特許第6294583号(P6294583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6294583データ転送装置、データ転送システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294583
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】データ転送装置、データ転送システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20180305BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20180305BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20180305BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20180305BHJP
【FI】
   H04L12/46 Z
   H04W52/02
   H04L12/28 200Z
   H04W84/12
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-270147(P2012-270147)
(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-116824(P2014-116824A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年11月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591275481
【氏名又は名称】株式会社アイ・オー・データ機器
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寄田 晋吾
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−141426(JP,A)
【文献】 特開2011−166286(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/128146(WO,A1)
【文献】 特開2006−345173(JP,A)
【文献】 特開2007−259031(JP,A)
【文献】 特表2012−520010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00−12/955
H04B7/24−7/26,H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデータ通信部と、
前記第1のデータ通信部と異なる通信規格で通信を行う第2のデータ通信部と、
前記第1のデータ通信部および前記第2のデータ通信部を制御する制御部と、
を備えたデータ転送装置であって、
前記制御部は、前記第1のデータ通信部の実効速度を測定し、当該測定した実効速度に応じて、前記第2のデータ通信部のデータ転送速度を制限する制限処理を行い、
前記第2のデータ通信部の規格を制限する処理を行うことで、前記制限処理を行うことを特徴とするデータ転送装置。
【請求項2】
第1のデータ通信部と、
前記第1のデータ通信部と異なる通信規格で通信を行う第2のデータ通信部と、
前記第1のデータ通信部および前記第2のデータ通信部を制御する制御部と、
を備えたデータ転送装置であって、
前記制御部は、前記第1のデータ通信部の実効速度を測定し、当該測定した実効速度に応じて、前記第2のデータ通信部のデータ転送速度を制限する制限処理を行い、
記第2のデータ通信部の並列処理数を制限する処理を行うことで、前記制限処理を行うことを特徴とするデータ転送装置。
【請求項3】
データ転送装置および当該データ転送装置に接続される情報処理装置からなるデータ転送システムであって、
前記データ転送装置は、第1のデータ通信部と、前記第1のデータ通信部と異なる通信規格で通信を行う第2のデータ通信部と、を備え、
前記情報処理装置は、前記第1のデータ通信部および前記第2のデータ通信部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1のデータ通信部の実効速度を測定し、当該測定した実効速度に応じて、前記第2のデータ通信部のデータ通信速度を制限する制限処理を行い、
前記第2のデータ通信部の規格制限を行う、または、並列処理数を制限することで前記制限処理を行うことを特徴とするデータ転送システム。
【請求項4】
第1のデータ通信部と、
前記第1のデータ通信部と異なる通信規格で通信を行う第2のデータ通信部と、
前記第1のデータ通信部および前記第2のデータ通信部を制御する制御部と、
を備えたデータ転送装置に実行されるプログラムであって、
前記制御部に、前記第1のデータ通信部の実効速度を測定し、当該測定した実効速度に応じて、前記第2のデータ通信部のデータ通信速度を制限する制限処理を実行させ、
前記第2のデータ通信部の規格制限を行う、または、並列処理数を制限することで前記制限処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ転送を行うデータ転送装置、データ転送システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データ転送を高速化するために、信号周波数の高周波化、複数チャネルの並列転送、あるいは高度な変調等、様々な技術が実用化されている。しかし、データ転送を高速化すればするほど、消費電力も増加する傾向にある。
【0003】
消費電力を抑える手法は、例えば、IC類の微細化によるハードウェアレベルでの対応や処理の効率化等のソフトウェアレベルでの対応もある。また、例えば、特許文献1には、有線LANが未接続の場合に無線処理部を無効にすることで、消費電力を抑える無線コンバータ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−239310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の装置では、実際の通信時(有線LANも無線LANも接続されている場合)に消費電力を抑えるものではなかった。
【0006】
例えば、無線コンバータ装置のようなデータ転送装置では、一方のデータ転送速度が低速であっても、他方のデータ転送速度を可能な限り高速なものとするため、無駄な電力を消費してしまう場合があった。
【0007】
そこで、この発明は、電力消費を最適化したデータ転送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデータ転送装置は、第1のデータ通信部と、第2のデータ通信部と、前記第1のデータ通信部および前記第2のデータ通信部を制御する制御部と、を備えている。そして、制御部は、いずれか一方のデータ通信部のデータ転送速度に応じて、他方のデータ通信部のデータ通信速度を制限することを特徴とする。
【0009】
このように、本発明のデータ転送装置は、低速のデータ通信部が存在する場合に、他のデータ通信部の速度を制限し、無駄な高速化処理を行わないように構成したことで、高速化処理に要する電力消費を抑えて、通信速度に対する電力消費を最適化することができる。
【0010】
また、制御部は、前記いずれか一方のデータ通信部の規格に応じて、他方のデータ通信部の規格を制限することが好ましい。例えば、一方のデータ通信部が、有線LANの10BASEでのみ動作する場合、他方のデータ通信部を無線LANのIEEE802.11a/b/gに制限する。逆に、一方のデータ通信部の規格が無線LANのIEEE802.11a/b/gでのみ動作する場合、他方のデータ通信部を有線LANの10BASEに制限する。
【0011】
また、制御部は、前記いずれか一方のデータ通信部の規格に応じて、他方のデータ通信部の並列処理数を制限することが好ましい。例えば、一方のデータ通信部が、有線LANの10BASEまたは100BASEでのみ動作する場合、他方のデータ通信部を無線LANのIEEE802.11nの2ストリーム(送信2チャネル×受信2チャネル)に制限する。
【0012】
また、逆に、制御部は、前記いずれか一方のデータ通信部の並列処理数に応じて、他方のデータ通信部の規格を制限することも可能である。例えば、一方のデータ通信部が無線LANのIEEE802.11nの2ストリーム(送信2チャネル×受信2チャネル)まで動作する場合、他方のデータ通信部を有線LANの100BASEに制限する。
【0013】
また、制御部は、前記いずれか一方のデータ通信部の実効速度の期待値に応じて、他方のデータ通信部のデータ転送速度を制限することも可能である。例えば、一方のデータ通信部が無線LANのIEEE802.11nの2ストリーム(送信2チャネル×受信2チャネル)であり、実効速度の期待値が150Mbps程度である場合、他方のデータ通信部を有線LANの100BASEに制限する。
【0014】
あるいは、制御部は、前記いずれか一方のデータ通信部の実効速度を測定し、当該測定した実効速度に応じて、他方のデータ通信部のデータ転送速度を制限することも可能である。
【0015】
なお、本発明は、第1のデータ通信部と、第2のデータ通信部と、制御部と、を備えた装置に実行されるプログラムでも実現可能である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、低速のデータ通信部が存在する場合に、他のデータ通信部の速度を制限し、無駄な高速化処理を行わないように構成したことで、高速化処理に要する電力消費を抑えて、最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】無線LANコンバータの構成を示すブロック図である。
図2】無線LANコンバータの動作を示したフローチャートである。
図3】有線LANと無線LANの各種規格、および並列処理の速度を比較した図である。
図4】有線LANを制限する場合の動作を示したフローチャートである。
図5】リンク速度に応じて有線LANを制限する場合の動作を示したフローチャートである。
図6】実効速度を測定する場合の動作を示したフローチャートである。
図7】実効速度の測定動作を示したフローチャートである。
図8】他のデータ転送装置の構成を示したブロック図である。
図9】USBのリンク速度に合わせて有線LANを制限する場合の動作を示したフローチャートである。
図10】USBのリンク速度に合わせて無線LANを制限する場合の動作を示したフローチャートである。
図11】SSDの構成を示したブロック図である。
図12】SSDのコントローラの動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明のデータ転送装置の一例として、無線LANコンバータの構成を示したブロック図である。無線LANコンバータは、無線LANと有線LANとを相互にデータ送受信可能とするデータ転送装置である。
【0019】
図1に示すように、無線LANコンバータ10は、CPU21、RAM22、フラッシュROM23、無線通信部24、および有線通信部25を備えている。
【0020】
CPU21は、本発明における制御部に相当し、フラッシュROM23に記憶されているファームウェア(プログラム)をワークメモリであるRAM22に展開し、無線LANコンバータ10の動作を統括的に制御する。
【0021】
無線通信部24は、アンテナや無線コントローラを内蔵し、無線LANの規格に準じて、他の無線通信機能を有した装置とデータ送受信を行う。無線通信部24が用いる規格としては、主にIEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n、およびIEEE802.11ac等がある。以下、これら規格名は、単に11a、11b、11g、11n、および11ac等と称する。
【0022】
また、無線通信部24が用いる周波数としては、主に5GHz帯(11a、11n、および11acで用いる。)および2.4GHz帯(11b、11g、および11nで用いる。)がある。また、無線通信部24は、同時に使用するアンテナ数が1本である1ストリーム(送信1チャネル×受信1チャネル:1×1と称する。)、同時に使用するアンテナ数が2本である2ストリーム(送信2チャネル×受信2チャネル:2×2と称する。)、または同時に使用するアンテナ数が3本である3ストリーム(送信3チャネル×受信3チャネル:3×3と称する。)のいずれかを用いて、並列処理を行う。ただし、11a、11b、11gの場合は、1ストリームのみを用い、11acの場合は、3ストリームを用いる。ただし、本実施形態で示す規格や周波数、チャンネル数は一例であり、例えばさらなる多チャンネル化処理も可能である。
【0023】
有線通信部25は、有線無線LANの規格に準じて、他の有線通信機能を有した装置とデータ送受信を行う。無線通信部24が用いる規格としては、主にIEEE802.3i(10BASE−T)、IEEE802.3u(100BASE−TX)、IEEE802.3ab(1000BASE−T)等がある。以下、これら規格名は、単に10BASE、100BASE、および1000BASE等と称する。
【0024】
これら無線通信部24または有線通信部25は、本発明における第1のデータ通信部または第2のデータ通信部に相当する。無線LANコンバータ10は、無線通信部24で受信したデータを有線通信部25から送信し、有線通信部25で受信したデータを無線通信部24から送信することで、無線LANと有線LANとを相互にデータ送受信可能とする。
【0025】
ここで、CPU21は、無線通信部24と有線通信部25とのデータ通信を制御することで、電力消費を効率化するものである。
【0026】
図2は、無線LANコンバータ10(CPU21)の動作を示したフローチャートである。CPU21は、電源がオンされたとき、ユーザの指示を受け付けたとき、あるいは所定時間経過毎に定期的にこの動作を行う。
【0027】
まず、CPU21は、有線LANのリンクがあるか否かを判断する(s11)。有線LANが接続されるまではこの判断を繰り返す。有線LANのリンクがあると判断した場合、有線LANのリンク速度が10BASEであるか否かを判断する(s12)。
【0028】
CPU21は、有線通信部25の有線LANのリンク速度が10BASEであると判断した場合、無線通信部24の無線LANで用いる規格を11a、11bまたは11gに制限する。
【0029】
図3は、有線LANと無線LANの各種規格、および並列処理の速度を比較した図である。図3の有線LANの欄における規格「10BASE」に示すように、有線LANのリンク速度が10BASEである場合、一般的に期待し得る最大のデータ転送速度(最大速度期待値)は、約10Mbpsである。一方で、図3の右欄に示すように、無線LANの11bにおける最大速度期待値は、5Mbps程度であり、有線LANよりもデータ転送速度が遅くなる。無線LANの11a/gにおける最大速度期待値は、20Mbps程度であり、有線LANよりもデータ転送速度が速くなる。また、無線LANの11nや11acは、全て有線LANよりもデータ転送速度が速くなる。
【0030】
したがって、無線LAN側が11a/g以上であれば、無線LAN側がボトルネックとなることはない。しかし、11n以上の高速な規格を用いたとしても、データ転送速度は、有線LANの10Mbps以上にはならない。したがって、CPU21は、有線LANの通信速度を超える無線LANの規格のうち、最も低速である11a/g以下に制限する。これにより、無線LANコンバータ10は、無駄な高速化処理を行わないため、高速化処理に要する電力消費を抑えて、効率化することができる。
【0031】
なお、仮に、データ転送量と消費電力が比例する場合、データ転送量が同じである限りは、無線LANの通信を制限したとしても、平均的な消費電力は変わらない可能性がある。しかし、11n等の高速な無線LANによる通信を行う場合、瞬間的に高速転送を行うため、ピーク消費電力が高くなる。ピーク消費電力が高くなると、各種電子部品の負荷が高くなる。したがって、無線LANを制限することで、各種電子部品の負荷を抑えることができる。これにより、例えば、電源回路の簡略化、価格抑制、あるいは寿命の延長にも効果が期待できる。
【0032】
一方、図2に示すように、CPU21は、有線通信部25の有線LANのリンク速度が10BASEではないと判断した場合、さらに、有線LANのリンク速度が100BASEであるか否かを判断する(s14)。CPU21は、有線通信部25の有線LANのリンク速度が100BASEであると判断した場合、無線通信部24の無線LANで用いる規格を11n(2×2)に制限し(s15)、有線通信部25の有線LANのリンク速度が100BASEではないと判断した場合、無線通信部24の無線LANで用いる規格を制限しない(s16)。
【0033】
図3の有線LANの欄における規格「100BASE」に示すように、有線LANのリンク速度が100BASEである場合、最大速度期待値は、約100Mbpsである。したがって、CPU21は、有線LANの通信速度を超える無線LANの規格のうち、最も低速である11n(2×2)以下に制限する。
【0034】
また、図3の有線LANの欄における規格「1000BASE」に示すように、有線LANのリンク速度が1000BASEである場合、最大速度期待値は、約1000Mbpsである。この場合、有線LANの通信速度を超える無線LANの規格が存在しない。したがって、CPU21は、無線LANの規格を制限することなく、この場合、最大速度期待値が800Mbps程度である11ac(3×3)まで含めて全て有効とする。
【0035】
次に、図4は、有線LANを制限する場合の動作を示したフローチャートである。この動作についても、電源がオンされたとき、ユーザの指示を受け付けたとき、あるいは所定時間経過毎に定期的に行う。
【0036】
まず、CPU21は、無線LANのリンクがあるか否かを判断する(s21)。無線LANが接続されるまではこの判断を繰り返す。無線LANのリンクがあると判断した場合、当該無線LANのリンクで用いられている規格が11bであるか否かを判断する(s22)。
【0037】
CPU21は、無線LANのリンクで用いられている規格が11bであると判断した場合、有線通信部25で用いる規格を10BASEに制限する(s23)。すなわち、図3に示したように、無線LANの11bにおける最大速度期待値は、5Mbps程度であり、有線LANが10BASEであっても有線LAN側がボトルネックとなることはない。したがって、CPU21は、無線LANの通信速度を超える有線LANの規格のうち、最も低速である10BASEの規格に制限する。
【0038】
一方で、CPU21は、無線LANのリンクで用いられている規格が11bではないと判断した場合、さらに、無線LANのリンクで用いられている規格が11n(1×1)以下であるか否かを判断する(s24)。CPU21は、無線LANのリンクで用いられている規格が11n(1×1)以下であると判断した場合、有線通信部25で用いる規格を100BASEに制限し(s25)、無線LANのリンクで用いられている規格が11n(1×1)以下ではない、すなわち11n(2×2)以上であると判断した場合、1000BASEを使用する(s26)。
【0039】
図3に示したように、無線LANの11n(1×1)以下である場合、最大速度期待値は、70Mbps程度であり、有線LANが100BASEであっても有線LAN側がボトルネックとなることはない。無線LANの11n(2×2)では、最大速度期待値は、150Mbps程度であり、有線LANの100BASEの最大速度期待値を超える。したがって、CPU21は、無線LAN側が11n(1×1)以下であると判断した場合、有線通信部25で用いる規格を100BASEに制限し、11n(2×2)以上であると判断した場合、1000BASEを使用する。
【0040】
特に、有線LANは、規格によっては、データ通信の有無に関わらず、一定の電力を消費し、かつリンク速度が高いほど、電力の消費が高くなる。したがって、無線LANコンバータ10は、有線LAN側の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0041】
なお、図2および図4に示した動作は、少なくともいずれか1つのみ行うことも可能であるし、両方を行うことも可能である。
【0042】
また、図4の動作に代えて、図5に示すような動作を行うことも可能である。図5は、リンク速度に応じて有線LANを制限する場合の動作を示したフローチャートである。この動作についても、電源がオンされたとき、ユーザの指示を受け付けたとき、あるいは所定時間経過毎に定期的に行う。
【0043】
まず、CPU21は、無線LANのリンクがあるか否かを判断する(s31)。無線LANが接続されるまではこの判断を繰り返す。無線LANのリンクがあると判断した場合、当該無線LANのリンク速度が40Mbps未満であるか否かを判断する(s32)。例えば、11bのリンク速度は11Mbpsであり、11aおよび11gのリンク速度は54Mbpsである。一般に、無線LANは、理論的にリンク速度の半分程度の速度までしか発揮できず、実効速度としては、さらに低速となる。すなわち、無線LANのリンク速度が40Mbps未満であれば、有線LANが10BASEであっても有線LAN側がボトルネックとなる可能性が低い。したがって、CPU21は、無線LANのリンク速度が40Mbps未満である場合、有線通信部25で用いる規格を10BASEに制限する(s33)。
【0044】
一方で、CPU21は、無線LANのリンク速度が40Mbps以上であると判断した場合、さらに、無線LANのリンク速度が200Mbps未満であるか否かを判断する(s34)。CPU21は、無線LANのリンク速度が200Mbps未満であると判断した場合、有線通信部25で用いる規格を100BASEに制限し(s35)、無線LANのリンク速度が200Mbps未満ではない、すなわち200Mbps以上であると判断した場合、1000BASEを使用する(s36)。
【0045】
例えば、11n(1×1)のリンク速度は150Mbpsであり、11n(2×2)のリンク速度は300Mbpsである。また、11n(3×3)のリンク速度は450Mbpsであり、11ac(3×3)のリンク速度は1300Mbpsである。
【0046】
このように、図4の動作に代えて、図5に示すような動作を行う場合でも、無線LANコンバータ10は、有線LAN側の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0047】
また、無線LANコンバータ10は、図6および図7に示すような動作を行うことも可能である。図6は、実効速度を測定する場合の動作を示したフローチャートである。この動作についても、電源がオンされたとき、ユーザの指示を受け付けたとき、あるいは所定時間経過毎に定期的に行う。
【0048】
まず、CPU21は、無線LANのリンクがあるか否かを判断する(s41)。無線LANが接続されるまではこの判断を繰り返す。無線LANのリンクがあると判断した場合、当該無線LANのスループットを測定する(s42)。
【0049】
図7は、実効速度の測定動作を示したフローチャートである。同図左側が無線LANコンバータ10の動作を示すフローチャートであり、同図右側は、通信先の機器(以下、親機と言う。)の動作を示すフローチャートである。
【0050】
まず、無線LANコンバータ10は、親機に測定要求を送信する(s51)。親機は、当該測定要求を受信し(s52)、正常受信した旨(ACK)を返答する(s53)。無線LANコンバータ10は、ACKを受信し(s54)、測定用パケットを送信する(s55)。
【0051】
親機は、当該測定用パケットを受信すると(s56)、応答を送信する(s57)。無線LANコンバータ10は、当該応答を受信し(s58)、送信スループットを記録する(s59)。その後、無線LANコンバータ10は、ACKを返答する(s60)。
【0052】
親機は、ACKを受信すると(s61)、測定用パケットを送信する(s62)。無線LANコンバータ10は、当該測定用パケットを受信し(s63)、受信スループットを記録する(s64)。
【0053】
このようにして、CPU21は、無線LANの実効速度を測定する。図6に示すように、CPU21は、当該測定が終了すると、当該実効速度が10Mbps以下であるか否かを判断する(s43)。CPU21は、実効速度が10Mbps以下である場合、有線通信部25で用いる規格を10BASEに制限する(s44)。
【0054】
一方で、CPU21は、実効速度が10Mbpsを超えると判断した場合、さらに、実効速度が100Mbps以下であるか否かを判断する(s45)。CPU21は、実効速度が100Mbps以下であると判断した場合、有線通信部25で用いる規格を100BASEに制限し(s46)、実効速度が100Mbpsを超えると判断した場合、1000BASEを使用する(s47)。
【0055】
このように、無線LANコンバータ10は、実効速度に応じて、高精度に無駄な電力消費を抑えることもできる。
【0056】
なお、起動時に図6および図7に示す動作を行ってもよいが、例えば起動時にはまず図4(または図5)に示す動作を行い、その後、所定時間経過毎に定期的に図6に示す動作を行うことで、動的な制御を実現することも可能である。あるいは、例えば起動時にはまず1000BASEを使用し、その後、所定時間経過毎に定期的に図6に示す動作を行うことで、動的な制御を実現することも可能である。
【0057】
次に、図8は、他のデータ転送装置の構成を示したブロック図である。図8(A)は、USB−有線LANコンバータ10Aの構成を示すブロック図であり、図8(B)は、USB−無線LANコンバータ10Bの構成を示すブロック図である。いずれも、図1に示した無線LANコンバータ10と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
まず、図8(A)に示すように、USB−有線LANコンバータ10Aは、無線LANコンバータ10のCPU21およびRAM22に代えてコントローラ201を備え、無線通信部24に代えてUSBコネクタ35を備えている。USB−有線LANコンバータ10Aは、USBコネクタ35で受信したデータを有線通信部25から送信し、有線通信部25で受信したデータをUSBコネクタ35から送信することで、USBと有線LANとを相互にデータ送受信可能とする。
【0059】
USBで用いられる規格としては、主にUSB1.0、USB1.1、USB2.0、およびUSB3.0がある。リンク速度としては、LowSpeed(1.5Mbps)、FullSpeed(12Mbps)、HighSpeed(480Mbps)、およびSuperSpeed(5000Mbps)がある。
【0060】
図9は、USBのリンク速度に合わせて有線LANを制限する場合の動作を示したフローチャートである。まず、コントローラ201は、USBのリンクがあるか否かを判断する(s71)。USBが接続されるまではこの判断を繰り返す。USBのリンクがあると判断した場合、当該USBのリンク速度がLowSpeedまたはFullSpeedであるか否かを判断する(s72)。例えば、FullSpeedの実効速度は、10Mbps程度である。したがって、USBのリンク速度がLowSpeedまたはFullSpeedであれば、有線LANが10BASEであっても有線LAN側がボトルネックとなることはない。したがって、コントローラ201は、USBのリンク速度がLowSpeedまたはFullSpeedである場合、有線通信部25で用いる規格を10BASEに制限する(s73)。
【0061】
一方で、コントローラ201は、USBのリンク速度がLowSpeedまたはFullSpeedではないと判断した場合、さらに、USBのリンク速度がHighSpeedであるか否かを判断する(s74)。コントローラ201は、USBのリンク速度がHighSpeedであると判断した場合、有線通信部25で用いる規格を100BASEに制限し(s75)、USBのリンク速度がHighSpeedではない、すなわちSuperSpeedであると判断した場合、1000BASEを使用する(s76)。
【0062】
例えば、HighSpeedの実効速度は、最大でも100Mbps未満である。したがって、USBのリンク速度がHighSpeedであれば、有線LANが100BASEであっても有線LAN側がボトルネックとなる可能性が低い。
【0063】
このように、USB−有線LANコンバータ10Aも、有線LAN側の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0064】
なお、図9に示したコントローラ201の動作は、USB−有線LANコンバータ10Aが接続される情報処理装置(PC)側の制御部(ドライバ等)により行うことも可能である。
【0065】
一方、図8(B)に示すように、USB−無線LANコンバータ10Bは、無線LANコンバータ10のCPU21およびRAM22に代えてコントローラ201を備え、有線通信部25に代えてUSBコネクタ35を備えている。USB−無線LANコンバータ10Bは、USBコネクタ35で受信したデータを無線通信部24から送信し、無線通信部24で受信したデータをUSBコネクタ35から送信することで、USBと無線LANとを相互にデータ送受信可能とする。
【0066】
図10は、USBのリンク速度に合わせて無線LANを制限する場合の動作を示したフローチャートである。まず、コントローラ201は、USBのリンクがあるか否かを判断する(s81)。USBが接続されるまではこの判断を繰り返す。USBのリンクがあると判断した場合、当該USBのリンク速度がLowSpeedまたはFullSpeedであるか否かを判断する(s82)。例えば、FullSpeedの実効速度は、10Mbps程度であるため、無線LANが11a、11b、または11gであっても、無線LAN側がボトルネックとなることはない。したがって、コントローラ201は、USBのリンク速度がLowSpeedまたはFullSpeedである場合、無線通信部24で用いる規格を11a、11b、または11gに制限する(s83)。
【0067】
一方で、コントローラ201は、USBのリンク速度がLowSpeedまたはFullSpeedではないと判断した場合、さらに、USBのリンク速度がHighSpeedであるか否かを判断する(s84)。コントローラ201は、USBのリンク速度がHighSpeedであると判断した場合、無線通信部24で用いる規格を11n(2×2)に制限し(s85)、USBのリンク速度がHighSpeedではない、すなわちSuperSpeedであると判断した場合、無線LAN側の制限は行わない(s86)。
【0068】
HighSpeedの実効速度は、最大でも100Mbps未満であり、11n(2×2)の最大実効速度期待値は、150Mbps程度である。したがって、無線LANが11n(2×2)であっても無線LAN側がボトルネックとなる可能性が低い。
【0069】
このように、USB−無線LANコンバータ10Bも、無線LAN側の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0070】
なお、図10に示したコントローラ201の動作も、USB−無線LANコンバータ10Bが接続されるPC側の制御部(ドライバ等)により行うことも可能である。
【0071】
次に、図11は、本発明のデータ転送装置の応用例であるSSDの構成を示したブロック図である。SSD50は、コントローラ31、キャッシュメモリ32、記憶部33、およびSATAインタフェース(I/F)39を備えている。
【0072】
コントローラ31は、SSD50を統括的に制御する制御部である。コントローラ31は、SATAI/F39で受信したライトリクエストおよびデータに基づいて、記憶部33にデータを書き込む。また、コントローラ31は、SATAI/F39で受信したリードリクエストに対して、記憶部33からデータを読み出し、SATAI/F39から送信する。
【0073】
この実施形態では、SATAI/F39が本発明における第1のデータ通信部に相当し、コントローラ31が本発明における制御部および第2のデータ通信部に相当する。
【0074】
ここで、記憶部33は、複数のフラッシュROM301〜304を備えている。コントローラ31は、並列書き込み処理または並列読み出し処理を行うことで、データ転送速度を高速化させる処理を行う。
【0075】
しかし、記憶部33とのデータ転送速度が並列か処理により高速化されたとしても、SATAI/F39側のデータ転送速度がボトルネックになり、無駄な高速化処理を行う場合もある。
【0076】
そこで、この実施形態では、SATAI/F39側のデータ転送速度に応じて、並列処理を制限する動作を行う。
【0077】
図12は、コントローラ31の動作を示したフローチャートである。まず、コントローラ31は、SATAのリンクがあるか否かを判断する(s91)。SATAが接続されるまではこの判断を繰り返す。SATAのリンクがあると判断した場合、当該SATAのリンク速度が1.5Gbpsであるか否かを判断する(s92)。SATAのリンク速度が1.5Gbpsであれば、並列処理をオフにする(s93)。なお、この例では、並列処理をオフした場合に、記憶部33とのデータ転送速度が1.5Gbpsを超えるものとして説明するが、並列処理をオフした場合に、記憶部33とのデータ転送速度が1.5Gbps未満となる場合には、例えば並列処理数を制限する動作を行う。
【0078】
一方で、コントローラ31は、SATAのリンク速度が1.5Gbpsではないと判断した場合、さらに、SATAのリンク速度が3.0Gbpsであるか否かを判断する(s94)。コントローラ31は、SATAのリンク速度が3.0Gbpsであると判断した場合、並列処理を制限する(s95)。例えば、最大のチャンネル数が4チャンネルであっても、2チャンネルに制限する。この例では、並列処理を2チャンネルに制限した場合でも、記憶部33とのデータ転送速度が3.0Gbpsを超えるものとして説明するが、2チャンネルに制限した場合に、記憶部33とのデータ転送速度が3.0Gbps未満となる場合には、例えば3チャンネルに制限する動作を行う。
【0079】
一方で、コントローラ31は、SATAのリンク速度が3.0Gbpsではないと判断した場合、並列処理の制限は行わない(s96)。例えば、SATAのリンク速度が6.0Gbpsである場合には、並列処理の制限は行わない。
【0080】
以上のように、SSDのようなデータ転送装置においても、無駄な高速化処理を行わずに、高速化処理に要する電力消費を抑えて、効率化することができる。
【0081】
なお、図12に示したコントローラ31の動作も、SSD50が接続されるPC側の制御部(ドライバ等)により行うことも可能である。
【符号の説明】
【0082】
10…無線LANコンバータ
21…CPU
22…RAM
23…フラッシュROM
24…無線通信部
25…有線通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12