【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の各実施形態は付随する請求の範囲を参照することにより理解され得る。
本発明の1様相によれば、制御システム、車及び方法が提供される。
本発明の実施形態に従う制御システムは、従来のエンジンオンリー車、電気自動車、及び又は、ハイブリッド電気自動車を含む異なる範囲の車に好適なものである。
【0006】
本発明の1様相によれば、自動車用の制御システムであって、システムが、ユーザー操作可能なモード選択入力手段により必要なシステム作動モードをユーザーが選択し得る作動モード手動選択条件と、適正なシステム作動モードをシステムが自動選択する作動モード自動選択条件とにおいて作動自在であり、作動モード手動選択条件での作動時に作動モード自動選択条件に切り換えると、システムは自動選択した作動モードとは無関係に所定の作動モード自動選択条件での車両最低地上高を選択する制御システムが提供される。
【0007】
本発明の実施形態は、作動モード自動選択条件での作動中に作動モードが変更された場合に車の最低地上高が変化しない利益を有する。これにより、作動モード自動選択条件での作動中の最低地上高の変化回数が低減され得る。
【0008】
随意的には、作動モードは車の少なくとも1つのサブシステムの制御モードであり、システムは、夫々が車用の1つ又は1つ以上の異なる走行条件に相当する作動モードである複数のサブシステム制御モード時の選択された1つで、車の1つのあるいは各制御を開始させるサブシステム制御装置を含む。
システムは、各サブシステム制御モードの適用程度を判定する1つ又は1つ以上の走行条件表示を評価する評価手段を含み得る。
【0009】
随意的には、作動モード自動選択条件時はシステムは、1つあるいは各サブシステムの制御を最適のサブシステム制御モードで開始させるようサブシステム制御装置を自動制御する構成を有する。
かくして、各システム作動モードは複数の異なる走行条件の1つに相当し得る。
【0010】
随意的には作動モードは、エンジンマネジメントシステム、変速機システム、ステアリングシステム、ブレーキシステム、サスペンションシステムから選択した少なくとも1つの、車のサブシステムの制御モードである。
【0011】
随意的には作動モードは、エンジンマネジメントシステム、変速機システム、ステアリングシステム、ブレーキシステム、サスペンションシステムから選択した少なくとも2つの、車のサブシステムの制御モードである。
作動モードはこれらの各システムの制御モードであり得る。
随意的には、システムの各システム作動モードは、車の複数のサブシステムの各1つを走行条件に適正なサブシステム構成モードで作動させるように構成され得る。
【0012】
例えば、所定の車両負荷に対し複数の異なる最低地上高で作動自在のサスペンションシステム形態の車サブシステムの場合、サブシステム構成モードは異なる各最低地上高に相当するモードを含み得る。エンジンあるいはパワートレイン制御装置の構成の車サブシステム制御装置の場合、前記制御装置は複数の異なるパワートレイン制御装置構成モードの各々において、アクセルペダル位置の関数としての異なる各エンジントルク値を提供するよう作動自在であり得る。従って、サブシステム制御モードは一組のサブシステム構成モード、例えば各サブシステム用の1つの構成モードに相当し得る。例えばある作動モードでは、サスペンションシステムに“高い”最低地上高サブシステム構成モードが設定され、パワートレイン制御装置には“低い”アクセルペダルマップサブシステム構成モードが設定され得る。幾つかのサブシステムは異なる2つのパラメータを設定可能であり得る。かくしてサスペンションシステムは、サスペンションのロールスチフネスを低、中、あるいは高、等の複数の構成モードの一つに設定可能であり得る。
【0013】
以下に、種々の恐らく既知であるサブシステム構成モードを説明する。既知タイプのサブシステム構成モード及び構成モードが実施され得る様式についてはUS2003/0200016号を参照されたい。その他構成も有益である。その他サブシテムも追加的にあるいはそれに代えて制御され得る。
随意的には、作動モードはサスペンションシステムの制御モードを含み、複数のサブシステム構成モードは複数の最低地上高を含む。
【0014】
作動モード自動選択構成条件で作動する場合、システムは、そうでない場合にサスペンションシステムが提供し得る作動モード自動選択条件での車両最低地上高に相当する所定の構成モードをサスペンションシステムの複数の最低地上高の中から選択するよう構成される。この所定の構成モードは、作動モード自動選択条件での作動時にシステムが許容し得る任意の作動モード時に障害物に対する適正なクリアランスを提供すると考えられる最低地上高である車の所定の作動モード自動選択条件での車両最低地上高を提供し得る。
【0015】
随意的には、サスペンションシステムのサブシステム構成モードは、第1最低地上高と、第1最低地上高より高い第2最低地上高とを含み、システムは、作動モード自動選択条件ではサスペンションシステムを第2最低地上高に相当するサブシステム構成モードに自動設定するように構成される。
従って、第2最低地上高は作動モード自動選択条件での車両最低地上高に相当する。
【0016】
サスペンションシステムは流体サスペンションシステムであり得る。サスペンションシステムで用いる流体は空気等のガスであり得る。流体はある別態様の実施形態では液体であり得る。
随意的には、サスペンションシステムのサブシステム構成モードは、N及びN’をN≧1及びN’≧1の整数とするN+N’の各異なる最低地上高を有するモードを含み、システムは、作動モード自動選択条件ではN個の最も高い最低地上高の1つを有するサスペンションサブシステム構成モードを選択するように構成される。
【0017】
従って、所定の作動モード自動選択条件での車両最低地上高はN値の1つを取り得る。N値から選択する1つは1つ又は1つ以上のパラメータに基づき決定され得る。1つ又は1つ以上のパラメータには、作動モード自動選択条件で作動する間にシステムが選択する作動モードの識別が含まれる。
【0018】
かくしてシステムは、例えば、入手可能な3つ又はそれ以上の中からの2つの内の何れか、あるいは4つ又はそれ以上の入手可能な最低地上高からの3つの最低地上高の任意の1つの最低地上高を選択可能である。システムが選択できる最低地上高は、システムが作動モード自動選択条件での作動時に選択可能な任意の作動モード時に障害物に対する適正なクリアランスを提供すると考えられる最低地上高であり得る。
【0019】
ある実施形態ではシステムは、”低い”最低地上高、“低い”最低地上高より高い“標準”最低地上高、“標準”最低地上高より高い“高い”最低地上高、“高い”最低地上高より高い“最大”最低地上高から1つを選択できる。システムは、作動モード自動選択条件での作動時は所定の1つ又は1つ以上の作動モードが自動選択されていない限り、“高い”最低地上高を選択するよう構成され得る。所定の1つ又は1つ以上の作動モードが自動選択されている場合はサスペンションシステムは最も高い最低地上高に設定されるサスペンションサブシステム構成モードとされる。例えばある実施形態では、車が渡渉中であると判定された場合に最も高い最低地上高構成モードとされ得る。ある実施形態ではシステムが岩場作動モードを自動選択した場合に最も高い最低地上高とされ得る。その他構成も有益である。ある実施形態では渡渉時等の、比較的一般的ではない状況においてのみ、最も高い最低地上高とされ得る。作動モード自動選択条件での作動時の最低地上高選択がより制限されることで、作動モード自動選択条件での走行行程中の最低地上高の変化数が減少する利益があり得る。
【0020】
随意的には作動モードは、車の各側の車輪用のサスペンション間で流体が相互連結され、前記複数のサブシステム構成モードが、異なるレベルでの前記相互連結を提供する流体サスペンションシステムの制御モードを含む。
随意的には、作動モードは、ステアリングアシストが提供され得、前記複数のサブシステム構成モードが、異なるレベルでの前記ステアリングアシストを提供するステアリングシステムの制御モードを含む。
【0021】
随意的には作動モードは、ブレーキアシストが提供され得、複数のサブシステム構成モードが異なるレベルのブレーキアシストを提供し得るブレーキシステムの制御モードを含む。
随意的には作動モードは、車輪スリップを制御するアンチロック機能が提供され得、前記複数のサブシステム構成モードが、異なるレベルでの前記車輪スリップを許容し得るブレーキシステムの制御モードを含む。
【0022】
随意的には作動モードは、車輪スピンを制御するよう構成され、前記複数のサブシステム構成モードが、異なるレベルでの前記車輪スピンを許容するトラクション制御システムの制御モードを含む。
随意的には作動モードは、車のヨーを制御するよう構成され、前記複数のサブシステム構成モードが、想定される前記車のヨーからの異なるレベルでの逸脱を許容するヨー制御システムの制御モードを含む。
随意的には作動モードは、前記複数のサブシステム構成モードが変速機の高及び低の各レンジ変更モードを含み得るレンジ変更変速機制御モードを含む。
【0023】
レンジ変更変速機は例えば、駆動ラインのプロペラシャフトを車のエンジン又は、自動変速機等の変速機からのトルク伝達路に連結する動力伝達ユニットあるいは出力取り出しユニットから構成され得る。
随意的には作動モードは、パワートレイン制御手段及びアクセルあるいはスロットルペダルを含むパワートレインシステムの制御モードにして、サブシステム構成モードが、アクセルあるいはスロットルペダルの移動に対するパワートレイン制御手段の異なる応答レベルを提供するパワートレインシステムの制御モードを含む。
【0024】
随意的には作動モードは、複数の変速比で作動可能であり、且つ、車の少なくとも1つのパラメータを監視し、それに応答して変速比を選択するよう構成した電子変速機制御装置等の変速機制御手段を含む変速機システムの制御モードにして、サブシステム構成モードが、前記少なくとも1つのパラメータに応答して異なる変速比を選択する複数の変速機構成モードを含む変速機システムの制御モードを含む。
【0025】
サブシステムの1つは、複数のレベルでのディファレンシャルロックを提供するように構成されたディファレンシャルシステムを含み得、サブシステム構成モードは、異なるレベルでの前記ディファレンシャルロックを提供するよう構成され得る。
【0026】
ディファレンシャルシステムは、複数の入力に基づいてディファレンシャルロックのレベルを制御し、各モード時に前記入力に対する応答が異なるように構成され得る。
【0027】
ディファレンシャルシステムは、センターディファレンシャル、フロントディファレンシャル、及び又は、リアディファレンシャルを含み得る。ディファレンシャルはある実施形態ではクラッチベースシステムであり得、車輪の回転速度差は、相対回転可能とするようディファレンシャルケージで支持したピニオン車輪を介して車輪をサイド車輪に連結する従来のディファレンシャルギヤ構成によってではなくむしろ、クラッチのスリップにより収受される。
サブシステムの1つは、車体のロールを低減させる車体ロール補正を提供するよう構成した車体ロール制御システムを含み得、サブシステム構成モードは、少なくとも幾つかの走行条件下に異なるレベルでの車の車体ロール補正を提供する。
【0028】
サブシステムの1つは、降坂時の車速を制御するよう構成した速度制御システムを含み得る。速度制御システムは、異なる構成モードでは車を異なる速度に制御するよう構成され得る。
随意的には作動モードは、荒れた地形上を走行するために好適な様式でサブシステムが制御されるオフロードモードと、オンロード走行用に好適な様式でサブシステムが制御されるオンロードモードとを含み得る。
随意的にはサスペンションシステムは、オフロードモードではオンロードモード時のそれより高い最低地上高を提供するよう構成される。
更に随意的には、オフロードモードではオンロードモード時のそれより高いレベルの前記相互連結が提供される。
【0029】
トラクション制御システムは、オンロードモード時のそれより多い車輪スピンをオフロードモード時に許容する構成であり得る。あるいはトラクション制御システムは、ある実施形態ではオンロードモード時のそれより少ない車輪スピンをオフロードモード時に許容する構成であり得る。
オフロードモードでの許容スリップ量は選択するモードに依存し得る。
随意的にはヨー制御システムは、オフロードモード時にはオンロードモード時のそれより高い前記逸脱程度を許容する構成を有する。あるいはヨー制御システムは、オフロードモード時にはオンロードモード時のそれより低い前記逸脱程度を許容する構成を有し得る。
随意的には、オフロードモードではレンジ変更変速機は低レンジで作動される。
【0030】
随意的にはパワートレイン制御手段は、オフロードモード時に、少なくとも低いアクセルペダル踏み込み位置である所定のアクセルあるいはスロットルペダル位置に対し、オンロードモード時のそれより低レベルの駆動トルクを提供する構成を有する。
随意的には、ディファレンシャルシステムは、オフロードモード時にオンロードモード時のそれより高いディファレンシャルロックレベルを提供する構成を有する。
随意的にはロール制御システムは、オンロードモード時に、オフロードモード時のそれより高いロールスチフネスを提供する構成を有する。
随意的には速度制御システムは、オフロードモードでスイッチオンされ、オンロードモードでスイッチオフされる構成を有する。
【0031】
随意的には走行モードは、低摩擦路面走行に適した様式でサブシステムが制御される少なくとも1つの低摩擦モードと、高摩擦路面走行に適した様式でサブシステムが制御される高摩擦モードとを含む。
随意的にはブレーキ制御システムは、高摩擦モード時は、低摩擦モード時における低摩擦モード時のそれより高レベルの車輪スリップを許容する。
随意的にはトラクション制御システムは、高摩擦モード時は、低摩擦モード時のそれより高レベルでの車輪スピンを許容する。
【0032】
随意的にはブレーキ制御システムは、高摩擦モード時は、低摩擦モード時のそれより強いレベルのブレーキアシストを提供する。
随意的にはパワートレイン制御手段は、低摩擦モード時は、少なくとも低いアクセルペダル踏み込み位置である所定のアクセルあるいはスロットルペダル位置に対し、高摩擦モード時のそれより低レベルでの駆動トルクを提供する構成を有する。
随意的には変速機システムは、高摩擦モード時は、少なくとも1つのパラメータの所定値に対し、低摩擦モード時のそれより高いギヤで作動する構成を有する。
【0033】
随意的にはディファレンシャルシステムは低摩擦モード時は、高摩擦モード時のそれより高レベルでのディファレンシャルロックを提供する構成を有する。
随意的には高摩擦モードは、車が通常作動し、且つ、オンロード走行に好適な、標準あるいはデフォルトモードを含み得る。
随意的には、少なくとも2つのそのような低摩擦モードを含み、サスペンションシステムが、前記低摩擦モードの一方では他方におけるそれより高い最低地上高を提供する構成を有する。
【0034】
更に随意的には、少なくとも2つの前記低摩擦モードを含み、サスペンションシステムが、前記低摩擦モードの一方では他方におけるそれより高レベルのクロスリンクを提供する構成を有する。
随意的には、少なくとも2つの低摩擦モードは、深い泥中を走行するに好適な泥モードを含み得、他の低摩擦モードが、雪、草あるいは砂利走行に好適なものである。
【0035】
随意的には複数の低摩擦モードを含み、低摩擦モードの1つが、サブシステムが草走行に好適な様式で制御される草モードであり得、低摩擦モードの1つが、サブシステムが氷走行に好適な様式で制御される氷モードであり得、低摩擦モードの1つが、サブシステムが泥地走行に好適な様式で制御される泥モードであり得る。
【0036】
随意的にはモードの1つが、サブシステムが砂走行に好適な様式で制御される砂モードである。砂モードではサブシステムの少なくとも1つは、車を低速で走行させる際に車輪が砂に埋まるのを回避するよう比較的低レベルでの車輪スピンを許容するが、車がもっと高速で走行する際には比較的高レベルの車輪スピンを許容するように構成され得る。随意的には、砂モードではパワートレイン制御手段は、低い車速では所定のスロットルペダル位置に対して比較的低レベルでの駆動トルクを提供し、より高い車速では所定のスロットルペダル位置に対しては比較的高レベルでの駆動トルクを提供するよう構成される。
【0037】
オフロードモードは、サブシステムが岩を越えて走行するに好適な様式で制御される岩道モードであり得る。あるいは、オフロードモードはもっと一般的なオフロード使用に対してセットアップ可能である。1つ又は1つ以上のオフロードモードが更にあるいはそれに代えて提供され得る。
モードの1つは、サブシステムが、例えば比較的高速で荒れた路面上を走行する荒れ路面走行に好適な様式で制御されるラフロードモードであり得る。
【0038】
モードの少なくとも1つは、ブレーキ制御サブシステムが制動下における比較的程度の大きい車輪スリップを許容するよう構成されるプラウ路面(plough surface)モードであり得る。これは、例えば、制動下に車輪前方に物体が堆積する雪上あるいは砂上でのブレーキ性能を向上させ得る点で有益であり得る。
随意的には、モードの少なくとも1つは、サブシステムがオンロード走行に好適な様式で制御されるオンロードモードである。例えば、モードの1つは、サブシステムが平坦路面を高速走行するに好適な様式で制御される自動車道路モードであり得る。モードの1つは、サブシステムがカントリーロード走行に好適な様式で制御されるカントリーロードモードであり得る。
【0039】
走行モードは少なくとも2つの入力によって選択され得、2つの入力の一方は地形選択入力にして、選択された地形に基づいて、選択されたモードに影響するよう構成された地形選択入力であり、他方の入力は、車の使用上選択されたモードに基づいて、選択されたモードに影響するよう構成されたユーザー入力モードであり得る。これら各入力モードはユーザー制御入力であり得、あるいは1つ又は1つ以上のセンサから入手され得る。
入力の使用モードは、例えば、通常スタイル、スポーツスタイル、エコノミースタイルを含み得る複数の走行スタイルからの選択を許容するよう構成され得る。
【0040】
あるいは、又は更には、入力使用モードは、例えば、牽引状態あるいは負荷状態を含む車の複数の状態からの選択を許容するよう構成され得る。
システムは、車速に基づいて最低地上高を変更させるように構成され得る。
システムは作動モード自動選択条件では、車速が所定値を越える場合は作動モード自動選択条件での車両最低地上高以下に最低地上高を低下させる構成を有し得る。
【0041】
システムは、車速が第1所定値以上の時は第1速度最低地上高を選択し、車速が第2所定値以下の時は第1速度最低地上高より高い第2速度最低地上高を選択する構成を有し得る。車速の第1及び第2の各所定値は同一であり得る。あるいは、第1所定値は、速度の関数としての最低地上高に関するヒステリシス(履歴現象)を導入してモードチャタリングを低減させるよう、第2所定値より高い値であり得る。ある実施形態では、最低地上高を高い値から低下させるのはより高い速度での車の安定性が増長され得る点で有益である。
【0042】
先に記載したように、ある実施形態では車は2つ又は2つ以上の異なる最低地上高に設定される構成とされ得る。ある実施形態では、車は第1最低地上高、第2最低地上高、第3最低地上高、あるいは第4最低地上高に設定されるように構成され得る。第1最低地上高はオンロード走行時に選択される“デフォルト”あるいは“通常”、“オンロード”最低地上高であり得る。第2最低地上高は第1最低地上高より高く、且つ、泥や轍等のオフロード状況走行に好適なものであり得、“高い最低地上高”として参照され得る。第3最低地上高は第1最低地上高より低く、且つ、“膝立ち”あるいは“アクセス”最低地上高に相当し得る。この最低地上高は、車への荷物積み込みあるいは乗員乗り込みの利便性を高めるために選択され得る。
【0043】
第4最低地上高は第1及び第3の各最低地上高の中間の値を有し得、オンロード所定速度以上での走行時に自動選択され得、車の空気抵抗を低減させ得る。この最低地上高は“ハイウェイクルーズ”最低地上高として参照され得る。所定速度は毎時約50マイル(約90.45km))の値であり得るがその他構成も有益である。
随意的にはシステムは、車が負荷牽引中であると判定すると所定の作動モード自動選択条件での車両最低地上高の自動設定を中断する。
【0044】
かくしてシステムは、作動モード自動選択条件下で車が負荷牽引中であると判定すると作動モード自動選択条件での車両最低地上高を、それが既に設定されていない場合は設定しないように構成され得る。システムは、作動モード自動選択条件での車両最低地上高が設定済みであり、且つ、車が負荷牽引中であると判定すると、ドライバーが設定を無効化して最低地上高変更を強制しない限り、最低地上高変更を許可しないように構成され得る。
【0045】
これは、仮に所定の作動モード自動選択条件での車両最低地上高が現在選択されている最低地上高と異なるものである場合に最低地上高が変更されない点で有益性がある。トレーラーを車に連結している場合に最低地上高を変更(例えば、最低地上高を上げる)するのは、トレーラーの安定性、特には、トレーラーが多軸型である場合の安定性に悪影響を及ぼす恐れがあるので望ましくない場合がある。
【0046】
ある実施形態ではシステムは、ユーザーが出力取り出しユニット等のレンジ変更変速機の所定の1つ又は1つ以上の作動モード(随意的には全ての作動モード)における低作動レンジを手動選択(システムが手動操作モード条件である場合)すると、最低地上高をデフォルトあるいは通常値(あるいは“膝立ち”)から最低地上高に自動上昇させる構成を有し得る。最低地上高の上昇は、車が休止状態では無くならない限り及び無くなるまで、及び又は、システムが車の全てのドアが閉じられたと判定するまで遅延あるいはそうでなければ延期され得る。
【0047】
ある実施形態ではシステムは、制御入力を介してのユーザーの手動リクエストに応答する最低地上高上昇許可を、随意的にはHMIディスプレイ等を介してユーザーに警告が提供されるまで中断させ得る。システムは、システムが最低地上高変更を許可する前にドライバーが警告を認証するよう要求し得る。例えば、ドライバーはボタン等の最低地上高調節制御装置を一瞬離してから所望の手動選択を繰り返すことで警告を認証できる。この特徴は、もし車が牽引中である場合に最低地上高を調節した場合の事態(例えば、トレーラーの安定性が損なわれ得る)をユーザーに想起させる点で有益性がある。
【0048】
先に記載したように、システムは作動モード自動選択条件での作動中は車速が所定値を越えない限り、所定の作動モード自動選択条件を維持するよう構成され得るのが有益である。
ある実施形態では、車の作動モードは、出力伝達ユニット(あるいはパワーテークオフユニット)等のレンジ範囲変速機の所定の1つ又は1つ以上のレンジにおいてのみ入手できる。この場合、ユーザーが作動モード自動選択条件を選択するとシステムはユーザーあるいはドライバーに適正なレンジを設定するよう要求し得る。次いで、システムは現在選択されているレンジで可能である以上に最も適正な作動モードを自動選択し得る。次いでシステムは、作動モード自動選択条件に自動変更されると、最低地上高の再度の上昇及び降下を回避するよう最低地上高変更を中断させ得る。
【0049】
ある実施形態では、ユーザーが作動モード自動選択条件及びレンジ変更変速機の低レンジを選択すると、システムはサスペンションシステムを高い最低地上高構成モードに設定させ得る。サスペンションシステムは、作動モード自動選択条件の間、高い最低地上高構成モードに維持され得る。
随意的には、1つ又は1つ以上の走行条件が1つ又は1つ以上の走行路面に相当する。
【0050】
本発明の更に他の様相によれば、制御システムにより実施される自動車の制御方法であって、ユーザーがユーザー操作式のモード選択入力手段により要求システム作動モードを選択できる作動モード手動選択条件でシステムを作動させるステップ、あるいは、システムが適正なシステム作動モードを自動選択するよう構成される作動モード自動選択条件でシステムを作動させるステップを含み、
システムが作動モード手動選択条件で作動され、且つ、作動モード手動選択条件から作動モード自動選択条件に変更されると、選択された作動モードとは無関係に所定の作動モード自動選択条件での車両最低地上高が選択されるステップを含む方法が提供される。
【0051】
随意的には本方法は、システムが作動モード自動選択条件で作動する場合は、選択された作動モードとは無関係に所定の作動モード自動選択条件での車両最低地上高を車に設定させるステップを含む。
本発明の更に他の様相によれば、本発明の様相に従う方法を実行するように車を制御するコンピュータ可読コードを担持するキャリヤ媒体が提供される。
【0052】
本発明の1様相によれば、走行路面を選択し、選択された走行路面とは無関係に車の複数のサブシステムを複数のサブシステム構成モードで作動させるように制御する自動車制御システムであって、ユーザーが前記走行路面を選択できる手動作動条件と、システムが前記走行路面を自動選択するように構成される自動作動条件とにおいて作動自在であり、システムがユーザー操作式の入力装置により前記手動及び自動作動条件間で切り換え可能であり、
前記システムが更に、作動モード自動選択条件での作動時は、選択された作動モードとは無関係に所定の車両最低地上高を選択するように構成される自動車制御システムが提供される。
【0053】
手動モード選択条件での作動時はシステムは、所定最低地上高が選択済みである場合においてのみ、特定の1つ又は1つ以上の作動モードの選択を許可する構成とされ得る。ある実施形態ではユーザーは、制御モードの選択以前に最低地上高制御スイッチによる最低地上高の手動による上下操作を要求され得る。つまりシステムは、所定モード選択時には最低地上高を自動上下させる構成を有さない。
【0054】
本システムは、仮に作動モード自動選択条件での作動時は自動的に、ある1つ又は1つ以上の所定モードでは1つの最低地上高を選択し、ある1つ又は1つ以上の他の所定モードでは別の最低地上高を選択する如く最低地上高を変更し、仮に多数のモード変更が発生した場合に所定の走行行程に渡り最低地上高が反復して変更される。従って、本発明の実施形態は、作動モード自動選択条件での作動時に実施され得る最低地上高変更回数が減少され得る利益がある。これは、エアサスペンションシステムの場合では1つ又は1つ以上のエアコンプレッサ等の最低地上高変更に係わる部品の損耗を低減させる。
【0055】
本発明の範囲内で、本明細書、請求の範囲、及び又は、以下の詳細な説明及び図面、及び特にはその個別の特徴において、様相、実施形態、例、及び別態様における単独でのあるいは組み合わせにおいての種々の変更を成し得るものとする。1つの実施形態に関して記載される特徴は、その互換性がない限り、全ての実施形態に適用され得るものとする。
誤解の無いように述べておくと、本発明の1様相に関して説明される特徴は、それ単独での、あるいは1つ又は1つ以上のその他の特徴との適正な組み合わせでの本発明の任意のその他様相の範囲に含まれ得るものとする。