(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
始めに、本発明の実施形態の着想について説明する。
表示装置は、ガラス基板又は樹脂層の上方にTFT(薄膜トランジスタ)を形成する等して形成される。ガラス基板又は樹脂層と、TFTとの間には第1バリア層が設けられている。第1バリア層は、TFTの汚染(ガラス基板又は樹脂層からTFTへの不純物の拡散)を防止するための層である。また、第1バリア層は、アンダーコート層(下地絶縁層)であり、TFTと電気的に隔離されている。
【0011】
ところで、表示装置のうち、ガラス基板の替わりとして、可撓性に優れた材料で形成された基板を備えた表示装置の開発が進められている。製品信頼性に優れ、かつ可撓性に優れた(割れ難い)表示装置を得たいためである。その他にも、ガラス基板を備えた表示装置と異なり、商品のデザインを制約しない等の利点があるためである。
【0012】
可撓性に優れた基板の作製方法としては、次に挙げる、概ね2種類がある。
(1)ガラス基板の替わりに、プラスチック基板(樹脂基板)を用いる。
(2)ガラス基板上に樹脂層(例えば、ポリイミドを利用した樹脂層)を形成し、ガラス基板から樹脂層を剥離する。これにより、上記樹脂層をガラス基板の替わりに用いる。
【0013】
また、プラスチック基板や樹脂層を利用して表示装置を形成する場合も、TFTの汚染を防止するため、第1バリア層はプラスチック基板や樹脂層上に形成される。TFTは、第1バリア層を介してプラスチック基板や樹脂層の上方に形成される。なお、表示素子も、第1バリア層を介してプラスチック基板や樹脂層の上方に形成される場合がある。
【0014】
さらに、TFT等の素子が形成されたプラスチック基板や樹脂層の上方には、第2バリア層が設けられる。第2バリア層は絶縁層である。第2バリア層は、外部からのイオン性の不純物の浸入や、水分などの浸入を抑制するための層である。例えば、表示素子の水分等による劣化を抑制することができる。
【0015】
しかしながら、上記のように表示装置を形成した場合、信頼性に優れた表示装置を得ることが困難となる課題が生じる。第2バリア層はTFT等の素子の形成後に形成されるためであり、下方の素子にダメージを与えないように、第2バリア層を形成する際の温度が制限されるためである。すなわち、第2バリア層を高温の環境下で形成することが困難となるため、バリア性に優れた第2バリア層(緻密な第2バリア層)の形成が困難となるためである。
【0016】
また、上記のように表示装置を形成した場合、安定的に形状を維持することができる表示装置を得ることが困難となる課題が生じる。表示装置はプラスチック基板や樹脂層の上に種々の膜を積層して形成されるため、それぞれの膜の応力により、表示装置に反りが発生し、ひいては表示装置がカールしてしまうためである。
【0017】
上述したことから分かるように、上述したような表示装置(第2バリア層)の形成手法では、信頼性に優れた表示装置や、安定的に形状を維持することができる表示装置を得ることは困難である。
そこで、本発明の実施形態においては、この課題の原因を解明し、この課題を解決することにより、可撓性及び製品信頼性に優れた表示装置を得ることができるものである。次に、本発明の実施形態の課題解決のため、上記着想を具体化する手段及び手法について説明する。
【0018】
以下、第1の実施形態に係る表示装置及び表示装置の製造方法について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の表示装置DAの構造例を概略的に示す断面図である。この実施形態において、表示装置DAは、シートディスプレイとしての有機EL表示装置である。
図1では、有機EL表示装置の断面構造について説明する。
【0019】
図1に示すように、有機EL表示装置は、アクティブマトリクス駆動方式を採用したものであり、アレイ基板ARと、対向基板CTとを備えている。アレイ基板ARは、第1樹脂層10を用いて形成されている。アレイ基板ARは、第1樹脂層10の内面10A側に、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第4絶縁膜14、リブ15、スイッチング素子SW1乃至SW3、表示素子としての有機EL素子OLED1乃至OLED3などを備えている。
【0020】
第1樹脂層10は、絶縁層であり、例えば、ポリイミド(PI)を主成分とする材料によって形成されている。この第1樹脂層10は、例えば、5乃至30μmの厚さを有している。第1樹脂層10を形成する材料としては、ポリイミドの他に、ポリアミドイミド、ポリアラミドなど耐熱性が高い材料が選定される。すなわち、第1樹脂層10は、各種絶縁膜の成膜、スイッチング素子の形成、有機EL素子の形成などにおいてしばしば高温プロセスに曝される。このため、第1樹脂層10に要求される最も重視するべき特性は、可撓性を有すること、耐熱性が高いことである。後述するように、有機EL素子は、対向基板CTを介して光を出射するいわゆるトップエミッションタイプであるため、第1樹脂層10が必ずしも高い透明性を有している必要はなく、第1樹脂層10が着色していても良い。
【0021】
第1樹脂層10の内面10Aは、第1絶縁膜11によって覆われている。第1絶縁膜11は、第1樹脂層10の表面上に形成されている。第1絶縁膜11は、0.2N/mm以下の密着力で第1樹脂層10上に形成されている方が望ましい。なお、上記密着力は、90度剥離試験(90°ピールテスト)を利用した場合に得られるものである。ここで、90度剥離試験とは、剥離角度を90°とし、所定のタイミングで、所定の剥離速度で、第1絶縁膜11を第1樹脂層10から引き剥がすときの抵抗力を測定する試験である。これは、後に第1樹脂層10と、第1絶縁膜11との界面にて剥離を行う場合の利便性を求めるためであるが、第1樹脂層10と第1絶縁膜11との密着性が低すぎると、途中の工程における熱的、化学的、あるいは物理的ストレスによるピーリングを生ずる場合があるため、留意する必要がある。
【0022】
第1絶縁膜11は、第1樹脂層10からのイオン性の不純物の浸入や、第1樹脂層10を介した水分などの浸入を抑制する第1バリア層として機能する。このような第1絶縁膜11は、シリコン窒化物(SiN
X)やシリコン酸化物(SiO
2)やシリコン酸窒化物(SiON)などの無機系材料によって形成され、積層体によって構成されている。一例として、第1絶縁膜11は、シリコン窒化物及びシリコン酸化物を交互に積層した多層膜によって構成されている。なお、第1絶縁膜11は、バリア性能を確保できる他の材料で形成されていても良い。
【0023】
スイッチング素子SW1乃至SW3は、第1絶縁膜11の上方に形成されている。これらのスイッチング素子SW1乃至SW3は、例えば、それぞれ半導体層SCを備えた薄膜トランジスタ(TFT)である。スイッチング素子SW1乃至SW3は、いずれも同一構造であるが、ここでは、スイッチング素子SW1に着目してその構造をより具体的に説明する。
【0024】
図示した例では、スイッチング素子SW1は、トップゲート型であるが、ボトムゲート型であっても良い。半導体層SCは、例えば、アモルファスシリコンやポリシリコンなどのシリコン系、あるいは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)の少なくとも1つを含む酸化物である酸化物半導体によって形成されている。
【0025】
半導体層SCは、第1絶縁膜11の上に形成され、第2絶縁膜12によって覆われている。第2絶縁膜12は、第1絶縁膜11の上にも配置されている。第2絶縁膜12の上には、スイッチング素子SW1のゲート電極WGが形成されている。ゲート電極WGは、第3絶縁膜13によって覆われている。第3絶縁膜13は、第2絶縁膜12の上にも配置されている。
【0026】
第3絶縁膜13の上には、スイッチング素子SW1のソース電極WS及びドレイン電極WDが形成されている。ソース電極WS及びドレイン電極WDは、それぞれ半導体層SCのソース領域およびドレイン領域にコンタクトしている。ソース電極WS及びドレイン電極WDは、第4絶縁膜14によって覆われている。第4絶縁膜14は、第3絶縁膜13の上にも配置されている。
【0027】
有機EL素子OLED1乃至OLED3は、第4絶縁膜14の上に形成されている。図示した例では、有機EL素子OLED1はスイッチング素子SW1と電気的に接続され、有機EL素子OLED2はスイッチング素子SW2と電気的に接続され、有機EL素子OLED3はスイッチング素子SW3と電気的に接続されている。これらの有機EL素子OLED1乃至OLED3の発光色はいずれも白色である。このような有機EL素子OLED1乃至OLED3は、いずれも同一構造である。
【0028】
有機EL素子OLED1は、第4絶縁膜14の上に形成された画素電極PE1を備えている。画素電極PE1は、スイッチング素子SW1のドレイン電極WDとコンタクトし、スイッチング素子SW1と電気的に接続されている。同様に、有機EL素子OLED2はスイッチング素子SW2と電気的に接続された画素電極PE2を備え、有機EL素子OLED3はスイッチング素子SW3と電気的に接続された画素電極PE3を備えている。
【0029】
これらの画素電極PE1乃至PE3は、例えば陽極として機能する。画素電極PE1乃至PE3は、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)、インジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成されてもよいし、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、チタン(Ti)、あるいはこれらの合金などの金属材料によって形成されても良い。トップエミッションタイプの場合、画素電極PE1乃至PE3は、反射性の高い金属材料によって形成された反射層を含むことが望ましい。
【0030】
有機EL素子OLED1乃至OLED3は、さらに、有機発光層ORG及び共通電極CEを備えている。有機発光層ORGは、画素電極PE1乃至PE3の上にそれぞれ位置している。また、有機発光層ORGは、有機EL素子OLED1乃至OLED3に亘って途切れることなく連続的に形成されている。共通電極CEは、有機発光層ORGの上に位置している。また、共通電極CEは、有機EL素子OLED1乃至OLED3に亘って途切れることなく連続的に形成されている。このような共通電極CEは、例えば、ITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成されている。
【0031】
つまり、有機EL素子OLED1は、画素電極PE1、有機発光層ORG、及び共通電極CEによって構成されている。同様に、有機EL素子OLED2は、画素電極PE2、有機発光層ORG、及び共通電極CEによって構成され、また、有機EL素子OLED3は、画素電極PE3、有機発光層ORG、及び共通電極CEによって構成されている。
【0032】
なお、有機EL素子OLED1乃至OLED3において、画素電極PE1乃至PE3の各々と有機発光層ORGとの間には、さらに、ホール注入層やホール輸送層が介在していてもよいし、また、有機発光層ORGと共通電極CEとの間には、さらに、電子注入層や電子輸送層が介在していてもよい。
【0033】
有機EL素子OLED1乃至OLED3は、それぞれリブ15によって区画されている。リブ15は、第4絶縁膜14の上に形成され、画素電極PE1乃至PE3のそれぞれのエッジをカバーしている。なお、このリブ15については、詳述していないが、例えば、第4絶縁膜14の上において格子状またはストライプ状に形成されている。このようなリブ15は、有機発光層ORGによって覆われている。つまり、有機発光層ORGは、画素電極PE1乃至PE3の上のみならず、リブ15の上にも延在している。
【0034】
図示した例では、有機EL素子OLED1乃至OLED3は、封止膜20によって封止されている。封止膜20は、水分、酸素、水素などの汚染物質から有機EL素子OLED1乃至OLED3を保護するバリア膜として機能する。このような封止膜20は、シリコン窒化物(SiN
X)やシリコン酸化物(SiO
2)やシリコン酸窒化物(SiON)などの無機系材料によって形成され、単層もしくは積層体によって構成されている。封止膜20は、必要に応じて設けられていればよい。
【0035】
上記のように、第1積層体1が形成されている。ここで、第1積層体1は、第1樹脂層10から封止膜20までの間に位置した積層体であり、第1絶縁膜11、スイッチング素子SW1乃至SW3及び有機EL素子OLED1乃至OLED3等を有している。
【0036】
対向基板CTは、透明な第2樹脂層30を用いて形成されている。対向基板CTは、第2樹脂層30の内面30A側に、第5絶縁膜31、カラーフィルタ等を備えている。カラーフィルタは、青色の着色層32B、緑色の着色層32G、及び赤色の着色層32Rを有している。
【0037】
第2樹脂層30は、第5絶縁膜31を通り過ぎて第1絶縁膜11(第1積層体1)と対向している。第2樹脂層30は、透明な絶縁層であり、例えば、ポリイミド(PI)を主成分とする材料によって第2樹脂層30の表面上に形成されている。この第2樹脂層30は、第1樹脂層10と同等の厚さを有しており、例えば、5乃至30μmの厚さを有している。第2樹脂層30を形成する材料としては、透明性が高い材料が選定される。すなわち、トップエミッションタイプの有機EL素子OLED1乃至OLED3から出射された光は、第2樹脂層30を透過する。
【0038】
このため、第2樹脂層30に要求される最も重視するべき性質は、可撓性を有し、透明性が高いことである。このように、第1樹脂層10と第2樹脂層30とでは、要求される性質が異なる。このため、第2樹脂層30は、第1樹脂層10とは異なる材料によって形成され得る。例えば、第1樹脂層10には、耐熱性に優れる非透明のポリイミドを用い、第2樹脂層30には透明ポリイミドを用いる。
【0039】
第2樹脂層30の内面30Aは、第5絶縁膜31によって覆われている。第5絶縁膜31は、第2樹脂層30の表面上に形成されている。第5絶縁膜31は、0.2N/mm以下の密着力で第2樹脂層30上に形成されている方が望ましい。なお、上記密着力は、90度剥離試験を利用した場合に得られるものである。第5絶縁膜31は、第2樹脂層30からのイオン性の不純物の浸入や、第2樹脂層30を介した水分などの浸入を抑制する第2バリア層として機能する。第5絶縁膜31は、積層体によって構成されている。
【0040】
第5絶縁膜(第2バリア層)31は、第1絶縁膜(第1バリア層)11の製造条件及び製造工程と同一の製造条件及び製造工程を利用して形成されている。第5絶縁膜31は第1絶縁膜11と同様に形成されている。第5絶縁膜31は、各層の積層順、材料及び厚みに関して第1絶縁膜11と同一である。一例として、第5絶縁膜31は、第1絶縁膜11と同様に、シリコン窒化物及びシリコン酸化物を交互に積層した多層膜によって構成される。
【0041】
図2に示すように、本実施形態において、第1絶縁膜11及び第5絶縁膜31は、第1シリコン酸化膜5と、シリコン窒化膜6と、第2シリコン酸化膜7の3層で形成されている。
第1シリコン酸化膜5は、SiO
2を利用し、第1樹脂層10及び第2樹脂層30の表面上にそれぞれ形成されている。各第1シリコン酸化膜5の厚みは、同一であり、例えば50nmである。シリコン窒化膜6は、SiN
Xを利用し、第1シリコン酸化膜5の上にそれぞれ形成されている。各シリコン窒化膜6の厚みは、同一であり、例えば50nmである。第2シリコン酸化膜7は、SiO
2を利用し、シリコン窒化膜6の上にそれぞれ形成されている。第2シリコン酸化膜7の厚みは、同一であり、例えば300nmである。
【0042】
ここで、第1絶縁膜11の積層構造と第5絶縁膜31の積層構造とは、例えばスイッチング素子SW1乃至SW3に関し互いに対称である。第1絶縁膜11が表示装置に与える第1応力と第5絶縁膜31が表示装置に与える第2応力とは相殺されるため、表示装置DAの反りを抑制することができる。
【0043】
なお、第1樹脂層10が表示装置DAに与える第3応力と第2樹脂層30が表示装置DAに与える第4応力とが相殺されるとより望ましい。但し、上記第1応力と第2応力とが相殺されるのであれば、第3応力と第4応力とが相殺されなくとも表示装置DAの反りを抑制することができる。また、上記第1応力と第2応力とが相殺されるのであれば、第2樹脂層30無しに表示装置DAを形成しても表示装置DAの反りを抑制することができる。第3応力や第4応力に比べて、第1応力や第2応力の方が大きいためである。
【0044】
着色層32Bは、有機EL素子OLED1と対向し、白色のうちの青色波長の光を透過する。着色層32Gは、有機EL素子OLED2と対向し、白色のうちの緑色波長の光を透過する。着色層32Rは、有機EL素子OLED3と対向し、白色のうちの赤色波長の光を透過する。隣合う着色層の境界は、リブ15の上方に位置している。
【0045】
上記のように、第2積層体2が形成されている。ここで、第2積層体2は、第2樹脂層30からカラーフィルタ(着色層32R、32G、32B)までの間に位置した積層体であり、第5絶縁膜31等を有している。
このようなアレイ基板AR(第1積層体1)と対向基板CT(第2積層体2)とは、画像を表示する表示部の外側でアレイ基板ARと対向基板CTと接着するシール材で接着されておりその間に透明な充填剤が封入されている。つまり、アレイ基板AR(第1積層体1)と対向基板CT(第2積層体2)との間に充填層40が位置している。
【0046】
有機EL素子OLED1乃至OLED3は、第1樹脂層10と第2樹脂層30との間に位置している。図示した例では、有機EL素子OLED1と着色層32Bとの間、有機EL素子OLED2と着色層32Gとの間、及び有機EL素子OLED3と着色層32Rとの間には、それぞれ封止膜20及び充填層40が介在している。このような充填層40は、水分吸収能力を有する材料で形成されることが望ましい。これにより、例えば封止膜20に欠陥が生じていたとしても充填層40が封止膜20の欠陥に入り込み、水分の侵入経路を塞ぐことが可能となる。
なお、充填剤のかわりに水分吸収能力を有する接着剤でアレイ基板ARと対向基板CTとを接着しても良い。
【0047】
このような表示装置DAの一例である有機EL表示装置によれば、有機EL素子OLED1乃至OLED3のそれぞれが発光した際、それぞれの放射光(白色光)は、着色層32B、着色層32G、着色層32Rのいずれかを介して外部に出射される。このとき、有機EL素子OLED1から放射された白色光のうち、青色波長の光が着色層32Bを透過する。また、有機EL素子OLED2から放射された白色光のうち、緑色波長の光が着色層32Gを透過する。また、有機EL素子OLED3から放射された白色光のうち、赤色波長の光が着色層32Rを透過する。これにより、カラー表示が実現される。
【0048】
次に、本実施形態に係る表示装置DAの製造方法の一例について説明する。
まず、
図3に示すように、第1マザー基板M1を用意する。すなわち、ガラス基板などの第1支持基板100の上に、樹脂材料を所望の厚さで成膜した後に硬化させ、第1樹脂層10を形成する。このとき、第1樹脂層10は、後述する割断工程の後に個々のアレイ基板となる領域のうち、表示部に対応した領域に延在している。図示した例では、第1樹脂層10は、3つの表示部に対応した領域、すなわち、第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3にそれぞれ延在している。その後、第1樹脂層10の表面上に、無機系材料からなる薄膜を積層し、多層膜を形成し、第1絶縁膜(第1バリア層)11を形成する。この第1絶縁膜11も、第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3にそれぞれ延在している。
【0049】
ここで、本実施形態に係る第1絶縁膜11の製造方法について説明する。
第1絶縁膜11の製造が開始すると、まず、平行平板のプラズマCVD装置の反応室内に第1樹脂層10が形成された第1支持基板100を搬入する。そして、第1支持基板100の温度が400℃程度となる状態にて、反応室内への供給ガスを切替えながら、第1樹脂層10上に、50nmの厚みを有する第1シリコン酸化膜5、50nmの厚みを有するシリコン窒化膜6、及び300nmの厚みを有する第2シリコン酸化膜7を連続的に順に形成する。
【0050】
第1シリコン酸化膜5は、SiH
4ガスとN
2Oガスとの混合ガスのプラズマ分解により第1樹脂層10上に形成される。シリコン窒化膜6は、SiH
4ガスとNH
3ガスとの混合ガスのプラズマ分解により第1シリコン酸化膜5上に形成される。第2シリコン酸化膜7は、SiH
4ガスとN
2Oガスとの混合ガスのプラズマ分解によりシリコン窒化膜6上に形成される。上記のように、SiH
4ガスを流し続け、副ガスを換えることにより、第1絶縁膜11が製造される。
【0051】
図3に示すように、そして、第1絶縁膜11の上の第1領域A1に表示素子部121を形成し、第1絶縁膜11の上の第2領域A2に表示素子部122を形成し、第1絶縁膜11の上の第3領域A3に表示素子部123を形成する。また、第1絶縁膜11の上には、駆動ICチップやフレキシブルプリント回路基板などの信号供給源を実装するための実装部131乃至133を形成する。表示素子部121乃至123は、いずれも同一構造であり、それぞれマトリクス状に配置された複数の有機EL素子を含んでいる。
【0052】
表示素子部121乃至123は、それぞれ以下のようにして形成される。すなわち、第1絶縁膜11の上方に、スイッチング素子SW1乃至SW3、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第4絶縁膜14などを順に形成する。同時に、各種配線も形成する。そして、第4絶縁膜14の上に、画素電極PE1乃至PE3を形成した後にリブ15を形成し、有機発光層ORGを形成し、共通電極CEを形成する。これらの工程を経て、有機EL素子OLED1乃至OLED3が形成される。その後、必要に応じて、有機EL素子OLED1乃至OLED3を覆う封止膜20を形成する。
これにより、第1支持基板100の上に、第1絶縁膜11及びスイッチング素子SW1乃至SW3等を有する第1積層体1が形成される。
【0053】
続いて、
図4に示すように、第2マザー基板M2を用意する。すなわち、ガラス基板などの第2支持基板200を用意する。第2支持基板200は第1支持基板100と同様に形成されている。第2支持基板200は、材料及び厚みに関して第1支持基板100と同一である。第2支持基板200の上に、樹脂材料を所望の厚さで成膜した後に硬化させ、その後にフォトリソグラフィプロセスなどを用いて成膜した樹脂材料をパターニングすることにより、透明な第2樹脂層30を形成する。個々の第2樹脂層30は、互いに離間している。つまり、第2樹脂層30のそれぞれは、第2支持基板200の上に島状に形成されている。
【0054】
そして、第2樹脂層30のそれぞれの表面上に、無機系材料からなる薄膜を積層し、多層膜を形成し、第5絶縁膜(第2バリア層)31を形成する。
図2に示すように、第5絶縁膜31は、第1絶縁膜11の製造条件及び製造工程と同一の製造条件及び製造工程を利用して形成される。第5絶縁膜31は第1絶縁膜11と同様に形成される。第5絶縁膜31は、各層の積層順、材料及び厚みに関して第1絶縁膜11と同一である。
【0055】
図4に示すように、そして、第5絶縁膜31のそれぞれの上にカラーフィルタCFを形成する。カラーフィルタCFは、いずれも同一構造であり、それぞれ着色層32B、着色層32G、着色層32Rを有している。
これにより、第2支持基板200の上に、第5絶縁膜31等を有する第2積層体2が形成される。
【0056】
続いて、
図5に示すように、第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3のそれぞれに、枠状のシール材SEを形成した後、シール材SEで囲まれた内側に充填剤(あるいは接着剤)を塗布する。
続いて、
図6に示すように、第1絶縁膜11の積層構造と第5絶縁膜31の積層構造とが、例えばスイッチング素子SW1乃至SW3に関し互いに対称となるように、上記第1積層体1と上記第2積層体2とを対向配置する。
【0057】
次いで、第1マザー基板M1と第2マザー基板M2とを貼り合わせ、上記第1積層体1と上記第2積層体2との間に充填層40を形成する。そして、上記第1積層体1(表示素子部121乃至123のそれぞれ)と、上記第2積層体2(カラーフィルタ層CF)とをシール材SE及び充填層40により接着する。
【0058】
続いて、
図7に示すように、第2マザー基板M2について、第2樹脂層30から第2支持基板200を剥離し、第2支持基板200を除去する。同様に、第1マザー基板M1についても、第1樹脂層10から第1支持基板100を剥離し、第1支持基板100を除去する。これらの第1支持基板100及び第2支持基板200の剥離・除去については、例えば、レーザーアブレーションと称される技術などが適用可能であり、支持基板に向けてレーザー光を照射することで、支持基板と樹脂層との界面において局所的にエネルギー吸収が起こり、支持基板が樹脂層から分離可能となるものである。光源としては、例えば、エキシマレーザーなどが適用可能である。
【0059】
続いて、
図8に示すように、第1樹脂層10を割断する。図示した例では、第1領域A1と第2領域A2との間、及び、第2領域A2と第3領域A3との間でそれぞれ第1樹脂層10を割断する。これにより、チップC1乃至C3に分離される。チップC1は、第1領域A1に表示素子部121を備え、第1領域A1の外側に実装部131を備えている。チップC2は、第2領域A2に表示素子部122を備え、第2領域A2の外側に実装部132を備えている。チップC3は、第3領域A3に表示素子部123を備え、第3領域A3の外側に実装部133を備えている。
【0060】
その後、実装部131乃至133のそれぞれに信号供給源などが実装される。これにより、本実施形態の表示装置(有機EL表示装置)DAが製造される。
上記のように構成された第1の実施形態に係る表示装置DA及び表示装置DAの製造方法によれば、表示装置DAは、第1積層体1と、第2積層体2と、充填層40と、を備えている。第1積層体1は、第1樹脂層10の表面上に形成された第1絶縁膜11と、第1絶縁膜11の上方に形成されたスイッチング素子SW1乃至SW3と、を有している。第2積層体2は第5絶縁膜31を有している。充填層40は、第1積層体1と第2積層体2との間に位置している。表示装置DAは、ガラス基板の替わりとして、可撓性に優れた第1樹脂層10及び第2樹脂層30を利用して形成されている。そのため、可撓性に優れた表示装置DAを得ることができる。
【0061】
第1絶縁膜11は、第1バリア層として利用することができ、例えばスイッチング素子SW1乃至SW3の汚染を防止することができる。第5絶縁膜31は、第2バリア層として利用することができ、例えば有機EL素子OLED1乃至OLED3の劣化を抑制することができる。そのため、信頼性に優れた表示装置DAを得ることができる。
【0062】
第5絶縁膜31は、いわゆる転写プロセスにより、有機EL素子OLED1乃至OLED3等の上方に設けられている。第5絶縁膜31を形成する際、第5絶縁膜31は、まず、第2樹脂層30が形成された第2支持基板200上に形成されている。スイッチング素子SW1乃至SW3や有機EL素子OLED1乃至OLED3が形成された第1支持基板100上に第5絶縁膜31を形成する場合より、第2支持基板200上に第5絶縁膜31を形成する場合の方が、第5絶縁膜31を形成する際の温度制限を緩和することができる。第5絶縁膜31を高温の環境下で形成することが可能となるため、バリア性に優れた緻密な第5絶縁膜31を形成することができる。そのため、一層、信頼性に優れた表示装置DAを得ることができる。
【0063】
第5絶縁膜31は、各層の積層順、材料及び厚みに関して第1絶縁膜11と同一である。第1絶縁膜11の積層構造と第5絶縁膜31の積層構造とは、スイッチング素子SW1乃至SW3に関し互いに対称である。第1絶縁膜11が表示装置に与える第1応力と第5絶縁膜31が表示装置に与える第2応力とは相殺されるため、表示装置DAの反りを抑制することができる。そのため、安定的に形状を維持することができる表示装置を得ることができる。
【0064】
第5絶縁膜31は、0.2N/mm以下の密着力で第2樹脂層30の上に形成されている方が望ましい。第1積層体1と第2積層体2とを接着した後に第5絶縁膜31から第2樹脂層30を剥離する場合においては、第2樹脂層30の剥離が容易になるためである。
【0065】
第1絶縁膜11も、0.2N/mm以下の密着力で第1樹脂層10の上に形成されている方が望ましい。第1積層体1と第2積層体2とを接着した後に第1絶縁膜11から第1樹脂層10を剥離してもよく、この場合においては、第1樹脂層10の剥離が容易になるためである。
【0066】
第1樹脂層10は第1支持基板100上に予め形成され、第2樹脂層30は第2支持基板200上に予め形成されている。第2支持基板200は、材料及び厚みに関して第1支持基板100と同一である。これにより、製造工程中における製造物(第1支持基板100、第2支持基板200等)の反り等を抑制することができる。
【0067】
上記のことから、信頼性に優れた表示装置DA及び表示装置DAの製造方法を得ることができる。又は、安定的に形状を維持することができる表示装置DA及び表示装置DAの製造方法を得ることができる。
次に、第2の実施形態に係る表示装置DAについて説明する。なお、本実施形態に係る表示装置DAの製造方法に関しては、上述した第1の実施形態に係る表示装置DAの製造方法の一部を適用することができる。例えば、第1絶縁膜11及び第5絶縁膜31の製造方法に関しては、上述した第1の実施形態に係る第1絶縁膜11及び第5絶縁膜31の製造方法を適用することができる。
【0068】
図9は、本実施形態に係る表示装置DAの構造例を概略的に示す断面図である。この実施形態において、表示装置DAは、シートディスプレイとしての有機EL表示装置である。
図9に示すように、本実施形態に係る表示装置DAは、上述した第1の実施形態に係る表示装置DAと比較して、対向基板CTのカラーフィルタを省略し、有機EL素子OLED1乃至OLED3がそれぞれ異なる色に発光する点で相違している。
【0069】
すなわち、アレイ基板ARは、第1樹脂層10、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第4絶縁膜14、リブ15、スイッチング素子SW1乃至SW3、有機EL素子OLED1乃至OLED3、及び封止膜20を備えている。
有機EL素子OLED1は、スイッチング素子SW1に接続された画素電極PE1、画素電極PE1の上方に位置する有機発光層ORG(B)、及び、有機発光層ORG(B)の上方に位置する共通電極CEによって構成されている。有機EL素子OLED2は、スイッチング素子SW2に接続された画素電極PE2、画素電極PE2の上方に位置する有機発光層ORG(G)、及び、有機発光層ORG(G)の上方に位置する共通電極CEによって構成されている。有機EL素子OLED3は、スイッチング素子SW3に接続された画素電極PE3、画素電極PE3の上方に位置する有機発光層ORG(R)、及び、有機発光層ORG(R)の上方に位置する共通電極CEによって構成されている。
【0070】
有機発光層ORG(B)は青色に発光し、有機発光層ORG(G)は緑色に発光し、有機発光層ORG(R)は赤色に発光する。有機発光層ORG(B)、有機発光層ORG(G)、及び、有機発光層ORG(R)は、いずれもリブ15の上で途切れている。共通電極CEは、有機EL素子OLED1乃至OLED3に亘って途切れることなく連続的に形成され、有機発光層から露出したリブ15の上も覆っている。
【0071】
対向基板CTは、第2樹脂層30、及び第5絶縁膜31を備えている。これらのアレイ基板ARと対向基板CTとは、充填層40によって接着されている。
上記のように構成された第2の実施形態に係る表示装置DA及び表示装置DAの製造方法によれば、表示装置DAは、第1積層体1と、第2積層体2と、充填層40と、を備えている。第1積層体1は、第1樹脂層10の表面上に形成された第1絶縁膜11と、第1絶縁膜11の上方に形成されたスイッチング素子SW1乃至SW3と、を有している。第2積層体2は第5絶縁膜31を有している。充填層40は、第1積層体1と第2積層体2との間に位置している。
【0072】
第5絶縁膜31は、各層の積層順、材料及び厚みに関して第1絶縁膜11と同一である。第1絶縁膜11の積層構造と第5絶縁膜31の積層構造とは、スイッチング素子SW1乃至SW3に関し互いに対称である。このため、本実施形態に係る表示装置DA及び表示装置DAの製造方法は、上述した第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0073】
有機EL素子OLED1乃至OLED3の発光色は、例えば赤色、緑色、青色であってもよい。この場合、表示装置DAは、着色層32R、着色層32G及び着色層32B無しに赤色、緑色、青色の光を発する(表示する)ことができる。
上記のことから、信頼性に優れた表示装置DA及び表示装置DAの製造方法を得ることができる。又は、安定的に形状を維持することができる表示装置DA及び表示装置DAの製造方法を得ることができる。
【0074】
次に、第3の実施形態に係る表示装置DAについて説明する。なお、本実施形態に係る表示装置DAの製造方法に関しては、上述した第1の実施形態に係る表示装置DAの製造方法の一部を適用することができる。例えば、第1絶縁膜11及び第5絶縁膜31の製造方法に関しては、上述した第1の実施形態に係る第1絶縁膜11及び第5絶縁膜31の製造方法を適用することができる。
【0075】
図10は、本実施形態に係る表示装置DAの構造例を概略的に示す断面図である。この実施形態において、表示装置DAは、シートディスプレイとしての液晶表示装置である。
図10に示すように、本実施形態に係る表示装置DAは、上述した第1の実施形態に係る表示装置DAと比較して、表示素子として液晶素子を備えている点で相違している。
【0076】
すなわち、アレイ基板ARは、第1樹脂層10、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第4絶縁膜14、リブ15、スイッチング素子SW1乃至SW3、画素電極PE1乃至PE3、及び第1配向膜AL1を備えている。画素電極PE1はスイッチング素子SW1に接続され、画素電極PE2はスイッチング素子SW2に接続され、画素電極PE3はスイッチング素子SW3に接続されている。第1配向膜AL1は、画素電極PE1乃至PE3を覆っている。ここで、第1積層体1は、第1樹脂層10から第1配向膜AL1までの間に位置した積層体である。
【0077】
対向基板CTは、第2樹脂層30、第5絶縁膜31、着色層32B、着色層32G、着色層32R、共通電極CE、及び第2配向膜AL2を備えている。着色層32Bは画素電極PE1の上方に位置し、着色層32Gは画素電極PE2の上方に位置し、着色層32Rは画素電極PE3の上方に位置している。共通電極CEは、画素電極PE1乃至PE3のそれぞれに対向している。第2配向膜AL2は、共通電極CEを覆っている。ここで、第2積層体2は、第2樹脂層30から第2配向膜AL2までの間に位置した積層体である。
【0078】
これらのアレイ基板ARと対向基板CTとは、図示しないスペーサにより所定のセルギャップを形成した状態で、シール材によって接着されている。液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間のセルギャップに保持されている。なお、液晶層LQは、第1積層体1と第2積層体2との間に位置した充填層として機能している。液晶層LQは、詳述しないが、画素電極PEと共通電極CEとの間の電界で配向状態が制御される液晶分子を含んでいる。
【0079】
液晶素子LC1は、画素電極PE1、液晶層LQ、及び共通電極CEによって構成されている。液晶素子LC2は、画素電極PE2、液晶層LQ、及び共通電極CEによって構成されている。液晶素子LC3は、画素電極PE3、液晶層LQ、及び共通電極CEによって構成されている。
【0080】
なお、本実施形態では、液晶素子を構成する画素電極PE1乃至PE3がアレイ基板ARに備えられ、共通電極CEが対向基板CTに備えられた場合について説明したが、画素電極PE1乃至PE3と共通電極CEの双方がアレイ基板ARに備えられていてもよい。
【0081】
上記のように構成された第3の実施形態に係る表示装置DA及び表示装置DAの製造方法によれば、表示装置DAは、第1積層体1と、第2積層体2と、液晶層LQと、を備えている。第1積層体1は、第1樹脂層10の表面上に形成された第1絶縁膜11と、第1絶縁膜11の上方に形成されたスイッチング素子SW1乃至SW3と、を有している。第2積層体2は第5絶縁膜31を有している。液晶層LQは、第1積層体1と第2積層体2との間に位置している。
【0082】
第5絶縁膜31は、各層の積層順、材料及び厚みに関して第1絶縁膜11と同一である。第1絶縁膜11の積層構造と第5絶縁膜31の積層構造とは、スイッチング素子SW1乃至SW3に関し互いに対称である。このため、本実施形態に係る表示装置DA及び表示装置DAの製造方法は、上述した第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0083】
上記のことから、信頼性に優れた表示装置DA及び表示装置DAの製造方法を得ることができる。又は、安定的に形状を維持することができる表示装置DA及び表示装置DAの製造方法を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0084】
例えば、第1絶縁膜11及び第5絶縁膜31は、第1樹脂層10の表面上や第2樹脂層30の表面上等、樹脂層表面上に形成されていればよい。第1樹脂層10や第2樹脂層30の替わりに、プラスチック基板(樹脂基板)を利用してもよい。この場合、第1絶縁膜11及び第5絶縁膜31はプラスチック基板の表面上に形成されていればよい。また、表示装置DAは、第1樹脂層10、第2樹脂層30、及びプラスチック基板、無しに形成されていてもよい。すなわち、第1樹脂層10、第2樹脂層30、及びプラスチック基板等を剥離して表示装置DAを形成してもよい。
【0085】
第1バリア層及び第2バリア層は、それぞれ第1絶縁膜11及び第5絶縁膜31に限定されるものではなく、種々変形可能である。第1バリア層及び第2バリア層は、同一の製造条件及び製造工程を利用し、各層の積層順、材料及び厚みに関して同様に形成され、スイッチング素子(SW1乃至SW3)に関し互いに対称であればよい。これにより、上述した実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0086】
本発明の実施形態は、上述した表示装置DA及び表示装置DAの製造方法への適用に限定されるものではない。本発明の実施形態は、例えば、他の有機EL表示装置(例えば、ボトムエミッション型有機EL表示装置)や、他の液晶表示装置や、他の表示装置(例えば、電気泳動素子を用いた表示装置)、これらの表示装置の製造方法にも適用でき得る。例えば、自己発光素子としては、ダイオード(有機ELダイオード)に限定されるものではなく、自己発光可能な様々な表示素子を利用することができる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能であることは言うまでもない
。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]樹脂層表面上に形成された第1バリア層と、前記第1バリア層の上方に形成されたスイッチング素子と、を有する第1積層体と、
各層の積層順、材料及び厚みに関して前記第1バリア層と同一である第2バリア層を有する第2積層体と、
前記第1積層体と前記第2積層体との間に位置した充填層と、を備え、
前記第1バリア層の積層構造と前記第2バリア層の積層構造とは、前記スイッチング素子に関し互いに対称である表示装置。
[2]前記第2積層体は、前記第2バリア層を通り過ぎて前記第1積層体と対向した他の樹脂層をさらに有し、
前記第2バリア層は、前記他の樹脂層上に形成されている[1]に記載の表示装置。
[3]前記第2バリア層は、0.2N/mm以下の密着力で前記他の樹脂層上に形成されている[2]に記載の表示装置。
[4]第1樹脂層表面上に第1バリア層を形成し、前記第1バリア層の上方にスイッチング素子を形成し、前記第1バリア層及びスイッチング素子を有する第1積層体を形成し、
前記第1バリア層の製造条件及び製造工程と同一の製造条件及び製造工程を利用し、各層の積層順、材料及び厚みに関して前記第1バリア層と同一である第2バリア層を第2樹脂層表面上に形成し、前記第2バリア層を有する第2積層体を形成し、
前記第1バリア層の積層構造と前記第2バリア層の積層構造とが前記スイッチング素子に関し互いに対称となるように、前記第1積層体と前記第2積層体とを対向配置し、
前記第1積層体と前記第2積層体との間に充填層を形成し、前記第1積層体と前記第2積層体とを接着する表示装置の製造方法。
[5]前記第1積層体と前記第2積層体とを接着した後、前記第2バリア層から前記第2樹脂層を剥離する[4]に記載の表示装置の製造方法。
[6]前記第1樹脂層は、第1支持基板上に予め形成され、
前記第2樹脂層は、材料及び厚みに関して前記第1支持基板と同一である第2支持基板上に予め形成され、
前記第1積層体と前記第2積層体とを接着した後、前記第2樹脂層から前記第2支持基板を剥離し、前記第1樹脂層から前記第1支持基板を剥離する[4]に記載の表示装置の製造方法。