(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
【0015】
本発明の実施形態の噴流式ハンダ付け装置F用の圧力測定装置1は量産のプリント基板と同じく噴流式ハンダ付け装置F内に搬送されてプリント基板に加わる溶融ハンダSの圧力を測定するものである。そこで、本発明の実施形態では、以下この圧力測定装置1をフロー・ソルダー・メジャー1と称する。
【0016】
まず、フロー・ソルダー・メジャー1の電気・電子回路の構成を
図1を用いて説明し、機構の構成を
図2〜
図7を用いて説明する。
図1は、フロー・ソルダー・メジャー1の要部の構成を示すブロック図である。
図2は、フロー・ソルダー・メジャー1の構成を示す平面図である。
図3は、フロー・ソルダー・メジャー1の底面図である。
図4は、
図2の上ケースを透視した平面図である。
図5は、
図2のV1〜V4断面図である。
図6は、
図2のVI1〜VI6断面図である。
図7Aは、実施形態の圧力測定装置が搬送される噴流式ハンダ付け装置を示す図であり、
図7Bは、第1測定例を示す測定結果の図である。
図1に示すように、フロー・ソルダー・メジャー1の電気・電子回路の主要な構成はメイン回路部2、圧力センサ3とUSB端子4からなる。
【0017】
圧力センサ3は噴流式ハンダ付け装置Fで搬送されるプリント基板に加わる溶融ハンダSの圧力を出力する。USB端子4は制御部26を介してUSBメモリ25の圧力測定データの出力・消去を行う。
メイン回路部2は充電池21、電圧変換部22、圧力測定回路23、操作部24、USBメモリ25と制御部26からなる。
【0018】
充電池21は、電圧変換部22で適した電圧に変換されて圧力測定回路23及び制御部26に駆動電力を供給する。
圧力測定回路23は圧力センサ3から出力されたアナログ信号を制御部26で処理できるような形式のデジタル信号に変換する。
【0019】
操作部24は
図2に示すようなフロー・ソルダー・メジャー1の操作に必要な2つのスイッチ24aと1つの第2スイッチ24bとフロー・ソルダー・メジャー1の操作に必要な4つのLED24cを備えている。
【0020】
USBメモリ25は電源が供給されなくても記憶されているデータが消去しない不揮発性のメモリであり、USB接続により制御部26に接続されて圧力測定データの保存・出力・消去を行う。
【0021】
制御部26は図示せぬCPUや内部メモリを備えてLinux(登録商標)のオペレーティングシステムによりコンピュータ制御するものであり、操作部24の第1スイッチ24aや第2スイッチ24bの操作により各部を制御する。
【0022】
図2〜
図6に示すように、フロー・ソルダー・メジャー1の機構の主要な構成は支持板51、シャーシ52、底板53、取付具54、仕切り板55と上ケース56からなる。
【0023】
支持板51はフロー・ソルダー・メジャー1を噴流式ハンダ付け装置Fに取り付けるための部品であり、溶融ハンダSの流れの両岸側のフロー・ソルダー・メジャー1の底部にそれぞれ1つずつ配設される2つの矩形状部品である。支持板51は厚さ2mmのステンレス板であり、230℃の溶融ハンダSと接しても溶融せず、フラックスを含む泡F2が付着してもハンダが付かないので、溶融ハンダSと接する位置に配設される。この支持板51の底面51aと後述の底板53の底面53aがプリント基板Pのハンダ面に対応する。
【0024】
シャーシ52は厚さ2mmのアルミ板を加工したものであり、溶融ハンダSの流れ方向に対して平行な曲げ加工によって端から順に谷折り、山折り、山折り、谷折りに曲げられて中央部と平行な面を両端に有する断面がシルクハット状の形状をしている。
【0025】
シャーシ52には操作部24を除くメイン回路部2の充電池21、電圧変換部22、圧力測定回路23、USBメモリ25と制御部26が取り付けられる。メイン回路部2を形成するプリント基板を取り付けるときは、プリント基板のハンダ面を逃げる孔(ここでは貫通あなを「孔」と記し、貫通していないあなを「穴」と記す。)がシャーシ52に形成されるのではなく、プリント基板のハンダ面のハンダが当たらないようにシャーシ52とプリント基板の間に支柱となるスペーサ(図示せず。)が挿入される。
【0026】
メイン回路部2が搭載されたシャーシ52が支持板51の一端側に寄せて図示しないネジ(ここではボルトやナットなどのネジ類を総称して「ネジ」と記す。)で2つの支持板51に螺着される。シャーシ52は前述の4回の曲げで底上げ(
図6の寸法L)して、メイン回路基板2を上方に持ち上げているので、溶融ハンダSの熱でメイン回路基板2が加熱されるのを低減することができる。また、シャーシ52にはプリント基板のハンダ面を逃げる孔が形成されずにプリント基板が保持されるので、メイン回路部2の温度上昇を低減することができる。なお、
図6に示すように、シャーシ52の曲げ加工により、支持板51が溶融ハンダSの流れ方向に変形し難くなる。
【0027】
底板53は、例えばガラス繊維入耐熱樹脂積層材であるデュロストーン(商品名:ロッシェリンググループ社製)などの耐熱性が高いガラス入り樹脂からなる平板状の部品であり、その両端が支持板51の厚みと同じ深さで座繰られている。この2つの座繰りに支持板51が入る。
図4、
図6に示すように、支持板51上に螺着されたシャーシ52とは反対側の他端側に寄せて図示せぬネジで2つの支持板51に螺着される。なお、底板53は樹脂に限定するものではない。また形状が板に限定するものではなく、たとえば箱型やシート状であってもよい。
【0028】
図5、
図6に示すように、底板53の上方に圧力センサ3が取り付けられる取付具54が配設される。取付具54は厚さ6mmのポリエチレンやベークライト(登録商標)などのプラスチック板である。まず、長いボルトのネジB1のみが取付具54に4つそのナットで取り付けられる。そして、圧力センサ3をネジB1のボルトに2つのナットN2で挟持させる。
【0029】
このように圧力センサ3を2つのナットN2で挟持させることにより、圧力センサ3の高さを調節することができる。また、底板53と取付具54の間に支柱となるスペーサCが挿入される。スペーサCは例えば黄銅などの金属で、一端が雄ネジで他端が雌ネジになっており、ネジB2で底板53と取付具54を連結する。ネジB2のボルトは皿ネジが用いられるとともに底板53のネジ孔は皿モミになっている。これにより、ネジB2の頭が底板53の底面53aから突出しないので、フロー・ソルダー・メジャー1が噴流式ハンダ付け装置内で搬送されるときにボルトの頭が溶融ハンダSの抵抗になることがない。
【0030】
圧力センサ3は底板53と取付具54を介し、支持板51から離間して取り付けられている。このために、溶融ハンダSによって圧力センサ3の温度上昇が低減され、圧力センサ3がその耐熱温度(本実施形態の圧力センサ3の場合50℃〜60℃)を越えないようになっている。
【0031】
また、圧力センサ3は突出した検出アーム3aを有しており、この検出アーム3aに力が加わることにより上下に変化し、その変化に基づき圧力を検出することになる。検出アーム3aの先端の孔3bに連結ボルト3cが穿通されてナットN1で螺着され、その連結ボルト3cに一端が雌ネジで他端が雄ネジの中継シャフト3dが螺着され、その中継シャフト3dに検出端部3eが螺着されている。検出端部3eの先端の断面は長方形であり、溶融ハンダSの流れ方向に直角な方向となる幅Wは例えば10mmであり、溶融ハンダSの流れ方向となる奥行Dは例えば5mmである。
【0032】
ここで検出端部3eの幅Wについて説明する。通常、一次噴流ノズルF4の噴出孔F4aは溶融ハンダSが流れる方向と直角な方向に同じピッチで複数設けられ、溶融ハンダSが流れる方向と同じ方向にも複数列設けられる。隣接する列は孔位置がずれて設けられる一次噴流ノズルF4もある。たとえば、
図7Bの噴出孔F4aは隣接する列が3分の1ピッチずれている。このような構造のノズルもあるために、幅Wは溶融ハンダSの流れ方向に直角な方向に隣接した一次噴流ノズルの孔を複数跨ぐ寸法が好ましい。本実施形態においては、幅Wは溶融ハンダSの流れ方向に直角な方向に隣接した一次噴流ノズルの孔2つを跨ぐ寸法になっている。これにより、検出端部3eの位置が噴流ノズル孔に対してどのような位置であっても、噴流ノズルの少なくとも1つの孔に加わる範囲の圧力を検出することができる。したがって、噴出孔F4aの隣接する列の孔位置がずれている一次噴流ノズルF4に対応することができる。また、溶融ハンダSの流れと直角方向の検出端部3eの位置調整が不要となる。
【0033】
底板53には検出端部3eが穿通して溶融ハンダSの圧力を受けることができるように角孔53bが設けられている。なお、角孔53bのような孔ではなく、底板53に切欠きを設けて検出端部3eを通す構成も考えられるが、このような構成は溶融ハンダSの流れが乱れ正確な圧力検出が行えないおそれがあるため好ましくない。
【0034】
また、発明者の最初の試作品は検出端部3eの先端の面は支持板51の底面51aと同一面であった。その後の検討により、溶融ハンダSと検出端部3eとの接触が、底板53により影響を受けるおそれが考えられることから、検出端部3eの先端の面は底板53の底面53aから0.5mm突出された。検出端部3eの突出量は圧力センサ3を挟持するナットNによって容易に変更することができる。
【0035】
図4、
図5に示すように、メイン回路部2が搭載されるシャーシ52の領域と圧力センサ3が搭載される底板53の領域は厚さ2mmのアルミからなる仕切り板55で仕切られている。仕切り板55の下方の両端はシャーシ52側に曲がって延在し、図示せぬネジでシャーシ52の側壁に螺着される。また、仕切り板55の下端は底板53に曲げられてL字型となっており、底板53上に図示せぬネジで固定されている。仕切り板55にはメイン回路部2と圧力センサ3を接続するコードが通る円形の通し孔55aが設けられている。
【0036】
この仕切り板55によって、メイン回路部2の領域と圧力センサ3の領域の空気の移動が減少するので、より高温となった圧力センサ3の領域の空気によってメイン回路部2の領域の温度が上昇するのが低減される。また、仕切り板55のL字型によって、溶融ハンダSの流れ方向と直角な方向のフロー・ソルダー・メジャー1の変形が低減される。
【0037】
図4〜
図6に示すように、上ケース56は、上ケース56の平面と2つの側面を形成する天板56aと、上ケース56の前面を形成する前板56bと、上ケース56の背面を形成する後板56cの3部品からなる。前板56bと後板56cはそれぞれ組立用のフランジにて天板56aに図示せぬネジで螺着される。
【0038】
図3、
図5、
図6に示すように上ケース56にはメイン回路部2の操作部24とUSB端子4が取り付けられる。操作部24はメイン回路部2の他の部品と同様に図示せぬスペーサを使用して図示せぬネジで螺着される。操作部24の複数のスイッチ24a、24bが操作可能となるように、また複数のLED24cが目視可能となるように取り付けられている。USB端子4はフロー・ソルダー・メジャー1の外からUSB接続できるように図示せぬナットで取り付けられている。
【0039】
そして、上ケース56の側面がシャーシ52に図示せぬネジで螺着される。耐熱性が低い圧力センサ3とメイン回路部2が上ケース56によって覆われているので、フロー・ソルダー・メジャー1が噴流式ハンダ付け装置Fの中で搬送されるときに圧力センサ3やメイン回路部2の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0040】
図2、
図6に示すように、組み立てられたフロー・ソルダー・メジャー1はシャーシ52や底板53からはみ出た支持板51の部分である支持部57が形成されている。この支持部57は溶融ハンダSの流れる方向すなわちフロー・ソルダー・メジャー1の搬送方向に延在しており、厚みが2mmで幅が5mmとなっている。フロー・ソルダー・メジャー1は支持部57を用いて噴流式ハンダ付け装置Fのプリント基板Pの取付部(図示せず。)に保持される。なお、支持部52の寸法については、上記の寸法に限定するものではない。一方、プリント基板Pの標準的な厚みは1.6mmであり、フロー・ソルダー・メジャー1の支持部57の厚みは、若干厚く2.0mmとなっている。このように支持部57の厚みをプリント基板Pよりも厚くしておくことにより、噴流式ハンダ付け装置Fの取付部において、フロー・ソルダー・メジャー1がしっかりと挟持されることになる。このため、搬送中にフロー・ソルダー・メジャー1がブレ難くなる。
【0041】
そして、フロー・ソルダー・メジャー1は、量産のプリント基板Pと同じく、噴流式ハンダ付け装置Fの全工程を搬送される。例えばその全工程は
図7Aに示すように、プリント基板Pが搬送される順にフラックス塗布機F1を有してフラックスを含む泡F2を生成しこれをプリント基板Pのパターン側の面に付着させるフラックス塗布工程S1、加熱機F3を有してプリント基板Pあるいはフロー・ソルダー・メジャー1を適切な温度まで上昇させる加熱工程S2、第一次噴流ノズルF4を有して荒れた波でスルーホールなど細部まで溶融ハンダSを侵入させる第一次噴流ハンダ工程S3、第二次噴流ノズルF5を有して穏やかな噴流でブリッジやツララを再溶融させて不要なハンダを除去する第二次噴流ハンダ工程S4、ファンF6を有してプリント基板Pあるいはフロー・ソルダー・メジャー1の温度を下げる冷却工程S5である。尚、フロー・ソルダー・メジャー1の搬送は噴流式ハンダ付け装置Fの一部の工程、たとえば、第一次噴流ハンダ工程S3と第二次噴流ハンダ工程S4のいずれか一方のみあるいはその両方のみでもよい。
【0042】
フロー・ソルダー・メジャー1が第一次噴流ハンダ工程S3あるいは第二次噴流ハンダ工程S4を搬送されると、量産のプリント基板と同様に溶融ハンダSがフロー・ソルダー・メジャー1の支持板51と検出端部3eを押圧する。この圧力は搬送位置によって変化する。検出端部3eは中継シャフト3d、連結ボルト3cを介して圧力センサ3の検出アーム3aに直結されているので、押圧された検出端部3eの力がそのまま圧力センサ3の検出アーム3aに掛かり、圧力センサ3はこの力に応じた電流を出力する。
【0043】
圧力センサ3からのこの出力は圧力測定回路23によって、制御部26が処理できる信号に変換され制御部26に送られる。そして、制御部26はこの信号を計測データとしてUSBメモリ25に記憶させる。この処理は搬送中、0.1秒以下の周期で行われる。搬送が終了すると、フロー・ソルダー・メジャー1のUSB端子4を介して、あるいは直接USBメモリ25から測定データが取り出される。そしてこの測定データは種々の検討や検査に使用される。
【0044】
本実施形態のフロー・ソルダー・メジャー1の駆動電源は内蔵の充電池21であり、測定データの保存先は内蔵のUSBメモリ25である。したがって、噴流式ハンダ付け装置Fで搬送されるフロー・ソルダー・メジャー1に外部と接続されるコードが無い。この外部接続コードがあれば搬送の抵抗となったり、人の通行の妨げになったりするが、本実施形態のフロー・ソルダー・メジャー1ではこのようなことが無い。
【0045】
圧力センサ3は温度に応じて出力値が、例えば温度補償が±2%/1度というように変化する。圧力センサ3の温度変化がフロー・ソルダー・メジャー1の検出値として許容できないのであれば、フロー・ソルダー・メジャー1に温度センサを設けて、圧力センサ3の検出値を温度補正すればよい。
【0046】
また、上述のフロー・ソルダー・メジャー1は1つの圧力センサ3を備えていたが、本発明は1つに限定するものではなく、流れと直角方向に複数の圧力センサ3を設けてもよい。
【0047】
また、上述のフロー・ソルダー・メジャー1はUSBメモリ25に測定データを保存させたが、本発明は測定データの保存をUSBメモリ25に限定するものではなく、たとえば無線の障害がなければ測定データを無線で外部の記憶媒体に送信させてもよい。
【0048】
また、上述のフロー・ソルダー・メジャー1は、メイン回路基板2、圧力センサ3と、駆動電源である充電池21と、メイン回路基板2が取り付けられるシャーシ52と、圧力センサ3が取り付けられる底板53と、メイン回路基板2と圧力センサ3を覆う上ケース56と、を備える構成となっていたが、このような構成に限定するものではない。噴流式ハンダ付け装置Fの噴流ハンダ工程(第一次噴流ハンダ工程S3と第二次噴流ハンダ工程S4)において搬送されて用いられ、プリント基板に加わる溶融ハンダの圧力を測定することができるものであれば、他の構成からなるフロー・ソルダー・メジャーでも構わない。
[第1測定例]
【0049】
本実施形態のフロー・ソルダー・メジャー1の第1測定例を、
図7Bを用いて説明する。第一次噴流ハンダ工程S3の一次噴流ノズルF4には縦横にそれぞれ同じピッチで噴出孔F4aが形成されている。第一次噴流ハンダ工程S3のプリント基板に加わる溶融ハンダSの圧力がフロー・ソルダー・メジャー1で測定されたら、
図7Bのように、プリント基板の搬送方向、すなわち溶融ハンダSの下流側の噴出孔F4aに対応する位置の圧力の測定値(実線)が目標値(破線)よりも低い値を示したとする。この計測の目的が新作の一次噴流ノズルF4の検討であれば下流側の噴出孔F4aの直径など、その対策を絞ることができる。また、この計測の目的が検査であり、目標値が正常時の計測値であれば、噴出孔F4aの目詰まりなど、その対策を絞ることができる。また、この計測が測定値と比較する目標値が無い場合であっても、上流側の噴出孔F4aに対応する圧力と比較して下流側の圧力が低いことが解るので、何らかの対策が必要と感じることができる。
[第2測定例]
【0050】
第2測定例は第二次噴流ハンダ工程S4Bの改善案の検討・確認を目的とした圧力の測定例である。これを
図8〜
図10を用いて説明する。
図8A、
図8Bに示すように、第2測定例の改善案は溶融はんだSの流れをプリント基板P側に向けるガイド棒F7を溶融はんだSの流れ方向と直角方向に延在してガイド板F8に設けることである。
【0051】
図8Aに示すように、従来の第二次噴流ハンダ工程S4にガイド棒F7を追加することによって、プリント基板Pが第二次噴流ハンダ工程S4Bに差し掛かっていない場合、第二次噴流ノズルF5からガイド板F8上を流れ出る溶融ハンダSはガイド棒F7を乗り越えて流れる。これにより、溶融ハンダSはガイド棒F7の上方でうねって突出する(突出部U)。また、
図8Bに示すようにプリント基板Pがガイド棒F7の上を搬送されると、溶融ハンダSの進路がガイド棒F7によってプリント基板Pの方向に向けられるので、プリント基板Pは溶融ハンダSによって上方向に圧力を受ける。
【0052】
ここで、ガイド棒F7による効果をイメージし易くするために
図9を用いて説明する。
図9は、溶融ハンダSがプリント基板Pから離脱するタイミングを従来と比較した模試図である。具体的には、
図9Aは本実施形態におけるタイミングを示した模式図であり、
図8Bは従来のタイミングを示した模式図である。
【0053】
図9Bに示すガイド板F8にガイド棒F7が設置されていない従来の場合、プリント基板Pから溶融ハンダSが離脱する時間はプリント基板P内で異なり、現実には理想とする落下位置で横一線に落下していくことはない。したがって、溶融ハンダSがプリント基板Pから離脱する落下位置Lには大きなばらつきが発生していた。
【0054】
一方、
図9Aに示す第2測定例では、従来のばらつきの領域T´に対応する位置に、ガイド棒F7による溶融ハンダSのうねりの突出部Uができるよう、ガイド棒F7の位置がガイド板F8上で調整され配置されている。これにより、従来、プリント基板Pから上流側で早々に離脱してしまっていた溶融ハンダSは、このうねりの突出部Uによって突出部Uを過ぎるまで離脱が遅延することになり、下流側で遅延して離脱していた他の溶融ハンダSと共に一斉にプリント基板Pから離脱することになる。つまり、
図9Bに示すように従来落下位置Lが領域T´のように大きくばらついていたが、ガイド棒F7を配置したことによって、
図9Aに示すように、落下位置Lが領域Tのようにガイド棒F7の下流側に横一線に揃うことになる。
【0055】
このようにして溶融ハンダSがプリント基板Pに接触する時間のばらつきが無くなるので、第二次噴流ハンダ工程S4Bにおいて、第一次噴流ハンダ工程S3でプリント基板Pに付着したハンダの昇温が均一となり、ハンダ付け品質が均一になるという作用効果がある。また、不十分な昇温によって生じるブリッジやツララを無くすことができる。
【0056】
本実施形態のフロー・ソルダー・メジャー1で第二次噴流ハンダ工程S4Bのプリント基板に加わる溶融ハンダSの圧力を測定したのが
図10Aのグラフである。このグラフと比較するためにガイド棒F7が無い従来の第二次噴流ハンダ工程S4の圧力のグラフが
図10Bである。なお、
図10は、実際に圧力を測定した結果を基にして、わかり易く示したイメージ図として示したものである。ここで、
図10Aの丸で囲んだ領域Gがガイド棒F7によって変化した圧力である。
図9Bの従来の構成においては、プリント基板Pが受ける圧力は徐々に低下していくだけであるが、ガイド棒F7を設置することにより、溶融ハンダSがプリント基板Pから離脱していく直前にプリント基板Pに対して上方向の圧力を加えていることが本実施形態のフロー・ソルダー・メジャー1を使用することによって解る。
【0057】
なお、
図10A、
図10Bの左側に示されているピークは、第一次噴流ハンダ工程S3における第一次噴流ノズルF4から噴流した溶融ハンダSによってプリント基板Pが受ける圧力である。
図10A、
図10Bの右側に示されているピークは、第二次噴流ハンダ工程S4Bにおける第二次噴流ノズルF5から噴流した溶融ハンダSによってプリント基板Pが受ける圧力である。
【0058】
図から解るように、第一次噴流ハンダ工程S3の方が、第二次噴流ハンダ工程S4Bよりも、短期間に強い圧力をプリント基板Pに与えている。このようにして、本来の圧力測定の目的以外のことも解る。また、第一次噴流ハンダ工程S3をみれば、この噴流式ハンダ付け装置は三列の噴出孔があり、最下流の噴出孔の圧力が極端に低くなっていることが解る。したがって、現状この噴流式ハンダ付け装置の最下流の噴出孔はあまり機能していないことが解るので、この測定結果を基にしてこの噴流式ハンダ付け装置の能力改善を図ることができる。
【0059】
上述のように、本発明の噴流式ハンダ付け装置の圧力測定装置は、従来では得ることができなかったプリント基板に加わる溶融ハンダの圧力を測定することができる。これにより、ハンダ付けの品質を向上させるための種々の検討や検査を行うことができ、また、初めての測定によって新たな改善案や提言が生まれることがある。