特許第6294328号(P6294328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6294328走査型レーザー・オフサルモスコープにおける改良または走査型レーザー・オフサルモスコープに関する改良
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294328
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】走査型レーザー・オフサルモスコープにおける改良または走査型レーザー・オフサルモスコープに関する改良
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20180305BHJP
   A61B 3/103 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   A61B3/10 R
   A61B3/10 M
【請求項の数】24
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-533702(P2015-533702)
(86)(22)【出願日】2013年10月1日
(65)【公表番号】特表2015-534482(P2015-534482A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(86)【国際出願番号】GB2013052556
(87)【国際公開番号】WO2014053824
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2016年8月16日
(31)【優先権主張番号】1217538.6
(32)【優先日】2012年10月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509012991
【氏名又は名称】オプトス ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】マイク ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー コーコラン
(72)【発明者】
【氏名】ドレック スワン
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0046948(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/125394(WO,A1)
【文献】 特開平01−020827(JP,A)
【文献】 特開平10−267830(JP,A)
【文献】 特開2012−020061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球の網膜を走査する走査型オフサルモスコープであって、
仮想点光源からの二次元コリメート光走査を協働して行うコリメート光源及び走査装置と;
走査転送装置と;
光学コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)システムと;
収差補償器とを具え、
前記走査転送装置は、第1焦点及び第2焦点を具え、当該第1焦点に前記仮想点光源が設けられ、当該第2焦点に前記眼球を置くことができ、前記走査転送装置は、前記仮想点光源からの二次元コリメート光走査を前記眼球内に転送し、
前記OCTシステムは、OCT参照ビーム及びOCTサンプルビームを協働して提供する放射源及び光学系を具え、前記OCTサンプルビームは、前記コリメート光源によって放出されて前記走査転送装置を通って伝搬する光の光路と同じ光路の少なくとも一部分に沿って伝搬し、
前記収差補償器は、前記走査装置及び前記走査転送装置によって走査角の関数として導入される前記OCTサンプルビームの系統的な収差及び/または波面変化を自動的に補償するように構成され、
前記収差補償器は、前記OCTサンプルビームの波面を変化させて、前記系統的な収差及び/または波面変化を補償するための波面符号化手段を具え、
前記波面符号化手段は、前記走査装置及び前記走査転送装置を通る伝搬後に、網膜上における前記OCTサンプルビームの空間的広がりが最小化されるように、前記OCTサンプルビームの空間的性質及び/または前記OCTサンプルビーム波面の形状を変化させるための装置を具えていることを特徴とする走査型オフサルモスコープ。
【請求項2】
前記波面符号化手段は、走査視野内のあらゆる点において前記OCTサンプルビームのビーム径を最適化するように構成された可変倍率段を具えていることを特徴とする請求項1に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項3】
前記波面符号化手段は、可変焦点素子を具えていることを特徴とする請求項1または2に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項4】
前記波面符号化手段は、液体レンズ、適応レンズ、空間光変調器、可変位置のレンズまたはレンズ系、適応光学系から成るグループからの少なくとも1つを具えていることを特徴とする請求項3に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項5】
前記収差補償器は、前記OCTサンプルビームの光路長と前記OCT参照ビームの光路長とが前記走査全体を通して一致したままであるように、前記OCT参照ビームの光路長を変化させる手段を具えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項6】
前記OCT参照ビームの光路長を変化させる手段が、電動直線平行移動ステージを具え、これにより、前記OCT参照ビームの光路長を増加または減少させて、前記走査全体を通して前記OCTサンプルビームの光路長と一致させることを特徴とする請求項5に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項7】
前記OCT参照ビームの光路長を変化させる手段が、当該OCT参照ビームの調整可能な光路長制御を行うための一連の回転光学素子を具え、これにより、前記OCT参照ビームの光路長を増加または減少させて、前記走査全体を通して前記OCTサンプルビームの光路長と一致させることを特徴とする請求項6に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項8】
前記OCT参照ビームの光路長を変化させる手段が、前記OCTサンプルビームの光路長と一致するように選択的に有効にすることができる可変経路長の一連の固定経路を具えていることを特徴とする請求項5に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項9】
前記OCT参照ビームの光路長を変化させる手段がフィードバック・メカニズムを具え、該フィードバック・メカニズムは、走査の期間中に前記OCT参照ビームの光路長を自動的に変化させて、走査の期間中に、前記光路長の変化を補償することができるように構成されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項10】
前記OCT参照ビームの光路長を変化させる手段が、走査の期間中に前記OCT参照ビームの光路長を、各サンプル間で、離散ステップで自動的に変化させる手段を具えていることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項11】
前記収差補償器が、可変位相遅延段を具え、これにより、前記OCTサンプルビームと前記OCT参照ビームとの偏光状態を、走査全体を通して一致させることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項12】
前記可変位相遅延段が、前記光学系の前記OCT参照ビーム内に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項13】
前記可変位相遅延段が、波長板;一連の波長板;ソレイユバビネ補償器;及びストレス誘導型複屈折コントローラ、のうちの1つを具えていることを特徴とする請求項11または12に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項14】
前記走査転送装置が楕円面鏡を具えていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項15】
前記網膜からの光反射を検出して、前記網膜の走査領域の像を生成するための光検出器をさらに具えていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項16】
前記走査装置が、第1走査素子及び第2走査素子を具えていることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項17】
前記第2走査素子の回転軸が、前記走査転送装置の前記2つの焦点を結ぶ直線に略平行または略垂直であることを特徴とする請求項16に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項18】
前記第1走査素子の回転軸が、前記走査転送装置の前記2つの焦点を結ぶ直線に略平行または略垂直であることを特徴とする請求項16または17に記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項19】
前記放射源が、前記光路に沿った前記第1走査素子の前方の位置に設けられていることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項20】
前記放射源が、前記光路に沿った前記第1素子の後方、かつ前記第2走査素子の前方に設けられていることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項21】
前記OCTの前記放射源が、別個の入力経路を介して設けられ、前記走査転送装置を介して、前記コリメート光源からのビームに対して任意の角度に指向されることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の走査型オフサルモスコープ。
【請求項22】
眼球の網膜を走査する方法であって、
仮想点光源からの二次元コリメート光走査を協働して行うコリメート光源及び走査装置を用意するステップと;
第1及び第2焦点を有する走査転送装置を用意するステップであって、前記第1焦点に前記仮想点光源が設けられ、前記第2焦点に眼球を置くことができ、前記走査転送装置が、前記仮想点光源からの前記二次元コリメート光走査を前記眼球内に転送するステップと;
光学コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)システムを用意するステップであって、当該OCTシステムが、OCT参照ビーム及びOCTサンプルビームを協働して提供する放射源及び光学系を具え、前記OCTサンプルビームが、前記コリメート光源によって放出され前記走査転送装置を通って伝搬する光の光路と同じ光路の少なくとも一部分に沿って伝搬するステップと;
前記走査装置及び前記走査転送装置によって走査角の関数として導入される前記OCTサンプルビームの系統的な収差及び/または波面の変化を補償するステップとを含み、
前記系統的な収差及び/または波面の変化を補償するステップは、前記OCTサンプルビームの波面を変化させて、前記走査装置及び前記走査転送装置によって走査角の関数として導入される前記系統的な収差及び/または倍率の変化を補償し、
前記方法はさらに、前記走査装置及び前記走査転送装置を通る伝搬後に、網膜上における前記OCTサンプルビームの空間的広がりが最小化されるように、前記OCTサンプルビームの空間的性質及び/または前記OCTサンプルビームの波面の形状を変化させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記収差を補償するステップが、前記OCTサンプルビームの光路長と前記OCT参照ビームの光路長とが網膜走査の全範囲にわたって一致したままであるように、前記OCT参照ビームの光路長を変化させることを含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記収差を補償するステップが、前記OCTサンプルビーム及び前記OCT参照ビームの偏光状態が網膜走査の全体にわたって一致したままであるように、前記OCTの照射の位相を制御することを含むことを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型レーザー・オフサルモスコープ(SLO:scanning laser ophthalmoscope)における改良または走査型レーザー・オフサルモスコープに関する改良に関するものであり、特に、広視野構造的な網膜撮像能力の、走査型レーザー・オフサルモスコープへの導入に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学コヒーレンス・トモグラフィー(OCT:optical coherence tomography)を用いて被験者の網膜構造を撮像することは周知である。OCTは干渉技術であり、この技術によって、照射源を被験者の眼球に向けて指向させて、反射ビーム、あるいはサンプルアームを被制御の参照アームと結合させ、これにより、結合ビームの干渉特性を用いて、撮像した網膜の構造を測定して表示する。
【0003】
走査型レーザー・オフサルモスコープ(SLO)を用いて被験者の網膜を撮像して、網膜の像を複数波長で得ることも周知であり、ここでは特定波長が網膜の特定層を表す。
【0004】
近年、広視野SLOが利用可能になった。これらの装置では、照射器からの光をラスター(水平走査)様式で走査し、1つ以上の光学素子によって転送して、被験者の網膜上で一次元のコリメート光走査を行う。
【0005】
広視野SLOの1つの具体例は、2つの焦点を具えた光学素子(例えば楕円面鏡)を用いて、一次元コリメート光走査を網膜上で行って、走査された照射が、眼球の瞳孔における仮想走査光源として見えるようにする。
【0006】
広視野SLOの代わりの具体例は、反射光学素子を用いて、被験者の瞳孔の周りに広角視野を生成するか、従来のSLOの視野を拡張することができる。
【0007】
標準的な狭視野SLOをOCTシステムと統合して設けることは既知である。SLO光学器による共焦点眼底像とOCT光学器によるトモグラフィー像との同時測定は、操作の効率をもたらし、単一の手順からより多くの情報を生成することができることを意味する。
【0008】
しかし、OCT撮像システムの、広視野撮像システムまたは広視野SLO内への内蔵は実現されていなかった。このことは、光学系における光学収差及び位相効果、及び広視野システム内に生じる被験者の眼球の生理的及び光学的特性の変化が、サンプルビームの集光及び参照ビームとの再結合の効率を低下させて、干渉計測データセットを乱し、従って、被験者網膜の構造情報を乱すからである。その結果、こうしたモダリティ(医療撮像)の診断上の有用性をサポートするのに必要なデータ完全性及び画質が低下する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Mujat et al. ”High resolution multimodal clinical ophthalmic imaging system”, Optics Express, 2010年5月24日, 18(11), 11607-11621
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
OCTシステムを広視野SLO内に統合して、被験者網膜のあらゆる部分に関する構造情報を取得して、広視野眼底像からの情報を補完しサポートする実際的方法を可能にするための改良の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、眼球の網膜を走査する走査型オフサルモスコープが提供され、この走査型オフサルモスコープは、仮想点光源からの二次元コリメート光走査を協働して行うコリメート光源及び走査装置と;走査転送装置と;光学コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)システムと;収差補償器とを具え、走査転送装置は第1及び第2焦点を具え、第1焦点に仮想点光源が設けられ、第2焦点に眼球を置くことができ、これにより、走査転送装置は、仮想点光源からの二次元コリメート光走査を眼球内に転送し、OCTシステムは、OCT参照ビーム及びサンプルビームを協働して提供する放射源及び光学系を具え、サンプルビームは、SLOのコリメート光源によって放出されて走査転送装置を通って伝搬する光の光路と少なくとも部分的に同一である光路に沿って伝搬し、収差補償器は、OCT参照ビーム及びサンプルビームの完全性を保証する。
【0012】
OCT参照ビーム及びサンプルビームの「完全性を保証する」ことは、最適な網膜サンプリング、及びサンプルビームと参照ビームとの良好な再結合に必要な条件が維持されることを意味する。特定の好適例では、(素子の組合せとすることができる)収差補償器が、走査素子及び走査転送装置によって導入される収差及び波面変化を、走査角の関数として補償すべく機能する。
【0013】
なお、網膜撮像用途における適応光学器の使用は、以前に、例えばMujat et al. ”High resolution multimodal clinical ophthalmic imaging system”, Optics Express, 2010年5月24日, 18(11), 11607-11621(非特許文献1)中に提案されている。しかし、これらの既知の例では、適応光学器は、被験者の眼球内に生じる収差である眼球収差を検出し補正するように設計されているに過ぎない。こうした適応光学器は、光学系の素子によって導入される収差または波面変化の問題に、自動化された費用効果的な方法で応えていない。走査角の関数として固定的かつ系統的であるこれらの収差は、効果的なサンプリング及びその後のOCT信号の収集を共に妨げる。新規な収差補償器を導入することによって、本発明は、自動化された高分解能のOCTを、以前の設計では可能でなかった方法で広視野SLOと組み合わせることを可能にする。また、SLO及びOCTにおける従来の適応光学器の方法は、閉ループ制御で収差を検出して補正するために、ハートマン・シャック(Hartmann Shack)波面センサ装置に頼っている。これは、走査の動作と同期した系統的な収差の補正を設計して組み込むことができ、高価であり、本発明の実現には不要である。
【0014】
随意的に、上記収差補償器は、OCT照射源が放出する照射の波面を変化させて、走査素子及び走査転送装置によって走査角の関数として導入される収差及び波面変化を補償するための波面符号化手段を具えている。
【0015】
随意的に、上記波面符号化手段は、走査中継手段及び上記走査転送手段を通る伝搬後に、網膜表面上の入力OCT信号の空間的広がりが最小化されるように、入射ビームの空間的性質(空間特性)及び/または入射ビーム波面の形状を変化させるための装置を具えている。
【0016】
随意的に、上記波面符号化手段は、走査視野内のあらゆる点においてビーム径を最適化するための可変倍率段を具えている。
【0017】
随意的に、上記波面符号化手段は可変焦点素子を具えている。
【0018】
随意的に、上記波面符号化手段は、液体レンズ、適応レンズ、空間光変調器、可変位置のレンズまたはレンズ系、適応光学系から成るグループからの少なくとも1つを具えている。
【0019】
随意的に、上記収差補償器は、サンプル経路長と参照経路長とが、上記走査全体を通して、例えば網膜走査の全範囲にわたって一致したままであるように、OCT参照アームの光路長を変化させる手段を具えている。
【0020】
随意的に、上記OCT参照アームの光路長を変化させる手段が、電動直線平行移動ステージを具え、これにより、上記光路長を増加または減少させて、走査全体を通してサンプルアームの経路長と一致させることができる。
【0021】
随意的に、上記OCT参照アームの光路長を変化させる手段が、調整可能な経路長制御を行うための一連の回転光学素子を具え、これにより、上記走査全体を通してサンプルアームの経路長と一致するように、上記光路長を増加または減少させることができる。
【0022】
随意的に、上記OCT参照アームの光路長を変化させる手段が、入力サンプル経路長と一致するように選択的に有効にすることができる可変経路長の一連の固定経路を具えている。
【0023】
随意的に、上記OCT参照アームの光路長を変化させる手段がフィードバック・メカニズムを具え、これにより、走査の期間中にこの光路長を自動的に変化させて、走査対象全体にわたって光路長変化を補償することができる。
【0024】
随意的に、上記OCT参照アームの光路長を変化させる手段が、走査の期間中にこの光路長を、各サンプル間で、離散ステップで自動的に変化させる手段を具えている。
【0025】
随意的に、上記収差補償器が可変位相遅延段を具え、これにより、信号ビームと参照ビームとの偏光状態を、上記走査全体を通して一致させる。
【0026】
随意的に、上記可変位相遅延段がOCT参照アーム内に設けられている。
【0027】
随意的に、上記位相遅延が、波長板;一連の波長板;ソレイユバビネ(soleil-babinet)型補償器;ストレス誘導型複屈折コントローラ、のうちの1つを具えている。
【0028】
上述した走査転送装置による2つの焦点の提供は、反射光学素子(例えば楕円面鏡)または屈折光学素子(例えばレンズ系)のいずれかに基づくシステム用に達成することができることも明らかである。実際に、上記走査転送装置は、反射光学素子と屈折光学素子との混合物を有する混成システムを具えることもできる。
【0029】
随意的に、上記走査転送装置は、非球面鏡、楕円面鏡、一対のパラボラ鏡または一対の放物面鏡を具えている。例えば、楕円面鏡は、超広視野走査を可能にするが、極限の走査角では収差を導入し、こうした収差は、網膜の周辺領域からのOCT像の取得を無効にする。
【0030】
随意的に、上記走査型オフサルモスコープは、走査中継装置をさらに具え、上記コリメート光源、上記走査装置、及びこの走査中継装置が組み合わさって、上記仮想点光源からの二次元コリメート光走査を行う。
【0031】
随意的に、上記走査中継装置は2つの焦点を具え、上記走査中継装置の1つの焦点は、上記走査転送装置の1つの焦点と一致する。
【0032】
随意的に、上記走査中継装置は、楕円鏡、非球面鏡、及び楕円面鏡、一対のパラボラ鏡または一対の放物面鏡を具えている。
【0033】
随意的に、上記走査転送装置は1つ以上の屈折光学素子を具え、上記走査装置の走査角がこれらの屈折光学素子によって変化し、被験者の眼球は、これらの屈折光学素子の焦点に置くことができる。
【0034】
随意的に、上記1つ以上の屈折光学素子は、レンズまたはレンズの径を具えている。
【0035】
随意的に、上記走査装置は第1走査素子及び第2走査素子を具えている。
【0036】
随意的に、上記第2走査素子の回転軸は、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線に略平行または略垂直である。
【0037】
随意的に、上記第1走査素子の回転軸は、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線に略平行または略垂直である。
【0038】
随意的に、上記仮想点光源からの二次元コリメート光走査を行うに当たり、上記走査中継装置は垂直走査成分を生成し、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線は、上記走査中継装置によって生成される上記垂直走査成分によって規定される平面上に実質的に存在するか、上記走査中継装置によって生成される上記垂直走査成分によって規定される平面に直交するかのいずれかである。
【0039】
随意的に、上記走査型オフサルモスコープは、網膜から反射した光を検出して網膜の走査領域の像を生成するための光検出装置を、さらに具えている。
【0040】
随意的に、上記OCT放射源が、上記光路に沿った上記第1走査素子の前方の位置に設けられている。
【0041】
随意的に、上記OCT放射源が、上記光路に沿った上記第1走査素子の後方かつ上記第2走査素子の前方に設けられている。
【0042】
随意的に、上記OCT放射源が、別個の入力経路を介して設けられ、上記走査転送手段を介して、上記SLOビームに対して任意の角度に指向される。
【0043】
本発明の第2の態様によれば、眼球の網膜を走査する方法が提供され、この方法は:仮想点光源からの二次元コリメート光走査を協働して行うコリメート光源及び走査装置を用意するステップと;第1及び第2焦点を有する走査転送装置を用意するステップであって、第1焦点に仮想点光源が設けられ、第2焦点に眼球を置くことができ、走査転送装置が、仮想点光源からの二次元コリメート光走査を眼球内に転送するステップと;光学コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)システムを用意するステップであって、このOCTシステムは、OCT参照ビーム及びサンプルビームを協働して提供する放射源及び光学系を具え、このサンプルビームが、SLOのコリメート光源によって放出され走査転送装置を通って伝搬する光の光路と少なくとも部分的に同一である光路に沿って伝搬するステップと;収差を補償して、OCTの参照ビーム及びサンプルビームの完全性を保証するステップとを含む。
【0044】
随意的に、上記収差を補償するステップが、上記OCT照射源によって放出される照射の波面を変化させて、上記走査素子及び上記走査転送装置によって導入される収差及び倍率変化を補償することを含む。
【0045】
随意的に、上記収差を補償するステップが、サンプル経路長と参照経路長とが網膜走査の全範囲にわたって一致したままであるように、上記OCT参照アームの光路長を変化させることを含む。
【0046】
随意的に、上記収差を補償するステップが、信号ビーム及び参照ビームの偏光状態が走査の全範囲にわたって一致したままであるように、OCT照射の位相を制御することを含む。
【0047】
上述した第1の態様の種々の特徴の各々は、本発明による方法の対応する態様を生み出すこともでき、例えば、上述した種々の装置を用意する、及び/または使用するステップを含むが、これに限定されない。
【0048】
以下、本発明の実施形態を、ほんの一例として、添付した図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】二次元コリメート光の走査を被験者の眼球内に転送する走査転送装置を設けた、本発明による走査型レーザー・オフサルモスコープ(SLO)を示す光学的概略図である。
図2】第1及び第2走査素子、走査中継装置、及び走査転送装置を具えた、本発明の代案実施形態によるSLOを示す光学的概略図である。
図3】SLOと光学コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)を組み合わせた狭視野システムを例示する図である。
図4】SLOとOCTを組み合わせた広視野撮像システムの実施形態を例示する図であり、光路中の第1走査素子の前方でOCT源とSLO源を組み合わせている。
図5】SLOとOCTを組み合わせた広視野撮像システムの実施形態を例示する図であり、光路に沿って、第1走査素子の後方に、但し走査補償器及び第2走査素子の前方に、OCT及びSLOの照射源を組み合わせている。
図6】SLOとOCTを組み合わせた広視野撮像システムの実施形態を例示する図であり、SLO源とは別個の入力経路を介してOCT源を設けている。
図7】照射制御の態様を例示する図であり、収差補償用に使用される調整可能なレンズを示す。
図8図4、5、及び6に示すSLO光学系及びOCT光学系の適切なレイアウトを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
好適な実施形態の詳細な説明
図1に、広視野走査型レーザー・オフサルモスコープ(SLO)1の実現を示し、SLO1は、コリメート光源12、走査素子16を具えた走査装置、及び走査転送装置20を含む。コリメート光源12は、走査装置及び走査転送手段を介して患者に向けて指向され、これにより、超広視野の走査角が患者の瞳孔面24において達成される。本開示では、「広視野」とは、一次元または二次元において50度を超える走査角を称するのに対し、「超広視野」は、網膜のほぼ全体をカバーする走査を称すべく用いる。このコリメート光源は、SLO用途向けのレーザーとすることができ、あるいは、OCTの場合は、超発光ダイオード(SLD:superluminescent diode)とすることができる。
【0051】
しかし、単周波レーザーダイオード、垂直キャビティ面発光レーザー、あるいは十分な強度を有し、十分にコリメートされ、かつ適切な網膜照射を生成する他の光源のような、あらゆる適切なコリメート光源を用いることができることは明らかである。OCT用途では、網膜層を結果的な干渉計測データと区別するために必要な短いコヒーレンス長により、SLDを用いることができる。このSLDは、走査システムに至る標準的なファイバまたは偏向維持ファイバ内に、自由空間結合またはファイバ結合することができる。
【0052】
走査素子16は、ガルバノミラーのような振動平面鏡とすることができる。その代わりに、走査素子16はMEMS(micro-electromechanical system:微小電気機械システム)ミラーとすることができる。その代わりに、走査素子16は、回転ミラー、プリズム、またはポリゴンミラー(多面鏡)とすることができる。その代わりに、走査素子16は、共振ミラーとすることができる。走査素子16は、レーザービーム13の二次元コリメート光走査を生成することができる。
【0053】
図2を参照すれば、広視野走査型レーザー・オフサルモスコープ(SLO)10が、コリメート光源12、走査装置、走査中継装置18、及び走査転送装置20を含む。走査装置は、第1走査素子14及び第2走査素子16を具えている。
【0054】
本明細書に記載する実施形態では、コリメート光源12が、走査素子、走査中継手段及び走査転送手段を介して患者に向けて指向され、これにより、被験者の瞳孔面24上で超広視野の走査角が達成される。このコリメート光源は、SLO用途向けのレーザーとすることができ、あるいは、OCTの場合は、超発光ダイオードとすることができる。しかし、単周波レーザーダイオード、垂直キャビティ面発光レーザー、波長掃引レーザー源、パルスレーザー源、あるいは十分な強度を有し、十分にコリメートされ、かつ適切な網膜照射を生成する他の光源のような、あらゆる適切なコリメート光源を用いることができることは明らかである。OCT用途では、網膜層を結果的な干渉計測データと区別するために必要な短いコヒーレンス長の理由で、SLDを用いることができる。このSLDは、走査システムに至る標準的なファイバまたは偏光維持ファイバ内に、自由空間結合またはファイバ結合することができる。掃引レーザー源は、OCT用途でも用いることができ、これにより、光源の波長を所定範囲全体にわたって調整する。
【0055】
第1走査素子14は、ガルバノミラーのような振動面鏡とすることができる。その代わりに、第1走査素子はMEMSミラーとすることができる。その代わりに、第1走査ミラーは、回転ミラー、プリズム、またはポリゴンスキャナとすることができる。その代わりに、第1走査ミラーは共振ミラーとすることができる。その代わりに、第1走査素子を、上記の単一素子または2素子の構成にして、点14における二次元走査を行って、二次元走査パターンを走査中継器18に与えることができる。この構成では、第1走査素子が、垂直、水平、あるいはパターン化された二次元走査を、第2走査素子上のある点に対して走査中継器を介して行うことができる。
【0056】
第2走査素子16は、ガルバノミラーのような振動面鏡とすることができる。その代わりに、第2走査素子はMEMSミラーとすることができる。その代わりに、第2走査ミラーは、回転ミラー、プリズム、またはポリゴンスキャナとすることができる。その代わりに、第2走査ミラーは共振ミラーとすることができる。第1走査ミラー14の光軸及び第2走査ミラー16の光軸は、二次元コリメート光走査を、レーザービーム13のラスタースキャン(水平走査)の形態で生成するように配置されている。第1走査ミラーと第2走査ミラーとの位置合わせは、直角、ほぼ直角にすることができ、あるいは、走査中継手段及び走査転送手段の周りに任意の走査形状を生成することができる。
【0057】
第2スキャナミラー16は、複数の、第2の一次元または二次元のコリメート光走査を行い、この発明の実施形態では、これらの走査は、レーザービーム13の、水平の一次元走査、垂直の一次元走査、あるいは任意の二次元パターンを含む。
【0058】
図2に、第1走査ミラー14の1回の振動によって生成される一次元走査におけるレーザービーム13の経路を例示する。経路Aは、回転の視点において、ガルバノミラー14から反射したレーザービームの例であり;経路Bは、回転の中間点において、第1走査ミラー14から反射したレーザービームの例であり、経路Cは、回転の終点において、第1走査ミラー14から反射したレーザービームの例である。
【0059】
こうして、第1走査ミラー14及び第2走査ミラー16が協働して、二次元のコリメート光走査を、ラスター走査パターンの形態で、空間24内の単一点から生成する。
【0060】
第1及び第2走査ミラー14、16は、振動の振幅及び振動の回転オフセットを含む動作パラメータを有する。これらの動作パラメータは、振動の速度も含む。これらの動作パラメータの両者を選択して、仮想点光源からの二次元コリメート光走査の方向及びパターンを制御することができる。
【0061】
第1及び第2スキャナ14、16は、網膜上の走査レーザービーム13のセンタリング(または離心率)を調整することができる回転マウント(図示せず)内に収容することができ、この回転マウントは、撮像視野を網膜全体にわたって「移動させる」能力を提供する。
【0062】
走査中継装置18は2つの焦点を有する。本明細書に記載する実施形態では、走査中継装置18が楕円面鏡であり、スリットミラーと称する。しかし、走査中継装置18は代わりの形態を有することができることは明らかである。
【0063】
第1走査ミラー14は、走査中継装置18の第1焦点に配置され、共振スキャナ16は、走査中継装置18の第2焦点に配置されている。
【0064】
走査転送装置20は、楕円面鏡の形態の非球面鏡とすることができ、そして主鏡と称することができる。主鏡20は2つの焦点を有する。本明細書に記載及び図示する実施形態では、主鏡20は、網膜上の垂直及び水平方向の両方に200度(即ち、200度×200度)の視野(外角)を提供するように構成されている。しかし、主鏡の走査転送装置は、大幅に小さいか大幅に大きい視野を、水平及び垂直方向の両方に提供するように構成することができることは明らかである。
【0065】
第2スキャナ16は、主鏡20の第1焦点に配置することもできる。被験者の眼球24は、主鏡20の第2焦点に配置される。
【0066】
こうして、レーザービーム13は、第1及び第2走査素子14、16、スリットミラー18、及び主鏡20を通して、被験者の眼球24に伝達される。上記走査型オフサルモスコープは、こうした被験者の網膜の走査を、眼球の散大していない2mmの瞳孔を通して行うことができる。しかし、SLOも、例えば8mmの散大した瞳孔を通して眼球の網膜の走査を行うことができることは明らかである。
【0067】
SLO10の構成要素は、上記仮想点光源が眼球の瞳孔に静止するように配置されている。このことは、被験者の眼球24の網膜からの反射光のビームが、SLO10の光路を通って戻るように伝達されることを補償する。この反射光を用いて、被験者の網膜の像を既知の方法で生成し、あるいは、OCTの場合は、サンプルアームの照射を、OCT干渉計に戻るように提供する。
【0068】
スリットミラー18及び主鏡20の離心率の良く考慮された一致は、完全な走査の直線性からの正常な偏差を提供する。眼球の光軸からの角度の関数としての対称な偏差は、網膜上の距離測定値のソフトウェアによる単純な補償、及び適切に認識可能な網膜表示の表現を可能にする。
【0069】
SLO10の構成要素は、第1スキャナ16の回転軸が主鏡20の2つの焦点を結ぶ直線25に略平行になるように配置することができ、これにより、レーザービーム13は、スリットミラー18の副軸全体にわたって走査される。さらに、仮想点光源からの二次元コリメート光走査を行うに当たり、第1走査ミラー14は、スリットミラー18上に入射する一次元または二次元走査を生成する。従って、スリットミラー18も一次元または二次元走査を生成する。SLO10の構成要素は、主鏡20の2つの焦点を結ぶ直線25が、スリットミラー18によって生成される一次元垂直走査によって規定される平面上に実質的に存在するように配置されている。こうした構成要素の配置は、多数の利点を提供する。
【0070】
光学コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)を用いて網膜像を捕捉することは既知である。このことは、照射源からの放射が参照ビームとサンプルビームとに分割される干渉計測技術である。サンプルビームは、撮像されるサンプルに向けて指向され、そして、反射(または透過)光が参照ビームと再結合される。結果的な干渉パターンが、基になる構造の像を形成することができる基礎を形成する。
【0071】
OCTは、一般に近赤外(NIR:near-infrared)放射と共に使用され、このことは、生物組織の表面下の撮像を可能にし、これは、例えば共焦点顕微鏡法のような他の非接触技術で実現することができる撮像の深度に比べて相対的に深い。
【0072】
狭視野走査型レーザー・オフサルモスコープと光学コヒーレンス・トモグラフィー機器とを組み合わせた概略図を、図3に示す。ここではOCT光学系が設けられ、OCT光学系は、OCTビームをSLOの光路内に投入する。
【0073】
超発光ダイオード(SLD)のような光源500をファイバ/干渉計ネットワーク502に指向させ、ファイバ/干渉計ネットワーク502は、OCTファイバ506及び分光計506を提供する。OCTファイバ506は、光をローカルOCTスキャナ514に指向させ、ローカルOCTスキャナ514は、例えば、X及びYの走査ミラーを含むガルバノメーターとすることができる。
【0074】
走査素子514は、照射を、ホットミラー518へ向けて指向させ、照射は、レンズボックスのような走査中継器520を通ってその先へ進み、さらに患者位置合わせ(アライメント)モジュール522を通って患者の眼球524へ進む。モジュール522は、光信号の投射により患者固定ターゲット(目標)を提供し、この光信号は、例えば可視のLED526及び固定LED528で構成することができる。
【0075】
ローカルなSLOは、スプリッタ508を経由したOCT照射からの戻り信号を用いて導出することができ、スプリッタ508は、この戻り照射をローカルSLOファイバ512内及び光検出器510に指向させ、光検出器510を用いて、詳細なSLO像をOCTの取得と組み合わせて生成することができる。
【0076】
図3のシステムは、ビームスプリッタ540、患者位置合わせカメラ542、及び光源544も具え、光源544は有機LEDまたは適切な代替品とすることができる。
【0077】
SLO像とOCT像との組合せは、反射による眼底撮像と網膜の構造撮像とを組み合わせて、総合的な診断能力を提供する。上記走査型レーザー・オフサルモスコープは、高解像度画像及び網膜トラッキングを、OCT走査前、OCT走査中、及びOCT走査後に提供し;視神経円板の周りの円形OCT撮像領域の位置を追跡して、OCT走査が正確に位置決めされることを保証することができる。そして、SLOは、患者の網膜の変化を測定するための追加検査中に同じ位置から走査が得られることを保証することができる。
【0078】
SLO共焦点眼底像及びOCT像は共に、同じ光学器を通して生成することができ、画素と画素を対応させることができ、このことは、精密なOCTの位置合わせ及び配向を保証する。
【0079】
広視野SLOシステムは、走査中継装置及び走査転送装置を具え、これらは例えば楕円面鏡とすることができる。これらの装置は収差を導入し、これらの収差は、像を得るために参照ビームとサンプルビームとの間で維持しなければならない種々のパラメータの正確な一致によるOCT能力の統合を妨げる。具体的には、走査角の関数としてのミラー光学器の曲率半径の変化が、網膜上に入射するビームの焦点特性の変化を生じさせて、横方向及び軸方向の分解能を低下させ、このことは、網膜構造の細部を解明する能力を大幅に低下させる。これに加えて、この曲率半径の変化は、戻りOCT光をOCTエンジン内に効果的に再結合させ、これにより戻りOCT光が参照アームと再結合して必要な干渉フリンジを生成する能力も低下させる。これに加えて、上記広角の走査は、入力及び戻りの偏光の変化を生じさせ、こうした変化は、サンプルアームと参照アームとを効果的に再結合するために補償しなければならない。これに加えて、広角の走査は、サンプルアーム内の光路長の大幅な変化も導入する。この変化を補正しなければ、範囲、従って視野が大幅に制限され、広視野撮像が不可能になる。
【0080】
本発明は、OCT撮像装置の、広視野走査型レーザー・オフサルモスコープシステム内への内蔵を提供する。このことは、広視野撮像システムの一部を形成する走査中継装置及び走査転送装置の光学収差を補償し、広視野走査全体にわたってサンプルアームの光路長変化を補償するように設計された補正メカニズムの内蔵によって実現される。
【0081】
例えば、図2に示す構成では、上記コリメート光源が、走査中継装置及び走査転送装置の楕円部分の主軸を通して走査される際に、このコリメート光源に収差が導入される。この収差は、一次フォーカル収差及び非点収差が支配的である。一般に、あらゆる非球面反射素子または広視野伝送系の使用が、必然的に、走査ビームに収差を導入する。
【0082】
OCT走査エンジンは、照射源、及び垂直及び水平走査手段を具え、これにより、この走査エンジンが二次元走査OCT光源を提供することができる。
【0083】
その代わりに、指向された一次元OCT光源を設けることができる。
【0084】
上記装置は、OCTサブシステムの仮想点光源が、SLO光源と共に、第2走査素子における同位置に配置されるように構成することができる。
【0085】
上記OCT撮像システムは、種々の異なる構成で提供することができる。選択肢のいくつかの例を図4、5及び6に図示し、これらの図は、図2に示す種類のSLOシステムと併合されたOCT撮像システムを示す。
【0086】
図4に、第1例の構成を例示し、ここではOCTビームとSLOビームとが、第1走査素子14の前方で結合される。この構成では、SLO照射源12、第1走査素子14、第2走査素子16、走査中継装置18、及び走査転送装置20が前のように設けられている。照射器12はレーザービーム13を放出することができる。これに加えて、OCT光学器900が設けられている。OCT光学器900は、ファイバで伝達されるOCT光源からのコリメートビームをOCT干渉計経由で提供し、これにより、放出されるビーム902がOCTサンプルビームを形成する。このOCT光学器はローカル走査光学器も含み、これにより、OCT走査点を、走査中継手段及び走査転送手段を通して患者の網膜に中継することができる。
【0087】
一例では、OCT光学器900用に使用される照射源が、超発光ダイオード(SLD)を具え、SLDは、例えばNIR-IRスペクトルのあらゆる領域上で動作することができる。その代わりに、OCT光学器用に使用される照射源は、掃引レーザー源またはパルスレーザー源とすることができる。
【0088】
この構成では、2D OCT走査システムが、第1走査素子14を介して走査中継装置18及び走査転送装置20を走査するように伝搬される。
【0089】
OCT走査システム内の光学系は、上記仮想点光源が第1走査素子14と同位置に配置されるようにOCT照射を伝搬する。次に、OCT照射を網膜の全体に指向させることができ、網膜の全体は、走査素子14,16の組合せによって対象とすることができ、あるいは、走査素子14、16の固定角設定によって、OCT照射を網膜の小部分に指向させることができる。
【0090】
さらに、対象とされた網膜の上記小部分を、2D OCT走査システム内の上記統合走査手段を介して撮像し、これにより、網膜の広視野の2D及び3D像用、あるいは目標の網膜の2Dまたは3D小部分用のユーティリティを提供することができる
【0091】
図5に、第2例の構成を示し、ここでは、第1走査素子14の後方であるが第2走査素子16の前方で、OCTビームとSLOビームとが結合される。この構成では、OCT照射が、走査中継装置18及び追加的光学素子1000を通して第2走査素子16に指向され、追加的光学素子1000は、例えばビームスプリッタとすることができる。
【0092】
光学的レイアウトは、上記仮想点光源が、走査転送装置20の1つの焦点に相当する第2走査素子16に位置するようにする。次に、OCT照射を網膜の全体に指向させ、網膜の全体は、走査素子16の回転によって、OCT光学器900内の光学素子の回転によって、あるいは、OCT光学アセンブリの回転によって、対象とすることができる。これに加えて、第2走査素子16、及びOCT光学器900内に統合されたOCT走査システムの固定角設定によって、OCT照射を網膜の小部分に指向させることができる。
【0093】
さらに、対象とする網膜の小部分を、2D OCT走査システム内に統合された走査手段によって撮像し、これにより、広視野の2D及び3D網膜像、あるいは目標とする網膜の2Dまたは3Dの小部分用のユーティリティを提供することができる。
【0094】
図6に、第3例の構成を示し、この例では、OCTビームとSLOビームとが上記走査素子上で直接結合される。この構成では、SLO像及びOCT像が網膜上の同一点上にある必要はない。OCT照射は第2走査素子16に直接結合され、これにより、上記仮想点光源は、走査転送装置20の1つの焦点に相当する第2走査素子16の所に位置する。この経路は、走査中継装置18及び第1走査素子14とは無関係である。
【0095】
次に、OCT照射を網膜の全体に指向させることができ、網膜の全体は、走査素子16の回転によって、OCT光学器900内の光学素子の回転によって、あるいはOCT光学アセンブリの回転によって対象とすることができる。これに加えて、第2走査素子16、及びOCT光学器900内に統合されたOCT走査システムの固定角設定によって、OCT照射を網膜の小部分に指向させることができる。
【0096】
さらに、対象とする網膜の小部分を、2D OCT走査システム内に統合された走査手段によって撮像し、これにより、広視野の2Dまたは3D網膜像、あるいは目標とする網膜の2Dまたは3Dの小部分用のユーティリティを提供することができる。
【0097】
上記構成の各々において、OCT照射は、走査中継装置18または走査転送装置20のいずれかまたは両方の楕円部分の一部分全体を走査するか、あるいはこの一部分に指向させることができる。換言すれば、OCT照射は、少なくとも1つの、一部の実施形態では少なくとも2つの非球面光学素子から反射しなければならない。
【0098】
入力OCT照射の焦点状態及び倍率は、上記楕円素子の主軸に沿った走査角の関数として系統的に変化する。種々の変化を列挙することができ、その各々が、画質に対する特有の影響を有する。
【0099】
第1に、網膜上の焦点を維持すべきである。スポット径が増加するに連れて、信号が急速に低下するので、このことを考慮すべきである。
【0100】
第2に、網膜信号(即ち、被験者の網膜から反射して戻り、画像データの基礎を形成する照射)を、OCTシステムに適正に戻して結合すべきである。即ち、戻り信号のコリメーションを、OCTファイバ・コリメータ上に入射する際に維持して、ビームがこのファイバ上に正確に焦点を結んで、干渉計に伝送されるようにすべきである。戻り光を信号経路内に再結合する前に、戻りビームにおける収差が補償されなければ、信号は急速に低下する。
【0101】
第3に、網膜をOCTシステムの深度範囲内に保たなければならない。このことは、空間領域内でのOCT撮像にも、掃引光源(時間領域及び符号化された周波数領域)OCTにも当てはまる。
【0102】
第4に、(計測器類、及び検査中の患者の網膜の)複数の反射面、及び、ビームの走査の結果として生じる急速に変化する入射角が、位相が変化する影響、及び/または、偏光が変化する影響をもたらす。こうした偏光/位相の変化は、OCTシステムのサンプルビームと参照ビームとの干渉を無効にすることがあり、この干渉は、画像を再生するために必要である。
【0103】
第5に、システム全体の倍率が、走査視野の関数として変化し、このことは、角膜のスポットサイズを変化させ、従って、網膜のスポットサイズを変化させ、従って、OCTシステムの分解能を変化させる。
【0104】
これに加えて、網膜OCTの最適な横方向分解能を提供するために、照射系の実現に当たりトレードオフが存在する。一般に、角膜におけるスポットサイズが大きいほど、網膜面内のスポットサイズが小さくなる。しかし、上述した光学系を通した広視野撮像の関係では、角膜面におけるビーム径が大きいほど、走査転送手段、あるいは楕円面主鏡の面におけるビーム径も大きくなることを意味する。ミラーの楕円形状に起因して、スポットサイズが大きくなるに連れて、ビームはより大きな収差をもたらす。こうした収差の補正は、より大きなスポットサイズの利点を可能にし、従って、空間分解能の増加を可能にする。
【0105】
広視野SLOシステムと統合されたOCTシステムのあらゆる実際用途向けに、これらの課題の1つ以上を解決するか、少なくとも部分的に解決する必要がある。
【0106】
こうした本発明は収差補償器を提供し、この収差補償器は、OCTの参照ビーム及びサンプルビームが広視野SLO撮像システムを通る際に、これらのビームの完全性を保証する。収差補償器とは、単一の素子または素子の複合系のいずれをも包含することを意図している。その機能素子は、光路に沿った1点に配置するか、異なる点に分布させることができる。
【0107】
この収差補償器は、照射光源の波面を走査と同期して変化させるための波面符号化手段を具えることができる。
【0108】
この波面符号化手段を用いて、(OCTビームの)焦点を網膜上に維持して、網膜信号がOCTシステムに適正に戻って結合されることを保証することができる。この波面符号化手段は、OCT光学器900の照射源と第2走査ミラーとの間に設けることができる。
【0109】
1つの実施形態によれば、この波面符号化手段は、照射源を設けた可変焦点素子を具えるか、可変焦点素子を照射源の所に具えて、この照射源が放出する照射の制御を行うことができる。
【0110】
この可変焦点素子は、電磁界の選択的印加によって焦点状態を制御することができる液体レンズ、適応素子の選択的ストロークによって焦点状態を制御することができる適応レンズ、あるいはレンズ素子の相対的位置決めによって焦点状態が制御される可変位置のレンズまたはレンズ系とすることができる。レンズ調整メカニズムは、圧電アクチュエータまたは他の等価物のような適切なアクチュエータによって駆動することができる。
【0111】
代案実施形態では、可変位置レンズ系が個別のレンズ素子を具えることができ、これらのレンズ素子は、液体レンズまたは適応レンズの一方または他方とすることができる。入力ビームの焦点及び倍率を、SLO/OCT装置の走査に同期して変化させることができる限り、素子のあらゆる可能な組合せを含めることができる。
【0112】
さらに、上記波面符号化手段は、入力波面を変化させて焦点制御及びより高次の収差を補償するための素子を具えることもできる。この素子は、空間光変調器(SLM:spatial light modulator)または他素子の適応光学面とすることができ、これにより、入力ビームが調整されて、走査中継器からの収差が走査に同期して補償される。
【0113】
走査中継器からの収差は、中継形式の関数であり、既知である。このため、波面符号化手段の制御は、フレーム走査における所定位置に対して要求される制御パラメータを含むルックアップ・テーブル(早見表)によって生成することができる。
【0114】
その代わりに、上記波面符号化手段は、閉ループ系によって制御することができ、これにより、フリンジの視認性または干渉計測データ信号を最大にするように波面が最適化される。
【0115】
上記制御パラメータのルックアップ・テーブルは、コンピュータ・プログラム、あるいはデジタルシグナルプロセッサのような組込みソリューション(解決策)によって適用することができ、こうしたルックアップ・テーブルを用いて、収差補償用の角度依存性の制御信号を発生することができる。例えば、この信号は、動的レンズを駆動するための電圧信号、レンズ変位を駆動するためのステッパモータ信号、あるいは適応補正ソリューションを駆動するためのマルチアクチュエータ信号を含むことができる。
【0116】
図7に、本発明の実施形態の動作を例示し、ここで、ビームがファイバ伝達1200を介してシステム内に導入され、レンズ1201においてコリメートされる。素子1202は、液体レンズ構成要素であり、走査システム内に導入されるビームの焦点状態を制御する。素子1203は倍率段であり、入力ビームの固定または可変の倍率を、走査システムに先んじて提供することができる。次に、入力ビームが、ミラー1204を介して走査システムに指向され、ミラー1204は、固定ミラーとすることができ、あるいは、多素子の変形ミラー、多セグメント駆動の膜ミラー、あるいは空間光変調器のような収差補償器とすることができる。次に、ビームは2D走査システム1205上に渡され、素子1206を経由して広視野中継器1207に導入され、広視野中継器1206はミラーまたはダイクロイック素子とすることができる。
【0117】
これに加えて、上記収差補償メカニズムは、OCT参照アームの光路長を、走査に同期した様式で変化させる手段を含むことができる。変化する光路長は、網膜をOCTシステムの深度範囲内に保つことができることを意味するので、このことは、信号の完全性を、網膜の超広視野全体にわたって保証する。
【0118】
使用されるオフセット経路長は、超広視野像内の選択した走査領域に依存し得る。即ち、システム関係の経路長変化が存在し得る。
【0119】
走査中に経路長を自動的に変化させて、走査対象物(網膜)全体にわたって経路長変化を補償する手段を設けることもできる。このことは、自由空間光路を参照アーム内に導入することによって実現することができ、自由空間光路の経路長は、連続または離散運動ステージの使用によって調整される。例えば、ファイバの参照アームをコリメータに適合させて、自由空間ビームを逆反射器に伝搬させ、この逆反射器は、このビームを、このコリメータ経由で上記参照ファイバに戻す。コリメータまたは逆反射器のいずれの光軸上の動きも、参照アームの経路長全体に変化をもたらす。
【0120】
参照アーム内のビーム経路長は、上記自由空間ビーム経路内に設定された屈折プリズムの回転によって、あるいはその代わりに、開いたビーム経路内に可変キャビティを形成する一連の調整可能なミラーによって変化させることができる。追加的な代案として、参照ビームを、各々が別個の経路長を有する一連のビーム経路内の所定のビーム経路に通して、所定の走査位置においてサンプルアームの経路長にリンクされる選択可能な参照アーム長を提供することができる。
【0121】
参照アームの経路長は網膜内の経路長に一致させなければならず、網膜内の経路長は、網膜物体の曲率に起因して、走査時間全体にわたって変化する。参照アームの動きはルックアップ・テーブルによって制御することができ、このルックアップ・テーブルは、走査角に応じた経路長値を実現し、従ってサンプルアームの経路長を実現する。このルックアップ・テーブルは、理論的な眼球モデルから導出された値に固定することができ、あるいは、特定の患者の処方に応じて可変にすることができる。
【0122】
これに加えて、上記収差補償メカニズムは可変位相遅延段を含むことができる。
【0123】
フリンジ・コントラストを最大にし、従って、信号を最大にするためには、OCTシステムの干渉計において、参照アーム内及び対象物アーム内の光の偏光(又は位相)を一致させることが重要である。光学走査システムの位相効果、及び眼球の位相効果も、走査角の関数として、対象物アームの偏光状態を変化させる影響を与える。
【0124】
簡単のため、位相遅延段を参照アーム上に実現して、対象物アームの入力光路内にこうしたメカニズムが入り込むことを回避することが好ましい。しかし、このことは対象物アーム上でも参照アーム上でも実現することができる。
【0125】
上記可変位相遅延段は、波長板または一連の波長板を具えることができる。例えば、回転ステージまたは電動ステージによるこうした波長板の個別調整は、既知の位相変化を、この波長板を通って伝搬するビームに導入する。このことは、自由空間ビーム内に光路長制御システムの一部として実現することができる。
【0126】
可変位相遅延段の他の実施形態は、ソレイユバビネ型補償器であり、これは、補償器上に装着された複屈折ウェッジ及び固定ウェッジを具え、この補償器は、ウェッジ要素の互いに対する調整によって位相遅延の連続変化を可能にし、これにより、複屈折物質を通る経路長が変化する。
【0127】
可変位相遅延段の他の実施形態は、ストレス誘導型複屈折コントローラであり、これにより、ファイバ上の可変の機械的応力が、可変の度合いの複屈折を導入し、従って位相遅延を導入する。
【0128】
図8に、図4、5及び6に例示するSLO光学系12及びOCT光学系900に適したレイアウトの例を示す。超発光ダイオード(SLD)のような光源1300を、ファイバ/干渉計ネットワーク1302に指向させ、ファイバ/干渉計ネットワーク1302は、(可変経路長制御兼位相遅延段を含む)参照アーム1303、対象物アームOCTファイバ1306への出力、及び干渉計1304への結合信号を供給する。OCTファイバ1306は、光を、ビーム収差制御メカニズム1316を通してローカルOCTスキャナ1314へ指向させ、ローカルOCTスキャナ1314は、例えば、MEMSスキャナまたはガルバノメーター・スキャナ(「ガルボ(Galvo)」)とすることができ、ビーム収差制御メカニズム1316は、例えば、液体レンズ、空間光変調器、または適応波面コントローラとすることができる。走査素子1314は、照射を、ホットミラー1318(IR遮断ミラー)へ向けて指向させ、照射は、第2走査素子1319を経由し走査中継器1320を通って進み、眼球1324へ向かう。
【0129】
また、光信号の投射によって患者固定目標を提供する患者位置合わせモジュールまたはPAM(patient alignment module)1322は、例えば、可視LED1326とすることができる。これに加えて、ビームスプリッタ1308を経由したOCT照射からの戻り信号を用いて、ローカルなSLOを導出することができ、ビームスプリッタ1308は、この戻り照射を、ローカルSLOファイバ1312内及び光検出器1310に指向させ、光検出器1310を用いて、詳細なSLO像をOCTの取得と組み合わせて生成することができる。最後に、図8のシステムは、超広視野SLO経路が用いる第1走査素子1328を光学素子1332と共に具え、光学素子1328は例えばレンズとすることができる。
【0130】
上述したシステムでは、OCT像自体を広視野像とすることができ、この広視野像は、広視野SLO像の全範囲まで拡張することができることは明らかである。広視野網膜の関係範囲内で、対象とするOCT像を取得することもできる。両者の場合に、収差補償器は、OCTシステムを広視野の関係範囲内に統合することを可能にする。
【0131】
本発明の精神及び範囲を逸脱することなしに、以上のことに修正及び改良を加えることができる。例えば、角倍率を調整すべく楕円中継器の倍率を調整して、いずれかのスキャナの機械的走査角の低下を補償することができる。
【0132】
また、以上では、楕円面の結合ミラー18、20を説明し図示してきたが、撮像システムの離散波長が与えられるものとすれば、鏡面または従来のレンズ中継器のない回折素子のような他の結合素子を用いることができることは明らかである。ミラーは、屈折性コーティングによる着色効果を低減するので、より良好である。
【0133】
また、以上では、SLO10を、中継装置(スリットミラー18)を含むものとして説明し図示してきたが、この素子は不可欠ではなく、SLO10が、この素子なしで上述したのと同じ利点を提供することができることは明らかである。この構成要素を取り除けば、SLO内でレーザービームを「傾斜」させることが必要になり、このことは、得られる像に対するいくらかのせん断効果を生じさせる。しかし、こうしたSLOは、まだ、上記仮想点光源から二次元走査を、より大きな領域62(即ち網膜)に対するこの仮想点光源の位置及び選択した動作パラメータにかかわらず、提供することができる。
【0134】
さらに、以上では、第1及び第2走査素子14及び16を、それぞれガルバノミラー及び共振スキャナとして説明し図示してきたが、レーザーライン光源または等価物により生成されるライン走査のような他の適切な走査素子を用いることができることは明らかである。ライン走査は、点走査の有効な代替として用いることができる。ここでは、ライン光源がライン照射を網膜上に生成し、このライン照射は低速スキャナによって直角に走査される。このライン照射は、リニア画素アレイによって指向され、この低速スキャナを回転させることによって2D像が形成される。
【0135】
また、以上では、スリットミラー18を、2つの焦点を有する楕円面鏡として説明してきたが、上記走査中継装置は他の形態をとることができることは明らかである。例えば、走査中継装置は、楕円鏡、一対のパラボラ鏡、一対の放物面鏡、あるいは、これらの構成要素の任意の組合せを具えることができる。これらの構成要素の構成のあらゆるものによって提供される共通の技術的特徴は、走査中継装置が2つの焦点を具え、一次元のコリメート光走査を行うことにある。
【0136】
楕円形の構成要素を走査中継装置内に用いる場合、円柱レンズのようなビーム補償素子を設けることも必要になり得る。
【0137】
さらに、上述したSLO10の構成は、スリットミラー18の第1焦点に配置されたガルバノミラー14、及びスリットミラー18の第2焦点に配置された共振スキャナ16を有するが、ガルバノミラー14及び共振スキャナ16の位置は、SLO10の動作に悪影響することなしに交換することができることは明らかである。
【0138】
さらに、ガルバノミラー14は、レーザービーム13の垂直走査を行うものとして上述し、共振スキャナ16は水平走査を行うものとして上述してきたが、これら2つの素子の回転軸及び振動を交換して、ガルバノミラー14がレーザービーム13の水平走査を行い、共振スキャナ16が垂直走査を行うことができることは明らかである。従って、上記第2走査素子の回転軸は、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線に略平行にすることができ、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線は、上記走査中継装置によって生成される一次元コリメート光走査によって規定される平面上に実質的に存在することができ;あるいは、上記第2走査素子の回転軸は、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線に略垂直にすることができ、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線は、上記走査中継装置によって生成される一次元コリメート光走査によって規定される平面に略垂直にすることができる。
【0139】
これに加えて、上記本発明の実施形態は、120度の光学走査を提供するものとして説明してきたが、オフサルモスコープ10は、より小さい角度またはより大きい角度の光学走査を提供するように構成することができることは明らかである。上述したように、このことは、例えば、スリットミラー18におけるレーザービーム13で走査される部分の選択を変化させることによって実現することができる。
【0140】
また、上記走査転送装置は楕円鏡を具えることができる。上記走査転送装置は、一対のパラボラ鏡を具えることができる。上記走査転送装置は、一対の楕円面鏡を具えることができる。
【0141】
また、上記第2走査素子の回転軸は、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線から約5度以内にすることができる。上記第2走査素子の回転軸は、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線から約2度以内にすることができる。上記第2走査素子の回転軸、及び上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線は、上記走査型オフサルモスコープの1つ以上の構成要素の選定した離心率に依存する平行度を有することができる。上記第2走査素子の回転軸、及び上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線は、上記走査型オフサルモスコープのユーザが、このオフサルモスコープによって生成される網膜の像内のシアー(せん断)の許容可能なレベルに応じて定めた平行度を有することができる。
【0142】
また、上記第1走査素子の回転軸は、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線から約5度以内にすることができる。上記第1走査素子の回転軸は、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線から約2度以内にすることができる。上記第1走査素子の回転軸、及び上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線は、上記走査型オフサルモスコープの1つ以上の構成要素の選定した離心率に依存する平行度を有することができる。上記第1走査素子の回転軸、及び上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線は、上記走査型オフサルモスコープのユーザが、このオフサルモスコープによって生成される網膜の像内のシアーの許容可能なレベルに応じて定めた平行度を有することができる。
【0143】
さらに、上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線は、上記走査中継装置によって生成される一次元コリメート光走査によって規定される平面から5度以内にすることができる。上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線は、上記走査中継装置によって生成される一次元コリメート光走査によって規定される平面から約2度以内にすることができる。上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線と、上記走査中継装置によって生成される一次元コリメート光走査によって規定される平面とは、上記走査型オフサルモスコープの1つ以上の構成要素の選定した離心率に依存する一致度を有することができる。上記走査転送装置の2つの焦点を結ぶ直線と、上記走査中継装置によって生成される一次元コリメート光走査によって規定される平面とは、上記走査型オフサルモスコープのユーザが、このオフサルモスコープによって生成される網膜の像内のシアーの許容可能なレベルに応じて定めた一致度を有することができる。
【0144】
また、以上には例示していないが、図5の随意的なステップでは、網膜を軸方向に走査して、三次元画像を生成することができる。
【0145】
さらに、以上では、上記第1及び第2走査素子を振動ミラーとして説明し例示してきたが、上記第1及び第2走査素子がライン走査素子を具えることができることは明らかである。上記ライン走査素子はレーザー・ラインスキャナを具えることができる。このレーザーラインは、回折光学素子、円柱レンズ、あるいは他のレーザーラインを生成する他の既知の手段によって発生することができる。
【0146】
また、以上では、上記走査素子を、上記仮想点光源からの二次元コリメート光走査の方向を制御することを可能にする動作パラメータを有するものとして説明してきたが、上記走査素子がライン走査素子(例えば、レーザー・ラインスキャナ)である場合、これらの動作パラメータは、上記仮想点光源からの二次元コリメート光走査の寸法(即ち、水平/垂直)を調整するように操作可能である。このことは、走査領域のサイズ及び位置を調整することを可能にし、従って、走査領域を網膜の周りで効果的に「移動させて」、その像のモンタージュを得ることを可能にする。なお、ライン走査素子を使用する場合、現在技術において既知であるように、方向及びAOレイアウト・アーキテクチャも修正されることが重要である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8