特許第6294453号(P6294453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294453
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】送信機内の無線インタフェース
(51)【国際特許分類】
   G01D 3/028 20060101AFI20180305BHJP
   G08C 17/02 20060101ALI20180305BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20180305BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   G01D3/028 Z
   G08C17/02
   G08C19/00 K
   G05B19/042
【請求項の数】21
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-500189(P2016-500189)
(86)(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公表番号】特表2016-517511(P2016-517511A)
(43)【公表日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】US2014013774
(87)【国際公開番号】WO2014143429
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2016年1月26日
(31)【優先権主張番号】13/835,074
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】コロリョフ,ユージーン
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 実公平01−024711(JP,Y2)
【文献】 特表2013−504259(JP,A)
【文献】 特表2005−523503(JP,A)
【文献】 特表2008−514012(JP,A)
【文献】 米国特許第03959786(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 3/028
G08C 13/00 − 25/04
G05B 19/042 − 043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プロセスのプロセス変数を測定するように構成されたプロセス送信機であって、
プロセス変数を感知し、それに応答してプロセス変数センサ出力を提供するように構成されたプロセス変数センサと、
前記プロセス変数センサに接続されたセンサ回路と、
前記センサ回路と通信するように構成された出力回路と、
前記センサ回路と前記出力回路を収容するように構成されたハウジングと、
前記センサ回路を前記ハウジングに直接接続して、電源回路の電源のマイナス側リード線接続と前記ハウジングとの間に電圧ノイズが加えられたとき、それによる電気的電流ノイズを前記センサ回路の入力端に接続されたインピーダンスからそらして回避させ、それによって、感知されたプロセス変数中のノイズを低減させるセンサ回路共通接続と、
前記センサ回路と前記出力回路との間の、物理的結合を必要としない無線通信リンクであって、前記プロセス変数センサ出力に関連するデータ信号を、前記センサ回路から前記出力回路に無線で伝送する無線通信リンクを具備するプロセス送信機。
【請求項2】
前記センサ回路が、内部バッテリによって電力供給される請求項1に記載のプロセス送信機。
【請求項3】
前記無線通信リンクが、前記出力回路から前記センサ回路に電力を搬送する請求項1に記載のプロセス送信機。
【請求項4】
前記ハウジングが、外部干渉から前記プロセス送信機を保護するための金属から成る請求項1に記載のプロセス送信機。
【請求項5】
さらに、データを伝送し、かつ前記プロセス送信機に電力を提供するように構成されたプロセス制御ループに接続するように構成された請求項1に記載のプロセス送信機。
【請求項6】
電力が、前記出力回路から前記センサ回路に無線で転送される請求項3に記載のプロセス送信機。
【請求項7】
電力を無線で転送するための共振トランスを含む請求項6に記載のプロセス送信機。
【請求項8】
前記無線通信リンクが、無線デジタル通信チャネルを提供する請求項1に記載のプロセス送信機。
【請求項9】
前記無線通信リンクが、赤外線(IR)無線リンクから成る請求項1に記載のプロセス送信機。
【請求項10】
前記赤外線(IR)無線リンクが、赤外線データ協会(IrDA)プロトコルに従って動作する請求項9に記載のプロセス送信機。
【請求項11】
前記無線通信リンクが、無線周波数リンクから成る請求項1に記載のプロセス送信機。
【請求項12】
前記無線周波数リンクが、無線周波数識別(RFID)リンクから成る請求項11に記載のプロセス送信機。
【請求項13】
少なくとも2つの変換機を使用して受け取った信号を送受信するように構成された送信機ユニットおよび受信ユニットを含む請求項1に記載のプロセス送信機。
【請求項14】
前記無線通信が、双方向である請求項1に記載のプロセス送信機。
【請求項15】
送信機から出力を提供する方法であって、
プロセス変数を感知し、それに応答してプロセス変数センサ出力を提供するように構成されたプロセス変数センサにセンサ回路を接続すること、
前記センサ回路と通信するように構成された送信機出力回路を提供すること、
前記センサ回路および前記送信機出力回路をハウジング内に収容すること、
電源回路の電源のマイナス側リード線接続と前記ハウジングとの間に電圧ノイズが加えられたとき、それによる電気的電流ノイズを前記センサ回路の入力端に接続されたインピーダンスからそらして回避させ、感知されたプロセス変数中のノイズを低減させるように構成されたセンサ回路共通接続を使って前記ハウジングに前記センサ回路を直接接続すること、
物理的結合を必要としない無線通信リンクを用いて、プロセス変数センサ出力に関連する信号を前記センサ回路から前記送信機出力回路に無線で送信することを含む方法。
【請求項16】
内部バッテリによって前記センサ回路に電力を供給することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
プロセス制御ループによって前記プロセス送信機に電力を提供することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記出力回路から前記センサ回路に無線で電力を転送することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
電力を供給することが、誘導結合によるものである請求項15に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも2つの変換機を使用して信号を送受信することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項21】
工業プロセスのプロセス変数を測定するように構成されたプロセス送信機であって、
プロセス変数を感知し、それに応答してプロセス変数センサ出力を提供するように構成されたプロセス変数センサと、
前記プロセス変数センサに接続されたセンサ回路と、
前記センサ回路と無線で通信するように構成された出力回路であって、前記センサ回路が該出力回路と通信するように構成された出力回路と、
前記センサ回路および前記出力回路を収容するように構成されたハウジングと、
前記センサ回路を前記ハウジングに直接接続して、電源回路の電源のマイナス側リード線接続と前記ハウジングとの間に電圧ノイズが加えられたとき、それによる電気的電流ノイズを前記センサ回路の入力端に接続されたインピーダンスからそらして回避させ、それによって、感知されたプロセス変数中のノイズを低減させるセンサ回路共通接続と、
前記センサ回路と前記出力回路との間の、物理的結合を必要としない無線通信リンクであって、前記プロセス変数センサ出力に関連するデータ信号を、前記センサ回路から前記出力回路に無線で伝送する無線通信リンクを具備するプロセス送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業プロセスのプロセス変数を測定するために使用される型式のプロセス変数送信機に関する。より特定的には、本発明は、プロセス変数送信機内でプロセス変数を測定しているときの電気的ノイズ感応性の影響を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の工業において、工業プロセスの動作を制御または監視するために、プロセス制御ループが使用される。プロセス変数送信機は、一般的に、プロセス制御ループの一部であり、現場に配設されてプロセス変数を測定し、制御室の設備に送信する。プロセス変数は、例えば、圧力、流量、温度などである。いくつかのプロセス制御ループは、送信機によって感知されたプロセス変数に応答して制御される、弁制御装置のような、制御装置を含む。
【0003】
プロセス送信機は、過酷な腐食性環境や、爆発性のある気体または混合物を潜在的に含む環境内で使用されることが多い。したがって、腐食性環境により送信機の内部構成要素が損傷される可能性、および内部回路の内部構成要素の損傷が爆発性のある気体を発火させる可能性を低減させるため、プロセス送信機は、一般的に、その内部構成要素を緊密に封止する導電性の送信機ハウジングを含む。
特許文献1(ミネソタ州チャンハッセンのローズマウント社(Rosemount, Inc.)に譲渡されたHedtkeの「無線通信リンクを有するプロセス送信機」という名称の米国特許第6,839,546号)には、送信機内部の無線通信の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,839,546号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
送信機の内側に設けられる内部構成要素、例えば、内部回路などは、配線式相互接続の手法により互いに接続される。工業上の環境では、近くの設備によって電磁場が発生されることがある。これらの電磁場は、プロセス変数を測定するときに、送信機内の電気回路中に電気ノイズを導入することがある。例えば、ノイズは、送信機内の測定回路へ入り込んで、送信機によって取得された測定値に影響を及ぼす場合がある。これは、送信機が望ましくないエラーを送信するようにし、そして測定値に表れる示度を不正確にする。このように、送信機内の測定回路へ入り込むノイズは、プロセス送信機が誤ったプロセス変数の測定値を送信するようにし、基礎となっている工業プロセスの動作を正しく監視することを不能にすることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明を要約すると、プロセス送信機は、工業プロセスのプロセス変数を測定するように構成される。プロセス送信機は、プロセス変数を感知し、それに応答してプロセス変数センサ出力を提供するプロセス変数センサを含む。センサ回路は、プロセス変数センサに接続される。ハウジングは、センサ回路と出力回路を収容する。センサ回路は、ハウジングに電気的に接続される。センサ回路は、出力回路と無線通信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、電気的ノイズに対して低減された感応性を有するプロセス変数送信機を提供する。種々の面で、本発明は、プロセス変数を測定するときに、電気的ノイズの影響を低減する送信機に向けられており、センサ測定回路を送信機ハウジングに直接接続するセンサ回路共通接続を使用することによって、センサ測定回路によって実行される測定の信頼性を強化する。さらなる面では、本発明は、送信機に対し、内部の無線インタフェース構造を適用することによって、送信機内の電気的ノイズを低減するための方法および装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のプロセス送信機が使用されるプロセス制御システムを示す図である。
図2】配線式相互接続を含むプロセス送信機の簡略ブロック図である。
図3】本発明の態様に従うプロセス送信機を含む、プロセス送信機の簡略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、工業プロセスを制御し、そして監視するように構成されたプロセス制御および監視システム10を示す。プロセスシステム10は、配管18に結合され、かつプロセス制御ループ16によって制御室14に接続されている送信機12を含む。図示された形態では、プロセス送信機12は、プロセス流体が流れる配管18に結合されている。プロセス送信機は、プロセス変数センサ20、センサ回路22、および出力回路24(図2に示されている)を含み、プロセス流体の感知されたプロセス変数に基づいて電気信号を発生する。感知されるプロセス変数は、例えば、温度、圧力、流量、流体のレベルなどである。制御室14は、通信システム26(抵抗としてモデル化することができる)および電源回路28(電圧源としてモデル化することができる)を含む。ある形態では、プロセス制御ループ16は、2線プロセス制御ループとして図示されるものである。このような形態では、同じ2本の線が、送信機12への電力提供と情報伝送の両方のために使用される。例えば、送信機12は、感知された温度を表すように、2線ループ16上のアナログ電流のレベルを制御することができる。しかし、プロセス制御ループ16は、どのようなフォーマットに従ってもよく、一般的には、送信機12に電力を提供し、さらにデータを伝送するために使用される。より発展した形態では、デジタル信号もまた2線プロセス制御ループを介して送信され、および/または受信される。このような一つのプロトコルは、ハート「HART(登録商標)」通信プロトコルである。プロセス制御ループの例は、4−20mAループ、ハート「HART(登録商標)」に従うループ、プロファイバス(Profibus)、およびフィールドバス規格(Fieldbus standards)である。本発明では、2線式に限定されず、どのような型式のプロセス制御ループが使用されてもよい。もう一つの例のプロセス制御ループは、情報を無線で伝送する無線プロセス制御ループである。無線通信技術の一例は、IEC62591標準に従う無線ハート「HART(登録商標)」通信プロトコルに従うものである。イーサネット(登録商標)光ファイバ接続またはその他の通信チャネルが使用されてもよい。
【0010】
図2は、近くの無線送信機または無線周波装置によって導入される電気的ノイズを経験することがある簡素化された現場装置の環境を図示している。図2に示されるように、送信機12は、空洞36を有する送信機ハウジング34を含む。空洞36は、空洞36に過酷なプロセス流体が入り込むのを防止するため、また、空洞36内の回路からのエネルギ放出よって可燃性のプロセス流体が発火するのを防止するために、密封される。センサ回路22および出力回路24は、空洞36内に保持される。センサ回路22は、プロセスの変数を感知するように構成されたプロセス変数センサ20に接続される。センサの例は、温度、圧力、流量、および流体レベルのセンサである。動作時、センサ回路22は、センサ20に接続されて、圧力、温度、流量、レベルなどのプロセス変数を感知し、そして測定するために使用される。ある形態では、送信機12は、プロセス制御ループ16を通して受け取った電力によって完全に電力供給される。感知されたプロセス変数に関連するデータは、デジタル方式またはアナログ方式の何れかで、ループ16を通して制御室14に送信され、またはループ16上のその他の装置に送信される。図示された形態では、センサ20は、空洞36内に配設されている。しかし、他の類例の形態では、センサ20は、空洞36の外側に配設される。
【0011】
出力回路24は、制御室14に測定データを提供するように構成されたプロセッサ25を備える。ある形態では、ループ16は、出力回路24およびセンサ回路22によって消費される電力の全てを供給することができる。別の形態では、出力回路24およびセンサ回路22によって消費される電力の幾らか、または全てが、内部バッテリ19によって提供される。出力回路24は、ループ結合部42を通して2線プロセス制御ループ16に接続される。ループ結合部42は、ループ抵抗26および電源28に接続される。
【0012】
図2に示されるように、センサ回路22は、センサに接続されて、プロセス変数に関連する送信機出力を提供するように構成された測定回路38を含む。インピーダンスZが、測定回路38とハウジング34との間に接続される。近くの無線送信機または無線周波装置によって導入される電気的ノイズから測定回路38を電気的に隔離するための一つの手法は、インピーダンスZを、それが無限に高いように設計することである。この場合、変動周波数の電圧ノイズが、電源のマイナス側リード線接続29とハウジング34との間に加えられたとき、ハウジング34に流れ戻る電流の経路が無くなって、測定回路38は、もはや、ノイズによる影響を受けることがない。しかし、インピーダンスZを無限に高くする設計は、実際上、実現することが困難である。さらに、インピーダンスZは、例えば、漂遊容量によって低減される。この形態において、電圧ノイズ50が存在すると、電流は、出力回路共通接続(common)、内部接続回路共通接続39C、センサ回路共通接続、演算増幅器仮想接地、センサ信号接続、およびインピーダンスZを通ってハウジング34に戻る経路を有する。この経路を通して、インピーダンスZを横切って存在する電圧ノイズ50が、センサ信号と混合されることになる。電圧ノイズ50は、センサ信号中にエラーノイズを導入し、測定回路38によって実行される測定中に、多分、このようなエラーをもたらす。
【0013】
近くの無線送信機または無線周波装置によって導入される電気的ノイズから測定回路38を電気的に隔離するための別の手法は、測定回路38をハウジング34に直接接続するセンサ回路コモン接続部40を経由させることによるものである。図3に示されるように、センサ回路共通接続40は、電源回路28の電源のマイナス側リード線接続29とハウジング34との間に変動周波数の電圧ノイズ50が加えられたとき、電気的電流ノイズをインピーダンスZからそらして回避させるために使用することができる。その結果、測定回路38によって実行される測定は、ノイズ50によって影響されなくなる。これにより、測定回路38は、インピーダンスZによって望ましくない影響を何ら受けることなく、正しい測定値を取得することができるようになる。そして、測定回路38は、測定値をプロセッサおよび制御回路25へ伝送し、プロセッサおよび制御回路25は、次に、プロセス制御ループ16を介して制御室14に、その示度を提供する。
【0014】
配線式相互接続39(例えば、電力接続39A、通信接続39B、および回路共通接続39Cなど)が、センサ回路22を出力回路24へ接続するために使用され、そして、センサ回路共通接続40がハウジング34に接続されたとすると、このような構成は、設置の問題に敏感であることがあり、これにより、現場装置の機能が制限される。例えば、現場装置がプラント内に設置されるとき、現場装置のハウジング34を、電源のマイナスリード線接続29によってループに電気的に接続することが一般的に行われる。しかし、配線式電気的経路を用いてセンサ回路22と出力回路24間の接続を提供することは、ループ16内のどのポイントについてもそれへの出力回路24内の接続(例えば、抵抗Rsenseへの接続など)を短絡する可能性がある。これは、次に、現場装置が、適正に機能しない、または、全く機能しないようにする。
【0015】
出力回路24とセンサ回路22との間に電気的絶縁を実現するための一つの形態は、ガルバニック絶縁(galvanic isolation)の手法によるものである(図示しない)。この形態では、センサ回路22と出力回路24との間の各信号線が、ガルバニックに(galvanically)絶縁される。ガルバニック絶縁は、絶縁トランス、光結合素子、コンデンサなどを使って実現することができる。数多くの通信信号が存在し、各信号線をガルバニック絶縁する必要があるため、この手法を実施することはコストが掛かり過ぎることがある。また、この手法は、配線式相互接続を使用して各信号線を絶縁するので、現場装置の信頼性が低くなる。
【0016】
本発明の一面によれば、図3に示されている無線通信リンク44が、出力回路24とセンサ回路22との間に通信リンクを提供するために使用される。この無線通信リンク44は、物理的結合を必要としない、どのような型式のリンクでもよい。例えば、無線周波数(RF)リンク、誘導リンク、容量リンク、赤外線(IR)リンク、無線周波数識別(RFID)リンク、およびその他の低パワー、近距離無線通信技術、例えば、近場通信(NFC:near-field communication)、ジグビー(ZigBee「登録商標」)、および低エネルギブルートゥース(Bluetooth(登録商標)(BLE))が含まれる。無線通信リンク44は、センサ回路22に接続されるアンテナ46と出力回路24に接続されるアンテナ48との間に提供される。無線通信は、情報を送信および/または受信するように構成することができる無線通信回路45と49によって提供される。無線通信リンク44は、信号を送信および/または受信するように構成された無線周波数(RF)モジュール45(送信機ユニットTxなど)と49(受信ユニットRxなど)を利用することができる。
【0017】
本発明の実施形態に従って、要素46と48は、アンテナとして図示されているが、どのような型式の変換器でもよく、例えば、コンデンサ板または誘導素子からなってもよい。より特定的には、通信リンク44がRFリンクであるならば、変換器46と48は、無線周波数信号を送信および/または受信するように構成されたアンテナからなればよい。RF信号の周波数および符号化は、望むように選択することができる。また、アンテナの形状および構成もまた、望む仕様に作成することができる。ある実施形態では、リンク44は、誘導性であり、要素46と48は、誘導子からなり、それらは十分近くに配置されて、それらの間の信号伝送を可能にする。さらに他の実施形態では、リンク44は、誘導性であり、共振トランスを介した誘導性結合が使用されて、出力回路24からセンサ回路22へ無線で電力が伝送され、バッテリ19が、再充電または除去される。さらに、無線電力送信機45に戻るデジタル信号を変調するために無線電力受信機を使用することができ、それにより、非平衡終端通信が望まれるならば、電力と通信の双方を単一の無線リンク上に統合することができる。また、リンク44が容量性リンクであるならば、変換器46と48は、容量性板からなればよい。
【0018】
無線通信リンク44が、赤外線(IR)形態に構成されるならば、通信は、赤外線データ協会(IrDA:Infrared Data Association)によって提示されているプロトコルに基づくことができる。ある実施形態では、送信機ハウジング34における開口が、赤外線信号を通すように使われる。
【0019】
さらに他の実施形態では、無線通信リンク44を、無線周波数識別(RFID)技術を使うように構成することができる。要素45と49は、呼びかけ器モジュールに同調させられたアンテナ付タグを含むことができる。RFIDタグは、読み取られることだけができ、またはデータ蓄積を伴って読み取られ/書き込まれることができる。また、さらに他の実施形態では、受動RFIDタグ形態を使用することができる。受動RFID形態では、呼びかけ器モジュールは、電磁界を発生し、受動RFIDタグは、電磁界から電力を受け取ることによって機能することができるようになる。受動RFIDタグがセンサ回路22内に配置され、呼びかけ器モジュールが出力回路24内に配置されれば、RFIDタグは、センサ測定値およびRFIDタグから情報を周期的に読み取るように構成された呼びかけ器によって、局地的に更新される。
【0020】
無線通信リンク44は、所望の、どのような速度でもデータを伝送することができる。より速いデータ伝送速度は、より大きい電力を必要とする傾向がある。無線通信リンク44上で使用される特定のデータフォーマットやプロトコルは、標準化または専用のフォーマットに従うものであればよい。情報は、アナログ形式でもデジタル形式でもよい。インタフェース44は、電子回路22と24との間を2方向のうちの一方向にデータを伝送する一方向性でよく、また、電子回路22と24との間を両方向にデータを伝送する双方向性でもよい。回路22が十分に低い電力しか必要としない実施形態では、無線通信リンク44は、回路22に電力を供給することもでき、したがって、この回路がループ16に物理的に接続されることは必要でない。双方向伝送は、同時に生じても逐次に生じてもよい。また、リンク44は、回路22へ電力を提供するために使用することができる。例えば、ループ16からの電力を、回路22へ供給するために使用することができる。
【0021】
さらに他の実施形態では、送信機ハウジング34は、外部の無線通信干渉から送信機回路22と24を保護するために、適当な金属材料で形成することができる。
【0022】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形態や詳細を変更することができることを認識するであろう。単一のセンサが示されたが、どの数のセンサでも使用することができる。無線通信は、一方向または双方向でよい。
【符号の説明】
【0023】
10・・・プロセス制御および監視システム、12・・・プロセス送信機、14・・・制御室、16・・・プロセス制御ループ、18・・・配管、19・・・内部バッテリ、20・・・プロセス変数センサ、22・・・センサ回路、24・・・出力回路、25・・・プロセッサおよび制御回路、26・・・通信システム、28・・・電源回路、29・・・電源のマイナス側リード線接続、34・・・送信機ハウジング、36・・・空洞、38・・・測定回路、39・・・配線式相互接続、39A・・・電力接続、39B・・・通信接続、39C・・・回路共通接続、40・・・センサ回路共通接続、42・・・ループ結合部、44・・・無線通信リンク、45・・・無線周波数(RF)モジュール、46,48・・・アンテナ、50・・・電圧ノイズ、Z・・・インピーダンス
図1
図2
図3