特許第6294354号(P6294354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リチャード ウルフ ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000002
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000003
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000004
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000005
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000006
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000007
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000008
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000009
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000010
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000011
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000012
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000013
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000014
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000015
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000016
  • 特許6294354-LED照明モジュール及び医療装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294354
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】LED照明モジュール及び医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20180305BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   A61B1/06 531
   G02B23/26 B
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-555622(P2015-555622)
(86)(22)【出願日】2014年1月7日
(65)【公表番号】特表2016-510237(P2016-510237A)
(43)【公表日】2016年4月7日
(86)【国際出願番号】EP2014050130
(87)【国際公開番号】WO2014121960
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2015年11月9日
(31)【優先権主張番号】102013201808.8
(32)【優先日】2013年2月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594008556
【氏名又は名称】リチャード ウルフ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Richard Wolf GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,ベルント クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ハイムベルガー,ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】シュルムプ,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ディタート,マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】アプ,トーマス
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−083617(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0116838(US,A1)
【文献】 米国特許第07284896(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0227146(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向で一方向きの近位側に第1の電気的接続端子(8)及び軸方向で反対向きの遠位側に第2の電気的接続端子(10)を有し、出力光を放出する放出領域を有する少なくとも1つのLED(6)を備えたLED照明モジュールであって、
前記LED(6)は、前記近位側の端部(以下「近位端」という。)から離隔して、該LED(6)の前記第2の電気的接続端子(10)に導電接続された導電性のスリーブ(14)を介して接続され、
前記スリーブ(14)は、軸方向に、前記LED(6)よりも大きな長さを有し、径方向内側に向けられたタブ(16)を備え、前記LED(6)、及び/又は、前記第1の電気的接続端子(8)に通じている第1の導電体(12)を包囲すると共に、前記LED(6)の電気的接続のために、前記近位端又は周辺領域において、直接又は間接的に第2の導電体(18,18’)と接続されており、特に、前記第1の導電体(12)を絶縁する被膜で全周にわたって又は周囲の一部分において包囲し、前記タブ(16)は、前記遠位側の端部(以下「遠位端」という。)の領域において、前記LED(6)の前記第2の電気的接続端子(10)と導電接続されていることを特徴とするLED照明モジュール。
【請求項2】
前記LED(6)の前記第1の電気的接続端子(8)は、前記LED(6)の電気的接続のため、第1の導電体(12)と直接接続されていることを特徴とする請求項1に記載のLED照明モジュール。
【請求項3】
前記第1の電気的接続端子(8)は、前記LED(6)の電気的接続のために、第1の導電体(12)の対向する接触面と導電接続されており、前記対向する接触面は前記第1の電気的接続端子(8)と同一又はそれよりも大きな面積を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のLED照明モジュール。
【請求項4】
前記第1の電気的接続端子(8)は矩形又は正方形の接触面を備え、前記対向する接触面は丸い形状を備え、前記対向する接触面の直径は、好ましくは少なくとも前記矩形又は正方形の接触面の対角線の長さと一致することを特徴とする請求項に記載のLED照明モジュール。
【請求項5】
前記LED(6)の電気的接続のために同軸ケーブルが備えられており、該同軸ケーブルのうち内部導体は、前記LED(6)の前記第1の電気的接続端子(8)と接続された第1の導電体(12)を構成し、外部導体(18)は前記スリーブ(14)と導電接続されていることを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のLED照明モジュール。
【請求項6】
前記LED(6)を包囲する前記スリーブ(14)の内部空間(22)は、好ましくは前記LED(6)から放出された出力光を透過するフィラー材料で充填されていることを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のLED照明モジュール。
【請求項7】
前記スリーブ(14)は、外周が断熱シース(38)によって包囲されていることを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のLED照明モジュール。
【請求項8】
前記スリーブ(14)の遠位端は、近位方向の前記LED(6)の前記遠位側と離隔していることを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のLED照明モジュール。
【請求項9】
前記スリーブ(14)は、軸方向に前記LED(6)の前記遠位側を越えて延伸し、窓(24)は、前記スリーブ(14)の内側において、前記スリーブ(14)の前記遠位端に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のLED照明モジュール。
【請求項10】
前記スリーブ(14)は外スリーブ(44)によって包囲されており、前記外スリーブ(44)は、軸方向に前記スリーブ(14)の遠位端を越えて延伸し、窓(24)は、遠位端で前記外スリーブ(44)の内側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のLED照明モジュール。
【請求項11】
医療装置及び特に内視鏡における使用のために形成されていることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載のLED照明モジュール。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れか1項に記載の少なくとも1つのLED照明モジュール(2)を備えたことを特徴とする医療装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのLED照明モジュール(2)は、内視鏡であることを特徴とする請求項12に記載の医療装置。
【請求項14】
前記遠位側の側面での前記LED照明モジュール(2)の前記スリーブ(14)は、内視鏡ヘッド(25)の内部に少なくとも1つの止め面に当接していることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の特徴を有するLED照明モジュールと、少なくとも1つのそのような照明モジュールを備えた内視鏡装置(医療装置)とに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、医療機器又は医療装置、特に内視鏡において、照明目的として公知である。そのようなLEDは、機器内に光ケーブルを不要とすることができるように、そして、照明が必要な箇所に対して、照明モジュールを直接配置することができるように、内視鏡の遠位側の端部(以下「遠位端」という。)に配置される。これは、硬性内視鏡においても軟性内視鏡においても有用である。LEDの使用において問題となるのは、発生するかなりの損失熱であり、LEDの機能を損なわないためには、この損失熱がLEDから放出されなければならない。さらに、過剰な加熱により隣接する組織が危険にさらされ得るため、放熱は、好ましくは隣接する組織の望ましくない加熱が回避されるようにして達成されなければならない。また、同時に、内視鏡内におけるLEDの確実な接触及び固定が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうした問題に鑑み、本発明の課題は、LEDが容易に電気的に接触され得ると同時に良好な放熱が保証され得るLED照明モジュール及び少なくとも1つのそのようなLED照明モジュールを備えた医療装置を提供することである。この課題は、請求項1に記載の特徴を有するLED照明モジュール及び請求項12に記載の特徴を有する医療装置によって解決される。好適な実施形態は、従属請求項と、以下の説明と、添付の図面とから明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るLED照明モジュールは、医療装置であって、且つ、特に内視鏡装置若しくは内視鏡における使用に好適に設計されている。
【0005】
LED照明モジュールは、少なくとも1つのLEDを備え、軸方向一方向きの近位側に第1の電気的接続端子と、軸方向反対向きの遠位側に第2の電気的接続端子とを有する。これにより、LED又はLEDチップは、チップ下面に唯一の電気的接触面、具体的には、近位側に第1の電気的接続端子を有する垂直構造を備える。
したがって、遠位側の、軸方向反対向きの第2の電気的接続端子は、LED又はLEDチップの上面に位置し、出力光を放出するLED側である。すなわち、第2の電気的接続端子が位置しているLEDの軸方向遠位側は、出力光を放出する放出領域を備える。
ここで、出力光とは、人間の目にとって可視のスペクトル領域の光でもあり、人間の目にとって不可視の隣接する短波及び長波のスペクトル領域の放射線でもあるものと解される。そのような出力光は、医療機器においては、例えば治療目的で、例えば、光線力学的な治療のため、或いは、例えば自動蛍光診断のために用いられ得る。
【0006】
本発明によれば、導電性のスリーブは、LEDと電気的に接触するために備えられている。このスリーブは、好ましくは、円筒状に設計されている。このスリーブは、近位側の端部(以下「近位端」という。)から離隔してLEDの第2の電気的接続端子と導電接続されている。このようにして、導電性のスリーブは、LEDの遠位側の接続についてはスリーブを介して、また、LEDの近位側の接続については接続ケーブルを介して、接触され得るように、LEDの遠位側及びそこに位置する第2の電気的接続端子から近位側への電気的接続を形成する。このようにすれば、LEDの容易な接触が可能である。とりわけ、電気的接触のためのより大きな接触面が作り出される。さらに、この構造は良好な放熱を可能にする。
垂直構造を有するLEDの使用は、すなわち、上面及び下面に電気的接触を伴って、LEDの下面が直接且つ大面積で、さらなる導体板の介在なしに、電気的ケーブルと接続され得るので、近位方向の接続ケーブルを介したより良好な放熱が可能になるという利点がある。周囲のスリーブも同様に放熱に役立つ
【0007】
スリーブは、好適には、LED、及び/又は、第1の電気的接続端子に通じている第1の導電体、若しくは、特に、第1の導電体を絶縁する被覆を包囲する。
この実施形態によれば、第1の導電体が、LEDの近位側の第1の電気的接続端子のための大きな接触面を提供できること、並びに、スリーブを介してLEDの遠位側の第2の電気的接続端子に接触するために、スリーブが、比較的薄く場所を取らずに周辺領域に配置されることが保証される。そのために、スリーブは、全周にわたって、又は、周囲の一部分のみにおいて、LEDの周辺側を越えてその遠位端まで延伸し、第2の電気的接続端子に接触してもよい。このようにすれば、ワイヤ(Steg)又はタブ(Lasche)が、スリーブの遠位端から始まって、軸方向にLEDの周辺側を越えて、LEDの第2の電気的接続端子まで延伸することも可能である。
【0008】
スリーブは、LED、及び/又は、第1の導電体を包囲し、特に第1の導電体を絶縁する被覆を全周にわたって又は周囲の一部において包囲してもよい。スリーブは、LED及び/又は第1の導電体を全周にわたって包囲する場合には、閉じた輪を構成する。LED及び/又は第1の導電体を周囲の一部分において包囲する場合には、スリーブは、好ましくは180°よりも広い範囲にわたって、さらに好適には270°よりも広い周辺領域にわたって、LED及び/又は第1の導電体の周囲に延びる。
したがって、スリーブは、軸方向にスリットを備え得る。このようにすれば、スリーブは、ばね効果を備えることができ、これは、スリーブが例えばLED又は第1の導電体を包囲する絶縁被覆をクランプして保持することを可能にする。このために、スリーブは、弛緩状態において、スリーブの内部に収容する部品の外径、例えば絶縁被覆の外径よりも小さい内径を有するように形成されていてもよい。スリーブは、装着の際には弾性的に変形されて拡張されるので、その後に弾性的な復元力により、内部に位置する部品の外周をクランプして保持される。
【0009】
さらに好適には、スリーブは、その遠位端の領域において、LEDの第2の電気的接続端子と導電接続されている。この導電性の接続は、スリーブの遠位端の直近に位置していてもよいが、遠位端からある程度離隔していてもよい。その場合、“遠位端の領域において”とは、電気的接触が軸方向で見て近位端よりも遠位端に接近して位置していることを意味する。
【0010】
スリーブは、好ましくは、径(半径)方向内側に向けられたタブ又は径方向内側に向けられた突出部を備え、これがLEDの第2の電気的接続端子と導電接続されている。タブは、好適には、スリーブと一体に形成されている。径方向内側に向けられたタブ又は径方向内側に向けられた突出部は、スリーブの遠位端の直近に形成されていてもよいが、スリーブの遠位端から離隔して配置されていてもよい。径方向内側に向けられたタブ又は径方向内側に向けられた突出部は、スリーブの遠位端から近位方向に離隔していてもよい。その場合、タブ又は突出部は、好ましくは、スリーブの近位端よりもスリーブの遠位端に接近して位置している。代替的には、径方向内側に向けられたタブ若しくは径方向内側に向けられた突出部は、スリーブの遠位端から遠位方向に離隔していてもよい。
したがって、ワイヤ若しくはタブは、先ず、スリーブの遠位端から遠位方向に延伸し、次いで突出部若しくは径方向内側に向けられたタブが、この軸方向に向けられたワイヤから径方向内側に延伸する。このために、タブは屈曲して形成されていてもよい。このため、スリーブは、タブがLEDの遠位正面の接点に到達するまで、遠位側からLEDに被せられてもよい。スリーブは、そこで、周知の適切な手法で、例えば半田付け又は他の適切な導電性の接続技術により、接触されてもよい。
【0011】
好適には、LEDの第1の電気的接続端子、すなわち、近位側に位置する第1の電気的接続端子は、LEDの電気的接続のため、第1の導電体と直接接続されている。これには、上述したように、LEDからこの導電体への熱伝達が向上すると共に、その接続端子とその導体との間に導体板のような断熱部品が何ら配置されなくてもよいという利点がある。好適には、導体は、LEDの下面と直接、大面積で接触される。特に好適には、LEDの近位側の全表面が導電体に接していてもよい。
【0012】
スリーブは、LEDの電気的接続のために、近位端又はその周辺領域において、直接又は間接的に第2の導電体と接続されていてもよい。そのような導体は、スリーブと、例えば直接半田付けされていてもよいし、他の適切な手法で電気的に接触していてもよい。
また、スリーブは、軸方向に、LEDよりも大きな長さを備える。これにより、スリーブが、少なくともLEDの近位側までは導電体として作用し、LEDの周辺側を好適には完全に包み込むことが保証される。
【0014】
もっとも、スリーブは、上述したように、長手方向にスリットを有して形成されていてもよい。
【0015】
このようにすれば、スリーブも、LEDから周囲に発生する熱の放出に役立つことができる。さらに、スリーブは、LEDのガイド及び保護の役割も果たし得る。したがって、スリーブは、内部に位置する繊細な部品、例えばLED及びその接触を、保管及び組み立ての際に保護することができる。その上、スリーブは組み立ての際、縦方向においてはガイド補助として、また、横方向ではストッパとして機能し得る。このために、スリーブは、好適にはその直径と比べて十分な長さを有する。
また、スリーブは、医療装置、特に内視鏡の内部におけるLED照明モジュールの固定のための接合部分としての機能を果たし得る。スリーブがLEDと共に内視鏡の内部で可能な限り射出窓の近くに配置され得るように、スリーブは、遠位方向においては、好ましくはLEDの遠位側に全く又はほとんど突き出さない。スリーブは、遠位端では、第2の電気的接続端子の接触のために用いられるタブの厚さの分だけ、LEDの遠位端に突き出すのが好ましい。
【0016】
第1の電気的接続端子、すなわちLEDの近位側に位置する第1の電気的接続端子は、LEDの電気的接続のために、第1の導電体の対向する接触面と導電接続されており、この対向する接触面は、第1の電気的接続端子と同一又はそれよりも大きな面積を有する。このようにすれば、その接続端子の全面を介して、接続された導電体への直接的な熱伝達が達成可能であり、それによって、導電体を介した近位方向の放熱が改良される。その接続端子は対向する接触面と、例えば半田付けされていてもよく、又は導電接着されていてもよい。
【0017】
したがって、例えば、第1の電気的接続端子は、矩形、特に正方形の接触面を備えていてもよく、対向する接触面は丸い、特に円形の形状を備えていてもよい。ここで、対向する接触面の直径は、さらに好適には、少なくともその矩形若しくは正方形の接触面の対角線の長さと一致する。このようにすれば、その接続端子が対向する接触面に完全に密接し得ることが保証される。
【0018】
さらなる好適な一実施態様によれば、LEDの電気的接続のために同軸ケーブルが用いられ、そのうち内部導体は、LEDの第1の電気的接続端子と接続された第1の導電体を構成し、外部導体は、スリーブと導電接続されている。そのような同軸ケーブルを用いると、導体の非常に大きな断面積が利用可能となり、これが近位方向の良好な放熱を可能にする。特に、同軸ケーブルの内部導体は、LEDからの近位方向の放熱に資するような大きな断面を有して形成されていてもよい。好適には、内部導体は、第1の電気的接続端子が全面的に同軸ケーブルの内部導体の正面に当接し得るように、少なくとも第1の電気的接続端子の断面積に相当する断面積を有する。
本発明により提供されるスリーブは、そのような同軸ケーブルの接触を容易にする。なぜなら、同軸ケーブルの内部導体がこのようにLEDの近位側の第1の電気的接続端子と直接接続可能であり、その一方で、スリーブが同軸ケーブルの外部導体とLEDの遠位側表面の第2の電気的接続端子との接触を容易な手法で実現するからである。
【0019】
さらなる一実施形態によれば、LEDを包囲するスリーブの内部空間は、好ましくは、LEDから放出された出力光を透過するフィラー材料で充填されている。ここで、スリーブは、フィラー材料を収容する入れ物又は容器を構成する。これは、液状のフィラー材料が詰め込まれる場合には特に有利である。このフィラー材料は、一つにはスリーブの内部におけるLEDの固定に役立ち、もう一つにはLEDからスリーブへの放熱を改良することができる。フィラー材料はさらに、スリーブ及びLED照明モジュールの安定性及び剛性にも概して貢献する。
したがって、フィラー材料で充填されたスリーブは、硬化後に相応の高い剛性を備えるフィラー材料が用いられた場合には、外部からの機械的圧力に対し、より大きな剛性を備える。さらに、LEDから放出された出力光を透過するように形成されている場合には、そこから出力光が出て行くLEDの射出面では、出力光の光学的影響が、例えば適切な屈折率の選択によって、LEDのフィラー材料への移行、そして、場合によってはフィラー材料から射出窓又はさらなる光学部品への移行にあたって、出力光の所望の屈折を可能にする。また、フィラー材料、例えばLEDの遠位側に位置する鋳造材料(Vergussmasse)は、例えばLEDから放出される光の波長領域をずらし、拡大し、又は変更するコンバータ材料を含んでいてもよい。そして、フィラー材料を適切に選択した場合には、LEDと複数の電気的接続端子、又は、少なくとも1つの電気的接続端子は、フィラー材料によって湿気から保護され得る。ここで、フィラー材料は、好適には医療装置に適合した浄化方法、例えばオートクレーブに耐えるように選択されるべきである。
【0020】
さらなる好適な一実施形態によれば、スリーブは、その外周が断熱シースによって包囲されている。これにより、スリーブから外部への熱放出若しくは熱輻射が回避されるので、LED及びスリーブを包囲する領域の加熱が低減される。熱放出は、好ましくは、熱のほとんどが近位方向に、LEDから電気的接続ケーブルへ及び/又はスリーブから近位側に接続する部品へと伝達されるように、最適化される。
【0021】
断熱シースは、例えばスリーブ上に直接塗布された、或いは、スリーブを包囲する、プラスチック材料からなっていてもよい。
【0022】
スリーブは、本発明のさらなる一実施態様によれば、スリーブの遠位端は、近位方向のLEDの遠位側と離隔するように配置及び形成されていてもよい。すなわち、スリーブは、遠位方向では、LEDの遠位端までは延伸しない。すると、この実施例においては、LEDの第2の電気的接続端子の接触は、軸方向にスリーブの遠位端からLEDの周辺側を越えて遠位側まで延伸し、それによってLEDの遠位側の第2の電気的接続端子と接触する、ワイヤ又はタブを介して行われる。このために、ワイヤ若しくはタブから始まって、タブ若しくは突出部が、径方向内側に第2の電気的接続端子へと延伸していてもよい。スリーブから遠位方向へと延びるワイヤは、このために例えば遠位端で屈曲されていてもよい。
【0023】
本発明の代替的な一実施態様によれば、スリーブは、軸方向にLEDの遠位端を越えて延伸してもよく、窓は、遠位端でスリーブの内側に配置されていてもよい。このようにして、スリーブは、LEDの遠位側に位置する窓のための担体を構成する。場合により、LEDと窓との間に存在する自由空間は、上述のように、適切な透過性のフィラー材料によって充填されていてもよい。このフィラー材料は、上述のように、特定の光学特性を備えていてもよく、或いは、例えばコンバータ材料を含んでいてもよい。窓は、特に例えばガラス等のアモルファス材料又は例えばサファイア等の結晶性材料から作成されており、スリーブの内周若しくは内径に対応し、それによって好適にはスリーブの内周に密接に当接し得る外周を備える。窓は、スリーブと接着又は半田付けされるか、或いは、他の手法で、好ましくは密接に接続されていてもよい。こうして窓は、LED照明モジュールの軸方向の密閉を構成する。
したがって、LED照明モジュール自体において、LED及び電気的接続端子などの電気部品の密なカプセル化が達成される。これは、一つには医療機器若しくは装置内での最終的な組み立ての前にこれらの部品の保護を提供し、もう一つにはこれらの部品を医療機器内において後で浸入する湿気からも保護する。さらに、窓は、力の横方向の影響に関しては、特に、LED照明モジュール及びスリーブの安定性に貢献する。
これにより、LED照明モジュールは組み立ての前及び組み立て中、損傷に対してより良好に保護される。窓は、スリーブにおいて、LEDの遠位側の接続端子との接触のためにスリーブから径方向内側に延伸する突出部若しくは径方向内側に延伸するタブの遠位側に位置するのが好適である。
【0024】
さらなる好適な一実施態様において、スリーブは、さらなる外スリーブによって包囲されていてもよく、この外スリーブは軸方向に上述のスリーブの遠位端を越えて延伸し、窓は、スリーブの内側において、スリーブの遠位端に配置されている。この外スリーブも同様に、導電性又は絶縁性に形成されていてもよい。窓は、外スリーブの内径若しくは内周に対応する外径又は外周を備えているので、窓の外周は、好ましくは外スリーブの内周に密接に当接する。窓は、好ましくはガラス又は結晶媒体から形成されており、外スリーブと接着又は半田付け、或いは、他の手法で、好ましくは密接に接続されている。窓を備えた外スリーブは、LEDを包囲する導電性のスリーブに遠位端から被せられてもよい。その場合、好適には、外スリーブは内部に位置するスリーブと接続、例えば半田付け又は接着される。
この実施形態には、外スリーブの装着前に、スリーブがLEDの接触のためにLEDの遠位側の電気的接続端子と半田付けされ得ると共に、場合によっては、スリーブがLEDの遠位側において、フィラー材料で充填され得るという利点がある。その場合、これは、スリーブの開放遠位側から行うことができる。その後、スリーブは、窓を備えた外スリーブを被せることによって密閉される。ここで、外スリーブは、好ましくは内スリーブの凹部又は開口部が外周で外スリーブにより包囲されるような軸方向の長さを有する。そのような開口部又は凹部は、LEDの遠位側の電気的接続端子の接触のために、例えば内スリーブの径方向内側に曲げられたタブによって構成されていてもよい。この実施態様でも、好適には、組み立ての前及び組み立て中に湿気及び損傷から保護される、完全に密にカプセル化されたLED照明モジュールが作り出される。窓及び外スリーブは、LED照明モジュールのさらなる安定化に寄与する。
【0025】
上述の窓は、スリーブ又は外スリーブに配置され得るものであって、LED照明モジュールの医療装置又は内視鏡への組み込みにあたっては、好ましくは照明モジュールの遠位側の外窓を構成する。すなわち、内視鏡においては、遠位側にさらなる窓が設けられる必要はない。このとき、スリーブ又は外スリーブは、場合によっては、好適には機器若しくは内視鏡の周囲の内壁と密接に接続、例えば接着される。
【0026】
特に好適には、本発明のLED照明モジュールは、上述したように、医療装置及び特に内視鏡における使用のために形成されている。そのような装置では、本発明によるLED照明モジュールは、特に装置の遠位端における配置に適している。これは、内視鏡にあっては、体内に導入される端部である。この領域においては、周囲の組織の損傷を回避するために、加熱が回避されるべきであることが多い。この点、こうした装置においては、熱は、診察部位から近位方向に狙って放出できることが望ましい。ここで、LEDと電気的接続ケーブルとの直接接触、並びに接触のための上述したスリーブの使用は、接続ケーブルを介した近位方向での最適化された放熱を可能にする。もっとも、これは、医療用の内視鏡において有用なばかりでなく、工業用の内視鏡においても便利であるため、使用は医療用の内視鏡には限られない。
【0027】
本発明の主題はさらに、先行する請求項の何れかに記載の少なくとも1つのLED照明モジュールを備えた医療装置である。そのような医療装置は、さらに好適には、少なくとも1つのLED照明モジュールが内視鏡である。これは軟性内視鏡であっても、又は硬性内視鏡であってもよい。
【0028】
医療装置の好適な一実施態様によれば、遠位側面側でのLED照明モジュールのスリーブは、内視鏡のヘッドの内部に少なくとも1つの止め面に当接している。これにより、スリーブは、軸方向において、内部に配置されたLEDと共に、内視鏡の内部に固定される。ここで、止め面は、内視鏡のヘッドの遠位端の観察窓又は射出窓によって構成されていてもよい。
【0029】
以下、添付の図面に基づき本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明によるLED照明モジュールの構造の概略的な断面図である。
図2】軟性内視鏡における図1に記載のLED照明モジュールの配置の概略図である。
図3】内視鏡における本発明によるLED照明モジュールの配置の概略断面図である。
図4】遠位方向から見た図3に記載のLED照明モジュールの平面図である。
図5】内視鏡における本発明によるLED照明モジュールのさらなる可能な配置の概略断面図である。
図6図5に記載の照明モジュールの平面図である。
図7】内視鏡におけるLED照明モジュールのさらなる可能な配置の概略断面図である。
図8】内視鏡におけるLED照明モジュールのさらなる可能な配置の概略断面図である。
図9】内視鏡におけるLED照明モジュールのさらなる可能な配置の概略断面図である。
図10】本発明によるLED照明モジュールのためのスリーブの可能な実施態様である。
図11】本発明によるLED照明モジュールのためのスリーブの可能な実施態様である。
図12】本発明によるLED照明モジュールのためのスリーブの可能な実施態様である。
図13】内視鏡におけるLED照明モジュールのさらなる可能な配置の概略断面図である。
図14】内視鏡におけるLED照明モジュールのさらなる可能な配置の概略断面図である。
図15】遠位方向から見た本発明のさらなる実施態様によるLED照明モジュールの平面図である。
図16】内視鏡におけるLED照明モジュールのさらなる可能な配置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1の概略断面図に基づき、先ず、本発明に係るLED照明モジュールの基本的な構造を説明する。LED照明モジュール2は、遠位端4にLED又はLEDチップ6を備えており、これが遠位方向に出力光(光、熱等を外に放出する放射線又は光)を放つ。LEDチップ6は、垂直構造を備えている。すなわち、その近位側に第1の電気的接続端子8を有し、遠位側に、LEDチップ6から放出された放射線又は光のための射出面も構成する第2の電気的接続端子10を有する。第1の電気的接続端子8は、第1の導電体12と接続されている。第1の電気的接続端子8と第1の導電体12との間では、大面積での接触が可能であることがわかる。LEDチップ6は、第1の電気的接続端子8が全面的に第1の導電体12の正面に当接しているため、ここで近位方向に良好な熱伝達が行われる。LEDチップ6の第2の電気的接続端子10は、スリーブ14により接触される。スリーブ14は、導電性であり、例えば金属から形成されていて、LEDチップ6の周囲を包囲する。スリーブ14は、その遠位端4に径方向内側に向けられたタブ16を備え、これがLEDチップ6の遠位側の第2の電気的接続端子10に接触する。
【0032】
スリーブ14は、近位端では第2の導電体18と接続されている。第2の導電体18は、戻り線(Ruckleitung)を構成し、その一方で第1の導電体12は、引き出し線(Hinleitung)を構成する。両者は、ここでは詳細には示さない手法で、互いに電気的に絶縁されている。ここに示すのは同軸配置である。好適には、第1の導電体12及び第2の導電体18、並びに付随的な電気絶縁体は、照明ユニット2が軟性内視鏡において使用され得るように、可撓性に形成されている。第1の導電体12及び第2の導電体18は、近位端で、ここでは概略的に図示するエネルギ源20と接続されている。
【0033】
LEDチップ6を包囲する自由空間22は、適切なフィラー材料(充填材)で充填されていてもよい。このフィラー材料は、LEDチップ6の遠位側の表面上にも及んでいる場合には、LEDチップ6から放出された放射線若しく光を透過するように形成されるのが好適である。もっとも、フィラー材料は、LEDチップ6から放出された放射線の少なくとも一部を吸収して長波スペクトル領域に分類される放射線へと変換するコンバータ材料を含んでいてもよい。屈折率を適切に選択することによって、ここでは、特に遠位側に接続している射出窓への移行部において、放出された放射線又は光の光学的影響が実現される。例えば、放射線は、適切な手法で屈折され得る。自由空間22は、例えばシリコーン、エポキシ樹脂、又は類似のフィラー材料で充填されていてもよく、これは所望の光学特性を備えると共に、LEDチップ6を保護し、ハウジング内に固定する。自由空間22には、代替的に空気が充填されていてもよい。
【0034】
第1の導電体12及びスリーブ14へのLEDチップ6の接続は、周知の手法、例えば半田付け又は導電接着剤によって行われてもよい。スリーブ14は、LED照明モジュール2の側面への拡がりを小さく抑えるために、好ましくは薄肉に形成される。タブ16は、第2の電気的接続端子10に接触するのに足りる大きさを備えているが、好ましくは、LEDチップ6の光若しくは放射線の放出を、理想的には全く制限しないように、又は少なくともできる限り少なく制限するように、小さく且つ細く構成される。スリーブ14は、LEDチップ6がスリーブ14の内側に保護されて配置されるように、LEDチップ6よりも遠位方向及び特に近位方向にも突出している。こうして、スリーブ14は、医療機器、例えば内視鏡内におけるLEDチップ6の固定及び位置決めの役割も果たし得る。
ただし、遠位方向の突出は、タブ16がLEDチップ6の遠位面上にちょうど延伸し得る程度に小さく選択される。これによって、LEDチップ6から遠位側に接続している窓又はさらなる光学部品までの距離を可能な限り小さく抑えることができる。
【0035】
図2は、医療装置、ここでは例えば軟性内視鏡への、LED照明モジュール2の可能な組み込みを示す。図1に示したLED照明モジュール2は、図2においては、遠位端4が、内視鏡の遠位端の射出窓を構成する窓24に当接している。窓24は、例えばガラス小板又は透明なプラスチック小板として形成されている。窓24は、内視鏡ヘッド(若しくは内視鏡小ヘッド)25の正面内壁26に埋め込まれている。内視鏡ヘッド25は、内視鏡チャネル又は内視鏡シャフト28の遠位端に配置され、その内部にLED照明モジュール2が収容されている。スリーブ14は、先にスリーブ14内で内視鏡ヘッド25の正面内壁26に埋め込まれたLEDチップ6を適当な凹部に固定して窓24のすぐ後ろに位置決めするのに適していることがわかる。
【0036】
図3は、図2の配置のより具体的な実施形態を示すもので、同図には電気的接続ケーブルに必須の絶縁体がさらに示されている。第1の導電体12は、同軸ケーブルの芯を構成し、第1の電気的絶縁体30により周囲を包囲されている。第1の電気的絶縁体30もまた、同軸ケーブルの被覆を構成する第2の導電体18により周囲を包囲されている。第2の導電体も第2の電気的絶縁体32により周囲を包囲されている。第1の導電体12は、第2の導電体18よりも遥かに大きな断面を備えていることがわかる。こうして、第1の導電体12は、全面的又は略全面的にLEDチップ6の近位側に当接し、発生する損失熱の大部分を近位方向にこの同軸ケーブルを通じて放出する。より大きな断面は、より小さな熱抵抗を構成する。
しかしながら、照明ユニット2の径方向の拡がりを小さく抑えるために、第1の電気的絶縁体30及び第2の電気的絶縁体32並びに第2の導電体18は、径方向又は横方向にできる限り薄く形成されるのが好適である。さらに、同軸ケーブルの小さな熱抵抗は、横方向に生じるため、同軸ケーブルからの熱は周辺領域に放出され得る。したがって、LEDチップ6から近位側に向かって放出された熱は、その後、近位側に接続している接続ケーブルから径方向又は横方向に出て行く。
しかしながら、これにより機器の遠位端はより少ない熱応力にさらされ、又はより少なく加熱されるようになる。第2の導電体18は、スリーブ14の内部に取り込まれており、そこでスリーブ14と内側で接触する。スリーブ14は、それから、上述のように、LEDチップ6の遠位側で第2の電気的接続端子10との電気的接触を確立する。
【0037】
図4は、図3に示す内視鏡ヘッド25の内部のLED照明モジュール2の平面図を示す。スリーブ14がLEDチップ6の周囲を包囲していること、及び細いタブ16のみがLEDチップ6の遠位側の1つの隅部を覆って第2の電気的接続端子10と接触していることがわかる。また、正方形のLEDチップ6が、第1の導電体12の丸い遠位正面、すなわち同軸ケーブルの芯の上に完全に載っていることがわかる。このために、第1の導電体12は、LEDチップ6の対角線に概ね一致する直径を有している。
【0038】
図3に記載の実施形態の変形例を図16に示す。図16に示す実施形態では、スリーブ14が、LEDチップ6の周囲において、窓24の全周にまでは延伸していない点で、図3に記載の実施形態と相違している。これに対し、この実施例において、スリーブ14は、長手方向において、概ね、第1の導電体12と共に切れている。タブ16のみが、先ず、スリーブ14の軸方向の延長部分に延伸し、その後、スリーブ14の遠位側正面を越えて径方向内側に角度をつけられている。このように、タブ16は、LEDの周辺側を越えてLEDチップ6の遠位正面までワイヤ形状に延伸し、そこで、タブ16の径方向内側に屈曲された部分が第2の電気的接続端子10に接触する。その他の点では、図16に記載の実施形態は、図3に記載の実施形態に対応しているため、さらなる特徴に関しては上述の説明を参照する。
【0039】
図5は、内視鏡ヘッド25、特に軟性内視鏡の代替的な構造を示す。LED照明モジュール2は、やはり正面内壁26の凹部に、窓24にすぐ隣接して配置されている。ここで、スリーブ14は、図2及び図3に記載の実施態様において示したように、遠位端4で、特にタブ16が窓24の近位側に直接当接する。
図5に記載の実施態様においても、LEDチップ6は、近位側、すなわち第1の電気的接続端子8で第1の導電体12の正面と接触する。それによって、第1の導電体12は、さらに加えて、LEDチップ6の基端側を完全又は略完全に覆う程度に大きな直径を備え、熱抵抗が小さい場合には良好な熱伝達をもたらす。第1の導電体12は、第1の電気的絶縁体30に包囲されており、本実施態様では、簡単に何本かをより合わせた導体(Litzenleiter)として形成されていてもよい。第2の導電体18’は、別個の電気ケーブル34内に配置されており、周辺側でスリーブ14の近位端と接続されている。この接続も同様に、半田付け、クランプ、圧接、導電接着、又は類似のものによって行われてもよい。
図5及び6に記載の配置は、図3及び4に記載の配置に対して、第1の導電体12の周辺領域に第2の電気的絶縁体32及び第2の導電体18を設けないことにより、すなわち同軸構造にしないことにより、電気的接続ケーブルの直径若しくは径方向の拡がりを減少させ得るという利点を有する。このようにすれば、より大きな断面又は直径を有する第1の導電体12が形成可能であり、それによって熱抵抗がさらに低減され得ると共に、近位方向の放熱が向上され得る。径方向の拡がりが少ないため、この実施形態は、利用できる設置空間が小さい内視鏡に特に適している。
【0040】
この実施形態は、図7に図示する実施形態ではさらに最適化され、往路導体(Hinleiter)又は第1の導電体12を全長にわたって包囲する絶縁体が設けられていない。ここでは、スリーブ14と第1の導電体12との短絡を回避するために、第1の導電体12の周囲の第1の電気的絶縁体30’が、スリーブ14の内部にのみ設けられている。
しかしながら、スリーブ14の近位端側で、第1の導電体12の周囲の絶縁は、なされていなかった。復路導体(Ruckleiter)18’との短絡は、ここでは、復路導体18’を内蔵する電気ケーブル34の絶縁体によってのみ回避される。これには、周囲に絶縁体を含まない領域においては、第1の導電体12からの損失熱が、径方向に放射若しくは伝導され得るという利点がある。
【0041】
図8は、図5から図7に示した実施形態の一変形例を表す、さらなる実施形態を示す。ここで、第1の導電体12の実施形態は、図5から図7に記載の実施形態に対応しており、第1の電気的絶縁体30,30’は、任意選択的に、図5に示すようにスリーブ14の近位端を越えて延伸してもよいし、又は図7に示すようにスリーブ14の近位端の反対側で切れていてもよい。このことは、図8においては、第1の電気的絶縁体30の破線部によって示されている。図5から図7に記載の実施形態とは異なり、図8に記載の実施形態においては、電気ケーブル34’は、スリーブ14と直接接続されているのではなく、内視鏡ヘッド25の正面内壁26と接続されている。そのために、第2の導電体18’が、正面内壁26の袋穴36の内部で、半田付け又は他の適切な手法により正面内壁26と電気的に接続されていてもよい。正面内壁26は、導電性に形成されており、スリーブ14の外周と電気的に接触している。
【0042】
図9は、上記で説明した実施形態と組み合わせても用いられ得る、さらなる基本的な実施形態を示す。この実施形態では、内視鏡ヘッド25の正面内壁26とスリーブ14との間に、断熱材料からなるスリーブ38が配置されている。このスリーブ38は、径方向の熱抵抗を高めて、内視鏡ヘッド25、及び特に正面内壁26の加熱を最小化する。これによって、損失熱の大部分が第1の導電体12を介して近位方向に放出されることが保証される。図8に記載の実施形態と組み合わせた場合には、正面内壁26とスリーブ14との間の電気的接続は、スリーブ38を介して保証されるであろう。これは、一つにはスリーブ38の導電性の性質によって、或いは、スリーブ38によって延伸する導電体によって、達成され得る。スリーブ38には、そのスリーブ38を介して電気的接触を可能にする凹部も形成され得る。
【0043】
図10から図12は、スリーブ14の可能な実施形態を示すもので、ここでは、タブ16は、まだ、スリーブ14に対して横向きの方向に曲げられてはおらず、そのスリーブ14の周囲壁の長手方向に延伸している。図10から図12に記載の3つの実施形態は、タブ16のデザインが異なっている。
【0044】
LEDチップ6とスリーブ14との間に、ある程度の可動性又は柔軟性を保証するためには、タブ16の可動性が望まれる。これは、タブ16の境界を定める、遠位端からスリーブ14内にまで至るスリット形状の切り込み40によって保証される。このようにして、タブ16は、スリーブ14内へと伸ばされると共に大きな可動性を得て、機械応力を回避する。図11の実施態様による切り込み40の弓形若しくは蛇行形状の延び方によれば、さらに大きな可動性が達成され、特に軸方向のばね効果が獲得される。
【0045】
また、図12には、タブ16の自由端が内孔42を有する接触面を備えることが示されている。このような実施形態は、図10及び11に記載の実施態様でも用いられ得る。内孔42は、タブ16をLEDチップ6の第2の電気的接続端子10に半田付けする際の半田用の容器としての役割を果たす。さらに、半田が脇へ流れ去り得ないこと、そしてLEDチップ6の放射放出領域を覆わないことが保証される。また、半田付けのために印加されなければならないエネルギがより少なくなり、例えばレーザが半田付け具として用いられてもよく、また、レーザ放射が内孔42の中で半田と直接接触してもよい。すなわち、タブ16は半田付け箇所の半田を覆わない。
【0046】
図13に記載の実施態様において、スリーブ14は、スリーブ14が窓24を収容できるように、LEDチップ6の遠位端を越えて延伸している。窓24は、スリーブ14の内周に密接して配置され、例えば接着又は半田付けされている。窓24とLEDチップ6若しくは第1の導電体12との間の自由空間22は、透過性のフィラー材料で充填されている。第1の電気的絶縁体30又は第2の導電体18は、第1の導電体12とスリーブ14との間であって、第1の導電体12の外周に配置されている。窓24は、フィラー材料及びスリーブ14と共に、LED照明モジュールが外部に対して密閉され、特にLEDチップ6が両方の電気的接続端子と共に内部に保護されて配置されるようにする。スリーブ14は、外周が医療機器の正面内壁26と密接に接続されている。
【0047】
図14は、さらなる変形例を示し、窓24が外スリーブ44の内部に配置されている。窓24は、外スリーブ44の内周に、遠位端に密接に当接しており、周囲が外スリーブ44と密接に接続、例えば半田付け又は接着されている。外スリーブ44は、好ましくは第1の導電体12の周辺領域に至るまで延伸するように、スリーブ14の外周に、軸方向にある程度の長さにわたって延伸している。
これによって外スリーブ44は、LED照明モジュールの遠位端の保護に役立つと共に、このモジュールを密閉する。図13に示される実施形態に対して、この実施形態には、LEDを包囲するスリーブ14の内部の自由空間が、先ず、遠位端からフィラー材料で充填されてもよく、その後スリーブ14が遠位端から窓24を有する外スリーブ44を被せることによって閉じられてもよいという利点がある。
したがって、タブ16とLEDの遠位側の第2の電気的接続端子10との半田付けも、スリーブ14のこの開放端を通じて、フィラー材料の充填の前に行われ得る。外スリーブ44はスリーブ14と密接に接続、例えば半田付け又は接着されている。図13に示す実施形態に対して、この実施形態には、LED照明モジュールの外周に隙間が残らないという利点がある。図13に記載の実施態様では、タブ16がスリーブ14から内側に曲げられる領域に隙間が残る。
【0048】
その他の点においては、図13及び14に記載のLED照明モジュールは上述のLED照明モジュール2と同様に形成されているため、その説明を参照する。
【0049】
図15は、図4に記載の実施形態に対応するLED照明モジュール2の断面図を示す。これは、スリーブ14が全周にわたって形成されているのではなく、軸方向に延伸するスリット46を備えているという点で、図4に記載の実施形態と相違している。このスリット46は、第1の電気的絶縁体30及び第2の導電体18等の内部に位置する部品を弾力的に挟み込み得るようにスリーブ14を形成することを可能にする。このために、スリーブ14は、第1の電気的絶縁体30又は第2の導電体18の上に装着したときにスリーブ14が弾性的に拡張され、それにより、ばね効果によって固定されるように、初期状態においては内部に位置する部品の外径よりもわずかに小さな内径を備えるよう形成される。その他の点については、図4に記載の実施形態の説明を参照する。
【符号の説明】
【0050】
2 LED照明モジュール
4 遠位端
6 LEDチップ
8 第1の電気的接続端子
10 第2の電気的接続端子
12 第1の導電体
14 スリーブ
16 タブ
18,18’ 第2の導電体
20 エネルギ源
22 自由空間
24 窓
25 内視鏡ヘッド
26 正面内壁
28 内視鏡シャフト
30,30’ 第1の電気的絶縁体
32 第2の電気的絶縁体
34,34’ 電気ケーブル
36 袋穴
38 スリーブ
40 切り込み
42 内孔
44 外スリーブ
46 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16