【実施例1】
【0020】
図1は、本発明実施例1に係り、(A)は、バルブ可動体により給気吐出口が正しく閉止された状態の一部省略の断面図、(B)は、バルブ可動体が一時的に傾いた状態の一部省略の断面図、
図2は、バルブ基部を示す概略断面図、
図3は、給気吐出口部分の断面図、
図4は、給気吐出口部分の変形例に係る断面図、
図5は、給気吐出口部分の他の変形例に係る断面図である。
【0021】
図1の本実施例の逆止弁1も、基本的な構造は
図7、
図8の逆止弁109と同様であり、又取り付け位置も
図6の首掛け式救命具101の給気パイプ107に同様に取り付けられる。したがって、本実施例も、首掛け式救命具101については
図6を用いる。
【0022】
図1のように、本実施例の逆止弁1も、バルブ・ハウジング3とバルブ可動体5とスプリング7とを備えている。
【0023】
バルブ・ハウジング3は、給気吸入口9側の筒状のバルブ・ガイド11及び給気吐出口13からテーパー状に広がるバルブ・シート15を備えている。
【0024】
バルブ可動体5は、バルブ基部17とバルブ・ステム19とパッキン21とからなっている。
【0025】
図2のように、バルブ基部17は、バルブ・ステム19の軸方向の一端部に4枚の羽根部23を放射方向へ配置して構成したものである。バルブ基部17は、4枚の羽根部23においてバルブ・ガイド11内に筒軸方向に移動可能に支持ガイドされている。このバルブ基部17は、4枚の羽根部23間において、給気吸入口9側から給気吐出口13側への給気流通を可能とする給気通路25を構成する。
【0026】
バルブ・ステム19は、バルブ基部17から給気吐出口13側へ延設されている。
【0027】
弾性封止部としてのパッキン21は、ゴムなどの弾性体で形成され、バルブ・ステム19の他端部に取り付けられている。このパッキン21は、外周縁21aがバルブ・シート15に接離するようになっている。外周縁21aがバルブ・シート15に弾接して給気吐出口13を閉止する。
【0028】
スプリング7は、バルブ基部17とバルブ・ハウジング3との筒軸方向間に介設されバルブ可動体5を給気吸入口9側へ付勢してパッキン21をバルブ・シート15に弾接させるものである。
【0029】
一方、本発明実施例の特徴的な部分は、バルブ可動体5が、パッキン21に隣接して備えた肩部27を備え、この肩部27に被ガイド周縁部29を備えている。
【0030】
肩部27は、パッキン21取り付け用の頭部31及び首部33に連続して形成され、断面円形に形成され、
図1、
図3のように、給気吐出口13に筒軸方向へ離脱移動可能且つ通気可能に嵌合する。
【0031】
バルブ可動体5は、肩部27が給気吐出口13に通気可能に嵌合する構造として、肩部27が給気吐出口13に遊嵌する構造とした。つまり、肩部27と給気吐出口13との間に適度な隙間35形成されている。給気吐出口13は、内周面を備え、肩部27を安定的にガイドするようになっている。
【0032】
肩部27が給気吐出口13に通気可能に嵌合する構造としては、その他、
図4のように肩部27に筒軸方向の溝37を形成し、或いは
図5のように給気吐出口13に筒軸方向の溝39を形成する構造としてもよい。
【0033】
被ガイド周縁部29は、パッキン21に対して肩部27の筒軸方向反対側の端部に形成されている。被ガイド周縁部29は、バルブ可動体5の肩部27が給気吐出口13外から給気吐出口13に嵌合するように移動するとき、パッキン21の外周縁21aと先にバルブ・シート15に当接してガイドされるようになっている。被ガイド周縁部29とバルブ・シート15との間の摩擦係数は、パッキン21とバルブ・シート15との間の摩擦係数よりも低く形成され、被ガイド周縁部29がバルブ・シート15に当接すると容易に滑るように構成されている。このため、被ガイド周縁部29側を含むバルブ・ステム19は、樹脂などで形成されている。被ガイド周縁部29がバルブ・シート15に当接すると容易に滑る限り、バルブ・ステム19側の材質は限定されず、金属、その他で形成することもできる。
【0034】
図1のように、被ガイド周縁部29からバルブ・ステム19に至ってテーパー部41が形成されている。このテーパー部41のテーパー率は、バルブ・シート15と同等に形成されている。ただし、テーパー部41のテーパー率は、バルブ・シート15よりも大きく、又は小さく形成することもできる。
【0035】
したがって、装着者が、給気パイプ107(
図6)をくわえ、逆止弁1の給気吸入口9側から息を矢印Aのように吹き込むと給気通路25を通る給気が給気吐出口13からパッキン21に到達する。この給気の到達によりパッキン21が圧力を受け、スプリング7の付勢力に抗してバルブ可動体5が筒軸方向に移動し、パッキン21の外周縁21aとバルブ・シート15との間から給気が気室103(
図6)内へ供給され、気室103が膨張する。
【0036】
気室103内の空気圧Pがパッキン21に作用すると、
図1(A)のようにパッキン21の外周縁21aがバルブ・シート15に密着し逆止弁として機能する。
【0037】
バルブ可動体5が傾いて移動するとき、本実施例においては、
図1(B)のように被ガイド周縁部29及びテーパー部41がバルブ・シート15に当接してガイドされ、肩部27の外周が給気吐出口13に嵌合し、
図1(A)の状態となる。
【0038】
したがって、バルブ可動体5が傾いた状態のままパッキン21の外周縁21aがバルブ・シート15に密着固定されることはなく、パッキン21の外周縁21aをバルブ・シート15に正しく密着させることができる。
【0039】
[その他]
逆止弁1は、ウエストポーチ式救命具、その他の救命具、救命具以外のものにも同様に採用可能である。
【0040】
被ガイド周縁部29は、バルブ可動体5の肩部27が給気吐出口13外から給気吐出口13に嵌合するように移動するとき、パッキン21の外周縁21aよりも先にバルブ・シート15に当接してガイドされるものであれば、形状等は特に限定されない。
図1(B)の状態で、被ガイド周縁部29のみがバルブ・シート15にガイドされる構造でもよい。