(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内側コアは、前記把手部材によって選択的に係合することができ、さらに、このカテーテルシステムは、前記把手部材が前記内側コアに係合されたときに前記把手部材および前記内側コアが一緒に軸方向に移動するように構成されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
前記内側コアは、前記内側コアの少なくとも一部分に沿って軸方向に間隔をおいて配置された複数のタブを支持しているコアワイヤを備え、前記タブは、前記ステントがステント装填状態において前記タブの1つ以上に重なるように、前記コアワイヤの上に定置されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記内側コアはコアワイヤを備え、さらに、前記複数のタブは、前記コアワイヤの少なくとも一部分に沿って軸方向に間隔をおいて配置されている、請求項4に記載のカテーテルシステム。
導入器カテーテルをさらに備え、前記導入器カテーテルは、本体と、この本体の遠位端部分から突出している管状の導入器シースとを備え、前記導入器カテーテルは、前記送出カテーテルを選択的係合可能に受け入れるように構成されている、請求項1〜6のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記ステントの直径は、前記ステントを前記導入器カテーテルの内部におけるテーパー付きの導管を通して送ることによって、前記ステントが前記導入器シースの中へ前進させられたときに、5%〜50%減少させることができる、請求項7または8に記載のカテーテルシステム。
前記導入器シースの内面の少なくとも一部分が、PTFE、シリコーン、疎水性シリコーン、および別の潤滑用物質のうちの少なくとも1つを備えている低摩擦被膜で覆われている、請求項7〜9のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記導入器カテーテルは、前記送出カテーテルに選択的係合可能であり、その結果、前記送出カテーテルが前記導入器カテーテルに係合されると、前記導入器カテーテルおよび前記送出カテーテルのうちのいずれか一方の軸方向移動によって、前記導入器カテーテルおよび前記送出カテーテルのうちの他方の同時かつ同等の軸方向移動が引き起こされる、請求項7〜10のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記カテーテルシステムは、前記導入器カテーテルおよび前記送出カテーテルが係合されると、前記送出カテーテルが前記導入器カテーテルに対して回転することができるように、構成されている、請求項7〜11のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記カテーテルシステムは、前記送出カテーテルが前記導入器カテーテルに係合されると、前記送出カテーテルシースおよび前記導入器シースが重なることのないように、構成されている、請求項7〜12のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記カテーテルシステムは、前記送出カテーテルが前記導入器カテーテルに係合されると、前記送出カテーテルシースの少なくとも遠位端部分が前記導入器シースの少なくとも近位端部分に重なるか、あるいは前記導入器シースの近位端部分が前記送出カテーテルシースの少なくとも遠位端部分に重なるように、構成されている、請求項7〜13のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記カテーテルシステムは、前記送出カテーテルが前記導入器カテーテルに係合されると、前記送出カテーテルシースのテーパー付き遠位部分が前記導入器シースの近位部分の中へ前進させられるように、構成されている、請求項7〜14のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記内側コアは、前記内側コアの少なくとも一部分に沿って軸方向に間隔をおいて配置された複数のタブを支持しているコアワイヤを備え、前記タブは、前記ステントがステント装填状態において前記タブの1つ以上に重なるように、前記コアワイヤの上に定置されている、請求項1〜16のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記ステントは移植片を備え、前記移植片は、前記移植片の中間部分ではなく前記移植片の少なくとも前記遠位端部分において、前記ステントへ取り付けられている、請求項1〜17のいずれか1つに記載のカテーテルシステム。
前記内側コアは、前記内側コアの少なくとも一部分に沿って軸方向に間隔をおいて配置された複数のタブを支持しているコアワイヤを備え、前記タブは、前記ステントがステント装填状態において前記タブの1つ以上に重なるように、前記コアワイヤの上に定置されている、請求項19〜20のいずれか1つに記載の送出カテーテル。
前記内側コアはコアワイヤを備え、さらに、前記複数のタブは、前記コアワイヤの少なくとも一部分に沿って軸方向に間隔をおいて配置されている、請求項21に記載の送出カテーテル。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明は、ここではいくつかの特定の実施形態に向けられている。この説明において、いくつかの図面への参照が行われるが、その中で、類似した部品は、この説明およびこれらの図面を通して、類似した符号で表されている。以下で説明されるのは、導入器シースと結合用構成体とを備えていてもよいカテーテルシステムのさまざまな実施形態である。この明細書の中に開示されたカテーテルシステムは、限定はされないが管腔内人工血管展開処置のような診断用あるいは治療用の処置に使用することができる。
【0015】
図1Aは、カテーテル20を導入器12に物理的に係合させるように構成された結合用構成体を備えているカテーテルシステム10の模式的説明図である。
図1Bは、
図1Aに示されたカテーテルシステム10の模式的説明図であり、導入器12に係合されたカテーテル20を示している。このカテーテル20、あるいはこの明細書の中に開示された任意のカテーテルは、診断用あるいは治療用のカテーテルであっても、または他の適切な任意のカテーテルであってもよい。導入器12には、管状シース14、シール16、および雌型結合用機構18が備わっていてもよい。第1シール16は、ゴム製シール、隣接する構成要素どうしの間の締め代あるいは精密嵌合、調節可能な止血バルブ、または他の適切なシール用の任意の構成要素あるいは特徴的構成であってもよい。
【0016】
カテーテル20カテーテルには、シャフト24と雄型結合用機構22とが備わっている。
図1Bに示されたように、カテーテル20は導入器12の中へ挿入され、また、雌型結合用機構18は雄型結合用機構22に係合される。この結合用機構によれば、この結合用機構が係合されたときに、導入器12およびカテーテル20が互いに対して軸方向に移動することが防止される。加えて、このカテーテルシステム10は、カテーテル20が導入器12と結合されたときでさえも、カテーテル20が導入器12の内部で回転することができるように、構成されている。
【0017】
導入器12には、管状導入器シース14と、この導入器シース14の近位端へ接続されたシール16(ここでもまた、ゴム製シール、締め代あるいは精密嵌合、調節可能な止血バルブ、または他の適切なシール用の構成要素あるいは特徴的構成であってもよい)とが備わっている。シース14およびシール16の全体的設計は、市販されている導入器、または、現在知られているかあるいはその後に開発された他の任意の導入器の設計に類似しているものであってもよい。カテーテル20には、導入器シース14を貫通するように寸法仕上げされ、かつ/または、構成された外形寸法輪郭(横断面輪郭)がある。カテーテル20の近位端および導入器シース14の近位端は、互いに恒久的にあるいは解除可能に係合されるように、かつ、導入器シース14の内部でカテーテル20の回転が可能である一方で導入器シース14に対するカテーテル20の軸方向移動を実質的に制限するように、構成されている。
【0018】
外側シース(ステント移植片を収容している)の寸法に対する導入器の管腔の寸法仕上げについては、1つの形態では、それらは同一の寸法であり、従って、ステント移植片が外側シースの内部におけるその初期位置から導入器の管腔まで押されると、その導入器はシースとして機能する。第2の構成では、導入器の管腔は外側シースの外径よりも大きいので、これら2つは、回転整合についての必要に応じて、互いに対して容易に回転する。さらに、導入器の材料は、外側シースのそれよりも柔らかいか、あるいはいっそう可撓性のある材料であってもよく、その場合には、ステント移植片は丈夫な高強度シース材料の中へまず装填され、次いで、それは、ステント移植片をその処置部位へ送出するために必要な短い時間だけ、より低い強度でいっそう高い可撓性の導入器材料へ押し出される。この特徴的構成をもたらすために用いることのできる材料には、ナイロン、PEBAX、およびPEを含んでいる任意の種類の柔軟性ポリマーの押出型材が含まれる。
【0019】
上記カテーテルと上記導入器との係合の後に、その組み合わされたシステムは、一人のオペレーターによって操作することができるものである。カテーテルシステム10は、カテーテル20が導入器シース14の内部で実質的に自由に回転することができるように構成されており、それによって、上記導入器の内部における上記カテーテルの正確な回転位置決めが可能になる。上記処置の遂行の後に、カテーテル20は、そのカテーテル20を患者の身体から取り外すことができるように、導入器12から係合解除される。加えて、導入器12は第2の治療用処置のために再定置することができ、また、追加処置のために、第2のカテーテルを挿入して導入器12に係合させることができる。
【0020】
図2Aは、カテーテル50を導入器42に物理的に係合させるための結合用構成体を備えているカテーテルシステム40の模式的説明図である。
図2Bは、そのカテーテルシステム40の模式的説明図であり、導入器42に係合されたカテーテル50を示している。
図2Cは、
図2Aに示されたカテーテルシステム40の模式的説明図であり、カテーテル50を導入器42から係合解除するための機構を示している。
【0021】
とりわけ、
図2Cは、レバーあるいはタブ56を押し込むことによってカテーテル50を雄型結合用機構52および導入器42から係合解除することができる、ということを模式的に示している。従って、図示されたように、雄型結合用機構52は、細長くされていてもよく、また、レバー56を備えていてもよい。
【0022】
図3Aは、カテーテル70を導入器62に物理的に係合させるための結合用構成体を備えているカテーテルシステム60の模式的説明図であり、このカテーテルシステム60は、ステントあるいはステント移植片80を血管の中へ送出するように構成されている。
【0023】
図3Bは、
図3Aに示されたカテーテルシステム60の模式的説明図であり、導入器62に係合されたカテーテル70を示している。
図3Cは、
図3Aに示されたカテーテルシステム60の模式的説明図であり、
図3Aに示された導入器62の管状シース64の中へのステントあるいはステント移植片80の軸方向挿入を示している。
図3Dは、
図3Aに示されたカテーテルシステム60の模式的説明図であり、
図3Aに示された導入器62の管状シース64がステント80から後退させられた後にそのステント80が展開されることを示している。
【0024】
自己拡張型のステントあるいはステント移植片は典型的には、上記送出カテーテルの内部で展開シースに保持されている。この展開シースは、ステントあるいはステント移植片および血管壁を挿入の間に損傷から保護することができ、また、ステントあるいはステント移植片を送出の間に高さの低い折り込み状形態に保持することができる。ステントあるいはステント移植片は、上記展開シースを取り除くことによって、また、ステントあるいはステント移植片を血管の壁に対して半径方向に拡張させることによって、血管の所望位置に展開することができる。このような送出カテーテルを所望の血管の中へ送るために、このカテーテルシステムは、上記導入器シースの内径が上記展開シースの外径よりも大きいように、構成することができる。臨床医は、血管への損傷を最小限にするために、また、小さい血管の中へのアクセスを可能にするために、高さの低い導入器シースを好む。
【0025】
カートリッジシステムが開発されてきたが、それらのシステムでは、ステントあるいはステント移植片は送出シースから導入器シースの中へ移送することができ、また、ステントあるいはステント移植片は導入器シースを通して目標部位まで送ることができる。このようなカートリッジシステムでは、導入器シースは展開シースとして効果的に作用する。この移送によって、第2シースの必要性がなくなるとともに、血管の中におけるこのシステムの側方輪郭が最小化される。上記結合用構成体によれば、導入器シースの中へのステントあるいはステント移植片の移送に先立って、送出カテーテルと導入器シースとの確実な係合がもたらされる。このことによって、その移送におけるユーザーの潜在的過失が防止され、さらに、これらの送出カテーテルおよび導入器シースが単一ユーザーシステムに変わる。
【0026】
図3A〜3Dに示されたように、カテーテルシステム60は、ステントあるいはステント移植片80を血管(血管は示されていない)の中へ移送して展開するために使用される。これらの図に示されたように、導入器62には、患者の身体の中へ挿入される管状シース64が備わっている。導入器62の近位端62aは、カテーテル70の展開シース74を収容するように寸法仕上げし、かつ/または、構成することができる。この導入器シースにはさらに、上記のシール、止血バルブ、および/または、結合用機構についての複数のあらゆる実施形態と同様に、シール66(この明細書では第1シールと称される)と雌型結合用機構68とが備わっていてもよい。このシール66は、管状のゴム製シール(図示したような)、隣接する構成要素どうしの間の締め代あるいは精密嵌合、調節可能な止血バルブ、または他の適切なシール用の任意の構成要素あるいは特徴的構成であってもよい。このステント送出カテーテル70には、内側コア78、折り込み状ステント80を収容することのできるポケット82、折り込み状ステント80を保持することのできる展開シース74、およびカテーテル先端部76が備わっていてもよい。
【0027】
図3Bに示されたように、カテーテル70は、結合用機構68および72が係合されたときに導入器62の中へ挿入することができる。いくつかの実施形態(図示されていない)では、送出カテーテル70の展開シース74は、上記導入器シースの大径近位端62aの内部へ受け入れられるように、また、導入器62の遠位管状シース64の中へ延出するように、寸法仕上げし、かつ、構成することができる。これに代えて、送出カテーテル70の展開シース74は、上記導入器シースの大径近位端62aの内部へ受け入れられるように、しかし、導入器62の遠位管状シース64の中へ延出しないように、寸法仕上げし、かつ、構成することができる。いくつかの実施形態では、
図3Cおよび3Dに示されたように、展開シース74および管状シース64は、展開シース74が上記導入器シースの近位端62aを通して前進させられたときに、遠位管状シース64の類似した寸法および形状によって、展開シース74が遠位管状シース64を通して前進するのを阻止することができるように、寸法仕上げし、かつ、構成することができる。展開シース74および管状シース64の内径および/または外径は実質的に同一であってもよい。
【0028】
図3Cに示されたように、カテーテル70の内側コア78は遠位へ押し動かすことができ、それによって、ステント80が展開シース74から導入器62の管状シース64の中へ移送される。ステント80は、カテーテル先端部76が管状シース64の遠位端に到達するまで前進させることができる。この形態では、カテーテル/導入器システムは効果的に単一ユニットの展開カテーテルになる。従って、管状シース64は展開シースとして機能することができる。ステント80は、保護用導入器62の内部に折り込まれた形態で、血管の中の目標部位まで、この送出システムの側方輪郭を増大させることなく前進させることができる。この送出カテーテルが従来の導入器シースを通して送られるようなことがあれば、その導入器のシースは、上記ステントおよび上記展開シースを収容するために上記送出カテーテルの展開シースよりも大きい直径のものでなければならないであろう。2)言及される他の利点は次のとおりである。
【0029】
説明された上記形態では、この装置は、それが上記導入器へ導入された後であってそれが展開される前に回転させることができ、さらに、この装置は、上記導入器と上記外側シースとの間の低摩擦の結果として、正確に定置することができる。25mm直径および28mm直径の拡張時直径のある装置が使用されると、同一の(1つの寸法の)導入器シースをこれらの装置のうちの一方および両方の送出のために使用することができる。より大きく圧縮された横断面輪郭があるより大きい34mm直径の装置が送出されるときだけ、より大きい導入器を使用する必要がある。上記導入器および上記送出カテーテルが機械的に係合して、片手で保持することのできる単一の一体型構造を作り出すという事実によって、単一ユーザーがそのシステム全体を両手で、すなわち、一方の手で上記コアを静止状態に保持するとともに他方の手でシース後退機構を用手操作することが可能になる。
【0030】
当業界において知られているように、ステント移植片が装填された送出カテーテルは、拡張器によって支持された導入器シースよりも典型的には追従性および押動性が少ない。このことは、ステント移植片がこれらのカテーテルの局部的剛性を変えるという事実のためである。これによって、挿入の間に送出カテーテルのよじれが引き起こされることがある。上記導入器シースをまず拡張器とともに配置することによって、上記ステント移植片を配置するための導管が作られる。上記シースを通って移動するこの送出システムのよじれはほとんど起こりそうにない。
【0031】
図4は、導入器カテーテル102(導入器として称されることもある)と送出カテーテル104とを備えている、別のカテーテルシステム100の斜視図である。この送出カテーテル104は、管腔内人工器官の送出のために、あるいは他の任意の適切な使用のために構成することができる。従って、この明細書の中に開示されたカテーテルおよび導入器からなる複数の実施形態は、任意の適切な目的ために構成することができ、またこの明細書の中に開示された導入器の複数の実施形態は、適切な任意のカテーテル設計を受け入れるように構成することができる。
【0032】
図5は、
図4に示されたカテーテルシステム100における導入器102の斜視図である。
図6Aおよび6Bは、
図5に示された導入器102の第1および第2の分解組立図である。
図4〜6を参照すると、導入器102には、本体106、ねじ係合可能なハブ部分108、導入器シース110、および本体106のねじ付き端部分にねじ係合可能に構成されたねじ付きキャップ111が備わり得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、オリフィスあるいは本体106の中へのアクセス開口を設けるために、本体106によって第1チューブ107を支持することができる。この第1チューブ107は、限定はされないが、導入器102を通して管腔内人工器官を前進させる前におけるか、あるいは導入器を使用し得る他の処置の前におけるような任意の段階で、導入器102を生理的食塩水あるいは他の適切な物質で洗浄するために使用することができる。第1チューブ107は、その遠位端において、適切な任意の医療用連結装置および/またはバルブを支持することができる。
【0034】
導入器シース110には、所定の長さあるいは所望の長さまで延出する細長部分110aが備わっていてもよい。以下でいっそう詳しく考察されるように、上述したカテーテルシステム10の導入器12と同様にして、この導入器シース110は、導入器シース110の中へ前進されられる管腔内人工器官が導入器シース110によって閉じ込められるかあるいは拘束されるように、構成することができる。この構成では、導入器シース110の内径および/または外径は、導入器102に係合される送出カテーテルの外側シースの内径および/または外径とほぼ同一であってもよく、あるいは類似していてもよい。細長部分110aは、断面が円形であってもよく(図示されたように)、または、限定はされないが三角形、四角形、六角形、八角形、あるいは多角形のような適切な任意の断面形状を画定するものであってもよい。
【0035】
さらに、
図6Aに最も明瞭に示されたように、導入器シース110には、本体106の前方表面106aに当接するように構成することのできる張り出し状端部分110bがあってもよい。
図6Aを参照すると、導入器シース110の細長部分110aは、導入器シース110の張り出し状端部分110bがキャップ111の内面に係合することができるように、かつ/または、重なることができるように、キャップ111の中に形成された開口を貫通することができる。この構成では、導入器シース110を支持するキャップ111は、導入器シース110を本体106によって支持することができるように、本体106にねじ係合することができる。
【0036】
加えて、
図6Aおよび6Bを参照すると、管状の支持体あるいはスペーサ109を、導入器シース110の細長部分110aを越えて挿入することができ、さらに、張り出し状端部分110bにほぼ隣接して定置することができる。管状スペーサ109は、この嵌合を改善することができ、従って、導入器シース110の外面とキャップ111との間のシールを改善することができる。管状スペーサ109は導入器シース110への付加的な支持をもたらすこともできる。
【0037】
図7は、
図4に示されたカテーテルシステム100の実施形態における送出カテーテル104の斜視図である。
【0038】
図8Aおよび8Bは、
図7に示された送出カテーテル104の第1および第2の分解組立図である。
【0039】
図9は、
図4に示されたカテーテルシステム100の斜視図であり、送出カテーテル104の結合用機構が導入器102の結合用機構に係合される前の送出カテーテル104を示している。
【0040】
図10は、
図4に示されたカテーテルシステム100の斜視図であり、送出カテーテル104の結合用機構が導入器102の結合用機構に係合された後の送出カテーテル104を示している。
【0041】
図11は、
図4に示されたカテーテルシステムの端面図であり、導入器102に係合された送出カテーテル104が備わっている。
図12は、
図4に示されたカテーテルシステム100の実施形態の、
図11の12−12線に沿った断面図である。
図13は、
図4に示されたカテーテルシステム100の、
図12の13−13曲線によって画定された拡大断面図である。
図14は、
図4に示されたカテーテルシステムの実施形態の、
図13の14−14曲線によって画定された拡大断面図である。最後に、
図15は、
図4に示されたカテーテルシステムの、
図11の15−15線に沿った断面図である。
【0042】
図12および15に最も明瞭に示されたように、導入器102のハブ部分108は、結合用機構あるいはフランジ112を有していてもよく、または、送出カテーテル104を取り外し可能に受け入れるかあるいは送出カテーテル104に係合するように、構成することができる。いくつかの実施形態では、図示された実施形態のように、導入器102の結合用機構112は、雌型受け入れ部材であるように構成することができ、カテーテル104の雄型結合部材を受け入れるように構成することができるが、これについては以下で説明される。ハブ部分108には、ハブ部分108におけるユーザーの握り方と、本体106に対するハブ部分108の回転する機能とを改善するように構成された1つ以上のタブ114が備わっていてもよい。
【0043】
図12、13および15を参照して、導入器102のシール部分についてのいくつかの実施形態を説明する。上で述べたように、ハブ部分108は本体106にねじ係合可能であるように構成することができる。本体108は、傾斜していてもよい(カテーテルシステム100の軸中心線に対して垂直でないように)内側環状面116を画定することができる。この面116は、カテーテルシステム100の軸中心線に対して約75度傾斜していてもよく、あるいは、カテーテルシステム100の軸中心線に対して約65度以下〜約80度以上傾斜していてもよい。この面116は、カテーテルシステム100の軸中心線に対してほぼ垂直であってもよい。
【0044】
同様に、ハブ部分108は、カテーテルシステム100の軸中心線に対して垂直でないように傾斜していてもよい内側環状面118を画定することができる。ハブ部分108のこの面118は、カテーテルシステム100の軸中心線に対して約75度傾斜していてもよく、あるいは、本体106の面116によって画定された角度の方向に対して反対である方向にあるカテーテルシステム100の軸中心線に対して約65度以下〜約80度以上傾斜していてもよい。いくつかの実施形態では、図示された実施形態におけるように、ハブ部分108の面118の形状および角方位は、本体106の面116の形状および角方位をほぼ鏡のように映すものであってもよい。この面118は、カテーテルシステム100の軸中心線に対してほぼ垂直であってもよい。
【0045】
管状のシール部材120が、導入器102によって支持されるとともに本体106の面116とハブ部分108の面118との間に定置されていてもよい。このシール部材120は、シリコーン、ゴム、あるいは他の適切な材料のような弾性材料から形成することができる。このシール部材120は、ハブ部分108が本体106にねじ合わされたときに、ハブ部分108の面118が本体106の面116へ向かって軸方向に移動することができ、それによってシール部材120を圧縮するかあるいは締め付けるように、構成することができる。本体106の面116とハブ部分108の面118との相対角度は、シール部材120を送出カテーテル104の外側シース122に対して、あるいは導入器102に係合された送出カテーテル104の他の構成要素に対して押し付け、それによって、送出カテーテル104の端部分から遠位へ突出していてもよい送出カテーテル104の外側シース122と導入器102との間に調節可能なシールを作り出すことができる。上記シールの高さは、導入器102のハブ部分108を導入器102の本体106に対して締めたり緩めたりすることによって調節することができる。導入器102は、1Fr〜20Frの範囲内の側方輪郭がある装置に対するシールをもたらすように、構成することができる。
【0046】
これに代えて、いくつかの実施形態では、この明細書の中に記載されたあらゆるシールあるいはシール部分は、外側シース122と本体106の1つ以上の内面あるいは導入器102のハブ部分108とのような隣接する構成要素どうしの間の締め代あるいは精密嵌合であってもよい。いくつかの実施形態では、この明細書の中に記載されたあらゆるシールあるいはシール部分は、内側コア154と本体140の1つ以上の内面あるいはカテーテル104のハブ部分142との間の締め代あるいは精密嵌合であってもよい。
【0047】
図7、8Aおよび8Bに示されたように、送出カテーテル104のいくつかの実施形態には、本体140と、この本体140にねじ係合することのできるハブ部分142とが備わっていてもよい。送出カテーテル104のいくつかの実施形態には、本体140によって支持された外側シース122もまた備わっていてもよい。とりわけ、外側シース122は、本体140によってねじ込み状に支持されたキャップ123を使用することで、本体140によって取り外し可能に支持されている。さらに、外側シース122には、所定のあるいは所望の長さに延出している細長部分122aが備わっていてもよい。
【0048】
上で述べたように、送出カテーテル104の外側シースの122の内径および/または外径は、導入器シース110の内径および/または外径とほぼ同一であってもよく、あるいは類似していてもよい。細長部分122aは、断面が円形であってもよく(図示されたように)、または、限定はされないが三角形、四角形、六角形、八角形、あるいは多角形のような適切な任意の断面形状を画定するものであってもよい。
【0049】
外側シース122には、本体140の前方表面140aに当接するように構成することのできる張り出し状端部分122bがあってもよい。
図8Aを参照すると、外側シース122の細長部分122aは、外側シース122の張り出し状端部分122bがキャップ123の内面に係合することができるように、かつ/または、重なることができるように、キャップ123の中に形成された開口を貫通することができる。この形態では、外側シース122を支持するキャップ123は、上記のように外側シース122が本体140によって支持されるように、本体140にねじ係合することができる。
【0050】
加えて、
図8Aおよび8Bを参照すると、管状の支持体あるいはスペーサ125を、外側シース122の細長部分122aを越えて挿入することができ、さらに、外側シース122の張り出し状端部分122bにほぼ隣接して定置することができる。管状スペーサ125は、この嵌合を改善することができ、従って、外側シース122の外面とキャップ123との間のシールを改善することができる。管状スペーサ125は外側シース122への付加的な支持をもたらすこともできる。
【0051】
導入器102のハブ部分108と同様に、送出カテーテル104のハブ部分142は、送出カテーテル104の本体140にねじ係合することができるように、構成することができる。本体140は、カテーテルシステム100の軸中心線に対して垂直でないように傾斜していてもよい内側環状面146を画定することができる。この面146は、カテーテルシステム100の軸中心線に対して約75度傾斜していてもよく、あるいは、カテーテルシステム100の軸中心線に対して約80度以上〜約65度以下傾斜していてもよい。この面146は、カテーテルシステム100の軸中心線に対してほぼ垂直であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、オリフィスあるいは本体140の中へのアクセス開口を設けるために、本体140によって第2チューブ141を支持することができる。この第2チューブ141は、限定はされないが、送出カテーテル104および/または導入器102を通して管腔内人工器官を前進させる前におけるか、あるいは送出カテーテルを使用し得る他の処置の前におけるような任意の段階で、送出カテーテル104を生理的食塩水あるいは他の適切な物質で洗浄するために使用することができる。第2チューブ141は、その遠位端において、適切な任意の医療用連結装置および/またはバルブを支持することができる。
【0053】
同様に、ハブ部分142は、カテーテルシステム100の軸中心線に対して垂直でないように傾斜していてもよい内側環状面148を画定することができる。ハブ部分142のこの面148は、カテーテルシステム100の軸中心線に対して約75度傾斜していてもよく、あるいは、本体140の面146によって画定された角度の方向に対して反対である方向にあるカテーテルシステム100の軸中心線に対して約65度以下〜約80度以上傾斜していてもよい。この面148は、カテーテルシステム100の軸中心線に対してほぼ垂直であってもよい。
【0054】
上記導入器のそれと同様に、いくつかの実施形態では、シールあるいはシール部分に、送出カテーテル104によって支持することができるとともに本体140の面146とハブ部分142の面148との間に定置することができる環状のシール部材150が備わっている。このシール部材150は、シリコーン、ゴム、あるいは他の適切な材料のような弾性材料から形成することができる。このシール部材150は、ハブ部分142が本体140にねじ合わされたときに、ハブ部分142の面148が本体140の面146へ向かって軸方向に移動することができ、それによって、シール部材150を圧縮するかあるいは締め付けるように、構成することができる。本体140の面146とハブ部分142の面148との相対角度は、シール部材150を送出カテーテル104の内側コア154に対して押し付け、それによって、内側コア154と送出カテーテル104の外側シース122との間に調節可能なシールを作り出すことができる。
【0055】
シールの高さは、送出カテーテル104のハブ部分142を送出カテーテル104の本体140に対して締めたり緩めたりすることによって調節することができる。加えて、送出カテーテル104の内側コア154の回転の自由は、上記のようにシール部材150を締め付けることによって抑制するかあるいは阻止することができる。従って、シール部材150によって内側コア154に及ぼされた力は、内側コア154および/または他の構成要素が送出カテーテル104の本体140およびハブ部分142に対して回転することができるように、調節することができる。
図4に示されたように、端部分あるいはキャップ158は、内側コア154を送出カテーテル104の本体140およびハブ部分142に対して軸方向にスライドさせ、かつ/または、回転させるユーザーの能力を促進するために、内側コア154の上記近位端で支持することができる。キャップ158には、内側コア154に及ぼすことのできるねじり力または回転力を増大させるために、その上に形成された翼部あるいはタブがあってもよい。これに代えて、カテーテル104の内部における上記のシールあるいはシール部分は、限定されないが、内側コア154と本体140の1つ以上の内面あるいはカテーテル104のハブ部分142との間などの隣接する構成要素どうしの間の締め代あるいは精密嵌合から形成することができる。
【0056】
内側コア154には、その遠位端の近傍に、バンドあるいは他のしるし155があってもよい。このしるし155は、内側コア154が導入器102の中へ前進させられ、または、導入器102から引き出されると、内側コア154の端部分154aの位置および/またはカテーテル先端部162の位置に関して医師へ視覚的表示をもたらすために、寸法仕上げし、定置し、さらに構成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、
図12および13に最も明瞭に示されたように、送出カテーテル104の外側シース122と導入器102との間に付加的シールを設けるために、付加的シール部材160を導入器102の本体106によって支持することができる。このシール160は、限定はされないが、遠位先端部162および外側シース122が通ることができるように中に1つ以上のスリットがあるゴムのような円錐状弾性材料片から形成されたフラップ型のシールであってもよい。いくつかの実施形態では、送出カテーテル104が導入器102から取り外されたときにシール160が逆になることのないようにシール160を支持するとともにシール160の位置を維持するために、支持されたフランジ161を本体106の内部で支持することができるとともにシール160の後方に定置することができる。遠位先端部162は、ゴムのような柔軟材料から形成することができ、また、カテーテル104が患者の血管を通して前進させられるときに患者の血管に対するどのような損傷も防止するために、非外傷性であるように構成することができる。
【0058】
上で述べたように、いくつかの実施形態では、図示された実施形態におけるように、導入器102の結合用機構112は、カテーテル104の雄型結合部材あるいは部分を受け入れるように構成することができる。とりわけ、
図7、8Aおよび8Bを参照すると、カテーテル104の本体140によって、1つ以上の可撓性タブ170を支持することができる。これらのタブ170は、パッド172に対して半径方向内向きの力を加圧するかあるいは及ぼすことによって撓むことができ、タブ170の端部が本体140の軸中心線へ向かって半径方向内向きへ動くことになる。タブ170を内方へ撓ませることによって、カテーテル104の本体140は、導入器102のハブ部分108に係合するように、軸方向に移動することができる。これらのタブ170は、カテーテル104の本体140が導入器102のハブ部分108に係合するように軸方向に移動すると、内方へ自動的に撓むことができる。カテーテル104の本体140が、導入器のハブ部分108に対して当接するために導入器102のハブ部分108に係合するように軸方向に移動すると、タブ170は解放することができ、それによって、カテーテル104の本体140を導入器102のハブ部分108へ取り外し可能にロックすることができる。
【0059】
この形態では、カテーテル104が導入器102に軸方向に係合されるかあるいはロックされるので、ユーザーは導入器102およびカテーテル104を同時に軸方向へ用手操作することができる。加えて、いくつかの実施形態において、この形態では、上記のように、カテーテルシステム100は、カテーテル104の少なくとも内側コア154がカテーテル104の本体140および導入器102に対して回転することができるように、構成することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、
図7、8Aおよび8Bに示されたように、内側コア154には、
図7および12〜14に示されたステント157のようなステントを支持するように構成された中心のチューブあるいはワイヤ176が備わっている。加えて、1つ以上のビードあるいはタブ174を、中心のチューブあるいはワイヤ176の上に形成することができ、あるいは中心のチューブあるいはワイヤ176によって支持することができる。これらのタブ174は、この人工器官が中心チューブ176によって折り込まれた形態に支持されると、内側コア154と中心チューブ176によって支持された管腔内人工器官との間における軸方向の支持あるいは接続を増大させるように、構成することができる。カテーテル104は、開口が遠位先端部162、中心チューブ176、および内側コア154を貫通するように、構成することができる。この開口は、2008年4月11日に提出された(発明の名称:分岐状移植片の展開システムおよび展開方法)米国特許出願番号第12/101,863号に記載されたように、少なくとも遠位先端部162、中心チューブ176、および内側コア154が患者の血管の内部に定置された案内ワイヤにわたって前進することができるように、構成することができるが、上記出願は、あたかもこの明細書の中で完全に記載されたようにその全体が参照によってこの明細書の中に組み入れられている。
【0061】
加えて、いくつかの実施形態(例示されていない)では、タブ174は、多数の個別ステント片への軸方向支持をもたらすために、寸法仕上げされ、間隔をおいて配置され、さもなければ構成することができる。例えば、制限はされないが、多数の独立したあるいはつながれたステント片を管状あるいは分岐状の移植片の内部に定置することができ、また、ステント移植片を、タブ174がステント片どうしの間に定置されるように、タブ174に対して定置することができる。この構成によれば、外側シース122、導入器シース110、およびカテーテルシステムを備えている他の構成要素の全体にわたる直径を減少させることができ、タブ174によってもたらされた、上記管腔内人工器官への軸方向支持を向上させることができ、さらに、タブ174と上記管腔内人工器官との間の支持力をいっそう均一に分布させることができる。これらのタブ174は、リンク、ベンド、ループ、および/または、管状あるいは分岐状ステントの中に形成された他の接合具に隣接して位置するように、寸法仕上げし、間隔をおいて配置し、さもなければ構成することができるが、そのようなリンク、ベンド、ループ、および/または他の接合具は、発明の名称が「管腔内人工血管」である米国特許第6,077,296号に開示されたステントの複数の実施形態を備えており、この特許は、あたかもこの明細書の中で完全に記載されたように参照によってこの明細書の中に組み入れられている。
【0062】
図13〜15を参照すると、展開カテーテル104の外側シース122は、この展開カテーテル104が導入器102に係合されたときに、導入器102の内部における軸方向開口の中へ前進させることができる。この外側シース122は、外側シース122の遠位端部分122cが導入器102の内部にて導入器シース110の近位端あるいは張り出し状部分110bの手前あるいは近位で終わっていてもよいように、寸法仕上げし、かつ、構成することができる。要求はされないものの、導入器102には、この導入器の本体106の中に形成されたくびれ部分113があってもよい。いくつかの実施形態では、
図14に最も明瞭に示されたように、カテーテルシステム100は、外側シース122の遠位端122cが導入器102の本体106のくびれ部分113の手前であるいはそこにほぼ隣接して終わるように、構成することができる。
【0063】
いくつかの実施形態(例示されていない)では、外側シース122の遠位端部分122cは、カテーテル104にくびれ部分113があるかどうかに関わりなく、導入器シース110の近位端部分あるいは張り出し状部分110bの近傍にあるいはそこにほぼ隣接して定置することができる。くびれ部分113の内径は、外側シース122の内径および/または導入器シース110の内径とほぼ同一であってもよい。
【0064】
従って、カテーテル104の外側シース122および導入器シース110は、中を通して管腔内人工器官を前進させることのできる、上記カテーテルシステムを貫通するほぼ均一の断面寸法がある管腔を設けるように、構成することができる。中を通して管腔内人工器官を前進させることのできる、カテーテルシステム100を貫通する管腔は、実質的に連続状のものであってもよく、その結果、上記管腔内人工器官は、前進するときにこの人工器官がカテーテルシステム100のいずれの構成要素または特徴的構成に突き当たることまたはそれによって妨げられることなく、カテーテルシステム100を通して前進することができる。上記管腔は、実質的に連続状のものであるが、上記管腔の中に、限定はされないものの、カテーテル104の外側シース122の遠位端に隣接するような、かつ/または、導入器シース110の近位端あるいは張り出し状端部110bに隣接するような、ほぼ1mm〜ほぼ3mm程度の複数の短い間隙があってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、複数の短い間隙は、カテーテルシステム100を備えているいくつかの構成要素がカテーテルシステム100を備えている他の構成要素にねじ係合されるときに、カテーテル104の外側シース122の遠位端に隣接して、かつ/または、導入器シース110の近位端あるいは張り出し状端部110bに隣接して、形成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、外側シース122および導入器シース110に加えて、限定はされないものの、先に考察したような導入器102の本体106のくびれ部分113のような、カテーテル104あるいは導入器102を備えている他のいくつかの構成要素の1つ以上の面は、カテーテルシステム100を貫通する管腔の一部分を形成することができる。
【0065】
外側シース122は、上記のように、中心チューブ176によって支持された管腔内人工器官を閉じ込めるかあるいは拘束することができる。この形態では、カテーテル先端部162、中心コア154、および管腔内人工器官(制限はされないが、
図7および12〜14に示されたステント157のような)が外側シース122を通して前進すると、外側シース122は、上記管腔内人工器官を拘束することができるとともに、上記管腔内人工器官が患者の血管の内部における目標位置に到達する前に拡張するのを防止することができる。加えて、このカテーテルシステム100は、カテーテル先端部162、中心コア154、および管腔内人工器官が、外側シース122の遠位端122cを越えて前進すると、くびれ部分113および、それに続いて導入器シース110が、その管腔内人工器官が導入器シース110を通して前進するときにその管腔内人工器官を半径方向に拘束することができるように、構成することができる。
【0066】
管腔内人工器官あるいはステント157は、限定はされないが、上で言及されて、あたかもこの明細書の中で完全に記載されたように参照によってこの明細書の中に組み入れられている米国特許出願番号第12/101,863号に開示された任意のステントあるいは移植片が含まれる管状ステント、分岐状ステント、あるいは他の好ましい任意のステント、移植片、ステント移植片、または管腔内人工器官(この明細書では集合的に1つのステントあるいは複数のステントと称される)であってもよい。従って、カテーテルシステム100あるいはカテーテル104は、適切なあるいは望ましい任意の1つのステントあるいは複数のステントを展開するように、構成することができる。
【0067】
このように、この形態では、上記管腔内人工器官は外側シース122から導入器シース110まで移送することができる。この構成では、拘束体として導入器シース110を使用することで、導入器シース110の外径を減少させることができ、その結果、患者の血管への外傷を最小限にすることができるとともに管腔内人工器官の展開において役に立つことができる。
【0068】
結合用機構およびカテーテルシステムの多くの実施形態が、
図1〜15と関連して説明されてきた。おそらく医療的使用のために適しているとともにこの明細書の中で考察された恒久的なあるいは取り外し可能な結合用機構についての多くの潜在的実施形態が存在するということは、当業者に明らかであろう。例えば、いくつかの実施形態では、ナット−ねじの組み合わせを使用して、上記導入器シースと上記カテーテルとを接続することができる。別の例として、カメラのレンズに使用されるようなバヨネット型ロック機構を使用することができる。いくつかの実施形態では、この明細書の中に開示されたカテーテルについてのいくつかの実施形態における複数のあらゆる構成要素あるいは特徴的構成を、あるいはこの分野で利用することのできる他のカテーテルを組み合わせて、付加的な実施形態を形成することができるが、それらのすべてはこの明細書の中で考察されている。
【0069】
図16に開示されたカテーテルシステムには、この明細書の中では導入器カテーテルとも称される導入器カテーテルアセンブリーと、この明細書の中では送出カテーテルとも称される送出カテーテルアセンブリーとが備わっている。
【0070】
この明細書の中に開示されたカテーテルシステムは、限定はされないが、管腔内人工血管展開処置のような診断用あるいは治療用の処置のために使用することができる。この明細書の中に開示されたカテーテルシステムの実施形態を、さまざまな血管および動脈瘤のために、また、広く体組織を支持する人工器官を送出するために使用することができる、ということは当業者にとって明らかであろう。この明細書の中に開示されたカテーテルシステムの実施形態で処置することのできるそのような血管の例には、大動脈、腹部大動脈瘤のような大動脈瘤、伏在静脈移植片、大静脈、腎動脈、腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈、頸動脈、頭蓋動脈、肺動脈などが含まれる。この明細書の中に開示されたいくつかのカテーテルシステムの実施形態で処置することのできる他の器官あるいは体組織には、前立腺、胆管、食道、気管、卵管、精管、尿管、涙管、唾液腺管が含まれる。
【0071】
この明細書の中に開示されたカテーテルシステムは、機械的拡張型ステント、自己拡張型ステント、薬剤溶出型ステント、移植片、分岐状および非分岐状のステント移植片、開窓型ステント移植片、副腎ステント拡張体、ステント片、切開処置装置、身体の適切な任意の領域に展開することのできる医療用人工器官、および2008年4月11日に出願された米国特許出願第12/101,863号、2009年7月1日に出願された米国特許出願第12/496,446号、2010年4月28日に出願された米国特許出願第12/769,506号、および米国特許第6,077,296号に開示されたステントあるいは人工器官のうちの任意のものであって、あたかもこの明細書の中で完全に記載されたように参照によってこの明細書の中に組み入れられているものが含まれる広範囲の管腔内人工器官の展開のために構成することができる。
【0072】
このステントには、ステントフレームへ縫い合わされていないかさもなければ取り付けられていない中間部分がある特大の移植片が備わっていてもよい。この形態では、上記中間部分は、移植片と血管壁との間のシールをさらに改善するために、血管あるいは導管の内壁に対して拡張することができる。加えて、このステントには、このステントが拡張されたときに、移植片がシール区域において密な折り重なり部を形成してステントと血管壁との間の漏れ区域の断面積を減少することができるように、高度に折り込み可能な柔軟性材料(例えばePTFE)からなる特大の移植片が備わっていてもよい。
【0073】
簡略化のために、上記のステントあるいは人工器官のすべては、別に定義しない限り、この明細書の中では集合的に1つのステントあるいは複数のステントと称される。それゆえ、以下の図示および開示は、ステントについて説明しており、また、身体の特定の導管におけるかあるいはある領域における展開を示しており、この明細書の中に開示された複数のあらゆる実施形態を、当業者の能力の範囲内で改変を伴ってあるいは伴うことなく、身体における適切な任意の部分における所望の任意の人工器官の展開に使用することができる、ということが意図されている。
【0074】
図16は、導入器カテーテルアセンブリー102へ結合された送出カテーテルアセンブリー104を有しているカテーテルシステム100の斜視図である。
図17〜19はそれぞれ、
図1の送出カテーテルアセンブリー104の斜視図、上面図、および側面図である。
図16〜17を参照すると、カテーテルシステム100には結合用構成があり、ここで、導入器カテーテルアセンブリー102の近位端部分は、送出カテーテルアセンブリー104の本体121(この明細書の中では、ハウジング部材あるいはハウジングシャフトとも称される)の遠位端部分121aを受け入れことができるとともに同遠位端部分と結合することができる。導入器カテーテル102には、導入器カテーテル102によって支持されているとともに導入器カテーテル102の遠位端部分から延出している外側シース110(この明細書の中では、導入器シースとも称される)が備わっていてもよい。同様に、送出カテーテルアセンブリー104には、ハウジングシャフト121の遠位端部分121aから延出している管状シース127(この明細書の中では、送出カテーテルシースとも称される)が備わっていてもよい。このシース127は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)あるいは他の適切な任意の材料から作ることができる。
【0075】
このような結合用構成体の特徴的構成および構成要素に関する付加的細部と上記カテーテルシステムに関する付加的細部とは、2008年4月11日に出願され、発明の名称が「分岐状移植片の展開システムおよび展開方法」である米国特許出願第12/101,863号と、2009年7月1日に出願され、発明の名称が「カテーテルシステムおよびその使用方法」である米国特許出願第12/496,446号とに開示されており、これら両出願の内容は、あたかもこの明細書の中で完全に記載されたように参照によってこの明細書の中に組み入れられている。この明細書の中に開示されたカテーテルシステム、送出カテーテル、および導入器カテーテルの複数のあらゆる実施形態には、上記両出願に開示されているカテーテルの複数のあらゆる実施形態における構成要素、特徴的構成、材料、あるいは他の細部のいずれが備わっていてもよく、それらの組み合わせがこの開示の一部とされている。
【0076】
1つ以上のステントは、この明細書の中に開示された実施形態のカテーテルシステム100の中に装填することができ、同カテーテルシステムによって支持することができ、さらに、同カテーテルシステムによって送出することができる。1つのステントあるいは複数のステントは、送出カテーテルアセンブリー104の組み立ての間にあるいは外科的処置の直前に、そのステントを送出カテーテルアセンブリー104の内側コア部材115の外面の周りに圧縮することで、送出カテーテルアセンブリー104の中に装填することができる。
【0077】
上記の導入器カテーテルおよび/または送出カテーテルの取り外し可能な拘束体および/または外側シースは、上記ステントを圧縮状態に保持することができる。この圧縮状態では、上記ステントは、上記内側コアの軸方向移動あるいは回転移動によって上記ステントの軸方向移動あるいは回転移動が引き起こされるように、上記内側コアに対して概ね一定の軸方向位置に保持することができる。以下で考察されるように、上記内側コアには、圧縮された上記ステントと上記内側コアあるいは内側コアワイヤとの間の牽引性あるいは把持性を改善するために、フィン、ビード、タブ、あるいは他の突起のような特徴的構成が備わっていてもよい。上記外面の周りに圧縮された上記ステントが備わった上記内側コアは、上記ステントを上記導入器カテーテルから突出する上記外側シースのほぼ内径まで圧縮するために、上記導入器カテーテルの中におけるかあるいは同カテーテルに隣接するくびれ要素を通して前進させられる。
【0078】
内側コア部材115には、内側コア部材115の一部分を形成しているコアワイヤ117が備わっていてもよい。コアワイヤ117の遠位端部分で、非外傷性遠位先端部119を支持することができる。内側コア部材115、コアワイヤ117、および遠位先端部119には、その中に案内ワイヤを受け入れるように構成されている連続状管腔がそれを通して備わっていてもよく、その場合、内側コア部材115、コアワイヤ117、および遠位先端部119は上記案内ワイヤにわたって前進することができる。ステントの装填状態において、ステントは、内側コアワイヤ117の少なくとも一部の周りに折り込まれるかまたは圧縮され得る。
【0079】
上記のように、このカテーテルシステムは、内側コア部材115が外側シース110に対して軸方向にスライドすることができるように構成することができる。この形態では、上記ステントは、外側シース110を内側コア部材115に対して後退させ、その結果、上記ステントを露出させることによって、患者の脈管構造の目標領域の中に展開することができる。外側シース110が上記ステントへ半径方向の束縛をもたらすいくつかの実施形態では、上記ステントを露出させることによって、自己拡張型ステントは、外側シース110が後退させられると、血管に対して自己拡張することができる。
【0080】
これからいっそう詳しく説明されるように、この明細書の中に開示されたカテーテルシステム100のいくつかの実施形態は、ユーザーあるいは医師が送出カテーテルアセンブリー104を第1の方式で、ゆっくりと、かつ、機械的利点を伴って用手操作するときに、上記送出カテーテルが、上記ステントあるいは上記ステントの一部分を送出カテーテルアセンブリー104からゆっくりと、かつ、制御可能に展開するために使用することができるように、構成されている。この明細書の中に開示されたカテーテルシステム100のいくつかの実施形態は、ユーザーあるいは医師が送出カテーテルアセンブリー104を第2の方式で、上記調節部材を直接引くことによって迅速に用手操作するときに、送出カテーテルアセンブリー104が、送出カテーテルアセンブリー104から上記ステントあるいは上記ステントの一部分をいっそう迅速に展開するために使用されるように、さらに構成されている。
【0081】
この明細書の中に開示されたカテーテルシステムは、上で述べた複数の展開方式のいずれの組み合わせも受け入れるように構成することができる。例えば、ユーザーあるいは医師は、初めに上記第1方式で上記送出カテーテルを用手操作して、送出カテーテルアセンブリー104から上記ステントをゆっくり展開し、その後、部分的に展開されたステントの適切な定置が確認されると、医師は、次いで、上記第2方式で送出カテーテルアセンブリー104を用手操作して、上記ステントの残り部分を迅速に展開する。
【0082】
図16を参照すると、送出カテーテルアセンブリー104のハウジングシャフト121の遠位端部分121aが、導入器カテーテル102の近位端部分で支持された雌型受け入れ部分105によって、取り外し可能にかつ軸方向に支持されている。導入器カテーテル102は外側シース110をその遠位端で支持しており、外側シース110は、中に内側コア部材115をスライド可能に受け入れるように構成され、外側シース110内を通る管腔を画定している。内側コア部材115は、送出カテーテルアセンブリー104の中における開口あるいは管腔を通して、導入器カテーテル102の中における開口あるいは管腔を通して、さらに外側シース110の中における管腔を通して、スライド可能に前進することができる。
【0083】
送出カテーテルアセンブリー104には、遠位端部分121aおよび近位端部分121bを有する本体あるいはハウジングシャフト121が備わっている。ハウジングシャフト121は、ほぼ管状の断面形状を閉じ込めているとともに、ハウジングシャフト121の一部分に沿って雄ねじ126(ねじ付き部分126とも称される)を有している。
【0084】
ハウジングシャフト121は、ハウジングシャフト121の遠位端部分121aとハウジングシャフト121によって支持された回転可能な調節部材130との間でハウジングシャフト121に沿って軸方向にスライドするように構成することのできるスライド可能な把手部材128を支持している。以下で説明されるように、送出カテーテルアセンブリー104は、把手部材128が内側コア部材115に選択的に係合可能であるように構成されている。係合された形態では、把手部材128の移動によって、内側コア部材115の同時かつ同等の移動が引き起こされる。送出カテーテルアセンブリー104は、把手部材128が内側コア部材115に係合されると、内側コア部材115の不注意による回転を防止するために、把手部材128がハウジングシャフト121に対して回転するのを防止し、従って、導入器カテーテル102および外側シース110に対して回転するのを防止するように、構成することができる。
【0085】
ねじ付き部分126は、ハウジングシャフト121の長さの約60%に沿って延出している。ねじ付き部分126は、ハウジングシャフト121の長さの約40%〜約70%に沿って延出していてもよい。ねじ付き部分126は、ハウジングシャフト121の近位端部分121bに隣接して定置することができる。ねじ付き部分126の長さは、上記カテーテルによって展開される上記ステントの長さの約20%〜約200%であってもよい。例えば、調節部材130の回転によって上記ステントの上記近位端部分だけが展開されるときには、上記ねじ付き部分の長さは上記ステントの長さの約20%〜約50%であってもよい。この開示を通して使用されるように、この用語は、述べられた上記の値のプラスあるいはマイナス15%を意味することができる。
【0086】
把手部材128の回転移動を防止することは、いくつかの方法において達成することができる。例えば、把手部材128には、ハウジングシャフト121の中に形成された1つ以上の溝あるいは長穴の中へ突出することのできるタブ、隆起部、または類似した1つのあるいは複数の特徴的構成が備わっている。
図16に示されたように、ハウジングシャフト121には、ハウジングシャフト121の長さの一部分に沿って直線状に延びる単一の長穴134があってもよく、その長穴134は、把手部材128によって支持されたタブ、隆起部、あるいは類似した特徴的構成をその中にスライド状に受け入れるように構成されている。
【0087】
把手部材128は、この把手部材128によって支持された内側コア係合アセンブリー139を閉じ込めている。述べたように、送出カテーテルアセンブリー104は、内側コア部材115が把手部材128に軸方向に係合されたときに、把手部材128の軸方向移動によって、導入器カテーテル102および外側シース110に対する内側コア部材115の同時軸方向移動が引き起こされるよう、構成されている。内側コア係合アセンブリー139を押し込むことによって、内側コア部材115を把手部材128から解放することができ、その結果、内側コア部材115は把手部材128に対して軸方向に移動することができる。いくつかの形態では、内側コア部材115は、この内側コア部材115が把手部材128に軸方向に係合されたときでさえも、把手部材128に対して回転することができる。
【0088】
述べたように、回転可能な調節部材130は、ハウジングシャフト121によって支持されている。この回転可能な調節部材130は、把手部材128のねじ付き部分126における雄ねじにねじ係合されている。この形態では、回転可能な調節部材130を一方方向に回転させるかあるいは回動させると、回転可能な調節部材130は、上記ねじに沿って前進して、ハウジングシャフト121の遠位端部分121aへ向かって軸方向に移動することになる。回転可能な調節部材130を第2の反対方向に回転させるかあるいは回動させると、回転可能な調節部材130は、送出カテーテルアセンブリー104のハウジングシャフト121の遠位端部分121aから離れる軸方向に移動することになる。回転可能な調節部材130とハウジングシャフト121との間におけるねじ係合の結果、回転可能な調節部材130が、ハウジングシャフト121に対して軸方向にスライドすることが防止できる。従って、把手部材128は、軸方向にスライドすることができるうえ、ハウジングシャフト121に対して回転することを防止でき、また、回転可能な調節部材130は、回転することができるうえ、ハウジングシャフト121に対して軸方向にスライドすることを防止できる。
【0089】
使用に際して、医師は、把手部材128を一方の手で(例えば、左手で)、かつ、回転可能な調節部材130(初めは、上記ハウジングシャフトの近位部130aに軸方向に隣接して置かれている)を他方の手で、把持することができる。医師は内側コア部材115を移動させて、把手部材128に係合させる。導入器カテーテル102の外側シース110を内側コア部材115に対して後退させるために、医師は、把手部材128を一定位置に保持するとともに、導入器カテーテル102および外側シース110へ軸方向に固定されている送出カテーテルアセンブリー104のハウジングシャフト121を軸方向に引き出す。内側コア部材115が内側コア係合(および解除)アセンブリー139に係合された状態で把手部材128を一定位置に保持することで、ハウジングシャフト121へ固定された内側コア部材115に対して外側シース110が軸方向に後退すると、内側コア部材115が固定されて保持される。送出カテーテルアセンブリー104のハウジングシャフト121の部分を後退させることは、回転可能な調節部材130を把持して回転させることによって、あるいは、回転可能な調節部材130を把手部材128に対して後退させるために引っ張り力を直接適用することによって、行うことができる。この過程で、内側コア部材115に対する外側シース110の所望の引き出しが行われる。
【0090】
内側コア部材115に対する外側シース110のよりゆっくりした漸増的引き出しは、回転可能な調節部材130が把手部材128の近位端128aに軸方向当接すると、達成される。回転可能な調節部材130を第1方向に回転させるとともに把手部材128を一定の軸位置に保持することで、送出カテーテルアセンブリー104のハウジングシャフト121が、ゆっくり、かつ、漸増的にさらに制御可能に後退させられるかあるいは引き出され、従って外側シース110が、同様に後退させられるかあるいは引き出される。このように制御された外側シース110の引き出しは通常、ステントを露出させて展開する初期展開段階の間に遂行されるので、医師は、上記ステントをいっそうすぐれた制御と精度で目標箇所に定置することができる。
【0091】
要するに、この形態では、把手部材128がハウジングシャフト121の近位部分に初めに置かれた状態で、医師は、外側シース110を制御可能に後退させることができ、一方の手で把手部材128を患者に対して一定位置に保持するとともに、他方の手を使って回転可能な調節部材130を第1方向に回動させてハウジングシャフト121および外側シース110を把手部材128および内側コア部材115に対して後退させることによって、上記ステントを露出させる。このステントが所望位置にあることを医師が確信すると、医師は次いで、ハウジングシャフト121をつかんでそれを把手部材128に対して軸方向に後退させることによって、外側シース110を内側コア部材115に対していっそう迅速に後退させることができる。
【0092】
図17〜19に示されたように、送出カテーテルアセンブリー104には、ロック係合リング147のような、内側コア部材115の上に定置された選択的係合可能なロック用構成体が備わっていてもよい。以下でいっそう詳しく説明されるように、係合リング147は、内側コア係合アセンブリー139に解除可能に係合するように構成することができる。上で考察したように、内側コア部材115が係合アセンブリー139に係合されると、内側コア部材115は、把手部材128の軸方向移動が内側コア部材115の同時軸方向移動をもたらすように、係合アセンブリー139へ軸方向にロックされる。内側コア部材115は、上記のロック位置あるいは係合位置にあるときでさえも、係合アセンブリー139および把手部材128に対して自由に回転することができる。係合リング147は、内側コア部材115の外面へ接着することができ、同外面と一体に形成することができ、さもなければ、同外面へ恒久的に固定することができる。
【0093】
図17〜19を参照すると、係合リング147のいくつかの実施形態には、テーパー付き面149と環状溝152とが備わっていてもよい。テーパー付き面149は、係合リング147が係合アセンブリー139の中へ前進することのできる容易性を改善することができる。これらの構成要素に関する付加的な細部は以下で説明される。
【0094】
図20は、
図16の送出カテーテルアセンブリー104の斜視図であり、送出カテーテルアセンブリー104に対して完全にあるいはほぼ完全に前進させられた位置における内側コア部材115を示している。この位置において、内側コア部材115、内側コアワイヤ117、および遠位先端部119はすべて、送出カテーテルアセンブリー104のシース127の端部を越えて前進させられている。送出カテーテルアセンブリー104が導入器カテーテル102に係合されると、内側コア部材115、内側コアワイヤ117、および遠位先端部119もまた、内側コア部材115によって支持されたステントが少なくとも一部、また、いくつかの場合には全部露出するように、外側シース110の端部に対して前進させられる。
【0095】
図21〜23は、
図16の送出カテーテルの側面図であり、送出カテーテルアセンブリー104の、予備展開の第1位置、部分展開の第2位置、および完全に後退させられた第3位置のそれぞれにあるシース、およびハウジングシャフト121、把手部材128、および内側コア部材115の位置を示している。送出カテーテルアセンブリー104は、把手部材128が
図21に示されたような上記第1位置と
図23に示されたような少なくとも上記第3位置との間でハウジングシャフト121に沿ってスライドするように、構成されている。それゆえ、この形態では、把手部材128が静止状に保持されているのに対し、ユーザーあるいは医師は、ハウジングシャフト121を把手部材128に対してスライドさせることで、ハウジングシャフト121を後退させることができる。従って、把手部材128が内側コア部材115に係合されると、医師は、把手部材128をハウジングシャフト121の遠位端部分121aへ向けてスライドさせることで、内側コア部材115を送出カテーテルアセンブリー104のハウジングシャフト121の遠位端部分121aに対してきわめて迅速に前進させることができる。同様に、医師が内側コア部材115および人工器官を患者の血管の内部における一定位置に保持することを望むときには、医師またはユーザーは、把手部材128を一定位置に保持することができ、さらに、送出カテーテルアセンブリー104を患者の身体から離すように軸方向にスライドさせるかあるいは後退させることで導入器カテーテル102の外側シース110を内側コア部材115および人工器官に対して後退させ、それによって、上記人工器官を露出させる。
【0096】
回転可能な調節部材130は把手部材128から分離することができるので、調節部材130およびハウジングシャフト121は把手部材128から独立して動くことができる。調節部材130には、ハウジングシャフト121のねじ付き部分126における雄ねじに係合する雌ねじが含まれている。調節部材130を第1方向に回転させると、ハウジングシャフト121およびシースは、調節部材130が把手部材128との接触を維持し、上記調節部材が回転するときに、軸方向に後退させられる。調節部材130の回転が、ハウジングシャフト121のゆっくりした後退の速度を制御するために用いられ、または、上記調節部材へ適用される軸方向の力が、迅速な後退の選択肢をもたらす。
【0097】
把手部材128は内側コア部材115に選択的に係合することができる。
図24は、内側コア係合アセンブリー139および内側コア部材115の斜視図であり、内側コア係合アセンブリー139に対して係合解除された第1位置にある内側コア部材115を示しており、上記送出カテーテルの他の構成要素は、明瞭さのためにこの図から除かれている。
図25は、送出カテーテルアセンブリー104の軸中心線を通る送出カテーテルアセンブリー104の一部分の断面図であり、内側コア係合アセンブリー139に対して係合解除された第1位置にある内側コア部材115を示している。
図26は、
図24に示されたような内側コア係合アセンブリー139および内側コア部材115の斜視図であり、上記内側コア係合アセンブリーに対して部分係合の第2位置にある上記内側コアを示している。
【0098】
図24〜26を参照すると、送出カテーテルアセンブリー104のいくつかの実施形態では、係合リング147が内側コア部材115によって支持されている。係合リング147には、テーパー付き前方面149と、係合リング147の外面の周りに形成された溝あるいはくぼみ152とがある。前方面149には、ほぼ円錐台の形状があってもよく、また、溝152は、係合リング147の周りすべてに形成することができ、リング状溝部を形成している。係合リング147は、内側コア部材115の長さに沿った任意の所望位置で、内側コア部材115へ接着されているか、内側コア部材115と一体に形成されているか、さもなければ、内側コア部材115によって固定されあるいは支持されている。
【0099】
図24〜26を参照すると、係合アセンブリー139の本体部材155が、係合リング147に係合するように構成された1つ以上のタブあるいはアーム159を支持している。1つ以上のアーム159には、この1つ以上のアーム159の近位端159bで支持された内向きの複数のタブあるいは突起166が備わっていてもよい。これらのアーム159は、本体部材155によって片持ち梁の形態に支持されているので、1つ以上のアーム159の基底部分159aは、本体部材155へ固定され、また、1つ以上のアーム159の近位端159bが本体部材155によって支持されないようになされている。これらのアーム159は本体部材155によって支持されている。
【0100】
係合リング147は、内側コア部材115を第1(遠位)方向(
図24において矢印A1によって表されている)に、係合リング147が係合アセンブリー139に係合されるまでスライドさせることで、内側コア係合アセンブリー139によって受け入れられるように、構成されている。
図26に示されたように、内側コア部材115および係合リング147が係合アセンブリー139へ向かって移動すると、
図26〜28に示されたように、係合リング147のテーパー付き前方面149によってタブあるいはアーム163が広げられて、係合リング147が係合アセンブリー139の中へ前進させられる。内側コア部材115が把手部材128に対してさらに前進させられて、アーム159の隆起部分166が溝152に軸整合すると、アーム159の隆起部分166は、1つ以上のアーム159の偏倚力のために、互いに向かってかつ溝152の中へ(ばねを)圧縮するとともに収縮することができる。
図30〜32に示されたように、内側コア部材115は、ユーザーが係合アセンブリー139を係合リング147から係合解除するまで、把手部材128に軸方向に係合されている。内側コア部材115は、把手部材128に軸方向に係合されているときでさえも、把手部材128に対して自由に回転することができる。
【0101】
係合アセンブリー139は、半径方向にある1つ以上のアーム159(
図27Bに示されたように、それらを広げている)がアーム159の隆起部分166を係合リング147の溝152から離れて引き上げられるように、さらに構成されている。1つ以上の広がりタブ173が、本体部分175によって支持されており、あるいは必要な半径方向の力をアーム159に(広がるように)及ぼして隆起部分166を係合リング147から離して引き上げるように、構成されている。これらの広がりタブ173には、これらの広がりタブ173を1つ以上のアーム159に対して下方方向に移動させてアーム159を外方へ撓ませるように、テーパー付き形状があってもよい。ボタン180を押し込むことで、広がりタブ173が下方へ押しやられ、それによって、アーム159を外方へ撓ませるので、係合リング147は、軸方向に解放されるとともに係合アセンブリー139から軸方向に離れるように移動される。
【0102】
図34は、上記送出カテーテルの軸中心線を通る上記送出カテーテルの一部分の断面図であり、内側コア係合アセンブリー139に対して係合解除された位置にある内側コア部材115を示している。
【0103】
図35は、送出カテーテルアセンブリー104の軸中心線を通る送出カテーテルアセンブリー104の一部分の断面図であり、内側コア係合アセンブリー139に対して係合された位置にある内側コア部材115を示している。この中に図示されたように、偏倚機構あるいはばね部材184が、把手部材128によって支持されており、また、ボタン180を、内側コア部材115から離れた第1方向に偏倚させ、従って、広がりタブ175を同様に偏倚させるように、構成されている。
【0104】
さらに、
図34〜35を参照すると、把手部材128には、把手部材128に対する係合リング147および内側コア部材115の動きの範囲を制限するように構成された止め部材198が備わっている。例えば、止め部材198の第1端部分198aは、係合リング147が把手部材128の中へ前進させられたときに係合リング147の前方面149に当接するように、構成されている。
【0105】
上記ステントは、外科的処置の間にそのステントを上記のカテーテルアセンブリーあるいは導入器シースの中へ移送する必要がないように、上記の導入器カテーテルアセンブリーあるいは導入器シースの中に予備装填することができる。上記送出カテーテルシステムには、1つの装置において、導入器シース、内側コア、およびこの明細書の中に開示された送出カテーテルのいくつかのあるいはすべての構成体が備わっていてもよい。この包括的な装置の中で、上記内側コアは、上記送出カテーテルが上記内側コアに選択的に係合可能である必要がないように把手部材128へ恒久的に接続することができ、それによって、上記アセンブリーを単純化するとともに上記外科的処置を潜在的に単純化することができる。それゆえ、この包括的な送出カテーテルアセンブリーのいくつかの実施形態では、上記送出カテーテルアセンブリーに、上で説明されたカテーテルシステム100の複数の実施形態の構成要素、特徴的構成、細部、あるいは形態のすべてが備わっていてもよく、ここで、内側コア部材115の内側コア係合アセンブリー139およびロック係合リング147は、内側コア部材115と把手部材128との間の非選択的連結あるいは他の結合で置き換えることができる。
【0106】
図36は、送出カテーテルアセンブリー104によって部分的に展開された人工器官の例示である。
図37は、送出カテーテルアセンブリー104とともに展開することができるステントを例示している部分側面図である。
図36に示された展開カテーテルは、適切な任意の人工器官の展開のために適合させることができ、また、
図37に示されたステントの展開に限定されることがない。
図20、36および37を参照すると、1つ以上のビードあるいはタブ174は、コアワイヤ117の上に形成することができ、あるいはコアワイヤ117によって支持することができる。これらのタブ174は、上記ステントがコアワイヤ117の上に圧縮状態に支持されたときに、内側コアワイヤ117とこのコアワイヤ117によって支持されたステント214との間の軸方向の支持あるいは結合を増大させるように、構成することができる。加えて、これらのタブ174は、多数の個別ステント片(図示されていない)へ軸方向の支持をもたらすように、寸法仕上げされ、間隔をおいて配置され、さもなければ構成することができる。例えば、多数の独立したあるいはつながれたステント片を管状あるいは分岐状の移植片の内部に定置するまたは別のやり方で定置することができ、また、上記ステントは、タブ174がステント片216どうしの間に、または、頂点どうし、稜どうし、あるいはストラットを相互結合するための結合箇所218どうしの間に定置されるように、タブ174に対して定置することができる。
【0107】
示された形態では、コアワイヤ117によって支持された複数のビードあるいはタブ174は、ステント214の複数のストラット216あるいは結合箇所218に係合することができ、それによって、外側シース110の内部に圧縮されてとどまるステント214の一部分について、このステントが内側コアワイヤ117に対して軸方向に滑るのを防止するのに役立つ。この構成によれば、ステント214の展開の最終段階の間に、例えば、
図36に示されたように、ステント214の端部分だけが外側シース110の内部に圧縮されてとどまるときに、ステント214にわたってより大きい制御がもたらされる。
【0108】
加えて、複数のタブ174を複数のストラット216どうしの間にあるいは結合箇所218どうしの間に定置することで、上記の圧縮された人工器官、外側シース110、および上記カテーテルシステムを備えている他の複数の構成要素の圧縮直径あるいは横断面輪郭を減少させることができる。この構成によれば、複数のタブ174どうしの間の、内側コアワイヤ117とステント214との間の支持力をいっそう均一に分布させることもまた可能である。複数のタブ174は、リンク、ベンド、ループ、および/または、管状あるいは分岐状ステントの中に形成された他の接合具に隣接して位置するように、寸法仕上げし、間隔をおいて配置し、さもなければ構成することができるが、そのようなリンク、ベンド、ループ、および/または他の接合具は、発明の名称が「管腔内人工血管」である米国特許第6,077,296号に開示されたステントの複数の実施形態を備えており、この特許は、あたかもこの明細書の中で完全に記載されたように参照によってこの明細書の中に組み入れられている。
【0109】
この明細書の中に開示されたカテーテルシステムの複数のあらゆる実施形態において、そのカテーテルシステムは、ステントを、第1の直径あるいは寸法から、そのステントが導入器あるいは導入器シースの中へ装填されるときに第2の直径あるいは寸法まで圧縮することができるように、この明細書の中で記載されたように、構成することができる。上記第1の直径あるいは寸法は完全に弛緩されあるいは拡張された上記ステントの直径であってもよく、または、上記第1の直径あるいは寸法は部分的に圧縮された直径であってもよい。例えば、この明細書の中に開示された複数の実施形態のいくつかについて、上記ステントは、上記送出カテーテルの上記シースによって、あるいはそのステントを取り囲むアセンブリー装置によって画定されあるいは制御された第1直径から、上記導入器シースによって画定されあるいは制御された第2直径まで、圧縮することができる。上記導入器の中へ前進させられたときの上記ステントの縮小比は約50%〜約95%であってもよいが、このことは、上記第2直径が上記第1直径の約50%〜約95%であってもよいということを意味している。
【0110】
図38は、導入器カテーテルアセンブリー302を有しているカテーテルシステム300の側面図であり、導入器カテーテルアセンブリー302の外側シースの中へ装填されるステントを示している。送出カテーテル304の一部分だけが図示されており、導入器カテーテルアセンブリー302のいくつかの特徴的構成は明瞭さのために省略されている。カテーテルシステム300および/または導入器カテーテルアセンブリー302には、2009年7月1日に出願され、発明の名称が「カテーテルシステムおよびその使用方法」である米国特許出願第12/496,446号を含む、開示されている、あるいは参照によってこの明細書の中に組み入れられたカテーテルシステムあるいは導入器カテーテルアセンブリーの複数のあらゆる実施形態の構成要素、特徴的構成、材料、あるいは他の細部のいずれが備わっていてもよい。さらに、導入器カテーテルアセンブリー302の複数の実施形態は、開示されている、あるいは参照によってこの明細書の中に組み入れられた送出カテーテルアセンブリーの複数のあらゆる実施形態とともに作用するように、構成することができる。
【0111】
図38を参照すると、導入器カテーテルアセンブリー302には、本体部分306と、この本体部分306の遠位端306aで支持された外側シース310とが備わっていてもよい。導入器カテーテルアセンブリー302の内側における内側の窓孔あるいは開口312は、外側シース310を貫通して形成された開口と同軸であってもよい。導入器カテーテルアセンブリー302には、ステント320を、第1直径「a」から、ステント320が導入器カテーテルアセンブリー302を通して前進させられるときの(導入器)外側シース310の内径に等しい第2直径「b」まで、圧縮するように構成されたテーパー付きのあるいは湾曲した壁部分314が備わっていてもよい。
【0112】
導入器カテーテルアセンブリー302および上記送出カテーテルは、シース316の遠位端316aが本体部分306の上記くびれ部分の手前であるいは同くびれ部分にほぼ隣接して終わるように、構成することができる。この形態では、上記ステントは、上記送出カテーテルの中へ、直径「a」を有している弛緩されたあるいは最も弛緩された(すなわち、拡張された)状態に装填することができ、また、導入器カテーテルアセンブリー302のテーパー付き壁部分314によって圧縮された最終の直径「b」まで、圧縮することができ、それによって、上記ステントを導入器カテーテルアセンブリー302の中に装填する前に上記ステントへ加えられた応力が減少される。
【0113】
上記送出カテーテルによって支持された上記送出シース、例えば、シース316あるいはシース127は、上記導入器あるいは外側シース310、110の少なくとも近位部分に重なることができ、あるいは同近位部分の中へ前進することができ、または、それによって、上で考察されたシース316あるいはシース127は、上記導入器あるいは外側シース310、110の全体の長さを通して前進させることができる。上記送出カテーテルによって支持された上記シースの遠位部分にはテーパーを付けることができる。この形態では、上記ステントは、それが上記送出カテーテルシースの上記遠位部分を通して上記の導入器あるいは導入器シースの中へ入ると、さらに圧縮することができるかあるいは圧縮することができる。
【0114】
導入器カテーテルアセンブリー302は、非分岐状および分岐状のステントおよびステント移植片、ステント片、開窓型ステント、およびこの明細書の中にあるいはそれ以外に開示された他の同様のステントあるいはステント移植片が含まれるさまざまな人工器官のいずれをも受け入れかつ展開するように、構成することができる。導入器カテーテルアセンブリー302あるいはこの明細書の中に開示された他の任意の導入器カテーテルアセンブリーの実施形態は、アクセサリーステントカテーテル、副腎ステントあるいはステント拡張カテーテル、または分岐状ステント送出カテーテルが含まれるさまざまな送出カテーテルのいずれをも受け入れかついずれとも取り外し可能に連結するように、構成することができる。
【0115】
外側シース310あるいはこの明細書の中に開示された他の任意の外側シースの実施形態は、約0.237インチの内径と約0.253インチの外径とを有する。分岐状ステントの送出のために使用されるときには、シース316は約0.251インチの内径と約0.263インチの外径とを有する。アクセサリーステントあるいは非分岐状ステントの送出のために使用されるときには、シース316は約0.241インチの内径と約0.263インチの外径とを有する。
【0116】
分岐状ステントの送出のために使用されるときには、上記カテーテルシステムの上記内側コア(
図38には示されていない)は、約0.212インチの外径を有する。非分岐状ステントの送出のために使用されるときには、あらゆるカテーテルシステムの上記内側コアは、約0.213インチの外径を有する。
【0117】
図39は、展開カテーテルアセンブリー404を有しているカテーテルシステム400の模式的側面図であり、カテーテルアセンブリー404は、内側コア408、外側シース410、内側コア408へ軸方向に取り付けられたコアワイヤ414によって支持された複数のタブ412、およびコアワイヤ414へ軸方向に取り付けられた遠位先端部415を備えている。ステント416が、送出カテーテル404によって支持されているとともに外側シース410によって取り囲まれている。ステント416は、この明細書の中で例示したように自己拡張型の分岐状ステントであるが、この明細書の中に開示されあるいは参照によって組み入れられるなどされた他の任意のステントまたは医療用人工器官であってもよい。送出カテーテル404は、この送出カテーテル404の中に装填された分枝血管用ワイヤアセンブリー417をさらに備えていてもよい。
【0118】
図40は、
図39の40−40線に沿った、分枝血管用ワイヤアセンブリー417の断面図であり、また、
図41は、
図39の41−41曲線によって画定された分枝血管用ワイヤアセンブリー417の一部分の模式的拡大図である。分枝血管用ワイヤアセンブリー417には、中空のチューブあるいは案内ワイヤ420の内部に少なくとも一部定置された内側ワイヤ418が含まれている。分枝血管用ワイヤアセンブリー417、内側ワイヤ418、あるいは中空のチューブ420には、任意の寸法、特徴的構成、材料があってもよく、または、2007年1月12日に出願され、あたかもこの明細書の中で完全に記載されたように参照によってこの明細書の中に組み入れられている米国特許出願第11/623,022号の中に開示された複式同心ガイドワイヤの他の細部があってもよい。
【0119】
中空のチューブ420は、この中空のチューブ420の遠位端420aがステント416の端部分416aを越えて突出するように、ステント416の内側管腔を通して突出することができる。加えて、中空のチューブ420には、ステント416の端部の近くに湾曲したあるいは屈曲した部分420bがある。外側シース410は、内側ワイヤ418を中空のチューブ420に対して、湾曲した部分420bにおける湾曲あるいは曲がりが弛緩するまで、軸方向へ機械的に連結するかあるいはロックするように、中空のチューブ420の湾曲した部分420bをその湾曲した位置あるいは方位(第1状態)に保持している。考察されるように、湾曲した部分420bにおける湾曲あるいは曲がりは、外側シース410を、中空のチューブ420の湾曲した部分420bを越えて後退させるかあるいは引き出すことによって、弛緩することができ、それによって、中空のチューブ420および内側ワイヤ418は弛緩してまっすぐになることができる。それゆえ、中空のチューブ420が上記第1状態にあるときには、内側ワイヤ418は、この内側ワイヤ418が中空のチューブ420から係合解除されるようになることなく軸方向に後退させられるように、中空のチューブ420に対して軸方向に固定されるであろう。外側シース410が、中空のチューブ420の湾曲した部分420bを越えて後退させられると、中空のチューブ420は弛緩するので、湾曲した部分420bは内側ワイヤ418に対してもはや軸方向にロックされていない。この第2状態、つまり弛緩状態では、内側ワイヤ418は、中空のチューブ420の中へあるいは外へ軸方向に前進させることができるかあるいは後退させることができる。
【0120】
この構成では、内側ワイヤ418は、適切な任意の交差技術を用いて、第1の分枝血管あるいは分枝導管(同側性腸骨動脈のような)の中における第1穿刺部位を通して前進させることができ、その後、第2の分枝血管あるいは分枝導管(対側性腸骨動脈のような)の中における第2穿刺部位を通して引き出すことができる。例えば、上記内側ワイヤは、二重管腔拡張器の中に形成されたスリット状管腔における同側性腸骨動脈を通して前進させることができる。この拡張器は、内側ワイヤ418が上記二重管腔拡張器の上記管腔の中における上記スリットを通過することができるように、引き出して取っておくことができ、それによって、腹部大動脈の内部に定置された内側ワイヤ418の近位端が後に残る。この位置では、内側ワイヤ418は、捕えられ、上記対側性腸骨動脈および第2穿刺部位を通して後退させることができる。
【0121】
カテーテルシステムの多くの実施形態が添付図面とともに説明されてきた。医療的使用のために適しているかもしれず、従って、この明細書の中で検討されたカテーテルシステムについての潜在的な多くの実施形態が存在するということは、当業者にとって明らかであろう。例えば、この明細書の中に開示されたカテーテル、あるいはこの分野で利用することのできる他のカテーテルについてのいくつかの実施形態における任意の構成要素あるいは特徴的構成は、付加的な実施形態を形成するために組み合わせることができるが、それらのすべてはこの明細書の中で検討されている。
【0122】
上記の説明は、さまざまな実施形態へ適用される特徴的構成を示し、記述し、指摘してきたが、図示された装置あるいは過程の形態および細部のさまざまな省略、置換、および変更を上記開示の精神から逸脱することなく行うことができる、ということは理解されるであろう。加えて、上で述べられたようなさまざまな特徴的構成および過程は、互いから独立して使用されることがあり、さまざまなやり方で組み合わされることもある。可能性のあるすべての組み合わせおよび部分組み合わせは、この開示の範囲内に入るように意図されている。さらに、認識されるように、この明細書の中に記載されたいくつかの実施形態は、この明細書の中に記載されたすべての特徴的構成および利点をもたらさない形態の範囲内で、いくつかの特徴的構成を互いから区別して使用しあるいは実施することができるように、具体化されてもよい。