特許第6294339号(P6294339)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294339
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/04 20060101AFI20180305BHJP
   D06F 23/06 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   D06F39/04 Z
   D06F23/06
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-543675(P2015-543675)
(86)(22)【出願日】2013年10月25日
(86)【国際出願番号】JP2013079002
(87)【国際公開番号】WO2015059824
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓之
(72)【発明者】
【氏名】馬場 義一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 賢司
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−068807(JP,A)
【文献】 特開2002−315985(JP,A)
【文献】 特開2006−006970(JP,A)
【文献】 特公昭48−022436(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/04
D06F 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜め上側に延びる中心軸を有する有底円筒状であり、洗濯物を収容して前記中心軸を中心に回転可能な回転ドラムであって、前記中心軸に沿った斜め上側の端部に、洗濯物を出し入れするための開口部が設けられ、前記中心軸に沿った斜め下側の端部に、底部が設けられた回転ドラムと、
前記回転ドラムを収容し、内部に水が溜められる外槽と、
前記外槽内における前記回転ドラムの底部の下方で水平方向に沿って配置されるように前記外槽に取り付けられ、前記外槽内の水を加熱するためのヒータと、
前記外槽に設けられ、前記ヒータにおいて前記外槽に対する取り付け方向における下流側の先端部を保持する保持部と、
を含み、
前記保持部は、横方向に離れて配置された一対の受入部材を含み、
各前記受入部材は、相手の受入部材側へ折れ曲がって受入溝が形成された第1折曲部を含み、
一対の前記受入部材の前記受入溝同士は、横方向から対向し、互いに離れる方向へU字状に窪んで前記第1折曲部を切り欠いており、
前記保持部の上部には、各前記第1折曲部の上端部から折れ曲がって前記取り付け方向における上流側へ突出し、前記外槽に取り付けられる前記ヒータの先端部を前記受入溝に誘い込むための返り部が設けられていて、
前記外槽の内面には、前記底部側から前記開口部側へ向かうのに従って前記回転ドラムの下側外周面から下側へ離れるように前記下側外周面に対して傾斜する傾斜面が設けられており、
前記傾斜面には、前記保持部が固定される固定部が設けられていて、
前記固定部において前記開口部側の端面には、前記保持部を前記固定部に固定するねじが組み付けられるねじ穴が形成されていることを特徴とする、洗濯機。
【請求項2】
前記外槽内の最下部において平面視で前記ヒータから外れた位置に、前記外槽内の水を排出するための排水口が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ヒータに備えられ、前記排水口に接近して配置された温度センサーを含むことを特徴とする、請求項2記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯機は、筐体内に斜めに配置された洗濯水槽を備えている。洗濯水槽は、洗濯時に水を溜めるための外槽と、外槽内に回転自在に収容された回転ドラムとを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−165701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗濯機において、外槽内の水をヒータで加熱して温水とし、温水によって洗濯物を効果的に洗濯することが想定される。このように外槽内の水を加熱するためのヒータを備える場合において、当該ヒータに関する不具合を防止することが望まれる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、外槽内に溜まった水を加熱するためのヒータに関する不具合を防止することができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、斜め上側に延びる中心軸を有する有底円筒状であり、洗濯物を収容して前記中心軸を中心に回転可能な回転ドラムであって、前記中心軸に沿った斜め上側の端部に、洗濯物を出し入れするための開口部が設けられ、前記中心軸に沿った斜め下側の端部に、底部が設けられた回転ドラムと、前記回転ドラムを収容し、内部に水が溜められる外槽と、前記外槽内における前記回転ドラムの底部の下方で水平方向に沿って配置されるように前記外槽に取り付けられ、前記外槽内の水を加熱するためのヒータと、前記外槽に設けられ、前記ヒータにおいて前記外槽に対する取り付け方向における下流側の先端部を保持する保持部と、を含み、前記保持部は、横方向に離れて配置された一対の受入部材を含み、各前記受入部材は、相手の受入部材側へ折れ曲がって受入溝が形成された第1折曲部を含み、一対の前記受入部材の前記受入溝同士は、横方向から対向し、互いに離れる方向へU字状に窪んで前記第1折曲部を切り欠いており、前記保持部の上部には、各前記第1折曲部の上端部から折れ曲がって前記取り付け方向における上流側へ突出し、前記外槽に取り付けられる前記ヒータの先端部を前記受入溝に誘い込むための返り部が設けられていて、前記外槽の内面には、前記底部側から前記開口部側へ向かうのに従って前記回転ドラムの下側外周面から下側へ離れるように前記下側外周面に対して傾斜する傾斜面が設けられており、前記傾斜面には、前記保持部が固定される固定部が設けられていて、前記固定部において前記開口部側の端面には、前記保持部を前記固定部に固定するねじが組み付けられるねじ穴が形成されていることを特徴とする、洗濯機である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記外槽内の最下部において平面視で前記ヒータから外れた位置に、前記外槽内の水を排出するための排水口が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の洗濯機である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記ヒータに備えられ、前記排水口に接近して配置された温度センサーを含むことを特徴とする、請求項2記載の洗濯機である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、洗濯機では、回転ドラムが、その中心軸が斜め上側に延びるように、水平方向に対して斜めに配置されている。回転ドラムでは、斜め上側の端部に開口部が設けられ、斜め下側の端部に底部が設けられている。このような回転ドラムを含む洗濯機において、回転ドラムを収容する外槽には、外槽内に溜まった水を加熱するためのヒータが取り付けられている。
【0012】
このヒータは、外槽内において、回転ドラムの底部の下方で水平方向に沿って配置されている。つまり、外槽内の水位が低くても、ヒータは、外槽内の水面から上側にはみ出ないよう(外槽内の水に完全に漬かるように)に配置されているので、空焚きによるヒータの故障(ヒータに関する不具合)を防止することができる。また、外槽に設けられてヒータの先端部を保持する保持部の上部には、返り部が設けられていて、ヒータが外槽に取り付けられる際、返り部は、ヒータの先端部を保持部の受入溝に誘い込む。これにより、保持部によってヒータの先端部が保持されないという不具合を防止できる。また、外槽の内面には、回転ドラムの下側外周面から下側へ離れるように当該下側外周面に対して傾斜する傾斜面が設けられているので、保持部が固定される固定部を、この傾斜面の傾斜を利用して設けることができる。詳しくは、固定部を、傾斜面の傾斜方向と交差する方向へ向けて傾斜面から突出するように、傾斜面における任意の位置に設けることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、外槽の排水口には、糸くずなどのごみがたまりやすいが、排水口は、外槽内の最下部において平面視でヒータから外れた位置に設けられているので、排水口のごみがヒータに付着するという不具合を防止できる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、排水口の周囲には、排水口へ向かう水の流れが発生するので、ヒータに備えられた温度センサーを排水口に接近して配置することによって、温度センサーに付着した洗剤かす等の汚れを当該水の流れによって洗い落とすことができる。これにより、ヒータの温度センサーが汚れるという不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1を斜め前方から見た斜視図である。
図2図2は、洗濯機1の縦断面左側図である。
図3図3は、図2のA−A矢視図である。
図4図4は、図2のB−B矢視図である。
図5図5は、図4のC−C矢視図である。
図6図6は、洗濯機1におけるヒータ9の周辺部の縦断面を左斜め後方から見た図である。
図7図7は、図4のD−D矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
【0019】
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1を斜め前方から見た斜視図である。図2は、洗濯機1の縦断面左側図である。図3は、図2のA−A矢視図である。図4は、図2のB−B矢視図である。
【0020】
なお、以下の実施形態では、図1に示すように洗濯機1を正面側から見たときと基準として、洗濯機1の方向を特定する。つまり、図1における紙面手前側は、洗濯機1の正面側(前側)であり、図1における紙面奥側は、洗濯機1の背面側(後側)である。また、図1における左右方向(横方向)は、洗濯機1の左右方向と一致していて、図1における上下方向(縦方向)は、洗濯機1の上下方向と一致している。
【0021】
この実施形態における洗濯機1として、洗濯後の洗濯物を乾燥させる機能を有するドラム式洗濯乾燥機を想定している。そのため、洗濯機1では、洗濯工程(洗い工程、すすぎ工程および脱水工程)と、乾燥工程とが実行される。ただし、洗濯機1は、乾燥機能を省いたドラム式洗濯機であってもよい。
【0022】
図1に示すように、洗濯機1は、縦長の筐体2を有している。
【0023】
筐体2の前面の上端部には、操作パネル3が設けられている。操作パネル3には、液晶の表示器4と、各種のボタン5等とが設けられている。表示器4には、必要な情報が表示される。ユーザは、ボタン5を操作することによって、洗濯機1の動作条件を設定したり、洗濯機1の動作を開始したり停止したりすることができる。
【0024】
筐体2の前面において、操作パネル3の下側には、扉6が設けられている。扉6は、後側へ向かって縮径される略円錐台形状である(図2も参照)。筐体2において扉6に対する左右のどちらかには、ヒンジ(図示せず)が設けられており、扉6は、ヒンジを介して筐体2に連結されている。扉6は、ヒンジを中心に回動することで、開閉自在である。図1の扉6は閉じた状態にあり、図1の状態の扉6を正面側へ引くと、扉6が開く。
【0025】
図2に示すように、洗濯機1は、筐体2内に、回転ドラム7と、外槽8と、ヒータ9とを主に含んでいる。
【0026】
回転ドラム7は、斜め上側に延びる中心軸10を有する有底円筒状であって、その内部に洗濯物を収容することができる。つまり、回転ドラム7は、水平方向Hに対して斜めに配置されたいわゆる斜めドラム構造をなしている。回転ドラム7は、中心軸10と同心状をなす略円筒状の円周壁11と、円周壁11の後端に接続されて円周壁11の中空部分を後側から塞ぐ円板状の底壁12とを一体的に含んでいる。円周壁11では、前端部が前側へ向けて徐々に縮径されていて、円周壁11の内周面における前端縁が、回転ドラム7に設けられた円形状の開口部13を構成している。開口部13は、回転ドラム7において、中心軸10に沿った斜め上側の端部に設けられている。開口部13を介して、回転ドラム7内に洗濯物を出し入れすることができる。円周壁11において底壁12に接続された部分と底壁12とは、回転ドラム7において中心軸10に沿った斜め下側の端部に設けられた底部14を構成している。
【0027】
外槽8は、回転ドラム7より一回り大きい有底円筒状であって、複数のダンパ(図示せず)を介して筐体2によって弾性支持されている。外槽8は、略円筒形状であって、その中心軸は、回転ドラム7の中心軸10と一致している。外槽8は、中心軸10と同心状をなす略円筒状の円周壁15と、円周壁15の後端に接続されて円周壁15の中空部分を後側から塞ぐ円板状の底壁16を一体的に含んでいる。外槽8の内部には、底壁16側から水(水道水や、風呂水や、洗剤が溶けた水も含む)が溜められる。
【0028】
円周壁15は、前後に分割された複数の部品を組み合わせることで構成されてもよい。円周壁15では、前端部が前側へ向けて階段状に縮径されていて、円周壁15の内周面における前端縁が、外槽8に設けられた円形状の出入口17を構成している。出入口17は、回転ドラム7の開口部13に対して同軸状で前から対向し、連通している。外槽8には、出入口17を全周に亘って縁取りつつ前側へ突出する環状のパッキン18が取り付けられている。パッキン18が、閉じた状態の扉6に密着することによって、扉6と外槽8の前端縁との間を密封するので、外槽8内の水が出入口17の外へ漏れ出すことを防止できる。扉6を開くと、開口部13および出入口17が前方に開放されるので、開口部13および出入口17を介して回転ドラム7内に洗濯物を出し入れすることができる。
【0029】
底壁16の背面には、モータ19(たとえばDDモータ)が取り付けられており、モータ19の出力軸19Aは、底壁16の円中心部分を貫通して、外槽8内で中心軸10に沿って前上側へ突出している。
【0030】
外槽8は、その内部に回転ドラム7を同軸状で収容している。回転ドラム7の底壁12の円中心部分には、モータ19の出力軸19Aが連結されている。モータ19が駆動されると、回転ドラム7は、中心軸10を中心に回転可能である。なお、回転ドラム7の円周壁11および底壁12の少なくとも一方には、複数の貫通孔(図示せず)が形成されており、回転ドラム7の中空部分と外槽8の中空部分(回転ドラム7の中空部分以外の部分)とは、当該貫通孔を介して連通している。そのため、外槽8に溜まった水は、回転ドラム7と外槽8との間で行き来することができる。
【0031】
また、外槽8の内面8A(厳密には、円周壁15の下側内周面15A)において、回転ドラム7の下側外周面7A(円周壁11の下側外周面でもある)の略後半分領域に対して真下から対向する位置には、下側外周面7Aに対して傾斜する傾斜面8Bが設けられている。詳しくは、円周壁15の下側内周面15Aの略後半分の領域には、下方へ一段窪む凹み20が形成されており、凹み20の底面が、前述した傾斜面8Bとなっている。傾斜面8Bは、回転ドラム7の底部14側から開口部13側(前上側)へ向かうのに従って回転ドラム7の下側外周面7Aから下側へ離れるように下側外周面7Aに対して傾斜している(図3も参照)。傾斜面8Bは、下側外周面7Aに対して傾斜しているが、実際は、水平方向Hに沿った平坦面である(図3も参照)。傾斜面8Bが、外槽8内における最下部となっている。そのため、外槽8に溜まる水は、傾斜面8B側から溜まっていく。傾斜面8Bにおいて、左奥側の隅には、排水口40が設けられている(図4参照)。外槽8内の水は、排水口40から機外に排出される。
【0032】
次に、ヒータ9について説明する。
【0033】
図5は、図4のC−C矢視図である。図6は、洗濯機1におけるヒータ9の周辺部の縦断面を左斜め後方から見た図である。図7は、図4のD−D矢視図である。
【0034】
ヒータ9は、外槽8内の水を加熱するためのものである。外槽8内の水がヒータ9によって加熱されて温水となると、回転ドラム7内の洗濯物を当該温水によって効果的に洗濯することができる。つまり、洗濯機1では、温水洗浄により、洗濯物の洗浄力を上げることができる。
【0035】
図4を参照して、ヒータ9は、平面視で略U字状をなす本体部21と、本体部21の略U字状における2つの端部21Aに接続された横長ブロック状のベース部22とを含んでいる。略U字状の本体部21において2つの端部21Aの間で湾曲している部分が、ヒータ9の先端部9Aある。先端部9Aは、前側へ膨出する円弧状である。各端部21Aには、コード23が接続されている(図5も参照)。コード23には、洗濯機1に内蔵された制御装置(図示せず)が電気的に接続されている。ヒータ9では、本体部21が、コード23経由で制御装置から電力や制御信号が供給されることによって、発熱する。ヒータ9として、いわゆるシーズヒータを用いることができる。
【0036】
図5を参照して、ヒータ9は、外槽8の円周壁15の下側内周面15Aにおける凹み20内に配置されている。ここで、外槽8の底壁16において、凹み20の底面(前述した傾斜面8B)に隣接した下端部には、底壁16を前後に貫通する挿通孔24が形成されている。挿通孔24は、ヒータ9のベース部22がちょうど嵌まり込める形状および大きさを有している。ヒータ9は、全体が水平方向H(傾斜面8B)に沿った(上下に扁平となった)姿勢で、先端部9Aが最初に挿通孔24を通過するように、外槽8に対して取り付けられる。つまり、外槽8に対するヒータ9の取り付け方向Xは、水平方向Hに沿った前側(図5における右側)である。
【0037】
また、取り付け方向Xを基準とすると、ヒータ9の先端部9Aは、取り付け方向Xにおける下流側端部である。ここで、外槽8の傾斜面8Bには、外槽8に取り付けられたヒータ9の先端部9Aを保持する保持部25が設けられている。
【0038】
図6を参照して、保持部25は、金属板を折り曲げることによって構成されており、一対の受入部材26と、返り部27とを一体的に含んでいる。なお、保持部25は、金属製であるので、ヒータ9の熱で溶けることはない。一対の受入部材26は、左右方向に離れて配置されている。各受入部材26は、左右方向から見て略三角形状をなす本体部28と、本体部28の後端部を相手の受入部材26側へ折り曲げることで構成された第1折曲部29と、本体部28の前端部を相手の受入部材26とは反対側へ折り曲げることで構成された第2折曲部30とを一体的に含んでいる(図4も参照)。第1折曲部29の上下方向途中には、本体部28側(前述した反対側)へ第1折曲部29を略U字状に切り欠く受入溝31が形成されている。一対の受入部材26の受入溝31同士は、左右方向から対向していて、互いに離れる方向へ略U字状に窪んでいる(図3も参照)。返り部27は、上下に薄い板状であって、一対の受入部材26のそれぞれに設けられている。各受入部材26において、返り部27は、第1折曲部29の上端部から略直角に折れ曲がり、第1折曲部29よりも後側(図6における左側)へ水平に延びている。つまり、返り部27は、保持部25の上部に設けられ、取り付け方向Xにおける上流側へ突出している。
【0039】
なお、一対の受入部材26の返り部27同士は、一体化されていてもよい。そうすれば、一対の受入部材26同士が一体化される。返り部27同士が一体化されていない場合には、一対の受入部材26は、別の部材(図示せず)が一対の受入部材26間に架設されることによって一体化されている。
【0040】
保持部25に関連して、外槽8の傾斜面8Bの途中(厳密には、前側寄りの位置)には、固定部32が設けられている。固定部32は、保持部25の一対の受入部材26と同数(つまり一対)設けられたボスである。一対の固定部32は、左右に離れて配置されている。各固定部32は、回転ドラム7の下側外周面7A(換言すれば、中心軸10)と平行になるように傾斜面8Bに対して傾斜しつつ、前上側(図6における右上側)へ突出している。一対の受入部材26は、一対の固定部32の間に配置されている(図4も参照)。この状態で、各受入部材26では、本体部28の下端部が、最寄りの固定部32の内側面(一対の固定部32において互いに対向する面)に沿っていて、第2折曲部30が、当該最寄りの固定部32の前端面32Aに対して前側から対向しつつ面接触している。図7に示すように、前端面32Aには、固定部32の突出方向とは逆向き(後下側)に延びるねじ穴33が形成されている。一対の固定部32(受入部材26)のそれぞれでは、ねじ34が、前側(図7における右側)から第2折曲部30を貫通して、ねじ穴33に組み付けられている。これにより、保持部25全体が一対の固定部32に対して固定されている。
【0041】
ここで、傾斜面8Bは、前述したように回転ドラム7の下側外周面7Aから下側へ離れるように当該下側外周面7Aに対して傾斜して設けられているので、保持部25が固定される固定部32を、この傾斜面8Bの傾斜を利用して設けることができる。詳しくは、固定部32を、傾斜面8Bの傾斜方向(下側外周面7Aに対する傾斜方向)と交差する方向へ向けて傾斜面8Bから突出するように、傾斜面8Bにおける任意の位置に設けることができる。つまり、固定部32を、傾斜面8Bに沿って無駄に細長く延びる柱状とすることなく、コンパクトに構成できる。
【0042】
前述したようにヒータ9が外槽8に取り付けられる際、ヒータ9の先端部9Aは、外槽8の底壁16の挿通孔24(図5参照)を通過した後に、取り付け方向Xの下流側へ向かう。先端部9Aの向かう先の上側には、保持部25の上部に設けられた返り部27が位置している。そのため、外槽8に取り付けられるヒータ9の先端部9Aは、浮き上がることなく、返り部27によって、保持部25における一対の受入部材26の受入溝31(図6参照)に誘い込まれる。これにより、取り付け後のヒータ9において、保持部25によってヒータ9の先端部9Aが保持されないという不具合(誤取付け)を防止できる。
【0043】
以上のように外槽8に取り付けられたヒータ9では、図6に示すように、ヒータ9の先端部9A(本体部21)が保持部25における一対の受入部材26の受入溝31に嵌まり込むことで保持部25によって保持(位置決め)されていて(図3も参照)、図5に示すように、ベース部22が挿通孔24を完全に塞いでいる。なお、ベース部22の後端部には、係合部41が設けられている。係合部41は、ベース部22の後端部から上下左右方向における外方に突出した鍔状である(図6も参照)。この係合部41が外槽8の底壁16における挿通孔24の周縁部に後側から引っ掛かることによって、ベース部22が外槽8に対して位置決めされている。なお、ベース部22は、さらに、外槽8に対してねじ(図示せず)で固定されていてもよい。また、挿通孔24の周縁部とベース部22との間を密封(水封)するパッキン(図示せず)を設けてもよい。
【0044】
このように外槽8に取り付けられたヒータ9は、凹み20の底面(傾斜面8B)から若干浮いた状態で、外槽8内における回転ドラム7の底部14(底部14の下端部)の下方(真下)の凹み20内で、水平方向Hに沿って配置されている。厳密には、ヒータ9の上面9B(少なくとも、発熱部品である本体部21の上面21B)が、全域に亘って水平方向Hに沿っていればよい。ヒータ9が、外槽8内において、回転ドラム7の下側外周面7Aに沿わずに、回転ドラム7の底部14の下方で水平方向Hに沿って配置されていれば、外槽8内の水位が低くても、ヒータ9は、外槽8内の水面Wから上側にはみ出ないよう(外槽8内の水に完全に漬かるように)に配置されている。よって、空焚きによるヒータ9の故障(ヒータ9に関する不具合)を防止することができるし、短時間で温水を生成することができる。
【0045】
また、図4に示すように、傾斜面8Bに設けられた排水口40は、平面視でヒータ9から外れた位置(平面視でヒータ9と重ならない位置)にある。排水口40には、糸くずなどのごみがたまりやすいが、排水口40は、外槽8内の最下部において平面視でヒータ9から外れた位置に設けられているので、排水口40のごみがヒータ9に付着するという不具合を防止できる。
【0046】
また、ヒータ9のベース部22の前面22Aにおいて本体部21の一対の端部21Aに挟まれた部分には、ヒータ9の温度またはヒータ9の周囲における水温を検知するための温度センサー35が備えられている。温度センサー35は、ベース部22の前面22Aから前側へ突出するように設けられている。温度センサー35は、排水口40に接近して配置されていることが好ましい。具体的には、排水時に排水口40へ向かおうとする排水口40の周囲の水の流れに晒されるように温度センサー35が配置されるとよい。排水口40の周囲には、排水口40へ向かう水の流れが発生するので、ヒータ9に備えられた温度センサー35を排水口40に接近して配置することによって、温度センサー35に付着した洗剤かす等の汚れを当該水の流れによって洗い落とすことができる。これにより、ヒータ9の温度センサー35が汚れるという不具合を防止できる。
【0047】
また、図5に示すように、ヒータ9が水平方向Hに沿って配置されているので、発熱時におけるヒータ9およびその周囲の温度は、ほぼ均一の値となっている。そのため、ヒータ9に設けられた1つの温度センサー35だけで、ヒータ9およびその周囲の温度を十分正確に検知することができる。ちなみに、本願発明とは異なり、ヒータ9が回転ドラム7に沿って傾斜していると、ヒータ9およびその周囲の温度が上下の位置によって異なるので、上下の各位置での温度を検知するために複数の温度センサー35が必要となる。しかし、本願発明では、温度センサー35を少なく抑えることができるので、その分、ヒータ9の小型化を図ることができる。
【0048】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 洗濯機
7 回転ドラム
7A 下側外周面
8 外槽
8A 内面
8B 傾斜面
9 ヒータ
9A 先端部
10 中心軸
13 開口部
14 底部
21 本体部
25 保持部
27 返り部
32 固定部
35 温度センサー
40 排水口
H 水平方向
X 取り付け方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7