特許第6294496号(P6294496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294496
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】LTE/WIFIワイヤレスルータ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20180305BHJP
   H01Q 5/385 20150101ALI20180305BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20180305BHJP
   H04B 1/00 20060101ALI20180305BHJP
   H04W 88/10 20090101ALI20180305BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20180305BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20180305BHJP
   H01Q 1/48 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   H01Q1/22 Z
   H01Q5/385
   H04B1/38
   H04B1/00 264
   H04W88/10
   H01Q21/28
   H01Q13/08
   H01Q1/48
【請求項の数】33
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-544625(P2016-544625)
(86)(22)【出願日】2013年12月31日
(65)【公表番号】特表2017-513250(P2017-513250A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】NL2013050964
(87)【国際公開番号】WO2015102485
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】516196990
【氏名又は名称】ジ・アンテナ・カンパニー・インターナショナル・エン・フェー
【氏名又は名称原語表記】THE ANTENNA COMPANY INTERNATIONAL N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】カラテッリ,ディエゴ
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−184713(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0055163(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02523527(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00− 13/28
H01Q 21/00− 25/04
H04B 1/00
H04B 1/38
H04W 88/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Wi−Fi周波数帯域で作動するのに適した少なくとも1つの第1アンテナ(102)と、
LTE周波数帯域で作動するのに適した少なくとも1つの第2アンテナ(103)と、を備えるワイヤレスルータ(100)であって、
前記第1アンテナ(102)は、導電性グランドプレーン(105)と第1プロービング構造(102a)とを有し、少なくとも1つの前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)は、前記少なくとも1つの第2アンテナ(103)の第2プロービング構造(110)を取り付けられるように構成され、
少なくとも1つの前記第2アンテナ(103)前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)に対してアドオンとして取り付けられるものであり、前記第2アンテナ(103)の前記第2プロービング構造(110)は、前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)に接続されて、少なくとも1つの前記第2アンテナ(103)のグランドプレーン(105)として機能し、それによって、前記第2アンテナ(103)が前記LTE周波数帯域で作動するのに適したものとなることを可能にするワイヤレスルータ(100)
【請求項2】
前記第2アンテナ(103)は、前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)に取り外し可能に取り付けられている請求項1に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項3】
前記グランドプレーン(105)は、前記第2プロービング構造(110)を少なくとも部分的に包囲するための少なくとも1つの受け入れ空間(117)を有する請求項1又は2に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項4】
前記グランドプレーン(105)の前記受け入れ空間(117)は、前記第2プロービング構造(110)を実質的に完全に包囲するように構成されている請求項3に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項5】
前記第2プロービング構造(110)は、モジュールの一部を形成し、前記モジュールは、前記グランドプレーン(105)から離間配置されている請求項3又は4に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項6】
前記第2アンテナ(103)の前記モジュールの周部側と前記グランドプレーン(105)との間に、少なくとも1つの絶縁部材が設けられている請求項5に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項7】
前記モジュールは、前記第2プロービング構造(110)を実質的に包囲する少なくとも1つの共振器を有し、前記第2アンテナ(103)の前記共振器の上面と前記グランドプレーン(105)とは互いに対して角度を空けている請求項5又は6に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項8】
前記モジュールは、前記第2プロービング構造(110)を実質的に包囲する少なくとも1つの共振器を有し、当該共振器の一部は前記グランドプレーン(105)の上面の下方に位置している請求項5〜7のいずれか一項に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項9】
前記第2アンテナ(103)を前記グランドプレーン(105)に対して固定するための少なくとも1つの固定部材を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項10】
前記固定部材の少なくとも一部は、前記グランドプレーン(105)のための支持構造の一部を構成する請求項9に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項11】
前記固定部材は、前記第2プロービング構造(110)を前記導電性グランドプレーン(105)に電気接続するべく少なくとも部分的に導電性を有する請求項9又は10に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項12】
前記第2アンテナ(103)は、少なくとも1つのネジによって前記グランドプレーン(105)に取り付けられている請求項9〜11のいずれか一項に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項13】
少なくとも1つの前記アンテナと少なくとも1つの前記第2アンテナ(103)との両方に接続された中央管理ユニットを有する請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項14】
少なくとも1つの前記第1プロービング構造(102a)と少なくとも1つの前記第2プロービング構造(110)との間の相互配向は、これらプロービング構造(102a,110)が互いの照準にある電磁線から少なくとも部分的に外れて配置されるように構成されている請求項1〜13のいずれか一項に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項15】
当該ワイヤレスルータ(100)にアドオンとして取り付けられた複数の第2アンテナ(103)を有する請求項1〜14のいずれか一項に記載のワイヤレスルータ(100)
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のワイヤレスルータ(100)に使用される第2アンテナ(103)であって、前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)にアドオンとして取り付け可能な第2プロービング構造(110)を有し、前記第2アンテナ(103)の前記第2ブローピング構造(110)は、前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)に接続されて、前記少なくとも1つの第2アンテナ(103)のグランドプレーン(105)として機能するように構成されている第2アンテナ(103)
【請求項17】
前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)に対してアドオンとして取り外し可能に取り付け可能である請求項16に記載の第2アンテナ(103)
【請求項18】
当該第2アンテナ(103)と前記グランドプレーン(105)との間のスナップ式の取り付け接続を実現するように構成された少なくとも1つのスナップ部材を備えている請求項16又は17に記載の第2アンテナ(103)
【請求項19】
少なくとも1つのネジによって前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)に取り付けられるように構成されている請求項16〜18のいずれか一項に記載の第2アンテナ(103)
【請求項20】
前記第2プロービング構造(110)は、モジュールの一部を構成し、前記モジュールは、前記グランドプレーン(105)の受け入れ空間(117)内に部分的に位置するように構成され、前記モジュールは前記グランドプレーン(105)にアドオンとして取り付け可能である請求項16〜19のいずれか一項に記載の第2アンテナ(103)
【請求項21】
前記モジュールは、前記第2プロービング構造(110)を実質的に包囲する少なくとも1つの共振器を有する請求項20に記載の第2アンテナ(103)
【請求項22】
前記共振器は、少なくとも1つの内側ケーシングと当該内側ケーシングを包囲する少なくとも1つの外側ケーシングとを有し、前記内側ケーシングと前記外側ケーシングとは異なる材料から形成されている請求項21に記載の第2アンテナ(103)
【請求項23】
前記内側ケーシングの誘電率は、前記外側ケーシングの誘電率よりも高い請求項22に記載の第2アンテナ(103)
【請求項24】
前記モジュールの外側、好ましくは前記外側ケーシングは、難燃材から形成されている請求項20〜23のいずれか一項に記載の第2アンテナ(103)
【請求項25】
前記内側ケーシングの断面は、ひし形又は凧形に実質的に類似した形状を有する請求項22〜24のいずれか一項に記載の第2アンテナ(103)
【請求項26】
前記モジュールは、前記グランドプレーン(105)から離間して位置するように構成されている請求項20〜25のいずれか一項に記載の第2アンテナ(103)
【請求項27】
前記モジュールの周面は、当該モジュールと前記グランドプレーン(105)との間の絶縁を提供するべく少なくとも1つの絶縁部材を備えている請求項26に記載の第2アンテナ(103)
【請求項28】
前記Wi−Fi関連周波数帯域における比較的良好な挿入損失と前記LTE関連周波数帯域における比較的小さな挿入損失とを確保するためのバンドパスフィルタを有する請求項16〜27のいずれか一項に記載の第2アンテナ(103)
【請求項29】
前記バンドパスフィルタは、前記第2プロービング構造(110)の幾何学形状の一体部分を構成する請求項28に記載の第2アンテナ(103)
【請求項30】
前記バンドパスフィルタは、細片ラインバンドパスフィルタによって形成されている請求項28又は29に記載の第2アンテナ(103)
【請求項31】
2.1GHzおよび/又は2.6GHzのLTE周波数帯域で作動するのに適している請求項16〜30のいずれか一項に記載の第2アンテナ(103)
【請求項32】
請求項16〜31のいずれか一項に記載の第2アンテナ(103)の複数組と、これら第2アンテナ(103)を請求項1〜15のいずれか一項に記載のワイヤレスルータ(100)に使用するべく離間して取り付けるための少なくとも1つの支持構造と、を有するアセンブリであって、前記支持構造は、前記ワイヤレスルータ(100)の前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)に取り付けられるように構成され、少なくとも1つの第2アンテナ(103)の第2ブローピング構造(110)は、前記第1アンテナ(102)の前記グランドプレーン(105)に接続されて、前記少なくとも1つの第2アンテナ(103)のグランドプレーン(105)として機能するように構成されているアセンブリ。
【請求項33】
前記支持構造は、プレート、特に、導電性プレートによって形成されている請求項32に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Wi−Fi周波数帯域内で作動するのに適し、グランドプレーンと第1プロービング構造とを含む少なくとも1つの第1アンテナを有するワイヤレスルータに関する。本発明は、又、第2プロービング構造を含む第2アンテナにも関し、ここで、前記第2アンテナは前記Wi−Fiルータにアドオンとして取り付けられる。本発明は、更に、複数の第2アンテナを含むアセンブリにも関する。
【背景技術】
【0002】
モビリティの成長と、それが我々の生活に与えた変化は、前例の無いものである。世界人口の80%近くが今や携帯電話へのアクセスを享受している。世界中における約100か国において、現在、人間の数よりもモバイル装置の数のほうが多い。iPhone、アンドロイドベースのスマートフォン、タブレットを含むエキサイティングな新しいデバイスが市場にあふれ、多量のモバイルネットワークトラヒックを消費している。これらの最新のデバイス上で作動する抵抗しがたいビデオ、ソーシャルネットワークおよびその他の革新的なアプリケーションが多量の新しいデータソースによってモバイルネットワークを渋滞させている。
【0003】
Wi−Fiが出現して約10年間において、大半の技術者とモバイル産業経営者はそれをライセンスされたモバイル通信に対する「貧しい親戚」と見なしてきた。それは無免許のスペクトルで作動しセキュリティの問題、障害、および低品質のサービスの問題があるため、大半の産業専門家は、それを単なるLANケーブルに対するワイヤレス代替物と見なした。家庭、オフィス、およびホテルやコーヒーショップ等の公共スペース、においては確かに、Wi−Fiホットスポットが出現し始めた。しかしながら、モバイルオペレータは、これを有効なビジネスとみなすことは決してなかったし、かれらはWi−Fiが彼らのビジネスにとって脅威であるとはみなさなかった。事実、モバイルオペレータがこの代替ワイヤレスネットワークの存在を認め、Wi−Fiイネーブルされたスマートフォンを彼らのモバイルネットワーク上で許可し始めたのはやっと最近になってのことである。モバイルオペレータがかれらの3Gモバイルネットワークを構築しつつある間に、Wi−Fiの世界では多くの変化が静かに進行していた。Wi−Fiは、ラップトップやコンピュータオペレーティングシステムに組み込まれた単純なユーザインターフェースのほぼユビキタスなWi−Fiの組み込みによってWi−Fiはテークオフし始めた。今日、スマートフォン、タブレット、カメラおよびゲームコンソールを含むほぼすべてのパーソナルモバイル装置がWi−Fi可能となっている。モバイルオペレータは、かれらがヘビーなデータトラヒックの一部を軽減するために混雑した領域においてWi−Fiを利用することが可能であることを認識した。一時的な混雑の軽減とカスタマー経験の改善に加えて、Wi−Fiは、かれらのネットワーク展開とオペレーションの全体的経済性を改善することができる。モバイルと有線(ワイヤライン)ブロードバンドネットワークの両方を構築し操業する大手テレコムプロバイダとして、これらのオペレータは、通常かれら自身のWi−Fiネットワークを有している。この目的のために、そのような地域、全国的、更にはグローバルなWi−Fiネットワークさえも構築するためにモバイルオペレータによって多数のWi−Fiルータ(アクセスポイント)が使用されている。この発展によって、Wi−Fiルータの数とWi−Fiカバーエリア全体は急速に増大しているが、遥かに速いデータ転送速度を提供し、接続されたデバイスに広いネットワークカバー範囲を可能にするLTE技術をもっと利用することがますます必要とされている。
【0004】
欧州特許出願公開第2523527号明細書は、ワイドバンドワイヤレスアクセスモジュールと、ユーザがワイパーローカルエリアネットワークにアクセスことを可能にするように構成された、埋め込み式オペレーティングシステムモジュールと、電源供給モジュールとを備えるワイヤレスルーティング装置を記載している。前記ワイドバンドワイヤレスアクセスモジュールは、GPRSやCDMA等の様々なモジュールとすることができる。
【0005】
独国特許出願公開第202013104880号明細書は、ルーティング装置とプラグイン接続によってシステムに接続可能なワイヤレストランシーバとを備える拡張可能ルーティングシステムを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2523527号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第202013104880号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、改良されたワイヤレスルータ、特に、Wi−Fiルータ、を提供することにある。
【0008】
本発明のもう一つの課題は、既存のWi−FiルータがLTE周波数帯域で作動することを可能にすることにある。
【0009】
本発明の更に別の課題は、既存のWi−FiルータがLTE周波数帯域で作動することを可能にし、そのWi−Fi周波数帯域とLTE周波数帯域との間のカップリング(coupling)を可能な限り最小限にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの課題の少なくとも1つは、前提部に記載のワイヤレスルータであって、Wi−Fi周波数帯域で作動するのに適する少なくとも1つの第1アンテナを有し、当該第1アンテナは、グランドプレーンと第1プロービング構造とを含み、前記少なくとも1つの第1アンテナの前記グランドプレーンは少なくとも1つの第2アンテナの第2プロービング構造を取り付けるように構成され、更に、前記ルータは、前記第1アンテナの前記グランドプレーンに対するアドオンとして取り付けられる、LTE周波数帯域で作動するのに適した少なくとも1つの第2アンテナを有し、前記第2アンテナの第2プロービング構造は、前記少なくとも1つの第2アンテナの前記LTE周波数帯域での作動を可能にするためのグランドプレーンとして機能するべく前記第1アンテナの前記グランドプレーンに接続されている。LTE(ロング・ターム・エボルーション: Long Term Evolution)は、世界中の研究者および開発エンジニアが共同LTE無線アクセス標準化の取り組みに参加しているグローバル4G標準である。LTE標準はGPRS/UMTSネットワークと密に一体化しており、UMTS用の無線アクセス技術とネットワークの進化である。
【0011】
既存のおそらくは既に使用されているWi−Fiルータに対するアドオンユニットとして、LTE周波数帯域で作動するように構成された少なくとも1つの第2アンテナを追加することによって、前記Wi−Fiルータに、LTEルータとしての機能を追加することが可能となる。この有利な機能の追加は、前記第2アンテナを前記第1アンテナ(Wi−Fiアンテナ)のグランドプレーンに対してアドオンユニットとして取り付け、それによって、前記第1アンテナの前記グランドプレーンが前記少なくとも1つの第2アンテナ(LTEアンテナ)のためのグランドプレーンとしても機能するようにすることによって効率的に実現される。つまり、前記少なくとも1つの第1アンテナの前記グランドプレーンは、前記少なくとも1つの第1アンテナと前記少なくとも1つの第2アンテナとの両方のための共通のグランドプレーンになる。つまり、その概念は、既存のWi−Fiルータに、後で、即ち、製造後において、追加のLTE機能性を比較的効率的に提供するというものである。この解決構成は、既存のWi−FiルータをWi−FiとLTE技術との両方を有する新たなルータによって完全に置き換えることと比較して遥かに安価である。
【0012】
好ましくは、前記少なくとも1つの第1アンテナと前記少なくとも1つの第2アンテナとは、互いに距離を置いて配置されている。このようにすることで、前記第1アンテナと前記第2アンテナとの間のカップリング(電磁的干渉)を、特に、作動中に使用される周波数帯域において、低減することが可能となり、その結果、全体の性能を大幅に改善することが可能となる。前記異なるアンテナ、具体的には、前記第1アンテナと前記第2アンテナの前記プロービング構造を互いの照準(sight)にある電磁線から外して配置することによって、この性能を更に改善することができる。
【0013】
前記共通(共有)グランドプレーンは、フラットであっても、或いは、曲面および/又は角のある面等の湾曲したもののいずれでもよい。一般に、導電性のグランドプレーンは、金属および/又は導電性ポリマから形成される。前記グランドプレーンの形状と寸法は、それぞれの状況に依存する。一般に、その厚みが制限され、その結果、グランドプレーンはプレート又はディスクを形成するものとなる。
【0014】
前記第2アンテナ(LTEアンテナ)は、前記第1アンテナの前記グランドプレーンに取り外し可能に取り付けられる。この取り外し可能接続によって、たとえば、前記第2アンテナを同じ又は別のタイプの別の第2アンテナに置き換える場合等の第2アンテナの容易な取り外しが可能となる。製造後アドオンユニットとしての、前記少なくとも1つの第2アンテナの取り外し可能な取り付けは、その接続を逆転させて前記第2アンテナ(単数又は複数)の接続解除を可能にする機械的接続構造を採用することによって実現することができる。そのような機械的接続構造の実施例としては、スナップ式の取り付け接続構造、バヨネット接続構造、ネジ接続構造および/又は代替固定接続構造がある。一般に、前記少なくとも1つの第2アンテナを取り付けた支持構造(取り付けブラケット)は、前記第1アンテナ(単数又は複数)の前記グランドプレーンに、接続、好ましくは取り外し可能に接続される。この接続によって、前記第1アンテナ(単数又は複数)と前記第2アンテナ(単数又は複数)を取り付けた前記支持構造との間の前記第2アンテナ(単数又は複数)の性能のために好適なものとすることが可能な電気接続を確立することが可能となる。
【0015】
好適実施例において、前記グランドプレーンは、少なくとも部分的に、そして好ましくは実質的に完全に、前記第2プロービング構造を包囲するための少なくとも1つの受け入れ空間を有する。前記第2プロービング構造を前記グランドプレーンによって包囲することによって前記第2アンテナの放射性能が高まる。
【0016】
好ましくは、前記第2プロービング構造はモジュールの一部を形成し、これにより、当該モジュールは前記第2プロービング構造を含めて前記グランドプレーンから離間配置される。このように構成することで、前記第2アンテナの性能にとって好ましい絶縁空間を、前記グランドプレーンと前記モジュールとの間に形成することが可能となる。この絶縁空間は(大気の)空気によって満たすことができる。又、少なくとも1つの絶縁部材、たとえばO−リングを、この絶縁空間に設けることも考えられる。そのような絶縁材用の好適な材料の具体例としてはフォーム(発泡材)、ガラス、セラミック、紙、ゴムがある。
【0017】
前記モジュールは、一般的に、前記第2プロービング構造を収納する絶縁ハウジングから成る。当該ハウジングは、一般にポリマ材から形成され、少なくとも部分的に電磁レンズ、特に誘電共振器として機能するのに適したものとして構成される。前記ハウジングは、更に、前記第2プロービング構造を保護し、前記第2アンテナに所望の強度を与える。好ましくは、前記第2アンテナの前記共振器の上面と前記グランドプレーンとは互いに角度を挟む(空けている)(matually enclose an angle)。この上面は、実質的にフラット又は湾曲したものとすることができる。実質的にフラットな傾斜の場合、その傾斜は、好ましくは、前記グランドプレーンの最も近い(外側)周縁の方向での下向きであって、前記グランドプレーンの中心から離れる方向に放射状に向かい、前記第2アンテナとルータの単数又は複数のその他のアンテナとの間のカップリングを減少させる。湾曲した上面の場合、当該上面の前記グランドプレーンに対する傾斜角度は、少なくとも一つの方向において変化するものとなる。更にこの場合、前記傾斜は、前記グランドプレーンの最も近い(外側)周縁の方向での下向きとなり、前記グランドプレーンの中心から離れる方向に放射状に向かう。この実施例において、更に、前記グランドプレーンの上述した周縁の方向における前記傾斜角度を増加させることが更に好ましい。前記モジュールのハウジングの上面の向きの如何に拘らず、前記共振器の一部が前記グランドプレーンの上面の下に位置するこが好ましく、これは、放射パターンの改善、さらには、前記第2アンテナの性能の改善にも役立つ。
【0018】
好ましくは、前記ルータは、前記少なくとも1つのアンテナと前記少なくとも1つの第2アンテナとの両方に接続された中央管理ユニットを有する。従って、前記第2アンテナは、好ましくは作動されるために前記中央隔離ユニットを利用し、その結果、前記少なくとも1つの第2アンテナを操作するために管理ユニットを別に設ける必要がなくなる。一般に、前記少なくとも1つの第2アンテナの作動を制御することが可能となるために、前記中央管理ユニットにインストールされているソフトウエア(ファームウエア)を再プログラミングすることが望ましい。
【0019】
前記ルータは、当該ルータにアドオンとして取り付けられた複数の第2アンテナを備えるものとすることも考えられる。この複数の第2アンテナ構造は、同じLTE周波数帯域、又は、互いに異なるLTE周波数帯域で作動するのに適したものとなりうる。この後者の場合、一つの第2アンテナは、2.1GHzの周波数帯域で作動するのに適したものとし、同じグランドプレーンに取り付けられる別の第2アンテナは、2.5GHzの周波数帯域で作動するのに適したものとすることができる。これらの第2アンテナは、これら第2アンテナを取り付けた支持構造によって互いに接続することができる。この支持構造は、一般的に、好ましくは金属から成り、前記少なくとも1つの第1アンテナの前記グランドプレーンに取り付け可能な、プレート又は細片である。このようにして、既存のWi−Fiルータに対して取り付けるための別体ユニットとして市販することが可能な複数の第2アンテナのアセンブリが形成される。
【0020】
本発明は、更に、本発明のルータに使用される第2アンテナ(LTEアンテナ)に関し、前記第1アンテナの前記グランドプレーンにアドオンとして取り付け可能な第2プロービング構造を有し、前記第2アンテナの第2プロビング構造は、前記第1アンテナの前記グランドプレーンに接続されて、前記少なくとも1つの第2アンテナのためのグランドプレーンとして機能するように構成されている。そのような第2アンテナと種々の実施例の利点については既に説明したとおりである。既に示したように、前記第2プロービング構造は、好ましくはモジュールの一部を構成し、前記モジュールは、前記グランドプレーンの受け入れ空間内に少なくとも部分的に位置するように構成され、前記モジュールは前記グランドプレーンにアドオンとして取り付け可能である。前記モジュールは、好ましくは前記第2プロービング構造を実質的に包囲する少なくとも1つのハウジング、好ましくは共振器を有する。より好ましくは、前記共振器は、少なくとも1つの内側ケーシングと、当該内側ケーシングを包囲する少なくとも1つの外側ケーシングとを有し、ここで前記内側ケーシングと前記外側ケーシングとは異なる材料、一般的には異なるポリマ材から形成されている。これらの異なる材料は、通常、異なる(所望の)材料特性を示す。一好適実施例において、前記内側ケーシングの誘電率は前記外側ケーシングの誘電率よりも大きい。より好ましくは、前記内側ケーシングの誘電率は6〜8であり、前記外側ケーシングの誘電率は2〜4である。これらの誘電率特性を有する包囲ケーシングを使用することにより、前記第2アンテナが2.1;2.5および2.6GHzの周波数帯域で作動するのに適している場合、有利な性能が得られる。別の周波数帯域、たとえば3.5GHzでの作動が望まれる場合には、前記内側ケーシングの誘電率が前記外側ケーシングの誘電率よりも小さくなるように、前記内側ケーシングと外側ケーシングとの材料を逆転することが一般的により好適である。前記外側ケーシングは、難燃材で形成および/又は被覆することができる。この目的のために、前記外側ケーシングを包囲する別の難燃カバーを使用することが考えられる。火災の場合、この難燃材が火災の広がりを抑制又は遅延させる。前記内側ケーシングの断面がひし形又は凧形状に実質的に類似の断面を有することが好適であることが判った。ユークリッド幾何学において、ひし形(◇)とは、その四辺がすべて同じ長さを有する単純な(非自己交叉)等辺四辺形である。ひし形はしばしばダイヤモンド形とも呼ばれる。一般に、その内の一つが対称線である垂直な対角線を備えるすべてのひし形が凧形である。すべてのひし形は凧形であり、凧形でかつ平行四辺形でもあるすべての平行四辺形がひし形である。この種の形状は、第2アンテナとこの第2アンテナが取り付けられるルータとの両方の極めて優れた結果をもたらすことが証明されている。
【0021】
一好適実施例において、前記第2アンテナは、Wi−Fi関連周波数帯域における比較的良好な挿入損失と、LTE関連周波数帯域における比較的少ない挿入損失とを確保するバンドパスフィルタを含む。この目的のために、前記バンドパスフィルタは、プリントバンドパスフィルタによって形成することができる。このタイプのバンドパスフィルタによって比較的コンパクトな構造が得られ、従って比較的効率的になる。このタイプのバンドパスフィルタの実施例は、マイクロストリップバンドパスフィルタ、ストリップラインバンドパスフィルタ、共平面導波路バンドパスフィルタを含む。
【0022】
前記第2アンテナは、好ましくは、スマートフォン、PDA、ラップトップ等のワイヤレスデバイスをインターネット又はその他のネットワークに接続するために最も一般的に使用される2.1GHzおよび/又は2.6GHzのLTE周波数帯域での動作に適したものとされる。
【0023】
本発明は、更に、本発明による第2アンテナを複数と、そして、当該第2アンテナを、本発明によるルータで使用するべく相対距離を置いて取り付けるための少なくとも1つの支持構造とを有するアセンブリにも関し、前記支持構造は、前記ルータの前記第1アンテナの前記グランドプレーンに取り付けられるように構成され、前記第2アンテナの第2プロビング構造は、前記第1アンテナの前記グランドプレーンに接続されて、前記少なくとも1つの第2アンテナのためのグランドプレーンとして機能するように構成されている。前記支持構造は、前記第2アンテナを取り付けたブラケット又はブリッジとして機能する。前記支持構造は、プレート、特に導電性プレート又は細片、特、導電性細片によって形成される。前記支持構造は、当該支持構造を前記第1アンテナ(単数又は複数)の前記グランドプレーンに直接的又は間接的に取り付けるためのネジ又はネジ穴などの単数又は複数の固定部材を備えることができる。最終的に、前記支持構造は、電線管および電気コネクタ等の電子装置を貫通案内するための単数又は複数の穴を備える。
【0024】
次に、本発明を、下記の図面に示された非限定的例示的実施例を元に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明によるワイヤレスルータの斜視図
図2図1のワイヤレスルータの分解状態の斜視上面図
図3図1および図2に図示されたルータに使用される分解状態の第2アンテナの斜視図
図4a図3に示した第2アンテナの図
図4b図3に示した第2アンテナの図
図4c図3に示した第2アンテナの図
図4d図3に示した第2アンテナの図
図5図1および図2に図示のルータに使用される図3−4aの複数の第2アンテナのアセンブリ
図6a】上記図面のLTEアンテナのアセンブリの斜視背面図
図6b図1のルータの背面図
図7】前記図面に示した第2アンテナの、2.145GHzでの様々な方向の放射パターンの概観
図8】前記図面に示した、ルータの第1アンテナと第2アンテナとのカップリングが可視化されたチャート
図9】本発明によるルータに使用される、アンテナの分離相互配置のための、Wi−FiアンテナとLTEアンテナとの間の、測定絶縁特性の図示
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明によるワイヤレスルータ100の斜視図を図示している。具体的には、図示されている前記ルータ100は、4本のWi−Fiアンテナ102(第1アンテナ)を含む、製造済みの、即ち既存のWi−Fiルータ100と、このルータ100に後で取り付けられた2本のLTEアンテナ103(第2アンテナ)とのアセンブリである。前記ワイヤレスルータ100は、データをパスするために、LAN,WAN等のワイヤレスセグメントのためのアクセスポイントとして機能する。前記ワイヤレスルータ100は、前記Wi−Fiアンテナ102によって、IEEE基準に適合する802.xベースWLANインフラストラクチュアとのWLANを可能にする。前記Wi−Fiアンテナ102は、2.4GHz、5GZzを含む様々な帯域で作動可能であり、スペクトル拡散技術を内蔵している。送信速度は、11MPs(802.11bの場合)から54MPs(802.11gの場合)、450MPs(802.11nの場合)、3GPs(802.11acの場合)の範囲とすることができ、全二重通信又は半二重通信モードで作動することができる。前記ワイヤレスルータ100は、前記LTEアンテナ103によって、少なくとも1つのLTE周波数帯域での通信を可能にする。前記LTEアンテナ103のうちの少なくとも1つは、2.1GHzのLTE周波数帯域での作動に適するように構成される。他のアンテナ103も2.1GHzの同じLTE周波数帯域で作動するように構成することが可能であるが、前記第2LTEアンテナ103が、2.6GHz等の別のLTE周波数帯域で作動するように構成することも可能である。図示はされないが、前記ワイヤレスルータ100はバスとメモリに電気通信するプロセッサを有し、これは集合的に参照符号104によって言及される。前記プロセッサは、ソフトウエアコードを実行するためのマイクロプロセッサ、コントローラ等を含むことができる。前記メモリは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、不揮発性メモリ等を含むことができる。管理ネットワークトラヒックにおけるデータの操作とルーティングを可能にするために前記メモリにはオペレーティングシステムがのせられている。当該オペレーティングシステムは、IP/イーサネット又はPPPoE接続、IPルーティング、WANポートMAC調節、DNSプロキシ、ダイナミックDNS,DHCPサーバ、DHCP/BOOTPクライエント、NAT/NAPT、仮想サーバ、DMZホスティングを含むブロードバンドゲートウェイ機能をサポートするものとすることができる。前記メモリは、更に、2/3/4アクセス制御、ファイアウォール、パケットフィルタリング、DoS防御、侵入防止等のネットワークセキュリティ機構を提供するべくセキュリティアプリケーションを含むものとすることができる。前記ルータは、64/128ビットのキーのWEP、802.1x/RADIUS認証を有するWEP、802.1x/RADIUS認証&キーマネージメントを有するWEP、事前共有キーモードを有するWPAを備えるものとすることができる。前記アンテナ102,103は、全二重通信能力をサポートすることができる。前記ワイヤレスルータ100は、一般に、更に、熱を周囲空気中に拡散させることによって装置温度を下げるためのヒートシンク(図示せず)を備える。前記ヒートシンクは、熱の衝撃を受ける前記ルータの信号強度増幅器の近傍に配置するか、若しくは、この増幅器に物理的に接続することができる。前記ワイヤレスルータ100は、更に、有線(ワイヤード)ネットワーク接続を提供するためにワイヤインターフェースを備えることができる。このワイヤインターフェースは、LANへのCAT−5、ツイストペア、同軸等のハードウエア接続を提供するための単数又は複数のポートを備えることができる。前記ルータ100は、前記ポートを介したネットワークトラフィックを管理するためのイーサネットスイッチを備えることができる。このイーサネットスイッチは、10/100Mbps自動ネゴシエーション、全/半二重自動ネゴシエーション、MDI/MDI−Xクロスオーバ自動検出によって実施することができる。前記ワイヤインターフェースは、ケーブル/DSLモデム等のブロードバンド接続との電気通信を可能にするためにインターネットアクセスポートを備えることができる。前記ブロードバンド接続は、インターネット通信を可能にするためにイーサネットとブロードバンドとの間で変換を行う。
【0027】
図1を更に詳細に参照すると、前記Wi−Fiアンテナ102のそれぞれは、Wi−Fiプロービング構造102a、具体的には、PIFA構造(平面逆Fアンテナ)と、当該プロービング構造102aを包囲するグランドプレーン105とを有する。前記グランドプレーン105は、共通グランドプレーン又は集合グランドプレーンとも称される共有グランドプレーン105として、単一の金属プレートによって形成される。各Wi−Fiアンテナ102の各プロービング構造102aは、前記(単一)グランドプレーン105と協働するように構成されている。前記グランドプレーン105、前記Wi−Fiプロービング構造102および前記ルータ100の電子デバイス104は、通常はプラスチック等の絶縁材から形成される保護カバー106によってカバーされている。前記グランドプレーン105と前記カバー106との両方は、それぞれ両方のLTEアンテナ103を受けるための二つの受け入れ空間107を備えている。前記LTEアンテナ103の下側は、図2に図示されているように、金属細片108(又はプレート)によって互いに接続されている。各LTEアンテナ103は、その内部にLTEプロービング構造110が収納された絶縁ハウジング109を有する。このアセンブリは、前記LTEアンテナ103用のモジュールとも称される。前記絶縁ハウジング109は、ある程度ブロックされた形状(立方体)であって、これについて以下更に詳しく説明する。前記ハウジング109は、前記グランドプレーン105から離間して配置されている。
【0028】
前記ハウジング109と前記グランドプレーン105との間には、(絶縁)空隙および/又はフォーム材やゴム等の別の絶縁材料を設けることができる。一般に、各絶縁ハウジング109は、図2に図示されている保護カバー111によってカバーされる。このカバー111は、好ましくは難燃性材から形成される。図2は、図1のワイヤレスルータ100の一部分解状態の斜視上面図であって、互いに接続されたLTEアンテナ103の前記アセンブリは既存のWi−Fiルータ101から接続解除されている。図2において、前記Wi−Fiルータ101の前記保護カバー106の一部は図示されておらず、それによってWi−Fiプロービング構造102と前記金属製グランドプレーン105とがより良く見えるようになっている。図2においては、更に、前記グランドプレーン104の矩形の受け入れ空間107もはっきりと図示されている。両LTEアンテナ103を接続する前記金属細片108は、前記グランドプレーン105の後ろ側に取り付けられ(図6bを参照)、この実施例においては、二つの金属ネジ(図示せず)によって取り付けられる。この目的のために、前記金属細片108は、前記ネジを受け入れるための二つのネジ穴112を備えている。その結果、所望の電気接続が、前記グランドプレーン105と前記金属細片108との間に形成される。各LTEアンテナ103の前記絶縁ハウジング109は、少なくとも部分的に電磁レンズとして機能し、前記レンズは、電気共振器アンテナ(DRA)を提供する誘電体共振器とすることができる。トランスミッタ回路によって前記共振器材料の内部へと電波が励起される結果、電磁放射が起こる。前記共振器の壁は、電波に対して部分的に透過性で、電波力が空間内に放射することを許容する。これらの共振レンズには、レンズ内でのエネルギ分散に影響を与える金属部分が無く、従って、従来の金属アンテナよりも損失が少なくより効率的である。組み付け後(図1を参照)は、前記ハウジング109の一部分、好ましくは前記レンズが、前記グランドプレーン105の上面105aの下方に位置することが好ましく、これによって前記LTEアンテナ103の放射パターンの改善が可能となる。図1に図示されているように、組み立て後、前記ハウジング109の(実質的)一部、特に前記レンズは、前記グランドプレーン105の前記上面105aに対して延出しており、これによっても前記LTEアンテナ103の放射パターンの改善が可能となる。前記LTEアンテナ103の放射パターンの更なる改善は、とりわけ、前記絶縁(誘電性)ハウジング109にそのための設計構造を与えることによって達成することができる。
【0029】
図1および図2、更に詳細には図3図4a−4dとに図示されているように、前記絶縁ハウジング109の上面は傾斜形状、具体的には、湾曲形状を有する。前記絶縁ハウジング109の前記上面は、前記グランドプレーン105の最近傍縁の方向において下方に傾斜している。好ましくは、前記グランドプレーン105の上面に対する前記傾斜の角度は、前記グランドプレーン105の最近傍縁の方向において増大する。従って、図1に図示されているように、両LTEアンテナ103の上面は互いに離間するように向けられ、これによって、別のアンテナ102,103(のプロービング構造)に対するLTEアンテナ103のカップリング(電磁干渉)を低減し、これにより、前記ルータ100の前記アンテナ102,103の性能を改善する。更に図1−4dに図示されているように、前記絶縁ハウジング109は、外側ケーシング113とこの外側ケーシング113によって(および前記金属細片108によって部分的に)包囲された内側ケーシング114とを有している。前記外側ケーシング113は、(断面視で)矩形の輪郭を有し、これは別体の蓋113aを備えることができる。当該蓋は、この実施例では約1mmの厚みを有する。当該蓋は、又、前記外側ケーシング113と一体に形成して単一のコンポーネントを形成するようにすることも可能である。前記外側ケーシング113は、前記内側ケーシング114の対応の輪郭によくフィットするためのひし形(平行四辺形)又は凧形を有する受け入れ空間115を備えている。凧形は、正確に合致する連続する辺を二対有し、それによって、両方の対向する辺の対は平行になることはできない。この形状はダイヤモンド形ともいう。前記内側ケーシング114は、前記金属製LTEプロービング構造110のピン状部分を受け入れるための中央穴116を備えている。図3に図示されているように、前記接続細片108は、上述したコンポーネント110,113,113a,114を取り付けるための(金属製)隆起(elevation)108を備えている。前記LTEプロービング構造110は、前記隆起108aの上に位置し、その上で前記内側ケーシング114、前記外側ケーシング113、および前記蓋113aが前記プロービング構造110上に配設されている。前記絶縁外側ケーシング113は、好ましくは、たとえばネジによって、前記隆起118aに取り付けられる。この目的のために、前記外側ケーシング113は、ネジ穴117(図4a−4dを参照)を備えている。前記外側ケーシング113(前記蓋113aを含む)と前記内側ケーシングとは、共に誘電性材料、好ましくはポリマから形成されている。前記内側ケーシング114の相対的透磁率は、好ましくは前記外側ケーシングの相対的透磁率よりも高い。より好ましくは、前記内側ケーシング114の相対的透磁率は約7であり、これに対して、前記外側ケーシング113(前記蓋113aを含む)の相対的透磁率は約3である。これらの値が、前記LTEアンテナ103が2.1GHz、2.5GHz又は2.6GHzのLTE周波数帯域で作動する場合に、有利であることが判った。例えば3.5GHz等の他のLTE周波数帯域が使用される場合には、多くの場合、逆の相対的誘電率が有利であろう。前記LTEプロービング構造110は、好ましくは、前記Wi−Fi関連周波数帯域での挿入損失が比較的大きく、前記LTE関連周波数帯域での挿入損失が比較的小さくなるように、適当なフィルタリング部と一体化される。そのようなバンドバスフィルタの利用により、前記LTEアンテナ103は、フィルテナ(filtenna)とも称される。更に、図6aには、前記金属細片108は、電気接続部118を前記細片108を通して導いてこの電気接続部118を前記ルータ100の前記電子部材104に接続することを可能にするための矩形穴108bを備えていることも図示されている(図5も参照)。前記細片108は、保護コーティング119を備えることができる。
【0030】
図7は、2.145GHzで且つ異なる方向(xy平面、xz平面、yz平面)での前の図面に示したLTEアンテナ103の送信放射パターン(G)の概観を図示し、前記LTEアンテナ103の空間(全方向)放射パターンが提供されている。プロット図からわかるように、方位角平面(xy平面)での前記放射パターンによって特徴付けられるリップルレベルは、約2dBである。前の図面に示した前記ルータ100の実験テストによって下記の更なる結果が得られた。即ち、実現したゲインのレベル(G)の範囲は約−4〜−1dBであり、全体効率(etot)は約40%である。別のフィルテナ(filtenna)構成では、効率は約80%〜95%の範囲であり、実現されたゲインのピークレベルは、約3.4dBであった。図8は、特に、前記ルータの第1アンテナと第2アンテナとの間のカップリングが前の図面に示したように、可視化されている図を示している。下側の線Aは、前記LTEアンテナ(filtenna)103の戻り損失と前記Wi−Fiアンテナ102との間のカップリング係数を表している。様々な周波数における前記フィルテナ(filtenna)103の戻り損失が図の上部に図示され、これは第1下方ピーク(約2.0GHz)を有する線Bに関連している。前記Wi−Fiアンテナ102(PIFA)の戻り損失も図面の上方に図示され、これは第2下方ピーク(約2.4GHz)を有する線Cに関する。図から理解されるように、2.4GHzのWi−Fi周波数帯域での寄生カップリングレベルは非常に低く、約−50dBよりも遥かに低い。このことは、前記Wi−Fi作動域での電磁干渉を最低限にとどめることができ、同時に、前記ルータ100の全およびトータルな性能は比較的高いレベルに到達することができ、その結果、本発明による前記ルータ100は、Wi−Fi周波数帯域と近LTE周波数帯域との両方において(同時に)作動するのに非常に好適であるということを意味している。同様に、LTE帯域での寄生カップリングレベルを、LTEアンテナシステムによって誘発される干渉レベルによるWi−Fi電波チャンネルのブロックを回避するために適当な閾値以下にとどまらせることが可能である。
【0031】
図9は、本発明によるルータに使用される、前記アンテナの特有の相互配置に関する前記Wi−FiアンテナとLTEフィルテナ(filtenna)との間の測定された分離特性を図示している。より詳しくは、グラフの縦軸は、放射構造間のカップリングレベル(S12)を対数表示(dB)で表し、水平軸は、作動周波数をGHz単位で表している。図9の図から理解されるように、前記LTEおよびWi−Fi周波数帯域において実験測定されたスプリアスカップリングは、それぞれ大幅に低減されており、より詳しくは、−32dBおよび−46dB以下となっている。この性能は、全体のスループットレベル、従って、LTEチャンネルとWi−Fiチャンネルとの両方でのサービスの品質を、ルータに組み込まれた同じプラットフォームを共有する前記LTEアンテナとWi−Fiアンテナとの間の物理的共存によって実質的に影響されないようにするために有用である。
【0032】
本発明がここに図示、説明した実施例に限定されるものではなく、添付の請求項の範囲内において当該分野の当業者にとって自明な様々なバリエーションが可能なものであることは明白であろう。
【0033】
この要約は、本開示内の詳細において提供されたこれらの教示内容に対する多くの教示およびバリエーションの網羅的リストとなることなく、本明細書内に開示される概念に対する導入を提供することを意図するものである。従って、この要約の内容は、以下の請求項の範囲を限定するために使用されてはならない。
【0034】
発明の概念は一連の具体例に例示され、これらの例のいくつかは一つ以上の発明概念を示すものである。個々の発明概念は、特定の一つの具体例に提供される詳細の全部を実施することなく実施することが可能である。当業者は、種々の具体例の例示された発明の概念を互いに組み合わせて特定の用途に給することが可能であることを認識するであろうから、下記の発明概念のすべての可能な組み合わせを提供する必要はない。
【0035】
ここに開示された教示内容の、その他のシステム、方法および利点は、下記の図面および詳細説明を検討することによって当業者にとって明らかになるであろう。そのような別のシステム、方法、特徴および利点が添付の請求項の範囲内に含まれそれによって保護されるものとして意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9