依存しない多くの機構によって、その効果を発揮することができる。配列依存性の機構は、その活性に特定の核酸配列を必要とし、その活性が、存在するヌクレオチド配列の1つ以上の改変によって低下する機構である。この特定の配列は、ONの全長またはその一部分(配列モチーフ)のみを包含していてもよい。配列依存性のONの例としては、以下のものが挙げられる。
1.アンチセンスON(一本鎖または二本鎖(例えば、低分子干渉RNA(siRNA)または小ヘアピンRNA(shRNA))が、ある疾患状態(すなわち、ウイルス感染またはコレステロールの制御)に関与するメッセンジャーRNA(mRNA)の特定の部分(すなわち、ウイルスmRNAまたはホストmRNA)と相補性であり、細胞に導入されたとき、RNAse HまたはRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)によって、これらの標的mRNAの分解を行わせる。
2.立体障壁のあるONは、mRNAの特定の部分に相補性であるが、RNAse Hを活性化しないように設計された一本鎖アンチセンスONである。標的mRNAに対するこれらのONのハイブリダイゼーションによって、mRNAに対して通常は作用するタンパク質に対し立体的な障壁を与える二本鎖構造が得られる。このようなONを使用し、特定のmRNAの翻訳をブロックするか、または特定のmRNAの後翻訳スプライシングおよび成熟を妨害することができる。このようなONを、ONに存在する全体またはそれぞれのリボースの2’位でのリボース修飾(例えば、2’位でのOメチル化)によって(これらのONの作用機序に不可欠ではないため)、RNAse Hの活性化をブロックするように操作してもよい。
3.アプタマーは、特定のタンパク質(すなわち、ウイルスタンパク質または宿主タンパク質)との相互作用を可能にする特定の三次元構造に合うように変えられ、ホストDNAまたはRNAと簡単には相互作用しないONである。アプタマーは、さらに、シュピーゲルマー(spiegelmer)を含んでいてもよく、ONのヌクレアーゼ分解への抵抗性を与えるためにL−ヌクレオチドを使用する。
4.免疫刺激性ONは、哺乳動物における免疫応答を刺激するために特定の6マー核酸モチーフ(XXCGXX)を利用する。最適モチーフは、種ごとにさまざまであるが、XXCGXXモチーフに一致する特定の配列に厳格に依存する。
5.マイクロRNA(miRNA)は、ある疾患状態(すなわち、ウイルス複製またはコレステロールの制御)に関与する天然に存在するmiRNAに結合し、その機能をブロックする。
【0105】
アンチセンスON、例えば、ウイルスmRNAの分解を触媒することによってウイルス活性を標的とするもの(例えば、ALN−RSV01;Zamora et al.、2011、Am.J.Respir.Crit.Care Med.183:531−538)またはApoB100 mRNAの分解を触媒することによってLDLおよびVLDLの産生を標的とするもの(例えば、ミポメルセン[Kynamro(商標)];Raal et al.、2010、Lancet 375:998−1006)を種々の疾患状態に適用することができる。また、アンチセンスONを使用し、異常なタンパク質を産生し得る遺伝子転写物のミススプライシングを正しくする、例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーで発生するジストロフィン遺伝子転写物のミススプライシングを正しくすることもできる(例えば、PRO−051、Goemans et al.、2011、NEJM 364:1513−1522)。
【0106】
LDLおよびVLDL産生の制御およびC型肝炎の発生の両方に関与する細胞内で天然に存在するmiR−122とハイブリダイズし、この分解を触媒することによって、miRNAを種々の疾患状態に適用することができる(例えば、ミラビルセン:Janssen et al.、Mar 27 2013 NEJM、印刷物に先駆けたepub)。
【0107】
配列非依存性ONについて、唯一報告されている例はホスホロチオエート化NAPであり、両親媒性ポリマーとしての物理化学特性によって、大きさ(長さ)に依存する様式で両親媒性タンパク質構造と選択的に相互作用する(例えば、米国特許第8,008,269号を参照)。
【0108】
任意のONは、生理学的観点でその生物学的効果をどのように発揮するかにかかわらず、オリゴヌクレオチドが血液循環中に入ると、二価のカチオンが介在する相互作用を生成すると予想され、血液循環は、遊離の二価カチオンまたは三価カチオンをいくらか含むが、血清二価金属の大部分は、タンパク質に結合している(例えば、カルシウム結合性タンパク質、例えば、アルブミン、トロンビンおよびフィブリノゲンに結合したカルシウム)。従って、顕著な量の二価金属が介在するオリゴ相互作用は、in vivo設定での別のオリゴヌクレオチド(キレート錯体中)の代わりにタンパク質との相互作用であると思われる。多くのONは、その設計に従ってin vivoで投与されるとき、(一本鎖アンチセンス、siRNA、shRNAまたはmiRNAとして)予想可能な機能を有することが示されており、これらのカルシウムが介在するタンパク質相互作用は、ONの忍容性の観点で影響を有するが(国際出願公開第WO2012/021985号および米国特許出願公開2012/0046348号に記載されるように)、ONの臓器での蓄積、in vivoでのONの細胞内輸送およびこれらのONとその核酸標的との相互作用を妨害しないように可逆性であると思われる。これらの相互作用の可逆性は、これらの二価金属が介在するオリゴタンパク質の相互作用に依存すると合理的に予想することができた。オリゴヌクレオチドのキレート錯体の投与は、これらのタンパク質の相互作用を妨害すると思われ(米国特許出願公開第2012/0046348号に記載されるように)、当業者は、ONキレート錯体の投与が、ON、特に、腎臓、肝臓、肺、脾臓に蓄積することが知られており、ON−タンパク質相互作用に依存することが当該技術分野で受け入れられているホスホロチオエート化ON(PS−ON)の薬物動態の挙動(および臓器蓄積)を変えることが合理的に予測されるだろう。
【0109】
さらに、米国特許出願公開第2012/0046348号に記載されるようなONキレート錯体の調製は、任意のタンパク質非存在下、血液循環中に通常存在するよりも高い濃度の二価金属カチオン濃度が存在する状態で相互作用するONを含み、米国特許出願公開第2012/0046348号に記載されるように教示される当該技術分野から、これらのONキレート錯体が、通常ならば血中のタンパク質と相互作用する能力を失っている(また、すべてのONは、in vivoでの最終的な運命にかかわらず、血液循環中で遷移しなければならない)ことが、合理的に予想されるであろう。従って、ONキレート錯体の投与が、in vivoでのONのキレート化挙動を防ぐか、または軽減し、そのため、オリゴのキレート効果から生じる副作用を軽減し、ONキレート錯体製剤を調製するために用いられるON(ex vivoおよび非生理学的環境で作られた)が、キレート錯体として投与されるとき、(ナトリウム塩として被検体に投与したときにONの活性と比較して)その特定の臓器での蓄積と機能性を保持するということは、本出願の実施可能な開示の前には予想可能ではなく、または明らかではなかった。ONキレート錯体がin vivoで作成しなかった場合、解離することができない場合もあり、および/または細胞内輸送されるか、または正しいタンパク質および/またはin vivoでの他の生化学的相互作用に合うように変えられ、その機能を発揮してもよい(例えば、相補性DNAまたはRNA鎖に対するアニーリングまたはタンパク質中の両親媒性らせんとの相互作用、または特定のタンパク質との配列特異的なアプタマー相互作用の生成)。さらに、あらかじめ作成したONキレート錯体の投与によって、単純なON塩として投与する場合の同じONと比較して、宿主被検体内の必要な位置での蓄積を減らすことができた。従って、本開示の前には、任意の特定のONキレート錯体が、生理化学的環境に入れるとき、または被検体に投与するとき、キレート化していないON塩前駆体の生化学的機能を保持することは明らかではなかった。
【0110】
さらに、キレート化特性および溶液中で二価金属とキレート錯体を生成する能力は、任意のONに固有であり、キレート錯体として投与したとき、任意の特定のONが生物学的活性の保持を示すことは、キレート錯体として投与したとき、その特定の作用態様または標的疾患にかかわらず、任意のONの生物学的活性が保持されるという明らかな証拠を与え、教示を与える。
【0111】
いくつかの抗ウイルスONに基づく薬物は、現時点では、ウイルス感染の治療のために開発途中であり、HBVの治療について、NAP REP 9AC(REP 2055または配列番号2、REP 9AC’(REP 2139または配列番号18)およびREP 9AC−m(REP 2148または配列番号11)、HCVの治療について、ミラビルセン、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の治療について、ALN−RSV01が挙げられる。これらのONは、それぞれ、異なる作用機序を有し、核酸に基づくポリマーがHBVウイルスの侵入をブロックし、さらに、HBV表面抗原タンパク質(HBsAg)の血液中への放出を防ぎ(免疫機能を阻害するタンパク質)、ミラビルセン(miRNA)は、HCV複製において役割を果たすことが知られているマイクロRNA mir−122の作用をブロックし、ALN−RSV01(siRNA)は、RSVカプシドタンパク質の合成をブロックし、RSVビリオンの産生を防ぐ。これらのON薬物は、すべて、被検体で意図した効果の励起において非常に効果的であり、REP 9AC/REP 9AC’は、HBsAgを血中から除去するように十分に働き、ミラビルセンは、mir−122の機能を阻害するように十分に働き、ALN−RSV−01は、カプシドタンパク質の産生をブロックするように十分に働く。しかし、これらのONに由来する化合物を非経口で投与するあらゆる場合には、投与に関連する副作用、例えば、静脈点滴によって投与するときの発熱、悪寒、振戦、または皮下投与によって投与するときに注射部位での疼痛、炎症または硬結を伴う。
【0112】
いくつかのONは、高コレステロール血症および高トリグリセリド血症を治療するとき、ヒト患者に効能を示す。これらは、ミポメルセン(Kynamro
TM)、Apo B100の合成を標的とする第2世代のアンチセンスオリゴヌクレオチド、PCS−GalNAc、PCSK9およびNAPを標的とする糖がコンジュゲート化したsiRNAである(実施例Vを参照)。
【0113】
NAPは、動物において、in vitroおよびin vivoでのプリオン病の発生を予防することができることも示されている(Kocisko et al.、2006、Antimicrorbial Agents and Chemotherapy 50:1034−1044)。
【0114】
疾患状態で異常なRNAスプライシングを正しくするためのオリゴヌクレオチドの使用は、種々の疾患状態で受け入れられている治療的介入でもある(Du and Gatti、2009、Curr.Op.Mol.Ther.、11:116−123)。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの場合、オリゴヌクレオチドPRO−051は、成熟中にジストロフィンRNAに結合し、罹患した筋肉繊維で正常なジストロフィン産生を回復する成熟mRNAにおいてエクソン51のスキッピングを誘発するように設計される(Goemans et al.、2011、NEJM 364:1513−1522)。しかし、PRO−051の従来的な投与は、米国特許出願公開第2012/0046348号に記載されるように、少なくとも部分的にはONのキレート化によって媒介される特性に起因して生じる注射部位の反応を伴う。
【0115】
これらの投与に関連する副作用を最低限にするために、これらの生化学的機能を保持することができることを条件として、これらのONに基づく任意の薬物をONキレートとして調製することが望ましい。本開示は、ONをキレート錯体として調製することができ、その生化学的機能を保持したままにすることができることを示す。製剤中のONキレート錯体は、抗ウイルス活性を有する任意のONから誘導されてもよく、その例を表1に与える。
【表1】
LNA=ロックド核酸、PS=ホスホロチオエート、2’OMe=2’Oメチル、2’MOE=2’メトキシエチル、5’MeC=5’メチルシトシン
【0116】
さらに、上の組成物は、生理学的および/または医薬的に許容され得る担体、アジュバント、ビヒクルおよび/または賦形剤を含んでいてもよい。担体の特徴は、投与経路によって変わってもよい。「医薬的に許容され得る担体、アジュバント、ビヒクルおよび/または賦形剤」という用語は、被検体に投与してもよく、本明細書に記載する組成物に組み込まれてもよく、その薬理活性を破壊しない担体、アジュバント、ビヒクルまたは賦形剤を指す。本明細書に記載する医薬組成物で使用してもよい医薬的に許容され得る担体、アジュバント、ビヒクルおよび賦形剤としては、限定されないが、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化性薬物送達システム(「SEDDS」)、医薬投薬形態に使用される界面活性剤、例えば、Tween類または他の同様のポリマー系送達マトリックス、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、バッファー基剤、例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系基剤、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、羊毛脂、カプリン酸ナトリウムまたはテトラデシルマルトシド(TDM)、TDM誘導体または他のアルキル化糖類が挙げられる。シクロデキストリン、例えば、α−、β−およびγ−シクロデキストリン、または化学修飾された誘導体、例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよび3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含め、ヒドロキシアルキルシクロデキストリン、または他の可溶化された誘導体を使用し、本明細書に記載する組成物の送達性を高めてもよい。
【0117】
本明細書で記載する組成物は、以下に記載するような他の治療薬剤を含んでいてもよく、例えば、従来の固体または液体のビヒクルまたは希釈剤や、例えば、医薬製剤の分野でよく知られた技術に従って、望ましい投与態様に適した種類の医薬添加剤(例えば、賦形剤、バインダー、防腐剤、安定化剤、香味剤など)を使用することによって製剤化されてもよい。
【0118】
本明細書に記載する組成物を、任意の適切な手段によって、例えば、経口で、例えば、液体懸濁物、錠剤、カプセル、顆粒または粉末の形態で;舌下;口腔;非経口で、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内注射または点滴技術によって(例えば、滅菌の注射可能な水溶液または非水溶液または懸濁物として);経鼻で、例えば、吸入スプレーによって;局所的に、例えば、クリームまたは軟膏の形態で;または直腸から、例えば、坐剤または浣腸の形態で;非毒性の医薬的に許容され得るビヒクルまたは希釈剤を含む投薬単位の製剤で投与してもよい。本組成物を、例えば、即時放出または持続性放出に適切な形態で投与してもよい。即時放出または持続性放出を、適切な医薬組成物を用いることによって、特に、持続性放出の場合には、デバイス、例えば、皮下インプラントまたは等張性ポンプを用いることによって達成してもよい。従って、上の組成物を、眼内、経口摂取、腸内、吸入、皮下注射、筋肉注射、腹腔内注射、髄腔内注射または髄腔内注入、気管内、静脈注射または静脈点滴、または局所的のいずれか1つによって投与するのに合わせて変えてもよい。
【0119】
経口投与のための例示的な組成物としては、例えば、かさを付与するための微結晶性セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、粘度向上剤としてのメチルセルロース、および甘味剤または香味剤、例えば、当該技術分野で知られているものを含んでいてもよい懸濁物;および例えば、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウムおよび/またはラクトースおよび/または他の賦形剤、バインダー、増量剤、崩壊剤、希釈剤および滑沢剤、例えば、当該技術分野で知られているものを含んでいてもよい即時放出錠剤が挙げられる。また、本組成物を、舌下投与および/または口腔投与によって口腔を介して送達してもよい。成型した錠剤、圧縮した錠剤または凍結乾燥した錠剤は、使用可能な例示形態である。例示的な組成物としては、迅速に溶解する希釈剤、例えば、マンニトール、ラクトース、スクロースおよび/またはシクロデキストリンを用いて本組成物を製剤化するものが挙げられる。さらに、このような製剤に含まれるのは、高分子量賦形剤、例えば、セルロース(avicel)またはポリエチレングリコール(PEG)であってもよい。このような製剤は、粘膜付着を補助する賦形剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(SCMC)、無水マレイン酸コポリマー(例えば、Gantrez)および放出を制御する薬剤、例えば、ポリアクリルコポリマー(例えば、カルボポール934)を含んでいてもよい。また、製造および使用を容易にするために、滑沢剤、滑剤、香味剤、着色剤および安定化剤を加えてもよい。
【0120】
本明細書に記載する化合物の有効量は、当該技術分野の一般的な技術によって決定されてもよく、成人について、1日あたり、体重1kgあたり約0.1〜50mg/kgの活性化合物といった例示的な投薬量を含み、これを1回の投薬で投与してもよく、例えば、1日に1〜5回の個々に分けた投薬量の形態、または特定の投与週に複数回投与する投薬量で投与してもよい。任意の特定の被検体のための特定の投薬レベルおよび投薬頻度は、変わってもよく、使用する特定の化合物の活性、この化合物の代謝安定性および活性の長さ、被検体の種類、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与態様および投与時間、排泄速度およびクリアランス、薬物の組み合わせおよび特定の状態の重篤度といった種々の因子に依存して変わることが理解されるだろう。治療に好ましい被検体としては、動物、最も好ましくは、哺乳動物種、例えば、ヒトおよび家畜、例えば、イヌ、ネコなどが挙げられる。
【0121】
以下の実施例を参照することによって、本開示はさらに簡単に理解されるだろう。
【実施例】
【0122】
(実施例I)
(ONキレート錯体の形成)
図1Aは、同時にカラムに一緒に注入された2種類のON調製物のHPLC(疎水性カラムを用いる)による分離の詳細である。これらの1つ目は、内部標準と呼ばれ、特定の確定した配列を有する21マーのホスホロチオエートONであり、2つ目はREP 2006(40マーの縮重ホスホロチオエートON)である。これら両方の種は、その物理化学特性(すなわち、大きさおよび疎水性)にのみ由来して別個の確定したピークに分離され、これらそれぞれのONに存在するヌクレオチド配列は、その物理化学特性に意義のある影響はなく、従って、その分離に影響がない。そのように、内部標準は、REP 2006と比較して、これら2種類のONポリマーの大きさの違いのみに起因して、もっと短い保持時間で厳密に確定したピークとしてカラムから溶出する。REP 2006のピークの片方の端にある肩部は、比較的長いONの産生に典型的な配列の失敗に起因することを注記しておく。非常に多くの異なる配列が存在するが、REP 2006の不均一な配列の性質にかかわらず、REP 2006調製物中のすべての種類に共通の物理化学的特性を示す21マーの特定の配列としてHPLCによって同様に十分に確定されたピークとして分離される。REP 2006および21マーピークのHPLC分離の後、これらに対し、質量分析法(MS)を行い、これらの確定したピークの中に存在する種類を特定することができる(
図1Bおよび1C)。
【0123】
図1Bでは、この21マーは、MWが7402.6Daの単一の種類に分離され、確定した配列を有するPS−ONと一致する。しかし、REP 2006のMS分析(
図1C)から、質量範囲がほとんど完全な正規分布を有し、完全な縮重の性質と一致する非常に多量の種類が存在することがわかる。この質量範囲は、C
40(最小の種類)からA
40(最大の種類)にわたり、これらの種の出現率は非常に小さく、その質量が質量範囲の中心に近づくにつれて種類の数(ピーク強度)が増加する。これは、ますます多くの異なる配列から同様の質量が生じるためである。REP 2006に存在する異なるON種類のすべてが、HPLC分離中に疎水性カラムで同じ保持時間を有するという事実は、同じ大きさの同じ化学修飾(すなわち、ホスホロチオエート化)を有するすべてのONは、非常によく似た(同じではない場合)物理化学的特性を有し、それ自体が、特定のON分子に存在するヌクレオチドの配列に依存しない任意の用途または特性において機能的によく似ていると考え得ることを明確に示す。従って、任意の特定の縮重ONで観察された任意のONキレート錯体(例えば、REP 2003、REP 2004、表2を参照)は、存在するONの配列に依存するはずはなく、任意のONの保存された物理化学的特性に依存しなければならない。
【0124】
上述のような蛍光偏光(FP)によって、ONアンモニウム塩と種々の二価の金属カチオンとの相互作用を調べた。ONの合成中、各ONを、十分に確立された試薬および合成プロトコルを用い、硬い3炭素リンカーによって3’末端でフルオレセインイソチオシアネート(FITC)にコンジュゲート化した。この合成によってこれらのONを切断し、アンモニウム塩として残した。この実施例で使用するONを表2に記載する。
【表2】
N=縮重配列(A、G、CまたはTのランダム組み込み)
PS=それぞれの結合でのホスホロチオエート化
2’OMe=それぞれのリボースで、2’でのOメチル化
【0125】
使用した3’位でFITC標識したONは、REP 2032−FL(6マーホスホロチオエート化縮重オリゴデオキシヌクレオチド)、REP 2003−FL(10マーホスホロチオエート化縮重DNA ON)、REP 2004−FL(20マーホスホロチオエート化縮重オリゴデオキシヌクレオチド)、REP 2006−FL(40マーホスホロチオエート化縮重DNA ON)、REP 2031−FL(40マーポリシチジンホスホロチオエート化DNA ON;配列番号1)、REP 2107−FL(それぞれのリボースが2’位でのOメチル化によって修飾された40マーホスホロチオエート化縮重RNA ON)、REP 2086−FL(それぞれのリボースが2’位でのOメチル化によって修飾された40マー縮重ホスホジエステルRNA ON)、REP 2055−FL(配列[AC]
20を含むホスホロチオエート化DNA ON;配列番号2)、REP 2057(配列[AG]
20を含むホスホロチオエート化DNA ON;配列番号3)およびREP 2139−FL(それぞれのリボースが2’位でメチル修飾され、それぞれのシトシンが5’位でメチル化された配列[2’OMeA−2’OMe、5’MeC]
20を含むホスホロチオエート化RNA ON;配列番号18)であった。これらのONを、それぞれ1mMトリス(pH7.2)中の0.5mMストックとして調製した。これらのストックを使用し、FPバッファー(10mMトリス、80mM NaCl、1mM EDTA、10mM β−メルカプトエタノールおよび0.1%Tween(登録商標)−20)中の3nM蛍光ON溶液を調製した。FP測定の前に、溶液中に存在する二価の金属を除去するために、EDTAが存在した。これらのバッファー溶液は、それぞれ、モル過剰の一価カチオン存在下、ON錯体形成を評価するために、80mM NaClも含んでいた。溶液中のそれぞれの蛍光ONに、種々の量のACSグレードの二価の(2+)金属の塩化物塩を加えた(表3に記載されるように)。ONキレート錯体の形成の増加により質量のより大きな変化が生じるように、蛍光偏光の増加によって、ダイマーまたはより高次のONキレート錯体の形成を監視した(無次元の単位「mP」によって定量)(
図3を参照)。溶液中のこれらのONキレート錯体の回転がゆっくりになると、発光する蛍光の偏光が増加した(
図4を参照)。これらの実験結果を表3にあらわす。
【表3】
【0126】
それぞれの場合に、すべての二価のカチオン存在下、すべてのONについて蛍光偏光の顕著な増加がみられ、これは、二価の金属カチオンとのONキレート錯体形成を示す。これらの結果は、以下のことを示す。
・カルシウムおよびマグネシウム存在下、ONは、ダイマーまたはより高次の錯体を形成する。これらの錯体は、すべての他の二価の金属カチオンでも形成されると予想される。これらのON錯体の形成は、ONと、これらの二価の金属カチオンとの相互作用を含む。
・ON錯体の形成は、試験したONの縮重性に起因して、従来のWatson−Crick相互作用を介する窒素系塩基の間のハイブリダイゼーションに起因するものとは考えられない。さらに、REP 2031(配列番号1)、REP 2055(配列番号2)、REP 2057(配列番号3)またはREP 2139(配列番号18)は、使用した実験条件では自己ハイブリダイズすることができない。
・ON錯体の形成は、水溶液中で安定であり、可溶性であり、かつ、これらの錯体が、形成される錯体の一部として、問題にしている二価の金属を組み込むと思われるため、これらのON錯体は、問題となる二価金属を、ON錯体が形成される溶液からキレート化する作用を有する。
・これらの金属のキレート化およびONキレート錯体の形成は、縮重ONで観察されるキレート化によって実証されるように、特定のヌクレオチド配列に依存せず、さらに、ホスホジエステル結合または2’位でのリボース部分の修飾または塩基の修飾(例えば、5’メチルシトシン)を含むヌクレオチド修飾とともに起こる。
・この実施例では、6〜40ヌクレオチド長のONとこれらの金属がキレート化し、このことは、任意の長さのONまたは40ヌクレオチド長より長いONとのONキレートが形成され得ることを示す。
【0127】
(実施例II)
(二本鎖ONを用いたONキレート錯体の形成)
WO 2012/021985号に記載したように、水溶液中でWatson−Crick相互作用によって互いにハイブリダイズする2個の一本鎖の相補的なONを用いて二本鎖ONを作成する。二本鎖ONは、生成したDNAらせんの外側に露出したホスホジエステル骨格を有しているため、二価のカチオン存在下、キレート錯体を生成することが可能であるはずである。この仮説を試験するために、REP 2055−FL(40マーポリAC;配列番号2)を、REP 2033−FL(40マーポリTG;配列番号6)でハイブリダイズし、REP 2057−FL(40マーポリAG;配列番号3)をREP 2056−FL(40マーポリTC;配列番号5)でハイブリダイズすることによって、2つの異なる二本鎖DNA ONを調製した。ONのハイブリダイゼーションによって二重鎖を生じるため、得られる質量の増加を、錯体を調製するために使用する一本鎖ONに対する蛍光偏光の増加によって検出することができる。一本鎖ON(REP 2055−FL(配列番号2)、Rep 2033−FL(配列番号6)、Rep 2057−FL(配列番号3)およびREP 2056−FL(配列番号5))を、それぞれ1×FPバッファーで20nMまで希釈した。上に特定したようなこの2つの相補性対のハイブリダイゼーションも、1×FPバッファー(10nMの各ON)で行い、ハイブリダイゼーションを蛍光偏光の増加によって確認した。次いで、二本鎖構築物を100mM CaCl
2または100mM MgCl
2に曝露した。ONキレート錯体の生成を、さらなる蛍光偏光の増加によって監視した(表4を参照)。この実験の結果は、蛍光偏光の増加によって実証されるように、ONの両方の相補性対から二本鎖ONへの首尾よいハイブリダイゼーションを確認した。さらに、これらの二本鎖ONにCaCl
2またはMgCl
2を添加すると、蛍光偏光がさらに増加し、このことは、これらの二本鎖ONが、二価金属カチオン存在下、キレート錯体を生成することができることを示す。これらの結果は、二本鎖ONが、任意の二価のカチオンとONキレート錯体を形成可能であることを強く示唆し、溶液から二価カチオンを捕捉するという効果を有することも予想されるであろう。
【表4】
【0128】
(実施例III)
(in vitroでの多様なエンベロープウイルス中のONキレート錯体の抗ウイルス活性)
単純ヘルペス−2(HSV−2)MS株(ヘルペスウイルスファミリー)、インフルエンザA(INFA)Hong Kong株(オルトミクソウイルス科のファミリー)および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)Long株(パラミクソウイルス科のファミリー)といった異なるウイルスファミリー由来の3種類の異なるエンベロープウイルス中、ONキレート錯体の抗ウイルス活性を確認するために、実験を行った。宿主細胞での各ウイルスのウイルス細胞変性効果の阻害を測定することによって、それぞれのウイルスについて、既知の抗ウイルス活性を有するONの効能を、in vitroでカルシウムキレートと比較した。HSV−2およびRSVについて、Vero細胞を使用し、INFAについて、MDCK細胞を使用した。HSV−2抗ウイルスを評価する場合、プラーク低下アッセイを使用し、INFAおよびRSVの場合、細胞変性効果(CPE)アッセイを使用した。
【0129】
プラーク低下アッセイの場合、Vero成長培地を用い、Vero細胞を24ウェルプレートに75,000細胞/ウェルで接種した。プラークを37℃、5% CO
2で一晩インキュベートした。次の日に、培地を吸引し、約100プラーク形成単位(pfu)のHSVを、容積が200μLのアッセイ培地(2%FBSを含有するVero成長培地)に加えた。37℃、5% CO
2で1時間かけてウイルスを細胞に吸着させた。これを、0.5%メチルセルロースを含有するアッセイ培地で希釈することによって、化合物を調製した。このインキュベーション時間の後、それぞれの薬物希釈液1mLを加え、プレートのウェルを3つ作成した(ウイルス接種源を吸引することなく)。このプレートを2日間インキュベートし、プラークを生成させた。次いで、このウェルから培地を吸引し、細胞を固定し、Crystal Violetを含有する20%メタノールを用いて染色した。顕微鏡観察によってプラークを数え上げ、ウイルス対照に対するパーセントとしてデータをプロットした。
【0130】
CPEアッセイの場合、試験化合物存在下、ウイルスおよび細胞を混合し、必要なアッセイ時間(HSV−2の場合5日間、INFAおよびRSVの場合7日間)、インキュベートした。それぞれのウイルスを、対照ウェルが、ウイルス複製に起因して細胞生存性が85〜95%の消失を示すように、あらかじめ滴定した。従って、この化合物がウイルス複製を妨害するとき、抗ウイルス効果または細胞保護作用を観察した。サンプルについて、IC
50値を決定するために、段階希釈によって調製した12種類の濃度を用い、3ッ組の測定を用い、抗ウイルス効力を評価し、検出可能な場合、2ッ組の測定値を用い、細胞毒性を決定した。この試験の目的のために、それぞれのアッセイのFBS濃度は、0.5%であった。アッセイ終了時に、アッセイプレートを、可溶性テトラゾリウム系染料MTS(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム)で染色し、細胞生存性を決定した。MTSを、代謝によって活性な細胞のミトコンドリア酵素によって代謝し、可溶性ホルマザン産物を得て、細胞生存性および化合物の細胞毒性を迅速に定量分析することができる。この試薬は、使用前に調製の必要がない安定な1種類の溶液である。アッセイ終了時に、ウェルあたり、10〜25uLのMTS試薬を加え(体積基準で最終濃度10%)、次いで、マイクロタイタープレートを37℃、5% CO
2で4〜6時間インキュベートし、細胞生存性を評価した。蓋の代わりに接着プレートシーラーを使用し、シールしたプレートを数回引っ繰り返し、可溶性ホルマザン産物を混合し、Molecular Devices VmaxまたはSpectraMax Plusプレートリーダーを用い、490/650nmで分光光度的にプレートを読み取った。抗ウイルス活性を評価する化合物は、REP 2055カルシウムキレートおよびREP 2139カルシウムキレートを含んでいた(表5を参照)。REP 2055(配列[AC]
20を有する40マーホスホロチオエートDNA ON;配列番号2)およびREP 2139(配列[2’OMeA−2’OMe,5’MeC]
20を含む40マーホスホロチオエートRNA ON;配列番号18)は、エンベロープウイルスに対し、広いスペクトルの抗ウイルス活性を有するNAPである(Bernstein et al.、2008 Antimicrobial Agents Chemother.、52:2727−2733;Cardin et al.、2009、Virology J.6:214;Vaillant et al.、2006、Antimicrobial Agents Chemother.、50:1393−1401;Guzman et al.、2007、Antiviral Therapy、12:1147−1156;Lee et al.、Virology、372:107−117;Matsumura et al.、2009、Gastroenterology、137:673−681および米国特許第8,008,269号、同第8,008,270号および同第8,067,385号)。抗ウイルス活性のために必要な唯一のNAP修飾は、ON中の各結合のホスホロチオエート化である。2’位でのリボース修飾(例えば、2’ Oメチル化)および塩基修飾(例えば、5’メチルシトシンおよび/または4’チオウラシル)を含むさらなる修飾は、NAPの抗ウイルス活性への影響は無視できるが、これを使用し、ヒト患者での忍容性を最適化することができる。国際公開第WO 2012/021985号および米国出願公開第2012/0046348号に従って、ON100mgごとに30mg CaCl
2の比率で、REP 2055およびREP 2139をカルシウムキレートとして調製した。
【表5】
【0131】
試験した3種類すべてのウイルスにおいて、REP 2055カルシウムキレートおよびREP 2139カルシウムキレートの抗ウイルス活性を確認した。このことは、HSV−2、RSVおよびINFAに対して広いスペクトルの抗ウイルス活性を有するNAP ONをキレート化錯体として調製することができ、これらのウイルスに抗ウイルス活性を示すことを示す。さらに、これらのONの抗ウイルス活性が、ONキレートとして投与すると長く続くため、他の種類のON(アンチセンス、siRNA、miRNAなど)をONキレートとして投与しても、これらのONの生物学的活性に顕著な影響を与えないと思われる。これは、特定のタンパク質の相互作用(NAPまたはアプタマーまたはCpG ONの場合)または核酸相互作用(アンチセンス、siRNAまたはmiRNAの場合)が、ONキレート錯体中で生じるON/多価金属カチオン相互作用よりもかなり大きな親和性を有するという事実に起因するだろう。キレート化されていないON塩に対して、ONキレートの優れた毒性と組み合わせ、これらの実験は、キレート化された抗ウイルスONが、キレート化されていない対応物よりも望ましい抗ウイルス薬物であり得ることを示唆する。さらに、核酸系ポリマーから調製したONキレートは、米国特許第8,008,269号、同第8,008,270号および同第8,067,385号に開示されるように、一般的に、エンベロープウイルスに対し、広いスペクトルの抗ウイルス活性を有すると予想されるであろう。
【0132】
(実施例IV)
ONキレートは、ヒト患者における慢性HBV感染に対し、有効な抗ウイルス剤である。
すでに慢性HBVに感染している患者に、上述のように当該技術分野の技術水準に従って、単純なナトリウム塩溶液として調製した匹敵するモル投薬量のREP 2055、カルシウムキレート錯体として調製した(国際出願公開第WO 2012/021985号および米国出願公開第2012/0046348号に従って、REP 2139 100mgごとに30mgのCaCl
2を用いて調製した)REP 2139を週に1回投与した。ナトリウム塩NAP(REP 2055)と、カルシウムキレートNAP(REP 2139−Ca)の投与の抗ウイルス効果は、匹敵する投薬計画を用いて匹敵するモル投薬量で与えられるとき、血中のHBV表面抗原タンパク質(HBsAg)のレベルの低下によって評価された(Abbott Architect
TMプラットフォームによって測定した場合)。REP 2055およびREP 2139−Caの抗ウイルス効果を表6に示す。
【表6】
*HBsAgのためのAbbott Architect
TM定量試験によって決定した場合
【0133】
REP 2055およびREP 2139−Caは、両方とも、匹敵するモル投薬量で、HBVに感染した細胞からのSVPの放出のブロックに等しく有効であり、このことは、一般的に、HBV感染に対し、すべてのNAPの治療に関連する作用機序である。この活性は、具体的には、その機能を達成するために、肝細胞でNAPを細胞内輸送することが必要である。REP 2055およびREP 2139−Caは、匹敵する単剤療法で与えられる場合、HBVに感染した患者において、匹敵するHBsAgの低下またはクリアランスを達成し、このことは、これら2種類の異なるNAPの匹敵する抗ウイルス活性を示し、カルシウムキレート錯体としてのREP 2139の製剤が、その臓器蓄積、細胞内輸送または生化学的活性に対し、認識し得る影響をもたないことを示す。
【0134】
これらの結果は、ONキレート錯体が、おそらくタンパク質相互作用をある程度ブロックすることによってONの忍容性を高める能力を有するが、特にNAP、および多くのON全般の生化学的活性に必須のONの臓器蓄積(上の実施例では、肝臓において)または細胞内輸送(上の実施例では、肝細胞)に影響を与えないような様式で分解することもできることを示す。ONキレート錯体が、変化しない臓器蓄積、細胞内輸送および生化学的活性を保持しつつ、ON忍容性のいくつかの側面で関与するタンパク質相互作用を防ぐ能力(米国出願公開第2012/0046348号に開示されるように)は、米国出願公開第2012/0046348号の教示から当業者が予測することはできなかった。
【0135】
これらの結果は、慢性HBV感染を治療するためのONキレートの有効性を明らかに示す。in vivoまたはヒト被検体でHBVに活性であるか、または他のウイルス感染に対して有効な他のONは、カルシウムキレートとして調製することができ、本明細書に提示する本開示の利点を用い、化合物の投与中または全体としての治療計画全体の間に改善された忍容性を有しつつ、治療効力を保持することを信頼性高く予測することができる。本明細書に開示されるとき、ONキレート錯体が、治療活性には特定の臓器蓄積、細胞内での区画分けおよび生化学的相互作用の保持が必要なONのヒト患者での効果を変えないという発見は、作用機序にかかわらず、アンチセンス、siRNA、miRNA shRNAまたはNAPのいずれであるかによらず、キレート錯体として製剤化可能な任意のONを使用し、その設計された治療効果を達成し、米国出願公開第2012/0046348号に教示されるような投与に関連する副作用を減らすというさらなる利点を有することができることも明らかに教示する。
【0136】
さらに、NAPが、HBV表面の抗原の放出をブロックすることによって、HBVに対して作用することが示されているため、NAPは、D型肝炎ウイルス、その産生のためのHBV表面の抗原に依存する近縁でないウイルスに対しても活性であろう。そのために、NAPキレート錯体は、デルタ型肝炎ウイルス感染に対して活性であることも予想されるだろう。
【0137】
重要なことに、上の実施例で患者に投与したONキレート錯体は、投与に関連する副作用について明確な改善を示した。REP 2139カルシウムキレートのIV点滴は、2時間で終了させることができ、非常にまれな場合にのみ中程度の振戦または悪寒を伴った。対照的に、REP 2139−Caに匹敵するモル投薬量で、単純なナトリウム塩としてヒト患者に投与されたREP 2055は、IV点滴を終了させるのに10時間より長い時間が必要であり、ほとんど常に中程度の発熱、悪寒および振戦を伴っていた。さらに、血清HBsAgを低下させつつ、注射部位の反応を起こさず、REP 2139カルシウムキレートをヒト患者に1日に1回、皮下注射によって5週間投与することが可能であった。注射部位の反応を発生させずにこの投与経路を用いることは、単純なONナトリウム塩を皮下投与した場合には不可能であろう。
【0138】
これらの観察は、抗ウイルスONキレート錯体が、投与に関連する副作用を大きく改善しつつ、抗ウイルス活性を失わず、被検体に抗ウイルスONを投与する有用な方法であることを示す。
【0139】
これらの観察は、さらに、ONを用いて意図した生物学的効果を妨害することなく、さらに、ONの特定の生体分布または細胞内輸送を妨害することなく、任意のNAPまたはアンチセンスON(伝統的なアンチセンス、siRNA、miRNAまたはshRNA ONを含む)をONキレート錯体として製剤化できることを示す。
【0140】
(実施例V)
(NAPSはin vivoで血清トリグリセリドおよびコレステロールを低下させる)
NAPがハムスターにおいて、高フルクトース(HF)餌を供給したときに高コレステロール血症および高トリグリセリド血症の発生を予防することができるか否かを知るために、40マーの完全にホスホロチオエート化したオリゴデオキシシチジン酸REP 2031(配列番号1)を、HF餌を与えた動物に腹腔内注射によって週に3回、4週間投与した。高コレステロール血症および肥満に関連するいくつかのパラメータを監視した(表9を参照)。
【表7】
【0141】
これらの結果は、REP 2031投与によって、HF餌に関連するトリグリセリドおよびコレステロールの増加を阻害したことを示す。従って、ONは、高コレステロール血症の予防に治療活性を有し得る。
【0142】
すでに存在する高コレステロール血症および/または高トリグリセリド血症を有するヒト患者に対し、カルシウムキレート錯体として調製したREP 2055を週に1回投与した。血清総コレステロール、LDLおよびトリグリセリドに対するREP 2055投与の効果を、許容された実験的手順および試験方法論を用いて監視した。血清コレステロールの動力学に対するREP 2055治療の効果を表10に示す。
【表8】
LDL=低密度リポタンパク質、プレ=治療前のベースライン、治療=REP 2055治療で達成した最低レベル
【0143】
コレステロールおよびトリグリセリドが高い患者(患者1〜3)では、REP 2055治療により、総コレステロールおよびLDLコレステロールだけではなく、血清トリグリセリドも低下した。通常のコレステロール値であるが、トリグリセリドがわずかに高い状態から中程度に高い状態の患者(患者4および5)では、REP 2055治療は、総コレステロールおよびLDLコレステロールレベルには有意な影響を与えないが、血清トリグリセリドは低下された。これらのデータは、NAP REP 2055が、総コレステロールおよびLDLコレステロールだけではなく、血清トリグリセリドを低下または正常化させる能力を有することを示す。
【0144】
上の実施例では、2種類の異なるNAP(REP 2031[配列番号1]およびREP 2055[配列番号2])は、それぞれ異なる配列を有するが、物理化学的特性が同一であり、血清コレステロールおよびトリグリセリドの低下について、in vivoで同様の効果を達成することができた。これらの結果は、NAPの配列に依存しない活性が、血清コレステロールおよびトリグリセリドを減らすことを明らかに示し、本明細書に記載する任意のNAPが、本明細書に示すREP 2031およびREP 2055と同様の効果を有することが予想されることを示す。
【0145】
NAPの抗ウイルス活性、抗トリグリセリド活性、抗コレステロール活性および抗プリオン活性が、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドの同じ配列に依存しない特性から誘導され、ウイルス感染に対し、キレート錯体として製剤化した場合、NAPの抗ウイルス活性の保持に関する本開示は、NAPが、ONキレート錯体として投与した場合に、その抗トリグリセリド、抗コレステロールおよび抗プリオン活性も保持するという決定的な証拠を与える。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ウイルス感染を治療するための、抗ウイルスオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤。
〔2〕高コレステロール血症を治療するための、抗コレステロールオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤。
〔3〕高トリグリセリド血症を治療するための、抗トリグリセリドオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤。
〔4〕アルツハイマー病を治療するための、抗アルツハイマーオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤。
〔5〕プリオン病を治療するための、抗プリオンオリゴヌクレオチドキレート錯体を含む医薬製剤。
〔6〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、二価の金属カチオンを用いて調製される、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔7〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、カルシウムを用いて調製される、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔8〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、マグネシウムを用いて調製される、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔9〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、鉄(2+)、マンガン、銅または亜鉛を用いて調製される、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔10〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、2種類以上の異なる二価の金属カチオンを含む、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔11〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、カルシウムおよびマグネシウムを含む、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔12〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、少なくとも1つの二本鎖オリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔13〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔14〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つの完全にホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔15〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、1つの2’位が修飾されたリボースを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔16〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、それぞれのリボースの2’位がO−メチル化されている少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔17〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つの5’メチルシトシンを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔18〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、各シトシンが5’メチルシトシンである少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔19〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、完全にホスホロチオエート化され、すべてのリボースが2’位でOメチル修飾され、すべてのシトシンが5’メチルシトシンとして存在する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕〜〔18〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔20〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1〜6または10〜18から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔21〕高コレステロール血症を治療するための、配列番号20を含むキレート錯体を含む医薬製剤。
〔22〕デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための、配列番号19を含むキレート錯体を含む医薬製剤。
〔23〕C型肝炎感染を治療するための、配列番号7を含むキレート錯体を含む医薬製剤。
〔24〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、皮下投与のために製剤化される、前記〔1〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔25〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、静脈点滴のために製剤化される、前記〔1〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔26〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、眼内、経口摂取、腸内、吸入、筋肉注射、腹腔内注射、髄腔内注射、髄腔内注入、気管内、静脈注射および局所投与からなる群から選択される投与のために製剤化される、前記〔1〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔27〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、エアロゾルによって投与するために製剤化される、前記〔1〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の医薬製剤。
〔28〕感染を引き起こすウイルスが、B型肝炎ウイルスである、前記〔1〕に記載の医薬製剤。
〔29〕感染を引き起こすウイルスが、ヘパドナウイルスである、前記〔1〕に記載の医薬製剤。
〔30〕感染を引き起こすウイルスが、デルタ型肝炎ウイルスである、前記〔1〕に記載の医薬製剤。
〔31〕感染を引き起こすウイルスが、インフルエンザである、前記〔1〕に記載の医薬製剤。
〔32〕感染を引き起こすウイルスが、レトロウイルス科のメンバー、HIV−1、HIV−2、ヘルペスウイルス科のメンバー、HSV−1、HSV−2、サイトメガロウイルス、ポックスウイルス科のメンバー、パラミクソウイルス科のメンバー、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、ブニヤウイルス科のメンバー、ハンタウイルス、フィロウイルス科のメンバー、エボラウイルス、マールブルグウイルス、フラビウイルス科のメンバー、黄熱病ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、C型肝炎ウイルス、オルトミクソウイルス科のメンバー、トガウイルス科のメンバー、コロナウイルス科のメンバー、ラブドウイルス科のメンバーおよびアレナウイルス科のメンバーからなる群から選択される、前記〔1〕に記載の医薬製剤。
〔33〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、配列番号2を含む、前記〔1〕に記載の医薬製剤。
〔34〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、配列番号18を含む、前記〔1〕に記載の医薬製剤。
〔35〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、配列番号11を含む、前記〔1〕に記載の医薬製剤。
〔36〕ウイルス感染を治療するための、抗ウイルスオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用。
〔37〕高コレステロール血症を治療するための、抗コレステロールオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用。
〔38〕高トリグリセリド血症を治療するための、抗トリグリセリドオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用。
〔39〕アルツハイマーを治療するための、抗アルツハイマーオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用。
〔40〕プリオン病を治療するための、抗プリオンオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用。
〔41〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、二価の金属カチオンを用いて調製される、前記〔36〕〜〔40〕のいずれか1項に記載の使用。
〔42〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、カルシウムを用いて調製される、前記〔36〕〜〔41〕のいずれか1項に記載の使用。
〔43〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、マグネシウムを用いて調製される、前記〔36〕〜〔42〕のいずれか1項に記載の使用。
〔44〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、鉄(2+)、マンガン、銅または亜鉛を用いて調製される、前記〔36〕〜〔43〕のいずれか1項に記載の使用。
〔45〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、2種類以上の異なる二価の金属カチオンを含む、前記〔36〕〜〔44〕のいずれか1項に記載の使用。
〔46〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、カルシウムおよびマグネシウムを含む、前記〔36〕〜〔45〕のいずれか1項に記載の使用。
〔47〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、少なくとも1つの二本鎖オリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕〜〔46〕のいずれか1項に記載の使用。
〔48〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕〜〔47〕のいずれか1項に記載の使用。
〔49〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つの完全にホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕〜〔48〕のいずれか1項に記載の使用。
〔50〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、1つの2’位が修飾されたリボースを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕〜〔49〕のいずれか1項に記載の使用。
〔51〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、それぞれのリボースの2’位がO−メチル化されている少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕〜〔50〕のいずれか1項に記載の使用。
〔52〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、少なくとも1つの5’メチルシトシンを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕〜〔51〕のいずれか1項に記載の使用。
〔53〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、すべてのシトシンが5’メチルシトシンである少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕〜〔52〕のいずれか1項に記載の使用。
〔54〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、完全にホスホロチオエート化され、すべてのリボースが2’位でOメチル修飾され、すべてのシトシンが5’メチルシトシンとして存在する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕〜〔53〕のいずれか1項に記載の使用。
〔55〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体は、配列番号1〜6または10〜18から選択されるオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕〜〔40〕のいずれか1項に記載の使用。
〔56〕高コレステロール血症を治療するための、配列番号20を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用。
〔57〕デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための、配列番号19を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用。
〔58〕C型肝炎感染を治療するための、配列番号7を含むオリゴヌクレオチドキレート錯体の使用。
〔59〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、皮下投与のために製剤化される、前記〔36〕〜〔58〕のいずれか1項に記載の使用。
〔60〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、静脈点滴のために製剤化される、前記〔36〕〜〔58〕のいずれか1項に記載の使用。
〔61〕前記ONキレート錯体が、眼内、経口摂取、腸内、吸入、筋肉注射、腹腔内注射、髄腔内注射、髄腔内注入、気管内、静脈注射および局所投与からなる群から選択される投与のために製剤化される、前記〔36〕〜〔58〕のいずれか1項に記載の使用。
〔62〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、エアロゾルによって投与するために製剤化される、前記〔36〕〜〔58〕のいずれか1項に記載の使用。
〔63〕感染を引き起こすウイルスが、B型肝炎ウイルスである、前記〔36〕に記載の使用。
〔64〕感染を引き起こすウイルスが、ヘパドナウイルスである、前記〔36〕に記載の使用。
〔65〕感染を引き起こすウイルスが、デルタ型肝炎ウイルスである、前記〔36〕に記載の使用。
〔66〕感染を引き起こすウイルスが、インフルエンザである、前記〔36〕に記載の使用。
〔67〕感染を引き起こすウイルスが、レトロウイルス科のメンバー、HIV−1、HIV−2、ヘルペスウイルス科のメンバー、HSV−1、HSV−2、サイトメガロウイルス、ポックスウイルス科のメンバー、パラミクソウイルス科のメンバー、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、ブニヤウイルス科のメンバー、ハンタウイルス、フィロウイルス科のメンバー、エボラウイルス、マールブルグウイルス、フラビウイルス科のメンバー、黄熱病ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、C型肝炎ウイルス、オルトミクソウイルス科のメンバー、トガウイルス科のメンバー、コロナウイルス科のメンバー、ラブドウイルス科のメンバーおよびアレナウイルス科のメンバーからなる群から選択される、前記〔36〕に記載の使用。
〔68〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、配列番号2からなるオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕に記載の使用。
〔69〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、配列番号18からなるオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕に記載の使用。
〔70〕前記オリゴヌクレオチドキレート錯体が、配列番号11からなるオリゴヌクレオチドを含む、前記〔36〕に記載の使用。