(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記供給コンベアの上流側には、前記供給コンベア上における前記混合廃棄物の位置を前記回収コンベア側へ寄せる片寄せ手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物の選別装置。
前記送風部による送風の風圧は、前記混合廃棄物における前記軽量物の組成又は種類に応じて調整可能であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の廃棄物の選別装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、地震や津波等による災害が発生している。特に、大規模な災害の場合には、広範囲に甚大な被害が及ぶため、様々な種類の廃棄物を含む災害廃棄物が大量に生じることとなる。このような災害廃棄物の選別においては、資材として再利用される金属、礫、土砂等の礫分と、それ以外のゴミ(可燃物)とを効率良く選別することが求められる。
【0005】
しかしながら、災害廃棄物は、様々な種類の廃棄物を含んでいる。このため、災害廃棄物の選別において従来の技術を適用しても、一部の軽量物(例えば、木チップ等)の選別が十分ではなく、効率良く軽量物を選別することが難しかった。
【0006】
本発明は、様々な種類の廃棄物を含む混合廃棄物の選別においても、軽量物を効率良く選別することができる廃棄物の選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、礫分を含む混合廃棄物から軽量物を選別する廃棄物の選別装置であって、混合廃棄物を供給する供給コンベアと、供給コンベアに隣接して設けられ、選別された軽量物を回収する回収コンベアと、供給コンベアの上方に設けられ、供給コンベアの延在方向に沿う軸線を有する回転体と、回転体の表面に基端部が固定され、回転体の回転に伴い先端部が延在方向に交差する方向に移動することにより、供給コンベアから回収コンベアへ軽量物を掃き出して分離させる棒状部材と、供給コンベア上に向けて、供給コンベアから回収コンベアへ向かう方向に沿って空気を送風する送風部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この廃棄物の選別装置によれば、供給コンベア上に向けて、供給コンベアから回収コンベアへ向かう方向に沿って空気が送風される。この空気によって、供給コンベア上の軽量物には、供給コンベアから回収コンベアへ向かう方向の力が加えられる。よって、軽量物は、棒状部材によって掃かれる際に、回収コンベアへ向かって動き易くなるため、容易に回収コンベアへ掃き出される。この結果、様々な種類の廃棄物を含む混合廃棄物の選別においても、十分に軽量物の選別を図ることができ、効率良く軽量物を選別することができる。
【0009】
また、上記の廃棄物の選別装置において、供給コンベアの上流側には、供給コンベア上における混合廃棄物の位置を回収コンベア側へ寄せる片寄せ手段が設けられている。この片寄せ手段により、混合廃棄物の位置は、供給コンベア上における回収コンベア側へ予め寄せられる。そして、混合廃棄物に含まれる軽量物も回収コンベア側へ予め寄せられるため、供給コンベア上の軽量物から回収コンベアまでの距離が短くなる。よって、軽量物は、一層容易に回収コンベアへ掃き出される。この結果、軽量物の選別効率を更に向上させることができる。
【0010】
また、上記の廃棄物の選別装置において、供給コンベアの上流側には、混合廃棄物を供給コンベアに供給する他の供給コンベアが設けられており、他の供給コンベアの延在方向は、供給コンベアの延在方向に対して所定の角度で交差しており、他の供給コンベアと供給コンベアとが連なる接続部において、他の供給コンベアの下流側端部は、供給コンベアの上方に配置され、片寄せ手段は、供給コンベアの上方において、他の供給コンベアの下流側端部と対峙すると共に、供給コンベアの延在方向に沿うように配置された板状部材である。
【0011】
このように構成された廃棄物の選別装置では、混合廃棄物は、接続部において他のコンベアの下流側端部から供給コンベアへ落下することにより受け渡される。このとき、混合廃棄物は、他の供給コンベアの延在方向に沿う初速度をもって落下する。ここで、上記のような板状部材が片寄せ手段として設けられることにより、混合廃棄物は、落下の際に板状部材により受け止められると共に、供給コンベアにおける回収コンベア側へ予め寄せられる。従って、混合廃棄物は好適に供給コンベア上に受け渡され、軽量物は容易に回収コンベアへ掃き出される。この結果、軽量物を効率良く選別することができる。
【0012】
また、上記の廃棄物の選別装置において、送風部による送風の風圧は、混合廃棄物における軽量物の組成又は種類に応じて調整可能である。この場合、混合廃棄物に含まれる軽量物の組成又は種類に適した風圧で空気が送風されるため、供給コンベア上の軽量物には、その軽量物を動かし易くするために適した大きさの力が加えられる。従って、種々の組成又は種類の軽量物を確実に選別することができ、軽量物を一層効率良く選別することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、様々な種類の廃棄物を含む混合廃棄物の選別においても、軽量物を効率良く選別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
まず、
図1を参照して、廃棄物の選別装置1の概略構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る廃棄物の選別装置1の概略構成を示す平面図である。廃棄物の選別装置1は、重量物d1(礫分)を含む混合廃棄物Dから軽量物d2を分離して選別する装置である。廃棄物の選別装置1は、第1の選別装置10と、第2の選別装置20と、前処理装置30とを備えている。以下の説明では、まず、廃棄物の選別装置1の上流部10Pに着目し、当該上流部10Pの構成について説明する。その後に、第1の選別装置10と第2の選別装置20とを組み合わせた構成について説明する。
【0017】
図1に示すように、廃棄物の選別装置1の上流部10Pには、第1の選別装置10が設けられている。第1の選別装置10は、重量物d1(礫分)を含む混合廃棄物Dから軽量物d2を分離して選別する装置である。第1の選別装置10は、掃出装置A1と、第1の供給コンベア11と、第1の回収コンベア12と、第1の送風部13と、第1の板状部材(片寄せ手段)15とを備えている。掃出装置A1は、回転体2と、駆動装置3と、棒状部材4とを備えている。第1の選別装置10には、前処理装置30から混合廃棄物Dが供給される。
【0018】
前処理装置30は、第1の選別装置10の上流側に設けられており、混合廃棄物Dが第1の選別装置10に供給される前に、混合廃棄物Dを前処理する装置である。混合廃棄物Dは、廃棄物投入部INから前処理装置30に投入される。前処理装置30としては、例えばトロンメル等の篩の機能を有する装置等が採用される。前処理装置30は、重量物d1及び軽量物d2よりも大きさが小さい土砂分を混合廃棄物Dから除去するものであってもよい。
【0019】
回転体2は、第1の供給コンベア11の上方に設けられ、例えば略円筒状を呈している。回転体2は、第1の供給コンベア11の延在方向に沿う軸線を有している。後述するように、回転体2が軸線の周りを回転することで、軽量物d2は、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ掃き出されて分離される。ここで、軽量物d2とは、一定の重量又は一定の比重を基準として、その基準値よりも軽い重量又は小さい比重を有する廃棄物である。混合廃棄物Dに含まれる廃棄物の種類又は選別目的に応じて、重量物d1と軽量物d2とを区分する上記の基準値は、適宜設定することができる。
【0020】
駆動装置3は、回転体2を駆動して回転体2を回転させる。駆動装置3は、例えば電動機等で構成され、回転体2の端部に直接設けられている。駆動装置3は、第1の供給コンベア11に対面する回転体2の下側の周面が、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向けて移動するように、回転体2を一定の回転方向に回転させる。
【0021】
棒状部材4は、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ軽量物d2を掃き出すための部材である。棒状部材4は、回転体2の表面に複数設けられている。それぞれの棒状部材4は、先端部4aと基端部4bとを有しており、基端部4bは、回転体2の表面に固定されている。基端部4bは、回転体2に対して剛結されていてもよいし、回転体2の表面に対して所定の角度範囲で揺動可能に取り付けられていてもよい。
【0022】
先端部4aは、第1の供給コンベア11上の混合廃棄物Dに届くように配置されている。棒状部材4の長さは、第1の供給コンベア11から回転体2までの距離に略等しくてもよく、当該距離よりも所定の長さ長くされていてもよい。この場合、第1の供給コンベア11の上部を掃く際に棒状部材4が撓るように、棒状部材4は、例えば弾性を有する材料を含んで構成される。なお、上記所定の長さは、例えば、1cm以下であってもよく、1cm〜3cmであってもよい。棒状部材4自体に弾性があれば、上記所定の長さは5cm程度でもよい。上記所定の長さは、棒状部材4の弾性に応じて適宜設定されてもよい。
【0023】
先端部4aは、回転体2の回転に伴い、第1の供給コンベア11の延在方向に交差する方向に移動する。従って、回転体2の回転に伴い、回転体2に固定された棒状部材4の先端部4aが軽量物d2を掃くことにより、棒状部材4は、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ軽量物d2を掃き出して分離させる。
【0024】
図1〜
図3に示すように、第1の供給コンベア11は、前処理装置30で前処理された混合廃棄物Dを第1の選別装置10に供給するコンベアである。第1の供給コンベア11は、前処理装置30に連なるように設けられている。第1の供給コンベア11は無限軌道を形成しており、図示しない動力源により、上面側が搬送方向に向かって移動し、下面側が搬送方向とは逆方向に向かって移動するように構成されている。第1の供給コンベア11の上面の下部には、第1の供給コンベア11の延在方向に沿って複数のキャリアローラR1(
図3参照)が設けられている。キャリアローラR1は、第1の供給コンベア11の上面に下方から当接しており、第1の供給コンベア11の搬送物の重量を支えている。また、少なくとも回転体2が上方に配置されている区間では、第1の供給コンベア11の上面は、例えば幅方向の両端部が上方に曲げられている。
【0025】
第1の回収コンベア12は、第1の供給コンベア11から掃き出されて選別された軽量物d2を回収して搬送するコンベアである。第1の回収コンベア12は、第1の供給コンベア11に隣接して設けられている。第1の回収コンベア12は無限軌道を形成しており、図示しない動力源により、上面側が搬送方向に向かって移動し、下面側が搬送方向とは逆方向に向かって移動するように構成されている。第1の回収コンベア12の上面の下部には、第1の回収コンベア12の延在方向に沿って複数のキャリアローラR2(
図3参照)が設けられている。キャリアローラR2は、第1の回収コンベア12の上面に下方から当接しており、第1の回収コンベア12の搬送物の重量を支えている。また、第1の回収コンベア12の上面は、幅方向において平坦に形成されており、両端部の上方には、補助板Gが設けられている。補助板Gは、第1の回収コンベア12に沿って固定されており、上広がりに配置されている。補助板Gは、掃き出されて選別された軽量物d2を第1の回収コンベア12の上面に誘導する。
【0026】
第1の供給コンベア11と、第1の回収コンベア12との間には、少なくとも回転体2が上方に配置されている区間において、第1の架渡部14が設けられている。第1の架渡部14は、第1の供給コンベア11と第1の回収コンベア12とに架け渡された板状部材である。第1の架渡部14は、掃き出されて選別された軽量物d2を、第1の回収コンベア12の方向へ案内する。また、第1の架渡部14は、重量物d1が第1の回収コンベア12側に乗り移るのを防止する。ここで、
図3に示すように、軽量物d2を第1の回収コンベア12の方向へ案内する際、軽量物d2が第1の架渡部14の端部に引っかからないように、第1の架渡部14の端部を覆うように第1の補助板14aを設けてもよい。
【0027】
第1の送風部13は、棒状部材4による軽量物d2の分離選別の促進を図るものである(詳しくは後述)。
図1に示すように、第1の送風部13は、ブロアB1と、ノズルBn1とを備えている。
【0028】
ブロアB1は、第1の送風部13において風を形成する装置である。ブロアB1による風量は、混合廃棄物Dにおける軽量物d2の組成又は種類に応じて調整可能とされている。このため、ブロアB1としては、例えば、図示しない電動機によって駆動されるシロッコファンが採用される。
【0029】
ノズルBn1は、ブロアB1によって形成された風を噴射する噴射口である。ノズルBn1は、第1の供給コンベア11の上部に向けて開口しており、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向に沿って配置されている。第1の送風部13は、第1の供給コンベア11の上部に向けて、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向に沿って空気を送風する。ノズルBn1の先端部の形状は、混合廃棄物Dにおける軽量物d2の組成又は種類に応じて調整可能とされている。ノズルBn1の先端部には、例えば、先細りの略円錐形状が採用される。
【0030】
このように、ブロアB1による風量及びノズルBn1の先端部の形状が調整可能とされていることにより、第1の送風部13による送風の風圧は、混合廃棄物Dにおける軽量物d2の組成又は種類に応じて調整可能となっている。
【0031】
第1の板状部材15は、第1の供給コンベア11上における混合廃棄物Dの位置を第1の回収コンベア12側へ寄せる片寄せ手段である。第1の板状部材15は、第1の供給コンベア11の上流側に設けられている。例えば、第1の板状部材15は、前処理装置30の終端部において、前処理装置30の下端より下方に、かつ、第1の供給コンベア11の上方に設けられている。この第1の板状部材15は、第1の供給コンベア11の幅方向において、第1の回収コンベア12から遠い側に寄せて設けられている。また、この第1の板状部材15は、第1の供給コンベア11の幅方向において、第1の回収コンベア12から遠い側から第1の回収コンベア12に近い側に向かって下り斜面を形成するように、傾斜して配置されている。
【0032】
次に、本実施形態の廃棄物の選別装置1において、廃棄物の選別装置1の上流部10Pに着目した場合の作用効果について、
図1〜
図3を参照して説明する。
【0033】
図2及び
図3に示すように、第1の選別装置10では、回転体2が回転方向Cの向きに回転する。この回転体2の回転に伴い、棒状部材4は、第1の供給コンベア11上の軽量物d2に接触する。このとき、軽量物d2には、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向の力が加えられる。
【0034】
ここで、第1の送風部13によって、第1の供給コンベア11上に向けて、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向に沿って空気が送風される。第1の送風部13から送風された空気は、軽量物d2に対して、例えば
図1〜
図3においてノズルBn1の先端部の矢印で示すように、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向に当てられることになる。つまり、この送風によって、第1の供給コンベア11上の軽量物d2には、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向の力が加えられる。
【0035】
従って、軽量物d2には、棒状部材4と、第1の送風部13からの送風との両方から、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向の力が加えられる。この結果、軽量物d2が第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ掃き出され易くなり、選別が促進される。
【0036】
ところで、更に回転体2が回転した場合、棒状部材4は、軽量物d2を掃き出した後、軽量物d2から離れるように移動する。棒状部材4が軽量物d2から離れると、軽量物d2には、棒状部材4からは力を加えられなくなる。
【0037】
ここで、第1の送風部13による送風により、第1の供給コンベア11上の軽量物d2には、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向の力が加えられる。従って、更に回転体2が回転して棒状部材4が軽量物d2から離れた場合であっても、軽量物d2には、第1の送風部13からの送風により、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向の力が加えられる。この結果、軽量物d2が第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ掃き出され易くなり、選別が促進される。
【0038】
また、
図1に示すように、第1の供給コンベア11は、前処理装置30に連なるように設けられている。また、前処理装置30の終端部には、上述のように第1の板状部材15が設けられている。このため、前処理装置30で前処理された混合廃棄物Dは、第1の板状部材15の下り斜面に沿うようにして第1の供給コンベア11に案内される。従って、混合廃棄物Dの位置は、第1の供給コンベア11上における第1の回収コンベア12側へ寄せられる。このように、廃棄物の選別装置1の上流部10Pに着目する場合、第1の板状部材15は、混合廃棄物Dの位置を第1の回収コンベア12側へ寄せる片寄せ手段として機能する。なお、ここでの片寄せとは、単に混合廃棄物Dの位置を第1の供給コンベア11の片側に寄った状態にする形態に限られず、例えば混合廃棄物Dの位置を少しでも第1の回収コンベア12側に近寄せる形態も含む。この点、前処理装置30の終端部において、上記第1の板状部材15に加えて別の板状部材が設けられていてもよい。例えば、前処理装置30の終端部において、第1の板状部材15に対して前処理装置30の中心軸線について水平方向に対称となる位置に別の板状部材が設けられている場合には、当該別の板状部材によって、混合廃棄物Dの一部は、第1の回収コンベア12から遠ざかる側に寄せられる。この場合であっても、第1の板状部材15は、混合廃棄物Dの位置を第1の回収コンベア12側に近寄せる片寄せ手段として機能する。
【0039】
また、例えば、送風の風圧が弱すぎる場合、第1の供給コンベア11上の軽量物d2に加えられる送風による力が弱くなるため、混合廃棄物Dにおける軽量物d2の組成又は種類によっては、上述したような選別促進の効果が小さくなる。一方、例えば、送風の風圧が強すぎる場合、第1の供給コンベア11上の軽量物d2に加えられる送風による力が強くなるため、混合廃棄物Dにおける軽量物d2の組成又は種類によっては、第1の回収コンベア12への軽量物d2の回収が却って妨げられる可能性もある。
【0040】
この点、廃棄物の選別装置1では、ブロアB1による風量及びノズルBn1の先端部の形状が調整可能とされていることにより、第1の送風部13による送風の風圧は、混合廃棄物Dにおける軽量物d2の組成又は種類に応じて調整可能となっている。これにより、軽量物d2は、より確実に第1の回収コンベア12に回収され、選別が促進される。
【0041】
以上に述べたように、この廃棄物の選別装置1によれば、第1の供給コンベア11上に向けて、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向に沿って空気が送風される。この空気によって、第1の供給コンベア11上の軽量物d2には、第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向の力が加えられる。よって、軽量物d2は、棒状部材4によって掃かれる際に、第1の回収コンベア12へ向かって動き易くなるため、容易に第1の回収コンベア12へ掃き出される。この結果、様々な種類の廃棄物を含む混合廃棄物Dの選別においても、十分に軽量物d2の選別を図ることができ、効率良く軽量物d2を選別することができる。
【0042】
また、上記の廃棄物の選別装置1において、第1の供給コンベア11の上流側には、第1の供給コンベア11上における混合廃棄物Dの位置を第1の回収コンベア12側へ寄せる第1の板状部材15が設けられている。この第1の板状部材15が片寄せ手段として設けられることにより、混合廃棄物Dの位置は、第1の供給コンベア11上における第1の回収コンベア12側へ予め寄せられる。そして、混合廃棄物Dに含まれる軽量物d2も第1の回収コンベア12側へ予め寄せられるため、第1の供給コンベア11上の軽量物d2から第1の回収コンベア12までの距離が短くなる。よって、軽量物d2は、一層容易に第1の回収コンベア12へ掃き出される。この結果、軽量物d2の選別効率を更に向上させることができる。なお、ここでの片寄せとは、単に混合廃棄物Dの位置を第1の供給コンベア11の片側に寄った状態にする形態に限られず、例えば混合廃棄物Dの位置を少しでも第1の回収コンベア12側に近寄せる形態も含む。
【0043】
また、上記の廃棄物の選別装置1において、第1の送風部13による送風の風圧は、混合廃棄物Dにおける軽量物d2の組成又は種類に応じて調整可能である。この場合、混合廃棄物Dに含まれる軽量物d2の組成又は種類に適した風圧で空気が送風されるため、第1の供給コンベア11上の軽量物d2には、その軽量物d2を動かし易くするために適した大きさの力が加えられる。第1の供給コンベア11から第1の回収コンベア12へ向かう方向の力が加えられる。従って、種々の組成又は種類の軽量物d2を確実に選別することができ、一層効率良く軽量物d2を選別することができる。
【0044】
次に、第1の選別装置10と第2の選別装置20とを組み合わせた構成(以下、廃棄物の選別装置1の全体構成と称する)について説明する。なお、上述の廃棄物の選別装置1の上流部10Pに着目する場合と重複する説明については、省略又は簡略化することがある。
【0045】
図1に示すように、廃棄物の選別装置1の全体構成では、第1の選別装置10と、第2の選別装置20とが連なって設けられている。第2の選別装置20は、第1の選別装置10と概略同様の構成を備えている装置である。第2の選別装置20は、掃出装置A2と、第2の供給コンベア21と、第2の回収コンベア22と、第2の送風部23と、第2の板状部材25とを備えている。掃出装置A2は、回転体2と、駆動装置3と、棒状部材4とを備えている。以下の説明では、これらの構成のうち、第2の供給コンベア21と、第2の回収コンベア22と、第2の板状部材25とについて詳述する。
【0046】
第2の供給コンベア21は、第1の選別装置10で選別された混合廃棄物Dを第2の選別装置20に供給するコンベアである。第2の供給コンベア21は、第1の供給コンベア11と同様に構成されている。
【0047】
第2の供給コンベア21の上流側には、混合廃棄物Dを第2の供給コンベア21に供給する第1の供給コンベア11(他の供給コンベア)が設けられている。第1の供給コンベア11の延在方向は、第2の供給コンベア21の延在方向に対して所定の角度で交差しており、例えば、略直角に交差している。また、第1の供給コンベア11と第2の供給コンベア21とが連なる箇所において、接続部5が形成されている。この接続部5では、第1の供給コンベア11の下流側端部は、第2の供給コンベア21の上方に配置されている。第1の供給コンベア11の下流側端部まで搬送された混合廃棄物Dは、この接続部5において、第1の供給コンベア11から第2の供給コンベア21の上方に受け渡される。この後、第2の選別装置20で更に選別された混合廃棄物Dは、第2の供給コンベア21によって、第2の供給コンベア21の下流側端部まで搬送され、重量物の回収部OUT1に至る。
【0048】
第2の回収コンベア22は、第2の供給コンベア21から掃き出されて選別された軽量物d2を回収するコンベアである。第2の回収コンベア22は、第1の回収コンベア12と同様に構成されている。
【0049】
第2の回収コンベア22は、第2の供給コンベア21に隣接して設けられている。また、第1の回収コンベア12の延在方向は、第2の回収コンベア22の延在方向に対して所定の角度で交差しており、例えば、略直角に交差している。そして、第1の回収コンベア12の下流側端部は、第2の回収コンベア22の上方に配置されている。
【0050】
従って、上流側の第1の選別装置10において選別された軽量物d2は、第1の回収コンベア12によって、第1の回収コンベア12の下流側端部まで搬送される。そして、第1の回収コンベア12と第2の回収コンベア22とが連なる箇所において、第1の回収コンベア12から第2の回収コンベア22に受け渡される。その後、上流側の第1の選別装置10において選別された軽量物d2は、下流側の第2の選別装置20において選別された軽量物d2と共に、第2の回収コンベア22によって、第2の回収コンベア22の下流側端部まで搬送され、軽量物の回収部OUT2に至る。
【0051】
図1に示すように、第2の板状部材25は、第2の供給コンベア21の上流側に設けられている。また、
図4に示すように、第2の板状部材25は、第2の供給コンベア21の上方において、第1の供給コンベア11の下流側端部と対峙すると共に、第2の供給コンベア21の延在方向に沿うように配置された板状部材である。ここでの第2の板状部材25は、廃棄物の選別装置1の全体構成において、第2の供給コンベア21上における混合廃棄物Dの位置を第2の回収コンベア22側へ寄せる片寄せ手段として機能する。
【0052】
また、この第2の板状部材25は、第2の供給コンベア21の幅方向において、第2の回収コンベア22から遠い側から第2の回収コンベア22に近い側に向かって下り斜面を形成するように、傾斜して配置されている。
【0053】
第2の送風部23は、ブロアB2と、ノズルBn2とを備えている。ブロアB2は、ブロアB1と同様に構成されている。ブロアB2は、第1の選別装置10で選別された混合廃棄物Dにおける軽量物d2の組成又は種類に応じて、ブロアB1とは異なる風量とされていてもよい。また、ノズルBn2は、ノズルBn1と同様に構成されている。ノズルBn2の先端部の形状は、第1の選別装置10で選別された混合廃棄物Dにおける軽量物d2の組成又は種類に応じて、ノズルBn1とは異なる先端部の形状が採用されていてもよい。
【0054】
次に、本実施形態の廃棄物の選別装置1において、廃棄物の選別装置1の全体構成における作用効果について、
図1及び
図4を参照して説明する。
【0055】
廃棄物の選別装置1において、確実に軽量物d2を選別するために、軽量物d2の選別が行われる区間の総距離を延ばすことが考えられる。しかし、廃棄物の選別装置1を設置するための敷地に制約がある場合には、軽量物d2の選別が行われる区間を一直線上に設置することができない。このような場合、上述の構成のように、第1の選別装置10と、第2の選別装置20とが連なって設けられ、第1の供給コンベア11と、第2の供給コンベア21とが交差するように延設することで、軽量物d2の選別が行われる区間の総距離を延ばすことができる。
【0056】
第1の供給コンベア11と、第2の供給コンベア21とが連なる接続部5では、第1の供給コンベア11の下流側端部は、第2の供給コンベア21の上方に所定の高低差で設けられている。この接続部5において、混合廃棄物Dは、第1の供給コンベア11の下流側端部から自然落下することにより、第1の供給コンベア11から第2の供給コンベア21の上方に受け渡される。
【0057】
このとき、第2の板状部材25を上述のように構成することにより、混合廃棄物Dは、第2の板状部材25により受け止められると共に、第2の供給コンベア21における第2の回収コンベア22側へ予め寄せられるように、混合廃棄物Dの落下方向が制御される(
図4参照)。これにより、第2の供給コンベア21からこぼれ落ちたり、第2の供給コンベア21上に不均一に集中又は分散したりすることを抑制することができる。
【0058】
具体的には、例えば、第2の供給コンベア21上において混合廃棄物Dが山状に盛られたような状態となり、この山に埋もれた軽量物d2が取り残されることが抑制される。また、例えば、第2の供給コンベア21上において、第2の供給コンベア21の幅方向に、第2の回収コンベア22から離れて混合廃棄物Dが散在する状態となり、棒状部材4によって掃かれた軽量物d2が第2の回収コンベア22まで至らずに第2の供給コンベア21上に取り残されることが抑制される。
【0059】
このようにして、混合廃棄物Dは好適に第2の供給コンベア21上に受け渡され、軽量物d2は容易に第2の回収コンベア22へ掃き出される。この結果、効率の良い軽量物d2の選別が可能となる。
【0060】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0061】
掃出装置A1及びA2は、上述の実施形態に限られない。例えば、回転体2は略円筒状を呈しているが、回転体2は、略角柱状を呈していてもよい。また、回転体2は、供給コンベアの上方に設けられ、供給コンベアの延在方向に沿う軸線を有していればよく、供給コンベアの延在方向に沿って一定幅を有するベルト状の無限軌道を呈しており、全体として供給コンベアの延在方向に沿う軸線周りに回転してもよい。また、駆動装置3は、回転体2の端部に直接設けられている形態に限られず、歯車やチェーン、ベルト等を介して回転体2を駆動してもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では、第1の送風部13について、電動機によるファン等連続的な空気を送風するブロアB1を用いる例を示したが、例えばコンプレッサによる圧縮空気を断続的に噴射するものであってもよい。また、ノズルBn1の先端部の形状は、先細りの略円錐形状を例示したが、先細りの形状でない円筒状であってもよいし、断面多角形状の筒状であってもよい。
【0063】
また、例えば、第2の選別装置20における回転体2と、駆動装置3と、棒状部材4と、第2の送風部23と、第2の架渡部24とは、第1の選別装置10において対応する構成と同様な構成とされていてもよいし、異なる構成とされていてもよい。例えば、回転体2に設けられる棒状部材4の本数は、第1の選別装置10よりも第2の選別装置20のほうが多くてもよい。
【0064】
また、第1の供給コンベア11の延在方向と第2の供給コンベア21の延在方向とが交差する角度は、略直角に限られない。