(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィルタ・モジュール(320)は、線形フィルタ(322、324、326)を含み、前記フィルタ(322、324、326)は、伝送チャネルに依存し、前記伝送チャネルは、送信機(100)での逆離散フーリエ変換(DFT)と、前記第1の周波数ブロックおよび/または前記少なくとも第2の周波数ブロックに関する前記送信機(100)の前記側波帯抑圧フィルタ(106)と、前記送信機(100)と前記受信機(310)との間の物理通信チャネル(305)との連結に対応する、請求項1に記載の受信機(310)。
前記線形フィルタ(322、324、326)は、整合フィルタ、ゼロフォーシング・フィルタ、および最小平均二乗誤差(MMSE)フィルタからなる群のうちの1つである、請求項2に記載の受信機(310)。
前記受信機(310)は、長さN+L−1の受信された時間領域マルチキャリア信号ベクトルにN−L+1個の0を付加するように構成され、Nは、前記マルチキャリア信号の送信機(100)で実行される逆離散フーリエ変換(102)の長さであり、Lは、前記送信機(100)の側波帯抑圧フィルタ(106)の長さであり、
前記フーリエ変換モジュール(404)は、2Nの長さに対応する前記付加された時間領域マルチキャリア信号ベクトルに対して高速フーリエ変換(FFT)を実行し、前記高速フーリエ変換の後に、前記入手された周波数領域信号ベクトルの2つおきのサンプルを破棄するように構成される
請求項5に記載の受信機(310)。
前記フィルタ・モジュール(320)は、前記周波数領域内で、副搬送波ごとに、それぞれの前記周波数ブロックの側波帯抑圧フィルタ動作(106)と、前記送信機(100)と前記受信機(310)との間のそれぞれの前記副搬送波の物理通信チャネル(305)との連結に対応する伝送チャネルを等化する、副搬送波ごとの等化フィルタ(408)を含む、請求項5に記載の受信機(310)。
前記受信機(310)は、隣接周波数帯のマルチキャリア信号に対応する送信信号を推定し、前記マルチキャリア信号内での干渉除去に前記推定された信号を使用するように動作可能な干渉除去モジュールを含む、請求項1に記載の受信機(310)。
前記マルチキャリア信号内に含まれる1つまたは複数の既知のパイロット信号のフーリエ変換に基づき、前記副搬送波を含む前記周波数ブロックの前記側波帯抑圧フィルタ(106)に基づいて、前記送信機(100)と前記受信機(310)との間の物理通信チャネルの副搬送波固有推定値を判定するように動作可能なチャネル・エスティメータを含む、請求項1に記載の受信機(310)。
【背景技術】
【0002】
このセクションでは、本発明のよりよい理解を促すのに役立つ可能性がある諸態様を紹介する。したがって、このセクションにおいて述べることは、これを考慮して読まれるものであり、何が従来技術に含まれるのかまたは何が従来技術に含まれないのかに関する承認と理解されるものではない。
【0003】
2〜3年おきに、無線セルラ通信は、一新される。第2世代(2G)への移行は、技術駆動すなわちデジタル信号処理への切替えであったが、3G(データ、インターネット・アクセス)および4G(ビデオ)への切替えは、高い程度までサービス駆動であった。達成可能なデータ・レートは、2Gに関して、2〜3kbit/s(Global System for Mobile Communications、GSMの初期)から始まって、2〜300kbit/s(Enhanced Data rates for GSM Evolution、EDGE)まで大幅に増加した。3Gの初期は、数百kbit/sに達し、3Gの最新の具体化である高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)では42Mbit/s(少なくとも理論的に)まで増加する。実際に、4Gは、マルチキャリア技法を使用して2〜300Mbit/s(Long−Term Evolution、LTE)まで達成して本格展開され、その進化LTE advancedは、その限界においてGbit/s領域に達しつつある。
【0004】
マルチキャリア信号フォーマットは、大きい柔軟性を提供する。この柔軟性は、スケーラブル無線フレーム構造を目指す時に、非常に魅力的である。マルチキャリア信号フォーマットが望ましい理由の、自然な物理的な説明もある。無線伝搬チャネルは、おおむね1つのマルチキャリア・シンボルの持続時間にわたって、線形時不変(LTI)である。LTIシステムは、固有関数としてシヌソイドを保存する。シヌソイドは、マルチキャリア変調信号の1つの基本構成ブロックである。これは、復調および等化に関してよいプロパティにつながる。
【0005】
マルチキャリア変調の1つの重大な欠点は、ピーク対平均電力比(Peak−to−Average Power Ratio、PAPR)であるが、PAPRを下げる、マルチキャリア信号からシングルキャリア周波数分割多重(SC−FDMA)を構築するために直交周波数分割多重(OFDM)に関連して使用される離散フーリエ変換(DFT)プリコーディングなどの方法がある。
【0006】
OFDMは、現在最も有力なマルチキャリア技術である。その巡回プレフィックス(CP)は、チャネルの線形畳み込みを巡回畳み込みに変換することを可能にし、したがって、通常は5〜25%の範囲にわたるCPの追加のオーバーヘッドを犠牲にして、マルチパス伝搬を非常に的確に(elegantly)扱う。長いOFDMが完全に時間同期的かつ周波数同期的な形で使用されるので、これは、非常に魅力的である。
【0007】
5Gシステムは、たとえばモノのインターネット(Internet of Things、IoT)から駆動される、新しいデバイス・クラスおよび新しいトラフィック・タイプを持ってくる。共時性の緩和は、膨大な個数の機械のうんざりするオーバーヘッドを減らすことを可能にする。自律タイミング・アドバンス(ATA)などの技法を使用することができる。ATAは、ここでは、開ループ・タイミング制御手法を意味し、ここで、モバイル端末は、たとえばパイロット信号および/または同期シーケンスを使用してダウンリンク受信信号に基づいてそれ自体を同期化し、たとえばサポートされるセル・サイズの知識などに基づいてそのタイミングを自律的に訂正する。さらに、ローエンド・デバイスは、たとえばLTEに関して非常に厳格である、たとえば発振器要件が緩和され得る時に、より安価にされ得る。それに加えて、ミリメートル波など、より高い搬送波周波数に向かう傾向は、同一の相対キャリア周波数発振器(CFO)要件が、ベースバンド処理内で観察される遙かに大きい絶対周波数シフト、位相ジッタなどにつながることを引き起こす。
【0008】
頑健性の向上および厳密な時間割当および周波数割当の緩和に対する需要は、OFMDと調和しない。OFDMAアップリンクでは、デバイスが、時間オフセットおよび周波数オフセットを有する隣接周波数に割り当てられる時に、直交性が失われ、搬送波間干渉(ICI)が生成され、全体的なシステム性能が低下する。OFDMシンボルの方形窓の時間領域形状に起因して、副搬送波スペクトルは、比較的高いサイドローブ・レベルを有するsinc関数から形成される。厳密な時間整列および周波数整列を用いてのみ、OFDMは、スペクトル副搬送波のヌルが他の副搬送波の最大値と一緒になる時に、魅力的になり得る。
【0009】
OFDMに対する既存のマルチキャリア代替案は、減らされたスペクトル・サイドローブ・レベルで、たとえば、断片化されたスペクトル内に非同期ユーザおよび非同期動作を有するアップリンクFDMAにとって、それらの代替案をより魅力的にすることを目指す。フィルタバンクベース・マルチキャリア(FBMC)は、通常は複数のマルチキャリア・シンボルの長さを有する、追加の副搬送波ごとのパルス整形フィルタを使用している。これらのフィルタは、非常に強いサイドローブ抑圧を提供し、多相フィルタ・バンク内で効率的に実施され得る。CPオーバーヘッドを回避することができる。長いフィルタ長に起因して、FBMCは、後続シンボル・オーバーラップを有するが、シンボルの実部と虚部とを交互に使用することによって直交化されるオフセットQAM(OQAM)に関連して最もよく使用される。FBMCの欠点は、OQAMに起因して、たとえば、すべての種類の多入力多出力(MIMO)と非互換であることである。さらに、長いフィルタ長は、フィルタ「ランプアップ」時間およびフィルタ「ランプダウン」時間に起因して、短いバーストを非効率的にする。短いバーストは、エネルギ効率のよいMTCにとって重要になる。ここで、別の既存のマルチキャリア信号フォーマットは、汎用周波数分割多重(GFDM)につながる(hook in)。これは、副搬送波に関するパルス整形を有するFBMCに類似するが、短いバーストに関して魅力的になるために、テール・バイティング(線形畳み込みではなくフィルタを用いる巡回畳み込み)などの方法を使用する。その欠点は、オーバーラップする副搬送波であり、したがって、通常は比較的複雑な受信機である。Filtered OFDM、したがって全帯域にわたるOFDMのフィルタリングが、既知であり、帯域外放射を減らすのに時々使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
OFDMに対するより多くのマルチキャリア代替案を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
さまざまな例示的な実施形態のいくつかの態様を強調し、紹介することを意図したいくつかの単純化が、次の要約で行われるが、そのような単純化は、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。当業者が発明の概念を作成し使用することを可能にするのに適当な好ましい例示的実施形態の詳細について以下に述べられる。
【0013】
諸実施形態は、本明細書全体を通じてUniversal Filtered Multi−Carrier(UFMC)と呼ばれる、新規のマルチキャリア信号フォーマットに関する受信機方式を提案する。UFMCを、FBMCおよびfiltered OFDMの一般化と解釈することができる。前者は、各副搬送波をフィルタリングし、後者は、帯域全体をフィルタリングするが、UFMCは、複数の副搬送波のブロックをフィルタリングする。
【0014】
したがって、諸実施形態は、マルチキャリア信号(UFMC信号)を条件付ける送信機に対応する受信機を提供する。対応する送信機は、マルチキャリア信号の副搬送波を、前記副搬送波の第1のグループを含む第1の周波数ブロックと前記副搬送波の少なくとも第2のグループを含む少なくとも第2の周波数ブロックとにグループ化する手段を含む。この送信機は、第1の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のための第1のフィルタリング手段をさらに含む。第1のフィルタリング手段は、第1の副搬送波グループの各副搬送波上で時間的にソフトな遷移(soft transition)を有する第1の周波数ブロックのマルチキャリア・シンボルを提供するように構成される。この送信機は、少なくとも第2の周波数ブロックの外の同時の別々の側波帯抑圧のための少なくとも第2のフィルタリング手段をさらに含む。第2のフィルタリング手段は、第2の副搬送波グループの各副搬送波上で時間的にソフトな遷移を有する第2の周波数ブロックのマルチキャリア・シンボルを提供するように構成される。無線通信において、側波帯は、変調プロセスの結果としての電力を含む、搬送波または中心周波数より高いまたはこれより低い周波数の帯域である。側波帯は、搬送波または中心周波数を除く、変調された信号のすべてのフーリエ成分からなる。第1の周波数ブロックの側波帯は、隣接チャネル、たとえば第2の周波数ブロックと干渉する可能性がある。第1の周波数ブロックの側波帯の、隣接するチャネルとオーバーラップする部分は、第1のフィルタリング手段によって抑圧される。同一のことが、第2の周波数ブロックの側波帯にあてはまる。
【0015】
これに対応して、受信機の実施形態は、前記(UFMC)マルチキャリア信号を受信するように働く。受信されたマルチキャリア信号は、第1の周波数ブロックを含む。第1の周波数ブロックは、副搬送波の第1のグループを含む。送信機では、第1の周波数ブロックは、前記第1の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第1の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタを用いてフィルタリングされている。ここで、フィルタリングされた第1の周波数ブロックは、第1の副搬送波グループの各副搬送波上の時間的にソフトな遷移を有するマルチキャリア・シンボルを含む。さらに、マルチキャリア信号は、少なくとも第2の周波数ブロックを含む。第2の周波数ブロックは、副搬送波の第2のグループを含む。送信機では、第2の周波数ブロックは、前記第2の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第2の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタを用いてフィルタリングされている。ここで、フィルタリングされた第2の周波数ブロックは、第2の副搬送波グループの各副搬送波上の時間的にソフトな遷移を有するマルチキャリア・シンボルを含む。諸実施形態では、受信機は、受信されたマルチキャリア信号内に含まれる第1のおよび少なくとも第2の周波数ブロックの逆(または逆方向)側波帯抑圧フィルタ動作を実行するように動作可能であるかそのように構成されたフィルタ・モジュールを含む。これによって、「逆」は、受信機のフィルタ・モジュールが、したがってそのインパルス応答が、送信機の第1のおよび第2の側波帯抑圧フィルタリング手段に適合されまたは整合されるようにすることと理解することができる。
【0016】
言い換えると、マルチキャリア信号のための受信機が提供される。この受信機は、マルチキャリア信号の第1の周波数ブロックの逆側波帯抑圧フィルタ動作を実行するように構成されたフィルタ・モジュールを含む。第1の周波数ブロックは、副搬送波の第1のグループを含む。第1の周波数ブロックは、前記第1の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第1の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタを用いてフィルタリングされている。フィルタリングされた第1の周波数ブロックは、第1のグループの各副搬送波上の時間的にソフトな遷移を有するマルチキャリア・シンボルを含む。さらに、フィルタ・モジュールは、マルチキャリア信号の少なくとも第2の周波数ブロックの逆側波帯抑圧フィルタ動作を実行するように構成される。第2の周波数ブロックは、副搬送波の第2のグループを含む。第2の周波数ブロックは、前記第2の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第2の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタを用いてフィルタリングされている。フィルタリングされた第2の周波数ブロックは、第2のグループの各副搬送波上の時間的にソフトな遷移を有するマルチキャリア・シンボルを含む。
【0017】
さらなる態様によれば、マルチキャリア通信システムも提供される。このシステムは、送信機を含む。この送信機は、マルチキャリア信号の副搬送波を、前記副搬送波の第1のグループを含む第1の周波数ブロックと前記副搬送波の少なくとも第2のグループを含む少なくとも第2の周波数ブロックとにグループ化する手段を含む。この送信機は、第1の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のための第1のフィルタをさらに含む。第1のフィルタは、第1のグループの各副搬送波上で時間的にソフトな遷移を有する第1の周波数ブロックのマルチキャリア・シンボルを提供するように構成される。この送信機は、少なくとも第2の周波数ブロックの外の同時の別々の側波帯抑圧のための少なくとも第2のフィルタをも含む。第2のフィルタは、第2のグループの各副搬送波上で時間的にソフトな遷移を有する第2の周波数ブロックのマルチキャリア・シンボルを提供するように構成される。このシステムは、第1のおよび少なくとも第2の周波数ブロックの逆側波帯抑圧フィルタ動作を実行するように構成されたフィルタ・モジュールを含む受信機をも含む。
【0018】
諸実施形態では、受信機のフィルタ・モジュールは、任意のフィルタリング・ユニット、フィルタ・ユニット、ラジオ周波数フィルタなどに対応することができる。したがって、諸実施形態では、フィルタ・モジュールは、第1の周波数ブロックと少なくとも第2の周波数ブロックとを含む受信されたマルチキャリア信号またはその一部の入力と、フィルタ特性を用いて信号をフィルタリングし、それぞれ第1の周波数ブロックと少なくとも第2の周波数ブロックとの周波数位置に適合されるアルゴリズムと、フィルタリングされた信号の出力とを含むことができる。いくつかの実施形態では、フィルタ・モジュールは、コンピュータ・プログラムおよび/またはDSP、ASIC、FPGA、もしくは任意の他のプロセッサなど、コンピュータ・プログラムがその上で実行されるハードウェア・コンポーネントに関して実施され得る。
【0019】
1つまたは複数の実施形態では、受信機のフィルタ・モジュールは、1つまたは複数の線形フィルタを含むことができる。線形フィルタは、線形性の制約の対象となる出力信号を作るために、時間変動する入力信号を処理する。これによって、受信機の1つまたは複数の線形フィルタは、UFMC送信機と受信機との間の伝送チャネルに依存することができる。諸実施形態では、伝送チャネルは、送信機でマルチキャリア信号を入手するために実行される1つまたは複数の逆離散フーリエ変換(IDFT)と、第1の周波数ブロックおよび/または少なくとも第2の周波数ブロックに関する送信機の1つまたは複数の側波帯抑圧フィルタと、送信機と受信機との間の物理通信チャネルとの連結に対応することができる。諸実施形態では、物理通信チャネルは、たとえば、無線フェージング・チャネルとすることができる。1つまたは複数の線形フィルタを、1つまたは複数のフィルタ係数行列によって表すことができ、このフィルタ係数行列を、マルチキャリア信号を表す受信信号ベクトルに適用することができる。
【0020】
たとえば、1つまたは複数の線形フィルタは、整合フィルタ、ゼロフォーシング(ZF)フィルタ(Zero−Forcing filter)、および最小平均二乗誤差(Minimum Mean Squared Error、MMSE)フィルタからなる群のうちの1つとすることができる。信号処理において、整合フィルタは、未知の信号内のテンプレートの存在を検出するために既知の信号またはテンプレートを未知の信号(受信されたマルチキャリア信号)と相関させることによって入手される。これは、テンプレートの共役時間反転版(すなわち、側波帯抑圧フィルタ)を用いて未知の信号を畳み込むことと同等である。ゼロフォーシング・フィルタは、伝送チャネルの周波数応答の逆数を適用する、通信システム内で使用される線形フィルタ・アルゴリズムの1つの形を指す。MMSEフィルタは、エスティメータ品質の共通尺度である従属変数のあてはめられた値の平均二乗誤差(MSE)を最小にする。
【0021】
オプションで、受信機のフィルタ・モジュールは、(受信されたマルチキャリア信号および)第1の送信信号の複数のフィルタリングされた仮説に基づいて、第1の周波数ブロックの第1の送信信号を検出し、かつ/または(受信されたマルチキャリア信号および)第2の送信信号の複数のフィルタリングされた仮説に基づいて、第2の周波数ブロックの第2の送信信号を検出するために、非線形最尤(ML)検出器に結合されまたはその中に含まれ得る。ここでは、第1の周波数ブロックおよび/または第2の周波数ブロックの側波帯抑圧フィルタのエッジのしゅん度に依存して、関心のある(of interest)周波数ブロックに隣接する副搬送波に属する信号のフィルタリングされた仮説をも考慮することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、非線形最尤検出器は、受信機の複雑さを減らすために、受信されたマルチキャリア信号の異なる「逆」または「逆方向」側波帯抑圧フィルタリングされた周波数ブロックに連続して作用するように構成され得る。
【0023】
1つまたは複数の実施形態では、受信機は受信されたマルチキャリア信号を時間領域から周波数領域に変換するように構成されたフーリエ変換モジュールを含むことができる。諸実施形態では、フーリエ変換モジュールは、任意の実施ユニット、実行ユニット、処理ユニットなどに対応することができる。したがって、諸実施形態では、フーリエ変換モジュールは、第1の周波数ブロックおよび少なくとも第2の周波数ブロックを含む受信された時間領域マルチキャリア信号の入力と、フーリエ変換を実行するアルゴリズムと、周波数領域信号の出力とを含むことができる。いくつかの実施形態では、フーリエ変換の実行を、コンピュータ・プログラムと、DSP、ASIC、FPGA、または任意の他のプロセッサなど、コンピュータ・プログラムがその上で実行されるハードウェア・コンポーネントとに関して実施することができる。
【0024】
したがって、受信機のフィルタ・モジュールは、周波数領域で第1のおよび少なくとも第2の周波数ブロックに関する逆側波帯抑圧フィルタ動作(または少なくともその一部)を実行するように構成され得る。そのために、受信機は、長さN+L−1の受信された時間領域マルチキャリア信号ベクトルにN−L+1個の0を付加するように構成され得、Nは、マルチキャリア信号の送信機で実行される逆離散フーリエ変換(DFT)の長さを表し、Lは、送信機の側波帯抑圧フィルタの長さを表す。諸実施形態では、受信機のフーリエ変換モジュールは、2Nの長さに対応する付加された時間領域マルチキャリア信号ベクトルに対して高速フーリエ変換(FFT)を実行し、高速フーリエ変換の後に、入手された周波数領域信号ベクトルの2つおきのサンプルを破棄するように構成され得る。
【0025】
オプションで、受信機のフィルタ・モジュールは、周波数領域内で、副搬送波ごとに、送信機と受信機との間の全体的な伝送チャネルを等化する、副搬送波ごとの等化フィルタを含むことができる。全体的な伝送チャネルは、それぞれの周波数ブロックまたは副搬送波ブロックの(送信側)側波帯抑圧フィルタ動作と、送信機と受信機との間のそれぞれの副搬送波の物理通信チャネルとの連結に対応することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、受信機のフィルタ・モジュールは、第1のおよび第2のフィルタリングされたマルチキャリア信号を入手するために、時間領域での前記第1の周波数ブロックの逆側波帯抑圧フィルタ動作に従い、少なくとも第2の周波数ブロックの逆側波帯抑圧フィルタ動作に従って、受信されたマルチキャリア信号を別々にフィルタリングするように構成され得る。受信機は、さらなる処理のために、第1のおよび第2のフィルタリングされたマルチキャリア信号を周波数領域に別々に変換し、関心のあるそれぞれの周波数ブロックの外の副搬送波を破棄するように構成されたフーリエ変換モジュールを含むことができる。
【0027】
オプションで、受信機は、第1のおよび/または少なくとも第2の周波数ブロックに関する逆側波帯抑圧フィルタ動作を(少なくとも部分的に)実行する前に、時間領域において受信されたマルチキャリア信号に窓関数を適用するように動作可能であるかそのように構成された干渉抑圧モジュールを含むことができる。これによって、窓関数を、ある選択された区間の外で0の値を有する数学関数と理解することができる。たとえば、その区間の内部で一定であり、他所で0である関数は、方形窓と呼ばれる。別の関数または波形/データシーケンスが窓関数によって乗算される時に、その積は、やはり区間の外で0の値を有し、残されるものすべては、オーバーラップする部分すなわち「窓を通した眺め」である。通常の応用例では、使用される窓関数は、非負の滑らかな「釣鐘状の」曲線であるが、長方形、三角形、および他の関数を使用することもできる。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、受信機は、隣接周波数帯のマルチキャリア信号(またはその一部)に対応する送信信号を推定し、関心のある周波数帯でのマルチキャリア信号(またはその一部)内での干渉除去に推定された信号を使用するように動作可能であるかそのように構成された干渉除去モジュールを含むことができる。そのような実施形態では、たとえば、マルチユーザ検出(Multi−User Detection、MUD)技法を使用することができる。
【0029】
オプションで、受信機は、受信されフィルタリングされた第1のおよび第2の周波数ブロック内の複数の信号レイヤを復号する手段を含むことができる。これによって、複数の信号レイヤは、UFMCマルチキャリア信号の第1のおよび/または第2の周波数ブロックの副搬送波内で使用される異なる符号分割多元接続(CDMA)レイヤまたはインターリーブ分割多元接続(Interleave Division Multiple Access、IDMA)レイヤに対応することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、受信機は、送信機と受信機との間の物理通信チャネルの副搬送波固有推定値を判定するように動作可能またはそのように構成されたチャネル・エスティメータを含むことができる。副搬送波固有チャネル推定値は、マルチキャリア信号内に含まれる1つまたは複数の既知のパイロット信号のフーリエ変換に基づき、それぞれの副搬送波を含む周波数ブロックの側波帯抑圧フィルタに基づいて、判定され得る。したがって、チャネル推定に関して、1つの考え方は、受信信号の周波数領域表現を見つけ、パイロット・シンボル振幅に加えてUFMCフィルタ周波数応答を補償し、たとえばOFDMから既知のすべての入手可能なチャネル・エスティメータ系列を用いてこの第1の生のチャネル推定値を処理することである。
【0031】
さらなる態様によれば、諸実施形態は、(UFMC)マルチキャリア信号を受信する方法をも提供する。マルチキャリア信号は、副搬送波の第1のグループを含む第1の周波数ブロックを含み、第1の周波数ブロックは、前記第1の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第1の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタを用いてフィルタリングされる。さらに、マルチキャリア信号は、副搬送波の少なくとも第2のグループを含む少なくとも第2の周波数ブロックを含み、第2の周波数ブロックは、前記第2の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第2の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタを用いてフィルタリングされる。この方法は、第1のおよび少なくとも第2の周波数ブロックに関して少なくとも部分的に逆側波帯抑圧フィルタ動作を実行するステップを含む。
【0032】
言い換えると、この方法は、マルチキャリア信号の第1の周波数ブロックの逆側波帯抑圧フィルタ動作を実行するステップを含む。第1の周波数ブロックは、副搬送波の第1のグループを含む。第1の周波数ブロックは、前記第1の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第1の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタを用いてフィルタリングされている。フィルタリングされた第1の周波数ブロックは、第1のグループの各副搬送波上の時間的にソフトな遷移を有するマルチキャリア・シンボルを含む。さらに、この方法は、マルチキャリア信号の少なくとも第2の周波数ブロックの逆側波帯抑圧フィルタ動作を実行するステップを含む。第2の周波数ブロックは、副搬送波の少なくとも第2のグループを含む。第2の周波数ブロックは、前記第2の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第2の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタを用いてフィルタリングされている。フィルタリングされた第2の周波数ブロックは、第2のグループの各副搬送波上の時間的にソフトな遷移を有するマルチキャリア・シンボルを含む。
【0033】
いくつかの実施形態は、それぞれの方法を実行するために送信機/受信機内に設置されたデジタル回路網を含む。そのようなデジタル制御回路網、たとえばデジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または汎用プロセッサは、しかるべくプログラムされることを必要とする。したがって、さらなる実施形態は、コンピュータ・プログラムがコンピュータまたはプログラマブル・ハードウェア・デバイス上で実行される時に、この方法の実施形態を実行するプログラム・コードを有するコンピュータ・プログラムをも提供する。
【0034】
したがって、諸実施形態は、UFMC信号を復調するための複数の異なる柔軟でスケーラブルな受信機チェーン実現を提供する。これらの受信機チェーン(その副変形を伴う)は、UFMC信号受信に関する多数の魅力的な手法を包含することができる。これによって、提案される受信機は、線形および非線形の純時間領域処理を含む。その複雑さは、少数の副搬送波に関してそれらを特に魅力的にする。諸実施形態は、純周波数領域受信機処理をも提供し、この処理は、OFDMとほぼ同程度に低い複雑さを達成することができる。さらに、諸実施形態は、時間領域処理とそれに続く周波数領域処理とを含み、これは、複雑さの穏当な増加を伴って、純周波数領域処理と比較して追加の性能利益を提供することができる。
【0035】
装置および/または方法のいくつかの実施形態を、例としてのみ、添付図面を参照して以下で説明する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
さまざまな例の実施形態を、これから、いくつかの例の実施形態が示された添付図面を参照してより十分に説明する。図面では、線、層、および/または領域の厚さが、明瞭さのために誇張されている場合がある。
【0038】
したがって、例の実施形態は、さまざまな変更および代替の形が可能であるが、その実施形態が、例として図面に示され、本明細書で詳細に説明される。しかし、例の実施形態を開示される特定の形態に限定することは意図されておらず、逆に、例の実施形態は、本発明の範囲に含まれるすべての修正形態、同等物、および代替物を包含しなければならないことを理解されたい。同様の符号は、図面の説明全体を通じて同様のまたは類似する要素を指す。
【0039】
ある要素が、別の要素に「接続される」または「結合される」と言われる時に、その要素を別の要素に直接に接続しまたは結合することができ、あるいは介在する要素が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素が、別の要素に「直接に接続される」または「直接に結合される」と言われる時には、介在する要素は存在しない。要素の間の関係を説明するのに使用される他の単語は、同様の形で解釈されなければならない(たとえば、「間に」対「直接に間に」、「隣接する」対「直接に隣接する」など)。
【0040】
本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態を説明するためのみのものであって、例の実施形態を限定することは意図されていない。本明細書で使用される時に、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうではないことを明瞭に示さない限り、複数形をも含むことが意図されている。さらに、用語「含む」(「comprises」、「comprising」、「includes」、および/または「including」)は、本明細書で使用される時に、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはその群の存在または追加を除外しないことを理解されたい。
【0041】
他の形で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例の実施形態が属する技術の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。さらに、用語、たとえば一般に使用される辞書で定義される用語は、関連技術の文脈における意味と一貫する意味を有すると解釈されなければならず、本明細書で定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味で解釈されてはならないことを理解されたい。
【0042】
図1は、一実施形態によるUFMCマルチキャリア信号を条件付ける例示的な送信機100のブロック図を示す。
【0043】
例示的なUFMC送信機100は、周波数ブロックに関するIDFT(IDFT=逆離散フーリエ変換)の特徴がある。すなわち、データ・シンボルd
i,j(i=1…p;j=1…n)は、それぞれがn個の副搬送波を含むp個のグループ(または周波数ブロック)に変調される。周波数ブロック(サブバンドとも称する)ごとの副搬送波の個数が、お互いから逸脱し得ることに留意されたい。各周波数ブロックiは、周波数ブロック固有IDFTモジュール102−1、102−2、…、102−pによって周波数領域から時間領域に変換されて、p個の時間領域信号104−1、104−2、…、104−pが入手され、時間領域信号104−1、104−2、…、104−pは、その後、周波数ブロック固有サイドローブ抑圧(帯域)フィルタ106−1、106−2、…、106−pによって個別にフィルタリングされる。フィルタリングされた時間領域信号108−1、108−2、…、108−pは、その後、UFMCマルチキャリア信号109に組み合わされ、ベースバンドからラジオ周波数(RF)領域に変換される。
図1に示された処理ユニットにまたがる処理機能の分割が、クリティカルではなく、当業者によって理解され得るように、処理ユニットの個数、処理機能の個数、および処理ユニットへの処理機能の割振りを、実施形態の範囲から逸脱せずに変更できることに留意されたい。
【0044】
例示的な送信機100の処理機能を、処理ユニット102−1、102−2、…、102−pの第1のグループと、帯域フィルタ106−1、106−2、…、106−pの第2のグループとに分割することができる。送信される複素数値時間領域信号ベクトルXの数学的記述を、たとえば次式によって与えることができ、
【数1】
ここで
p:周波数ブロックの個数(LTE PRBの個数など)、
F
i:周波数ブロックの個数iをフィルタリングするための帯域FIRフィルタ(FIR=有限インパルス応答)を含む、周波数ブロックの個数iに関するいわゆるテプリッツ行列、
V
i:IDFTを適用し、たとえばシヌソイド副搬送波にデータ・シンボル行列d
iをマッピングするための、周波数ブロックの個数iに関する複素数値の行列、
d
i:p個の周波数ブロック(サブバンド)の個数iに関するデータ・シンボル・ベクトル。
【0045】
図1によれば、n
1個のデータ・シンボルd
1,j(j=1…n
1)を含む第1のデータ・シンボル・ベクトルd
1が、第1のシンボル・ベクトルd
1に第1のIDFTを実行するために、IDFT処理ユニット102−1、102−2、…、102−pのグループの第1のIDFT処理ユニット102−1に適用される。IDFTは、長さおよび位相回転に関してそれぞれのIDFTベクトルを適当に選択することによる補間およびアップコンバージョンを含むことができる。IDFT処理ユニット102−1は、第1の時間領域信号104−1を生成し、この第1の時間領域信号104−1は、第1の周波数ブロックを形成する複数の副搬送波を含む。IDFTは、n
1×Nの次元を有することができ、n
1は、第1の周波数ブロックの変調される副搬送波の個数であり、Nは、事前に定義された周波数範囲全体が副搬送波によって占有される時の、事前に定義された副搬送波距離に関して事前に定義された周波数範囲(帯)全体に理論的にあてはまる副搬送波の総数と等しい。同一の形で、データ・シンボル・ベクトルd
2、…、d
pを、補間およびアップコンバージョンを含むさらなるIDFTを実行するため、およびそれぞれが副搬送波の周波数ブロックを含むさらなる時間領域信号104−2、…、104−pを生成するために、対応するさらなるIDFT処理ユニット102−2、…、102−pに適用することができる。処理ユニット102−1、102−2、…、102−pは、サブバンドまたはサブバンドの部分集合とすることができる周波数ブロックごとに別々の逆フーリエ変換を可能にする。すなわち、iでインデクシングされる周波数ブロックまたはサブバンドごとに、n
i個の複素直角位相振幅変調(QAM)データ・シンボルd
i,j(i=1…p;j=1…n
i)を、IDFT行列V
iを使用して時間領域に変換することができる。これによって、V
iは、次元Nxn
iであるものとすることができ、使用可能な周波数範囲全体の中のそれぞれのサブバンド位置に従う逆フーリエ行列の関連する列を含む。
【0046】
第1の時間領域信号104−1は、帯域フィルタ106−1、106−2、…、106−pのグループの第1の帯域フィルタ106−1に供給され、第1の帯域フィルタ106−1は、n
1個の副搬送波を含む第1の周波数ブロックまたは第1の副搬送波ブロックに対応する第1のフィルタリングされた時間領域信号108−1を生成する。第1の帯域フィルタ106−1の帯域幅は、第1の帯域フィルタ106−1が第1の周波数ブロックの周波数範囲の外のすべての周波数成分をブロックし、減衰させることができるようにするために適合され得る。同様の形で、さらなる時間領域信号104−2、…、104−pが、さらなるフィルタリングされた時間領域信号108−2、…、108−pを生成するために対応するさらなる帯域フィルタ106−2、…、106−pに供給され得る。帯域フィルタ106−i(i=1、…、p)を、それぞれ、それぞれのフィルタ・インパルス応答から構成され、畳み込みを可能にする、次元(N+N
filter−1)xNを有するテプリッツ行列F
iによって表すことができる。
【0047】
フィルタリングされた時間領域信号108−1、108−2、…、108−pを、組み合わされたフィルタリングされた時間領域信号108−2、…、108−pのベースバンドからRFへの変換を実行するように構成され得るバック・エンド処理ユニット110に供給することができる。
【0048】
UFMC送信信号は、フィルタが、式(1)に従ってソフト・エネルギ・ランプアップおよびソフト・エネルギ・ランプダウンを有するマルチキャリア・シンボルを生成するという点で、時間領域特性を有する。後続のマルチキャリア・シンボルは、やはりランプアップから始まり、ランプダウンで終わる。したがって、OFDMAシステムの各副搬送波上の方形パルスは、フィルタが時間領域でより短い長さを有し、その結果、より短いシンボル・レートを有することにつながる、ソフトな遷移を有するパルスによって置換される。UFMCの周波数ブロックに関するフィルタリングは、追加の柔軟性を生じ、FBMCの欠点を回避するのに使用され得る。副搬送波のブロック(たとえば、LTE用語法では「物理リソース・ブロック」または「サブバンド」)ごとのフィルタリングは、通過帯域内でFBMCよりスペクトル的に幅広く、したがって時間的により短い帯域フィルタ106−i(i=1、…、p)をもたらすことができる。この短縮された時間を使用して、たとえばOFDMサイクリック・プレフィックス(CP)程度に、フィルタ長を戻すことができる。短いバーストは、断片化された帯域での動作と同様に、それを用いてよくサポートされ得る。サイドローブ抑圧は、今や、副搬送波間よりもリソース(周波数)ブロック間で働く。時間領域でのフィルタ・ランプアップおよびフィルタ・ランプダウンは、シンボル間干渉(ISI)に対する固有のソフト・プロテクション(soft protection)ならびにたとえばATAに完全には時間整列されない多元接続ユーザをサポートするための頑健性を有するシンボル形状を提供することができる。
【0049】
図2aに、OFDM(符号202を参照されたい)と提案されるUFMC信号フォーマット(符号204を参照されたい)との間の単一の物理リソース・ブロック(PRB)または周波数ブロックの比較を示す。サイドローブ・レベルの削減が、明白である。
【0050】
図2bに、異なるユーザの間の異なるタイミング・オフセットの下での、サイクリック・プレフィックス(CP)付きおよびCPなしのOFDMとのUFMCの比較の性能結果を示す。AWGNチャネルでの、2ユーザ隣接チャネル干渉シナリオが示されている。具体的には、
図2bは、サンプル単位の隣接ユーザ時間遅れの関数として10
−3の4位相偏移変調(QPSK)シンボル・エラー・レートを達成するのに必要なE
b/N
0を示す。フィルタ106−i(i=1、…、p)の選択されたUFMCフィルタ長は、CPと同一である。マルチキャリア・シンボル持続時間は、128サンプル(それぞれ、+CP(0または15)およびフィルタ長−1(15))に対応する。CFOは、副搬送波間隔に対して正規化されている。通信システムの当業者は、UFMCが、ガード・バンドを減らす可能性と受信機内で後に破棄されるCPの使用を回避する可能性とに起因して、OFDMよりスペクトル効率が良い可能性があることを了解する。
【0051】
以下では、UFMC概念に従ってフィルタリングされた周波数ブロックまたはサブバンドを用いてマルチキャリア信号を受信するいくつかの例示的な受信機構造を、より詳細に説明する。
【0052】
図3に、UFMC信号xの送信機100と対応する受信機310とを含む通信システム300を概略的に示す。
【0053】
フィルタリングされた周波数ブロックまたは副搬送波ブロックを含む送信されたUFMC信号xは、いくつかの実施形態で無線フェージング・チャネルとすることができる物理通信チャネル305を介して送信機100から受信機310へ移動する。物理通信チャネル305は、マルチキャリア信号xの周波数ブロックまたはサブバンドごとに複素数値のフェージング係数と加法性白色ガウス雑音(AWGN)項とを含む複素数値の行列Hとしてモデル化され得る。上で説明したように、マルチキャリア信号xは、副搬送波の第1のグループを含む第1の周波数ブロックを含み、第1の周波数ブロックは、前記第1の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第1の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタ106−1を用いてフィルタリングされている。さらに、マルチキャリア信号は、副搬送波の少なくとも第2のグループを含む少なくとも第2の周波数ブロックを含み、第2の周波数ブロックは、前記第2の周波数ブロックの外の側波帯抑圧のために第2の周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタ106−i(i=2、…p)を用いてフィルタリングされている。
【0054】
諸実施形態によれば、マルチキャリア信号xの受信機310は、受信されたマルチキャリア信号によって含まれる第1のおよび少なくとも第2の周波数ブロックの逆側波帯抑圧フィルタ動作を実行するように動作可能なフィルタ・モジュール320を含む。ここで、表現「逆」は、周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタ106−i(i=1、…、p)の送信フィルタ動作に少なくとも部分的に適合されまたは一致された受信フィルタ動作と理解することができる。
【0055】
前述の式(1)を、次の定義によって、和を伴わずに書き直すことができる。
【数2】
これは、それぞれ、フィルタ行列の列に関する積み重ね、ブロック対角IDFT行列
【数3】
の生成、および1つの列へのすべてのデータ・シンボル・データ・シンボルd
i,j(i=1…p;j=1…n
i)の積み重ねを可能にする。これは、送信されたUFMCマルチキャリア信号の以下のベースバンド表現
【数4】
をもたらし、これは、受信されたUFMCマルチキャリア信号の以下のベースバンド表現
【数5】
につながり、ここで、yは、分散σ
n2を有する複素ガウス雑音nの加算を含む、時間領域チャネル・インパルス応答によって構成されたテプリッツ構造を有する畳み込み行列Hによって表される物理通信チャネル305を通って伝搬した後の、受信されたマルチキャリア信号ベクトルを表す。
【0056】
UFMC受信機310のさまざまな実施形態が可能であり、これを、下でより詳細に説明する。
【0057】
第1の例示的な実施形態によれば、受信機のフィルタ・モジュール320は、線形フィルタを含む。結果の線形時間領域受信機310またはそのフィルタ・モジュール320は、データ・シンボル推定値を入手するために時間領域受信ベクトルyにフィルタ重み行列Wを適用することができる。数学的には、これを
【数6】
と表すことができる。
【0058】
フィルタ重み行列Wは、システム帯域幅内の可能な副搬送波の量Nに対応する複数の行を有することができ、(逆)フーリエ変換の長さと送信側波帯抑圧フィルタ長との和に対応する複数の列を有することができる。諸実施形態では、線形フィルタWは、送信機100と受信機310との間の伝送チャネル全体に依存することができる。伝送チャネル全体は、送信機100のそれぞれのIDFT 102−1、102−2、…102−pと、第1のおよび/または少なくとも第2の周波数ブロックに関する送信機でのそれぞれの側波帯抑圧フィルタ106−1、106−2、…、106−pと、UFMC送信機100とUFMC受信機310との間の物理通信305チャネルとの連結に対応することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、受信機の線形フィルタ行列Wを、整合フィルタ(MF)行列とすることができる。このMF行列を
【数7】
と表すことができる。
【0060】
図4に概略的に示されているように、式(5)によって表される受信機の線形フィルタ動作を、チャネル整合322、逆副搬送波ブロックフィルタリング324、およびDFT逆拡散326の連結とみなすことができる。
【0061】
その代わりに、いくつかの実施形態では、受信機のフィルタ行列Wを、ゼロフォーシング(ZF)フィルタ行列とすることができる。ZFフィルタを、
【数8】
と表すことができ、A
+は、行列Aのムーア・ペンローズ逆行列を表す。上と同様に、3つの後続ステージへの受信機分離が可能である。
【0062】
その代わりに、いくつかの実施形態では、受信機のフィルタ行列Wを、MMSE/ウィーナ・フィルタ行列とすることができる。MMSEフィルタを、
【数9】
と書くことができる。式(5)〜(7)による線形受信機の複雑さは、副搬送波の個数に依存する。しかし、これらは、搬送波間干渉(ICI)をも処理する可能性を提供する。
【0063】
受信機310のさらなる実施形態は、非線形時間領域受信機をも含む。そのような実施形態では、フィルタ・モジュール320を、非線形最尤(ML)検出器に結合し、またはこれに含めることができる。ここで、ML検出器は、第1の送信信号の複数のフィルタリングされた仮説に基づいて、第1の周波数ブロックの第1の送信信号d
1を検出することができる。同様に、ML検出器は、第2の送信信号の複数のフィルタリングされた仮説に基づいて、少なくとも第2の周波数ブロックの第2の送信信号d
2を検出することができる。すなわち、非線形時間領域受信機310は、kによってインデクシングされ、異なる副搬送波にマッピングされたすべての可能なシンボル仮説
【数10】
をテストし、結果の第kの受信時間領域信号仮説
【数11】
を計算することができ、たとえば
【数12】
に従って、実際の受信信号y
kへのユークリッド距離を最小にする仮説を見つけることができる。最少の距離を有する仮説は、最尤解に対応するシンボル推定値である。
【0064】
副搬送波の個数に依存して、式(8)による非線形時間領域受信機は、非常に複雑になる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、非線形時間領域受信機は、サブバンドに関して動作することができる。すなわち、非線形最尤検出器を、受信されたマルチキャリア信号yの逆側波帯抑圧フィルタリングされた異なる周波数ブロックに連続して作用するように構成することができる。検索空間の次元を、適当なプレフィルタリングによって減らすことができる。このプレフィルタリングは、反転された共役フィルタ・インパルス応答を用いる畳み込み、すなわち、UFMCのそれぞれのサブバンドごとの帯域フィルタ106−i(i=1、…、p)に整合され得る線形畳み込みを実行するテプリッツ行列Gによって記述されるフィルタを適用することによって実行され得る。可読性のために、Gに記述されるインデックスがないが、これが、サブバンドごとに変化する、サブバンドに個別のフィルタであることに留意されたい。たとえば、第1の周波数ブロックまたはサブバンドに関して、Gは、F
1Hに対応することができ、第2のサブバンドに関して、Gは、F
2Hに対応することができるなどである。
【0065】
図2aにプロットされたスペクトル204からわかるように、サイドローブ・レベルは、UFMCに関してすばやく減少する。したがって、検索に関して、我々は、考慮される(サブ)バンドkの両側の2〜3個の隣接する副搬送波について、関心のあるサブバンドk内の可能なシンボル・コンステレーションを評価するだけでよい。仮説は、
【数13】
を用いてインデクシングされ、検索は、
【数14】
である。ここでの複雑さの減少は、すべての(たとえば、N=600)副搬送波にわたる検索(ほとんどの場合に実現不能である)ではなく、我々が、サブバンド(たとえば、それぞれが12個の副搬送波を含む)と隣接搬送波(たとえば、12+2*3)にわたる複数の平行検索(たとえば、50)を開始できることを意味するが、これは、それでも非常に複雑である可能性があるが、計算の回数を大きく減らす可能性がある。
【0066】
1つまたは複数の実施形態では、受信機310は、さらにまたはその代わりに、受信されたマルチキャリア信号y(たとえば、1つのシンボル期間に対応する)を時間領域から周波数領域に変換するように構成されたフーリエ変換モジュールを含むことができる。すなわち、1つまたは複数の実施形態では、受信フィルタリングを含む受信機処理を、周波数領域で実行することができる。したがって、フィルタ・モジュール320を、第1のおよび少なくとも第2の周波数ブロックまたは副搬送波ブロックに関する逆側波帯抑圧フィルタ動作の少なくとも一部を周波数領域で実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、フーリエ変換モジュールを、
図5を参照して以下で説明されるように、受信されたマルチキャリア信号yに対して高速フーリエ変換(FFT)を適用するように動作可能とすることができる。
【0067】
2のべきを有するFFTを適用するために、式(3)による受信ベクトルyに、全長において2の次のべきに達するまで0を付加し、y
padをもたらすことができる。たとえば、L=80のサブバンドフィルタ長を有するN=1024サンプルIDFTを有する受信されたUFMC信号は、N+L−1=1103時間サンプルの総マルチキャリア・シンボル持続時間を有する。2の次のべきは、2048である。したがって、0を有する2048−1103=945個のサンプルをyに付加して、y
padを入手することができる。これを、ブロック402によって行うことができる。次に、y
padを、FFTモジュール404によって、
Y
double=FFT(Y
pad) (10)
に従って周波数領域に転送することができる。結果の周波数領域ベクトルY
doubleは、要求されるものの2倍の個数の周波数サンプル点を有する。したがって、モジュール406の出力で周波数応答Y
singleを入手するために、Y
doubleの各第2のサンプル点を、ブロック406で破棄することができる。したがって、受信機310は、長さN+L−1の受信された時間領域マルチキャリア信号ベクトルyにN−L+1個の0を付加するように構成され得、Nは、マルチキャリア信号の送信機100で実行される逆離散フーリエ変換(IDFT)の長さであり、Lは、送信機100の側波帯抑圧フィルタ106の長さである。受信機のフーリエ変換モジュール404は、2Nの長さに対応する付加された時間領域マルチキャリア信号ベクトルy
padに対してFFTを実行するように構成され得る。FFT 404の後に、入手された周波数領域信号ベクトルY
doubleの2つおきのサンプルを、破棄することができる。
【0068】
ここで、これらの処理ステップの後に、副搬送波ごとのスカラ等化器408を適用し、等化ベクトルqと周波数応答ベクトルY
singleとの要素に関する乗算
【数15】
を実行することができ、ここで、円形の記号は、要素ごとの乗算を実行する、アダマール積を表す。等化ベクトルqは、フィルタ遅延位相シフトを含むそれぞれの周波数ブロック固有の側波帯抑圧フィルタ106−i(i=2、…、p)の周波数応答ならびに物理チャネルの周波数応答H、いわゆるチャネル伝達関数によって引き起こされるすべての位相回転の世話をする。この等化が、OFDMに似ているが、側波帯抑圧フィルタ106−i(i=2、…、p)の追加の補償を伴うことに留意されたい。したがって、いくつかの実施形態では、受信機のフィルタ・モジュール320は、それぞれの第iの周波数ブロックの側波帯抑圧フィルタ106−i(i=2、…、p)と送信機100と受信機310との間のそれぞれの第iの副搬送波の物理通信チャネルとの連結に対応する伝送チャネル305を周波数領域で副搬送波ごとに等化する、副搬送波ごとの等化フィルタ408を含むことができる。
【0069】
図6および
図7に概略的に示された1つまたは複数の実施形態では、追加の時間領域前処理602を、周波数領域処理と組み合わせることができる。たとえば、(副)搬送波周波数オフセットによって引き起こされる位相回転を、まずモジュール602によって時間領域で、たとえば共役位相係数推定値の要素に関する乗算によって事前に補償することができる。
図6に示された以下の処理ステップまたはモジュールは、
図5の実施形態に対応する。
【0070】
図7に、後続のサブバンドごとの処理を有する一実施形態を概略的に示す。ここで、全般的な時間領域前処理602(たとえば、位相オフセット補償)の後に、サブバンドごとの受信フィルタリング702−1、702−2、…、702−pを、たとえば整合フィルタG
i(i=1、2、…、p)を使用することによって、時間領域で適用することができる。たとえば、第1の周波数ブロックまたはサブバンドについて、フィルタG
1(702−1)は、F
1Hに対応することができ、第2のサブバンドについて、G
2(702−2)は、F
2Hに対応することができるなどである。したがって、フィルタ・モジュール320は、第1のおよび第2のフィルタリングされたマルチキャリア信号703−1、703−2、…、703−pを入手するために、時間領域において、第1の周波数ブロックに関する逆側波帯抑圧フィルタ動作(F
1H)に従い、少なくとも第2の周波数ブロック(F
2H)に従って、受信されたマルチキャリア信号を別々にフィルタリングするように構成され得る。特定のサブバンドまたは周波数ブロックiのフィルタ出力G
iyについて、複数の処理オプションがある。
【0071】
一実施形態では、2の次のべきに達するまで、特定のサブバンドのフィルタ出力703−1、703−2、…、703−pに0をパディングすることができる。これは、上ですでに説明したように、ベクトルG
iy
padをもたらす。次に、FFTモジュールによって、G
iy
padを周波数領域に転送することができる。
【数16】
結果の周波数領域ベクトル
【数17】
は、要求されるものの2倍の個数の周波数サンプル点を有する。したがって、
【数18】
の各第2のサンプル点を破棄して、モジュール704−i(i=1、2、…、p)の出力で周波数応答
【数19】
を入手することができる。ここで、受信機310は、第1のおよび少なくとも第2のフィルタリングされたマルチキャリア信号を周波数領域に別々に変換し、関心のあるそれぞれの周波数ブロックの外の副搬送波を破棄するように構成される。この種の処理を、すべてのサブバンドi=1、2、…、pについて実行することができ、すべての結果を、組み合わされたベクトル
【数20】
内で積み重ねることができる。やはり、副搬送波ごとの等化を、
【数21】
によって実行することができる。q
pre−filteredは、それぞれのサブバンドごとの受信フィルタG
i(i=1、2、…、p)の周波数応答の影響をも含むので、式(11)のqとは異なることに留意されたい。説明されるプレフィルタリングは、たとえば、副搬送波ごとの信号対雑音比(SNR)を改善することができる。フィルタリング行列が単位行列であり、ディラック・インパルスを用いる畳み込みを意味する場合に、この実施形態が、
図5の「フィルタリングなし」実施形態をも包含することに留意されたい。
【0072】
他の実施形態では、結果
【数22】
を、Gyを用いるプレフィルタリングの後に、サブバンドごとにサブバンドを逆拡散するDFTによって直接に作ることができる。すなわち、FFTの代わりにDFTを使用することができる。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、サブバンド固有受信フィルタG
i(i=1、2、…、p)は、さらに、ダウンサンプリングを含むことができ、G
i,down(i=1、2、…、p)になり、ここで、ダウンサンプリング・レートは、エイリアシングを防ぐために、送信UFMCフィルタ106−i(i=1、2、…、p)のフィルタ・スロープに合わせて調整され得る。特定の周波数ブロックまたはサブバンドi=1、2、…、pに関して、ダウンサンプリングされたシーケンスG
i,downy
padを、FFTを用いて処理することができる。
【数23】
式(14)のこのFFTが、式(12)で使用されるFFTよりサイズにおいて遙かに小さく、これが処理の複雑さを減らすことができることに留意されたい。
【0074】
受信されたUFMCマルチキャリア信号yは、搬送波間干渉(ICI)および/またはシンボル間干渉(ISI)に悩まされる可能性がある。これは、たとえば、2つのユーザが隣接する帯域内で受信されるが、そのタイミングが正確には整列されない時に発生し得る。この場合に、隣接周波数からの(副)搬送波が、お互いに漏話する。この場合に、受信機310は、第1のおよび/または少なくとも第2の周波数ブロックに関する逆側波帯抑圧フィルタ動作を実行する前に、時間領域において受信されたマルチキャリア信号ベクトルyに窓関数を適用するように動作可能な干渉抑圧モジュールを含むことができる。時間領域受信信号ベクトルy(たとえば、マルチキャリア・シンボルに対応する)に重み付け窓を適用することによって、すなわち、たとえばシンボル・エッジでの滑らかな振幅減少につながる窓との受信信号の要素に関する乗算によって、効果が2倍になる。
・干渉電力を減らすことができ、
・単一の副搬送波が窓の周波数応答を用いて畳み込まれるので、自己干渉が増加し得る。
したがって、シンボルの誤整列に起因してもたらされる干渉が、ウィンドウイングによってもたらされる自己干渉を超えるや否や、窓関数を適用することができる。
【0075】
説明したように、受信されたUFMCマルチキャリア信号yは、2つのユーザが隣接帯域内で受信されるが、そのタイミングが正確には整列されない時に、ICIに悩まされる可能性がある。この場合に、隣接する周波数からの(副)搬送波は、お互いに漏話する。この影響は、OFDMと比較して、UFMCのサイドローブ・レベルが遙かにより低いので、周波数においてどちらかといえば局所化されている。したがって、いくつかの実施形態による受信機310は、搬送波間干渉を除去するために、これらの干渉する帯域からのシンボルを推定し、干渉除去(並列または直列)を実行することができる。すなわち、受信機310は、隣接周波数帯のマルチキャリア信号に対応する送信信号を推定し、関心のあるマルチキャリア信号内での干渉除去に推定された信号を使用するように動作可能な干渉除去モジュールを含むことができる。そのために、周知の並列または直列のマルチユーザ検出(MUD)またはジョイント検出の概念を使用することができる。
【0076】
1つまたは複数の実施形態では、受信機310は、受信されたUFMCマルチキャリア信号yまたはそのフィルタリングされた第1のおよび少なくとも第2の周波数ブロック内の複数の信号レイヤを復号する手段をも含むことができる。これによって、複数の信号レイヤは、異なる符号分割多元接続(CDMA)レイヤまたはインターリーブ分割多元接続(IDMA)レイヤに対応することができる。すなわち、UFMCマルチキャリア信号の各副搬送波(すなわち、各データ・シンボルd
i,j(i=1…p;j=1…n
i))は、複数の符号分割多重化されたおよび/またはインターリーブ分割多重化されたユーザの情報を伝えることができる。第1に、シンボル推定値を、前述の受信機実施形態の解決策のうちの1つによって生成することができる。マルチレイヤ伝送(CDMA成分またはIDMA成分を有する)の場合には、これらの初期シンボル推定値は、今や、複数の信号レイヤの重畳である。マルチキャリア伝送が、すでに複数のシンボルの伝送を並列化し、(近似的に)シンボル間干渉を除去しているので、Rake受信機のような戦略は、不要である。
【0077】
CDMA様レイヤの場合に、逆拡散は、たとえば、受信機シンボルと、拡散符号c、チャネル伝達関数h、および受信機フィルタfの合同の影響との内積すなわち
【数24】
を形成することによって発生することができる。
【0078】
IDMA様レイヤの場合に、Li Ping; Lihai Liu; Leung, W. K.、「A simple approach to near−optimal multiuser detection: interleave−division multiple−access」、IEEE WCNC 2003、2003年3月に記載のエレメンタル・シンボル・エスティメータ(ESE)などの受信機戦略が、レイヤを並列に復号するために軟ビットに対して作用することができる。
【0079】
受信機処理ステップを説明する前に、差分変調などが使用されない限り、通常は、チャネルの知識が必要である。UFMCは、OFDMに似て、既知の送信シンボルが挿入される、たとえば時間および周波数において散乱された、パイロット・リソース要素を挿入することができる。たとえば、一定振幅ゼロ自己相関(CAZAC)プロパティを有するパイロット・シンボル・シーケンスを選択し、したがって、たとえば、正確なタイミングおよび周波数の推定および同期に役立つ可能性がある、Zadoff−ChuシーケンスまたはBjoerckシーケンスを使用することが有利である可能性がある。パイロット・シンボルが、
図5または
図6の実施形態に似た処理チェーンを適用し、したがって、オプションで時間領域プレフィルタリングを伴う周波数領域処理を実行することが、推奨される。例示的に、
図5の実施形態に関して、式(11)は、Y
singleからの等化された周波数応答結果として副搬送波シンボル推定値を含む。式(11)の特定の副搬送波nを調べることによって、次式が得られる。
【数25】
ここで、F
FD(n)は、副搬送波nでの関連する側波帯抑圧フィルタ106の周波数応答を表し、
【数26】
は、副搬送波nのチャネル推定値を表し、Y
single(n)は、周波数領域での副搬送波nの受信信号を表す。
【0080】
したがって、単一のリソース要素の生のチャネル推定値を、既知のパイロット・シンボルS
Pilot(n)、既知のフィルタ周波数応答F
FD(n)、および観察された副搬送波受信値Y
single(n)に基づいて、
【数27】
に従って計算することができる。
【0081】
したがって、受信機310は、マルチキャリア信号内に含まれる1つまたは複数の既知のパイロット信号のフーリエ変換S
Pilot(n)に基づき、副搬送波nを含む周波数ブロックの側波帯抑圧フィルタF
FD(n)に基づいて、送信機100と受信機310との間の物理通信チャネルの副搬送波固有推定値
【数28】
を判定するように動作可能なチャネル・エスティメータを含むことができる。
【0082】
OFDMと比較して、異なる処理(たとえば、
図5の実施形態による)が、周波数領域受信信号を達成するために行われ、その後、フィルタリングの影響が、さらに考慮に入れられた。式(17)を介して生のチャネル推定値を入手した後に、OFDMから既知のすべての後続処理を適用することができる。たとえば、時間次元および周波数次元での2次元ウィーナ・フィルタリングは、OFDMもこれらの生のチャネル推定値を使用する場合に、OFDMと同一になり、これは、パイロット・シンボルの影響を補償する。
【0083】
本明細書で提示される実施形態は、たとえば断片化帯域動作での5G、非同期システム、発振器の緩和された要件などに適切な、OFDMの新規の万能拡張のための効率的な受信機アーキテクチャ実現を提供することができる。したがって、本明細書で提示される実施形態は、将来の5G物理レイヤの基礎を提供することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、受信機処理を、それでも周波数領域FFTに基づくものとすることができ、受信機時間窓は、2の次のべきまで0を付加され、FFTは、各第2の周波数値が副搬送波メイン・ローブに対応するところで実行される。OFDMに似て、無線チャネルおよびそれぞれのサブバンドフィルタの合同の影響を等化する、単一タップの副搬送波ごとの周波数領域等化器を使用することができる。これは、OFDMに類似する複雑さのオーダーにつながる。FFTを実行する前に、時間ウィンドウイング機能性を適用することができる。時間におけるウィンドウイングは、周波数領域での畳み込みに対応し、したがって、関心のあるユーザの副搬送波は、それ相応に幅を広げられる。さらに、関心のあるユーザの通過帯域内の干渉するユーザの帯域外放射を減衰させることができる。したがって、高い度合の同期があると、干渉は、窓を適用する時に、関心のあるユーザの自己干渉に起因して悪化するが、緩和された時間共時性があると、トラフィック間干渉の減少が支配的になり、全体的に改善された性能をもたらす。
【0085】
より複雑ではあるがさらなるオプションは、搬送波間干渉を抑圧することができる時間領域(TD)線形受信機(たとえば、MMSE)を使用することである。ここでの魅力的な妥協は、割振り帯域のエッジの少数の副搬送波だけに関してこのTD受信機を使用し、ほとんどの副搬送波をFFTベースのFD処理を介して処理することである。
【0086】
UFMCは、柔軟に使用可能であり、パラメータ化可能であり、たとえば、遅延拡散に似た、大スケール伝搬条件に合わせて調整されたユーザ個々のフィルタ適合を設けることができる。
【0087】
FBMCと比較して、FBMC欠点の多くは、わずかにより低いサイドローブ抑圧能力を犠牲にして、UFMCを用いて回避され得る。したがって、UFMCは、興味深い5G波形候補技術である。
【0088】
この説明および図面は、単に、本発明の原理を示す。したがって、当業者が、本明細書で明示的に説明されず、図示されていないが、本発明の原理を実施し、本発明の趣旨および範囲に含まれるさまざまな配置を考案できることを了解されたい。さらに、本明細書で列挙されるすべての例は、特に、当技術を促進するために本発明の原理および本発明人(1人または複数)によって寄与される概念を理解する際に読者を助けるという教育的目的だけのためのものであることが、原理的に意図されている。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべての言説は、その同等物を包含することが意図されている。
【0089】
機能ブロックは、それぞれある機能を実行するように適合された回路網を含む機能ブロックと理解されなければならない。したがって、「あるもののための手段」を、「あるもののために適合されまたはこれに適する手段」と理解することもできる。したがって、ある機能を実行するために適合された手段は、そのような手段が必ず前記機能を(所与の瞬間に)実行しつつあることを暗示しない。
【0090】
すべての機能ブロックを含む、図に示されたさまざまな要素の機能を、「プロセッサ」、「コントローラ」、その他などの専用ハードウェアならびに適当なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することのできるハードウェアの使用を介して提供することができる。さらに、本明細書で機能ブロックとして説明されるすべてのエンティティは、「1つまたは複数のモジュール」、「1つまたは複数のデバイス」、「1つまたは複数のユニット」などに対応し、またはそれらとして実施され得る。プロセッサによって提供される時に、機能を、単一の専用プロセッサによって、単一の共有されるプロセッサによって、またはいくつかが共有される可能性がある複数の個々のプロセッサによって、提供することができる。さらに、用語「プロセッサ」または「コントローラ」の明示的使用を、ソフトウェアを実行できるハードウェアを排他的に参照すると解釈してはならず、この明示的使用は、限定なしに、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納する読取り専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを暗黙のうちに含むことができる。従来のおよび/またはカスタムの、他のハードウェアを含めることもできる。
【0091】
当業者は、本明細書のすべてのブロック図が、本発明の原理を実施する例示的な回路網の概念的な図を表すことを了解するであろう。同様に、すべてのフロー・チャート、流れ図、状態遷移図、擬似コード、および類似物は、実質的にコンピュータ可読媒体内で表すことができ、したがってコンピュータまたはプロセッサが明示的に図示されているか否かに関わりなくそのようなコンピュータまたはプロセッサによって実行され得るさまざまなプロセスを表すことを了解されたい。
【0092】
さらに、以下の特許請求の範囲は、これによって「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は、別々の実施形態として自立することができる。各請求項が、別々の実施形態として自立することができるが、(従属請求項が、その請求項内で1つまたは複数の他の請求項との特定の組合せに言及する場合があるが)他の実施形態が、各他の従属請求項の主題とその従属請求項との組合せをも含むことができることに留意されたい。そのような組合せは、特定の組合せが意図されていないと述べられない限り、本明細書で提案される。さらに、ある請求項が、独立請求項に従属するように直接に作られてはいない場合であっても、この請求項の特徴が任意の他の独立請求項にも含まれることが意図されている。
【0093】
さらに、本明細書または特許請求の範囲で開示される方法を、これらの方法のそれぞれのステップのそれぞれを実行する手段を有するデバイスによって実施できることに留意されたい。
【0094】
さらに、本明細書または特許請求の範囲で開示される複数のステップまたは機能の開示を、特定の順序であるものと解釈してはならないことを理解されたい。したがって、複数のステップまたは機能の開示は、そのようなステップまたは機能が技術的理由から交換可能ではない場合を除いて、そのようなステップまたは機能を特定の順序に限定しない。さらに、いくつかの実施形態で、単一のステップが、複数のサブ・ステップを含むことができ、あるいは、複数のサブ・ステップに分解され得る。そのようなサブ・ステップは、明示的に除外されない限り、この単一のステップの開示に含まれ、その一部とされ得る。