(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。
図1はシート断裁装置Aの全体構成を示している。図示の装置は装置フレーム1と、切断するシート束Sを支持する支持面2と、上流側から送られたシート束Sを支持面2に案内する搬送ガイド手段6と、支持面2にシート束Sを押圧して保持するシート押さえ手段10と、シート束Sを一端から他端に走行する断裁刃21,22を有する断裁手段20と、この断裁刃を支持するホルダ部材23,24と、ホルダ部材を所定の走行ストロークStで往復動するように案内する走行ガイド18,28と、上記ホルダ部材23,24を往復動する切断動作駆動手段40で構成されている。
【0021】
そして上流側から送られたシート束Sを搬送ガイド手段6で支持面2に案内して所定の切断位置Cpにセットし、このシート束Sをシート押さえ手段10で押圧して支持面上に支持し、その状態でシート束Sの一端から他端に断裁刃21,22を走行させて切断する。
切断した後には搬送ガイド手段6を切断紙片の落下を妨げない位置に退避させて、切断紙片を屑ボックス(不図示)に収納する。
【0022】
上記「装置フレーム1」は、左右一対の側枠フレーム1a、1bと、この両フレーム間を連結する上部ベースフレーム1cと下部ベースフレーム1dで構成されている。
【0023】
上記「支持面2」は、シートを載置する紙載台3若しくは、紙載台上に載置されたシート束Sの上面を規制する基台(後述するシート押圧部材)に形成される。
そしてシート束Sの下面又は上面を規制して断裁する基準面を形成する。図示の装置はシート下面を載置する紙載面を支持面2として、切断するシート束Sを規制する基準面を構成している(以下「支持面を紙載面」と云う)。
【0024】
図1に示すように紙載面2を有する紙載台3は下部ベースフレーム1dに固定され、シート束Sを支持するプレート部材で構成されている。この支持面2を有する紙載台3は切断する最大シートサイズの切断長Lsより長く形成されている。
そして、この切断長Lsより後述する断裁刃21,22の走行ストロークStは長く形成される。
【0025】
また上記紙載台3は支持面2をフラットな平面に形成しても、図示のように後述するシート押さえ手段10と対向する位置に突起状の受け座部4を設けてもいずれでもよい。図示の受け座4は後述するシート押さえ手段10との間でシート束を確実に挟持するためである。
【0026】
上記「断裁手段20」は、その構造は後述するが紙載面2に設定された所定の切断位置Cpに載置セットされたシート束Sを、シート押さえ手段10で押圧して保持し、その状態で一端から他端に走行する断裁刃21,22で断裁する。
このため、断裁手段20は、断裁刃21,22と、この断裁刃を保持するホルダ部材23,24と、このホルダ部材を切断線に沿って所定の走行ストロークStで往復動可能に案内する走行ガイド18,28と、で構成されている。
【0027】
そして後述する切断動作駆動手段40で上記ホルダ部材23,24に支持された断裁刃21,22を紙載面2に設定された切断線に沿って移動する。
すると紙載面2に載置されたシート束Sは一端から他端に徐々に切断され、その断裁紙片は紙載面2の下方に落下する。
【0028】
上記「シート押さえ手段10」は、前記紙載面2と対向する加圧面11xを有する加圧プレート11と、この加圧プレートをシート束Sの束厚さ方向(
図1上下方向;以下同様)に昇降するプレス動作駆動手段13で構成されている。
プレス動作駆動手段13は、この加圧プレート11を加圧面11xが紙載面2に接近する加圧方向と、離間する退避方向に昇降する。このプレス動作駆動手段13の構造については後述する。
【0029】
上記「搬送ガイド手段6」は、上記紙載面2にシート束Sを給送する上流側に配置され、紙載面2にシート束を案内する。このためガイド面7はフラットな平面で紙載面2に隣接してその上流側に配置される。
図示のものは、左右側枠フレーム1a、1bに揺動回転軸8が軸受支持され、この揺動回転軸8に搬送ガイド部材(ガイドプレート)9が一体的に固定され、その表面にガイド面7が形成されている(
図1参照)。
【0030】
[断裁刃構造]
断裁刃構造について
図6及び
図7に従って説明する。断裁刃は、刃先が互いに交差した第1切断刃21と第2切断刃22で構成されている。これは紙載面上のシート束Sを切断する際に、シート深さ方向の切刃を有する第1切断刃(上刃21)と、紙載面2に当接する数枚の下層シートを切断するためメイン切断刃21と所定角度(β;90度以下)で交差する第2切断刃(下刃22)を必要とするためである。
【0031】
第1切断刃21と第2切断刃22とはそれぞれの刃先が交差(図示β角度)させる。この角度は鋭角度に設定するか、直角度に設定する。第1切断刃21と第2切断刃22はその一方は他方より剛性が高くなるように形成する。
例えば第1切断刃21を第2切断刃より体積を大きく、刃厚さを厚く、或いはリブなどで断面係数が高くなるように設定すると第1と切断刃第2切断刃より剛性が高く設定される。この場合に第1切断刃21の刃厚さを厚く、第2切断刃を薄く形成し、薄い第2切断刃をシート束Sの切断端面と接近する側に、刃厚さが厚い切断刃(第1切断刃21;上刃)をシート束Sの切断端面から離れた側で両刃先を重ね合せることが好適である。図示のものは、第1第2切断刃を第1の刃厚さ(k1)で構成している
【0032】
また、刃厚さの厚い切断刃21に、刃厚さの薄い切断刃22を直接またはホルダ部材を介して一体的に連結している。
つまり剛性の強い刃先(変形しにくい刃先)に、剛性の弱い刃先(変形しやすい刃先)を固定して一体化している。図示のものは上刃(第1切断刃)21を下刃(第2切断刃)22より厚く構成し、上刃21の先端に下刃22をビス25で固定している。
【0033】
第1切断刃21と第2切断刃22は、一方は非円形状の刃先を有する平板刃(図示のものは直線形状の刃先を有する上刃21)で、他方は略円形状の刃先を有する回転刃(図示のものは下刃22)で構成している。そして回転刃22は走行方向(
図7(a)矢印方向)と反対方向に回転可能に連結している。
このような連結は第1切断刃21に第2切断刃22を回転軸で回転可能に締結ビスで連結するか、図示のように下刃(第2切断刃)22を取り付ける下刃ホルダ部材24を設け、この下刃ホルダを上刃(第1切断刃)21に固定(図示のものはビス固定)する。そして下刃ホルダ部材24に回転刃22を回転可能に軸支持する。
【0034】
その構成を
図4(b)に従って説明すると、下刃ホルダ部材24には、軸受孔24xが設けてあり、この孔にカラー部材27aが回転可能に嵌合してある。そしてカラー部材227aにはコイルスプリング30(弾性部材)が巻廻してあり、その弾圧力がワッシャプレート27bを介して下刃22に作用するようになっている。
上記カラー部材27aは回転刃の中心孔に圧入固定してある。また上記ワッシャプレート27bには突起状のペーパ27zが形成してあり、バネの力が下刃22と上刃21の重なり部に強く作用するようになっている。
【0035】
上記第1切断刃21と第2切断刃22の連結は、その一方に弾性部材30(スプリング、エラストマーなど)を配置して互いに圧接するように構成する。図示のものは下刃ホルダ24に回転軸27を設け、この回転軸に巻回したコイルスプリング30で下刃(第1切断刃)21を上刃(第2切断刃)22に弾性で圧接するのと同時に回転可能に支持している。
【0036】
本発明は、平板刃21と回転刃22を互いに重ね合わせて両刃を走行方向に一体的に移動して紙載台3上のシート束Sを切断する切断方法において、回転刃22を走行方向と反対方向に回転可能に配置することを特徴としている。
【0037】
このとき
図7(a)(c)に示すように第1切断刃(上刃)21と第2切断刃(下刃)22の重ね合わせた隙間(L1,L2)に紙粉(シートに付着している紙粉及び切断過程で生じた紙粉)が進入する。この紙粉の侵入が進むと切断不能に陥る。
このため切断刃間の隙間に進入した紙粉が蓄積され、詰まるのを防ぐために平板刃(上刃)の一部をカットし、両刃先の重なり面積が最小限度となるように設定している。図示の装置の上刃と下刃の刃先の重なり部を1mm幅(21v)に設定している。(
図7(a)参照)
【0038】
上述の断裁刃21,22は紙載面上のシートを一端から他端に一方向に移動するとき切断動作を実行するように刃先を形成するか、或いは移動する双方向で切断動作を実行するように刃先を形成する。
図6及び
図7に示す装置は、平板刃で構成した上刃(第1切断刃)21に同図右方向(往方向)に移動(走行)するときの往方向刃先21Rと、同図左方向(復方向)に移動(走行)するときの復方向刃先21Lを形成し、各刃先(線)はシート束の紙面に対して角度α(α<90度)で傾斜させている。
これによって断裁方向に走行する上刃(第1切断刃)21の刃先からシート束の各紙葉は紙載面側に押し下げられるような作用力を受ける。(これに対して後述する下刃(第2切断刃)22は、シート束の各紙葉を迫り上げるような作用力を働かせる)
【0039】
上述の上刃(第1切断刃)21に対し、下刃(第2切断刃)22は、略円形状の刃先(円弧状刃先)を有する回転刃で構成されている。
そして往方向刃先21Rと交差する円弧状刃先22Rを有する往方向回転刃22aと、復方向刃先21Lと交差する円弧状刃先22Lを有する復方向回転刃22bが回転可能に配置されている。この回転刃22a、22bは同一形状同一の構造であるためその一方について説明する。
【0040】
上述の下刃(第2切断刃)22は、往方向回転刃22aと復方向回転刃22bで構成され、それぞれの刃先は円形状若しくは円弧形状に形成され、上刃(第1切断刃)21の往方向刃先と角度+βで、復方向刃先と角度−βで交差する位置に配置されている。
そして回転軸27に回転可能に軸支持され、上刃と圧接する方向に付勢スプリング(図示のものはコイルばね)30で付勢している。
【0041】
そして図示実施形態では、下刃(第2切断刃)22は上刃(第1切断刃)21より刃厚さが薄く形成して有り、この下刃側がシート束Sの切断端面と接するように上刃と重ならせている。
図6(a)においてシート束の中央部から切断端面S1、下刃の刃面22R、上刃の刃面21Rの順に配置され、下刃(第2切断刃)22は上刃(第1切断刃)21に回転可能な状態で固定されている。
つまり上刃(第1切断刃)21は後述する上刃ホルダ部材23(第1ホルダ部材;以下同様)に取り付けられ、下刃(第2切断刃)22は下刃ホルダ部材24(第2ホルダ部材;以下同様)に取り付けられ、そして下刃ホルダ部材24は、上刃21のブレード部に固定されている。
【0042】
また、上刃(第1切断刃)21と下刃(第2切断刃)22とは、支持面上のシート束の厚さ方向(Sh)において、上刃21の刃先長さ(Cj1)は長く、下刃22の刃先長さ(Cj2)は短くなる高さ位置(Cj2>Cj1)に配置してある。
なおここで「刃先長さ」とは紙載面上に許容最大束厚さのシート束Sを切断するときにシートを切断する有効切断長さをいう。図示のものは最大切断厚さを例えば30mmに設定するときに上刃(第1切断刃)21の刃先長さを28mm〜29.9mm程度に設定し、下刃(第2切断刃)22を0.1mm〜2mmに設定する。
【0043】
これによって下刃(第2切断刃)22が切断するシートは紙載面2の最下シートと、その上の数枚のシートとなる。このとき紙載面2と下刃(第2切断刃)22との間に形成される段差は、ゼロから1〜2mm程度に設定する。
つまり下刃(第2切断刃)22は紙載面2と同一の高さ位置(面一)に配置されても、若干高い位置に配置しても良いが、図示の実施形態では下刃(第2切断刃)22を紙載面2より高くシート束の最下層紙の数枚を切断する段差を形成するようにしている。
【0044】
図6(a)に従って上述の切断刃21,22よるシート束の切断メカニズムについて説明する。紙載面2上に支持されたシート束Sはシート押さえ手段10によって姿勢を保持されている。そして平板形状の上刃(第1切断刃)21は、下刃(第2切断刃)22と一体に連結された状態でシート束の一端(切断開始端Cs)から他端(切断終了端Ce)に向かって移動する動作でシート束Sを切断する。
【0045】
同図矢印方向(右向き方向)に移動する上刃21からシート束Sには同
図Fxの力が作用する。この力はシート束の各紙葉を剪断する方向の分力Fyと、紙載面2側に押圧する方向の分力Fzが作用する。
【0046】
また、下刃(第2切断刃)22を同図矢印方向(右向き方向)に移動すると、上刃21によって剪断されたシート束の切断端面S1と下刃22との間には摩擦力Frが生起される。この摩擦力は、下刃22を同図矢印a方向に回転させる。
この回転刃の回転で下刃22と接する紙葉には接線方向の力Fnが作用し、紙葉を上刃21の刃先方向に迫り上げる力が作用する。
この回転刃の回転による力は、上刃21と下刃22の隙間に進入したシートを進行方向反対側に引き剥がすように作用する。
【0047】
つまり、上刃(第1切断刃)21と下刃(第2切断刃)22の隙間に一旦進入した紙片が、下刃22の回転力で隙間の奥深くに詰め込まれることがなく紙片を隙間から引き剥がす方向に回転力が作用する。
このことは上刃21と下刃22との交差部の切断機能が刃欠け、紙粉などで低下して切断不能紙片が間隙に侵入することに原因する切断ジャム、と切断品位の低下を招くことがない。
【0048】
以上の理由から、下刃(第2切断刃)22を構成する回転刃は、その曲率が紙載面2上の最下紙を迫り上げるような曲率(
図6(a)θ)であることが好ましい。また、下刃22は回転体に限らずブーメラン形状の切り刃であっても良い。
【0049】
[断裁刃の走行機構]
図2に従って断裁刃21,22の走行機構について説明する。装置フレーム1には紙載面2の断裁線に沿って平行に上部ガイド部材18(第1走行ガイド)と下部ガイド部材28(第2走行ガイド)が配置されている。
上部ガイド部材18には、上刃ホルダ部材23が摺動可能に嵌合され、下部ガイド部材28には下刃ホルダ部材24が摺動可能に嵌合されている。上部ガイド部材18と下部ガイド部材28は互いに平行に配置され、紙載面2に設定された切断線に沿って平行移動するように配設されている。
【0050】
図示の装置は上部ガイド部材18を断面円形状のガイドロッドで、下部ガイド部材28は、断面凹溝形状のガイドレールで構成されている。
そして上刃ホルダ部材23にはガイドロッド(上部ガイド部材)18に係合する嵌合部23xが、下刃ホルダ部材24にはガイドレール(下部ガイド部材)28に係合する嵌合部が形成されている。
【0051】
図4(a)は、上部ガイド部材18に嵌合した上刃ホルダ部材23と、下部ガイド部材28に嵌合した下刃ホルダ部材24が示され、上刃ホルダ部材23に固定された上刃ブレード(第1切断刃)21と、下刃ブレード(第2切断刃)22を固定した下刃ホルダ部材24とは、一体的に連結されている。
従って上刃ホルダ部材23及び上刃ブレード21と、下刃ホルダ部材24及び下刃ブレード22は、一体的に連結された断裁刃ユニット20を構成している。
そしてこの断裁刃ユニット20は、上下切断刃21,22を一体的に連結された状態で上部ガイド部材18のレール面と下部ガイド部材28のレール面に倣って平行に往復動する。
【0052】
「切断動作駆動手段」
装置フレーム1には、上記上部ガイド部材18に沿ってタイミングベルト15が走行ストローク方向に配置されている。
つまり装置フレーム1に左右一対のプーリ17a、17bが配置され、このプーリ間にタイミングベルト15が巻廻されている。駆動側プーリ17bには駆動モータM1が減速機構を介して連結されている。このタイミングベルト15の一部に上刃ホルダ部材23が連結されている。
【0053】
従って駆動モータM1を正逆転するとタイミングベルト15に連結された上刃ホルダ部材23は、上刃(第1切断刃)21と一体に正方向と、その反対方向に走行する。
つまり駆動モータM1の正方向回転で上刃ホルダ部材23は紙載面2上のシート束Sの切断線に沿って往方向に所定の走行ストロークStで往方向に切断動作し、駆動モータM1の逆方向回転で、上刃ホルダ部材23は上刃21と共に復方向に切断動作する。
このとき上刃21に連結された下刃ホルダ部材24と下刃(第2切断刃)22も、同一の往方向切断動作と、復方向切断動作を実行する。
【0054】
なお、本発明にあって上刃21のブレード部に下刃ホルダ部材24を連結する構造を示したが、上刃ブレードに下刃ブレードを直接連結しても良い。この場合には連結部の構造を下刃(回転刃)22が回転できるようにする必要がある。
【0055】
図4に示すように、図示の上刃ホルダ部材23は基端ホルダ部材23aと先端ホルダ部材23bに分離した部材で着脱可能に構成されている。
基端ホルダ部材23aにはガイドロッド(上部ガイド部材)18に嵌合する嵌合部23xが(同図(a)参照)、先端ホルダ部材23bには上刃ブレード21が固定されている(同図(b)参照)。
【0056】
同図(c)に断面構造を示すように、基端ホルダ部材23aと、先端ホルダ部材23bには、その一方に係止突起23yが他方に係止凹部23zが形成され、その一方には係止方向(係合方向)に付勢する弾性部材が設けてある。
図示のものは合成樹脂の弾性を有する係止爪(突起)23yが基端ホルダ部材23a側に設けられ、これと係合する凹部23zが先端ホルダ部材23b側に設けられている。
また
図5(b)に板バネ26で切断刃21,22の合わせ部を押圧する構造を示した。
【0057】
「搬送ガイド機構」
前述の紙載面2には上流側からシート束Sを案内する搬送ガイド機構が備えられている。
図3にその斜視構成を示すように紙載面2の上流側には、図示しない搬送手段(ローラ、ベルトなど)が配置され、切断するシート束Sを紙載面2に給送する。
このときシート束Sを紙載面2にスムーズに案内し、切断された紙片を妨害することなく落下させて切断紙片収納ボックス(不図示)に収納する。
【0058】
このため、搬送ガイド機構はシートを紙載面2に案内するガイド面7を有する搬送ガイド部材9(図示のものはガイドプレート)と、このガイド面7の姿勢を変更させるシフト手段31で構成されている。
ガイド面7は、シートを紙載面2に案内するときには紙載面の高さ位置と同一若しくは若干高い位置である第1の位置p1に設定する。また紙載面2上のシート束Sを断裁するときには紙載面2の高さ位置から若干低い位置である第2の位置p2に設定する。
【0059】
そして紙載面2のシート束Sの切断が完了した後、若しくは完了する直前には切断紙片の落下の妨げとならない第3の位置p3に設定する。
このためプレート形状の搬送ガイド部材9は装置フレーム1に回転軸8を中心に揺動可能に支持され、その回転軸8にシフトモータM2とシフトカム32が連結されている。
【0060】
上記シフト手段31について説明すると、
図8(a)の第1の位置p1(ホームポジション)のときには、搬送ガイド部材9(以下この項ではガイドプレートと云う)は、駆動モータM1の作用によらず、付勢スプリング33と係止ストッパ34で第1の位置p1に保持されている。
図8(b)の第2の位置p2のときには、ガイドプレート9はシフトカム32とカムストッパ35によって紙載面2より若干低い位置に位置規制されている。
図9(c)の第3の位置p3のときには、ガイドプレート9はカムストッパ35から解除されシフトカム32の回転で第3の位置p3に位置している。上記ガイドプレート9の位置はポジションセンサ(不図示)の検出と駆動モータM1の回転量で位置設定している。
【0061】
「紙押え機構」
図3に示すように装置フレーム1には加圧プレート11が紙載面2と対向する位置に配置され、このプレートの加圧面11xは紙載面2と対向する位置と、離間する位置との間で上下動可能に支持されている。
つまり
図3に示すように装置フレーム(前述の上部ベースフレーム1c)に回転可能に軸受け支持された複数の支持ロッド5の先端に加圧プレート11が固定(連結)されている。このとき各支持ロッド5a〜5cは回転可能で、加圧プレート11は側枠フレーム1a、1bに規制されて回転することなく上下動する。
【0062】
上記各支持ロッド5a〜5cには、その軸方向(同図上下方向)と交差する方向に駆動回転軸12が設けられ、この回転軸のネジ歯車16と支持ロッド5のネジ歯車14が噛合している。そして回転軸12とネジ歯車16との間にはトルクリミッタ16T
(不図示)が配置され、各支持ロッド5に所定以上の負荷が作用すると回転軸との間で滑り伝動する。
従って、駆動回転軸12の回転で複数の支持ロッド5a〜5cは同一方向に同一量回転し、この支持ロッド5に支持された加圧プレート11の加圧面11xは紙載面2と平行な関係を保ちながら圧接する方向と離間する方向に上下動することとなる。上記駆動回転軸12にはウォームギア36を介してシフトモータM2が連結してある。
【0063】
図示の装置は、上述の搬送ガイド機構におけるガイドプレート9のシフトモータと、上述の紙押え機構におけるシフトモータを共通の駆動モータM2で構成している。その駆動機構部を
図3及び
図7に従って説明する。
【0064】
図3に示すようにシフトモータM2の回転は、紙押え機構の駆動回転軸12に伝達され、その正方向回転で加圧プレート11は待機位置から作動位置(
図8(b)の状態)に下降し、シフトモータM2の逆方向回転で加圧プレート11は作動位置から待機位置(
図9(c)の状態)に上昇する。
なお、
図8(b)の作動位置の状態では前記トルクリミッタ16Tが作用して紙載面上のシート束の紙厚さが大小変化してもほぼ均一の加圧力で押圧する。
【0065】
次に
図7、
図8に従って、シフトモータM2の正逆回転で前述の搬送ガイド機構におけるガイドプレート(搬送ガイド部材)9の角度シフトについて説明する。
図7は駆動モータ(シフトモータ)M2とその駆動機構を示し、
図8は搬送ガイド機構におけるガイドプレート9の揺動機構を示す。
図8に従ってガイド面7の揺動機構を説明し、その駆動機構を
図7に従って説明する。
【0066】
図8に従って説明すると、前述したガイド面7を有するガイドプレート9は、揺動回転軸8を中心に揺動可能に装置フレーム1に取り付けられている。
このガイドプレート9には、揺動アーム37が連結され、この揺動アームにシフトカム32が伝動レバー38で連結されている(
図8(a)(b)参照)。
【0067】
上記揺動アーム37には、付勢スプリング33が装置フレーム1との間に設けられ、同図(a)の状態に付勢スプリング33の作用で係止ストッパ34に突き当て規制されている。このときガイドプレート9のガイド面7は第1の位置p1に設定されている。
つまりガイド面7は紙載面2と面一若しくは若干高い位置に位置している。この状態で上流側から送られたシート束Sをガイド面7が紙載面2に案内する。
【0068】
そこで後述する制御手段がシフトモータM2を所定方向(図示時計方向)に回転起動する。するとシフトカム32が
図8(a)の状態から同図(b)の状態に回転し、植設したカムピン32pが伝動レバー38を同図方向に所定角度揺動させる。すると同図(b)の状態にガイド面7は第2の高さ位置p2に位置する。
【0069】
そこで、シフトカム32には、カムストッパ35が後述するシフトモータM2からの回転力で前記カムピン32pの回転を規制(係止)する。そしてシフトモータM2の回転に係わらずシフトカム32は同図(b)の状態で静止する。
このときガイド面7は第2の高さ位置p2に位置し、紙載面2から若干低い位置で、切断された紙片を支持する。
【0070】
、
上述の動作とは別に制御手段は、紙載面上に加圧プレート11で加圧保持したシート束Sを一端から他端に断裁刃21,22を移動させて切断動作を実行する。そしてその実行後に、シフトモータM2を先と反対方向に回転起動する。
【0071】
このモータの回転は、カムストッパ35に伝達され、カムストッパはシフトカム32の係止ロックを解除する。すると
図9(c)の状態となり、シフトカム32はシフトモータM2の逆方向回転で、先の時計方向回転を継続して同方向に回転する。
するとシフトカム32に係合する伝動レバー38は揺動アーム37を揺動させてガイド面7を第3の位置p3に変位させる。この位置はガイド面上に載置された切断紙片が収納部に落下する妨げとならない位置に設定してある。
【0072】
上述の動作を達成する駆動機構を
図7に従って説明する。
シフトモータM2の回転は、歯車列G1で前記駆動回転軸12(紙押え機構)のウオーム36に連結されている。この歯車列G1のウオームG11で歯車列G2に伝達される。この歯車列G2にはワンウェイクラッチG21を介してカム歯車列G3に回転が伝達される。
【0073】
また、カム歯車列G3には歯車列G2から中間伝動歯車列G4を経由してワンウェイクラッチG31を介してシフトモータM2の回転が伝達する。
ワンウェイクラッチG21はモータの一方向回転を、ワンウェイクラッチG31はモータの逆方向回転をカム歯車列G3に伝達する。
そしてカム歯車列G3の回転は、トルクリミッタG32を介してシフトカム32に伝達される。また、歯車列G2の回転は歯車列G5に伝達され、歯車列G5の回転はトルクリミッタG51を介してカムストッパ35に伝達される。
【0074】
このような駆動系で、シフトモータM2を一方向(加圧プレート11を下降する動作)に回転すると、モータの回転は、歯車列G1から歯車列G2を経て歯車列G3に伝達される。この駆動伝達でシフトカム32は
図7時計方向に回転し、カムストッパ35にカムピン32pが係止されるまで回転する。すると搬送ガイド9のガイド面7は第2の位置p2に位置決めされる停止する。
【0075】
次いでシフトモータM2を反対方向(加圧プレート11を上昇させる動作)に回転すると中間伝動歯車列G4から歯車列G5にストッパを解除する方向の回転が伝達され、これに連結されたカムストッパ35は解除方向に揺動する。
これと共に中間伝動歯車列G4からシフトカム32には先と同一の方向の回転が伝達され、シフトカム32は図示時計方向に回転する。この回転によってカムピン32pで伝動レバー38は揺動アーム37を回転させて第3の位置p3から第1の位置p1に移動する。
【0076】
[切断動作の説明]
次に
図10のフローチャートに従って切断動作を説明する。
装置電源が投入されると制御手段(制御CPUなど;不図示)はイニシャライズ動作を実行する(St01)。
次に図示しない制御手段は、コントロールパネルなどから切断するシートの長さ情報を取得するか、若しくは上流側に連結されている画像形成装置などからシートサイズ情報を取得する。
これと共に制御手段は、断裁処理を実行するか否かのモード情報と、断裁量(トリミングカット量)を上流側の外部装置から取得する(St02)。
【0077】
上記断裁量情報に基づいて制御手段は、紙載面2にシート束Sを搬送して(St03)、設定された断裁量に応じてシート束Sを位置決めセットする(St04)。
このときシート押さえ手段10の加圧プレート11は紙載面2から上方に離れた待機位置(ホームポジション)に位置している。同時に搬送ガイド部材9は第1の位置(ホームポジション)p1に、位置決めされている。この状態でガイド面7は紙載面2と面一若しくは若干高い位置に設定されている。
従って上流側から送られたシート束Sは紙載面2に引っ掛かることなくスムーズに案内されて所定の位置にセットされる。
【0078】
次に制御手段は、駆動モータM2(シフトモータ;以下同様)を回転して(St05)、加圧プレート11を待機位置から紙載面上の最上シートの上に押圧させる(St06)。
このとき紙厚さによる加圧面11xの高さ調整は、駆動伝達系に配置されているトルクリミッタ機構によって均一な押圧力に調整される。
また、シフトモータM2の回転で搬送ガイドプレート9は第1の位置p1から第2の位置p2に移動し、この位置でガイド面7は紙載面2から若干低い位置に設定されている(St07)。
【0079】
シート束Sの加圧保持が終了した後に制御手段は、シフトモータM2を停止させ(St08)、駆動モータM1(走行モータ;以下同様)を起動して(St09)、断裁刃ユニット20(第1、第2切断刃;以下同様)を紙載面上にシート束Sの切断開始位置Csに移動する(St10)。
そしてこの走行モータM1の回転で切断刃ユニット20を切断線に沿って断裁方向に移動する。この切断開始時には低速で断裁刃ユニット20を断裁方向に移動する(St11)。
【0080】
そして制御手段はシート束Sの切断開始端の切断を低速度で移動した後、所定時間経過したとき(St12)断裁刃ユニット20を高速度で断裁方向に移動する(St13)。
この断裁刃ユニット20の低速度切断にかかわる時間はシート束Sの切断開始時にスムーズな切断が可能な切断長さであって予め実験値から最適時間に設定してある。同様に切断速度の高速度値も効率的な切断と切断品位から予め設定してある。
そして、断裁刃ユニット20がシート束Sの切断終了端を過ぎった後(St14)に断裁刃を所定量オーバーランさせて停止させる(St15)。
【0081】
制御手段は、断裁刃ユニット20がシート束の切断終了端を通過したのち予め設定した所定量(Ov)オーバーランさせる(St16)。そして切断刃ユニット20の走行モータM1を停止する(St17)。
次いで制御手段は走行モータM1を逆回転させ(St18)切断刃ユニット20を後退動作(スイッチバック走行)させる(St19)。そして、切断刃ユニット20が紙載台3上のシート束Sの切断終了端まで後退動して戻った後(St20)に走行モータM1を停止させる(St21)。この切断刃ユニット20のスイッチバック動作については後述する。
そして走行モータM1を停止させた後、モータM1を正転させ切断刃ユニット20を待機位置に戻し、走行モータM1を停止させる(St22〜St24)。
【0082】
そして制御手段は走行モータM1の逆転動作と相前後(同時若しくは時間差)してシフトモータM2を、先の加圧方向回転と反対方向に逆回転させる(St25)。すると加圧プレート11はシート束Sを押圧した状態から待機位置に向かって上昇(加圧解除)する(Ste26)。この動作と連動して搬送ガイド部材9は第2の位置p2から第3の位置p3に位置移動(St27)し、ガイド面上の切断紙片が切断屑収納ボックスに(不図示)に落下して収納される(St28)。
次いでガイド面7が第3の位置p3で切断紙を落下させたのちに前述のシフトカム32がガイドプレート9を、初期の待機位置(第1の位置p1)に復帰させる(St29)。この動作で一連の切断動作を終了する。
【0083】
上述の断裁刃ユニット20のスイッチバック動作についてその作用を説明する。断裁刃ユニット20は紙載台3上のシート束Sの切断終了端Ceを通過して所定量オーバーラン(Ov)した位置から、この切断終了端Ceに向けて後退動(バックフィード)し、切断刃が切断終了端Ceを過ぎる位置までバックさせる。
【0084】
これは切断終了端Ceではシートは切断される作用と引きちぎられる作用を受ける。そして引きちぎられた切断紙片は突起状に、切断シート端は凹状となる(紙片が引きちぎられるとき引く力(切断刃の走行)が作用する紙片(=切断紙片)側は突起状に、引き裂かれる方の紙片は凹形状となる)。そして突状に引きちぎられた紙片は切断刃に引っ掛かってその走行に引きずられることとなる。
【0085】
そこで、制御手段は切断刃を切断終了端まで後退動させて紙載台上のシート束の切断終了端(積層シートのエッジ)で引っかかった切断紙片を掃き落とす(スイープ作用)。このように走行する切断刃に切断紙片か引っ掛かって外れないとき、走行切断刃を切断終了端からオーバーランさせた後にスイッチバックさせる。これによって引っ掛かった切断紙片を掃き落とすことが可能となる。
【0086】
なお、本発明にあって回転刃22は切断線方向に走行する際に、シート束の切断端面との間の摩擦によって走行方向と反対方向に回転する場合を説明した。このほか回転刃の走行反対方向の回転は切断線に沿って走行する切断刃に、例えば紙載台にラックを設け、これと噛合するピニオン(或いは摩擦ローラ)の回転を回転刃に伝達するように構成することも可能である。