特許第6294684号(P6294684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294684
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】回転角及び捻れ角検出器
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20180305BHJP
   B62D 1/16 20060101ALI20180305BHJP
   G01L 3/12 20060101ALI20180305BHJP
   B62D 5/04 20060101ALN20180305BHJP
【FI】
   G01L3/10 305
   B62D1/16
   G01L3/12
   !B62D5/04
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-19001(P2014-19001)
(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-153358(P2014-153358A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年11月10日
(31)【優先権主張番号】10 2013 001 829.3
(32)【優先日】2013年2月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505441524
【氏名又は名称】ボーンズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 眞一
(74)【代理人】
【識別番号】100156030
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 孝臣
(74)【代理人】
【識別番号】100190713
【弁理士】
【氏名又は名称】津村 祐子
(72)【発明者】
【氏名】クリメンコ,ヴァレリ
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−067781(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/094196(WO,A1)
【文献】 特開平05−215152(JP,A)
【文献】 特開2011−158469(JP,A)
【文献】 特表平02−502119(JP,A)
【文献】 特開2000−292276(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0152034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/04−3/14
G01B 7/30
B62D 1/16
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーションバーにより互いに連結された第1シャフト部分及び第2シャフト部分と、
前記第2シャフト部分に連結された第1駆動輪と、
連結部材を介して前記第1駆動輪に連結された感知円板と、
前記感知円板の軸方向の変位を検出する検出器と、
前記第1駆動輪と回転係合する検出輪であって、その回転位置が検出される検出輪と、
第1コネクタ及び第2コネクタが設けられたダイヤフラムであって、前記第1コネクタは、直接又は間接的に前記第1シャフト部分に連結され、前記第2コネクタは、連結装置を介して前記感知円板に連結されており、軸方向には弾力性を有する一方で円周方向には硬い、ダイヤフラムと
を備え、
前記感知円板の前記軸方向の前記変位が、前記ダイヤフラムを介して伝達される、前記第1シャフト部分と前記第2シャフト部分との相対的な捻れによって生じる、回転角及び捻れ角検出器。
【請求項2】
前記連結部材は、長さ方向に硬い棒状の部材であり、その両端がそれぞれ、前記感知円板と前記第1駆動輪とに柔軟に連結されたものであるか、又は、前記長さ方向には硬い一方で可撓性を有するものである、請求項1に記載の回転角及び捻れ角検出器。
【請求項3】
前記連結部材は、螺子及び滑りガイドの少なくとも1つを含む機械的な強制ガイドにより形成されている、請求項1に記載の回転角及び捻れ角検出器。
【請求項4】
前記連結部材は、前記第1駆動輪に対して旋回ジョイントにより枢支された旋回てこにより形成されており、前記旋回てこの一端は、第1ジョイントを介して前記ダイヤフラムの前記第1コネクタに連結され、前記旋回てこの他端は、第2ジョイントにより直接又は間接的に前記感知円板に連結されている、請求項1に記載の回転角及び捻れ角検出器。
【請求項5】
前記旋回てこは、直角に配置されると共に互いに連結された2つの脚部を持つ、請求項4に記載の回転角及び捻れ角検出器。
【請求項6】
前記ダイヤフラムの前記第2コネクタは、漏斗状部材とガイドリングとにより前記感知円板に連結されている、請求項1〜5の何れか1つに記載の回転角及び捻れ角検出器。
【請求項7】
前記第1シャフト部分に連結された第2駆動輪を更に備え、
前記ダイヤフラムは、前記第2駆動輪と回転係合する従動輪に連結されている、請求項1に記載の回転角及び捻れ角検出器。
【請求項8】
前記ダイヤフラムの前記第2コネクタは、前記感知円板及び磁気ピンに連結された軸方向に変位可能なスリーブに連結されている、請求項7に記載の回転角及び捻れ角検出器。
【請求項9】
前記ダイヤフラムの前記第2コネクタは、螺子スリーブと磁気ピンとに連結され、前記螺子スリーブは、前記検出輪に連結されたねじ込みピンに連結されている、請求項7に記載の回転角及び捻れ角検出器。
【請求項10】
前記ダイヤフラムは、円状の内側リングと、それと同心に配置された円状の外側リングと、前記内側リングと前記外側リングとを連結する、放射線状に延びた複数のブリッジとを有する、請求項1〜9の何れか1つに記載の回転角及び捻れ角検出器。
【請求項11】
トーションバーを介して互いに連結された第1シャフト部分及び第2シャフト部分と、
前記第2シャフト部分に連結された第1駆動輪と、
前記第1シャフト部分に連結された第2駆動輪と、
前記第2駆動輪を介して間接的に前記第1シャフト部分に係合しており、円周方向及び軸方向の何れにおいても硬いダイヤフラムと、
前記第1駆動輪と回転係合する検出輪であって、その回転位置が検出される検出輪と、
前記第2駆動輪と回転係合する従動輪と、
前記従動輪に連結された磁気ピンと、
前記磁気ピンの軸方向の変位を検出する検出器と
を備え、
前記従動輪は、前記ダイヤフラムを介して、前記軸方向への変位可能に前記検出輪に連結されており、前記第1シャフト部分と前記第2シャフト部分との相対的な捻れが、前記従動輪の前記軸方向の変位を生じ、その変位に応じて前記磁気ピンが前記軸方向に変位する、回転角及び捻れ角検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転角及び捻れ角検出器に関する。
本発明の好ましい活用領域は、自動車のステアリングの分野であり、その分野では、ステアリングシャフトの回転角だけでなく、捻りモーメントに影響を及ぼすステアリングシャフトに働く力も測定されるべきである。この捻りモーメントは、ステアリングシャフトの2つシャフト部分の間に配置されたトーションバーの捻れ角として測定される。トーションバーに関する他のパラメーターは、よく知られている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トーションバーを持つ電動式パワーステアリングに用いられるトルクセンサが開示されている。ここで、トーションバーの両端は、円筒形のスリーブに連結されており、スリーブの各々は、トーションバーの半分程度を包囲している。両スリーブは、互いに向き合った端にて輪縁を支え、各輪縁は、可撓性のブリッジを介して中空円筒状のリングに連結されている。そのリングは、トーションバーの両端が相対的に捻れたときに軸方向において変位し、その変位が、中空円筒状のリングに付属されたセンサコイルにより検出される。
【0003】
より一般的に言えば、2つのシャフト部分の相対的な捻れは、機械的な連結により、軸方向の直線的な動きに変換される。この一般的な原則は、特許文献2〜11でも知られている。特許文献2及び3では、滑りガイドが使用されている。特許文献4では、ばねのような弾性部材が、可撓性のブリッジと共に示されている。特許文献5では、コイルばねを使った連結器と滑りガイドの検出器部材が示されている。特許文献6では、テコ棒装置がトランスミッターリングを移動させる。特許文献7では、二つの環状円板がばねによって互いに連結されている。特許文献8及び9では、滑りガイドが使用されている。回転角及び捻れ角を同時に測定するために、歯車、磁石及び磁気センサを使用することは、例えば特許文献12から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第3802684号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2108932号明細書
【特許文献3】米国特許第8109156号明細書
【特許文献4】米国特許第5115685号明細書
【特許文献5】米国特許第2260036号明細書
【特許文献6】米国特許第5165288号明細書
【特許文献7】米国特許第4907461号明細書
【特許文献8】米国特許第4809557号明細書
【特許文献9】米国特許第6370968号明細書
【特許文献10】米国特許第6854322号明細書
【特許文献11】米国特許第5353684号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第1426750号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回転角及び捻れ角を同時に測定するための検出器は、機械的に非常に複雑である。
【0006】
そこで本発明の目的は、上述した回転角及び捻れ角検出器を簡略化すると共に、正確な測定結果を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項1に記載の特徴により解決される。本発明の有益な形態及び更なる改良は、従属項に開示されている。
【0008】
本発明に係る回転角及び捻れ角検出器は、第1シャフト部分と、第2シャフト部分と、第1駆動輪と、感知円板と、検出器と、検出輪と、ダイヤフラムとを備える。第1シャフト部分及び第2シャフト部分は、トーションバーにより互いに連結されている。第1駆動輪は、第2シャフト部分に連結されている。感知円板は、連結部材を介して第1駆動輪に連結されている。検出器は、感知円板の軸方向の変位を検出する。検出輪は、第1駆動輪と回転係合する検出輪であって、その回転位置が検出される。ダイヤフラムには、第1コネクタ及び第2コネクタが設けられており、第1コネクタは、直接又は間接的に第1シャフト部分に連結され、第2コネクタは、連結装置を介して感知円板に連結されている。又、ダイヤフラムは、軸方向には弾力性を有する一方で円周方向には硬い。そして、感知円板の軸方向の変位が、第1シャフト部分と第2シャフト部分との相対的な捻れによって生じる。ここで、ある方向に対して「硬い」とは、その方向について弾力性を持たず、殆ど伸縮しないか、或いは伸縮不可能であることを意味する。以下、ある方向に対して「硬い」という意味については、同様である。
【0009】
本発明の基本的な着想は、円周方向には遠くへ行くほど円周方向は硬くなり、軸方向には柔軟なリング状のダイヤフラムを使用することにある。このダイヤフラムは、感知円板が更なる環状円板と反対側で係合しているのと同じ様に、第1シャフト部分と係合している。この環状円板は、第2シャフト部分と係合している。この係合により、感知円板は、軸方向に変位可能である。感知円板の軸方向の位置は、検出器により検出される。第2シャフト部分の回転位置は、検出輪によって検知され、その検出輪の回転位置は、検出器により検出される。環状円板と検出輪とは、互いに係合する歯車である。
【0010】
上記回転角及び捻れ角検出器の好ましい具体的構成において、連結部材は、長さ方向に硬い棒状の部材であり、その両端がそれぞれ、感知円板と第1駆動輪とに柔軟に連結されたものである。ここで、「柔軟な連結」には、連結部材が、感知円板及び第1駆動輪に対してヒンジにより連結される場合が含まれる。連結部材は、長さ方向には硬い一方で可撓性を有するものであってもよい。例えば、連結部材は、柔軟で曲げることが可能である一方で長さ方向には伸縮不可能な帯状素材である。
【0011】
上記回転角及び捻れ角検出器の好ましい具体的構成において、連結素材は、機械的な強制ガイドによってガイドされている。その強制ガイドは、好ましくは、螺子又は滑りガイドとして形成される。
【0012】
上記回転角及び捻れ角検出器の好ましい具体的構成において、連結部材は、第1駆動輪に対して旋回ジョイントにより枢支された旋回てこにより形成されており、旋回てこの一端は、第1ジョイントを介してダイヤフラムの第1コネクタに連結され、旋回てこの他端は、第2ジョイントにより直接又は間接的に感知円板に連結されている。より好ましくは、旋回てこは、直角に配置されると共に互いに連結された2つの脚部を持つ。
【0013】
上記回転角及び捻れ角検出器の好ましい具体的構成において、ダイヤフラムの第2コネクタは、漏斗状部材とガイドリングとにより感知円板に連結されている。
【0014】
上記回転角及び捻れ角検出器の好ましい具体的構成において、回転角及び捻れ角検出器は、第1シャフト部分に連結された第2駆動輪を更に備え、ダイヤフラムは、第2駆動輪と回転係合する従動輪に連結されている。そして、ダイヤフラムの第2コネクタは、感知円板及び磁気ピンに連結された軸方向に変位可能なスリーブに連結されていることが好ましい。磁気ピンには、更に検出器が配置されている。
【0015】
上記回転角及び捻れ角検出器の好ましい具体的構成において、ダイヤフラムの第2コネクタは、螺子スリーブと磁気ピンとに連結され、螺子スリーブは、検出輪に連結されたねじ込みピンに連結されている。
【0016】
本発明に係る回転角及び捻れ角検出器は、第1シャフト部分と、第2シャフト部分と、第1駆動輪と、第2駆動輪と、ダイヤフラムと、検出輪と、従動輪と、磁気ピンと、検出器とを備える。第1シャフト部分及び第2シャフト部分は、トーションバーを介して互いに連結されている。第1駆動輪は、第2シャフト部分に連結されている。第2駆動輪は、第1シャフト部分に連結されている。ダイヤフラムは、円周方向及び軸方向の何れにおいても硬く、第2駆動輪を介して間接的に第1シャフト部分に係合している。検出輪は、第1駆動輪と回転係合する検出輪であって、その回転位置が検出される。従動輪は、第2駆動輪と回転係合している。磁気ピンは、従動輪に連結されている。検出器は、磁気ピンの軸方向の変位を検出する。従動輪は、ダイヤフラムを介して、軸方向への変位可能に検出輪に連結されており、第1シャフト部分と第2シャフト部分との相対的な捻れが、従動輪の軸方向の変位を生じ、その変位に応じて磁気ピンが軸方向に変位する。
【0017】
従動輪と検出輪との間の係合には、上述したバリエーションが使用される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る回転角及び捻れ角検出器によれば、従来の回転角及び捻れ角検出器よりも簡略化され、それにも拘らず正確な測定結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る回転角及び捻れ角検出器を、部分的に破断して示した斜視図である。
図2】第1変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を、部分的に破断して示した斜視図である。
図3】第2変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。
図4】第3変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。
図5】第4変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。
図6】第5変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。
図7】第6変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。
図8】ダイヤフラムの具体例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面に沿って具体的に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る回転角及び捻れ角検出器を、部分的に破断して示した斜視図である。第1シャフト部分1と、これと同軸の第2シャフト部分2とは、トーションバー3により互いに連結されている。第1シャフト部分1と第2シャフト部分2とが互いに相対的に捻れると、これに伴って、第1シャフト部分1と第2シャフト部分2との間に働く捻りモーメント、即ち第1シャフト部分1と第2シャフト部分2とに働くトルクにより、トーションバー3が捻られる。
【0021】
第1シャフト部分1には、第1ダイヤフラムリング4が固定されている。これと同心の、第1ダイヤフラムリング4より直径が大きい第2ダイヤフラムリング5が、ダイヤフラム6を介して第1ダイヤフラムリング4に連結されている。第1ダイヤフラムリング4及び第2ダイヤフラムリング5は、ダイヤフラム6の第1及び第2コネクタとなっている。ダイヤフラム6は、軸方向に柔軟である一方で外周方向には頑強である(硬い)ため、第1シャフト部分1の回転は、第1ダイヤフラムリング4とダイヤフラム6とを介して、第2ダイヤフラムリング5に伝達される。従って、第2ダイヤフラムリング5は、第1シャフト部分1の回転に対して即座に追随する。ここで、ある方向に対して「柔軟である」とは、その方向について、弾力性又は可撓性を有するか、或いは変形可能であることを意味する。以下、ある方向に対して「柔軟である」という意味については、同様である。
【0022】
第2ダイヤフラムリング5は、漏斗状部材7と、第2シャフト部分2と同心に配されたガイドリング8とを介して、感知円板9に連結されている。ここで、感知円板9は、軸方向への変位可能に、第2シャフト部分2にガイドされている。感知円板9は、第1シャフト部分1と共に同様に回転する。漏斗状部材7は、トーションバー3に対して軸方向に橋を架けている。
【0023】
感知円板9には、固定された支持具11に取り付けられた検出器10が添装されている。具体的には、感知円板9は、帯磁した磁石板であり、検出器10は、感知円板9の軸方向の位置に応じて電気信号を生成する磁気検出器である。
【0024】
上述した様に、感知円板9は、ダイヤフラム6が軸方向に柔軟であるため、軸方向に変位可能である。第1シャフト部分1と第2シャフト部分2との間に相対的な捻転が生じた際に軸方向の変位が生じる様に、感知円板9を環状円板13と連結する複数の連結部材12が設けられている。環状円板13は、第2シャフト部分2にしっかりと結合されており、第2シャフト部分2と共に回転する一方で軸方向へは変位することが出来ない。ここで、連結部材12の各々は、両端にジョイント14及び15を持ったバーであり、これらにより、連結部材12は、感知円板9と環状円板13とを互いに連結している。ジョイント14及び15は、例えばヒンジの機能を持っており、連結部材12を、感知円板9及び環状円板13に対して柔軟に連結する。勿論、上記バー並びにジョイント14及び15の代わりに、長さ方向において伸縮不可能である一方で、屈曲又は撓むことが可能な連結部材が使用されてもよい。
【0025】
トーションバー3が捻れを生じることなく第1シャフト部分1及び第2シャフト部分2が同時に回転すると、感知円板9及び環状円板13も同時に回転し、感知円板9は、軸方向においてニュートラルな留置位置に置かれる。
【0026】
一方、第1シャフト部分1及び第2シャフト部分2が互いに相対的に捻られると、感知円板9及び環状円板13も互いに相対的に捻られ、感知円板9は、柔軟なダイヤフラム6及び連結部材12の存在により、第1シャフト部分1及び第2シャフト部分2の間の捻れ角に応じて軸方向へ変位する。このとき、変位する距離は、捻れ角の関数で表される。よって、感知円板9は、ニュートラルな留置位置から、上記捻れ角の関数で表される距離を軸方向へ変位する。この変位は、検出器10によって検出され、電気信号として出力される。ここで、上述した捻れ角に対する軸方向の変位を表す関数は、余弦関数又は正弦関数である。それゆえ、捻れ角が小さい場合でさえも十分に大きな軸方向の変位が生じるので、図1に示す様に、ニュートラルな位置にある連結部材12が、中心軸21に対してある傾角以下の角度で斜めに配置されていることは、合目的的である。
【0027】
第2シャフト部分2の絶対回転位置は、環状円板13に回転係合された2つの検出輪16及び18によって測定される。環状円板13は、駆動輪であり、実際には歯車である。又、2つの検出輪16及び18は、環状円板13により形成された歯車と噛み合う歯車である。検出輪16及び18にはそれぞれ、これらの回転位置を検出する検出器17及び19が添装されている。例えば、2つの検出輪16及び18は磁化されている。検出器17及び19はそれぞれ、磁気センサであり、検出輪16及び18の回転位置に応じた電気出力信号を生じる。2つの検出輪16及び18は、従来の手法で360°以上の捻れ角をも測定するために、互いに異なる直径を持ち、歯車である場合には互いに異なった歯数を持っている。小さい方の検出輪は、例えば360°までの回転角を検出し、一方、大きい方の検出輪は、例えば第2シャフト部分2の3回の全回転、つまり360°の3倍の基準測定範囲内で、1回の全回転をする様に設計されており、第2シャフト部分がどの全回転(周期)にあるのかを決定することが出来る。
【0028】
2つの検出器17及び19は、検出輪16及び18の回転軸22及び23が軸受けされた、これらに共通な検出器受け台20に取り付けられていてもよい。検出器受け台20は、固定されている。
【0029】
2つの検出輪16及び18は、例えば、n×360°の全測定範囲を通して、一方の検出輪がm回の回転を行い、他方の検出輪がm+1回の回転を行うといった、違った態様で設計されてもよい。
【0030】
通常、検出器17及び19として、磁気センサが使われる。しかし、光学センサを使用することも可能であり、この場合、感知円板9並びに検出輪16及び18は、光学センサに対応させて、光学的に読み取り可能な標示を持つことになる。
【0031】
尚、上述されている「軸方向」や「同軸」などの用語は、中心軸21を基準としたものであり、その中心軸21は、第1シャフト部分1、第2シャフト部分2、トーションバー3、第1ダイヤフラムリング4、第2ダイヤフラムリング5、ダイヤフラム6、感知円板9、及び環状円板13についての回転軸でもある。
【0032】
次に、上述した回転角及び捻れ角検出器の変形例について、図面に沿って説明する。
<第1変形例>
図2は、第1変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を、部分的に破断して示した斜視図である。第1変形例は、感知円板9の軸方向の変位が、スクリュー螺子25により生じるという点で、図1に示される実施形態と本質的に相違している。スクリュー螺子25は、ガイドリング8と、第2シャフト部分2にしっかり連結された螺子スリーブ26との間に設けられている。螺子スリーブ26は雄螺子であり、ガイドリング8は、これに適合する雌螺子である。第1シャフト部分1及び第2シャフト部分2の間に相対的な捻れが生じた際、ガイドリング8及び感知円板9は、スクリュー螺子25に起因して軸方向に変位し、この変位が検出器10により検出される。又、この軸方向の変位は、ダイヤフラム6により可能となっている。
【0033】
螺子に代えて、滑りガイドが使用されてもよい。例えば、螺子スリーブ26の1つ又は複数の溝にガイドされる1つ又は複数のガイドピンが、ガイドリング8に設けられていてもよい。
【0034】
<第2変形例>
図3は、第2変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。第2変形例において、旋回てこ27により第2ダイヤフラムリング5と感知円板9とが連結されている。ここで、旋回てこ27は、ジョイント28及び29を介して、第2ダイヤフラムリング5と、軸方向に変位可能な環状円板8aとに連結されている。旋回てこ27は、中心軸21に平行なニュートラルな位置で中心軸21に平行に延びることになる脚部31を持ち、その脚部31の自由端は、ジョイント28を介して第2ダイヤフラムリング5に連結されている。第2脚部32は、脚部31と略垂直となる様に脚部31に対してしっかりと連結されており、その第2脚部32の自由端は、ジョイント29を介して環状円板8aに連結されている。脚部31は、旋回ピン30により環状円板13に旋回可能に枢支されており、環状円板13は、第2シャフト部分2に対してしっかりと固定されている。
【0035】
これにより、図1に示される実施形態に比べて、第1シャフト部分1と第2シャフト部分2との間に捻れが生じた場合、環状円板8a、並びに、これに連結されたガイドリング8及び感知円板9には、より大きな変位が生じる。なぜなら、ジョイント28の旋回時に、ジョイント29及び第2脚部32の末端が、2つの脚部31及び32の共通の接続点33に比べて軸方向に大きく動くといった「並進」を、旋回てこ27が生じるからである。
【0036】
具体的には、環状円板13にはスリット34が設けられ、脚部31は、スリット34に通された状態で旋回ピン30より支持されている。円周方向についてのスリット34の長さは、全捻れ領域において脚部31が支障なく旋回可能となる様に定められている。
【0037】
本変形例においても、環状円板13は、回転に耐えられる様に第2シャフト部分2に連結されており、軸方向において第2ダイヤフラムリング5と環状円板8aの間に配置されている。環状円板8a、ガイドリング8、及び感知円板9は、第2シャフト部分2に対して相対的に軸方向へ変位することが可能である一方で、互いにはしっかりと連結されている。2つの検出輪16及び18は、図1に示されるのと同様にして、第2シャフト部分2にしっかりと連結された環状円板13により動かされる。
【0038】
<第3変形例>
図4は、第3変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。第3変形例において、第1シャフト部分1及び第2シャフト部分2には、駆動輪40及び環状円板13がそれぞれ連結されており、それらの間にトーションバー3がしっかりと固定されている。環状円板13は、2つの検出輪16及び18を動かし、検出輪16及び18は、第2シャフト部分2の回転角を算出するために、上記実施形態で用いられた方法と同じ方法で用いられる。第1シャフト部分1に連結された駆動輪40は、検出輪16と同軸に配置されると共に回転軸22周りに回転可能な従動輪42を動かす。従動輪42は、ダイヤフラム6を介して、従動輪42の回転軸22に対して相対的に軸方向へ変位することが可能な軸受けリング44に連結されている。軸受けリング44は、これも同様に回転軸22に対して相対的に軸方向へ変位することが可能な磁気ピン45に連結されている。磁気ピン45と対向して磁気検出器10が配され、磁気検出器10は、固定された支持具11に取り付けられている。従動輪42は、外側軸受け48により、回転軸22に対する軸方向への相対的な変位が不可能となる様に保持されている。ダイヤフラム6に連結された軸受けリング44は、環状円板47に連結されており、環状円板47は、図1に示される実施形態と同様にして、連結部材12により検出輪16に連結されている。環状円板47は、ダイヤフラム6の存在により、回転方向についての従動輪42の回転位置に応じて即座に反応する。検出輪16は、軸方向への移動が不可能となる様に外側軸受け46に保持されており、環状円板47は、軸方向に変位することが出来ない検出輪16と連結されているために軸方向へ移動し、これにより磁気ピン45を軸方向へ移動させることが出来る。第1シャフト部分1と第2シャフト部分2との相対的な捻れにより、磁気ピン45は軸方向に変位し、この変位を磁気検出器10が検出すると共に、磁気検出器10は、捻れに応じた信号を出力する。図1に示される実施形態と同様、環状円板47は、図1の感知円板9に基づいて感知円板として設計されてもよく、その際、検出器10は、環状円板47と対向して配置され、環状円板47の軸方向の位置を読み取る。
【0039】
環状円板13の直径と駆動輪40の直径とは同じであり、これらが歯車である場合、それらの歯数は同じである。同様に、検出輪16及び従動輪42の直径又は歯数は同じである。
【0040】
短く要約すると、第3変形例においては、第1シャフト部分1及び第2シャフト部分2の中心軸21に平行である回転軸22を共有する検出輪16及び従動輪42に対して、図1に示されるダイヤフラム6及び連結部材12により構築された連結の原理が適用されている。
【0041】
<第4変形例>
図5は、第4変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。第4変形例は、次の点で、図4に示される第3変形例と相違している。従動輪42は、外側軸受け48によって保持されておらず、従動輪42は、円周方向及び軸方向の何れにおいても硬いダイヤフラム6’と連結部材12とを介して、軸方向への移動が不可能な検出輪16に連結されている。これにより、従動輪42は、上記共通の回転軸22に対して相対的に軸方向へ移動することが出来る。磁気ピン45は、従動輪42にしっかりと連結されている。従動輪42の軸方向についての高さは、軸方向に変位した場合でも常に駆動輪40との係合が維持される高さである。
【0042】
<第5変形例>
図6は、第5変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。第5変形例は、図4に示される第3変形例に類似しており、第3変形例に対して、図2に示される第1変形例に用いられたスクリューによる連結の原理が適用されたものである。検出輪16及び従動輪42はそれぞれ、共通の回転軸22に対して軸方向への移動が不可能となる様に、外側軸受け46及び48により保持されている。
【0043】
従動輪42は、ダイヤフラム6を介して、雌螺子が設けられた螺子スリーブとして設計された、軸方向に変位可能な軸受けリング44に連結されている。軸受けリング44は、磁気ピン45に連結されている。これにより、軸受けリング44と磁気ピン45とは、回転軸22に対して相対的に軸方向へ変位することが出来る。検出輪16は、ねじ込みピン49に連結されており、そのねじ込みピン49は、軸受けリング44の雌螺子と係合する雄螺子を持つ。検出輪16及びねじ込みピン49は、軸方向への変位が不可能となる様に、外側軸受け46により保持されている。従動輪42と検出輪16との間に相対的な捻れが生じた際には、軸受けリング44は、ねじ込みピン49との螺子結合のために軸方向へ移動し、これにより磁気ピン45の軸方向の位置が、検出器10により検出される。
【0044】
<第6変形例>
図7は、第6変形例に係る回転角及び捻れ角検出器を示した斜視図である。第6変形例において、図5に示される第4変形例と類似して、従動輪42は、円周方向及び軸方向の何れにおいても硬いダイヤフラム6’により、磁気ピン45と共に軸方向へ変位することが出来る。検出輪16は、軸方向への変位が不可能である。又、検出輪16は、ねじ込みピン49を持ち、そのねじ込みピン49は、従動輪42の軸受けリング44に係合している。軸受けリング44は、これに対応する雌螺子を持ち、従動輪42にしっかりと連結されている。磁気ピン45も又、軸受けリング44にしっかりと連結されている。よって、検出輪16と従動輪42との間に相対的な捻れが生じた際には、従動輪42は、軸受けリング44及び磁気ピン45と共に軸方向へ移動し、これにより磁気ピン45の軸方向の位置が、検出器10により検出される。
【0045】
<ダイヤフラム>
図8は、ダイヤフラム6の具体例を示した斜視図である。図8に示す様に、ダイヤフラム6は、円状の内側リング50と、それと同心に配置された円状の外側リング51と、内側リング50と外側リング51とを結ぶ、放射線状に延びた複数のブリッジ52とを有している。内側リング50及び外側リング51は、ダイヤフラム6のコネクタ53及び54をそれぞれ形成している。ダイヤフラム6は、例えば、ばね鋼などの可撓性を有する素材からなる平らなプレートを型抜きしたものである。内側リング50と外側リング51とは、円周方向についての上述した形状のために、互いにしっかりと連結されており、その一方で、内側リング50と外側リング51とは、軸方向においてブリッジ52を通じて互いに相対的に移動することが出来る。
【0046】
尚、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 第1シャフト部分
2 第2シャフト部分
3 トーションバー
4 第1ダイヤフラムリング
5 第2ダイヤフラムリング
6 ダイヤフラム
6’ ダイヤフラム
7 漏斗状部材
8 ガイドリング
8a 環状円板
9 感知円板
10 (磁気)検出器
11 支持具
12 連結部材
13 環状円板
14、15 ジョイント
16、18 検出輪
17、19 検出器
20 検出器受け台
21 中心(回転)軸
22、23 回転軸
25 スクリュー螺子
26 螺子スリーブ
27 旋回てこ
28、29 ジョイント
30 旋回ピン
31、32 脚部
33 接続点
34 スリット
40 駆動輪
42 従動輪
44 軸受けリング
45 磁気ピン
46、48 外側軸受け
47 環状円板
49 ねじ込みピン
50 内側リング
51 外側リング
52 ブリッジ
53、54 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8