(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294480
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】データ・フローのセットアップまたは修正のための方法およびシステム、プライマリ・ノード、セカンダリ・ノード、UE、ならびにコンピュータ・プログラム製品
(51)【国際特許分類】
H04W 36/08 20090101AFI20180305BHJP
H04W 92/14 20090101ALI20180305BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20180305BHJP
H04W 36/38 20090101ALI20180305BHJP
H04W 16/32 20090101ALI20180305BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20180305BHJP
【FI】
H04W36/08
H04W92/14
H04W36/30
H04W36/38
H04W16/32
H04W72/04 111
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-532256(P2016-532256)
(86)(22)【出願日】2014年7月21日
(65)【公表番号】特表2016-527836(P2016-527836A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2014001995
(87)【国際公開番号】WO2015018493
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】13360022.1
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ウォラル,チャンドリカ,ケー.
(72)【発明者】
【氏名】パラト,スディープ,ケー.
【審査官】
桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】
CATT,UE Context Transfer and the CN Signalling for Different Traffic Types[online], 3GPP TSG-RAN WG2#81bis R2-130980,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_81bis/Docs/R2-130980.zip>,2013年 4月 5日
【文献】
ETRI,Considerations on Network Architecture for Dual Connectivity[online], 3GPP TSG-RAN WG2#81bis R2-131185,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_81bis/Docs/R2-131185.zip>,2013年 4月 5日
【文献】
Intel Corporation,Mobility mechanisms minimizing UE context transfer & signalling to CN[online], 3GPP TSG-RAN WG2#81bis R2-131407,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_81bis/Docs/R2-131407.zip>,2013年 4月 6日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異機種無線通信システムにおいて、前記システムのプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとデュアル接続するためのユーザ機器(UE)の間のデータ・フローのセットアップまたは修正のための方法であって、
前記プライマリ・ノードから前記セカンダリ・ノードへトラフィック・オフローディング要求を送信し、
前記セカンダリ・ノードから前記プライマリ・ノードへ、オフロードされたベアラについてのトンネル終了ポイントに関連した情報を含むパス・スイッチ要求・メッセージを送信し、
前記プライマリ・ノードからMMEへ、前記セカンダリ・ノードのためにパス・スイッチ要求・メッセージを送信して、前記システムの前記セカンダリ・ノードと、サービング・ゲートウェイ(S−GW)との間の直接ユーザ・プレーン・パスを確立することにより、前記プライマリ・ノードと、前記セカンダリ・ノードとの間で、データ・パスを切り替えるステップ
を含む方法。
【請求項2】
データ・パスを切り替えるステップは、トラフィック・ベアラが、前記UEと、前記のプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとの間の無線測定値に基づいて、前記プライマリ・ノードから前記セカンダリ・ノードへ、あるいはその逆へとオフロードされるべきかどうかを決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
無線リソース制御(RRC)エンティティが、前記UEと通信するために前記のプライマリ・ノードと、セカンダリ・ノードとのうちの一方または両方において提供される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プライマリ・ノードにおける前記RRCエンティティは、それが存在する場合には、前記プライマリ・ノードの上でサポートされるデータ・フローについてのモビリティに関連した制御および信号方式と、無線ベアラに関連した信号方式とを実行する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
あるノードにおける前記RRCエンティティは、それが存在する場合には、前記対応するノードの上のオフロードされたデータ・フローについての無線ベアラに関連した構成を実行する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
異機種無線電気通信のシステム(10)であって、
プライマリ・ノード(26)と、
セカンダリ・ノード(16、18、20、22、24)と、
システム(10)の前記プライマリ・ノード(26)およびセカンダリ・ノード(16、18、20、22、24)とデュアル接続しているUE(21)と
を備えており、
前記プライマリ・ノードから前記セカンダリ・ノードへトラフィック・オフローディング要求を送信し、
前記セカンダリ・ノードから前記プライマリ・ノードへ、オフロードされたベアラについてのトンネル終了ポイントに関連した情報を含むパス・スイッチ要求・メッセージを送信し、
前記プライマリ・ノードからMMEへ、前記セカンダリ・ノードのためにパス・スイッチ要求・メッセージを送信して、システムの前記セカンダリ・ノードと、サービング・ゲートウェイ(S−GW)との間に直接ユーザ・プレーン・パスを確立することにより、前記プライマリ・ノードと、前記セカンダリ・ノードとの間でデータ・パスを切り替えるように動作可能である、システム。
【請求項7】
前記システムは、トラフィック・ベアラが、前記UEと、前記のプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとの間の無線測定値に基づいて、前記プライマリ・ノードから前記セカンダリ・ノードへ、あるいはその逆へとオフロードされるべきかどうかを決定するように動作可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記UEと通信する前記のプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードのうちの一方または両方においてRRCエンティティをさらに備えている、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プライマリ・ノードにおける前記RRCエンティティは、それが存在する場合には、前記プライマリ・ノードの上でサポートされるデータ・フローについてのモビリティに関連した制御および信号方式と、無線ベアラに関連した信号方式を実行するように動作可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
あるノードにおける前記RRCエンティティは、それが存在する場合には、前記対応するノードの上のオフロードされたデータ・フローについての無線ベアラに関連した構成を実行するように動作可能である、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
UE(21)とのデュアル接続リンクの中で動作可能である、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の、異機種無線電気通信システム(10)のプライマリ・ノード(26)。
【請求項12】
UE(21)とのデュアル接続リンクの中で動作可能である、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の、異機種無線電気通信システム(10)のセカンダリ・ノード(16、18、20、22、24)。
【請求項13】
コンピュータ読取り可能プログラム・コードが組み込まれたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ読取り可能プログラム・コードは、無線通信システムにおいて、前記システムのプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとデュアル接続されたユーザ機器の間のデータ・フローのセットアップまたは修正のための方法を実施するように実行されるように適合されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の、プライマリ・ノードのコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
コンピュータ読取り可能プログラム・コードが組み込まれたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ読取り可能プログラム・コードは、無線通信システムにおいて、前記システムのプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとデュアル接続されたユーザ機器の間のデータ・フローのセットアップまたは修正のための方法を実施するように実行されるように適合されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の、セカンダリ・ノードのコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとのデュアル接続をしたユーザ機器を備えている無線通信システムにおける方法と、電気通信システムと、プライマリ・ノードと、セカンダリ・ノードと、ユーザ機器とに関する。
【背景技術】
【0002】
スモール・セルは、数十メートルの典型的なカバー範囲を有する、居住環境または企業環境において、セルラー方式サービスを提供することができる低電力、低コストの基地局である。それらは、簡単なプラグ・アンド・プレイ展開を可能にし、またそれら自体を既存のマクロセルラー方式ネットワークへと自動的に統合するように設計されている自動構成能力と、自己最適化能力とを有している。多くの場合に、ピコ・セルまたはメトロ・セルと称されることもあるスモール・セルは、一般的に、顧客のブロードバンド・インターネット接続を、例えば、DSLやケーブルなどを、マクロセルラー方式ネットワークに向かってのバックホールとして使用する。スモール・セルの間の、またスモール・セルと、マクロ・セルとの間の非理想的バックホール(数ミリ秒から数十ミリ秒の一方向レイテンシを有する)のサポートは、典型的な展開シナリオと考えられる。
【0003】
ホット・スポット・エリアなどの高トラフィック・エリアにおいて、容量ニーズを取り扱うためのスモール・セル展開が、研究の分野である。高トラフィック・エリアにおける容量ニーズを取り扱うための提案は、ユーザ機器についてのデュアル接続サポートを提供することである。デュアル接続サポートは、ユーザ機器(UE:user equipment)が、マクロ・セルと、スモール・セルとに同時に接続されることを、あるいはマクロ・セルが、例えば、2つのスモール・セルに同時に接続されることを可能にする。UEは、このようにして、一時に、複数のセルに接続され、また複数のセルによってサービスされる可能性がある。デュアル接続サポートは、必要とされるときに、トラフィックのオフローディングを可能にする1つのやり方と考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一例によれば、無線通信システムにおいて、システムのプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとデュアル接続したユーザ機器(UE)の間のデータ・フローのセットアップまたは修正のための方法であって、プライマリ・ノードと、セカンダリ・ノードとの間で、メッセージ・データを送信して、システムのセカンダリ・ノードと、サービング・ゲートウェイ(S−GW:serving gateway)との間の直接ユーザ・プレーン・パスを確立することにより、プライマリ・ノードと、セカンダリ・ノードとの間で、データ・パスを切り替えるステップを含む方法が、提供されている。
【0005】
データ・パスを切り替えるステップは、トラフィック・ベアラが、UEと、プライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとの間の無線測定値に基づいて、プライマリ・ノードからセカンダリ・ノードへ、あるいはその逆へとオフロードされるべきかどうかを決定するステップを含むことができる。無線リソース制御(RRC:radio resource control)エンティティは、UEと通信するためにプライマリ・ノードとセカンダリ・ノードとのうちの一方または両方に提供される可能性がある。プライマリ・ノードにおけるRRCエンティティは、それが存在する場合には、プライマリ・ノードの上でサポートされるデータ・フローのための、モビリティに関連した制御および信号方式と、無線ベアラに関連した信号方式とを実行することができる。あるノードにおけるRRCエンティティは、それが存在する場合には、対応するノードの上でオフロードされたデータ・フローのために、無線ベアラに関連した構成を実行することができる。
【0006】
一例によれば、プライマリ・ノードと、セカンダリ・ノードと、システムのプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとデュアル接続しているUEとを備えている無線電気通信システムが、提供されており、本システムは、プライマリ・ノードと、セカンダリ・ノードとの間でメッセージ・データを送信して、システムのセカンダリ・ノードと、サービング・ゲートウェイ(S−GW)との間に直接ユーザ・プレーン・パスを確立することにより、プライマリ・ノードと、セカンダリ・ノードとの間でデータ・パスを切り替えるように動作可能である。本システムは、トラフィック・ベアラが、UEと、プライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとの間の無線測定値に基づいて、プライマリ・ノードからセカンダリ・ノードへ、あるいはその逆へとオフロードされるべきかどうかを決定するように動作可能とすることができる。プライマリ・ノードと、セカンダリ・ノードとのうちの一方または両方におけるRRCエンティティは、UEと通信することができる。プライマリ・ノードにおけるRRCエンティティは、それが存在する場合には、プライマリ・ノードの上でサポートされるデータ・フローのために、モビリティに関連した制御および信号方式と、無線ベアラに関連した信号方式とを実行するように動作可能とすることができる。あるノードにおけるRRCエンティティは、それが存在する場合には、対応するノードの上で、オフロードされたデータ・フローのために無線ベアラに関連した構成を実行するように動作可能とすることができる。
【0007】
一例によれば、UEとのデュアル接続リンクにおいて動作可能な、上記で提供されるような無線電気通信システムのプライマリ・ノードが、提供されている。一例によれば、UEとのデュアル接続リンクにおいて動作可能な、上記で提供されるような無線電気通信システムのセカンダリ・ノードが、提供されている。一例によれば、上記で提供されるようなシステムのプライマリ・ノード、およびセカンダリ・ノードとデュアル接続しているUEが、提供されている。
【0008】
一例によれば、システムのプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとデュアル接続しているUEが、提供されており、UEは、上記で提供されるような方法に従って動作可能である。
【0009】
一例によれば、コンピュータ読取り可能プログラム・コードが組み込まれたコンピュータ使用可能媒体を備えているコンピュータ・プログラム製品が、提供されており、前記コンピュータ読取り可能プログラム・コードは、無線通信システムにおいて、上記で提供されるようにシステムのプライマリ・ノードおよびセカンダリ・ノードとデュアル接続しているユーザ機器の間のデータ・フローのセットアップまたは修正のための方法を実施するように実行されるように適合されている。
【0010】
次に、単に例示の目的で、実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一例によるアーキテクチャの概略表現である。
【
図2】一例による異機種電気通信システムの概略表現である。
【
図3-1】一例によるレガシー・ハンドオーバ・プロシージャの概略表現である。
【
図3-2】一例によるレガシー・ハンドオーバ・プロシージャの概略表現である。
【
図4-1】一例によるオフローディング・プロセスの概略表現である。
【
図4-2】一例によるオフローディング・プロセスの概略表現である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示の実施形態は、当業者が、本明細書において説明されるシステムおよびプロセスを実施し、また実装することを可能にするために、十分詳細に以下で説明される。実施形態が、多数の代替的な形態で提供される可能性があり、また本明細書において説明される例だけに限定されるように解釈されるべきではないことを理解することが重要である。
【0013】
したがって、実施形態は、様々なやり方で修正され、また様々な代替的な形態を取る可能性があるが、その特定の実施形態は、図面の中で示され、また例として、以下で詳細に説明される。開示される特定の形態だけに限定する意図は存在していない。反対に、添付の特許請求の範囲についての範囲内に含まれるすべての修正形態と、同等形態と、代替形態とが、含められるべきである。例示の実施形態の要素は、必要に応じて、図面と、詳細な説明との全体を通して、一貫して同じ参照番号によって示される。
【0014】
実施形態を説明するために本明細書において使用される専門用語は、範囲を限定することを意図してはいない。冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、それらが、単一の指示対象を有する点で、単数形であるが、しかしながら,本文書における単数形の使用は、複数の指示対象の存在を除外すべきではない。言い換えれば、単数形で言及される要素は、文脈が、明らかに、そうでない場合を示していない限り、1つまたは複数と数えることができる。用語「備える/含む(comprises)」、「備えている/含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」は、本明細書において使用されるときに、述べられた機能、項目、ステップ、オペレーション、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つまたは複数の他の機能、項目、ステップ、オペレーション、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループについての存在もしくは追加を除外するものではないことが、さらに理解されるであろう。
【0015】
それ以外の方法で規定されていない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、当技術分野において慣習となっているように解釈されるべきである。一般的に使用される用語はまた、関連する技術分野において、慣習となっているように解釈されるべきでもあり、また本明細書において明示的にそのように規定されていない限り、理想化された意味で、または過度に形式的な意味では解釈されるべきではないことが、さらに理解されるであろう。
【0016】
一般的に、レガシー・システムは、ネットワークにより割り付けられた識別子を経由してUE識別情報に依存するが、UEは、ネットワークに接続される。識別子は、ネットワークに対する初期アクセス中にUEに割り付けられ、またUEが、ネットワークの別のセルへと移動するときに、新しい識別子が、割り付けられる。UEは、UEと、識別子を割り当てるノードとの間のすべての通信のために、識別子を使用してアドレスを指定される。UEが、一時にただ1つのノードに接続されるので、同じ識別子を保持することが、可能である。
【0017】
UE117についてのデュアル接続性サポートのためのユーザ・プレーン103と、制御プレーン101とをサポートするいくつかのプロトコル・アーキテクチャ・オプションが、存在している。1つの最も可能性の高い受け入れ可能なネットワーク・アーキテクチャ100は、コア・ネットワーク(サービング・ゲートウェイ、S−GW、105)においてオフローディング・トラフィックが分割されることである。
図1は、そのようなアーキテクチャの概略表現である。S1−Uインターフェース接続107は、同時に、マクロeNB109などのプライマリ・ノードと、スモール・セルeNB111などのセカンダリ・ノードとに向かって確立されるが、S1−MME113は、マクロeNB109と、MME115との間で確立される。
【0018】
図2は、マクロ・セル12と、スモール・セル14のクラスタとを備えている異機種電気通信システム10の概略表現である。セル12と、スモール・セル14のクラスタの中のセルのうちのそれぞれのセルとは、ユーザ機器(UE)として知られているモバイル・ハンドセットと直接に通信する無線通信ネットワークに接続されるハードウェアを形成する進化型ノードB(「ノード」と交換可能なようにして称されることもある、本明細書における「eNB」)としても知られている、E−UTRANノードBによってサービスされる。
【0019】
スモール・セル14のクラスタは、第1のスモール・セル16と、第2のスモール・セル18と、第3のスモール・セル20と、第4のスモール・セル22と、第5のスモール・セル24とを備えている。スモール・セルは、マクロ・セル12の内部にカバレッジのエリアを提供するように地理的に分散される。UE21は、ネットワーク10を通してローミングすることができる。ユーザ機器が、マクロ・セル12の内部に位置しているときに、通信は、関連する無線リンクの上でユーザ機器と、マクロ・セル基地局26との間に確立されることもある。ユーザ機器が、スモール・セル16、18、20、22、および24のうちの1つの内部に地理的に位置している場合、通信は、関連する無線リンクの上でユーザ機器と、関連するスモール・セルの基地局との間で確立されることもある。
図2は、例示の異機種ネットワークだけを示していること、および複数のマクロ・セルが、提供される可能性があり、5つよりも多くの、または5つよりも少ないスモール・セルが、提供される可能性があり、また複数のスモール・セル・クラスタが、提供される可能性があることが、理解されるであろう。
【0020】
上記で説明されるように、マクロ・セル12の内部において、複数のスモール・セル16、18、20、22、および24を提供する複数のスモール・セル基地局が、提供されている。スモール・セルは、それらのすぐ近くのユーザのためのローカル通信カバレッジを提供する。ユーザ機器が、第1のスモール・セル16などのスモール・セルの範囲内にやって来るときに、スモール・セルの基地局が、ユーザ機器が、範囲内にやって来ていることを検出するときなどに、マクロ・セルの基地局26と、スモール・セルの基地局28との間のハンドオーバが、起きる可能性がある。同様に、ユーザ機器が、異なるスモール・セルの範囲内にやって来るときに、新しいスモール・セルの基地局が、ユーザ機器が範囲内にやって来ていることを検出するときに、現在のスモール・セルの基地局と、新しいスモール・セルの基地局との間のハンドオーバが、起きる可能性がある。
【0021】
高トラフィック・エリアの容量ニーズを取り扱うために、
図2の電気通信ネットワーク10の中のユーザ機器は、デュアル接続性サポートを提供されることもある。すなわち、ユーザ機器は、マクロ・セル12と、スモール・セル16との両方に接続される可能性がある。また、ユーザ機器は、マクロ・セル12と、スモール・セル16および18とに、またはスモール・セル16と、他のスモール・セル18から24のうちのどれかとにデュアル接続され得ることを理解すべきである。
【0022】
図1を参照して説明されるようなデュアル接続性を使用して、必要とされるときに、スモール・セルを経由してトラフィックのオフローディングを可能にすることができる。例えば、ユーザ機器による使用における特定のサービスに関連するデータ・フローは、そうでなければ、マクロ・セル12が、例えば、オーバーロードされるようになるようにさせる可能性がある高トラフィック・エリアの中のスモール・セルに対してオフロードされる可能性がある。
【0023】
効率的なスケジューリング・サポートのために、トラフィック・オフローディングの決定は、無線アクセス・ネットワーク(RAN)において行われ、またチャネル品質やRAN負荷情報などのパラメータを考慮に入れる可能性が高い。さらに、オフローディング・トリガは、マクロeNBまたはスモール・セルeNBにより(例えば、セル負荷に基づいて)開始されることもある。レガシー・ハンドオーバ(HO:handover)に関連した信号プロシージャは、トラフィック・オフローディング・ベアラの確立、修正、および解放において使用される可能性もあると、一般には考えられる。しかしながら、以下の状態に起因して、レガシーHOプロシージャは、トラフィック・オフローディング・ベアラ管理のためにそのようなものとして使用されない可能性がある。
【0024】
1).レガシーHOプロシージャにおいて、ソースeNBと、ターゲットeNBとは、HOプロセス中にMMEに対する接続を有する。しかしながら、デュアル接続性においては、アンカーリング/プライマリeNB(例えば、マクロeNB)だけは、MMEに対する接続を有しているが、スモール・セルeNBは、MMEに対する接続を有していない。それゆえに、スモール・セルと、S−GWとの間のパス・スイッチ通信は、マクロeNBと、MMEとを経由して通信されるべきである。これは、スモール・セルeNBと、マクロ・セルeNBとの間の新しい信号メッセージを必要とする。
【0025】
2).レガシーHOプロシージャにおいて、決定を行うeNB(ソースeNB)は、HOに先立って、UEに対して配信されているすべてのベアラを有している。しかしながら、デュアル接続性を用いれば、これは当てはまらない。例えば、スモール・セルeNBを経由してオフロードされたいくつかのデータ・ベアラと、マクロeNBとは、スモール・セルの上のオフロードされたベアラが、今やマクロ・セルの上で配信されるように、ベアラを修正する決定を行う。
【0026】
一例においては、コア・ネットワーク(CN:core network)ベースのベアラ分割と、単一のS1−MME終了ポイントとを考慮して、オフロードされたベアラを確立し、また修正するための方法およびシステムが、提供されている。
【0027】
S−GWに対する直接データ・パスを確立しながら、スモール・セルeNBからMMEに対する接続を有していないという問題を解決するために、最小限の中断で、マクロ・セルと、スモール・セルとの間のデータ・パスの切り替えを可能にする新しいプロシージャが、導入される。一例においては、これは、この場合についての現在のHOプロシージャと、新しいメッセージの導入とを適応させることにより、行われる。マクロeNBと、スモール・セルeNBとの間の新しいメッセージを使用して、スモール・セルeNBと、S−GWとの間の直接のユーザ・プレーン・パスを確立するために必要な情報を伝える。
【0028】
決定エンティティにおいてオフロードされたベアラについてのS1−Uリンクを有さないままに、オフローディング修正についての決定を行う異なるノードを有するという問題を解決するために、新しいメッセージが、スモール・セルeNBと、マクロ・セルeNBとの間に導入される。新しいメッセージ(トリガ、開始、およびUEに対する情報配信)のプロシージャは、制御プレーン・アーキテクチャ・オプションに依存する。しかしながら、一例による方法が、複数の異なるCPプロトコル・アーキテクチャ・オプションのために採用される可能性がある。
【0029】
図3は、レガシー・ハンドオーバ・プロシージャの概略表現である。問題のエリアは、
図3において、円で囲まれ、また1および2とマーク付けされている。円1においては、パス・スイッチ要求は、ターゲットeNBによって送信されるが、しかしながら、デュアル接続性を用いては、スモール・セルからのMME接続は存在しておらず、それゆえに、スモール・セルは、パス・スイッチ・プロシージャを開始することができないことに注意すべきである。
【0030】
図4は、マクロeNBからスモール・セルeNBへとベアラをオフロードするための、一例による、オフローディング・プロセスの概略表現である。影響を受けた、また新しく導入されたメッセージが、強調されている。トラフィック・ベアラのオフローディングの決定が、測定報告(例えば、信号強度や負荷などの無線パラメータに関連したマクロ・セルおよびスモール・セルの上での測定値)および/または現在のセルおよびスモール・セルの負荷に基づいて、マクロeNBによって行われる。マクロeNBは、ステップ4において、スモール・セルに対してトラフィック・オフローディング要求を送信する。メッセージは、マクロeNBにおけるUE X2信号コンテキスト参照、スモール・セルID、KeNB
*、マクロeNBの中のUEのC−RNTIを含むRRCコンテキスト、AS−構成、オフロードされたトラフィックについてのE−RABコンテキストなどのパラメータを含むことができる。マクロeNBにおけるUE X2信号コンテキスト参照、スモール・セルID、KeNB
*、マクロeNBの中のUEのRRCコンテキストは、初めて、トラフィック・オフローディングのためのスモール・セルの構成のために含まれることもある。その後に、E−RABに関連するパラメータなどのパラメータのうちのいくつかが、後続のトラフィック・オフローディングの修正のために含められる可能性がある。E−RABコンテキストは、必要なRNLアドレス指定情報と、TNLアドレス指定情報と、オフロードされたE−RABのQoSプロファイルとを含んでいる。
【0031】
スモール・セルeNBによるトラフィック・オフロード制御(例えば、オフロードされたトラフィックのためのアドミッション制御)の完了のすぐ後に、トラフィック・オフロードされた要求肯定応答は、マクロeNBに対して送信される。メッセージは、オフロードされたトラフィック・ベアラについてのスモール・セル・セキュリティ・アルゴリズム識別子を含むことができ、また必要に応じて、転送するトンネルのためのRNL/TNL情報を含むこともできる。さらに、メッセージは、スモール・セル無線リソース管理によって決定されるように、オフロードされたベアラについてのより低いプロトコル・レイヤ構成を伝達することができる。マクロeNBは、UEに対して受信された情報の一部を送信する。RRC接続再構成メッセージが、使用されることもある。そうでない場合には、新しいRRCメッセージが、使用される可能性がある。UEは、マクロeNBに対して肯定応答メッセージを送信する。RRCは、マクロeNBに位置していることに注意すべきである。マクロeNBは、肯定応答メッセージを転送し、またはUEが、スモール・セルに対するトラフィック・オフローディングのための準備ができていることについての情報を送信する。
【0032】
UEが、スモール・セルに対してまだ同期化されない場合、UEは、スモール・セルeNBに向かってダウンリンク/アップリンク(DL/UL)同期化プロシージャを実行する。
【0033】
スモール・セルは、オフロードされたDLベアラについてのパス・スイッチ要求を開始する。これは、オフロードされたベアラについてのスモール・セル識別情報と、トンネル終了ポイントに関連した情報とを通知する、スモール・セルeNBからマクロeNBへと送信される新しいメッセージとすることができる。マクロeNBによって受信される情報に基づいて、マクロeNBは、MMEに向かって、スモール・セルについてのパス・スイッチ・メッセージを生成する。
【0034】
他方では、メッセージは、レガシー・ネットワークにおけるメッセージに類似したパス・スイッチ・メッセージとすることができ、またメッセージは、トランスペアレント・コンテナにおいて、例えば、マクロeNBを経由してMMEに対して送信される。スタンドアロンUEサポートのための、スモール・セルが接続されるMMEは、マクロeNBが、接続されるMMEとは異なる可能性があることにも注意すべきである。この場合には、オフロードされたEPSベアラのために、スモール・セルeNBと、サービングGWとの間のS1−U接続を確立する識別情報の詳細が、スモール・セルに対して、またはスモール・セルから提供される可能性がある。
【0035】
メッセージは、スモール・セル識別情報(例えば、スモール・セルのTAIおよびECGI)と、切り替えられるべきEPSベアラのリストとを含むことができる。メッセージは、MMEに対してメッセージを転送するマクロeNBに対して送信される。MMEは、S−GWに対して修正ベアラ要求メッセージを送信する。メッセージは、トラフィック・ベアラ終了ポイントが、スモール・セルへと変更されており、それゆえに、オフロードされたベアラについてのS1−Uパス・スイッチが、実行されることについて、MME/S−GWに通知する。サービングGWは、新しく受信されたアドレスと、TEIDとを使用して、ターゲットeノードBに対してダウンリンク・パケットを送信することを開始する。マクロeNBからスモール・セルeNBへのパス・スイッチ肯定応答メッセージは、修正されたベアラ情報(ある場合には)と、オフロードされたベアラのためにS−GW/MMEからスモール・セルへと受信されるUL TEID(変更された場合には)とを伝達する。
【0036】
オフロードの決定は、スモール・セル・チャネル品質、マクロ・セル・チャネル品質、スモール・セル・トラフィック負荷、および/またはマクロeNBトラフィック負荷に基づいて、マクロeNBによって行われる。一実施形態におけるスモール・セル負荷情報は、XnインターフェースまたはX2インターフェースを経由して、マクロeNBに対して提供される可能性がある。別の実施形態においては、スモール・セルは、マクロeNBからのオフロード・ベアラ修正を要求する。
【0037】
これは、単一のRRCを使用して、UEに対して通信することを仮定している。別のCPプロトコル・オプションは、UEに対して通信するために、マクロeNBと、スモール・セルeNBとにおいて2つのRRCエンティティを有することである。マクロ・セルにおけるRRCは、マクロeNBの上でサポートされるベアラについて、モビリティに関連した制御および信号方式と、無線ベアラに関連した信号方式とを実行する。スモール・セルeNBにおけるRRCは、スモール・セルの上のオフロードされたベアラについての無線ベアラに関連した構成を取り扱う。
【0038】
図5は、一例によるプロセスの概略表現であり、またUEに対して通信している2つのRRCを考慮するときの、(
図3を参照して説明されるような単一のRRCと比較した)信号の修正を示すものである。修正された信号は、強調されている。違いは、RRC接続再構成と、完了メッセージとが、スモール・セルeNBに対するUL同期化を獲得したすぐ後に、スモール・セルに対して送信されることである。
【0039】
識別される第2の問題は、オフロード決定が、そのようにしてマクロeNBによって行われて、マクロeNBの上で送信されるべきオフロードされたトラフィックを戻すという事実をどのようにして取り扱うべきかである。マクロeNBに対してオフロードされたトラフィックを戻すいくつかの理由は、スモール・セルのチャネル品質が、悪くなること、スモール・セルのトラフィック負荷が、増大すること、マクロeNBのトラフィック負荷が、減少することである。一実施形態におけるスモール・セルの負荷情報は、XnインターフェースまたはX2インターフェースを経由してマクロeNBに対して提供される可能性がある。
【0040】
別の実施形態においては、スモール・セルは、マクロeNBからのオフロード・ベアラ修正を要求する。信号フローは、使用される制御プレーン・アーキテクチャに依存する。1つの可能な実施形態が、
図6に示されており、この
図6は、一例によるプロセスの概略表現である。
図6は、マクロeNBと、スモール・セルeNBとに位置している2つのRRCを考慮するDLオフロード・ベアラ修正と、ULオフロード・ベアラ修正とを示すものである。UEは、マクロeNBとスモール・セルeNBとの両方に対してRRCメッセージを通信する。
【0041】
本発明は、他の特定の装置および/または方法の形で、実施される可能性がある。説明された実施形態は、すべての点で、例示的であり、また限定的ではないように考えられるべきである。とりわけ、本発明の範囲は、本明細書における説明および図面によってではなくて、添付された特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味と範囲との内部に含まれるすべての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。