【文献】
HAN, Jeong Hwan et al.,“Growth of p-Type Tin(II) Monoxide Thin Films by Atomic Layer Deposition from Bis(1-dimethylamino-2-methyl-2propoxy)tin and H2O”,Chemistry of Materials,2014年10月21日,vol. 26,pp. 6087-6318
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
種々の図面における同じ参照符号および名称は、同じ要素を示す。
【0017】
以下の説明は、本開示の革新的な態様を説明することを目的として、ある特定の実装形態を対象とする。しかしながら、本明細書における教示は多数の異なる方法で適用できることが、当業者には容易に理解されよう。説明する実装形態は、(ビデオのように)動いていようと(静止画像のように)静止していようと、および文字であろうと図であろうと絵であろうと、画像を表示するように構成可能ないかなるデバイス、装置、またはシステムでも実施され得る。より具体的には、説明する実装形態は、携帯電話、マルチメディアインターネットに対応したセルラー電話、携帯型テレビ受像機、無線デバイス、スマートフォン、Bluetooth(登録商標)デバイス、携帯情報端末(PDA)、無線電子メール受信機、ハンドヘルドコンピュータまたはポータブルコンピュータ、ネットブック、ノート型コンピュータ、スマートブック、タブレット、プリンタ、コピー機、スキャナ、ファクシミリデバイス、全地球測位システム(GPS)受信機/ナビゲータ、カメラ、デジタルメディアプレーヤ(MP3プレーヤなど)、カムコーダ、ゲーム機、腕時計、時計、計算機、テレビモニタ、フラットパネルディスプレイ、電子書籍端末(たとえば電子書籍リーダー)、コンピュータ用モニタ、自動車のディスプレイ(走行距離計ディスプレイおよび速度計ディスプレイなどを含む)、コックピット制御装置および/またはディスプレイ、カメラ視野のディスプレイ(乗り物の後方監視カメラのディスプレイなど)、電子写真、電子広告板または電光サイン、プロジェクタ、建築構造物、電子レンジ、冷蔵庫、ステレオシステム、カセットレコーダまたはカセットプレーヤ、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、VCR、ラジオ、ポータブルメモリチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯/乾燥機、パーキングメータ、包装(微小電気機械システム(MEMS)アプリケーションを含む電気機械システム(EMS)アプリケーションならびに非EMSアプリケーションにおいてなど)、芸術的構造(宝石または衣服への画像の表示など)、ならびにさまざまなEMSデバイスなどであるがこれらに限定されないさまざまな電子デバイスに含まれても、関連付けられもよいことが企図されている。本明細書における教示は、電子スイッチングデバイス、無線周波数フィルタ、センサ、加速度計、ジャイロスコープ、動き検知デバイス、磁力計、民生用電子機器の慣性構成要素、民生用電子機器製品の部品、バラクタ、液晶デバイス、電気泳動デバイス、駆動スキーム、製造プロセス、および電子検査機器などであるがこれらに限定されない、ディスプレイ以外の用途でも使用され得る。したがって、当業者には容易に明らかであるように、本教示は、図のみに示されている実装形態に限定されるのではなく、代わりに広い適用可能性を有することを意図する。
【0018】
本明細書において説明する実装形態は、p型金属酸化物半導体薄膜および作製方法に関する。この作製方法は、金属酸化物薄膜がp型半導体薄膜になるような条件下において金属酸化物膜を堆積させる原子層堆積(ALD)技法に関係する。いくつかの実装形態では、基板を1つまたは複数の金属反応物および酸化剤のパルスに交互にさらすことによって、p型スズ系(Sn系)金属酸化物薄膜が作製される。金属反応物の1つは、スズ(II)含有反応物であってもよい。いくつかの実装形態では、n型半導体膜または絶縁体を堆積させるのではなくp型半導体薄膜を堆積させるように温度が調節される。いくつかの実装形態では、スズ(II)系の薄膜の場合、約300℃よりも低い温度が使用されてもよい。
【0019】
本明細書において説明する実装形態は、欠陥密度が低いALD堆積によるp型金属酸化物膜に関する。いくつかの実装形態では、ALD堆積によるp型金属酸化物膜は、金属および酸素空格子点欠陥密度が10
19/cm
3未満である。ALD堆積によるp型金属酸化物薄膜は、薄膜の厚さ全体にわたって電気的に活性であってもよい。本明細書において説明する実装形態は、ALD堆積によるp型金属酸化物膜を含むp型チャネルを有するp型薄膜トランジスタ(TFT)に関する。いくつかの実装形態では、本明細書において説明するp型TFTは、n型TFTおよびp型TFTを含む相補型金属酸化物半導体(CMOS)TFTデバイスにおいて使用されてもよい。
【0020】
本開示で説明する主題の特定の実装形態は、以下の潜在的な利点のうちの1つまたは複数を実現するために実施され得る。本明細書において説明するALD方法によって、厳密に調節された化学量論を有するp型金属酸化物半導体薄膜を作製することができる。インキュベーション層を含まない層の厚さ全体にわたって電気的に活性であるp型薄膜トランジスタ(TFT)チャネル層に、ALD堆積によるp型金属酸化物半導体薄膜を実装することができる。ALD堆積によるp型金属酸化物半導体を含むp型TFTがCMOS TFT回路に実装されてもよい。そのようなTFT回路は、たとえば、ドライバ回路としてディスプレイバックプレート上に集積されてもあるいは他の電子デバイス内に集積されてもよい。これによって、個別にパッケージングされる集積回路(IC)ドライバに伴う製造コストが削減され、欠陥が少なくなる。
【0021】
TFTの説明する実装形態を適用可能な適切なEMSまたはMEMSデバイスもしくは装置の一例は、反射型ディスプレイデバイスである。反射型ディスプレイデバイスは、光学的干渉の原理を使用して干渉変調器(IMOD)ディスプレイ素子に入射する光を選択的に吸収かつ/または反射するように実装され得るIMODディスプレイ素子を組み込むことができる。IMODディスプレイ素子は、部分光吸収体と、この吸収体に対して可動な反射体と、吸収体と反射体の間に画定された光共振空洞とを含むことができる。いくつかの実装形態では、反射体は、2つ以上の異なる位置に移動でき、これによって光共振空洞の大きさを変更でき、それによりIMODの反射率に影響を及ぼす。IMODディスプレイ素子の反射スペクトルは、可視波長全体をシフトしてさまざまな色を生成可能なかなり幅広いスペクトルバンドをもたらすことができる。スペクトルバンドの位置は、光共振空洞の厚さを変更することによって調節され得る。光共振空洞を変更する1つの方法は、吸収体に対する反射体の位置を変更することによる。
【0022】
図1は、IMODディスプレイデバイスのディスプレイ素子の系列または配列内の2つの隣接する干渉変調器(IMOD)ディスプレイ素子を示す等角図である。IMODディスプレイデバイスは、1つまたは複数の、干渉MEMSディスプレイ素子などの干渉EMSディスプレイ素子を含む。これらのデバイスでは、干渉MEMSディスプレイ素子は、明状態または暗状態のどちらかで構成可能である。明(「緩和(relaxed)」、「開」、または「オン」など)状態では、ディスプレイ素子は、入射可視光の大部分を反射する。逆に、暗(「作動」、「閉」、または「オフ」など)状態では、ディスプレイ素子は、入射可視光をほとんど反射しない。MEMSディスプレイ素子は、主に光の特定の波長で反射するように構成可能であり、黒色および白色に加えてカラー表示を可能にする。いくつかの実装形態では、複数のディスプレイ素子を使用することによって、原色のさまざまな強度および灰色の濃淡を達成することができる。
【0023】
IMODディスプレイデバイスは、行および列の形で整列され得るIMODディスプレイ素子の配列を含むことができる。配列内の各ディスプレイ素子は、空気ギャップ(光学ギャップ、空洞、または光共振空洞とも呼ばれる)を形成するために互いから可変および制御可能な距離のところに配置された可動反射層(すなわち、機械層とも呼ばれる可動層)および固定部分反射層(すなわち固定層)などの反射層および半反射層からなる少なくとも1対を含むことができる。可動反射層は、少なくとも2つの位置の間で移動され得る。たとえば、第1の位置すなわち緩和位置では、可動反射層は、固定部分反射層からのある距離に配置され得る。第2の位置すなわち作動位置では、可動反射層は、部分反射層により近く配置され得る。2つの層から反射する入射光は、可動反射層の位置および入射光の波長に応じて強め合うように(constructively)および/または弱め合うように(destructively)干渉し、各ディスプレイ素子について全体反射状態または非反射状態を作り出すことができる。いくつかの実装形態では、ディスプレイ素子は、作動されていないとき反射状態にあり、可視スペクトル内で光を反射することができ、かつ作動されているとき暗状態にあり、可視域内で光を吸収および/または干渉することができる。しかし、他のいくつかの実装形態では、IMODディスプレイ素子は、作動されていないときは暗状態になり、作動されているときは反射状態になることができる。いくつかの実装形態では、印加電圧の導入により、ディスプレイ素子を駆動して状態を変更させることができる。他のいくつかの実装形態では、電荷の印加により、ディスプレイ素子を駆動して状態を変更させることができる。
【0024】
図1の配列の図示された部分は、IMODディスプレイ素子12の形態をとる2つの隣接する干渉MEMSディスプレイ素子を含む。(図示される)右側のディスプレイ素子12では、可動反射層14は、光学スタック16に近い、これに隣接する、またはこれに接する作動位置で示されている。右側のディスプレイ素子12に印加される電圧V
biasは、可動反射層14を移動させ、作動位置に維持するのに十分である。(図示される)左側のディスプレイ素子12では、可動反射層14は、光学スタック16からある距離(設計パラメータに基づいてあらかじめ決定されてよい)にある緩和位置で示されており、光学スタック16は部分反射層を含む。左側のディスプレイ素子12に印加される電圧V
0は、右側のディスプレイ素子12の作動位置などの作動位置への可動反射層14の作動を引き起こすのに不十分である。
【0025】
図1では、IMODディスプレイ素子12の反射特性は、IMODディスプレイ素子12に入射する光13を示す矢印および左側のディスプレイ素子12から反射する光15により概括的に示されている。ディスプレイ素子12に入射する光13のほとんどは透明基板20を通って光学スタック16の方へ透過することができる。光学スタック16に入射する光の一部分は、光学スタック16の部分反射層を透過することができ、一部分は反射して透明基板20を通る。光学スタック16を透過する光13の一部分は、可動反射層14から反射して、透明基板20の方へ進む(さらに、これを通る)ことができる。光学スタック16の部分反射層から反射した光と可動反射層14から反射した光の間の(強め合う(constructive)および/または弱め合う(destructive))干渉により、デバイスの観視(viewing)側すなわち基板側のディスプレイ素子12から反射する光15の波長の強度が部分的に決まる。いくつかの実装形態では、透明基板20は、ガラス基板(ガラス板またはガラスパネルと呼ばれることがある)とすることができる。ガラス基板は、たとえば、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、石英、パイレックス(登録商標)、または他の適切なガラス材料であってもよいし、これらを含んでもよい。いくつかの実装形態では、ガラス基板は、0.3、0.5、または0.7ミリメートルの厚さを有することができるが、いくつかの実装形態では、ガラス基板は、これより厚くてもよい(数十ミリメートルなど)し、これより薄くてもよい(0.3ミリメートル未満など)。いくつかの実装形態では、ポリカーボネート基板、アクリル基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基板などの非ガラス基板が使用可能である。そのような実装形態では、非ガラス基板は、0.7ミリメートル未満の厚さを有する可能性があるが、基板は、設計上の考慮すべき事項に応じて、これより厚くてもよい。いくつかの実装形態では、金属箔またはステンレス鋼系の基板などの不透明基板が使用可能である。たとえば、固定反射層と部分的に透過性および部分的に反射性である可動層とを含む逆IMODベースのディスプレイは、基板の反対側から
図1のディスプレイ素子12として見られるように構成され得、不透明基板によって支持され得る。
【0026】
光学スタック16は、単一の層または複数の層を含むことができる。この層は、電極層、部分的反射性かつ部分的透過性の層、および透明誘電体層のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実装形態では、光学スタック16は、導電性であると共に、部分的透過性かつ部分的反射性であり、たとえば上記の層のうちの1つまたは複数を透明基板20上に堆積させることによって製作され得る。電極層は、種々の金属たとえば酸化インジウムスズ(ITO)などのさまざまな材料から形成可能である。部分反射層は、種々の金属(たとえばクロムおよび/またはモリブデン)、半導体、および誘電体などの部分的に反射性であるさまざまな材料から形成可能である。部分反射層は、材料の1つまたは複数の層から形成可能であり、層のそれぞれは、単一の材料または材料の組合せから形成可能である。いくつかの実装形態では、光学スタック16の特定の部分は、部分光吸収体と導電体の両方の役割を果たす半透明の単一厚の金属または半導体を含むことができるが、より導電性の高い異なる層または(たとえば、光学スタック16またはディスプレイ素子の他の構造の)部分がIMODディスプレイ素子間で信号をバスで送る(bus)役割を果たすことができる。光学スタック16は、1つまたは複数の導電層または導電/部分吸収層を覆う1つまたは複数の絶縁層または誘電体層を含むこともできる。
【0027】
いくつかの実装形態では、光学スタック16の層のうちの少なくともいくつかは、平行ストリップにパターニング可能であり、以下でさらに説明するようにディスプレイデバイス内に行電極を形成することができる。当業者には理解されるように、「パターニングされる」という用語は、本明細書では、マスキングプロセスならびにエッチングプロセスを指すために使用される。いくつかの実装形態では、アルミニウム(Al)などの導電性および反射性の高い材料は、可動反射層14に使用されてもよく、これらのストリップは、ディスプレイデバイス内に列電極を形成することができる。可動反射層14は、図示の支柱18などの支持体およびそれら複数の支柱18の間に配置された介在犠牲材料に堆積された列を形成するために、堆積された1つの金属層または複数の層(光学スタック16の行電極と直交する)の一連の平行ストリップとして形成され得る。犠牲材料がエッチングされて除去されると、画定されたギャップ19すなわち光学空洞は、可動反射層14と光学スタック16の間に形成され得る。いくつかの実装形態では、支柱18間の間隔は約1〜1000μmであってよく、ギャップ19は、約10,000オングストローム(Å)未満であってもよい。
【0028】
いくつかの実装形態では、各IMODディスプレイ素子は、作動状態であろうと緩和状態であろうと、固定反射層および動く反射層によって形成されるコンデンサであるとみなされ得る。電圧が印加されないとき、
図1の左側のディスプレイ素子12によって示されるように、可動反射層14は、機械的緩和状態のままであり、可動反射層14と光学スタック16の間にはギャップ19がある。しかし、電位差すなわち電圧が、選択された行および列のうちの少なくとも1つに印加されるとき、対応するディスプレイ素子において行電極と列電極の交差点に形成されたコンデンサが帯電し、静電力が電極を引き合わせる。印加電圧がしきい値を超える場合、可動反射層14は、変形して光学スタック16の近くに移動するかまたは光学スタック16と逆の方向に移動することができる。
図1の右側の作動ディスプレイ素子12によって示されるように、光学スタック16内の誘電体層(図示せず)は、短絡を防止し、層14と16の間の分離距離を制御することができる。この挙動は、印加される電位差の極性にかかわらず同じであり得る。アレイ内の一連のディスプレイ素子は、いくつかの例では「行」または「列」と呼ばれることがあるが、一方向を「行」と呼び、別の方向を「列」と呼ぶことは任意であることが、当業者には容易に理解されよう。言い換えると、いくつかの向きでは、行は列とみなされ、列は行とみなされ得る。いくつかの実装形態では、行が「コモン」ラインと呼ばれることがあり、列が「セグメント」ラインと呼ばれることがあり、またはその逆もある。さらに、ディスプレイ素子は、直交する行と列(「配列」)に均等に構成されても、またはたとえば互いに対してある特定の位置のオフセットを有する(「モザイク」)非線形構成に構成されてもよい。「配列」および「モザイク」という用語は、どちらも構成を指すことができる。したがって、ディスプレイは「配列」または「モザイク」を含むと言及されるが、素子自体は、どのような場合でも、互いに直交するように構成されたり均一な分布に配置されたりする必要はないが、非対称の形状および不均一に分布された素子を有する構成を含むことができる。
【0029】
図2は、IMODディスプレイ素子の3つの素子×3つの素子配列を含むIMODベースディスプレイを組み込んだ電子デバイスを示すシステムブロック図である。そのような電子デバイスは、本明細書において開示するTFTの実装形態を含んでもよい。たとえば、相補型金属酸化物半導体(CMOS)TFTデバイスが、たとえば
図2に示す電子デバイスの駆動回路の一部として使用されてもよい。電子デバイスは、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成され得るプロセッサ21を含む。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサ21は、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラム、または他の任意のソフトウェアアプリケーションを含む1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得る。
【0030】
プロセッサ21は、配列ドライバ22と通信するように構成され得る。配列ドライバ22は、たとえばディスプレイ配列またはパネル30に信号を提供する行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を含むことができる。
図1に示されるIMODディスプレイデバイスの断面は、
図2では線1−1によって示される。
図2は、分かりやすくするためにIMODディスプレイ素子の3×3配列を示しているが、ディスプレイ配列30は、非常に多数のIMODディスプレイ素子を含むことができ、列と異なる数のIMODディスプレイ素子を行に有してもよいし、行と異なる数のIMODディスプレイ素子を列に有してもよい。
【0031】
図3Aおよび
図3Bは、EMS素子の配列36と背板92とを含むEMSパッケージ91の一部分の概略分解部分斜視図である。本明細書において開示するTFTが、
図3Aおよび
図3Bに示すEMSパッケージ91に実装されてもよい。たとえば、p型金属酸化物半導体チャネルを含むTFTが、背板92上のドライバ回路に実装されてもよい。
図3Aは、背板92の特定の部分をよりよく示すために背板92の2つの隅部が切り取られた状態で示されているが、
図3Bは、隅部が切り取られていない状態で示されている。EMS配列36は、基板20と、支持支柱18と、可動層14とを含むことができる。いくつかの実装形態では、EMS配列36は、透明基板上の1つまたは複数の光学スタック部分16を有するIMODディスプレイ素子の配列を含むことができ、可動層14は可動反射層として実施可能である。
【0032】
背板92は、本質的に平面とすることができ、または少なくとも1つの輪郭を形成される表面を有することができる(たとえば、背板92は、凹部および/または突出部を有するように形成可能である)。背板92は、透明であろうと不透明であろうと、導電性であろうと絶縁性であろうと、任意の適切な材料から作成され得る。背板92に適した材料としては、ガラス、プラスチック、セラミック、ポリマー、積層体、金属、金属泊、コバール、およびめっきコバールがあるが、これらに限定されない。
【0033】
図3Aおよび
図3Bに示されるように、背板92は、1つまたは複数の背板構成要素94aおよび94bを含むことができ、背板構成要素94aおよび94bは、背板92に部分的に埋め込まれてもよいし、完全に埋め込まれてもよい。
図3Aで分かるように、背板構成要素94aは背板92に埋め込まれている。
図3Aおよび
図3Bで分かるように、背板構成要素94bは、背板92の表面に形成された凹部93の中に配置される。いくつかの実装形態では、背板構成要素94aおよび/または94bは、背板92の表面から突き出すことができる。背板構成要素94bは、背板92の、基板20に面する側に配置されるが、他の実装形態では、背板構成要素は、背板92の反対側に配置可能である。
【0034】
背板構成要素94aおよび/または94bは、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、抵抗、ダイオード、スイッチ、および/またはパッケージ化されたIC、標準IC、もしくはディスクリートICなどの集積回路(IC)などの、1つまたは複数の能動電気構成要素または受動電気構成要素を含むことができる。さまざまな実装形態で使用可能な背板構成要素の他の例としては、アンテナ、バッテリ、および電気センサ、接触センサ、光センサ、もしくは化学センサなどのセンサ、または薄膜デバイス(thin−film deposited device)がある。
【0035】
いくつかの実装形態では、背板構成要素94aおよび/または94bは、EMS配列36の一部分と電気的に通信することができる。トレース、バンプ、支柱、またはビアなどの導電性構造は、背板92または基板20の一方または両方に形成されてもよく、互いまたは他の導電性構成要素と接触して、EMS配列36と背板構成要素94aおよび/または94bとの間に電気接続を形成し得る。たとえば、
図3Bは、EMS配列36内の可動層14から上方に延びる電気接点98と整列可能な、背板92上の1つまたは複数の導電性ビア96を含む。いくつかの実装形態では、背板92は、背板構成要素94aおよび/または94bをEMS配列36の他の構成要素から電気的に絶縁する1つまたは複数の絶縁層も含むことができる。背板92が蒸気透過性材料から形成されるいくつかの実装形態では、背板92の内表面は、蒸気バリア(図示せず)で被覆可能である。
【0036】
背板構成要素94aおよび94bは、EMSパッケージ91に入り得る湿気を吸収するように作用する1つまたは複数の乾燥剤を含むことができる。いくつかの実装形態では、乾燥剤(またはゲッターなどの他の吸湿材料)は、たとえば接着材により背板92に装着された(またはその中に形成された凹部内の)シートとして、任意の他の背板構成要素とは別に提供され得る。あるいは、乾燥剤は背板92に統合されてよい。いくつかの他の実装形態では、乾燥剤は、たとえばスプレー塗装、スクリーン印刷、または任意の他の適切な方法によって、他の背板構成要素の上で直接的にまたは間接的に適用され得る。
【0037】
いくつかの実装形態では、EMS配列36および/または背板92は、背板構成要素とディスプレイ素子との間の距離を維持するために機械的隔離絶縁器97を含み、それによって、それらの構成要素間の機械的干渉を防止することができる。
図3Aおよび
図3Bに示される実装形態では、機械的隔離絶縁器97は、EMS配列36の支持支柱18と整列した背板92から突き出す支柱として形成される。あるいは、またはこれに加えて、レールまたは柱などの機械的隔離絶縁器は、EMSパッケージ91の縁に沿って設けることができる。
【0038】
図3Aおよび
図3Bに示されていないが、EMS配列36を部分的または完全に取り巻くシールを設けることができる。背板92および基板20とともに、シールは、EMS配列36を囲む保護空洞を形成することができる。シールは、従来のエポキシ系接着剤などの半ハーメチックシールであってよい。いくつかの他の実装形態では、シールは、薄膜金属溶接またはガラスフリットなどのハーメチックシールであってよい。いくつかの他の実装形態では、シールは、ポリイソブチレン(PIB)、ポリウレタン、液体スピンオンガラス、はんだ(solder)、ポリマー、プラスチック、または他の材料を含むことができる。いくつかの実装形態では、機械的隔離絶縁器を形成するために、強化されたシール材が使用可能である。
【0039】
代替実装形態では、シールリングは、背板92または基板20の一方または両方のいずれかの延長部を含むことができる。たとえば、シールリングは、背板92の機械的延長部(図示せず)を含むことができる。いくつかの実装形態では、シールリングは、Oリングまたは他の環状部材などの別個の部材を含むことができる。
【0040】
いくつかの実装形態では、EMS配列36と背板92は、互いに取り付けられるまたは結合される前に別個に形成される。たとえば、基板20の縁は、上記で説明したように、背板92の縁に取り付けられ、これに対してシール可能である。あるいは、EMS配列36および背板92は、EMSパッケージ91として形成され、互いに接合可能である。いくつかの他の実装形態では、EMSパッケージ91は、堆積によってEMS配列36の上で背板92の構成要素を形成することによってなどの任意の他の適切な方法で製作可能である。
【0041】
ハードウェアおよびデータ処理装置は、EMS構造に関連付けられてもよい。そのようなハードウェアおよびデータ処理装置は、薄膜トランジスタ(TFT)などのトランジスタスイッチを含んでもよい。ディスプレイデバイスにおけるEMSディスプレイ要素は、2次元格子などのアレイとして配置され、アレイの行および列に関連する回路によってアドレス指定される。行ドライバ回路が、アドレス指定すべき特定の行を選択するトランジスタスイッチのゲートを駆動してもよく、共通のドライバ回路が、行リフレッシュによって同期的に更新される場合があるディスプレイ要素の所与の行にバイアスを加えてもよい。
【0042】
ディスプレイデバイスは、ピクセルと呼ばれることもあるディスプレイ要素のアレイを含むことができる。いくつかのディスプレイは、数百または数千の行と数百または数千の列として配置された、数百、数千、または数百万のピクセルを含むことができる。各ピクセルは、1つまたは複数のTFTによって駆動することができる。TFTは、半導体層ならびに基板の上方の1つまたは複数の誘電体層および導電層の薄膜を堆積させることによって作られる電界効果トランジスタの種類である。フラットパネルディスプレイ、システムオングラス、ディスプレイデバイス、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイスなどの開発が進んでいるので、高性能TFTの需要が増加している。
【0043】
スイッチングマトリックスをディスプレイバックプレート上のドライバ回路と集積し、ならびに他の電子デバイスにおいて集積することによって、個別にパッケージングされるICドライバに伴う製造コストが削減され欠陥が少なくなる。相補型金属酸化物半導体(CMOS)回路はn型チャネルおよびp型チャネルを使用する。本明細書では、良好なTFT性能を示すp型金属酸化物半導体材料、ならびにp型金属酸化物半導体チャネルを含むTFTが開示される。n型TFTとp型TFTとを含む回路、ならびにそのような回路を含む、ディスプレイデバイスなどの電子回路も開示される。以下の説明では、TFTに関連するp型金属酸化物半導体を対象とするが、p型金属酸化物半導体はソーラ用途などの他の場合において使用されてもよい。
【0044】
概して、TFTは、半導体層内のソース領域、ドレイン領域、およびチャネル領域を含む半導体層を含むことができる。したがって、TFTは、チャネルの導電率を変調するためにソース端子と、ドレイン端子と、ゲート端子とを含む3端子デバイスであってもよい。いくつかの種類のTFTは、ゲート端子の位置に関して定義することができる。たとえば、TFT形状の種類には、ボトムゲート形状およびトップゲート形状を含めることができる。
図4Aは、いくつかの実装形態によるボトムゲートTFTを示す断面図の一例である。
図4Aにおいて、ボトムゲートTFT 400aは、基板410aと、基板410aの上方のゲート電極420aと、ゲート電極420aの上方のゲート誘電体430aと、ゲート誘電体430aの上方の半導体層440aと、半導体層440aのソース領域の上方のソース電極450aと、半導体層440aのドレイン領域の上方のドレイン電極460aとを含み、半導体層440a内のチャネル領域はソース領域とドレイン領域との間に位置する。半導体層440aはソース電極450aとドレイン電極460aを電気的に接続し、チャネル領域における導電率は、ゲート電極420aおよびソース電極450aにわたって印加される電位の関数である。
【0045】
図4Bは、いくつかの実装形態によるトップゲートTFTを示す断面図の一例である。
図4Bにおいて、トップゲートTFT 400bは、基板410bと、基板410bの上方の半導体層440bと、半導体層440bのソース領域の上方のソース電極450bと、半導体層440bのドレイン領域の上方のドレイン電極460bと、ソース電極450bの上方のゲート電極430bと、ゲート誘電体430bの上方のゲート電極420bとを含み、チャネル領域は、半導体層440bのソース領域とドレイン領域との間に位置する。半導体層440bは、ソース電極450bとドレイン電極460bを電気的に接続し、チャネル領域における導電率は、ゲート電極420bおよびソース電極450bにわたって印加される電位の関数である。
【0046】
ゲート電極420aおよび420bは、1つまたは複数の金属またはその他の導電材料を含んでもよい。金属の例には、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、タングステン(W)、チタン(Ti)、金(Au)、ニッケル(Ni)、およびこれらの要素のいずれかを含有する合金が含まれる。いくつかの実装形態では、ゲート電極420aおよび420bの各々は、積層構造として配置された異なる金属の2つ以上の層を含むことができる。いくつかの実装形態では、ゲート電極420の各々は約50nmから約500nmの間または約100nmから約250nmの間の厚さを有することができる。
【0047】
ソース電極450aおよび450bならびにドレイン電極460aおよび460bは、任意の数のさまざまな金属またはその他の導電材料を含んでもよい。金属の例には、Mo、W、Au、Pt、Ag、Mg、Mn、Ti、Al、Cu、Ta、Cr、Nd、Ni、およびこれらの元素のうちのいずれかを含む合金が含まれる。たとえば、ソース電極450aおよび450bならびにドレイン電極460aおよび460bは、Mo、W、Au、Pt、およびAgなどの安定したコンタクト金属を含んでもよい。いくつかの実装形態では、ソース電極450aおよび450bならびにドレイン電極460aおよび460bの各々は、積層構造として配置された異なる金属の2つ以上の副層を含むことができる。いくつかの実装形態では、ソース電極450aおよび450bならびにドレイン電極460aおよび460bの各々は約50nmから約500nmの間または約100nmから約250nmの間の厚さを有することができる。
【0048】
ゲート誘電体430aおよび430bは、ゲート絶縁体と呼ばれる場合もある。ゲート誘電体430aおよび430bの各々は、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素(SiN)、または有機誘電体材料を含む、任意の数のさまざまな誘電体材料を含んでもよい。いくつかの実装形態では、ゲート電極430aおよび430bの各々は、積層構造として配置された誘電体材料の2つ以上の層を含むことができる。いくつかの実装形態では、ゲート誘電体層の厚さは、約50nmから約500nmの間または約100nmから約250nmの間であってもよい。
【0049】
図4Aおよび
図4Bにおいて、ボトムゲートTFT 400aおよびトップゲートTFT 400bは金属酸化物TFTを含むことができ、半導体層440aおよび440bは金属酸化物を含むことができる。金属酸化物TFTでは、金属酸化物半導体をTFTにおける活性チャネル層として堆積させる。金属酸化物TFTは高いモビリティを有することができる。さまざまな実装形態によれば、金属酸化物TFTはp型金属酸化物TFTであり、半導体層440aおよび440bはp型金属酸化物を含むことができる。
【0050】
たいていの酸化物半導体はn型半導体であり、p型伝導を示す材料はほとんどない。公知のp型酸化物半導体は概して、欠陥密度が高いのでTFTには適していない。しかし、p型ならびにn型の酸化物半導体TFTを形成することができれば、たとえば、CMOS TFT回路を作ることが可能になる。
【0051】
従来のp型金属酸化物膜は、スパッタリング、真空蒸着、およびパルスレーザー堆積などの物理蒸着(PVD)技法を使用して堆積させられる。これらの技法によって形成される薄膜は、p型金属酸化物ソース材料から形成することができるので、p型導電性を有する金属酸化物薄膜を形成するのは比較的容易である。たとえば、セラミックSnOターゲットをスパッタリングすることによってp型スズ(II)酸化物(酸化第一スズまたは二酸化スズとも呼ばれる、SnO)薄膜を作ることができる。たとえば、Po−Ching Hsuら、2013 Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 52 Issue 5S1を参照されたい。別の例では、SnO粉末を真空蒸着することによってp型SnO薄膜を作ることができる。たとえば、Ho−Nyeon Leeら、2010 Jpn. J. Appl. Phys. 49, Issue 2Rを参照されたい。しかしながら、化学気相堆積(CVD)および原子層堆積(ALD)などの化学反応を利用する堆積方法は、p型導電性を有する薄膜を実現するのが困難であるので、一部が使用されていない。
【0052】
多くのp型半導体酸化物が透明導電性酸化物(TCO)として注目されている。しかしながら、このような材料は、透明導電性酸化物として有用である場合があるが、通常、品質がTFTには不十分である。これはバンドギャップに欠陥が存在することに起因する。そのような欠陥は、伝導帯において金属と同様の導電率を示すTCOには影響を与えない場合があるが、TFTの性能を大幅に損なう。
【0053】
非晶質材料における欠陥は、結晶構造からのあらゆる逸脱が欠陥である結晶材料よりも特徴づけが困難であるが、非晶質材料の配位または化学量論からの逸脱が欠陥である。たとえば、非晶質一酸化スズ(SnO)は、非化学量論的Sn
1−xOまたはSnO
1−xになるような多くの金属または酸素空格子点を有する場合がある。イオン性酸化物における欠陥には、金属陽イオン空格子点(V
M)、酸素陰イオン空格子点(V
O)、酸素陰イオン間隙(O
i)、金属陽イオン間隙(M
i)、ならびに外部陽イオン、零有効電荷を有するイオン、および荷電された空格子点を含めることができる。
【0054】
多くの場合、PVD方法によって堆積させるp型金属酸化物薄膜は、金属陽イオン空格子点および/または酸素陰イオン空格子点密度が高い。たとえば、PVD堆積させたSnO層は、スズおよび酸素空格子点欠陥が10
19/cm
3を超える。これらの欠陥は、正孔捕獲状態およびドナー状態として働くことがあり、SnO TFTのTFT性能を不十分なものにする主要な原因となる場合がある。さらに、PVD方法によって堆積させるp型金属酸化物薄膜は、p型酸化物薄膜および下部層の界面に(たとえば、ボトムゲートTFTのp型金属酸化物/ゲート酸化物界面に)電気的に不活性の層を有する場合がある。たとえば、PVD堆積させたSnO層は、厚さが約10nm程度の電気的に活性の層(インキュベーション層とも呼ばれる)を有する。上述の高欠陥密度およびインキュベーション層は、SnO薄膜に限らず、たいていのp型酸化物半導体に見られる。(いくつかの参考文献では、成分イオンの比を省略した金属酸化物に言及する傾向があることに留意されたい。たとえば、IGZO(indium gallium zinc oxide)膜は一般にInGaZnOまたはInGaZnO
4と呼ばれるが、イオンの比率は1:1:1:1または1:1:1:4ではない場合がある。同様に、酸化スズ(IV)(SnO
2)は、このように簡略化してSnOと呼ばれる場合がある。しかしながら、本明細書において使用されるSnOは、酸化第一スズと呼ばれる(一酸化スズまたは酸化スズ(II)とも呼ばれる)。これは酸化スズ(IV)とは別個の化合物である。)
【0055】
本明細書では、原子層堆積(ALD)によってp型金属酸化物薄膜を堆積させる方法が提供される。ALD堆積によるp型金属酸化物薄膜およびALD堆積によるp型金属酸化物チャネルを含むTFTも提供される。ALDは、基板を反応物ガスの連続パルスにさらすことを含む気相堆積技法である。ALD機構によって、基板表面上で反応物(前駆体とも呼ばれる)の吸着層の、表面によって媒介される反応を生じさせることができる。ALD技法は、サイクル当たり約0.1nm程度の微小な膜成長を伴う非常に薄い膜を厳密に調整するのに好適である。ソース材料がp型半導体である場合があるPVD方法とは異なり、本明細書において開示するALD技法は、堆積プロセス自体の間にp型半導体を形成する。
【0056】
ALDプロセスでは、表面によって媒介される堆積反応を使用して層ごとに膜を堆積させてもよい。第1の反応物を基板の上方に向けることができ、第1の反応物の少なくとも一部が基板の表面上に化学吸着するかまたは物理吸着して層を形成する。この層は、吸着された反応物分子の単分子層または準単分子層であってもよい。ただし、必ずしもそうであるとは限らない。堆積は、飽和層を堆積させた後、反応物が引き続き表面上に吸着することがないように自己制限されてもよい。いくつかの実装形態では、ALDプロセスが準飽和方式で実行されてもよい。そのようなプロセスでは、基板表面上に準飽和吸着層が形成されるように反応物のうちの1つまたは複数が限定されてもよい。
【0057】
非反応反応物分子および気体反応副生成物を除去するのにパージガスを導入することができる。いくつかの実装形態では、パージガスのパルスを介在させずに各反応物が交互に反応チャンバに導入されてもよい。
【0058】
いくつかの実装形態では、第1の反応物は分解してフィルム層を形成することができる。いくつかの他の実装形態では、第1の反応物の層と反応することができる第2の反応物を導入することができる。基板に熱エネルギーを加えて第1の反応物と第2の反応物との間の表面反応を活性化させてフィルム層を形成することができる。プラズマなどの他の高エネルギー手段を熱エネルギーと組み合わせて第1の反応物と第2の反応物との間の反応を推進してもよい。その後、パージガスを導入して余分な反応物および気体反応副生成物を除去してもよい。これによって、マルチサイクルALDプロセスのうちの1サイクルを完了してもよい。各反応物をほとんど重複しないように交互に反応チャンバ内に導入することができる。各サイクルを必要に応じて何度も繰り返して適切な厚さの膜を形成してもよい。以下においてさらに説明するように、p型金属酸化物薄膜のALD堆積では一般に、金属反応物および酸化剤の連続パルスを使用する。いくつかの実装形態では、複数の異なる金属反応物を使用して三元p型金属酸化物薄膜またはそれよりも多元素の金属酸化物薄膜が形成されてもよく、1サイクルには、たとえば、第1の金属反応物、第2の金属反応物、および酸化剤の連続パルスが含まれる。
【0059】
ALD堆積によるp型金属酸化物薄膜の厚さは、ALDサイクルの数によって調節することができる。1サイクルには約0.5秒から数10秒の時間をかけてもよく、1サイクルでは材料を厚さが約0.1nmから約0.4nmになるように堆積させてもよい。したがって、ALD堆積によるp型金属酸化物薄膜の各々を0.1nmの精度で厳密に調整することができる。
【0060】
金属反応物と酸化剤との間のALD反応によってn型金属酸化物半導体または絶縁体が形成されることがあるので、p型金属酸化物半導体のALD堆積は困難である。上述のように、このことは、p型金属酸化物材料によって開始することができるPVD薄膜堆積技法の場合には問題にならない。p型金属酸化物半導体をALD堆積させる方法についてさらに以下の
図5を参照しながら説明する。
【0061】
図5は、いくつかの実装形態によるp型金属酸化物層を作製する方法の一例を示す流れ図である。プロセス500は、異なる動作、より少ない動作、または追加の動作によって行われてもよい。いくつかの実装形態では、プロセス500について、1つまたは複数の処理チャンバおよびコントローラを参照して説明する。この場合、コントローラは、本明細書において説明する任意の動作を制御するようにプログラムされてもよい。
【0062】
プロセス500のブロック510において、基板が設けられる。基板は、ガラスまたはプラスチックなどの実質的に透明な材料を含む、任意の基板材料を含むことができる。本明細書において使用する実質的な透明度は、可視光についての、約80%以上または約90%以上などの、約70%以上の透過率として定義することができる。ガラス基板(ガラスプレートまたはパネルと呼ばれることもある)は、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、石英、パイレックス(登録商標)、またはその他の適切なガラス材料であってもよいかあるいはそれらを含んでもよい。ポリカーボネート、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の基板などの非ガラス基板を使用することができる。他の適切な基板材料にはフレキシブル基板材料を含めることができる。いくつかの実装形態では、基板は、数ミクロンから数百ミクロンの寸法を有することができる。
【0063】
プロセス500のブロック520において、基板を金属反応物パルスにさらして基板上に金属反応物の吸着層を形成する。p型金属酸化物薄膜を形成するのに使用される場合がある金属反応物については、Sn(II)有機金属化合物を含む例によって以下にさらに説明する。
【0064】
いくつかの実装形態では、プロセス500は、ブロック520の前に、金属反応物の吸着を容易にするように基板を処理することを含んでもよい。たとえば、いくつかの実装形態では、基板表面を水素またはヒドロキシル含有化学成分にさらして、p型金属酸化物を堆積させることが望まれる基板の少なくとも部分上に水酸基を形成してもよい。その場合、ブロック520は、金属反応物を水酸基に固着することを含んでもよい。
【0065】
プロセス500のブロック530において、金属反応物の吸着層を含む基板を酸化剤パルスにさらして吸着された金属反応物と反応させ、p型金属酸化半導体を形成する。p型金属酸化物薄膜を形成するのに使用される場合がある酸化剤には、酸素(O
2)、オゾン(O
3)、水(H
2O)、過酸化水素(H
2O
2)、およびそれらの組合せが含まれる。いくつかの実装形態では、ブロック530の前および/または後にパージを行って余分な反応物および/または反応生成物を除去してもよい。
【0066】
ブロック520および530において、使用される特定の前駆体およびプロセスに応じてチャンバ圧力を変えた堆積チャンバに基板を入れてもよく、この場合、チャンバ圧力の例は0.1トルから760トルの範囲である。以下においてさらに説明するように、チャンバ温度は、p型金属酸化物膜の堆積を容易にするように調節される。いくつかの実装形態では、温度は約400℃よりも低く、より詳細には、約300℃よりも低い。
【0067】
プロセス500のブロック540において、p型金属酸化物半導体薄膜の所望の厚さが実現されるまでブロック520および530が繰り返される。いくつかの実装形態では、p型金属酸化物半導体薄膜は、厚さが約10nmから約100nmの間であってもよい。
【0068】
p型金属酸化物半導体薄膜は、ゲート電極に揃えられているかあるいは揃えるべきチャネル領域を含むことができ、この場合、チャネル領域は、酸化物半導体層のソース領域とドレイン領域との間に位置する。p型金属酸化物半導体層のソース領域およびドレイン領域を形成することは、p型金属酸化物半導体層のこれらの領域をドープすることを含んでもよい。
【0069】
いくつかの実装形態において、このプロセスでは引き続き、1つまたは複数の誘電体層および金属層をp型金属酸化物層の上方に形成する。たとえば、プロセス500のブロック550において、酸化物半導体層の上方に1つまたは複数の誘電体層を形成してもよい。いくつかの実装形態では、誘電体層はp型酸化物半導体層に接触する。1つまたは複数の誘電体層には、たとえば、パッシベーション層、ゲート誘電体層、およびエッチ停止層を含めてもよい。1つまたは複数の誘電体層には、SiO
2またはAl
2O
3などの酸化物、および窒化物を含む任意の適切な誘電体材料を含めることができる。いくつかの実装形態では、誘電体層の厚さは、約300nmから約500nmの間などの、約10nmから約1000nmの間であってもよい。p型金属酸化物半導体層および誘電体層はTFTの一部を形成することができる。
【0070】
プロセス500では、引き続きブロック560において、1つまたは複数の金属層を形成することができる。いくつかの実装形態では、ブロック560は、p型酸化物半導体層のソース領域上にソース電極を形成することと、p型酸化物半導体層のドレイン領域上にドレイン電極を形成することとを含む。ソース電極およびドレイン電極を形成する場合、ソース電極およびドレイン電極をエッチングしてもよい。したがって、ブロック560は、ソース電極およびドレイン電極をエッチングして酸化物半導体層のチャネル領域を露出させることを含めてもよい。いくつかの実装形態では、ブロック550において誘電体層を形成することは、ソース電極およびドレイン電極を形成することよりも前に行われる。これには、誘電体層がエッチ停止層またはゲート誘電体である例を含めることができる。いくつかの実装形態では、ブロック550において誘電体層を形成することは、ソース電極およびドレイン電極を形成することよりも後に行われる。これには、誘電体層が、TFTを保護するためにソース電極およびドレイン電極の上方に形成されたパッシベーション層である例を含めることができる。
【0071】
いくつかの実装形態では、プロセス500は、基板の上方にゲート電極を形成することをさらに含む。いくつかの実装形態では、ゲート電極が基板上に形成されてもよく、ゲート誘電体がボトムゲートTFTのゲート電極上に形成されてもよい。いくつかの実装形態では、誘電体酸化物層がゲート誘電体として働いてもよく、ゲート電極がトップゲートTFTのゲート誘電体の上方に形成されてもよい。
【0072】
上述のように、金属前駆体と酸化剤との間のALD反応によってn型金属酸化物半導体または絶縁体が形成されることがあるので、p型金属酸化物半導体のALD堆積は困難である。さまざまな実装形態によれば、本明細書において提供するALD方法では、前駆体の選択、温度調節、および酸化の制限を含む1つまたは複数の技法を使用してp型金属酸化物半導体を堆積させる。これらの技法については以下にさらに説明するが、
図5を参照して上記において説明し、
図6〜
図8を参照して以下に説明する方法のいくつかの実装形態においてこれらの技法が使用されてもよい。
【0073】
スズ系の酸化物を堆積させる場合、使用される場合がある前駆体は、ビス[ビス(トリメチルシリル)アミノ]スズ(II)、スズ(II)アセチルアセトネート、およびスズ(II)2,4−ペンタネジオナートなどのスズ(II)系の有機前駆体である。同じく使用される場合があるビス(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナト)スズ(II)などの複素環式スタニレン化合物、およびrac−1,3−ジ−tert−ブチル−4,5−ジメチル−1,3−ジアザ−2−スタンナシクロペンタン−2−イリデンなどのスズ(II)アミジナートの例の合成は、Sang Bok Kimら、Chem. Mater. 2014, 26, 3065−3073に記載されている。
【0074】
Cu系の酸化物を堆積させるのに使用される場合がある前駆体には、ビス(トリ−n−ブチルフォスファン)−銅(I)アセチルアセトネートなどのCu(I)系の有機前駆体がある。Thomas Waechtlerら、J. Electrochem. Soc., Vol. 156, No. 6, H453−H459 (2009)を参照されたい。Cu
2OのALD堆積には塩化銅(I)が使用されてもよい。
【0075】
いくつかの実装形態では、p型金属酸化物半導体を堆積させることは、堆積時にn型金属酸化物半導体または酸化物絶縁体ではなくp型金属酸化物半導体が形成されるように温度を調節することを含む。温度調節は、p型金属酸化物半導体が堆積サイクルの後でn型金属酸化物半導体または絶縁体に変換されないようにすることもできる。ALDによってSnOを堆積させる場合、いくつかの実装形態では、温度は約400℃よりも低く、より詳細には、約300℃よりも低くてもよい。そのような温度は、n型SnO
2の形成を防止するのを助けることができる。いくつかの実装形態では、ALD堆積によるSnO膜の堆積は、約50℃から約300℃の間の温度で行われる。以下にさらに説明するように、いくつかの実装形態では、SnOのALD堆積は、堆積薄膜に水素を取り込むのを容易にするように水素含有酸化剤によって行われ、ならびに/あるいは水素環境において行われる。そのような実装形態では、堆積温度は、SnO
2の酸化を防止しつつ水素の取り込みを容易にするように少なくとも約150℃であり、たとえば、約150℃から300℃の間または約150℃から250℃の間であってもよい。
【0076】
使用される場合がある酸化剤の例には、O
2、O
3、H
2O、H
2O
2、およびそれらの組合せが含まれる。いくつかの実装形態では、水または過酸化水素などの水素含有酸化剤が使用される。そのような酸化剤は、いくつかの実装形態では、堆積薄膜の水素源であってもよい。いくつかの実装形態では、p型半導体の形成を容易にするのに比較的弱い酸化剤が(単独であるいはより強い酸化剤の希釈剤として)使用されてもよい。弱酸化剤の例には、水、二酸化炭素(CO
2)、一酸化炭素(CO)、メタノール(CH
3OH)、エタノール(C
2H
6OH)、イソプロピルアルコール(C
3H
7OH)、およびそれらの組合せが含まれる。
【0077】
いくつかの実装形態では、水素化されたALD堆積によるp型金属酸化物半導体層が設けられる。参照により本明細書に組み込まれる、2014年11月12日に出願された「Hydrogenated P−Channel Metal Oxide Semiconductor Thin Film Transistors」という名称の米国仮特許出願第62/078874号(代理人整理番号第QUALP263PUS/145606P1号)に記載されたように、水素含有量が少なくとも10
18原子/cm
3であり、いくつかの実装形態では、少なくとも10
20原子/cm
3以上であるp型チャネルTFTは、高いモビリティ、低いサブスレッショルドスイング(s値)、および高いオン/オフ電流比を有し得る。水素は、水素含有大気中でALD堆積を実行することによって、水素含有大気中での堆積後熱アニールによって、または隣接する層からの堆積後拡散によって、上述の水素含有酸化剤を使用することのうちの1つまたは複数によって薄膜に取り込むことができる。さらに、
図9に関して以下にさらに説明するように、いくつかの実装形態では水素をALDサイクルにおけるドーパントとして導入してもよい。
【0078】
いくつかの実装形態では、反応物パルスのうちの1つまたは複数を印加する間にプラズマエネルギーが加えられてもよい。たとえば、1サイクルは、金属反応物(プラズマオフ)/パージ/酸化剤(プラズマオン)/パージのシーケンスを含んでもよい。いくつかの実装形態では、膜への水素の取り込みを容易にするために水素含有酸化剤を使用する間にプラズマが印加されてもよい。いくつかの実装形態では、p型金属酸化物薄膜のALD堆積の間の温度は比較的低く(たとえば、約300℃よりも低い温度、約250℃よりも低い温度、または約200℃よりも低い温度)、酸化剤パルスを印加する間にプラズマエネルギーが加えられてもよい。
【0079】
さまざまな実装形態によれば、堆積させる場合があるp型金属酸化物半導体は、SnOおよびCu
2Oなどのドープされた二元化合物またはドープされていない二元化合物、ならびにスズ(II)系の三元酸化物およびスズ(II)系の四元酸化物などの三元化合物またはそれよりも多元素の化合物であってもよい。
【0080】
スズ(II)系の三元酸化物膜の例には、Sn(II)−X−Oを含み、この場合、Xはチタン(Ti)、タングステン(W)、ホウ素(B)、またはニオブ(Nb)のうちの1つである。Sn(II)−Ti−OのALD堆積に使用される場合があるチタン前駆体の例には、テトラキス(ジエチルアミド)チタン(IV)、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)二塩化チタン(IV)、およびチタン(IV)ジイソプロポキシドビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)などの有機チタン化合物、テトラエトキシチタン、テトラメトキシチタン、ならびにテトライソプロポキシチタンが含まれる。Sn(II)−W−OのALD堆積において使用される場合があるタングステン前駆体の例には、六フッ化タングステン、六塩化タングステン、およびヘキサカルボニルタングステンが含まれる。いくつかの実施形態では、タングステンビス(アルキルイミノ)ビス(アルキルアミノ)化合物(たとえば、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(VI)およびヘキサキス(ジメチルアミド)タングステン(VI))などの有機タングステン化合物が使用されてもよい。Sn(II)−B−OのALD堆積において使用される場合があるホウ素前駆体の例には、三臭化ホウ素、およびボラン(BH
3)、ジボラン(B
2H
6)、トリボラン(B
3H
7)を含むボランが含まれる。Sn(II)−Nb−OのALD堆積において使用される場合があるニオブ前駆体の例には、ニオブ(V)エトキシドおよびトリス(ジエチルアミド)(tert−ブチルイミド)ニオブ(V)などの有機ニオブ化合物が含まれる。
【0081】
(より多元素の膜の構成成分またはドーパントのいずれかとして)ALD堆積によるSn(II)系の膜に取り込まれる場合がある他の化合物には、カルシウム(Ca)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ケイ素(Si)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、鉛(Pb)、および銀(Ag)を含めることができる。ALD堆積に適切な任意の前駆体がそのような実装形態に使用されてもよい。
【0082】
ALDによって三元p型金属酸化物半導体薄膜またはそれよりも多元素のp型金属酸化物半導体薄膜を堆積させるのにさまざまな反応物パルスシーケンスが使用されてもよい。
図6および
図7は、いくつかの実装形態による三元p型金属酸化物半導体薄膜を作製する方法の例を示す流れ図である。
【0083】
まず
図6を参照する。プロセス600のブロック610において、基板を設ける。この基板は、
図5のブロック510に関して上記において説明したように任意の基板材料を含むことができる。プロセス600のブロック620において、基板を第1の金属反応物パルスにさらして基板上に第1の金属反応物の吸着層を形成する。たとえば、第1の金属反応物は、上述のようなSn(II)有機金属化合物であってもよい。
【0084】
プロセス600のブロック630において、第1の金属反応物の吸着層を含む基板を第2の金属反応物パルスにさらして第2の金属反応物の吸着層を形成する。一例では、第2の金属反応物は、タングステン反応物、チタン反応物、ニオブ反応物、またはホウ素反応物であってもよい。
【0085】
プロセス600のブロック640において、基板を酸化剤パルスにさらして第1および第2の反応物の吸着層と反応させ、三元p型金属酸化物半導体薄膜を形成する。プロセスのブロック650において、三元p型金属酸化物半導体薄膜の所望の厚さが実現されるまでブロック620〜640を繰り返す。
【0086】
いくつかの実装形態では、第1および第2の金属反応物が同時に導入され、これらの反応物の両方を含む吸着層を形成するようにブロック620および630を実行してもよい。パージ、温度、酸化剤、追加の動作などの、プロセス600のさまざまな実装形態によるさらなる詳細については、
図5に関して上記において説明した。
【0087】
図7では、プロセス700のブロック710において、
図5および
図6に関して上記において説明したように基板を設ける。プロセス700のブロック720において、基板を第1の金属反応物パルスにさらして基板上に第1の金属反応物の吸着層を形成する。たとえば、第1の金属反応物は、上述のようなSn(II)有機金属化合物であってもよい。プロセス700のブロック730において、基板を酸化剤パルスにさらして第1の反応物の吸着層と反応させる。プロセスのブロック740において、ブロック720および730を任意選択により1回または複数回繰り返す。プロセス700のブロック750において、基板を第2の金属反応物パルスにさらして第2の金属反応物の吸着層を形成する。一例では、第2の金属反応物は、タングステン反応物、チタン反応物、ニオブ反応物、またはホウ素反応物であってもよい。プロセス700のブロック760において、基板を酸化剤パルスにさらして第2の反応物の吸着層と反応させ、三元p型金属酸化物半導体薄膜を形成する。プロセス700のブロック770において、ブロック750および760を任意選択により1回または複数回繰り返す。プロセス700のブロック780において、三元p型金属酸化物半導体薄膜の所望の厚さが実現されるまでブロック720〜770を繰り返す。パージ、温度、酸化剤、追加の動作などの、プロセス700のさまざまな実装形態によるさらなる詳細については、
図5に関して上記において説明した。
【0088】
さまざまな実装形態によれば、第1および第2の金属反応物の相対比が、第1および第2の金属反応物パルスの流量、用量時間、または濃度、ならびにこれらのパルスの各々を含むサイクル数を変更することによって調節されてもよい。
【0089】
図8は、いくつかの実装形態によるドープされたp型金属酸化物層を作製する方法の一例を示す流れ図である。ドーパントの例には、水素および金属を含めることができる。ドーパントは通常、三元金属酸化物化合物またはそれよりも多元素の金属酸化物化合物の金属陽イオン構成成分よりもずっと低い濃度で存在する。たとえば、化学式A
xB
yOを有するp型金属酸化物膜において、Bは、yが0.1未満である場合にドーパントとみなされてもよい。ドーパントは、薄膜の1%(原子)未満と特徴づけられてもよい。
図8では、プロセス800のブロック810において、上述のように基板を設ける。プロセス800のブロック820において、基板を第1の金属反応物パルスにさらして基板上に第1の金属反応物の吸着層を形成する。プロセス800のブロック830において、基板を酸化剤パルスにさらして第1の反応物の吸着層と反応させる。プロセス800のブロック840において、ブロック820および830を任意選択により1回または複数回繰り返す。いくつかの実装形態では、ブロック820および830は繰り返されず、それにより、これらのブロックによって定義される各サイクルの後で膜にドーパントが取り込まれる。プロセス800のブロック850において、基板をドーパントパルスにさらす。さまざまな実装形態によれば、ブロック850は、ドーパント種を含む蒸気またはプラズマに基板をさらすことを含んでもよい。たとえば、ブロック850は、水素(H
2)プラズマに基板をさらすことを含んでもよい。プロセス800のブロック860において、ドープされたp型金属酸化物半導体薄膜の所望の厚さが実現されるまでブロック820〜850を繰り返す。さまざまな実装形態では、ブロック820および830は、たとえば
図6および
図7において説明したように三元p型金属酸化物半導体膜を堆積させることを含む。
【0090】
図5〜
図8に記載された方法によって作製されたTFTのALD堆積によるp型金属酸化チャネルは、欠陥密度が低いことを特徴としてもよい。いくつかの実装形態では、ALD堆積によるSn(II)系のp型金属酸化物半導体チャネルは、複合酸素スズ空格子点欠陥密度が10
19/cm
3未満である。いくつかの実装形態では、チャネルはチャネルの厚さ全体にわたって電気的に活性であることを特徴としてもよい。いくつかの実装形態では、チャネルは厚さが15nm以下または10nm以下である。
【0091】
いくつかの実装形態では、本明細書において開示する半導体チャネルは、酸化物の複数の形態および/または金属元素の混合物ではなく、ALD堆積させたp型材料の、基本的に純粋な膜である。たとえば、SnOはp型材料であるが、SnO2はn型材料である。ALD堆積させたp型材料またはTFTチャネルには酸化スズ(IV)または金属スズ(Sn)がほとんど存在しない(5%未満)かまたはまったく存在しない。いくつかの実装形態では、純度は95%以上であり、たとえば、99%であってもよい。
【0092】
いくつかの実装形態では、ALD堆積によるp型金属酸化物半導体層は、p型TFTとn型TFTとを含むCMOS TFTデバイスの一部を形成してもよい。
図9は、いくつかの実装形態によるCMOS TFTデバイスを示す断面図の一例である。
図9において、CMOS TFTデバイス900は、基板910上にp型トップゲートTFT 902aとn型トップゲートTFT 902bとを含む。基板の例については上記において説明した。
図9の例では、p型トップゲートTFT 902aおよびn型トップゲートTFT 902bが誘電体層911上に形成される。しかし、いくつかの実装形態では、
図4Bの例と同様に、p型トップゲートTFT 902aおよびn型トップゲートTFT 902bが基板910上に形成されてもよい。
【0093】
p型トップゲートTFT 902aは、チャネル領域940aとソース領域およびドレイン領域942aとを含むALD堆積によるp型金属酸化物半導体を含む。ソース電極およびドレイン電極970aがALD堆積によるp型金属酸化物半導体層のソース領域およびドレイン領域942aに接触し、ゲート電極920aがゲート誘電体930a上に重なる。p型TFT 902aのALD堆積によるp型金属酸化物半導体層は、上述のALD堆積によるp型金属酸化物のいずれかを含んでもよい。
【0094】
n型トップゲートTFT 702bは、チャネル領域740bとソース領域およびドレイン領域742bとを含むn型金属酸化物半導体を含む。ソース電極およびドレイン電極770bがn型金属酸化物半導体層のソース領域およびドレイン領域742bに接触し、ゲート電極720bがゲート誘電体730b上に重なる。ソース電極770aおよびドレイン電極770bは、p型トップゲートTFT 702aとn型トップゲートTFT 702bを分離する誘電体層780として形成されてもよい。
【0095】
いくつかの実装形態では、n型金属酸化物半導体は、非晶質であり、インジウム(In)含有酸化物半導体、亜鉛(Zn)含有酸化物半導体、スズ(Sn)含有酸化物半導体、ハフニウム(Hf)含有酸化物半導体、またはガリウム(Ga)含有酸化物半導体を含むことができる。n型アモルファス酸化物半導体の例には、InGaZnO、InZnO、InHfZnO、InSnZnO、SnZnO、InSnO、GaZnOおよびZnOが含まれる。
【0096】
いくつかの実装形態では、p型金属酸化物半導体とn型金属酸化物半導体は、同じ金属酸化物の異なるようにドープされた膜であってもよい。たとえば、p型金属酸化物半導体は、上述のようなALD堆積させたSnOであってもよく、n型金属酸化物半導体は、n型金属酸化物半導体を形成するようにアンチモン(Sb)がドープされたSnOであってもよい。いくつかの実装形態では、n型金属酸化物半導体はALD堆積による薄膜であってもよい。
【0097】
いくつかの実装形態では、CMOS TFTは、
図4Aを参照して上記において説明したようにボトムゲートTFTを含む。
図9の例に示すようなCMOS TFTデバイスは、たとえば、ディスプレイデバイスの駆動回路の一部として使用されてもよい。
【0098】
図10Aおよび
図10Bは、本明細書において説明する、複数のIMODディスプレイ素子とTFTとを含むディスプレイデバイス40を示すシステムブロック図である。ディスプレイデバイス40は、たとえば、スマートフォン、セルラー式電話機または携帯電話機とすることができる。しかし、ディスプレイデバイス40の同じ構成要素またはそのわずかな変形形態も、テレビ、コンピュータ、タブレット、電子書籍リーダー、ハンドヘルドデバイスおよび携帯型メディアデバイスなどの種々のタイプのディスプレイデバイスを例示するものである。
【0099】
ディスプレイデバイス40は、筐体41と、ディスプレイ30と、アンテナ43と、スピーカ45と、入力デバイス48と、マイクロホン46とを含む。筐体41は、射出成形および真空成形を含むさまざまな製造プロセスのいずれかから形成され得る。さらに、筐体41は、プラスチック、金属、ガラス、ゴム、およびセラミック、またはこれらの組合せを含むがこれらに限定されないさまざまな材料のいずれかから作製され得る。筐体41は、異なる色をしたまたは異なるロゴ、画像、もしくは記号を含む他の着脱可能な一部分と交換され得る着脱可能な部分(図示せず)を含むことができる。
【0100】
ディスプレイ30は、本明細書において説明する、双安定ディスプレイまたはアナログディスプレイを含む、さまざまなディスプレイのいずれかであってよい。ディスプレイ30はまた、プラズマ、EL、OLED、STN LCD、もしくはTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイ、またはCRTもしくは他の管デバイスなどの非フラットパネルディスプレイを含むように構成され得る。さらに、ディスプレイ30は、本明細書において説明するように、IMODベースのディスプレイを含むことができる。
【0101】
ディスプレイデバイス40の構成要素は、
図10Aに概略的に示されている。ディスプレイデバイス40は、筐体41を含み、その中に少なくとも部分的に納められた追加の構成要素を含むことができる。たとえば、ディスプレイデバイス40は、トランシーバ47に結合され得るアンテナ43を含むネットワークインタフェース27を含む。ネットワークインタフェース27は、ディスプレイデバイス40上で表示可能な画像データの供給源であってよい。したがって、ネットワークインタフェース27は画像ソースモジュールの一例であるが、プロセッサ21および入力デバイス48も画像ソースモジュールとして機能することができる。トランシーバ47はプロセッサ21に接続され、プロセッサ21は調整用ハードウェア52に接続される。調整用ハードウェア52は、信号を調整する(フィルタまたは他の方法で信号を操作するなど)ように構成され得る。調整用ハードウェア52は、スピーカ45およびマイクロホン46に接続可能である。プロセッサ21は、入力デバイス48およびドライバコントローラ29にも接続可能である。ドライバコントローラ29は、フレームバッファ28および配列ドライバ22に結合可能であり、配列ドライバ22はディスプレイ配列30に結合可能である。
図10Aに具体的に示されていない要素を含む、ディスプレイデバイス40内の1つまたは複数の要素は、メモリデバイスとして機能するように構成され、また、プロセッサ21と通信するように構成されることが可能である。いくつかの実装形態では、電源50は、特定のディスプレイデバイス40の設計において必要とされる実質的にすべての構成要素に電力を供給することができる。
【0102】
ネットワークインタフェース27は、アンテナ43とトランシーバ47とを含み、その結果、ディスプレイデバイス40は、ネットワークを介して1つまたは複数のデバイスと通信することができる。ネットワークインタフェース27は、たとえばプロセッサ21のデータ処理要件を軽減するためにいくつかの処理能力も有することができる。アンテナ43は、信号を送信および受信することができる。いくつかの実装形態では、アンテナ43は、IEEE 16.11(a)、(b)、もしくは(g)を含むIEEE 16.11規格またはIEEE 802.11a、b、g、nおよびそのさらなる実装形態を含むIEEE 802.11規格に従ってRF信号を送信および受信する。いくつかの他の実装形態では、アンテナ43は、Bluetooth(登録商標)規格に従ってRF信号を送信および受信する。セルラー式電話の場合、アンテナ43は、符号分割多元接続(CDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Global System for Mobile communications(GSM(登録商標))、GSM/General Packet Radio Service(GPRS)、Enhanced Data GSM Environment(EDGE)、Terrestrial Trunked Radio(TETRA)、広帯域CDMA(W−CDMA)、Evolution Data Optimized(EV−DO)、1xEV−DO、EV−DO Rev A、EV−DO Rev B、High Speed Packet Access(HSPA)、High Speed Downlink Packet Access(HSDPA)、High Speed Uplink Packet Access(HSUPA)、Evolved High Speed Packet Access(HSPA+)、Long Term Evolution(LTE)、AMPS、または3G技術、4G技術、もしくは5G技術を利用するシステムなどのワイヤレスネットワーク内で通信するために使用される他の知られている信号を受信するように設計され得る。トランシーバ47は、アンテナ43から受信された信号を、これらがプロセッサ21によって受信され、さらに操作可能であるように前処理することができる。トランシーバ47はまた、プロセッサ21から受信された信号を、これらがアンテナ43を介してディスプレイデバイス40から送信可能であるように処理することができる。
【0103】
いくつかの実装形態では、トランシーバ47は、受信機と置き換えられてもよい。さらに、いくつかの実装形態では、ネットワークインタフェース27は、プロセッサ21に送られるべき画像データを保存または生成できる画像ソースと置き換えられてもよい。プロセッサ21は、ディスプレイデバイス40の全体的な動作を制御することができる。プロセッサ21は、ネットワークインタフェース27または画像ソースから圧縮画像データなどのデータを受信し、そのデータを処理して未加工の画像データを、または未加工の画像データに容易に処理され得るフォーマットを生成する。プロセッサ21は、この処理されたデータをドライバコントローラ29に、または保存するためにフレームバッファ28に送信することができる。未加工のデータとは、典型的には、画像内の各場所における画像特性を識別する情報を指す。たとえば、このような画像特性は、色、彩度、およびグレースケールレベルを含むことができる。
【0104】
プロセッサ21は、ディスプレイデバイス40の動作を制御するためにマイクロコントローラ、CPU、または論理演算装置を含むことができる。調整用ハードウェア52は、信号をスピーカ45に送信するための、および信号をマイクロホン46から受信するための、増幅器とフィルタとを含んでもよい。調整用ハードウェア52は、ディスプレイデバイス40内の個別構成要素品であっても、あるいはプロセッサ21または他の構成要素内に組み込まれてもよい。
【0105】
ドライバコントローラ29は、プロセッサ21によって生成された未加工の画像データを、プロセッサ21から直接またはフレームバッファ28から取得でき、配列ドライバ22への高速送信のために未加工の画像データを適切に再フォーマットすることができる。いくつかの実装形態では、ドライバコントローラ29は、ディスプレイ配列30全体にわたって走査に適した時間順序を有するように、未加工の画像データをラスターのようなフォーマットを有するデータフローに再フォーマットすることができる。次に、ドライバコントローラ29は、フォーマットした情報を配列ドライバ22に送る。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29は、独立した集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21を関連付けられることが多いが、このようなコントローラは多数の方法で実施され得る。たとえば、コントローラは、ハードウェアとしてプロセッサ21に組み込まれても、ソフトウェアとしてプロセッサ21に組み込まれても、またはハードウェア内で配列ドライバ22と完全に一体化されてもよい。
【0106】
配列ドライバ22は、フォーマットされた情報をドライバコントローラ29から受信でき、ディスプレイのディスプレイ素子のx−y行列から来る、数百、場合によっては数千(またはそれ以上)のリード線に毎秒多数回印加される並列な1組の波形にビデオデータを再フォーマットすることができる。
【0107】
いくつかの実装形態では、ドライバコントローラ29、配列ドライバ22、およびディスプレイ配列30は、本明細書において説明するディスプレイのタイプのいずれかに適している。たとえば、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(IMODディスプレイ素子コントローラなど)とすることができる。さらに、配列ドライバ22は、従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(IMODディスプレイ素子ドライバなど)とすることができる。さらに、ディスプレイ配列30は、従来のディスプレイ配列または双安定ディスプレイ配列(IMODディスプレイ素子の配列を含むディスプレイなど)とすることができる。いくつかの実装形態では、ドライバコントローラ29は、配列ドライバ22と一体化され得る。このような実装形態は、高集積システム、たとえば、携帯電話、携帯型電子デバイス、腕時計、または小面積ディスプレイで有用であり得る。
【0108】
いくつかの実装形態では、入力デバイス48は、たとえばユーザがディスプレイデバイス40の動作を制御できるように構成され得る。入力デバイス48は、QWERTYキーボードまたは電話機のキーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、ロッカー(rocker)、タッチセンシティブスクリーン、ディスプレイ配列30と一体化されたタッチセンシティブスクリーン、または感圧膜もしくは感熱膜を含むことができる。マイクロホン46は、ディスプレイデバイス40のための入力デバイスとして構成され得る。いくつかの実装形態では、マイクロホン46を介した音声コマンドは、ディスプレイデバイス40の動作を制御するために使用され得る。
【0109】
電源50は、さまざまなエネルギー貯蔵デバイスを含むことができる。たとえば、電源50は、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの充電式電池とすることができる。充電式電池を使用する実装形態では、充電式電池は、たとえばコンセントまたは光電式デバイスもしくは配列によってもたらされる電力を使用して充電可能であってよい。あるいは、充電式電池は、ワイヤレス充電可能である。電源50はまた、再生可能なエネルギー源、コンデンサ、またはプラスチック太陽電池もしくは太陽電池塗料を含む太陽電池を含むことができる。電源50はまた、壁コンセント電力を受信するように構成され得る。
【0110】
いくつかの実装形態では、制御プログラマビリティ(control programmability)は、電子ディスプレイシステム内のいくつかの場所に設置可能なドライバコントローラ29内に備わっている。いくつかの他の実装形態では、制御プログラマビリティは配列ドライバ22内に備わっている。上述した最適化は、任意の数のハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素において、ならびに種々の構成で実施され得る。
【0111】
本明細書で使用される場合、項目のリスト「のうち少なくとも1つ」を参照するフレーズは、単一のメンバを含むこれらの項目の任意の組合せを指す。一例として、「a、b、またはcのうち少なくとも1つ」は、a、b、c、a−b、a−c、b−c、およびa−b−cを包含することを意図するものである。
【0112】
本明細書で開示される実装形態に関連して説明した種々の例示的なロジック、論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムのステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはこの両者の組合せとして実施可能である。ハードウェアおよびソフトウェアの互換性について、機能に関して概略的に説明し、上述の種々の例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップとして示してきた。このような機能がハードウェアで実施されるかソフトウェアで実施されるかは、特定の適用例および全体的なシステムに課せられた設計の制約によって決まる。
【0113】
本明細書で開示される態様に関連して説明した種々の例示的なロジック、論理ブロック、モジュール、および回路を実施するために使用されるハードウェアおよびデータ処理装置は、本明細書において説明する機能を実行するように設計された、シングルチップまたはマルチチップの汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタロジック、個別のハードウェア構成要素、またはこれらの任意の組合せによって実施または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいし、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。プロセッサは、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサの組合せ、DSPコアと連動する1つまたは複数のマイクロプロセッサの組合せなどのコンピューティングデバイスの組合せ、または他の任意のこのような構成としても実施され得る。いくつかの実装形態では、特定のステップおよび方法は、所与の機能に固有の回路によって実行され得る。
【0114】
1つまたは複数の態様では、説明した機能は、本明細書に開示されている構造およびそれらの構造的な等価物を含む、ハードウェア、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せにおいて実施され得る。本明細書において説明する主題の実装形態はまた、データ処理装置によって処理されるための、またはデータ処理装置の動作を制御するために、コンピュータ記憶媒体上で符号化された1つまたは複数のコンピュータプログラムすなわちコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実施され得る。
【0115】
機能は、ソフトウェアで実装される場合、1つもしくは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶され、またはコンピュータ可読媒体を介して送信され得る。本明細書で開示した方法またはアルゴリズムのステップは、コンピュータ可読媒体上に存在し得るプロセッサ実行可能ソフトウェアモジュール内で実施され得る。コンピュータ可読媒体は、ある場所から別の場所にコンピュータプログラムを転送することが可能になり得る任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体と通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶デバイス、または、命令もしくはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを記憶するために使用され得るとともに、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むことができる。また、いかなる接続もコンピュータ可読媒体と適切に呼ぶことができる。本明細書で使用する場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は、通常、磁気的にデータを再生するが、ディスク(disc)は、レーザーで光学的にデータを再生する。上記の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれ得る。加えて、方法またはアルゴリズムの動作は、コンピュータプログラム製品に組み込まれ得る、機械可読媒体およびコンピュータ可読媒体上のコードおよび命令の1つまたは任意の組合せまたはセットとして存在することができる。
【0116】
本開示において説明する実装形態の種々の変更は、当業者には容易に明らかになり、本明細書において定義される一般的原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実装形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書において示される実装形態に限定されることを意図したものではなく、特許請求の範囲には、本明細書で開示される本開示、原理、および新規な特徴と一致する最も広い範囲が認められるべきである。さらに、「上の(upper)」および「下の(lower)」という用語が、図を説明しやすくするために使用されることがあり、適切に配向されたページ上の図の向きに対応する相対的位置を示し、たとえば、実施されるIMODディスプレイ素子の適切な向きを反映しなくてもよいことは、当業者には容易に理解されるであろう。
【0117】
別個の実装形態に関して本明細書において説明する特定の特徴はまた、単一の実装形態で組み合わせて実施され得る。逆に、単一の実装形態に関して説明する種々の特徴はまた、複数の実装形態でまたは任意の適切な副次的組合せ(subcombination)で別々に実施され得る。さらに、特徴が特定の組合せで作用すると上述され、さらに当初はそのようなものとして請求され得るが、請求した組合せからの1つまたは複数の特徴は場合によってはその組合せから除き得ること、請求した組合せは副次的組合せまたは副次的組合せの変形を対象とし得る。
【0118】
同様に、動作が図面では特定の順序で示されているが、望ましい結果を達成するために、このような動作が、示された特定の順序でもしくは順次に実行されること、または示された動作のすべてが実行されることを必要としないことが当業者には容易に理解されよう。さらに、図面は、さらに1つの例示的なプロセスを流れ図の形で概略的に示すことができる。しかし、示されない他の動作が、概略的に示される例示的なプロセスに組み込まれてもよい。たとえば、示された動作のいずれかの前、その後、またはその間に、1つまたは複数の追加の動作が実行可能である。特定の状況では、マルチタスク方式および並列処理が有利な場合がある。さらに、上述の実装形態における種々のシステム構成要素の分離は、すべての実装形態でこのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、説明したプログラム構成要素およびシステムは一般に単一のソフトウェア製品に合わせて統合されるかまたは複数のソフトウェア製品にパッケージ化されることが可能なことを理解されたい。さらに、他の実装形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。場合によっては、特許請求の範囲に記載された作用は、異なる順序で実行でき、依然として所望の結果を達成することが可能である。
本明細書では、原子層堆積(ALD)によってp型金属酸化物薄膜を堆積させる方法が提供される。p型金属酸化物薄膜およびp型金属酸化物チャネルを含むTFTも提供される。いくつかの実装形態では、p型金属酸化物薄膜は、金属および酸素空格子点欠陥密度が10