【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るLED照明モジュールは、医療装置であって、且つ、特に内視鏡装置若しくは内視鏡における使用に好適に設計されている。
【0005】
LED照明モジュールは、少なくとも1つのLEDを備え、軸方向
で一方向きの近位側に第1の電気的接続端子と、軸方向
で反対向きの遠位側に第2の電気的接続端子とを有する。これにより、LED又はLEDチップは、チップ下面に唯一の電気的接触面、具体的には、近位側に第1の電気的接続端子を有する垂直構造を備える。
したがって、遠位側の、軸方向
で反対向きの第2の電気的接続端子は、LED又はLEDチップの上面に位置し、出力光を放出するLED側である。すなわち、第2の電気的接続端子が位置しているLEDの軸方向遠位側は、出力光を放出する放出領域を備える。
ここで、出力光とは、人間の目にとって可視のスペクトル領域の光でもあり、人間の目にとって不可視の隣接する短波及び長波のスペクトル領域の放射線でもあるものと解される。そのような出力光は、医療機器においては、例えば治療目的で、例えば、光線力学的な治療のため、或いは、例えば自動蛍光診断のために用いられ得る。
【0006】
本発明によれば、導電性のスリーブは、LEDと電気的に接触するために備えられている。このスリーブは、好ましくは、円筒状に設計されている。このスリーブは、近位側の端部(以下「近位端」という。)から離隔してLEDの第2の電気的接続端子と導電接続されている。このようにして、導電性のスリーブは、LEDの遠位側の接続についてはスリーブを介して、また、LEDの近位側の接続については接続ケーブルを介して、接触され得るように、LEDの遠位側及びそこに位置する第2の電気的接続端子から近位側への電気的接続を形成する。このようにすれば、LEDの容易な接触が可能である。とりわけ、電気的接触のためのより大きな接触面が作り出される。さらに、この構造は良好な放熱を可能にする。
垂直構造を有するLEDの使用は、すなわち、上面及び下面に電気的接触を伴って、LEDの下面が直接且つ大面積で、さらなる導体板の介在なしに、電気的ケーブルと接続され得るので、近位方向の接続ケーブルを介したより良好な放熱が可能になるという利点がある。周囲のスリーブも同様に放熱に役立つ
。
【0007】
スリーブは、好適には、LED、及び/又は、第1の電気的接続端子に通じている第1の導電体、若しくは、特に、第1の導電体を絶縁する被覆を包囲する。
この実施形態によれば、第1の導電体が、LEDの近位側の第1の電気的接続端子のための大きな接触面を提供できること、並びに、スリーブを介してLEDの遠位側の第2の電気的接続端子に接触するために、スリーブが、比較的薄く場所を取らずに周辺領域に配置されることが保証される。そのために、スリーブは、全周にわたって、又は、周囲の一部分のみにおいて、LEDの周辺側を越えてその遠位端まで延伸し、第2の電気的接続端子に接触してもよい。このようにすれば、ワイヤ(Steg)又はタブ(Lasche)が、スリーブの遠位端から始まって、軸方向にLEDの周辺側を越えて、LEDの第2の電気的接続端子まで延伸することも可能である。
【0008】
スリーブは、LED、及び/又は、第1の導電体を包囲し、特に第1の導電体を絶縁する被覆を全周にわたって又は周囲の一部において包囲してもよい。スリーブは、LED及び/又は第1の導電体を全周にわたって包囲する場合には、閉じた輪を構成する。LED及び/又は第1の導電体を周囲の一部分において包囲する場合には、スリーブは、好ましくは180°よりも広い範囲にわたって、さらに好適には270°よりも広い周辺領域にわたって、LED及び/又は第1の導電体の周囲に延びる。
したがって、スリーブは、軸方向にスリットを備え得る。このようにすれば、スリーブは、ばね効果を備えることができ、これは、スリーブが例えばLED又は第1の導電体を包囲する絶縁被覆をクランプして保持することを可能にする。このために、スリーブは、弛緩状態において、スリーブの内部に収容する部品の外径、例えば絶縁被覆の外径よりも小さい内径を有するように形成されていてもよい。スリーブは、装着の際には弾性的に変形されて拡張されるので、その後に弾性的な復元力により、内部に位置する部品の外周をクランプして保持される。
【0009】
さらに好適には、スリーブは、その遠位端の領域において、LEDの第2の電気的接続端子と導電接続されている。この導電性の接続は、スリーブの遠位端の直近に位置していてもよいが、遠位端からある程度離隔していてもよい。その場合、“遠位端の領域において”とは、電気的接触が軸方向で見て近位端よりも遠位端に接近して位置していることを意味する。
【0010】
スリーブは、好ましくは、径(半径)方向内側に向けられたタブ又は径方向内側に向けられた突出部を備え、これがLEDの第2の電気的接続端子と導電接続されている。タブは、好適には、スリーブと一体に形成されている。径方向内側に向けられたタブ又は径方向内側に向けられた突出部は、スリーブの遠位端の直近に形成されていてもよいが、スリーブの遠位端から離隔して配置されていてもよい。径方向内側に向けられたタブ又は径方向内側に向けられた突出部は、スリーブの遠位端から近位方向に離隔していてもよい。その場合、タブ又は突出部は、好ましくは、スリーブの近位端よりもスリーブの遠位端に接近して位置している。代替的には、径方向内側に向けられたタブ若しくは径方向内側に向けられた突出部は、スリーブの遠位端から遠位方向に離隔していてもよい。
したがって、ワイヤ若しくはタブは、先ず、スリーブの遠位端から遠位方向に延伸し、次いで突出部若しくは径方向内側に向けられたタブが、この軸方向に向けられたワイヤから径方向内側に延伸する。このために、タブは屈曲して形成されていてもよい。このため、スリーブは、タブがLEDの遠位正面の接点に到達するまで、遠位側からLEDに被せられてもよい。スリーブは、そこで、周知の適切な手法で、例えば半田付け又は他の適切な導電性の接続技術により、接触されてもよい。
【0011】
好適には、LEDの第1の電気的接続端子、すなわち、近位側に位置する第1の電気的接続端子は、LEDの電気的接続のため、第1の導電体と直接接続されている。これには、上述したように、LEDからこの導電体への熱伝達が向上すると共に、その接続端子とその導体との間に導体板のような断熱部品が何ら配置されなくてもよいという利点がある。好適には、導体は、LEDの下面と直接、大面積で接触される。特に好適には、LEDの近位側の全表面が導電体に接していてもよい。
【0012】
スリーブは、LEDの電気的接続のために、近位端又はその周辺領域において、直接又は間接的に第2の導電体と接続されていてもよい。そのような導体は、スリーブと、例えば直接半田付けされていてもよいし、他の適切な手法で電気的に接触していてもよい。
また、スリーブは、軸方向に、LEDよりも大きな長さを備える。これにより、スリーブが、少なくともLEDの近位側までは導電体として作用し、LEDの周辺側を好適には完全に包み込むことが保証される。
【0014】
もっとも、スリーブは、上述したように、長手方向にスリットを有して形成されていてもよい。
【0015】
このようにすれば、スリーブも、LEDから周囲に発生する熱の放出に役立つことができる。さらに、スリーブは、LEDのガイド及び保護の役割も果たし得る。したがって、スリーブは、内部に位置する繊細な部品、例えばLED及びその接触を、保管及び組み立ての際に保護することができる。その上、スリーブは組み立ての際、縦方向においてはガイド補助として、また、横方向ではストッパとして機能し得る。このために、スリーブは、好適にはその直径と比べて十分な長さを有する。
また、スリーブは、医療装置、特に内視鏡の内部におけるLED照明モジュールの固定のための接合部分としての機能を果たし得る。スリーブがLEDと共に内視鏡の内部で可能な限り射出窓の近くに配置され得るように、スリーブは、遠位方向においては、好ましくはLEDの遠位側に全く又はほとんど突き出さない。スリーブは、遠位端では、第2の電気的接続端子の接触のために用いられるタブの厚さの分だけ、LEDの遠位端に突き出すのが好ましい。
【0016】
第1の電気的接続端子、すなわちLEDの近位側に位置する第1の電気的接続端子は、LEDの電気的接続のために、第1の導電体の対向する接触面と導電接続されており、この対向する接触面は、第1の電気的接続端子と同一又はそれよりも大きな面積を有する。このようにすれば、その接続端子の全面を介して、接続された導電体への直接的な熱伝達が達成可能であり、それによって、導電体を介した近位方向の放熱が改良される。その接続端子は対向する接触面と、例えば半田付けされていてもよく、又は導電接着されていてもよい。
【0017】
したがって、例えば、第1の電気的接続端子は、矩形、特に正方形の接触面を備えていてもよく、対向する接触面は丸い、特に円形の形状を備えていてもよい。ここで、対向する接触面の直径は、さらに好適には、少なくともその矩形若しくは正方形の接触面の対角線の長さと一致する。このようにすれば、その接続端子が対向する接触面に完全に密接し得ることが保証される。
【0018】
さらなる好適な一実施態様によれば、LEDの電気的接続のために同軸ケーブルが用いられ、そのうち内部導体は、LEDの第1の電気的接続端子と接続された第1の導電体を構成し、外部導体は、スリーブと導電接続されている。そのような同軸ケーブルを用いると、導体の非常に大きな断面積が利用可能となり、これが近位方向の良好な放熱を可能にする。特に、同軸ケーブルの内部導体は、LEDからの近位方向の放熱に資するような大きな断面を有して形成されていてもよい。好適には、内部導体は、第1の電気的接続端子が全面的に同軸ケーブルの内部導体の正面に当接し得るように、少なくとも第1の電気的接続端子の断面積に相当する断面積を有する。
本発明により提供されるスリーブは、そのような同軸ケーブルの接触を容易にする。なぜなら、同軸ケーブルの内部導体がこのようにLEDの近位側の第1の電気的接続端子と直接接続可能であり、その一方で、スリーブが同軸ケーブルの外部導体とLEDの遠位側表面の第2の電気的接続端子との接触を容易な手法で実現するからである。
【0019】
さらなる一実施形態によれば、LEDを包囲するスリーブの内部空間は、好ましくは、LEDから放出された出力光を透過するフィラー材料で充填されている。ここで、スリーブは、フィラー材料を収容する入れ物又は容器を構成する。これは、液状のフィラー材料が詰め込まれる場合には特に有利である。このフィラー材料は、一つにはスリーブの内部におけるLEDの固定に役立ち、もう一つにはLEDからスリーブへの放熱を改良することができる。フィラー材料はさらに、スリーブ及びLED照明モジュールの安定性及び剛性にも概して貢献する。
したがって、フィラー材料で充填されたスリーブは、硬化後に相応の高い剛性を備えるフィラー材料が用いられた場合には、外部からの機械的圧力に対し、より大きな剛性を備える。さらに、LEDから放出された出力光を透過するように形成されている場合には、そこから出力光が出て行くLEDの射出面では、出力光の光学的影響が、例えば適切な屈折率の選択によって、LEDのフィラー材料への移行、そして、場合によってはフィラー材料から射出窓又はさらなる光学部品への移行にあたって、出力光の所望の屈折を可能にする。また、フィラー材料、例えばLEDの遠位側に位置する鋳造材料(Vergussmasse)は、例えばLEDから放出される光の波長領域をずらし、拡大し、又は変更するコンバータ材料を含んでいてもよい。そして、フィラー材料を適切に選択した場合には、LEDと複数の電気的接続端子、又は、少なくとも1つの電気的接続端子は、フィラー材料によって湿気から保護され得る。ここで、フィラー材料は、好適には医療装置に適合した浄化方法、例えばオートクレーブに耐えるように選択されるべきである。
【0020】
さらなる好適な一実施形態によれば、スリーブは、その外周が断熱シースによって包囲されている。これにより、スリーブから外部への熱放出若しくは熱輻射が回避されるので、LED及びスリーブを包囲する領域の加熱が低減される。熱放出は、好ましくは、熱のほとんどが近位方向に、LEDから電気的接続ケーブルへ及び/又はスリーブから近位側に接続する部品へと伝達されるように、最適化される。
【0021】
断熱シースは、例えばスリーブ上に直接塗布された、或いは、スリーブを包囲する、プラスチック材料からなっていてもよい。
【0022】
スリーブは、本発明のさらなる一実施態様によれば、スリーブの遠位端は、近位方向のLEDの遠位側と離隔するように配置及び形成されていてもよい。すなわち、スリーブは、遠位方向では、LEDの遠位端までは延伸しない。すると、この実施例においては、LEDの第2の電気的接続端子の接触は、軸方向にスリーブの遠位端からLEDの周辺側を越えて遠位側まで延伸し、それによってLEDの遠位側の第2の電気的接続端子と接触する、ワイヤ又はタブを介して行われる。このために、ワイヤ若しくはタブから始まって、タブ若しくは突出部が、径方向内側に第2の電気的接続端子へと延伸していてもよい。スリーブから遠位方向へと延びるワイヤは、このために例えば遠位端で屈曲されていてもよい。
【0023】
本発明の代替的な一実施態様によれば、スリーブは、軸方向にLEDの遠位端を越えて延伸してもよく、窓は、遠位端でスリーブの内側に配置されていてもよい。このようにして、スリーブは、LEDの遠位側に位置する窓のための担体を構成する。場合により、LEDと窓との間に存在する自由空間は、上述のように、適切な透過性のフィラー材料によって充填されていてもよい。このフィラー材料は、上述のように、特定の光学特性を備えていてもよく、或いは、例えばコンバータ材料を含んでいてもよい。窓は、特に例えばガラス等のアモルファス材料又は例えばサファイア等の結晶性材料から作成されており、スリーブの内周若しくは内径に対応し、それによって好適にはスリーブの内周に密接に当接し得る外周を備える。窓は、スリーブと接着又は半田付けされるか、或いは、他の手法で、好ましくは密接に接続されていてもよい。こうして窓は、LED照明モジュールの軸方向の密閉を構成する。
したがって、LED照明モジュール自体において、LED及び電気的接続端子などの電気部品の密なカプセル化が達成される。これは、一つには医療機器若しくは装置内での最終的な組み立ての前にこれらの部品の保護を提供し、もう一つにはこれらの部品を医療機器内において後で浸入する湿気からも保護する。さらに、窓は、力の横方向の影響に関しては、特に、LED照明モジュール及びスリーブの安定性に貢献する。
これにより、LED照明モジュールは組み立ての前及び組み立て中、損傷に対してより良好に保護される。窓は、スリーブにおいて、LEDの遠位側の接続端子との接触のためにスリーブから径方向内側に延伸する突出部若しくは径方向内側に延伸するタブの遠位側に位置するのが好適である。
【0024】
さらなる好適な一実施態様において、スリーブは、さらなる外スリーブによって包囲されていてもよく、この外スリーブは軸方向に上述のスリーブの遠位端を越えて延伸し、窓は、スリーブの内側において、スリーブの遠位端に配置されている。この外スリーブも同様に、導電性又は絶縁性に形成されていてもよい。窓は、外スリーブの内径若しくは内周に対応する外径又は外周を備えているので、窓の外周は、好ましくは外スリーブの内周に密接に当接する。窓は、好ましくはガラス又は結晶媒体から形成されており、外スリーブと接着又は半田付け、或いは、他の手法で、好ましくは密接に接続されている。窓を備えた外スリーブは、LEDを包囲する導電性のスリーブに遠位端から被せられてもよい。その場合、好適には、外スリーブは内部に位置するスリーブと接続、例えば半田付け又は接着される。
この実施形態には、外スリーブの装着前に、スリーブがLEDの接触のためにLEDの遠位側の電気的接続端子と半田付けされ得ると共に、場合によっては、スリーブがLEDの遠位側において、フィラー材料で充填され得るという利点がある。その場合、これは、スリーブの開放遠位側から行うことができる。その後、スリーブは、窓を備えた外スリーブを被せることによって密閉される。ここで、外スリーブは、好ましくは内スリーブの凹部又は開口部が外周で外スリーブにより包囲されるような軸方向の長さを有する。そのような開口部又は凹部は、LEDの遠位側の電気的接続端子の接触のために、例えば内スリーブの径方向内側に曲げられたタブによって構成されていてもよい。この実施態様でも、好適には、組み立ての前及び組み立て中に湿気及び損傷から保護される、完全に密にカプセル化されたLED照明モジュールが作り出される。窓及び外スリーブは、LED照明モジュールのさらなる安定化に寄与する。
【0025】
上述の窓は、スリーブ又は外スリーブに配置され得るものであって、LED照明モジュールの医療装置又は内視鏡への組み込みにあたっては、好ましくは照明モジュールの遠位側の外窓を構成する。すなわち、内視鏡においては、遠位側にさらなる窓が設けられる必要はない。このとき、スリーブ又は外スリーブは、場合によっては、好適には機器若しくは内視鏡の周囲の内壁と密接に接続、例えば接着される。
【0026】
特に好適には、本発明のLED照明モジュールは、上述したように、医療装置及び特に内視鏡における使用のために形成されている。そのような装置では、本発明によるLED照明モジュールは、特に装置の遠位端における配置に適している。これは、内視鏡にあっては、体内に導入される端部である。この領域においては、周囲の組織の損傷を回避するために、加熱が回避されるべきであることが多い。この点、こうした装置においては、熱は、診察部位から近位方向に狙って放出できることが望ましい。ここで、LEDと電気的接続ケーブルとの直接接触、並びに接触のための上述したスリーブの使用は、接続ケーブルを介した近位方向での最適化された放熱を可能にする。もっとも、これは、医療用の内視鏡において有用なばかりでなく、工業用の内視鏡においても便利であるため、使用は医療用の内視鏡には限られない。
【0027】
本発明の主題はさらに、先行する請求項の何れかに記載の少なくとも1つのLED照明モジュールを備えた医療装置である。そのような医療装置は、さらに好適には、少なくとも1つのLED照明モジュールが内視鏡である。これは軟性内視鏡であっても、又は硬性内視鏡であってもよい。
【0028】
医療装置の好適な一実施態様によれば、遠位側面側でのLED照明モジュールのスリーブは、内視鏡のヘッドの内部に少なくとも1つの止め面に当接している。これにより、スリーブは、軸方向において、内部に配置されたLEDと共に、内視鏡の内部に固定される。ここで、止め面は、内視鏡のヘッドの遠位端の観察窓又は射出窓によって構成されていてもよい。
【0029】
以下、添付の図面に基づき本発明を例示的に説明する。