(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294454
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】保護管挿入体
(51)【国際特許分類】
G01K 1/08 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
G01K1/08 N
【請求項の数】25
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-500242(P2016-500242)
(86)(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公表番号】特表2016-510887(P2016-510887A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】US2014015947
(87)【国際公開番号】WO2014158393
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】13/795,969
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ペラウルト, アーロン, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ディーカー, アンドリュー, スティーブン
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−133819(JP,A)
【文献】
実開昭57−092144(JP,U)
【文献】
特表2012−529654(JP,A)
【文献】
米国特許第04410756(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流の検知領域内に延びる保護管と、
前記保護管内に収容されたプローブを有し、前記検知領域内の温度を検知するセンサと、
複数のスプリング要素を含み、前記保護管内にて前記プローブを取り外し可能に支持し且つ前記保護管と前記プローブとの間の熱的な接触を提供すべく構成された固形の挿入体と
を具備し、
前記固形の挿入体は前記保護管の先端部にて前記プローブのチップを支持すべく構成されている、温度検知システム。
【請求項2】
前記固形の挿入体は金属から形成されている請求項1に記載の温度検知システム。
【請求項3】
前記固形の挿入体は銀又は銅から形成されている請求項2に記載の温度検知システム。
【請求項4】
前記保護管はプローブシースを形成する中空のボアを含み、前記固形の挿入体は前記センサと前記プローブシースとの間に位置付けられている請求項1に記載の温度検知システム。
【請求項5】
前記固形の挿入体はスリーブを含み、該スリーブは前記プローブの先端にて前記チップを取り囲んでいる請求項1に記載の温度感知システム。
【請求項6】
前記スリーブは前記保護管の先端に尖端にて当接している請求項5に記載の温度検知システム。
【請求項7】
前記スリーブは前記チップに直接に当接し、前記スプリング要素は前記スリーブから前記保護管に向けて延びる波状スプリングである請求項6に記載の温度感知システム。
【請求項8】
前記波状スプリングは前記スリーブから前記保護管の先端に向けて延びている請求項7に記載の温度感知システム。
【請求項9】
前記スリーブは前記保護管に直接に当接し、前記ばね要素は前記スリーブから前記チップに向けて延びるスプリングタブである請求項6に記載の温度検知システム。
【請求項10】
前記スプリングタブは前記チップの先端に向けて延びている請求項9に記載の温度検知システム。
【請求項11】
プロセス流を運ぶ配管内に延びる保護管と、
前記プロセス流の温度を検知するために前記保護管内に延びるプローブを備えたセンサアセンブリと、
前記プローブと前記保護管との間の熱的な接触を形成する複数のスプリング要素を備えた固形の挿入体と、
前記センサアセンブリからセンサ信号を受け取り且つ前記センサ信号に基づいた温度測定出力を送信するプロセス送信器と
を具備し、
前記固形の挿入体は前記保護管の先端部にて前記プローブのチップを支持すべく構成されている、プロセス測定システム。
【請求項12】
前記保護管はプローブシースを形成する中空のボアを含み、前記プローブシースは前記プローブを囲繞し且つ前記プロセス流に向けて延びている請求項11に記載のプロセス測定システム。
【請求項13】
前記固形の挿入体は、前記プローブの先端にて前記中空のボアと前記チップとの間に複数の熱的な接触を提供する請求項12に記載のプロセス測定システム。
【請求項14】
前記固形の挿入体はスリーブを含み、該スリーブは前記プローブの先端にて前記チップを囲繞し且つ前記チップに当接する請求項12に記載のプロセス測定システム。
【請求項15】
前記固形の挿入体は複数の波状スプリングを含み、これら波状スプリングは前記スリーブから前記プローブシースまで延びている請求項14に記載のプロセス測定システム。
【請求項16】
前記固形の挿入体はスリーブを含み、該スリーブは前記プローブの先端にてセンサチップを囲繞し且つ前記プローブシースに当接する請求項12に記載のプロセス測定システム。
【請求項17】
前記固形の挿入体は複数のスプリングタブを含み、該スプリングタブは前記スリーブから前記センサチップまで延びている請求項16に記載のプロセス測定システム。
【請求項18】
前記固形の挿入体は金属から形成されている請求項11に記載のプロセス測定システム。
【請求項19】
前記固形の挿入体は銀から形成されている請求項18に記載のプロセス測定システム。
【請求項20】
前記固形の挿入体は銅から形成されている請求項18に記載のプロセス測定システム。
【請求項21】
前記固形の挿入体は、前記保護管又は前記固形の挿入体を損傷することなく前記保護管から取り外し可能である請求項11に記載のプロセス測定システム。
【請求項22】
前記センサは、前記固形の挿入体の損傷又は交換無しに前記保護管から取り外し可能且つ前記保護管内に交換可能である請求項11に記載のプロセス測定システム。
【請求項23】
保護管内にてプローブを支持する挿入体であって、
前記プローブを囲繞して配置され且つ前記保護管内に取り外し可能に挿入可能な熱伝導スリーブと、
前記熱伝導スリーブから側方に延び、前記保護管に対して前記プローブの位置付けをなす可撓性のスプリングと
を具備し、
前記挿入体は、前記保護管の先端部にて前記プローブのチップを支持すべく構成されている、挿入体。
【請求項24】
前記可撓性のスプリングは波状スプリングであり、該波状スプリングは前記熱伝導スリーブから側方且つ外側に向けて延びて、前記保護管に当接する請求項23に記載の挿入体。
【請求項25】
前記可撓性のスプリングはスプリングタブであり、該スプリングタブは前記熱伝導スリーブから側方且つ内側に向けて延びて、前記プローブに当接する請求項23に記載の挿入体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にプロセス検知システム、より詳しくは工業プロセス監視システムにおいて、流体センサのためのセンサハウジングである保護管に関する。
【背景技術】
【0002】
導管を通じて流れるプロセス流体又は容器内に収容されたプロセス流体の種々の特定を検知し、そして、プロセス測定位置から遠く離れた制御、監視及び/又は安全システムに、そのプロセス特性に係る情報を送信するためには、複数の工業プロセス送信器及び複数のセンサアセンブリが使用されている。各プロセス送信器は、1つ以上のセンサ及び/又はアクチュエータアセンブリに接続されている。センサアセンブリは種々のプロセスパラメータを検知し、該プロセスパラメータは、圧力、温度、pH又は流量を含む。典型的には、プロセス送信器はセンサアセンブリにセンサワイヤを介して電気的に接続され、少なくとも1つのプロセスパラメータを反映した電流又は電圧のアナログセンサ出力信号を送信するために使用されている。各送信器はセンサ出力信号を読み込み、これら信号をプロセスパラメータのデジタル測定値に変換する。最後に、送信器は制御システムに情報を送信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プロセス流体の温度及び温度変化を検知する複数のセンサアセンブリは共通して、少なくとも1つの温度センサを含み、該温度センサは流体流内を延びる保護管内に収容されている。保護管はプロセス流体と物理的に接触し、流体と温度センサとの間で熱を効率的に伝達する一方、衝撃や腐食等の流体との直接の接触によってもたらされる物理的な損傷から温度センサを保護すべく構成されている。プロセス流体が流れる結果、保護管は時々振動し、熱的な障壁として働く傾向があり、該熱的な障壁はセンサアセンブリの熱的質量を増加させることでセンサ応答時間を長くする。幾つかのセンサアセンブリは、保護管と温度センサとの間の熱伝導を改善し、保護管の振動を保護且つ軽減するために鉱物油等の減衰流体を含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は温度検知システムに向けられ、該温度検知システムは、保護管、センサ及び固形の挿入体を備えている。保護管は流体流の検知領域内に延びている。センサは保護管内に収容されたプローブを有し、検知領域内の温度を検知する。固形の挿入体は保護管の
先端部にてプローブ
のチップを取り外し可能に支持し且つ保護管とプローブとの間の熱的な接触を提供すべく構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】プロセス監視又は制御システムの概略図である。
【
図2】
図1のプロセス監視又は制御システムの保護管及び温度プローブの概略断面図である。
【
図3】
図2の温度プローブのチップ及び保護管の第1実施形態を示す断面図である。
【
図4】
図2の温度プローブのチップ及び保護管の第2実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1はプロセスシステム10の一実施形態を概略的に示し、該システムは工業用流体プロセスの監視及び/又は作動をなす。図示の実施形態において、プロセスシステム10は、(プロセス送信器24、送信ライン14及び制御又は監視システム16を備えた)プロセス測定システム12、(フランジ接続部20を備えた)プロセス配管18、(温度センサ28及び保護管30を備えた)センサアセンブリ22及びセンサワイヤ26を含む。
【0007】
プロセス配管18は工業用流体プロセスのプロセス流Fを運ぶ。例えばプロセス配管18は、オイルスラリーなどの粘性流体又は粘性の製工材料を運ぶべく構成された管又はダクトである。プロセス配管18は少なくとも1つのフランジ接続部20を含み、該フランジ接続部20はフランジ取り付け式の機器の接続を容易にし、該機器はプロセス流Fの少なくとも1つの特性、例えば、温度、流量、圧力又はpHを測定する。
【0008】
図示の実施形態において、フランジ接続部20はセンサアセンブリ22の取り付け点を提供する。センサアセンブリ22はフランジ接続部20に取り付いて、該フランジ接続部20とともに流体シールを形成し、配管18を貫通してプロセス流F内に延びている。センサアセンブリ22は少なくとも1つの温度センサ28を含み、該温度センサ28は保護管30内に収められたセンサプローブ(
図2のプローブ44参照、以下に後述する)を備えている。温度センサ28は例えば、熱電対、抵抗温度検出器又はサーミスタである。温度センサ28は、フランジ接続部20に近接したプロセス流Fの少なくとも1つの温度又は温度変化を反映したプロセス信号を発生する。
【0009】
保護管30はプロセス流Fから温度センサ28を保護し、温度センサ28の損傷を阻止するとともに期待された寿命を長くする。プロセス流Fは例えば化学物質又は粒子を含み、これら化学物質又は粒子は温度センサ28の作動を害するか、又は、その他の点で有害となる。保護管30は、真鍮、鋼又は銅等の熱伝導性が高い金属で形成され、プロセス流Fから温度センサ28に熱を効率的に伝達する。保護管30は温度センサ28とプロセス流Fとの直接的な接触を遮っているので、保護管30は熱的な障壁として働き、該障壁は応答時間を長くし、そして、温度センサ28から得られた測定値に誤差を潜在的にもたらす。このような影響は、
図3,4に関して以下に後述するように、温度センサ28と保護管30の間の熱的な接触を改善することによって軽減される。
【0010】
図示の実施形態において、プロセス測定システム12はセンサアセンブリ22の温度センサ28にセンサワイヤ26によって接続され、温度センサ28からの信号を処理し、プロセス流Fの少なくとも1つのパラメータの測定値を発生する。センサワイヤ26は例えば、温度センサ28をプロセス送信器24に電気的に接続する単一又は多重ワイヤの導電ラインである。プロセス送信器24は信号を処理及び/又は送信する装置である。プロセス送信器24は例えば、論理演算可能な装置であって、センサワイヤ26を介して温度センサ28から受け取った電圧又は電流の信号からデジタル処理の測定値を取り出すように構成されている。
【0011】
他の実施形態において、プロセス送信器24は診断又は故障報知構成要素を更に含むことができ、そして、プロセス流Fに関しての測定値、制御及び診断データを格納する持続性メモリをも含む。プロセス送信器24はセンサアセンブリ22から離れて示されているが、プロセスシステム10の幾つかの実施形態は、センサアセンブリ22又は配管18に直接に取り付けられたプロセス送信器を利用可能である。プロセス送信器24は内部電源を含んでいるか、外部の電力系接続又は環境発電から電力を受け取ることができる。プロセス送信器24は温度センサ28及び制御又は監視システム16と接続した状態のみで示されているが、プロセス送信器24の幾つかの実施形態はプロセス流Fに接触する付加的なセンサ及び/又はアクチュエータにも利用される。
【0012】
プロセス送信器24は送信ライン14を介して制御又は監視システム16にデジタル処理の測定値を送信する。送信ライン14は例えば、多重ワイヤケーブル、光ファイバケーブル又は無線接続である。幾つかの実施形態において、送信ライン14はワイヤレスハート(WirelessHART:登録商標)プロトコル(IEC 62591)又は同様な送信/受信プロトコル上で作動する無線接続である。温度センサ28のセンサ出力から発生されたデジタル処理の測定値に加えて、送信ライン14はプロセス測定システム12及びセンサアセンブリ22の診断情報、リセット且つキャリブレーション命令、アクチュエータ命令及びデータ要求等の制御又は監視システム16からの命令を送信することができる。
【0013】
プロセス測定システム12はセンサアセンブリ22の温度センサ28からプロセス信号を受け取り、そして解釈する。
図2〜4に関して以下に詳述するように、保護管30と温度センサ28のプローブ44との間に介在された挿入体は温度センサ28と保護管30との間の熱的な接触を改善し、これにより、測定の応答時間を改善し、誤差を減少させる。また、挿入体は有害な振動から温度センサ28を保護する。
【0014】
図2はセンサアセンブリ22の一実施形態の断面図であり、(フランジインターフェース32、センサ取り付け部34、螺子溝36及びプローブシース38を備えた)保護管30、(キャップ40、螺子42、プローブ44及びセンサチップ46を備えた温度センサ28及びセンサワイヤ26を示す。保護管30はフランジ接続部20に取り付けられ、配管18を貫通してプロセス流F内に延びている。温度センサ28のセンサチップ46は、プロセス流Fにおける検知領域Rsの近傍にてプローブシース38との熱的な接触の状態の下、挿入体48により振動に抗して保持されている。
【0015】
図1に関して上述したように、保護管30は保護シールドとして機能し、配管18を貫通してプロセス流F内に延び、プロセス流Fとの接触によって温度センサ28が損傷するのを阻止すべく温度センサ28のプローブ44を覆っている。保護管30はプローブシース38を形成する中空ボアを備えた熱伝導構造である。プローブシース38内にて、温度センサ28は検知領域Rsまで延び、温度センサ28からのセンサ信号は検知領域Rs内の温度又はその変化を反映する。
【0016】
図示の実施形態において、保護管30はフランジインターフェース32を含み、該フランジインターフェース32は円筒の広い面であって、フランジ接続部20との面シールを形成する。フランジインターフェース32は配管18からの流体の漏れを阻止するためにシール又はガスケットを更に備えていてもよい。幾つかの実施形態において、フランジインターフェース32は保護管30を固定するため、フランジ接続部20にボルト結合又はクランプ結合されてもよい。代替的には、フランジインターフェース32は螺子付き又はスロット付きの幾何学形状を含むこともでき、該幾何学形状はフランジ接続部20の対応する幾何学形状と噛み合うべく選択されている。保護管30の大部分の実施形態は配管18から取り外しが容易に構成されているものの、幾つか変形実施形態では保護管30はフランジ接続部20に溶接されている。
【0017】
センサ取り付け部34は配管18とは離れる向きにフランジインターフェース32から延び、温度センサ28の取り付け点を提供する。図示の実施形態において、温度センサ28のキャップ40は保護管30のセンサ取り付け部34に嵌入し、キャップ40の螺子42がセンサ取り付け部34の螺子溝36に噛み合っている。代替的な実施形態において、キャップ40はバヨネット式ロック又はクランプ式摩擦嵌合等の他の方式でセンサ取り付け部34に取り付けてられてもよい。プローブシース38はフランジインターフェース32から配管18を貫通してプロセス流F内に延び、センサチップ46を検知領域Rsの近傍に位置付けている。プローブシース38は堅固で実質的に円筒形状の要素であり、プローブ44及びセンサチップ46を囲繞し且つ保護している。
【0018】
図示の実施形態において、プローブシース38は検知領域Rsに向けて先細状をなし、プローブシース38の厚みはセンサチップ46に近傍にて最も薄い。このような薄さはプローブシース38によって提供される熱的な障壁を減少させ、センサチップ46の近傍の保護管30の熱質量によってもたらさ
れる応答時間の増加を短縮させる。保護管30は例えば金属の鋳造によって一体品として形成できる。代替的には、保護管30は別個の複数の部品を結合して形成されてもよい。
【0019】
プロセス流Fは特に、プロセス流の固有振動数がプローブシース38の共鳴振動数に一致するところにて保護管30内に大きな振幅の振動を発生させ得る。この振動はプローブシース38とセンサチップ46との間に機械的な衝撃をもたらし、温度センサ28を損傷させる可能性がある。このような損傷はプローブシース38に対してセンサチップ46を常時保持する挿入体48によって軽減され、これにより、挿入体48は損傷をもたらす衝撃を阻止する。
【0020】
温度センサ28は保護管30内にて配管18を貫通してプロセス流F内に延びている。プローブ44は長尺な円筒又は多角形のチューブであり、キャップ40から検知領域Rsまで延びている。センサチップは熱伝導スリーブであって、センサ要素(例えば、図示しないが熱電対又はサーミスタ)を収容している。キャップ40及びプローブ44は協働してセンサワイヤ26とセンサチップ46との間の電気接続を提供する。センサチップ46はその配置位置での温度又は温度変化を反映した電流又は電圧の信号を提供する。
【0021】
挿入体48はセンサチップ46を囲繞し、保護管30の振動に対してセンサチップ46を保護し、センサチップ46とプローブシース38との間に熱伝達のための広い領域を提供することで、センサチップ46とプローブシース38との間に改善された熱的なインタフェースを提供する。例えば、挿入体48は固形の金属部品であり、該金属部品は銀又は銅等の高い熱伝導係数を有する材料によって形成されている。挿入体48自体が保護管30から取り外し可能であってもよく、そして、
図3,4に示されるように配管18から保護管30が取り外されることなく、温度センサ28は挿入体48から取り外し可能及び/又は挿入体48内に挿入可能である。
【0022】
図3,4は、検知領域Rs(
図2参照)の近傍におけるセンサアセンブリ22の領域にて、可能性がある2つの実施形態を示す。
図3,4は温度センサ28におけるセンサプローブ44及びセンサチップ46、保護管30のプローブシース38及び尖端50及び挿入体48を示す。
図3は挿入体48の第1実施形態である挿入体48aを示し、
図4は挿入体48の第2実施形態である挿入体48bを示す。挿入体48a,48bは形状にて異なるが、プローブシース38に対するセンサチップ46の保持や、センサチップ46とプローブシース38との間の熱的なインタフェースの提供という同一の一般的な機能を発揮する。両方の実施形態において、尖端50はプローブシース38からセンサチップ46に向けて延びる突出した尖端である。尖端50は保護管30とセンサチップ46との間での熱接触を単一の点で提供する。
【0023】
図3に示されているように、挿入体48aは円筒状のスリーブであって、複数のスプリングタブ52を備える。スプリングタブ52は薄く、それ故に僅かに可撓性を有した金属タブであって、温度センサ28を受け入れるべく撓む。挿入体48aはセンサチップ46を囲繞し、プローブシース38に近接して当接する。スプリングタブ52は挿入体48からセンサチップ46に向けて内側、そして、センサチップ46の先端に向けて下方に延びている。このような幾何学的な構成は挿入体48a内への温度センサ28の挿入によってスプリングタブ52に僅かな弾力的変形を許容する。スプリングタブ52はプローブシース38の周面に対して温度センサ28を側方にて保持し、これにより、保護管30の高い振幅の振動によるセンサチップ46とプローブシース38との間の機械的な衝撃を阻止する。
【0024】
また、スプリングタブ52は保護管30とセンサチップ46との間の付加的且つ熱的な接触点として働き、プロセス流Fからセンサチップ46への熱の流れを改善し、センサアセンブリ22の応答時間を減少させる。スプリングタブ52は保護管30からの温度センサ28の取り外しを妨げない。挿入体48aの取り外し又は損傷無しに、温度センサ28は保守点検のための取り外し及び/又は交換が可能である。スプリングタブ52はセンサチップ46における幅の狭い範囲に配置されているが、挿入体48aの種々の形状及びサイズは広幅又は狭幅のセンサチップ46を配置するために、挿抜して(in or out)交換可能に変更される。
【0025】
幾つかの実施形態において、挿入体48aは温度センサ28を受け入れるために前もって保護管30内に挿入可能である。他の実施形態において、挿入体48aはセンサチップ46に取り付け可能であり、保護管30内に温度センサ28及び挿入体48aを一緒に挿入することで組み付けられる。
【0026】
図4に示されているように挿入体48bは円筒状のスリーブであって、一体の波状スプリング54を複数備えている。これら波状スプリング54は径方向外側且つ保護管30の先端に向けて延び、プローブシース38に当接している。波状スプリング54はプローブシース38内に嵌入するために撓み、プローブシース38の内周面に当接すべく延びる。挿入体48aのスプリングタブ52と同様に、波状スプリング54は比較的薄く、それ故、可撓性を有した金属部品であり、保護管30内に温度センサ28を収容するために撓む。
【0027】
挿入体48aがプローブシース38に直接に当接する一方、スプリングタブ52の先端を介してのみセンサチップ46に接触するのに対し、挿入体48bはセンサチップ46に直
接当接する一方、プローブシース38にはその尖端50及び波状スプリング54のみで接触する。スプリングタブ52と同様に、波状スプリング54は、プローブシース39との衝撃を阻止すべくセンサチップ46を保持することに加え、保護管30とセンサチップ46との間に付加的な熱経路を提供する。挿入体48aと同様に、挿入体48bは保護管30に対する温度センサ28の挿入又は取り外しを妨げない。そして、挿入体48b自身は、幅狭又は幅広のセンサチップ46を備えた温度センサ28を収容するうえで、例えばより大又は小の挿入体48bとの交換のため、保護管30から取り外し可能である。挿入体48bはセンサチップ46に密嵌でき、温度センサ28と一緒に保護管30内に挿入されるか又は別々に挿入される。
【0028】
図3,4は挿入体48に係る実施可能性を有した2つの実施形態を示す。当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく、また、挿入体48の他の形状や構成が使用可能であることを理解している。一般的に、挿入体48はプローブシース38に対してセンサチップ46を収容且つ保持するために幾つかの可撓性スプリング又は等価な構成要素を含む。好ましくは、挿入体48は銀又は銅等の高い熱伝導係数を有する材料から形成され、センサチップ46とプローブシース38との間に熱経路を提供し、プロセス流Fの温度及び温度変化に対する温度センサ28の応答時間を短縮する。
【0029】
本発明は、例示的な実施形態を参照して記載されているものの、本発明の趣旨から逸脱することなく、種々の変更や、等価物への構成要素の置換が可能であることは当業者に理解されることである。付け加えて、本発明の趣旨を逸脱することなく、本発明の教示に対して特別な状況又は材料に適合させるために種々の改良が可能である。それ故、本発明は記載された実施形態に制約されるものではなく、添付の特許請求の範囲内の全ての実施形態を含むものである。