(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、ヒトの酵素の最も大きなファミリーの1つを構成し、そして、リン酸基をタンパク質に付加することによって、多くの異なるシグナル伝達プロセスを調節する(T. Hunter, Cell 1987 50:823-829)。具体的には、チロシンキナーゼは、チロシン残基のフェノール部分でタンパク質をリン酸化する。チロシンキナーゼファミリーは、細胞の成長、移動及び分化を制御するメンバーを含む。異常なキナーゼ活性は、癌、自己免疫及び炎症性疾患を含む、様々なヒトの疾患に関与している。プロテインキナーゼは、細胞のシグナル伝達の重要な調節因子の1つであるので、これらは、小分子キナーゼ阻害剤で細胞機能をモジュレートするためのターゲットを提供し、そのために良好な薬物設計ターゲットとなる。キナーゼ媒介疾患過程の処置に加えて、選択的かつ効果的なキナーゼ活性阻害剤もまた、細胞のシグナル伝達プロセスの調査及び治療上関心の高いその他の細胞ターゲットの同定に有用である。
【0003】
B細胞が、自己免疫及び/又は炎症性疾患の病因において重要な役割を果たしているという確かな証拠がある。リツキサン(Rituxan)などのB細胞を枯渇させるタンパク質ベースの治療法は、関節リウマチなどの自己抗体によって生じる炎症性疾患に対して効果的である(Rastetter et al. Annu Rev Med 2004 55:477)。従って、B細胞活性化においてある役割を果たすプロテインキナーゼの阻害剤は、自己抗体産生などのB細胞媒介疾患病理に対する有用な治療法であるはずである。
【0004】
B細胞受容体(BCR)を介するシグナル伝達は、成熟した抗体産生細胞への増殖及び分化を含む、広範なB細胞応答を制御する。BCRは、B細胞活性に対する重要な調節点であり、そして、異常なシグナル伝達は、無秩序なB細胞の増殖及び病原性自己抗体の形成を引き起こし、多数の自己免疫及び/又は炎症性疾患を招く恐れがある。ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)は、膜近位のBCRのすぐ下流にある、非BCR関連キナーゼである。Btkの欠如は、BCRシグナル伝達を遮断することが知られており、従って、Btkの阻害は、B細胞媒介疾患過程を遮断する有用な治療アプローチであり得る。
【0005】
Btkは、チロシンキナーゼのTecファミリーのメンバーであり、初期B細胞発生ならびに成熟B細胞活性化及び生存の重要な調節因子であることが知られている(Khan et al. Immunity 1995 3:283; Ellmeier et al. J. Exp. Med. 2000 192:1611)。ヒトのBtkの突然変異は、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)状態を引き起こす(Rosen et al. New Eng. J. Med. 1995 333:431及びLindvall et al. Immunol. Rev. 2005 203:200に概説されている)。これらの患者は免疫不全状態であり、そして、B細胞の成熟障害、免疫グロブリン及び末梢B細胞レベルの減少、T細胞非依存性免疫応答の低下ならびにBCR刺激後のカルシウム動員の減衰を示す。
【0006】
自己免疫及び炎症性疾患にBtkがある役割を果たしているという証拠が、Btk欠損マウスモデルによって提供された。全身性エリテマトーデス(SLE)の前臨床マウスモデルにおいて、Btk欠損マウスは、疾患進行の著しい改善を示す。さらに、Btk欠損マウスは、コラーゲン誘発関節炎に耐性を示す(Jansson and Holmdahl Clin. Exp. Immunol. 1993 94:459)。選択的Btk阻害剤は、マウスの関節炎モデルにおいて、用量依存的効果を示すことが実証された(Z. Pan et al., Chem. Med Chem. 2007 2:58-61)。
【0007】
Btkはまた、疾患過程に関与し得るB細胞以外の細胞によっても発現される。例えば、Btkは、肥満細胞によって発現され、そして、Btk欠損骨髄由来の肥満細胞は、抗原誘発脱顆粒障害を示す(Iwaki et al. J. Biol. Chem. 2005 280:40261)。これは、Btkがアレルギー及び喘息などの病的な肥満細胞応答を処置するために有用であり得ることを示す。また、Btk活性が欠如したXLA患者由来の単球は、刺激後にTNFα産生の低下を示す(Horwood et al. J. Exp. Med. 2003 197:1603)。従って、TNFα媒介炎症は、小分子Btk阻害剤によってモジュレートされ得る。また、Btkは、アポトーシスにおいてある役割を果たすことが報告されており(Islam and Smith Immunol. Rev. 2000 178:49)、従って、Btk阻害剤は、ある種のB細胞リンパ腫及び白血病の処置に有用であり得る(Feldhahn et al. J. Exp. Med. 2005 201:1837)。
【0008】
発明の概要
本出願は、本明細書において後述するような式IのBtk阻害化合物、その使用方法を提供する:
【0009】
本出願は、式I:
【化1】
[式中、
R
1は、1つ以上のR
1’で場合により置換されている、低級アルキル、フェニル、シクロアルキル又はピリジルであり;
各R
1’は、独立して、低級アルキル、ハロ、−C(=O)NH
2又はシアノであり;
R
2は、存在しないか、ハロ、低級アルコキシ、ヒドロキシ又は低級アルキルであり;
R
3は、存在しないか、ハロ、低級アルコキシ、ヒドロキシ又は低級アルキルであり;
R
4は、存在しないか、又はヘテロシクロアルキル低級アルキレニルであり;
Xは、CH又はNであり;そして
Yは、CH又はNである]
で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0010】
本出願は、炎症性及び/又は自己免疫状態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0011】
本出願は、式Iの化合物を少なくとも1つの薬学的に許容し得る担体、賦形剤又は希釈剤との混合物で含む、医薬組成物を提供する。
【0012】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において使用されるように、表現「一つ(「a」又は「an」)の実体」は、一つ以上のその実体を指す;例えば、化合物(a compound)は、一つ以上の化合物又は少なくとも一つの化合物を指す。そのため、用語「a」(又は「an」)、「一つ以上」、及び「少なくとも一つ」は、本明細書では、互換的に使用され得る。
【0013】
表現「本明細書上記に定義されるような」は、発明の概要又は最も広い特許請求の範囲に与えられるような各基についての最も広い定義を指す。下記に与えられる全てのその他の実施態様において、各実施態様に存在することができ、かつ明確に定義されていない置換基は、発明の概要に与えられる最も広い定義を保持する。
【0014】
本明細書において使用されるように、請求項における移行句であるか本文であるかを問わず、用語「含む(comprise(s))」及び「含む(comprising)」は、オープンエンド(制限のない)の意味を有すると解釈されるべきである。すなわち、これらの用語は、語句「少なくとも〜を有する(having at least)」又は「少なくとも〜を含む(including at least)」と同意的に解釈されるべきである。プロセスに関連して使用する場合、用語「含む(comprising)」は、プロセスが少なくとも記載された工程を含むが、さらなる工程を含み得ることを意味する。化合物又は組成物に関連して使用する場合、用語「含む(comprising)」は、化合物又は組成物が、少なくとも記載された特徴又は成分を含むが、さらなる特徴又は成分も含み得ることを意味する。
【0015】
本明細書において使用されるように、別段具体的に示さない限り、用語「又は」は、「及び/又は」の「包含的」意味で使用され、「いずれか/又は」の「排他的」意味では使用されない。
【0016】
用語「独立して」は、本明細書において、同一の化合物内で、同じ又は異なる定義を有する変数の存在又は不在に関わらず、変数が、任意の一つの場合に適用されることを示すことに使用される。したがって、R”が2回出現し、それが「独立して炭素又は窒素」と定義される化合物においては、両方のR”が炭素であることも、両方のR”が窒素であることも、又は一方のR”が炭素であり、他方が窒素であることもあり得る。
【0017】
任意の変数が本発明中で使用され又はクレームされている化合物を表し、そして記載している任意の部分又は式中に1回より多く出現する場合、出現ごとのその定義は、すべての他の出現でのその定義とは独立している。同じく、置換基及び/又は変数の組合せは、そのような化合物が安定した化合物に至る場合に限り許容される。
【0018】
結合の終端部の記号「*」又は結合を貫いて延伸する「------」は、各々、官能基又は他の化学部分が、その一部である分子の残りに結合する点を指す。したがって、例えば:
【化2】
【0019】
環系中に引かれる結合(明確な頂点で連結されたものと対照をなす)は、結合が適切な環原子のいずれかに結合され得ることを示す。
【0020】
本明細書において使用されるように、用語「場合による」又は「場合により」は、続いて記載される事象又は状況が起こってもよいが起こる必要もなく、その記載は、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを含むことを意味する。例えば「場合により置換されている」は、場合により置換されている部分が、水素原子又は置換基を組み込み得ることを意味する。
【0021】
「場合により結合」という語句は、結合が存在してもよいし又はしなくてもよく、そしてその記載は単結合、二重結合又は三重結合を含むことを意味する。置換基が「結合」又は「存在しない」ことが示される場合、置換基に結合される原子は、その後直接結合される。
【0022】
用語「約」は本明細書において、およそ、ほぼ、おおまかに、あたりを意味することに使用される。用語「約」が数値範囲との組み合わせで使用される場合、それは記載される数値の上及び下に境界を拡張することによってその範囲を修飾する。概して、用語「約」は本明細書において、数値を、記載された数値の上及び下に20%の変動で修飾することに使用される。
【0023】
式Iの特定の化合物は、互変異性を示し得る。互変異性化合物は、2種以上の相互転換可能な種として存在できる。プロトン性(prototropic)互変異性体は、二つの原子間における共有結合した水素原子の移動から生じる。互変異性体は、一般的に、平衡状態で存在し、個々の互変異性体を単離しようとすると、通例、化合物の混合物と変わらない化学的及び物理的性質を有する混合物を生成する。平衡の位置は、分子内の化学的特徴部分に依存する。例えば、アセトアルデヒド等の多くの脂肪族アルデヒド及びケトンでは、ケト型が優位を占める一方、フェノールでは、エノール型が優位を占める。一般的なプロトン性互変異性体は、ケト/エノール(−C(=O)−CH−⇔−C(−OH)=CH−)、アミド/イミド酸(−C(=O)−NH−⇔−C(−OH)=N−)及びアミジン(−C(=NR)−NH−⇔−C(−NHR)=N−)互変異性体を含む。後者二つはヘテロアリール及び複素環において特に一般的であり、本発明は本化合物のすべての互変異性型を含む。
【0024】
本明細書において用いられる技術及び科学用語は、特に定義されない場合、本発明が関連する技術における当業者によって、一般に理解される意味を有する。当業者に知られた様々な方法論及び材料を、本明細書において引用する。Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001) を含む標準引例は、薬理学の一般的原理を説明するのに役立つ。当業者に知られた任意の適切な材料及び/又は方法を、本発明を実施する際に用いることができる。しかしながら、好ましい材料及び方法が記載されている。以下の説明及び実施例で引用する材料、試薬等は、特に指示のない場合、商業的供給源より入手可能である。
【0025】
本明細書に記載される定義は、例えば、「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」等の化学的に関連する組み合わせを形成するために加えられ得る。用語「アルキル」が、「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」のように別の用語の後に接尾辞として使用される場合、これは、他の具体的に名前を挙げた基から選択される1個〜2個の置換基により置換されている、上記で定義されたようなアルキル基を指すことが意図される。したがって、例えば、「フェニルアルキル」は、1〜2個のフェニル置換基を有するアルキル基を指し、したがって、ベンジル、フェニルエチル、及びビフェニルを含む。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」は、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピル等を含む。したがって、本明細書において使用されるように、用語「ヒドロキシアルキル」は、以下に定義されるヘテロアルキル基のサブセットを定義するために用いられる。用語−(ar)アルキルは、非置換アルキル又はアラルキル基のいずれかを指す。用語(ヘテロ)アリール又は(het)アリールは、アリール又はヘテロアリール基のいずれかを指す。
【0026】
本明細書において使用されるように、用語「スピロシクロアルキル」は、例えば、スピロ[3.3]ヘプタンのようにスピロ環式シクロアルキル基を意味する。本明細書において使用されるように、用語スピロヘテロシクロアルキルは、例えば、2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタンのようにスピロ環式ヘテロシクロアルキルを意味する。
【0027】
本明細書において使用されるように、用語「アシル」は、式−C(=O)Rの基を示し、式中、Rは、水素又は本明細書で定義された低級アルキルである。本明細書において使用されるように、用語「アルキルカルボニル」は、式C(=O)Rの基を示し、式中、Rは、本明細書において定義されたアルキルである。用語C
1−6アシルは、6個の炭素原子を含む基−C(=O)Rである。本明細書において使用されるように、用語「アリールカルボニル」は、式C(=O)R(式中、Rは、アリール基である)を意味し;本明細書において使用されるように、用語「ベンゾイル」は、「アリールカルボニル」基(ここでRは、フェニルである)を意味する。
【0028】
本明細書において使用されるように、用語「エステル」は、式‐C(=O)Rの基を示し、式中、Rは、本明細書において定義された低級アルキルである。
【0029】
本明細書において使用されるように、用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を含む、非分岐又は分岐鎖の飽和一価の炭化水素残基を表す。用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基を表す。本明細書で使用される「C
1−10アルキル」は、1〜10個の炭素からなるアルキルを指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル又はペンチル(を含む低級アルキル基)、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルを非限定的に含む。
【0030】
用語「アルキル」が、「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」のように別の用語の後に接尾辞として使用される場合、これは、他の具体的に名前を挙げた基から選択される1個〜2個の置換基により置換されている、上記で定義されたようなアルキル基を指すことが意図される。したがって、例えば、「フェニルアルキル」は、基R’R”−(ここで、R’は、本明細書で定義されたとおりの、フェニル基であり、R”は、アルキレン基である)を表し、フェニルアルキル部分の結合点はアルキレン基上であると理解される。アリールアルキル基の例は、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルを非限定的に含む。用語「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、R’がアリール基である以外、同様に解釈される。用語「(het)アリールアルキル」又は「(het)アラルキル」は、R’が、場合によりアリール又はヘテロアリール基である以外、同様に解釈される。
【0031】
用語「ハロアルキル」又は「ハロ低級アルキル」又は「低級ハロアルキル」は、1〜6つの炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖炭化水素残基を指し、1個以上の炭素原子が1個以上のハロゲン原子で置換される。
【0032】
本明細書中において使用されるように、用語「アルキレン」又は「アルキレニル」は、特に断りない限り、1〜10個の炭素原子の二価の飽和直鎖炭化水素基(例えば、(CH
2)
n)、又は2〜10個の炭素原子の分岐飽和二価炭化水素基(例えば、−CHMe−又は−CH
2CH(i−Pr)CH
2−)を示す。メチレンの場合を除いて、アルキレン基の開いた原子価は、同じ原子には結合しない。アルキレン基の例は、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、ブチレン、2−エチルブチレンを非限定的に含む。
【0033】
本明細書において使用されるように、用語「アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ(これらの異性体を含む)のような、−O−アルキル基(ここで、アルキルは、上記で定義されたとおりである)を意味する。本明細書において使用されるように「低級アルコキシ」は、先に定義されたような「低級アルキル」基を有するアルコキシ基を示す。本明細書において使用されるように、「C
1−10アルコキシ」は、アルキルがC
1−10である、−O−アルキルを指す。
【0034】
用語「PCy
3」は、3つの環状部で三置換基されたホスフィンを指す。
【0035】
用語「ハロアルコキシ」又は「ハロ低級アルコキシ」又は「低級ハロアルコキシ」は、低級アルコキシ基を指し、1個以上の炭素原子は、1個以上のハロゲン原子で置換される。
【0036】
本明細書において使用されるように、用語「ヒドロキシアルキル」は、異なる炭素原子上の1〜3個の水素原子が水酸基により置き換えられている、本明細書において定義されたようなアルキル基を表す。
【0037】
用語「アルキルスルホニル」及び「アリールスルホニル」は、本明細書で使用するとき、式−S(=O)
2R(式中、Rは、それぞれ、アルキル又はアリールであり、そして、アルキル及びアリールは、本明細書に定義するとおりである)で表される基を指す。用語「ヘテロアルキルスルホニル」は、本明細書で使用するとき、式−S(=O)
2R(式中、Rは、本明細書に定義するとおりの「ヘテロアルキル」である)で表される基を指す。
【0038】
用語「アルキルスルホニルアミノ」及び「アリールスルホニルアミノ」は、本明細書で使用するとき、式−NR’S(=O)
2R(式中、Rは、それぞれ、アルキル又はアリールであり、R’は、水素又はC
1−3アルキルであり、そして、アルキル及びアリールは、本明細書に定義するとおりである)で表される基を指す。
【0039】
用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用するとき、3〜8個の炭素原子を含有する飽和炭素環、すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチルを指す。「C
3−7シクロアルキル」は、本明細書で使用するとき、炭素環が3〜7個の炭素原子からなるシクロアルキルを指す。
【0040】
用語「カルボキシ−アルキル」は、本明細書で使用するとき、ヘテロアルキル基の結合点が炭素原子を貫くという理解の下で、1つの水素原子がカルボキシルで置換されているアルキル部分を指す。用語「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、−CO
2H部分を指す。
【0041】
用語「ヘテロアリール」又は「複素環式芳香族」は、本明細書で使用するとき、ヘテロアリール基の結合点が芳香環又は部分不飽和環上に存在するという理解の下で、環1つ当たり4〜8個の原子を含有し、1つ以上のN、O、又はSヘテロ原子が組み込まれ、残りの環原子が炭素である少なくとも1つの芳香環又は部分不飽和環を有する、5〜12個の環原子の単環式又は二環式の基を意味する。当業者に周知であるとおり、ヘテロアリール環は、全てが炭素である対応物よりも低い芳香族特性を有する。したがって、本発明の目的のために、ヘテロアリール基は、ある程度の芳香族特性しか必要としていない。ヘテロアリール部分の例は、5〜6個の環原子及び1〜3個のヘテロ原子を有する単環式芳香族複素環が挙げられ、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、低級ハロアルキル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、及びカルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アルキルカルボニルアミノ及びアリールカルボニルアミノから選択される1つ以上、好ましくは1又は2つの置換基で場合により置換されていてもよい、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、4,5−ジヒドロ−オキサゾリル、5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]オキサゾリル、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾリン、チアジアゾール及びオキサジアキソリンが挙げられるが、これらに限定されない。二環式部分の例は、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾチアゾール、ナフチリジニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,6]ナフチリジニル、及びベンズイソチアゾールが挙げられるが、これらに限定されない。二環式部分は、いずれかの環において場合により置換されていてもよいが、結合点は、ヘテロ原子を含有する環上に存在する。
【0042】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」、又は「複素環」は、本明細書で使用するとき、環1つ当たり3〜8個の原子を有し、1つ以上の環ヘテロ原子(N、O、又はS(O)
0−2から選択される)が組み込まれている1つ以上の環、好ましくは1〜2個の環(スピロ環系を含む)からなり、そして、特に指定しない限り、場合により、独立して、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、低級ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、及びこれらのイオン形態から選択される1つ以上、好ましくは1〜2つの置換基で置換されていてもよい、一価飽和環状基を示す。複素環式基の例は、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、キヌクリジニル、及びイミダゾリニル、並びにこれらのイオン形態が挙げられるが、これらに限定されない。また、例は、例えば、3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、又はオクタヒドロ−ピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン等の二環式であってもよい。
【0043】
Btkの阻害剤
本出願は、式I:
【化3】
[式中、
R
1は、1つ以上のR
1’で場合により置換されている、低級アルキル、フェニル、シクロアルキル又はピリジルであり;
各R
1’は、独立して、低級アルキル、ハロ、−C(=O)NH
2又はシアノであり;
R
2は、存在しないか、ハロ、低級アルコキシ、ヒドロキシ又は低級アルキルであり;
R
3は、存在しないか、ハロ、低級アルコキシ、ヒドロキシ又は低級アルキルであり;
R
4は、存在しないか、又はヘテロシクロアルキル低級アルキレニルであり;
Xは、CH又はNであり;そして
Yは、CH又はNである]
で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0044】
本出願は、YがCHである、式Iの化合物を提供する。
【0045】
本出願は、XがNである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0046】
本出願は、代替的に、XがCHである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0047】
本出願は、R
4がモルホリニルメチレンである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0048】
本出願は、代替的に、R
4が存在しない、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0049】
本出願は、R
2が存在しない、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0050】
本出願は、代替的に、R
2がハロである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0051】
本出願は、代替的に、R
2が低級アルキルである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0052】
本出願は、代替的に、R
2が低級アルコキシである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0053】
本出願は、代替的に、R
2がヒドロキシである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0054】
本出願は、R
3が、ハロ、低級アルコキシ又はヒドロキシである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0055】
本出願は、R
1が、1つ以上のR
1’で場合により置換されているフェニルである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0056】
本出願は、代替的に、R
1が、1つ以上のR
1’で場合により置換されている、低級アルキル、シクロアルキル又はヘテロアリールである、上記式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0057】
本出願は、下記からなる群より選択される、式Iの化合物を提供する:
[5−アミノ−1−(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
[5−アミノ−1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
5−アミノ−1−(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
{5−アミノ−1−[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
[5−アミノ−1−(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
[5−アミノ−1−(3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
[5−アミノ−1−(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
[5−アミノ−1−(2−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
[5−アミノ−1−(4−イソプロポキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
[5−アミノ−1−(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
{5−アミノ−1−[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン;
2−{4−[5−アミノ−4−(1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−メチル−フェノキシ}−ベンゾニトリル;
3−{4−[5−アミノ−4−(1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリル;
3−{4−[5−アミノ−4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−メチル−フェノキシ}−ベンズアミド;
{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−メタノン;
[5−アミノ−1−(4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−イル)−メタノン;及び
3−{4−[5−アミノ−4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリル。
【0058】
本出願は、炎症性及び/又は自己免疫状態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0059】
本出願は、関節リウマチを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0060】
本出願は、喘息を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0061】
本出願は、癌を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0062】
本出願は、式Iの化合物を含む、医薬組成物を提供する。
【0063】
本出願は、式Iの化合物を少なくとも1つの薬学的に許容し得る担体、賦形剤又は希釈剤との混合物で含む、医薬組成物を提供する。
【0064】
本出願は、炎症性疾患を処置するための医薬の製造における、式Iで表される化合物の使用を提供する。
【0065】
本出願は、自己免疫疾患を処置するための医薬の製造における、式Iで表される化合物の使用を提供する。
【0066】
本出願は、関節リウマチを処置するための医薬の製造における、式Iで表される化合物の使用を提供する。
【0067】
本出願は、喘息を処置するための医薬の製造における、式Iで表される化合物の使用を提供する。
【0068】
本出願は、炎症及び/又は自己免疫状態を処置するための上記のような化合物の使用を提供する。
【0069】
本出願は、関節リウマチを処置するための上記のような化合物の使用を提供する。
【0070】
本出願は、喘息を処置するための上記のような化合物の使用を提供する。
【0071】
本出願は、炎症及び/又は自己免疫状態の処置において使用するために上記のような化合物を提供する。
【0072】
本出願は、関節リウマチの処置において使用するために上記のような化合物を提供する。
【0073】
本出願は、喘息の処置において使用するために上記のような化合物を提供する。
【0074】
本出願は、本明細書に記載されるような化合物、方法又は組成物を提供する。
【0075】
本出願は、本明細書に記載される発明を提供する。
【0076】
化合物及び調製
本発明に包含され、本発明の範囲内である代表的な化合物の例を、以下の表で提供する。これらの下記の実施例及び調製例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施することを可能とするために提供される。これらは、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の例示及び代表例としてのみ考えられるべきである。
【0077】
一般に、本出願に使用される命名法は、IUPAC系統的命名法の作成のためのBeilstein InstituteコンピュータシステムであるAUTONOMTM v. 4.0に基づく。図示された構造とその構造を示す名称との間に相違がある場合、図示された構造がより重視される。加えて、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば太字又は点線によって示されていない場合、その構造又は構造の一部は、その立体異性体の全てを包含すると解釈すべきである。
【0078】
表Iは、一般式Iに係る化合物の例を示す。
【表1】
【0079】
一般的な合成スキーム
本発明の化合物は、任意の従来の手段によって調製することができる。これら化合物を合成するのに好適なプロセスは、実施例に提供される。一般的に、本発明の化合物は、以下のスキームに従って調製することができる。
【0080】
【化4】
【0081】
式14の化合物(式中、R1及びR2は、式Iの属(genus)において上述したとおりである)は、スキーム1に概説される経路を使用して調製され得る。この手順に従って、市販されている式1の化合物(4−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル)は、ベンジルアミンへと変換され、式2の化合物を与え得る。エステルの還元は、ベンジルアルコール誘導体4を与え、これはアルデヒド誘導体5へと酸化されることができる。アジド−酢酸エチルエステルとの反応は、アクリル酸メチルエステル誘導体7を与え、これは対応するインドール誘導体8へと環化されることができる。トシル(Ts)又は2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)などの標準的な保護基でのインドール環の保護は、式9の化合物を与える。次いで、エステル9は、アセトニトリルから誘導されるアニオンと反応して、式10のシアノアセチル誘導体を与え得る。ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとの反応はアクリロニトリル誘導体11を提供し、そして、これは式12のフェニルヒドラジン誘導体と反応して式13のアミノピラゾールを与える。次いで、保護基の除去は、式14の本発明の化合物を提供する。
【0082】
4−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル(式1の化合物)は、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、0℃前後の温度で、モルホリンの存在下、ジ−イソプロピルエチルアミンなどの塩基で簡便に処理され得る。混合物を室温で1時間〜数時間の間の反応時間にわたって撹拌することができる。そのような反応のための条件は、文献、例えば、Moore, Jason L. et al. Arkivoc, 2005, 6, 287-292 に見出され得る。
【0083】
式3の化合物は、テトラヒドロフランとメタノールなどの溶媒の混合物中、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で処理することによって、式4のベンジルアルコール誘導体へと簡便に変換され得る。混合物を還流下で2時間〜数時間の間の反応時間にわたって撹拌することができる。
【0084】
式4の化合物は、ジクロロメタンなどの溶媒中、二酸化マンガンなどの酸化剤で処理することによって、式5のアルデヒド誘導体へと簡便に変換され得る。混合物を室温で数時間撹拌することができる。
【0085】
アルデヒド5とアジド−酢酸エチルエステル6との縮合反応は、メタノールなどの溶媒を使用して、ナトリウムメトキシドの存在下、0℃前後の温度で起こることができる。混合物を30分間又は数時間の間の反応時間にわたって撹拌することができる。
【0086】
インドール8の形成は、アクリル酸メチルエステル誘導体7から開始するヘメツバーガー・クニッテル(Hemetsberger-Knittel)合成を使用して達成されることができる。キシレン又はトルエンなどの溶媒を使用して、反応混合物を高温(90℃以上)で数時間加熱する。その環化を実施するために他の方法が文献において利用可能である。触媒としてペルフルオロ酪酸ロジウム(II)を使用した温和な手順を記載したStokes et al., J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 7500-7501 を参照されたい。また、Tetrahedron Letters 2009, 50, 1708-1709 を参照されたい。代替的に、異なる合成方法を使用してインドール環を合成することもできる。概説については、Chem. Rev. 2006, 106, 2875-2911 を参照されたい。
【0087】
式8の化合物は、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、0℃前後の温度で、水素化ナトリウムなどの塩基で簡便に処理され、対応するアニオンが生成され得る。これはトシルクロリド又は2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリドなどの保護基で処理され得、そして、混合物を室温で約1時間撹拌して、式9の誘導体を与えることができる。
【0088】
式9の化合物は、テトラヒドロフランなどの溶媒中、低温(約−78℃など)で、アセトニトリルと強塩基(リチウムジイソプロピルアミド又はリチウムヘキサメチルジシラジドなど)の混合物で処理することによって、式10のシアノアセチル誘導体へと簡便に変換され得る。そのような反応のための条件は、特許文献、例えば、Taka, N. et al. US 20120208811 Page 163 に見出され得る。
【0089】
式10の化合物は、芳香族炭化水素(例えば、トルエン)又はテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、おおよそ室温で、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールでの処理によって、式11のアクリロニトリル誘導体へと変換され得る。そのような反応のための条件は、特許文献、例えば、Taka, N. et al. US 20120208811 page 132 に見出され得る。
【0090】
式11のアクリロニトリル誘導体は、メタノール又はエタノール又はイソプロパノールなどのアルコール溶媒中、おおよそ溶媒の還流温度で、式12の中間体(式中、R1及びR2は、式Iの属において上述したとおりである)での処理によって、式13のアミノピラゾール誘導体へと変換され得る。そのような反応のための条件は、特許文献、例えば、Taka, N. et al. US 20120208811 Page 94 に見出され得る。
【0091】
式13の化合物の式14の本発明の化合物への変換は、任意の従来手順を使用して実行され得る。例えば、トシル保護基の場合、反応は、式13の化合物を、炭酸セシウムなどの塩基とメタノールなどの低級アルコールの混合物で、テトラヒドロフランなどの溶媒中、おおよそ室温〜その混合物のおおよそ還流温度の間の温度で処理することによって行われ得る。そのような反応に使用され得る条件の例は、文献、例えば、Zhang, B and Wee. A. G. H. Org. Biomol. Chem. 2012, 10, 4597-4608 Supplementary Information; Alam, M. et al. US 20110071150 page 54; 及び Taka, N. et al. US 20120208811 Page 55 に見出すことができる。例えば、SEM保護基の場合、反応は、式13の化合物を、フッ化テトラブチルアンモニウムとエチレンジアミンの混合物で、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドなどの溶媒中、約50℃〜その混合物のおおよそ還流温度の間の温度で処理することによって行われ得る。そのような反応に使用され得る条件の例は、文献、例えば、Barrett, T. D. et al. WO 2004007463 Page 182; Kerns, J. K. et al. WO 2007062318 Page 47; 及び Degnan, A. P. et al. US 20090018132 Page 119 に見出すことができる。代替的に、式14の化合物は、アルコール溶媒(メタノール、エタノール又はイソプロパノールなど)中又はテトラヒドロフラン中、還流温度にて、濃塩酸で処理され、式14の本発明の化合物を与え得る。そのような反応に使用され得る条件の例は、文献、例えば、Muneau, Y. et al. US 20080262020 Page 24 に見出すことができる。
【0092】
【化5】
【0093】
式12の中間体(式中、R1及びR2は、式Iの属において上述したとおりである)は、スキーム2に従って調製され得る。式15の化合物は、式16のフェノール誘導体との求核芳香族置換反応を受けて、式17の化合物を与える。式18の化合物中のニトロ基の還元、続く、ジアゾ化及び還元は、式12のアリール−ヒドラジン誘導体を与える。
【0094】
化合物15などの4−クロロ−1−ニトロ−ベンゼン誘導体は、炭酸カリウム又は炭酸セシウムなどの塩基の存在下、ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中、約100℃〜約150℃の間の温度にて、場合によりマイクロ波照射下で、式16のフェノールで処理され、式17のニトロ化合物を与え得る。そのような反応に使用され得る特定の条件の例は、文献、例えば、Chee, G.-L et al. US 20040266738 Page 5; 及びCui, S.-L. et al. Synlett 2004, 1829-1831 に見出され得る。
【0095】
式17の化合物中のニトロ基の還元は、有機合成の分野において平均的な技能を有する者に周知の種々の手順を使用して実行されることができる。これらの手順の多くは、Larock, R. C. Comprehensive Organic Transformations John Wiley & Sons Inc. NY 1999, pp. 823(以下参照)に概説されている。1つの簡便なアプローチは、パラジウム炭素などの貴金属触媒の存在下、アルコール(例えば、メタノール又はエタノール)などの溶媒中、約1気圧の水素〜約3気圧の水素の間の圧力で、おおよそ室温にて、式17の化合物を水素ガスで処理することである。そのような反応に使用され得る特定の条件の例は、文献、例えば、Chee, G.-L et al. US 20040266738 Page 5; 及びSchoenafinger, K. et al. US 20030236288 Page 18 に見出され得る。
【0096】
式17の化合物中のアニリン基のジアゾ化及び還元は、任意の従来手順を使用して行われ得る。例えば、反応は、水溶液中、塩酸などの無機酸の存在下、約5℃未満、好ましくは約0℃未満の温度で、式18の化合物を亜硝酸ナトリウムで処理し、続いて、ほぼ同じ温度で、塩化スズ(II)又は亜ジチオン酸ナトリウムなどの還元剤を添加することによって簡便に行われる。そのような反応に使用され得る特定の条件の例は、文献、例えば、Wipf, P. and Qiming, J. WO 2012078859 page 47; Rewolinski, M. V. et al. WO 2009055721 page 82; 及び Schoenafinger, K. et al. US 20030236288 page 18 に見出され得る。
【0097】
【化6】
【0098】
式7の化合物(式中、R1及びR2は、式Iの属において上述したとおりである)は、スキーム1に概説される経路を使用して調製され得る。この手順に従って、式1の化合物(市販されている)は、トシル(Ts)又は2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)などの保護基を使用して保護され、式2の化合物を与え得る。次いで、エステル2は、アセトニトリルから誘導されるアニオンと反応して、式3のシアノアセチル誘導体を与え得る。ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとの反応はアクリロニトリル誘導体4を提供し、そして、これは式5のフェニルヒドラジン誘導体と反応して、式6のアミノピラゾールを与える。次いで、保護基の除去は、式7の本発明の化合物を提供する。
【0099】
1H−インドール−2−カルボン酸エチル及び1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−カルボン酸エチル(式1の化合物)は、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、0℃前後の温度で、水素化ナトリウムなどの塩基で簡便に処理され、対応するアニオンが生成され得る。これはトシルクロリド又は2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリドで処理され得、そして、混合物を室温で約1時間撹拌して、式2の誘導体を与えることができる。
【0100】
式2の化合物は、テトラヒドロフランなどの溶媒中、低温(約−78℃など)で、アセトニトリルと強塩基(リチウムジイソプロピルアミド又はリチウムヘキサメチルジシラジドなど)の混合物で処理することによって、式3のシアノアセチル誘導体へと簡便に変換され得る。そのような反応のための条件は、特許文献、例えば、Taka, N. et al. US 20120208811 Page 163 に見出され得る。
【0101】
式3の化合物は、芳香族炭化水素(例えば、トルエン)又はテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、おおよそ室温で、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールでの処理によって、式4のアクリロニトリル誘導体へと変換され得る。そのような反応のための条件は、特許文献、例えば、Taka, N. et al. US 20120208811 page 132 に見出され得る。
【0102】
式4のアクリロニトリル誘導体は、メタノール又はエタノール又はイソプロパノールなどのアルコール溶媒中、おおよそ溶媒の還流温度で、式5の中間体(式中、R1及びR2は、式Iの属において上述したとおりである)での処理によって、式6のアミノピラゾール誘導体へと変換され得る。そのような反応のための条件は、特許文献、例えば、Taka, N. et al. US 20120208811 Page 94 に見出され得る。
【0103】
式6の化合物の式7の本発明の化合物への変換は、任意の従来手順を使用して実行され得る。例えば、トシル保護基の場合、反応は、式6の化合物を、炭酸セシウムなどの塩基とメタノールなどの低級アルコールの混合物で、テトラヒドロフランなどの溶媒中、おおよそ室温〜その混合物のおおよそ還流温度の間の温度で処理することによって行われ得る。そのような反応に使用され得る条件の例は、文献、例えば、Zhang, B and Wee. A. G. H. Org. Biomol. Chem. 2012, 10, 4597-4608 Supplementary Information; Alam, M. et al. US 20110071150 page 54; 及び Taka, N. et al. US 20120208811 Page 55 に見出すことができる。例えば、SEM保護基の場合、反応は、式6の化合物を、フッ化テトラブチルアンモニウムとエチレンジアミンの混合物で、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドなどの溶媒中、約50℃〜その混合物のおおよそ還流温度の間の温度で処理することによって行われ得る。そのような反応に使用され得る条件の例は、文献、例えば、Barrett, T. D. et al. WO 2004007463 Page 182; Kerns, J. K. et al. WO 2007062318 Page 47; 及び Degnan, A. P. et al. US 20090018132 Page 119 に見出すことができる。代替的に、式7の化合物は、アルコール溶媒(メタノール、エタノール又はイソプロパノールなど)中又はテトラヒドロフラン中、還流温度にて、濃塩酸で処理され、式7の本発明の化合物を与え得る。そのような反応に使用され得る条件の例は、文献、例えば、Muneau, Y. et al. US 20080262020 Page 24 に見出すことができる。
【0104】
【化7】
【0105】
式5の中間体(式中、R1及びR2は、式Iの属において上述したとおりである)は、スキーム2に従って調製され得る。式8の化合物は、式9のアルコール誘導体との求核芳香族置換反応を受けて、式10の化合物を与える。式11の化合物中のニトロ基の還元、続く、ジアゾ化及び還元は、式5のアリール−ヒドラジン誘導体を与える。
【0106】
化合物8などの4−クロロ−1−ニトロ−ベンゼン誘導体は、炭酸カリウム又は炭酸セシウムなどの塩基の存在下、ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中、約100℃〜約150℃の間の温度にて、場合によりマイクロ波照射下で、式9のアルコール(フェノール又はアルキルアルコール)で処理され、式10のニトロ化合物を与え得る。そのような反応に使用され得る特定の条件の例は、文献、例えば、Chee, G.-L et al. US 20040266738 Page 5; 及びCui, S.-L. et al. Synlett 2004, 1829-1831 に見出され得る。
【0107】
式10の化合物中のニトロ基の還元は、有機合成の分野において平均的な技能を有する者に周知の種々の手順を使用して実行されることができる。これらの手順の多くは、Larock, R. C. Comprehensive Organic Transformations John Wiley & Sons Inc. NY 1999, pp. 823(以下参照)に概説されている。1つの簡便なアプローチは、パラジウム炭素などの貴金属触媒の存在下、アルコール(例えば、メタノール又はエタノール)などの溶媒中、約1気圧の水素〜約3気圧の水素の間の圧力で、おおよそ室温にて、式10の化合物を水素ガスで処理することである。そのような反応に使用され得る特定の条件の例は、文献、例えば、Chee, G.-L et al. US 20040266738 Page 5; 及びSchoenafinger, K. et al. US 20030236288 Page 18 に見出され得る。
【0108】
式11の化合物中のアニリン基のジアゾ化及び還元は、任意の従来手順を使用して行われ得る。例えば、反応は、水溶液中、塩酸などの無機酸の存在下、約5℃未満、好ましくは約0℃未満の温度で、式11の化合物を亜硝酸ナトリウムで処理し、続いて、ほぼ同じ温度で、塩化スズ(II)又は亜ジチオン酸ナトリウムなどの還元剤を添加することによって簡便に行われる。そのような反応に使用され得る特定の条件の例は、文献、例えば、Wipf, P. and Qiming, J. WO 2012078859 page 47; Rewolinski, M. V. et al. WO 2009055721 page 82; 及び Schoenafinger, K. et al. US 20030236288 page 18 に見出され得る。
【0109】
医薬組成物及び投与
本発明の化合物は、多種多様な経口投与用の剤形及び担体で処方してよい。経口投与は、錠剤、コート錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、シロップ剤又は懸濁剤の形態であり得る。本発明の化合物は、その他の投与経路の中でも、連続的(点滴)局所非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(浸透促進剤を含み得る)、口腔内、鼻腔内、吸入及び坐剤投与を含む他の投与経路によって投与されたときに効果的である。好ましい投与方法は、一般的に、苦痛の程度及び有効成分に対する患者の反応に従って調整され得る慣用の一日用量レジメンを使用する経口である。
【0110】
本発明の化合物(1つ又は複数)ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩は、1つ又は複数の従来の賦形剤、担体又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及び単位用量の形態にしてよい。医薬組成物及び単位投薬形態は、慣用の成分を慣用の割合で、追加の活性化合物もしくは成分と共に又は無しで含むことができ、単位投薬形態は、使用される1日用量の意図される範囲に釣り合う有効成分のあらゆる適切な有効量を含むことができる。医薬組成物は、錠剤もしくは充填カプセル剤、半固形剤、粉末剤、持続性放出製剤のような固形剤として、又は液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤もしくは経口用の充填カプセル剤のような液剤として;又は直腸内もしくは膣内投与用の坐剤の形態;又は非経口的使用の注射用滅菌液剤の形態で使用することができる。典型的な調製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(1つ又は複数)(w/w)を含有する。用語「調製剤」又は「剤形」は、活性化合物の固体製剤と液体製剤の両方を含むことを意図し、当業者であれば、ターゲット臓器又は組織及び所望の用量及び薬物動態パラメーターに応じて、有効成分が異なる調製剤として存在し得ることが理解されよう。
【0111】
本明細書において使用される用語「賦形剤」は、一般的に安全で無毒であり、生物学的にもその他の面でも望ましくないことはない、医薬組成物の調製において有用である化合物を指し、そして、獣医学的使用ならびにヒトへの薬学的使用に許容し得る賦形剤を含む。本発明の化合物は、単独で投与することができるが、一般的に、意図される投与経路及び標準的な薬務に照らして選択される1つ又は複数の適切な薬学的賦形剤、希釈剤又は担体との混合物で投与される。
【0112】
「医薬的に許容し得る」は、それが、一般的に安全であり、非毒性であり、生物学的にも、その他の面でも望ましくないことはない医薬組成物を調製する際に有用であることを意味し、獣医学的使用、ならびにヒトの医薬的使用に許容可能であるものを含む。
【0113】
有効成分の「薬学的に許容し得る塩」形態は、また、最初に、非塩形態において存在しなかった望ましい薬物動態特性を有効成分に付与することができ、そして、有効成分の薬力学に対して体内でのその治療活性に関して正の影響をさらに与え得る。化合物の「薬学的に許容し得る塩」という表現は、薬学的に許容し得るものであって、親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩は、(1)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)と形成される酸付加塩;あるいは、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、などのような有機酸とで形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンにより置き換えられる;又は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、などのような有機塩基と配位している場合に形成される塩を含む。
【0114】
固体製剤は、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤を含む。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩解剤又はカプセル化材料としても作用することができる1種以上の物質であってよい。粉末剤では、担体は、一般に、微粉化した有効成分との混合物である微粉化固体である。錠剤では、有効成分は、一般的に、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及び大きさに成形される。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、ココアバター等を非限定的に含む。固体形態の製剤は、有効成分に加えて、着色料、香味料、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有してもよい。
【0115】
液体製剤は、また、経口投与に適しており、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含む液体製剤を含む。これらは、使用直前に液体形態の調製剤に変換することを意図する固体形態の調製剤を含む。乳剤は、溶液中、例えば、プロピレングリコール水溶液中に調製してもよく、又はレシチン、ソルビタンモノオレート若しくはアラビアゴムなどの乳化剤を含有してもよい。水性液剤は、有効成分を水に溶解し、適切な着色剤、風味剤、安定剤及び増粘剤を加えることにより調製できる。水性懸濁剤は、微粉化した有効成分を、天然又は合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び他の周知の懸濁剤のような粘性材料と共に水に分散することにより調製できる。
【0116】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例としてはボーラス注射(bolus injection)又は持続注入による)のために製剤化することができ、アンプル剤、充填済注射器(pre-filled syringes)、防腐剤を添加した小型注入容器又は多用量容器に単位用量形態で存在できる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤又は乳剤、例えばポリエチレングリコール水溶液中の液剤のような形態をとることができる。油性又は非水性の担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)及び注射用有機エステル類(例えば、オレイン酸エチル)を含み、防腐剤、湿潤剤、乳化剤又は懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような配合剤を含有してよい。あるいはまた、有効成分は、滅菌固体の無菌分離によるか、又は適切なビヒクル、例えば滅菌した発熱物質を含まない水を用いて、使用前の構成用溶液から凍結乾燥することにより得られる粉末形態であってよい。
【0117】
本発明の化合物を、軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤として又は経皮パッチ剤として表皮に局所投与するために製剤化することができる。例えば、軟膏剤及びクリーム剤を、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加え、水性又は油性基剤を用いて製剤化することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤を用いて製剤化することができ、また一般的に、1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤又は着色剤も含有する。口腔内の局所投与に適切な製剤は、風味付けした基剤、通常、スクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性剤を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアのような不活性基剤中に有効成分を含むパステル剤;ならびに適切な液体担体中に有効成分を含む洗口剤を含む。
【0118】
本発明の化合物は坐剤として投与するために製剤化することができる。脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物のような低融点ロウを、最初に溶融して、有効成分を例えば撹拌により均質に分散する。次に均質溶融混合物を、都合のよい大きさの成形型に注ぎ、冷却させ、凝固させる。
【0119】
本発明の化合物は膣内投与用に製剤化することができる。有効成分に加えて、当該技術で適切であることが既知である担体を含有するペッサリー剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤又はスプレー剤。
【0120】
本発明の化合物は鼻腔内投与用に製剤化することができる。液剤又は懸濁剤を、慣用の方法、例えば、滴瓶、ピペット又はスプレーを用いて直接鼻腔に適用する。製剤は、単回投与又は多回投与形態で提供することができる。滴瓶又はピペットの後者の場合、液剤又は懸濁剤の適切で所定の容量を患者が投与することで、それを達成することができる。スプレーの場合、例えば計量噴霧スプレーポンプを用いてこれを達成することができる。本発明の化合物は、特に、鼻内投与を含む、気道へのエアゾール投与用に製剤化することができる。化合物は、一般的に、例えばほぼ5ミクロン以下程度の小さい粒径を有する。そのような粒径は、当該技術で既知の方法、例えば微粉砕により得ることができる。有効成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素、或いは他の適切なガスのような、適切な噴射剤を用いた加圧パックで提供される。エアロゾルはまた、レシチンのような界面活性剤を都合よく含有することができる。薬剤の用量は、計量弁により制御され得る。あるいはまた、有効成分は、乾燥粉末の形態で、例えば、乳糖、デンプン、デンプン誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリジン(PVP)のような適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物で提供され得る。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジ、又はブリスターパックのような単位用量形態で存在してよく、これから粉末剤が吸入器により投与され得る。
【0121】
所望であれば、製剤は、有効成分の持続的又は制御的放出投与に適合する腸溶性コーティングを用いて調製できる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下薬剤送達装置に配合できる。これらの送達系は、化合物の持続放出が必要であり、患者の処置レジメンに対するコンプライアンスが重要である場合に有利である。経皮送達系における化合物は、多くの場合、皮膚付着固体支持体に結合されている。目的の化合物は、また、浸透向上剤、例えばアゾン(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることができる。続的放出送達系は、手術又は注入により皮下層に皮下的に挿入される。皮下インプラントは、脂溶性膜、例えばシリコーンゴム又は生物分解性ポリマー、例えばポリ乳酸で化合物を包み込む。
【0122】
適切な製剤は、薬学的担体、希釈剤及び賦形剤と共に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。熟練の製剤科学者であれば、本発明の組成物を不安定にすることなく又はそれらの治療活性を損なうことなく、特定の投与経路のための多くの製剤を提供するために、本明細書の教示の範囲内で製剤を改変することができる。
【0123】
水又はその他のビヒクルにより可溶性にするための本化合物の改変は、例えば、小さな改変(塩形成、エステル化など)によって容易に達成することができ、これらは十分に当該分野における通常の技能の範囲内である。また、患者に最大の有益な効果を与えるように本化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与経路及び用量レジメンを改変することも十分に当該分野における通常の技能の範囲内である。
【0124】
本明細書において使用される用語「治療有効量」は、個体の疾患の症状を軽減するのに必要な量を意味する。用量は、各特定の症例において、個々の要件に対して調整される。その用量は、多くの要因、例えば、処置される疾患の重症度、患者の年齢及び総体的な健康状態、患者の処置に用いられているその他の医薬、投与経路及び形態、ならびに担当医の選好及び経験などに応じて、広い範囲内で変更することができる。経口投与の場合、単剤療法及び/又は併用療法では、一日あたり約0.01〜約1000mg/kg体重の一日用量が適切であろう。好ましい一日用量は、一日当たり約0.1〜約500mg/kg体重、より好ましくは、0.1〜約100mg/kg体重、最も好ましくは、1.0〜約10mg/kg体重である。従って、70kgの人への投与では、用量範囲は、一日当たり約7mg〜0.7gであろう。一日用量は、単回用量又は分割用量(典型的には、1〜5回の用量/日)で投与することができる。一般的に、処置は、化合物の最適用量より少ない用量から開始する。その後、個々の患者に最適な効果が得られるまで、用量を少量ずつ増やしていく。本明細書に記載される疾患を処置する当業者であれば、必要以上の実験を実施することなく、個人の知識、経験及び本出願の開示を頼りに所与の疾患及び患者について本発明の化合物の治療有効量を確定することができるであろう。
【0125】
医薬製剤は、好ましくは単位用量形態である。そのような形態では、製剤は、活性成分の適切な量を含有する単位用量に細分化されている。単位用量形態は、パッケージ製剤であることができ、そのパッケージは、パケット錠剤、カプセル剤及びバイアル又はアンプル中の粉末剤のような製剤の別個の分量を含有する。また、単位投薬形態は、それ自体カプセル剤、錠剤、カシェ剤又はトローチ剤であることができるか、又はパッケージ形態におけるこれらのうちのいずれかの適切な数であることができる。
【0126】
適応及び処置の方法
一般式Iで表される化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)を阻害する。上流のキナーゼによるBtkの活性化により、ホスホリパーゼ−Cγが活性化され、続いて、前炎症性メディエーターの放出が刺激される。式Iで表される化合物は、関節炎、並びに他の抗炎症及び自己免疫疾患の処置において有用である。したがって、式Iに係る化合物は、関節炎の処置に有用である。式Iで表される化合物は、細胞内のBtkを阻害するため及びB細胞の発生を調節するために有用である。本発明は、さらに、薬学的に許容し得る担体、賦形剤、又は希釈剤と混合された、式Iで表される化合物を含有する医薬組成物を含む。
【0127】
本明細書に記載される化合物は、キナーゼ阻害剤、特に、Btk阻害剤である。これらの阻害剤は、哺乳動物において、キナーゼ阻害に応答する1つ又は複数の疾患(Btk阻害及び/又はB細胞増殖の阻害に応答する疾患を含む)を処置するために有用であり得る。いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、本発明の化合物とBtkの相互作用がBtk活性の阻害をもたらすために、これらの化合物が薬学的有用性を有すると考えられる。従って、本発明は、Btk活性の阻害及び/又はB細胞増殖の阻害に応答する疾患を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置する方法であって、そのような疾患を有する哺乳動物に、有効量の本明細書に与えられる少なくとも1つの化学物質を投与することを含む方法を含む。有効濃度は、実験的に、例えば、化合物の血中濃度をアッセイすることによって、又は理論的にバイオアベイラビリティを計算することによって確認することができる。Btkの他に影響を受け得るその他のキナーゼは、特に限定されないが、その他のチロシンキナーゼ及びセリン/トレオニンキナーゼを含む。
【0128】
キナーゼは、増殖、分化及び死(アポトーシス)などの基本的な細胞プロセスを制御するシグナル伝達経路において特筆すべき役割を果たす。異常なキナーゼ活性は、多発性癌、自己免疫及び/又は炎症性疾患ならびに急性炎症反応を含む、広範な疾患に関与している。重要な細胞のシグナル伝達経路におけるキナーゼのこの多面的な役割は、キナーゼ及びシグナル伝達経路をターゲットとする新規薬物を同定する重要な機会を提供する。
【0129】
1つの実施態様は、Btk活性及び/又はB細胞の増殖の阻害に応答する、自己免疫及び/もしくは炎症性疾患又は急性炎症反応を有する患者を処置する方法を含む。
【0130】
本発明に係る化合物及び組成物を使用して影響を及ぼし得る自己免疫及び/又は炎症性疾患は、特に限定されないが、乾癬、アレルギー、クローン病、過敏性腸症候群、シェーグレン病、組織移植片拒絶反応及び移植臓器の超急性拒絶反応、喘息、全身性エリテマトーデス(及び関連する糸球体腎炎)、皮膚筋炎、多発性硬化症、強皮症、血管炎(ANCA関連及びその他の血管炎)、自己免疫性の溶血及び血小板減少状態、グッドパスチャー症候群(ならびに関連する糸球体腎炎及び肺出血)、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、アジソン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、敗血性ショックならびに重症筋無力症を含む。
【0131】
本明細書に提供される少なくとも1つの化学物質が抗炎症剤と組み合わせて投与される処置法が本明細書に含まれる。抗炎症剤は、特に限定されないが、NSAID、非特異的及びCOX−2特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、金化合物、コルチコステロイド、メトトレキサート、腫瘍壊死因子受容体(TNF)受容体拮抗剤、免疫抑制剤及びメトトレキサートを含む。
【0132】
NSAIDの例は、特に限定されないが、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン及びナプロキセンナトリウム、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストールの組み合わせ、スリンダク、オキサプロジン、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、ケトプロフェン、ナトリウムナブメトン、スルファサラジン、トルメチンナトリウムならびにヒドロキシクロロキンを含む。NSAIDの例は、また、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ及び/又はエトリコキシブなどのCOX−2特異的阻害剤を含む。
【0133】
いくつかの実施態様において、抗炎症剤は、サリチル酸塩である。サリチル酸塩は、アセチルサリチル酸(すなわち、アスピリン)、サリチル酸ナトリウムならびにサリチル酸コリン及びマグネシウムを含むが、これらに限定されない。
【0134】
抗炎症剤は、また、コルチコステロイドであり得る。例えば、コルチコステロイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム又はプレドニゾンであり得る。
【0135】
追加の実施態様において、抗炎症剤は、金チオリンゴ酸ナトリウム又はオウラノフィンなどの金化合物である。
【0136】
本発明は、また、抗炎症剤が、代謝阻害剤、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤(メトトレキサートなど)、又はジヒドロオロット酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(レフルノミドなど)である実施態様を含む。
【0137】
本発明の他の実施態様は、少なくとも1つの抗炎症性化合物が、抗C5モノクローナル抗体(エクリズマブ又はパキセリズマブなど)、TNF拮抗剤(エンタネルセプト(entanercept)など)又は抗TNFαモノクローナル抗体であるインフリキシマブである組み合わせに関する。
【0138】
本発明のさらに他の実施態様は、少なくとも1つの活性剤が、メトトレキサート、レフルノミド、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン及びミコフェノール酸モフェチルから選択される免疫抑制化合物などの免疫抑制化合物である組み合わせに関する。
【0139】
BTKを発現するB細胞及びB細胞前駆体は、B細胞リンパ腫、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキンリンパ腫を含む)、ヘアリー細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、慢性及び急性骨髄性白血病ならびに慢性及び急性リンパ性白血病を非限定的に含む、B細胞の悪性腫瘍の病理に関与している。
【0140】
BTKは、Bリンパ球系細胞のFas/APO−1(CD−95)死誘導シグナル伝達複合体(DISC)の阻害剤であることが知られている。白血病/リンパ腫細胞の運命は、DISCにより活性化されるカスパーゼの反対のアポトーシス促進効果とBTK及び/又はその基質が関わる上流の抗アポトーシス調節メカニズムとの間のバランスに依存し得る(Vassilev et al., J. Biol. Chem. 1998, 274, 1646-1656)。
【0141】
また、BTK阻害剤が、化学療法増感剤として有用であり、従って、その他の化学療法薬、特に、アポトーシスを誘導する薬物との組み合わせで有用であることが発見された。化学療法増感性のBTK阻害剤と組み合わせて使用することができるその他の化学療法薬の例は、トポイソメラーゼI阻害剤(カンプトテシン又はトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ダウノマイシン及びエトポシド)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファラン及びBCNU)、チューブリン作用剤(例えば、タキソール及びビンブラスチン)ならびに生物学的作用物質(例えば、抗CD20抗体などの抗体、IDEC8、免疫毒素及びサイトカイン)を含む。
【0142】
Btk活性は、また、第9及び第22染色体の一部の転座から生じるbcr−abl融合遺伝子を発現するいくつかの白血病と関連している。この異常は、通常、慢性骨髄性白血病に認められる。Btkは、bcr−ablキナーゼによって構成的にリン酸化され、これが下流の生存シグナルを開始して、bcr−abl細胞におけるアポトーシスを回避する(N. Feldhahn et al. J. Exp. Med. 2005 201(11):1837-1852)。
【0143】
処置の方法
本出願は、炎症性及び/又は自己免疫状態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0144】
本出願は、炎症状態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0145】
本出願は、関節リウマチを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0146】
本出願は、喘息を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、式Iの治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0147】
本出願は、炎症性及び/又は自己免疫状態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式IのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0148】
本出願は、関節炎を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式IのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0149】
本出願は、癌を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式IのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0150】
本出願は、喘息を処置するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の式IのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0151】
本出願は、B細胞増殖を阻害する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の式IのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0152】
本出願は、Btk活性を阻害するための方法であって、式Iのいずれか1つのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供し、ここで、Btk阻害化合物は、Btk活性のインビトロ生化学アッセイにおいて50マイクロモル以下のIC
50を示す。
【0153】
上記方法の1つのバリエーションにおいて、Btk阻害化合物は、Btk活性のインビトロ生化学アッセイにおいて100ナノモル以下のIC
50を示す。
【0154】
上記方法の別のバリエーションにおいて、本化合物は、Btk活性のインビトロ生化学アッセイにおいて10ナノモル以下のIC
50を示す。
【0155】
本出願は、炎症性病態を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の抗炎症化合物を式IのBtk阻害化合物と組み合わせて同時投与することを含む方法を提供する。
【0156】
本出願は、関節炎を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の抗炎症化合物を式IのBtk阻害化合物と組み合わせて同時投与することを含む方法を提供する。
【0157】
本出願は、リンパ腫又はBCR−ABL1
+白血病細胞を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の式IのBtk阻害化合物を投与することによる方法を提供する。
【0158】
実施例
一般的な略語
一般的に使用される略語は、以下を含む:アセチル(Ac)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、気圧(Atm)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN又はBBN)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ジ−tert−ブチルピロカルボナート又はboc無水物(BOC
2O)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、ケミカルアブストラクト登録番号(Chemical Abstracts Registration Number)(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ又はZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、ジベンジリデンアセトン(dba)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、ジエチルアゾジカルボキシラート(DEAD)、ジ−イソ−プロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)、水素化ジ−イソ−ブチルアルミニウム(DIBAL又はDIBAL−H)、ジ−イソ−プロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(Et
2O)、エチルイソプロピルエーテル(EtOiPr)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート酢酸(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソプロパノール(IPA)、塩化イソプロピルマグネシウム(iPr mgCl)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO
2−(メシル又はMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、n−ブチルリチウム(nBuLi)、N−カルボキシ無水物(NCA)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、ジクロロ−((ビス−ジフェニルホスフィノ)フェロセニル)パラジウム(II)(Pd(dppf)Cl
2)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)
2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)、ジクロム酸ピリジニウム(PDC)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソ−プロピル(i−Pr)、ポンド/平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(Q−Phos)、室温(周囲温度、rt又はRT)、sec−ブチルリチウム(sBuLi)、tert−ブチルジメチルシリル又はt−BuMe
2Si(TBDMS)、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF)、トリエチルアミン(TEA又はEt
3N)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)、トリメチルシリルエトキシメチル(SEM)、トリフラート又はCF
3SO
2−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、トリメチルシリル又はMe
3Si(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH又はpTsOH)、4−Me−C
6H
4SO
2−又はトシル(Ts)、及びN−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)。接頭語ノルマル(n)、イソ(i−)、第二級(sec−)、第三級(tert−)及びネオを含む従来の命名法は、アルキル部分と共に使用される場合それらの慣用の意味を有する(J. Rigaudy and D. P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979Pergamon Press, Oxford.)。
【0159】
一般条件
本発明の化合物は、市販の出発物質から開始して、当業者に公知の一般的な合成技術及び手順を利用することによって調製されることができる。以下の概説は、そのような化合物を調製するための好適な反応スキームである。さらなる例示については、特定の実施例に見出すことができる。
【0160】
特定の略語
CDCl
3 重水素化クロロホルム
CH
2Cl
2 ジクロロメタン
CH
3CN アセトニトリル
CO
2 二酸化炭素
Conc 濃縮
Cs
2CO
3 炭酸セシウム
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
HCl 塩酸
K
2CO
3 炭酸カリウム
LDA リチウムジイソプロピルアミド
LiAlH
4 水素化アルミニウムリチウム
MeOH メタノール
NaBH
4 水素化ホウ素ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
Na
2SO
4 硫酸ナトリウム
NaH 水素化ナトリウム
NaNO
2 亜硝酸ナトリウム
Pd(OAc)
2 酢酸パラジウム(II)
Pd(PPh
3)
4 テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
SOCl
2 塩化チオニル
SEM 2−(トリメチルシリル)エトキシメチル
SEM−Cl 2−トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド
THF テトラヒドロフラン
【0161】
一般的な実験詳細
試薬は、Aldrich、Oakwood、Matrix又は他の商業的供給源から購入し、さらに精製することなく使用した。加熱にマイクロ波照射を使用する反応は、Personal Chemistry Emrys Optimizer System又はCEM Discovery Systemのいずれかを使用して実施した。数ミリグラム〜数グラムスケールの精製は、シリカゲルフラッシュカラムの溶離などの当業者に公知の方法によって実施し;また、場合によっては、数グラムのシリカゲルが充填されたディスポーザブルカラム(RediSep)を使用してCombiFlash systemで溶離させることによる、分取フラッシュカラム精製も実行した。また、Biotage(商標)及びISCO(商標)は、中間体の精製のために本発明において使用され得るフラッシュカラム装置である。
【0162】
化合物の同定及び純度の確認のために、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)スペクトルを以下のシステムを使用して記録した。質量スペクトルの測定のために、当該システムは、Micromass Platform II 分光計:ESイオン化(ポジティブモード)(質量範囲:150〜1200)から構成される。同時クロマトグラフィー分離は、以下のHPLCシステムで達成した:ES Industries Chromegabond WR C-18 3u 120Å(3.2×30mm)カラムカートリッジ;移動相A:水(0.02%TFA)及び相B:アセトニトリル(0.02%TFA);勾配10%B〜90%Bで3分間;1分間の平衡時間;流速2mL/分。
【0163】
また、多くの式1の化合物を、当業者に周知の方法を使用した逆相HPLCによって精製した。場合によっては、Shimadzu分取HPLCシステム及びLeap自動注入装置に取り付けられたGilson 215コレクターを制御するPE Sciex 150 EX Mass Specを使用して、分取HPLC精製を実施した。LC/MS検出を使用して陽イオン検出で流れてくる溶離液から化合物を回収した:C−18カラム(2.0×10cm、20mL/分で溶離)からの化合物の溶離は、適切な線形勾配モードを使用して、溶媒(A)0.05% TFA/H
2O及び溶媒(B)0.035% TFA/アセトニトリルで10分間かけて実行した。HPLCシステムへの注入のために、粗試料をメタノール、アセトニトリル及びDMSOの混合物に溶解した。
【0164】
Bruker又はVarian 300又は400 MHz NMR分光計を使用して
1H−NMR特性決定を実施した。
【0165】
本発明の化合物は、公知の技術に従って合成され得る。以下の実施例及び参考文献は、本発明の理解を助けるために提供される。しかしながら、実施例は、本発明を限定することを意図するものではなく、その真の範囲は、添付の特許請求の範囲において明記される。実施例中の最終生成物の名称は、Isis AutoNom 2000を使用して生成した。
【0166】
中間体1
(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル
【化8】
工程1)
1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル
【化9】
0℃で、脱水THF中の1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル(1g、5.29mmol)の撹拌した溶液に、60%油分散液の水素化ナトリウム(0.423g、10.58mmol)を加え、30分間撹拌した。この混合物に、p−トルエン スルホニルクロリド(2g、10.58mmol)を加え、12時間撹拌した。それを飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、そして粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5% EtOAc/ヘキサン)により精製して、1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルを白色の固体として与えた(1.1g、61%)。MS C
18H
17NO
4S[(M+H)
+]の計算値344、実測値344.1。
【0167】
工程2)
3−オキソ−3−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−プロピオニトリル
【化10】
−78℃で、脱水THF(40mL)中の1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル(8g、23.3mmol)及びアセトニトリル(3.8mL、93.3mmol)の撹拌した溶液に、LDA(47.3ml、46.64mmol)を滴下した[−78℃で、脱水THF(15mL)中のジ−イソプロピルアミン(6.7mL、46.6mmol)の溶液に、n−BuLi(25.6mL、46.64mmol)の添加から調製し、アルゴン下で30分間撹拌した]。それを20分間撹拌し、塩化アンモニウム(10mL)でクエンチし、濃縮し、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−オキソ−3−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−プロピオニトリルを粘性の褐色の液体として与えた(5.7g、72%)。MS C
18H
14N
2O
3S[(M+H)
+]の計算値339、実測値339.0。
【0168】
工程3)
(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル
【化11】
DMF−DMA(0.72g、7.09mmol)を、トルエン(30mL)中の3−オキソ−3−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−プロピオニトリル(2g、5.91mmol)の撹拌した溶液に室温で加え、15時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、そして粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30% EtOAc/ヘキサン)により精製して、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリルを黄色の固体として与えた(1.2g、52%)。MS C
21H
19N
3O
3S[(M+H)
+]の計算値394、実測値394.3。
【0169】
中間体2
(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル
【化12】
工程1)
1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル
【化13】
250mLの丸底フラスコ中で、エチル 1H−インドール−2−カルボキシラート(5g、26.4mmol)、SEM−Cl(5.29g、5.62mL、31.7mmol)及び60%油分散液のNaH(1.27g、31.7mmol)を、THF(40mL)及びDMF(20mL)を用いて4℃で合わせた。反応混合物を撹拌し、室温に5時間温めた。反応混合物をMeOHでクエンチし、水及びEtOAcで希釈した。溶液をブラインで洗浄し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜40% EtOAc/ヘキサン)により精製して、1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル(6.8g、81%)を橙色の油状物として与えた。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 7.69 (t, J = 7.63 Hz, 2H), 7.31 - 7.41 (m, 2H), 7.17 (t, J= 7.50 Hz, 1H), 5.96 (s, 2H), 4.32 (q, J= 7.16 Hz, 2H), 3.43 (t, J = 7.82 Hz, 2H), 1.33 (t, J = 7.06 Hz, 3H), 0.76 (t, J = 7.82 Hz, 2H), -0.14 (s, 9H)。
【0170】
工程2)
3−オキソ−3−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−イル]−プロピオニトリル
【化14】
500mLの丸底フラスコ中で、エチル 1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−インドール−2−カルボキシラート(5g、15.7mmol)、アセトニトリル(3.93g、5mL、95.7mmol)を、窒素雰囲気下、−78℃でTHF(75mL)と合わせて、橙色の溶液を与えた。THF中の2M LDA(10mL、20.0mmol)を、−78℃で加え、反応混合物を撹拌し、そして室温に温めた。反応は、2時間30分後に完了した。反応混合物を水及びEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜40% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−オキソ−3−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−イル]−プロピオニトリル(3.9g、79%)を油状物として与えた。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 7.77 (d, J = 7.91 Hz, 1H), 7.65 - 7.72 (m, 2H), 7.44 (t, J= 7.63 Hz, 1H), 7.21 (t, J = 7.44 Hz, 1H), 5.93 (s, 2H), 4.75 (s, 2H), 1.17 (t, J = 7.16 Hz, 2H), 0.78 (t, J = 7.91 Hz, 2H), -0.12 (s, 9H)。
【0171】
工程3)
(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル
【化15】
250mLの丸底フラスコ中で、3−オキソ−3−(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−インドール−2−イル)プロパンニトリル(3.8g、12.1mmol)及びDMF−DMA(7mL、52.3mmol)を、トルエン(30mL)と合わせて、明黄色の溶液を与えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜100% EtOAc/ヘキサン)により精製して、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(3.5g、78%)を橙色の泡状物として与えた。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 8.03 (s, 1H), 7.69 (d, J= 7.91 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.29 Hz, 1H), 7.32 (t, J = 7.25 Hz, 1H), 7.12 - 7.19 (m, 2H), 5.78 (s, 2H), 3.40 (s, 3H), 3.31 - 3.35 (m, 2H), 3.30 (s, 3H), 0.75 (t, J = 8.01 Hz, 2H), -0.13 (s, 9H)。
【0172】
中間体3
(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボニル]−アクリロニトリル
【化16】
工程1)
1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【化17】
250mLの丸底フラスコ中で、エチル 1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−カルボキシラート(3g、15.8mmol)、SEM−Cl(3.36mL、18.9mmol)及び60%油分散液のNaH(760mg、31.7mmol)を、THF(25mL)及びDMF(10mL)と合わせて、白色の懸濁液を与えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応物を水でクエンチした。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜40% EtOAc/ヘキサン)により精製して、1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボン酸エチルエステル(2.7g、53%)を油状物として与えた。LC/MS:m/z C
16H
24N
2O
3Si([M+H]
+)の計算値:321.4 実測値:321.0
【0173】
工程2)
3−オキソ−3−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−プロピオニトリル
【化18】
100mLの丸底フラスコ中で、エチル 1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−カルボキシラート(2g、6.24mmol)及びアセトニトリル(2.56g、3.26ml、62.4mmol)を、窒素雰囲気下、−78℃でTHF(40mL)と合わせて、明褐色の溶液を与えた。THF中の2M LDA(5mL、10.0mmol)を、−78℃で加え、反応混合物を撹拌し、そして室温に温めた。反応混合物をこの温度で4時間撹拌し、次に反応混合物を飽和NH
4Cl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜40% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−オキソ−3−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−プロピオニトリル(0.6g、31%)を油状物として与えた。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 7.88 (d, J = 8.10 Hz, 1H), 7.78 - 7.84 (m, 1H), 7.49 - 7.57 (m, 1H), 7.38 - 7.47 (m, 1H), 5.87 - 6.09 (m, 2H), 4.86 (s, 2H), 3.41 - 3.71 (m, 2H), 0.68 - 0.94 (m, 2H), -0.1 (s, 9H)
【0174】
工程3)
(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボニル]−アクリロニトリル
【化19】
20mLのシンチレーションバイアル中で、3−オキソ−3−(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパンニトリル(500mg、1.59mmol)及びDMF−DMA(0.85mL、6.34mmol)を、トルエン(5mL)と合わせて、黄色の溶液を与えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜100% EtOAc/ヘキサン)により精製して、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(0.26g、44%)を橙色の泡状物として与えた。LC/MS:m/z C
19H
26N
4O
2Si([M+H]
+)の計算値:371.5 実測値:371.0
【0175】
一般手順A: 芳香族求核置換
【化20】
Cs
2CO
3(1.5当量)を、脱水DMF中のニトロ化合物(1当量)及びフェノール又はアルキルアルコール誘導体(1.2当量)の撹拌した溶液に加えた。混合物を、密閉管中で150℃で24時間加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物を与えた。
【0176】
一般手順B: ニトロ基の還元
【化21】
10%パラジウム担持炭(10%重量)を、エタノール中のニトロ化合物の撹拌した溶液に窒素雰囲気下で加えた。反応混合物を水素雰囲気下で12時間撹拌し、焼結漏斗に通して濾過し、減圧下で蒸発させて、対応するアミンを得た。
【0177】
一般手順C−1: アリールヒドラジン類の調製
【化22】
水中の亜硝酸ナトリウム(1.5当量)の溶液を、−5℃で塩酸中のアミノ芳香族化合物(1当量)の撹拌した溶液に加え、混合物を−5℃で45分間撹拌した。塩酸中の塩化スズ(II)(5当量)の溶液を加え、混合物を30分間撹拌した。混合物を、NaOH水溶液の添加によりアルカリを作成し、混合物をEtOAcで抽出した。有機抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、蒸発させて、生成物を与え、これを次の工程においてそのまま使用した。
【0178】
一般手順C−2: アリールヒドラジン類の調製
【化23】
水中の亜硝酸ナトリウム(1.5当量)の溶液を、−5℃で、塩酸中のアミノ芳香族化合物(1当量)の撹拌した溶液に加え、混合物を−5℃で45分間撹拌した。塩酸中の塩化スズ(II)(5当量)の溶液を加え、混合物を30分間撹拌した。混合物を濾過し、大気下で乾燥させて、生成物を与え、これを次の工程においてそのまま使用した。
【0179】
一般手順D: ピラゾール環形成
【化24】
EtOH中の式Ar−NH−NH2のアリールヒドラジン(2当量)と(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる;1当量)の混合物を、還流下で16時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物を与えた。
【0180】
一般手順E: Ts保護基の脱保護
【化25】
THF:MeOH(7:3)中のTs保護インドール(1当量)の撹拌した溶液に、炭酸セシウム(2当量)を加えた。混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物を与えた。
【0181】
実施例1
[5−アミノ−1−(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化26】
工程1)
2−フルオロ−4−ニトロ−1−フェノキシ−ベンゼン
【化27】
1−ブロモ−2−フルオロ−4−ニトロベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、フェノールと反応させて、2−フルオロ−4−ニトロ−1−フェノキシ−ベンゼンを与えた。
【0182】
工程2)
3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニルアミン
【化28】
2−フルオロ−4−ニトロ−1−フェノキシ−ベンゼンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニルアミンを与えた。MS C
12H
11FNO[(M+H)
+]の計算値204、実測値204.2。
【0183】
工程3)
(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジン
【化29】
3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジンを与えた。
【0184】
工程4)
[5−アミノ−1−(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化30】
(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、[5−アミノ−1−(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
31H
23FN
4O
4S[(M+H)
+]の計算値567、実測値567.1。
【0185】
工程5)
[5−アミノ−1−(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化31】
[5−アミノ−1−(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、[5−アミノ−1−(3−フルオロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
24H
17FN
4O
2[(M+H)
+]の計算値413、実測値413.1。
【0186】
実施例2
[5−アミノ−1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化32】
工程1)
5−ニトロ−2−フェノキシ−ピリジン
【化33】
2−クロロ−5−ニトロ−ピリジンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、フェノールと反応させて、5−ニトロ−2−フェノキシ−ピリジンを与えた。
【0187】
工程2)
6−フェノキシ−ピリジン−3−イルアミン
【化34】
5−ニトロ−2−フェノキシ−ピリジンを、一般手順Bで概説した条件を用いて、還元して、6−フェノキシ−ピリジン−3−イルアミンを与えた。MS C
11H
10N
2O[(M+H)
+]の計算値187、実測値187.1。
【0188】
工程3)
(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−ヒドラジン
【化35】
6−フェノキシ−ピリジン−3−イルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−ヒドラジンを与えた。
【0189】
工程4)
[5−アミノ−1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化36】
(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、[5−アミノ−1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
30H
23N
5O
4S[(M+H)
+]の計算値550、実測値550.2。
【0190】
工程5)
[5−アミノ−1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化37】
[5−アミノ−1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、[5−アミノ−1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
23H
17N
5O
2S[(M+H)
+]の計算値396、実測値396.1。
【0191】
実施例3
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化38】
工程1)
2−(4−ニトロ−フェノキシ)−ピリジン
【化39】
1−クロロ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、ピリジン−2−オールと反応させて、2−(4−ニトロ−フェノキシ)−ピリジンを与えた。MS C
11H
8N
2O
3[(M+H)
+]の計算値217、実測値217.1。
【0192】
工程2)
4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニルアミン
【化40】
2−(4−ニトロ−フェノキシ)−ピリジンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニルアミンを与えた。MS C
11H
10N
2O[(M+H)
+]の計算値187、実測値187.3。
【0193】
工程3)
[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−ヒドラジン
【化41】
4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、アジゾ化し、還元して、[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−ヒドラジンを与えた。
【0194】
工程4)
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化42】
[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
30H
23N
5O
4S[(M+H)
+]の計算値550、実測値550.0。
【0195】
工程5)
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化43】
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
23H
17N
5O
2S[(M+H)
+]の計算値396、実測値395.9。
【0196】
実施例4
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化44】
工程1)
3−(4−ニトロ−フェノキシ)−ピリジン
【化45】
1−クロロ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、ピリジン−3−オールと反応させて、3−(4−ニトロ−フェノキシ)−ピリジンを与えた。MS C
11H
8N
2O
3[(M+H)
+]の計算値217、実測値217.2。
【0197】
工程2)
4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミン
【化46】
3−(4−ニトロ−フェノキシ)−ピリジンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミンを与えた。MS C
11H
10N
2O[(M+H)
+]の計算値187、実測値187.4。
【0198】
工程3)
[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−ヒドラジン
【化47】
4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−ヒドラジンを与えた。
【0199】
工程4)
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化48】
[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
30H
23N
5O
4S[(M+H)
+]の計算値550、実測値550.3。
【0200】
工程5)
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化49】
{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、{5−アミノ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
23H
17N
5O
2S[(M+H)
+]の計算値396、実測値396.4。
【0201】
実施例5
5−アミノ−1−(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化50】
工程1)
2−クロロ−4−ニトロ−1−フェノキシ−ベンゼン
【化51】
1,2−ジクロロ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、フェノールと反応させて、2−クロロ−4−ニトロ−1−フェノキシ−ベンゼンを与えた。MS C
12H
8ClNO
3[(M+H)
+]の計算値250、実測値249.9。
【0202】
工程2)
3−クロロ−4−フェノキシ−フェニルアミン
【化52】
2−クロロ−4−ニトロ−1−フェノキシ−ベンゼンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、3−クロロ−4−フェノキシ−フェニルアミンを与えた。
【0203】
工程3)
(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジン
【化53】
3−クロロ−4−フェノキシ−フェニルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジンを与えた。
【0204】
工程4)
[5−アミノ−1−(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化54】
(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、[5−アミノ−1−(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
31H
23ClN
4O
4S[(M+H)
+]の計算値584、実測値585.2。
【0205】
工程5)
[5−アミノ−1−(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化55】
[5−アミノ−1−(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、[5−アミノ−1−(3−クロロ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
24H
17ClN
4O
2[(M+H)
+]の計算値429、実測値429.4。
【0206】
実施例6
{5−アミノ−1−[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化56】
工程1)
3,4−ジフルオロ−3−(4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゼン
【化57】
1−クロロ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、3,4−ジフルオロ−フェノールと反応させて、3,4−ジフルオロ−3−(4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゼンを与えた。MS C
12H
7F
2NO
3[(M+H)
+]の計算値252、実測値252.0。
【0207】
工程2)
4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニルアミン
【化58】
1,2−ジフルオロ−3−(4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゼンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニルアミンを与えた。
【0208】
工程3)
[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−ヒドラジン
【化59】
4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニルアミンをジアゾ化し、そして一般手順C−1で概説した条件を用いて還元して、[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−ヒドラジンを与えた。
【0209】
工程4)
{5−アミノ−1−[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化60】
[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、{5−アミノ−1−[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。
【0210】
工程5)
{5−アミノ−1−[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化61】
{5−アミノ−1−[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、{5−アミノ−1−[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
24H
16F
2N
4O
2[(M+H)
+]の計算値431、実測値431.3。
【0211】
実施例7
[5−アミノ−1−(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化62】
工程1)
2−メトキシ−4−ニトロ−1−フェノキシ−ベンゼン
【化63】
1−クロロ−2−メトキシ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、フェノールと反応させて、2−メトキシ−4−ニトロ−1−フェノキシ−ベンゼンを与えた。MS C
13H
11NO
4[(M+H)
+]の計算値246、実測値246.0。
【0212】
工程2)
3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニルアミン
【化64】
2−メトキシ−4−ニトロ−1−フェノキシ−ベンゼンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニルアミンを与えた。
【0213】
工程3)
(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジン
【化65】
3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジンを与えた。
【0214】
工程4)
[5−アミノ−1−(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化66】
(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、[5−アミノ−1−(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
32H
26N
4O
5S[(M+H)
+]の計算値579、実測値579.1。
【0215】
工程5)
[5−アミノ−1−(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化67】
[5−アミノ−1−(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、[5−アミノ−1−(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
25H
20N
4O
3[(M+H)
+]の計算値425、実測値425.3。
【0216】
実施例8
[5−アミノ−1−(3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化68】
工程1)
[5−アミノ−1−(3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化69】
DCM(8mL)中の[5−アミノ−1−(3−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン(150mg、0.296mmol)の溶液に、BBr
3(0.103mL、1.04mmol)を0℃で加え、30分間撹拌した。TLCが、出発物質の消費の完了を示し、次に混合物をNaOH水溶液でクエンチし、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25% EtOAc/ヘキサン)により精製して、[5−アミノ−1−(3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン(100mg、68%)を黄色を帯びた固体として与えた。MS C
31H
24N
4O
5S[(M+H)
+]の計算値565、実測値565.3。
【0217】
工程2)
[5−アミノ−1−(3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化70】
[5−アミノ−1−(3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、[5−アミノ−1−(3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
24H
18N
4O
3[(M+H)
+]の計算値411、実測値411.2。
【0218】
実施例9
[5−アミノ−1−(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化71】
工程1)
2−メトキシ−1−ニトロ−4−フェノキシ−ベンゼン
【化72】
1−クロロ−3−メトキシ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、フェノールと反応させて、2−メトキシ−1−ニトロ−4−フェノキシ−ベンゼンを与えた。MS C
13H
11NO
4[(M+H)
+]の計算値246、実測値246.0。
【0219】
工程2)
2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニルアミン
【化73】
2−メトキシ−1−ニトロ−4−フェノキシ−ベンゼンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニルアミンを与えた。
【0220】
工程3)
(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジン
【化74】
2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジンを与えた。
【0221】
工程4)
[5−アミノ−1−(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化75】
(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、[5−アミノ−1−(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
32H
26N
4O
5S[(M+H)
+]の計算値579、実測値579.1。
【0222】
工程5)
[5−アミノ−1−(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化76】
[5−アミノ−1−(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、[5−アミノ−1−(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
25H
20N
4O
3[(M+H)
+]の計算値425、実測値425.3。
【0223】
実施例10
[5−アミノ−1−(2−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化77】
工程1)
[5−アミノ−1−(2−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化78】
DCM(8mL)中の[5−アミノ−1−(2−メトキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン(150mg、0.296mmol)の溶液に、BBr
3(0.103mL、1.04mmol)を0℃で加え、30分間撹拌した。TLCが、出発物質の消費の完了を示し、次に混合物をNaOH水溶液でクエンチし、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25% EtOAc/ヘキサン)により精製して、[5−アミノ−1−(2−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン(100mg、68%)を黄色を帯びた固体として与えた。MS C
31H
24N
4O
5S[(M+H)
+]の計算値565、実測値565.3。
【0224】
工程2)
[5−アミノ−1−(2−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化79】
[5−アミノ−1−(2−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、[5−アミノ−1−(2−ヒドロキシ−4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
24H
18N
4O
3[(M+H)
+]の計算値411、実測値411.3。
【0225】
実施例11
[5−アミノ−1−(4−イソプロポキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化80】
工程1)
1−イソプロポキシ−4−ニトロ−ベンゼン
【化81】
1−クロロ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、イソプロパノールと反応させて、1−イソプロポキシ−4−ニトロ−ベンゼンを与えた。MS C
9H
11NO
3[(M+H)
+]の計算値182、実測値182.2。
【0226】
工程2)
4−イソプロポキシ−フェニルアミン
【化82】
1−イソプロポキシ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、4−イソプロポキシ−フェニルアミンを与えた。
【0227】
工程3)
(4−イソプロポキシ−フェニル)−ヒドラジン
【化83】
4−イソプロポキシ−フェニルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、(4−イソプロポキシ−フェニル)−ヒドラジンを与えた。
【0228】
工程4)
[5−アミノ−1−(4−イソプロポキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化84】
(4−イソプロポキシ−フェニル)−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、[5−アミノ−1−(4−イソプロポキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
28H
26N
4O
4S[(M+H)
+]の計算値515、実測値515.2。
【0229】
工程5)
[5−アミノ−1−(4−イソプロポキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化85】
[5−アミノ−1−(4−イソプロポキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、[5−アミノ−1−(4−イソプロポキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
21H
20N
4O
2[(M+H)
+]の計算値361、実測値361.2。
【0230】
実施例12
[5−アミノ−1−(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化86】
工程1)
1−シクロペンチルオキシ−4−ニトロ−ベンゼン
【化87】
1−クロロ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、シクロペンタノールと反応させて、1−シクロペンチルオキシ−4−ニトロ−ベンゼンを与えた。
【0231】
工程2)
4−シクロペンチルオキシ−フェニルアミン
【化88】
1−シクロペンチルオキシ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、4−シクロペンチルオキシ−フェニルアミンを与えた。
【0232】
工程3)
(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−ヒドラジン
【化89】
4−シクロペンチルオキシ−フェニルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−ヒドラジンを与えた。
【0233】
工程4)
[5−アミノ−1−(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化90】
(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1、工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、[5−アミノ−1−(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
30H
28N
4O
4S[(M+H)
+]の計算値541、実測値541.3。
【0234】
工程5)
[5−アミノ−1−(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化91】
[5−アミノ−1−(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、[5−アミノ−1−(4−シクロペンチルオキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
23H
22N
4O
2[(M+H)
+]の計算値387、実測値387.4。
【0235】
実施例13
{5−アミノ−1−[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化92】
工程1)
1−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−4−ニトロ−ベンゼン
【化93】
1−クロロ−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、2,2−ジメチル−プロパン−1−オールと反応させて、1−シクロペンチルオキシ−4−ニトロ−ベンゼンを与えた。MS C
11H
15NO
3[(M+H)
+]の計算値210、実測値210.2。
【0236】
工程2)
4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニルアミン
【化94】
1−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−4−ニトロ−ベンゼンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニルアミンを与えた。
【0237】
工程3)
[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−ヒドラジン
【化95】
4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニルアミンを、一般手順C−1で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−ヒドラジンを与えた。
【0238】
工程4)
{5−アミノ−1−[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化96】
[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−ヒドラジンを、一般手順Dで概説した条件を用いて、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(中間体1 工程3に記載したように調製することができる)と反応させて、{5−アミノ−1−[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを与えた。MS C
30H
30N
4O
4S[(M+H)
+]の計算値543、実測値543.2。
【0239】
工程5)
{5−アミノ−1−[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化97】
{5−アミノ−1−[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノンを、一般手順Eで概説した条件を用いて、炭酸セシウムと反応させて、{5−アミノ−1−[4−(2,2−ジメチル−プロポキシ)−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノンを与えた。MS C
23H
24N
4O
2[(M+H)
+]の計算値389、実測値389.2。
【0240】
実施例14
{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化98】
工程1: 2−メチル−1−ニトロ−4−(2,3−ジフルオロ)−フェノキシ−ベンゼン
【化99】
4−クロロ−2−メチル−ニトロベンゼンを、一般手順Aで概説した条件を用いて、2,3−ジフルオロ−フェノールと反応させて、2−メチル−1−ニトロ−4−(2,3−ジフルオロ)−フェノキシ−ベンゼンを与えた。MS C
13H
10F
2NO
3[(M+H)
+]の計算値266、実測値266.2
【0241】
工程2: 4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニルアミン
【化100】
2−メチル−1−ニトロ−4−(2,3−ジフルオロ)−フェノキシ−ベンゼンを、一般手順Bで概説した条件を用いて還元して、4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニルアミンを与えた。MS C
13H
12F
2NO[(M+H)
+]の計算値236、実測値235.8。
【0242】
工程3: [4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−ヒドラジン、塩酸塩
【化101】
4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニルアミンを、一般手順C−2で概説した条件を用いて、ジアゾ化し、還元して、[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−ヒドラジン塩酸塩を与えた。
【0243】
工程4)
{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1エトキシメチル−1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化102】
20mLのシンチレーションバイアル中で、(E)−3−(ジメチルアミノ)−2−(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−インドール−2−カルボニル)アクリロニトリル(中間体2、工程3)(200mg、0.541mmol)、(4−(2,3−ジフルオロフェノキシ)−2−メチルフェニル)ヒドラジン(271mg、1.08mmol)及び炭酸カリウム(224mg、1.62mmol)を、EtOH(4mL)と合わせて、黄色の懸濁液を与えた。反応混合物を80℃で一晩加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン 0〜100%)により精製して、{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1エトキシメチル−1H−インドール−2−イル)−メタノン(165mg、79%)を油状物として与えた。LC/MS:m/z C
28H
24F
2N
4O
3([M+H]
+)の計算値:503.5 実測値:503.1
【0244】
工程5)
{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化103】
20mLのシンチレーションバイアル中で、(5−アミノ−1−(4−(2,3−ジフルオロフェノキシ)−2−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)(1−(エトキシメチル)−1H−インドール−2−イル)メタノン(100mg、0.199mmol)を、EtOH(4mL)及び10% HCl水溶液(2mL)と合わせた。反応混合物を80℃で2時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜70% EtOAc−ヘキサン)により精製して、{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−インドール−2−イル)−メタノン(36mg、41%)を油状物として与えた。LC/MS:m/z C
25H
18F
2N
4O
2([M+H]
+)の計算値:445.4 実測値:444.9
【0245】
実施例15
2−{4−[5−アミノ−4−(1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−メチル−フェノキシ}−ベンゾニトリル
【化104】
工程1)
2−(3−メチル−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化105】
アセトン(100mL)中の4−フルオロ−2−メチル−1−ニトロ−ベンゼン(13.1g、84mmol)、2−ヒドロキシベンゾニトリル(10g、84mmol)及びK
2CO
3(23.5g、168mmol)の混合物を、70℃で一晩加熱した。水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。MeOHを加え、混合物を週末にかけて室温で放置した。固体を濾過して、2つの産生物の2−(3−メチル−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(7.5g、35%)を黄色の固体として与えた。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ ppm 8.10 (d, J=8.9 Hz, 1 H), 7.75 (dd, J=7.7, 1.5 Hz, 1 H), 7.56 - 7.68 (m, 1 H), 7.33 (td, J=7.6, 0.9 Hz, 1 H), 7.09 (d, J=8.5 Hz, 1 H), 6.88 - 7.00 (m, 2 H), 2.64 (s, 3 H)。MS C
14H
11N
2O
3[(M+H)
+]の計算値255、実測値255.0。
【0246】
工程2)
2−(4−アミノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化106】
塩化スズ(II)(18.6g、98.3mmol)、2−(3−メチル−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(5g、19.7mmol)、MeOH(60mL)、THF(100mL)及び水(30mL)の混合物を、70℃で4時間加熱した。混合物を蒸発させ、そして残留物を10N NaOHの添加により塩基性化した。得られた混合物をEtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、そして蒸発させた。残留物を、クロマトグラフィー(シリカゲル、0〜30% EtOAc/ヘキサン)により精製して、2−(4−アミノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル(3.5g、79%)を固体として与えた。MS C
14H
13N
2O
[(M+H)
+]の計算値225、実測値224.9。
【0247】
工程3)
2−(4−ヒドラジノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル塩酸塩
【化107】
水(10mL)中のNaNO
2(1.23g、17.8mmol)の溶液を、2−(4−アミノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル(2g、8.92mmol)、HCl(10mL)、水(20mL)及びMeOH(15mL)の混合物に4℃で加えた。混合物を4℃で45分間撹拌した。濃HCl(10mL)中の塩化スズ(II)(10g、44.6mmol)の溶液を加え、そして混合物を4時間撹拌した。混合物を濾過して、粗2−(4−ヒドラジノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル塩酸塩(600mg、28%)を黄色の塩として与えた。この物質を、更に精製することなく次の工程において使用した。
【0248】
工程4)
2−(4−{5−アミノ−4−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−ピラゾール−1−イル}−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化108】
20mLのシンチレーションバイアル中で、(E)−3−(ジメチルアミノ)−2−(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−インドール−2−カルボニル)アクリロニトリル(中間体2、工程3)(200mg、0.541mmol)、2−(3−ヒドラジニル−2−メチルフェノキシ)ベンゾニトリル塩酸塩(200mg、0.836mmol)及び炭酸カリウム(300mg、2.17mmol)を、EtOH(4mL)と合わせて、暗赤色の懸濁液を与えた。反応混合物を80℃で一晩加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜70% EtOAc−ヘキサン)により精製して、2−(4−{5−アミノ−4−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−ピラゾール−1−イル}−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル(160mg、52%)を油状物として与えた。LC/MS:m/z C
32H
33N
5O
3Si([M+H]
+)の計算値:564.7 実測値:564.2
【0249】
工程5)
2−{4−[5−アミノ−4−(1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−メチル−フェノキシ}−ベンゾニトリル
【化109】
20mLのシンチレーションバイアル中で、2−(4−(5−アミノ−4−(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−インドール−2−カルボニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−メチルフェノキシ)ベンズアミド(160mg、0.275mmol、当量:1.00)、THF中の1M TBAF(5.5mL、5.5mmol、当量:20)及びエタン−1,2−ジアミン(165mg、2.75mmol、当量:10)を合わせた。反応混合物を70℃で一晩加熱した。18時間後、反応は未完了であった。さらにTHF中の1M TBAF(4mL)を加え、そして70℃でさらに2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。粗物質をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Cl水溶液で洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜100% EtOAc/ヘキサン)により精製して、2−{4−[5−アミノ−4−(1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−メチル−フェノキシ}−ベンゾニトリル(50mg、42%)を固体として与えた。LC/MS:m/z C
26H
19N
5O
2([M+H]
+)の計算値:434.4 実測値:434.0
【0250】
実施例16
3−{4−[5−アミノ−4−(1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリル
【化110】
工程1)
3−(3−クロロ−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化111】
DMF(100mL)中の2−クロロ−4−フルオロ−1−ニトロ−ベンゼン(15g、85mmol)、3−ヒドロキシベンゾニトリル(10.1g、85mmol)及びCs
2CO
3(30.4g、93.5mmol)の混合物を、120℃で1時間加熱した。EtOAcを加え、混合物を水及びブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、蒸発させて、3−(3−クロロ−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(23g、99%)を黄色の固体として与えた。
【0251】
工程2)
3−(4−アミノ−3−クロロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化112】
HCl(50mL)中の塩化スズ(II)二水和物(75.4g、335mmol)の溶液を、MeOH(500mL)中の3−(3−クロロ−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(23g、83.9mmol)の溶液に加え、そして混合物を室温で6時間撹拌した。混合物を2N NaOHの添加により塩基性にし、得られた混合物をEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、そして蒸発させた。残留物を、クロマトグラフィー(シリカゲル、0〜30% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−(4−アミノ−3−クロロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(13.8g、67%)を黄色の油状物として与えた。
【0252】
工程3)
3−(3−クロロ−4−ヒドラジノ−フェノキシ)−ベンゾニトリル塩酸塩
【化113】
MeOH(30mL)中の3−(4−アミノ−3−クロロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(5g、20.4mmol)と濃HCl(30mL)の混合物を、−5℃に冷却した。水(2mL)中のNaNO
2(1.72g、24.5mmol)の溶液を加え、混合物を−5℃で40分間撹拌した。HCl(20mL)中の塩化スズ(II)二水和物(23.1g、102mmol)の溶液を加え、混合物を1時間撹拌した。混合物を蒸発させ、固体を濾別し、減圧下で乾燥させて、3−(3−クロロ−4−ヒドラジノ−フェノキシ)−ベンゾニトリル塩酸塩(5.8g、96%)を与えた。この物質を、更に精製することなく次の工程において使用した。
【0253】
工程4)
3−{4−[5−アミノ−4−(1−エトキシメチル−1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリル
【化114】
20mLのシンチレーションバイアル中で、(E)−3−(ジメチルアミノ)−2−(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−インドール−2−カルボニル)アクリロニトリル(中間体2、工程3)(100mg、0.271mmol)、炭酸カリウム(112mg、0.812mmol)及び3−(3−クロロ−4−ヒドラジニルフェノキシ)ベンゾニトリル(217mg、0.836mmol)を、EtOH(4mL)と合わせて、黄色の懸濁液を与えた。反応混合物を80℃で一晩加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜100% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−{4−[5−アミノ−4−(1−エトキシメチル−1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリル(95mg、69%)を油状物として与えた。LC/MS:m/z C
28H
22ClN
5O
3([M+H]
+)の計算値:512.9 実測値:511.9
【0254】
工程5)
3−{4−[5−アミノ−4−(1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリル
【化115】
20mLのシンチレーションバイアル中で、3−(4−(5−アミノ−4−(1−(エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−クロロフェノキシ)ベンゾニトリル(60mg、0.117mmol)を、EtOH(4mL)及び10% HCl(2mL)水溶液と合わせた。反応混合物を80℃で3時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜70% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−{4−[5−アミノ−4−(1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリル(18mg、34%)を明褐色の固体として与えた。LC/MS:m/z C
25H
16ClN
5O
2([M+H]
+)の計算値:454.8 実測値:454.0
【0255】
実施例17
3−{4−[5−アミノ−4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−メチル−フェノキシ}−ベンズアミド
【化116】
工程1)
3−(3−メチル−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化117】
DMF(100mL)中の4−フルオロ−2−メチル−1−ニトロ−ベンゼン(13.1g、84mmol)、3−ヒドロキシベンゾニトリル(10g、84mmol)及びCs
2CO
3(30.1g、92mmol)の混合物を、120℃で3時間加熱した。Et
2Oを加え、混合物を水及びブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、蒸発させて、3−(3−メチル−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(19.2g、90%)を与えた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 8.09 (d, J=8.8 Hz, 1 H), 7.71 - 7.77 (m, 2 H), 7.62 - 7.70 (m, 1 H), 7.48 - 7.55 (m, 1 H), 7.16 (d, J=2.8 Hz, 1 H), 7.04 (dd, J=8.9, 2.9 Hz, 1 H)。MS C
14H
11N
2O
3[(M+H)
+]の計算値255、実測値254.9。
【0256】
工程2)
3−(4−アミノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化118】
濃HCl(35mL)中の塩化スズ(II)二水和物(34.9g、155mmol)の溶液を、MeOH(300mL)中の3−(3−メチル−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(9.85g、38.7mmol)の溶液に加え、混合物を一晩撹拌した。混合物を蒸発させ、残留物を2N NaOHの添加により塩基性化した。得られた混合物をEtOAcで4回抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、そして蒸発させた。残留物を、クロマトグラフィー(シリカゲル、0〜30% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−(4−アミノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル(4.6g、53%)を黒色の液体として与えた。MS C
14H
13N
2O
([M+H]
+)の計算値:225、実測値225.0。
【0257】
工程3)
3−(4−ヒドラジノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化119】
水(1mL)中のNaNO
2(340mg、4.9mmol)の溶液を、3−(4−アミノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル(1g、4.46mmol)、濃HCl(2mL)、水(4mL)及びMeOH(2mL)の混合物に4℃で加えた。混合物を30分間撹拌した。濃HCl(10mL)中の塩化スズ(II)(4.23g、22mmol)の溶液をゆっくりと加え、そして混合物を3時間撹拌した。MeOH(10mL)を加え、続いて10M NaOH(注意:発熱)を加えた。混合物を冷却し、EtOAc及び10M NaOHを加えた。有機相をブラインで洗浄し、蒸発させて、粗3−(4−ヒドラジノ−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル(600mg、56%)を赤−褐色の油状物として与えた。この物質を、更に精製することなく次の工程において使用した。MS C
14H
14N
3O([M+H]
+)の計算値:240、実測値222.9。
【0258】
工程4)
3−(4−{5−アミノ−4−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボニル]−ピラゾール−1−イル}−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化120】
20mLのシンチレーションバイアル中で、(E)−3−(ジメチルアミノ)−2−(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−カルボニル)アクリロニトリル(中間体3、工程 3)(200mg、0.540mmol)、3−(4−ヒドラジニル−3−メチルフェノキシ)ベンゾニトリル(200mg、0.836mmol)及び炭酸カリウム(300mg、2.17mmol)を、EtOH(4mL)と合わせて、橙色の懸濁液を与えた。反応混合物を80℃で一晩加熱した。反応は、未完了であった。3−(4−ヒドラジニル−3−メチルフェノキシ)ベンゾニトリル(200mg、0.836mmol、当量:1.55)を加え、反応混合物を80℃でさらなる時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜70% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−(4−{5−アミノ−4−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボニル]−ピラゾール−1−イル}−3−メチル−フェノキシ)−ベンゾニトリル(30mg、10%)を油状物として与えた。LC/MS:m/z C
31H
32N
6O
3Si([M+H]
+)の計算値:565.7 実測値:565.1
【0259】
工程5)
3−{4−[5−アミノ−4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−メチル−フェノキシ}−ベンズアミド
【化121】
20mLのシンチレーションバイアル中で、3−(4−(5−アミノ−4−(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−カルボニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−メチルフェノキシ)ベンゾニトリル(30mg、0.053mmol)、THF中の含水1M TBAF(13.9mg、0.053mmol)及びエタン−1,2−ジアミン(32mg、0.53mmol)を、THF(1mL)と合わせた。反応混合物を70℃で24時間加熱した。溶媒を減圧下で除去した。粗物質をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Cl水溶液で洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜100% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−{4−[5−アミノ−4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−メチル−フェノキシ}−ベンズアミド(13mg、収率54%)を固体として与えた。LC/MS:m/z C
25H
20N
6O
3([M+H]
+)の計算値:453.4 実測値:452.9
【0260】
実施例18
{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−メタノン
【化122】
工程1)
{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−メタノン
【化123】
20mLのシンチレーションバイアル中で、(E)−3−(ジメチルアミノ)−2−(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−カルボニル)アクリロニトリル(中間体3、工程 3)(200mg、0.540mmol)、(4−(2,3−ジフルオロフェノキシ)−2−メチルフェニル)ヒドラジン(実施例14、工程3)(261mg、1.04mmol)及び炭酸カリウム(224mg、1.62mmol)を、EtOH(5mL)と合わせて、黄色の懸濁液を与えた。反応混合物を80℃で一晩加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜70% EtOAc/ヘキサン)により精製して、{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−メタノン(40mg、収率13%)を油状物として与えた。LC/MS:m/z C
30H
31F
2N
5O
3Si([M+H]
+)の計算値:576.7 実測値:576.1
【0261】
工程2)
{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−メタノン
【化124】
20mLのシンチレーションバイアル中で、(5−アミノ−1−(4−(2,3−ジフルオロフェノキシ)−2−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)(1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノン(40mg、0.070mmol)、エタン−1,2−ジアミン(42mg、0. 695mmol)及びTHF中の1M TBAF(0.9mL、1.8mmol)を、THF(1mL)と合わせて、明赤色の溶液を与えた。反応混合物を70℃で24時間加熱した。溶媒を減圧下で除去した。粗物質をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Cl水溶液で洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜100% EtOAc/ヘキサン)により精製して、{5−アミノ−1−[4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−メタノン(20mg、収率65%)を固体として与えた。LC/MS:m/z C
24H
17F
2N
5O
2([M+H]
+)の計算値:446.4 実測値:445.9
【0262】
実施例19
[5−アミノ−1−(4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化125】
工程1) 4−モルホリン−4−イルメチル−安息香酸メチルエステル
【化126】
ジ−イソプロピルエチルアミン(15.2mL、87.3mmol)を、0℃で、脱水THF(50mL)中のモルホリン(4.2mL、48mmol)の撹拌した溶液に加えた。脱水THF(70mL)中の4−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル(10g、87.3mmol)を加え、そして12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、水で希釈した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30% EtOAc/ヘキサン)により精製して、4−モルホリン−4−イルメチル−安息香酸メチルエステル(10.5g、93%)をオフホワイトの固体として与えた。MS C
13H
17NO
3[(M+H)
+]の計算値236、実測値236.1。
【0263】
工程2) (4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−メタノール
【化127】
水素化ホウ素ナトリウム(2.57g、68mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で、THF:MeOH(8:1)(56mL)の混合物中の4−モルホリン−4−イルメチル−安息香酸メチルエステル(2g、8.5mmol)の撹拌した溶液に加えた。反応混合物を2時間加熱還流した。それを飽和塩化アンモニウム溶液を用いて0℃でクエンチし、そして30分間撹拌した。それを酢酸エチル(20mL×2)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2% MeOH/DCM)により精製して、(4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−メタノール(1.3g、74%)を白色の固体として与えた。MS C
12H
17NO
2[(M+H)
+]の計算値208、実測値208.1。
【0264】
工程3) 4−モルホリン−4−イルメチル−ベンズアルデヒド
【化128】
二酸化マンガン(3.28g、37.67mmol)を、室温で、メチレンジクロリド(120mL)中の(4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−メタノール(1.3g、6.28mmol)の撹拌した溶液に加え、そして72時間撹拌した。反応混合物を、セライトを使用する焼結漏斗に通して濾過し、メチレンジクロリド(50mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20% EtOAc/ヘキサン)により精製して、4−モルホリン−4−イルメチル−ベンズアルデヒド(1.2g、93%)を白色の固体として与えた。MS C
12H
15NO
2[(M+H)
+]の計算値206、実測値206.3。
【0265】
工程4) E)−2−アジド−3−(4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−アクリル酸メチルエステル
【化129】
メタノール(18mL)中の4−モルホリン−4−イルメチル−ベンズアルデヒド(6.8g、33.17mmol)とアジド−酢酸エチルエステル(7.11g、132.68mmol)の混合物を、0℃で、メタノール(30mL)中のナトリウムメトキシド(5.37g、99.51mmol)の撹拌した溶液に加え、そして30分間撹拌した。反応混合物を焼結漏斗に通して濾過し、水で洗浄して、E)−2−アジド−3−(4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−アクリル酸メチルエステル(7g、70%)を白色の固体として与えた。MS C
15H
18N
4O
3[(M+H)
+]の計算値302、実測値303.3。
【0266】
工程5) 6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
【化130】
キシレン(90mL)中のE)−2−アジド−3−(4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−アクリル酸メチルエステル(3.8g、12.58mmol)を、90℃に2時間加熱し、室温に冷やし、そして室温で12時間撹拌した。キシレンを減圧下で蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2% MeOH/DCM)により精製して、6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(1.9g、55%)を白色の固体として与えた。MS C
15H
18N
2O
3[(M+H)
+]の計算値275、実測値275.2。
【0267】
工程6) 6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
【化131】
脱水THF(10mL)中の6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(3.6g、13.13mmol)を、0℃で、脱水THF(20mL)中の60%油分散液の水素化ナトリウム(1.3g、32.84mmol)の撹拌した溶液に加え、そして30分間撹拌した。脱水THF(10mL)中のパラ−トルエンスルホニルクロリド(5g、26.27mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。それを飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1% MeOH/DCM)により精製して、6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(3.5g、93%)を白色の固体として与えた。MS C
22H
24N
2O
5S[(M+H)
+]の計算値429、実測値428.9。
【0268】
工程7) 3−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−3−オキソ−プロピオニトリル
【化132】
ブチルリチウム(15ml、13.55mmol)を、−78℃で、脱水THF(20mL)中のジイソプロピルアミン(1.95ml、13.55mmol)の撹拌した溶液に加え、そして30分間撹拌した。それを、−78℃で、脱水THF(20mL)中の6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(2.9g、6.77mmol)及びアセトニトリル(1.4mL、27mmol)の撹拌した溶液に加え、そして30分間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2% MeOH/DCM)により精製して、3−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−3−オキソ−プロピオニトリル(1.8g、90%)を黄色の固体として与えた。MS C
23H
23N
3O
4S[(M+H)
+]の計算値438、実測値438.1。
【0269】
工程8) (E)−3−ジメチルアミノ−2−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル
【化133】
DMF−DMA(3.9ml、29.3mmol)を、室温で、脱水トルエン(50mL)中の3−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−3−オキソ−プロピオニトリル(3.2g、7.32mmol)の撹拌した溶液に加え、12時間撹拌した。トルエンを減圧下で蒸発させ、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2% MeOH/DCM)により精製して、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(2.5g、97%)を黄色の固体として与えた。MS C
26H
28N
4O
4S[(M+H)
+]の計算値493、実測値493.3。
【0270】
工程9)[5−アミノ−1−(4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン
【化134】
(E)−3−ジメチルアミノ−2−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(0.15g、0.305mmol))を、エタノール中の(4−フェノキシ−フェニル)−ヒドラジン(0.091g、0.457mmol)の撹拌した溶液に加え、そして16時間加熱還流した。エタノールを減圧下で蒸発させ、そして粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2% MeOH/DCM)により精製して、[5−アミノ−1−(4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン(0.14g、71%)を黄色の固体として与えた。MS C
36H
33N
5O
5S[(M+H)
+]の計算値648、実測値648.2。
【0271】
工程10)[5−アミノ−1−(4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−イル)−メタノン
【化135】
炭酸セシウム(0.21g、0.65mmol)を、室温で、THF:MeOH(7:3)(6mL)の混合物中の[5−アミノ−1−(4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−2−イル]−メタノン(0.14g、0.216mmol)の撹拌した溶液に加え、18時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、そして粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5% MeOH/DCM)により精製して、[5−アミノ−1−(4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−[6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−イル]−メタノン(0.055g、52%)を黄色の固体として与えた。MS C
29H
27N
5O
3[(M+H)
+]の計算値494、実測値494.4。
【0272】
実施例20
3−{4−[5−アミノ−4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリル
【化136】
工程1) 3−(3−クロロ−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化137】
DMF(100mL)中の2−クロロ−4−フルオロ−1−ニトロ−ベンゼン(15g、85mmol)、3−ヒドロキシベンゾニトリル(10.1g、85mmol)及びCs
2CO
3(30.4g、93.5mmol)の混合物を、120℃で1時間加熱した。EtOAcを加え、混合物を水及びブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、蒸発させて、3−(3−クロロ−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(23g、99%)を黄色の固体として与えた。
【0273】
工程2) 3−(4−アミノ−3−クロロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化138】
HCl(50mL)中の塩化スズ(II)二水和物(75.4g、335mmol)の溶液を、MeOH(500mL)中の3−(3−クロロ−4−ニトロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(23g、83.9mmol)の溶液に加え、そして混合物を室温で6時間撹拌した。混合物を2N NaOHの添加により塩基性化し、得られた混合物をEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、そして蒸発させた。残留物を、クロマトグラフィー(シリカゲル、0〜30% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−(4−アミノ−3−クロロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(13.8g、67%)を黄色の油状物として与えた。
【0274】
工程3) 3−(3−クロロ−4−ヒドラジノ−フェノキシ)−ベンゾニトリル塩酸塩
【化139】
MeOH(30mL)中の3−(4−アミノ−3−クロロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(5g、20.4mmol)と濃HCl(30mL)の混合物を、−5℃に冷却した。水(2mL)中のNaNO
2(1.72g、24.5mmol)の溶液を加え、そして混合物を−5℃で40分間撹拌した。HCl(20mL)中の塩化スズ(II)二水和物(23.1g、102mmol)の溶液を加え、混合物を1時間撹拌した。混合物を蒸発させ、そして固体を濾別し、真空下で乾燥させて、3−(3−クロロ−4−ヒドラジノ−フェノキシ)−ベンゾニトリル塩酸塩を与えた(5.8g、96%)。この物質を、更に精製することなく次の工程において使用した。
【0275】
工程4) 6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
【化140】
(E)−2−アジド−3−(4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−アクリル酸メチルエステル(303.34mg、1.00mmol)、Rh
2(pfb)
4(ジロジウム(II)テトラキス(ペルフルオロブチラート))(52.8mg、0.05mmol)を、トルエン(758μl)に溶解し、次に60℃に2日間加熱し、そして次に90℃に2時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、そして水、ブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、そして粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2% MeOH/DCM)により精製して、6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(0.41g、50%)を白色の固体として与えた。MS C
15H
18N
2O
3[(M+H)
+]の計算値275、実測値275.2。
【0276】
工程5) 6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
【化141】
60%油分散液のNaH(244mg、6.1mmol)を、0℃で、脱水THF(6mL)及びDMF(2.5mL)中のエチル 6−(モルホリノメチル)−1H−インドール−2−カルボキシラート(1.6g、5.5mmol)の撹拌した溶液に少量ずつ加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。(2−(クロロメトキシ)エチル)トリメチルシラン(925mg、5.55mmol)を0℃で加え、次に室温で1時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水及びブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、そして粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜50% EtOAc/ヘキサン)により精製して、6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを黄色の油状物として与えた。MS C
21H
32N
2O
4Si[(M+H)
+]の計算値405、実測値405.2。
【0277】
工程6) 3−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−イル]−3−オキソ−プロピオニトリル
【化142】
100mLの丸底フラスコ中で、6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(1.6g、3.82mmol)及びMeCN(941mg、1.2mL、22.9mmol)を、THF(20mL)と合わせて、暗褐色の溶液を与えた。−78℃で冷却した後、LDA(2M/THF)(3.82mL、7.64mmol)を、5分間かけてゆっくり加えた。反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。反応物を飽和NH
4Cl(10mL)でクエンチした。反応物を水(150mL)で希釈し、EtOAc(100mL)で抽出し、そしてブラインで洗浄した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜40% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−イル]−3−オキソ−プロピオニトリル(0.15g、10%)を黄色の油状物として与えた。MS C
22H
31N
3O
3Si[(M+H)
+]の計算値414、実測値414.3。
【0278】
工程7) (E)−3−ジメチルアミノ−2−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル
【化143】
25mLの丸底フラスコ中で、3−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−イル]−3−オキソ−プロピオニトリル(145mg、351μmol)を、トルエン(1.46mL)と合わせて、明黄色の溶液を与えた。N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(60.5μl、456μmol)を加え、そして室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜50% EtOAc/ヘキサン)により精製して、(E)−3−ジメチルアミノ−2−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(0.12g、73%)を黄色の油状物として与えた。MS C
25H
36N
4O
3Si[(M+H)
+]の計算値469、実測値469.2。
【0279】
工程8) 3−(4−{5−アミノ−4−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−ピラゾール−1−イル}−3−クロロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル
【化144】
EtOH(2mL)中の(E)−3−ジメチルアミノ−2−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−アクリロニトリル(115mg、245μmol)、3−(3−クロロ−4−ヒドラジノ−フェノキシ)−ベンゾニトリル塩酸塩(218mg、736μmol)及びK
2CO
3(170mg、1.23mmol)を、80℃で2時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水、ブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、そして粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜50% EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−(4−{5−アミノ−4−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−ピラゾール−1−イル}−3−クロロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(0.103g、61%)を黄色の油状物として与えた。MS C
36H
39ClN
6O
4Si[(M+H)
+]の計算値683、実測値683.2。
【0280】
工程10) 3−{4−[5−アミノ−4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリル
【化145】
3−(4−{5−アミノ−4−[6−モルホリン−4−イルメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−インドール−2−カルボニル]−ピラゾール−1−イル}−3−クロロ−フェノキシ)−ベンゾニトリル(80mg、117μmol)を、EtOH(4mL)に溶解し、10% HCl(2mL、20.0mmol)を加え、そして80℃に10分間加熱した。溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、エーテルでトリチュレートして、3−{4−[5−アミノ−4−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−インドール−2−カルボニル)−ピラゾール−1−イル]−3−クロロ−フェノキシ}−ベンゾニトリルを与えた(80mg、収率94%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ: 12.13 (s, 1H), 8.45 (s, 1H), 7.89 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.72 - 7.86 (m, 6H), 7.58 - 7.70 (m, 3H), 7.42 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.36 (dd, J = 8.7, 2.6 Hz, 1H), 7.25 (br. s., 1H), 4.57 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 3.77 - 4.14 (m, 4H), 3.16 - 3.45 (m, 4H)。
【0281】
生物学的実施例
ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)阻害アッセイ
本アッセイは、濾過による放射性
33Pリン酸化産物の捕獲である。Btk、ビオチン化SH
2ペプチド基質(Src相同)及びATPの相互作用は、ペプチド基質のリン酸を導く。ビオチン化産物は、結合したストレプトアビジンセファロースビーズである。全ての結合した放射性標識産物をシンチレーションカウンターによって検出する。
【0282】
アッセイするプレートは、96ウェルのポリプロピレン(Greiner)及び96ウェルの1.2μm親水性PVDFフィルタープレート(Millipore)である。ここに報告する濃度は、最終アッセイ濃度である:DMSO中10〜100μMの化合物(Burdick and Jackson)、5〜10nM Btk酵素(Hisタグ化、完全長)、30μMペプチド基質(ビオチン−Aca−AAAEEIYGEI−NH
2)、100μM ATP(Sigma)、8mM イミダゾール(Sigma、pH7.2)、8mM グリセロール−2−ホスファート(Sigma)、200μM EGTA(Roche Diagnostics)、1mM MnCl
2(Sigma)、20mM MgCl
2(Sigma)、0.1mg/ml BSA(Sigma)、2mM DTT(Sigma)、1μCi
33P ATP(Amersham)、20%ストレプトアビジンセファロースビーズ(Amersham)、50mM EDTA(Gibco)、2M NaCl(Gibco)、2M NaCl w/1%リン酸(Gibco)、microscint-20(Perkin Elmer)。
【0283】
IC
50の決定は、標準的な96ウェルプレートアッセイテンプレートから得られるデータを利用して、化合物当たり10個のデータ点から算出する。1種の対照化合物及び7種の未知阻害剤を各プレートで試験し、各プレートで2回実行した。典型的には、化合物を100μMから開始して3nMで終了する半対数(half-log)系列で希釈した。対照化合物は、スタウロスポリンとした。バックグラウンドをペプチド基質の非存在下でカウントした。総活性をペプチド基質の存在下で決定した。以下のプロトコルを使用してBtk阻害を決定した。
【0284】
試料調製:試験化合物を、アッセイ緩衝液(イミダゾール、グリセロール−2−ホスファート、EGTA、MnCl
2、MgCl
2、BSA)中、半対数増分で希釈した。
【0285】
ビーズ調製
1)500gで遠心分離することによってビーズをすすぐ。
2)PBS及びEDTAを用いてビーズを再構成して、20%ビーズスラリーを作製する。
3)基質を含有しない反応混合物(アッセイ緩衝液、DTT、ATP、
33P ATP)及び基質を含有する混合物(アッセイ緩衝液、DTT、ATP、
33P ATP、ペプチド基質)を30℃で15分間プレインキュベートする。
4)アッセイを開始するために、酵素緩衝液(イミダゾール、グリセロール−2−ホスファート、BSA)中のBtk10μL及び試験化合物10μLをRTで10分間プレインキュベートする。
5)基質を含有しない又は含有する反応混合物30μLをBtk及び化合物に加える。
6)全アッセイ混合物50μLを30℃で30分間インキュベートする。
7)アッセイ液40μLをフィルタープレート中のビーズスラリー150μLに移して、反応を停止する。
8)30分後、以下の工程でフィルタープレートを洗浄する:
NaCl 3×250μL
NaCl(1%リン酸を含有する) 3×250μL
H
2O 1×250μL
9)プレートを65℃で1時間又はRTで一晩乾燥させる。
10)microscint-20 50μLを加えて、シンチレーションカウンターで
33P(cpm)をカウントする。
【0286】
生データから活性率を算出する(cpm):
活性率=(試料−bkg)/(総活性−bkg)×100
ワンサイト用量反応シグモイドモデルを使用して、活性率からIC
50を算出する:
y=A+((B−A)/(1+((x/C)
D))))
x=化合物濃度、y=活性%、A=最小、B=最大、C=IC
50、D=1(ヒルの傾き)。
【0287】
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害のTR−FRET(時間分解FRET)アッセイ
このBTK競合アッセイは、FRET(Forster/蛍光共鳴エネルギー移動)技術を使用して、不活性状態のブルトン型チロシンキナーゼに対する化合物の効力(IC
50)を測定する。BTK−Eu錯体を氷上で1時間インキュベートした後、50nM BTK−Bioease(商標):10nM Eu−ストレプトアビジン(Perkin-Elmer Catalog# AD0062)の開始濃度で使用した。アッセイ緩衝液は、20mM HEPES(pH7.15)、0.1mM DTT、10mM MgCl
2、0.5mg/ml BSAと3% Kinase Stabilizer(Fremont Biosolutions, Catalog # STB-K02)から構成した。1時間後、上記反応混合物をアッセイ緩衝液中で10倍希釈して、5nM BTK:1nM Eu−ストレプトアビジン錯体(ドナーフルオロフォア)を作製した。次いで、0.11nM BTK−Euと0.11nM Kinase Tracer 178(Invitrogen, Catalog # PV5593)の混合物18μlを、非陰性対照としてのBTK−Eu単独と共に、384ウェル平底プレート(Greiner, 784076)に分注した。10点曲線を生成するために、アッセイで試験する化合物を10×濃度として調製し、半対数増分の系列希釈をDMSO中で実施した。FRET反応を開始するために、DMSO中に10×ストックとして調製した化合物をプレートに加え、プレートを14℃で18〜24時間インキュベートした。
【0288】
インキュベーション後、プレートをBMG Pherastar Fluorescentプレートリーダー(又は等価物)で読み取り、これを使用してユーロピアムドナーフルオロフォア(620nm発光)及びFRET(665nm発光)からの発光エネルギーを測定した。陰性対照ウェルの値を平均化して、平均最小値を得た。陽性「阻害剤なし」対照ウェルを平均化して、平均最大値を得た。最大FRETのパーセントを以下の式を使用して計算した:
最大FRET%=100×[(FSR
化合物−FSR
平均最小値)/(FSR
平均最大値−FSR
平均最小値)]
式中、FSR=FRETシグナル比。最大FRET%の曲線をActivity Base(Excel)でプロットし、IC50(%)、ヒルの傾き、z’及びCV%を決定した。平均IC
50及び標準偏差は、Microsoft Excelを使用して、2連曲線(2つの独立した希釈物からの単一阻害曲線)から誘導されるだろう。
【0289】
このアッセイについての代表化合物のデータを以下の表IIに列挙する。
【0290】
【表2】
【0291】
CD69発現によって測定される全血中のB細胞活性化の阻害
ヒト血液中のB細胞のB細胞受容体媒介活性化を抑制するBTK阻害剤の能力を試験する手順は、以下のとおりである:
【0292】
ヒト全血(HWB)を健康なボランティアから以下の制限で得る:24時間薬物不使用の非喫煙者。血液を静脈穿刺によってヘパリンナトリウムで抗凝固処理したバキュテイナー(Vacutainer)管に採取する。試験化合物を、PBS(20×)で所望の開始薬物濃度の10倍に希釈し、続いて、PBS中10% DMSOで3倍系列希釈して、9点用量反応曲線を作成する。各化合物希釈物5.5μlを、2mlの96ウェルV底プレート(Analytical Sales and Services, #59623-23)に2連で加え;PBS中10% DMSO 5.5μlを対照ウェル及び非刺激ウェルに加える。HWB(100μl)を各ウェルに加え、混合した後、プレートを37℃、5% CO
2、湿度100%で30分間インキュベートする。ヤギF(ab’)2抗ヒトIgM(Southern Biotech, #2022-14)(500μg/ml溶液10μl、最終濃度50μg/ml)を各ウェル(非刺激ウェルを除く)に混合しながら加え、プレートをさらに20時間インキュベートする。
【0293】
20時間のインキュベートの最後に、試料を、蛍光プローブ標識抗体(PEマウス抗ヒトCD20 15μl、BD Pharmingen, #555623、及び/又はAPCマウス抗ヒトCD69 20ul、BD Pharmingen #555533)と、37℃、5% CO
2、湿度100%で30分間インキュベートする。誘導対照、補正調整用の未染色ステイン及び単一ステイン、並びに初期電圧設定を含める。次いで、試料を1×Pharmingen Lyse Buffer(BD Pharmingen # 555899)1mlで溶解し、プレートを1800rpmで5分間遠心分離する。上清を吸引により除去し、残ったペレットをさらなる1×Pharmingen Lyse Buffer(1ml)で再度溶解して、プレートを前回と同様にスピンダウンする。上清を吸引し、残ったペレットをFACs緩衝液(PBS+1% FBS)中で洗浄する。最終スピンの後、上清を除去し、ペレットをFACs緩衝液180μl中に再懸濁する。BD LSR IIフローサイトメーターのHTS96ウェルシステムで実行するのに適した96ウェルプレートに試料を移す。
【0294】
使用するフルオロフォアに適切な励起波長及び発光波長を使用して、データを取得し、Cell Quest Softwareを使用して陽性細胞のパーセント値を得る。最初にFACS解析ソフトウェア(Flow Jo)によって結果を解析する。試験化合物のIC50は、CD69陽性細胞(抗IgMによる刺激後にCD20陽性でもある)のパーセントを50%減少させる濃度(非刺激バックグラウンドについて8個のウェルの平均を減算した後の8個の対照ウェルの平均)として定義される。IC50値は、XLfitソフトウェアバージョン3、式201を使用して算出する。
【0295】
B細胞活性化の阻害−Ramos細胞におけるB細胞FLIPRアッセイ
本発明の化合物によるB細胞活性化の阻害は、抗IgMで刺激したB細胞応答に及ぼす試験化合物の効果を決定することによって実証される。
【0296】
B細胞FLIPRアッセイは、抗IgM抗体による刺激からの細胞内カルシウム上昇に対する潜在的阻害剤の効果を決定する細胞ベースの機能的方法である。Ramos細胞(ヒトバーキットリンパ腫細胞株、ATCC-No. CRL-1596)を増殖培地(後述する)中で培養した。アッセイの前日に、Ramos細胞を新しい増殖培地(上記と同じ)中に再懸濁し、濃度を組織培養フラスコ中0.5×10
6細胞/mLに設定した。アッセイ当日、細胞をカウントし、濃度を、組織培養フラスコ中、1μM FLUO−3AM(TefLabs Cat-No. 0116、無水DMSO及び10%プルロニック酸(Pluronic acid)中に調製)を補充した増殖培地中1×10
6細胞/mLに設定し、37℃(4% CO
2)で1時間インキュベートする。細胞外色素を除去するために、細胞を遠心分離(5分間、1000rpm)によって回収して、FLIPR緩衝液(後述する)中に1×10
6細胞/mLで再懸濁し、次いで、96ウェルのポリ−D−リシン被覆黒色/透明プレート(BD Cat-No. 356692)に1×10
5細胞/ウェルで分注した。試験化合物を、100μM〜0.03μM(7種の濃度、詳細は以下)の範囲の様々な濃度で加え、細胞をRTで30分間インキュベートした。10μg/mLの抗IgM(Southern Biotech, Cat-No. 2020-01)を加えることによって、Ramos細胞のCa
2+シグナル伝達を刺激して、FLIPR(molecular Devices、アルゴンレーザーを備えたCCDカメラを使用して、480nM励起における96ウェルプレートの画像を取得する)で測定した。
【0297】
培地/緩衝液:
増殖培地:L−グルタミン(Invitrogen, Cat-No. 61870-010)、10%ウシ胎仔血清(FBS, Summit Biotechnology Cat-No. FP-100-05);1mM ピルビン酸ナトリウム(Invitrogen Cat. No. 11360-070)を補充したRPMI 1640培地。
【0298】
FLIPR緩衝液:HBSS(Invitrogen, Cat-No. 141175-079)、2mM CaCl
2(Sigma Cat-No. C-4901)、HEPES(Invitrogen, Cat-No. 15630-080)、2.5mM プロベネシド(Sigma, Cat-No. P-8761)、0.1% BSA(Sigma, Cat-No.A-7906)、11mM グルコース(Sigma, Cat-No.G-7528)。
【0299】
化合物希釈の詳細:
100μMの最も高い最終アッセイ濃度を達成するために、10mMの化合物ストック溶液(DMSO中に作製)24μLをFLIPR緩衝液576μLに直接加える。試験化合物をFLIPR緩衝液中で希釈し(Biomek 2000ロボットピペッターを使用して)、以下の希釈スキームを得る:ビヒクル、1.00×10
−4M、1.00×10
−5、3.16×10
−6、1.00×10
−6、3.16×10
−7、1.00×10
−7、3.16×10
−8。
【0300】
アッセイ及び解析:
カルシウムの細胞内上昇は、最大−最小統計値(Molecular DevicesのFLIPR対照及び統計値エクスポートソフトウェアを使用し、刺激抗体を加えることによって生じるピークから休止ベースラインを減算する)を使用して報告した。非線形曲線適合(GraphPad Prism software)を使用してIC
50を決定した。
【0301】
マウスのコラーゲン誘発関節炎(mCIA)
0日目に、マウスの尾の付け根又は背中の数か所に、完全フロイントアジュバント(CFA)中のII型コラーゲンのエマルションを皮内(i.d.)注射する。コラーゲン免疫後、動物は、21〜35日目頃に関節炎を発症する。関節炎の発症は、不完全フロイントアジュバント(IFA;i.d.)中のコラーゲンの全身投与によって21日目に同期(追加免疫)する。追加免疫に対するシグナルである軽度関節炎(採点1又は2;下記の採点の説明を参照のこと)の発症について、20日目以降毎日動物を調べる。追加免疫後、マウスを採点し、所定の期間(典型的には、2〜3週間)にわたって毎日(QD)又は1日2回(BID)の投薬頻度で候補治療薬剤を投薬する。
【0302】
ラットのコラーゲン誘発関節炎(rCIA)
0日目に、ラットの背中の数か所に、不完全フロイントアジュバント(IFA)中のウシII型コラーゲンのエマルションを皮内注射(i.d.)によって注射する。コラーゲンエマルションの追加免疫注射(i.d.)を、7日目頃に、尾の付け根又は背中の別の部位に行う。関節炎は、一般に、最初のコラーゲン注射の12〜14日後に観察される。14日目以降、後述(関節炎の評価)のように関節炎の発症について動物を評価することができる。2回目の抗原刺激の時点から開始し、所定の期間(典型的には、2〜3週間)にわたって毎日(QD)又は1日2回(BID)の投薬頻度で、候補治療薬剤を動物に予防的に投薬する。
【0303】
関節炎の評価:
両方のモデルにおいて、採点システム(後述する基準に従って4本の脚を評価することを含む)を使用して、脚及び肢関節の炎症の発症を定量する:
採点:
1=脚又は1本の指の腫脹及び/又は発赤
2=2つ以上の関節の腫脹
3=3つ以上の関節が関係する脚の全体的な腫脹
4=脚及び指全体の重度の関節炎。
【0304】
評価は、ベースライン測定については0日目に行い、最初の兆候又は腫脹で再び評価を開始し、1週間に最大3回、実験の最後まで行う。個々の脚の4個の採点を足すことによって、各マウスの関節炎指標を得る(動物当たり最大16個の採点を与える)。
【0305】
ラットのインビボ喘息モデル
雄のBrown-Norwayラットに、ミョウバン0.2ml中のOA(オボアルブミン)100μgを週に1回3週間にわたって(0、7及び14日目)腹腔内投与することによって感作する。21日目(最後の感作の1週間後)に、ラットにビヒクル又は化合物製剤のいずれかを皮下的に投与(q.d.)して、0.5時間後、OAエアロゾル抗原刺激(1% OAで45分間)を行い、抗原刺激の4時間後又は24時間後に終了する。屠殺時に、血清検査及びPK用に全ての動物からそれぞれ血清及び血漿を採取する。気管カニューレを挿入し、肺をPBSで3回洗浄する。BAL液の総白血球数及び白血球分画を解析する。細胞アリコート(20〜100μl)中の総白血球数を、コールターカウンター(Coulter Counter)によって決定する。白血球分画については、試料50〜200μlをサイトスピン(Cytospin)内で遠心分離し、スライドをDiff-Quikで染色する。光学顕微鏡下で標準的な形態学的基準を使用して、単球、好酸球、好中球及びリンパ球の比率をカウントし、これをパーセントで表す。代表的なBtk阻害剤は、対照レベルと比較して、OA感作及び抗原刺激したラットのBAL中の総白血球数の低下を示す。
【0306】
前述の発明は、明確化及び理解を目的として、説明及び例によっていくらか詳しく記載されている。当業者にとって、添付の特許請求の範囲内で変更及び変形を実施できることは明らかであろう。従って、上の記載は、例示的であって、限定的ではないことを意図したものであることを理解されたい。従って、本発明の範囲は、上の記載に関して決定されるべきではなく、以下に添付される特許請求の範囲に関して、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と合わせて決定されるべきである。
【0307】
本出願に引用される特許、特許出願及び刊行物は全て、個々の特許、特許出願又は刊行物が各々個別に示されたかのように同程度に、全ての目的についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。